(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20221003BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20221003BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221003BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/02 E
H04N5/225 100
H04N5/232 480
(21)【出願番号】P 2019063414
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/016043(WO,A1)
【文献】特開2011-100124(JP,A)
【文献】特開2010-197612(JP,A)
【文献】特開2008-048220(JP,A)
【文献】国際公開第2006/075545(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B7/02-7/16
G03B5/00-5/08
H04N5/222-5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して揺動可能に支持する支持機構と、
前記可動体に設けられた接続部に一端が接続され、前記可動体に対して光軸方向と交差する第1方向側に配置され、前記光軸方向から見て重なるように折り曲げられた折り曲げ領域が形成されるフレキシブル配線基板と、を備え、
前記固定体は、前記可動体及び前記折り曲げ領域を前記光軸方向から見て囲むフレーム壁と、前記フレーム壁に対して取り外し可能であって前記折り曲げ領域を前記光軸方向の一方側からカバーする第1カバーと、前記フレーム壁に対して取り外し可能であって前記折り曲げ領域を前記光軸方向の他方側からカバーする第2カバーと、を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記第2カバーは、前記折り曲げ領域に加えて前記可動体も前記光軸方向の他方側からカバーすることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1カバー及び前記第2カバーは、非磁性の材料で構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1カバー及び前記第2カバーは、金属で構成されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1カバーは、第1係合部を有し、
前記第2カバーは、第2係合部を有し、
前記フレーム壁は、前記第1係合部と係合する第1被係合部と、前記第2係合部と係合する第2被係合部と、を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記フレーム壁は、前記折り曲げ領域を囲う部分の方が前記可動体を囲う部分よりも前記光軸方向における長さが短いことを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記第1カバーには前記フレキシブル配線基板を前記フレーム壁で囲まれた領域から排出する排出口が設けられ、
前記排出口から排出された前記フレキシブル配線基板は、前記第1カバーに貼り付けられていることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光学モジュールを備える可動体と、可動体を変位可能に保持する固定体と、可動体と接続されるフレキシブル配線基板と、を備える様々な光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、光学素子を保持した可動モジュールと、可動モジュールを変位可能に保持する固定体と、可動モジュールと接続されるフレキシブル配線基板と、を備える光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような可動体と固定体とフレキシブル配線基板とを備える従来の光学ユニットにおいては、可動体の底面領域でフレキシブル配線基板の引き回しで湾曲部をつくりながらフレキシブル配線基板から受ける力を小さくして可動体への影響を少なくするように配置していた。しかしながら、底面領域での湾曲部の引き回しは薄型化の妨げになる為、フレキシブル配線基板から受ける力を小さくするのに、フレキシブル配線基板を長くして側面方向に引き出すことで可動体への影響を抑制することが考えられる。しかしながら、フレキシブル配線基板を長く引き出すだけでなくフレキシブル配線基板を折り曲げて光学ユニットの体積が大きくならないようにする必要がある場合があるが、フレキシブル配線基板を折り曲げて折り曲げ領域を形成すると、該折り曲げ領域が他の部材などと接触し、可動体が固定体に対して意図しない方向へ傾くという問題がある。そこで、本発明は、フレキシブル配線基板に接触することに伴う可動体の固定体に対する傾きを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、固定体と、前記可動体を前記固定体に対して揺動可能に支持する支持機構と、前記可動体に設けられた接続部に一端が接続され、前記可動体に対して光軸方向と交差する第1方向側に配置され、前記光軸方向から見て重なるように折り曲げられた折り曲げ領域が形成されるフレキシブル配線基板と、を備え、前記固定体は、前記可動体及び前記折り曲げ領域を前記光軸方向から見て囲むフレーム壁と、前記フレーム壁に対して取り外し可能であって前記折り曲げ領域を前記光軸方向の一方側からカバーする第1カバーと、前記フレーム壁に対して取り外し可能であって前記折り曲げ領域を前記光軸方向の他方側からカバーする第2カバーと、を有することを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、折り曲げ領域が形成されるフレキシブル配線基板を備えるので、フレキシブル配線基板を長くでき、フレキシブル配線基板から受ける力を小さくして可動体への影響を抑制することができる。また、フレーム壁と第1カバーと第2カバーとにより全方向から折り曲げ領域をカバーできるので、フレキシブル配線基板に他部材などが接触することに伴う可動体の固定体に対する傾きを抑制することができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記第2カバーは、前記折り曲げ領域に加えて前記可動体も前記光軸方向の他方側からカバーすることが好ましい。可動体とフレキシブル配線基板とをまとめて光軸方向の他方側から第2カバーでカバーできるためである。
【0008】
本発明の光学ユニットは、前記第1カバー及び前記第2カバーは、非磁性の材料で構成されていることが好ましい。磁気を用いて可動体を変位させる構成の光学ユニットとした場合に、第1カバー及び第2カバーと磁石との吸着を抑制できるので、効率よく組み立てることができるためである。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記第1カバー及び前記第2カバーは、金属で構成されていることが好ましい。第1カバー及び第2カバーを薄型で高剛性にすることができ、光学ユニットを小型で頑丈にできるためである。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記第1カバーは、第1係合部を有し、前記第2カバーは、第2係合部を有し、前記フレーム壁は、前記第1係合部と係合する第1被係合部と、前記第2係合部と係合する第2被係合部と、を有することが好ましい。フレーム壁に対して第1係合部及び第2係合部を簡単な機械的な構成で固定できるためである。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記フレーム壁は、前記折り曲げ領域を囲う部分の方が前記可動体を囲う部分よりも前記光軸方向における長さが短いことが好ましい。フレーム壁において可動体を囲う部分よりも折り曲げ領域を囲う部分を薄くすることで、光学ユニット全体を小型化でき、光学ユニットを様々な装置で使用できるためである。
【0012】
本発明の光学ユニットにおいては、前記第1カバーには前記フレキシブル配線基板を前記フレーム壁で囲まれた領域から排出する排出口が設けられ、前記排出口から排出された前記フレキシブル配線基板は、前記第1カバーに貼り付けられていることが好ましい。排出口から排出されたフレキシブル配線基板が第1カバーに貼り付けられていることで、光学ユニットが配置される光学機器内においてフレキシブル配線基板が他部材に干渉すること及び干渉した場合の可動体の固定体に対するずれなどを抑制できるためである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光学ユニットは、フレキシブル配線基板に接触することに伴う可動体の固定体に対する傾きを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットの平面図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る光学ユニットの斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る光学ユニットのフレキシブル配線基板の折り曲げ領域周辺を表す側面図であり、フレーム壁を省略して表した図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る光学ユニットのフレキシブル配線基板の接続部周辺を表す斜視図である。
【
図6】本発明の実施例2に係る光学ユニットの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。
【0016】
[実施例1](
図1から
図5)
最初に、本発明の実施例1に係る光学ユニットについて
図1から
図5を用いて説明する。なお、
図2において、符号Lが付された一点鎖線は光軸を示し、符号L1が付された一点鎖線は光軸と交差する第1軸線を示し、符号L2が付された一点鎖線は光軸L及び第1軸線L1と交差する第2軸線L2を示している。また、各図において、Z軸方向は光軸方向であり、X軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとヨーイングの軸方向であり、Y軸方向は光軸と交差する方向、言い換えるとピッチングの軸方向である。
【0017】
<光学ユニットの全体構成の概略>
図1から
図5を参照して、本実施例に係る光学ユニット10の構成について説明する。光学ユニット10は、光学モジュール12を備える可動体14と、Y軸方向を回転軸とする方向(ピッチング方向)及びX軸方向を回転軸とする方向(ヨーイング方向)に変位可能な状態で可動体14を保持する固定体16と、を備えている。また、可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に駆動する回転駆動機構18と、固定体16に対して可動体14をピッチング方向及びヨーイング方向に回転可能に支持する支持機構20(スラスト受け部材)とを備えている。さらに、光学ユニット10は、ジンバルフレーム部25を有するジンバル機構21を備えており、ジンバルフレーム部25は、第1軸線L1の両端部から光軸方向に沿って延設される第1支持部用延設部27aと、第2軸線L2の両端部から光軸方向に沿って延設される第2支持部用延設部27bと、を有している。
【0018】
<光学モジュール>
本実施例において、光学モジュール12は略矩形筐体状に形成されており、例えばカメラ付携帯電話機やタブレット型PC等に搭載される薄型カメラ等として用いられる。光学モジュール12は、被写体側にレンズ12aを備え、矩形筐体状のハウジング12bの内部に撮像を行うための光学機器等が内蔵されている。本実施例における光学ユニット10は、一例として、光学モジュール12に生じたピッチングの振れ(Y軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)及びヨーイングの振れ(X軸方向を回転軸とする回動方向の振れ)の補正を行うアクチュエーターを内蔵し、ピッチングの振れの補正及びヨーイングの振れの補正が可能な構成となっている。
【0019】
なお、本実施例において、光学ユニット10は、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れの補正が可能な構成としたが、この構成に限定はされず、例えば、ピッチングの振れ及びヨーイングの振れのいずれか一方のみの補正が可能な構成でもよい。
【0020】
<撮像素子>
図3及び
図5で表されるように、光学モジュール12は、被写体側とは反対側に撮像素子50を備えている。そして、撮像素子50には、第1フレキシブル配線基板51aが接続されている。ここで、本実施例の撮像素子50は、
図5で表されるように接続部50aを有し、該接続部50aに第1フレキシブル配線基板51aが接続されている。
【0021】
<可動体>
可動体14は、光学モジュール12と、ホルダ枠22と、磁石24A及び24Bとを備えている。ホルダ枠22は、光学モジュール12のレンズ12aが設けられる前面(被写体側の面)と、反対側の後面を除く、残りの4面を取り囲むように設けられる矩形枠状の部材として構成されている。本実施例のホルダ枠22は、一例として光学モジュール12を着脱可能に構成されている。ホルダ枠22において固定体16と対向する2面を利用して、ピッチング及びヨーイングの補正用の磁石24A及び24Bがこれらの外面に取り付けられている。なお、
図3においては、磁石24A及び24Bの設けられる位置が分かり易いようにホルダ枠22とは離れた位置にある状態で磁石24A及び24Bを表しているが、磁石24A及び24Bはホルダ枠22に取り付けられている。
【0022】
<固定体>
固定体16は、固定枠28と、コイル32A及び32Bと、を備えている。本実施例において、固定枠28は、可動体14を被写体側で囲う第1前面カバー部28aと、ホルダ枠22の4面を囲う側面カバー部28bと、被写体側に設けられ被写体側から第1フレキシブル配線基板51aを覆うとともに被写体側の面において第1フレキシブル配線基板51aが貼り付けられる第2前面カバー部28cと、被写体側とは反対側を覆う後面カバー部28dと、から構成されている。ここで、第2前面カバー部28c及び後面カバー部28dは、側面カバー部28bと係合部17及び19を介して取り外し可能に機械的に固定されている。なお、第1前面カバー部28aと側面カバー部28bとを固定する係合部9(
図2参照)も、係合部17及び19と同様の構成をしている。
【0023】
ここで、
図3においては、コイル32A及び32Bの磁石24A及び24Bに対する位置が分かり易いように側面カバー部28bとは離れた位置にある状態でコイル32A及び32Bを表しているが、コイル32A及び32Bは側面カバー部28bに取り付けられている。
図3で表されるように、本実施例において可動体14が固定体16内に配置された状態において、磁石24Aとコイル32A、磁石24Bとコイル32B、は対向状態となる。また、本実施例において、磁石24Aとコイル32Aとの対、磁石24Bとコイル32Bとの対は、回転駆動機構18を構成している。回転駆動機構18により、可動体14のピッチング及びヨーイングの補正が行われる。なお、本実施例において、コイル32A及びコイル32Bは一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。
【0024】
また、ピッチング及びヨーイングの補正は以下のように行われる。光学ユニット10にピッチング方向とヨーイング方向の両方向又はいずれか一方向の振れが発生すると、不図示の振れ検出センサ(ジャイロスコープ)によって振れを検出し、その結果に基づいて回転駆動機構18を駆動させる。その後、
図5で表される磁気センサー13(ホール素子)などを用いて、光学ユニット10の振れを精度よく回転駆動機構18がその振れを補正するように作用する。即ち、光学ユニット10の振れを打ち消す方向に可動体14を動かすように各コイル32A及び32Bに電流が流され、これにより振れが補正される。
【0025】
本実施例の光学ユニット10においては、可動体14を固定体16に対して、第1軸線L1と第2軸線L2を回転軸として、回転させる回転駆動機構18を備えている。第1軸線L1と第2軸線L2での回転の複合によりピッチングの軸方向及びヨーイングの軸方向に回転する。ここで、回転駆動機構18は、本実施例のように、可動体14に対してX軸方向のうちの第1フレキシブル配線基板51aが配置されている側以外の位置に配置されていることが好ましい。回転駆動機構18を第1フレキシブル配線基板51aが形成されていない側に配置できるので、回転駆動機構18や該回転駆動機構18に接続される第2フレキシブル配線基板51bと、第1フレキシブル配線基板51aと、の接触を抑制できるためである。したがって、このような構成とすることで、光学ユニット10を大きくする必要が無くなり、光学ユニット10を小型化できる。なお、本明細書における「回転」とは、360°回転することを要せず、回転方向に揺動する場合を含む意味である。
【0026】
なお、振れを補正する動作のための駆動源としては、回転駆動機構18のようなコイル32A及び32Bと、磁石24A及び24Bと、の各対により構成されるボイスコイルモーターに限定されない。他の駆動源としてステッピングモーターやピエゾ素子等を利用したものを使用することも可能である。
【0027】
<ジンバル機構>
ジンバル機構21は、金属製平板材料を折り曲げることによって形成されるバネ性を兼ね備えた機構である。具体的には、
図3で表されるように、本実施例のジンバル機構21は、ジンバルフレーム部25を有し、ジンバルフレーム部25の四方のコーナー部から被写体側とは反対側に光軸方向に90°折り曲げられて形成される、2つの第1支持部用延設部27aと、2つの第2支持部用延設部27bと、を備えることによって構成されている。なお、第1支持部用延設部27aと第2支持部用延設部27bについては、必ずしもその全部が板状でなくてもよく、その一部のみを板状に形成してバネ性を発揮させるようにしてもよい。本実施例のジンバル機構21は、このような構成となっていることで、外側方向に向けて与圧を与えることが可能な構成となっている。
【0028】
<支持機構>
図3で表される支持機構20は、可動体14を固定体16に対して、第1軸線L1と第2軸線L2を回転軸として、回動可能に支持する。
図3で表されるように、支持機構20としては、第1支持部用延設部27aを支持する2つの第1スラスト受け部材20aと、第2支持部用延設部27bを支持する2つの第2スラスト受け部材20bと、を有している。そして、第1スラスト受け部材20aは固定体16の側面カバー部28b(フレーム壁)における矩形枠状部分の4隅のうちの対向する2か所に配置され、第2スラスト受け部材20bは矩形枠状の可動体14のホルダ枠22の4隅にうちの対向する2か所に配置される。すなわち、第1スラスト受け部材20aは固定体16に固定され、第2スラスト受け部材20bは可動体14に固定される。なお、側面カバー部28bにおける矩形枠状部分と矩形枠状の可動体14とは4隅の位置が揃うように配置され、第1スラスト受け部材20a及び第2スラスト受け部材20bは該4隅に1つずつ配置される。
【0029】
なお、第1支持部用延設部27aには球凹面が設けられ、第1スラスト受け部材20aには球凸面が設けられ、該球凹面と球凸面とが当接することにより第1支持部用延設部27aは第1スラスト受け部材20aに支持されている。そして、同様に、第2支持部用延設部27bには球凹面が設けられ、第2スラスト受け部材20bには球凸面が設けられ、該球凹面と球凸面とが当接することにより第2支持部用延設部27bは第2スラスト受け部材20bに支持されている。そして、2つの第1支持部用延設部27aの各々及び2つの第2支持部用延設部27bの各々は、外側方向に向けて与圧がかかる構成となっているので、該与圧により、各球凹面は対応する各々の球凸面に対して押圧し、第1支持部用延設部27a及び第2支持部用延設部27bは、対応する第1スラスト受け部材20a及び第2スラスト受け部材20bに支持される。
【0030】
<第1フレキシブル配線基板>
図5に示すように、第1フレキシブル配線基板51aは、可動体14に設けられた撮像素子50の接続部50aに一端が接続されている。そして、
図1から
図5で表されるように、第1フレキシブル配線基板51aは、可動体14に対してX軸方向の一方側(光軸方向と交差する第1方向側)に配置されている。第1フレキシブル配線基板51aは、
図4で表されるように、可動体14に対して第1方向側において、光軸方向から見て重なるように折り曲げられた折り曲げ領域Rが形成されている。なお、第1フレキシブル配線基板51aの一端側は、
図5で表されるように、接続部50aに接続された部分から接着部26でハウジング12bに接着され、折り曲げ保持部11を介して180°折り曲げられる構成となっている。
【0031】
図4及び
図5で表されるように、第1フレキシブル配線基板51aの折り曲げ部分には、該折り曲げ部分を保持する折り曲げ保持部11が設けられている。そして、折り曲げ保持部11により、折り曲げ部分で180°第1フレキシブル配線基板51aを折り曲げ、折り曲げられた第1フレキシブル配線基板51a同士が接触しないように保持している。このように折り曲げ保持部11を有することで、第1フレキシブル配線基板51aの配線領域を効果的に小型化できるとともに、第1フレキシブル配線基板51a同士の接触による該第1フレキシブル配線基板51aの損傷を抑制できる。なお、折り曲げ保持部11のうちの第1フレキシブル配線基板51aの最も他端側を保持する折り曲げ保持部11eは、第2前面カバー部28cに貼り付けられている。
【0032】
また、第1フレキシブル配線基板51aの他端側は、第2前面カバー部28cに設けられた孔部15から外部に排出され、
図4で表されるように第2前面カバー部28cに貼り付けられている。第1フレキシブル配線基板51aの他端側が第2前面カバー部28cに貼り付けられていることで、第1フレキシブル配線基板51aに対して外部から力が加わってもその影響が固定枠28の内部に及ぶことは抑制される。
【0033】
このように、第1フレキシブル配線基板51aは、可動体14に設けられた接続部50aに一端が接続され、可動体14に対して光軸方向と交差する第1方向側に配置され、光軸方向から見て重なるように折り曲げられた折り曲げ領域Rが形成されるので、本実施例の光学ユニット10は、第1フレキシブル配線基板51aを長くでき、フレキシブル配線基板から受ける力を低くすることで可動体への影響を抑制することができる。
【0034】
<固定体による第1フレキシブル配線基板の収容構成>
上記のように、固定体16は、可動体14及び折り曲げ領域Rを光軸方向から見て囲むフレーム壁としての側面カバー部28bと、側面カバー部28bに対して取り外し可能であって折り曲げ領域Rを光軸方向の一方側(前面側)からカバーする第1カバーとしての第2前面カバー部28cと、側面カバー部28bに対して取り外し可能であって折り曲げ領域Rを光軸方向の他方側(後面側)からカバーする第2カバーとしての後面カバー部28dと、を有している。すなわち、本実施例の光学ユニット10は、側面カバー部28bと第2前面カバー部28cと後面カバー部28dとにより全方向から折り曲げ領域Rをカバーしているので、第1フレキシブル配線基板51aに他部材などが接触することに伴う可動体14の固定体16に対する傾きを抑制している。また、全方向からカバーしていることで、ゴミなどの異物が固定枠28の内部に侵入することを抑制している。
【0035】
また、本実施例の後面カバー部28dは、
図3で表されるように、折り曲げ領域Rに加えて可動体14も後面側からカバーする構成となっている。このため、本実施例の光学ユニット10は、可動体14と第1フレキシブル配線基板51aとをまとめて後面側から後面カバー部28dでカバーできる構成となっている。
【0036】
なお、本実施例の光学ユニット10においては、第2前面カバー部28c及び後面カバー部28dは、非磁性の金属材料で構成されている。非磁性の材料を用いることで、本実施例のように磁気を用いて可動体14を変位させる構成の光学ユニット10とした場合に、第2前面カバー部28c及び後面カバー部28dと磁石24A及び24Bとの吸着を抑制できるので、効率よく組み立てることができる。また、金属材料を用いることで、第2前面カバー部28c及び後面カバー部28dを薄型で高剛性にすることができ、光学ユニット10を小型で頑丈にできる。
【0037】
また、上記のように、第2前面カバー部28c及び後面カバー部28dは、側面カバー部28bと係合部17及び19を介して取り外し可能に機械的に固定されている。詳細には、
図3及び
図4などで表されるように、第2前面カバー部28cは第1係合部17aを有し、後面カバー部28dは第2係合部19aを有し、側面カバー部28bは第1係合部17aと係合する第1被係合部17bと、第2係合部19aと係合する第2被係合部19bと、を有している。このような構成により、本実施例の光学ユニット10は、側面カバー部28bに対して第2前面カバー部28c及び後面カバー部28dを簡単な機械的な構成で固定している。なお、本実施例の第1係合部17a及び第2係合部19aは孔形状であり、本実施例の第1被係合部17b及び第2被係合部19bは該第1係合部17a及び第2係合部19aに引っ掛かる突起形状をしているが、係合部17及び19の構成に特に限定は無い。
【0038】
また、上記のように、第2前面カバー部28cには第1フレキシブル配線基板51aを側面カバー部28bで囲まれた領域から排出する排出口としての孔部15が設けられ、孔部15から排出された第1フレキシブル配線基板51aは、第2前面カバー部28cに貼り付けられている。本実施例の光学ユニット10は、孔部15から排出された第1フレキシブル配線基板51aが第2前面カバー部28cに貼り付けられていることで、光学ユニット10が配置される光学機器内において第1フレキシブル配線基板51aが他部材に干渉すること及び干渉した場合の可動体14の固定体16に対する傾きなどを抑制している。
【0039】
なお、
図2から
図4などで表されるように、本実施例の光学ユニット10においては、光軸方向において固定枠28における折り曲げ領域Rを囲う部分を薄く構成している。すなわち、側面カバー部28bは、折り曲げ領域Rを囲う部分の方が可動体14を囲う部分よりも光軸方向における長さが短くなるように構成している。側面カバー部28bにおいて可動体14を囲う部分よりも折り曲げ領域Rを囲う部分を薄くすることで、光学ユニット10全体を小型化でき、光学ユニット10を様々な装置で使用できる。
【0040】
[実施例2](
図6)
次に、実施例2の光学ユニット10について
図6を用いて説明する。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の光学ユニット10は、第1フレキシブル配線基板51aの折り曲げ構成及び固定体16による第1フレキシブル配線基板51aの収容構成以外は、実施例1の光学ユニット10と同様の構成である。
【0041】
実施例1の光学ユニット10においては、第1フレキシブル配線基板51aをX軸方向に2回折り曲げ、第2前面カバー部28cに設けられた孔部15から第1フレキシブル配線基板51aの端部側を排出する構成であった。一方、
図6で表されるように、本実施例の光学ユニット10は、第1フレキシブル配線基板51aをX軸方向に4回折り曲げ、側面カバー部28bに設けられた排出口としての孔部23から第1フレキシブル配線基板51aの端部側を排出する構成である。
【0042】
実施例1の光学ユニット10においては、第1フレキシブル配線基板51aの折り曲げ構成から、排出口である孔部15を可動体14と近い側に設ける必要があった。一方、本実施例の光学ユニット10においては、第1フレキシブル配線基板51aの折り曲げ構成から、排出口である孔部23を可動体14と遠い側に設けることができている。すなわち、実施例の光学ユニット10は、第1フレキシブル配線基板51aの露出量を小さくすることができている。
【0043】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。
また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
9…係合部、10…光学ユニット、11…折り曲げ保持部、12…光学モジュール、
12a…レンズ、12b…ハウジング、13…磁気センサー、14…可動体、
15…孔部(排出口)、16…固定体、17…係合部、17a…第1係合部、
17b…第1被係合部、18…回転駆動機構、19…係合部、19a…第2係合部、
19b…第2被係合部、20…支持機構(スラスト受け部材)、
20a…第1スラスト受け部材(第1支持部)、
20b…第2スラスト受け部材(第2支持部)、21…ジンバル機構、
22…ホルダ枠、23…孔部(排出口)、24A…磁石、24B…磁石、
25…ジンバルフレーム部、26…接着部、27a…第1支持部用延設部、
27b…第2支持部用延設部、28…固定枠、28a…第1前面カバー部、
28b…側面カバー部(フレーム壁)、28c…第2前面カバー部(第1カバー)、
28d…後面カバー部(第2カバー)、32A…コイル、32B…コイル、
50…撮像素子、50a…接続部、51a…第1フレキシブル配線基板、
51b…第2フレキシブル配線基板、L…光軸