(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】通信装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20221003BHJP
A61F 2/28 20060101ALI20221003BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A61F2/44
A61F2/28
A61B5/00 102A
(21)【出願番号】P 2019502164
(86)(22)【出願日】2017-07-18
(86)【国際出願番号】 US2017042634
(87)【国際公開番号】W WO2018017591
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-14
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ヨンサム,ベイ
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-507340(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0049826(US,A1)
【文献】特表2003-520091(JP,A)
【文献】特表2000-506410(JP,A)
【文献】特開2006-055629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0336474(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61F 2/28
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを感知するための埋め込み可能な装置であって:
インプラントと結合するように構成された皮下センサであって、データを感知するとともに回路基板に感知された前記データを送信するように構成される、皮下センサを有し、
前記インプラントは:
前記皮下センサによって感知された前記データを受信するとともにコントローラ
と前記感知されたデータを通信するように構成される前記回路基板と;
前記感知されたデータを送信機に送信するように構成される前記コントローラと;
前記皮下センサによって感知された前記データを無線で且つ経皮的に送信するように構成された前記送信機であって、
前記送信機は、前記インプラントの長手方向軸に沿って長手方向に延び、前記埋め込み可能な装置が位置する対象の外部の受信機に360度をカバーして半径方向に、ラジアルモードの振動によりデータを伝播するように構成される管状圧電トランスデューサを含む
、前記送信機と;を含む、
装置。
【請求項2】
前記装置は、超音波からエネルギを動作可能に受け、前記皮下センサにエネルギを供給するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記超音波は、約20キロヘルツを超える周波数を有する、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記管状圧電トランスデューサは前記皮下センサと通信する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記管状圧電トランスデューサは、超音波によってエネルギを経皮的に受けるとともに、超音波によって前記皮下センサにより感知された前記データを経皮的に送信するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記インプラントは、脊椎ロッド、髄内ロッド、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
無線送信される前記感知されたデータは、超音波によって送信される、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
無線送信される前記感知されたデータは、約2.4から2.485GHzの医療用無線帯域内の短波長超高周波電波によって送信される、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
対象内に配置された
インプラントに結合された皮下センサからデータを経皮的に送信する方法であって:
無線電力を前記対象の外
部の受信機に経皮的に送るステップ;
前記皮下センサでデータを感知するステップ;および
前記インプラント内の皮下送信機を介して前記対象の外部の前記受信機に前記皮下センサから感知された前記データを経皮的に且つ無線で送信するステップであって、前記皮下送信機は
、前記インプラントの長手方向軸に沿って長手方向に延び、前記インプラントが位置する前記対象の外部の前記受信機に360度をカバーして半径方向に、ラジアルモードの振動によりデータを伝播するように構成される管状圧電トランスデューサを含む、ステップ;
を含む、
方法。
【請求項10】
前記感知されたデータは、力データ、温度データ、電気データ、pHデータ、距離データ、圧力データ、生体分子データ、またはそれらの組み合わせである、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記無線電力を送るステップは、超音波によって電力を無線で送るステップを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記感知されたデータを送信するステップは、超音波によって送信するステップを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記感知されたデータを皮下コントローラで受信するステップをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記受信機は、モバイルデバイスに前記データを経皮的に送信するように構成される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
送信される前記感知されたデータは、約2.4から2.485GHzの医療用無線帯域内の短波長超高周波電波によって前記モバイルデバイスに送信される、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
無線送信中に前記感知されたデータを振幅変調するステップをさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項17】
対象に埋め込まれるように構成されたインプラントと;
前記インプラントと結合するように構成された皮下力センサであって、前記インプラントに加えられる力に関連する力データを感知するとともに回路基板に感知された前記力データを送信するように構成される、皮下力センサと;を有し、
前記インプラントは:
前記皮下力センサによって感知された前記力データを受信するとともにコントローラに前記感知された力データを通信するように構成される前記回路基板と;
前記感知された力データを送信機に送信するように構成される前記コントローラと;
前記インプラントと前記皮下力センサとの間を接合するように構成される力-荷重カプラと;
無線で電力を受けるように構成されるとともに、超音波データ信号を介して前記皮下力センサによって感知された前記力データを無線で且つ経皮的に送信するように構成される、
管状圧電トランスデューサを含む前記送信機
であって、前記管状圧電トランスデューサは、前記インプラントの長手方向軸に沿って長手方向に延び、前記インプラントが位置する前記対象の外部の受信機に360度をカバーして半径方向に、ラジアルモードの振動によりデータを伝播するように構成される、前記送信機と;を含む、
インプラントキット。
【請求項18】
前記の無線電力は、超音波によって送られる、
請求項17に記載のインプラントキット。
【請求項19】
前記
管状圧電トランスデューサは、超音波によって前記皮下力センサから受信した前記感知された力データを無線で送信するように構成される、
請求項
18に記載のインプラントキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(他の出願の相互参照)
本出願は、2016年7月18日に出願された米国仮出願第62/363,340号の優先権およびその利益を主張し、その内容はその全体が参照により援用される。
【0002】
本開示は、医療用装置の分野に関する。より具体的には、本開示は、皮下センサを有する埋め込み可能な装置に関し、装置は、経皮的にデータを送信するように構成される。
【背景技術】
【0003】
医療用インプラント、特に、対象または患者内にある間に回転可能または伸長可能のような調節可能である医療用インプラントは、生体内でそれらに様々な力がかけられる。そのような調節可能な医療用インプラントは、例えば、肢(limb)の変形および脊柱側弯症のような状態を治療するために、肢延長術および脊椎調節可能外科処置(spinal adjustable surgical procedures)においてそれぞれ使用されている。典型的には、これらの調節可能な医療用インプラントは1つまたは複数の骨に固定され、所望の結果が達成されるまで経時的に徐々に調節される。
【0004】
しかし、これらの手術用インプラントおよび処置は、特にインプラントが埋め込まれた後且つ治療の過程(すなわち、調節可能なインプラントの調節)の間に、埋め込み部位に存在する、力のような、状態の生体内測定の正確かつ非侵襲的な手段を含んでいない。必要とされているのは、非侵襲的かつ生体内の埋め込み部位に存在する状態の必要な測定を実行するためのある種の装置および方法である。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では、本開示は、データを感知するための埋め込み可能な装置を含むシステムを提供する。埋め込み可能な装置は、インプラントと結合するように構成された皮下センサを含む。インプラントは、脊椎ロッド、髄内ロッド、または棘突起スペーサであり得る。装置は、皮下センサによって感知されたデータを無線で且つ経皮的に送信するように動作可能に構成される。装置は、超音波からエネルギを動作可能に受け、皮下センサにエネルギを供給するように構成され得る。超音波は、約20キロヘルツを超える周波数を有し得る。装置は、皮下センサと通信する圧電トランスデューサを含み得る。圧電トランスデューサは、超音波によってエネルギを経皮的に受けるように構成されてもよい。圧電トランスデューサは、感知されたデータを無線で且つ経皮的に送信するように構成され得る。無線送信される感知されたデータは、約2.4から2.485GHzの医療用無線帯域内の短波長超高周波電波(short-wavelength ultra high frequency radio waves)によって送信され得る。無線送信される感知されたデータは、超音波によって送信され得る。
【0006】
第2の態様では、本開示は、対象内に配置された皮下センサからデータを経皮的に送信する方法を提供する。この方法は、無線電力を皮下センサに経皮的に送ること、皮下センサでデータを感知すること、および皮下センサから感知されたデータを経皮的に送信することを含む。感知されたデータは、力データ、温度データ、電気データ、pHデータ、距離データ、圧力データ、生体分子データ、またはそれらの組み合わせであり得る。感知されたデータは、皮下または皮膚の外部の受信機によって受信され得る。受信機は、データをモバイルデバイスに経皮的に送信するように構成され得る。感知されたデータは、約2.4から2.485GHzまでの医療用無線帯域内の短波長超高周波電波によってモバイルデバイスに送信され得る。方法は、無線送信中に感知されたデータを振幅変調することを含み得る。
【0007】
第3の態様では、本開示はインプラントキットを提供する。このインプラントキットは、対象に埋め込まれるように構成されたインプラントと、インプラントと結合するように構成された皮下力センサとを含む。皮下センサは無線で電力を受けるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の利点および特徴をさらに説明するために、添付の図面に示されているその特定の実施形態を参照することによって、本発明のより詳細な説明を行う。これらの図面は範囲を限定すると見なされるべきではないことを理解されたい。本発明は、添付の図面を使用することにより、さらなる具体性および詳細と共に記載および説明される。
【0009】
【
図2】センサシステムの別の実施形態の詳細断面図を示す。
【
図3】センサシステムのさらに別の実施形態の部分図を示す。
【
図4】センサシステムの実施形態のフローチャートを示す。
【
図5】センサシステムの実施形態による搬送波信号による変調の技術を示す。
【
図6A】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図6B】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図6C】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図7A】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図7B】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図7C】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図8A】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図8B】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図8C】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図8D】センサシステムの実施形態によるモバイルデバイス上のグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【
図9】センサシステムの実施形態のモバイルデバイスに格納されたコンピュータ実行可能命令のフローチャートを示す。
【
図10】センサシステムの実施形態のインプラントで測定された力と比較された取付け具に加えられた力のグラフ図を示す。
【
図11A】センサシステムの実施形態によるインプラントへの印加正弦波電圧と検出された振動を示す。
【
図11B】2つの圧電トランスデューサ間の音響エネルギ伝達を示し、一方のトランスデューサがセンサシステムの実施形態にしたがって他方のトランスデューサを励起している。応答は、2つのトランスデューサ間に作られた距離のために遅延している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の特定の実施形態を説明しているが、そのような参照は、特許請求の範囲に記載されている場合を除き、本開示の範囲に対する限定として解釈されることを意図していない。
【0011】
図1および2を参照すると、システム10の実施形態は、対象または患者2、特にヒトの中への埋め込みのための埋め込み可能(インプラント可能)な装置12を含む。被験者2は、任意の年齢または大きさであり得る。埋め込み可能な装置12は、インプラント16に結合されるように構成された、または結合された1つまたは複数の皮下センサ14を含む。センサ14は、力、温度、電気、pH、距離、圧力、および生体分子を測定し、これらの測定値を含むデータを送信し得る。センサ14が力センサであるシステム10の実施形態では、センサ14は、0から300ポンド(0から1334N)の間、0から200ポンド(0から890N)の間、0から100ポンド(0から444N)の間、0から50ポンド(0から222N)の間、またはそれらの任意の部分範囲の力を測定し得る。センサ14は、例えば、容量式、抵抗式、歪みゲージ、マイクロメカニカル、圧電(ピエゾ)式、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。感知されたデータはまたあるデータ精度を有し得る。力の場合、センサ14は、+/-5ポンド(22N)、+/-2ポンド(8.9N)、+/-1ポンド(4.4N)、+/-0.5ポンド(2.2N)、またはそれらの任意の部分範囲のデータ精度を有し得る。
【0012】
インプラント16は、例えば、脊椎ロッドまたは髄内ロッドであり得る。センサ14は、インプラント16とセンサ14との間を接合する(interface)ように構成された力-荷重カプラ18と接触し得る。力-荷重カプラ18は、センサ14およびカプラ18が横方向の動きに抵抗するように、カプラ18およびセンサ14が接合するところでセンサ14の接触面21と相補的に形成された表面19を有し得る。カプラ18は、カプラ18に一体的に形成され、センサ14とは反対側のカプラ18の側部に配置されたカム20を有し得る。1つまたは複数のスラスト軸受22が、インプラント14内に形成され得るとともに、インプラント16からの力をカプラ18に、そしてセンサ14に伝達するようにカム20の両側に配置され得る。1つまたは複数の後退防止ワッシャ(anti-backout washers)24が、装置12が振動を受けるときに装置12が弛みに抵抗するように、スラスト軸受22とカプラ18との間に配置され得る。
【0013】
センサ14は、プリント回路基板のような回路基板26と通信し得るとともに、センサ14は、感知したデータを回路基板26に送信し得る。回路基板26は、感知したデータをセンサ14から受信するように構成され、処理するためおよび/またはメモリ(図示せず)上に一時的または恒久的に格納するためにコントローラ28(たとえばマイクロコントローラ)にデータを伝える。コントローラ28は、データを送信機30に送信するように構成され得る。コントローラ28は、システム10が使用されていないときに、電力消費を下げる、またはなくすように構成され得る。
【0014】
送信機30は、例えば、管状圧電トランスデューサであり得る。送信機30は、例えばエポキシでインプラント16内に固定され得る。管状圧電トランスデューサを用いるシステム10の実施形態では、管状の幾何学形状は、圧電トランスデューサが、脊椎ロッドおよび髄内釘などの管状インプラント16に適合することを可能にする。そして、ラジアルモードの振動により、管状トランスデューサはデータを半径方向に伝播し、360度をカバーする。シリコーン接着剤を含むポリイミドフィルム(例えば、KAPTON(登録商標)テープ)が、送信機をインプラント16から絶縁するために送信機30とインプラント16との間に配置され得る。
【0015】
回路基板26は、周波数シンセサイザ(すなわち、圧電トランスデューサ30のための搬送波を生成する)、電力増幅器およびノイズフィルタ(すなわち、搬送波を調整する)を含み、歪みゲージに電力を供給し且つ読み取り(すなわち、力センサを制御し)、(以下で論じるように、例えば、グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザとインタフェースするコンピュータ実行可能命令によってなど)搬送波、電力などを調整するように構成され得る。
【0016】
送信機30は、データを搬送する超音波などの無線信号を送受信し、超音波などから電力を受けるように構成され得る。これらの超音波は、任意の周波数の超音波であり得るが、一般的には約20キロヘルツより大きい。一実施形態では、超音波の周波数は、200から400キロヘルツの間、または約300キロヘルツである。電力および/またはデータ伝送のために超音波を利用する利点は、超音波が(1)金属または固体媒体(例えば金属製医療用インプラント)を通って伝播すること、および(2)様々な人間の皮膚を通して経皮的にデータを送ることを含む。
【0017】
送信機30は、データおよび/または電力を経皮的に(すなわち、データおよび/または電力が対象2から外部に受けれるように対象2の内部から対象2の皮膚を横切って)送るように構成され得る。そのうえ、電力は、対象2の外部から送信機30によって受け取られ得る。バッテリまたはキャパシタ32は、バッテリ32が送信機30から受けた電力を蓄積し、蓄積した電力を送信機30、コントローラ28、回路基板26、およびセンサ14に送ることができるように、送信機30と電気通信し得る。回路基板26、コントローラ28、送信機30、およびバッテリ32は、埋め込まれたときにそれらが対象2と直接接触しないように構成されるように密閉コンパートメント34内に収容され得る。密閉コンパートメント34は、生体適合性材料から構成されているインプラント16とは対照的に、これらの構成要素が生体内で直接接触するように見積もられていない場合があるので、これらの構成要素を埋め込み可能な装置12の他の部分から分離することは有利であり得る。超音波伝達媒質が、装置12が単一の共振周波数を有するように、送信機30と密閉コンパートメント34との間、または密閉コンパートメント34とインプラント16との間に配置され得る。
【0018】
送信機30は、約2.4から2.485GHzの医療用無線帯域内の短波長超高周波電波(すなわち、BLUETOOTH(登録商標))によって、センサ14からの感知されたデータを無線で且つ経皮的に送信するように構成され得る。
【0019】
送信機は、0.5mWから80mW、1mWから60mW、および2.0mWから40mWの間、10mW、5mW、またはそれらの任意の部分範囲の電力消費量を有するように構成され得る。送信機30は、動作しているときに約20mWの電力を消費し得る。送信機30は、95%のデータ信頼性で毎秒5値(1kb/s)の速度で水を通して少なくとも4インチ(10cm)データを送信するように構成され得る。これらの電力レベルで送信機から送信されるデータ信頼性は、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.9%、または100%であり得る。「データ信頼性」は、ビット誤り率(BER)から算出される10分にわたる信頼性を意味する。
【0020】
送信機電力は、5mW未満など、20mW未満であり得る。信号対雑音比は、10dBなど、30dB未満であり得る。圧電トランスデューサ送信機30を有するシステム10の実施形態では、圧電位相アレイ(PPA)が振動を特定の場所(例えばインプラント)に集束させるために利用され得る。
【0021】
有利には、無線経皮センサ14は、センサ14がインプラント16とともに埋め込まれるときに力などのデータが生体内でセンサ14から測定されることを可能にする。この利点は、カリフォルニア州サンディエゴのNuVasive、Inc.によって販売されている脊椎および肢延長処置用のMAGEC(登録商標)磁気調節式インプラントシステムのような磁気調節式インプラントシステムの場合など、インプラントが生体内で調節可能である実施形態において特に有利である。そのような調節可能なシステムは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,398,925号および第9,393,117号に開示されている。
【0022】
その様々な構成要素を含むシステム10は、脊椎矯正および肢延長外科処置の間の使用(すなわち埋め込み)のためにキットで提供され得る。
【0023】
図3に示すように、システム10は、皮下センサ14によって感知されたデータを送信機30から対象2の外部の受信機36に無線で送信し得る。受信機出力は、0.2mVなど1mV未満であり得る。受信機36は、対象2によって着用可能であり得る(例えば、対象2によって着用されることになる衣料品またはアクセサリと結合され得る)、または対象2の外部かつ近くにあるコンピュータシステムであり得る。送信機30から受信機36へのこのデータ送信は超音波によって搬送され得る。受信機36は、送信機30からデータ送信を受信し、約2.4から2.485GHzの医療用無線帯域内の短波長超高周波電波によって感知されたデータをモバイルデバイス38に送信するようにデータを処理し得る。
【0024】
この二重無線機能は、例えば、超音波が近距離で経皮的に用いられるとき(受信機36が対象2の身体に装着されるときなど)に有効であり、約2.4から2.485GHzの医療用無線帯域の超高周波電波を受信するように構成されている、スマートフォン、ラップトップ、外部リモコン、クラウドコンピュータシステム、またはタブレットなどの多くの既存のモバイルデバイス38とシステム10を相互運用可能にすることができるので有利である。
図4は、システム10の一実施形態のフローチャート、特に、システム10の一実施形態の構成要素がどのようにデータおよび/または電力を互いにやりとりするかを示すフローチャートである。システムのこれらの構成要素を接続するワイヤは、エポキシなどによってシールドされ得る。
【0025】
図5に示されるように、感知されたデータを搬送する無線信号は無線送信のために変調され得る。適切な変調の形式は、オンオフキーイング、振幅シフトキーイング(ASK)、周波数シフトキーイング(FSK)、位相シフトキーイング(PSK)、およびアナログ周波数変調を含み得る。有利には、変調された信号は、変調されていない信号よりも少ない電力を必要とし、変調されていない信号よりも送信機30から遠く離れて受信され得る。変調された信号はまた、変調されていない信号よりも高い精度を有し得る。
【0026】
図6A-6Cは、皮下センサ14から感知されたデータを受信し、処理し、表示するように構成されたコンピュータ実行可能命令を含むモバイルデバイス38のスクリーンショットを示す。モバイルデバイス38は、感知されたデータを患者および医師などのユーザに表示し、コンピュータ実行可能命令によりユーザがシステム10を制御することを可能にするグラフィカルユーザインタフェース(GUI)40を含み得る。
図6Cに示すように、GUI40は、感知されたデータ42(図示のように力および温度)を表示し、感知されたデータのグラフィック表示44を提供し得る。GUI40は、感知されたデータの最大値46、平均値48、および最小値50を表示し、システム10はそれを記憶し得る。GUI40はまた、ユーザがシステム10の設定52を制御し、システム10を一時停止/スタートし、システム10をリセット56し、システム10の電源をオン/オフ58することを可能にするように構成され得る。
【0027】
図7A-8Dは、システム10の別の実施形態による皮下センサ14と通信するように構成されたコンピュータ可読命令を有するモバイルデバイスのスクリーンショットを示す。モバイルデバイス38に格納されたコンピュータ実行可能命令は、医師などが、後で見るため経時的に感知されたデータを記録する60ように構成され得る。コンピュータ実行可能命令は、モバイルデバイス38がセンサ14とアクティブに通信している(すなわち接続されている)かどうかを示し得る。コンピュータ可読命令は、感知されたデータをメートル法および/またはイギリス単位(すなわち、帝国単位)でモバイルデバイス38に表示するように構成され得る。
【0028】
図7Bに示すように、コンピュータプログラムは、医師、患者、およびデバイスサービスプロバイダの間など、機能またはデータを異なるタイプのユーザに選択的に制限するように構成されたコンピュータ実行可能命令を含み得る。例として、医師は、(
図8Aに示すように)複数の患者からのデータにアクセスすることができ、その一方で、コンピュータ実行可能命令は、他のタイプのユーザに対して、パスワードなどのセキュリティ手段によって患者データへのアクセスを制限するように構成される。同様に、コンピュータ実行可能命令は、パスワードなどのセキュリティ手段によって、デバイスサービスプロバイダにのみ提供されることが望まれるデータの特徴へのアクセスを制限するように構成される。
図8Bに示すように、コンピュータ実行可能命令は、時間内の異なるセッションから感知されたデータを記憶し且つユーザがそれに個別にアクセスすることを可能にするように構成され得る。
【0029】
図8Cに示されるように、コンピュータ実行可能命令は、モバイルデバイス38のユーザが、感知されたデータを、例えば、電子メール、テキストメッセージ、およびソーシャルメディアによって、直接コンピュータ実行可能命令を介して共有できるように共有機能62を含むように構成され得る。さらに、
図8Dに示されるように、コンピュータ実行可能命令は、ユーザが、モバイルデバイス38のBLUETOOTH(登録商標)機能(オン/オフ)をカスタマイズし、イギリスまたはメートル単位の間で選択し、オートスケールおよびカスタムスケールを含むモバイルデバイス38上のGUI40のスケールを制御することを可能にし得る。
【0030】
図9は、システム10の一実施形態によるコンピュータ可読命令のフローチャートを示す。
【0031】
本開示はまた、対象2内に配置された皮下センサ14からデータを経皮的に送信する方法、および/または対象2のインプラント部位でデータを測定する方法を提供する。失敗を予測し、そして健康状態および融合の進行を決定するために、ロッドにおける歪みを決定する方法も開示されている。Heuter Volkman原理(すなわち、引張荷重下に置かれたときに骨がより早く成長する)を利用することによって骨の成長を制御するために、本開示のシステム10を使用して印加力を測定する方法が提供される。したがって、システム10は、顔面手術、長骨、肢(指、つま先など)、および脊柱側弯症における頂点矯正における骨の成長を制御するために使用することができる所望の骨に理想的な圧縮荷重を維持するために利用することができる。システム10は、骨延長術の方法において使用されることができ、骨の癒合の質を監視し、装置12のストロークまたは動きを検出し得る。センサ14が所定のレベル未満の骨成長または融合を検出する場合に、成長促進薬理学的薬剤(例えば、ビスホスホネート)がインプラント部位に貯蔵され、骨形成を促進するために局所的に放出されるように、薬理学的薬剤と関連して使用され得る。同様に、センサ14は、炎症または体温の上昇を検出し、センサ14は、感染などの原因を軽減するために局所的に薬理学的薬剤を放出するようにインプラント16に指示することができる。
【0032】
インプラント16内の力を測定して、治療計画(すなわち、手術後の推奨される活動レベル)を決定し、それにしたがっている患者を監視することを含む方法が、本明細書に開示されている。時間にわたって力を記録することによって、患者2が推奨される活動にしたがっているかどうかを決定することができる。
【0033】
システム10が、骨折部位を横切る圧縮が所定のレベルを超えていないことを感知した場合にインプラント16が自動的に調節される(すなわち力を増大させる)方法が本明細書に開示されている。
【0034】
対象2の脊椎の移植片を横切って椎弓根スクリューを伸延させるかまたは圧迫するときに器具内の力を測定するための方法が本明細書に開示されている。
【0035】
力を測定し、縫合(sutures)または繋留デバイス(tethering devices)における力を測定するとともに張力を自動的に調節する方法が本明細書に開示されている。力センサ14が、所定の張力が満たされていると判断した場合、システム10は、張力をかけるよう締め付けるように指示をインプラント16に送信するか、または張力が修正されるべきであることを医師に警告する。
【0036】
本明細書では、活動中に対象2がどのようにして椎間板にかかる圧力を少なくするかを理解するのを助けるためにシステムが椎間板内圧力を監視する方法を説明している。センサ14は、対象2の椎間板間に配置されている。
【0037】
本明細書に記載の方法は、皮下センサ14にワイヤレス電力を経皮的に送ること(間接を含む)、皮下センサ14でデータを感知すること、および皮下センサ14から感知されたデータを経皮的に送信すること(間接を含む)を含む。感知されたデータは、皮下又は外部受信機36によって受信され得る。データは、変調され得る超音波によって受信機36に送信され得る。受信機36は、内部にある場合には経皮的を含めて、BLUETOOTH(登録商標)などによって、モバイルデバイス38にデータを送信するように構成され得る。
【0038】
実施例1:
本開示によるセンサ14が固定具内に配置され、所定の力が固定具に加えられ、センサは固定具に加えられた力を測定した。
図10は、所定の力(固定具の力)と感知された力(インプラントの力)とを比較するグラフを示す。見て分かるように、感知された力は+/-3ポンド(13N)以内で固定具の力と一致する。固定具の力とセンサの力との間の差は、例えば固定具の内部摩擦によって説明することができる。
【0039】
実施例2:
管状圧電トランスデューサが、金属の長さ調節可能な脊椎ロッドのハウジング(すなわち管状)内に配置された。圧電トランスデューサとハウジング金属との間のギャップが超音波伝達媒質で埋められた。超音波伝達媒質は、2つの異なる材料間の音響インピーダンスを一致させる。
【0040】
圧電トランスデューサのRF様信号を送信する能力をテストされ検証された。管状圧電トランスデューサ(「インプラントPT」)を含む長さ調節可能な脊椎ロッドハウジングを水入れ(jug)のウォータバスの内部に配置し、次いで別の圧電トランスデューサ(「読み取りPT」)が水入れの壁に配置された。
【0041】
図11Aに示すように、インプラント圧電トランスデューサが励起され(正弦波電圧が印加され)、圧電トランスデューサが振動を発生させ、それが伝達媒質、金属ハウジングチューブ、水、プラスチック水入れを通って進み、最終的に読み取りPTによって検出された。
【0042】
データ信号は変調されることができ、それは有利には、必要とされるエネルギ貯蔵装置のサイズを著しく減少させる。例えば、
図11Bを参照されたい。電気信号が読み取り圧電トランスデューサ30に印加され、それは振動に変換された。いくつかの実施形態によれば、例えばMAGEC(登録商標)ロッドを使用して、使用される周波数は、インプラント磁石の構造共振周波数であり、それは駆動力が除去された後でも振動を維持させる。インプラント圧電トランスデューサ30を共振させるように駆動するのに十分な2、3の矩形波の後に駆動信号が停止されたとき、インプラント信号は漸減していた。この信号の末尾は、読み取り圧電トランスデューサ30に変調され、そこに送り返されることができる。