IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図1
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図2
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図3
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図4
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図5A
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図5B
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図6
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図7
  • 特許-車車間通信用アンテナ搭載リーン車両 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】車車間通信用アンテナ搭載リーン車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 45/00 20200101AFI20221003BHJP
   B62J 6/022 20200101ALI20221003BHJP
   B62J 6/04 20200101ALI20221003BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20221003BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20221003BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B62J45/00
B62J6/022
B62J6/04
H01Q1/38
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020539469
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2019033435
(87)【国際公開番号】W WO2020045390
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2018157995
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康史
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 賢治
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-352209(JP,A)
【文献】特開2008-80867(JP,A)
【文献】特開2015-8392(JP,A)
【文献】特開2011-146993(JP,A)
【文献】特開2000-168660(JP,A)
【文献】特開昭59-72802(JP,A)
【文献】国際公開第2014/136658(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 45/00, 6/04, 6/022,
B60R 11/02,
H01Q 1/22, 1/32, 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左旋回中に左方向に傾斜し、右旋回中に右方向に傾斜するリーン車体と、
略円弧状の横断面輪郭形状を有する接地部を有し、前記リーン車体に設けられ、左旋回中に左方向に傾斜し、右旋回中に右方向に傾斜するリーン車輪と、
車間通信用アンテナ搭載リーン車両の前方向又は後方向に向けて光を照射する光源と、金属部材としてのリフレクタと、前記光源及び前記リフレクタを支持すると共に前記リーン車体に支持される非金属の灯体とを有し、前記リーン車体の前端部又は後端部に設けられた灯火器と、
前記リーン車体に設けられ、前記リーン車体の周囲に存在する車両との車車間通信に用いられる車車間通信装置と、
前記車車間通信装置に電気的に接続された車車間通信用アンテナと
を備えた車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、前記リーン車体と一体的に左方または右方に傾斜し、前記リーン車輪の上端よりも上に位置し、前記車車間通信用アンテナから前記灯火器による光の照射方向に見た場合に、前記車車間通信用アンテナと、前記金属部材としてのリフレクタとが、全体的に重ならないか又は前記車車間通信用アンテナの通信性能に実質的な影響が生じない程度に部分的に重なり、且つ直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両を前後方向に見た場合に、前記非金属製の灯体と全体的又は部分的に重なり、前記灯火器による光の照射方向と同じ方向又は実質的に同じ方向に通信するように前記灯火器の前記灯体の内部に設けられ、少なくとも前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の前方向又は後方向に電波を少なくとも送信する
ことを特徴とする車車間通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、板状の樹脂製基板と、前記樹脂製基板に設けられた面状の金属製アンテナ部とを備える
ことを特徴とする車車間通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
車車間通信用アンテナは、直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両を前後方向に見た場合に、前記灯火器の前記灯体と全体的又は部分的に重なる位置においてアンテナ線と接続されるように構成されている
ことを特徴とする車車間通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、アンテナ線が、前記車車間通信用アンテナから、前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の前後方向において、前記灯火器による光の照射方向と反対の方向に出るように構成されている
ことを特徴とする車車間通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項5】
請求項4に記載の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、アンテナ線が、前記灯火器のカプラに近く且つ前記カプラと異なる位置から出るように構成されている
ことを特徴とする車車間通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項6】
請求項5に記載の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、前記灯火器の結線作業が前記車車間通信用アンテナの結線作業と同一方向から実施され得る位置から前記アンテナ線が出るように構成されている
ことを特徴とする車車間通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両において、前記車車間通信用アンテナの上端が前記灯火器の前記光源よりも上に位置するように前記灯体に設けられる
ことを特徴とする車車間通信用アンテナ搭載リーン車両。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記灯火器は、左右二灯式ヘッドライトであり、
前記左右二灯式ヘッドライトは、車幅方向に互いに間隔を空けて配置された左光源及び右光源を備え、
前記車車間通信用アンテナは、直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両において、前記車車間通信用アンテナが、前記車幅方向における前記左光源と前記右光源との間に部分的又は全体的に位置するように設けられている
ことを特徴とする車車間通信用アンテナ搭載リーン車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車車間通信用アンテナ搭載リーン車両に関する。
【背景技術】
【0002】
リーン車両は、様々な用途に応じて様々なアンテナを搭載する。リーン車両に搭載するアンテナの例として、GPSアンテナ、ETC車載アンテナ、及び車車間通信用アンテナ等が挙げられる。GPSアンテナは受信用アンテナであり、GPS通信衛星からの電波を受信する。従って、GPSアンテナは、GPS通信衛星からの電波を受信するため、上方からの電波を受信できるように受信面が上方に向けて配置される。ETC車載アンテナは、送受信用アンテナであり、リーン車両の走行する道路において、ETCゲートの上方に設けられたETCアンテナからの電波を送受信するように設けられる。従って、ETC車載アンテナは、水平方向よりも上方のETCアンテナと電波を送受信する。例えば、ETC車載アンテナは、水平方向に対し45度以上の方向で電波を送受信するため、リーン車両の直立状態においてアンテナの送受信面が上方を向くように設置される。また、ETC車載アンテナの指向性は、狭い。これは、ETCが、各ETCゲートに対応する車線を直立状態で直進するリーン車両に対し課金するのに使用されるからである。
【0003】
一方で、車車間通信用アンテナは、このアンテナが搭載されたリーン車両とは異なる車両と通信を行うための送受信アンテナである。
例えば、特許文献1に記載のリーン車両は、リーン車両の周囲に存在する車両との間で通信を行う車車間通信装置を備えている。車車間通信装置は、電気的に接続されるアンテナを備えている。特許文献1の車車間通信用アンテナは、車両の前部又は後部に搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/136658号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の車両のように、車車間通信用アンテナがリーン車両に搭載された場合、直進中と旋回中とを比較すると、車車間通信用アンテナの送信性能が大きく変化する場合があった。
【0006】
本発明は、リーン車両の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送信性能の変化を抑制することができる車車間通信用アンテナを搭載したリーン車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車車間通信用アンテナは、GPSアンテナ又はETC車載アンテナとは異なり、車両と通信するためのアンテナである。車車間通信用アンテナは、リーン車両の周囲で道路上にある車両に電波を送信するため、水平方向に電波を送信するようにリーン車両に設置される。また、車車間通信用アンテナは、リーン車両の周囲を走行する車両に電波を送信するため、水平面において広い角度範囲で送信することが求められる。
また、車車間通信用アンテナは、例えばリーン姿勢での通信、及び上り坂と下り坂の境にあるピークを超える場合の前後方向での通信に対応するため、水平方向よりも上方及び下方を送信範囲に含めることが求められる。水平方向よりも上方及び下方は、例えば、水平方向に対し上下45度の範囲である。従って、車車間通信用アンテナは、電波の送信方向及び指向性等において、GPSアンテナ及びETCアンテナ等のアンテナと異なっている。
車車間通信では、通信対象の車両が、通常、自車両と同じく道路上にある。車車間通信用アンテナは、アンテナが搭載されたリーン車両と略同じ高さに存在し、このリーン車両から離れた位置に存在する車両と主に通信する。車車間通信用アンテナが搭載されたリーン車両においては、直進状態と旋回状態とで、車車間通信の送受信性能が変化する。特に、リーン車両においては、旋回状態で車車間通信の送受信性能が大きく変化する。そこで、本発明者は、リーン車両の旋回状態での車車間通信の通信状態について詳細に検討した。
【0008】
左旋回中、リーン車両の前方かつ左方に存在する車両との車車間通信の性能が、直進中と比較して低下することが分かった。左旋回中に通信性能が低下する領域は、リーン車両の直立状態において車車間通信用アンテナを通る水平面より上方かつ車車間通信用アンテナを通る鉛直面より左方の領域である。しかも、リーン車両の直立状態における車車間通信用アンテナを通る鉛直面から左方に離れるほど低下する傾向があることが分かった。
【0009】
右旋回中、リーン車両の前方かつ右方に存在する車両との車車間通信の性能が、直進中と比較して低下することが分かった。右旋回中に通信状態が低下する領域は、リーン車両の直立状態において車車間通信用アンテナを通る水平面より上方かつ車車間通信用アンテナを通る鉛直面より右方の領域である。しかも、リーン車両の直立状態における車車間通信用アンテナを通る鉛直面から右方に離れるほど低下する傾向があることが分かった。
【0010】
その結果、リーン車両の前部に搭載される車車間通信用アンテナを次のように構成すれば、リーン車両の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送受信性能の変化を抑制することができることを見出した。即ち、本発明は、車車間通信において、光の照射方向(即ち前方向又は後方向)に障害物が有さず且つリーン車輪よりも高い位置に設置される灯火器(ヘッドライト又はテールライト)の配置を利用する。本発明は、自車両と略同じ高さにおいて自車両から前方向又は後方向に離れた位置に存在する車両と主に通信するという車車間通信の通信方向と、灯火器による光の照射方向との共通性を利用する。
【0011】
(1) 車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
車車間通信用アンテナ搭載リーン車両は、
左旋回中に左方向に傾斜し、右旋回中に右方向に傾斜するリーン車体と、
略円弧状の横断面輪郭形状を有する接地部を有し、前記リーン車体に設けられ、左旋回中に左方向に傾斜し、右旋回中に右方向に傾斜するリーン車輪と、
前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の前方向又は後方向に向けて光を照射する光源と、前記光源を支持すると共に前記リーン車体に支持される灯体とを有し、前記リーン車体の前端部又は後端部に設けられた灯火器と、
前記リーン車体に設けられ、前記リーン車体の周囲に存在する車両との車車間通信に用いられる車車間通信装置と、
前記車車間通信装置に電気的に接続され、前記リーン車体と一体的に左方または右方に傾斜し、前記リーン車輪の上端よりも上に位置し、前記灯火器による光の照射方向と同じ方向又は実質的に同じ方向に通信するように前記灯火器の前記灯体に設けられ、少なくとも前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の前方向又は後方向に電波を少なくとも送信する車車間通信用アンテナと、
を備える。
【0012】
車車間通信用アンテナは、灯火器による光の照射方向と同じ方向又は実質的に同じ方向に通信するように灯体に設けられる。灯火器の前方向又は後方向には電波の放射を抑制する障害物が無い。従って、リーン車体による通信性能への影響が少ない。また、車車間通信用アンテナは、リーン車輪の上端よりも上において灯体に設けられる。これにより、車車間通信用アンテナは、車幅方向における中央近くにおいて比較的高い位置に配置される。そのため、旋回時に車車間通信用アンテナの高さが下がったとしても、直進状態と旋回状態とでの車車間通信用アンテナの高さは高いままである。以上により、車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送受信性能の変化を抑制することができる。
【0013】
本発明は、車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の車車間通信において、灯火器の配置及び光の照射方向を利用したアンテナ配置を行うことにより、直進状態と旋回状態とでの送信性能の変化を抑制するという、今までにない技術思想によって、初めてなし得た発明である。
【0014】
(2) (1)の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、板状の樹脂製基板と、前記樹脂製基板に設けられた面状の金属製アンテナ部とを備える。
【0015】
車車間通信用アンテナは、特に限定されず、上記(2)以外の構成を採用できる。例えば、車車間通信用アンテナは、棒状アンテナであってもよい。
【0016】
(3) (1)又は(2)の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、前記車車間通信用アンテナから前記灯火器による光の照射方向に見た場合に、前記車車間通信用アンテナと金属部材とが部分的又は全体的に重ならないように、設けられている。
【0017】
(3)の構成において、前記灯火器がヘッドライトである場合、車車間通信用アンテナからヘッドライトによる光の照射方向に見た場合に、ヘッドライトよりも前において、車車間通信用アンテナと金属部材とが部分的又は全体的に重ならない。前記灯火器がテールライトである場合、車車間通信用アンテナからテールライトによる光の照射方向に見た場合に、テールライトよりも後において、車車間通信用アンテナと金属部材とが部分的又は全体的に重ならない。これにより、アンテナの通信性能がより良く発揮され、通信性能がより向上され得る。
【0018】
(4) (1)~(3)のいずれか1の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両を前後方向に見た場合に、前記灯体と全体的又は部分的に重なるように前記灯体に設けられている。
【0019】
前記灯火器がヘッドライトである場合、車車間通信用アンテナは、直立状態の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両を前後方向に見た場合に、ヘッドライトの灯体と全体的又は部分的に重なるように灯体に設けられている。前記灯火器がテールライトである場合、車車間通信用アンテナは、直立状態の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両を前後方向に見た場合に、テールライトの灯体と全体的又は部分的に重なるように灯体に設けられている。車車間通信用アンテナを含む灯火器全体としてコンパクトな配置が実現され得る。車車間通信用アンテナが走行風を受ける位置に設けられる場合であっても、車車間通信用アンテナの設置によって走行性能に影響が生じることが抑制乃至防止され得る。
【0020】
(5) (1)~(4)のいずれか1の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
車車間通信用アンテナは、直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両を前後方向に見た場合に、前記灯火器の前記灯体と全体的又は部分的に重なる位置においてアンテナ線と接続されるように構成されている。
【0021】
直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両を前後方向に見た場合に、車車間通信用アンテナとアンテナ線との接続位置が、前記灯火器の前記灯体と全体的又は部分的に重なる。灯火器全体としてコンパクトな配置が実現され得る。車車間通信用アンテナが走行風を受ける位置に設けられる場合であっても、車車間通信用アンテナの設置によって走行性能に影響が生じることが抑制乃至防止され得る。
【0022】
(6) (1)~(5)のいずれか1の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、アンテナ線が、前記車車間通信用アンテナから、前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の前後方向において、前記灯火器による光の照射方向と反対の方向に出るように構成されている。
【0023】
車車間通信用アンテナがヘッドライトに設けられる場合、アンテナ線は、ヘッドライトによる光の照射方向(前方向)と反対の方向(後方向)に出る。車車間通信用アンテナがテールライトに設けられる場合、アンテナ線は、テールライトによる光の照射方向(後方向)と反対の方向(前方向)に出る。灯火器全体としてコンパクトな配置が実現され得る。車車間通信用アンテナが走行風を受ける位置に設けられる場合であっても、車車間通信用アンテナの設置によって走行性能に影響が生じることが抑制乃至防止され得る。
【0024】
(7) (6)の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、アンテナ線が、前記灯火器のカプラに近く且つ前記カプラと異なる位置から出るように構成されている。
【0025】
灯火器全体としてコンパクトな配置が実現され得る。車車間通信用アンテナが走行風を受ける位置に設けられる場合であっても、車車間通信用アンテナの設置によって走行性能に影響が生じることが抑制乃至防止され得る。
【0026】
(8) (7)の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、前記灯火器の結線作業が前記車車間通信用アンテナの結線作業と同一方向から実施され得る位置から前記アンテナ線が出るように構成されている。
【0027】
前記車車間通信用アンテナは、例えば、ヘッドライトの結線作業と前記車車間通信用アンテナの結線作業との両方が後方向から実施し得る位置から前記アンテナ線が出るように構成されている。前記車車間通信用アンテナは、例えば、テールライトの結線作業と前記車車間通信用アンテナの結線作業との両方が前方向から実施し得る位置から前記アンテナ線が出るように構成されている。組立作業の効率が向上する。よりコンパクトな配置も実現され得る。
【0028】
(9) (1)~(8)のいずれか1の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記車車間通信用アンテナは、直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両において、前記車車間通信用アンテナの上端が前記灯火器の前記光源よりも上に位置するように前記灯体に設けられる。
【0029】
通信性能をより向上させることができるとともに、車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送信性能の変化をより効果的に抑制することができる。
【0030】
(10) (1)~(9)のいずれか1の車車間通信用アンテナ搭載リーン車両であって、
前記灯火器は、左右二灯式ヘッドライトであり、
前記左右二灯式ヘッドライトは、車幅方向に互いに間隔を空けて配置された左光源及び右光源を備え、
前記車車間通信用アンテナは、直立状態の前記車車間通信用アンテナ搭載リーン車両において、前記車車間通信用アンテナが、前記車幅方向における前記左光源と前記右光源との間に部分的又は全体的に位置するように設けられている。
【0031】
灯火器全体として、よりコンパクトな配置を実現できるとともに、車車間通信用アンテナ搭載リーン車両の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送信性能の変化をより効果的に抑制することができる。
【0032】
本明細書にて使用される専門用語は特定の実施例のみを定義する目的であって発明を制限する意図を有しない。本明細書にて使用される用語「および/または」はひとつの、または複数の関連した列挙された構成物のあらゆるまたはすべての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」およびその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分および/またはそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。本明細書中で使用される場合、用語「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」および/またはそれらの等価物は広く使用され、直接的および間接的な取り付け、接続および結合の両方を包含する。さらに、「接続された」および「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術および本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。本発明の説明においては、技術および工程の数が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。したがって、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書および特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明および請求項の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0033】
本明細書では、車車間通信用アンテナ搭載リーン車両について説明する。以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0034】
灯火器は、例えばヘッドライトである。ヘッドライトは、リーン車両の進行方向を照射する。灯火器は、例えばテールライトである。テールライトは、リーン車両の進行方向と反対方向を照射する。灯火器は、灯体と、光源とを備える。灯体は、光源を支持する。灯体は、例えば、光源を収容するライトケースである。灯体は、リフレクタを収容してもよい。また、リフレクタが灯体の一部を構成してもよい。灯体は、光源及びリフレクタ以外のヘッドライトの部品を収容してもよい。灯体は、例えば、非金属製である。非金属製灯体は、例えば、樹脂製である。光源は、発光体で構成される。発光体はLEDであってもよく、白熱灯であってもよい。灯火器は、金属部材を有していてもよい。金属部材は、灯火器のリフレクタを構成する。リフレクタは、光源から放射された光を、限られた方向に向けて照射するように構成される。灯火器がリフレクタを備える場合、灯体は、光源およびリフレクタを支持する。灯体は灯火器の機能を担う部品を収容する。ただし、灯体の一部は、リフレクタで構成されてもよい。車車間通信用アンテナは、灯火器の機能を担う部品とともに灯体の内部に収容されてもよい。ただし、車車間通信用アンテナは、灯体の外部に設けられていてもよい。
【0035】
リーン車両は、本発明のリーン姿勢で旋回する車両の一例である。本発明においてリーン姿勢で旋回する車両は、特に限定されず、例えば、自動二輪車、自動三輪車、スノーモービル、ATV(全地形走行車)等の鞍乗型車両が挙げられる。なお、以下の説明では、「前後」は、車両の進行方向を基準とし、「上下」は、車両の上下方向を基準とし、「左右」は、運転者を基準とする。
【0036】
リーン車両は、旋回するときに車体をリーンさせて走行する車両である。リーン車両は、例えば自動二輪車、自動三輪車及び自動四輪車であってもよい。リーン車両は、例えば鞍乗型車両であってもよい。
【0037】
リーン車体は、リーン車両の車体部分である。リーン車体は、リーン車両の旋回時に傾斜(リーン)される。リーン車体は、リーン車両の右旋回時には、右方向に車体を傾斜(リーン)させ、リーン車両の左旋回時には、左方向に車体を傾斜(リーン)させる。
【0038】
車車間通信装置は、周囲の車両と電波のやり取りを行うことで、通信する装置である。ただし、車車間通信装置は、車両と通信する機能に限られず、車両に加え車両以外の装置と通信する機能を有してもよい。車車間通信装置は、例えば、自車の位置を周囲の車両に知らせ、また、周囲の車両の相対又は絶対的な位置を取得するための装置である。また、車車間通信装置は、自車の速度、加速度、車両の向き、及びヨーレート等の情報も、周囲の車両とやり取りする。
【0039】
車車間通信用アンテナは、周囲の車両と電波のやり取りを行うアンテナである。但し、車車間通信用アンテナは、車両と電波のやり取りを行う機能に限られず、車両に加え車両以外の装置と電波のやり取りを行う機能を有してもよい。車車間通信用アンテナは、指向性を有する(指向性)アンテナであってもよく、また、指向性を有さない(無指向性)アンテナであってもよい。車車間通信用アンテナは、例えば板状の樹脂製基板と、樹脂製基板に設けられた面状の金属製アンテナ部とを備えるアンテナであってもよい。また、棒状のアンテナであってもよい。
【0040】
金属部材は、アンテナが送受信する電波と干渉する部材である。金属部材は、例えば、樹脂で覆われた部材を含む。また、金属部材は、例えば、表面に金属が蒸着された樹脂部材を含む。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、リーン車両の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送受信性能の変化を抑制することができる車車間通信用アンテナを搭載したリーン車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の一実施形態に係るリーン車両1を示す側面図である。
図2図1に記載のリーン車両を示す部分拡大正面図である。
図3図1に記載のリーン車両を示す部分拡大背面図である。
図4図1に記載のリーン車両の車車間通信用アンテナの配置のさらなる他の例を示す部分拡大正面図である。
図5A図1に記載のリーン車両1の車車間通信用アンテナの配置のさらなる他の例を示す部分拡大正面図である。
図5B図1に記載のリーン車両の車車間通信用アンテナの配置のさらなる他の例を示す部分拡大側面図である。
図6図1に記載のリーン車両の車車間通信用アンテナの位置を示す正面図である。
図7図1に記載のリーン車両の車車間通信用アンテナの位置を示す背面図である。
図8図1に記載のリーン車両の車車間通信用アンテナの車幅方向の電波の放射領域を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明の一実施形態に係るリーン車両1を示す側面図である。図1のリーン車両1は、リーン車体2と、リーン車輪3と、前照灯6と、尾灯7と、車車間通信装置8と、車車間通信用アンテナ9とを備える。図1のリーン車両1は、車車間通信用アンテナを搭載した車車間通信用アンテナ搭載リーン車両である。図1のリーン車両1は、例えば、自動二輪車である。
【0044】
リーン車体2は、本体部4と、ハンドル部5とを備える。リーン車輪3は、前輪3aと、後輪3bとから構成される。ハンドル部5は、前輪3aが設けられる。ハンドル部5は、フロントフォーク50と、ステアリングハンドル51とを備える。
【0045】
リーン車体2のハンドル部5は、本体部4に回転可能に取り付けられている。フロントフォーク50は、2本のフォークパイプ52a及び52bと、ハンドルブラケット53と、アンダーブラケット54とを備える。2本のフォークパイプ52a及び52bの上端は、ハンドルブラケット53により連結され、2本のフォークパイプ52a及び52bの上端と下端との間の一部は、アンダーブラケット54により連結されている。2本のフォークパイプ52a及び52bの下端には、前輪3aが回転可能に支持される。ハンドルブラケット53はステアリングハンドル51が取り付けられている。ハンドルブラケット53とアンダーブラケット54はステアリング軸55により連結されている。ステアリング軸55は本体部4のステアリングヘッドパイプ42を挿通している。ステアリング軸55はステアリングヘッドパイプ42内で回転可能である。これにより、ハンドル部5は本体部4に対してステアリング軸55を中心に回転することができる。
【0046】
リーン車体2の本体部4は、後輪3bが設けられる。本体部4は、エンジン41を備える。エンジン41は、ハンドル部5のステアリングハンドル51に取り付けられたアクセルグリップ56により制御され、変速機43等を介して後輪3bに駆動力を伝達する。リーン車両1は、搭乗者がアクセルグリップ56を操作することにより、走行することができる。
【0047】
リーン車体2のハンドル部5に設けられた前輪3a及び本体部4に設けられた後輪3bは、略円弧状の横断面輪郭形状を有する接地部を有している。リーン車両1は、搭乗者のステアリングハンドル51の操作により、旋回することができる。リーン車両1は、搭乗者が、ステアリングハンドル51を右方向に回すと、右方向に旋回し、ステアリングハンドル51を左方向に回すと、左方向に旋回する。左旋回中に、リーン車体2は左方向に傾斜し、右旋回中に、リーン車両1は、右方向に傾斜する。前輪3a及び後輪3bは、リーン車両1が左旋回中に左方向に傾斜し、リーン車両1が右旋回中に右方向に傾斜する。
【0048】
前照灯6は、リーン車両1の灯火器である。前照灯6は、光源61と、灯体62とを備える。灯体62は、光源61を支持すると共に、リーン車体に支持される。灯体62は、灯火器の部品を収容する。灯体62は、灯火器以外の部品を収容していない。光源61は、リーン車両1の前方向に向けて光を照射する。前照灯6は、リーン車体2の前端部に支持される。具体的には、灯体62が、ステアリング軸55が挿通されたステアリングヘッドパイプ42の前方に設置されている。灯体62は、リーン車両1の車幅方向の中央部分に位置している。
【0049】
尾灯7は、リーン車両1の灯火器である。尾灯7は、光源71と、灯体72とを備える。灯体72は、光源71を支持するとともに、リーン車体に支持される。光源71は、リーン車両1の後方向に向けて光を照射する。尾灯7は、リーン車体2の本体部4に支持される。具体的には、灯体72が、本体部4の後端部付近に設置されている。灯体62は、リーン車両1の車幅方向の中央部分に位置している。
【0050】
車車間通信装置8は、リーン車体2の本体部4のいずれかの位置に設けられている。図1には、車車間通信用アンテナ9と車車間通信装置8の電気的接続が示されている。車車間通信装置8は、リーン車両1の周囲に存在する車両と、車車間通信用アンテナ9を介した車車間通信に用いられる。車車間通信装置8は、車車間通信用アンテナ9を下記に記載の通り配置することにより、リーン車体2が左方向に傾斜している左旋回中および右方向に傾斜している右旋回中に車車間通信を行うことが可能である。
【0051】
車車間通信用アンテナ9は、少なくともリーン車両1の前方向又は後方向に少なくとも電波を送信する。本実施形態の車車間通信用アンテナ9は、電波の受信も行う。車車間通信用アンテナ9は、車車間通信装置8にアンテナ線により電気的に接続される。車車間通信用アンテナ9は、指向性を有する(指向性)アンテナであってもよく、また、指向性を有さない(無指向性)アンテナであってもよい。車車間通信用アンテナ9は、例えば板状の樹脂製基板と、樹脂製基板に設けられた面状の金属製アンテナ部とを備える。車車間通信用アンテナ9は、リーン車体2と一体的に左方向または右方向に傾斜する。
【0052】
車車間通信用アンテナ9は、少なくとも水平方向に電波を放射できるように配置される。車車間通信用アンテナ9は、電波の放射方向に対し上斜め方向及び下斜め方向の放射領域(本実施形態において例えば水平方向から少なくとも上下45度の放射領域)を有する。従って、リーン車体2が旋回中に右方向又は左方向に傾斜した時に、車車間通信用アンテナ9は、地面に対して水平面の指向性を保持できる。つまり、リーン車体2が右方向又は左方向に傾斜した時に、車車間通信用アンテナ9は、水平方向に電波を放射できる。車車間通信用アンテナ9が、例えば、板状の樹脂製基板と、前記樹脂製基板に設けられた面状の金属製アンテナ部とを備える場合、車車間通信用アンテナ9は、地面に対して水平方向に電波を放射できるように、樹脂製基板を実質的に垂直に立てるように配置される。これにより、車車間通信用アンテナ9は、リーン車体2が旋回中に右方向又は左方向に傾斜した時に、車車間通信用アンテナ9は、地面に対して水平面の指向性を保持できる。また、車車間通信用アンテナ9は、棒状のアンテナであってもよい。車車間通信用アンテナ9が、棒状のアンテナである場合、車車間通信用アンテナ9は、地面に対して水平方向に電波を放射できるように、棒状部分を実質的に垂直に立てるように配置される。これにより、車車間通信用アンテナ9は、リーン車体2が右方向又は左方向に傾斜した時に、車車間通信用アンテナ9は、地面に対して水平面の指向性を保持できる。実質的に垂直に立てる配置は、例えば基板又は棒が垂直に対し45度未満の角度を有するように配置することである。車車間通信用アンテナ9は、車車間通信用アンテナ9からリーン車体2の前方向に見た場合に、車車間通信用アンテナ9と金属部材とが部分的又は全体的に重ならないように設けられている。
【0053】
車車間通信用アンテナ9は、前照灯6の灯体62、及び/又は尾灯7の灯体72に設けられる。詳細には、車車間通信用アンテナ9は、直立状態のリーン車両1を前後方向に見た場合に、前照灯6と全体的又は部分的に重なるように灯体62に設けられている。また、車車間通信用アンテナ9aは、直立状態のリーン車両1を前後方向に見た場合に、尾灯7と全体的又は部分的に重なるように灯体72に設けられている。車車間通信用アンテナ9は、前照灯6の灯体62に設けられる場合(車車間通信用アンテナ9a)、車車間通信用アンテナ9aは、前照灯6による光の照射方向と同じ方向又は実質的に同じ方向に通信するように、前照灯6の灯体62に設けられる。この時、車車間通信用アンテナ9aは、前輪3aの上端よりも上に配置される。また、車車間通信用アンテナ9は、尾灯7の灯体72に設けられる場合(車車間通信用アンテナ9b)、車車間通信用アンテナ9bは、尾灯7による光の照射方向と同じ方向又は実質的に同じ方向に通信するように、尾灯7の灯体72に設けられる。この時、車車間通信用アンテナ9bは、後輪3bの上端よりも上に配置される。
【0054】
前照灯6の前方向には障害物がない。従って、車車間通信用アンテナ9aは、前照灯6による光の照射方向と同じ方向又は実質的に同じ方向に通信するように灯体62に設けられる場合、リーン車体2による通信性能への影響が少ない。同様に、尾灯7の後方向には障害物がない。従って、車車間通信用アンテナ9bは、尾灯7による光の照射方向と同じ方向又は実質的に同じ方向に通信するように灯体72に設けられる場合、リーン車体2による通信性能への影響が少ない。また、車車間通信用アンテナ9aは、リーン車両1の上下方向で前輪3aの上端よりも上方に配置された前照灯6の灯体62に設けられ、車車間通信用アンテナ9bは、リーン車両1の上下方向で後輪3bの上端よりも上方に配置された尾灯7の灯体72に設けられる。これにより、車車間通信用アンテナ9a及び9bは、車幅方向における中央近くにおいて比較的高い位置に配置される。そのため、旋回時に車車間通信用アンテナの高さが下がり難く、直進状態と旋回状態とでの車車間通信用アンテナの高さの変化が抑制され得る。以上により、リーン車両1の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送受信性能の変化を抑制することができる。
【0055】
図2は、図1に記載のリーン車両1を示す部分拡大正面図である。図2に示す通り、前照灯6は、左右二灯式ヘッドライトである。前照灯6は、車幅方向に互いに間隔を空けて灯体62に配置された左光源61a及び右光源61bを備える。灯体62は、灯火器の部品を収容する。灯体62は、灯火器及びアンテナ以外の部品を収容していない。左光源61a及び右光源61bは、ハイビーム光源(走行用ヘッドライト)とロービーム光源(すれ違い用ヘッドライト)から構成される。ハイビーム光源は、リーン車両1の前方向に対して、水平方向又は水平方向より上方に照光する。ロービーム光源は、リーン車両の前方向に対して、水平方向よりも下方に照光する。左光源61aからの光は左のレンズ67aを透過して照光される。右光源61bからの光は右のレンズ67bを透過して照光される。
【0056】
車車間通信用アンテナ9aは、直立状態のリーン車両1を前後方向に見た場合に、前照灯6と全体的又は部分的に重なるように灯体62に設けられている。詳細には、車車間通信用アンテナ9は、少なくとも一部が前照灯6の灯体62に収容される。また、車車間通信用アンテナ9aは、直立状態のリーン車両1において、車幅方向における左光源61aと右光源61bとの間に部分的又は全体的に位置するように設けられている。また、車車間通信用アンテナ9aは、上端が前照灯6の左光源61a及び右光源61bよりも上に位置するように灯体62に設けられる。さらに、車車間通信用アンテナ9aは、灯体62の左光源61a及び右光源61bが配置されている位置を避けて配置される。つまり、車車間通信用アンテナ9aは、前照灯6を前方に見た場合、レンズ67a,67bを通して見える範囲外に配置されている。レンズ67a,67bは、光源61a,61bからの光を屈折させて照射する。灯体62の前面には、灯体62を覆うカバー63が設けられている。カバー63は、透光性の材料で形成されている。カバー63は、光源61a,61bからの光を単に通過させる。
【0057】
図2のように車車間通信用アンテナ9aを配置することにより、車車間通信用アンテナ9を含む前照灯6全体として、車車間通信用アンテナ9aのコンパクトな配置が実現され得る。また、車車間通信用アンテナ9aは、風圧の影響を受けにくい。また、車車間通信用アンテナ9は、車車間通信用アンテナ9aは、リーン車両1の外から視認されることなく、デザインにおいても、リーン車両の外観的特徴を損ねることがない。さらに、車車間通信用アンテナ9aは、リーン車体2の車幅方向の中央付近に設けられるため、車車間通信用アンテナ9aの電波の放射領域の左右の偏りがなくなり、通信性を確保できる。なお、本実施形態において、光源61は、一つであってもよい。また、車車間通信用アンテナ9aは、複数あってもよい。
【0058】
図2において、車車間通信用アンテナ9aは、直立状態のリーン車両1を前後方向に見た場合に、前照灯6の灯体62と全体的又は部分的に重なる位置においてアンテナ線と接続されるように構成されている。このような配置により、前照灯6全体として車車間通信用アンテナ9aのコンパクトな配置が実現され得る。また、車車間通信用アンテナ9aが走行風を受ける位置に設けられる場合であっても、車車間通信用アンテナ9aの設置によって走行性能に影響が生じることが抑制され得る。また、車車間通信用アンテナ9aは、アンテナ線が、車車間通信用アンテナ9aから、前照灯6による光の照射方向と反対の方向、即ち、リーン車両1の前後方向において、リーン車両1の後方向に出るように構成されている。この時、車車間通信用アンテナ9aのアンテナ線が、光源61のケーブルと束ねられて、灯体62から出るように構成されてもよい。また、車車間通信用アンテナ9aのアンテナ線は、光源61のケーブルとは別に、灯体62から出るように構成されてもよい。さらに、車車間通信用アンテナ9は、アンテナ線が、前照灯6のカプラに近く且つカプラと異なる位置から出るように構成されている。車車間通信用アンテナ9は、前照灯6の結線作業と車車間通信用アンテナ9aの結線作業とが同一方向から実施され得る位置からアンテナ線が出るように構成されている。これにより、車車間通信用アンテナ9aの組立作業の効率が向上する。また、車車間通信用アンテナ9aのコンパクトな配置も実現され得る。
【0059】
図3は、図1に記載のリーン車両1を示す部分拡大背面図である。図3に示す通り、尾灯7は、灯体72に配置された光源71を備える。灯体72は、灯火器の部品を収容する。灯体72は、灯火器及びアンテナ以外の部品を収容していない。車車間通信用アンテナ9bは、直立状態のリーン車両1を前後方向に見た場合に、尾灯7と全体的又は部分的に重なるように灯体72に設けられている。詳細には、車車間通信用アンテナ9は、少なくとも一部が尾灯7の灯体72に収容される。また、車車間通信用アンテナ9bは、上端が尾灯7の光源71よりも上に位置するように灯体72に設けられる。さらに、車車間通信用アンテナ9bは、灯体72の光源71が配置されている位置を避けて配置される。リーン車両1の前後方向における灯体72の後部は、カバーに覆われている。
【0060】
図3のように車車間通信用アンテナ9bを配置することにより、車車間通信用アンテナ9bを含む尾灯7全体として、車車間通信用アンテナ9bのコンパクトな配置が実現され得る。また、車車間通信用アンテナ9bは、風圧の影響を受けにくい。また、車車間通信用アンテナ9bは、リーン車両1の外から視認されることなく、デザインにおいても、リーン車両1の外観的特徴を損ねることがない。さらに、車車間通信用アンテナ9bは、リーン車体2の車幅方向の中央付近に設けられるため、車車間通信用アンテナ9bの電波の放射領域の左右の偏りがなくなり、通信性を確保できる。なお、本実施形態において、光源61は、複数あってもよい。また、車車間通信用アンテナ9aは、複数あってもよい。
【0061】
図3において、車車間通信用アンテナ9bは、直立状態のリーン車両1を前後方向に見た場合に、尾灯7の灯体72と全体的又は部分的に重なる位置においてアンテナ線と接続されるように構成されている。このような配置により、尾灯7全体として車車間通信用アンテナ9bのコンパクトな配置が実現され得る。また、車車間通信用アンテナ9bが走行風を受ける位置に設けられる場合であっても、車車間通信用アンテナ9bの設置によって走行性能に影響が生じることが抑制され得る。また、車車間通信用アンテナ9bは、アンテナ線が、車車間通信用アンテナ9bから、尾灯7による光の照射方向と反対の方向、即ち、リーン車両1の前後方向における前方向に出るように構成されている。この時、車車間通信用アンテナ9bは、アンテナ線が、光源71のケーブルと束ねられて、灯体72から出るように構成されてもよい。また、車車間通信用アンテナ9bは、アンテナ線が、光源71のケーブルとは別に、灯体72から出るように構成されてもよい。さらに、車車間通信用アンテナ9bは、アンテナ線が、尾灯7のカプラに近く且つカプラと異なる位置から出るように構成されている。車車間通信用アンテナ9bは、尾灯7の結線作業と車車間通信用アンテナ9bの結線作業とが同一方向から実施され得る位置からアンテナが出るように構成されている。これにより、車車間通信用アンテナ9bの組立作業の効率が向上する。また、車車間通信用アンテナ9bのコンパクトは配置も実現され得る。
【0062】
図3において、車車間通信用アンテナ9bは、アンテナ線が、車車間通信用アンテナ9bから、リーン車両1の前方向に出るように構成されている。
【0063】
図4は、図1に記載のリーン車両1の車車間通信用アンテナ9aの配置のさらなる他の例を示す部分拡大正面図である。図4のリーン車両1では、車車間通信用アンテナ9aは、直立状態のリーン車両1を前後方向に見た場合に、前照灯6と全体的又は部分的に重なるように灯体62に設けられている。詳細には、車車間通信用アンテナ9aが、前照灯6の灯体62の中に配置されたリフレクタ64の上端部に配置している。灯体62は、灯火器としての前照灯6の部品を収容する。灯体62は、灯火器及びアンテナ以外の部品を収容していない。車車間通信用アンテナ9aは、前照灯6を前方に見た場合、レンズ67を通して見える範囲外に配置されている。車車間通信用アンテナ9aを、前照灯6の灯体62の中に配置されたリフレクタ64の上端に配置することにより、車車間通信用アンテナ9aを含む前照灯6全体として、車車間通信用アンテナ9aのコンパクトな配置が実現され得る。また、車車間通信用アンテナ9aは、風圧の影響を受けにくい。また、車車間通信用アンテナ9aは、リーン車両1の外から視認されることなく、デザインにおいても、リーン車両の外観的特徴を損ねることがない。さらに、車車間通信用アンテナ9aは、リーン車体2の車幅方向の中央付近に設けられるため、車車間通信用アンテナ9aの電波の放射領域の左右の偏りがなくなり、通信性を確保できる。
【0064】
図4において、車車間通信用アンテナ9aのアンテナ線68は、車車間通信用アンテナ9aから、リーン車両1の後方向に出るように構成されている。車車間通信用アンテナ9aのアンテナ線68は、光源61のケーブルとは別に灯体62から出るように構成されている。さらに、車車間通信用アンテナ9aのアンテナ線68は、カプラ65の取付位置に近く且つ取付位置と異なる位置から出るように構成されてもよい。車車間通信用アンテナ9aにおける灯体62の結線作業が車車間通信用アンテナ9aの作業と同一方向から実施され得る。なお、車車間通信用アンテナ9aのアンテナ線68は、光源61のケーブルと束ねられて、灯体62から出るように構成されてもよい。
【0065】
図5Aは、図1に記載のリーン車両1の車車間通信用アンテナ9aの配置のさらなる他の例を示す部分拡大正面図である。また、図5Bは、図1に記載のリーン車両1の車車間通信用アンテナ9aの配置のさらなる他の例を示す部分拡大側面図である。図5A及び図5Bのリーン車両1では、車車間通信用アンテナ9が、リーン車体2の本体部4に取り付けられたカウル10内に配置されている。ここで、車車間通信用アンテナ9aは、直立状態のリーン車両1を前後方向に見た場合に、前照灯6と全体的又は部分的に重なるように灯体62に設けられている。詳細には、車車間通信用アンテナ9aは、カウル10に設けられた前照灯6の灯体62の一部を形成するリフレクタ64の上端部に配置されている。灯体62は、灯火器としての前照灯6の部品を収容する。灯体62は、灯火器及びアンテナ以外の部品を収容していない。車車間通信用アンテナ9は、前照灯6を前方に見た場合、レンズ67を通して見える範囲外に配置されている。車車間通信用アンテナ9aを、本体部4に取り付けられたカウル10内に配置した場合、車車間通信用アンテナ9aは、風圧の影響を受けにくい。また、車車間通信用アンテナ9aは、リーン車両1の外から視認されることなく、デザインにおいても、リーン車両1の外観的特徴を損ねることがない。さらに、車車間通信用アンテナ9aは、リーン車体2の車幅方向の中央付近に設けられるため、車車間通信用アンテナ9aの電波の放射領域の左右の偏りがなくなり、通信性を確保できる。
【0066】
図5A及び図5Bにおいて、車車間通信用アンテナ9aは、アンテナ線が、車車間通信用アンテナ9aから、リーン車両1の後方向に出るように構成されている。車車間通信用アンテナ9aは、アンテナ線が、光源61のケーブルと束ねられて、灯体62から出るように構成されてもよい。また、車車間通信用アンテナ9aは、アンテナ線が、光源61のケーブルとは別に、灯体62から出るように構成されてもよい。
【0067】
ここで、図6を参照して、リーン車両1の車車間通信用アンテナ9aの位置について説明する。図6は、図1に記載のリーン車両1の車車間通信用アンテナ9aの位置を示す正面図である。ここで、図6のパート(a)は、図1に記載のリーン車両1の直立状態における車車間通信用アンテナ9aの位置を示す正面図である。また、図6のパート(b)及び(c)は、図1に記載のリーン車両1のリーン姿勢における車車間通信用アンテナ9aの位置を示す正面図である。ここで、図6のパート(b)におけるリーン車両1のリーンの傾斜角は、図6のパート(c)におけるリーン車両1のリーンの傾斜角より小さい。
【0068】
図6のパート(b)及び(c)では、リーン車両1は、前輪3a及び後輪3b(図1参照)が地面Gの接地位置Xに接地した状態で進行方向左方向に傾斜する。先ず、直立状態では、リーン車両1の中心線Y0は、地面Gと垂直である。なお、中心線Y0は、直立状態のリーン車両1の車幅方向中心を通って上下方向に延びる線である。ZA0は、車車間通信用アンテナ9aの高さを示す。また、ZL0は、前照灯6の下端の高さを示す。リーン車両1の左方向への傾斜角がθ1に達すると(図6のパート(b))、中心線Y0がY1に移動する。この時の車車間通信用アンテナ9aの地面Gからの高さは、ZA1である。また、前照灯6の下端の高さは、ZL1である。リーン車両1の左方向への傾斜角がθ2に達すると(図6のパート(c))、中心線Y1がY2に移動する。この時の車車間通信用アンテナ9aの地面Gからの高さは、ZA2である。また、前照灯6の下端の高さは、ZL2である。
【0069】
このように、図6では、リーン車両1の左方向へのリーンの傾斜角の増加に応じて、車車間通信用アンテナ9aの地面Gからの高さZA1、ZA2が低くなっている(ZA0>ZA1>ZA2)。また、リーン車両1の左方向へのリーンの傾斜角の増加に応じて、前照灯6の下端の地面Gからの高さZL1、ZL2も低くなっている(ZL0>ZL1>ZL2)。この時、リーン車両1が傾斜角θ2まで傾斜したとしても、車車間通信用アンテナ9aの地面Gからの高さZA2は、直立状態における前照灯6の下端の地面Gからの高さZL0よりも高く位置する。従って、車車間通信用アンテナ9aは、旋回時に車車間通信用アンテナ9aの高さが下がり難く、直進状態と旋回状態とでの車車間通信用アンテナ9aの高さの変化が抑制され得る。以上により、リーン車両1の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送受信性能の変化を抑制することができる。
【0070】
次に、図7を参照して、リーン車両1の車車間通信用アンテナ9bの位置について説明する。図7は、図1に記載のリーン車両1の車車間通信用アンテナ9bの位置を示す背面図である。ここで、図7のパート(a)は、図1に記載のリーン車両1の直立状態における車車間通信用アンテナ9bの位置を示す背面図である。また、図7のパート(b)及び(c)は、図1に記載のリーン車両1のリーン姿勢における車車間通信用アンテナ9bの位置を示す背面図である。ここで、のパート図7(b)におけるリーン車両1のリーンの傾斜角は、図7のパート(c)におけるリーン車両1のリーンの傾斜角より小さい。
【0071】
図7のパート(b)及び(c)では、リーン車両1は、前輪3a及び後輪3b(図1参照)が地面Gの接地位置Xに接地した状態で進行方向右方向に傾斜する。先ず、直立状態では、リーン車両1の中心線Y0は、地面Gと垂直である。なお、中心線Y0は、直立状態のリーン車両1の車幅方向中心を通って上下方向に延びる線である。TZA0は、車車間通信用アンテナ9bの高さを示す。また、TZL0は、尾灯7の下端の高さを示す。リーン車両1の左方向への傾斜角がθ1に達すると(図7のパート(b))、中心線Y0がY1に移動する。この時の車車間通信用アンテナ9bの地面Gからの高さはTZA1である。また、尾灯7の下端の高さはTZL1である。リーン車両1の左方向への傾斜角がθ2に達すると(図7のパート(c))、中心線Y1がY2に移動する。この時の車車間通信用アンテナ9bの地面Gからの高さはTZA2である。また、尾灯7の下端の高さはTZL2である。
【0072】
このように、図7では、リーン車両1の左方向へのリーンの傾斜角の増加に応じて、車車間通信用アンテナ9bの地面Gからの高さTZA1、TZA2が低くなっている(TZA0>TZA1>TZA2)。また、リーン車両1の左方向へのリーンの傾斜角の増加に応じて、尾灯7下端の地面Gからの高さTZL1、TZL2も低くなっている(TZL0>TZL1>TZL2)。この時、リーン車両1が傾斜角θ2まで傾斜したとしても、車車間通信用アンテナ9bの地面Gからの高さTZA2は、直立状態における尾灯7下端の地面Gからの高さTZL0よりも高く位置する。従って、車車間通信用アンテナ9bは、旋回時に車車間通信用アンテナの高さが下がり難く、直進状態と旋回状態とでの車車間通信用アンテナの高さの変化が抑制され得る。以上により、リーン車両の直進中と旋回中との違いに依存する車車間通信の送信性能の変化を抑制することができる。
【0073】
次に、図8(a)及び(b)を参照して、リーン車両1の車車間通信用アンテナ9aの電波の放射領域について説明する。図8は、図1に記載のリーン車両1の車車間通信用アンテナ9aの車幅方向の電波の放射領域を示す正面図である。図8のパート(a)は、図1に記載のリーン車両1の直立状態における車車間通信用アンテナ9aの車幅方向の電波の放射領域を示す正面図である。また、図8のパート(b)は、図1に記載のリーン車両1のリーン姿勢における車幅方向の電波の放射領域を示す正面図である。
【0074】
リーン車両1の直立状態における車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域を、図8(a)に示す。図8(a)に示すように、リーン車両1は、平坦な地面Gに対して直立している。車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域の進行方向右上縁端L1は、車車間通信用アンテナ9aから、車車間通信用アンテナ9aを通る水平線Hよりも角度θ1だけ斜め上方向に伸びている。車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域の進行方向右下縁端L2は、車車間通信用アンテナ9aから、車車間通信用アンテナ9aを通る水平線Hよりも角度θ2だけ斜め下方向に伸びている。従って、車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における進行方向右方向の電波の放射領域は、L1とL2との間の領域E1である。また、車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域の進行方向左上縁端L3は、車車間通信用アンテナ9aから、車車間通信用アンテナ9aを通る水平線Hよりも角度θ3だけ斜め上方向に伸びている。車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域の進行方向左下縁端L4は、車車間通信用アンテナ9aから、車車間通信用アンテナ9aを通る水平線Hよりも角度θ4だけ下方向に伸びている。従って、車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における進行方向右方向の電波の放射領域は、L3とL4との間の領域E2である。
【0075】
一方で、リーン車両1が傾斜した状態における車車間通信用アンテナ9aの車幅方向の電波の放射領域を、図8(b)に示す。図8(b)に示すように、リーン車両1は、平坦な地面Gに対して角度θ0だけ進行方向左方向に傾斜している。車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域の進行方向右上縁端L1は、車車間通信用アンテナ9aから、車車間通信用アンテナ9aを通る水平線Hよりも角度θ5(=θ1+θ0)だけ斜め上方向に伸びている。車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域の進行方向右下縁端L2は、車車間通信用アンテナ9aから、車車間通信用アンテナ9aを通る水平線Hよりも角度θ6(=θ2-θ0)だけ下方向に伸びている。従って、θ2>θ0であれば、車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域は、車車間通信用アンテナ9aの車幅方向の電波は、進行方向右下方向の放射領域を確保できる。
【0076】
また、車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域の進行方向左上縁端L3は、車車間通信用アンテナ9aから、車車間通信用アンテナ9aを通る水平線Hよりも角度θ7(=θ3-θ0)だけ斜め上方向に伸びている。車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波の放射領域の進行方向左下縁端L4は、車車間通信用アンテナ9aから、車車間通信用アンテナ9aを通る水平線Hよりも角度θ8(=θ4+θ0)だけ下方向に伸びている。従って、θ3>θ0であれば、車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における進行方向左方向電波の放射領域は、L3とL4との間の領域E2であるため、車車間通信用アンテナ9aの車幅方向における電波は、進行方向左上方向の放射領域を確保できる。
【0077】
従って、リーン車両1が傾斜した状態においても、車車間通信用アンテナ9aは、地面に対して水平方向の指向性を有する。これは、リーン車両1のリーン車体2が直立姿勢の時に、地面と水平方向に対し斜め方向に電波を放射することにより、電波の放射領域に上下方向の幅を持たせることができるからである。
【0078】
従って、リーン車両1が左又は右に旋回中に傾斜した場合においても、リーン車両の前方かつ左方向及び右方向の領域に存在する車両と、直進中と同様の状態で車車間通信を行うことができる。また、リーン車両1の尾灯7に設けられた車車間通信用アンテナ9bについても、同様のことがいえる。
【符号の説明】
【0079】
1 リーン車両
2 リーン車体
3 リーン車輪
4 本体部
5 ハンドル部
3a 前輪
3b 後輪
6 前照灯
7 尾灯
8 車車間通信装置
9、9a、9b 車車間通信用アンテナ
10 カウル
41 エンジン
42 ステアリングヘッドパイプ
50 フロントフォーク
51 ステアリングハンドル
52a、52b フォークパイプ
53 ハンドルブラケット
54 アンダーブラケット
55 ステアリング軸
56 アクセルグリップ
61、71 光源
62、72 灯体
63 カバー
65 カプラ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8