(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】内部関節安定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/68 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
A61B17/68
(21)【出願番号】P 2019540529
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(86)【国際出願番号】 US2018020077
(87)【国際公開番号】W WO2018160612
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2020-12-21
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522313754
【氏名又は名称】スケルタル ホールディングス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SKELETAL HOLDINGS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】オルベイ、ジョージ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハウスマン、マイケル アール.
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529748(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0066964(US,A1)
【文献】米国特許第06302887(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56 - A61B 17/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の骨と第2の骨との間で関節を安定化させるための内部関節安定装置であって、関節が自然の回転軸を有しており、内部関節安定装置が、
締結具によって前記第1の骨に取り付けられる取り付け部分と、
第1の安定化部分であって、
前記関節の自然の回転軸と整列した状態で該関節の第2の骨に挿入されるように構成された第1のアクスル、および
前記第1のアクスルと前記取り付け部分との間に配置された第1の首部であって、前記第1のアクスルの位置が第1の首部に対して調整可能である、第1の首部、
を含む第1の安定化部分と、
第2の安定化部分であって、
前記関節の自然の回転軸と整列した状態で該関節の第2の骨に挿入されるように構成され、かつ、前記第1のアクスルと協働するようにさらに構成された第2のアクスル、および
前記第2のアクスルと前記取り付け部分との間に配置された第2の首部であって、前記第2のアクスルの位置が第2の首部に対して調整可能である、第2の首部、
を含む第2の安定化部分と、を含み、
前記第1のアクスルおよび第2のアクスルが、これらアクスルの周りの前記関節の第2の骨の自由な回転を許容するように構成される、
内部関節安定装置。
【請求項2】
前記第1の首部および前記第1のアクスルがロック可能な旋回継手によって接続される、請求項1に記載の内部関節安定装置。
【請求項3】
前記第1のアクスルおよび前記第2のアクスルが、一体の軸を形成するために互いに結合するように構成される、請求項1に記載の内部関節安定装置。
【請求項4】
前記第1のアクスルが
管状であり、前記第2のアクスルが前記第1のアクスル
内に受け入れられるように寸法が設定された部分を含む、請求項3に記載の内部関節安定装置。
【請求項5】
前記取り付け部分が締結具で前記第1の骨に取り付け可能なプレートを含み、前記プレートが第1および第2の取り付け点を有する、請求項1に記載の内部関節安定装置。
【請求項6】
前記アクスルおよび前記首部の少なくとも一方が前記プレートに対して調整可能である、請求項5に記載の内部関節安定装置。
【請求項7】
前記第1の安定化部分が前記第1の取り付け点に取り付けられ、前記第2の安定化部分が前記第1の安定化部分に対して鏡映的な構成で前記第2の取り付け点に取り付けられる、請求項5に記載の内部関節安定装置。
【請求項8】
前記第1の首部が第1の取り付け要素を介して前記第1の取り付け点に取り付けられ、前記第2の首部が第2の取り付け要素を介して前記第2の取り付け点に取り付けられる、請求項5に記載の内部関節安定装置。
【請求項9】
前記第1および第2の首部が前記第1および第2の取り付け要素内で回転可能であり、かつ、前記第1および第2の取り付け要素に対して直線的に移動可能である、請求項8に記載の内部関節安定装置。
【請求項10】
前記第1および第2の取り付け要素がそれぞれ、前記プレートに対して前記首部を取り付けるためのタレット装置を含む、請求項8に記載の内部関節安定装置。
【請求項11】
前記第1および第2のタレット装置のそれぞれが、前記プレートに対して回転移動可能なタレット部分を含む、請求項10に記載の内部関節安定装置。
【請求項12】
前記第1の取り付け点が前記プレートに接続された第1のバーを含み、前記第1の取り付け要素が前記第1のバーの周りに回動可能に取り付けられ、
前記第2の取り付け点が前記プレートに接続された第2のバーを含み、前記第2の取り付け要素が前記第2のバーの周りに回動可能に取り付けられる、請求項8に記載の内部関節安定装置。
【請求項13】
前記取り付け要素のそれぞれがそれぞれのバーに沿ってさらに移動可能である、請求項12に記載の内部関節安定装置。
【請求項14】
前記第1の取り付け要素が前記プレートに対して前記第1の首部を保持するための第1のタレット装置を含み、
前記第2の取り付け要素が前記プレートに対して前記第2の首部を保持するための第2のタレット装置を含む、請求項12に記載の内部関節安定装置。
【請求項15】
前記第1のタレット装置および前記第2のタレット装置のそれぞれが各取り付け要素の基部に対して回転可能であり、前記基部は各バーに対して回動可能に取り付けられる、請求項14に記載の内部関節安定装置。
【請求項16】
前記第2のアクスルが、前記第1のアクスルにどれだけ挿入されているかを医師に視覚的に示すためのマーキングを含んでいる、請求項4に記載の内部関節安定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治癒を促すことを目的とした関節の安定化および関節の適切な可動域の早期再確立に関する。
【背景技術】
【0002】
関節の脱臼および亜脱臼は深刻な臨床上の問題であり、持続的、再発的または慢性的であれば不可逆的な損傷をもたらすことがある。これらの慢性的な不安定性は通常、支持する関節靭帯の損傷および/または骨の完全性の喪失の結果である。これらの症状の治療には、関与する骨の適切な関係性の回復すなわち「整復」が含まれる。整復は、損傷を受けた組織の治癒を可能にするのに十分な期間維持されなければならない。また、強直症を予防し、健康な関節軟骨を維持するために、この期間中関節の動きを維持することが望ましい。したがって、脱臼または亜脱臼関節の理想的な固定化は、異常な並進運動を防止するが、その通常の運動学と同様の動きを可能にする。
【0003】
蝶番式外部固定具は、脱臼の整復後に関節の所望の動きを可能にする目的で考案された。これらの外部固定具は主に肘に使用されてきたが、膝または足首に使用することもできる。蝶番式外部固定具は満足な最終結果をもたらし、患者が関節の安定性と同様に適切な可動域を取り戻すことを可能にした。しかしながら、「外部」装置と考えられているにもかかわらず、蝶番式外部固定具の設置は、関節の回転軸、それらの機能の重要な側面を適切に特定するために切開手術を必要とする。なぜなら、体の外からそのような軸を特定することが難しいまたは不可能であると分かっているからである。隣接する骨に複数のピンを挿入することによって、設置された蝶番式外部固定具の位置を固定するために、切開または経皮的な手術も必要とされる。
【0004】
外部固定具の固有の嵩高さは、ピン挿入路での痛みおよび頻繁な合併症と相まって、これらの装置の臨床結果の質を制限してきた。患者は、主にピン挿入路部位の痛みが原因で、これらの関節を積極的に動かすことに困難を感じる。患者はまた、比較的長期間、一般に平均して5または6週間設置されたままでいなければならない装置の扱いにくい性質のために、日常的な機能を実行することを制限される。
【0005】
関節の早期の術後の正常な動きを可能にしながら整復を維持するが、既存の蝶番式外部固定具に関連する装置の嵩高さおよびピン挿入路の痛みおよび合併症の問題を排除する装置に対する必要性が依然としてある。
【0006】
さらに、安定化の前に、その後関節安定装置を固定するために、関節の回転軸を位置付けるためのガイド、システム、および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の目的は、これまでに知られている装置の上述の欠点を克服する内部関節安定装置、システムおよび方法を提供することである。アクスルと骨に固定することができる部分とを含む関節安定装置が提供される。この装置は、関節のその自然な軌道に沿った動きを可能にしながら、ピン挿入路の問題を防ぎ、関節を安定させるために内部に配置される。
【0009】
加えて、関節を形成する第1の骨にアクスルを挿入することと、関節の第2の骨に固定可能部分を取り付けることとを含む、装置を使用する方法が提供される。安定化の前に関節の回転軸を位置決めするために任意選択的に使用され得る軌道ガイドがさらに提供される。
【0010】
本発明は、内部関節安定装置、システムおよび方法において具体化されるように本明細書において示され、記載されているが、それにもかかわらず、本発明の趣旨から逸脱することなくおよび特許請求の範囲の均等物の範囲およびレンジ内で様々な修正および構造的変更が本明細書において可能であるため、示される詳細に制限されることは意図しない。
【0011】
しかしながら、本発明の構成は、その追加の目的および利点と共に、添付の図面と関連して読まれるときに、特定の実施形態の以下の記載から最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本発明による内部関節安定装置の2つの異なる特定の実施形態の斜視図である。
【
図1B】本発明による内部関節安定装置の2つの異なる特定の実施形態の斜視図である。
【
図2】骨ねじが取り付けられている
図1Aの内部関節安定装置の斜視図である。
【
図3】上腕骨-尺骨関節に取り付けられた後の
図2の内部関節安定装置の斜視図である。
【
図3A】
図3の上腕骨-尺骨関節の拡大詳細図である。
【
図4】指節間関節に設置された後の内部関節安定装置の平面図である。
【
図5】指節間関節に設置された後の
図4の内部関節安定装置の側面図である。
【
図6】さらなる実施形態による、補綴用インプラントと併せて使用される本発明の内部関節安定装置を含む例示的な関節の分解斜視図である。
【
図7】設置後の
図6の内部関節安定装置を含む例示的な関節の側面図である。
【
図8】本発明の内部関節安定装置のさらなる特定の実施形態の斜視図である。
【
図9】
図8の内部関節安定装置の分解斜視図である。
【
図10A】
図8の内部関節安定装置のプレート部分の拡大側面図である。
【
図10B】
図8の内部関節安定装置のプレート部分の拡大側面図である。
【
図11A】
図8の内部関節安定装置のプレート部分の拡大斜視図である。
【
図11B】
図8の内部関節安定装置のプレート部分の拡大斜視図である。
【
図12A】
図8の内部関節安定装置のタレット部分の拡大斜視図である。
【
図12B】
図8の内部関節安定装置のタレット部分の拡大斜視図である。
【
図12C】
図8の内部関節安定装置のタレット部分の拡大斜視図である。
【
図13A】
図8の内部関節安定装置のタレット部分の拡大斜視図である。
【
図13B】
図8の内部関節安定装置のタレット部分の拡大斜視図である。
【
図14】
図8の内部関節安定装置の選択された部分の部分分解斜視図である。
【
図15C】
図14の内部関節安定装置の選択された部分の分解斜視図である。
【
図15D】
図14の内部関節安定装置の選択された部分の分解斜視図である。
【
図16】異なるタイプの調整能力を示す
図8の内部関節安定装置の斜視図である。
【
図17A】
図8の内部関節安定装置のプレート部分およびタレット組立体のさらなる実施形態の斜視図である。
【
図17B】
図8の内部関節安定装置のプレート部分およびタレット組立体のさらなる実施形態の分解斜視図である。
【
図18A】本発明のさらなる実施形態による内部関節安定装置の選択された部分の斜視図である。
【
図18B】本発明のさらなる実施形態による内部関節安定装置の選択された部分の分解斜視図である。
【
図18C】
図18A-18Bに示される選択された部分を使用する内部関節安定装置の斜視図である。
【
図18D】本発明の別の実施形態による内部関節安定装置で有益なプレートの斜視図である。
【
図18E】本発明の別の実施形態による内部関節安定装置で有益なプレートの斜視図である。
【
図18F】本発明の別の実施形態による両面内部関節安定装置の斜視図である。
【
図18G】本発明の別の実施形態による両面内部関節安定装置の斜視図である。
【
図18H】本発明の1つの特定の実施形態による、尺骨に取り付けられた
図18Fの内部関節安定装置を示し、アクスル部分が上腕骨(明確にするため透明で示される)に嵌合される、肘関節の後側からの平面図である。
【
図19】本発明の1つの特定の実施形態による軸軌道ガイドおよびその構成部品の側面図である。
【
図21】
図19の軸軌道ガイドを使用する1つの特定の方法を示す。
【
図22】
図19の軸軌道ガイドを使用する1つの特定の方法を示す。
【
図23】
図19の軸軌道ガイドを使用する1つの特定の方法を示す。
【
図24】
図19の軸軌道ガイドを使用する1つの特定の方法を示す。
【
図25】
図19の軸軌道ガイドを使用する1つの特定の方法を示す。
【
図26】
図19の軸軌道ガイドを使用する1つの特定の方法を示す。
【
図27】
図19の軸軌道ガイドを使用する1つの特定の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで図面を詳細に参照すると、より具体的には
図1Aおよび2を参照すると、本発明による内部関節安定装置1の特定の一実施形態が示されている。内部関節安定装置1は、関節のその固有の軌道に沿った運動を可能にしながら、ピン挿入路の問題を防ぎかつ関節を安定させるように、内部に配置されるように設計されている。
【0014】
図1Aの内部関節安定装置1は、肘などの蝶番式に動く関節と関連して使用するのに特に適しており、好ましくは金属(チタン、コバルトクロムまたはステンレス鋼あるいはチタン部分とコバルトクロム部分の組み合わせなど)、生体吸収性材料(PLAまたはPGAなど)または金属と生体吸収性材料との組み合わせから作製される。内部関節安定装置1はプレート部分2を含み、プレート部分2は好ましくは成形可能(すなわち、屈曲可能)である。プレート部分2を貫通して延びるのは、骨ねじ7および骨ねじ8を受け入れるように適合された穴3および穴4である。穴3および/または穴4はスロットによって具体化できること、および、必要に応じて、全くない、より多いまたは少ない、骨ねじ7、8を受け入れる穴3および/または穴4をプレート部分2に含めることができる。骨ねじ7は、穴またはスロット3を通して骨に取り付けられる圧縮ねじであることが好ましい。設けられている場合、穴4は、圧縮ねじおよび/または外科医によって選択された角度で、ねじ7と同じ骨に取り付けられる角度安定ねじ8を無差別に受け入れるように適合されると好ましい。選択された場合、角度安定ねじ8は、完全に設定されると穴4と係合するようになり、選択された角度でさらなる安定性を提供する。
図1Bにより具体的に示されるように、本発明による内部関節安定装置は非常に単純な形態を有することができる。例えば、固定可能部分2’、穴3’、首部分5’およびアクスル部分6’を含む
図1Bの内部関節安定装置1’全体は、例えば、圧縮および/または角度安定ねじを受け入れるように構成された少なくとも穴3’を形成するように部分的に予め曲げられた、Kワイヤまたはスタインマンピンの部分から作製することができ、それでもなお本発明の範囲内である。
【0015】
ここで
図4および5を参照すると、本発明による内部関節安定装置11の他の特定の実施形態が示されている。内部関節安定装置11は、関節のその固有の軌道に沿った運動を可能にしながら、ピン挿入路の問題を防ぎかつ関節を安定させるように内部に配置されるように設計されている。
【0016】
図4、5の内部関節安定装置11は、PIP(近位指節間関節:proximal interphalangeal joint)、DIP(遠位指節間関節:distal interphalangeal joint)およびIP(親指指節間関節:interphalangeal joint of the thumb)として知られる手の指節間関節などの他の蝶番式に動く関節と関連して使用するのに特に適しており、好ましくは金属(チタン、コバルトクロムまたはステンレス鋼など)、生体吸収性材料または両方の組み合わせから作製される。内部関節安定装置11は、好ましくは成形可能であるプレート部分12を含む。プレート部分12を貫通して延びるのは、骨ねじ17および骨ねじ18を受け入れるように適合された穴またはスロット13および穴14である。必要に応じて、全くない、より少ないまたは多い、骨ねじ18を受け入れる穴14をプレート部分12に含めることができる。骨ねじ17は、好ましくは、骨貫通穴またはスロット13に取り付けられる圧縮ねじである。設けられる場合、穴14は、圧縮および/または外科医によって選択された角度でねじ17と同じ骨に取り付けられる角度安定ねじ18を無差別に受け入れるように適合されると好ましい。選択された場合、角度安定ねじ18は、完全に設定されると穴14と係合し、選択された角度でさらなる安定性を提供する。
【0017】
ここで
図1A、2、4および5を参照すると、内部関節安定装置1、11は、プレート部分2、12の縁部2a、12aから延びる首部分5、15をさらに含む。アクスル部分6、16がプレート2、12から遠位方向に首部分5、15の端部から延びる。首部分5、15は、アクスル部分6、16が、それが使用されている蝶番式に動く関節の自然回転軸と整列して配置された後に患者の解剖学的構造に一致するように外科医によって手術中に3つの軸X、Y、Zのいずれかにおいて形成されることができるように成形可能(すなわち、屈曲可能)であると好ましい。一例として、蝶番式に動く関節が肘である場合、プレート部分2は側面、後面または内面で尺骨にしっかりと固定され得る一方、アクスル部分または突起6は、自然の関節回転軸に整列された上腕骨の穴を通って突出し得る。別の例では、蝶番式に動く関節が指節間関節である場合、プレート部分12は、その尺側または橈側面でより遠位の指節骨にしっかりと固定され得る一方、アクスル部分または突起16は、自然の関節回転軸に整列されたより近位の指節骨の穴を通って突出し得る。内部関節安定装置1、11のプレート部分2、12と首部分5、15との間の関係は、内部関節安定装置が適用される解剖学的構造に適合されている。内部関節安定装置1の場合、首部分の軸はプレート部分の軸に対して実質的に垂直である(すなわち逆Tを形成する)傾向があるが、内部関節安定装置11の場合、首部分の軸はプレート部分の軸と実質的に一直線上にある傾向がある。プレート部分と首部分との関係は、本発明の範囲内に留まりながら内部関節安定装置が適用される解剖学的構造の他の部分にさらに適合させることができる。
【0018】
内部関節安定装置1、11のそれぞれプレート部分2、12および首部分5、15は、米国特許出願第12/463,037号に記載されているものに従って構成することができ、その出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
次に、内部関節安定装置1を利用する1つの特定の方法を、
図1A~3Aに関連して記載する。より具体的には、
図3~3Aは、上腕骨-尺骨関節に取り付けられた内部関節安定装置1を示す。アクスル部分6(点線で示される)は、上腕骨-尺骨関節の自然回転軸と整列して、上腕骨20に挿入されていることが分かる。プレート部分2は、圧縮モードで骨ねじ7を使用して尺骨21に(この例では側面に)取り付けられる一方、ねじ8は圧縮または角度安定モードでプレート部分2を尺骨21にさらに取り付ける。さらに、橈骨22は処置の影響を受けないので、参考のためにのみ示されている。
【0020】
さらに、
図4および5は、指節間関節(特にPIP関節)に取り付けられた内部関節安定装置11を示している。アクスル部分16(点線で示される)が、指節間関節の自然な回転軸と整列して、より近位の指節骨30に挿入されていることが分かる。プレート部分12は、圧縮モードで骨ねじ17を使用してより遠位の指節骨31の尺側(図示)または橈側面に取り付けられる一方、ねじ18はさらに圧縮または角度安定モードでプレート部分12をより遠位の指節骨31に取り付ける。
【0021】
内部関節安定装置を取り付けるために、外科医は、(肘の場合には)外側および/または内側の切開を介して、または(指節間関節の場合には)橈側および/または尺側の切開を介して、患部関節に接近する。脱臼した関節は整復され、関節の回転軸上の最初の点が決定される。これは解剖学的構造の目視検査によって達成することができる。あるいは、関節はその可動域にわたって動かすことができ、外科医が、回転軸上の最初の点を位置付ける関節の近位骨(肘の場合は上腕骨、または指節間関節の場合は患部関節のより近位の指節骨)上の等尺点を識別して印を付けることを可能にする。肘の場合、この点は外側上顆の付け根の隣の小頭の中心に位置する。同様に、関節の近位骨20、30の反対側の回転軸上の第2の点は、蛍光透視法、直接検査、または専用の軸軌道ガイド(例えば、
図19の軸軌道ガイド400)を用いて識別して印を付けることができる。次に、内部関節安定装置の据え付けに備えて回転軸に穴が開けられる。
【0022】
次に、アクスル部分6、16を関節の近位骨に開けられた穴に挿入する。必要に応じて、次いで、内部関節安定装置の首部分が、プレート部分2、12の穴またはスロット3、13が、肘の場合は尺骨21の外面(図示)、後面または内面の、または指節間関節の場合は患部関節31のより遠位の骨の橈側または尺側(図示)面の比較的平らな部分に対して平らにその適切な位置にあるように外科医によって成形される。骨ねじ7、17を穴またはスロット3、13に挿入し、骨にねじ込む。穴またはスロット4、14が設けられている場合、プレート部分2、12は、必要に応じて外科医によってさらに成形され、それによって穴またはスロット4、14は、肘の場合、尺骨21の外面(図示)、後面または内面に対して、または患部指節間関節の場合、より遠位の骨の橈側または尺側(図示)面に対してほぼ平坦に位置する。次いで、外科医によって選択された角度で、圧縮または角度安定ねじ8、18が穴4、14に挿入され、場合によっては尺骨21または指節骨31にねじ込まれる。必要に応じて、ねじ8、18を取り付けた後、もともと穴またはスロット3、13を通して固定されていた骨ねじ7、17を取り外し、角度安定ねじ8、18で置き換えることができる。
【0023】
関節の可動域と安定性を再び検査する。切開部は外科医によって標準的な方法で閉じられる。
必要に応じて、金属製の内部関節安定装置は、損傷した組織の治癒を可能にするのに十分な期間の経過後、外科的に除去することができる。代替実施形態では、安定装置の全部または一部、または少なくともそのアクスル部分は、生体吸収性材料、すなわちポリ乳酸から作製され、したがって内部関節安定装置の一部または全部を外科的に除去する必要性が減少する。
【0024】
ここで
図6および7を参照すると、本発明による内部関節安定装置40のさらなる実施形態が示されている。場合によっては、関節の近位骨50の表面または端部が損傷している可能性があり、交換が必要となることがある。したがって、本発明の原理によれば、本発明の内部関節安定装置40のアクスル部分42は、損傷を受けた近位骨50に挿入された補綴用インプラント60に挿入することができる。例えば、
図6および7に示されるように、内部関節安定装置40は、近位骨50(この場合、上腕骨-尺骨関節の上腕骨)の関節面が損傷され、補綴用インプラント45で置き換える必要がある場合に使用するのに特に適している。内部関節安定装置40の使用は補綴用インプラントの使用が示唆される場合他の関節での(例えば、PIP関節での)使用に適合させることができるので、上腕骨-尺骨関節の例示的な使用は限定的であることを意味するものではない。
【0025】
図6により詳細に示されるように、この例では、上腕骨50の損傷した関節面に取って代わるための表面45aと、上腕骨50の骨髄腔50a内に挿入されて固定されるためのシャフト45bとを含む補綴用インプラント45が提供される。補綴用インプラントはまた、内部関節安定装置40のアクスル部分42を受け入れるように寸法決めされた予め穿孔された穴46を含む。あるいは、外科医は術中にアクスル42のための穴46を穿孔することができる。任意選択的に、好ましくはプラスチック材料製の軸受スリーブ48を、内部関節安定装置40のアクスル42を挿入する前に補綴用インプラントの穴46に挿入するように提供することができる。任意選択の軸受スリーブを使用する場合、補綴用インプラント45の穴46は、軸受スリーブ48を受け入れるように寸法決めされる、または構成される。
【0026】
図6および7に示す内部関節安定装置を取り付けるために、外科医は、切開部を介して患部関節(すなわち、図示の例では肘)に接近し、
図6に示すように近位骨50(例えば上腕骨)の損傷した関節面を除去し、次いで、補綴用インプラント45のシャフト45bを受け入れるように近位骨50の骨髄腔50aを用意する。補綴用インプラント45を次いで近位骨50に挿入し、ねじおよび/またはセメントおよび/または他の手段で固定し、その結果、穴46の軸は近位骨50の自然回転軸と整列している。
【0027】
次に、アクスル部分42を補綴用インプラント45の穴46に挿入する。代替的に、設けられている場合、任意選択の軸受スリーブ48を補綴用インプラント45の適切に寸法決めされた穴46に挿入してからアクスル部分42を穴48aを介して軸受スリーブ48に挿入することができる。
【0028】
一旦アクスル部分42および/または軸受スリーブ48およびアクスル部分42が補綴用インプラント45の穴46に挿入されると、外科医は、
図1~5の内部関節安定装置に関連して前述したステップに従って手術を進める。
【0029】
ここで
図8~11Bを参照すると、本発明による内部関節安定装置110の別の実施形態が示されている。内部関節安定装置110は、さらなる程度の調節可能性を提供することを目的とした付加的な構成要素を含む。内部関節安定装置110のこの特定の実施形態は、プレート部分120、タレット組立体130、首部分150、旋回継手170、アイレット171、およびアクスル部分160を含む。内部関節安定装置110の全ての構成要素部分、しかし、少なくとも首部分150およびアクスル部分160は、患者の特定の解剖学的構造に適応するように異なる寸法で提供され得る。
【0030】
特に、内部関節安定装置110は、好ましい実施形態では、手術中に屈曲可能(すなわち、成形可能)であるプレート部分120を含む。プレート部分は、骨と係合するように構成された内面121と、内面121の反対側の外面122とを画定する。より具体的に
図10Bに示されるように、外面122の平面は、内面121の平面に対して斜めになり、0>A1>=45度の範囲内の角度A1だけ平行から発散するように好ましくは選択される。しかしながら、必要に応じて、別の角度を選択することができ、あるいは表面122を表面121と平行になるように選択することができる。
【0031】
より具体的には
図11Aおよび11Bから分かるように、少なくとも2つの穴123が、内面121と外面122との間でプレート120を貫通している。穴123は、それを貫通する固定装置、例えば圧縮骨ねじ(
図10Aの124)または角度安定骨ねじ(図示せず)を受け入れるように作られている。特定の一実施形態では、プレートの内面121でねじ穴123を囲む周囲には、骨との摩擦係合を強化する突起125を設けることができる。加えて、タレット穴126がプレート120を貫通して内面121と外面122との間に延びている。タレット穴126は円周方向リップ127を含み、タレット組立体(
図9の130)を受け入れるように作られている。
図11Aおよび11Bに示すように、タレット穴126は、外面122に対して垂直な軸Y-Y’を画定し、その周りをタレット組立体(130)は回転することができる。
【0032】
ここで
図11A~14Bを参照すると、本発明の1つの特定の実施形態と共に使用するためのタレット組立体130が記載されている。タレット組立体130は、タレット部分131、タレットナット部分132、およびタレット止めねじ133を含む。タレット部分131は、外面122の側から、円周方向リップ127と係合されるまで(すなわち、円周方向リップ127の外壁に当接されるまで)プレート120のタレット穴126に挿入されるような寸法である。タレットナット部分132は、プレート120の内面121の側から、円周方向リップ127の内面に当接されるまで、タレット穴126に挿入されるような寸法である。タレット部分131およびタレットナット部分132は、軸Y-Y’周りのタレット穴126の内側でのそれらの回転(
図14のRT’)を許容するのに十分な間隙を許容しながらタレット穴126のそれぞれの側の内側に嵌合するように正確に寸法決めされている。タレット部分131とタレットナット部分132とは、それぞれ円周方向リップ127のそれぞれの側で、タレット止めねじ133によって、それらの間に配置されたタレット部分131のリップ部分134によって、一緒に緩く固定されている。タレット組立体130のリップ部分134は、円周方向リップ127と緩く係合し、タレット組立体130の回転を許容するように設計されている。タレット止めねじ133をさらに締め付けると、タレットナット部分132が引かれて円周方向リップ127と摩擦係合し、それにより、タレット組立体130のさらなる回転を妨げる。
【0033】
ここで
図12A~14を参照すると、タレット部分131には、首部分150を受け入れてこれと摩擦係合するように寸法決めされた穴135が設けられていることが分かる。穴135は、中心線が軸Z-Z’を画定する円筒形であることが好ましい。さらに示されるように、本実施形態において、タレット部分131はまた、タレット止めねじ133の締め付け時に首部分150をタレット部分131に締め付けることを促すためのスロット136を含む。スロット136は、軸Z-Z’と平行であり、穴135の一端から穴135の他端までタレット部分131の一部を貫いて延びる。対応して、首部分150は、円筒形の断面を有し、少なくとも部分的に、円筒形の穴135に挿入されるように寸法決めされている。一旦挿入されると、首部分150は、円筒形の穴135内で軸Z-Z’の周りを回転することができる(
図14のRT)。首部分150はまた、穴135の軸Z-Z’に沿って長手方向に摺動可能に並進し得る(
図14のTR)。しかしながら、一旦タレット止めねじ133がタレットナット部分132の中へと完全に締め付けられると、穴135と首部分150との間の摩擦が首部分150を締め付け、穴135内での首部分150のさらなる回転または並進運動を妨げる。本発明の趣旨から逸脱することなく、そして特許請求の範囲の均等物の範囲およびレンジ内で、他のクランプ方法を使用することができるので、上述の首部分150のクランプ機構は示された詳細に限定されることを意図しない。
【0034】
より具体的には
図14~15Bに示すように、旋回継手170を設けることもでき、旋回継手ねじ151を緩く取り付けた状態で、首部分150を軸X-X’の周りで回転させることができる(
図14のRT’’)。より詳細には、このようなアクスルが旋回継手170のアイレット171に螺着された後、継手170の回転は、アクスル部分160の軸W-W’に対する首部分150の角度変位を可能にする。旋回継手170の回転は、旋回継手ねじ151を完全に締め付けることによって妨げることができる。
【0035】
ここで
図15A~15Dを参照すると、
図15Aおよび15Bは、タレット組立体130における首部分150の例示的な並進変位を示す。例えば、
図15Aはタレット組立体130内に完全に挿入されたときの首部分150を示し、
図15Bはタレット組立体130より上に完全に延ばされた首部分150を示す。
図15C~15Dは、旋回継手170のさらなる実施形態を示しており、ここで旋回継手170の対応する表面は、(
図15Cで見られるように)表面173、174上に突き合わせ式にスプライン加工(すなわち「溝加工」)されることができ、または旋回継手が任意の所望の角度に固定されることを有利に可能にするために(
図15Dで見られるように)一方の表面173上でスプライン加工され、他方の表面175上で変形可能な(柔らかい)金属で円周方向に隆起されることができることが分かる。さらに別の実施形態では、
図15Dにおいて、首部分150’は、完全に真っ直ぐである、すなわち軸Z-Z’と完全に整列され、これは、部分的に真っ直ぐで部分的に湾曲し、真っ直ぐな部分だけが軸Z-Z’と整列している首部分150(
図15A~15B)とは対照的であることが分かる。さらに、首部分150、150’の下端部は、穴135との摩擦を増大させ、設置後に首部分150、150’がタレット部分131の下方に所望以上に突出する場合にはバリのない切削を可能にする溝152で長手方向に溝を付けることができる。
【0036】
ここで
図16を参照すると、
図8~15Cに関連して記載した内部関節安定装置110は、調整のために4つの自由度を提供する。すなわち、a)軸Z-Z’の周りの首部分150、150’の回転(RT)、b)軸Z-Z’に沿った首部分150、150’の長手方向の並進移動(TR)、c)首部分150、150’の角度変位を伴う、軸Y-Y’周りのタレット組立体130の回転(RT’)、およびd)軸X-X’周りの旋回継手170の回転から生じる、アクスル部分軸W-W’に対する首部分150、150’の角度変位(RT”)である。
【0037】
ここで
図17Aおよび17Bを参照すると、本発明の内部関節安定装置と共に使用するためのプレート部分およびタレット組立体のさらなる実施形態が示されている。例えば、必要に応じて、
図17A~17Bのプレート201およびタレット組立体200を、
図8~16の内部関節安定装置110のプレート120およびタレット組立体130の代わりに使用することができる。より具体的には、プレート201およびタレット組立体200は、本発明の内部関節安定装置に調整のためのさらなる自由度を提供するように構成される。示されるように、タレット組立体200は、それを通る円筒形の穴290を含み、それは軸V-V’を画定する。円筒形の穴290は、2つのプレートソケット295の間に延びる対応するサイズの円筒形シャフト部分280を受け入れる。各プレートソケット295は、ねじ穴123を含み、
図8~16のプレート120に関して前述したものと同様に突起125を含み得る。
図17Bにも示されるように、タレット組立体200は、前述のタレット組立体130のタレット部分131、タレットナット部分132、およびタレット止めねじ133と共に使用することができる。タレット組立体200はさらに、上記の
図14に関連して記載した方法で首部分150、150’と結合することができる。
【0038】
プレート部分201およびタレット組立体200が、
図8の内部関節安定装置110などの内部関節安定装置の一部として使用されるとき、追加の(第5の)自由度が有利に得られる。より具体的には、このさらなる自由度は、軸V-V’の周りのタレット組立体200の回転(
図17BのRT’’’)を可能にし、その結果、接続された首部分150、150’のさらなる対応する回転がもたらされる。
【0039】
ここで
図18Aおよび18Bを参照すると、本発明の内部関節安定装置と共に使用するためのプレート部分およびタレット組立体のさらなる実施形態が示されている。例えば、必要に応じて、
図18A~18Bのプレート301およびタレット組立体300を、
図8~16の内部関節安定装置110のプレート120およびタレット組立体130の代わりに使用することができる。より具体的には、プレート301およびタレット組立体300は、プレート201およびタレット組立体200によって提供されるものと同様に、本発明の内部関節安定装置に調整のためのもう1つの追加の自由度を提供するように構成される。示されるように、タレット組立体300は、それを貫通して軸V-V’を画定する円筒形の穴390を含む。円筒形の穴390は、対応する直径であるが円筒形の穴390よりも長い、2つのプレート延長部395の間に延びる円筒形シャフト部分380を受け入れる。プレート301は、
図8~16のプレート120に関して前述したものと同様のねじ穴123と、圧縮ねじを受け入れるように構成されているスロット323とを含む。
図18Bにも示されるように、タレット組立体300は、前述のタレット組立体130と同様に、タレット部分331、タレットナット部分332、およびタレット止めねじ333を含む。タレット組立体300はさらに、上で
図14に関連して記載した方法で軸Z-Z’に沿って首部分150、150’と結合することができる。
【0040】
プレート部分301およびタレット組立体300が、
図8の内部関節安定装置110などの内部関節安定装置の一部として使用されるとき、追加の(第6の)自由度が有利に得られる。より具体的には、このさらなる自由度は、軸V-V’に沿ったタレット組立体300の長手方向の並進運動(
図18AのTR’)を可能にし、その結果、接続された首部分150、150’のさらなる可能な調整がもたらされる。
【0041】
図18Cは、上腕骨-尺骨関節内の尺骨21の後部に据え付けられた後の、上述のプレート部分301、タレット組立体300、首部分150’、旋回継手170およびアクスル部分160を含む内部関節安定装置310を示す。尺骨21および橈骨22は実線で示されているが、上腕骨20は関節の回転軸を介してアクスル部分160の視覚化を可能にするために半透明で示されている。
【0042】
本発明のさらなる実施形態が、
図18D~18Hに示されている。実施形態全体を通して、同様の参照番号は、同様の部品を表すために図面において使用される。より具体的には、
図18Fを参照すると、プレート部分301Aを含む両面内部関節安定装置310Aが提供されており、プレート部分301Aは、
図18A~18Cに関連して記載したようなただ1つのタレット組立体300の代わりに2つのタレット組立体300のための取り付け点を含むという点で
図18A~18Cのプレート部分301とは異なる。両面内部関節安定装置310Aは、設置されたときに、片面内部関節安定装置よりも安定した閉鎖構造体を提供するという点で特に有利である。プレート301Aは2対のプレート延長部395を含み、各対はそれらの間に延びる円筒形シャフト部分380を含む。タレット300(それぞれがタレット部分331、タレットナット部分332、およびタレット止めねじ333を含む)は、鏡映的な構成でシャフト部分380に取り付けられ、それらのそれぞれの円筒形シャフト部分380の周りを回転することができる。さらに、好ましい実施形態では、各タレット300はシャフト部分380の上方および/または下方に長手方向に並進させることができる。要するに、各タレット組立体300およびその取り付け部分は、
図18A~18Cのタレット組立体300および取り付け部分に関連して上述した通りであるが、本実施形態では、互いに鏡映的な向きにある(すなわち、各タレットナット部分320が骨から離れて外側にある)。
【0043】
同様に、各タレット組立体300は、
図14および18A~18Cに関連して記載した方法で軸(例えば、
図18Bの軸Z-Z’)に沿って首部分150’と結合する。
図14~15Bに関連して上述したように、旋回継手170が、プレート301Aの両側に(すなわち、各タレット組立体300に関連して)追加的に設けられる。
【0044】
しかしながら、この特定の実施形態では、アクスル部分は2つの嵌合部分160A、160Bから構成されている。より具体的には、アクスル部分160A、160Bは、プレート301Aが尺骨21に取り付けられたときに上腕骨20の2つの側から挿入され、骨20の内側で互いに嵌合する。アクスル部分160Aは、前の実施形態に関連して記載したアクスル部分160に似ているが、アクスル部分160Bは、その内部にアクスル部分160Aのシャフトの一部を受け入れるようにカニューレを挿入される。アクスル部分160Aは、アクスル部分160A、160Bが嵌合されているかどうか、そして嵌合されている場合、アクスル部分160Aがアクスル部分160Bのカニューレ161B内にどれだけ挿入されているかに関して医師に視覚的指示を提供するマーキングを含み得る。アクスル部分160A、160Bの嵌合、ならびにそれらのアクスル部分160A、160Bの上腕骨20への鏡映的接近を除いて、
図18D~18Hの実施形態の2つのタレット組立体300、首部分150’および旋回継手170のそれぞれは、
図18A~18C、または本明細書中のその他の図の個々の部品に関連して記載したように調整される。
【0045】
図8の内部関節安定装置110、
図18Cの内部関節安定装置310または
図18Fの内部関節安定装置310Aなど、本発明の内部関節安定装置を設置するために、外科医は外側または内側切開部を介して肘に接近する。回転軸上の第1の点が決定され印を付けられる。これは解剖学的構造の目視検査によって行うことができる。あるいは、関節をその可動域にわたって動かして、外科医が上腕骨上の等尺点を特定して印を付け、回転軸上の第1の点を突き止めることができる。この点は、外側上顆の付け根の隣の、小頭の中心にある。同様に、上腕骨の反対側の回転軸の別の端点は、蛍光透視法、直接検査によって、またはガイド(例えば、
図19の軸軌道ガイド400)を用いて特定することができる。次に、内部関節安定装置の設置に備えて回転軸の両端点を接続する穴が開けられる。
【0046】
アクスル部分160(
図18Fの実施形態では160B)を除く内部関節安定装置110、310の全ての部分は、緩く組み立てられる。タレット止めねじ(
図14、18B、18Fの133、333)と旋回継手ねじ(
図14の151)を緩めに取り付けたままで、その異なる部分間の相対移動を可能にしながら、外科医は内部関節安定装置を切開部分に導入する一方、プレート部分120、201、301を尺骨21に取り付けるための最適な位置(外側、内側または後側)を特定する。次いで、プレート部分120、201、301を、必要に応じて、圧縮ねじまたは角度安定ねじで尺骨21に取り付ける。旋回継手のアイレット(
図14の171)は、上腕骨20に予め穿孔された穴の入口点のちょうど反対側で上腕骨20と接触するように動かされる。適切な大きさのアクスル部分160、160Bがアイレット171を通して、そして予め開けられた穴に挿入される。アクスル部分160、160Bはアイレット171にしっかりとねじ込まれる。外科医は、軸Z-Z’に沿って回転およびスライドさせることによって、そしてタレット部分(
図14および
図17Bの131または
図18A-18B、18Fの331)を回転させることによって、および旋回継手(
図14の170)の回転を調整することによって、首部分150、150’の長手方向および角度位置を調整する。旋回継手ねじ(
図14の151)およびタレット止めねじ(
図14および
図17Bの133または
図18B、18Fの333)を締め付けて可動域を試験する。必要であれば、最適な可動域が達成されるまで、タレット止めねじ133、333および/または旋回継手ねじ151を順次緩めて締め付けることによって、より細かい調整が行われる。次に切開部は外科医によって標準的な方法で閉じられる。両面プレート部分301Aが使用される
図18D~
図18Hの実施形態において、上述のステップを上腕骨20の反対側のアクスルおよびタレット組立体に対して繰り返すことができ、この際、上腕骨20のこの側に予め挿入されているアクスル部分160Aが先に挿入されたカニューレアクスル部分160Bのキャビティと嵌合されることが追加される。
【0047】
ここで
図19~27を参照して、
図1~
図18Hに関連して記載した装置のうちの1つを使用して安定化する前に、任意選択的に関節の回転軸を突き止めるために使用できる軸軌道ガイドおよび方法を記載する。本明細書に記載の内部関節安定装置と組み合わせて、軸軌道ガイドをシステムの一部として使用することができるが、それに限定されない。むしろ、
図19~27の軸方向軌道ガイドは、既知のおよび/または異なる種類の固定具または関節安定装置を挿入するための関節の回転軸を突き止めるために、または関節の回転軸を突き止めることが望まれる任意の他の状況において使用することもできる。
【0048】
関節の回転軸を突き止めるには、関節の回転に関連する2つの点を特定すれば十分である。一度特定されると、関節の回転軸は、特定された2点を含む直線で表すことができる。
【0049】
例えば、説明のみを目的として肘関節の場合を参照すると、この関節の2つの関連する回転点の位置は回転軸を視覚化することを可能にする。外側切開部を介して上腕骨-尺骨関節に接近すると、外科医は1つのそのような点を視覚的に特定することができる。この第1の点は、外側上顆の付け根の隣にある小頭の中心にある。第2の点は、「スプール」形状の滑車(尺骨-上腕骨関節の上腕骨部分)の中心線内の点と見なすことができる。この点を突き止めるために、本明細書では、
図19の軸軌道ガイド400など、特に軸上の第2の点を特定するために滑車を覆って取り付けることができる弓形(すなわち円弧の形状)部分を有するガイドが提供される。
【0050】
ここで
図19の軸軌道ガイド400を、より具体的には
図19~20に関連して記載する。
図19を参照すると、本発明の1つの特定の実施形態による、軸軌道ガイドおよびその主要構成部品の立面図が示されている。
図20は、
図19の軸軌道ガイド400の分解斜視図である。
【0051】
具体的には、
図19~20の軸軌道ガイド400は、ハンドル部分410と、中心位置決め装置420と、既知の長さLのKワイヤ440を受け入れるように構成された取り外し可能なアライメントスリーブ430とを含む。ハンドル部分410は任意の所望の材料から作製することができるが、好ましくはステンレス鋼などの金属製、またはプラスチック製である。
【0052】
図20により詳細に示されるように、軸軌道ガイド400の中心位置決め装置420は、周囲を画定する弓状の先端部分422を含む。中心位置決め装置の弓状の先端部分は、ある円の特定の円弧を禁止することに限定される必要はない。むしろ、所望ならば、画定された部分的に開いた弓形領域は、必要に応じて半円に等しくてもよい、
図20に示されるように半円よりも大きくてもよい、またはより小さくてもよい。異なる解剖学的構造に対応するために、先端部分422の異なる直径を有する中心位置決め装置420を設けることができる。中心位置決め装置420の基端部は、ハンドル部分410の先端部411に(図示のように)固定されることができる、先端部411と一体的に形成されることができる、または好ましくは先端部411に取り外し可能に取り付けられることができる、したがって、一緒に軸軌道ガイド400の本体を形成する。さらに、ハンドル部分410は、中心位置決め装置420の位置とは反対のハンドル部分410の側に配置された開口部412を介して、取り外し可能なアライメントスリーブ430のカニューレ挿入延長ピン部分434を受け入れるように構成されている。なお、肘以外の関節での使用に適している場合、軸軌道ガイド400の中心位置決め装置420の先端部分は、対応して、関節内の骨の一部と係合し、その所望の軸軌道の位置を定めるように幾何学的に適合され得る。
【0053】
取り外し可能なアライメントスリーブ430はさらに、カニューレ挿入延長ピン434を貫通する開口部432を有するノブ431を含む。開口部432は、
図20でより具体的に示されるように、既知の長さLのKワイヤ440または他の種類の長手方向延長デバイスを受け入れる大きさである。
図26~27でよりはっきり分かるように、カニューレ挿入延長ピン434の断面は、その外周の約4分の3(3/4)にわたって円筒形であり、最後の4分の1はカムを形成するようにわずかに突出している。カムが
図26~27に示されるように中立位置にあるときは、カニューレ挿入延長ピン434は開口部412の軸に沿って長手方向に摺動させることができる。ノブ431を時計方向に回転させることにより、カム形状のカニューレ挿入延長ピン434は対応して構成された開口部412と係合し、それを定位置に係止し、それにより開口部412の軸に沿ったカニューレ挿入延長ピン434の長手方向のさらなる摺動を妨げる。
【0054】
中心位置決め装置420、アライメントスリーブ430、およびKワイヤ440は、任意の所望の材料から作製することができるが、好ましくは、ステンレス鋼などの金属から作製される。
【0055】
図19の軸軌道ガイド400を使用する方法が、説明の目的のために、肘関節を使用して
図21~27に関連して記載される。外科医は、前述のように、外側切開部を介して上腕骨-尺骨関節に接近し、関節の回転軸上に(
図21で見られるように)第1の点460を付ける。
【0056】
ここで
図21を参照すると、外科医は上腕骨を尺骨からそらし、中心位置決め装置420を上腕骨滑車455上に「着座する」までそらされた関節内に挿入する。ハンドル410を使用して中心位置決め装置420を操作して関節内に入れる。
【0057】
図22~23に示すように、中心位置決め装置420が滑車455上に正しく着座すると、アライメントスリーブ430のカニューレ挿入延長ピン434は、軸軌道ガイド400のハンドル部分410の開口部412に挿入され、それによりカニューレ挿入延長ピン434の先端部は、上腕骨450上の外科医によって先に印を付けられた第1の点460にほぼ接触するが、点460の視覚的観察を可能にするのに十分に離れている。外科医は次にノブ431を時計方向に回転させることによりカニューレ挿入延長ピン434をその位置にロックする。
【0058】
図24にさらに示されるように、アライメントスリーブ430がハンドル部分410の開口部412内にロックされると、外科医は、第1の印を付けられた点460で上腕骨450と係合するまで、既知の長さLのKワイヤ440を挿入する。
【0059】
蛍光透視法の下で、Kワイヤ440は上腕骨450に注意深く掘り進められ、この間、外科医はKワイヤ440が中心位置決め装置420の弓形部分422内で中心に置かれていることを視覚的に確認し、また、中心位置決め装置420の弓形部分422の先端縁部をわずかに越えるが上腕骨の遠位皮質の手前まで慎重に穿孔する。
【0060】
ここで
図24~25を参照すると、Kワイヤ440の配置に続いて、アライメントスリーブ430上のノブ431を反時計回りに回転させてカニューレ挿入位置合わせピン434を解放する。アライメントスリーブ430を最初に開口部412から取り除き、次に軸軌道ガイド400の残りの部分を関節から取り除くが、Kワイヤ440は所定の位置に残す。ここで、Kワイヤ440は、関節の回転軸を定める。深さゲージ(図示せず)を使用して、外科医はKワイヤ440の突出長さL2を測定する。Kワイヤ440の全長Lは既知であるので、上腕骨450に埋め込まれたKワイヤ440の長さL1は計算され記録される。
【0061】
このようにして定義された、
図18~26の軸軌道ガイド400を使用して位置決めされた対象関節の回転軸は、対象関節にさらに作用するために使用することができる。例えば、外科医は、カニューレ挿入ドリルを使用してKワイヤ440上に挿入し、自然の関節回転軸に位置合わせされた、関節安定装置の最大でも長さL1のアクスル部分160を受け入れることができる既知の長さL1の円筒形キャビティを作り出すことができる。
【0062】
本明細書に記載の軸軌道ガイドおよび方法は、内部および/または外部関節安定装置を利用して関節の安定化を容易にするために関節の回転軸を特定するために使用することができる。しかしながら、上記のように、これは限定することを意味しない。それは、本明細書に記載されているガイドおよび方法は、関節がその後安定化されるかどうかにかかわらず、関節の軸を特定することが望ましいあらゆる状況で使用することができるからである。
【0063】
本明細書に記載の軸軌道ガイドを内部関節安定装置を含むキットの一部として提供することは有利であり、キットは外科医が手術中に特定の患者の解剖学的構造に内部関節安定装置を適応させることを可能にするために異なる長さの複数のアクスルおよび首部を含むこともできる。例えば、長さL1を決定した後、外科医は、キットに提供されている複数のアクスルから長さL1よりも短いがほぼ等しい長さを有するアクスルを選択することができる。同様に、外科医は、患者の特定の解剖学的構造に対応するために、キットに提供された、異なる長さおよび形状の複数の首部から手術中に首部分を選択することができる。そのような実施形態では、選択された首部は、本明細書に記載の異なるタレット組立体などの複数の調整部分のうちの1つにさらに取り付けることができる。
【0064】
肘および指節間関節に関連して上に記載されているが、これは限定を意味しない。それは、他の内部関節安定装置および軸軌道ガイドを本明細書の記載に従うが異なる大きさまたは縮尺で作製し、それにより足首などの他の関節の慢性的な不安定性、亜脱臼、または脱臼、または第1の手足指節関節または腱膜に発生するものなど慢性的な不安定性を治療することができるからである。さらに、本明細書の記載から、本発明の内部関節安定装置は、親指または膝の手根中手骨(CMC)関節など、より複雑な並進幾何学形状、または2つ以上の回転軸を有する関節と共に使用するように適合させることができ、その際、装置はこれらの関節の独特の動きを可能にするように適合され得る。例えば、特定の一実施形態では、本発明の内部関節安定装置は、適切な等角点に配置された2つ以上のアクスルまたはリンケージアームをさらに含むように修正することができる。このように、本発明は、曲折可能な首部分、タレット組立体および/または旋回部分等など様々な特別に記載された機構を使用して固定可能部分に対して回転可能なアクスル部分を含む様々な実施形態で本明細書に示され記載されるが、それにもかかわらず、本発明の趣旨から逸脱することなくまた特許請求の範囲の均等物の範囲およびレンジ内で様々な修正および構造的変更を行うことができるため、示されたこれらの詳細のみに限定されることを意図していない。