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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】振動絶縁システム
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/06 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
F16F15/06 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020529255
(86)(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018039272
(87)【国際公開番号】W WO2019108262
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】15/825,594
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チャン,エリック,イー-リー
(72)【発明者】
【氏名】フィエロ,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,カーク,エー.
(72)【発明者】
【氏名】スコット,リチャード,エル.
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-169830(JP,A)
【文献】実開平05-008073(JP,U)
【文献】国際公開第2018/075297(WO,A1)
【文献】米国特許第03727865(US,A)
【文献】米国特許第05310157(US,A)
【文献】特開2004-316931(JP,A)
【文献】特開平07-054918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動絶縁システムであって:
構造体に取り付けられるための構造体マウント;
機器を取り付けられるための機器マウント;及び
前記機器マウントを前記構造体マウントにともに結合するためのフレクシャ及び取付インターフェース;
を含み、
前記フレクシャは、互いに直交する方向に向けられた3対のフレクシャを含み、前記3対のフレクシャの各対は、前記取付インターフェースに取り付けられ、前記取付インターフェースの両側で互いに平行に配置された一対の平行フレクシャを含み、
前記取付インターフェースは、互いに移動可能な複数のインターフェース部品を含み、
前記インターフェース部品のうちの第1インターフェース部品の一部分は、前記インターフェース部品のうちの第2インターフェース部品内の1つ以上の孔を通過し、前記第1インターフェース部品の前記一部分の垂直方向の長さが前記第2インターフェース部品内の前記孔の垂直方向の長さよりも小さく、前記第1インターフェース部品と前記第2インターフェース部品との間の相対移動が可能であり、
前記3対のフレクシャのうちの一対の少なくとも1つの平行フレクシャが、前記構造体マウント又は前記機器マウントの一方に取り付けられ、
前記インターフェース部品のうちの一部分が、前記構造体マウント又は前記機器マウントの他方に取り付けられた、
振動絶縁システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記インターフェース部品は、少なくとも3個のインターフェース部品を含む、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、前記3対のフレクシャは、少なくとも数個のインターフェース部品を囲む平行六面体形状をともに形成する、システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のシステムであって、前記インターフェース部品の少なくとも数個が、前記インターフェース部品の移動を制限するストップとして作用する、システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のシステムであって、前記3対のフレクシャが:
垂直方向の追従を可能にする一対の垂直フレクシャ;
縦方向の追従を可能にする一対の縦方向フレクシャ;及び
横方向の追従を可能にする一対の横方向フレクシャ;
を含む、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムであって、前記インターフェース部品が:
一対の第1部品サイドパネルと、該第1部品サイドパネルを互いに接続する一対の中心ビームとを含む第1インターフェース部品;
一対の第2部品サイドパネルと、該第2部品サイドパネルを接続する中央スパンとを含む第2インターフェース部品;及び
開口部を囲み確定するフレームである第3インターフェース部品;
を含む、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、前記中心ビームは、前記中央スパン内の1つ以上の孔を通過する、システム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のシステムであって、前記第1部品サイドパネルが垂直サイドパネルである、システム。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかに記載のシステムであって、前記中央スパンが両縁部が傾斜した台形形状を有し、前記一対の第2部品サイドパネルの各々が前記中央スパンの各縁部に取り付けられた傾斜したサイドパネルである、システム。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載のシステムであって、前記3対のフレクシャの各対は、1つ以上の前記インターフェース部品に取り付けられる、システム。
【請求項11】
請求項5乃至10のいずれかに記載のシステムであって、前記縦方向の一対のフレクシャ及び前記横方向の一対のフレクシャが、主に曲げによって変形する、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記一対の垂直フレクシャは、主に曲げによって変形する、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムであって、さらに:
前記3対のフレクシャの少なくとも数個に取り付けられた追加的な減衰材料を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、振動絶縁システム、デバイス、及び方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
振動によって性能が劣化する可能性のある装置から振動源を分離するために、振動絶縁システムが種々の機構を使用してきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
振動絶縁システム(vibration isolation system)が、一対の平行なプレートフレクシャ(parallel plate flexure)を有し、各ペアのフレクシャは、単一の並進方向の追従(compliance)を可能にする。
【0004】
振動絶縁システムは、異なる方向に配向された3対の平行なプレートフレクシャを有する。これらの異なる方向は、互いに直交しても良い。
【0005】
振動絶縁システムは、数対の平行なプレートフレクシャを有し、各対のフレクシャはシステムの対向する外側端部にある。
【0006】
振動絶縁システムは、回転剛性を維持しながら、並進追従をもたらすように構成されたフレクシャを有する。
【0007】
振動絶縁システムは、平行なプレートフレクシャを有し、フレクシャは、フレクシャが取り付けられる取付部品を取り囲む。取付部品は、互いに相対的に移動する部品を含む。
【0008】
本発明の一態様によれば、振動絶縁システムは、構造体マウント; 機器マウント; 及び 前記機器マウントを前記構造体マウントにともに結合するためのフレクシャ及び取付インターフェース;を含む。前記フレクシャは、複数対のフレクシャを含み、前記フレクシャ対の各対は、前記取付インターフェースの対向する各側に平行フレクシャを含む。前記取付インターフェースは、互いに移動可能な複数のインターフェース部品を含む。
【0009】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記インターフェース部品のうちの一の部品の一部分は、前記インターフェース部品の他の部品を通過する。
【0010】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記インターフェース部品は、少なくとも3個のインターフェース部品を含む。
【0011】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記フレクシャの対は、3対のフレクシャを含み、前記フレクシャの対は、異なるそれぞれの方向に向けられる。
【0012】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記各方向は互いに直交する。
【0013】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記フレクシャは、前記インターフェース部品の少なくとも数個を取り囲む。
【0014】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記フレクシャは、前記少なくとも数個のインターフェース部品を囲む平行六面体形状をともに形成する。
【0015】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記インターフェース部品の少なくとも数個が、前記インターフェース部品の移動を制限するストップとして作用する。
【0016】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記フレクシャが: 垂直方向の追従を可能にする一対の垂直フレクシャ; 縦方向の追従を可能にする一対の縦方向フレクシャ;及び
横方向の追従を可能にする一対の横方向フレクシャ;を含む。
【0017】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記インターフェース部品が: 一対の第1部品サイドパネルと、該第1部品サイドパネルを互いに接続する一対の中心ビームとを含む第1インターフェース部品; 一対の第2部品サイドパネルと、該第2部品サイドパネルを接続する中央スパンとを含む第2インターフェース部品;及び 開口部を囲み確定するフレームである第3インターフェース部品;を含む。
【0018】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記中心ビームは、前記中央スパン内の1つ以上の孔を通過する。
【0019】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記第1部品サイドパネルが垂直サイドパネルである。
【0020】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記中央スパンが台形形状を有し、前記第2部品サイドパネルが前記中央スパンの縁部に取り付けられた傾斜サイドパネルである。
【0021】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記フレクシャの対の各々は、1つ以上の前記インターフェース部品に取り付けられる。
【0022】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記複数対のフレクシャのうちの一対が、前記構造体マウント又は前記機器マウントのいずれかに取り付けられる。
【0023】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、当該システムは、さらに前記フレクシャの少なくとも数個に取り付けられた追加的な減衰材料を備える。
【0024】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記縦方向のフレクシャが、主に曲げによって変形する。
【0025】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記横方向のフレクシャが、主に曲げによって変形する。
【0026】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記垂直フレクシャは、主に曲げによって変形する。
【0027】
本概要の任意の段落の実施形態によれば、前記垂直フレクシャは、引張状態に置かれることによって変形する。
【0028】
本システムの他の特徴に従えば、振動絶縁システムは: 構造体マウント; 機器マウント;及び 前記機器マウントを構造体マウントにともに結合するためのフレクシャ及び取付インターフェース;を含む。前記フレクシャは、複数対のフレクシャを含む。前記取付インターフェースは、互いに移動可能な複数のインターフェース部品を含む。前記複数のインターフェース部品のうちの一部品の一部分は、前記インターフェース部品のうちの他の部品を通過する。
【0029】
前述の及びこれに関連した目的を達成するために、本発明は、以下に詳細に記載されかつ特許請求の範囲に特に示された特徴を含んでいる。以下の記載及び添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に示している。しかしながら、これらの実施形態は、本発明の原理が使用され得る種々の方法のうちのいくつかを示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、図面を参照して、本発明の詳細な記載から明らかになるであろう。
【0030】
添付の図面は、必ずしも縮尺どおりではないが、本発明の種々の態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に従った、装置を構造体に結合する振動絶縁システムの概略図である。
図2図1のシステムの分解図である。
図3図1の振動絶縁システムの第1斜視図である。
図4図1の振動絶縁システムの一部を示す第2の斜視図である。
図5図1の振動絶縁システムの一部を示す第3の斜視図である。
図6図1の振動絶縁システムの一部を示す第4の斜視図である。
図7図1の振動絶縁システムの一部を示す第5の斜視図である。
図8図1の振動絶縁システムの一部を示す第6の斜視図である。
図9図1の振動絶縁システムの一部を示す第7の斜視図である。
図10図1の振動絶縁システムの端面図であり、横方向の振れを示す。
図11図1の振動絶縁システムの側面図であり、縦方向の振れを示す。
図12図1の振動絶縁システムの端面図であり、垂直方向の振れを示す。
図13図1の振動絶縁システムの適用例の1つである、タレットを有する従来技術の航空機の概略図である。
図14】本発明の代替実施形態である振動絶縁システムの一部である一対の取付部品の斜視図である。
図15】代替実施形態の振動絶縁システムの切断側面図である。
図16】代替実施形態の振動絶縁システムの切断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
振動絶縁装置(vibration isolation device)は、機器(equipment)を支持するフレームを構造体に結合するための、フレクシャと多部品式取付インターフェースとを含む。フレクシャは、3つの直交方向での動きを可能にし、3つの方向でのコンプライアンス及び/又は振動減衰(damp vibration)を可能にする3対のフレクシャを含んでもよい。フレクシャは、複数部品の取付インターフェースを取り囲んでもよく、インターフェースの一部は互いに相対的に移動するように構成される。取付インターフェースの部品の1つは、取付インターフェースの別の部品、例えば、1つのインターフェースの1つ以上の穴を通過する。この装置は、フレームに取り付けられた機器を、構造体で発生する振動の一部又は全部から絶縁することを可能にする。例示的な実施形態では、振動絶縁システムは、光学センサ又は装置を(例えば)航空機に取り付ける際に使用される。
【0033】
図1は、光学センサ又はデバイスなどの機器12を航空機などの構造体14に取り付けるために使用される振動絶縁システム10を概略的に示している。これは、システム10の特定の実施形態又は使用の一例であり、以下に説明するような振動絶縁システムは、異なる種類の機器、機器が取り付けられる異なる種類の構造体を含む状況、及び種々の振動源のいずれかから振動を減衰及び/又は絶縁する状況を含む、種々の状況のいずれかで使用可能であることが理解されよう。
【0034】
図2図9は、振動絶縁システム10のさらなる詳細を示す。システム10は、航空機の構造体(又は他の構造体)に取り付けるための構造体マウント22と、機器(例えば、光学センサ)が取り付けられる機器マウント24とを有する。振動絶縁システム10は、構造体中の少なくともいくらかの振動から機器を絶縁するなどの様々な目的のために、構造体マウント22と機器マウント24との間にある程度の振動絶縁を提供する。
【0035】
システム10は、一連のフレクシャ30と、複数部品の取付インターフェース34とを含む。図示された実施形態では、フレクシャ30は、3対のフレクシャを含み、各対は、一方向において絶縁を提供する。フレクシャ30は、横方向の追従及び/又は振動の改善(又は減衰)を提供する横方向のフレクシャ40及び42、縦方向の追従及び/又は振動の改善(又は減衰)を提供する縦方向のフレクシャ44及び46、及び垂直方向の追従及び/又は振動の改善(又は減衰)を提供する垂直方向のフレクシャ48及び50を含む。フレクシャ30は、取付インターフェース34(図5参照)と共に、3つの直交方向の全てにおいて振動絶縁を可能にする。フレクシャ30の一部又は全部は、例えば、追加の減衰材料を取り付けるための接着剤の使用によって、或いは追加の減衰材料のスプレー塗布によって、追加の減衰材料を取り付けることができる。適当な減衰材料は、非限定的な例として、チキソトロピックペースト(thixotropic paste)又は感圧接着剤を含むことができる。これに代えて、又はこれに加えて、フレクシャを支持するために使用される構造体部品に減衰材料を適用してもよい。
【0036】
フレクシャ30は、各々、取付インターフェース34のインターフェース部品に取り付けられ、また、(場合によっては)構造体マウント22のいずれかに取り付けられる。取付インターフェース34は、3つのインターフェース部品、垂直取付部品(又はサブアセンブリ)52、縦方向フレクシャ取付部品54、及びフレーム56を含む。垂直フレクシャ取付部品52は、垂直サイドパネル62、64と、パネル62、64を互いに接続する一対の中心ビーム66、68とを含む。サイドパネル62、64は台形であってもよく、底部よりも頂部で長い。縦方向フレクシャ取付部品(又はサブアセンブリ)54は、中央スパン72と、中央スパン72の両端(エッジ)に固定して取り付けられた一対の傾斜サイドパネル74、76とを含む。中央スパン72は台形形状を有し、底部よりも上部で長い。従って、中央スパン72は、サイドパネル74、76に係合される傾斜したサイドエッジを有する。中心ビーム66、68は、取付部品(又はサブアセンブリ)52、54の相対移動を可能にするために、中央スパン72の穴82、84を通過する。
【0037】
フレーム56は、開いた長方形の部分である。取付部品52、54の一部は、フレーム56によって取り囲まれた開口部85内にあってもよい。機器マウント24は、横方向取付部品52のサイドパネル62、64の底縁に取り付けられている。
【0038】
部品52、54、及び56は、互いに、またシステム10の他の部品、特に構造体マウント22及び機器マウント24に、種々のフレクシャ30によって連結されている。横方向フレクシャ40、42の頂端は、構造体マウント22の反対側のエッジ86、87に取り付けられ、該横方向フレクシャの底端は、フレーム56の対向する両エッジ88、90に取り付けられる。これらの取付具、及び以下に説明する他の取付具は、リベット又はネジ又はボルトのようなねじ付きファスナーのような他の適切なファスナーで、又は代替的に、適切な接着剤又は他の接着手段のような他の適切な手段によって製造することができる。横方向フレクシャ40及び42は、互いに平行であり、システム10の両側にある。
【0039】
縦方向フレクシャ44、46の頂部は、それらの頂部端部において、傾斜したサイドパネル74、76の側面の頂部端部に取り付けられている。縦方向フレクシャ44、46の底端は、フレーム56の対向する側端部94、96に取り付けられている。縁部88、90、94、及び96は、フレクシャ40、42、44、及び46が同様にフレーム56を取り囲むように、フレーム56の周囲に延びている。
【0040】
垂直フレクシャ48、50は、縦方向取付部54の中央スパン72の頂端及び底端、並びに横方向取付部品52の垂直側パネル62、64に取り付けられている。フレクシャ48、50の中央部品は中央スパン72に取り付けられ、フレクシャ48、50の側部はサイドパネル62、64に取り付けられる。機器マウント24はまた、垂直サイドパネル62、64の底縁に取り付けられる。
【0041】
前述したように、フレクシャ30の各対は、フレクシャの平面に垂直なそれぞれの方向での運動(追従)を可能にし、ダンピング動作を可能にする。図示の実施形態では、これらの異なる方向は直交であるが、代替的に、異なる方向は非直交であってもよい。フレクシャ対は、各々、一対の平行なフレクシャを含むが、代替的に、各方向に対して追加のフレクシャ及び/又は異なる構成のフレクシャがあってもよい。
【0042】
フレクシャ30は、取付部品52及び54を取り囲むように構成され、フレクシャ30は、システム10が休止状態にあるときに、平行六面体箱(角が開いた)を形成する。そのような構成は、並進自由度を除去する利点を有し得る。
【0043】
取付部品(又はサブアセンブリ)52、54、及び56は、部品(又はサブアセンブリ)52、54、及び56の間(又は構造体マウント22に対して)の相対移動を可能にするように構成され、フレクシャ30の対によるコンプライアンス(追従)及び/又はダンピングを可能にする。フレーム56は、構造体マウント22に対して横方向に移動し、横方向フレクシャ40及び42を屈曲させ、それによって、横方向移動の追従及び/又は減衰を可能にする。縦方向取付部品54は、フレーム56に対して縦方向に移動し、縦方向フレクシャ44、46を屈曲させ、それによって、縦方向運動の追従及び/又は減衰を可能にする。垂直取付部品52は、縦方向取付部品54に対して垂直に移動し、垂直フレクシャ48、50を屈曲させることにより、垂直運動の追従及び/又は減衰を可能にする。
【0044】
さらに、部品52、54、及び/又は56は、他の部品の移動を機械的に制限するストップとして機能するように構成することができる。中心ビーム66、68は、ボウタイ形状を有し、ボウタイの最も狭い部分は、ビーム66、68が中央スパン72の孔82、84を通過する位置である。部品52及び54の相対的な垂直方向の変位に対する制限は、穴82及び84の高さと中心ビーム66及び68の中央の高さとの差によって与えられる。ビーム66、68のエッジの傾斜は、ビーム66、68が孔82、84を通過するところから離れ、ビーム66、68の両方の中心を通過する(かつビーム66、68の主表面に対して垂直な)軸に沿って部品52、54の相対的な傾斜を制限する。
【0045】
あるいは、垂直移動の制限は、部品52、54と構造体マウント22との間の接触であってもよい。また、追加的に、構造体マウント22とサイドパネル62、64との間の接触は、部品52、54と、ビーム66、68の両方の中心を通過する軸との相対的な傾斜を制限することができる。
【0046】
傾斜したサイドパネル74、76はまた、縦方向の振れを制限するストップとして作用することもできる。部品52、54の縦方向の動きは、サイドパネル74、76と縦方向フレクシャ44、46、及び/又はフレーム56との衝突によって制限される。
【0047】
種々の部品及びフレクシャの多くの他の相互作用は、部品及びフレクシャの構成に応じて、機械的ストップとして使用可能である。クッション材(スナッビングパッド又は材料)が、部品が他の部品と対向するように配置されている場所に位置される場合がある。このクッション材は、部品間の衝撃力を緩和する目的に役立つ。好適なスナッビング(snubbing)材料又はスナッバーの例としては、ゴム、弾性ポリマーフォーム、商標MYLARとして販売されているようなポリエステルフィルム、ポリアミド球状接点、及び剛性の螺旋状金属ばねが挙げられる。
【0048】
システム10の構成要素は、種々の適切な材料、例えば、適切な金属のいずれかで作ることができる。例えば、取付部品、フレーム、及び機器及び構造体取付部は、アルミニウム製であってもよい。フレクシャは鋼製であってもよい。種々のフレクシャの厚さは、システムのアイソレータ(絶縁)周波数を調整するように選択することができる。アイソレータ(絶縁)周波数は、異なる方向に対して異なるように調整されてもよく、或いは、アイソレータ周波数は、全ての方向において同一の周波数応答(又は同様の周波数応答)を提供するように調整されてもよい。
【0049】
図10~12は、システム10の3方向における移動を示す。図10は、横方向フレクシャ40及び42の曲げからの横方向振れを示す。図11は、縦方向フレクシャ44及び46の曲げからの縦方向の振れを示す。図12は、垂直フレクシャ48及び50の曲げからの垂直方向の振れを示す。
【0050】
システム10は、特定の重要な周波数、例えば、航空機又は他の構造体12からの共振周波数(図1)、又は、光学センサ又は装置14のような機器に特定の問題を引き起こし得る周波数を取り扱うように構成することができる。一実施形態では、システム10は、特に約10~12Hzの周波数を改善するように構成することができるが、他の多くの周波数が、システム10によって最適に処理されることが可能である。
【0051】
システム10は、必要に応じてサイズ及び/又は構成を変化させることができる。フレクシャ30は、例えば、材料、厚さ、形状、曲げ半径、及び/又は他のパラメータを変化させることによって調整することができ、システム10を調整して所望のコンプライアンス及び/又はダンピングを達成することができる。曲げ半径の選択によるチューニングはまた、引張状態における薄いプレートの剛性を最小化するために行われてもよく、これは、例示の実施形態における垂直フレクシャ48及び50に関して、いくつかの状況において重要であり得る。この同調は、フレクシャ30の全てについて行われてもよく、或いは、様々な対のフレクシャに対応する個々の並進移動方向における性能を制御するために、所望に応じて変更されてもよい。
【0052】
システム10は、回転剛性を維持しつつ、フレクシャ30の曲げを通して調整可能な並進コンプライアンスを達成することができる。振動絶縁は、独立して作用するフレクシャ30の対によって達成される。取付部品52、54、56は、フレクシャ30を介して、機器12(図1)を構造体14(図1)に連結する。部品52、54、及び56は剛性であり、部品間のある程度の相対的な移動を可能にし、フレクシャ30の対に対応する方向における独立した並進運動を可能にし、フレクシャ対の各々は独立して作用し、独立して同調可能である。回転剛性(rigidity)(stiffness)が、平行フレクシャの平面において作用する負荷によって達成される。
【0053】
システム10は、様々な状況において、様々な理由で有用である。1つの非限定的な実施形態において、システム10は、光学センサのようなセンサ、例えば、電気光学/赤外(EO/IR)センサモジュールの一部であるセンサをタレット(turret)に取り付けるために使用することができる。図13は、航空機110に搭載されたこのような従来技術の回転タレットシステム112の例を示す。航空機112は、ビーム114をターゲット120に向ける。ターゲット120を追跡する且つ/或いはターゲット120を損傷/破壊するために、タレットは、回転可能である。そのようなシステムに関するさらなる詳細は、その全体が参照により引用されている、共有米国特許第8,635,938号に見出すことができる。
【0054】
そのようなシステムにおけるランダムな振動は、タレット内の構造的モードを励起することによってビデオ解像度を劣化させ、光学素子の変位を通じて画像の移動を引き起こす。振動絶縁システム10(図1)を使用するなどしてタレットを絶縁することにより、これらの構造的モードを励起する周波数における振動レベルを低減することができる。システム10は、回転自由度に適合する他の振動絶縁方法とは対照的に、回転剛性を有利に提供する。回転自由度におけるこのようなコンプライアンスは、反対に作用するために回転剛性を有する取付プラットフォームを必要とするジンバルに対しては望ましくない。このようなジンバルは、並進コンプライアンスに敏感ではないので、システム10が提供する並進コンプライアンスは、性能を低下させない。
【0055】
上述のシステム10(図1)のような振動絶縁システムは、広範な他の状況で使用され得ることが理解されるであろう。他のこのようなシステムの例としては、ジンバルを有する地上光学システム、ならびに地上車両、水上車両、又は宇宙船上のシステムが含まれる。そのようなシステムは、そのような性能が望ましい状況において、回転剛性と組み合わされた並進コンプライアンス及び/又は減衰を提供し得る。
【0056】
図14図16は、垂直フレクシャ248及び250が、主に曲げによって作用する片持梁である代替振動絶縁システム210の一部を示す。フレクシャ248、250は、一端で、第1の取付部品252に結合される。第1の取付部品252は、垂直移動に関して固定され、構造体取付222に対して垂直に固定されている。フレクシャ248及び250の他端では、フレクシャ248及び250は、機器マウント224に固定された第2の取付部品254に結合されている。第2の取付部品254は、機器マウント224に取り付けるポスト260を含んでもよい。ポスト260は、底部フレクシャ250の穴(図示せず)を通過してもよい。垂直方向の力により、第2の取付部品254が第1の取付部品252に対して移動し、フレクシャが曲がり変形し、移動を減衰させる。この曲がりは、図16の例示目的のために誇張されており、フレクシャ248及び250の実際の変形は、示されているものよりも小さい。フレクシャが一対の態様は、参考例であり、フレクシャが複数対の態様は実施例である。
【0057】
システム210は、縦方向及び横方向の動きを減衰させる他のフレクシャ、例えば、フレーム256及び構造体マウント222の両方にそれぞれ接続されたフレクシャ272及び274を有することができる。横方向及び縦方向の減衰の動作は、システム10(図1)の動作と同様であってもよい。
【0058】
本発明を或る実施例及び実施形態に関して図示して説明してきたが、この明細書と添付された図面とを読んで理解すると他の同業者にも同等の変更や修正ができるものと認識することができる。特に、上述のエレメント(コンポーネント、アセンブリ、デバイス、組成物等)によって実行される種々の機能に関して、そのようなエレメントを記述するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は、別段の指示がない限り、本発明の本明細書に示された例示的な実施形態においてその機能を実行する開示された構造と構造的に等価ではないとしても、記載されたエレメントの特定の機能(すなわち、機能的に同等である)を実行する任意のエレメントに対応することを意図している。さらに、本発明の特定の特徴は、例示されたいくつかの実施形態のうちの1つ又は複数のみに関して上述したが、このような特徴は、任意の与えられた又は特定の用途に対して所望かつ有利であり得るように、他の実施形態の1つ又は複数の他の特徴と組み合わせることができる。
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