(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】深耕機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/06 20060101AFI20221003BHJP
A01D 19/12 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A01B33/06 A
A01D19/12
(21)【出願番号】P 2019072754
(22)【出願日】2019-04-05
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】黒原 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】萩原 智恵
(72)【発明者】
【氏名】田中 健輔
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-022101(JP,U)
【文献】特開2010-273579(JP,A)
【文献】実開昭53-028113(JP,U)
【文献】実開昭49-127301(JP,U)
【文献】実開昭48-084704(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/06
A01D 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力が入力される動力入力装置を支持する第1支持フレームと、
前記動力入力装置からの動力が伝達可能で且つ、深耕姿勢と前記深耕姿勢から退避させた退避姿勢とに姿勢変更可能に前記第1支持フレームに支持された第2支持フレームと、
前記第2支持フレームに回転自在に支持され且つ、前記第2支持フレームに入力された動力を出力する複数の動力出力軸と、
前記動力出力軸から出力された動力によって回転する回転軸と、前記回転軸に取付けられ且つ前記深耕姿勢であるときに対地に対して前記深耕を行う耕耘爪とを有する複数の耕耘装置と、
前記第1支持フレームに連結され且つ、前記動力入力装置に入力された動力を前記複数の動力出力軸のそれぞれに伝達する複数のギヤ伝達装置と、
前記動力入力装置の上部に設けられたマストと、
前記第2支持フレームを前記深耕姿勢と前記退避姿勢とに姿勢変更させる昇降装置と、
を備え
、
前記第1支持フレームは、前記動力入力装置から機体幅方向の一方側に延設された第1アームと、前記動力入力装置から機体幅方向の他方側に延設された第2アームとを有し、
前記複数のギヤ伝達装置は、前記第1アームの延設端側に機体幅方向に延伸する軸心回りに回動可能に連結された第1ギヤ伝達装置と、前記第2アームの延設端側に機体幅方向に延伸する軸心回りに回動可能に連結された第2ギヤ伝達装置とを含み、
前記複数の動力出力軸は、前記第1ギヤ伝達装置の動力が伝達される第1動力出力軸と、前記第2ギヤ伝達装置の動力が伝達される第2動力出力軸とを含み、
前記第2支持フレームは、前記第1ギヤ伝達装置に連結され前記第1動力出力軸を支持する第1サポート部材と、前記第2ギヤ伝達装置に連結され前記第2動力出力軸を支持する第2サポート部材と、前記第1サポート部材と前記第2サポート部材と連結する第3サポート部材とを含み、
前記昇降装置は、一端側が前記マストに連結され他端側が前記第3サポート部材に連結されている深耕機。
【請求項2】
前
記複数の耕耘装置の回転軸は、前記複数の動力出力軸の同一軸芯上に配置されている請求項1に記載の深耕機。
【請求項3】
前記回転軸は、前記動力出力軸に着脱自在に装着する第1軸部と、前記第1軸部に着脱自在に装着する第2軸部とを備えている請求項1又は2に記載の深耕機。
【請求項4】
前記動力出力軸から取り外した前記回転軸を保管する保管部を有し
、
前記保管部は、前記第1支持フレーム及び前記第2支持フレームのいずれかに固定され且つ前記回転軸が差し込まれる差し込み棒を含んでいる請求項1又は2に記載の深耕機。
【請求項5】
少なくとも前記第1軸部及び前記第2軸部のいずれかを保管する保管部を有し
、
前記保管部は、前記第1支持フレーム及び前記第2支持フレームのいずれかに固定され且つ少なくとも前記第1軸部及び前記第2軸部のいずれかが差し込まれる差し込み棒を含んでいる請求項3に記載の深耕機。
【請求項6】
前記第1サポート部材と前記第1ギヤ伝達装置とを連結する第1連結部材と、
前記第2サポート部材と前記第2ギヤ伝達装置とを連結する第2連結部材と、
を備え、
前記第3サポート部材は、一方側が前記第1連結部材に連結され他方側が前記第2連結体に連結された第1揺動体と、一方側が前記第1サポート部材に連結され他方側が前記第2サポート部材に連結された第2揺動体とを含む請求項
1~5のいずれか1項に記載の深耕機。
【請求項7】
前記昇降装置は、油圧シリンダによって構成され、他端側が前記第1揺動体の機体幅方向の中央部に固定されたブラケットに連結されている請求
項6に記載の深耕機。
【請求項8】
前記第1揺動体に固定された前記ブラケットは、前記第2揺動体に固定されたブラケットに連結されている請求項7に記載の深耕機。
【請求項9】
前記第1連結部材は、前記第1ギヤ伝達装置に設けられたブラケットと、前記第1サポート部材に設けられたブラケットと、これらブラケット同士を連結する連結体とを含み、
前記第2連結部材は、前記第2ギヤ伝達装置に設けられたブラケットと、前記第2サポート部材に設けられたブラケットと、これらブラケット同士を連結する連結体とを含み、
前記第1揺動体は、前記連結体同士を連結している請求項
6~8のいずれか1項に記載の深耕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の後部に装着される深耕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長芋などの農作物は、圃場に深い畝底などを形成して、栽培するのが一般的である。畝底を形成する機械として、特許文献1及び2が知られている。
特許文献1の深耕機においては、鉛直方向に揺動自在なアームに、回転自在なドリルロータと、ドリルロータを回転させる回転駆動機構を取付け、ドリルロータを回転させながらアームを上方から下方に移動させることにより、畝底を形成している。
【0003】
また、特許文献2の植え付け溝形成機においては、基枠に動力が伝達されるミッションを設け、ミッションの両側に一対の上スプロケットを設けている。また、一対の上スプロケットのそれぞれの下部には一対のブームを設け、当該一対のブームには一対の下スプロケットを設けている。一対の上スプロケットと一対の下スプロケットには、掘削チェーンを巻きつけている。この植え付け溝形成機では、ミッションから出力される動力を、一対の上スプロケットに伝達することにより、掘削チェーンを回転させ、畝底を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭59-154904号公報
【文献】特開平8-205648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の深耕機では、アームに対して1つのドリルロータと、ドリルロータを駆動する回転駆動機構が設けられている構成であるため、畝底を形成するのに時間が掛かるという問題がある。
一方、特許文献2の植え付け溝形成機は、一対のブームのそれぞれに一対の上スプロケット、一対の下スプロケット及び掘削チェーンが設けられているため、一度に2つの畝底を形成することができるものの、上スプロケット及び一対の下スプロケットに掘削チェーンを巻く構成であったため、動力伝達のロス等が発生することがあり、畝底を形成、即ち、深耕作業が結果的に長時間かかることがあった。
【0006】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、簡単に深耕を行うことができる深耕機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の技術的手段を講じた。
深耕機は、動力が入力される動力入力装置を支持する第1支持フレームと、前記動力入力装置からの動力が伝達可能で且つ、深耕姿勢と前記深耕姿勢から退避させた退避姿勢とに姿勢変更可能に前記第1支持フレームに支持された第2支持フレームと、前記第2支持フレームに回転自在に支持され且つ、前記第2支持フレームに入力された動力を出力する複数の動力出力軸と、前記動力出力軸から出力された動力によって回転する回転軸と、前記回転軸に取付けられ且つ前記深耕姿勢であるときに対地に対して前記深耕を行う耕耘爪とを有する複数の耕耘装置と、前記第1支持フレームに連結され且つ、前記動力入力装置に入力された動力を前記複数の動力出力軸のそれぞれに伝達する複数のギヤ伝達装置と、
前記動力入力装置の上部に設けられたマストと、前記第2支持フレームを前記深耕姿勢と前記退避姿勢とに姿勢変更させる昇降装置と、を備え、前記第1支持フレームは、前記動力入力装置から機体幅方向の一方側に延設された第1アームと、前記動力入力装置から機体幅方向の他方側に延設された第2アームとを有し、前記複数のギヤ伝達装置は、前記第1アームの延設端側に機体幅方向に延伸する軸心回りに回動可能に連結された第1ギヤ伝達装置と、前記第2アームの延設端側に機体幅方向に延伸する軸心回りに回動可能に連結された第2ギヤ伝達装置とを含み、前記複数の動力出力軸は、前記第1ギヤ伝達装置の動力が伝達される第1動力出力軸と、前記第2ギヤ伝達装置の動力が伝達される第2動力出力軸とを含み、前記第2支持フレームは、前記第1ギヤ伝達装置に連結され前記第1動力出力軸を支持する第1サポート部材と、前記第2ギヤ伝達装置に連結され前記第2動力出力軸を支持する第2サポート部材と、前記第1サポート部材と前記第2サポート部材と連結する第3サポート部材とを含み、前記昇降装置は、一端側が前記マストに連結され他端側が前記第3サポート部材に連結されている。
【0008】
前記複数の耕耘装置の回転軸は、前記複数の動力出力軸の同一軸芯上に配置されている。
前記回転軸は、前記動力出力軸に着脱自在に装着する第1軸部と、前記第1軸部に着脱自在に装着する第2軸部とを備えている。
【0009】
前記動力出力軸から取り外した前記回転軸を保管する保管部を有し、前記保管部は、前記第1支持フレーム及び前記第2支持フレームのいずれかに固定され且つ前記回転軸が差し込まれる差し込み棒を含んでいる。
少なくとも前記第1軸部及び前記第2軸部のいずれかを保管する保管部を有し、前記保管部は、前記第1支持フレーム及び前記第2支持フレームのいずれかに固定され且つ少なくとも前記第1軸部及び前記第2軸部のいずれかが差し込まれる差し込み棒を含んでいる。
前記第1サポート部材と前記第1ギヤ伝達装置とを連結する第1連結部材と、 前記第2サポート部材と前記第2ギヤ伝達装置とを連結する第2連結部材と、 を備え、前記第3サポート部材は、一方側が前記第1連結部材に連結され他方側が前記第2連結体に連結された第1揺動体と、一方側が前記第1サポート部材に連結され他方側が前記第2サポート部材に連結された第2揺動体とを含む。
【0010】
前記昇降装置は、油圧シリンダによって構成され、他端側が前記第1揺動体の機体幅方向の中央部に固定されたブラケットに連結されている。
【0011】
前記第1揺動体に固定された前記ブラケットは、前記第2揺動体に固定されたブラケットに連結されている。
前記第1連結部材は、前記第1ギヤ伝達装置に設けられたブラケットと、前記第1サポート部材に設けられたブラケットと、これらブラケット同士を連結する連結体とを含み、前記第2連結部材は、前記第2ギヤ伝達装置に設けられたブラケットと、前記第2サポート部材に設けられたブラケットと、これらブラケット同士を連結する連結体とを含み、前記第1揺動体は、前記連結体同士を連結している。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る深耕機によれば、簡単に深耕を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図6】耕耘装置を深耕姿勢したときの側面図である。
【
図7】耕耘装置を退避姿勢したときの側面図である。
【
図10】第1軸部と、第2軸部とを連結する前の耕耘装置を示す図である。
【
図11A】第1軸部に複数のブラケットを取付けた状態を示す図である。
【
図11B】第2軸部に複数のブラケットを取付けた状態を示す図である。
【
図12】回転軸にブラケットを装着した状態における断面図である。
【
図13】第1軸部及び第2軸部における耕耘爪の配列を示す図である。
【
図15】トラクタに深耕機を装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。
図1~
図5は、深耕機1を示している。深耕機1は、例えば、トラクタ2等の牽引車両の後部に装着されて、圃場を移動しながら該圃場を耕耘する。
本発明の実施形態において、深耕機1から見てトラクタ2が位置する方向(
図15の左側)を前方、トラクタ2から見て深耕機1が位置する方向(
図15の右側)を後方、前方を向いて左側(
図15の手前側)を左方、前方を向いて右側(
図15の奥側)を右方として説明する。
【0015】
図15に示すように、深耕機1は、複数の耕耘装置80を備えていて、トラクタ2の後部に昇降自在に装着される。深耕機1は、第1支持フレーム10を備えている。第1支持フレーム10は、トラクタ2の後部に揺動自在に設けられたロアリンク4に掛止されると共に、トラクタ2の後部に揺動自在に設けられたトップリンク5に連結される。なお、深耕機1のトラクタ2への装着構造は限定されない。また、上述した実施形態では、深耕機1は、トラクタ2等に牽引される牽引型について説明しているが、自走型であってもよい。
【0016】
図1及び
図3に示すように、深耕機1は、動力入力装置11を支持する第1支持フレーム10と、動力入力装置11に入力された動力が伝達される複数のギヤ伝達装置40と、複数のギヤ伝達装置40から出力された動力によって回転する複数の動力出力軸50とを備えている。
動力入力装置11は、トラクタ2等から出力された動力が入力される装置であって、動力入力軸11aと、ギヤケース11bとを含んでいる。動力入力軸11aは、連結装置を介してトラクタ2のPTO軸と連結される。動力入力軸11aに入力された動力は、ギヤケース11bに伝達され、ギヤケース11bによって回転動力の伝達方向等が変えられる。
【0017】
複数のギヤ伝達装置40は、第1ギヤ伝達装置40Lと、第2ギヤ伝達装置40Rとを含んでいる。第1ギヤ伝達装置40L及び第2ギヤ伝達装置40Rのそれぞれには、動力入力装置11から伝達された動力が入力される。
複数の動力出力軸50は、複数の耕耘装置80へ動力を伝達するもので、第1動力出力軸50Lと、第2動力出力軸50Rとを含んでいる。第1動力出力軸50Lには、第1ギヤ伝達装置40Lの動力が伝達され、第2動力出力軸50Rには、第2ギヤ伝達装置40Rの動力が伝達される。
【0018】
図1に示すように、ギヤケース11bの上部には、マスト35が設けられている。マスト35は、下部がギヤケース11bに取付けられた一対の側板36L、36Rを含んでいて、一対の側板36L、36Rには連結板(図示省略)により連結されている。側板36L、36Rの上部の前部にトップリンク5が連結される。
図1、
図3及び
図5に示すように、第1支持フレーム10は、動力入力装置11から一方側(左側)に延設される第1アーム13Lと、動力入力装置11から他方側(右側)に延設される第2アーム13Rとを有している。第1アーム13L、第2アーム13Rは、筒体で形成されている。第1アーム13Lの内部には、ギヤケース11bから一方側(左側)に延設される前伝達軸14Lが設けられ、第2アーム13Rの内部には、ギヤケース11bから他方側(右側)に延設される前伝達軸14Rが設けられている。
【0019】
第1アーム13Lの一方(左側)の端部には、第1ギヤ伝達装置40Lが連結され、第1ギヤ伝達装置40Lに前伝達軸14Lの動力が伝達される。第2アーム13Rの他方(右側)の端部には、第2ギヤ伝達装置40Rが連結され、第2ギヤ伝達装置40Rに前伝達軸14Rの動力が伝達される。
図8は、第1ギヤ伝達装置40Lの内部を示している。第1ギヤ伝達装置40Lは、ハウジング60と、ハウジング60内に設けられたべベルギヤ61、62とを備えている。
【0020】
ハウジング60は、矩形状に形成された箱型であって、
図4及び
図8に示すように、第1壁60A、第2壁60B、第3壁60C、第4壁60D、第5壁60E及び第6壁60Fを含んでいる。第1壁60A及び第2壁60Bは、一部が開放状となっていて、第1壁60A及び第2壁60Bのそれぞれには、ボルト等の締結具によって左蓋61A、右蓋61Bが着脱自在に取り付けられている。
【0021】
第2壁60B及び右蓋61Bには、ベアリング等の軸受部材63が設けられた回転支持体64が固定されている。回転支持体64の内面と第1アーム13Lの外面との間には、ブッシュ等のすべり軸受け65が設けられ、第1ギヤ伝達装置40L(ハウジング60)が第1アーム13Lに対して相対回動するようになっている。
べベルギヤ61は、前伝達軸14Lの端部(ハウジング60側の端部)に設けられて、当該前伝達軸14Lと一体回転するようになっており、回転支持体64の軸受部材63は、べベルギヤ61(前伝達軸14L)を回転自在に支持している。
【0022】
また、第1ギヤ伝達装置40Lのハウジング60内には、第1動力出力軸50Lの端部が挿入されていて、当該第1動力出力軸50Lは、第1ギヤ伝達装置40Lにより回転自在に支持されている。第3壁60Cには、第1動力出力軸50Lの端部を回転自在に支持するベアリング等の軸受部材66が設けられ、第4壁60Dにも軸受部材67が設けられている。べベルギヤ62は、第1動力出力軸50Lの端部(ハウジング60側の端部)に設けられて、当該第1動力出力軸50Lと一体回転するようになっており、軸受部材67は、べベルギヤ62(第1動力出力軸50L)を回転自在に支持している。
【0023】
したがって、第1ギヤ伝達装置40Lでは、前伝達軸14Lから伝達された動力は、べベルギヤ61、62を介して第1動力出力軸50Lに伝達され、伝達された動力によって第1動力出力軸50Lが回転する。また、第1ギヤ伝達装置40Lは、第1アーム13Lに対して相対回動する。なお、第2ギヤ伝達装置40Rも、第1ギヤ伝達装置40Lと同様の構成である。第2ギヤ伝達装置40Rでは、前伝達軸14Rから伝達された動力は、べベルギヤ61、62を介して第2動力出力軸50Rに伝達され、伝達された動力によって第2動力出力軸50Rが回転する。また、第2ギヤ伝達装置40Rは、第2アーム13Rに対して相対回動する。
【0024】
図1、
図3、
図5、
図7に示すように、第1アーム13L及び第2アーム13Rのそれぞれには、前方に突出するブラケット15L、15Rが設けられ、ブラケット15L、15Rには、機体幅方向(横方向)に延びる前支持体16が連結されている。前支持体16の機体幅方向の中途部には、前方に突出する前突出部17L、17Rが設けられ、前突出部17L、17Rには、ロアリンク4に掛止される掛止ピン18L、18Rが設けられている。
【0025】
前支持体16の機体幅方向の中途部であって、前突出部17L、17Rよりも外側には、一対の装着部19L、19Rが設けられている。一対の装着部19L、19Rのそれぞれは、前方に突出する突出部20L、20Rと、突出部20L、20Rに設けられた嵌合部21L、21Rと、を有している。嵌合部21L、21Rは、突出部20L、20Rから機体幅方向の外側に延びた筒体(角筒)であって、当該角筒にスタンド22が取付可能である。スタンド22は、前後に延びる一対のフレーム25L、25Rと、一対のフレーム25L、25Rから上方に起立する一対の起立体26L、26Rと、フレーム25L、25Rの下部に設けられたキャスタ等の車輪28L、28Rと、を有している。起立体27L、27Rの上部には、嵌め込み部29L、29Rが形成されていて、当該嵌め込み部29L、29Rを嵌合部21L、21Rに嵌め込むことにより、深耕機1を自立させることができる。
【0026】
図3、
図5に示すように、前支持体16の機体幅方向の端部のそれぞれには、支持ブラケット30L、30Rが設けられている。支持ブラケット30L、30Rは、前支持体16から立ち上がる一対のプレートから構成されていて、一対のプレートにはボルト等の締結具を挿入する挿入孔が形成されている。支持ブラケット30L、30Rを構成する一対のプレートには、進入抑制装置31が着脱自在に取り付け可能である。進入抑制装置31は、前後方向に延びる一対の第1阻止バー32L、32Rと、一対の第1阻止バー32L、32Rに連結する第2阻止バー33と、を含んでいる。第1阻止バー32L、32R及び第2阻止バー33は、例えば、筒体である。第2阻止バー33は、中途部は屈曲していて、屈曲部から端部の内径は、第1阻止バー32L、32Rの内径よりも小さくなっている。第2阻止バー33の端部を第1阻止バー32L、32Rに差し込むことにより、第1阻止バー32L、32Rに第2阻止バー33が連結することができる。
【0027】
図2、
図3、
図6及び
図7に示すように、深耕機1は、第2支持フレーム43を備えている。第2支持フレーム43は、動力入力装置11からの動力が伝達可能で且つ深耕姿勢J1と深耕姿勢J1から退避させた退避姿勢J2とに姿勢変更可能に、第1支持フレーム10に支持されている
第2支持フレーム43は、第1サポート部材44と、第2サポート部材45と、第3サポート部材46とを備えている。第1サポート部材44と第2サポート部材45とは機体幅方向に所定の間隔で離れて配置されている。第3サポート部材46は、第1サポート部材44と第2サポート部材45と連結している。
【0028】
第1サポート部材44は、筒体に構成されていて、内部が中空状であり、一端側(基部側)は第1ギヤ伝達装置40Lに連結されている。第1サポート部材44の内部には、第1動力出力軸50Lが設けられていて、第1サポート部材44の他端側(先端部)から第1動力出力軸50Lが突出している。具体的には、第1サポート部材44は、ベアリング等の軸受部材が内蔵された回転支持体47を有していて、当該回転支持体47によって第1動力出力軸50Lの先端部を支持しており、当該第1サポート部材44の先端部から第1動力出力軸50Lが突出している。
【0029】
図1、
図2、
図4に示すように、第1サポート部材44と、第1ギヤ伝達装置40Lとは、第1連結部材51により連結されている。第1連結部材51は、ハウジング60の第5壁60Eに設けられたブラケット51Aと、第1サポート部材44に設けられたブラケット51Bと、ブラケット51Aとブラケット51Bとを連結する連結体51Cとを含んでいる。
【0030】
第2サポート部材45は、第1サポート部材44と同様に筒体に構成されていて、内部が中空状であり、一端側(基部側)は第2ギヤ伝達装置40Rに連結されている。第2サポート部材45の内部には、第2動力出力軸50Rが設けられていて、第2サポート部材45の他端側(先端部)から第2動力出力軸50Rが突出している。具体的には、第2サポート部材45は、ベアリング等の軸受部材が内蔵された回転支持体48を有していて、当該回転支持体48によって第2動力出力軸50Rの先端部を支持しており、当該第2サポート部材45の先端部から第2動力出力軸50Rが突出している。
【0031】
第2サポート部材45と、第2ギヤ伝達装置40Rとは、第2連結部材52により連結されている。第2連結部材52は、ハウジング60の第5壁60Eに設けられたブラケット52Aと、第2サポート部材45に設けられたブラケット52Bと、ブラケット52Aとブラケット52Bとを連結する連結体52Cとを含んでいる。
第3サポート部材46は、第1揺動体55と、第2揺動体56とを含んでいる。第1揺動体55は、機体幅方向に延びる筒状に形成されている。第1揺動体55は、第1連結部材51と第2連結部材52とに跨っていて、第1揺動体55の一方側は、連結体51Cに連結され、第1揺動体55の他方側は、連結体52Cに連結されている。第1揺動体55の幅方向中央部には、一対の側板57L、57Rで構成されたブラケット57が固定されている。
【0032】
第2揺動体56は、筒体56Aと、筒体56Aの両端側に設けられた一対のブラケット56B、56Cとを有している。筒体56Aの一方側(左側)に設けられたブラケット56Bは、第1サポート部材44に設けられたプレート58Fに締結具を介して締結されている。筒体56Aの一方側(右側)に設けられたブラケット56Cは、第2サポート部材45に設けられたプレート58Rに締結具を介して締結されている。筒体56Aの幅方向中央部には、ブラケット58が設けられ、当該ブラケット58は、第1揺動体55のブラケット57に締結具を介して締結されている。
【0033】
さて、第1揺動体55のブラケット57と、マスト35とは、昇降装置70により連結されている。昇降装置70は、油圧によって作動する油圧シリンダであり、油圧シリンダのチューブ70Aは、マスト35の側板36L、36Rに横軸を介して連結され、油圧シリンダのロッド70Bは、側板57L、57Rに横軸を介して連結されている。
したがって、
図7に示すように、昇降装置70を作動させることにより油圧シリンダを収縮した場合、第1揺動体55及び第2揺動体56は引き上げられ、第2支持フレーム43(第1サポート部材44、第2サポート部材45、第3サポート部材46、第1ギヤ伝達装置40L、第2ギヤ伝達装置40R)は、上方に向けて揺動する。即ち、第2支持フレーム43は、退避姿勢J2に姿勢を変更することができる。
【0034】
一方、
図6に示すように、昇降装置70を作動させることにより油圧シリンダを伸長した場合、第1揺動体55及び第2揺動体56は引き下げられ、第2支持フレーム43(第1サポート部材44、第2サポート部材45、第3サポート部材46、第1ギヤ伝達装置40L、第2ギヤ伝達装置40R)は、下方に向けて揺動する。即ち、第2支持フレーム43は、深耕姿勢J1に姿勢を変更することができる。
【0035】
図4に示すように、複数の耕耘装置80は、第1耕耘装置80Aと、第2耕耘装置80Bとを含んでいる。第1耕耘装置80Aは左側に配置され、第2耕耘装置80Bは右側に配置されている。第1耕耘装置80Aは、第1動力出力軸50Lから出力された動力により駆動し、第2耕耘装置80Bは、第2動力出力軸50Rから出力された動力により駆動する。第1耕耘装置80Aと第2耕耘装置80Bとは構成が同じである。
【0036】
以下、説明の便宜上、第1耕耘装置80Aを例にとり説明を進めることとし、第2耕耘装置80Bについての説明は、第1耕耘装置80Aと同様の構成であるため、説明を省略する。
図9、
図10に示すように、第1耕耘装置80Aは、回転軸81と、複数の耕耘爪82とを有している。回転軸81は、第1動力出力軸50Lから出力された動力によって回転する。複数の耕耘爪82は、回転軸81に取付けられ且つ深耕姿勢J1であるときに対地に対して深耕などの耕耘を行う。深耕姿勢J1では、回転軸81の軸芯方向は垂直方向(鉛直方向)になり、退避姿勢J2では、回転軸81の軸芯方向は水平方向になる。
【0037】
回転軸81は、基端側(第1動力出力軸50Lに連結する側)が支持され且つ、基端側と反対側の先端が自由端である軸である。また、回転軸81は、長さを調整することが可能な回転軸であって、第1軸部81Aと、第2軸部81Bとを含んでいる。第1軸部81Aは、第1動力出力軸50Lに着脱自在に連結可能であり、第2軸部81Bは、第1軸部81Aに着脱自在に連結可能である。
図9及び
図10に示すように、第1軸部81A及び第2軸部81Bは連結ピン87により、一体化することができる。また、第1軸部81Aは、連結ピン83により、第1動力出力軸50Lに装着することができる。
【0038】
詳しくは、
図11Aに示すように、第1軸部81Aは、多角形の筒状に形成された角筒体であって、第1軸部81Aの基端側には、連結ピン83を挿入する挿通孔84が形成されている。また、第1軸部81Aの先端側(基端と反対側)には、連結ピン87を挿入する挿通孔88が形成されている。
第1軸部81Aの基端側を第1動力出力軸50Lの先端側に差し込み、第1動力出力軸50Lの先端側に形成された挿通孔(図示省略)及び挿通孔84に連結ピン83を通すことによって、第1軸部81Aを第1動力出力軸50Lに装着することができる。挿通孔84に通した連結ピン83を引き抜くことにより、第1軸部81Aを第1動力出力軸50Lから取り外すことができる。なお、第1動力出力軸50Lの先端側は、第1軸部81Aの基端側と同じ多角形状である。したがって、第1軸部81Aを第1動力出力軸50Lに装着した場合は、当該第1軸部81Aは、第1動力出力軸50Lの同一軸芯上に配置され、第1動力出力軸50Lと一体回転させることができる。
【0039】
図10に示すように、第2軸部81Bは、差し込み部81B1と、本体81B2とを含んでいる。差し込み部81B1は、本体81B2の基端側(第1軸部81Aに連結する側)に設けられている。差し込み部81B1の外径は、本体81B2の内径よりも小さく、第1軸部81Aの先端側の内径と略同じ大きさに設定されている。差し込み部81B1の先端側には、連結ピン87を挿入する挿通孔89が形成されている。
【0040】
本体81B2の形状は、第1軸部81Aと同じ形状に形成されている。例えば、本体81B2も第1軸部81A同じ画数の多角形に形成されていて、本体81B2の外径L1と、第1軸部81Aの外径L2とは同じに設定されている。即ち、差し込み部81B1の基端側を第1軸部81Aの先端側に差し込んだ状態では、本体81B2の外面と、第1軸部81Aとが連続した同一平面上に形成される。また、本体81B2の先端部は、第1軸部81Aの基端側と同一形状であって、連結ピンを挿入する挿入孔99が形成されている。
【0041】
差し込み部81B1の基端側を第1軸部81Aの先端側に差し込み、第1軸部81Aの先端側に形成された挿通孔88及び挿通孔89に連結ピン87を通すことによって、第2軸部81Bを第1軸部81Aに対して一体化させることができる。挿通孔88及び挿通孔89に通した連結ピン87を引き抜くことにより、第2軸部81Bを第1軸部81Aから取り外すことができる。
【0042】
したがって、第1軸部81Aと第2軸部81Bとを一体化して、一体化した状態で第1軸部81Aを第1動力出力軸50Lに取付けた場合、第1軸部81A及び第2軸部81Bは、第1動力出力軸50Lの同一軸芯上に配置され、第1動力出力軸50Lと一体回転させることができる。
以上によれば、第1軸部81A及び第2軸部81Bを一体化して第1動力出力軸50Lに装着した場合は、深耕の長さを深くすることができ、第1軸部81Aのみを第1動力出力軸50Lに装着した場合は、深耕の長さを浅くすることができる。即ち、深耕機1では、農作物に合わせて、深耕の長さを調整することができる。
【0043】
なお、上述した実施形態では、回転軸81は長さが調整可能な軸であったが、長さが固定の軸であっても深耕機1に適用可能である。
図1、
図2に示すように、深耕機1は、保管部93を備えている。保管部93は、動力出力軸50から取り外した回転軸81を保管する部分である。保管部93は、少なくとも第1軸部81A及び第2軸部81Bのいずれかを保管することが可能である。この実施形態では、保管部93は、第2支持フレーム43に設けられている。なお、保管部93は、第1支持フレーム10に設けられていてもよい。
【0044】
保管部93は、第1揺動体55の幅方向両端部に設けられた一対の固定板93Aと、固定板93Aに位置変更可能に取り付けられる取付バー93Bと、取付バー93Bから幅方向内方に突出する差し込み棒93Cとを含んでいる。差し込み棒93Cは、複数の動力出力軸50(第1動力出力軸50L、第2動力出力軸50R)の先端側と同じ形状に形成されていて、連結ピンを挿入する挿入孔98が形成されている。
【0045】
図14に示すように、固定板93Aは、側面視で多角形に形成され、多角形の頂部に対応して、ボルト等の締結具94が挿通する複数の貫通孔95a、95b、95c・・・)が形成されている。この実施形態では、固定板93Aは、三角形に形成されていて、三角形の頂部に貫通孔95a、95b、95cが形成されている。
取付バー93Bには、締結具が挿通する少なくとも2つの貫通孔96が形成されている。貫通孔96の長さL10と、貫通孔95a、95b、95cの長さL11とは同じに設定されている。例えば、深耕機1において、左側の固定板93Aに対しては、左側の固定板93Aの貫通孔95a、95bに取付バー93Bの貫通孔96を合わせて、取付バー93Bを左側の固定板93Aに取付ける一方で、右側の固定板93Aに対しては、右側の固定板93Aの貫通孔95b、95cに取付バー93Bの貫通孔96を合わせて、取付バー93Bを右側の固定板93Aに取付けることにより、固定板93Aに対する左側の取付バー93Bと右側の取付バー93Bとの位置を変更することができる。即ち、取付バー93Bを固定板93Aに対して異なる角度で取付けることによって、左側の差し込み棒93Cの位置と、右側の差し込み棒93Cの位置とを互いに異ならせることができる。
【0046】
したがって、深耕機1において、深耕の深さが浅く、第2軸部81Bを用いない場合には、第2軸部81Bの先端部を差し込み棒93Cに差し込んで、連結ピンを挿入孔98、99に挿入することにより、第2軸部81Bを一時的に保持することができる。
深耕機1は、動力が入力される動力入力装置11を支持する第1支持フレーム10と、動力入力装置11からの動力が伝達可能で且つ、深耕姿勢J1と深耕姿勢J1から退避させた退避姿勢J2とに姿勢変更可能に第1支持フレーム10に支持された第2支持フレーム43と、第2支持フレーム43に回転自在に支持され且つ、第2支持フレーム43に入力された動力を出力する複数の動力出力軸50と、動力出力軸50から出力された動力によって回転する回転軸81と、回転軸81に取付けられ且つ深耕姿勢J1であるときに対地に対して深耕を行う耕耘爪82と、を有する複数の耕耘装置80と、第1支持フレーム10に連結され且つ、動力入力装置11に入力された動力を複数の動力出力軸50のそれぞれに伝達する複数のギヤ伝達装置40と、を備えている。これによれば、第1支持フレーム10に対して第2支持フレーム43を回転(回動)させることにより、深耕姿勢J1と退避姿勢J2とに位置変更することができ、深耕姿勢J1である場合には、複数のギヤ伝達装置40及び複数の動力出力軸50によって、耕耘装置80にて深耕を簡単に行うことができる。特に、複数のギヤ伝達装置40のそれぞれが複数の動力出力軸50に動力を伝達する構成であるため、複数のギヤ伝達装置40のそれぞれによって複数の耕耘装置80を駆動させることができる。つまり、複数のギヤ伝達装置40によって深耕するための動力を安定して耕耘装置80に伝達することができる。
【0047】
複数のギヤ伝達装置40は、複数の動力出力軸50のそれぞれに、動力入力装置11からの動力を伝達可能であり、複数の耕耘装置80のそれぞれの回転軸81は、複数の動力出力軸50の同一軸芯上に配置されている。これによれば、複数の動力出力軸50の動力を効率よく、複数の耕耘装置80のそれぞれの回転軸81に伝達することができる。
回転軸81は、動力出力軸50に着脱自在に装着する第1軸部81Aと、第1軸部81Aに着脱自在に装着する第2軸部81Bとを備えている。これによれば、第1軸部81Aに対して第2軸部81Bを着脱することにより、回転軸81の全体の長さを簡単に変更することができる。例えば、第1軸部81A及び第2軸部81Bを連結した場合には長芋用の深耕を行うことができ、第1軸部81Aから第2軸部81Bを取り外した状態では、長芋以外の作物に対応して比較的浅い深耕を行うことができる。
【0048】
深耕機1は、動力出力軸50から取り外した回転軸81を保管する保管部93を有している。深耕機1は、少なくとも第1軸部81A及び第2軸部81Bのいずれかを保管する保管部93を有している。これによれば、第1軸部81A及び第2軸部81Bのいずれかを外して深耕を行う場合には、取り外した軸部を保管部93に保管することができ、軸部を保管する場所を新たに確保することがなく、回転軸81の長さを変えた農作業を移動させながら行うことができる。
【0049】
保管部93は、第1支持フレーム10及び第2支持フレーム43のいずれかに固定され且つ回転軸81が差し込まれる差し込み棒93Cを含んでいる。これによれば、回転軸81を使用しない場合など、第1支持フレーム10及び第2支持フレーム43の差し込み棒93Cに差し込んで簡単に保管することができる。
複数のギヤ伝達装置40は、第1支持フレーム10の一方側に設けられた第1ギヤ伝達装置40Lと、第1支持フレーム10の他方側に設けられた第2ギヤ伝達装置40Rと、を含み、第1支持フレーム10は、動力入力装置11から一方側に延設され且つ第1ギヤ伝達装置40Lに連結する第1アーム13Lと、動力入力装置11から他方側に延設され且つ第2ギヤ伝達装置40Rに連結する第2アーム13Rと、を備えている。これによれば、第1ギヤ伝達装置40L、第2ギヤ伝達装置40R、第1アーム13L、第2アーム13Rによって全体の剛性を向上させることができ、少なくとも第1ギヤ伝達装置40L及び第2ギヤ伝達装置40Rのいずれか耕耘装置80を駆動することができる。
【0050】
複数の動力出力軸50は、第1ギヤ伝達装置40Lの動力が伝達される第1動力出力軸50Lと、第2ギヤ伝達装置40Rの動力が伝達される第2動力出力軸50Rと、を含んでいる。これによれば、第1支持フレーム10の一方側に設けた第1ギヤ伝達装置40Lからの動力を第1動力出力軸50Lに伝達でき、第1支持フレーム10の他方側に設けた第2ギヤ伝達装置40Rからの動力を第2動力出力軸50Rに伝達できることから、少なくとも2つの動力によって2つの耕耘装置80を駆動することができる。
【0051】
第2支持フレーム43は、第1ギヤ伝達装置40Lに連結され且つ第1動力出力軸50Lを支持する第1サポート部材44と、第2ギヤ伝達装置40Rに連結され且つ第2動力出力軸50Rを支持する第2サポート部材45と、第1サポート部材44と第2サポート部材45とを連結する第3サポート部材46と、を含んでいる。これによれば、第1サポート部材44、第2サポート部材45及び第3サポート部材46によって、全体の剛性を向上させることができる。
【0052】
次に、
図9~
図13を用いて、回転軸81に設けた複数の耕耘爪82について説明する。複数の耕耘爪82は、回転軸81の軸芯に沿って所定の間隔で設けられた複数のブラケット75を介して回転軸81に装着されている。複数のブラケット75は、回転軸81の内側から外側に行くにしたがって基端側に移行するように傾斜状に取付けられている。
図11A、
図11Bに示すように、具体的には、複数のブラケット75は、回転軸81の第1軸部81Aに取付けられたブラケット75a~75lと、回転軸81の第2軸部81Bに取付けられたブラケット75m~75wとを含んでいる。ブラケット75a~75lは、第1軸部81Aに対して傾斜状に取付けられ、ブラケット75m~75wは、第2軸部81Bに対して傾斜状に取付けられている。
図12に示すように、第1軸部81A及び第2軸部81Bのそれぞれは6角形に形成されていて、第1軸部81Aが有する外面76a~76fにブラケット75a~75lが取り付けられ、第2軸部81Bが有する外面76g~76lにブラケット75m~75wが取り付けられている。
【0053】
以下、第1軸部81A及び第2軸部81Bに対するブラケット75a~75wの取付けについて詳しく説明する。
ブラケット75a~75wのそれぞれは同一形状であり、断面視でU字形に形成されている。ブラケット75a~75wは、第1側壁(装着面)75Aと、第1側壁75Aから離間して設けられた第2側壁75Bと、第1側壁75Aと第2側壁75Bとを連結する第1連結壁75Cと、第1連結壁75Cの反対側に配置され且つ第1側壁75Aと第2側壁75Bとを連結する第2連結壁75Dとを有している。第1側壁75A、第2側壁75B、第1連結壁75C及び第2連結壁75Dにより、耕耘爪82を差し込む差し込み部76が形成されている。差し込み部76の形状は、この実施形態に限定されない。
【0054】
ブラケット75a~75lの第1側壁75Aのそれぞれは、第1軸部81Aの外面76a~76fのいずれかに面接していて、ブラケット75m~75wの第1側壁75Aのそれぞれは、第2軸部81Bの外面76g~76lのいずれかに面接している。
具体的には、ブラケット75a~75lのそれぞれは、第1軸部81Aの外面(取付部)76a~76fから外方に行くにしたがって徐々に第1軸部81Aの基端側に移行する傾斜状になっている。ブラケット75a、75hの第1側壁75Aは、第1軸部81Aの外面76aに取付けられている。ブラケット75b、75gの第1側壁75Aは、第1軸部81Aの外面76dに取付けられている。ブラケット75c、75jの第1側壁75Aは、第1軸部81Aの外面76bに取付けられている。ブラケット75d、75iの第1側壁75Aは、第1軸部81Aの外面76eに取付けられている。ブラケット75e、75lの第1側壁75Aは、第1軸部81Aの外面76cに取付けられている。ブラケット75f、75kの第1側壁75Aは、第1軸部81Aの外面76fに取付けられている。
【0055】
即ち、複数のブラケット75a~75lのうち、第1軸部81Aの軸芯方向に隣接する少なくとも2つのブラケットは、互いに異なる外面に取付けられている。例えば、ブラケット75aと、ブラケット75bとは、互いに異なる外面76a、76dに取付けられている。言い換えれば、複数のブラケット75a~75lのうち、第1軸部81Aの軸芯方向に隣接する少なくとも2つのブラケットは、第1軸部81Aに対して周方向にずれた位置に取付けられている。
【0056】
ブラケット75m~75wのそれぞれは、第2軸部81Bの取付部から外方に行くにしたがって徐々に第2軸部81Bの基端側に移行する傾斜状になっている。ブラケット75m、75tの第1側壁75Aは、第2軸部81Bの外面76gに取付けられている。ブラケット75n、75sの第1側壁75Aは、第2軸部81Bの外面76jに取付けられている。ブラケット75o、75vの第1側壁75Aは、第2軸部81Bの外面76hに取付けられている。ブラケット75p、75uの第1側壁75Aは、第2軸部81Bの外面76kに取付けられている。ブラケット75qの第1側壁75Aは、第2軸部81Bの外面76iに取付けられている。ブラケット75r、75wの第1側壁75Aは、第2軸部81Bの外面76lに取付けられている。
【0057】
即ち、複数のブラケット75m~75wのうち、第2軸部81Bの軸芯方向に隣接する少なくとも2つのブラケットも、互いに異なる外面76g~76lに取付けられている。例えば、ブラケット75mと、ブラケット75nとは、互いに異なる外面76g、76jに取付けられている。言い換えれば、複数のブラケット75m~75wのうち、第2軸部81Bの軸芯方向に隣接する少なくとも2つのブラケットは、第2軸部81Bに対して周方向にずれた位置に取付けられている。
【0058】
複数の耕耘爪82は、平板を屈曲することにより構成されたもので、
図10に示すように、取付部77と、中間部78と、端部79とを含んでいる。取付部77は、差し込み部76に差し込まれて、ボルト等の締結具によって取付けられる部分である。中間部78は、取付部77から延びる部分である。端部79は中間部78から続く部分であり、例えば、中間部78の厚み方向に屈曲している。
【0059】
複数の耕耘爪82のそれぞれをブラケット75a~75wに装着した状態では、当該複数の耕耘爪82は、基端側から自由端に亘って軸芯方向にオーバラップしている。隣接する複数の耕耘爪82に着目した場合、少なくとも基端部側の耕耘爪82と、先端部側の耕耘爪82とは、回転軸81の軸芯方向に重なっている。
なお、
図9及び
図10に示すように、複数の耕耘爪82の取付部77を差し込み部76に差し込まれた状態では、取付部77と差し込み部76とは回転軸82の軸芯方向に同じ位置になる。即ち、差し込み部76と耕耘爪82の端部79が重複する部分は、取付部77と端部79とが重複している部分と同じであるため、取付部77を用いて端部79との重なりを説明する。
【0060】
ここで、ブラケット75a~75lに対応する複数の耕耘爪82を、耕耘爪82a~82lとした場合、耕耘爪82aの取付部77と耕耘爪82bの端部79とは、軸方向に重なっている。同様に、耕耘爪82bの取付部77及び耕耘爪82cの端部79、耕耘爪82cの取付部77及び耕耘爪82dの端部79、耕耘爪82dの取付部77及び耕耘爪82eの端部79、耕耘爪82eの取付部77及び耕耘爪82fの端部79、耕耘爪82fの取付部77及び耕耘爪82gの端部79、耕耘爪82gの取付部77及び耕耘爪82hの端部79、耕耘爪82hの取付部77及び耕耘爪82iの端部79、耕耘爪82iの取付部77及び耕耘爪82jの端部79、耕耘爪82jの取付部77及び耕耘爪82kの端部79、耕耘爪82kの取付部77及び耕耘爪82lの端部79は、軸芯方向に重なっている。つまり、複数の耕耘爪82a~82wは、基端側から自由端に亘って軸芯方向に螺旋状に連なっている。
【0061】
同じように、耕耘爪82mの取付部77及び耕耘爪82nの端部79、耕耘爪82nの取付部77及び耕耘爪82oの端部79、耕耘爪82oの取付部77及び耕耘爪82pの端部79、耕耘爪82pの取付部77及び耕耘爪82qの端部79、耕耘爪82qの取付部77及び耕耘爪82rの端部79、耕耘爪82rの取付部77及び耕耘爪82sの端部79、耕耘爪82sの取付部77及び耕耘爪82tの端部79、耕耘爪82tの取付部77及び耕耘爪82uの端部79、耕耘爪82uの取付部77及び耕耘爪82vの端部79、耕耘爪82vの取付部77及び耕耘爪82wの端部79は、軸芯方向に重なっている。つまり、複数の耕耘爪82m~82wは、基端側から自由端に亘って軸芯方向に螺旋状に連なっている。
【0062】
さらに、第1軸部81Aと第2軸部81Bとを接続した場合、第1軸部81Aの自由端側である耕耘爪82lの取付部77と、第2軸部81Bの基端側である耕耘爪82mの端部79とは、軸芯方向に連なっている。
耕耘装置80は、基端側が支持され且つ基端側と反対側の先端が自由端である回転軸81と、回転軸81の軸芯に沿って所定の間隔で設けられた複数のブラケット75と、複数のブラケット75にそれぞれ装着可能な複数の耕耘爪82と、を備え、複数のブラケット75は、回転軸81に対して、回転軸81の内側から外側に行くにしたがって基端側及び自由端のいずれかに移行する傾斜状に取付けられている。これによれば、複数のブラケット75は、回転軸81に対して傾斜しているため、少なくとも耕耘爪82は、回転軸81に取付けられる側から先端に掛けて傾斜することになる。そのため、深耕などを行った場合に、耕耘爪82の全体に多大な負荷が掛かることを防止できると共に、簡単に深耕を行うことができる。
【0063】
複数の耕耘爪82のそれぞれは、基端側から自由端に亘って軸芯方向にオーバラップしている。これによれば、深耕を行った場合に、回転軸81の基端側から自由端に掛けて負荷を軽減することができるだけでなく、回転軸81の基端側から自由端に亘って切れ目なく深耕を行うことができる。
複数の耕耘爪82は、基端側から自由端に亘って軸芯方向に螺旋状に連なっている。これによれば、複数の耕耘爪82によって、深耕をより精度よく行うことができる。
【0064】
回転軸81は、複数の外面を有する多角形であり、複数のブラケット75のうち、回転軸81の軸芯方向に隣接する少なくとも2つのブラケット75は、互いに異なる外面に取付けられている。これによれば、回転軸81の外面によって、隣接する耕耘爪82の向きを異なる向きにすることができる。また、複数の耕耘爪82の向きは多角形である外面によって決まるため、耕耘爪82の向きのバラつきを抑制することができる。
【0065】
ブラケット75は、外面に装着される装着面を有している。これによれば、ブラケット75の向きを外面に合わせることができる。
複数のブラケット75は、基端側に向けて傾斜している。これによれば、上方に向けて連続的に深耕を行うことができる。
複数のブラケット75のうち、回転軸81の軸芯方向に隣接する少なくとも2つのブラケット75は、回転軸81に対して周方向にずれた位置に取付けられている。これによれば、深耕を万遍なく行うことができる。
【0066】
回転軸81は、複数のブラケット75が装着され且つ着脱自在な複数の軸部を含んでいる。これによれば、複数の軸部の着脱によって回転軸81の長さを簡単に変更することができ、長芋などの作物に応じて深耕深さを変更することができる。
以上本発明について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 :深耕機
2 :トラクタ
10 :第1支持フレーム
11 :動力入力装置
11a :動力入力軸
11b :ギヤケース
13L :第1アーム
13R :第2アーム
14L :前伝達軸
14R :前伝達軸
31 :進入抑制装置
40 :ギヤ伝達装置
40L :第1ギヤ伝達装置
40R :第2ギヤ伝達装置
43 :第2支持フレーム
44 :第1サポート部材
45 :第2サポート部材
46 :第3サポート部材
47 :回転支持体
48 :回転支持体
50 :動力出力軸
50L :第1動力出力軸
50R :第2動力出力軸
60 :ハウジング
80 :耕耘装置
80A :第1耕耘装置
80B :第2耕耘装置
81 :回転軸
81A :第1軸部
81B :第2軸部
J1 :深耕姿勢
J2 :退避姿勢