IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大和製罐株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】接続器具、及び、器具接続具
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019511237
(86)(22)【出願日】2018-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2018014151
(87)【国際公開番号】W WO2018186361
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2017073898
(32)【優先日】2017-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017148173
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】淺野 稔浩
(72)【発明者】
【氏名】飯野 智勇
(72)【発明者】
【氏名】服部 美緒
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直之
(72)【発明者】
【氏名】桑原 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】須永 直樹
(72)【発明者】
【氏名】岡林 正憲
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-035618(JP,A)
【文献】特表2016-521176(JP,A)
【文献】特表2012-511940(JP,A)
【文献】特開2013-066748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジ及び容器の間で液体の移動を行う液体流路、及び、前記容器内の気体を移動させる気体流路を構成する、前記シリンジ及び前記容器に接続される接続器具であって、
前記シリンジに接続可能なシリンジ固定部及び前記シリンジ固定部に設けられるニードル固定部を有する外郭体本体と、前記ニードル固定部に設けられ、前記シリンジ固定部が前記シリンジに接続されると前記シリンジ内に連通する前記液体流路の一部を内部に構成する、先端側が開口するニードルと、前記ニードルが挿入されることにより孔が形成され、そして、復元力により、形成された前記孔を液密且つ気密にシール可能な、前記外郭体本体内に、前記ニードルの先端側の前記開口を液密にシールする位置と、前記ニードルが貫通する位置との間で前記外郭体本体の軸方向に移動可能に支持された樹脂製のニードルシールと、前記外郭体本体内に固定されたインナスリーブと、前記インナスリーブと接続する圧力調整部と、前記インナスリーブ内を移動可能、且つ、前記インナスリーブの内周面との間がシールされた、筒状のヘッドスリーブと、前記ヘッドスリーブに固定されたストッパスリーブと、を具備したシリンジ接続具と、
前記容器に接続可能なニードル部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する液体流路形成部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する気体流路形成部及び先端に前記液体流路形成部に連通する小径部用凹部が形成された容器キャップ用小径部を有する容器キャップと、前記ヘッドスリーブと嵌合可能であって、前記容器キャップを内部に収納し、前記容器キャップの先端との間に前記気体流路の一部を形成する筒状のシールキャップと、前記シールキャップの開口をシールする底部を有する有底筒状に形成され、前記容器キャップを内部に嵌合する、前記液体流路形成部を密封するとともに、前記ニードルシールを貫通した前記ニードルが貫通することで、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通する樹脂製の容器シールと、前記シールキャップに形成され、前記ストッパスリーブが係合されるロック用凹部と、を具備した容器接続具と、
前記ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通して、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通した状態で前記シリンジ接続具と前記容器接続具とを固定し、前記ニードルが前記容器シールから引き抜かれると、前記シリンジ接続具と前記容器接続具との固定を解除するロック機構と、
を具備し、
前記インナスリーブ及び前記ヘッドスリーブは前記容器接続具から前記圧力調整部への前記気体流路の一部を構成し、
前記ヘッドスリーブは、前記ニードル及び前記ニードルシールを内部に収納し、下端開口を含む第1の孔部と、前記第1の孔部の上方、且つ、前記ニードルの先端側に形成され、前記第1の孔部と連通する、前記ニードルシールと当接する第2の孔部と、を含み、前記ニードルシールが前記ニードルの前記開口をシールしている状態において前記ニードルシールにより前記第2の孔部が気密にシールされる位置と前記ニードルシールによる前記第2の孔部のシールが解除される位置との間で前記軸方向に移動可能に前記インナスリーブに支持され、
前記ニードルシールは、前記ヘッドスリーブの前記第2の孔部と当接することで、前記第2の孔部をシールし、
前記気体流路形成部、前記シールキャップ、前記第2の孔部を含む前記ヘッドスリーブは、前記気体流路を形成し、
前記容器シールは、前記シールキャップをシール可能であり、
前記ストッパスリーブ及び前記ロック用凹部は、前記シリンジ接続具を前記容器接続具に押し込み、前記ニードルシール及び前記容器シールに対して前記ヘッドスリーブ及び前記シールキャップが移動し、前記ニードルシール及び前記ヘッドスリーブとの間、及び、前記容器シール及び前記シールキャップとの間に隙間が生じ、前記ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通し、前記ニードル及び前記液体流路形成部とが連通し、且つ、前記気体流路が連通した状態で、係合して前記シリンジ接続具及び前記容器接続具を固定し、前記ニードルシール及び前記ヘッドスリーブが当接し、そして、前記容器シール及び前記シールキャップが当接した状態で、係合が解除されることで、前記シリンジ接続具及び前記容器接続具の固定を解除する、接続器具。
【請求項2】
前記外郭体本体は、前記ヘッドスリーブの前記第2の孔部が前記ニードルシールによりシールされている状態において前記ストッパスリーブに当接することにより、前記ストッパスリーブを前記ロック用凹部との係合が解除される位置に移動するロック解除用突起を具備する
請求項1に記載の接続器具。
【請求項3】
前記ストッパスリーブは、第1の腕部及び第2の腕部を有し、
前記第2の腕部は、前記ロック用凹部と係合し、
前記外郭体本体には、前記ヘッドスリーブが前記ニードルシールにより前記第2の孔部がシールされた位置にある状態において、前記第1の腕部が係合されることにより、前記ヘッドスリーブの移動を規制するロック用突起が形成され
前記シールキャップには、前記容器シールが前記ニードルシールに密着した状態において、前記第1の腕部に当接することにより前記第1の腕部を前記ロック用突起との係合が解除される位置に移動する円錐面が形成され
を具備する請求項2に記載の接続器具。
【請求項4】
前記ストッパスリーブは、前記第1の腕部及び前記第2の腕部を連結する連結部を具備し、前記第1の腕部と前記第2の腕部と前記連結部とが環状に並んで配置され、かつ、前記第1の腕部及び前記第2の腕部が前記ヘッドスリーブの軸線に向かって傾倒可能であり、
前記第1の腕部は、前記ヘッドスリーブに固定され、前記ヘッドスリーブの軸方向に延び、
前記第2の腕部は、前記ヘッドスリーブの軸方向に延び、
前記外郭体本体は、前記ヘッドスリーブ及び前記ストッパスリーブを内部に収納する筒状に形成され、その内周面に、前記第1の腕部と前記外郭体本体の軸方向に当接可能な前記ロック用突起、及び、前記第2の孔部が前記ニードルシールによりシールされている状態において前記第2の腕部に当接することにより、前記第2の腕部を前記ロック用凹部との係合が解除される位置まで傾倒する前記ロック解除用突起を具備し、
前記シールキャップ、その外周面に前記ロック用凹部が形成される
請求項3に記載の接続器具。
【請求項5】
前記圧力調整部は、空気袋および前記空気袋を収納する空気袋収納部を具備する請求項1に記載の接続器具。
【請求項6】
シリンジ及び容器の間で液体の移動を行う液体流路、及び、前記容器内の気体を移動させる気体流路を構成する、前記シリンジに接続されるシリンジ接続具、前記容器に接続される容器接続具、及び、前記シリンジ接続具と前記容器接続具とを固定し、前記シリンジ接続具と前記容器接続具との固定を解除するロック機構により構成される接続器具の前記シリンジ接続具であって、
前記シリンジ接続具は、
前記シリンジに接続可能なシリンジ固定部及び前記シリンジ固定部に設けられるニードル固定部を有する外郭体本体と、
前記ニードル固定部に設けられ、前記シリンジ固定部が前記シリンジに接続されると前記シリンジ内に連通する前記液体流路の一部を内部に構成する、先端側が開口するニードルと、
前記ニードルが挿入されることにより孔が形成され、そして、復元力により、形成された前記孔を液密且つ気密にシール可能な、前記外郭体本体内に、前記ニードルの先端側の前記開口を液密にシールする位置と、前記ニードルが貫通する位置との間で前記外郭体本体の軸方向に移動可能に支持された樹脂製のニードルシールと、
前記外郭体本体内に固定されたインナスリーブと、前記インナスリーブと接続する圧力調整部と、
前記インナスリーブ内を移動可能、且つ、前記インナスリーブの内周面との間がシールされた、筒状のヘッドスリーブと、
前記ヘッドスリーブに固定されたストッパスリーブと、
を具備し、
前記容器接続具は、
前記容器に接続可能なニードル部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する液体流路形成部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する気体流路形成部及び先端に前記液体流路形成部に連通する小径部用凹部が形成された容器キャップ用小径部を有する容器キャップと、
前記ヘッドスリーブと嵌合可能であって、前記容器キャップを内部に収納し、前記容器キャップの先端との間に前記気体流路の一部を形成する筒状のシールキャップと、
前記シールキャップの開口をシールする底部を有する有底筒状に形成され、前記容器キャップを内部に嵌合する、前記液体流路形成部を密封するとともに、前記ニードルシールを貫通した前記ニードルが貫通することで、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通する樹脂製の容器シールと、
前記シールキャップに形成され、前記ストッパスリーブが係合されるロック用凹部と、
を具備し、
前記インナスリーブ及び前記ヘッドスリーブは、前記容器接続具から前記圧力調整部への前記気体流路の一部を構成し、
前記ヘッドスリーブは、前記ニードル及び前記ニードルシールを内部に収納し、下端開口を含む第1の孔部と、前記第1の孔部の上方、且つ、前記ニードルの先端側に形成され、前記第1の孔部と連通する、前記ニードルシールと当接する第2の孔部と、を含み、前記ニードルシールが前記ニードルの前記開口をシールしている状態において前記ニードルシールにより前記第2の孔部が気密にシールされる位置と前記ニードルシールによる前記第2の孔部のシールが解除される位置との間で前記軸方向に移動可能に前記インナスリーブに支持され、
前記ニードルシールは、前記ヘッドスリーブの前記第2の孔部と当接することで、前記第2の孔部をシールし、
前記気体流路形成部、前記シールキャップ及び前記第2の孔部を含む前記ヘッドスリーブは、前記気体流路を形成し、
前記容器シールは、前記シールキャップをシール可能であり、
前記ストッパスリーブ及び前記ロック用凹部は、前記シリンジ接続具を前記容器接続具に押し込み、前記ニードルシール及び前記容器シールに対して前記ヘッドスリーブ及び前記シールキャップが移動し、前記ニードルシール及び前記ヘッドスリーブとの間、及び、前記容器シール及び前記シールキャップとの間に隙間が生じ、前記ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通し、前記ニードル及び前記液体流路形成部とが連通し、且つ、前記気体流路が連通した状態で、係合して前記シリンジ接続具及び前記容器接続具を固定し、前記ニードルシール及び前記ヘッドスリーブが当接し、そして、前記容器シール及び前記シールキャップが当接した状態で、係合が解除されることで、前記シリンジ接続具及び前記容器接続具の固定を解除する、シリンジ接続具。
【請求項7】
シリンジ及び容器の間で液体の移動を行う液体流路、及び、前記容器内の気体を移動させる気体流路を構成する、前記シリンジ及び前記容器に接続される接続器具であって、
前記シリンジに接続可能なシリンジ固定部及び前記シリンジ固定部に設けられるニードル固定部を有する外郭体本体と、前記ニードル固定部に設けられ、前記シリンジ固定部が前記シリンジに接続されると前記シリンジ内に連通する前記液体流路の一部を内部に形成構成する、先端側が開口するニードルと、前記外郭体本体に固定され、前記気体流路の一部を内部に構成し、先端側に開口を有する気体用ニードルと、前記ニードル及び前記気体用ニードルが挿入されることにより孔が形成され、そして、復元力により、形成された前記孔を液密且つ気密にシール可能なニードルシールと、前記外郭体本体内に固定されたインナスリーブと、前記インナスリーブに形成され、前記気体用ニードルを固定する、前記気体流路の一部に連通する気体用ニードル固定部と、前記インナスリーブと接続する圧力調整部と、前記インナスリーブ内を移動可能、且つ、前記インナスリーブの内周面との間がシールされた、筒状のヘッドスリーブと、前記ヘッドスリーブに固定されたストッパスリーブと、を具備したシリンジ接続具と、
前記容器に接続可能なニードル部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する液体流路形成部及び前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する気体流路形成部を有する容器キャップと、前記容器キャップの端部に設けられ、前記液体流路形成部及び前記気体流路形成部をシールするとともに、前記ニードルシールを貫通した前記ニードル及び前記気体用ニードルが貫通することで、前記ニードル及び前記液体流路形成部、並びに、前記気体用ニードル及び前記気体流路形成部が連通する容器シールと、前記容器キャップと前記容器シールとを内部に収納する筒状のシールキャップと、前記シールキャップに形成され、前記ストッパスリーブが係合されるロック用凹部とを具備した容器接続具と、
前記ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通して、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通した状態で前記シリンジ接続具と前記容器接続具とを固定し、前記ニードルが前記容器シールから引き抜かれると、前記シリンジ接続具と前記容器接続具との固定を解除するロック機構と、
を具備し、
前記気体用ニードルは、前記容器接続具から前記圧力調整部への前記気体流路の一部を構成し、
前記容器シールは、前記シールキャップをシール可能であり、
前記ヘッドスリーブは、下端開口を含む第1の孔部と、前記第1の孔部の上方に形成され、前記第1の孔部と連通する、前記ニードルシールと当接する第2の孔部と、を含み、前記ニードルの前記開口を液密にシールし、かつ、前記気体用ニードルの前記開口を気密にシールする位置と、前記ニードル及び前記気体用ニードルが貫通する位置との間で、前記ニードル及び前記気体用ニードルの軸方向に移動可能に前記外郭体本体に支持され、
前記ニードルシールは、前記ヘッドスリーブの前記第2の孔部と当接することで、前記第2の孔部をシールし、
前記気体流路形成部、前記シールキャップ内、及び、前記気体用ニードルは、前記気体流路を形成し、
前記容器シールは、前記シールキャップをシール可能であり、
前記ストッパスリーブ及び前記ロック用凹部は、前記シリンジ接続具を前記容器接続具に押し込み、前記ニードルシール及び前記容器シールに対して前記ヘッドスリーブ及び前記シールキャップが移動し、前記ニードル及び前記気体用ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通し、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通し、且つ、前記気体用ニードル及び前記気体流路形成部が連通した状態で、係合して前記シリンジ接続具及び前記容器接続具を固定する、接続器具。
【請求項8】
前記外郭体本体は、前記ニードルの前記開口と前記気体用ニードルの前記開口とが前記ニードルシール内に配置されている状態において前記ストッパスリーブに当接することにより、前記ストッパスリーブを前記ロック用凹部との係合が解除される位置に移動するロック解除用突起を具備する
請求項7に記載の接続器具。
【請求項9】
前記ストッパスリーブは、第1の腕部及び第2の腕部を有し、
前記第2の腕部は、前記ロック用凹部と係合し、
前記外郭体本体は、記ニードルの前記開口と前記気体用ニードルの前記開口とが前記ニードルシール内にある状態において、前記第1の腕部が係合されることにより、前記ヘッドスリーブの移動を規制するロック用突起が形成され
前記シールキャップには、前記第1の腕部に当接することにより前記第1の腕部を前記ロック用突起との係合が解除される位置に移動する円錐面と、
を具備する請求項8に記載の接続器具。
【請求項10】
前記ストッパスリーブは、前記第1の腕部及び前記第2の腕部を連結する連結部を具備し、前記第1の腕部と前記第2の腕部と前記連結部とが環状に並んで配置され、かつ、前記第1の腕部及び前記第2の腕部が前記ヘッドスリーブの軸線に向かって傾倒可能であり、
前記外郭体本体は、前記ヘッドスリーブ及び前記ストッパスリーブを内部に収納する筒状に形成され、その内周面に、前記第1の腕部と前記外郭体本体の軸方向に当接可能な前記ロック用突起、及び、前記第2の腕部に当接することにより、前記第2の腕部を前記ロック用凹部との係合が解除される位置まで傾倒する前記ロック解除用突起を具備し、
前記シールキャップ、その外周面に前記ロック用凹部が形成される
請求項9に記載の接続器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器具を容器に接続し、容器と器具との間に流路を形成する閉鎖式接続器具、及び、閉鎖式接続器具に用いられる器具接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
抗がん剤等の薬液が収納されたバイアル等の容器から薬液をシリンジに採取する際に、シリンジと容器とを接続し、容器とシリンジとの間に、薬液が流動する流路を形成する接続器具が知られている。このような接続器具は、シリンジに固定されるシリンジ接続具と、バイアルに固定される容器接続具と、を有している。
【0003】
シリンジ接続具は、その内部に流路の一部を有している。容器接続具は、その内部に流路の他部を有している。シリンジ接続具と容器接続具とが接続されることにより、これら流路の一部と他部とが連続され、容器からシリンジへの流路が形成される。このような技術が、例えば、特開平6-90993号公報に開示されている。
【0004】
薬剤師等の作業者は、シリンジ接続具を容器接続具に接続して流路を形成した後、シリンジのプランジャを引くことにより、容器内の薬液をシリンジに採取する。
【0005】
このような接続器具では、薬液のシリンジへの採取が完了した後、シリンジ接続具内の流路の一部と容器接続具内の流路の他部とがそれぞれシールされる前に、容器接続具からシリンジ接続具が分離されると、流路から薬剤が外部に漏出する虞がある。
【0006】
この為、接続器具では、シリンジ接続具内の流路の一部と容器接続具内の流路の他部とがシールされる前に容器接続具からシリンジ接続具が分離されることを規制するロック機構を有する接続器具が知られている。ロック機構としては、シリンジ接続具を容器接続具に接続した後、シリンジ接続具と容器接続具とを相対的に回転する等の操作をすることにより、ロックがなされるロック機構が知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したロック機構を有する接続器具では、以下の問題があった。即ち、作業者は、容器からシリンジに薬液を採取する前に、容器接続具にシリンジ接続具を接続する操作と、シリンジ接続具と容器接続具とをロックする操作と、を行う必要がある。これらの操作が、作業者に対して異なる動作を必要とする場合、操作が複雑になる。
【0008】
この為、本発明は、器具接続具を容器接続具に接続してロックする操作、並びに、ロック及び接続を解除する操作を簡単にできる接続器具と、この接続器具に用いられる器具接続具と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る接続器具は、シリンジ及び容器の間で液体の移動を行う液体流路、及び、前記容器内の気体を移動させる気体流路を構成する、前記シリンジ及び前記容器に接続される接続器具であって、前記シリンジに接続可能なシリンジ固定部及び前記シリンジ固定部に設けられるニードル固定部を有する外郭体本体と、前記ニードル固定部に設けられ、前記シリンジ固定部が前記シリンジに接続されると前記シリンジ内に連通する前記液体流路の一部を内部に構成する、先端側が開口するニードルと、前記ニードルが挿入されることにより孔が形成され、そして、復元力により、形成された前記孔を液密且つ気密にシール可能な、前記外郭体本体内に、前記ニードルの先端側の前記開口を液密にシールする位置と、前記ニードルが貫通する位置との間で前記外郭体本体の軸方向に移動可能に支持された樹脂製のニードルシールと、前記外郭体本体内に固定されたインナスリーブと、前記インナスリーブと接続する圧力調整部と、前記インナスリーブ内を移動可能、且つ、前記インナスリーブの内周面との間がシールされた、筒状のヘッドスリーブと、前記ヘッドスリーブに固定されたストッパスリーブと、を具備したシリンジ接続具と、前記容器に接続可能なニードル部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する液体流路形成部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する気体流路形成部及び先端に前記液体流路形成部に連通する小径部用凹部が形成された容器キャップ用小径部を有する容器キャップと、前記ヘッドスリーブと嵌合可能であって、前記容器キャップを内部に収納し、前記容器キャップの先端との間に前記気体流路の一部を形成する筒状のシールキャップと、前記シールキャップの開口をシールする底部を有する有底筒状に形成され、前記容器キャップを内部に嵌合する、前記液体流路形成部を密封するとともに、前記ニードルシールを貫通した前記ニードルが貫通することで、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通する樹脂製の容器シールと、前記シールキャップに形成され、前記ストッパスリーブが係合されるロック用凹部と、を具備した容器接続具と、前記ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通して、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通した状態で前記シリンジ接続具と前記容器接続具とを固定し、前記ニードルが前記容器シールから引き抜かれると、前記シリンジ接続具と前記容器接続具との固定を解除するロック機構と、を具備し、前記インナスリーブ及び前記ヘッドスリーブは前記容器接続具から前記圧力調整部への前記気体流路の一部を構成し、前記ヘッドスリーブは、前記ニードル及び前記ニードルシールを内部に収納し、下端開口を含む第1の孔部と、前記第1の孔部の上方、且つ、前記ニードルの先端側に形成され、前記第1の孔部と連通する、前記ニードルシールと当接する第2の孔部と、を含み、前記ニードルシールが前記ニードルの前記開口をシールしている状態において前記ニードルシールにより前記第2の孔部が気密にシールされる位置と前記ニードルシールによる前記第2の孔部のシールが解除される位置との間で前記軸方向に移動可能に前記インナスリーブに支持され、前記ニードルシールは、前記ヘッドスリーブの前記第2の孔部と当接することで、前記第2の孔部をシールし、前記気体流路形成部、前記シールキャップ、前記第2の孔部を含む前記ヘッドスリーブは、前記気体流路を形成し、前記容器シールは、前記シールキャップをシール可能であり、前記ストッパスリーブ及び前記ロック用凹部は、前記シリンジ接続具を前記容器接続具に押し込み、前記ニードルシール及び前記容器シールに対して前記ヘッドスリーブ及び前記シールキャップが移動し、前記ニードルシール及び前記ヘッドスリーブとの間、及び、前記容器シール及び前記シールキャップとの間に隙間が生じ、前記ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通し、前記ニードル及び前記液体流路形成部とが連通し、且つ、前記気体流路が連通した状態で、係合して前記シリンジ接続具及び前記容器接続具を固定し、前記ニードルシール及び前記ヘッドスリーブが当接し、そして、前記容器シール及び前記シールキャップが当接した状態で、係合が解除されることで、前記シリンジ接続具及び前記容器接続具の固定を解除する。
【0010】
本発明の一態様に係るシリンジ接続具は、シリンジ及び容器の間で液体の移動を行う液体流路、及び、前記容器内の気体を移動させる気体流路を構成する、前記シリンジに接続されるシリンジ接続具、前記容器に接続される容器接続具、及び、前記シリンジ接続具と前記容器接続具とを固定し、前記シリンジ接続具と前記容器接続具との固定を解除するロック機構により構成される接続器具の前記シリンジ接続具であって、前記シリンジ接続具は、前記シリンジに接続可能なシリンジ固定部及び前記シリンジ固定部に設けられるニードル固定部を有する外郭体本体と、前記ニードル固定部に設けられ、前記シリンジ固定部が前記シリンジに接続されると前記シリンジ内に連通する前記液体流路の一部を内部に構成する、先端側が開口するニードルと、前記ニードルが挿入されることにより孔が形成され、そして、復元力により、形成された前記孔を液密且つ気密にシール可能な、前記外郭体本体内に、前記ニードルの先端側の前記開口を液密にシールする位置と、前記ニードルが貫通する位置との間で前記外郭体本体の軸方向に移動可能に支持された樹脂製のニードルシールと、前記外郭体本体内に固定されたインナスリーブと、前記インナスリーブと接続する圧力調整部と、前記インナスリーブ内を移動可能、且つ、前記インナスリーブの内周面との間がシールされた、筒状のヘッドスリーブと、前記ヘッドスリーブに固定されたストッパスリーブと、を具備し、前記容器接続具は、前記容器に接続可能なニードル部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する液体流路形成部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する気体流路形成部及び先端に前記液体流路形成部に連通する小径部用凹部が形成された容器キャップ用小径部を有する容器キャップと、前記ヘッドスリーブと嵌合可能であって、前記容器キャップを内部に収納し、前記容器キャップの先端との間に前記気体流路の一部を形成する筒状のシールキャップと、前記シールキャップの開口をシールする底部を有する有底筒状に形成され、前記容器キャップを内部に嵌合する、前記液体流路形成部を密封するとともに、前記ニードルシールを貫通した前記ニードルが貫通することで、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通する樹脂製の容器シールと、前記シールキャップに形成され、前記ストッパスリーブが係合されるロック用凹部と、を具備し、前記インナスリーブ及び前記ヘッドスリーブは、前記容器接続具から前記圧力調整部への前記気体流路の一部を構成し、前記ヘッドスリーブは、前記ニードル及び前記ニードルシールを内部に収納し、下端開口を含む第1の孔部と、前記第1の孔部の上方、且つ、前記ニードルの先端側に形成され、前記第1の孔部と連通する、前記ニードルシールと当接する第2の孔部と、を含み、前記ニードルシールが前記ニードルの前記開口をシールしている状態において前記ニードルシールにより前記第2の孔部が気密にシールされる位置と前記ニードルシールによる前記第2の孔部のシールが解除される位置との間で前記軸方向に移動可能に前記インナスリーブに支持され、前記ニードルシールは、前記ヘッドスリーブの前記第2の孔部と当接することで、前記第2の孔部をシールし、前記気体流路形成部、前記シールキャップ及び前記第2の孔部を含む前記ヘッドスリーブは、前記気体流路形成し、前記容器シールは、前記シールキャップをシール可能であり、前記ストッパスリーブ及び前記ロック用凹部は、前記シリンジ接続具を前記容器接続具に押し込み、前記ニードルシール及び前記容器シールに対して前記ヘッドスリーブ及び前記シールキャップが移動し、前記ニードルシール及び前記ヘッドスリーブとの間、及び、前記容器シール及び前記シールキャップとの間に隙間が生じ、前記ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通し、前記ニードル及び前記液体流路形成部とが連通し、且つ、前記気体流路が連通した状態で、係合して前記シリンジ接続具及び前記容器接続具を固定し、前記ニードルシール及び前記ヘッドスリーブが当接し、そして、前記容器シール及び前記シールキャップが当接した状態で、係合が解除されることで、前記シリンジ接続具及び前記容器接続具の固定を解除する。
【0011】
本発明の一態様に係る接続器具は、シリンジ及び容器の間で液体の移動を行う液体流路、及び、前記容器内の気体を移動させる気体流路を構成する、前記シリンジ及び前記容器に接続される接続器具であって、前記シリンジに接続可能なシリンジ固定部及び前記シリンジ固定部に設けられるニードル固定部を有する外郭体本体と、前記ニードル固定部に設けられ、前記シリンジ固定部が前記シリンジに接続されると前記シリンジ内に連通する前記液体流路の一部を内部に形成構成する、先端側が開口するニードルと、前記外郭体本体に固定され、前記気体流路の一部を内部に構成し、先端側に開口を有する気体用ニードルと、前記ニードル及び前記気体用ニードルが挿入されることにより孔が形成され、そして、復元力により、形成された前記孔を液密且つ気密にシール可能なニードルシールと、前記外郭体本体内に固定されたインナスリーブと、前記インナスリーブに形成され、前記気体用ニードルを固定する、前記気体流路の一部に連通する気体用ニードル固定部と、前記インナスリーブと接続する圧力調整部と、前記インナスリーブ内を移動可能、且つ、前記インナスリーブの内周面との間がシールされた、筒状のヘッドスリーブと、前記ヘッドスリーブに固定されたストッパスリーブと、を具備したシリンジ接続具と、前記容器に接続可能なニードル部、前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する液体流路形成部及び前記ニードル部に前記容器が接続されると前記容器内と連通する気体流路形成部を有する容器キャップと、前記容器キャップの端部に設けられ、前記液体流路形成部及び前記気体流路形成部をシールするとともに、前記ニードルシールを貫通した前記ニードル及び前記気体用ニードルが貫通することで、前記ニードル及び前記液体流路形成部、並びに、前記気体用ニードル及び前記気体流路形成部が連通する容器シールと、前記容器キャップと前記容器シールとを内部に収納する筒状のシールキャップと、前記シールキャップに形成され、前記ストッパスリーブが係合されるロック用凹部とを具備した容器接続具と、前記ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通して、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通した状態で前記シリンジ接続具と前記容器接続具とを固定し、前記ニードルが前記容器シールから引き抜かれると、前記シリンジ接続具と前記容器接続具との固定を解除するロック機構と、を具備し、前記気体用ニードルは、前記容器接続具から前記圧力調整部への前記気体流路の一部を構成し、前記容器シールは、前記シールキャップをシール可能であり、前記ヘッドスリーブは、下端開口を含む第1の孔部と、前記第1の孔部の上方に形成され、前記第1の孔部と連通する、前記ニードルシールと当接する第2の孔部と、を含み、前記ニードルの前記開口を液密にシールし、かつ、前記気体用ニードルの前記開口を気密にシールする位置と、前記ニードル及び前記気体用ニードルが貫通する位置との間で、前記ニードル及び前記気体用ニードルの軸方向に移動可能に前記外郭体本体に支持され、前記ニードルシールは、前記ヘッドスリーブの前記第2の孔部と当接することで、前記第2の孔部をシールし、前記気体流路形成部、前記シールキャップ内、及び、前記気体用ニードルは、前記気体流路を形成し、前記容器シールは、前記シールキャップをシール可能であり、前記ストッパスリーブ及び前記ロック用凹部は、前記シリンジ接続具を前記容器接続具に押し込み、前記ニードルシール及び前記容器シールに対して前記ヘッドスリーブ及び前記シールキャップが移動し、前記ニードル及び前記気体用ニードルが前記ニードルシール及び前記容器シールを貫通し、前記ニードル及び前記液体流路形成部が連通し、且つ、前記気体用ニードル及び前記気体流路形成部が連通した状態で、係合して前記シリンジ接続具及び前記容器接続具を固定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、器具接続具を容器接続具に接続してロックする操作、並びに、ロック及び接続を解除する操作を簡単にできる接続器具と、この接続器具に用いられる器具接続具と、を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る接続器具により容器とシリンジとが接続された状態を示す斜視図である。
図2図2は、同接続器具の容器接続具とシリンジ接続具とが接続され、液体流路と気体流路とが形成された状態を示す断面図である。
図3図3は、同容器接続具と同シリンジ接続具とが接続され、同液体流路と同気体流路とが形成された状態を示す断面図である。
図4図4は、同容器接続具のシールキャップを示す側面図である。
図5図5は、同シールキャップを示す斜視図である。
図6図6は、同容器接続具とシリンジ接続具とが接続されて同液体流路と同気体流路とが形成された状態を、同シリンジ接続具の外郭体構成部材の一方を取り外して示す斜視図である。
図7図7は、同外郭体構成部材を示す正面図である。
図8図8は、同シリンジ接続具のヘッドスリーブを示す斜視図である。
図9図9は、同ヘッドスリーブを示す断面図である。
図10図10は、同ヘッドスリーブを示す断面図である。
図11図11は、同シリンジ接続具のニードルシールホルダを示す斜視図である。
図12図12は、同ニードルシールホルダを示す断面図である。
図13図13は、同シリンジ接続具のストッパスリーブを示す斜視図である。
図14図14は、接続される前の状態にある同容器接続具と同シリンジ接続具とを示す断面図である。
図15図15は、接続され、かつ、同液体流路と同気体流路とが形成されていない状態の同容器接続具と同シリンジ接続具とを示す断面図である。
図16図16は、接続され、かつ、同液体流路と同気体流路とが形成されていない状態の同容器接続具と同シリンジ接続具とを示す断面図である。
図17図17は、接続され、かつ、同液体流路と同気体流路とが形成されていない状態の同容器接続具と同シリンジ接続具とを示す断面図である。
図18図18は、接続され、かつ、同液体流路と同気体流路とが形成されていない状態の同容器接続具と同シリンジ接続具とを示す断面図である。
図19図19は、接続され、かつ、同液体流路と同気体流路とが形成された状態の同容器接続具と同シリンジ接続具とを示す断面図である。
図20図20は、接続され、かつ、同液体流路と同気体流路とが形成された状態の同容器接続具と同シリンジ接続具とを示す断面図である。
図21図21は、本発明の第2の実施形態に係る接続器具により容器とシリンジとが接続された状態を示す斜視図である。
図22図22は、同接続器具に用いられる容器接続具が、同接続器具に用いられるシリンジ接続具に接続される途中の状態を示す断面図である。
図23図23は、同容器接続具の要部を示す斜視図である。
図24図24は、同容器接続具に用いられる疎水フィルタを示す平面図である。
図25図25は、同容器接続具に用いられるシールピンを示す正面図である。
図26図26は、同シールピンの平面図である。
図27図27は、同シールピンの下面図である。
図28図28は、同容器接続具に用いられるシールキャップを示す平面図である。
図29図29は、同容器接続具に用いられる容器シールを示す側面図である。
図30図30は、同容器シールを示す斜視図である。
図31図31は、同シリンジ接続具に用いられるニードルホルダを斜視図である。
図32図32は、同シリンジ接続具1に用いられるインナスリーブを示す斜視図である。
図33図33は、同シリンジ接続具に用いられるヘッドスリーブを示す断面図である。
図34図34は、同シリンジ接続具に用いられるニードルシールを示す斜視図である。
図35図35は、同シリンジ接続具のニードル及び気体用にードルが、同容器接続具の容器シール内に侵入した状態を示す断面図である。
図36図36は、本発明の第3の実施形態に係る接続器具により容器とシリンジとが接続された状態を示す断面図である。
図37図37は、同接続器具を示す断面図である。
図38図38は、同接続器具の変形例により容器とシリンジとが接続された状態を示す断面図である。
図39図39は、同接続器具の変形例により容器とシリンジとが接続された状態を示す断面図である。
図40図40は、同接続器具の変形例により容器とシリンジとが接続された状態を示す断面図である。
図41図41は、同接続器具の変形例により容器とチューブとが接続された状態を示す断面図である。
図42図42は、同接続器具の変形例により容器とシリンジとチューブとが接続された状態を示す断面図である。
図43図43は、同接続器具の変形例により容器とシリンジとチューブとが接続された状態を示す断面図である。
【実施形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る接続器具10を、図1乃至図20を用いて説明する。接続器具10は、バイアル等の容器5からシリンジ6に薬液を採取する際に用いられ、容器5とシリンジ6とを接続し、容器5内とシリンジ6内との間に薬液が流動する液体流路L1と、容器5内と後述する空気袋160内とを連通する気体流路L2と、を形成する。容器5は、口部を有している。口部は、栓により密閉されている。栓は、ゴム等を材料として形成されている。
【0015】
図1は、接続器具10により容器5とシリンジ6とが接続された状態を示す斜視図である。図2は、接続器具10の容器接続具20とシリンジ接続具100とが接続され、液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態を示す断面図である。図3は、容器接続具20とシリンジ接続具100とが接続され、液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態を示す断面図である。図3は、接続器具10を、図2に示す断面から、外郭体本体111の軸線回りに90度回転した切断面に沿って示す断面図である。
【0016】
図4は、容器接続具20のシールキャップ60を示す側面図である。図5は、シールキャップ60を示す斜視図である。図6は、容器接続具20とシリンジ接続具100とが接続されて液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態を、シリンジ接続具100の外郭体構成部材132の一方を取り外して示す斜視図である。
【0017】
図7は、外郭体110の外郭体構成部材132を示す正面図である。図8は、シリンジ接続具100のヘッドスリーブ180を示す斜視図である。図9は、ヘッドスリーブ180を示す断面図である。図10は、ヘッドスリーブ180を示す断面図である。図10は、ヘッドスリーブ180を、図9に示す断面からヘッドスリーブ180の軸線回りに90度回転した切断面に沿って示す断面図である。
【0018】
図11は、シリンジ接続具100のニードルシールホルダ210を示す斜視図である。図12は、ニードルシールホルダ210を示す断面図である。図13は、シリンジ接続具100のストッパスリーブ230を示す斜視図である。図14は、接続される前の状態にある容器接続具20とシリンジ接続具100とを示す断面図である。図15は、接続され、かつ、液体流路L1と気体流路L2とが形成されていない状態の容器接続具20とシリンジ接続具100とを示す断面図である。
【0019】
図16は、接続され、かつ、液体流路L1と気体流路L2とが形成されていない状態の容器接続具20とシリンジ接続具100とを示す断面図である。図16は、容器接続具20とシリンジ接続具100とを、図15に示す断面から外郭体本体111の軸線回りに90度回転した切断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
【0020】
図17は、接続され、かつ、液体流路L1と気体流路L2とが形成されていない状態の容器接続具20とシリンジ接続具100とを示す断面図である。図18は、接続され、かつ、液体流路L1と気体流路L2とが形成されていない状態の容器接続具20とシリンジ接続具100とを示す断面図である。図18は、容器接続具20とシリンジ接続具100とを、図17に示された断面から外郭体本体111の軸線回りに90度回転した切断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
【0021】
図19は、接続され、かつ、液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態の容器接続具20とシリンジ接続具100とを示す断面図である。図20は、接続され、かつ、液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態の容器接続具20とシリンジ接続具100とを示す断面図である。図20は、容器接続具20とシリンジ接続具100とを、図19に示した断面に対して外郭体本体111の軸線回りに90度回転した切断面に沿って切断した状態を示す断面図である。
【0022】
接続器具10は、図1乃至図3に示すように、容器5に固定可能に形成された容器接続具20と、シリンジ6のバレル7に固定可能に形成され、かつ、容器接続具20に着脱可能に固定されるシリンジ接続具100と、を有している。
【0023】
本実施形態では、一例として、容器5を下方に配置し、シリンジ6を上方に配置した状態に基づいて、接続器具10に上下方向を設定する。なお、容器接続具20の後述する容器キャップ30の軸方向とシールキャップ60の軸方向とが、上下方向に平行となり、シリンジ接続具100の後述する外郭体本体111の軸方向が上下方向と平行となる。
【0024】
まず、容器接続具20について説明する。図1乃至図5に示すように、容器接続具20は、容器5に固定可能に形成された容器キャップ30と、容器キャップ30に固定されたシールキャップ60と、シールキャップ60に設けられた容器シール70と、を有している。
【0025】
容器キャップ30は、容器5内とバレル7内とを連通して液体(薬液)が流動可能な液体流路L1の一部を構成する液体流路形成部L3と、容器5内と後述する圧力調整部となる空気袋160内とを連通し、空気が流動可能な気体流路L2の一部を構成する気体流路形成部L4と、を有している。容器キャップ30は、具体的には、容器5に固定可能に形成された容器固定部31と、容器キャップ本体40と、容器5内に挿入可能に形成されたニードル部50と、を有している。
容器固定部31は、ニードル部50が容器5の口部の栓にさし込まれて、後述する液体流路形成部L3と気体流路形成部L4とが容器5内に連通した状態で容器5に固定可能に構成されている。容器固定部31により、容器キャップ本体40が容器5に固定される。容器固定部31は、例えば、図2に示すように、容器5の口部を挟持する一対の挟持部31aを有している。容器固定部31は、一対の挟持部31aにより容器5の首部を挟持することにより、容器5に固定される。なお、挟持部31aを開くことによって、一対の挟持部31aによる容器5の首部の挟持を解除される。なお、容器固定部31の構成は、一対の挟持部31aを備える構成に限定されない。
【0026】
容器キャップ本体40は、複数の外径を有する円柱状に形成されている。容器キャップ本体40は、具体的には、その上端部に形成された容器キャップ用小径部41と、容器キャップ用小径部41に連続する容器キャップ用中径部42と、容器キャップ用中径部42に連続する容器キャップ用大径部43と、を有している。容器キャップ用小径部41と容器キャップ用中径部42と容器キャップ用大径部43とは、同軸に配置されている。
【0027】
容器キャップ用小径部41の上面には、小径部用凹部44が形成されている。小径部用凹部44は、容器キャップ用小径部41の上面の中央部に形成されている。小径部用凹部44は、液体流路形成部L3の一部を構成する。容器キャップ用中径部42の上面の外周縁には、円筒状の周壁部45が形成されている。周壁部45は、容器キャップ用小径部41との間に、容器シール70の一部を配置可能な隙間を有している。周壁部45の上端は、容器キャップ用小径部41の上端よりも低い。
【0028】
ニードル部50は、容器キャップ本体40に対して下方に位置している。ニードル部50は、円柱状に形成されている。ニードル部50は、容器キャップ本体40と例えば同軸に配置されている。ニードル部50は、その下端、換言すると容器5内に挿入される際に先端となる部分は、鋭頭に形成されている。
【0029】
また、容器キャップ本体40とニードル部50とには、液体流路形成部L3と気体流路形成部L4とが形成されている。液体流路形成部L3は、ニードル部50の先端部と小径部用凹部44の底面に開口している。液体流路形成部L3は、具体的には、小径部用凹部44内に連通し、容器キャップ本体40の軸方向に延びる第1の部分L3aと、第1の部分L3aに連通し、第1の部分L3aに対して径方向にずれた位置に配置され、容器キャップ本体40の軸方向に延びる第2の部分L3bと、を有している。
【0030】
気体流路形成部L4は、液体流路形成部L3に対して径方向にずれた位置に配置されており、ニードル部50の先端部に開口している。気体流路形成部L4は、具体的には、容器キャップ本体40の軸方向に延びる第3の部分L4aと、第3の部分L4aに連通し、容器キャップ用小径部41内を径方向に貫通して周壁部45との間の隙間に連通する第4の部分L4bと、を有している。
【0031】
シールキャップ60は、容器キャップ本体40を内側に収納する筒状に形成されており、その下端が容器キャップ用大径部43に当接する位置で、容器キャップ本体40に固定されている。また、シールキャップ60は、シリンジ接続具100の後述する外郭体110とストッパスリーブ230とのロックを解除可能に、かつ、ストッパスリーブ230とロック可能に形成されている。
【0032】
シールキャップ60は、具体的には、複数の外径を有する円筒状に形成されている。シールキャップ60の内周面と容器キャップ本体40の外周面との間には、シールキャップ60の下端から気体が漏れることを防止可能なシールが形成されている。
【0033】
本実施形態では、シールキャップ60は、容器キャップ用中径部42が嵌合する円筒状に形成されている。シールキャップ60内に容器キャップ用中径部42が嵌合することにより、シールがなされる。なお、シールは、上記に限定されない。他の例としては、シールとしてOリングが設けられてもよい。
【0034】
シールキャップ60は、図4及び図5に示すように、円筒状のシールキャップ基部61と、シールキャップ基部61上に形成されたシールキャップ用中径部62と、シールキャップ用中径部62上に形成されたシールキャップ用小径部63と、を有している。シールキャップ基部61とシールキャップ用中径部62とシールキャップ用小径部63とは、同軸に配置されている。
【0035】
シールキャップ基部61は、シリンジ接続具100の後述する外郭体110内を移動可能に形成されている。シールキャップ基部61の下端縁には、径方向外側に突出するシールキャップ用突起64が形成されている。シールキャップ用突起64は、図3に示すように、容器接続具20がシリンジ接続具100内に挿入された際に、外郭体110の下端縁に当接することにより、容器接続具20が外郭体110内へそれ以上侵入することを規制可能に形成されている。シールキャップ用突起64は、一例として、複数形成されている。シールキャップ用突起64は、本実施形態では、2つ形成されている。シールキャップ基部61の下端縁において、2つのシールキャップ用突起64の間の部分は、後述する係止部113が係合される。
【0036】
シールキャップ基部61の外周面には、図4及び図5に示すように、容器接続具20の、シリンジ接続具100の外郭体110内での上下方向の移動を案内する第1の案内用突起65が形成されている。第1の案内用突起65は、外郭体110内に形成された第1の案内溝126に収納可能に形成されている。
【0037】
第1の案内用突起65は、例えば複数形成されている。第1の案内用突起65は、本実施形態では、2つ形成されている。第1の案内用突起65は、それぞれ、シールキャップ用突起64の周方向の中央部上に配置されており、軸方向に延びている。第1の案内用突起65の上端は、外郭体110の第1の案内溝126内へスムーズに侵入可能となるように、側面視で略三角形状に形成されている。
【0038】
シールキャップ用中径部62は、容器接続具20がシリンジ接続具100内に挿入されてシリンジ接続具100内の所定位置に到達すると、シリンジ接続具100の後述するストッパスリーブ230に当接して、ストッパスリーブ230と外郭体110とのロックを解除可能に形成されている。シールキャップ用中径部62は、具体的には、その軸方向の中途部より上側の部分の外周面が、上方に向かうにつれて漸次縮径する円錐面62aに形成されている。
【0039】
また、シールキャップ用中径部62には、容器接続具20がシリンジ接続具100内に挿入されてシリンジ接続具100内の所定位置に到達すると、ストッパスリーブ230が係合されるロック用凹部67が形成されている。ロック用凹部67は、シールキャップ用中径部62の外周面の周方向の一部が、下端から軸方向に中途部までの範囲にわたって径方向内側に窪むことにより形成されている。ロック用凹部67の上端部には、ストッパスリーブ230が係合可能な上面67aが形成されている。
【0040】
シールキャップ用小径部63は、シールキャップ用中径部62の上端よりも小径に形成されている。シールキャップ用小径部63は、シリンジ接続具100の後述するヘッドスリーブ180内に嵌合可能な円筒状に形成されている。シールキャップ60の内周面66は、図2に示すように、その上端部66aが、上方に向かうにつれて漸次縮径する円錐面に形成されている。
【0041】
容器シール70は、図2に示すように、容器キャップ用小径部41を内側に収納可能な、有底筒状に形成されている。容器シール70は、底部を上方に配置し、容器キャップ用小径部41を内側に収納した状態で、容器キャップ用小径部41に設けられている。
【0042】
容器シール70は、ゴムやエラストマー等の樹脂から形成されており、可撓性を有している。また、シリンジ接続具100の後述するニードル170が挿入されることにより形成された孔を、ニードル170が移動した後に復元力により液密及び気密に塞ぐことが可能に形成されている。
【0043】
容器シール70の内径は、容器キャップ用小径部41が嵌合される径である。容器シール70の内周面が容器キャップ用小径部41の外周面に接触することにより、容器シール70の内周面と容器キャップ用小径部41の外周面との間がシールされる。
【0044】
容器シール70の深さは、容器キャップ用小径部41の軸方向の長さよりも長い。この為、図14に示すように、容器接続具20がシリンジ接続具100内に挿入されておらず、容器シール70が下方に付勢されていない状態では、容器シール70の上壁部71の下面72と容器キャップ用小径部41の上端との間に隙間が形成される。
【0045】
容器シール70の外周面73の上端部73aは、シールキャップ60の内周面66の上端部66aの円錐面に嵌合可能な円錐面に形成されている。容器シール70は、上端部73aがシールキャップ60の内周面66の上端部66aに嵌合することにより、換言すると、容器シール70の円錐面が、シールキャップ60の円錐面に接触することにより、容器キャップ30の上端開口が、気密かつ液密にシールされる。
【0046】
容器シール70の外周面73において円錐面に形成された上端部73aよりも下方の部分は、容器シール70が下方に押圧された際に縮みやすくする為に、蛇腹状に形成されている。容器シール70は、縮むことにより、上壁部71の下面72が容器キャップ用小径部41の上端に当接し、上端開口を液密及び気密にシールする。
【0047】
次に、シリンジ接続具100について説明する。シリンジ接続具100は、図1図3、及び、図6に示すように、外郭体110と、外郭体110内に収納された空気袋160と、外郭体110内に固定されたニードル170と、外郭体110内に移動可能に収納され、内側にニードル170の一部を収納する筒状のヘッドスリーブ180と、外郭体110内に収納され、ヘッドスリーブ180の下端開口を選択的にシール可能に形成されたニードルシール200と、外郭体110内に収納され、ニードルシール200を保持するニードルシールホルダ210と、ニードルシール200をヘッドスリーブ180に付勢する付勢部材220と、ヘッドスリーブ180を外郭体110に選択的に固定可能に、かつ、ヘッドスリーブ180と容器接続具20とを選択的に固定可能に形成されたストッパスリーブ230と、を有している。
【0048】
外郭体110は、外郭体本体111と、空気袋160を収納する空気袋収納部150と、外郭体本体111を容器接続具20に着脱可能に係止可能な係止部113と、を有している。
【0049】
外郭体本体111は、外郭体用天井壁部114と、外郭体用天井壁部114に形成され、シリンジ6のバレル7が固定可能なシリンジ固定部115と、外郭体用天井壁部114に形成され、ニードル170が固定可能なニードル固定部116と、外郭体用天井壁部114の周縁に形成された筒状の外郭体用胴部117と、外郭体本体111内に固定された筒状のインナスリーブ140と、を有している。
【0050】
外郭体用天井壁部114は、例えば、円板状に形成されている。外郭体用天井壁部114の中心には、孔114aが形成されている。外郭体用天井壁部114の下面には、他の部位に対して下方に突出する天井壁部用突出部119が形成されている。天井壁部用突出部119は、円柱状に形成されている。天井壁部用突出部119は、外郭体用天井壁部114と同軸に配置されている。
【0051】
シリンジ固定部115は、外郭体用天井壁部114の上面に形成され、上面の他の部位に対して上方に突出する筒状に形成されている。シリンジ固定部115は、バレル7の先端部内に嵌合可能に形成されている。シリンジ固定部115は、外郭体用天井壁部114の中央に形成されており、その内部が外郭体用天井壁部114の孔114aと連通している。シリンジ固定部115は、円筒状に形成されたシリンジ固定部本体120と、シリンジ固定部本体120の上端の周縁に形成され、径方向外側に突出するシリンジ固定部用突出部121と、を有している。
【0052】
シリンジ固定部本体120は、外郭体用天井壁部114と例えば同軸に配置されている。シリンジ固定部用突出部121は、例えば複数形成されている。シリンジ固定部用突出部121は、シリンジ固定部本体120の周方向に所定の長さを有している。シリンジ固定部用突出部121は、バレル7の先端部に形成された雌ネジ部に螺合することで、シリンジ6とシリンジ接続具100とを固定する。また、雌ネジ部よりも内周側に設けられたバレル7の筒状先端部がシリンジ固定部本体120の内部に挿入され、シリンジ固定部本体120の内周面とバレル7の筒状先端部の外周面とが当接することにより、バレル7の筒状先端部とシリンジ固定部本体120の内部との間が、シールされる。
【0053】
ニードル固定部116は、外郭体用天井壁部114の下面から下方に突出した、内部にニードル170を固定する筒状に形成されている。ニードル固定部116は、孔114a連通している。ニードル固定部116は、例えば、円筒状に形成されている。ニードル固定部116は、外郭体用天井壁部114と同軸に、換言すると外郭体本体111と同軸に配置されている。
【0054】
なお、本実施形態では、シリンジ固定部115と、外郭体用天井壁部114の一部と、ニードル固定部116とは、外郭体本体111の他の部分とは別部材となる部材122により形成されている。換言すると、外郭体本体111に部材122を固定することにより、外郭体用天井壁部114とシリンジ固定部115とニードル固定部116とが構成される。
【0055】
具体的には、外郭体用天井壁部114は、その中央部に、部材122の一部を収納可能な孔123が形成されている。孔123の内周面は、その軸方向に2つの内径を有している。孔123の下端部は、大径に形成されている。部材122は、一部が孔123内に収納される基部124と、シリンジ固定部115と、ニードル固定部116と、を有している。基部124は、3つの外径を有する円板状に形成されている。基部124の下端部は、部材122が孔123に固定された状態において、天井壁部用突出部119となる。
【0056】
基部124の軸方向に中途部は、天井壁部用突出部119よりも大径に形成されており、孔123の大径部内に収納される。この中途部は、孔123の大径部の内径と同じまたは若干小さい外径を有している。基部124の上端部は、上述の中途部よりも小径に形成されており、孔123の小径部内に収納される。この上端部は、孔123の小径部の内径と同じまたは若干小さい外径を有している。このように構成された基部124が孔123に、例えば接着により固定されることにより、孔123が気密にかつ液密にシールされる。
【0057】
外郭体用胴部117は、容器接続具20のシールキャップ基部61が移動可能に嵌合する円筒状に形成されている。外郭体用胴部117は、外郭体用天井壁部114と同軸に配置されている。外郭体用胴部117の上端部には、空気袋収納部150内に連通する連通孔125が形成されている。
【0058】
外郭体用胴部117は、その内周面117aの下端部の一部に、容器接続具20のシールキャップ60の第1の案内用突起65を移動可能に収納する第1の案内溝126が形成されている。第1の案内溝126は、外郭体本体111の径方向内側に開口している。第1の案内溝126は、また、外郭体用胴部117の下端に開口している。この下端開口より、第1の案内用突起65が第1の案内溝126内に侵入可能となる。
【0059】
第1の案内溝126は、少なくとも、液体流路L1と気体流路L2とが形成される位置まで、容器接続具20の移動を案内可能な長さを有している。第1の案内溝126は、本実施形態では、容器接続具20のシールキャップ用突起64が外郭体用胴部117の下端に当接するときに同時に、第1の案内溝126の上端が第1の案内用突起65に当接する長さを有している。
【0060】
第1の案内溝126は、外郭体110の軸方向に延びている。第1の案内溝126の外郭体110の周方向に沿う幅は、第1の案内用突起65が嵌まる大きさを有している。第1の案内溝126の内側面は、周方向に第1の案内用突起65と当接することにより、容器接続具20の回転を防止する。第1の案内溝126は、第1の案内用突起65に応じた個数が形成されている。第1の案内溝126は、本実施形態では、2つ形成されている。2つの第1の案内溝126は、周方向に180度隔離間して配置されている。
【0061】
また、外郭体用胴部117は、その内周面の軸方向の中途部の、第1の案内溝126と軸方向に並ぶ部分に、ヘッドスリーブ180の後述する第2の案内用突起182を移動可能に収納する第2の案内溝127が形成されている。第2の案内溝127は、外郭体本体111の径方向内側に開口している。第2の案内溝127は、外郭体本体111の軸方向に延びている。第2の案内溝127は、少なくとも、液体流路L1及び気体流路L2が形成される位置まで、容器接続具20の移動を案内可能な長さを有している。第2の案内溝127は、本実施形態では、容器接続具20のシールキャップ用突起64が外郭体用胴部117の下端に当接するときに同時に、第2の案内溝127の上端が第2の案内用突起182に当接する長さを有している。
【0062】
第2の案内溝127の、外郭体本体111の周方向に沿う幅は、第2の案内用突起182が嵌まる大きさを有している。第2の案内溝127は、その内側面が周方向に第2の案内用突起182に当接することにより、ヘッドスリーブ180の回転を防止可能に形成されている。第2の案内溝127は、例えば、複数形成されている。第2の案内溝127は、本実施形態では2つ形成されており、それぞれ、外郭体本体111の周方向に180度離間して配置されている。
【0063】
また、外郭体用胴部117の内周面の軸方向の中途部には、第2の案内溝127と周方向にずれた位置に、図14及び図15に示すように、ロック用突起128が形成されている。ロック用突起128は、外郭体本体111の径方向内側に突出している。ロック用突起128は、ストッパスリーブ230と係合することにより、ヘッドスリーブ180を、ニードルシール200によりヘッドスリーブ180の後述する第2の孔部192の下端開口がシールされている状態から上方に移動することを規制可能に形成されている。
【0064】
ロック用突起128は、例えば、複数形成されている。ロック用突起128は、本実施形態では、2つ形成されている。2つのロック用突起128は、外郭体用胴部117の周方向に180度離間して配置されており、かつ、第1の案内溝126と第2の案内溝127とに対して、外郭体本体111の周方向に45度ずれた位置に配置されている。
【0065】
また、外郭体用胴部117の内周面の軸方向の中途部には、ロック用突起128に対して周方向にずれた位置に、図16及び図17に示すように、ロック解除用突起129が形成されている。ロック解除用突起129は、外郭体本体111の径方向内側に突出している。
【0066】
ロック解除用突起129は、ストッパスリーブ230と当接することにより、液体流路L1と気体流路L2とが形成されておらず、シールキャップ60の上端開口が容器シール70によりシールされ、かつ、ヘッドスリーブ180の第2の孔部192の下端開口がニードルシール200によりシールされている状態で、ストッパスリーブ230と容器接続具20のロック用凹部67との係合を解除可能に形成されている。
【0067】
ロック解除用突起129は、外郭体用胴部117の軸方向に中途部が最も外郭体本体111の径方向内側に突出し、その上端と下端とから中途部にかけて、径方向内側への突出量が漸次増大する形状に形成されている。ロック解除用突起129は、例えば、複数形成されている。ロック解除用突起129は、本実施形態では2つ形成されている。2つのロック解除用突起129は、外郭体本体111の周方向に180度離間しており、ロック用突起128に対して周方向に90度離れた位置に配置されている。
【0068】
また、外郭体用胴部117の内周面の軸方向にロック解除用突起129よりも上方の部分には、ストッパスリーブ230の一部を収納可能なストッパスリーブ収納凹部130が形成されている。ストッパスリーブ収納凹部130は、外郭体本体111の内周面の一部を径方向外側に窪ませることにより形成されている。
【0069】
外郭体用胴部117の下端部には、図1及び図2に示すように、係止部113の一部を収納する係止部収納凹部131が形成されている。係止部収納凹部131は、外郭体用胴部117の下端に開口した孔である。係止部収納凹部131は、例えば複数形成されている。係止部収納凹部131は、本実施形態では、2つ形成されている。2つの係止部収納凹部131は、外郭体110の周方向に180度離間しており、第1の案内溝126と第2の案内溝127とに対して周方向に90度離れた位置に配置されている。
【0070】
このように構成された外郭体本体111は、例えば、複数の部材を組み合わせることにより構成できる。外郭体本体111は、本実施形態では、例えば、2つの外郭体構成部材132を固定することにより構成される。図3は、一方の外郭体構成部材132が取り外された状態を示している。図7は、他方の外郭体構成部材132の内面を示している。
【0071】
外郭体構成部材132は、それぞれ、同様の形状を有している。外郭体構成部材132は、外郭体本体111を、外郭体本体111の軸線と空気袋収納部150の軸線とを通る面を境に2分割した形状を有している。2つの外郭体構成部材132のそれぞれは、ロック機構133により互いに固定される。ロック機構133は、例えば、一方の外郭体構成部材132の一方に形成された爪部と、他方の該外郭体構成部材132に形成れ、爪部が係合する係合部134と、を有している。
【0072】
インナスリーブ140は、図2及び図3に示すように、外郭体本体111内に固定されており、有底筒状に形成されている。インナスリーブ140は、具体的には、インナスリーブ用天井壁部141と、インナスリーブ用天井壁部141の周縁に形成された筒状のインナスリーブ用胴部142と、を有している。インナスリーブ用天井壁部141は、外郭体用胴部117の内径と同じまたは若干小さい外径を有する円板状に形成されている。インナスリーブ用天井壁部141は、その中央部に、ニードル固定部116の一部と付勢部材220の一部とを収納する孔144が形成されている。インナスリーブ用天井壁部141の上面には、外郭体用天井壁部114の天井壁部用突出部119を収納する凹部143が形成されている。
【0073】
インナスリーブ用胴部142は、外郭体用胴部117の内径と同じまたは若干小さい外径を有する円筒状に形成されている。インナスリーブ用胴部142の上端部には、外郭体用胴部117の連通孔125内に一部が収納され、その先端部が空気袋160に接続される、接続部145が形成されている。接続部145は、インナスリーブ用胴部142の外周面の上端部から径方向外側に突出している。接続部145は、気体流路L2の一部を構成する。接続部145は、図19及び図20に示すように、ヘッドスリーブ180が外郭体本体111内を上方に移動することにより液体流路L1及び気体流路L2が形成され、かつ、ストッパスリーブ230の後述する第2の腕部232がシールキャップ60のロック用凹部67に係合した状態において、ヘッドスリーブ180により塞がれない位置に配置されている。
【0074】
このように形成されたインナスリーブ140は、インナスリーブ用天井壁部141の上面を外郭体用天井壁部114の下面に面接触させ、孔144内にニードル固定部116の一部と付勢部材220の一部とを収納し、凹部143内に天井壁部用突出部119を収納し、かつ、外郭体用胴部117の連通孔125内に接続部145の一部を収納した状態で、外郭体110内に、例えば接着剤により固定されている。インナスリーブ140は、外郭体110と同軸に配置されている。
【0075】
空気袋収納部150は、図3に示すように、外郭体本体111に対して、外郭体本体111の軸方向に直交する方向に離間して配置されている。空気袋収納部150は、本実施形態では、2つの第1の案内溝126が並ぶ方向に、外郭体本体111に並んで配置されている。空気袋収納部150は、内部に空気袋160を収納可能な空間部を有する箱状に形成されている。空気袋収納部150は、例えば、外観が円柱状に形成されており、その軸線が、外郭体本体111の軸線と平行に配置されている。空気袋収納部150は、連結部151により外郭体本体111に固定されている。なお、本実施形態では、連結部151と空気袋収納部150と外郭体本体111とは、一体に形成されている。また、空気袋収納部150は、透明又は半透明の樹脂材料を用いる、または、空気袋収納部150の壁面の一部に開口部や透明の窓部を設けることで、空気袋160の形状が見えるようにしてもよい。
【0076】
このように構成された空気袋収納部150は、例えば、複数の部材を組み合わせることにより構成できる。空気袋収納部150は、本実施形態では、例えば、2つの構成部材を固定することにより構成される。本実施形態では、図3及び図6に示すように、空気袋収納部150を構成する一方の構成部材は、一方の外郭体構成部材132に、連結部151の一部とともに一体に形成されている。空気袋収納部150を構成する他方の構成部材は、他方の外郭体構成部材132に、連結部151の他部とともに一体に形成されている。換言すると、本実施形態では、外郭体本体111と空気袋収納部150と連結部151とは、2つの外郭体構成部材132を固定することにより、構成される。
【0077】
係止部113は、容器接続具20に係合することにより、図1及び図2に示すように、シリンジ接続具100と容器接続具20とが接続されて液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態において、容器接続具20からシリンジ接続具100が分離されることを規制可能に形成されている。
【0078】
係止部113は、具体的には、液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態において、シリンジ接続具100から容器接続具20を移動しようとすると、シールキャップ60の下端との係合により、この移動を規制する。移動が規制されることにより、液体流路L1と気体流路L2とが分断されることが防止される。
【0079】
係止部113は、図1及び図7に示すように、係止部収納凹部131内に収納されている。係止部113は、外郭体本体111の軸方向に長い板状に形成された係止部用本体153と、係止部用本体153を係止部収納凹部131に固定する係止部用固定部154と、を有している。
【0080】
係止部用本体153の上端部は、作業者により操作可能な操作部155に形成されている。係止部用本体153の下端部は、シールキャップ基部61の下端縁に係合可能な係止部用爪部156が形成されている。係止部用爪部156は、外郭体本体111の径方向内側に突出する形状に形成されている。係止部用爪部156は、外郭体用胴部117の他の部分の下端よりも下方に位置している。係止部用爪部156の径方向内側の面157は、その上端が下端に対して外郭体本体111の軸線側に位置する傾斜面に形成されている。
【0081】
係止部用固定部154は、係止部用本体153の周方向の側面を、係止部収納凹部131の側面に固定している。係止部用固定部154は、係止部用本体153を、容器接続具20がシリンジ接続具100内に収納された状態においてシールキャップ基部61の下端の外周縁よりも内側に配置している。
【0082】
また、係止部113は、係止部用爪部156とシールキャップ基部61の下端とが係合した状態で、操作部155が径方向内側に向かって押圧されると、係止部用本体153の内面とシールキャップ基部61の外面との当接部が支点となり、梃子作用により、係止部用爪部156がシールキャップ基部61の下端との係合が解除される位置まで移動可能に形成されている。
【0083】
空気袋160は、図6に示すように、空気袋収納部150内に収納されている。空気袋160は、内部への空気の出し入れに伴い容易に変形可能な薄膜の樹脂材料から形成されている。この空気袋160が本発明の圧力調整部であり、空気袋160の変形により容器5内の圧力を調整することができる。空気袋160は、シリンジ6のバレル7の容積以上の容積を有する。空気袋160は、例えば、空気袋収納部150の内面により規定される内部空間と略同様の外観を有している。空気袋160は、インナスリーブ140の接続部145が接続されている。空気袋160は、接続部145を介して、外郭体本体111内と連通している。なお、空気袋160は、未使用の状態では、内部の空気が外部に排出されてしぼんだ状態で空気袋収納部150内に収納されている。図6に示される空気袋160は、内部に空気が満たされた状態である。
【0084】
ニードル170は、図2に示すように、筒状に形成されている。ニードル170は、外郭体本体111と同軸に、上端部がニードル固定部116内に収納されており、ニードル固定部116に固定されている。ニードル170は、液体流路L1の一部を構成する。ニードル170は、本実施形態では、下端部171が閉塞された円筒状に形成されている。下端部171は、鋭頭に形成されている。ニードル170の外周面173の下端部には、ニードル170の内部と外部とを連通する孔172が形成されている。なお、孔172は、ニードル170の先端側の開口の一例である。なお、本実施形態では、孔172は、外周面173の下端部、すなわちニードル170において鋭頭に形成されていない部分の下端に配置されている。孔172は、ニードル170の下端部、すなわち鋭頭に形成された部分に形成されてもよい。要するに、孔172は、ニードル170の先端側に配置されればよい。
【0085】
ヘッドスリーブ180は、インナスリーブ140内を移動可能な筒形状に形成されている。ヘッドスリーブ180は、図8乃至図10に示すように、円筒状に形成されたヘッドスリーブ本体181と、ヘッドスリーブ本体181の外周面に形成され、径方向外側に突出した第2の案内用突起182と、を有している。
【0086】
ヘッドスリーブ本体181は、インナスリーブ140の内周面に移動可能に嵌合する円筒状に形成されている。ヘッドスリーブ本体181の外周面183とインナスリーブ140の内周面146との間には、インナスリーブ140の下端から外部に気体が漏れることを防止するシールが設けられている。このシールは、例えば、Oリングであってもよい。または、ヘッドスリーブ本体181がインナスリーブ140に嵌合することにより、換言すると、外周面183とインナスリーブ140の内周面146との接触により、外周面183と内周面146との間がシールされてもよい。
【0087】
外周面183の上端部には、環状の溝184が形成されている。外周面183の下端部には、ストッパスリーブ230の後述する第1の腕部231の一部を収納可能な第1の腕部収納凹部185と、ストッパスリーブ230の後述する第2の腕部232の一部を収納可能な第2の腕部収納凹部186と、が形成されている。
【0088】
第1の腕部収納凹部185は、外周面183の一部を径方向内側に窪ませることにより形成されている。第1の腕部収納凹部185は、その径方向の深さが、下端から上端に向かうにつれて漸次増大する形状に形成されている。第1の腕部収納凹部185は、例えば、複数形成されている。第1の腕部収納凹部185は、本実施形態では、2つ形成されている。2つの第1の腕部収納凹部185は、ヘッドスリーブ本体181の周方向に180度離れて配置されている。
【0089】
第2の腕部収納凹部186は、外周面183の一部を径方向内側に窪ませることにより形成されている。第2の腕部収納凹部186は、その径方向の深さが、下端から上端に向かうにつれて漸次深くなる形状に形成されている。第2の腕部収納凹部186は、例えば、複数形成されている。第2の腕部収納凹部186は、本実施形態では、2つ形成されている。2つの第2の腕部収納凹部186は、第1の腕部収納凹部185に対してヘッドスリーブ本体181の周方向に90度離れた位置に、それぞれ配置されている。
【0090】
また、外周面183の下端部には、ストッパスリーブ230の後述する固定用突起236を収納する固定用突起収納凹部187が形成されている。固定用突起収納凹部187は、外周面183の一部を径方向内側に窪ませることにより形成されている。
【0091】
固定用突起収納凹部187は、ヘッドスリーブ本体181の下端に開口し、ストッパスリーブ230をヘッドスリーブ180に固定する際に固定用突起236が通る入口部188と、ヘッドスリーブ本体181の周方向に延び、入口部188を通して侵入した固定用突起236を保持する保持部189と、を有している。保持部189は、入口部188と連通し、入口部188よりも上方に形成されている。保持部189は、ヘッドスリーブ本体181の周方向に入口部よりも長い形状に形成されている。
【0092】
このように形成された固定用突起収納凹部187は、例えば複数形成されている。固定用突起収納凹部187は、本実施形態では、4つ形成されている。4つの固定用突起収納凹部187は、ヘッドスリーブ本体181の周方向に等間隔離間して配置されており、それぞれ、第1の腕部収納凹部185または第2の腕部収納凹部186に連通している。
【0093】
第2の案内用突起182は、外周面183の軸方向中途部に形成されている。第2の案内用突起182は、外郭体用胴部117の第2の案内溝127に収納される。また、第2の案内用突起182は、第2の案内溝127内を移動可能に形成されている。第2の案内用突起182は、例えば、複数形成されている。第2の案内用突起182は、本実施形態では、2つ形成されている。2つの第2の案内用突起182は、それぞれ、第1の腕部収納凹部185に対してヘッドスリーブ180の周方向に45度離れた位置に配置されている。第2の案内用突起182は、例えば、矩形の直方体状に形成されている。
【0094】
ヘッドスリーブ本体181内の孔190は、図9及び図10に示すように、複数の内径を有する孔に形成されている。孔190は、その下端部に形成された、孔190の下端開口を含む第1の孔部191と、第1の孔部191の上方に形成され、第1の孔部191に連通する第2の孔部192と、第2の孔部192の上方に形成され、第2の孔部192に連通する第3の孔部193と、第3の孔部193の上方に形成され、孔190の上端開口を含む第4の孔部194と、を有している。これら孔部191,192,193,194は、同軸に配置されている。
【0095】
第1の孔部191は、シールキャップ60のシールキャップ用小径部63が嵌合可能に形成されている。第1の孔部191の内周面191aは、軸方向に直交する断面が円に形成されている。内周面191aは、その下端部191b以外の部分が、軸方向に同一の断面を有する。第1の孔部191の内周面191aの下端部191bは、下方に向かうにつれて漸次拡径する円錐面に形成されている。第1の孔部191は、その軸方向の深さが、シールキャップ用小径部63の軸方向の長さと同じ長さを有している。第1の孔部191の上面は、孔190の軸方向に直交する平面に形成されている。
【0096】
第2の孔部192は、第1の孔部191よりも小径に形成されている。第2の孔部192の内周面192aは、軸方向に直交する断面が円に形成されている。内周面192aは、その下端部192b以外の部分が、軸方向に同一の断面を有する。第2の孔部192は、ニードルシールホルダ210の後述するホルダ用突起212とニードルシール200の後述するシール部201とを収納可能に形成されている。内周面192aの下端部192bは、下方に向かうにつれて漸次拡径する、シール部201の外周面に当接可能な円錐面に形成されている。
【0097】
第3の孔部193は、第2の孔部192よりも小径に形成されている。第3の孔部193の内周面193aは、軸方向に直交する断面が円に形成されている。内周面193aは、軸方向に同一の断面を有する。また、第3の孔部193は、ニードルシールホルダ210の一部を移動可能に収納する。
【0098】
第4の孔部194は、第3の孔部193よりも大径に形成されている。第4の孔部194の内周面194aは、軸方向に直交する断面が円である。内周面194aは、軸方向に同一の断面を有する。また、第4の孔部194は、内部に、ニードルシールホルダ210の一部を収納可能に形成されている。
【0099】
このように構成されたヘッドスリーブ180は、インナスリーブ140内に収納され、第2の案内用突起182が外郭体用胴部117の第2の案内溝127内に収納されている。
【0100】
ニードルシール200は、図2に示すように、ニードルシールホルダ210と付勢部材220とにより外郭体本体111内に、外郭体本体111の軸方向に移動可能に支持されている。ニードルシール200は、ヘッドスリーブ180の第2の孔部192を選択的にシール可能に形成されている。ニードルシール200は、ゴムやエラストマー等の樹脂から形成されており、ニードル170により形成された孔を、ニードル170が移動した後に、復元力により液密にかつ気密にシール可能に形成されている。
【0101】
ニードルシール200は、具体的には、第2の孔部192の下端部すなわち内周面が円錐面に形成された部分に嵌まる、外周面が円錐面に形成されたシール部201と、シール部201と同軸に配置され、シール部201の上端から上方に延びた軸部202と、を有している。
【0102】
シール部201は、弾性変形することにより、第2の孔部192の下端部(内周面が円錐面に形成された部分)よりも上方の部分にも収納可能である。シール部201の下端面203は、容器接続具20の容器シール70の上端面75に面接触可能な面に形成されている。下端面203は、例えば、シール部201の軸方向に直交する平面に形成されている。下端面203は、容器シール70の上端面75と同じ円形であって同じ面積を有している。
【0103】
シール部201が、第2の孔部192の下端部に嵌合することにより、換言すると、シール部201の円錐面が第2の孔部192の内周面192aの円錐面に形成された下端部192bに接触することにより、第2の孔部192がシールされる。ニードルシール200がヘッドスリーブ180に対して下方に移動することによりシール部201の外周面と第2の孔部192の内周面との間に隙間が形成される。この隙間により、第2の孔部192のシールが解除されることとなる。この隙間は、気体流路L2の一部を構成する。
【0104】
軸部202は、第3の孔部193の内径よりも小径な外径を有する円柱状に形成されている。軸部202の上面には、ニードル170の一部を収納可能な収納凹部204が形成されている。また、軸部202の一部は、ニードルシールホルダ210内に嵌合し、ニードルシールホルダ210に固定可能な大径部205に形成されている。また、ニードルシール200は、図14に示すようにストッパスリーブ230の後述する第1の腕部231がロック用突起128に係合することによりヘッドスリーブ180の移動が規制されている状態において、ニードル170の孔172が形成される部分が軸部202内に収納され、一部が収納凹部204内に収納される長さを有している。この為、図14に示す状態では、孔172は、ニードルシール200により、液密かつ気密にシールされる。
【0105】
ニードルシールホルダ210は、図2に示すように、内部にニードル170の一部を収納可能な筒状であり、その下端部内にニードルシール200の大径部205を固定可能に形成されている。ニードルシールホルダ210は、具体的には、図11及び図12に示すように、円筒状に形成されたホルダ本体211と、ホルダ本体211の外周面の下端部に形成され、径方向外側に突出する複数のホルダ用突起212と、を有している。
【0106】
ホルダ本体211は、図2に示すように、第3の孔部193の内径よりも小さい外径を有しており、第3の孔部193内を軸方向に移動可能に形成されている。この為、ホルダ本体211は、その外周面と第3の孔部193の内周面との間に、空気等の気体が流動可能な隙間が形成されている。
【0107】
ホルダ本体211は、その外周面の上端部に、付勢部材220の一例であるコイルばねを固定可能な螺旋状の溝215が形成されている。ホルダ本体211は、ホルダ用突起212よりも上方の部分に、径方向に貫通する孔213が形成されている。孔213は、例えば複数形成されており、周方向に例えば等間隔離間して配置されている。孔213は、径方向に見た形状が、例えば矩形状に形成されている。ホルダ本体211の内周面の下端部には、ニードルシール200の大径部205が固定可能な固定用溝214が形成されている。
【0108】
ホルダ用突起212は、ホルダ本体211の周方向に例えば等間隔離間して配置されている。また、ホルダ用突起212は、2つの孔213の間の部分と軸方向に並んでいる。このように構成されたニードルシールホルダ210は、図2及び図3に示すように、その上端がニードル固定部116の下端に当接し、かつ、第2の案内用突起182が第2の案内溝127の上端に当接するまでヘッドスリーブ180が外郭体110内を上方に移動した状態において、シール部201による第2の孔部192の下端開口のシールを解除可能な長さを有している。
【0109】
付勢部材220は、図2に示すように、シール部201を、第2の孔部192に接触させて第2の孔部192をシールするべく、ニードルシール200を上方に向かって付勢可能に形成されている。付勢部材220は、本実施形態では一例として、コイルばねが用いられている。付勢部材220は、ニードル固定部116とニードルシールホルダ210の上端部の溝215とに固定されている。付勢部材220は、ニードルシールホルダ210を介してニードルシール200を上方に付勢する。付勢部材220は、シール部201により第2の孔部192の下端開口をシール可能な程度の付勢力を有していればよい。
【0110】
ストッパスリーブ230は、図3に示すように、ヘッドスリーブ180の外周面に固定されている。ストッパスリーブ230は、ヘッドスリーブ180の、外郭体110に対する移動を選択的に規制し、かつ、ヘッドスリーブ180をシールキャップ60に選択的に固定可能に形成されている。
【0111】
ストッパスリーブ230は、具体的には、外郭体用胴部117のロック用突起128に係合可能に形成された第1の腕部231と、シールキャップ60のロック用凹部67に係合可能な第2の腕部232と、第1の腕部231と第2の腕部232とを連結する連結部233と、を有している。
【0112】
第1の腕部231は、図14に示すように、ヘッドスリーブ180が外郭体110内の下端部に位置してシール部201により第2の孔部192の下端開口がシールされた状態でロック用突起128に係合可能に形成されている。第1の腕部231は、ロック用突起128に係合することにより、シール部201により第2の孔部192の下端開口がシールされた状態において、ヘッドスリーブ180が外郭体110内を上方に移動することを防止する。
【0113】
第1の腕部231は、具体的には、図13に示すように、ヘッドスリーブ180の外周面に固定された状態において、ヘッドスリーブ180の軸方向に長い板状に形成されている。第1の腕部231の、ヘッドスリーブ180に対向する面235の中央部には、固定用突起236が形成されている。第1の腕部231の上端面は、ロック用突起128に下方から上方に向かって当接可能に形成されている。上端面は、例えば、平面に形成されている。
【0114】
第1の腕部231の面235の下端部には、第1の腕部用突起237が形成されている。第1の腕部用突起237は、下端面238がシールキャップ60のシールキャップ用中径部62の外周面の円錐面62aに当接可能に形成されている。下端面238は、ストッパスリーブ230がヘッドスリーブ180に固定された状態において、ヘッドスリーブ180の軸線に対して傾斜する傾斜面に形成されている。
【0115】
また、第1の腕部用突起237は、下端面238がシールキャップ用中径部62の円錐面62aに当接することにより、第1の腕部231を、その上端面がヘッドスリーブ180側に移動するよう回転させて、第1の腕部231とロック用突起128との係合を解除可能に形成されている。第1の腕部用突起237は、例えば複数形成されている。第1の腕部用突起237は、本実施形態では、2つ形成されている。また、第1の腕部231は、例えば複数形成されている。第1の腕部231は、本実施形態では、2つ形成されている。
【0116】
第2の腕部232は、図17に示すように、シールキャップ60に係合することにより、シールキャップ用小径部63がヘッドスリーブ180の第1の孔部191内に嵌合され、容器シール70の上端面75がニードルシール200のシール部201の下端面203に密着した状態を維持可能に形成されている。
【0117】
第2の腕部232は、具体的には、図13に示すように、ヘッドスリーブ180の外周面に固定された状態においてヘッドスリーブ180の軸方向に長い板状に形成されている。第2の腕部232のヘッドスリーブ180側の面239の下端部には、シールキャップ60のロック用凹部67に係合可能な第2の腕部用突起240が形成されている。
【0118】
第2の腕部用突起240の上面241がシールキャップ60のロック用凹部67の上面67aに係合可能に形成されている。第2の腕部用突起240の下端面242は、ストッパスリーブ230がヘッドスリーブ180に固定された状態において、ヘッドスリーブ180の軸線に対して傾斜する傾斜面に形成されている。
【0119】
面239の中央部には、固定用突起236が形成されている。第2の腕部232のヘッドスリーブ180と反対側の面243は、外郭体用胴部117のロック解除用突起129に当接可能に形成されている。
【0120】
第2の腕部232は、具体的には、面243の周方向の中央部が外側に突出する断面略台形状に形成されている。面243の周方向の中央部243aが、ロック解除用突起129に当接可能に形成されている。中央部243aは、ロック解除用突起129に当接することにより、第2の腕部232を、第2の腕部用突起240がヘッドスリーブ180から離れるよう回転して第2の腕部用突起240をロック用凹部67の外部に移動し、第2の腕部用突起240とロック用凹部67との係合を解除可能に形成されている。また、第2の腕部232は、例えば複数形成されている。第2の腕部232は、本実施形態では、2つ形成されている。
このように形成された第2の腕部232は、図14に示すように、ヘッドスリーブ180が外郭体本体111内の下方に配置されて第1の腕部231がロック用突起128に係合する状態では、図16に示すように、ロック解除用突起129の外郭体用胴部117の軸方向に中途部(外郭体用胴部117の径方向内側に最も突出する部分)が面243の中央部243aの上部に当接することにより、第2の腕部用突起240がシールキャップ60のロック用凹部67との係合が解除される位置まで回転されている。
さらに、ストッパスリーブ230が上方に移動することによって第2の腕部232がロック解除用突起129に対して上方に移動することにより、ロック解除用突起129の最も突出する部分となる中途部が、第2の腕部232の面243の中央部243aの下端部に当接する。
第2の腕部232は、その下端部にロック解除用突起129が当接すること、及び、連結部233の復元力により、第2の腕部用突起240がシールキャップ60のロック用凹部67に係合する位置まで回転可能に形成されている。
【0121】
連結部233は、第1の腕部231と第2の腕部232とを連結している。連結部233は、可撓性を有しており、捩じれることにより、第1の腕部231を回転可能に、かつ、第2の腕部232を回転可能に形成されている。連結部233は、第1の腕部231に対して外力が加わっていない状態では、第1の腕部231を、ロック用突起128に係合可能な位置に配置する。連結部233は、第2の腕部232に外力が加わっていない状態では、第2の腕部232を、シールキャップ60のロック用凹部67に係合可能な位置に配置する。
【0122】
このように構成されたストッパスリーブ230は、第1の腕部231と第2の腕部232とを周方向に交互に配置した環状に形成されている。第1の腕部231と第2の腕部232とは、周方向に離間して配置されている。
【0123】
このように構成されたストッパスリーブ230は、固定用突起236を、ヘッドスリーブ本体181の固定用突起収納凹部187の入口部188からヘッドスリーブ本体181の軸方向に挿入して保持部189内に侵入させた後、周方向に所定角度回転される。この回転により、固定用突起236は、入口部188と並ばない位置に配置される為、入口部188から抜けることがなくなる。この為、ストッパスリーブ230がヘッドスリーブ180に固定される。
【0124】
また、上述のように、固定用突起236が保持部189内に収納された状態では、第1の腕部231は、第1の腕部収納凹部185に対向し、第2の腕部232は、第2の腕部収納凹部186に対向する。
【0125】
第1の腕部231が第1の腕部収納凹部185に対向することにより、第1の腕部231は、回転する際にその上部の一部が第1の腕部収納凹部185内に収納される。すなわち、第1の腕部収納凹部185が、第1の腕部231が回転する際の移動代の一部となるので、第1の腕部231は、その上端とロック用突起128との係合が解除される位置まで、回転可能となる。第2の腕部232が第2の腕部収納凹部186に対向することにより、第2の腕部232は、回転する際にその上部の一部が第2の腕部収納凹部186内に収納される。すなわち、第2の腕部収納凹部186が、第2の腕部232が回転する際の移動代の一部となるので、第2の腕部232は、第2の腕部用突起240がロック用凹部67との係合が解除される位置まで、回転可能となる。
【0126】
次に、シリンジ接続具100と容器接続具20とを接続し、液体流路L1と気体流路L2とを形成する操作を説明する。容器接続具20は、容器固定部31により、ニードル部50が容器5の口部の栓にさし込まれた状態で容器5に固定されている。
シリンジ接続具100は、図14に示すように、容器接続具20に接続されていない状態では、ヘッドスリーブ180が外郭体110内の下端部に位置している。さらに、付勢部材220により、ニードルシールホルダ210、ニードルシール200及びヘッドスリーブ180を介してストッパスリーブ230が上方に付勢されることによって、ストッパスリーブ230の第1の腕部231がロック用突起128に係合している。また、図16に示すように、ストッパスリーブ230の第2の腕部232は、外郭体用胴部117のロック解除用突起129に当接しており、第2の腕部用突起240がシールキャップ60のロック用凹部67との係合が解除される位置まで回転されている。第2の腕部232の一部は、ヘッドスリーブ180の第2の腕部収納凹部186内に収納されている。
【0127】
第1の腕部231がロック用突起128に係合している状態では、ヘッドスリーブ180の第2の孔部192の下端開口は、ニードルシール200のシール部201によりシールされている。また、シール部201の一部は、第2の孔部192により径方向内側に変形されて、第2の孔部192内に収納されている。ニードル170は、孔172が形成された先端側の部分がニードルシール200の軸部202内に収納されている。この為、ニードル170の孔172は、ニードルシール200により密封され、気密かつ液密にシールされた状態になっている。
【0128】
容器接続具20は、シリンジ接続具100に接続されていない様態では、図14に示すように、シールキャップ60の先端開口は、容器シール70によりシールされている。
【0129】
次に、図15及び図16に示すように、シールキャップ60のシールキャップ用小径部63を、ヘッドスリーブ180の第1の孔部191内に挿入する。図15に示すように、容器シール70の上端面75がシール部201の下端面203に密着するまでの間に、ストッパスリーブ230の第1の腕部231の第1の腕部用突起237の下端面238がシールキャップ用中径部62の円錐面62aに当接する。
【0130】
この状態からさらにシリンジ接続具100を下げると、第1の腕部用突起237が円錐面62aに案内されて径方向外側に移動される。第1の腕部用突起237が径方向外側に移動されることに伴い、第1の腕部231が回転する。第1の腕部231は、容器シール70の上端面75とシール部201の下端面203とが密着する状態では、円錐面62aに案内されて、ロック用突起128との係合が解除される位置まで回転している。このとき、第1の腕部231の一部は、ヘッドスリーブ180の第1の腕部収納凹部185に収納される。第1の腕部231とロック用突起128との係合が解除されることにより、ヘッドスリーブ180は、外郭体本体内111を上方に移動可能な状態となる。
【0131】
第2の腕部232は、図16に示すように、容器シール70の上端面75がシール部201の下端面203に密着するまでシリンジ接続具100が下げられると、第2の腕部用突起240がロック用凹部67に対向する。
【0132】
次に、図17に示すように、シリンジ接続具100をさらに下げると、容器接続具20とヘッドスリーブ180とニードルシール200とニードルシールホルダ210とが、一体に外郭体本体111内を上方に移動する。ニードルシール200が外郭体本体111内を上方に所定距離移動すると、ニードル170がニードルシール200に対して下方に移動する。
【0133】
図18に示すように、シリンジ接続具100をさらに下げると、容器接続具20とヘッドスリーブ180とニードルシール200とニードルシールホルダ210とが、外郭体本体内111内をさらに上方移動することにより、ニードル170がニードルシール200を貫通し、容器シール70に突き刺さる。なお、ニードル170とニードルシール200との間は、ニードルシール200がニードル170に密着することにより、液密及び気密にシールされる。同様に、ニードル170と容器シール70との間は、容器シール70がニードル170に密着することにより、液密及び気密にシールされる。
【0134】
ニードル170がニードルシール200を貫通した状態では、ロック解除用突起129に対して第2の腕部232が上方に移動されている。この、ロック解除用突起129に対する第2の腕部232の上方への移動の過程で、第2の腕部232の面243の中央部243aにおけるロック解除用突起129の外郭体本体111の径方向内側にもっとも突出する中途部の当接位置が、下方に移動する。この当接位置の下方への移動により、第2の腕部用突起240を外郭体本体111の径方向外側へ付勢する付勢力が小さくなる。
ニードル170がニードルシール200を貫通した状態では、第2の腕部232は、外郭体用胴部117のロック解除用突起129に当接することによる径方向内側への付勢が解除されており、連結部233の弾性力(復元力)と第2の腕部用突起240が第2の腕部232の下端部に当接することとにより、回転されて、第2の腕部用突起240がロック用凹部67に係合している。すなわち、ストッパスリーブ230とシールキャップ60とは、ニードル170がニードルシール200を貫通する前に、互いに固定されている。
【0135】
シリンジ接続具100をさらに下げると、ニードルシールホルダ210の上端がニードル固定部116に当接する。この当接により、ニードルシールホルダ210とニードルシール200と容器シール70とが、外郭体本体11内を上にさらに移動することが規制される。
【0136】
ニードルシールホルダ210がニードル固定部116に当接した後、シリンジ接続具100をさらに下げると、ニードルシール200と容器シール70とに対して、ヘッドスリーブ180とシールキャップ60と容器キャップ30とが、外郭体本体11内を上方にさらに移動する。
【0137】
ヘッドスリーブ180がニードルシール200に対して上方に移動することにより、シール部201と第2の孔部192の内周面192aとの間に隙間が形成される。この隙間により、第2の孔部192の下端開口のシールが解除される。
【0138】
さらに、シールキャップ60と容器キャップ30とが容器シール70に対して上方に移動することにより、容器シール70の外周面73とシールキャップ60の内周面66との間に隙間が形成される。これら隙間は互いに連通する。これら隙間により、シールキャップ60の上端開口のシールが解除される。
【0139】
さらに、シールキャップ60と容器キャップ30とが容器シール70に対して上方に移動することにより、容器シール70は、シールキャップ用中径部62とシール部201との間で圧縮される。容器シール70が圧縮されることにより、容器シール70の上壁部71の下面72が、容器キャップ用小径部41の上端に近づく。
【0140】
シリンジ接続具100をさらに下げると、図2に示すように、係止部113の係止部用爪部156がシールキャップ基部61の下端を乗り越えて、径方向内側に移動する。係止部用爪部156は、シールキャップ基部61の下端を乗り越えて径方向内側に移動することにより、シールキャップ60の下端の2つのシールキャップ用突起64の間の分部に係合可能な状態となる。すなわち、この状態から容器接続具20に対してシリンジ接続具100を引き上げると、係止部用爪部156がシールキャップ基部61の下端に係合し、この移動が規制されることとなる。
【0141】
シリンジ接続具100をさらに下げると、図19及び図20に示すように、第1の腕部231の上端と第2の腕部232の上端とが、インナスリーブ140に当接する。さらに、第1の案内用突起65が第1の案内溝126の上端に当接する。さらに、第2の案内用突起182が第2の案内溝127の上端に当接する。さらに、シールキャップ基部61のシールキャップ用突起64が外郭体用胴部117の下端に当接する。これらの当接により、ヘッドスリーブ180と容器接続具20との外郭体本体11での移動が規制される。すなわち、シリンジ接続具100が所謂底づきとなる状態まで下げられたこととなる。
【0142】
この底づき状態では、容器シール70が容器キャップ用小径部41の先端開口に当接することにより、容器シール70により容器キャップ用小径部41の先端開口が液密にシールされる。さらに、ニードル170の孔172が容器キャップ用小径部41の小径部用凹部44内に配置されている。この為、ニードル170と液体流路形成部L3とが連通しており、液体流路L1が形成されている。さらに、気体流路形成部L4と、シールキャップ60内と、第2の孔部192と、第3の孔部193と、接続部145と、が連通することにより、気体流路L2が形成されている。
【0143】
作業者は、シリンジ接続具100が底づきまで下げられたことにより、液体流路L1と気体流路L2とが形成されたことを認識する。作業者は、シリンジ接続具100が底づきまで下げられると、シリンジ6を操作することにより、容器5から薬液を採取する。液は、液体流路L1を通って容器5からシリンジ6に移動される。
【0144】
この薬液の採取方法の一例を具体的に説明すると、シリンジ6のバレル7に予め採取したい薬液と同量の空気を入れておき、シリンジ接続具100が底づきまで下げられてから、シリンジ6のピストンを押し込み、バレル7内の空気を液体流路L1を介して容器5内に注入する。この際に、容器5内の圧力が上昇し、気体流路L2を介して容器5内の空気が空気袋160に移動し、容器5内の圧力が平衡に保たれる。次いで、容器5を上方に配置し、シリンジ6を下方に配置した状態にする。シリンジ6のピストンを採取したい薬液の量だけ引くと液体流路L1を介して容器5中の薬液がバレル7に移動し、薬液の採取が行われる。この際に、容器5内の圧力が減少し、気体流路L2を介して空気袋160内の空気が容器5に移動し、容器5内の圧力が平衡に保たれる。
【0145】
次に、シリンジ接続具100から容器接続具20を分離する作業を説明する。作業者は、シリンジ接続具100から容器接続具20を分離する際には、係止部113の操作部155を、係止部用爪部156とシールキャップ基部61の下端との係合が解除される位置まで、径方向内側に向かって押圧する。
【0146】
次に、作業者は、シリンジ接続具100引き上げる。ヘッドスリーブ180は、ストッパスリーブ230の第2の腕部232によりシールキャップ60に固定されている。この為、シリンジ接続具100が引き上げられると、ヘッドスリーブ180に対して外郭体110とニードル170とニードルシール200とニードルシールホルダ210とが上方に移動することとなる。容器シール70は、ニードルシール200が上方に移動することに伴い、復元力により、縮んだ状態から元の状態に戻る。この為、容器シール70の上壁部71がシールキャップ60内を上方に移動する。
【0147】
シリンジ接続具100をさらに引き上げると、図17及び図18に示すように、ニードルシール200のシール部201の外周面が第2の孔部192の円錐面に当接する。この当接により、第2の孔部192がシールされる。さらに、容器シール70の上壁部71が、シールキャップ60の内周面66の円錐面に形成された上端部66aに当接する。この当接により、シールキャップ60の上端開口がシールされる。
【0148】
このように、シールキャップ60の上端開口がシールされ、かつ、ヘッドスリーブ180の第2の孔部192の下端開口がシールされることにより、気体流路L2が分断されるとともに、気体流路L2においてシリンジ接続具100内に形成される部分が気密にシールされ、かつ、気体流路L2において容器接続具20内に形成される部分が気密にシールされる。
【0149】
また、シリンジ接続具100が所定距離引き上げられると、ニードルシールホルダ210のホルダ用突起212が、第2の孔部192と第3の孔部193との間の段部に上下方向に係合する。この係合により、シリンジ接続具100が引き上げられると、ニードルシールホルダ210とニードルシール200とは、ヘッドスリーブ180と共に、外郭体本体111内を下方に移動されることとなる。
【0150】
ニードルシールホルダ210とヘッドスリーブ180とが係合した後、シリンジ接続具100を上方にさらに所定距離引き上げると、ニードル170が容器シール70から引き抜かれる。容器シール70は復元力により、ニードル170により形成された孔を液密及び気密にシールする。
【0151】
また、ニードル170が容器シール70からに引き抜かれた後、シリンジ接続具100をさらに所定距離引き上げると、外郭体用胴部117のロック解除用突起129によって第2の腕部232が回転されることにより、第2の腕部232の第2の腕部用突起240がロック用凹部67から径方向外側に移動し、第2の腕部用突起240とロック用凹部67との係合が解除される。すなわち、ストッパスリーブ230とシールキャップ60との固定が解除される。
【0152】
この状態では、ニードル170の孔172が形成されている部分は、ニードルシール200の軸部202内に収納されており、孔172がニードルシール200により密封された状態になっている。ニードルシール200は、ニードル170により形成された孔を、復元力により液密及び気密にシールする。
【0153】
このように、ニードル170が容器シール70から引き抜かれることにより、液体流路L1が分断されるとともに、液体流路L1のうちシリンジ接続具100内に形成される部分となるニードル170がシールされ、液体流路L1のうち容器接続具20内に形成される部分となる液体流路形成部L3がシールされることとなる。
【0154】
シールキャップ60とヘッドスリーブ180との固定が解除された後、シリンジ接続具100をさらに引き上げると、ストッパスリーブ230の第1の腕部231に対してシールキャップ60が下方に移動する。第1の腕部231に対してシールキャップ60が下方に移動することにより、シールキャップ60の外周面による第1の腕部231に対する付勢が解除される。第1の腕部231は、シールキャップ60の外周面からの付勢が解除されると、連結部233の弾性力(復元力)により回転する。第1の腕部231は、回転することにより、図14に示すように、その上端がロック用突起128の下方に配置される。すなわち、第1の腕部231がロック用突起128と係合可能な状態となる。
【0155】
第1の腕部231がロック用突起128に係合可能な状態となることにより、ヘッドスリーブ180は、第2の孔部192がシールされた状態、すなわち、液体流路L1のうちシリンジ接続具100内に形成される部分となるニードル170がシールされ、かつ、気体流路L2のうちシリンジ接続具100内に形成される部分L5がシールされた状態から、移動することが防止される。なお、部分L5は、ヘッドスリーブ180の第2の孔部192とニードルシール200との間の隙間と、第2の孔部192とニードルシールホルダ210との間の隙間と、第3の孔部193とニードルシールホルダ210との間の隙間と、第4の孔部194内と、インナスリーブ140の内部の上端部と、接続部145と、により構成される。
【0156】
このように構成された接続器具10では、シリンジ接続具100を容器接続具20に一方向に押し込むだけで、ストッパスリーブ230の第2の腕部232とシールキャップ60のロック用凹部67とにより、シリンジ接続具100と容器接続具20との内部に液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態においてヘッドスリーブ180と容器接続具20とをロックでき、かつ、係止部113とシールキャップ基部61の下端とにより、シリンジ接続具100と容器接続具20とをロックできる。
【0157】
すなわち、シリンジ接続具100と容器接続具20との接続の操作と、液体流路L1と気体流路L2とが形成された状態において、シリンジ接続具100から容器接続具20が分離されることを防止するロック操作とを、シリンジ接続具100を容器接続具20に対して一方向に押すという1つの操作で達成することができる。接続の解除とロック解除とも、外郭体用胴部117のロック解除用突起129により、同様に、操作部155を押圧し、シリンジ接続具100を容器接続具20から一方向に引き抜くという1つの操作で達成することができる。
【0158】
このように、シリンジ接続具100と容器接続具20との接続とロックとを、連続する1つの操作で達成でき、かつ、シリンジ接続具100と容器接続具20とのロックの解除と接続の解除とを、連続する1つの操作で達成できるので、シリンジ接続具100を容器接続具20に接続してロックする操作、並びに、ロック及び接続を解除する操作を簡単にすることができる。
【0159】
さらに、シリンジ接続具100を底づきするまで容器接続具20に押し込むだけでよいので、操作が簡単である。さらに、作業者は、シリンジ接続具100の操作量、換言するとシリンジ接続具100の押し込み量を考慮する必要がないので、操作が簡単である。
【0160】
さらに、シリンジ接続具100に空気袋160が設けられることにより、接続器具10の使用に伴うランニングコストが増大することを防止できる。この点について、具体的に説明する。1つのシリンジ6に、複数の容器5から薬剤を採取する場合がある。容器接続具20は、容器5に固定されて薬液が採取されると、容器5から分離されることなく廃棄される。この為、接続器具10は、その使用において、シリンジ接続具100の廃棄される数に対して容器接続具20の廃棄される数が多くなる傾向にある。この為、使用者は、シリンジ接続具100に対して、容器接続具20の購入個数が多くなる傾向にある。
【0161】
しかしながら、本実施形態のように空気袋160をシリンジ接続具100に設けることにより、空気袋160の分、容器接続具20のコストを低減できるので、接続器具10の使用に伴うランニングコストが増大することを防止できる。
【0162】
さらに、空気袋160が空気袋160よりも硬質の空気袋収納部150内に収納されることにより、薄膜に形成された空気袋160が異物に接触することで破れたりすることを防止できる。この場合、空気袋収納部150は、透明又は半透明の樹脂材料を用いる、または、空気袋収納部150の壁面の一部に開口部や透明の窓部を設けることで、空気袋収納部150内の空気袋160の形状が見えるようにしておけば、圧力調整機構が正常に作動していることを作業者が視認することができる。
【0163】
さらに、ストッパスリーブ230の第1の腕部231とロック用突起128とにより、シリンジ接続具100から容器接続具20が分離された状態において、シリンジ接続具100内の液体流路となるニードル170と気体流路となる部分L5とがシールされた状態をロックすることができる。
【0164】
この為、シリンジ6への薬液の採取後、シリンジ接続具100から容器接続具20を分離した後に、シリンジ接続具100内の液体流路となるニードル170と気体流路となる部分L5とから薬液が外部に漏れ出ることを防止できる。
【0165】
さらに、第1の腕部231とロック用突起128とのロックは、容器接続具20のシールキャップ60の外周面である円錐面62aにより、シリンジ接続具100を容器接続具20に押し込む操作により解除できる。
【0166】
この為、第1の腕部231とロック用突起128のとのロックの解除操作と、シリンジ接続具100と容器接続具20との接続操作と、第2の腕部232とロック用凹部67とのロック操作と、を1連の1つの操作で達成できる。この為、接続器具10の操作を簡単にすることができる。
【0167】
なお、気体流路L2には、空気袋160内への薬液の侵入を防止するための気液分離フィルタを設けてもよい。また、外郭体110とヘッドスリーブ180との間に、ヘッドスリーブ180を下方に移動するよう付勢する、ばね等の付勢部材が設けられてもよい。この付勢部材により、シリンジ接続具100から容器接続具20を分離する際に、ヘッドスリーブ180がスムーズに移動するようになるので、シリンジ接続具100を移動する際の力を小さくすることができる。なお、本実施形態では、筒状の一例として、円筒が用いられた。例えば、外郭体本体111、インナスリーブ140、ヘッドスリーブ180、シールキャップ60等が円筒状に形成されている。しかしながら、これらは、円筒に限定されない。例えば、軸線に直交する断面が矩形状となる筒状や、軸線に直交する多角形となる筒状であってもよい。または、本実施形態では、容器キャップ本体40が円柱状に形成されているが、これに限定されない。例えば、軸線に直交する断面が多角形となる柱状であってもよい。また、容器シール70は、周面が蛇腹状に形成された円筒状であるが、これに限定されない。容器シール70は、容器キャップ本体40の形状に応じて、軸線に直交する断面が例えば矩形状に形成されてもよい。
【0168】
次に、本発明の第2の実施形態に係る接続器具10Aを、図21乃至図35を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0169】
図21は、接続器具10Aに用いられる容器接続具20Aとシリンジ接続具100Aとが接続された状態を示す斜視図である。なお、図21に示された接続器具10Aは、液体流路L1及び気体流路L2が形成された状態である。図21に示された状態の接続器具10Aに、図1と同様に容器5及びシリンジ6が接続されることにより、接続器具10Aにより、容器5及びシリンジ6が接続される。図22は、接続器具10Aに用いられる容器接続具20Aとシリンジ接続具100Aとを接続する動作の途中の状態を示す断面図である。図22では、液体流路L1と気体流路L2とは、形成されていない。図23は、容器接続具20Aの要部を示す斜視図である。図23は、具体的には、容器接続具20Aに用いられる容器キャップ30Aを示す斜視図である。図24は、容器接続具20Aに用いられる疎水フィルタ300を示す平面図である。
【0170】
図25は、容器接続具20Aに用いられるシールピン310を示す正面図である。図26は、シールピン310の平面図である。図27は、シールピン310の下面図である。図28は、容器接続具20Aに用いられるシールキャップ60Aを示す平面図である。図29は、容器接続具20Aに用いられる容器シール70Aを示す側面図である。図30は、容器シール70Aを示す斜視図である。図31は、シリンジ接続具100Aに用いられるニードルホルダ122Aを斜視図である。図32は、シリンジ接続具100Aに用いられるインナスリーブ140Aを示す斜視図である。
【0171】
図33は、シリンジ接続具100Aに用いられるヘッドスリーブ180Aを示す断面図である。図34は、シリンジ接続具100Aに用いられるニードルシール200Aを示す斜視図である。図35は、シリンジ接続具100Aと容器接続具20Aとを接続する動作の途中の状態を示す断面図である。図35では、液体流路L1及び気体流路L2が形成されていない。
【0172】
接続器具10Aは、図21乃至図22に示すように、容器5に固定可能に形成された容器接続具20Aと、シリンジ6のバレル7に固定可能に形成され、かつ、容器接続具20Aに着脱可能に固定されるシリンジ接続具100Aと、を有している。
本実施形態では、一例として、容器5を下方に配置し、シリンジ6を上方に配置した状態に基づいて、接続器具10Aに上下方向を設定する。なお、容器接続具20Aの後述する容器キャップ30Aの軸方向とシールキャップ60Aの軸方向が上下方向に平行となり、シリンジ接続具100の後述する外郭体本体111の軸方向が上下方向と平行となる。
【0173】
まず、容器接続具20Aについて説明する。図21乃至図30に示すように、容器接続具20Aは、容器5に固定可能に形成された容器キャップ30Aと、容器キャップ30A上に配置された疎水フィルタ300と、疎水フィルタ300上に配置されたシールピン310と、容器キャップ30Aに固定されたシールキャップ60Aと、シールキャップ60Aに設けられた容器シール70Aと、を有している。
【0174】
容器キャップ30Aは、容器5内とバレル7内とを連通して液体(薬液)が流動可能な液体流路L1の一部を構成する液体流路形成部L3と、容器5内と後述する圧力調整部となる空気袋160内とを連通し、空気が流動可能な気体流路L2の一部を構成する気体流路形成部L4と、を有している。
【0175】
図22及び図23に示すように、容器キャップ30Aは、具体的には、容器5に固定可能に形成された容器固定部31Aと、容器キャップ本体40Aと、容器5内に挿入可能に形成されたニードル部50Aと、を有している。
容器固定部31Aは、ニードル部50Aが容器5の口部の栓にさし込まれて、液体流路形成部L3と気体流路形成部L4とが容器5内に連通した状態で容器5に固定可能に構成されている。容器固定部31Aにより、容器キャップ本体40Aが容器5に固定される。容器固定部31Aは、例えば、容器5を、2つの係合部252により挟持することにより、固定可能に構成されている。容器固定部31Aは、具体的には、容器キャップ本体40Aに一体に形成された基部250、基部250に形成された2本の腕部251、2本の腕部251のそれぞれに形成され、容器5に係合可能な係合部252を有している。
【0176】
基部250は、容器キャップ本体40Aの下端部に設けられている。基部250は、容器キャップ本体40Aのよりも広い面積を有する板状に形成されており、容器キャップ本体40Aに対して容器キャップ本体40Aの軸方向に直交する方向に延出している。容器キャップ本体40Aは、例えば、容器キャップ本体40Aの軸方向に直交する板状の形成されている。基部250の中央に、容器キャップ本体40Aが配置されている。
【0177】
腕部251は、基部250の両端に、それぞれ形成されている。腕部251は、基部250に対して上方に延びた第1の腕部形成部251a、第1の腕部形成部251aの上端から基部250よりも下方まで延びた第2の腕部形成部251b、及び、第2の腕部形成部251bの下端から、ニードル部50A側まで延びた第3の腕部形成部251cを有している。
【0178】
腕部251は、第2の腕部形成部251b、第3の腕部形成部251c、及び係合部252が、第1の腕部形成部251a及び第2の腕部形成部251bの間の屈曲部を回動中心として、回動可能に形成されている。
【0179】
係合部252は、第3の腕部形成部251cの、容器キャップ本体40A側の先端に形成されている。係合部252は、容器キャップ本体40Aの軸線に沿って延びる形状に形成されている。係合部252は、具体的には、容器キャップ本体40Aの軸線に直交する断面が、ニードル部50A側に開口するV字状に形成されている。係合部252は、その上端部252aで容器5の例えば首部を挟持することにより、容器5に係合される。
【0180】
また、係合部252は、容器キャップ本体40側の面252bが、容器5を上端部252aまで案内する案内面に形成されている。また、面252bは、上下方向に対して、下方側が容器キャップ本体40Aの軸線から離れるように、傾斜している。係合部252の容器キャップ本体40Aの軸線に直交する切断面に沿う断面が、V字形状に形成されるので、一方の係合部252の面252bは2点で容器5に接触し、他方の係合部252の面252bも2点で容器5に接触する。この為、容器5は、2つの係合部252により、4点で接触される。なお、第1の実施形態においても、容器固定部31に代えて、容器固定部31Aが用いられてもよい。
【0181】
容器キャップ本体40Aは、複数の径を有する円柱状に形成されている。容器キャップ本体40Aは、上部を構成する容器キャップ用小径部41、上下方向の中途部を構成する容器キャップ用中径部42、及び、下部を構成する容器キャップ用大径部43を有している。なお、本実施形態では、容器キャップ用小径部41は、容器キャップ用中径部42よりも若干小さい径を有している。
【0182】
容器キャップ本体40Aの上面には、容器キャップ本体40Aの軸線に対して径方向外側にずれた位置に、他の部分に対して突出する突出部46が一体に形成されている。突出部46は、その軸線が容器キャップ本体40Aの軸線と平行となる円筒状に形成されている。容器キャップ本体40A内には、図22に示すように、液体流路形成部L3の一部L6が形成されている。一部L6は、突出部46の内側と連通している。また、液体流路形成部L3の一部L6は、容器キャップ本体40Aの下端まで延びている。
【0183】
なお、本実施形態では、液体流路形成部L3の一部L6は、後述するニードル部50A内に形成された流路形成部L3の一部L8と連通する為に、容器キャップ本体40Aの径方向にずれて配置された2つの部分により構成されている。この2つの部分のうち、上方に配置された部分L6aに対して、下方に配置された部分L6bは、容器キャップ本体40Aの軸線側にずれた位置に配置されている。部分L6a及び部分L6bは、その一部が、容器キャップ本体40Aの径方向に連通している。部分L6a及び部分L6bは、軸線が容器キャップ本体40Aの軸線に平行な孔である。
【0184】
図23に示すように、容器キャップ本体40Aの上面の、突出部46以外の部分の一部には、凹部47が形成されている。凹部47の一部を構成している。凹部47は、気体流路L2の他の部位に対して、流路断面積を大きくするべく、形成されている。凹部47は、上面の他の部分に対して凹む形状に形成されている。凹部47は、本実施形態では、平面視で容器キャップ本体40Aの軸線を中心とする円弧に沿う形状、具体的には三日月状に形成されており、その周方向の両端が突出部46の近傍まで延びている。凹部47の断面積は、気体流路L2において凹部47の両側の部分の断面積に対して大きい。
【0185】
容器キャップ本体40Aの内部に、図22に示すように、気体流路形成部L4の一部L7が形成されている。気体流路形成部L4の一部L7は、凹部47の底面から容器キャップ本体40Aの下端まで、容器キャップ本体40Aの軸線に平行に延びている。気体流路形成部L4の一部L7は、その軸線が容器キャップ本体40Aの軸線に平行な孔である。
【0186】
ニードル部50は、基部250から容器キャップ本体40Aの軸線に平行に下方に延びている。ニードル部50は、容器キャップ本体40と例えば同軸に配置されている。ニードル部50は、その下端、換言すると容器5内に挿入される際に先端となる部分は、鋭頭に形成されている。
【0187】
ニードル部50Aには、液体流路形成部L3の一部L8、及び気体流路形成部L4の一部L9が形成されている。液体流路形成部L3の一部L8は、液体流路形成部L3の一部L6と連通している。液体流路形成部L3の一部L6は、ニードル部50Aの下端面に開口している。液体流路形成部L3の一部L6の下方の部分L6b、及び一部L9は、例えば、断面形状が軸方向に一定な孔である。
【0188】
なお、ニードル部50Aの、流路形成部L3の一部L8の下端は、気体流路形成部L4の一部L9の下端よりも、上方に配置されている。これは、接続器具10Aに対して容器5が上方に配置されるように接続器具10A、容器5、及びシリンジ6を傾けた際に、容器5の首部側に溜まった薬液を液体流路形成部L3の一部L8に導くことを可能とする為である。
【0189】
気体流路形成部L4の一部L9は、気体流路形成部の一部L7に連通し、ニードル部50Aの下端に開口している。気体流路形成部L4の一部L7,L9は、例えば、凹部47の底面からニードル部50Aの下端まで延びた、断面形状が軸方向に一定な孔である。
【0190】
疎水フィルタ300は、容器キャップ本体40Aの上面上に配置される。疎水フィルタ300は、液体を通さず、気体を通す性質を有する材料から形成されている。疎水フィルタ300は、例えばテフロン(登録商標)から形成されている。疎水フィルタ300は、この性質を有するため、薬液を通さず、空気は通す。
【0191】
疎水フィルタ300は、図24に示すように、容器キャップ本体40Aと同じ外径を有する、薄い円板状に形成されている。疎水フィルタ300は、容器キャップ本体40Aの上面に、当該上面と同軸に配置された状態において突出部46を内側に配置する孔301を有している。孔301は、突出部46と同径または若干大きい径を有している。疎水フィルタ300は、孔301内に突出部46を配置し、かつ、容器キャップ本体40Aと同軸に配置されると、凹部47の上端開口を塞ぐ。
【0192】
疎水フィルタ300は、容器キャップ本体40A及びシールピン310間に挟持されることにより、固定される。なお、疎水フィルタ300は、容器キャップ本体40Aの上面に溶着により固定されてもよい。
【0193】
シールピン310は、図22に示すように、疎水フィルタ300上に配置されている。シールピン310は、容器キャップ本体40Aと同径の円柱状に形成されている。シールピン310には、内部に突出部46を配置可能な孔311、及び、疎水フィルタ300を挟んで凹部47に対向する孔312を有している。
【0194】
孔311は、突出部46が嵌合する大きさを有している。図25及び図26に示すように、孔311の上部313は、若干拡径しており、容器シール70Aの一部を配置可能に形成されている。図25及び図27に示すように、孔312の下部315は、凹部47と同形状に形成されている。すなわち、孔312の下部315は、円弧に沿う形状に形成されている。孔312の下部315は、その縁が、シールピン310が図22に示すように疎水フィルタ300上に配置された状態において疎水フィルタ300を挟んで容器キャップ本体40Aの軸方向に凹部47の縁と重なる。
【0195】
孔312の上部314は、容器シール70Aの一部を配置可能な、断面が例えば円形の孔に形成されている。孔312の中途部は、例えば上部314より小径な孔に形成されている。
【0196】
シールキャップ60Aは、図22に示すように、容器キャップ本体40A、疎水フィルタ300、シールピン310、及び容器シール70Aを内側に収納する筒状に形成されており、その下端が容器キャップ用大径部43に当接する位置で、容器キャップ本体40に固定されている。また、シールキャップ60Aは、シリンジ接続具100Aの後述する外郭体110とストッパスリーブ230とのロックを解除可能に、かつ、ストッパスリーブ230とロック可能に形成されている。
【0197】
シールキャップ60Aは、具体的には、複数の外径を有する円筒状に形成されている。シールキャップ60Aの内周面66Aと容器キャップ本体40Aの外周面との間には、シールキャップ60Aの下端から気体が漏れることを防止可能なシールが形成されている。
【0198】
本実施形態では、シールキャップ60Aは、容器キャップ用中径部42が嵌合する円筒状に形成されている。シールキャップ60A内に容器キャップ用中径部42が嵌合することにより、シールがなされる。なお、シールは、上記に限定されない。他の例としては、シールとしてOリングが設けられてもよい。
【0199】
シールキャップ60Aは、円筒状のシールキャップ基部61と、シールキャップ基部61上に形成されたシールキャップ用中径部62と、シールキャップ用中径部62上に形成されたシールキャップ用小径部63と、を有している。
シールキャップ基部61の外周面には、図21に示すように、容器接続具20Aの、シリンジ接続具100Aの外郭体110内での上下方向の移動を案内する第1の案内用突起65が形成されている。第1の案内用突起65は、本実施形態では1つ形成されている。
【0200】
シールキャップ用小径部63は、シールキャップ用中径部62の上端よりも小径に形成されている。シールキャップ用小径部63は、シリンジ接続具100Aの後述するヘッドスリーブ180A内に嵌合可能な円筒状に形成されている。
シールキャップ用小径部63の開口68は、シールピン310より小径な円形に形成されている。すなわち、シールキャップ60Aの内周面66Aは、下端から上端近傍までの範囲が、容器キャップ用中径部42の外周面との間に嵌合によるシールを形成可能な径を有しており、上端部近傍から上端までの範囲が小径に形成されている。開口68の縁部68aは、シールピン310との間に容器シール70Aを挟持可能に構成されている。
【0201】
容器シール70Aは、シールピン310、シールキャップ60Aの縁部68aの間に配置されている。容器シール70Aは、ゴムやエラストマー等の樹脂から形成されており、可撓性を有している。また、シリンジ接続具100Aの後述するニードル170及び気体用ニードル170Aが挿入されることにより形成された孔を、ニードル170及び気体用ニードル170Aが移動した後に復元力により液密及び気密に塞ぐことが可能に形成されている。
【0202】
容器シール70Aは、シールキャップ60A内に嵌合するシール大径部76と、シール大径部76の上面に形成され、開口68に嵌合するシール小径部77と、を有している。
図29及び図30に示すように、シール大径部76は、シールキャップ60Aの内周面66Aとの間を、気密且つ液密にシール可能に形成されている。シール大径部76は、具体的には、シールキャップ60Aの内径よりも若干大きい外径を有する円柱状に形成されている。
【0203】
シール大径部76は、シールキャップ60Aの開口68の縁部68aに接触し、シール大径部76及び縁部68aの間を気密かつ液密にシール可能に形成されている。シール大径部76は、具体的には、軸方向に、シールピン310から縁部68aまでの長さより若干長く形成されている。
【0204】
シール大径部76の下端面には、図22に示すように、シールピン310の孔311の上部313内に嵌合する第1の嵌合部78と、シールピン310の孔312の上部314内に嵌合する第2の嵌合部79と、を有している。
第1の嵌合部78は、図29及び図30に示すように、孔311の上部313の内周面との間を液密且つ気密にシール可能に形成されている。第1の嵌合部78は、具体的には、孔311の上部313の内径よりも若干大きい外径を有する円柱状に形成されている。第1の嵌合部78の下端面78aには、円形の窪み78bが形成されている。
【0205】
第2の嵌合部79は、孔312の上部314の内周面との間を気密且つ液密にシール可能に形成されている。第2の嵌合部79は、具体的には、孔312の上部314の内径よりも若干大きい外径を有する円柱状に形成されている。第2の嵌合部79の下端面79aには、円形の窪み79bが形成されている。
【0206】
また、第1の嵌合部78の軸方向の長さは、孔311の上部313の軸方向の長さよりも短い。第2の嵌合部79の軸方向の長さは、孔312の上部314の軸方向の長さよりも短い。この為、図22に示すように、第1の嵌合部78及び第2の嵌合部79を、シール大径部76がシールピン310の上端に接触するまで、孔311,312内に挿入することが可能となる。シール大径部76の下端面76aは、孔311の縁に接触することにより、シール大径部76の下端面76a及び孔311の縁の間を気密かつ液密にシールする。シール大径部76の下端面76aは、孔312の縁に接触することにより、下端面76a及び孔312の縁の間を気密かつ液密にシールする。
【0207】
シール小径部77は、開口68の内周面との間を気密かつ液密にシール可能に形成されている。シール小径部77は、具体的には、開口68の内径よりも若干大きい外径を有する円柱状に形成されている。シール小径部77の上端面77aは、図29に示すように、上方に突出する曲面に形成されている。
【0208】
次に、シリンジ接続具100Aについて説明する。シリンジ接続具100Aは、図22に示すように、外郭体110と、空気袋160と、ニードル170と、外郭体110内に固定された気体用ニードル170Aと、外郭体110内に移動可能に収納され、内側にニードル170の一部を収納する筒状のヘッドスリーブ180Aと、ヘッドスリーブ180Aに固定されたニードルシール200Aと、ヘッドスリーブ180Aを外郭体110に選択的に固定可能に、かつ、ヘッドスリーブ180Aと容器接続具20Aとを選択的に固定可能に形成されたストッパスリーブ230と、を有している。
【0209】
外郭体110は、外郭体本体111と、空気袋収納部150と、外郭体本体111を容器接続具20Aに着脱可能に係止可能な係止部113と、を有している。
外郭体本体111は、外郭体用天井壁部114と、シリンジ固定部115と、ニードル固定部116と、外郭体用胴部117と、外郭体本体111内に固定されたインナスリーブ140Aと、を有している。
【0210】
外郭体用天井壁部114は、例えば、円板状に形成されている。外郭体用天井壁部114の中心から径方向外側にずれた位置には、孔114aが形成されている。孔114aは具体的には、外郭体用天井壁部114の中心に対して空気袋収納部150の反対側にずれた位置に配置されている。外郭体用天井壁部114の下面には、他の部位に対して下方に突出するニードル固定部116が形成されている。ニードル固定部116は、円柱状に形成されている。
【0211】
シリンジ固定部115は、外郭体用天井壁部114の孔114aと連通している。シリンジ固定部115は、図22及び図31に示すように、シリンジ固定部本体120と、シリンジ固定部用突出部121と、を有している。シリンジ固定部本体120は、本実施形態では、孔114aと同軸に配置されている。シリンジ固定部用突出部121は、例えば複数形成されている。ニードル固定部116は、孔114aと連通している。
【0212】
本実施形態では、シリンジ固定部115と、外郭体用天井壁部114の一部と、ニードル固定部116とは、外郭体本体111の他の部分とは別部材となるニードルホルダ122Aにより形成されている。換言すると、外郭体本体111にニードルホルダ122Aを取り付けることにより、外郭体用天井壁部114とシリンジ固定部115とニードル固定部116とが構成される。
【0213】
具体的には、外郭体用天井壁部114は、ニードルホルダ122Aの一部を収納可能な孔123が形成されている。孔123の内周面は、その軸方向に2つの内径を有している。孔123の下部は、大径に形成されている。
ニードルホルダ122Aは、基部124Aと、シリンジ固定部115と、ニードル固定部116と、を有している。基部124Aは、ニードル固定部116より大径であり、シリンジ固定部115よりも小径に形成されている。基部124Aは、孔123に収容される。基部124Aは、インナスリーブ140Aの上端に支持されることにより、孔123内に、孔123の軸方向に平行な回転中心線回りに回転可能に保持される
図31に示すように、基部124Aには、ニードルホルダ122Aを、シリンジ固定部115の軸線回りに一方向のみの回転を許容し、反対方向の回転を規制可能とするラチェットの一部を構成する腕部320が形成されている。ラチェット機構により許容されるニードルホルダ122Aの回転方向は、シリンジ固定部115からシリンジ6を取り外すべくシリンジ6をシリンジ固定部115に対して回転する方向である。
【0214】
腕部320は、例えば複数形成されており、具体的には2本形成されている。腕部320は、円弧状に形成されており、その一端が基部124Aの外周面に固定されている。換言すると、腕部320は、基部124Aの外周面から径方向外側に突出している。腕部320は、基部124Aの径方向に基部124Aの外面との間に隙間321を有している。腕部320は、隙間321により、基部124Aの径方向にたわむことが可能となる。
【0215】
孔123の内周面には、図22に示すように、シリンジ6をシリンジ固定部115に固定するべくシリンジ6をシリンジ固定部115に対して回転する方向に腕部320の他端に当接する凸部123aが形成されている。凸部123aの孔123の軸線側の面は、孔123の内周面に連続する曲面に形成されており、シリンジ6をシリンジ固定部115から取り外すべくシリンジ6をシリンジ固定部115に対して回転する方向に沿う腕部320の回転を許容する。
【0216】
第1の案内溝126は、ニードル170がヘッドスリーブ180Aの外郭体110内での移動方向に孔311に並び、かつ、気体用ニードル170Aが、ヘッドスリーブ180Aの外郭体110内での移動方向に孔312に並ぶ位置に、容器接続具20Aを位置決めする。
【0217】
すなわち、第1の案内溝126内に第1の案内用突起65が収容されると、ニードル170が、ヘッドスリーブ180Aの外郭体110内での移動方向に孔311に並び、気体用ニードル170Aが、ヘッドスリーブ180Aの外郭体110内での移動方向に孔312に並ぶ。
【0218】
また、本実施形態では、外郭体本体111の外郭体用胴部117には、付勢部118が形成されている。付勢部118は、シールキャップ60Aのロック用凹部67に係合しているストッパスリーブ230の第2の腕部232を、ロック用凹部67との係合方向に押圧可能に構成されている。すなわち、付勢部118は、第2の腕部232を付勢することにより、第2の腕部232とロック用凹部67との係合を強固にすることが可能に構成されている。
【0219】
付勢部118は、具体的には、外郭体用胴部117において、下端に配置された状態のストッパスリーブ230の第2の腕部232に対向する位置に形成された孔117bの縁部に設けられている。
【0220】
インナスリーブ140Aは、外郭体本体111内の上端部固定されており、気体流路L2の一部を構成している。インナスリーブ140Aは、具体的には図32に示すように、外郭体本体111内に嵌合するインナスリーブ本体148と、接続部145と、を有している。
【0221】
インナスリーブ本体148は、外郭体本体111内に嵌合する円柱状に形成されている。インナスリーブ本体148には、ニードル固定部116を回転可能に配置する孔148aが形成されている。
インナスリーブ本体148内には、気体流路L2の一部L10が形成されている。気体流路L2の一部L10は、接続部145内に連通している。また、インナスリーブ本体148は、気体用ニードル170Aを固定可能な気体用ニードル固定部148bが形成されている。気体用ニードル固定部148bは、気体用ニードル170Aが嵌合することにより固定される孔である。気体用ニードル固定部148bは、気体流路L2の一部L10に連通している。
【0222】
接続部145は、インナスリーブ本体148に一体に形成されている。
このように形成されたインナスリーブ140Aは、インナスリーブ本体148の上面を外郭体用天井壁部114の下面に面接触させ、孔148a内にニードル固定部116の一部を収納し、かつ、外郭体用胴部117の連通孔125内に接続部145の一部を収納した状態で、外郭体110内に、嵌合により固定されている。なお、インナスリーブ140Aは、例えば接着剤により、外郭体110に固定されてもよい。
【0223】
気体用ニードル170Aは、気体を流動可能に構成されている。気体用ニードル170Aは、ニードル170と同様の構成を有している。気体用ニードル170Aにおいてニードル170と同様の機能を有する構成は、ニードル170と同一の符号を付して説明を省略する。気体用ニードル170Aは、その端部がインナスリーブ140Aの気体用ニードル固定部148bに固定されている。
【0224】
気体用ニードル170Aの孔172の上下方向の位置は、ニードル170の孔172の上下方向の位置と同じ位置に配置されている。また、本実施形態では、気体用ニードル170Aの下端の上下方向の位置は、ニードル170の下端の上下方向の位置と同じ位置に配置されている。この為、後述するように、気体用ニードル170Aは、ヘッドスリーブ180の外郭体110内の移動に伴って、ニードルシール200Aを、ニードル170と同じタイミングで貫通する。さらに、気体用ニードル170Aの孔172は、ニードル170と同じタイミングで、容器シール70A内に侵入する。
【0225】
ニードル170及び気体用ニードル170Aは、ヘッドスリーブ180Aが外郭体本体111内での移動範囲の下端に配置された状態では、下端がニードルシール200A内に配置される長さを有している。すなわち、孔172がニードルシール200A内に配置され、孔172がニードルシール200Aによりシールされる長さを有している。
【0226】
また、ニードル170は、ヘッドスリーブ180Aが、外郭体本体111内での移動範囲の上端に配置された状態では、孔172がシールピン310の孔311内に配置される長さを有している。気体用ニードル170Aは、ヘッドスリーブ180Aが、外郭体本体111内での移動範囲の上端に配置された状態では、孔172がシールピン310の孔312内に配置される長さを有している。
【0227】
ヘッドスリーブ180Aは、外郭体本体111内を移動可能な筒形状に形成されている。ヘッドスリーブ180Aは、ヘッドスリーブ本体181と、第2の案内用突起182と、を有している。ヘッドスリーブ本体181は、本実施形態では、外郭体用胴部117の内周面に移動可能に嵌合する円筒状に形成されている。
【0228】
ヘッドスリーブ本体181内の孔190Aは、複数の内径を有する孔に形成されている。図33に示すように、孔190Aは、その下部に形成された、孔190Aの下端開口を含む第1の孔部191Bと、第1の孔部191Bの上方に形成された第2の孔部192Aと、第2の孔部192の上方に形成され、孔190Aの上端開口を含む第3の孔部193Aと、を有している。第1の孔部191Bは、第2の孔部192Aに連通する。第2の孔部192Aは、第3の孔部193Aに連通する。孔部191B,192A,193Aは、同軸に配置されている。
【0229】
第1の孔部191Bは、シールキャップ60Aのシールキャップ用小径部63を配置可能に形成されている。第1の孔部191Bは、本実施形態では、一例として、シールキャップ用小径部63が嵌合可能に形成されている。第1の孔部191Bの内周面191aは、軸方向に直交する断面が円に形成されている。第1の孔部191Bは、下端に向かって漸次拡径する。換言すると、第1の孔部191Bの内周面191aは、円錐面に形成されている。第2の孔部192Aは、第1の孔部191Bよりも小径に形成されている。第3の孔部193Aは、第2の孔部192Aより大径に形成されている。
【0230】
ニードルシール200Aは、図22に示すように、孔190A内に固定されている。ニードルシール200Aは、ゴムやエラストマー等の樹脂から形成されており、ニードル170及び気体用ニードル170Aにより形成された孔を、ニードル170及び気体用ニードル170Aが移動した後に、復元力により液密にかつ気密にシール可能に形成されている。
【0231】
ニードルシール200Aは、具体的には、図34に示すように、第1の孔部191B内に配置されたニードルシール大径部206と、ニードルシール大径部206に一体に形成され、第2の孔部192A内に配置されたニードルシール小径部207と、ニードルシール小径部207に一体に形成され、第3の孔部193A内に配置されたニードルシール中径部208と、を有している。
【0232】
ニードルシール大径部206は、第2の孔部192Aの内径よりも大径な円柱状上に形成されている。ニードルシール大径部206は、具体的には、第1の孔部191Bの上端の内径よりも若干大きい外径を有する円柱状に形成されている。ニードルシール大径部206の下端面206aは、ニードルシール大径部206の軸線に直交する平面に形成されている。
【0233】
ニードルシール小径部207は、ニードルシール大径部206と同軸に配置されている。ニードルシール小径部207は、第2の孔部192Aの内径よりも小径な外径を有する円柱状に形成されている。ニードルシール中径部208は、ニードルシール小径部207と同軸に配置されている。ニードルシール中径部208は、第2の孔部192Aの内径よりも大径であり、第3の孔部193Aの内径より小径な円柱状に形成されている。
【0234】
なお、容器接続具20Aにおいて説明されなかった部分は、第1の実施形態の容器接続具20と同じである。また、シリンジ接続具100Aにおいて説明されなかった部分は、第1の実施形態のシリンジ接続具100と同じである。
【0235】
次に、容器接続具20Aに容器5を接続する動作を説明する。容器接続具20Aに容器5を接続する場合は、作業者は、容器5を、容器固定部31Aの2つの係合部252の面252b間に配置し、容器5の上端を2つの面252bに接触させる。このとき、容器5の上端は、2つの面252bにより、4点で接触される。作業者は、2つの面252bを容器5に接触させると、容器接続具20Aを容器5に対して押し下げる。
【0236】
容器接続具20Aが押し下げられることにより、容器5が面252bによって、係合部252の上端部252a側に案内される。このとき、2つの係合部252は、容器5により、容器キャップ本体40Aの軸線に直交する方向に沿って、互いに離間する方向に押圧される。
【0237】
このように係合部252が押圧されると、係合部252、第3の腕部形成部251c、及び第2の腕部形成部251bが、第1の腕部形成部251a及び第2の腕部形成部251bの間の屈曲部を回転中心として、回転する。腕部251は、このように回転すると、腕部251の弾性力により、初期位置側に向かって付勢される。容器5の首部が、2つの係合部252の上端部252aまで案内されると、2つの係合部252が容器5の首部に係合する。2つの係合部252が容器5に係合することによって、容器接続具20Aが容器5に固定される。
【0238】
次に、シリンジ接続具100Aと容器接続具20Aとを接続し、液体流路L1と気体流路L2とを形成する操作を、図21,35、及び第1の実施形態で用いた図面の一部を用いて説明する。なお、ストッパスリーブ230の第1の腕部231の動作と、第2の腕部232の動作は、第1の実施形態と同じである。
【0239】
シリンジ接続具100Aは、図14に示すように、容器接続具20Aに接続されていない状態では、ヘッドスリーブ180が外郭体110内の下端部に位置している。さらに、ストッパスリーブ230の第1の腕部231がロック用突起128に係合している。さらに、図16に示すように、ストッパスリーブ230の第2の腕部232は、外郭体用胴部117のロック解除用突起129に当接しており、第2の腕部用突起240がシールキャップ60のロック用凹部67との係合が解除される位置まで回転されている。第2の腕部232の一部は、ヘッドスリーブ180の第2の腕部収納凹部186内に収納されている。
【0240】
さらに、ニードル170の孔172が形成された部分と、気体用ニードル170Aの孔172が形成された部分とは、ニードルシール200A内に配置されている。すなわち、ニードル170の孔172と、気体用ニードル170Aの孔172とは、ニードルシール200Aによって密封され、気密かつ液密にシールされている。
【0241】
次に、図15及び図16と同様に、シールキャップ60Aのシールキャップ用小径部63を、ヘッドスリーブ180Aの第1の孔部191B内に挿入する。容器シール70Aの上端面77aがニードルシール200Aの下端面206aに密着するまでの間に、ストッパスリーブ230の第1の腕部231の第1の腕部用突起237の下端面238がシールキャップ用中径部62の円錐面62aに当接する。曲面に形成された容器シール70Aの上端面77aは、ニードルシール200Aの下端面206aに押圧されることにより変形し、下端面206aに密着する。
【0242】
この状態からさらにシリンジ接続具100Aを下げると、第1の腕部用突起237が円錐面62aに案内されて径方向外側に移動される。第1の腕部用突起237が径方向外側に移動されることに伴い、第1の腕部231が回転する。第1の腕部231は、容器シール70Aの上端面77aとニードルシール200Aの下端面206aとが密着する状態では、円錐面62aに案内されて、ロック用突起128との係合が解除される位置まで回転している。このとき、第1の腕部231の一部は、ヘッドスリーブ180の第1の腕部収納凹部185に収納される。第1の腕部231とロック用突起128との係合が解除されることにより、ヘッドスリーブ180は、外郭体本体内111を上方に移動可能な状態となる。
【0243】
第2の腕部232は、図16と同様に、容器シール70Aの上端面77aがニードルシール200Aの下端面206aに密着するまでシリンジ接続具100Aが下げられると、第2の腕部用突起240がロック用凹部67に対向する。
【0244】
シリンジ接続具100Aをさらに下げると、容器接続具20Aとヘッドスリーブ180Aとが、一体に外郭体本体111内を上方に移動する。ヘッドスリーブ180Aが外郭体本体111内を上方に移動すると、ニードル170及び気体用ニードル170Aがニードルシール200Aに対して下方に相対的に移動する。
【0245】
図35に示すように、シリンジ接続具100Aをさらに下げると、容器接続具20Aとヘッドスリーブ180Aとが、外郭体本体内111内をさらに上方移動することにより、ニードル170及び気体用ニードル170Aがニードルシール200Aを貫通し、容器シール70Aに突き刺さる。なお、ニードル170と容器シール70Aとの間は、容器シール70Aがニードル170に密着することにより、液密及び気密にシールされる。同様に、気体用ニードル170Aと容器シール70Aとの間は、容器シール70Aが気体用ニードル170Aに密着することにより、液密及び気密にシールされる。
【0246】
ニードル170及び気体用ニードル170Aがニードルシール200Aを貫通した状態では、ロック解除用突起129に対して第2の腕部232が上方に移動されている。この、ロック解除用突起129に対する第2の腕部232の上方への移動の過程で、第2の腕部232の面243の中央部243aにおけるロック解除用突起129の外郭体本体111の径方向内側にもっとも突出する中途部の当接位置が、下方に移動する。この当接位置の下方への移動により、第2の腕部用突起240を外郭体本体111の径方向外側へ付勢する付勢力が小さくなる。
【0247】
ニードル170及び気体用ニードル170Aがニードルシール200Aを貫通した状態では、第2の腕部232は、外郭体用胴部117のロック解除用突起129に当接することによる径方向内側への付勢が解除されており、連結部233の弾性力(復元力)と第2の腕部用突起240が第2の腕部232の下端部に当接することとにより、回転されて、第2の腕部用突起240がロック用凹部67に係合している。すなわち、ストッパスリーブ230とシールキャップ60Aとは、ニードル170がニードルシール200を貫通する前に、互いに固定されている。
【0248】
シリンジ接続具100Aをさらに下げると、図35に2点鎖線で示すようにニードル170及び気体用ニードル170Aが容器シール70Aを貫通して、ニードル170の孔172が、シールピン310の孔311内に配置され、気体用ニードル170Aの孔172が、シールピン310の孔312内に配置される。
【0249】
ニードル170の孔172が孔311内に配置されることによって、容器接続具20Aの液体流路形成部L3とニードル170とが連通する。液体流路形成部L3とニードル170とが連通することによって、液体流路L1が形成される。気体用ニードル170Aの孔172が孔312内に配置されることによって、容器接続具20Aの気体流路形成部L4と気体用ニードル170Aとが連通する。気体流路形成部L4と気体用ニードル170Aとが連通することによって、気体流路L2が形成される。
【0250】
シリンジ接続具100Aをさらに下げると、係止部113の係止部用爪部156がシールキャップ基部61の下端を乗り越えて、径方向内側に移動する。係止部用爪部156は、シールキャップ基部61の下端を乗り越えて径方向内側に移動することにより、シールキャップ60Aの下端の2つのシールキャップ用突起64の間の分部に係合可能な状態となる。すなわち、この状態から容器接続具20Aに対してシリンジ接続具100Aを引き上げると、係止部用爪部156がシールキャップ基部61の下端に係合し、この移動が規制されることとなる。
【0251】
シリンジ接続具100Aをさらに下げると、第1の案内用突起65が第1の案内溝126の上端に当接する。さらに、第2の案内用突起182が第2の案内溝127の上端に当接する。さらに、シールキャップ基部61のシールキャップ用突起64が外郭体用胴部117の下端に当接する。これらの当接により、ヘッドスリーブ180Aと容器接続具20Aとの外郭体本体111での移動が規制される。すなわち、シリンジ接続具100Aが所謂底づきとなる状態まで下げられたこととなる。
【0252】
作業者は、シリンジ接続具100Aが底づきまで下げられたことにより、液体流路L1と気体流路L2とが形成されたことを認識する。作業者は、シリンジ接続具100Aが底づきまで下げられると、シリンジ6を操作することにより、容器5から薬液を採取する。液は、液体流路L1を通って容器5からシリンジ6に移動される。
【0253】
次に、シリンジ接続具100Aから容器接続具20Aを分離する作業を説明する。作業者は、シリンジ接続具100Aから容器接続具20Aを分離する際には、係止部113の操作部155を、係止部用爪部156とシールキャップ基部61の下端との係合が解除される位置まで、径方向内側に向かって押圧する。
【0254】
次に、作業者は、シリンジ接続具100Aを引き上げる。ヘッドスリーブ180Aは、ストッパスリーブ230の第2の腕部232によりシールキャップ60Aに固定されている。この為、シリンジ接続具100Aが引き上げられると、ヘッドスリーブ180Aとニードルシール200Aとに対して、外郭体110とニードル170と気体用ニードル170Aとが上方に移動することとなる。
【0255】
ヘッドスリーブ180Aとニードルシール200Aとに対して、外郭体110とニードル170と気体用ニードル170Aとが上方に移動することにより、ニードル170と気体用ニードル170Aとが、容器シール70A内を上方に向かって移動する。シリンジ接続具100Aが所定距離引き上げられると、ニードル170と気体用ニードル170Aとが容器シール70Aから引き抜かれる。容器シール70Aは復元力により、ニードル170と気体用ニードル170Aにより形成された孔を液密及び気密にシールする。さらに、ニードル170の孔172は、ニードルシール200Aによりシールされる。気体用ニードル170Aの孔172は、ニードルシール200Aによりシールされる。
【0256】
また、ニードル170及び気体用ニードル170Aが容器シール70Aから引き抜かれた後、シリンジ接続具100Aをさらに所定距離引き上げると、外郭体用胴部117のロック解除用突起129によって第2の腕部232が回転されることにより、第2の腕部232の第2の腕部用突起240がロック用凹部67から径方向外側に移動し、第2の腕部用突起240とロック用凹部67との係合が解除される。すなわち、ストッパスリーブ230とシールキャップ60Aとの固定が解除される。
【0257】
この状態では、ニードル170の孔172が形成されている部分と、気体用ニードル170Aの孔172が形成されている部分とは、ニードルシール200A内に収納されており、両孔172がニードルシール200Aにより密封されている。ニードルシール200Aは、ニードル170及び気体用ニードル170Aにより形成された孔を、復元力により液密及び気密にシールする。
【0258】
なお、ニードル170の孔172と気体用ニードル170Aの孔172とは、同じタイミングで容器シール70Aから出て、同じタイミングでニードルシール200A内に収納される。
【0259】
このように、ニードル170の孔172がシールピン310の孔311から出ることにより、液体流路L1が分断され、液体流路L1のうちシリンジ接続具100A内に形成される部分となるニードル170がシールされ、液体流路L1のうち容器接続具20A内に形成される部分となる液体流路形成部L3がシールされることとなる。
【0260】
同様に、気体用ニードル170Aの孔172がシールピン310の孔312から出ることにより、気体流路L2が分断され、気体流路L2のうちシリンジ接続具100A内に形成される部分となる気体用ニードル170Aがシールされ、気体流路L2のうち容器接続具20A内に形成される部分となる気体流路形成部L4がシールされることとなる。
【0261】
シールキャップ60Aとヘッドスリーブ180との固定が解除された後、シリンジ接続具100Aをさらに引き上げると、ストッパスリーブ230の第1の腕部231に対してシールキャップ60Aが下方に移動する。第1の腕部231に対してシールキャップ60Aが下方に移動することにより、シールキャップ60Aの外周面による第1の腕部231に対する付勢が解除される。
【0262】
第1の腕部231は、シールキャップ60Aの外周面からの付勢が解除されると、連結部233の弾性力(復元力)により回転する。第1の腕部231は、回転することにより、図14に示すように、その上端がロック用突起128の下方に配置される。すなわち、第1の腕部231がロック用突起128と係合可能な状態となる。
【0263】
第1の腕部231がロック用突起128に係合可能な状態となることにより、ヘッドスリーブ180Aは、液体流路L1のうちシリンジ接続具100A内に形成された部分であるニードル170がシールされ、すなわち孔172がニードルシール200Aによりシールされ、かつ、気体流路L2のうちシリンジ接続具100A内に形成される部分である気体用ニードル170Aがシールされ、すなわち孔172がニードルシール200Aによりシールされた状態から、移動することが防止される。
【0264】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、本実施形態の接続器具10Aでは、気体流路L2は、気体用ニードル170A、シールピン310の孔312、及び気体流路形成部L4により構成される。また、気体用ニードル170Aの孔172、及びニードル170の孔172を、ニードルシール200Aによりシールする。
【0265】
この為、シリンジ接続具100Aを出荷する前の、液体流路L1のシリンジ接続具100A側の部分となるニードル170がシールされているか否か点検する、点検箇所は、ニードルシール200Aとなる。同様に、気体流路L2のシリンジ接続具100A側の部分となる気体用ニードル170Aがシールされているか否かを点検する箇所は、ニードルシール200Aとなる。このように、点検箇所を少なくできる。
【0266】
容器接続具20Aを出荷する前に、液体流路L1の容器接続具20A側の部分となる流路形成部L3がシールされているか否かを点検する点検箇所は、容器シール70Aとなる。同様に、気体流路L2のシリンジ接続具100A側の部分となる気体流路形成部L4がシールされているか否かを点検する点検箇所は、容器シール70Aとなる。このように、点検を少なくできる。
【0267】
さらに、気体流路L2中に疎水フィルタ300を設けることによって、容器5から流動する空気中に薬液が含まれても、この薬液は疎水フィルタ300によって、シリンジ接続具100A側に流動することが防止される。
【0268】
また、容器キャップ本体40Aの凹部47の断面積を、気体流路L2の凹部47を挟んで両側の部分の断面積よりも大きくすることによって、気体流路L2における疎水フィルタ300の面積を大きくできる。疎水フィルタ300において薬液が付着した部分は、空気を通さない。しかしながら、本実施形態では、気体流路L2における疎水フィルタ300の面積を大きくできるので、疎水フィルタ300の一部に薬液が付着しても、残りの部分で空気を通すことができる。このため、疎水フィルタ300が薬液の付着により空気を通すことができなくなる状態の発生を防止できる。
【0269】
次に本発明の第3の実施形態に係る接続器具10Bを、図36及び図37を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0270】
図36は、接続器具10Bが、容器5Aに接続された状態を示す断面図である。図37は、接続器具10Bを示す断面図である。接続器具10Bは、可撓性を有する軟質容器に用いられる。容器5Aは、軟質容器の一例である輸液バッグである。容器5Aは、可撓性を有しており、変形する余地を残した状態で内部に薬液などが注入されると、容積が増大することで内部の圧力を外部の圧力と同圧、または、略同圧に維持可能な容器である。容器5Aは、接続器具10Bに用いられる容器接続具20Bが固定される口部5A1と、口部5A1に連通する本体5A2と、を有している。
【0271】
口部5A1には、栓8が設けられている。栓8は、例えばゴムを材料として形成されている。栓8は、口部5A1を密閉している。本体5A2は、例えば樹脂材料で形成されており、可撓性を有している。本体5A2は、容器接続具20Bを通して内部に薬液が注入されると、容積を増大するように変形可能な可撓性を有している。なお、軟質容器の他の例としては、可撓性を有する輸液ボトルがある。
【0272】
図36及び図37に示すように、接続器具10Bは、容器5Aに固定された容器接続具20Bと、シリンジ6のバレル7に固定可能に形成され、かつ、容器接続具20Bに着脱可能に固定されるシリンジ接続具100Bと、を有している。
【0273】
本実施形態では、一例として、容器5Aを下方に配置し、シリンジ6を上方に配置した状態に基づいて、接続器具10Bに上下方向を設定する。なお、容器接続具20Bの後述する容器キャップ30Bの軸方向とシールキャップ60Aの軸方向が上下方向に平行となり、シリンジ接続具100Bの後述する外郭体本体111Aの軸方向が上下方向と平行となる。
【0274】
まず、容器接続具20Bについて説明する。容器接続具20Bは、容器5Aに固定される容器キャップ30Bと、シールピン310Aと、容器キャップ30Bに固定されたシールキャップ60Aと、シールキャップ60Aに設けられた容器シール70Aと、を有している。
【0275】
容器キャップ30Bは、容器5A内とバレル7内とを連通して液体(薬液)が流動可能な液体流路L1の一部を構成する液体流路形成部L3を有している。容器キャップ30Bは、具体的には、容器5Aに固定される容器キャップ本体40Bと、容器5A内に挿入されるニードル部50Bと、を有している。
【0276】
容器キャップ本体40Bは、複数の径を有する円柱状に形成されている。容器キャップ本体40Bは、上部を構成する容器キャップ用小径部41、上下方向の中途部を構成する容器キャップ用中径部42、及び、下部を構成する容器キャップ用大径部43を有している。なお、本実施形態では、容器キャップ用小径部41は、容器キャップ用中径部42よりも若干小さい径を有している。
【0277】
容器キャップ本体40Bの上面には、容器キャップ本体40Bの軸線に対して径方向外側にずれた位置に、他の部分に対して突出する突出部46が一体に形成されている。突出部46は、その軸線が容器キャップ本体40Bの軸線と平行となる円筒状に形成されている。容器キャップ本体40B内には、液体流路形成部L3の一部L6が形成されている。一部L6は、突出部46の内側と連通している。また、液体流路形成部L3の一部L6は、容器キャップ本体40Bの下端まで延びている。
【0278】
なお、本実施形態では、液体流路形成部L3の一部L6は、後述するニードル部50B内に形成された流路形成部L3の一部L8と連通する為に、容器キャップ本体40Bの径方向にずれて配置された2つの部分により構成されている。この2つの部分のうち、上方に配置された部分L6aに対して、下方に配置された部分L6bは、容器キャップ本体40Bの軸線側にずれた位置に配置されている。部分L6a及び部分L6bは、その一部が、容器キャップ本体40Aの径方向に連通している。部分L6a及び部分L6bは、軸線が容器キャップ本体40Bの軸線に平行な孔である。
【0279】
ニードル部50Bは、容器キャップ本体40Bの下端から容器キャップ本体40Bの軸線に平行に下方に延びている。ニードル部50Bは、容器キャップ本体40と例えば同軸に配置されている。ニードル部50Bは、その下端、換言すると容器5A内に挿入される際に先端となる部分は、鋭頭に形成されている。
【0280】
ニードル部50Bには、液体流路形成部L3の一部L8が形成されている。液体流路形成部L3の一部L8は、液体流路形成部L3の一部L6と連通している。液体流路形成部L3の一部L6は、ニードル部50Aの下端面に開口している。液体流路形成部L3の一部L6の下方の部分L6b、及び一部L8は、例えば、断面形状が軸方向に一定な孔である。
【0281】
シールピン310Aは、容器キャップ本体40B上に配置されている。シールピン310Aは、容器キャップ本体40Bと同径の円柱状に形成されている。シールピン310Aには、内部に突出部46を配置可能な孔311を有している。
【0282】
シールキャップ60Aは、容器キャップ本体40B、シールピン310A、及び容器シール70Aを内側に収納する筒状に形成されている。なお、本実施形態では、シールキャップとして、第2の実施形態で説明されたシールキャップ60Aが一例として用いられている。
【0283】
次に、シリンジ接続具100Bについて説明する。シリンジ接続具100Bは、外郭体110Aと、ニードル170と、外郭体110A内に移動可能に収納され、内側にニードル170の一部を収納する筒状のヘッドスリーブ180Aと、ヘッドスリーブ180Aに固定されたニードルシール200Aと、ヘッドスリーブ180Aを外郭体110Aに選択的に固定可能に、かつ、ヘッドスリーブ180Aと容器接続具20Bとを選択的に固定可能に形成されたストッパスリーブ230と、を有している。
【0284】
外郭体110Aは、外郭体本体111Aと、外郭体本体111Aを容器接続具20Bに着脱可能に係止可能な係止部113と、を有している。
外郭体本体111Aは、外郭体用天井壁部114と、シリンジ固定部115と、ニードル固定部116と、外郭体用胴部117Aと、を有している。
【0285】
外郭体用胴部117Aは、容器接続具20Bのシールキャップ基部61が移動可能に嵌合する円筒状に形成されている。外郭体用胴部117Aは、外郭体用天井壁部114と同軸に配置されている。外郭体用胴部117Aは、第2の実施形態で説明された外郭体用胴部117に対して、空気袋収納部150に連通する構成以外については、同様に構成されている。
【0286】
ヘッドスリーブ180Aは、外郭体本体111A内を移動可能な筒形状に形成されている。
【0287】
次に、容器接続具20Bに容器5Aを接続する動作を説明する。容器接続具20Bに容器5Aを接続する場合は、作業者は、容器5Aを、例えば口部5A1が本体5A2に対して上方に位置する姿勢にする。
【0288】
次に作業者は、容器接続具20Bのニードル部50Bの先端を口部5A1の栓8に当てる。次に、作業者は、容器キャップ本体40Bが口部5A1に当接するまで、ニードル部50Bを栓8にさし込む。
【0289】
容器キャップ本体40Bが口部5A1に当接するまでニードル部50Bがさし込まれると、ニードル部50Bの先端は、栓8を貫通して、本体5A2内に配置される。ニードル部50Bは、栓8がニードル部50Bにより形成された孔を塞ごうとする復元力により、口部5A1に保持される。容器接続具20Bは、ニードル部50Bが栓8に保持されることにより、容器5Aに固定される。
【0290】
次に、シリンジ接続具100Aと容器接続具20Aとを接続し、液体流路L1を形成する操作を説明する。
【0291】
シリンジ接続具100Bは、容器接続具20Bに接続されていない状態では、ヘッドスリーブ180Aが外郭体110A内の下端部に位置している。さらに、ストッパスリーブ230の第1の腕部231がロック用突起128に係合している。ストッパスリーブ230の第2の腕部232は、外郭体用胴部117のロック解除用突起129に当接しており、第2の腕部用突起240がシールキャップ60のロック用凹部67との係合が解除される位置まで回転されている。第2の腕部232の一部は、ヘッドスリーブ180Aの第2の腕部収納凹部186内に収納されている。
【0292】
さらに、ニードル170の孔172が形成された部分は、ニードルシール200A内に配置されている。すなわち、ニードル170の孔172は、ニードルシール200Aによって密封され、気密かつ液密にシールされている。
【0293】
次に、シールキャップ60Aのシールキャップ用小径部63を、ヘッドスリーブ180Aの第1の孔部191B内に挿入する。容器シール70Aの上端面77aがニードルシール200Aの下端面206aに密着するまでの間に、ストッパスリーブ230の第1の腕部231の第1の腕部用突起237の下端面238がシールキャップ用中径部62の円錐面62aに当接する。曲面に形成された容器シール70Aの上端面77aは、ニードルシール200Aの下端面206aに押圧されることにより変形し、下端面206aに密着する。
【0294】
この状態からさらにシリンジ接続具100Bを下げると、第1の腕部用突起237が円錐面62aに案内されて径方向外側に移動される。第1の腕部用突起237が径方向外側に移動されることに伴い、第1の腕部231が回転する。第1の腕部231は、容器シール70Aの上端面77aとニードルシール200Aの下端面206aとが密着する状態では、円錐面62aに案内されて、ロック用突起128との係合が解除される位置まで回転している。このとき、第1の腕部231の一部は、ヘッドスリーブ180Aの第1の腕部収納凹部185に収納される。第1の腕部231とロック用突起128との係合が解除されることにより、ヘッドスリーブ180Aは、外郭体本体内111Aを上方に移動可能な状態となる。
【0295】
第2の腕部232は、容器シール70Aの上端面77aがニードルシール200Aの下端面206aに密着するまでシリンジ接続具100Bが下げられると、第2の腕部用突起240がロック用凹部67に対向する。
【0296】
シリンジ接続具100Bをさらに下げると、容器接続具20Bとヘッドスリーブ180Aとが、一体に外郭体本体111A内を上方に移動する。ヘッドスリーブ180Bが外郭体本体111A内を上方に移動すると、ニードル170がニードルシール200Aに対して下方に移動する。
【0297】
シリンジ接続具100Bをさらに下げると、容器接続具20Bとヘッドスリーブ180Aとが、外郭体本体内111A内をさらに上方移動する。このことにより、ニードルシール200A内に配置されていたニードル170がニードルシール200Aを貫通し、容器シール70Aに突き刺さる。なお、ニードル170と容器シール70Aとの間は、容器シール70Aがニードル170に密着することにより、液密及び気密にシールされる。
【0298】
ニードル170がニードルシール200Aを貫通した状態では、ロック解除用突起129に対して第2の腕部232が上方に移動されている。この、ロック解除用突起129に対する第2の腕部232の上方への移動の過程で、第2の腕部232の面243の中央部243aにおけるロック解除用突起129の外郭体本体111の径方向内側にもっとも突出する中途部の当接位置が、下方に移動する。この当接位置の下方への移動により、第2の腕部用突起240を外郭体本体111の径方向外側へ付勢する付勢力が小さくなる。
【0299】
ニードル170がニードルシール200Aを貫通した状態では、第2の腕部232は、外郭体用胴部117のロック解除用突起129に当接することによる径方向内側への付勢が解除されており、連結部233の弾性力(復元力)と第2の腕部用突起240が第2の腕部232の下端部に当接することとにより、回転されて、第2の腕部用突起240がロック用凹部67に係合している。すなわち、ストッパスリーブ230とシールキャップ60Aとは、ニードル170がニードルシール200Aを貫通する前に、互いに固定されている。さらに、ニードル170がニードルシール200Aを貫通した状態においても、ストッパスリーブ230とシールキャップ60Aとの固定が維持されている。
【0300】
シリンジ接続具100Bをさらに下げると、ニードル170が容器シール70Aを貫通して、ニードル170の孔172が、シールピン310Aの孔311内に配置される。
【0301】
ニードル170の孔172が、孔311内に配置されることによって、容器接続具20Bの液体流路形成部L3とニードル170とが、孔311を介して連通する。液体流路形成部L3とニードル170とが連通することによって、液体流路L1が形成される。
【0302】
シリンジ接続具100Bをさらに下げると、係止部113の係止部用爪部156がシールキャップ基部61の下端を乗り越えて、径方向内側に移動する。係止部用爪部156は、シールキャップ基部61の下端を乗り越えて径方向内側に移動することにより、シールキャップ60Aの下端の2つのシールキャップ用突起64の間の分部に係合可能な状態となる。すなわち、この状態から容器接続具20Bに対してシリンジ接続具100Bを引き上げると、係止部用爪部156がシールキャップ基部61の下端に係合し、この移動が規制されることとなる。
【0303】
シリンジ接続具100Bをさらに下げると、第1の案内用突起65が第1の案内溝126の上端に当接する。さらに、第2の案内用突起182が第2の案内溝127の上端に当接する。さらに、シールキャップ基部61のシールキャップ用突起64が外郭体用胴部117の下端に当接する。これらの当接により、ヘッドスリーブ180Bと容器接続具20Bとの外郭体本体111Aでの移動が規制される。すなわち、シリンジ接続具100Bが所謂底づきとなる状態まで下げられたこととなる。
【0304】
作業者は、シリンジ接続具100Bが底づきまで下げられたことにより、液体流路L1が形成されたことを認識する。作業者は、シリンジ接続具100Bを底づきまで下げると、シリンジ6を操作することにより、容器5Aに薬液を注入する。液は、液体流路L1を通って容器5Aからシリンジ6に移動される。
【0305】
シリンジ6から容器5Aの本体5A2内に薬液が注入されると、本体5A2の内部の容積が増大する。本体5A2は、可撓性を有することにより、上述のように、容積を増大するように変形可能である。さらに、本体5A2は、薬液が注入されても、注入の前後で内部の圧力を一定または略一定に保つ変形の余地を有している。この為、容器5Aに薬液が注入されると、本体5A2の容積が増大することにより、本体5A2内の圧力は、シリンジ6から薬液が注入される前後で、一定、または、略一定に保たれる。
【0306】
または、容器5Aから、容器5A内に収容された薬液がシリンジ6等に移動する場合は、容器5Aは、内部の容積を減少しても内部の圧力を、移動の前後で一定または略一定に保つ変形の余地を有する。この為、容器5Aからシリンジ6等に移動される場合では、容器5Aの容積が減少することにより、シリンジ6に容器5A内の薬液が移動しても、容器5A乃の圧力は、薬液の移動の前後で、一定、または、略一定に保たれる。
【0307】
次に、シリンジ接続具100Bから容器接続具20Bを分離する作業を説明する。作業者は、シリンジ接続具100Bから容器接続具20Bを分離する際には、係止部113の操作部155を、係止部用爪部156とシールキャップ基部61の下端との係合が解除される位置まで、径方向内側に向かって押圧する。
【0308】
次に、作業者は、シリンジ接続具100Bを引き上げる。ヘッドスリーブ180Bは、ストッパスリーブ230の第2の腕部232によりシールキャップ60Aに固定されている。この為、シリンジ接続具100Bが引き上げられると、ヘッドスリーブ180Bとニードルシール200Aとに対して、外郭体110Aとニードル170とが上方に移動することとなる。
【0309】
ヘッドスリーブ180Aとニードルシール200Aとに対して、外郭体110Aとニードル170とが上方に移動することにより、ニードル170が、容器シール70A内を上方に向かって移動する。シリンジ接続具100Bが所定距離引き上げられると、ニードル170が容器シール70Aから引き抜かれる。容器シール70Aは復元力により、ニードル170により形成された孔を液密及び気密にシールする。さらに、ニードル170の孔172は、ニードルシール200Aによりシールされる。
【0310】
また、ニードル170が容器シール70Aから引き抜かれた後、シリンジ接続具100Bをさらに所定距離引き上げると、外郭体用胴部117Aのロック解除用突起129によって第2の腕部232が回転されることにより、第2の腕部232の第2の腕部用突起240がロック用凹部67から径方向外側に移動し、第2の腕部用突起240とロック用凹部67との係合が解除される。すなわち、ストッパスリーブ230とシールキャップ60Aとの固定が解除される。
【0311】
この状態では、ニードル170の孔172が形成されている部分は、ニードルシール200A内に収納されており、孔172がニードルシール200Aにより密封されている。ニードルシール200Aは、ニードル170により形成された孔を、復元力により液密及び気密にシールする。
【0312】
このように、ニードル170の孔172が、シールキャップ60A内の容器シール70Aと容器キャップ30Bとの間の空間内から出ることにより、液体流路L1が分断され、液体流路L1のうちシリンジ接続具100B内に形成される部分となるニードル170がシールされ、液体流路L1のうち容器接続具20B内に形成される部分となる液体流路形成部L3がシールされることとなる。
【0313】
シールキャップ60Aとヘッドスリーブ180Aとの固定が解除された後、シリンジ接続具100Bをさらに引き上げると、ストッパスリーブ230の第1の腕部231に対してシールキャップ60Aが下方に移動する。第1の腕部231に対してシールキャップ60Aが下方に移動することにより、シールキャップ60Aの外周面による第1の腕部231に対する付勢が解除される。
【0314】
第1の腕部231は、シールキャップ60Aの外周面からの付勢が解除されると、連結部233の弾性力(復元力)により回転する。第1の腕部231は、回転することにより、その上端がロック用突起128の下方に配置される。すなわち、第1の腕部231がロック用突起128と係合可能な状態となる。
【0315】
第1の腕部231がロック用突起128に係合可能な状態となることにより、ヘッドスリーブ180Aは、液体流路L1のうちシリンジ接続具100B内に形成された部分であるニードル170がシールされた状態、すなわち孔172がニードルシール200Aによりシールされ状態から、移動することが防止される。
【0316】
このように構成された接続器具10Bでは、シリンジ接続具100Bを容器接続具20に一方向に押し込むだけで、ストッパスリーブ230の第2の腕部232とシールキャップ60のロック用凹部67とにより、シリンジ接続具100Bと容器接続具20Bとの内部に液体流路L1が形成された状態においてヘッドスリーブ180と容器接続具20Bとをロックでき、かつ、係止部113とシールキャップ基部61の下端とにより、シリンジ接続具100Bと容器接続具20Bとをロックできる。
【0317】
すなわち、シリンジ接続具100Bと容器接続具20Bとの接続の操作と、液体流路L1が形成された状態において、シリンジ接続具100Bから容器接続具20Bが分離されることを防止するロック操作とを、シリンジ接続具100Bを容器接続具20Bに対して一方向に押すという1つの操作で達成することができる。接続の解除とロック解除とも、外郭体用胴部117Aのロック解除用突起129により、同様に、操作部155を押圧し、シリンジ接続具100Bを容器接続具20Bから一方向に引き抜くという1つの操作で達成することができる。
【0318】
このように、シリンジ接続具100と容器接続具20との接続とロックとを、連続する1つの操作で達成でき、かつ、シリンジ接続具100と容器接続具20とのロックの解除と接続の解除とを、連続する1つの操作で達成できるので、シリンジ接続具100を容器接続具20に接続してロックする操作、並びに、ロック及び接続を解除する操作を簡単にすることができる。
【0319】
さらに、シリンジ接続具100Bを底づきするまで容器接続具20Bに押し込むだけでよいので、操作が簡単である。さらに、作業者は、シリンジ接続具100Bの操作量、換言するとシリンジ接続具100の押し込み量を考慮する必要がないので、操作が簡単である。
【0320】
さらに、ストッパスリーブ230の第1の腕部231とロック用突起128とにより、シリンジ接続具100Bから容器接続具20Bが分離された状態において、シリンジ接続具100B内の液体流路となるニードル170がシールされた状態をロックすることができる。
【0321】
この為、シリンジ6への薬液の採取後、シリンジ接続具100Bから容器接続具20Bを分離した後に、シリンジ接続具100B内の液体流路となるニードル170から薬液が外部に漏れ出ることを防止できる。
【0322】
さらに、第1の腕部231とロック用突起128とのロックは、容器接続具20Bのシールキャップ60の外周面である円錐面62aにより、シリンジ接続具100を容器接続具20に押し込む操作により解除できる。
【0323】
この為、第1の腕部231とロック用突起128のとのロックの解除操作と、シリンジ接続具100と容器接続具20との接続操作と、第2の腕部232とロック用凹部67とのロック操作と、を1連の1つの操作で達成できる。この為、接続器具10Bの操作を簡単にすることができる。
【0324】
次に、第4の実施形態に係る接続器具10Cについて、図38及び図39を用いて説明する。なお、第3の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0325】
図38及び図39は、接続器具10Cを示す断面図である。図38及び図39に示すように、接続器具10Cは、容器5Aに固定される容器接続具20Cと、容器接続具20Bに着脱可能に固定されるシリンジ接続具100Bと、を有している。
【0326】
本実施形態では、一例として、容器5Aを下方に配置し、シリンジ6を上方に配置した状態に基づいて、接続器具10Cに上下方向を設定する。なお、容器接続具20Bの後述する容器キャップ30Bの軸方向とシールキャップ60Aの軸方向は上下方向に平行となる。シリンジ接続具100Bの後述する外郭体本体111Aの軸方向は、上下方向と平行となる。
【0327】
まず、容器接続具20Cについて説明する。容器接続具20Cは、所謂スパイク針として構成されている。容器接続具20Cは、具体的には、本体30Cと、ニードル部50Bと、本体30Cに固定されたシールキャップ60Aと、シールキャップ60Aに設けられた容器シール70Aと、を有している。
【0328】
本体30Cは、軸方向に直交する断面が、ニードル部50Bの軸方向に直交する断面より大きい。本体30Cは、例えば円柱状に構成されている。本体30Cは、液体(薬液)が流動可能な液体流路L1の一部を構成する液体流路形成部L3の一部L6を、内部に有している。一部L6は、例えば、本体30Cと同軸的に配置されている。一部L6の、本体30Cの上部に位置する部分の断面は、この部分より下方の部分の断面より大きい。
【0329】
ニードル部50Bは、本体30Cの下端から本体30Cの軸線に平行に下方に延びている。ニードル部50Bは、本体30Cと例えば同軸に配置されている。ニードル部50B内に形成された一部L8は、ニードル部50Bと同軸的に配置されている。一部L8は、一部L6と直線状に並んでいる。
【0330】
シールキャップ60Aは、本体30Cの上端部に固定されている。容器シール70Aは、本体30C内の一部L6の上端開口を密閉している。また、容器シール70Aは、シールキャップ60Aの開口を密閉している。
【0331】
シリンジ接続具100Bは、本実施形態では、ニードル170が、外郭体用胴部117Aと同軸的に配置されている。
【0332】
次に、接続器具10Cの使用の一例を説明する。図38に示すように、まず、作業者は、容器接続具20Cのニードル部50Bを、容器5Aの口部5A1の栓8にさし込む。次に、容器5Aに対して、上方から、シリンジ6が接続されたシリンジ接続具100Bを、容器接続具20Cに接続する。この接続については、第3の実施形態と同様である。
【0333】
作業者は、シリンジ接続具100Bが容器接続具20Cに接続すると、シリンジ6を操作して、シリンジ6内の薬液を、容器5A内に移動する。次に、作業者は、図39に示すように、容器5A及び接続器具10Cの一体物を、接続器具10Cに対して容器5Aが上方に位置する姿勢にする。
【0334】
次に、作業者は、シリンジ6から、チューブ9に付け替える。チューブ9は、例えば患者に点滴を行う際に用いられる。チューブ9の先端には、患者に挿入される注射針が設けられている。
【0335】
作業者が、シリンジ6からチューブ9に付け替える作業として、例えば、シリンジ6が固定されたシリンジ接続具100Bを容器接続具20Cから取り外し、チューブ9がシリンジ固定部本体120に接続された、別のシリンジ接続具100Bを容器接続具20Cに接続する。
【0336】
本実施形態では、第3の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、容器5A内にシリンジ6から薬液を注入し、この注入後、容器5A内の薬液を患者に点滴するといった用途においても、薬液が外部に漏れることを防止することが可能となる。
【0337】
なお、本実施形態では、容器接続具20Cは、シリンジ接続具100Bが接続可能に構成された。しかしながら、図40に示す変形例のように、第2の実施形態で説明されたシリンジ接続具100A、及び第2の実施形態で説明されたシリンジ接続具100Bのいずれか一方が接続可能に構成されてもよい。具体的には、容器接続具20Cは、気体流路形成部L4が形成されている。気体流路形成部L4の一部L7は、本体30Cに形成されている。気体流路形成部L4の一部L9は、ニードル部50Bに形成されている。この変形例では、液体流路形成部L3は、本体30Cの軸線に対してずれた位置であって、ニードル170と連通可能となる位置に配置されている。気体流路形成部L4は、本体30Cの軸線に対してずれた位置であって、気体用ニードル170Aと連通可能となる位置に配置されている。
【0338】
この変形例では、図40に示すように、シリンジ6から容器5Aに薬液を注入する作業でも、圧力調整部である空気袋160を有するシリンジ接続具100Aを使用可能となる。この為、シリンジ6を、シリンジ接続具100Aを介して容器接続具20Cに接続することにより、シリンジ6内の薬液を容器5A内に注入する際に、容器5A内の圧力が、注入の前後で変化することを防止できる。
【0339】
さらに、図41に示すように、容器5A内の薬液を患者に点滴をする場合では、チューブ9が接続されたシリンジ接続具100Bを容器接続具20Cに接続することにより、容器5A内の薬液をチューブ9に導くことが可能となる。
【0340】
すなわち、この変形例では、容器接続具20Cは、シリンジ接続具100Aまたはシリンジ接続具100Bが接続可能である。
【0341】
次に、第5の実施形態に係る接続器具10Dを、図42及び図43を用いて説明する。なお、第4の実施形態と同様の機能を有する構成は、第4の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0342】
図42及び図43は、接続器具10Dを示す断面図である。図42及び図43に示すように、接続器具10Dは、容器接続具20Dを有している。さらに、接続器具10Dは、第2の実施形態で説明されたシリンジ接続具100A、または、第3の実施形態で説明されたシリンジ接続具100Bを有している。
【0343】
容器接続具20Dは、チューブ接続部500と、本体30C1と、ニードル部50Cと、本体30C1に固定されたシールキャップ60Aと、シールキャップ60Aに設けられた容器シール70Aと、を有している。
【0344】
チューブ接続部500は、容器5A内とチューブ9とを連通する流体流路L20の一部である流路形成部L21が形成されている。チューブ接続部500は、例えば、異なる外径を有する円筒状に構成されている。具体的には、外径が一定の円筒状に形成された第1の部分501と、第1の部分501に連続して形成された第2の部分502と、を有している。
【0345】
第1の部分501内に、チューブ9が接続されている。チューブ9の端部には、第1の部分501内に挿入される挿入部材9aが設けられている。挿入部材9aは、第1の部分501内に嵌合して固定され、第1の部分501の内周面との間を密閉する。挿入部材9aは、内部に流路を有している。この流路は、第1の部分501内、及び、チューブ9に連通している。
【0346】
また、第1の部分501及び第2の部分502には、容器5A内とシリンジ6とを連通する液体流路L1の一部となる、流路形成部L22が形成されている。
【0347】
本体30C1は、チューブ接続部500に一体に形成されている。本体30C1は、例えば、第1の部分501の、チューブ9の反対側に端部に形成されている。本体30C1は、チューブ接続部500の軸線に直交する方向に突出する形状に構成されている。
【0348】
本体30C1内の流路となる一部L6は、第1の部分501に形成された流路形成部L22に連通している。
【0349】
ニードル部50Cは、第2の部分502の端部に形成されている。ニードル部50Cは、容器5Aの栓8に差し込み可能に形成されている。ニードル部50Cは、内部に、容器5A内とシリンジ6とを連通する液体流路L1の一部である、流路形成部L31と、流体流路L20の一部である流路形成部L32と、が形成されている。
【0350】
流路形成部L31は、流路形成部L22と連通している。流路形成部L32は、流路形成部L21に連通している。
【0351】
このように構成された接続器具10Dは、図42及び図43に示すように、容器接続具20Dに、第2の実施形態で説明されたシリンジ接続具100A、または、第3の実施形態で説明されたシリンジ接続具100Bの一方を接続可能である。
【0352】
このように構成された接続器具10Dは、第2の実施形態の効果、及び、第3の実施形態の効果が得られる。さらに、シリンジ6から容器5A内に薬液を注入する際に、容器5A内の圧力調整を行う必要がある場合は、図42に示すように、シリンジ接続具100Aを用いることにより、空気袋160によって、容器5A内の圧力を一定、または、略一定に維持することが可能となる。または、シリンジ6から容器5A乃に薬液を注入する際に、容器5A内の圧力調整の必要がない場合は、図43に示すように、シリンジ接続具100Bを用いることが可能となる。
【0353】
なお、容器5,5Aは、透明な樹脂材料で形成されることに限定されない。容器5,5Aは、遮光性を有してもよい。また、容器5,5Aは、一例として、薬液を収容しているが、収容するものは薬液に限定されない。他の例では、容器5,5Aは、燃料電池の液体燃料、液状の化学薬品、または、液状の食品を収容してもよい。さらに、シリンジ6から容器5,5Aに移動される流体も薬液に限定されない。他の例では、シリンジ6は、容器5,5Aに、燃料電池の液体燃料、液状の化学薬品、または、液状の食品を移動してもよい。
【0354】
また、第1乃至第3の実施形態、及び、図38乃至図39に示す変形例では、シリンジ接続具100A,100Bには、流体が移動可能な器具の一例として、シリンジ6またはチューブ9が接続された。しかしながら、シリンジ接続具100A,100Bに接続される、流体が移動可能な器具は、シリンジ6またはチューブ9に限定されない。
【0355】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。例えば、圧力調整部は、空気袋160ではなく、気体を通過可能で、かつ、外部からの菌の侵入及び外部への有害物質の排出を防止可能なフィルタを用いてもよい。また、容器キャップ30,30A,30Bと容器キャップ本体40,40A,40Bとの接続手段は、嵌合接続に限らず、螺合、溶着、接着等でもよい。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43