(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】BCMAモノクローナル抗体薬剤コンジュゲート
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20221003BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20221003BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20221003BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221003BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221003BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221003BHJP
A61K 31/537 20060101ALI20221003BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20221003BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20221003BHJP
C07K 5/062 20060101ALI20221003BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20221003BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20221003BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20221003BHJP
【FI】
A61K47/68
C07K16/30 ZNA
C07K19/00
A61P35/00
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K39/395 D
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K31/537
A61K38/05
A61K31/5517
C07K5/062
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2020505483
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(86)【国際出願番号】 IB2018055753
(87)【国際公開番号】W WO2019025983
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-15
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504333972
【氏名又は名称】メディミューン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100165892
【氏名又は名称】坂田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】クリスタ・キニア
(72)【発明者】
【氏名】リーナ・バーキー
(72)【発明者】
【氏名】シャオドン・シャオ
(72)【発明者】
【氏名】エレイン・エム・ハート
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・タイス
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-534575(JP,A)
【文献】特表2016-500256(JP,A)
【文献】特表2015-513920(JP,A)
【文献】特表2014-520088(JP,A)
【文献】特表2012-520308(JP,A)
【文献】国際公開第2017/031104(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/166629(WO,A1)
【文献】Blood,2017年12月07日,130(Suppl 1): 3153
【文献】Blood,2016年,128(22): 1147
【文献】Mol. Cancer Ther.,2007年,6(11),3009-3018
【文献】Blood,2016年,128(22): 1148
【文献】Blood,2017年12月07日,130(Suppl 1): 3070
【文献】MEDI2228 in subjects with relapsed/refractory multiple myeloma (MEDI2228),Clinical Trials, Study No. NCT03489525,2018年04月05日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞毒にコンジュゲートされたB細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片を含む抗体薬剤コンジュゲート(ADC)であって、前記モノクローナル抗体が、(a)配列番号1の相補性決定領域1(HCDR1)アミノ酸配列、配列番号2のHCDR2アミノ酸配列、及び配列番号3のHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに(b)配列番号4の相補性決定領域1(LCDR1)アミノ酸配列、配列番号5のLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号6のLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗体薬剤コンジュゲート。
【請求項2】
前記重鎖可変領域が、配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体薬剤コンジュゲート。
【請求項3】
前記軽鎖可変領域が、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1又は請求項2に記載の抗体薬剤コンジュゲート。
【請求項4】
前記重鎖可変領域が配列番号7のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域が配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体薬剤コンジュゲート。
【請求項5】
前記細胞毒が、抗微小管剤、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、RNAポリメラーゼII阻害剤、又はDNAアルキル化剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体薬剤コンジュゲート。
【請求項6】
前記細胞毒が、マイタンシノイド、アウリスタチン、及びチュブリシンからなる群から選択される抗微小管剤である、請求項5に記載の抗体薬剤コンジュゲート。
【請求項7】
前記細胞毒が、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である、請求項5に記載の抗体薬剤コンジュゲート。
【請求項8】
前記ピロロベンゾジアゼピンが、以下の式:
【化1】
を有するSG3249である、請求項7に記載の抗体薬剤コンジュゲート。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体薬剤コンジュゲート及び薬学的に許容できる担体を含む組成物。
【請求項10】
多発性骨髄腫を治療するための薬剤の製造における請求項9に記載の組成物の使用。
【請求項11】
(a)配列番号1の相補性決定領域1(HCDR1)アミノ酸配列、配列番号2のHCDR2アミノ酸配列、及び配列番号3のHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに(b)配列番号4の相補性決定領域1(LCDR1)アミノ酸配列、配列番号5のLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号6のLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項12】
前記重鎖可変領域が、配列番号7のアミノ酸配列を含む、請求項11に記載のモノクローナル抗体。
【請求項13】
前記軽鎖可変領域が、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項11又は請求項12に記載のモノクローナル抗体。
【請求項14】
前記重鎖可変領域が配列番号7のアミノ酸配列を含み、且つ前記軽鎖可変領域が配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体及び薬学的に許容できる担体を含む組成物。
【請求項16】
T細胞活性化部分に連結された、請求項11~14のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体の抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項17】
前記抗原結合ドメインが、前記モノクローナル抗体の一本鎖Fv(scFv)断片を含む、請求項16に記載のキメラ抗原受容体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子的に提出された材料の参照による援用
2018年7月31日に作成された「BCMA-100-WO-PCT-SeqListing.TXT」という名称の1つの16,498バイトのアスキー(テキスト)ファイルとして、本明細書と同時に提出され、明示されるコンピュータで読み取り可能なヌクレオチド/アミノ酸配列リストは、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
多発性骨髄腫(MM)は、クローン性形質細胞の蓄積によって特徴づけられる悪性腫瘍である(例えば、非特許文献1、及び非特許文献2を参照)。MMに対する現在の治療法は、化学療法、放射線、手術、ビオホスホネート(biophosphonates)、及び自家幹細胞移植(ASCT)を含む。これらの治療法は寛解の原因になることが多い一方で、ほぼすべての患者が、最終的には再発し、死亡する(例えば、非特許文献2、及び非特許文献3を参照)。
【0003】
B細胞成熟抗原(BCMA)は、B細胞系統の細胞上に発現される腫瘍壊死ファミリー受容体(TNFR)メンバーである(非特許文献4)。BCMAの発現は、高分化型B細胞上に最も多い。BCMAは、長期体液性免疫を維持するための形質細胞の生存を媒介することに関与する。BCMAの発現は、いくつかのがん、自己免疫不全、及び感染症に関連している。数名の研究者により、BCMA RNAが多発性骨髄腫細胞内で広く検出されており、またBCMAタンパク質が多発性骨髄腫患者からの形質細胞の表面上で検出されている(例えば、非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;及び非特許文献8を参照)。そのようなことから、BCMAは、多発性骨髄腫における有望な治療標的として検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Palumbo et al.,New England J.Med.,364(11):1046-1060(2011)
【文献】Lonial et al.,Clinical Cancer Res.,77(6):1264-1277(2011)
【文献】Rajkumar,Nature Rev.Clinical Oncol,5(8):479-491(2011)
【文献】Laabi et al.,Nucleic Acids Research,22(7):1147-1154(1994)
【文献】Novak et al,Blood,103(2):689-694(2004)
【文献】Neri et al.,Clinical Cancer Research,73(19):5903-5909(2007)
【文献】Bellucci et al.,Blood,105(10):3945-3950(2005)
【文献】Moreaux et al.,Blood,703(8):3148-3157(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多発性骨髄腫を治療するための方法において使用可能である組成物が必要とされ続けている。本発明は、かかる組成物及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、細胞毒にコンジュゲートされたB細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片を含む抗体薬剤コンジュゲート(ADC)を提供する。モノクローナル抗体は、(a)配列番号1の相補性決定領域1(HCDR1)アミノ酸配列、配列番号2のHCDR2アミノ酸配列、及び配列番号3のHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに(b)配列番号4の相補性決定領域1(LCDR1)アミノ酸配列、配列番号5のLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号6のLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0007】
さらに、本開示は、前述の抗体薬剤コンジュゲートを含む組成物、及びBCMAを発現する多発性骨髄腫細胞(多発性骨髄腫幹細胞を含む)を、多発性骨髄腫細胞をADCと接触させることにより殺滅する方法を提供する。
【0008】
本開示はまた、(a)配列番号1の相補性決定領域1(HCDR1)アミノ酸配列、配列番号2のHCDR2アミノ酸配列、及び配列番号3のHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに(b)配列番号4の相補性決定領域1(LCDR1)アミノ酸配列、配列番号5のLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号6のLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、BCMAに特異的なモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1に記載のような、huBCMA、cynoBCMA、BAFF-R、及びTACIを発現する接着性293(Ad293)細胞に対する精製された抗体のFACS結合を図示する一連のグラフ(
図1A~1C)である。15B2GLモノクローナル抗体は、BAFF-R及び/又はTACIに結合しない、試験対象で唯一のカニクイザル交差反応性抗体であった。
【
図2】
図2は、実施例4に記載のような、BCMA抗体薬剤コンジュゲートの多発性骨髄腫(MM)及び形質細胞白血病(PCL)細胞をインビトロで殺滅する能力を図示するグラフである。
図2A~2Hは、指定のADCで処置された、特定のBCMAを発現する多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞株の生存度を示す一方で、
図2I及び2Jは、BCMAを発現しない細胞株の生存度を示す。
【
図3】
図3は、抗体薬剤コンジュゲート15B2GL-SG3249による、可溶性BCMAの存在下での多発性骨髄腫細胞株の殺滅を、実施例4に記載のような、ヒトBCMAを発現するAd293細胞から収集された条件培地中のI09-SG3249 ADCと比べて(
図3A)、又はヒトBCMAを発現するAd293細胞から収集された条件培地中のJ6M0-mc-MMAF及びJ6M0-SG3249 ADCと比べて(
図3B)図示するグラフを含む。
【
図4】
図4は、BCMA標的化ADCである15B2GL-SG3249、I09-SG3249、L15-SG3249、及びJ6M0-mc-MMAFを用いた処置に応答した、多発性骨髄腫のH929異種移植片マウスモデルにおける腫瘍体積の変化を未処置マウスと比べて図示するグラフである。
【
図5】
図5は、ADCである15B2GL-SG3249、I09-SG3249、L15-SG3249、J6M0-mc-MMAF、及びアイソタイプ対照IgG1-SG3249を用いた処置に応答した、多発性骨髄腫のJJN3異種移植片マウスモデルにおける腫瘍体積の変化を未処置マウスと比べて図示するグラフである。
【
図6】
図6は、ADCである15B2GL-SG3249、I09-SG3249、L15-SG3249、及びJ6M0-mc-MMAFを用いた処置に応答した、形質細胞白血病のMM.1S異種移植片マウスモデルにおける腫瘍体積の変化を未処置マウスと比べて図示するグラフである。
【
図7】
図7は、ADCである15B2GL-SG3249及びJ6M0-mc-MMAFを用いた処置に応答した、形質細胞白血病のMM.1R異種移植片マウスモデルにおける腫瘍体積の変化を未処置マウスと比べて図示するグラフである。
【
図8】
図8は、MM幹細胞でのBCMAの発現を図示する一連のグラフ及びフローサイトメトリープロットを含む。BCMAの発現が、MM形質細胞(CD19-CD138+、灰色トレース)とMM幹細胞(CD19+CD138-、黒色トレース)の双方で検出された。
【
図9】
図9は、クローン原性アッセイにおける、ADCのJ6M0-mc-MMAFと比べての、ADCである15B2GL-SG3249に対する患者試料MM263(
図9A)、MM276(
図9B)、MM277(
図9C)、及びMM284(
図9D)からのMM幹細胞の感受性を図示する一連のグラフを含む。対照は、非処置細胞及び400ng/mLの最高用量での非特異的IgG1-SG3249コンジュゲートを含む。形成されたコロニーの数は、100%に設定された、非処置培養下で形成される数に正規化された。
【
図10】
図10は、実施例7に記載のような、BCMA抗体薬剤コンジュゲートの多発性骨髄腫(MM)及び形質細胞白血病(PCL)細胞をインビトロで殺滅する能力を図示するグラフである。
図10A~10Hは、指定のADCで処置された、特定のBCMAを発現する多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞株の生存度を示す一方で、
図10I及び10Jは、BCMAを発現しない細胞株の生存度を示す。
【
図11】
図11は、BCMA標的化ADCである15B2GL-SG3400、J6M0-SG3400、及びアイソタイプ対照IgG1-SG3400を用いた処置に応答した、多発性骨髄腫のH929異種移植片マウスモデルにおける腫瘍体積の変化を未処置マウスと比べて図示するグラフである。
【
図12】
図12は、BCMA標的化ADCである15B2GL-SG3400、J6M0-SG3400、及びアイソタイプ対照IgG1-SG3400を用いた処置に応答した、形質細胞白血病のMM.1S異種移植片マウスモデルにおける腫瘍体積の変化を未処置マウスと比べて図示するグラフである。
【
図13】
図13は、SPRに基づくProteOnシステムを用いた、ヒトBCMAに結合する15B2GL、I09、P10、及びL15抗体の親和性及び動力学の測定を図示するグラフである。
【
図14】
図14は、SPRに基づくProteOnシステムを用いた、ヒトBCMAに結合するN22、M02、及びJ6M0抗体の親和性及び動力学の測定を図示するグラフである。
【
図15】
図15は、フローサイトメトリーにより測定された、15B2GL、L15、I09、又はJ6M0抗体のNCI-H929、MM.1S、及びAd293+huBCMA細胞株への結合を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、細胞毒にコンジュゲートされたB細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片を含む抗体薬剤コンジュゲート(ADC)を提供する。用語「抗体薬剤コンジュゲート」は、本明細書で用いられるとき、化学的リンカーを介して細胞毒(一般に高い全身毒性を有する小分子薬剤)に結合されたモノクローナル抗体(mAb)を含む化合物を指す。いくつかの実施形態では、ADCは、リンカーを含むように化学修飾されている小分子細胞毒を含んでもよい。次に、リンカーは、細胞毒を抗体、又はその抗原結合断片にコンジュゲートするために用いられる。細胞の表面上の標的抗原への結合時、ADCは、内部移行され、リソソームに輸送され、そこで細胞毒は、(例えば、リソソーム内で見出されるカテプシンBによる)切断可能リンカーのタンパク質加水分解、又は切断不能リンカーを介して細胞毒に結合される場合での抗体のタンパク質分解のいずれかにより放出される。次に、細胞毒は、リソソームから外部へ、またサイトゾル又は核内部へ移動し、そこで次に、その作用機構に依存して、その標的に結合しうる。
【0011】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で用いられるとき、B細胞の単一クローンによって産生され、同じエピトープに結合する抗体を指す。それに対し、用語「ポリクローナル抗体」は、異なるB細胞によって産生され、同じ抗原の異なるエピトープに結合する抗体の集団を指す。本明細書に記載の抗体薬剤コンジュゲートは、全抗体又は抗体断片を含んでもよい。全抗体は、典型的には、4つのポリペプチド:重(H)鎖ポリペプチドの2つの同一コピー及び軽(L)鎖ポリペプチドの2つの同一コピーからなる。重鎖の各々は、1つのN末端可変(VH)領域及び3つのC末端定常(CH1、CH2及びCH3)領域を有し、且つ各軽鎖は、1つのN末端可変(VL)領域及び1つのC末端定常(CL)領域を有する。軽及び重鎖の各ペアの可変領域は、抗体の抗原結合部位を形成する。VH及びVL領域は、同じ一般構造を有し、各領域は、配列が比較的保存された、4つのフレームワーク領域を含む。フレームワーク領域は、3つの相補性決定領域(CDR)によって接続される。CDR1、CDR2、及びCDR3として公知の3つのCDRは、抗原結合に関与する、抗体の「超可変領域」を形成する。
【0012】
ADCは、抗体の抗原結合断片を含んでもよい。用語「抗体断片」、「抗原結合断片」、「抗体の機能断片」及び「抗原結合部分」は、本明細書で互換可能に用いられ、抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1以上の断片又は部分を指す(一般に、Holliger et al.,Nat.Biotech.,23(9):1 126-1129(2005)を参照)。抗体断片は、例えば、1以上のCDR、可変領域(又はその部分)、定常領域(又はその部分)、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。抗体断片の例として、限定はされないが、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片;(iv)2つのドメインの単一のポリペプチド鎖としての合成を可能にする合成リンカーによって連結されたFv断片の2つのドメイン(即ちVL及びVH)からなる一価分子である一本鎖Fv(scFv)(例えば、Bird et al.,Science,242:423-426(1988);Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:5879-5883(1988);及びOsbourn et al.,Nat.Biotechnol.,16:778(1998)を参照)、並びに(v)ポリペプチド鎖の二量体である二重特異性抗体であって、各ポリペプチド鎖が同じポリペプチド鎖上でVHとVLとの間の対合を可能にするには短すぎるペプチドリンカーによってVLに接続されたVHを含み、それにより異なるVH-VLポリペプチド鎖上の相補的ドメイン間の対合を駆動し、2つの機能的抗原結合部位を有する二量体分子が作製される二重特異性抗体、が挙げられる。抗体断片は、当該技術分野で公知であり、例えば米国特許出願公開第2009/0093024Al号明細書に、より詳細に説明されている。
【0013】
一実施形態では、本明細書に記載の抗体薬剤コンジュゲートは、B細胞成熟抗原(BCMA、CD269としても公知)に特異的なモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片を含む。BCMAは、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーである(例えば、Thompson et al.,J.Exp.Medicine,192(1):129-135(2000)、及びMackay et al.,Annu.Rev.Immunol.,21:231-264(2003)を参照)。BCMAは、B細胞活性化因子(BAFF)及び増殖誘導リガンド(APRIL)に結合する(例えば、Mackay et al.、上記、及びKalled et al,Immunological Reviews,204:43-54(2005)を参照)。非悪性細胞の中で、BCMAは、大部分が形質細胞及び成熟B細胞のサブセットにおいて発現されることが報告されている(例えば、Laabi et al.,EMBO J.,77(11):3897-3904(1992);Laabi et al.,Nucleic Acids Res.,22(7):1147-1154(1994);Kalled et al.、上記;O’Connor et al.,J.Exp.Medicine,199(1):91-97(2004);及びNg et al.,J.Immunol.,173(2):807-817(2004)を参照)。BCMAが欠損したマウスは、健常であり、正常な数のB細胞を有するが、長命形質細胞の生存が障害される(例えば、O’Connor et al,上記;Xu et al.,Mol.Cell.Biol.,21(12):4067-4074(2001);及びSchiemann et al.,Science,293(5537):2111-2114(2001)を参照)。数名の治験責任医師により、BCMA RNAが多発性骨髄腫細胞内で広く検出されており、BCMAタンパク質が多発性骨髄腫患者からの形質細胞の表面上に検出されている(例えば、Novak et al,Blood,103(2):689-694(2004);Neri et al.,Clinical Cancer Research,73(19):5903-5909(2007);Bellucci et al.,Blood,105(10):3945-3950(2005);及びMoreaux et al.,Blood,703(8):3148-3157(2004)を参照)。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、抗体薬剤コンジュゲートと独立して上記のBCMAに特異的なモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片を提供する。モノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、(a)配列番号1の相補性決定領域1(HCDR1)アミノ酸配列、配列番号2のHCDR2アミノ酸配列、及び配列番号3のHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに(b)配列番号4の相補性決定領域1(LCDR1)アミノ酸配列、配列番号5のLCDR2アミノ酸配列、及び配列番号6のLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでもよい。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び/又は配列番号8のアミノ酸配列の軽鎖可変領域を含む。
【0015】
BCMAに特異的なモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、BCMA又はそのエピトープへの任意の好適な結合親和性を含んでもよい。用語「親和性」は、2つの薬剤の可逆的結合における平衡定数を指し解離定数(KD)として表される。目的の抗原又はエピトープに対する抗体又はその抗原結合断片の親和性は、当該技術分野で公知の任意の方法を用いて測定されうる。かかる方法として、例えば、蛍光標識細胞分取(FACS)、表面プラズモン共鳴(例えば、Biacore,ProteOn)、バイオレイヤー干渉法(BLI、例えばOctet)、動力学排除アッセイ(例えば、KinExA)、分離可能ビーズ(例えば磁気ビーズ)、抗原パニング、及び/又はELISAが挙げられる(例えば、Janeway et al.(eds.),Immunobiology,5th ed.,Garland Publishing,New York,N.Y.,2001を参照)。特定抗体の結合親和性が、結合親和性を分析するために用いられる方法に応じて異なることは当該技術分野で公知である。
【0016】
BCMAの可溶性形態(sBCMA)は、多発性骨髄腫患者の血清中で検出されており、3.8~1062ng/mLの範囲の報告値を有し(Lee et al Br J Haematol 2016,Sanchez et al Br J Haematol 2012)、分子の全細胞外ドメインからなる(Laurent et.al.Nat Commun 2015)。したがって、sBCMAは、抗体に基づく治療法の効果を低下させうる。BCMA及び組換え単量体ヒトBCMAの機能的特徴は類似している(Laurent et.al.Nat Commun 2015)。したがって、BCMA抗体薬剤コンジュゲートの有効性に対するsBCMAの潜在的効果を緩和するため、組換え単量体ヒトBCMAに対する弱い結合及び膜結合BCMAに対する強力な結合を有する抗体成分を選択することが望ましい。
【0017】
リガンドに対する結合剤の親和性、例えばエピトープに対する抗体の親和性は、例えば、約1ピコモル(pM)~約1マイクロモル(μM)(例えば、約1ピコモル(pM)~約1ナノモル(nM)、又は約1nM~約1マイクロモル(μM))でありうる。一実施形態では、モノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、100ナノモル以下(例えば、100nM、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約40nM、約30nM、約20nM、若しくは約10nM、又は上記値のいずれか2つによって規定される範囲)のKDでBCMAに結合してもよい。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、10ナノモル以下(例えば、約9nM、約8.5nM、約8nM、約7.5nM、約7nM、約6.5nM、約6nM、約5.5nM、約5nM、約4.5nM、約4nM、約3.5nM、約3nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約0.9nM、約0.8nM、約0.7nM、約0.6nM、約0.5nM、約0.4nM、約0.3nM、約0.2nM、約0.1nM、約0.05nM、約0.025nM、約0.01nM、約0.001nM、又は上記値のいずれか2つによって規定される範囲)のKDでBCMAに結合してもよい。別の実施形態では、モノクローナル抗体は、200pM以下(例えば、約190pM、約175pM、約150pM、約125pM、約110pM、約100pM、約90pM、約80pM、約75pM、約60pM、約50pM、約40pM、約30pM、約25pM、約20pM、約15pM、約10pM、約5pM、約1pM、又は上記値のいずれか2つによって規定される範囲)のKDでBCMAに結合してもよい。
【0018】
一実施形態では、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定されるような、BCMA抗体又はその抗原結合断片の単量体BCMAに対する親和性は、約90nM、約80nM、約70nM、約60nM、約50nM、約40nM、約30nM、又は上記値のいずれか2つによって規定される範囲、例えば、約50nM~約70nM、約55nM~約65nM、若しくは約58nM~約62nMである。
【0019】
一実施形態では、FACSによって測定されるような、BCMA抗体又はその抗原結合断片の膜結合BCMAに対する親和性は、10ナノモル以下(例えば、約9nM、約8.5nM、約8nM、約7.5nM、約7nM、約6.5nM、約6nM、約5.5nM、約5nM、約4.5nM、約4nM、約3.5nM、約3nM、約2.5nM、約2nM、約1.5nM、約1nM、約0.9nM、約0.8nM、約0.7nM、約0.6nM、約0.5nM、約0.4nM、約0.3nM、約0.2nM、約0.1nM、約0.05nM、約0.025nM、約0.01nM、約0.001nM、又は上記値のいずれか2つによって規定される範囲)である。
【0020】
モノクローナル抗体の抗原結合部分又は断片は、部分がBCMAに結合する限り、任意のサイズでありうる。これに関連して、BCMAに特異的なモノクローナル抗体(本明細書中で「抗BCMAモノクローナル抗体」とも称される)の抗原結合部分又は断片は、望ましくは約5~18の間(例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、又は上記値のいずれか2つによって規定される範囲)のアミノ酸を含む。
【0021】
一実施形態では、抗体薬剤コンジュゲートは、抗BCMAモノクローナル抗体の可変領域を含む。これに関連して、ADCは、抗BCMAモノクローナル抗体の軽鎖可変領域、重鎖可変領域、又は軽鎖可変領域及び重鎖可変領域の双方を含んでもよい。好ましくは、ADCは、抗BCMAモノクローナル抗体の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む。BCMAに結合するモノクローナル抗体は、例えば国際特許出願公開の国際公開第2010/104949号パンフレットに開示されている。一実施形態では、本明細書に記載のADCのモノクローナル抗体は、(a)SYSMN(配列番号1)の相補性決定領域1(HCDR1)アミノ酸配列、SISGSSNYIYYADSVKG(配列番号2)のHCDR2アミノ酸配列、及びGGNYYVEYFQY(配列番号3)のHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域、並びに(b)RASQYISSNYLA(配列番号4)の相補性決定領域1(LCDR1)アミノ酸配列、GASNRAT(配列番号5)のLCDR2アミノ酸配列、及びQQYGSSPIT(配列番号6)のLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。別の実施形態では、本明細書に記載のADCのモノクローナル抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び/又は配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでもよい。
【0022】
用語「細胞毒」及び「細胞傷害性薬物」は、細胞の機能を阻害又は阻止し、且つ/若しくは細胞の破壊(細胞死)を引き起こし、且つ/又は抗増殖効果を発揮する任意の分子を指す。ADCの細胞毒又は細胞傷害性薬物が、当該技術分野でADCの「ペイロード」とも称されることは理解されるであろう。細胞傷害性薬物のいくつかのクラスは、ADC分子における潜在的な有用性を有することが当該技術分野で公知であり、本明細書に記載のADCにおいて使用可能である。細胞傷害性薬物のかかるクラスとして、例えば、抗微小管剤(例えば、アウリスタチン及びマイタンシノイド)、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、RNAポリメラーゼII阻害剤(例えば、アマトキシン)、及びDNAアルキル化剤(例えば、インドリノベンゾジアゼピン疑似二量体)が挙げられる。本明細書に記載のADC中で用いてもよい具体的な細胞傷害性薬物の例として、限定はされないが、アマニチン、アウリスタチン、カリケアマイシン、ダウノマイシン、ドキソルビシン、デュオカルマイシン、ドラスタチン、エンジイン、レキシトロプシン、タキサン、ピューロマイシン、マイタンシノイド、ビンカアルカロイド、チュブリシン、及びピロロベンゾジアゼピン(PBD)が挙げられる。より具体的には、細胞傷害性薬物は、例えば、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB、アウリスタチンE、パクリタキセル、ドセタキセル、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタットスタチン(combretatstatin)、カリケアミシン(chalicheamicin)、メイタンシン、DM1、DM4、ビンブラスチン、メトトレキサート、ネトロプシン、又はその誘導体若しくは類似体であってもよい。ADCにおける使用に適した細胞毒はまた、例えば、国際特許出願公開番号の国際公開第2015/155345号パンフレット及び国際公開第2015/157592号パンフレットに記載されている。
【0023】
一実施形態では、細胞傷害性薬物は、抗微小管剤、例えば、チュブリシン、マイタンシノイド、アウリスタチン、又はその誘導体であってもよい。用語「抗微小管剤」及び「微小管標的化剤」は、同義であり、微小管に干渉することにより細胞分裂を阻害する薬剤を指す。チュブリシンは、ミクソバクテリア種から単離された天然生成物のクラスのメンバーであり(Sasse et al.,J.Antibiot.,53:879-885(2000))、チューブリン重合を阻害し、細胞周期停止及びアポトーシスをもたらす有糸分裂毒素として作用する(Steinmetz et al.,Chem.Int.Ed.,43:4888-4892(2004);Khalil et al.,Chem.Biochem.,7:678-683(2006);Kaur et al.,Biochem.J.,396:235-242(2006))。チュブリシンの例が、例えば、国際特許出願公開番号として国際公開第2015/157594号パンフレット、国際公開第2004/005326号パンフレット、国際公開第2012/019123号パンフレット、国際公開第2009/134279号パンフレット、国際公開第2009/055562号パンフレット、国際公開第2004/005327号パンフレット;米国特許第7,776,841号明細書、米国特許第7,754,885号明細書、及び米国特許第7,816,377号明細書;並びに米国特許出願公開第2010/0240701号明細書、米国特許出願公開第2011/0021568号明細書、及び米国特許出願公開第2011/0263650号明細書に開示されている。
【0024】
特定の態様では、チュブリシンは、国際公開第2015/157594号パンフレット(参照により本明細書中に援用される)に記載の化合物、例えば、以下の構造:
【化1】
を有する化合物、又は以下の構造:
【化2】
を有する化合物などである。
【0025】
マイタンシノイドは、微小管タンパク質チューブリンの重合を阻害し、それにより微小管の形成を阻止する(例えば、米国特許第6,441,163号明細書及びRemillard et al.,Science,189:1002-1005(1975)を参照)。マイタンシノイドは、細胞培養モデルを用いてインビトロで、また実験動物系を用いてインビボで、腫瘍細胞増殖を阻害することが示されている。さらに、マイタンシノイドの細胞傷害性は、通常の化学療法剤、例えば、メトトレキサート、ダウノルビシン、及びビンクリスチンよりも1,000倍大きい(例えば、米国特許第5,208,020号明細書を参照)。マイタンシノイドは、メイタンシン、マイタンシノール、マイタンシノールのC-3エステル、並びに他のマイタンシノール類似体及び誘導体を含む(例えば、米国特許第5,208,020号明細書及び米国特許第6,441,163号明細書を参照)。マイタンシノールのC-3エステルは、天然に存在しうる、又は合成的に誘導されうる。さらに、天然及び合成C-3マイタンシノールエステルは、単純なカルボン酸とのC-3エステル、又はN-メチル-L-アラニンの誘導体とのC-3エステルとして分類可能であり、後者は、前者よりも細胞傷害性が高い。合成マイタンシノイド類似体はまた、当該技術分野で公知であり、例えば、Kupchan et al.,J.Med.Chem.,21:31-37(1978)に記載されている。マイタンシノール並びにその類似体及び誘導体を作製するための方法は、例えば、米国特許第4,151,042号明細書に記載されている。本明細書に記載のADCと関連して用いてもよいマイタンシノイドの例として、限定はされないが、N2’-デアセチラーゼ-N2’-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)及びN2’-デアセチラーゼ-N2’-(4-メルカプト-4-メチル-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM4)が挙げられる。
【0026】
アウリスタチンは、十分な耐用量で実質的な前臨床活性を示している、高度に強力な抗有糸分裂剤のクラスを表す(Law et al.,Cancer Res.,66:2328-2337(2006);Ma et al.,Clin.Cancer Res.,12:2591-2596(2006);Tse et al.,Cancer Res.,12:1373-1382(2006);及びOflazoglu et al.,Br.J.Haematol.,142:69-73(2008)、及びOflazoglu et al.,Clin.CancerRes.,14:6171-6180(2008))。アウリスタチンADCは現在、前臨床及び臨床試験において評価されつつある。本明細書に記載のADCと関連して用いてもよいアウリスタチンの例として、限定はされないが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)及び関連分子のモノメチルアウリスタチンF(MMAF)が挙げられる(例えば、Doronina et al.,Nat.Biotechnol.,21:778-784(2003);及びDoronina et al.,Bioconjug.Chem.,17:114-124(2006)を参照)。
【0027】
一実施形態では、細胞傷害性薬物は、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)又はPBD誘導体であってもよい。PBDは、それがDNAに架橋する核に移動し、有糸分裂中の複製を阻止し、一本鎖破壊を誘導することによりDNAを損傷させ、且つ結果的にアポトーシスをもたらす。一部のPBDはまた、DNAの特異的配列を認識し、それに結合する能力を有する。PBDは、一般構造が
【化3】
である。
【0028】
PBDは、置換基の数、種類、及び位置が、それらの芳香族A環及びピロロC環の双方が、またC環の飽和度が異なる。B環では、アルキル化DNAに関与する求電子性中心である、N10~C11位にイミン(N=C)、カルビノールアミン(NH-CH(OH))、又はカルビノールアミンメチルエーテル(NH-CH(OMe))のいずれかが存在する。公知の天然産物のすべてが、C環からA環の方に向かって右巻きねじれをもたらす、キラルC11a位に(S)-立体配置を有する。この特徴はまた、B型DNAの小溝に対してイソらせん性(isohelicity)になるための適切な三次元形状をPBDに与え、結合部位での整然とした一致をもたらす(Kohn,In:Antibiotics III.Springer-Verlag,New York,pp.3-11(1975);及びHurley and Needham-VanDevanter,Acc.Chem.Res.,19:230-237(1986))。PBDは、小溝内に付加物を形成し、DNAプロセシングへの干渉をもたらしうる。
【0029】
最初のPBD抗腫瘍抗生物質アントラマイシンは、1965年に発見された(Leimgruber et al.,J.Am.Chem.Soc.,87:5793-5795(1965);Leimgruber et al.,J.Am.Chem.Soc.,87:5791-5793(1965))。それ以降、いくつかの天然に存在するPBDが報告されており、種々の類似体において10を超える合成経路が開発されている(Thurston et al.,Chem.Rev.,433-465(1994);及びAntonow,D.and Thurston,D.E.,Chem.Rev.,111:2815-2864(2011))。ファミリーメンバーは、アベイマイシン(Hochlowski et al.,J.Antibiotics,40:145-148(1987))、チカマイシン(Konishi et al.,J.Antibiotics,37:200-206(1984))、DC-81(日本特許第58180487号公報;Thurston et al.,Chem.Brit.,26:767-772(1990);及びBose et al.,Tetrahedron,48:751-758(1992))、マゼトラマイシン(Kuminoto et al.,J.Antibiotics,33:665-667(1980))、ネオトラマイシンA及びB(Takeuchi et al.,J.Antibiotics,29:93-96(1976))、ポロトラマイシン(Tsunakawa et al.,J.Antibiotics,41:1366-1373(1988))、プロトラカルシン(Shimizu et al.,J.Antibiotics,29:2492-2503(1982);及びLangley and Thurston,J.Org.Chem.,52:91-97(1987))、シバノマイシン(DC-102)(Hara et al.,J.Antibiotics,41:702-704(1988);及びItoh et al.,J.Antibiotics,41:1281-1284(1988))、シビロマイシン(Leber et al.,J.Am.Chem.Soc.,110:2992-2993(1988))、及びトママイシン(Arima et al.,J.Antibiotics,25:437-444(1972))を含む。PBDとともに、PBDを含むADCについても、国際特許出願公開番号として国際公開第2015/155345号パンフレット及び国際公開第2015/157592号パンフレットに記載されている。
【0030】
一実施形態では、PBDは、PBD3249であり(本明細書中で「SG3249」とも称される)、国際公開第2014/057074号パンフレット中で詳述され、以下の構造:
【化4】
を有する。
【0031】
別の実施形態では、PBDは、PBD3315であり(本明細書中で「SG3315」とも称される)、国際公開第2015/052322号パンフレット中で詳述され、以下の構造:
【化5】
を有する。
【0032】
別の実施形態では、PBDは、SG3400であり(化合物23とも称される)、2017年2月10日に出願された国際出願PCT/EP2017/052988号明細書中で詳述され、以下の構造:
【化6】
を有する。
【0033】
BCMAモノクローナル抗体、又はその抗原結合断片は、部位特異的又は非部位特異的なコンジュゲーション方法を含む当該技術分野で公知の任意の好適な方法を用いて、細胞毒にコンジュゲートされてもよい。抗体に対する通常のコンジュゲーション方法は、典型的には、ペイロードを抗体、その抗原結合断片に、リジン又はシステインを通じて無作為に(即ち非特異的に)コンジュゲートすることに依存する。したがって、いくつかの態様では、抗体又はその抗原結合断片は、例えば抗体又は抗体断片の部分的還元により、無作為に細胞傷害性薬物にコンジュゲートされ、その後、所望される薬剤との反応が付着されるリンカー部分の存在下又は不在下でなされる。例えば、抗体又はその抗原結合断片は、ジチオトレイトール(DTT,)又は類似の還元剤を用いて還元されてもよい。次に、細胞傷害性薬物は、それに付着されるリンカー部分の存在下又は不在下で、ジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下で還元された抗体又は抗体断片に過剰なモルで添加されうる。コンジュゲーション後、未反応の薬剤をクエンチするため、過剰な遊離システインが添加されてもよい。次に、反応混合物は、精製され、リン酸緩衝食塩水(PBS)に緩衝液交換されてもよい。
【0034】
他の実施形態では、細胞傷害性薬物は、特定の反応性アミノ酸残基で部位特異的なコンジュゲーション方法を用いてBCMAモノクローナル抗体にコンジュゲートされることで、均一な化学量論を有する均一なADC製剤を得てもよい。部位特異的なコンジュゲーションは、システイン残基又は非天然アミノ酸を通じてもよい。一実施形態では、細胞傷害性薬物は、少なくとも1つのシステイン残基を通じて、抗体、又はその抗原結合断片にコンジュゲートされてもよい。特に、例えば、細胞傷害性薬物は、BCMAモノクローナル抗体のFc領域内の特定のKabat位置でのアミノ酸の側鎖に化学的にコンジュゲートされてもよい。これに関連して、細胞傷害性薬物は、抗体のFc領域内の任意の好適な位置でのシステイン残基、例えば限定はされないが、239、248、254、273、279、282、284、286、287、289、297、298、312、324、326、330、335、337、339、350、355、356、359、360、361、375、383、384、389、398、400、413、415、418、422、440、441、442、443及び446位の少なくとも1つでのシステインを通じて、BCMAモノクローナル抗体にコンジュゲートされてもよく、ここで付番はKabatにおけるEUインデックスに対応する。一実施形態では、細胞傷害性薬物は、BCMAモノクローナル抗体の特定のKabat位置239及び/若しくは442でのシステイン残基を通じて、且つ/又はBCMA抗体のKabat位置239及び240間に挿入されたアミノ酸残基を通じて、BCMAモノクローナル抗体にコンジュゲートされてもよい(Dimasi et al.,Mol Pharm,14(5):1501-1516(2017)。或いは、細胞傷害性薬物は、チオール-マレイミド結合を通じて、例えばヒンジ及び重鎖-軽鎖でのスルフヒドリル反応基を介して、BCMAモノクローナル抗体又はその抗原結合断片にコンジュゲートされてもよい。
【0035】
本明細書に記載のBCMAモノクローナル抗体は、それにコンジュゲートされた少なくとも1つの細胞毒分子を含むが、所望される治療効果を達成するため、BCMAモノクローナル抗体は、それにコンジュゲートされた任意の好適な数の細胞毒分子(例えば、1、2、3、4、又はそれ以上の細胞毒分子)を含んでもよい。望ましくは、本明細書に記載のADCは、BCMAモノクローナル抗体にコンジュゲートされた2つの細胞毒分子を含む。
【0036】
本明細書に記載のBCMA抗体は、BCMAを標的にすることが望ましい場合の任意の治療法、例えば、養子細胞移入(ACT)、二重特異性T細胞誘導(BiTE)、及びナノ粒子にとって有用である。一実施形態では、本開示は、T細胞活性化部分に連結された本明細書に記載のBCMAモノクローナル抗体の抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。「キメラ抗原受容体(CAR)」は、T細胞シグナル伝達又はT細胞活性化部分に連結された抗体の抗原結合ドメイン(例えば一本鎖可変断片(scFv))を有する人工的に構築されたハイブリッドタンパク質又はポリペプチドである。CAR構造は、直近の20年にわたり、最も一般的にはモノクローナル抗体(mAb)由来の一本鎖可変断片(scFv)及びTCRζ鎖からのシグナル伝達モチーフを組み込むように進化している(「第1世代」CARと称される(例えば、Okur,F.V.,Brenner,M.K.,Methods Mol.Biol.,651:319-45(2010);及びLee et al.,Clin.Cancer.Res.,18(10):2780-2790(2012)を参照)。より最近では、例えば、CD28、4-1BB(CD137)、及び/又はCD134(OX-40)からの1つ(「第2世代」)又は2つ(「第3世代」)の同時刺激活性化モチーフを組み込んだ第2及び第3世代のCARが開発されており、それらは、増殖、細胞傷害性、及び持続性をインビボで増強する(例えば、Finney et al.,J.Immunol.,172:104-13(2004);Imai et al.,Leukemia,18:676-84(2004);Maher et al.,Nat Biotechnol.,20:70-5(2002);Milone et al.,Mol Ther.,17:1453-64(2009);及びLee et al.,上記を参照)。
【0037】
CARの抗原結合ドメインは、本明細書に記載の通り、全モノクローナル抗体又はモノクローナル抗体断片を含んでもよい。一実施形態では、CARの抗原結合ドメインは、抗BCMAモノクローナル抗体の一本鎖Fv(scFv)断片を含んでもよい。キメラ抗原受容体及びCARを作製するための方法は、例えば、Riviere,I.and M.Sadelain,Mol.Ther.,25(5):1117-1124(2017);Davila,M.L.and M.Sadelain,Int.J.Hematol.,104(1):6-17(2016);及び米国特許出願公開第2015/0051266A1号明細書にさらに記載されている。
【0038】
本開示はまた、上記の抗体又は抗体薬剤コンジュゲート及び薬学的に許容できる(例えば生理学的に許容できる)担体を含む組成物を提供する。当該技術分野で公知の任意の好適な担体は、本発明と関連する範囲内で使用可能である。担体の選択は、部分的には、組成物が投与されてもよい特定部位、及び組成物を投与するために用いられる特定の方法により判定されることになる。組成物は、任意選択的には無菌状態であってもよい。組成物は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,PA(2001)に記載される通常の技術に従って作製されうる。
【0039】
組成物は、望ましくは、抗体又は抗体薬剤コンジュゲートを、多発性骨髄腫を治療又は予防するのに有効な量で含む。したがって、本開示は、多発性骨髄腫細胞を殺滅する方法であって、BCMAを発現する多発性骨髄腫細胞を、本明細書に記載の抗体若しくは抗体薬剤コンジュゲート、又は本明細書に記載の抗体若しくはADCを含む組成物と接触させ、それにより抗体又は抗体薬剤コンジュゲートが多発性骨髄腫細胞上のBCMAに結合し、多発性骨髄腫細胞を殺滅する、方法を提供する。本開示はまた、多発性骨髄腫を治療するための薬剤の作製における、本明細書に記載の抗体若しくはADC、又は抗体若しくはADCを含む組成物の使用を提供する。本明細書で考察される通り、形質細胞骨髄腫又はカーレル病としても知られる多発性骨髄腫は、通常は抗体の産生に関与する白血球の一種である形質細胞のがんである(Raab et al.,Lancet,374:324-329(2009))。多発性骨髄腫は、1年間で100,000人あたり1~4人が罹患する。疾患は、男性でより一般的であり、いまだ未知の理由から、アフリカ系アメリカ人では、コーカサス系アメリカ人の2倍の頻度で一般的である。多発性骨髄腫は、極めてまれな血液悪性腫瘍(14%)であり、すべてのがんの1%を構成する(Raab et al.,上記)。多発性骨髄腫の治療は、典型的には高用量化学療法とその後の造血幹細胞移植(同種又は自家)を含むが、かかる治療を受けている多発性骨髄腫患者では、高頻度の再発が一般的である。上で考察したように、BCMAは、多発性骨髄腫細胞により高度に発現される(例えば、Novak et al.,上記;Neri et al.,上記;Bellucci et al.,上記;及びMoreaux et al.,上記を参照)。
【0040】
本明細書中に示されるように、BCMAはまた、多発性骨髄腫幹細胞で発現される。そのように、本開示は、多発性骨髄腫幹細胞を殺滅する方法であって、BCMAを発現する多発性骨髄腫幹細胞を、本明細書に記載の抗体薬剤コンジュゲート、又は本明細書に記載のADCを含む組成物と接触させ、それにより抗体薬剤コンジュゲートが多発性骨髄腫幹細胞上のBCMAに結合し、多発性骨髄腫幹細胞を殺滅する、方法を提供する。多発性骨髄腫幹細胞は、多発性骨髄腫患者の骨髄において、CD19のそれらの表面発現及びCD138表面発現の欠如により同定可能である(例えば、Matsui et al.,Blood,103:2332-6(2004)を参照)。これらの細胞は、本質的にクローン原性であり、免疫不全マウスに生着する一方で、CD138+CD19-と規定される骨髄腫形質細胞は生着しない。多発性骨髄腫幹細胞はまた、現在の治療法に対して抵抗性である(Matsui et al.,Cancer Res.,68:190-7(2008))。
【0041】
本明細書に記載の抗体薬剤コンジュゲート、又は抗体薬剤コンジュゲートを含む組成物は、生体外、インビボ、又はインビトロでBCMAを発現する多発性骨髄腫細胞の集団と接触されてもよい。「生体外」は、天然状態の変更を最小にした生物外部の人工的環境下で、細胞又は組織の内部又は表面で実施される方法を指す。それに対し、用語「インビボ」は、生体内で、その正常なインタクトな状態で実施される方法を指す一方で、「インビトロ」方法は、通常の生物学的状況から単離されている生物の成分を用いて実施される。一実施形態では、多発性骨髄腫細胞は、本明細書に記載のADC、又はADCを含む組成物とインビボで接触されるヒト多発性骨髄腫細胞である。
【0042】
本明細書で用いられるとき、用語「治療」、「治療する」などは、所望される薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指す。好ましくは、効果は、治療的である、即ち、効果は、疾患及び/又は疾患に起因し得る有害症状を部分的に又は完全に治癒させる。この目的のため、本発明の方法は、「治療有効量」の抗体若しくはADC又は抗体若しくはADCを含む組成物及び薬学的に許容できる担体を投与することを含む。「治療有効量」は、所望される治療的結果を達成するための、必要な用量及び期間での有効な量を指す。治療有効量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重、並びに個体における所望される応答を誘発する抗体若しくはADCの能力などの要素に応じて変化してもよい。例えば、本発明のADCの治療有効量は、多発性骨髄腫細胞上のBCMAに結合し、それらを破壊するする量である。
【0043】
或いは、薬理学的及び/又は生理学的効果は、予防的であってもよい、即ち、効果は、疾患又はその症状を完全に又は部分的に予防する。これに関連して、本発明の方法は、「予防有効量」のADC又はADCを含む組成物を、多発性骨髄腫になりやすい哺乳動物に投与することを含む。「予防有効量」は、所望される予防的結果(例えば疾患発症の予防)を達成するための、必要な用量及び期間での有効な量を指す。
【0044】
治療的又は予防的有効性は、治療患者の定期的評価により監視されうる。一実施形態では、本明細書に記載のADCは、BCMAを発現する骨髄腫細胞の増殖を少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約100%)阻害又は抑制する。細胞増殖は、当該技術分野で公知の任意の好適な方法を用いて測定可能であり、例えば標識ヌクレオシド(例えば、3H-チミジン又はブロモデオキシウリジンBrd(U))のゲノムDNAへの組み込みの測定が挙げられる(例えば、Madhavan,H.N.,J.Stem Cells Regen.Med.,3(1):12-14(2007)を参照)。
【0045】
本明細書に記載の抗体若しくはADC、又は抗体若しくはADCを含む組成物は、例えば、静脈内、腹腔内、皮下を含む標準的な投与技術を用いて哺乳動物(例えばヒト)に投与可能である。より好ましくは、抗体若しくはADC又はそれを含有する組成物は、静脈内注射により哺乳動物に投与される。
【0046】
本明細書に記載の抗体若しくはADC、又は抗体若しくはADCを含む組成物は、哺乳動物に同時投与可能である、1以上の追加的な治療薬とともに投与されうる。用語「同時投与する」は、本明細書で用いられるとき、1以上の追加的な治療薬及び本明細書に記載の抗体若しくはADC、又は抗体若しくはADC含有組成物を、抗体若しくはADCが1以上の追加的な治療薬の効果を増強しうる、又はその逆であるような十分に短い時間内に投与することを指す。これに関連して、抗体若しくはADC又はそれを含有する組成物が最初に投与され、且つ1以上の追加的な治療薬が2番目に投与されてもよい、又はその逆でもよい。例えば、多発性骨髄腫の治療又は予防のため、抗体若しくはADC又はそれを含有する組成物が、他の薬剤(例えばアジュバントとして)と組み合わせて投与されてもよい。これに関連して、抗体若しくはADC又は抗体若しくはADC含有組成物は、少なくとも1つの他の抗がん剤、例えば、当該技術分野で公知の任意の好適な化学療法剤、イオン化放射線、小分子抗がん剤、癌ワクチン、生物学的治療薬(例えば、他のモノクローナル抗体、がん殺傷ウイルス(cancer-killing viruses)、遺伝子療法剤、及び養子T細胞移入)、及び/又は手術と併用可能である。
【0047】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然ながら、決してその範囲を限定するように解釈されるべきでない。
【実施例】
【0048】
実施例1
本実施例は、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的なモノクローナル抗体の産生について記述する。
【0049】
Kilpatrick et al.,Hybridoma,16(4):381-389(1997)に記載のRIMMS免疫化レジームに従い、6週齢雌Ablexisトランスジェニックマウス(Ablexis,LLC,San Francisco,CA)は、精製組換えヒト(rHu) BCMA-Fc単独の皮下注射6回(キャンペーン1)、又はrHu BCMA-FcとカニクイザルBCMA-Fc(Cyno BCMA-Fc)の双方又はHu BCMA若しくはCyno BCMAのいずれかを発現する接着性293細胞(Ad293)による交互免疫(キャンペーン2)を複数部位で受けた。マウスは、2~3日間隔で13日間にわたり免疫した。免疫の各回において、まずマウスをイソフルランで麻酔した。免疫原を完全又は不完全フロイントアジュバント及びTITERMAX(登録商標)Goldアジュバント(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)中で乳化し、複数部位で両側性に注射した。試験出血を13日目に収集し、ヒト及びカニクイザルBCMAを発現する接着性293細胞に対する抗原ELISA及びFACS結合にてアッセイした。良好な血清力価を有するマウスに、前融合追加免疫を腹腔内投与し、17日目に屠殺した。リンパ節細胞を収集し、ポリエチレングリコール融合法(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)に従って骨髄腫細胞株P3-X63-Ag8.653に融合し、安定なハイブリドーマを作製した。
【0050】
抗BCMAに特異的なハイブリドーマを、BCMAを発現するAd293細胞に対する直接結合ELISA、その後のFACSにてハイブリドーマ上清をスクリーニングすることにより同定した。陽性ハイブリドーマを、インビトロでNCI-H929多発性骨髄腫細胞に対して結合、内部移行、及び殺滅するそれらの能力について、二次サポリンコンジュゲートFab-ZAP(Advanced Targeting Systems,San Diego,CA,IT-48)を用いて、また細胞株で発現される内因性BCMAに対するFACS結合により、さらに試験した。次に、内部移行及び細胞殺傷効力に基づき、ハイブリドーマを限界希釈法でクローン化し、拡大し、抗体精製及び可変領域の遺伝子救済を意図した。
【0051】
第1のキャンペーンから、44のヒト専用結合剤、並びに4つのヒト及びカニクイザル交差反応性結合剤のパネルが得られた。次に、これら48の抗体を、BCMAを発現する接着性293細胞及び内因性huBCMAを発現するNCI-H929細胞株で、FACSによりさらに試験した。25のハイブリドーマ系統のリードパネルを、抗体を内因性ヒトBCMAへの最良の結合により順位付けすることにより同定した。全部で11のハイブリドーマをサブクローニング、スケールアップ、配列決定、及び精製に進めた。クローンもまた、Fab Zapに基づく殺滅について評価した。さらなる評価のため、1つの抗体(クローン4679)を、ヒトIgG1として組換え的にクローニングした。
【0052】
第2のキャンペーンから、rHu/Cyno BCMA-Fcでの免疫用の98の結合剤、rHu/Cyno BCMA-Fc及びCyno BCMAを発現するAd293細胞での免疫用の9つの結合剤、並びにHu及びCyno BCMA双方を発現するAd293細胞での免疫用の0の結合剤のパネルが得られた。これらのハイブリドーマを、TACI及びBAFF-Rへの結合についてFACSによりさらに試験し、TACI及びBAFF-Rに対して何らかの検出可能な結合性を示す抗体を除去した。Fab Zapアッセイに伴うこれらの二次スクリーンから、限界希釈クローニング(LDC)において前進した8つのハイブリドーマの同定が得られた。さらなる評価のため、それらの活性に基づき、次に2つのクローン(クローン756及び15B2)をヒトIgG1に変換した。
【0053】
抗体4679、756、及び15B2GL(下記の通り)をFACSにより分析し、抗体のヒトBCMA、カニクイザルBCMA、TACI、及びBAFF-Rへの結合を、Ad293細胞上で安定的に発現される受容体の組換え形態を用いて評価した。結合アッセイを、抗体4679、756、及び15B2GLを200,000個の細胞とともに4℃で45分間インキュベートし、次いでPBS+2%FBSで2回洗浄することにより実施した。次に、細胞をAlexa-Flour 647標識二次抗体とともに4℃でインキュベートし、次いでPBS+2%FBSで2回洗浄した。抗BAFF-R、抗TACI、及び抗ヒトBCMA-APC標識抗体を、対照ウェルにおける製造業者推奨の希釈法に従って添加した。細胞を200uLのPBS+2%FBS+DAPIに再懸濁し、Becton Dickinson Biosciences LSRII血球計数器を用いて、生細胞に結合する抗体を分析した。抗体15B2GLは、
図1に示す通り、BAFF-R及び/又はTACIに結合しない試験対象で唯一のカニクイザル交差反応性抗体であった。
【0054】
15B2における4つの非生殖系列化残基を突然変異させるように設計したプライマーを用いて、15B2モノクローナル抗体を生殖系列形態(15B2GL)に突然変異させた。15B2野生型DNAをQuikChange Lightning mutagenesis用の鋳型DNAとして用いた(Agilent Genomics,Santa Clara,CA)。STBIII細胞(Invitrogen/Thermofisher Scientific,Waltham,MA)を形質転換用に用いた。配列検証後、BCMA結合及び動力学アッセイを実施し、15B2GL及び15B2WTの結合を比較し、15B2GLのリード最適化(LO)クローンの集団を作製した。つまり、15B2を細菌発現用に設計したFAb発現ベクターにクローン化した。重鎖中の27の残基及び軽鎖中の19の残基を各々、19の異なるアミノ酸からのシステイン除去を可能にするように設計したプライマーを用いて、節約的に突然変異させた。QuikChange Lightning Mutagenesisキット(Agilent Genomics,Santa Clara,CA)を用いて、突然変異誘発を実施した。
【0055】
約100のコロニー/位を、全部で6000クローンについて結合ELISAによりスクリーニングした。ELISA結合は、低密度のヒトBCMAを捕捉し、細菌発現の48時間後の細菌上清を用いることにより測定した。ヒットは、15B2GL対照を2倍超で上回るものと定義した。個別のアミノ酸ヒットを、カニクイザルBCMAに対するELISAにより確認し、非特異的タンパク質に対する結合が認められなかった。次に、簡素なスクリーンからの同定されたヒットをプライマー設計用に組み合わせ、コンビナトリアルライブラリーを作成した。ELISA結合による上記FAbスクリーニング手法を、親鋳型及びELISA対照としての15B2GLを用いたコンビナトリアルライブラリーとして反復させた。次に、コンビナトリアルスクリーニング後に同定したヒットを、ADCコンジュゲーション用に設計したIgG哺乳動物発現ベクター(「Maia」)にクローン化した。さらなる試験のため、タンパク質を293HEK細胞において発現させ、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。
【0056】
15B2GL抗体及び15B2GLのLOクローンがインビトロでH929多発性骨髄腫細胞に対して結合、内部移行、及び殺滅する能力を、Fab-ZAPを用いて、且つ上記のような細胞株に発現される内因性BCMAへのFACS結合により評価した。つまり、抗体を200,000個の細胞とともに4℃で30分間インキュベートし、次いでPBS+2%FBSで2回洗浄した。細胞を100uLの低温PBS+2%FBSに再懸濁し、4℃で維持した。特定の時点で、細胞を洗浄し、加温RPMI+10%FBSに再懸濁し、37℃のインキュベーター(5%CO2)内に入れた。実験終了時、細胞を洗浄し、次にAlexa-Fluor 647標識二次抗体とともに4℃でインキュベートし、次いでPBS+2%FBSで2回洗浄した。細胞を200μLのPBS+2%FBS+DAPIに再懸濁し、Becton Dickinson Biosciences LSRII血球計数器を用いて、抗体の生細胞への結合を分析した。15B2GL抗体は、抗BCMA抗体J6M0(米国特許第9,273,141号明細書に記載)及びLO抗体と比較するとき、この方法により、固有の迅速な内部移行を示した。
【0057】
BCMA結合、動力学スクリーン(上で考察)、及び内部移行に基づき、モノクローナル抗体15B2GLを選択し、5つのLOクローン(即ち、I09、L15、P10、N22、及びM02)を、精製及び15B2GLとのコンジュゲーション用に選択した。
【0058】
モノクローナル抗体15B2(野生型及び生殖系列化)並びにLOクローンI09、L15、P10、N22、及びM02の重鎖及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列を表1に示す。
【0059】
【0060】
【0061】
本実施例の結果は、BCMAに特異的なモノクローナル抗体の産生を示す。
【0062】
実施例2
本実施例は、本開示に従って細胞毒にコンジュゲートされたBCMAモノクローナル抗体を含む抗体薬剤コンジュゲート(ADC)を産生する方法を示す。
【0063】
実施例1に記載の15B2GLモノクローナル抗体及び最適化クローンを、部位特異的コンジュゲーションを用いて、PBDペイロードSG3249にコンジュゲートした(Thompson et al.,J.Control Release,236:100-116(2016);Dimasi et al.Mol Pharm.2017 May 1;14(5):1501-1516)。具体的には、精製抗体を、PBS(pH7.2)、1mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)中の40モル過剰な還元剤TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)とともに37℃で3時間インキュベートした。インキュベーション後、還元剤を、10,000MWCO透析カセットを用いての4℃、PBS(pH7.2)、1mM EDTAでの2回透析により除去し、次いでデヒドロアスコルビン酸の20モル等価物とともに25℃で4時間インキュベートした。その後、10%(v/v)DMSO中の保存液からのPBDペイロードSG3249の8つの等価物を順次添加し、次いで穏やかに回転しながら室温で1時間インキュベートした。コンジュゲーション反応は、N-アセチルシステインの(SG3249にわたる)4モル等価物の添加によりクエンチした。
【0064】
コンジュゲーションプロセスは、8~10%の凝集体形成をもたらした。高分子凝集体、コンジュゲーション試薬、例えばシステインでクエンチしたSG3249などを、前述のようにセラミックハイドロキシアパタイトII型クロマトグラフィー(CHT)を用いて除去した(Thompson et al.,J.Control Release,236:100-116(2016))。部位特異的なADCを25mMのヒスチジン-HCl、7%スクロース、0.02%ポリソルベート-80(pH6)中で配合した。
【0065】
単量体含量、凝集体、及び断片を測定するため、TSKgel G3000WXLカラム(Tosoh Bioscience、東京、日本)に負荷した100μg(100μLの体積)の抗体若しくはADCを用いて、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC-HPLC)を実施した。移動相は、0.1M硫酸ナトリウム、0.1Mリン酸ナトリウム、及び10%イソプロパノール(pH6.8)から構成された。流速は1mL/分であり、且つ各分析は、室温で20分間実施した。疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC-HPLC)を、コンジュゲーション及び薬剤負荷分布を評価するために用い、ブチル-非多孔質樹脂(NPR)カラム(4.6μmID×3.5cm、2.5μm、Tosoh Bioscience)を用いて実施した。移動相Aは、25mMトリス-HCl、1.5M(NH4)2SO4(pH8.0)から構成され;且つ移動相Bは、25mMトリス-HCl及び5%イソプロパノール(pH8.0)から構成された。1mg/mLの濃度での100μLの抗体若しくはADCを負荷し、13分にわたる5%B~100%Bの勾配を用いて、1mL/分の流速で溶出させた。還元逆相クロマトグラフィー(rRP-HPLC)を用いて、鎖特異的コンジュゲーションを確認した。抗体及びADCは、PBS(pH7.2)中42mMジチオトレイトール(DTT)を用いて、37℃で20分間還元された。10μgの還元された抗体若しくはADCを、ポリマー逆相媒体(PLRP-S)1000Aカラム(2.1×50mm)(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)に負荷し、25分にわたる5%B~100%Bの勾配を用いて、1mL/分の流速、80℃で溶出させた(移動相A:水中、0.1%トリフルオロ酢酸;移動相B:アセトニトリル中、0.1%トリフルオロ酢酸)。
【0066】
重鎖及び軽鎖でのコンジュゲーション並びに薬剤:抗体比(DAR)は、還元液体クロマトグラフィー質量分析(rLCMS)をAgilent 6230TOF(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)に共役されたAgilent 1290シリーズuHPLC上で実施することにより判定した。2μgの還元された抗体若しくはADCを、ZORBAXラピッドレゾリューションhigh definition(RRHD)の300-ジフェニルカラム(2.1×50mm、1.8μm)(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)に負荷し、2.1分後の80%Bの階段状勾配を用いて、0.5mL/分の流速で溶出させた(移動相A:水中の0.1%ギ酸、及び移動相B:アセトニトリル中の0.1%ギ酸)。正飛行時間型質量分析走査を得て、MassHunterソフトウェア(Agilent Technologies,Santa Clara,CA)を用いて、データの収集及び加工を実施した。Thompson et al.,上記に記載のように、rLCMSデータを用いて、DARを算出した。
【0067】
コンジュゲーションの効率を、以下の方程式(2の理論上のDARを用いる)を用いて判定した。
【数1】
試験抗体のコンジュゲーション効率及びDARを表2に示す。
【0068】
【0069】
本実施例の結果は、本開示に従ってピロロベンゾジアゼピンにコンジュゲートされたBCMAモノクローナル抗体を含むADCの産生を示す。
【0070】
実施例3
本実施例は、本明細書に記載のモノクローナルBCMA抗体の単量体(可溶性)及び膜結合BCMAに対する結合親和性を示す。
【0071】
15B2GLモノクローナル抗体及び最適化クローンI09、L15、P10、N22、及びM02(実施例1に記載)の結合を、ProteOn XPR36装置(Bio-Rad,Hercules,CA)を用い、単量体ヒトsBCMA(GenScript,Piscataway,NJ)を用いて評価した。比較用にJ6M0の結合についても評価した。標準アミンカップリングを用いて、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)中で調製した25μg/mlの抗Fcポリクローナル抗体(Jackson ImmunoResearch,West Grove,PA)を、20mM EDAC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)及び5mMスルホ-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド)で約200-600共鳴単位(RU)の密度で予備活性化したProteOn GLCバイオセンサーチップ(Bio-Rad,Hercules,CA)の表面に固定化した。引き続き、固定化された抗Fcポリクローナル抗体による捕捉のため、15B2GL、I09、L15、P10、N22、M02、及びJ6M0を1μg/mlの濃度で注射した。100~6.25nMの範囲の、0.005%(v/v)Tween-20を有するPBS(pH7.4)中で調製したsBCMAの2倍段階希釈物を、捕捉された表面上に75μL/分で150秒間流す(600秒の解離時間を伴う)ことにより、センサーグラムを記録した。ProteOnデータ分析ソフトウェアを用いて、データを分析した。
【0072】
この実験の結果を、
図13及び14並びに表3に示す。
【0073】
【0074】
15B2GL、I09、L15、及びJ6M0の膜結合ヒトBCMAへの結合を、BCMAを内因性に発現する多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞株(各々、NCI-H929及びMM.1S)において、フローサイトメトリーを用いて評価した。15B2GL、I09、L15の膜結合ヒトBCMAへの結合もまた、ヒトBCMAを発現するAd293細胞において評価した。結合アッセイを、抗BCMA抗体を200,000個の細胞とともに4℃で30分間インキュベートし、次いでPBS+2%FBS(FACS緩衝液)で2回洗浄することにより実施した。種々の抗体濃度を、12ポイントの3倍希釈系列を用いて評価した。次に、細胞を5ug/mLのヤギ抗ヒトIgG-AF647二次抗体(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)とともに4℃でインキュベートし、次いでPBS+2%FBSで2回洗浄した。細胞を200uLのPBS+2%FBS+DAPIに再懸濁した。
【0075】
生きた単細胞の蛍光を、BD Biosciences LSRII血球計数器及びBD FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences,San Jose,CA)を用いて測定した。FlowJoソフトウェア(FlowJo,LLC,Ashland,OR)を用いて、データを分析した。平均蛍光強度値を用いて、結合の百分率を判定し、Prismソフトウェア(GraphPad Software Inc,La Jolla,CA)を用いてEC50を決定した。この実験の結果を
図15に示す。SPR及びフローサイトメトリーの「見かけの親和性」データの概要を表4に示す。
【0076】
【0077】
本実施例の結果は、モノクローナル抗BCMA抗体15B2GLが、膜結合BCMAに強く、且つ単量体(可溶性)BCMAに弱く結合し、それはこれらアッセイにて分析した他のモノクローナル抗体と比べてユニークであることを示す。
【0078】
実施例4
本実施例は、本明細書に記載の抗体薬剤コンジュゲートを用いて、インビトロで多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞を殺滅する方法を示す。
【0079】
SG3249にコンジュゲートされた、15B2GL、又はその親和性最適化クローンを含む抗体薬剤コンジュゲートによる多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞株の殺滅を、CELLTITER-GLO(登録商標)キット(Promega,Madison,WI)にて推奨されるプロトコルを用いてインビトロで評価した。フリーウォーヘッド(free warhead)SG3199による多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞株の殺滅もまた、CELLTITER-GLO(登録商標)キット(Promega,Madison,WI)にて推奨されるプロトコルを用いて評価した。つまり、80μLのRPMI+10%FBS中の5×103個の細胞を、白色壁96ウェルプレート(Corning(登録商標)Costar(登録商標)、Fisher Scientific,Waltham,MA)の内部ウェルに添加した。以下のBCMA発現細胞株:NCI-H929、EJM、MM.1R.JJN3、OPM-2、MM.1S、U266.B1、及びL363を試験した。BMCA陰性細胞株Raji及びJurkatもまた試験した。抗体薬剤コンジュゲートを、RPMI+10%FBS中、5×ストック(2.5μg/mL)に希釈した。次に、処置物をRPMI+10%FBS中で1:3に連続希釈した。この系列20μLを細胞に二通りに添加し、最高濃度での0.5μg/mLから最低濃度での3×10-6μg/mLの範囲の、抗体薬剤コンジュゲートの12ポイント用量曲線を得た。アイソタイプ抗体薬剤コンジュゲート(IgG1-SG3249及びIgG1-mc-MMAF)及び培地のみの対照もまた含めた。プレートを37℃、5%CO2で96時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時、基質溶液(Promega,Madison WI)100μLを各ウェルに添加した。EnVision Multilabelプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham,MA)を用いて、発光を測定した。データを、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software,Inc.,La Jolla,CA)を用いて分析及びグラフ化し、50%阻害濃度(IC50)を判定した。
【0080】
各細胞株に対する染色体転座情報を、Moreaux et al,2011及びBoersma-Vreugdenhil et al,2004から取得した。BCMA受容体数を、AF647標識15B2(Alexa Fluor 647 Protein Labellingキット、Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)及びAlexa Fluor 647用Quantum(商標)MESFキット(Bangs Laboratories,Fishers,IN)を用いて測定した。
【0081】
【0082】
【0083】
15B2GL-SG3249 ADCの、I09-SG3249 ADCと比べての多発性骨髄腫細胞を可溶性BCMA(sBCMA)の存在下でインビトロで殺滅する能力は、試験対象の細胞株を、ヒトBCMAを発現するAd293細胞から収集したBCMA含有条件培地でも処置したこと以外では上記のプロトコルを用いて、MM.1S細胞において評価した(
図3A及び3B)。sBCMAの存在下での15B2GL-SG3249 ADC細胞の殺滅を、抗BCMA抗体J6M0を含むADCと比べた(米国特許第9,273,141号明細書に記載される)。この実験の結果を
図3に示し、それは、15B2GL-SG3249 ADC活性が、I09-SG3249(
図3A)、J6M0-mc-MMAF、及びJ6M0-SG3249 ADCよりも大きい程度までの臨床的に関連するレベルのsBCMAの存在下で維持されることを示す(
図3B及び表6)。
【0084】
【0085】
本実施例の結果は、15B2GL-SG3249 ADCが多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞をインビトロで殺滅し、且つ細胞殺滅活性が、可溶性BCMAの存在下であっても維持されることを示す。特に、15B2GL-SG3249 ADCは、MM.1SとNCI-H929の双方に対してインビトロで細胞傷害性があり、最大720ng/mLのレベルのsBCMAの存在下で平均で腫瘍細胞の95%を殺滅し、IC50に対する影響はほとんどなかった。単量体BCMAと膜結合BCMAとの間での類似の親和性を有する抗体から開発したADCは、効力においてsBCMA用量依存性の低下を示し、IC50が720ng/mLのsBCMAの存在下で20倍変化した。
【0086】
実施例5
本実施例は、多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞を、本明細書に記載の抗体薬剤コンジュゲートを用いてインビボで殺滅する方法を示す。
【0087】
多発性骨髄腫及び形質細胞白血病の皮下異種移植片マウスモデルを、BCMAを発現する多発性骨髄腫又は形質細胞白血病細胞株(即ち、NCI-H929、JJN-3、MM.1S、及びMM.1R)を、MATRIGEL(商標)(BD Biosciences,San Jose,CA)を用いて、雌CB-17 SCID(C.B-17/IcrHsd-Prkdc-scid)又は胸腺欠損ヌード(Foxn1nu)マウスに移植することにより作製した。一旦腫瘍が約180mm3(NCI-H929細胞)、190mm3(JJN3細胞)、160mm3(MM.1S細胞)、又は175mm3(MM.1R細胞)に達すると、マウスを腫瘍サイズに基づいて無作為化し、投与群に配置し、BCMA標的化ADCで処置した(下記の通り)。
【0088】
NCI-H929異種移植片モデル
マウスを、単回静脈内用量0.3mg/kgの15B2GL-SG3249、I09-SG3249、L15-SG3249 ADCのいずれかで処置するか、又はJ6M0-mc-MMAFを週あたり0.3mg/kgの用量で2週間、静脈内に投与した。対照マウスは、未処置のままであった。15B2GL-SG3249、I09-SG3249、及びL15-SG3249で処置したマウスを腫瘍移植後99日間観察したが、
図4に示す通り、腫瘍再増殖の証拠は認められなかった。投与群のいずれにおいても体重減少は認められなかった。
【0089】
JJN3異種移植片モデル
マウスを、単回静脈内用量1mg/kgの15B2GL-SG3249、I09-SG3249、及びL15-SG3249 ADCのいずれかで処置するか、又はJ6M0-mc-MMAF ADCを週あたり1mg/kgの用量で3週間、静脈内に投与した。対照マウスは、未処置のままであった。15B2GL-SG3249、I09-SG3249、及びL15-SG3249で処置したマウスを腫瘍移植後104日間観察したが、
図5に示す通り、腫瘍再増殖の証拠は認められなかった。投与群のいずれにおいても体重減少は認められなかった。
【0090】
MM.1S異種移植片モデル
マウスを、単回静脈内用量1mg/kgの15B2GL-SG3249、I09-SG3249、L15-SG3249 ADCのいずれかで処置するか、又はJ6M0-mc-MMAFを週2回、1mg/kgの用量で4週間、静脈内に投与した。対照マウスは、未処置のままであった。15B2GL-SG3249、I09-SG3249、及びL15-SG3249で処置したマウスを腫瘍移植後99日間観察したが、
図6に示す通り、腫瘍再増殖の証拠は認められなかった。投与群のいずれにおいても体重減少は認められなかった。
【0091】
MM.1R異種移植片モデル
マウスを、単回静脈内用量1mg/kgの15B2GL-SG3249で処置するか、又はJ6M0-mc-MMAFを週あたり3mg/kgの用量で4週間、静脈内に投与した。対照マウスは、未処置のままであった。15B2GL-SG3249で処置したマウスを腫瘍移植後109日間観察したが、
図7に示す通り、腫瘍再増殖の証拠は認められなかった。投与群のいずれにおいても体重減少は認められなかった。
【0092】
本実施例の結果は、15B2GL-SG3249 ADCが、BCMA発現細胞を標的にする他のADCと比べて、インビボで抗腫瘍有効性の増強を示すことを示す。
【0093】
実施例6
本実施例は、多発性骨髄腫幹細胞がBCMAを発現することを示す。
【0094】
多発性骨髄腫(MM)患者の骨髄は、患者の骨髄において、CD19のそれらの表面発現やCD138表面発現の欠如により同定可能ながん幹細胞(CSC)の小集団を含有する(Matsui et al.,Blood,103:2332-6(2004))。
【0095】
BCMA発現は、4つの多発性骨髄腫患者試料の幹細胞集団上でフローサイトメトリーにより評価した。試料は、Proteogenex,Inc.(Culver City,CA)から入手し(表7を参照)、個体の多発性骨髄腫(MM)試料を37℃の水槽内で解凍した。
【0096】
【0097】
解凍した細胞をPBS10mLに添加し、ViCELL(商標)カウンタ(Beckmann-Coulter Life Sciences,Indianapolis,IN)を用いて計数した。コロニー形成アッセイのため、一定分量の細胞懸濁液を調製した一方で、細胞懸濁液の残りを低速で遠心分離し、細胞をペレット化した。細胞を製造業者の使用説明書に従ってFcブロッキングし、次に96ウェルプレート内に200,000細胞/ウェルで蒔いた。プレートを遠心分離し、細胞をペレット化し、Fcブロッキング溶液をデカントし、細胞試料をBV染色緩衝液に再懸濁し、次いで市販の直接コンジュゲート抗体からなる適切な抗体パネルで染色したものを表8及び9に示す。
【0098】
【0099】
【0100】
さらに、コンペンセーションビーズを、試験抗体で個別に染色した。プレートを4℃の暗所で30分間インキュベートした。プレートを遠心分離し、細胞をDPBS+2%FBSで洗浄し、次いで200μLのDPBS+2%FBS+DAPIに再懸濁した。各ウェルからの細胞をBD LSRIIフローサイトメーター(BD Biosciences,SanJose,CA)上で評価し、FCSファイルを作成した。細胞の同定は、以下のゲーティング方法を用いて実施した。即ち、コンペンセーションビーズ及び単一の染色データを利用する、FlowJo(登録商標)10(FlowJo LLC,Ashland,OR)におけるauto comp matrixを用いてコンペンセーションを実施した。次に、FSC-A対SSC-Aプロットを通じてゲーティングした形質細胞を、DAPI対SSC-Wプロットを通じて生きた単細胞について選択した。次に、除外ゲートを用いて、CD3、CD14、CD34、及びCD193について陽性染色した細胞をBV-510対SSC-Aプロットを通じて除去した。次に、CD138-PE対CD19-APCプロットにおいて、この集団を分析した。CD19+/CD138-と規定したMM CSC集団、及びCD19-/CD138+と規定したMM形質細胞集団に対して、BCMA発現に対するヒストグラムを作成した。分析ゲートは、適切な蛍光マイナス1(FMO)対照に基づいて設定した。
図7に示す通り、すべての試料が、BCMA発現について陽性であるCD138+CD19-細胞を小さい百分率で示した。幹細胞集団に対するBCMA発現のレベルは、MM277を除き、形質細胞に対して認められたレベルと一般に同等であり、その場合、レベルは低下してもBCMA発現について依然として陽性であった。
【0101】
本実施例の結果は、BCMAが多発性骨髄腫がん幹細胞上で発現されることを示す。
【0102】
実施例7
本実施例は、15B2GL-SG3249抗体薬剤コンジュゲートが多発性骨髄腫幹細胞を殺滅することを示す。
【0103】
MM幹細胞がインビトロでコロニーを形成する能力があるとき(Matsui et al.,Blood,103:2332-6(2004))、ADC15B2GL-SG3249の、実施例2で特徴づけたMM骨髄生検におけるクローン原性細胞を殺滅する能力を試験した。特に、細胞を、ViCELL(商標)カウンタ(Beckmann-Coulter Life Sciences,Indianapolis,IN)を用いて計数し、IMDM+2%FBSに、プレーティング用に必要とされる密度よりも10倍高い密度で再懸濁した。METHOCULT(商標)H4434 Classic(StemCell Technologies,Inc.,Vancouver,BC,Canada)を、製造業者の使用説明書に従い、MM263、MM284、及びMM276について2000個の細胞/mLと、またMM277について4000個の細胞/mLと混合した。次に、25~400ng/mLの試験15B2GL-SG3249及びJ6M0-mc-MMAF ADCを、適切なチューブに添加した。対照IgG1-SG3249抗体は、400ng/mLの高用量のみで添加した。すべてのチューブを徹底的にボルテックス混合し、次に静置しておき、気泡が上面まで上昇できるようにした。一旦気泡が上昇したら、400μLを16ゲージの平滑末端針で除去し、24ウェルの極低付着プレート(VWR,Radnor,PA)の1ウェルに慎重に蒔いた。各処置物は、プレートの内部ウェルに二通りに蒔いた。PBSを外部ウェルに添加し、プレートを37℃で7~10日間インキュベートした。Celigo(登録商標)Image Cytometer(Nexcelom Biosciences,Lawrence,MA)上の走査プレートによるコロニー形成の記録とともに、コロニーを目視で計数した。
図8に示す通り、4つすべての場合に、15B2GL-SG3249は、クローン原性細胞を殺滅することができた一方で、J6M0-mc-MMAFはできなかった。試験した最高用量(400ng/mL)で、15B2GL-SG3249は、MM263及びMM284についてコロニーの100%を、またMM276及びMM277については各々コロニーの87.5%及び91%を殺滅することができた。それに対し、400ng/mLのJ6M0-mc-MMAFは、MM263について形成されたコロニーの数を低減せず、MM276、MM277、及びMM284についてのコロニー形成において、各々、12.5%、40%、及び50%の減少をもたらすに過ぎなかった。
【0104】
本実施例の結果は、抗体薬剤コンジュゲート15B2GL-SG3249がBCMAを発現する多発性骨髄腫がん幹細胞を標的にし、殺滅することを示す。
【0105】
実施例8
本実施例は、多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞を、本明細書に記載の抗体薬剤コンジュゲートを用いてインビトロで殺滅する方法を示す。
【0106】
SG3400にコンジュゲートされた15B2GLを含む抗体薬剤コンジュゲートによる多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞株の殺滅を、実施例4に記載のように、CELLTITER-GLO(登録商標)キット(Promega,Madison,WI)を用いてインビトロで評価した。以下のBCMAを発現する細胞株:NCI-H929、EJM、MM.1R.JJN3、OPM-2、MM.1S、U266.B1、及びL363を試験した。BMCA陰性細胞株Raji及びJurkatもまた試験した。抗体薬剤コンジュゲートを、RPMI+10%FBS中、5倍ストック(25μg/mL)に希釈した。次に、処置物をRPMI+10%FBS中で1:3に連続希釈した。この系列20μLを細胞に二通りに添加し、最高濃度での5μg/mLから最低濃度での2.8×10
-5μg/mLの範囲の、抗体薬剤コンジュゲートの12ポイント用量曲線を得た。アイソタイプ抗体薬剤コンジュゲート(IgG1-SG3400)及び培地専用対照もまた含めた。プレートを37℃、5%CO
2で96時間インキュベートした。インキュベーション期間の終了時、基質溶液(Promega,Madison WI)100μLを各ウェルに添加した。EnVision Multilabelプレートリーダー(Perkin Elmer,Waltham,MA)を用いて、発光を測定した。データを、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software,Inc.,La Jolla,CA)を用いて分析及びグラフ化した。この実験の結果を
図10A~10Jに示す。
【0107】
本実施例の結果は、15B2GL-SG3400 ADCが多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞をインビトロで殺滅することを示す
【0108】
実施例9
本実施例は、本明細書に記載の抗体薬剤コンジュゲートを用いて、多発性骨髄腫及び形質細胞白血病細胞をインビボで殺滅する方法を示す。
【0109】
BCMAを発現する多発性骨髄腫又は形質細胞白血病細胞株(即ち、NCI-H929及びMM.1S)をMATRIGEL(商標)(BD Biosciences,San Jose,CA)を用いて雌CB-17 SCID(C.B-17/IcrHsd-Prkdc-scid)マウスに移植することにより、多発性骨髄腫及び形質細胞白血病の皮下異種移植片マウスモデルを作製した。一旦腫瘍が約200mm3(NCI-H929細胞)又は180mm3(MM.1S細胞)に達すると、マウスを腫瘍サイズに基づいて無作為化し、投与群に配置し、BCMA標的化ADCで処置した(下記の通り)。
【0110】
NCI-H929異種移植片モデル
マウスを、単回静脈内用量1mg/kgのIgG1-SG3400若しくは0.3mg/kgの15B2GL-SG3400 ADCのいずれかで処置するか、又はJ6M0-SG3400を0.3mg/kg若しくは1mg/kgの単回用量で静脈内に投与した。対照マウスは、未処置のままであった。15B2GL-SG3400で処置したマウスを腫瘍移植後74日間観察したが、
図11に示す通り、腫瘍再増殖の証拠は認められなかった。投与群のいずれにおいても体重減少は認められなかった。
【0111】
MM.1S異種移植片モデル
マウスを、単回静脈内用量1mg/kg若しくは3mg/kgのIgG1-SG3400若しくは15B2GL-SG3400 ADCのいずれかで処置するか、又はJ6M0-SG3400を1mg/kg若しくは3mg/kgの用量で静脈内に投与した。対照マウスは、未処置のままであった。3mg/kgのJ6M0-SG3400で処置したマウスを腫瘍移植後85日間観察したが、
図12に示す通り、腫瘍再増殖の証拠は認められなかった。投与群のいずれにおいても体重減少は認められなかった。
【0112】
本実施例の結果は、15B2GL-SG3400 ADCがインビボで抗腫瘍有効性を呈することを示す。
【0113】
本実施例に記載のデータは、モノクローナル抗体15B2GLを含むADCが、MMの前臨床モデルにおいて強力な抗腫瘍活性を呈することを示す。重要なことに、インビトロ実験は、この活性がsBCMAの存在下で維持されることを示唆する。これらのデータは、強力なPBDペイロードを有する15B2GL-SG3249 ADCが、大部分の骨髄腫形質細胞と、この遺伝的に異質性の疾患におけるより耐久性のある臨床応答のための機会を提供することがある、より静止状態のCD19+/CD138-クローン原性細胞との双方を有効に標的にすることをさらに示す。
【0114】
本明細書に引用される出版物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献はここで、あたかも各参考文献が参照により援用されるように個別且つ具体的に示され、その全体が本明細書において示されたのと同程度まで参照により援用される。
【0115】
本発明の説明との関連での(特に以下の特許請求の範囲との関連での)用語「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ」並びに類似の参照対象の使用は、本明細書中に別段の指示がない、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の双方を包含するように解釈されるべきである。用語「少なくとも1つ」とそれに続く1以上の項目のリスト(例えば「A及びBの少なくとも1つ」)は、本明細書中に別段の指示がない、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、列挙項目(A又はB)又は列挙項目の2以上の任意の組み合わせ(A及びB)から選択される1つの項目を意味するように解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含む(containing)」は、特に断りのない限り、制限のない用語(即ち、「限定はされないが、~を含む」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中に別段の指示がない限り、あくまで範囲内に含まれる別々の各値を個別に参照する簡潔な表現方法として役立つことが意図され、別々の各値は、あたかも本明細書中で個別に列挙されたように、本明細書中に包含される。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書中に別段の指示がない、又は特に文脈上明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施されうる。ありとあらゆる例、又は本明細書に提供される例示的用語(例えば「など」)の使用は、特別に主張されない限り、あくまで本発明をより十分に明確化し、本発明の範囲に対して限定を設けないことが意図される。本明細書中で、いずれの特許請求されない要素も本発明の実施にとって不可欠なものとして示すように解釈されるべき用語はない。
【0116】
本発明を実施するための発明者にとって公知のベストモードを含む、本発明の好ましい実施形態が、本明細書に説明される。それら好ましい実施形態の変更は、前述の説明の通読時に、当業者にとって明白となってもよい。本発明者は、当業者がかかる変更を適宜利用することを想定し、また本発明者は、本発明が、本明細書で詳細に説明されるよりも異なって実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容される通り、本明細書に貼付される特許請求の範囲中で述べられる主題のあらゆる修飾及び均等物を含む。さらに、そのあらゆる考えられる変更における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書中に別段の指示がない、又は特に文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【配列表】