(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】非晶質炭酸マグネシウムを有する喫煙物品フィルター
(51)【国際特許分類】
A24D 3/16 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
A24D3/16
(21)【出願番号】P 2019529837
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2017058012
(87)【国際公開番号】W WO2018122666
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-11-24
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】クーデルク ゲタン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレイリーニョ デ オリヴェイラ ロチャ フェルバー シルヴィア
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特公昭50-010959(JP,B1)
【文献】特表2016-508104(JP,A)
【文献】特表2014-509872(JP,A)
【文献】特表2013-532483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過プラグを形成するセルロース材料を含む濾過材料と、前記
セルロース材料の中に
分散され含有された非晶質炭酸マグネシウム材料とを含む、喫煙物品用のフィルター。
【請求項2】
前記非晶質炭酸マグネシウム材料が吸湿性であり、好ましくは前記非晶質炭酸マグネシウム材料は、約10%の相対湿度で、摂氏約27度にて、かつ1気圧で、少なくとも約1.5mmolの水/グラム、または少なくとも約2mmolの水/グラム、または少なくとも約4mmolの水/グラムを物理的に吸着する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
前記非晶質炭酸マグネシウム材料が、少なくとも約200m
2/g、もしくは少なくとも約300m
2/g、または約300m
2/g~約1200m
2/gの範囲内の、約600m
2/g~約1000m
2/gの範囲内の、もしくは約700m
2/g~約900m
2/gの範囲内の、または約800m
2/gのBET表面積を有する、請求項1または2に記載のフィルター。
【請求項4】
前記非晶質炭酸マグネシウム材料が、100マイクロメートル(約140メッシュ)~約2000マイクロメートル(約10メッシュ)、または約200マイクロメートル(約70メッシュ)~約1500マイクロメートル(約14メッシュ)、または約400マイクロメートル(約40メッシュ)~約1000マイクロメートル(約18メッシュ)の範囲の平均粒子サイズを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項5】
前記フィルターが約10mg~約200mg、または約50mg~約150mgの非晶質炭酸マグネシウム材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項6】
前記フィルターが、前記濾過材料の中に含有された結晶質炭酸マグネシウム材料と非晶質炭酸マグネシウムの混合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項7】
前記フィルターが、前記濾過材料の中に含有された酸化マグネシウム材料と非晶質炭酸マグネシウムの混合物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項8】
前記濾過材料がトウ材料のプラグを含み、前記非晶質炭酸マグネシウム材料が前記トウ材料のプラグの中に分散されていて、かつ前記トウ材料がセルロースアセテートを含むことが好ましい、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項9】
前記フィルターが、軸方向で整列し、かつ空間によって分離された二つの濾過要素を備えるセグメント化されたフィルターであり、前記空間が非晶質炭酸マグネシウム材料を含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項10】
前記フィルターが、下流濾過要素と軸方向で整列した上流の濾過要素を含むセグメント化されたフィルターであり、前記上流濾過要素が前記非晶質炭酸マグネシウム材料を含有し、かつ前記下流濾過要素が随意にX線非晶質炭酸マグネシウム材料を含まない、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項11】
前記非晶質炭酸マグネシウム材料が結合水を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項12】
前記フィルターが活性炭を含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項13】
前記濾過材料の中に含有された活性炭をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルター。
【請求項14】
喫煙物品であって、
喫煙可能材料と、
前記喫煙可能材料の下流にある、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルターと、を備える喫煙物品。
【請求項15】
前記喫煙可能材料が、たばこまたは刻みたばこを含む、請求項14に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非晶質炭酸マグネシウムを含有する喫煙物品フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻たばこなどの可燃性喫煙物品は典型的に、たばこロッドを形成する紙ラッパーによって包囲された細かく切られたたばこ(通常はカットフィラーの形態)を有する。紙巻たばこは、喫煙者によって紙巻たばこの一方の端に点火し、たばこロッドを燃焼することによって使用される。次いで喫煙者は、典型的にフィルターを収容する紙巻たばこの反対側の端または口側端を吸うことによって、主流煙を受容する。フィルターは、主流煙が喫煙者に送達される前に主流煙の一部の成分を取り込むように位置付けられている。
【0003】
また、たばこなどのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱される数多くの喫煙物品も開発されてきた。加熱式喫煙物品では、エアロゾル発生基体を加熱することによってエアロゾルが生成される。周知の加熱式喫煙物品には例えば、電気的加熱によって、または可燃性燃料要素もしくは熱源からエアロゾル発生基体への熱の伝達によってエアロゾルが生成される喫煙物品が挙げられる。喫煙中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、喫煙物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成し、これが消費者によって吸い込まれる。また、燃焼することなく、また一部の場合において加熱することなく、例えば化学反応によって、たばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン供与源からニコチン含有エアロゾルが生成される喫煙物品も周知である。こうした不燃性の喫煙物品は、主流煙がユーザーに送達される前に、煙成分を吸着するように位置付けられたフィルターも備えてもよい。
【0004】
喫煙物品内のフィルターは、可燃性または不燃性のどちらであっても、煙またはエアロゾルから選択された成分を除去する活性炭を含有してもよい。活性炭顆粒は、活性炭顆粒の輸送中、取り扱い中、および装填中に、炭素微粉を生成しうる。炭素微粉の存在に部分的に起因して、粒子破過が活性炭顆粒を含有するフィルター内で生じる場合がある。活性炭粉末のサイズは、セルロースアセテートトウなどのフィルター材料によって保持されるには小さすぎるので、活性炭粉末は喫煙物品では使用されない。
【0005】
活性炭は、喫煙物品のたばこまたはエアロゾル発生基体によって形成された煙またはエアロゾルの味に悪影響を与える場合がある。消費者は、この味が「乾いた」感じである、または「炭素」のような香調を有すると知覚しうる。
【0006】
炭酸マグネシウムは、塩または鉱物として規則正しい結晶形態で自然に生じる。炭酸マグネシウム(MgCO3)は、白色固体である無機塩である。炭酸マグネシウムの幾つかの水和形態および塩基性形態が鉱物として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
煙またはエアロゾルの味に悪影響を与えない一方で、煙またはエアロゾルから成分を選択的に除去する場合がある喫煙物品用のフィルターを提供することが望ましいことになる。フィルターおよび喫煙物品内の相対湿度または水分レベルを調節または維持する場合がある喫煙物品用のフィルターを提供することが望ましいことになる。活性炭を含有しない場合がある、または低減された量の活性炭を含有する場合がある喫煙物品用のフィルターを提供することが望ましいことになる。フィルターの中の物理的に定位置に留まっている場合がある安定した吸収材を含有する場合がある喫煙物品用のフィルターを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の様々な態様は、喫煙物品用のフィルターを提供する。フィルターは、濾過材料と、濾過材料の中に含有された非晶質炭酸マグネシウム材料とを含む。喫煙物品は、喫煙可能材料と、喫煙可能材料の下流にあるフィルターとを含む。非晶質炭酸マグネシウム材料は吸湿性である場合がある。
【0009】
非晶質炭酸マグネシウムは、典型的な結晶質炭酸マグネシウムとは別のものである。非晶質炭酸マグネシウムは合成されてもよく、また実質的にサブ10ナノメートルまたはサブ6ナノメートルのサイズ範囲であってもよい細孔の特異な構造を呈してもよく、また類いまれな高表面積(約100m2/gより大きい、または約300m2/gより大きいなど)も呈してもよい。典型的な結晶質炭酸マグネシウムは、4~15m2/gの範囲の表面積を有する。非晶質炭酸マグネシウムの類いまれな高表面積は、この材料をゼオライトおよびカーボンナノチューブなどの高表面積ナノマテリアルの排他的クラスに定置する。
【0010】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、100m2/gより大きい場合がある高表面積を有してもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は多孔性であってもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料の細孔サイズは、一般的に微小孔性(約2nm以下)または一般的にメソ多孔性(約2nm~約50nm)として特徴付けられてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、約100マイクロメートルより大きい(または約140メッシュより大きい)平均粒子サイズを有してもよい。
【0011】
有利なことに、非晶質炭酸マグネシウム材料を喫煙物品用のフィルターと組み合わせることは、煙またはエアロゾルからの成分を選択的に除去する場合があり、かつ煙またはエアロゾルの味に悪影響を与えない場合がある。有利なことに、非晶質炭酸マグネシウム材料は、フィルター内に物理的に固定されたままであるようにサイズ決めされてもよい。有利なことに、非晶質炭酸マグネシウム材料は吸湿性であってもよく、過剰な湿度を吸収する場合があり、または含有された水を放出して、喫煙物品の中の水分レベルを維持する場合がある。有利なことに、非晶質炭酸マグネシウム材料を喫煙物品用のフィルターと組み合わせることは、喫煙物品フィルターの中で必要とされる活性炭またはその他の吸収材材料の量を除去または低減する場合がある。有利なことに、非晶質炭酸マグネシウム材料は、濾過材料の色と適合する場合がある光または白色の色を呈してもよく、加えて非晶質炭酸マグネシウム材料は、規制当局によって一般に安全と認められる(generally recognized as safe:GRAS)場合があり、また環境にやさしい場合がある。
【0012】
「BET表面積」という用語は比表面積を指し、窒素吸着等温線のブルナウア-エメット-テラー(「BET」)分析から決定される。
【0013】
「X線非晶質」という用語は、X線回折を使用して特徴付けられる場合がある非晶質材料形態を指す。「X線非晶質」および「非晶質」という用語は本明細書において同じ意味で使用される。「非晶質炭酸マグネシウム」および「X線非晶質炭酸マグネシウム」という用語は本明細書において同じ意味で使用される。
【0014】
「吸湿性」という用語は、通常は常温または室温にて、周囲の環境から水分子を引き寄せ、かつ保持する材料特性を指す。これは、吸収または吸着のいずれかを通して達成されてもよい。
【0015】
本明細書で使用される「喫煙可能材料」は、材料が喫煙物品内に定置され、かつ喫煙物品がユーザーによって使用された時に、喫煙物品のユーザーに送達可能なエアロゾルを発生する材料を指す。
【0016】
喫煙物品用のフィルターは、濾過材料と、濾過材料の中に含有された非晶質炭酸マグネシウム材料とを含む。喫煙物品は、喫煙可能材料と、喫煙可能材料の下流にあるフィルターとを含む。
【0017】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、喫煙物品が消費された時に、煙またはエアロゾルから成分を選択的に除去する場合がある。非晶質炭酸マグネシウム材料は、フィルターの中に非晶質炭酸マグネシウムを含んでもよい任意の有用なフィルター構成の中に含有されてもよい。
【0018】
非晶質炭酸マグネシウム材料は吸湿性であってもよく、水を物理的に吸着する。水の物理的吸着は、非晶質炭酸マグネシウムの水和形態を形成しない。非晶質で吸湿性の炭酸マグネシウム材料は、約3%の相対湿度で、室温(摂氏約27度)にて、かつ1気圧で、少なくとも約0.6mmolの水/グラム、または少なくとも約1mmolの水/グラム、または少なくとも約2mmolの水/グラムを物理的に吸着しうる。非晶質で吸湿性の炭酸マグネシウム材料は、約10%の相対湿度で、室温(摂氏約27度)にて、かつ1気圧で、少なくとも約1.5mmolの水/グラム、または少なくとも約2mmolの水/グラム、または少なくとも約4mmolの水/グラムを物理的に吸着しうる。非晶質で吸湿性の炭酸マグネシウム材料は、約90%の相対湿度で、室温(摂氏約27度)にて、かつ1気圧で、少なくとも約10mmolの水/グラム、または少なくとも約15mmolの水/グラム、または少なくとも約20mmolの水/グラムを物理的に吸着しうる。
【0019】
非晶質で吸湿性の炭酸マグネシウム材料は、材料を加熱するか、相対湿度を低減することによって結合水を物理的に脱着または放出しうる。非晶質で吸湿性の炭酸マグネシウム材料は、相対湿度(非晶質で吸湿性の炭酸マグネシウム材料を囲む)が95%から5%に減少する時、室温(摂氏約27度)にて、かつ1気圧で、最大約15重量%の、または最大約20重量%の、または最大約25重量%のその水結合内容物を物理的に脱着または放出しうる。従って、非晶質で吸湿性の炭酸マグネシウム材料は、過剰な湿度を吸収、または含有水を放出して、喫煙物品の中の水分レベルを維持する場合がある。
【0020】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、X線回折を利用して特徴付けられてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、米国特許出願公開第US2015/0298984号に説明されている。水の吸着および脱着は、非晶質炭酸マグネシウム特性評価および表面特徴分析のためのDubinin-Astakhov(D-A)モデル、X線回折、およびBET表面積試験方法を用いて、窒素および水蒸気の収着等温線を利用して特徴付けられてもよく、すべてはその中で説明されている。
【0021】
表面積のBET分析(BET表面積)は、概して以下、すなわち(i)Gregg SJ,Sing KSW.Adsorption,Surface Science and Porosity.Academic Press,New York 1982、(ii)Rouquerol F,Rouquerol J,Sing K.Adsorption by powders and porous solids.Principles,methodology and applications.Academic Press,1999、および(iii)Linares-Solano A,Salinas-Martinez de Lecea C,Alcaniz-Monge J,Cazorla-Amoros Dに説明されるように、Quantachromeからの体積Autosorb-6B装置で得られる-196℃でのN2吸着等温線を使用して決定されてもよい。例えば、比表面積は、ISO 9277(2010):ガス吸着による固体の比表面積の決定-BET方法に従って決定されてもよい。ISO 9277(2010)の付属書に提供されている微小孔性材料(I型等温線)の比表面積を決定する方法は、比表面積を決定するために特に有用である場合がある。
【0022】
材料の非晶質炭酸マグネシウム含有量を確認および定量化するために、異なる適切な方法を個別にまたは組み合わせて採用してもよい。これらの方法には例えば、XPS(x線光電子分光法)、ラマン分光法、XRD(x線回折)、FTIR(フーリエ変換赤外分光法)、NMR分光法(核磁気共鳴分光法)、ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析法)、EDS(エネルギー分散x線分光法)、TEM(透過電子顕微鏡法)、ED(電子線回折)、およびTGA(熱重量分析)などがあるが、これらに限定されない。ラマン分光法は、非晶質炭酸マグネシウムの存在を明らかにするために採用されてもよい(非晶質材料に特徴的である低波数におけるいわゆるボソンピークの存在、および約1100cm-1における独特の炭酸塩ピークによって)。材料中の炭酸マグネシウムの存在を確認し、その量を決定するために、XPS分析を以下の方法で採用することができる。材料中の炭酸マグネシウム含有量は、XPSを使用する元素分析によって決定でき、また結晶質炭酸マグネシウムと非晶質炭酸マグネシウムとを区別するために同一の技法を使用するエネルギー分解スペクトルを使用することができる。すなわち、非晶質炭酸マグネシウムのMg 2s軌道内の電子結合エネルギーは約90.7eVになることが予想され、一方で結晶質炭酸マグネシウムについては結合エネルギーは一般的に約91.5eV以上となることが予想される。
【0023】
XRD分析は、結晶質含有量に対して非晶質炭酸マグネシウム含有量を定量化することができる材料の成分の結晶相の決定に採用されてもよい。特に、非晶質炭酸マグネシウムの存在は、XRDによって確認することができる。XRD測定の非晶質炭酸マグネシウムでは、回折計がCuKα放射を使用する時に20ウィンドウ内で約10°~20°および約25°~40°の幅広いハロまたは単に雑音のある平坦な信号のいずれかを生じさせる。材料の残りの部分が、非晶質炭酸マグネシウム以外の材料(故意に導入された不純物またはその他の元素を含む)から成る時、このような材料は、これらが結晶質であるという条件で、XRDパターン内でピークを生じさせる。
【0024】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、類いまれな表面積またはBET表面積を有する場合がある。非晶質炭酸マグネシウム材料は、少なくとも約200m2/gのBET表面積を有する場合があり、または少なくとも約300m2/g、または少なくとも約500m2/gのBET表面積を有する場合がある。非晶質炭酸マグネシウム材料は、約300m2/g~約1200m2/gの範囲内のBET表面積を有してもよく、約600m2/g~約1000m2/gの範囲内の、または約700m2/g~約900m2/gの範囲内の、または約800m2/gのBET表面積を有してもよい。比較のために、典型的な結晶質炭酸マグネシウムは、約10m2/g以下の表面積またはBET表面積を有する。
【0025】
非晶質炭酸マグネシウム材料は多孔性である。非晶質炭酸マグネシウム材料の細孔サイズは、一般的に微小孔性(約2nm以下)または一般的にメソ多孔性(約2nm~約50nm)として特徴付けられる場合がある。非晶質炭酸マグネシウム材料は、実質的にサブ6nmサイズ範囲内である細孔の特異な構造を呈してもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、細孔径の少なくとも約98%が約10nm未満であってもよく、または細孔径の少なくとも約98%が約6nm未満であってもよい。
【0026】
非晶質炭酸マグネシウム材料が有する、約10nmより小さい直径の細孔の累積容積は、少なくとも約0.02cm3/gであってもよく、少なくとも約0.4cm3/gであることが好ましく、少なくとも約0.8cm3/gであることがなおより好ましく、また約10nmより小さい直径を有する細孔の累積容積は、最大約1.5cm3/gであり、または最大約2cm3/gであることがより好ましく、または最大約3cm3/gであることが最も好ましい。細孔サイズ分布および累積細孔容積は、吸着等温線上の密度汎関数理論(DFT)計算によって決定されてもよい。当業者によって理解されるように、本発明によるマイクロ細孔およびメソ細孔の特異な分布は、他のパラメータで説明されてもよく、本明細書で説明される他のタイプの測定値に基づくことができる。
【0027】
非晶質炭酸マグネシウム材料は合成的に形成され、「合成非晶質炭酸マグネシウム」と呼ばれてもよい。合成の一実施例は、MgO粉末をメタノールとともにガラス容器内に定置し、その後、加圧下でCO2をガラス容器の中へと適用し、摂氏約50度で反応を生じさせるのを可能にすることから成る。ゲルは形成されて、固化し、摂氏約70度で乾燥させることができる。乾燥材料は、上述の物理的特性を有する合成非晶質炭酸マグネシウムを画定し、本明細書に説明されている通りに利用されてもよい。
【0028】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、非晶質炭酸マグネシウム材料を含有するフィルターを通過する煙から一つ以上の成分を選択的に除去してもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、例えば結合、吸着、およびこれに類するものによって、煙から一つ以上の成分を除去してもよい。喫煙物品フィルター内に含有された非晶質炭酸マグネシウム材料は、ホルムアルデヒドを除去しうることが好ましい。喫煙物品フィルター内に含有された非晶質炭酸マグネシウム材料は、ベンゼンを除去してもよい。喫煙物品フィルター内に含有された非晶質炭酸マグネシウム材料は、水を除去してもよい。
【0029】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、約100マイクロメートル(約140メッシュ)~約2000マイクロメートル(約10メッシュ)、または約200マイクロメートル(約70メッシュ)~約1500マイクロメートル(約14メッシュ)、または約400マイクロメートル(約40メッシュ)~約1000マイクロメートル(約18メッシュ)の範囲内の平均粒子サイズを有してもよい。この比較的大きい粒子サイズは、フィルターの中に非晶質炭酸マグネシウム材料を含有することを支援する場合がある。この比較的大きい粒子サイズは、消費中に非晶質炭酸マグネシウム材料のフィルターの外への破過を防止することを支援する場合がある。
【0030】
非晶質炭酸マグネシウム材料の粒子の文脈内での「直径」という用語の使用は、粒子の集団の中の粒子の長さ、幅、および高さの平均を指すと考えられる場合がある。別の方法として、「直径」は、非晶質炭酸マグネシウム材料の粒子の集団が通過しうる篩のサイズに基づく範囲であると考えることができ、粒子が通過する最小の試験した篩が最大「直径」であり、粒子が通過しない最大の試験した篩が最小「直径」である。
【0031】
フィルターと、約100マイクロメートル(約140メッシュ)~約2000マイクロメートル(約10メッシュ)、または約400マイクロメートル(約40メッシュ)~約1000マイクロメートル(約18メッシュ)の範囲の平均粒子サイズを有する非晶質炭酸マグネシウム材料を含む喫煙物品とは、現在入手可能なフィルター、および活性炭を含む喫煙物品よりも少ない粒子破過を呈する場合があることが好ましい。
【0032】
粒子破過は、任意の適切なプロセスによって判定することができる。粒子破過は、吸収材を含有するフィルターでのドライ吸煙(未点火)分析を介して測定されることが好ましい。粒子破過は、フィルター(随意に喫煙物品の中へと組み込まれたフィルター)が約0.3マイクロメートル~約10マイクロメートルの範囲のサイズの粒子を検出するように構成された粒子カウンターを装備した喫煙機械と動作可能に連結された時に分析される。粒子カウンターは、AEROTRAK(登録商標)粒子カウンターなどのレーザー光散乱粒子カウンターであることが好ましい。喫煙機械は、フィルター(随意に喫煙物品の中へと組み込まれたフィルター)当たり13秒毎に、2秒間の55mLの吸煙を12回行うように構成されることが好ましい。粒子破過の結果は、数多くのフィルターまたは喫煙物品(5個または10個またはそれ以上のフィルターまたは喫煙物品など)についての試験から平均を取ることが好ましい。
【0033】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、純粋な材料として利用されてもよく、または非晶質炭酸マグネシウム材料と結晶質炭酸マグネシウム材料の混合物を形成するために、結晶質炭酸マグネシウムなどの他の材料と組み合わせられてもよく、またはそれを含んでもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料および結晶質炭酸マグネシウム材料は、少なくとも約10重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも99重量%の非晶質炭酸マグネシウム材料を有してもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料および結晶質炭酸マグネシウム材料は、少なくとも約10重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも75重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも99重量%の結晶質炭酸マグネシウム材料を有してもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料と結晶質炭酸マグネシウム材料の混合物は、約25重量%~約75重量%の非晶質炭酸マグネシウム材料、および約25重量%~約75重量%の結晶質炭酸マグネシウム材料を含んでもよい。
【0034】
非晶質炭酸マグネシウム材料は純粋な材料として利用されてもよく、または非晶質炭酸マグネシウムおよび酸化マグネシウム材料の混合物を形成するために酸化マグネシウムを含んでもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料および結晶質炭酸マグネシウム材料は、少なくとも約10重量%、または少なくとも約25重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約75重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約99重量%の非晶質炭酸マグネシウム材料を有してもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料および結晶質炭酸マグネシウム材料は、少なくとも約10重量%、または少なくとも約25重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約75重量%、または少なくとも約90重量%、または少なくとも約99重量%の結晶質炭酸マグネシウム材料を有してもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料と結晶質炭酸マグネシウム材料の混合物は、約75重量%~約99重量%の非晶質炭酸マグネシウム材料、および約25重量%~約1重量%の結晶質炭酸マグネシウム材料を含んでもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料と結晶質炭酸マグネシウム材料の混合物は、約90重量%~約99重量%の非晶質炭酸マグネシウム材料、および約10重量%~約1重量%の結晶質炭酸マグネシウム材料を含んでもよい。
【0035】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、均質な非晶質材料であってもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、結晶質である領域または部分を含んでもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、少なくとも約50重量%の非晶質と、約50重量%未満の結晶質、または約25重量パーセント未満の結晶質、または約10重量パーセント未満の結晶質であってもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、少なくとも約75重量%の非晶質、または少なくとも約90重量%の非晶質であってもよい。
【0036】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、単独でまたはその他の吸収材材料とともに利用されてもよい吸収材材料である。吸収材材料は、100重量%の非晶質炭酸マグネシウム材料であってもよい。吸収材材料は、100重量%未満の非晶質炭酸マグネシウム材料であってもよい。
【0037】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、フィルターの中で活性炭と混合されてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭は、吸収材混合物を形成するためにフィルターの中で混合されてもよい。
【0038】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、フィルターの中で活性炭から分離されてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭は、相互にセグメント化されてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、活性炭から分離されてもよく、また活性炭から下流にあってもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、活性炭から分離されてもよく、活性炭から上流にあってもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、活性炭から分離されてもよく、活性炭から下流および上流の両方にあってもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は活性炭から分離されてもよく、また主流煙またはエアロゾルが平行な流れ構成でセグメント化された吸収材を通って流れる平行な配置を画定してもよい。
【0039】
非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭などのその他の吸収材材料の混合物または分離された合計量は、約25重量%~約75重量%の非晶質炭酸マグネシウム材料、および約25重量%~約75重量%の活性炭などのその他の吸収材材料を含んでもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭などのその他の吸収材材料の混合物または分離された合計量は、約50重量%~約95重量%の非晶質炭酸マグネシウム材料、および約50重量%~約5重量%の活性炭などのその他の吸収材材料を含む。
【0040】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、明るい色または白色を呈してもよい。明るい色または白色は、フィルターおよび濾過材料の視覚的な審美性を維持することを提供または支援する場合がある。非晶質炭酸マグネシウム材料は、濾過材料の色と類似した色を有してもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、見ることが困難である場合があり、またフィルターおよび濾過材料と調和する場合がある。
【0041】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、染料または顔料で色付けされてもよい。染料または顔料は食品グレードの染料または顔料であることが好ましい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、緑色、黄色、赤色、青色、オレンジ色、もしくは紫色、またはこれらの任意の色調であってもよい。
【0042】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、フィルターを画定する濾過材料の上流プラグおよび下流プラグと軸方向に整列し、かつそれらプラグを分離している空間または空隙の中に含まれてもよいプラグ-スペース-プラグフィルター構成の中に収容されてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、空間または空隙内に結合されていなくてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、濾過材料の上流プラグと下流プラグを分離する空間または空隙の中に収容されていない場合があり、その代わりにフィルターを画定する濾過材料の上流プラグまたは下流プラグの中に収容されてもよい。このフィルター構成は活性炭を含まない場合がある。このフィルター構成は上述の通り、非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭を含む吸収材混合物を含んでもよい。このフィルター構成は、非晶質炭酸マグネシウム材料および別個の活性炭を含む分離された吸収材を含んでもよい。
【0043】
非晶質炭酸マグネシウム材料は多セグメントフィルター構成の中に収容されていてもよく、ここでは非晶質炭酸マグネシウム材料は濾過材料の単一セグメントの中に分散および収容されていてもよく、また残りのセグメント(複数可)(軸方向に当接する整列になっている)は非晶質炭酸マグネシウムを含まない。非晶質炭酸マグネシウム材料は濾過材料の単一の上流セグメントの中に分散および収容されていてもよく、また残りの下流セグメント(複数可)は非晶質炭酸マグネシウム材料を含まない。このフィルター構成は活性炭を含まない場合がある。このフィルター構成は上述の通り、非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭を含む吸収材混合物を含んでもよい。このフィルター構成は、非晶質炭酸マグネシウム材料および別個の活性炭を含む分離された吸収材を含んでもよい。
【0044】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、非晶質炭酸マグネシウム材料が濾過材料の単一セグメントの中に分散および収容される単一セグメントフィルター構成の中に収容されてもよい。このフィルター構成は活性炭を含まない場合がある。このフィルター構成は上述の通り、非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭を含む吸収材混合物を含んでもよい。このフィルター構成は、非晶質炭酸マグネシウム材料および別個の活性炭を含む分離された吸収材を含んでもよい。
【0045】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、非晶質炭酸マグネシウム材料が濾過材料の同心円状の内側または外側のセグメントの中に分散および収容される同心円状のフィルター構成の中に収容されてもよい。このフィルター構成は活性炭を含まない場合がある。このフィルター構成は上述の通り、非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭を含む吸収材混合物を含んでもよい。このフィルター構成は、非晶質炭酸マグネシウム材料および別個の活性炭を含む分離された吸収材を含んでもよい。
【0046】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、濾過材料もしくは濾過セグメントの中に、または濾過材料もしくは濾過セグメント全体を通して均一に配分されてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、濾過材料もしくは濾過セグメントの中に、または濾過材料もしくは濾過セグメント全体を通して不均一に配分されてもよい。非晶質炭酸マグネシウム材料は、濾過材料もしくは濾過セグメントの中に物理的に結合されてもよい。
【0047】
上記の構成について説明された濾過材料は、セルロースエステル(セルロースアセテートなど)、ポリ乳酸(PLA)、セルロース系材料、ポリプロピレン、綿、亜麻、麻、または任意の分解性濾過媒体、または任意の二つ以上のフィルター材料の組み合わせもしくはブレンドから形成されてもよい。セルロースエステルとしては、置換度が異なるセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、およびセルロースブチレートだけでなく、これらの混合エステルが挙げられる。繊維トウ濾過プラグは、フィラメント当たり約1.5~約8.0デニールを有してもよい。繊維トウ濾過プラグは、「Y」断面を有してもよく、また約15,000~約50,000の総デニールを有してもよい。濾過材料は、一緒に集められてプラグを形成しうる不織セルロース材料(紙など)の捲縮した細片であってもよい。
【0048】
フィルターは、任意の有用な量の非晶質炭酸マグネシウム材料を含有してもよい。フィルターは、約10mg~約200mg、または約50mg~約150mg、または約75mg~約125mgの非晶質炭酸マグネシウム材料を含有してもよい。フィルターは、約10mg~約200mg、または約50mg~約150mg、または約75mg~約125mgの非晶質炭酸マグネシウム材料ならびに吸収材混合物(活性炭など)を含有してもよい。
【0049】
喫煙物品フィルターは、非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭を含んでもよく、活性炭は喫煙物品フィルター内に存在する吸収材の約50重量%未満を形成する。喫煙物品フィルターは、非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭を含んでもよく、活性炭は喫煙物品フィルター内に存在する吸収材の約25重量%未満、または約10重量%未満を形成する。喫煙物品フィルターは、約20mg~約150mgの非晶質炭酸マグネシウム材料、および約10mg~約100mgの活性炭を含んでもよい。
【0050】
喫煙物品フィルターは、非晶質炭酸マグネシウム材料および活性炭を含んでもよく、活性炭は非晶質炭酸マグネシウム材料の上流にあってもよい。
【0051】
活性炭は、広範に発達した内部細孔構造を有する炭素質の吸着剤のファミリーを説明するために使用される一般的な用語である。活性炭は、木材、亜炭、石炭、木の実、木の実の殻、ココナッツのハスクまたは殻、ピート、ピッチ、フェノール樹脂などのポリマー、セルロース繊維、ポリマー繊維、またはこれに類するものなどの、炭素質の原料物質から製造されてもよい。活性炭は、物理的活性化または化学的活性化などの任意の適切なプロセスによって製造されてもよい。物理的活性化において、原料物質は高温ガスを用いた炭化および活性化によって活性炭にされる。炭化プロセスは、酸素の不在下で典型的には約600℃~約900℃の範囲の高温で原料物質を熱分解することを含む。活性化には、炭化した材料を250℃を超える温度(例えば約800℃)で蒸気、二酸化炭素、または酸素などの酸化性雰囲気に暴露する工程が含まれる。活性化/酸化のための温度は、典型的には約600℃~約1200℃(例えば約850℃など)の範囲である。化学的活性化には、未加工の原料物質に、リン酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、塩化カルシウム、または塩化亜鉛などの酸、塩基または塩などのある特定の化学薬品を含浸する工程が含まれる。次いで未加工の材料は、典型的には物理的活性化炭化より低い温度で炭化される。例えば、化学的活性化炭化のための温度は、約450℃~約900℃の範囲内であってもよい。炭化および活性化は同時に生じてもよい。
【0052】
非晶質炭酸マグネシウム材料は、喫煙可能材料の下流にある喫煙物品内に、任意の適切な方法で定置されてもよい。「下流」という用語は、主流煙が喫煙可能材料から引き出されてユーザーの口の中へと入る際の主流煙の方向に関して記述された喫煙物品の要素の相対的な位置を指す。非晶質炭酸マグネシウム材料はフィルター要素内に定置されることが好ましい。
【0053】
フィルターは約5mm~約9mmの直径を有してもよい。約7.8mmの直径を有するフィルターは、約8.0mmの全体的な直径を有する「レギュラーサイズ紙巻たばこ」で使用されてもよい。フィルターは、約10mm~約30mm、または約15mm~約25mmの範囲の長さを有してもよい。
【0054】
フィルターは、約3.6mm~約6.5mmの直径を有してもよい。約6.1mmの直径を有するフィルターは、約7.0mmの全体的な直径を有する「スリム紙巻たばこ」で使用されてもよい。フィルターは、約10mm~約30mm、または約15mm~約25mmの範囲の長さを有してもよい。
【0055】
フィルターは、約3.6mm~約5.5mmの直径を有してもよい。約5.4mm未満の全体的な直径を有する「スーパースリム紙巻たばこ」では、約4.5mm未満の直径を有するフィルターが使用されてもよい。フィルターは、約10mm~約30mm、または約15mm~約25mmの範囲の長さを有してもよい。
【0056】
フィルターは、約3.6mm~約4.5mmの直径を有してもよい。約4.7mmの全体的な直径を有する「マイクロスリム紙巻たばこ」では、約3.8mmの直径を有するフィルターが使用されてもよい。フィルターは、約10mm~約30mm、または約15mm~約25mmの範囲の長さを有してもよい。
【0057】
「喫煙物品」という用語は、紙巻たばこ、葉巻たばこ、シガリロ、および喫煙可能材料(たばこなど)が点火され、かつ燃焼されて煙を生成するその他の物品を含む。「喫煙物品」という用語はまた、喫煙用組成物を直接的もしくは間接的に加熱する喫煙物品、または気流もしくは化学反応を使用して、熱源を用いてもしくは熱源を用いずに、喫煙可能材料からニコチンもしくはその他の材料を送達する喫煙物品など、喫煙可能材料が燃焼しない物品も含む。
【0058】
本明細書で使用される「煙」という用語は、喫煙物品によって生成されるエアロゾルを記述するために使用される。喫煙物品によって生成されるエアロゾルは、例えば紙巻たばこなどの可燃性の喫煙物品によって生成される煙、または加熱式喫煙物品もしくは非加熱式喫煙物品などの不燃性の喫煙物品によって生成されるエアロゾルであってもよい。
【0059】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0060】
「上流」および「下流」という用語は、喫煙物品の本体を通して遠位端部分からマウスピース部分へと引き出される際の吸入気流の方向に関して説明されている喫煙物品の要素の相対的な位置を指す。
【0061】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0062】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0063】
本明細書で使用される「または」は一般的に、「および/または」を含む意味で使用されるが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0064】
本明細書で使用される「有する(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これらに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0065】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一のまたはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1は部分的に広げられた喫煙物品の実施形態の概略斜視図である。
【
図2】
図2は喫煙物品用の例示的なプラグ-スペース-プラグフィルターの概略断面図である。
【
図3】
図3は喫煙物品用の例示的な単一セグメントフィルターの概略断面図である。
【
図4】
図4は喫煙物品用の例示的な同心のフィルターの概略断面図である。
【
図5】
図5は喫煙物品用の例示的な捲縮した紙フィルターの概略の口側端の図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
概略図は必ずしも実寸に比例しておらず、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。しかし、当然のことながら図面に描写されていないその他の態様も、本開示の範囲および趣旨に収まる。
【0068】
ここで
図1を参照すると、喫煙物品10(この場合では紙巻たばこ)が描写されている。喫煙物品10は、刻みたばこ材料またはルースたばこ材料を収容するたばこロッドなどのロッド20と、セルロースアセテート繊維トウまたはポリ乳酸フィルター材料などの濾過材料32を含む口側端フィルター30とを含む。描写された喫煙物品10は、プラグラップ60と、シガレットペーパー40と、チッピングペーパー50とを含む。描写した実施形態において、プラグラップ60はフィルター30の少なくとも一部分を囲む。シガレットペーパー40はロッド20の少なくとも一部分を囲む。チッピングペーパー50またはその他の適切なラッパーは、当業界で一般的に周知の通り、プラグラップ60およびシガレットペーパー40の一部分を囲む。フィルター30は上述の通り、非晶質炭酸マグネシウムを含み、これは例えば
図2、
図3、
図4、または
図5に描写されている通りに定置されてもよい。
【0069】
図2は、プラグ-スペース-プラグフィルターを図示し、ここでフィルター30は、プラグ32-スペース33-プラグ34構成である。プラグ32は口側端プラグであり、これは白色のセルロースアセテートトウであることが好ましい。非晶質炭酸マグネシウム材料または粒子80は、プラグ32とプラグ34の間の空間33内に配置される。粒子80は、図示を容易にするために自由空間内で浮遊しているように図示されている。粒子80は、空隙または空間33セグメントを充填してもよく、または空隙または空間33セグメントの一部分を充填してもよい。プラグラップ60はフィルター30の少なくとも一部分を囲む。
【0070】
図3は、単一セグメントの実施形態のフィルター30を図示し、フィルター30は、フィルター材料32内に分散され包埋されている非晶質炭酸マグネシウムまたは粒子80を含有する。プラグラップ60はフィルター30の少なくとも一部分を囲む。
【0071】
図4は、例示的な同心のフィルター30の概略断面図であり、非晶質炭酸マグネシウム材料または粒子80は内側フィルター材料32内に分散され包埋されていて、かつ外側フィルター材料31で囲まれている。内側フィルター材料32は、外側フィルター材料31より低い引き出し抵抗(RTD)を有してもよい。プラグラップ60はフィルター30の少なくとも一部分を囲む。
【0072】
図5は、例示的な捲縮した紙フィルター30の概略の口側端の図であり、非晶質炭酸マグネシウム材料または粒子80は、濾過材料を形成するために集合体にされる捲縮した紙の細片40内に分散され包埋されている。プラグラップ60はフィルター30の少なくとも一部分を囲む。
図5は、捲縮した紙フィルター30の表面に結合された非晶質炭酸マグネシウム材料または粒子80を図示し、非晶質炭酸マグネシウム材料または粒子80が、捲縮した紙フィルター30の中に包埋されてもよく、または捲縮した紙フィルター30の厚さを通して延びてもよいことが企図される。非晶質炭酸マグネシウム材料または粒子80は、捲縮した紙フィルター30の両方の対向する主表面を通して延びてもよい。
【0073】
以下では、非限定的な例は、非晶質炭酸マグネシウム材料または上述の粒子を含有する喫煙物品フィルターの例示的な実施形態を提供する。これらの実施例は、本明細書に提示されている開示の範囲にいかなる限定を提供することを意図するものでもない。
【実施例】
【0074】
5mmの空間を有するプラグ-スペース-プラグフィルターを利用して、両方とも紙巻たばこの激しい喫煙を利用する試験方法のたばこの煙に曝露された多孔性セルロースビーズ(VISCOPEARLの商品名で市販されている)の装填と、非晶質炭酸マグネシウム材料の装填とを比較した。この喫煙方法または利用されたプロトコルは、『世界保健機関たばこ研究室ネットワークの紙巻たばこの激しい喫煙のための標準作業手順書』(SOP01、2012年4月)であった。この方法は、ISO 3308を利用するが、集中的なレジメンの試験のためのSOP01に記載の通り、紙巻たばこ上に存在するすべての通気穴を遮断することによって修正される。二本の紙巻たばこを、92mmのパッド毎に三回喫煙した。
【0075】
第一の試験では、プラグ-スペース-プラグフィルターの中に含有された100mgのVISCOPEARL多孔性セルロースビーズが利用され、ある量のたばこの煙が上述の試験方法に従ってプラグ-スペース-プラグフィルターを通過した。
【0076】
第二の試験では、上述の通りプラグ-スペース-プラグフィルター内に含有された、100mgの非晶質炭酸マグネシウム材料(400マイクロメートル~1000マイクロメートルのサイズの粒子)が利用され、ある量のたばこの煙が上述の試験方法に従ってプラグ-スペース-プラグフィルターを通過した。
【0077】
非晶質炭酸マグネシウム材料を含有するプラグ-スペース-プラグフィルターは、VISCOPEARL多孔性セルロースビーズを含有するプラグ-スペース-プラグフィルターについて決定された値と比較して、たばこの煙の中のホルムアルデヒドを約23%、水を約10%、ベンゼンを約1%低減した。ニコチンレベルは、非晶質炭酸マグネシウム材料を含有するプラグ-スペース-プラグフィルター、およびビスコパール多孔性セルロースビーズを含有するプラグ-スペース-プラグフィルターで実質的に同一のままである。
【0078】
従って、非晶質炭酸マグネシウムを有する喫煙物品フィルターのための方法、システム、装置、化合物、および組成物が説明されている。本発明の様々な修正および変形が、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。特定の好ましい実施形態に関連して本発明を説明してきたが、当然のことながら、本発明は特許請求の通り、こうした特定の実施形態に不当に限定されるべきではない。実際、化学、化学工学、フィルター製造、紙巻たばこ製造、または関連分野の当業者にとって明らかである、本発明を実行するための説明されたモードの様々な修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内に収まるものであることが意図される。