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▶ レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロードの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】マルチチャネル分散要素を含む熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 9/02 20060101AFI20221003BHJP
   F28F 9/22 20060101ALI20221003BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20221003BHJP
   F28F 9/18 20060101ALI20221003BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F9/22
F28F9/02 301J
F28F9/18
F28F3/08 311
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020504359
(86)(22)【出願日】2018-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 FR2018051804
(87)【国際公開番号】W WO2019025691
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】1757539
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・クレイサック
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・カダレン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】クエンティン・サニエッツ
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/055568(WO,A1)
【文献】米国特許第03291206(US,A)
【文献】特開2003-222495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0198988(US,A1)
【文献】特開2001-235295(JP,A)
【文献】特開昭54-047152(JP,A)
【文献】国際公開第97/02461(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/02
F28F 9/22
F28F 9/02
F28F 9/18
F28F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 貫流する少なくとも1つの他の流体(F2)と熱を交換するように意図された流体(F1)の通路(3)であって、縦方向(z)及び前記縦方向(z)に対して垂直な横方向(x)に延びる通路(3)の少なくとも1つの組を画定するように互いに平行配置された複数のプレート(2)と、
- 前記縦方向(z)において少なくとも1つの分散区域(20)1つの熱交換区域(21)に分割される各通路(3)と、
- 分散要素(22)を含む通路(3)の少なくとも1つの分散区域(20)であって、前記分散要素(22)は、前記流体(F1)が貫流する複数のチャネル(26)に前記分散区域(20)を分割するように配置された複数の分割壁(25)を含み、前記チャネル(26)は、異なる長さの流路を画定し、且つ前記流路に沿った流体の可変通路部を有する、少なくとも1つの分散区域(20)と、
を備える、蝋付け式プレート及びフィンタイプの熱交換器(1)において、
前記分散要素(22)の前記複数の分割壁(25)は支持体(27)を介して一緒に固定されており、前記支持体(27)は隣接するプレート(2)に蝋付けされていることを特徴とする熱交換器(1)。
【請求項2】
前記複数の分割壁(25)は前記支持体(27)から前記通路(3)内に突出していることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記支持体(27)は平底部(27)を含み、前記複数の分割壁(25)は前記底部(27)に対して垂直に突出していることを特徴とする、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記流体(F1)の入口又は出口を形成する第1の端(23)と、前記分散要素が分散区域(20)内に配置されるとき、前記熱交換区域(21)に流体的に接続される第2の端(24)とを含み、各分割壁(25)は、単一部品から形成され、且つ前記第1の端(23)から前記第2の端(24)まで連続的に延びることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項5】
各チャネル(26)は、前記第1及び第2の端(23、24)にそれぞれ位置する第1の開口(26a)及び第2の開口(26b)を備え、少なくとも1つの第1の開口(26a)は、別の第1の開口(26a)の流体の通路部と異なる流体の通路部を有し、及び/又は少なくとも1つの第2の開口(26b)は、別の第2の開口(26b)の流体の通路部と異なる流体の通路部を有することを特徴とする、請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
同一チャネル(26)の前記第1の開口(26a)及び/又は前記第2の開口(26b)は、前記チャネル(26)によって画定される前記流路が長いほどより大きくなる流体の通路部を有することを特徴とする、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
1つ又は複数のチャネル(26)は、前記チャネル(26)の線形流動抵抗を修正するための手段(28)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記手段(28)は、前記チャネル(26)の内部プロファイルの形状を含むことを特徴とする、請求項7に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記手段(28)は、前記チャネル(26)内に配置された隔壁(28)を含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記手段(28)は、前記チャネル(26)内に配置された多孔質構造、例えば金属発泡体を含むことを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項11】
前記複数の分割壁(25)は、縦断面において直線方向プロファイルを有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項12】
前記複数の分割壁(25)は、縦断面において所定の曲線プロファイルを有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項13】
前記所定の曲線プロファイルは、少なくとも1つの変曲点(P)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の熱交換器。
【請求項14】
前記分散要素(22)は、縦方向(z)の長さ(L1)に沿って且つ横方向(y)の幅(L2)にわたって延び、長さ(L1)と前記幅(L2)との間の比は、20%未満、好ましくは5~10%であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記分散要素(22)は、500mm未満、好ましくは50~200mmの長さ(L1)に沿って延びることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項16】
前記分散要素(22)は、前記プレート(2)に対して直角である垂直方向(x)に測定された少なくとも2mm、好ましくは少なくとも5mmの高さ、好ましくは2~15mmの高さを有することを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の熱交換器。
【請求項17】
前記分散要素(22)は、好ましくは、付加製造方法又は鋳造によって製造されるモノリシック要素であることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート及びフィンタイプの熱交換器の分散区域内に配置されるように構成された分散要素と、このような分散要素及び流体が少なくとも1つの他の流体と熱交換関係にされるための通路の少なくとも1つの組を含む熱交換器とに関する。本発明による要素は、前記通路の幅にわたる流体のより均一な分散を可能にする。
【0002】
本発明は、加圧気体酸素を生成するために使用されるASU(空気分離ユニット)として知られたものにおける気体の深冷分離、具体的には空気の深冷分離の分野に特に用途が見出される。特に、本発明は、気体、例えば酸素、窒素及び/又はアルゴンとの熱の交換によって液体の流れを気化させる熱交換器に適用され得る。
【0003】
本発明は、少なくとも1つの他の流体、例えば天然ガスとの熱の交換を介して液体-ガス混合物、例えば炭化水素の混合物の少なくとも1つの流れ、具体的にはマルチ成分混合物の流れを気化させる熱交換器にも適用され得る。
【背景技術】
【0004】
熱交換器に一般的に使用される技術は、極めてコンパクトであり、且つ大きい熱交換表面積を提供する装置を得ることを可能にするアルミニウム蝋付け式プレート及びフィン熱交換器のものである。
【0005】
これらの熱交換器は、プレートを含み、一連のフィン又は波型脚で形成された熱交換波型がプレート間に挿入され、これにより熱交換関係にされる様々な流体の通路の積層を構成する。
【0006】
これらの通路は、実際の熱交換区域の上流及び下流における対象の通路内の流体の流れの方向全体に配置される、分散区域と呼ばれる区域を含む。分散区域は、様々な流体を様々な通路に選択的に分散させ、且つ前記流体を前記通路から除去するように構成された半管状ヘッダに流体接続される。
【0007】
知られた方法において、これらの分散器は、通常、2つの連続プレート間に波板の形式で配置される分散波型を含む。分散波型は、通常、三角形又は台形の形状にカットされた穴あき直線波型である。分散波型は、熱交換器の入口ヘッダから来る流体を熱交換区域の幅にわたって拡げるために方向転換させ、且つ前記熱交換区域から来る流体を回収する。分散波型は、蝋付け時及び通路の分散区域の動作中に機械的完全性を保証するためにスペーサとしての役割も果たす。このような分散波型は、米国特許第B-6,044,902号明細書及び欧州特許出願公開第A-0507649号明細書から知られている。また、欧州特許出願公開第A-3150952号明細書から知られたものは、分散要素が実際のプレート(これらは、プレスされる)によって形成されるプレート熱交換器である。
【0008】
現在の分散区域の構成に伴って発生する問題の1つは、熱交換区域に向かう流体の劣悪な分散である。具体的には、分散区域は、整形工程からの切断屑を最適化するために少なくとも2つの波型パッドによって占められ、したがってこれらのパッド間のクリアランスのリスクを増加させる。波型パッドの組み立ても流体の流路に沿った事故を引き起こし得、これは、分散区域内の圧力降下を増加させる一因となる。分散区域内のこれらの不完全性のため、熱交換器の正しい動作にとって有害な約10%の振幅を有する流量の変動が生じ得る。
【0009】
同様に、分散欠陥は、熱交換区域から来る流体の回収に用いられる分散区域において見出される。
【0010】
別の問題は、分散区域の機械的完全性に関係する。具体的には、これらの区域は、熱交換区域のものより低い密度、典型的には1インチ当たり6~10脚を有する波型を備える。現在、通路の分散区域は、通常、約200~600mmの長さ(同じ通路の熱交換区域内の流体の流れの方向に対応する縦方向において測定される)に沿って且つ約500~1500mmの幅(前記縦方向に対して垂直方向において測定される)にわたって延びる。分散区域は、熱交換区域より低い機械的完全性を有する部分を構成することから、通路内の高圧での流体の循環中の熱交換器のより良い耐性を保証するために、その縦方向の広がりを可能な限り制限することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、熱交換区域内の流体の分散が可能な限り一様である熱交換器であって、従来技術より小さい空間を占める分散区域も有する熱交換器を特に提案することにより、上述の問題を完全に又は部分的に解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明による解決策は、蝋付け式プレート及びフィンタイプの熱交換器であって、
- 貫流する少なくとも1つの他の流体と熱を交換するように意図された流体の通路であって、縦方向及び前記縦方向に対して垂直な横方向に延びる通路の少なくとも1つの組を画定するように互いに平行な方式で配置された複数のプレートと、
- 縦方向において少なくとも1つの分散区域及び1つの熱交換区域に分割される各通路と、
- 分散要素を含む通路の少なくとも1つの分散区域であって、前記分散要素は、流体が貫流する複数のチャネルに前記分散区域を分割するように配置された複数の分割壁を含み、前記チャネルは、異なる長さの流路を画定し、且つ前記流路に沿った流体の可変通路部を有する、少なくとも1つの分散区域と
を含む熱交換器である。
【0013】
場合により、本発明の要素は、以下の技術的特徴の1つ又は複数を含み得る:
- 分散要素の分割壁は、支持体を介して一緒に固定され、
- 支持体は、隣接プレートに蝋付けされる。
- 分割壁は、支持体から通路内に突出する。
- 支持体は、平底部を含み、分割壁は、底部に対して垂直に突出する。
- 要素は、流体の入口又は出口を形成する第1の端と、分散要素が分散区域内に配置されるとき、熱交換区域に流体的に接続される第2の端とを含み、各分割壁は、単一部品から形成され、且つ第1の端から第2の端まで連続的に延びる。
- 各チャネルは、第1及び第2の端にそれぞれ位置する第1の開口及び第2の開口を備える。
- 少なくとも1つの第1の開口は、別の第1の開口の流体の通路部と異なる流体の通路部を有し、及び/又は少なくとも1つの第2の開口は、別の第2の開口の流体の通路部と異なる流体の通路部を有する。
- 同一チャネルの第1の開口及び/又は第2の開口は、前記チャネルによって画定される流路が長いほどより大きくなる流体の通路部を有する。
- 1つ又は複数のチャネルは、前記チャネルの線形流動抵抗を修正するための手段を含む。
- 前記手段は、前記チャネルの内部プロファイルの形状を含む。
- 前記手段は、前記チャネル内に配置された隔壁を含む。
- 前記手段は、前記チャネル内に配置された多孔質構造、例えば金属発泡体を含む。
- 分割壁は、縦断面において直線方向プロファイルを有する。
- 分割壁は、縦断面において所定の曲線プロファイルを有する。
- 前記所定の曲線プロファイルは、少なくとも1つの変曲点を含む。
- 分散要素は、縦方向の長さに沿って且つ横方向の幅にわたって延び、長さと幅との間の比は、20%未満、好ましくは5~10%である。
- 分散要素は、500mm未満、好ましくは50~200mmの長さに沿って延びる。
- 分散要素は、プレートに対して直角である垂直方向に測定された少なくとも2mm、好ましくは少なくとも5mmの高さ、好ましくは2~15mmの高さを有する。
- 分散要素は、好ましくは、付加製造方法又は鋳造によって製造されるモノリシック要素である。
【0014】
本発明は、ここで、非限定的例としてのみ与えられ且つ添付図面を参照する以下の説明により、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】プレート及びフィンタイプの熱交換器の三次元概略図である。
図2】本発明の一実施形態による分散区域の縦断面の部分的概略図である。
図3A-B】本発明の他の実施形態による分散区域の縦断面の部分的概略図である。
図4】本発明の他の実施形態による分散区域の縦断面の部分的概略図である。
図5A-B】本発明の別の実施形態による分散区域の縦断面の概略図及び三次元概略図である。
図6A-C】図5Bに概略的に描写された分散要素を使用して行われたシミュレーションの結果を提示する。
図7図5Bに概略的に描写された分散要素を使用して行われたシミュレーションの結果を提示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1から分かるように、プレート及びフィンタイプの熱交換器1は、縦方向z及び横方向yにおいて2次元、長さ及び幅でそれぞれ延びるプレート2の積層を含む。プレート2は、間隔をあけて互いに平行に且つ積み重ねられて配置され、したがってプレート2を介して間接的な熱交換関係にされる流体F1、F2、F3の通路3、4、5のいくつかの組を形成する。横方向yは、縦方向zに対して直角であり且つプレート2と平行である。好ましくは、縦軸は、熱交換器1が動作中である場合に垂直である。
【0017】
好ましくは、各通路は、平坦且つ平行な6面体の形状を有する。通路は、長さに関して縦方向zに延び、幅に関して横方向yに延びる。2つの連続プレート間の距離間隔は、各連続プレートの長さ及び幅と比較して小さい。
【0018】
各通路3、4、5は、縦方向zにおいて少なくとも1つの分散区域20及び1つの熱交換区域21に分割される。分散区域内の流体の流れは、全体として縦方向zと平行に発生する。分散区域20と熱交換区域21とは、好ましくは、縦軸zに沿って並置される。
【0019】
図1の描写によると、その内部が見えるようにされた通路3を特に考慮すると、2つの分散区域20は、熱交換区域21の両側に配置され、その一方は、流体F1を熱交換区域21方向に運ぶ役割を果たし、他方は、流体F1を前記区域から排出する役割を果たす。波型製品の形式で作製される従来の分散波型が分散区域20内に示される。
【0020】
それ自体周知の方式において、熱交換器1は、流体を熱交換器1内に導入し、流体を熱交換器1から排出するための開口10を備えた半管状ヘッダ7、9を含む。これらのヘッダは、通路より広くない開口を有する。分散区域20は、開口を介して導入された流体を通路の幅にわたってヘッダ内に分散させる役割を果たす。
【0021】
本発明によると、流体F1が貫流する複数のチャネル26に前記分散区域20を分割するように配置された複数の分割壁25を含む分散要素は、熱交換器の通路3の少なくとも1つの分散区域20内に配置される。前記チャネル26は、異なる長さを有する流路を画定し、且つ前記流路に沿った流体の可変通路部を有する。可変長及び断面を有する複数の別個のチャネルに分散区域を細分化することで、各チャネル内の流体のフロー条件を精細に制御しながら流体を方向転換させることを可能にする。特に、分散区域内の圧力降下を最小化する一方、各チャネルの出口における多少なりとも同一である流体速度と、したがって分散区域の出口における通路の幅にわたる流体の一様又は準一様な分散とを得るように、異なるチャネルを貫流する流体の速度を釣り合うようにすることが可能である。
【0022】
さらに、分散要素は、スペーサ機能が分割壁によって保証され得るため、熱交換器の分散区域上の構造的剛性を与える。
【0023】
本発明の範囲内において、熱交換器は、蝋付け式プレート及びフィンタイプであることに留意すべきである。ここで、蝋付け式プレート及びフィンタイプは、熱交換器を作り上げる別個の要素が鑞付けによって直接又は間接的に固定されることを意味する。本発明による分散要素は、プレート2から分離されている。
【0024】
「蝋付け支持体」は、この支持体が、そのそれぞれの面の少なくとも一部分を介して熱交換器の隣接プレートに鑞付けすることによって接続又は固定されることを意味するものと理解される。
【0025】
表現「流体の通路部」は、流体がチャネル内で貫流する領域を意味することに留意すべきである。これは、前記チャネル内の流体F1の移動方向に対して垂直である、すなわち移動する流体F1の流線に対して垂直である面内で測定される。
【0026】
流路の長さは、対象のチャネルの入口と出口との間で流体F1によってカバーされる距離であるものと理解される。
【0027】
本発明によると、分散要素は、一緒に固定された壁25を維持するように構成された支持体27も含む。このような要素の例が図5Bに提示される。
【0028】
したがって、分散要素は、蝋付け式プレート及びフィン熱交換器の分散区域内に慣習的に配置される分散波型とは対照的に、波型製品でないことが理解される。壁25は、同一支持体27を介して一緒に固定され、これにより分散要素上のより大きい剛性を与える。これは、蝋付け作業を単純化することも可能にする。さらに、このような構成は、分散要素のより大きい設計自由度及びそのチャネルの幾何学的自由度を提供する。
【0029】
したがって、比較的大きい高さ、典型的には少なくとも2mm、好ましくは少なくとも5mm、より好ましくは最大15mm以上を有する壁25を通路内に配置することが可能である。これは、壁が分割プレートの加圧の結果として生じる熱交換器には当てはまらない。
【0030】
好ましくは、前記支持体は、分割壁25がこれから立てられる底部27、好ましくは平板から形成され得る平底部を含む。壁25は、好ましくは、垂直方向xに立てられる。壁25は、典型的には2~15mmの高さhを有し得る。好ましくは、高さは、壁25が垂直方向xに通路の高さのすべてではないにしてもほぼすべてにわたって延びるように選択される。
【0031】
本発明による、プレートと別個部分である分散要素22の構成は、同一プレートの両側に異なる分散プロファイルを設計することも可能にする。
【0032】
好ましくは、本発明による分散要素は、熱交換器の1つ又は複数の組の通路の分散区域のすべてではないにしてもいくつかの分散区域内に収容される。前記要素は、通路20を形成する各プレート2に構造が有利に接するように通路の高さ(垂直方向xに測定される)のすべてではないにしてもほぼすべてにわたって延びる。
【0033】
チャネルは、流体的に互いに絶縁されることが好ましい。したがって、各チャネルのフローパラメータは、隣接チャネルのものとは独立に制御され、これにより分散区域の出口における通路の幅にわたる流体の分散を精密に調整することを可能にする。有利には、分割壁25は、プレート2に対して垂直に立てられる。
【0034】
好ましくは、チャネル26の数は、少なくとも6であり、より好ましくは5~50である。具体的には、チャネル26の数は、一方では要素22にその機械剛性を与えるのに十分に多い必要があるが、他方では流体が流れ、且つ圧力降下を制限するために十分な自由容積を残すためにあまりに多くてはならない。
【0035】
有利には、分散要素22は、流体F1の入口又は出口を形成する第1の端23と、熱交換区域21に流体的に接続される第2の端24とを含む。
【0036】
さらに具体的には、図1から分かるように、通路3~5は、通路を完全に遮断しないが、対応する流体の入口又は出口の自由開口23、24を残す閉塞バー6によって境界を定められる。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態による熱交換器の通路3の「入口」部分を概略的に部分的に描写する。流体ヘッダ7は、熱交換器の左手角に配置され、第1の端23は、ヘッダ7に流体的に接続され、流体F1の入口を形成し、流体の流れは、破線矢印によって概略的に示される。
【0038】
第1及び第2の端23、24は、好ましくは、横方向yに平行であり且つ縦方向zに対して垂直な面内に延びる。分割壁25は、第1の端23と第2の端24との間に延びる。分割壁25は、第2の端24において外に出るチャネル26を形成する。分割壁25は、前記第1の端23と前記第2の端24の他方に流体F1が供給されると、熱交換区域21の全幅の方向の又はそれからの均一又は準均一な分散を得るように、流体F1を横方向yに一様に分散させるように構成される。
【0039】
有利には、各チャネルは、第1の開口26a及び第2の開口26bを備える。有利には、図2に概略的に描写されるように、第1及び第2の開口26a、26bは、第1及び第2の端23、24にそれぞれ位置し、分割壁25は、第1の端23から第2の端24まで連続的に延びる。流体F1の流路は、開口26aと開口26bとの間に続く経路に対応する。したがって、端23、24のそれぞれは、一連の開口26aと一連の開口26bとにそれぞれ分割され得る。
【0040】
チャネル26の開口26a、26bは、対象のチャネル26に依存して同一又は可変である流体の通路部を有する可能性がある。開口26a、26bの流体の通路部は、横方向yに対して平行な面内の第1及び第2の端23、24において測定されるチャネル26の内部領域に対応する。
【0041】
好ましくは、少なくとも1つの第1の開口26aは、別の第1の開口26aの流体の通路部と異なる流体の通路部を有し、及び/又は少なくとも1つの第2の開口26bは、別の第2の開口26bの流体の通路部と異なる流体の通路部を有する。
【0042】
有利には、同一チャネル26の第1の開口26a及び/又は第2の開口26bは、前記チャネル26によって画定される流路が長いほど、すなわち第1の開口26aと第2の開口26bとの間で流体F1によってカバーされる距離が大きくなるほどより大きくなる流体の通路部を有する。
【0043】
したがって、第1の端23が方向yに沿った要素22の極縁に配置される図3A、3B又は図5Bの例では、第1の端23は、横方向yに増加する流体の通路部を有する第1の系列の第1の開口26aに細分化される。これは、流体F1をヘッダ7から、前記極縁の対角線上反対側にある第2の端23の部分の方向に分散させるように構成されたチャネルの提供を促進する。
【0044】
要素22が中央面Mを有し、第1の端23が面Mに対して偏心される別の例(図5A)によると、面Mの両側に好ましくは対称的に配置される第1の開口26aは、前記中央面Mからの距離の増加と共に増加する流体の通路部を有する。
【0045】
これは、ヘッダからさらに離れた区域を介するよりむしろヘッダの隣に位置する分散区域の領域に入る流体の本来の傾向を補償し、したがって熱交換器の通路3の幅にわたる流体の分散を均質化する。
【0046】
有利には、分散要素22が熱交換器の分散区域20内に配置されると、第1の端23は、熱交換器の入口ヘッダ7によって位置を定められ、流体F1の入口を形成する。第1の端23内の第1の開口26aは、横方向yに沿ったそれらの位置に依存して可変である流体の通路部を有する。
【0047】
異なる通路部を有する開口26aを使用することにより、流体の通路にとってあまり好ましくないチャネル、具体的には流体F1の入口から分散区域20内に過剰供給することが特に可能であり、これは、より少ない圧力降下を引き起こし、したがってより効率的な流体分散システムに至る。
【0048】
本発明の有利な実施形態によると、チャネル26のすべて又はいくつかは、前記チャネル26の線形流動抵抗を修正するための手段28を含む。したがって、各チャネルの線形流動抵抗は、各チャネル26において望まれるフロー特性、特に流体流量及び流体流速に依存して調整され得る。したがって、チャネルの線形流動抵抗は、各チャネル26が同様の全体流動抵抗を有するように調整され得る。したがって、チャネル26の出口における流体の特性が横方向yに均質化され、これにより熱交換区域21の方向の又はそれからの一様な分散を可能にする。
【0049】
表現「流動抵抗」は、粘性摩擦を生成するだけでなく、流れを方向転換させるためのチャネルの能力(壁に垂直な押圧力)を意味するものと理解される。この抵抗は、流れに対する固体構造体の反作用力の形式(単位ニュートン)で表現され、流体中の圧力降下(単位パスカル)を生じる。この力は、第1に流体の運動エネルギー(rho×u)及び第2にレイノルズ数(rho×u×D/μ)に依存する。線形流動抵抗は、単位長当たりで表現されるチャネルの流動抵抗に対応する。
【0050】
有利には、チャネル26は、流体F1によってカバーされる距離に関して、前記チャネルの開口26aが他の開口26bに近いほどなおさら大きい線形流動抵抗の増加を生成するように構成された修正手段28を含む。例えば、図3Bに示す構成では、チャネル26は、横方向yに一層小さくなる線形流動抵抗の増加を生成するように構成される修正手段28を含む。具体的には、これは、熱交換器の側面に沿ったものよりむしろ軸に沿った流体の本来の好ましい通路を補償することと、したがって流体の良好な分散を得ることとを可能にする。ヘッダ7が熱交換器の中央面Mに対して偏心される場合、図5Aに示すように、チャネルの流体抵抗は、中央面Mに近いほどなおさら大きくなる。
【0051】
チャネル26は、流動抵抗の異なる変動を生成するために整形される内部プロファイルを有する可能性がある。
【0052】
異なる流動抵抗を生成する障害物28が1つ又は複数のチャネル26内に配置される可能性もある。多孔質構造28、例えば金属発砲体のチャネル内への挿入は、その流動抵抗を増加させることを可能にする。したがって、チャネル26の線形流動抵抗は、挿入された構造28の容積、密度などの特性をチャネルに従って変更することによって調整される可能性がある。図3Bに示す例では、多孔質構造28によって占められる容積は、横方向yに沿ってより小さくなる線形流動抵抗の変動を生成するように横方向yに減少する。
【0053】
図4の概略的に示す例によると、隔壁28は、分散区域22を分割するための追加の段を生成するように1つ又は複数のチャネル26内に配置され得る。これは、線形流動抵抗を変更することと、熱交換区域21の方向に分散されるか又はそれから回収される流体のフローパラメータをさらに精細に制御することとを可能にする。追加隔壁28の使用は、十分な数のチャネル26に分割されることができるにはあまりに小さい幅を分散要素の第1の端23が有する場合に特に有利である。
【0054】
場合により、分割壁25及び/又は隔壁28は、縦断面において、図2及び図4に示すような直線方向プロファイル又は図3A、3B及び図5A、5Bに示すような曲線プロファイルを有し得る。
【0055】
特に有利な実施形態によると、分割壁25は、少なくとも1つの変曲点Pを含む所定の曲線プロファイルを有する。
【0056】
このような幾何学形状は、流体をより急速に、すなわち短距離L1にわたり、具体的には熱交換器の通路の大きい幅にわたり方向転換させることを可能にする。したがって、熱交換器の「弱い」区域として知られたもののコンパクト性が増加されるため、分散区域20の縦方向広がりを低減することと、したがって熱交換器の機械的完全性を増加することとが可能である。
【0057】
これは、分散要素22の第1の端23の幅と、したがって比較的高価な部品であるヘッダ7の幅とを低減する可能性も提供する。好ましくは、分散要素22の入口又は出口を形成する第1の端23は、横方向yに50~1000mm、より好ましくは100~500mmの幅L3を有する。
【0058】
このようなプロファイルは、チャネル26内の圧力降下を低減することも可能にする。チャネルプロファイルの急変は、圧力降下を引き起こす流体再循環をもたらすことが知られている。
【0059】
好ましくは、分散要素22は、縦方向zに対して平行に500mm未満、好ましくは50~200mm、より好ましくは80~100mmの長さL1を有する。好ましくは、分散要素22の長さL1は、熱交換区域21の長さの20%未満を表す。横方向yに対して平行に、分散要素22は、幅L2を有し、長さL1と幅L2との間の比は、20%未満、好ましくは5~10%である。幅L2は、好ましくは、500~1500mmである。
【0060】
分散要素22は、有利には、金属材料、好ましくはアルミニウム又はアルミニウム合金から形成される。要素は、特に多孔質材料から、好ましくは密閉気孔、例えば金属発砲体によって形成され得る。
【0061】
好ましくは、分散要素22は、モノリシックであり、これにより流体の流路に沿った事故を最小化することを可能にする。
【0062】
要素22は、付加製造方法を使用して、好ましくは溶射によって製造され得、複雑な幾何学形状を有する部品を一体に生成することを可能にする。特に、コールドスプレー方法が使用される可能性がある。
【0063】
付加製造方法は、「3D印刷」とも呼ばれることがあることに留意すべきである。付加製造は、最終部品を得るために層毎に材料を堆積及び/又は凝固する特定のプリンタを使用して現実物体を製造することを可能にする。これらの層の積層は、立体を生成することを可能にする。
【0064】
要素22は、以下の付加製造方法を使用しても製造され得る:
- 溶融材料の堆積によるモデリングを含む溶融堆積モデリング(FDM)方法、
- ステレオリソグラフィ(SLA):紫外線が液体プラスチックの層を凝固する方法、又は
- 粉末の層を凝集するためにレーザが使用される選択的レーザ焼結。
【0065】
代替的に、分散要素22は、鋳造によって製造され得る。この製造方法は、複雑な幾何学形状を有する部品を付加製造と比較して比較的低い費用で生成することを可能にする。好ましくは、要素22は、鋳造によってアルミニウム合金、すなわちその主構成成分がアルミニウムである合金から形成され、鋳造技術によって変換されることが意図されるものより低い密度を有する。
【0066】
熱交換器の熱交換区域21に関して、これらは、有利には、図1に示すようにプレート2間に配置された熱交換構造8を含む。これらの構造は、熱交換器の熱交換領域を増加する機能を有し、加圧流体の使用中のプレートのいかなる変形も回避するために、特に蝋付けによる交換器の組み立て中にプレート2間のスペーサとしての役割を果たす。
【0067】
好ましくは、これらの構造は、有利には、熱交換器の通路の幅にわたって且つ長さに沿って延び、プレート2に対して平行である熱交換波型8を含む。これらの波型8は、波板の形式で形成され得る。この場合、波型の連続頂部と連続底部とを接続する波型脚は、「フィン」と呼ばれる。熱交換構造8は、所望の流体フロー特性に依存して定義される他の特定形状もカバーし得る。より一般的には、用語「フィン」は、主熱交換面、すなわち熱交換器のプレートから熱交換器の通路内に延びるブレード又は他の二次的熱交換面をカバーする。
【0068】
通路内では、本発明による分散要素22と熱交換構造8とは、好ましくは、縦軸zに沿って並置され、すなわち端から端まで置かれる。分散区域22のチャネルの壁25に面する熱交換区域21のチャネルを遮断しないため、小さいクリアランスがこれらの要素間に存在し得ることに留意されたい。好ましくは、要素22の第1の端23は、ヘッダ7の少なくとも一部分と共に端から端まで配置される一方、第2の端24は、構造8の少なくとも一部分と共に端から端まで配置される。好ましくは、構造8、ヘッダ7及び/又は要素22は、蝋付けによってプレート2に接続され、それぞれの接続を介して一緒に間接的にプレート2に接続される。有利には、要素22は、支持体27をプレート2に蝋付けすることによってプレート2上に組み立てられ、支持体又は底部27は、蝋付け剤によって被覆された少なくとも1つの面を含む。この面は、前記プレート2によって接続面を形成するようにプレート2の隣に位置する。代わりに又は加えて、プレート2は、蝋付け剤層によって少なくとも部分的に被覆された少なくとも1つの面を完全に又は部分的に有する。
【0069】
流体を一様に分散させるための本発明による分散要素22の有効性を実証するために、流体フローシミュレーションが図5Bによる分散要素を使用して行われた。
【0070】
分散要素22の寸法特性は、以下のとおりであった:
- 要素22の長さL1:85mm、
- 要素22の半値幅L2/2:485mm、
- 入口を形成する第1の端23の幅L3:370mm、
- 分散要素22と熱交換構造8との間の機械的クリアランス:2mm、
- 要素22の高さ:9.5mm(7.5mmの垂直方向xの高さを有する壁25及び2mmの厚さを有する底部27)、
- 壁25の厚さ:2.3mm。
【0071】
流体に関して、シミューレーションパラメータは、以下のとおりであった:
- 流体の性質:窒素、
- 分散要素22の出口における流体の圧力:1.2バール、
- ヘッダ7の入口における流体の温度:-80℃、
- ヘッダ9の出口における流体の温度:1℃、
- 熱交換器の通路を貫流する流体の質量流量:100kg/h。
【0072】
これらのシミュレーションの結果が図6A図6B図6C及び図7に提示される。図6A図6B及び図6Cは、分散要素22のチャネル26内を流れる流体の速度、圧力及び温度のプロットを示す。チャネル26の出口における流体の準均一な分散が見られる。図7は、横方向yにおける位置に依存して要素22の出口で得られる軸流速度、すなわち縦方向zの速度として知られたものの値の変化を示す。したがって、この変化は、分散要素22の中心(0mmにおける位置)から始まり、第2の端23(485mmにおける位置)の縁まで続く。横方向yに沿った速度値の分散は、熱交換区域内の速度の平均値に対する0.9%の標準偏差及び2.8%の最大偏差によって特徴付けられ、これは、標準偏差が約3%である従来の分散要素によって見出される変動よりはるかに小さい。本発明により、速度変動は、こうして分散区域の出口において横方向に低減され、流体を熱交換区域の幅にわたり可能な限り均一に分散させることを可能にする。
【0073】
当然のことながら、本発明は、本出願において説明され図示された特定の例に限定されない。当業者の能力内の他の変形形態又は実施形態も本発明の範囲から逸脱することなく考えられ得る。例えば、熱交換器内の流体の流れの他の方向及び感知は、当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく考えられる。したがって、本発明による分散要素は、熱交換器の1つ又は複数のヘッダの上流側及び/又は下流側の熱交換器の1つ又は複数の系列の通路3、4、5内の熱交換器の任意の分散区域内に配置され得る。例えば、図5Bは、熱交換区域21の両側に配置された本発明による2つの分散要素を熱交換器通路が含む場合を示す(意図的に短縮された長さによって概略的に示される)。熱交換器の通路3、4、5は、2つの連続プレート2間及び熱交換器の閉塞バー6と、直接隣接したプレート2との間に同様に良好に形成され得ることにも留意すべきである。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] - 貫流する少なくとも1つの他の流体(F2)と熱を交換するように意図された流体(F1)の通路(3)であって、縦方向(z)及び前記縦方向(z)に対して垂直な横方向(x)に延びる通路(3)の少なくとも1つの組を画定するように互いに平行な方式で配置された複数のプレート(2)と、
- 前記縦方向(z)において少なくとも1つの分散区域(20)及び1つの熱交換区域(21)に分割される各通路(3)と、
- 分散要素(22)を含む通路(3)の少なくとも1つの分散区域(20)であって、前記分散要素(22)は、前記流体(F1)が貫流する複数のチャネル(26)に前記分散区域(20)を分割するように配置された複数の分割壁(25)を含み、前記チャネル(26)は、異なる長さの流路を画定し、且つ前記流路に沿った流体の可変通路部を有する、少なくとも1つの分散区域(20)と
を含む、蝋付け式プレート及びフィンタイプの熱交換器(1)において、
前記分散要素(22)の前記分割壁(25)は、隣接プレート(2)に蝋付けされる支持体(27)を介して一緒に固定されることを特徴とする熱交換器(1)。
[2] 前記分割壁(25)は、前記支持体(27)から前記通路(3)内に突出することを特徴とする、[1]に記載の熱交換器。
[3] 前記支持体(27)は、平底部(27)を含み、前記分割壁(25)は、前記底部(27)に対して垂直に突出することを特徴とする、[2]に記載の熱交換器。
[4] 前記流体(F1)の入口又は出口を形成する第1の端(23)と、前記分散要素が分散区域(20)内に配置されるとき、前記熱交換区域(21)に流体的に接続される第2の端(24)とを含み、各分割壁(25)は、単一部品から形成され、且つ前記第1の端(23)から前記第2の端(24)まで連続的に延びることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の熱交換器。
[5] 各チャネル(26)は、前記第1及び第2の端(23、24)にそれぞれ位置する第1の開口(26a)及び第2の開口(26b)を備え、少なくとも1つの第1の開口(26a)は、別の第1の開口(26a)の流体の通路部と異なる流体の通路部を有し、及び/又は少なくとも1つの第2の開口(26b)は、別の第2の開口(26b)の流体の通路部と異なる流体の通路部を有することを特徴とする、[4]に記載の熱交換器。
[6] 同一チャネル(26)の前記第1の開口(26a)及び/又は前記第2の開口(26b)は、前記チャネル(26)によって画定される前記流路が長いほどより大きくなる流体の通路部を有することを特徴とする、[5]に記載の熱交換器。
[7] 1つ又は複数のチャネル(26)は、前記チャネル(26)の線形流動抵抗を修正するための手段(28)を含むことを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載の熱交換器。
[8] 前記手段(28)は、前記チャネル(26)の内部プロファイルの形状を含むことを特徴とする、[7]に記載の熱交換器。
[9] 前記手段(28)は、前記チャネル(26)内に配置された隔壁(28)を含むことを特徴とする、[7]又は[8]に記載の熱交換器。
[10] 前記手段(28)は、前記チャネル(26)内に配置された多孔質構造、例えば金属発泡体を含むことを特徴とする、[7]~[9]のいずれか一項に記載の熱交換器。
[11] 前記分割壁(25)は、縦断面において直線方向プロファイルを有することを特徴とする、[1]~[10]のいずれか一項に記載の熱交換器。
[12] 前記分割壁(25)は、縦断面において所定の曲線プロファイルを有することを特徴とする、[1]~[10]のいずれか一項に記載の熱交換器。
[13] 前記所定の曲線プロファイルは、少なくとも1つの変曲点(P)を含むことを特徴とする、[12]に記載の熱交換器。
[14] 前記分散要素(22)は、縦方向(z)の長さ(L1)に沿って且つ横方向(y)の幅(L2)にわたって延び、長さ(L1)と前記幅(L2)との間の比は、20%未満、好ましくは5~10%であることを特徴とする、[1]~[13]のいずれか一項に記載の熱交換器。
[15] 前記分散要素(22)は、500mm未満、好ましくは50~200mmの長さ(L1)に沿って延びることを特徴とする、[1]~[14]のいずれか一項に記載の熱交換器。
[16] 前記分散要素(22)は、前記プレート(2)に対して直角である垂直方向(x)に測定された少なくとも2mm、好ましくは少なくとも5mmの高さ、好ましくは2~15mmの高さを有することを特徴とする、[1]~[15]のいずれか一項に記載の熱交換器。
[17] 前記分散要素(22)は、好ましくは、付加製造方法又は鋳造によって製造されるモノリシック要素であることを特徴とする、[1]~[16]のいずれか一項に記載の熱交換器。
図1
図2
図3A-3B】
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7