(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】画像スタビライザの位置決めデバイス
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20221003BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20221003BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221003BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221003BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20221003BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/04 E
H04N5/232 480
H04N5/225 700
G03B30/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020128112
(22)【出願日】2020-07-29
(62)【分割の表示】P 2016553398の分割
【原出願日】2015-02-18
【審査請求日】2020-08-26
(32)【優先日】2014-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505060288
【氏名又は名称】ミニスイス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】MINISWYS S.A.
【住所又は居所原語表記】Quai du Bas 31a, Biel / Bienne Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーグリスト,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】メイエ,ジャン-ミシェル
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-309086(JP,A)
【文献】特開2013-210550(JP,A)
【文献】特表2008-503995(JP,A)
【文献】特開平11-344740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/04
H04N 5/232
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(4)に対してキャリア(5)を制御式に動作させるための画像スタビライザの位置決めデバイスであって、
第1のサスペンション(11)によって前記ベース(4)に対し動作可
能に組み立てられかつ第1の駆動装置(12)によって動作可能な第1の結合素子(13)と、
第2のサスペンション(21)によって前記ベース(4)に対し動作可
能に組み立てられかつ第2の駆動装置(22)によって動作可能な第2の結合素子(23)と、
第3のサスペンション(31)によって前記ベース(4)に対し動作可
能に組み立てられかつ第3の駆動装置(32)によって動作可能な第3の結合素子(33)と、
前記第1の結合素子(13)の動作を前記キャリア(5)上へ伝達することができる第1の伝動ユニット(14)と、
前記第2の結合素子(23)の動作を前記キャリア(5)上へ伝達することができる第2の伝動ユニット(24)と、
前記第3の結合素子(33)の動作を前記キャリア(5)上へ伝達することができる第3の伝動ユニット(34)と、を備え、
前記第1の駆動装置(12)および前記第2の駆動装置(22)は、線形駆動装置であり、かつ前記第1の結合素子(13)および前記第2の結合素子(23)は、何れの場合も、略正確な1並進自由度の可動性を有し、
前記3つの伝動ユニット(14、24、34)は各々、前記キャリア(5)の周縁上の異なる接触位置に係合し、かつ3つの伝動ユニット(14、24、34)は全て、前記個々の接触位置の略並進運動を実行し、
前記第1、第2および第3の結合素子(13、23、33)は、すべて、前記ベース(4)の基準面に対して垂直なZ軸に平行に動作可能であ
る、位置決めデバイス。
【請求項2】
少なくとも前記第1のサスペンション(11)および/または前記第2のサスペンション(21)および/または前記第3のサスペンション(31)は、個々の結合素子を前記ベース(4)へ接続する少なくとも2つの薄板ばね素子を有するサスペンションによって実現される、請求項1に記載の位置決めデバイス。
【請求項3】
少なくとも前記第1の駆動装置(12)および前記第2の駆動装置(22)および前記第3の駆動装置(32)は、圧電線形駆動装置であり、具体的にはこれにより平面共振器(123)は、能動素子(121)の平面に対して平行な2つのアームによって音叉式に延び、前記平面共振器(123)は、被給電ピエゾ素子(124)によって振動させられることが可能であり、前記平面共振器(123)の接触領域は、揺動運動に起因して、前記第1の駆動装置(12)の受動素子(122)を能動素子(121)に対して駆動する、請求項1または請求項2に記載の位置決めデバイス。
【請求項4】
前記第1のサスペンション(11)は、前記第1の結合素子(13)の、前記ベース(4)に対する平行変位を許容し、かつ前記第2のサスペンション(21)は、前記第2の結合素子(23)の、前記ベース(4)に対する平行変位を許容し、かつ前記第3のサスペンション(31)は、前記第3の結合素子(33)の、前記ベース(4)に対する平行変位を許容する、請求項1から請求項3のうちの一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項5】
前記第1の伝動ユニット(14)は、前記キャリア(5)の、前記第1の結合素子(13)に対する平行変位を許容せず、かつ、
前記第2の伝動ユニット(24)は、前記キャリア(5)の、前記第2の結合素子(23)に対する平行変位を許容せず、かつ、
前記第3の伝動ユニット(34)は、前記キャリア(5)の、前記第3の結合素子(33)に対する平行変位を許容しない、請求項1から請求項4のうちの一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項6】
1つまたは複数の前記平行変位は、何れの場合も、平行四辺形サスペンションによって実現される、請求項4または請求項5に記載の位置決めデバイス。
【請求項7】
少なくとも前記第1のサスペンション(11)および/または前記第2のサスペンション(21)および/または前記第3のサスペンション(31)は、互いに対して平行に配置されかつ個々の結合素子を前記ベース(4)へ接続する少なくとも2つの薄板ばね素子を有する平行四辺形サスペンションによって実現される、請求項6に記載の位置決めデバイス。
【請求項8】
前記第1の結合素子(13)の前記ベース(4)に対する平行変位は、正確に1平行移動自由度を有し、かつ、
前記第2の結合素子(23)の前記ベース(4)に対する平行変位は、正確に1平行移動自由度を有し、かつ、
前記第3の結合素子(33)の前記ベース(4)に対する平行変位は、正確に1平行移動自由度を有する、請求項6または請求項7に記載の位置決めデバイス。
【請求項9】
前記キャリア(5)は、2つの回転軸の周りに回転可能であり、かつ並進方向に動作可能である、請求項1から請求項8のうちの一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項10】
前記第1、第2および第3の伝動ユニット(14、24、34)は、前記Z軸に対して垂直な平面に
おいて運動可能であり、かつ、前記Z軸の方向に剛性である、請求項1に記載の位置決めデバイス。
【請求項11】
2つの回転軸および1つの並進軸における前記キャリア(5)の位置は、前記第1、第2および第3の結合素子(13、23、33)および前記第1、第2および第3の伝動ユニット(14、24、34)を介する前記キャリア(5)の運動学的接続部の前記ベース(4)への重畳によって非曖昧に決定される、請求項1から請求項10のうちの一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項12】
前記第1、第2および第3のサスペンション(11、21、31)のばね板要素は、各々、前記キャリア(5)の周りへ、円の一部に沿って配置され、前記円は、前記ばね板要素の平面に対して平行な平面内に存在する、請求項1から請求項11のうちの一項に記載され、請求項7に従属する位置決めデバイス。
【請求項13】
前記第1の伝動ユニット(14)と前記キャリア(5)との間のジョイントが、前記第1の伝動ユニット(14)に対する前記キャリア(5)の回転を許容し、かつ、
前記第2の伝動ユニット(24)と前記キャリア(5)との間のジョイントが、前記第2の伝動ユニット(24)に対する前記キャリア(5)の回転を許容し、かつ、
前記第3の伝動ユニット(34)と前記キャリア(5)との間のジョイントが、前記第3の伝動ユニット(34)に対する前記キャリア(5)の回転を許容する、請求項1から請求項12のうちの一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項14】
前記第1、第2および第3の伝動ユニット(14、24、34)のそれぞれと前記キャリア(5)との間の前記ジョイントは、ボールジョイントである、請求項13に記載の位置決めデバイス。
【請求項15】
前記第1のサスペンションおよび前記第2のサスペンション(11、21)の一方
のサスペンションは、幾つかの弾性素子
によって構成され、前記幾つかの弾性素子の各々の端部が、第1の結合素子(13)および前記第2の結合素子(23)のうち、前記一方のサスペンションによって前記ベース(4)に対して動作可能となる結合素子の平坦部
につながることにより、前記幾つかの弾性素子が前記平坦部と一体化されている、請求項1から請求項14のうちの一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項16】
前記第1のサスペンションおよび前記第2のサスペンション(11、21)
の他方のサスペンションは、幾つかの弾性素子
によって構成され、前記幾つかの弾性素子の各々の端部が、第1の結合素子(13)および前記第2の結合素子(23)のうち、前記他方のサスペンションによって前記ベース(4)に対して動作可能となる結合素子の平坦部
につながることにより、前記幾つかの弾性素子が前記平坦部と一体化されている、請求項1から請求項15のうちの一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項17】
前記第1のサスペンションおよび前記第2のサスペンション(11、21)の少なくとも一方
のサスペンションは、幾つかの弾性素子によって構成され、前記幾つかの弾性素子の各々の端部が、第1の結合素子(13)および前記第2の結合素子(23)のうち、前記少なくとも一方のサスペンションによって前記ベース(4)に対して動作可能となる結合素子の平坦部
につながることにより、前記幾つかの弾性素子が前記平坦部と一体化されている、請求項1から請求項16のうちの一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項18】
請求項1から請求項17のうちの一項に記載の位置決めデバイスを有する画像スタビライザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小位置決めユニットの分野に関し、具体的には、特許請求項1の前提部分に記載されている画像(像)スタビライザの位置決めデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1795944A1号明細書は、光学画像スタビライザにおけるレンズのための位置決めデバイスを開示している。レンズホルダは、直角でレンズから離れて互いに向かって延びかつ永久磁石を有する2つのアームを備える。これにより、かつコイルによって、これらのアームは各々、レンズの光軸に対して平行方向へ変位することができる。レンズホルダは、中間素子上に第1の軸を中心として回転可能式に組み立てられ、次に中間素子がベース上へ、第1の軸に対して直角に延びる第2の軸を中心として回転可能式に組み立てられる。
【0003】
米国特許第2008/0198462号明細書は、レンズおよび画像センサーを有するカメラモジュールを位置決めすることができる手段である、何れの場合も永久磁石およびコイルを有する、同様に2つの駆動装置を備える光学画像スタビライザを示している。カメラモジュールは、1点を中心にして回転可能式に懸垂され、かつ、光軸に対して平行方向に作動しかつカメラモジュールの他の2点上に係合する駆動装置によって、2軸を中心にして傾斜されることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、既知のデバイスに代わるものを実現する、先に述べたタイプの画像スタビライザのための位置決めデバイスを提供することにある。
【0005】
さらなる目的は、エネルギー消費量を低減している、画像スタビライザのための位置決めデバイスを提供することにある。
【0006】
さらなる目的は、より大きい機械的安定性を有する、画像スタビライザのための位置決めデバイスを提供することにある。
【0007】
さらなる目的は、より大きい画像安定化帯域幅を有する、よってより高い外乱周波数を補正することができる、画像スタビライザのための位置決めデバイスを提供することにある。
【0008】
さらなる目的は、既存のデバイスに代わるものを提供する、画像スタビライザのための位置決めデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に、特許請求の範囲における少なくとも1つの請求項に記載されている位置決めデバイスによって達成される。
【0010】
ベースに対してキャリアを制御式に動作させるための画像スタビライザの位置決めデバイスは、
・第1のサスペンションによってベースに対し動作可能式に組み立てられかつ第1の駆動装置によって動作可能な第1の結合素子と、
・第2のサスペンションによってベースに対し動作可能式に組み立てられかつ第2の駆
動装置によって動作可能な第2の結合素子と、
・第1の結合素子の動作をキャリア上へ伝達することができる第1の伝動ユニットと、
・第2の結合素子の動作をキャリア上へ伝達することができる第2の伝動ユニットと、を備え、
・第1の駆動装置および第2の駆動装置は、線形駆動装置であり、かつ第1の結合素子および第2の結合素子は、各々、(ベースに対して)略正確な1並進自由度の可動性を有する。
【0011】
サスペンションおよび伝動ユニットは、駆動装置および結合素子の動作が直線運動に限定されるという事実に起因して、同じ数の自由度を有する既知の位置決めデバイスより安定した方法で、かつより大きいばね定数で(よって、より硬いばねで)実現することができる。これにより、システムの自然周波数は、より大きくなり、したがってより大きい外乱周波数を有する動作を補正することが可能である。
【0012】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも第1のサスペンションおよび/または第2のサスペンションは、個々の結合素子をベースへ接続する少なくとも2つの薄板ばね素子を有するサスペンションによって実現される。これにより、一方向に、具体的には、薄板ばね素子の平面内に、高い剛性を有し、かつこの平面に対して垂直な動作では低い剛性を有するサスペンションを実現することが可能である。薄板ばね素子は、例えば、ばね板である。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも第1の駆動装置および第2の駆動装置は、圧電線形駆動装置であり、具体的にはこれらにより平面共振器は、能動素子の平面に対して平行な2つのアームによって、音叉式に延びる。この場合共振器は、被給電ピエゾ素子によって揺動状態にされることが可能であって、共振器の接触領域は、揺動運動に起因して、駆動装置の受動素子を能動素子に対して駆動する。
【0014】
より高い駆動力は、コイル駆動装置の移動に対照されるような方式で展開される駆動装置の適用に起因して集められることが可能であり、かつこのことも同様に、より硬いばねの使用、および既に述べた自然周波数の増加に有利に働く。
【0015】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも一方の駆動装置は、能動的な駆動部と、受動的な被駆動部とを備える。駆動装置は、具体的には、共振器を被給電ピエゾ素子によって揺動させる圧電駆動装置であり、共振器の接触領域は、揺動運動に起因して、駆動装置の受動部を駆動部に対して駆動する。したがって、超小型で精確に制御可能なサスペンションを作成することができる。ピエゾモータの供給周波数、さらには共振器および例えば接触領域の振動周波数は、450kHzから500kHzまでの間である。
【0016】
駆動部は、平坦な形状を有することが可能であり、よって、構造サイズを超小型に設計することができる。好ましくは、さらに、受動部は、キャリア素子上へ固定される。平坦な駆動部の、その最大延設部の平面における延設部は、好ましくは、この平面に対する垂直方向より少なくとも3倍から5倍大きい。位置決めデバイスは、好ましくは、各方向に20mm未満であり、好ましくは、各方向に10mm未満である。
【0017】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも一方の駆動装置は、圧電(線形)駆動装置として構成され、これにより、平面共振器は、駆動部の平面に対して平行な2つのアームによって音叉式に延び、かつ共振器は、被給電ピエゾ素子によって振動させられることが可能であり、共振器の接触領域は、揺動運動に起因して、駆動装置の受動部を駆動部に対して駆動する。これにより、受動部は、駆動部であれば適すると思われる正確な直線運動をするわけではないが、キャリア軸を中心とする円形経路上で動作する。
【0018】
平面共振器は、駆動部の平面内に存在し、または、この平面を画定する。好ましくは、第2の駆動装置もこのように構成される。対応する圧電駆動装置は、国際公開出願第2006/000118号パンフレットにおいて、例えば、
図35~
図40における実施形態、具体的には、唯一の駆動板または共振器板を有する実施形態によって開示されている。これにより、純粋なピエゾ素子、または場合によりレバー経由で作用する素子よりも、駆動装置の比較的長いたわみ、よって第1および第2の軸を中心とする比較的大きい偏向角度をも実現することができる。
【0019】
少なくとも一方の駆動装置は、同じく被給電状態において保持力を有し、よって、自動ロック式である。これは、例えば、所定の位置を保持するために絶えずエネルギーを供給されなければならない運動するコイル駆動装置とは対照的である。これにより、省エネルギー操作を実現することができる。
【0020】
少なくとも1つの実施形態において、第1のサスペンションは、結合素子の、ベースに対する平行変位を許容し、かつ第2のサスペンションは、第2の結合素子の、ベースに対する平行変位を許容する。
【0021】
少なくとも1つの実施形態において、第1の伝動ユニットは、キャリアの、第1の結合素子に対する平行変位を許容し、かつ第2の伝動ユニットは、キャリアの、第2の結合素子に対する平行変位を許容する。
【0022】
2つの物体間の、これらの物体の互いに対する方向性を変えない運動または相対運動は、平行変位として示される。したがって、これには、回転自由度がない(実質的な意味合いにおいて、さしたる回転自由度はない)。平行変位は、物体の、互いに直交する一方向または二方向または三方向に沿った互いに対する平行移動を許容することができる。これにより、運動は、平行移動自由度1、2または3を有することができる。例えば、平行変位は、下記の特性を有することができ、かつ下記のように実現されることが可能である。
【0023】
・一方向のみの平行移動、1平行移動自由度:スライドジョイント。これにより実現される相対運動は、1平行移動自由度を有する平行変位である。
【0024】
・二方向の平行移動、1平行移動自由度:回転ジョイントによる平行四辺形サスペンション。より一般的に考察すれば、回転ジョイントは、1回転自由度のジョイント位置である。このタイプの平行四辺形サスペンションを、以後、1平行移動自由度の平行四辺形サスペンションとして示す。これにより実現される相対運動も、同様に、1平行移動自由度の平行変位である。
【0025】
・三方向の平行移動、2平行移動自由度:ボールジョイントによる平行四辺形サスペンション。より一般的に考察すれば、これらのボールジョイントは、2回転自由度のジョイント位置である。このタイプの平行四辺形サスペンションを、以後、2平行移動自由度の平行四辺形サスペンションとして示す。これにより実現可能な平行移動相対運動は、2平行移動自由度の平行変位である。所定の状況下におけるこのようなサスペンションは、回転をも許容する。このような回転自由度は、さらなるサスペンションとの組合せで再度除去することができる。このさらなるサスペンションは、本明細書で言及している平行四辺形サスペンションに対して平行な連鎖を形成する。
【0026】
1回転自由度のジョイント位置の実現には、回転ジョイントの代わりに、平坦素子を用いることもできる。これらの素子の湾曲部は、回転ジョイントの機能を想定している。湾曲部または湾曲位置は、平坦素子の最大延設部の方向を横断する、またはこれに略垂直で
ある、平坦素子のより薄く設計される部分によって、または細長い形状を有しかつ軸を中心にして湾曲可能な平坦素子によって、形成されることが可能である。平坦素子が平面に存在すれば、前記軸は、この平面内に延びる。
【0027】
また、2回転自由度のジョイント位置を実現するためには、ボールジョイントの代わりに、湾曲部において二方向に湾曲可能な素子も用いることができる。これらは、弾性ロッドまたは弾性ワイヤであってもよい。これらは、プラスチックまたは金属またはこれらの組合せより成ってもよい。湾曲部は、ロッドまたはワイヤのテーパリングとして設計されてもよいが、そのように設計される必要はない。
【0028】
少なくとも1つの実施形態において、1つまたは複数の平行変位は、何れの場合も、平行四辺形サスペンションによって実現される。よって、これにより、1平行移動自由度の平行変位は、1平行移動自由度の平行四辺形サスペンションによって実現される。よって、これにより、2平行移動自由度の平行変位は、2平行移動自由度の平行四辺形サスペンションによって実現される。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも第1のサスペンションおよび/または第2のサスペンションは、互いに対して平行に配置されかつ個々の結合素子をベースへ接続する少なくとも2つの薄板ばね素子を有する平行四辺形サスペンションによって実現される。
【0030】
少なくとも1つの実施形態において、第1の結合素子の、ベースに対する平行変位は、正確に1平行移動自由度を有し、かつ第2の結合素子の、ベースに対する平行変位は、正確に1平行移動自由度を有する。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において、キャリアの、第1の結合素子に対する平行変位は、正確に2平行移動自由度を有し、かつキャリアの、第2の結合素子に対する平行変位は、正確に2平行移動自由度を有する。
【0032】
少なくとも1つの実施形態において、キャリアの、第1の結合素子に対する平行変位は、正確に1平行移動自由度を有し、かつキャリアの、第2の結合素子に対する平行変位は、正確に1平行移動自由度を有する。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、位置決めデバイスは、
・第3のサスペンションによって第1の結合素子に対し動作可能式に組み立てられかつ第3の駆動装置によって動作可能な第3の結合素子、ならびに、
・第3の結合素子の動作をキャリア上へ伝達することができる第3の伝動ユニット、を備える。
【0034】
第3の結合素子は、第1の結合素子におけるリセス内に配置することができる。3つの駆動装置は、何れの場合も、略長方形の位置決めデバイスの4つの角のうちの1つに配置することができる。
【0035】
少なくとも1つの実施形態において、キャリアがベースより上に配置され(よって、ベースに対してZ方向へシフトされ)ていれば、第1の結合素子および第2の結合素子は、キャリアの横に配置される(よって、キャリアに対してX方向またはY方向へシフトされる)。
【0036】
第1の結合素子は、位置決めデバイスの第1の側面に沿って延び、かつこの第1の側面に対して直角方向への運動を実行する。第2の結合素子は、位置決めデバイスの第2の側
面に沿って延び、かつこの第2の側面に対して直角方向への運動を実行する。
【0037】
少なくとも1つの実施形態において、キャリアがベースより上に配置され(よって、ベースに対してZ方向へシフトされ)ていれば、第1の結合素子は、キャリアを少なくとも部分的に包含(包囲)し、かつキャリアの下側領域に配置される。第2の結合素子は、これに対して、キャリアを少なくとも部分的に包含し、かつキャリアの上側領域に配置される。
【0038】
ある実施形態において、位置決めデバイスは、
・第3のサスペンションによってベースに対し動作可能式に組み立てられかつ第3の駆動装置によって動作可能な第3の結合素子と、
・第3の結合素子の動作をキャリア上へ伝達することができる第3の伝動ユニットと、を備え、
・3つの伝動ユニットは各々、異なる接触位置でキャリアの周縁に係合し、かつ3つの伝動ユニットは全て、個々の接触位置の略並進運動を実行する。
【0039】
少なくとも1つの実施形態において、第1のサスペンションは、第1の結合素子の、ベースに対する回転を許容し、かつ第2のサスペンションは、第2の結合素子の、ベースに対する回転を許容する。
【0040】
これにより、2つのサスペンションの回転軸は、互いに異なる。回転軸は、具体的には、2つの回転軸の最短接続部に対して直角である平面上への突出部において、互いに直交していてもよい。
【0041】
少なくとも1つの実施形態において、第1の伝動ユニットは、キャリアの、第1の結合素子に対する回転を許容し、かつ第2の伝動ユニットは、キャリアの、第2の結合素子に対する回転を許容する。
【0042】
少なくとも1つの実施形態において、キャリアの基準位置では、
・第1のサスペンションの回転軸は、第2の伝動ユニットの回転軸に対して平行に延び、または、この回転軸に一致し、かつ、
・第2のサスペンションの回転軸は、第1の伝動ユニットの回転軸に対して平行に延び、または、この回転軸に一致する、と言える。
【0043】
少なくとも1つの実施形態において、一方のサスペンションの幾つかの弾性素子は、当初の平坦部の一部として一体式に形成される。少なくとも1つの実施形態において、幾つかの弾性素子は、異なる方のサスペンションによって、当初の平坦部の一部として一体式に形成される。少なくとも1つの実施形態において、少なくとも一方のサスペンションの、かつ伝動ユニットのうちの少なくとも1つの幾つかの弾性素子は、当初の平坦部の一部として一体式に形成される。製造の簡易化は、弾性素子を一体部分にするこれらの1つまたは複数の組合せによって可能である。
【0044】
少なくとも1つの実施形態において、キャリアは、光学レンズ系を有するレンズホルダを支え、かつ光学センサーまたは画像センサーのベースを支える。(光学)画像スタビライザは、これによって実現されてもよい。
【0045】
少なくとも1つの実施形態において、マウンティングデバイスは、キャリア内に配置されるマイクロ・カメラ・モジュール、したがって、位置決めデバイスにより互いに移動されるレンズ系ならびに光学センサーを有するユニット、を備える。これにより、マイクロ・カメラ・モジュールまたはマイクロ・カメラ・モジュール自体のハウジングまたはホル
ダは、キャリアを形成してもよい。(光学)画像スタビライザは、これによって実現されてもよい。
【0046】
マイクロ・カメラ・モジュール自体またはレンズホルダは、例えば、鮮明さおよび/またはズーム設定値を設定するために、1つまたは複数のモータを備えてもよい。駆動装置としては、本明細書に記載されている、かつ国際公開出願第2006/000118号パンフレットに既に引用されているもの、または異なる様式で、例えば、可動コイルアクチュエータまたはボイス・コイル・アクチュエータ等の電磁アクチュエータの様式で形成される駆動装置を用いることができる。
【0047】
実施形態によっては、駆動装置の能動素子は、ベース上に組み立てられ、かつ受動素子は、ベースに対して移動されるパーツ上に組み立てられる。他の実施形態では、空間条件に依存して、かつ空間要件を低減するために、逆に、能動素子が可動部上でも組み立てられ、かつ受動素子がベース上に組み立てられる。同じ実施形態では、能動素子は、一方の駆動装置と共にベース上へ組み立てられてもよく、かつもう一方の駆動装置と共に可動部上へ組み立てられてもよい。
【0048】
先の実施例において、サスペンションは、各々、ベースと結合素子との間に配置され、かつ伝動ユニットは、何れの場合も、結合素子とキャリアとの間に配置される。しかしながら、その順序は、逆であってもよく、よって、伝動ユニットは、何れの場合も、ベースと結合素子との間に配置され、かつ(駆動される)サスペンションは、何れの場合も、結合素子とキャリアとの間に配置される。したがって、言い替えれば、ベースおよびキャリアは各々の役割を交換することができ、キャリアとして示されるパーツがベースとして機能してもよく、かつベースとして示されるパーツがキャリアとして機能してもよい。
【0049】
本文書において、所定数の自由度を有するサスペンションまたは伝動ユニットに言及する場合、これは、それが弾性素子によって実現されていれば、自由度(よって、サスペンションまたは伝動ユニットが準拠している自由度)に対応する一または複数の次元における運動に対するばね定数が、他の(直交する)次元(よって、サスペンションまたは伝動ユニットが剛性である次元)におけるより少なくとも5分の1、または10分の1、または20分の1、または50分の1、または100分の1であることを意味してもよい。
【0050】
さらなる好適な実施形態は、従属する特許請求項から推測される。
以下、本発明の主題を、添付の図面に表現されている好適な実施形態例によって、より詳細に説明する。何れの場合も、下記が、一部を略示して示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1a】3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図1b】3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図1c】3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図1d】3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図1e】3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図1f】3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図1g】3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図1h】3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図2a】2並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図2b】2並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図2c】2並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図3a】2つの回転軸を中心にして回転可能でありかつ一並進方向に移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図3b】2つの回転軸を中心にして回転可能でありかつ一並進方向に移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図3c】2つの回転軸を中心にして回転可能でありかつ一並進方向に移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図3d】2つの回転軸を中心にして回転可能でありかつ一並進方向に移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図3e】2つの回転軸を中心にして回転可能でありかつ一並進方向に移動可能なキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図4】2つの回転軸を中心にして回転可能でありかつ一並進方向に移動可能なキャリアを有するさらなる実施形態を示す図である。
【
図5a】2つの回転軸を中心にして回転可能であるキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図5b】2つの回転軸を中心にして回転可能であるキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図5c】2つの回転軸を中心にして回転可能であるキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図5d】2つの回転軸を中心にして回転可能であるキャリアを有する実施形態を示す図である。
【
図7a】ある事例における、一体部分の一部として設計されている幾つかのばね素子を示す図である。
【
図7b】ある事例における、一体部分の一部として設計されている幾つかのばね素子を示す図である。
【
図7c】ある事例における、一体部分の一部として設計されている幾つかのばね素子を示す図である。
【
図8a】
図1a~
図1hまでの実施形態のさらなる変形例を示す図である。
【
図8b】
図1a~
図1hまでの実施形態のさらなる変形例を示す図である。
【
図8c】
図1a~
図1hまでの実施形態のさらなる変形例を示す図である。
【
図8d】
図1a~
図1hまでの実施形態のさらなる変形例を示す図である。
【
図8e】
図1a~
図1hまでの実施形態のさらなる変形例を示す図である。
【
図9】一体部分上の2つのばね素子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
基本的に、諸図を通じて、同じ、または等しい作用部には、同じ参照数字を付している。
【0053】
後続の説明は、全ての実施形態に有効である。
・第1の結合素子13は、第1のサスペンション11を介してベース4上へ可動式に組み立てられる。第1の駆動装置12は、第1の結合素子13をベースに対して移動させる。第1の結合素子13、第1のサスペンション11、第1の駆動装置12および場合により伝動ユニット等のさらなる素子は、第1の位置決めユニット1を形成する。
【0054】
・第2の結合素子23は、第2のサスペンション21を介してベース4上へ可動式に組み立てられる。第2の駆動装置22は、第2の結合素子23をベース4に対して移動させる。第2の結合素子23、第2のサスペンション21、第2の駆動装置22および場合により伝動ユニット等のさらなる素子は、第2の位置決めユニット2を形成する。
【0055】
サスペンション11、21は、ばね板で実現されてもよく、よって、薄板ばね素子で実現されてもよい。これにより、互いに対して移動可能な2つの物体が、接続本体として2つ以上のばね板を介して接続される。ばね板は、何れの場合も、一端が例えばベース4上へ固定され、かつ他端が例えば結合素子13、23へ固定される。ばね板は、略平坦であって、少なくとも一部が平面内に存在する。サスペンションの異なるばね板の可動部分は、長さが等しい。ばね板は、少なくとも何か所かで弾性的に湾曲可能である。これにより、これらは、何れの場合も回転ジョイントの機能によってジョイント位置またはジョイント部分を形成する。ばね板は、典型的には金属製であるが、プラスチックで製造されてもよい。また、これは、これが接続される物体のうちの1つと一体式に製造されてもよい。また、これは、他のばね板と一体式に製造されてもよい。そのために、最初は平坦なシートメタル部を形成し、かつこれを、シートメタル部の異なる部分がばね板として作用するように湾曲してもよい。これらの異なるばね板は、異なるサスペンションおよび/または伝動ユニットにおいて作用してもよく、かつこれにより、単一のコンポーネントとして組み立てられてもよい。
【0056】
適用される異なる駆動装置は、圧電駆動装置として実現される。しかしながら、これらは個々に、他の駆動系で置換されてもよい。これらの駆動装置は、同じ方式で構成され、よって以後、第1の駆動装置12によって説明する。駆動装置12は、能動部または駆動部または能動素子121と、受動部または受動素子122とを備える。駆動部121は、例えばシートメタル片である平面共振器123と、1つまたは複数のピエゾ素子124とを備える。1つまたは複数のピエゾ素子124は、図示されていない電圧生成器による電圧で励振される。これにより発生する共振器123の振動は、少なくとも一時的に受動部122と接触する共振器の接触領域において、不連続な接触力を生成する。接触領域の移動が選択的に受動部122を一方向または他の方向へ駆動する振動モードは、励振周波数の選択によって選択することができる。このタイプの駆動装置に関連するさらなる詳細は、国際公開出願第2006/000118号パンフレットから推測することができる。
【0057】
駆動装置は、基本的には、線形駆動装置として構成される。受動部122の動作は、個々のサスペンションによって画定され、原則として、1自由度の並進または回転運動である。駆動装置が2つの物体を互いに対して駆動する場合、一方の物体上へ能動部121が固定され、かつもう一方の物体上へ受動部122が固定されてもよく、またはこの逆であってもよい。例えば、ベース4上に能動部121が固定され、かつ個々の結合素子上に受動部122が固定されてもよく、またはこの逆であってもよい。また、受動部122は、もう一方の物体の一部として設計されてもよい。
【0058】
駆動装置の調整(閉ループ制御)は、原則として、駆動装置のその運動方向に沿った直線位置を決定するための位置計測を必要とする。そのために、一方で、磁石15、25、35は、可動部に、かつホールセンサー16、26、36は、ベース上にこれらと対応的に配置されてもよく、またはその逆であってもよい。
【0059】
以後、ベース4の基準面は、方向XおよびYによりスパンされるものとする。Z方向は、方向XおよびYによりスパンされるX-Y平面に対して垂直である。キャリア5の非撓み状態またはアイドル位置または基準位置における、キャリア5の軸は、Z方向に対して平行である。
【0060】
光学画像安定化に位置決め方向が適用されれば、効果的には、X-Y平面は、画像センサーが存在する平面に対して平行である。キャリア5の軸は、効果的には、キャリア5内またはキャリア5上に配置されるレンズ系の光軸に等しい。
【0061】
異なる実施形態の位置決めデバイスとして可能なサイズは、例えば、ベース底面が8.
5平方mmから12平方mmまで、具体的には、11.5平方mmである。位置決めデバイスの高さは、例えば、同じく7mmまたは8mmまでである適用レンズの厚さに依存して、4mmから6mmまでの間である。
【0062】
以後、個々の実施形態について述べる。
図1a~
図1hは、3並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を異なる図で示している。
図1aにおいて、位置決めデバイスは、電磁適合性のためのハウジング9で覆われる。既に述べた素子以外に、以下の諸図には、下記が描かれている。
【0063】
図1bには、第1の側面から見た位置決めデバイスが示されている。光学レンズを有するレンズホルダ6は、キャリア5に挿入されて示されている。レンズまたはキャリア5の下には、ベース4上に光受信器7が配置されているが、本図では見えない。以後の図には、レンズホルダ6を示していない。レンズホルダ6は、キャリア5内のねじ山によってねじ止めされてもよい。ねじ山は、M6からM8.5型までであってもよい。次に、レンズホルダ6が、レンズ系の実効焦点幅にしたがって、キャリア5内のアッセンブリ上へ位置合わせされてもよい。本明細書に記述しているレンズホルダのアッセンブリ型式は、他の実施形態において実現されてもよい。
【0064】
・
図1cには、反対側面から見た位置決めデバイスが示されている。レンズホルダ6は、本図にも、本実施形態の残りの図にも描かれていない。
【0065】
・
図1dには、キャリア5のY方向への運動に関わる素子が描かれている。
・
図1eおよび
図1fには、キャリアのX方向への運動に関わる素子が描かれている。
【0066】
・
図1gは、
図1fに対応するものであって、さらに、キャリア5のZ方向への運動に関わる素子が描かれている。
【0067】
・
図1hは、
図1gに対応するものであって、キャリアのZ方向への運動に関わる素子のみを描き、よってX方向に関するものは省略されている。
【0068】
図1gおよび
図1hに示されている第3の結合素子33は、第3のサスペンション31を介して第1の結合素子13上へ可動式に組み立てられる。第3の駆動装置32は、第3の結合素子33を第1の結合素子13に対して移動させる。したがって、第3の駆動装置32は、第1の結合素子12上へ配置され、これと共に移動される。第3の結合素子33は、第3の伝動ユニット34を介してキャリア5へ接続される。第3の結合素子33、第3のサスペンション31、第3の駆動装置32および場合により伝動ユニット等のさらなる素子は、第3の位置決めユニット3を形成する。
【0069】
3つのサスペンション11、21、31のばね板は、何れの場合も互いに対して平行に(即ち、その個々の平面と平行に)配置され、よって何れの場合も、正確に1平行移動自由度を有する平行四辺形サスペンションを形成する。
【0070】
第1の結合素子13は、第1の伝動ユニット14を介してキャリア5へ接続される。第2の結合素子23は、第2の伝動ユニット24を介してキャリア5へ接続される。伝動ユニット14、24は、何れの場合も、2平行移動自由度の平行四辺形サスペンションによって実現される。そのために、何れの場合も、少なくとも3つの細長い接続本体、例えばワイヤまたはロッド、が互いに平行して配置される。伝動ユニットの異なる接続本体の可動部分は、何れの場合も長さが等しい。接続本体は、少なくとも何か所かで弾性的に湾曲可能である。これにより、これらは、何れの場合もボールジョイントの機能によってジョイント位置またはジョイント部分を形成する。接続本体は、典型的には金属製であるが、
プラスチックで製造されてもよい。また、これは、これが接続される物体のうちの1つと一体式に製造されてもよい。
【0071】
第1の結合素子13は、ベース4に対して第1の方向、以後X方向とも称する、へ移動可能である。第2の結合素子23は、ベース4に対して第2の方向、以後Y方向とも称する、へ移動可能である。これらの両方向は、互いに平行ではなく、かつ典型的には、互いに略直交する。第3の結合素子33は、ベース4に対して、または第3の結合素子33が懸垂される第1の結合素子13に対して第3の方向へ移動可能である。第3の方向、以後Z方向とも称する、は、他の2方向の何れとも平行ではなく、かつ典型的には、他の2方向に略直交する。
【0072】
・第1の結合素子13の運動は、X方向への平行移動に限定される。キャリア5は、第1の伝動ユニット14によってX方向へ第1の結合素子13の運動と略剛性的に結合されるが、第1の結合素子13に対してY方向およびZ方向へ移動可能である。
【0073】
・第2の結合素子23の運動は、Y方向への平行移動に限定される。キャリア5は、第2の伝動ユニット24によってY方向へ第2の結合素子23の運動と略剛性的に結合されるが、第2の結合素子23に対してX方向およびZ方向へ移動可能である。
【0074】
・第3の結合素子33の運動は、Y方向への平行移動に限定される。キャリア5は、第3の伝動ユニット34によってZ方向へ第3の結合素子33の運動と略剛性的に結合されるが、第2の結合素子23に対してY方向へ移動可能である。
【0075】
第3の結合素子33と第1の結合素子13との間のX方向への相対運動は、第3の結合素子33が第1の結合素子13と共に移動されるので、生じない。
【0076】
第3の伝動ユニット34は、ここでは薄板ばねによって実現され、Z方向へ第3の結合素子33からキャリア5まで延びる。アイドル状態におけるばねは、Y方向に対して垂直な平面内に存在する。ばねは、Z方向に(よって、平面に平行な相対運動に対して)対応していないが、平面からY方向へ湾曲されてもよい。ばねは、真っ直ぐな板ばねであってもよい。これが、図示されているように蛇行形状を有していれば、Y方向へのその適合性は、増大される。
【0077】
図1a~
図1hの実施形態の第2の変形例を、
図6a~
図6dに示す。3つの位置決めユニットのうち、
図6aは全て、
図6bは第2の位置決めユニットのみ、
図6cは第1の位置決めユニットのみ、かつ
図6dは第3の位置決めユニットのみ、を示している。ここで、第3の結合素子33は、ベース4に対して可動式に組み立てられかつ駆動され、かつ第3の伝動ユニット34は、第3の結合素子33とキャリア5との間のX方向への相対運動およびY方向への相対運動をも許容する。対照的に、第3の伝動ユニット34は、Z方向へは硬い。したがって、これは、略2の平行移動自由度を有する。このために、例えば、第3の伝動ユニット34は、第1の伝動ユニット14と同様に実現されてもよい。あるいは、
図6dおよび
図7aにおいて明らかであるように、これは、運動学的に見て平行に配置される蛇行部素子を有する素子によって実現されてもよい。何れの場合も、言及している
図6dおよび
図7aでは、このような2つの素子34a、34bが1つのパーツ上へ形成されて示されているが、これらは、別々のパーツとして設計されてもよい。
【0078】
図1a~
図1hの実施形態の第3の変形例を、
図8a~
図8eに示す。3つの位置決めユニットのうち、
図8aおよび
図8bは、全て、
図8cは、第2の位置決めユニットのみ、
図8dおよび
図8eは、第1および第3の位置決めユニットのみ、を示している。ここでも、
図6a~
図6dの変形例の場合と同様に、第3の結合素子33は、ベース4に対し
て可動式に組み立てられかつ駆動され、かつ第3の伝動ユニット34は、第3の結合素子33とキャリア5との間のX方向ならびにY方向への相対運動を許容する。対照的に、第3の伝動ユニット34は、Z方向へは硬い。したがって、これは、略2の平行移動自由度を有する。このために、例えば、第3の伝動ユニット34は、第1の伝動ユニット14と同様に実現されてもよい。あるいは、
図8b、
図8eおよび
図9から分かるように、これは、運動学的に平行して配置されかつ蛇行形状であるパーツ素子を有する素子によって実現されてもよい。何れの場合も、言及している
図8b、
図8eおよび
図9では、このような2つの素子34a、34bが1つのパーツ上へ形成されて示されているが、これらは、別々のパーツとして設計されてもよい。
【0079】
第2および第3の変形例の場合、3つの並進次元におけるキャリア5の位置は、3つの結合素子13、23、33および伝動ユニット14、24、34を介するキャリア5の運動学的接続部の重畳によって非曖昧に決定される、と言える。各次元における位置は、3つの駆動装置12、22、32のうちの1つを介して略独立して設定されてもよい。ホールセンサー等のセンサーは、場合により、個々の結合素子の、具体的には第3の結合素子の位置を、他の結合素子の位置とは完全に独立して決定してもよい。
【0080】
第3の変形例は、基本的には、先の2つの変形例と同様に構成される。但し、これは、少なくとも以下の点で相違している。
【0081】
・第1および第2の伝動ユニット14、24が、ワイヤではなく湾曲されたシートメタル部によって実現される。これらのシート部上の狭窄は、機能的にワイヤに、したがってジョイントに対応し、これにより、伝動ユニットは、2軸を中心とする回転を許容し、かつこれにより、これらのジョイントの回転点を介して通る平行移動に対して硬い。
【0082】
・受動素子122、222のうちの少なくとも一方は、下記のように、即ち、これが、ある軸を中心として共に回転可能式に組み立てられる2つの個々の弾性変形可能なばね素子を備えるようにして設計される。軸を中心とする回転は、撓みヒンジによって実現されてもよい。ばね素子の能動素子に対する相互位置における公差は、この軸を中心として共に回転する2つのばね素子によって補正される。軸は、受動素子の運動方向に対して垂直に延びる。
【0083】
あるいは、
図1a~
図1h、または
図6a~
図6d、または
図8a~
図8eの実施形態は、Z方向への可動性なしに実現されてもよい。この場合、第3の結合素子33は、関連の駆動装置および伝動ユニットと共に排除される。第1の伝動ユニット14および第2の伝動ユニット24は、次に、何れの場合も2ではなく僅か1の平行移動自由度の平行四辺形サスペンションによって実現されてもよい。これらの2つの並進次元におけるキャリア5の位置は、2つの結合素子13、23および伝動ユニット14、24を介するキャリア5の運動学的接続部によるX方向およびY方向への重畳によって非曖昧に決定される。両方向における位置は、対応する2つの駆動装置12、22のうちの一方を介して略独立して設定されてもよい。
【0084】
2つの駆動装置12、22の受動素子122、222は、何れの場合も、位置決めデバイスの第1および第2の側面に沿って略X方向またはY方向に延び、かつ第1の端でベース4上に固定され、かつ第1の端から離れた第2の端で各々第1および第2の能動素子121、221と接触している。2つの駆動装置12、22の能動素子121、221は、個々の結合点13、23上に固定され、かつこれと共に移動する。
【0085】
これらは、受動素子の個々の第1の端へ、下記のように、即ち、受動素子が2つの個々の弾性変形可能なばね素子またはばね板を備えるように、固定されてもよい。非負荷状態
において、ばね板は、各々平坦であり、よって平面内に延びる。第1のばねの固定位置および第2のばねの固定位置は、互いに対して斜めに合わされ、よって、非負荷状態において、ばね板は、互いから離れて散開される。駆動装置が組み立てられた状態において、能動素子がばね板を包含(包囲)すれば、能動素子は、これらのばね板にバイアスをかけて押す。これにより、非給電状態では、駆動装置も保持力を有する。
【0086】
図2a~
図2cは、2並進方向へ移動可能なキャリアを有する実施形態を示す。ここでは、既に述べた素子以外に、下記が存在する。
【0087】
2つのサスペンション11、21のばね板は、何れの場合も、互いに対して平行に(即ち、その個々の平面と平行に)配置され、よって、何れの場合も正確に1平行移動自由度の平行四辺形サスペンションを形成する。何れの場合も、同一平面内に存在する1対のばね板は、この平面内で互いに対して平行に延びない。これらは、互いと共に移動し、よって、略同一平面内に留まる。
【0088】
第1の結合素子13は、ベース4に対して第1の方向、以後X方向とも称する、へ移動可能である。第2の結合素子23は、ベース4に対して第2の方向、以後Y方向とも称する、へ移動可能である。これらの2方向は、平行ではなく、かつ典型的には、互いに略直交する。
【0089】
・第1の結合素子13の運動は、X方向への平行移動に限定される。キャリア5は、第1の伝動ユニット14によってX方向へ第1の結合素子の運動と略剛性的に結合されるが、第1の結合素子13に対してY方向へ移動可能である。
【0090】
・第2の結合素子23の運動は、Y方向への平行移動に限定される。キャリア5は、第2の伝動ユニット24によってY方向へ第2の結合素子23の運動と略剛性的に結合されるが、第2の結合素子23に対してX方向へ移動可能である。
【0091】
キャリア5の位置は、2つの並進次元において、結合素子13、23および伝動ユニット14、24を介するキャリア5の運動学的接続部による重畳によって非曖昧に決定される。各次元における位置は、2つの駆動装置12、22のうちの1つを介して略独立して設定されてもよい。
【0092】
省スペース構造は、次のように、即ち、位置決めデバイス全体が上側領域から下側領域まで延びるように実現される。画像スタビライザ、例えば画像センサーは、ベース4上かつ下側領域に存在し、かつ調整可能な光学素子は、光の入口と共にキャリア5上かつ上側領域に存在する。
【0093】
・第1の結合素子13は、下側領域に配置され、第1のサスペンション11は、上側領域から下側領域へ延び、上側領域でベース4上に固定され、かつ下側領域で第1の結合素子13上に固定される。第1の結合素子13は、少なくとも部分的に、下側領域でキャリア5を包含する。
【0094】
・第1の結合素子13は、上側領域まで達する部分を備え、かつ第1の伝動ユニット14は、上側領域で第1の結合素子13のこれらの部分上に固定され、かつ下側領域でキャリア5上に固定される。あるいは(不図示)、第1の伝動ユニット14は、下側領域で第1の結合素子13上に固定され、かつ上側領域でキャリア5上に固定されてもよい。よって、第1の伝動ユニット14の言及した部分なしに、間に合わせることができる。
【0095】
・第2の結合素子23は、上側領域に配置され、第2のサスペンション21は、下側領
域から上側領域へ延び、下側領域でベース4上に固定され、かつ上側領域で第2の結合素子23上に固定される。第2の結合素子23は、少なくとも部分的に、上側領域でキャリア5を包含する。
【0096】
・第2の結合素子は、下側領域まで達する部分を備え、かつ第2の伝動ユニット24は、下側領域で第2の結合素子23のこれらの部分上に固定され、かつ上側領域でキャリア5上に固定される。あるいは(不図示)、第2の伝動ユニット24は、上側領域で第2の結合素子23上に固定され、かつ下側領域でキャリア上に固定されてもよい。よって、第2の伝動ユニット24の言及した部分なしに、間に合わせることができる。
【0097】
第1のサスペンション11は、4つのばね板によって形成され、これらのばね板が延びる平面は、互いに略平行に存在するか、一致する。第2のサスペンション21は、4つのばね板によって形成され、これらのばね板が延びる平面は、互いに略平行に存在するか、一致する。アイドル状態において、第1のサスペンション11のばね板が延びる平面は、第2のサスペンション21のばね板が延びる平面に対して垂直に延びる。これは、第1の伝動ユニット14および第2の伝動ユニット24に関しても同様である。
【0098】
2つの駆動装置12、22の受動素子122、222は、この実施形態に関する図には示されていない。これらは、何れの場合も、位置決めデバイスの第1および第2の側面に沿って略X方向またはY方向に延び、かつ第1の端で各々第1の結合素子13および第2の結合素子23上に固定され、かつ第1の端から離れた第2の端で各々第1および第2の能動素子121、221と接触している。2つの駆動装置12、22の能動素子121、221は、ベース4上に固定される。
【0099】
図3a~
図3eは、2つの回転軸を中心にして回転可能でありかつ一並進方向に移動可能なキャリアを有する実施形態を示す。ここでは、既に述べた素子以外に、下記が存在する。
【0100】
さらに、第3の結合素子33は、第3のサスペンション31を介してベース4上へ可動式に組み立てられる。第3の駆動装置32は、第3の結合素子33をベース4に対して移動させる。
【0101】
3つのサスペンション11、21、31のばね板は、何れの場合も互いに対して平行に(即ち、その個々の平面と平行に)配置され、よって何れの場合も、正確に1平行移動自由度を有する平行四辺形サスペンションを形成する。
【0102】
3つの結合素子13、23、33は全て、Z軸に対して平行に移動可能である。
したがって、3つの結合素子13、23、33の各々の運動は、Z方向への平行移動に限定される。キャリア5は、その周縁の3点において、何れの場合も第1、第2および第3の伝動ユニット14、24、34により、結合素子13、23、33のうちの1つの運動と、Z方向に対して略剛性式に連結される。伝動ユニット14、24、34は、半径方向への、よってX-Y平面における、少なくとも小さい運動を許容する。したがって、これらは、この平面における適合性があり、かつこれに対して垂直方向に剛性である。
【0103】
2つの回転次元(X軸およびY軸を中心とする回転)および1つの並進次元(Z方向)におけるキャリア5の位置は、3つの結合素子13、23、33および伝動ユニット14、24、34を介するキャリア5の運動学的接続部の重畳によって非曖昧に決定される。これらの3つの次元における方向性または位置は、3つの駆動装置12、22、32の起動の組合せによって設定されてもよい。2つの駆動装置のみが存在し、または2つの駆動装置のみが動作される場合、言及している2つの回転次元におけるキャリア5の方向性が
設定されてもよい。
【0104】
3つのサスペンション11、21、31のばね板は、各々、キャリア5の周りへ円の一部に沿って配置される。個々の円は、ばね板の平面に対して平行な平面内に存在する。3つの伝動ユニット14、24、34も同様に、各々、キャリア5の周りへ、円の一部に沿うように配置される。これらは、キャリア5の回転によりX-Y平面から発生する運動を補正するために、キャリア5との接触位置のX-Y平面における小さい運動を許容する。伝動ユニット14、24、34とキャリア5との間の接触位置は、ボールジョイントを実現する。これらは、例えば、キャリア5上の球状のキャロット、および相応に形成される伝動ユニット14、24、34上の球状シェルによって形成される。
【0105】
第1のサスペンション11のばね板、および第2のサスペンション21の例えば同一平面上のばね板は、一体で製造され、製造および組立てが単純化される。
【0106】
3つの駆動装置12、22、32の受動素子122、222、322は、何れの場合も、位置決めデバイスの第1、第2および第3の側面に沿って略X方向またはY方向に延び、かつ第1の端で各結合素子13、23、33上に固定され、かつ第1の端から離れた第2の端で各能動素子121、221、322と接触している。2つの駆動装置12、22の能動素子121、221は、ベース4上に固定される。
【0107】
図4は、2つの回転軸を中心にして回転可能でありかつ一並進方向に移動可能なキャリアを有するさらなる実施形態を示す。
【0108】
運動学的条件は、先の実施形態の場合と同じである。3つの結合素子13、23、33、その駆動装置12、22、32および伝動ユニット14、24、34は、キャリア5を中心として回転対称式に略配置される。3つのサスペンション11、21、31のばね板は、各々、レンズホルダ6と共に、キャリア5の周りの円5の一部に沿っている。3つのサスペンション11、21、31は、各々、平行に配置される2つのばね板を備える。3つの結合素子13、23、33は、各々、
図3a~
図3eの場合と同様に設計される伝動ユニット14、24、34を支え、かつキャリア5上へ結合される。
【0109】
図5a~
図5dは、2つの回転軸を中心にして回転可能なキャリアを有する実施形態を示す。ここでは、既に述べた素子以外に、下記が存在する。
【0110】
2つのサスペンション11、21のばね板は、何れの場合も、互いに対して平行に(即ち、その個々の平面と平行に)配置されず、よって、正確に1自由度の四棒リンク機構を形成する。サスペンション11、21のばね板が、この実施形態がそうであるように、サスペンションに関与する2物体のうちの一方と共に少なくともほぼ三角形を形成していれば、サスペンションの相対運動は、略回転運動である。この回転運動の回転軸は、三角形の角領域に存在し、2つのばね板は、この領域で少なくともほぼ出合う。
【0111】
第1の結合素子13は、第1の軸を中心に、ここでは例えば座標系のX軸を中心に、ベース4に対して回転可能である。第2の結合素子23は、第2の軸を中心に、ここでは例えばY軸を中心に、ベース4に対して回転可能である。これらの2軸は、互いに平行ではなく、かつ典型的には、互いに略直交する。
【0112】
・第1の結合素子13の運動は、X軸を中心とする回転に限定される。キャリア5は、第1の伝動ユニット14によって、この回転に対して第1の結合素子13の運動と略剛性的に結合されるが、第1の結合素子13に対し、Y軸を中心として回転可能である。
【0113】
・第2の結合素子23の運動は、Y軸を中心とする回転に限定される。キャリア5は、第2の伝動ユニット24によって、この回転に対して第2の結合素子の運動と略剛性的に結合されるが、第2の結合素子23に対し、X軸を中心として回転可能である。
【0114】
2つの回転次元におけるキャリア5の位置は、2つの結合素子13、23および伝動ユニット14、24を介するキャリア5の運動学的接続部による重畳によって非曖昧に決定される。各次元における位置、したがってX軸およびY軸に対する回転における位置は、2つの駆動装置12、22を介して略独立的に設定されてもよい。
【0115】
この場合、2つの伝動ユニット14、24は、必ずしも別々のパーツによって形成されるものではないが、キャリア5および結合素子13、23の形状設計によって実現される。第1の伝動ユニット14およびキャリア5は、互いに対応的に成形されて、X軸を中心とする回転を第1の伝動ユニット14からキャリア5上へ伝達するガイドを形成するが、Y軸を中心とするキャリア5の回転を許容する。
【0116】
・例えば、そのために、第1の伝動ユニット14とキャリア5との間に第1の回転ジョイント141が存在し、その回転軸は、Y軸に平行である。
【0117】
・同様に、第2の伝動ユニット24とキャリア5との間に第2の回転ジョイント241が存在し、その回転軸は、X軸に平行である。
【0118】
単純な運動学は、下記の条件により達成される。
・第1のサスペンション11の回転軸(この場合は、X軸)が第2の回転ジョイント241の回転軸に略一致する、または少なくともこれに平行する、かつ/または、
・第2のサスペンション21の回転軸(この場合は、Y軸)が第1の回転ジョイント141の回転軸に略一致する、または少なくともこれに平行する。
【0119】
よって、この一致は、正確であり、または、キャリア5がベース4に対して非撓み状態または基準位置にあれば、最小限の偏りを有する。
【0120】
・仮に、例えばキャリア5がこの基準位置から逸脱して、X軸を中心として第1の角度だけ回転すれば、第1の回転ジョイント141の軸も、Y軸に対してほぼこの第1の角度だけ回転する。
【0121】
・したがって、逆に、キャリア5がY軸を中心として第2の角度だけ回転すれば、第2の回転ジョイント141の軸も、X軸に対してほぼこの第2の角度だけ回転する、と言える。
【0122】
これにより、回転運動の弱い相互結合が生じるが、これは無視することができ、あるいは駆動装置の制御によって補正することができる。
【0123】
省スペース構造は次のように、即ち、位置決めデバイス全体が上側領域から下側領域まで延びるように実現される。画像スタビライザ、例えば画像センサーは、ベース4上かつ下側領域に存在し、かつ調整可能な光学素子は、光の入口と共にキャリア5上かつ上側領域に存在する。
【0124】
・第1の結合素子13は、下側領域において第1の回転軸を中心として回転可能であり、第1のサスペンション11は、下側領域から上側領域まで延びる。第1の結合素子13は、上側領域でキャリア5を少なくとも部分的に包含し、かつ上側領域で第1の伝動ユニット14または第1の回転ジョイント141を支える。
【0125】
・第2の結合素子23は、上側領域において回転軸を中心として回転可能であり、第2のサスペンション21は、上側領域から下側領域まで延びる。第2の結合素子23は、下側領域でキャリア5を少なくとも部分的に包含し、かつ下側領域で第2の伝動ユニット24または第2の回転ジョイント241を支える。
【0126】
・したがって、X軸を中心とする(第1のサスペンション11およびキャリア5の)回転のための2つの回転軸は、下側領域に位置決めされる。
【0127】
・Y軸を中心とする(第2のサスペンション21およびキャリア5の)回転のための2つの回転軸は、上側領域に位置決めされる。
【0128】
・第1の駆動装置12の受動素子122は、下側領域と上側領域との間を、位置決めデバイスの第1の側面に沿って、第1の結合素子13上の固定位置から第1の駆動装置12の能動素子121まで延びる。
【0129】
・第2の駆動装置22の受動素子222は、下側領域と上側領域との間を、位置決めデバイスの、第1の側面とは異なる第2の側面に沿って、第2の結合素子23上の固定位置から第2の駆動装置22の能動素子221まで延びる。
【0130】
2つの駆動装置12、22の能動素子121、221は、ベース4上に固定される。
図7a~
図7cは、何れの場合も一体部分の、具体的にはプレートまたはシート部分の一部として設計されている幾つかのばね素子を示す。この場合、ばね素子は、ばね板である。
図7aは、
図6a~
図6dの実施形態の一部であり得る一体部分を示す。この部分の上に、第3のサスペンション31の2つのばね板、ならびに第3の伝動ユニット34のばね素子が形成されている。
図7bは、
図1a~
図1hまたは
図6a~
図6dの実施形態の一部であり得る一体部分を示す。この部分の上に、第1のサスペンション11の3つのばね板、ならびに第2のサスペンション21の3つのばね板が形成されている。
図7cは、
図8a~
図8eの実施形態の一部であり得る一体部分を示す。この部分の上に、第1のサスペンション11の2つのばね板、ならびに第2のサスペンション21の4つのばね板が形成されている。
【0131】
図9は、
図8a~
図8eの実施形態の一部であり得る一体部分を示す。この部分の上に、第3の伝動ユニット34の2つのばね素子34a、34bが形成されている。