(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】鋼管用ねじ継手
(51)【国際特許分類】
F16L 15/04 20060101AFI20221003BHJP
E21B 17/042 20060101ALI20221003BHJP
E21B 17/08 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
F16L15/04 A
E21B17/042
E21B17/08
(21)【出願番号】P 2020563221
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2019050190
(87)【国際公開番号】W WO2020137917
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2018240644
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595099867
【氏名又は名称】バローレック・オイル・アンド・ガス・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】井瀬 景太
(72)【発明者】
【氏名】中野 日香理
(72)【発明者】
【氏名】杉野 正明
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-507665(JP,A)
【文献】特表2013-543090(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0027363(US,A1)
【文献】特開平10-089554(JP,A)
【文献】特開2000-240862(JP,A)
【文献】特表2006-526747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/04
E21B 17/042
E21B 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管用ねじ継手であって、
管状のピンと、
前記ピンがねじ込まれて前記ピンと締結される管状のボックスとを備え、
前記ピンは、
前記ピンの先端側に位置し、前記ピンの外周面に形成されるテーパ状の内雄ねじと、
前記ピンの先端と反対側に位置し、前記ピンの外周面に形成されるテーパ状の外雄ねじと、
前記内雄ねじと前記外雄ねじとの間に形成されるピン中間ショルダ面とを含み、
前記ボックスは、
前記内雄ねじに対応し、前記ボックスの内周面に形成されるテーパ状の内雌ねじと、
前記外雄ねじに対応し、前記ボックスの内周面に形成されるテーパ状の外雌ねじと、
前記ピン中間ショルダ面に対向し、前記ピン及び前記ボックスが締結されているときに前記ピン中間ショルダ面と接触するボックス中間ショルダ面とを含み、
前記内雄ねじ、前記外雄ねじ、前記内雌ねじ、及び前記外雌ねじの各々は、完全ねじ部を含み、前記完全ねじ部の各々は、前記ピンの先端側に位置する内端と、前記ピンの先端と反対側に位置する外端とを含み、
互いに締結された前記ピン及び前記ボックスは、前記鋼管の軸を含む縦断面を有し、前記縦断面上に導入された直交座標系は、前記鋼管の軸に設定されたx軸と、前記鋼管の半径に設定されたy軸と、前記ピン中間ショルダ面及び前記ボックス中間ショルダ面を含む平面と前記鋼管の軸との交点に設定された原点(0,0)とを有し、
次の式(1)及び(2)を満たす、鋼管用ねじ継手。
x
1+L
1<X
2 (1)
u
1+L
2<U
2 (2)
式(1)及び(2)中、
【数1】
(x
1,y
1)は、前記内雄ねじの完全ねじ部の内端の座標であり、
(x
2,y
2)は、前記内雄ねじの完全ねじ部の外端の座標であり、
(u
1,v
1)は、前記外雄ねじの完全ねじ部の内端の座標であり、
(u
2,v
2)は、前記外雄ねじの完全ねじ部の外端の座標であり、
(X
1,Y
1)は、前記内雌ねじの完全ねじ部の内端の座標であり、
(X
2,Y
2)は、前記内雌ねじの完全ねじ部の外端の座標であり、
(U
1,V
1)は、前記外雌ねじの完全ねじ部の内端の座標であり、
(U
2,V
2)は、前記外雌ねじの完全ねじ部の外端の座標である。
【請求項2】
請求項1に記載の鋼管用ねじ継手であって、
前記ピンはさらに、
前記ピンの先端部に形成されるノーズと、
前記ノーズと前記内雄ねじとの間に形成されるピン内シール面と、
前記外雄ねじと前記ピン中間ショルダ面との間に形成されるピン中間シール面とを含み、
前記ボックスはさらに、
前記ピン内シール面に対向し、前記ピン及び前記ボックスが締結されているときに前記ピン内シール面と接触するボックス内シール面と、
前記ピン中間シール面に対向し、前記ピン及び前記ボックスが締結されているときに前記ピン中間シール面と接触するボックス中間シール面とを含む、鋼管用ねじ継手。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の鋼管用ねじ継手であって、
前記ピン中間シール面は、外雌ねじの頂面の包絡線よりも小さい径を有する、鋼管用ねじ継手。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の鋼管用ねじ継手であって、さらに、
次の式(3)及び(4)を満たす、鋼管用ねじ継手。
X
2-(x
1+L
1)≧5mm (3)
U
2-(u
1+L
2)≧5mm (4)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鋼管の連結に用いられるねじ継手に関する。
【背景技術】
【0002】
油井、天然ガス井等(以下、総称して「油井」ともいう)においては、地下資源を採掘するためにケーシング、チュービング等の油井管が使用される。油井管は鋼管が順次連結されて成り、その連結にねじ継手が用いられる。
【0003】
この種の鋼管用ねじ継手の形式は、カップリング型とインテグラル型とに大別される。カップリング型の場合、連結対象の一対の管材のうち、一方の管材が鋼管であり、他方の管材がカップリングである。この場合、鋼管の両端部の外周に雄ねじ部が設けられ、カップリングの両端部の内周に雌ねじ部が設けられる。そして、鋼管の雄ねじ部がカップリングの雌ねじ部にねじ込まれ、これにより両者が締結されて連結される。インテグラル型の場合、連結対象の一対の管材がともに鋼管であり、別個のカップリングを用いない。この場合、鋼管の一端部の外周に雄ねじ部が設けられ、他端部の内周に雌ねじ部が設けられる。そして、一方の鋼管の雄ねじ部が他方の鋼管の雌ねじ部にねじ込まれ、これにより両者が締結されて連結される。
【0004】
一般に、雄ねじ部が形成された管端部の継手部分は、雌ねじ部に挿入される要素を含むことから、ピンと称される。一方、雌ねじ部が形成された管端部の継手部分は、雄ねじ部を受け入れる要素を含むことから、ボックスと称される。これらのピンとボックスは、管材の端部であるため、いずれも管状である。
【0005】
近年、高温・高圧の過酷な環境となる大深度井戸の開発が増加しており、これらの井戸で使用される油井管用ねじ継手にはさらなる密封性能の向上が要求されている。特に深井戸では引張/圧縮荷重及び外圧が高くなるため、引張/圧縮荷重下における外圧に対する密封性能を向上させる必要がある。
【0006】
油井管用ねじ継手は、シール部で高い密封性能を発揮する。一般に、ピンのシール部の直径はボックスのシール部の直径よりも大きい。そのため、締結状態では両シール部は互いに嵌め合い密着して締まりばめの状態となり、メタル接触によるシール部を形成する。ピンのシール部の直径とボックスのシール部の直径との間の差は「シール干渉量」と呼ばれる。シール干渉量が大きいほどシール接触力が高くなり、良好な密封性能が得られる。
【0007】
外圧に対する密封性能を向上させるためには、外圧が作用するピンのシール部の肉厚を厚くすることが有効である。これにより、ねじ継手に外圧が負荷された際のピンのシール部の縮径抵抗が高まるため、実質的なシール干渉量の低下が小さくなり、シール接触力の低下が小さくなる。加えて、高い引張/圧縮荷重下でも安定した密封性能を発揮するためには、一定のねじ部の長さやショルダ面の面積も必要である。
【0008】
国際公開第2015/194160号(特許文献1)は、内圧及び外圧に対する密封性能を向上させる鋼管用ねじ継手を開示する(0020段落参照)。このねじ継手は、ピンの先端(油井管本体の管端)側から順に、ショルダ面、第1シール面、第1雄/雌ねじ部、補助ショルダ面、環状部、第2シール面、及び第2雄/雌ねじ部を備える(0063段落及び
図6参照)。
【0009】
以下、第1雄ねじ部を「内雄ねじ」、第1雌ねじ部を「内雌ねじ」、第2雄ねじ部を「外雄ねじ」、第2雌ねじ部を「外雌ねじ」といい、内雄ねじ及び内雌ねじを総称して「内ねじ」、外雄ねじ及び外雌ねじを総称して「外ねじ」といい、内ねじ及び外ねじを備えたねじ継手を「2段ねじ継手」という。
【0010】
特開平10-89554号公報(特許文献2)は、トルクショルダ部のみが高強度で、かつ耐圧縮性能及び耐腐食性能に優れたスリム型の油井管用ねじ継手を開示する(0016段落参照)。このねじ継手は、ピン部とボックス部とを螺合締結するためのねじ部、油井管の内圧若しくは外圧又はその両方に対して密封性能を確保するためのシール部、及び締結トルクを管理するためのトルクショルダ部を備えたインテグラル方式の油井管用ねじ継手であって、トルクショルダ部の強度が継手の他の部位及び油井管本体よりも高い(0018段落及び
図1参照)。これも「2段ねじ継手」である。
【0011】
国際公開第2017/104282号(特許文献3)は、優れた密封性能を確保するとともに、すき間腐食の発生を抑制することが可能な鋼管用ねじ継手を開示する(0017段落参照)。このねじ継手は、内ショルダ及び中間ショルダが同時に接触するように、中間ショルダ同士の干渉量δ
shldを規定している(0050~0057段落及び
図3参照)。これも「2段ねじ継手」である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2015/194160号
【文献】特開平10-89554号公報
【文献】国際公開第2017/104282号
【文献】PCT/JP2018/039964
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、2段ねじ継手を締結し始めるとき、内ねじ及び外ねじの一方に焼付きが発生しやすいことを新たに見出した。
【0014】
本開示の目的は、内ねじ及び外ねじの両方に焼付きが発生しにくい鋼管用ねじ継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、2段ねじ継手を締結し始めるとき、内ねじ及び外ねじの一方に焼付きが発生しやすい原因を分析した結果、以下の知見を新たに得た。2段ねじ継手を締結するとき、内ねじが接触した後に外ねじが接触する場合と、外ねじが接触した後に内ねじが接触する場合とがある。締結開始時は、ねじが完全に噛み合っていないため、ピン及びボックスの軸芯が完全に一致していない、いわゆるミスアライメント状態で締結が進む。そのため、内ねじが先に接触する場合は、内ねじに過大な負荷がかかり、外ねじが先に接触する場合は、外ねじに過大な負荷がかかる。過大な負荷がかかる内ねじ又は外ねじでは、面圧が局所的に高くなるため、焼付きが発生しやすい。
【0016】
本開示に係る鋼管用ねじ継手は、管状のピンと、ピンがねじ込まれてピンと締結される管状のボックスとを備える。ピンは、テーパ状の内雄ねじと、テーパ状の外雄ねじと、ピン中間ショルダ面とを含む。内雄ねじは、ピンの先端側に位置し、ピンの外周面に形成される。外雄ねじは、ピンの先端と反対側に位置し、ピンの外周面に形成される。ピン中間ショルダ面は、内雄ねじと外雄ねじとの間に形成される。ボックスは、テーパ状の内雌ねじと、テーパ状の外雌ねじと、ボックス中間ショルダ面とを含む。内雌ねじは、内雄ねじに対応し、ボックスの内周面に形成される。外雌ねじは、外雄ねじに対応し、ボックスの内周面に形成される。ボックス中間ショルダ面は、ピン中間ショルダ面に対向し、ピン及びボックスが締結されているときにピン中間ショルダ面と接触する。
【0017】
内雄ねじ、外雄ねじ、内雌ねじ、及び外雌ねじの各々は、完全ねじ部を含む。完全ねじ部の各々は、ピンの先端側に位置する内端と、ピンの先端と反対側に位置する外端とを含む。互いに締結されたピン及びボックスは、鋼管の軸を含む縦断面を有する。縦断面上に導入された直交座標系は、鋼管の軸に設定されたx軸と、鋼管の半径に設定されたy軸と、ピン中間ショルダ面及びボックス中間ショルダ面を含む平面と鋼管の軸との交点に設定された原点(0,0)とを有する。
【0018】
上記鋼管用ねじ継手は、次の式(1)及び(2)を満たす。
x1+L1<X2 (1)
u1+L2<U2 (2)
【0019】
式(1)及び(2)中の変数は、次の通り定義される。
【数1】
【0020】
(x1,y1)は、内雄ねじの完全ねじ部の内端の座標である。(x2,y2)は、内雄ねじの完全ねじ部の外端の座標である。(u1,v1)は、外雄ねじの完全ねじ部の内端の座標である。(u2,v2)は、外雄ねじの完全ねじ部の外端の座標である。(X1,Y1)は、内雌ねじの完全ねじ部の内端の座標である。(X2,Y2)は、内雌ねじの完全ねじ部の外端の座標である。(U1,V1)は、外雌ねじの完全ねじ部の内端の座標である。(U2,V2)は、外雌ねじの完全ねじ部の外端の座標である。
【発明の効果】
【0021】
上記鋼管用ねじ継手によれば、内ねじ及び外ねじがほぼ同時に接触するため、内ねじ及び外ねじに焼付きが発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る鋼管用ねじ継手を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるねじ継手をピン及びボックスに分離して直交座標系で示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図2中のIII部の他の例を示す拡大図である。
【
図6】
図6は、
図1及び
図2中の内ねじの締結開始から締結完了まで動きを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[構成1]
本実施の形態に係る鋼管用ねじ継手は、管状のピンと、ピンがねじ込まれてピンと締結される管状のボックスとを備える。ピンは、テーパ状の内雄ねじと、テーパ状の外雄ねじと、ピン中間ショルダ面とを含む。内雄ねじは、ピンの先端側に位置し、ピンの外周面に形成される。外雄ねじは、ピンの先端と反対側に位置し、ピンの外周面に形成される。ピン中間ショルダ面は、内雄ねじと外雄ねじとの間に形成される。ボックスは、テーパ状の内雌ねじと、テーパ状の外雌ねじと、ボックス中間ショルダ面とを含む。内雌ねじは、内雄ねじに対応し、ボックスの内周面に形成される。外雌ねじは、外雄ねじに対応し、ボックスの内周面に形成される。ボックス中間ショルダ面は、ピン中間ショルダ面に対向し、ピン及びボックスが締結されているときにピン中間ショルダ面と接触する。
【0024】
内雄ねじ、外雄ねじ、内雌ねじ、及び外雌ねじの各々は、完全ねじ部を含む。完全ねじ部の各々は、ピンの先端側に位置する内端と、ピンの先端と反対側に位置する外端とを含む。互いに締結されたピン及びボックスは、鋼管の軸を含む縦断面を有する。縦断面上に導入された直交座標系は、鋼管の軸に設定されたx軸と、鋼管の半径に設定されたy軸と、ピン中間ショルダ面及びボックス中間ショルダ面を含む平面と鋼管の軸との交点に設定された原点(0,0)とを有する。
【0025】
上記鋼管用ねじ継手は、次の式(1)及び(2)を満たす。
x1+L1<X2 (1)
u1+L2<U2 (2)
【0026】
式(1)及び(2)中の変数は、次の通り定義される。
【数2】
【0027】
(x1,y1)は、内雄ねじの完全ねじ部の内端の座標である。(x2,y2)は、内雄ねじの完全ねじ部の外端の座標である。(u1,v1)は、外雄ねじの完全ねじ部の内端の座標である。(u2,v2)は、外雄ねじの完全ねじ部の外端の座標である。(X1,Y1)は、内雌ねじの完全ねじ部の内端の座標である。(X2,Y2)は、内雌ねじの完全ねじ部の外端の座標である。(U1,V1)は、外雌ねじの完全ねじ部の内端の座標である。(U2,V2)は、外雌ねじの完全ねじ部の外端の座標である。
【0028】
構成1によれば、内ねじ及び外ねじがほぼ同時に接触するため、内ねじ及び外ねじに焼付きが発生しにくい。
【0029】
[構成2]
構成1に記載の鋼管用ねじ継手において、ピンはさらに、ピンの先端部に形成されるノーズと、ノーズと内雄ねじとの間に形成されるピン内シール面と、外雄ねじとピン中間ショルダ面との間に形成されるピン中間シール面とを含んでもよい。ボックスはさらに、ピン内シール面に対向し、ピン及びボックスが締結されているときにピン内シール面と接触するボックス内シール面と、ピン中間シール面に対向し、ピン及びボックスが締結されているときにピン中間シール面と接触するボックス中間シール面とを含んでもよい。
【0030】
[構成3]
構成1又は2に記載の鋼管用ねじ継手において、ピン中間シール面は、外雌ねじの頂面の包絡線よりも小さい径を有してもよい。
【0031】
構成3によれば、外雌ねじとピン中間シール面との接触を回避することができる。
【0032】
[構成4]
構成1~3のいずれかに記載の鋼管用ねじ継手は、さらに、次の式(3)及び(4)を満たしてもよい。
X2-(x1+L1)≧5mm (3)
U2-(u1+L2)≧5mm (4)
【0033】
構成4によれば、内ねじ及び外ねじが5mm以上接触することができる。
【0034】
以下、図面を参照し、本実施の形態を詳細に説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0035】
[鋼管用ねじ継手の構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る鋼管用ねじ継手1は、カップリング型のねじ継手であって、管状のピン10と、ピン10がねじ込まれてピン10と締結される管状のボックス20とを備える。
【0036】
ピン10は、ノーズ12と、テーパ状の内雄ねじ14と、テーパ状の外雄ねじ17と、ピン内シール面13と、ピン中間ショルダ面18と、ピン中間シール面16と、ピン環状部15aとを含む。
【0037】
ノーズ12は、ピン10の先端部に形成される。内雄ねじ14は、ピン10の先端側に位置し、ピン10の外周面に形成される。外雄ねじ17は、ピン10の先端と反対側に位置し、ピン10の外周面に形成される。ピン内シール面13は、ノーズ12と内雄ねじ14との間に形成される。ピン中間ショルダ面18は、内雄ねじ14と外雄ねじ17との間に形成される。ピン中間シール面16は、外雄ねじ17とピン中間ショルダ面18との間に形成される。ピン環状部15aは、ピン中間ショルダ面18とピン中間シール面16との間に形成される。
【0038】
ボックス20は、凹部22と、テーパ状の内雌ねじ24と、テーパ状の外雌ねじ27と、ボックス内シール面23と、ボックス中間ショルダ面28と、ボックス中間シール面26と、ボックス環状部25aとを含む。
【0039】
凹部22は、ノーズ12に対応する。内雌ねじ24は、内雄ねじ14に対応し、ボックス20の内周面に形成される。外雌ねじ27は、外雄ねじ17に対応し、ボックス20の内周面に形成される。ボックス内シール面23は、ピン内シール面13に対向し、ピン10及びボックス20が締結されているときにピン内シール面13と接触する。ボックス中間ショルダ面28は、ピン中間ショルダ面18に対向し、ピン10及びボックス20が締結されているときにピン中間ショルダ面18と接触する。ボックス中間シール面26は、ピン中間シール面16に対向し、ピン10及びボックス20が締結されているときにピン中間シール面16と接触する。ボックス環状部25aは、ピン環状部15aに対向し、ピン10及びボックス20が締結されているときにピン環状部15aから離間する。
【0040】
以下、内雄ねじ14及び内雌ねじ24を総称して「内ねじ14,24」という場合ある。外雄ねじ17及び外雌ねじ27を総称して「外ねじ17,27」という場合ある。このねじ継手1は、内ねじ14,24及び外ねじ17,27を備えた2段ねじ継手である。
【0041】
ピン内シール面13及びピン中間シール面16は、それぞれ、先端側ほど直径が縮小した円錐台の周面に相当する面から成る形状、又はその円錐台の周面と、円弧等の曲線を鋼管の軸(以下、単に「管軸」という場合がある。)CL周りに回転して得られる回転体の周面に相当する面とを組み合わせた形状をしている。
【0042】
ノーズ12は筒状であり、管軸CL方向においてピン内シール面13に隣接する。ただし、ノーズ12の外周面は、ピン内シール面13のテーパと傾きが同じであるか、小さい(緩い)、又は大きい(急な)テーパ面であってもよい。ノーズ12の外周面がテーパ面である場合、当該外周面は、厳密には、先端側ほど直径が縮小した円錐台の周面に相当する面から成る形状、又はその円錐台の周面と、円弧等の曲線を管軸CL周りに回転して得られる回転体の周面に相当する面とを組み合わせた形状をしている。
【0043】
ピン10はさらに、ピン10の先端に形成されるピン補助ショルダ面11を含む。ボックス20はさらに、ピン補助ショルダ面11に対向するボックス補助ショルダ面21を含む。ピン補助ショルダ面11は、ピン10及びボックス20が締結されているときにボックス補助ショルダ面21と接触してもよいが、接触しなくてもよい。
【0044】
ピン補助ショルダ面11は、管軸CLにほぼ垂直な環状面である。厳密には、補助ショルダ面11の外周側がピン10の先端側に向けて僅かに傾倒する。
【0045】
中間ショルダ面18は、内雄ねじ14とピン環状部15aとの間に配置される。中間ショルダ面18は、ピン環状部15aに隣接する。本実施の形態において、中間ショルダ面18は、管軸CLに垂直な環状面である。もっとも、中間ショルダ面18は、補助ショルダ面11と同様に、その外周側がピン10の先端側に向けて僅かに傾倒していてもよい。
【0046】
ピン環状部15aは、管軸CL方向においてピン中間シール面16の前方に隣接する。内雄ねじ14はピン環状部15aに隣接する。ピン環状部15bは、管軸CL方向においてピン中間シール面16の後方に隣接する。外雄ねじ17はピン環状部15bに隣接する。ピン環状部15aの外周面は、その剛性を確保できる形状であればよく、例えば筒面や内雄ねじ14のねじテーパよりも小さい(緩い)テーパ面であってもよいし、湾曲面であってもよい。ピン環状部15bの外周面も同様である。
【0047】
ボックス内シール面23は、ピン内シール面13に向けて突出する。ただし、ボックス内シール面23は、突出しなくてもよい。その場合、ピン内シール面13がボックス内シール面23に向けて突出する。
【0048】
内雄ねじ14及び内雌ねじ24は、互いに噛み合うテーパねじであり、かつ、台形ねじである。外雄ねじ17及び外雌ねじ27もまた、互いに噛み合うテーパねじであり、かつ、台形ねじである。
【0049】
内ねじ14,24のテーパ面は、外ねじ17,27のテーパ面よりも管軸CL寄りである。内ねじ14,24と外ねじ17,27との間に中間ショルダ面18,28が設置されるからである。このため、ピン10において、内雄ねじ14及びピン内シール面13の部分の外径が小さくなり、その部分の肉厚が薄くなる。一方、ピン10において、ピン中間シール面16及び外雄ねじ17の部分の外径は大きくなり、その部分の肉厚は厚くなる。
【0050】
内雄ねじ14及び内雌ねじ24は、互いのねじ込みを可能にし、締結状態では互いに嵌め合い密着し、締まりばめの状態となる。外雄ねじ17及び外雌ねじ27も同様に締まりばめの状態となる。
【0051】
内シール面13,23及び中間シール面16,26は、それぞれ、ピン10のねじ込みに伴って互いに接触し、締結状態では嵌め合い密着し、締まりばめの状態となる。これにより、内シール面13,23及び中間シール面16,26は、それぞれ、メタル接触による内シール部及び中間シール部を形成する。
【0052】
締結状態において、ピン10のノーズ12とボックス20の凹部22との間には隙間が形成される。ピン環状部15aとボックス環状部25aとの間にも隙間が形成される。ピン環状部15bとボックス環状部25bとの間にも隙間が形成される。
【0053】
中間ショルダ面18,28は、締結状態において互いに接触する。中間ショルダ面18,28が押圧接触した場合、主に外雄ねじ17の荷重面に締め付け軸力が付与される。
【0054】
また、ピン10の先端にピン補助ショルダ面11を設ければ、圧縮荷重によるダメージを軽減することができるため、さらなる性能の向上が期待できる。
【0055】
図2を参照して、内雄ねじ14は、完全ねじ部(以下、「ピン内完全ねじ部」という。)141を含む。外雄ねじ17は、完全ねじ部(以下、「ピン外完全ねじ部」という。)171を含む。内雌ねじ24は、完全ねじ部(以下、「ボックス内完全ねじ部」という。)241を含む。外雌ねじ27は、完全ねじ部(以下、「ボックス外完全ねじ部」という。)271を含む。
【0056】
ピン内完全ねじ部141は、ピン10の先端側に位置する内端141iと、ピン10の先端と反対側に位置する外端141oとを含む。ピン外完全ねじ部171は、ピン10の先端側に位置する内端171iと、ピン10の先端と反対側に位置する外端171oとを含む。ボックス内完全ねじ部241は、ピン10の先端側(ボックス20の先端と反対側)に位置する内端241iと、ピン10の先端と反対側(ボックス20の先端側)に位置する外端241oとを含む。ボックス外完全ねじ部271は、ピン10の先端側(ボックス20の先端と反対側)に位置する内端271iと、ピン10の先端と反対側(ボックス20の先端側)に位置する外端271oとを含む。
【0057】
内雄ねじ14はさらに、ベベル部(以下、「ピン内ベベル部」という。)142を含む。外雄ねじ17はさらに、不完全ねじ部(以下、「ピン外不完全ねじ部」という。)172と、ベベル部(以下、「ピン外ベベル部」という。)173とを含む。内雌ねじ24はさらに、ベベル部(以下、「ボックス内ベベル部」という。)242及び243を含む。外雌ねじ27は、不完全ねじ部(以下、「ボックス外不完全ねじ部」という。)272を含む。
【0058】
完全ねじ部は、ねじの頂面(ねじ山)及び底面(ねじ溝)の両方が完全な所定形状を有する。不完全ねじ部は、ねじの頂面(ねじ山)又は底面(ねじ溝)が不完全な形状を有する。ベベル部は「面取り部」とも呼ばれ、不完全ねじ部の一種である。
【0059】
表1は、完全ねじ部及び不完全ねじ部の嵌め合い組合せを示す。
【表1】
【0060】
表1に示される通り、本実施の形態では、雄ねじ14,17の頂面144,176は、雌ねじ24,27の底面247,276と常に接触しない。ただし、ボックス20の完全ねじ部241,271に限り、雄ねじ14,17の底面は、雌ねじ24,27の頂面244,274と接触する。
【0061】
ピン内完全ねじ部141の内端141iは、ピン内完全ねじ部141の頂面144の包絡線141eとピン内ベベル部142の頂面145の包絡線142eとの交点に位置する。ピン内完全ねじ部141の外端141oは、ピン内完全ねじ部141の頂面の包絡線141eとピン10の外周面143の延長線143eとの交点に位置する。ピン外完全ねじ部171の内端171iは、ピン外完全ねじ部171の頂面174の包絡線171eとピン外ベベル部173の頂面175の包絡線173eとの交点に位置する。ピン外完全ねじ部171の外端171oは、ピン外完全ねじ部171の頂面174の包絡線171eとピン外不完全ねじ部172の頂面176の包絡線(又は頂面176と同じピン10の外周面177の延長線)172eとの交点に位置する。
【0062】
ボックス内完全ねじ部241の内端241iは、ボックス内完全ねじ部241の頂面244の包絡線241eとボックス内ベベル部242の頂面245の包絡線242eとの交点に位置する。ボックス内完全ねじ部241の外端241oは、ボックス内完全ねじ部241の頂面244の包絡線241eとボックス内ベベル部243の頂面246の延長線243eとの交点に位置する。ボックス外完全ねじ部271の内端271iは、ボックス外完全ねじ部271の頂面274の包絡線271eとボックス外不完全ねじ部272の頂面275の包絡線272eとの交点に位置する。ボックス外完全ねじ部271の外端271oは、ボックス外完全ねじ部271の頂面274の包絡線271eとボックス20の端面273の延長線273eとの交点に位置する。
【0063】
上記包絡線及び延長線は、断面図上では「線」であるが、ピン10及びボックス20は管状であるから、実際上は「面」である。したがって、内端及び外端は、断面図上では「点」であるが、実際上は「線」である。
【0064】
上記頂面144,174,244,274の包絡線141e,171e,241e,271eは、より具体的には、次の通り定義される。例えば、ピン外完全ねじ部171の頂面174は、
図3に示されるようにテーパ状になっている場合と、
図4に示されるようにステップ状になっている場合とがある。
【0065】
図3に示されるように、頂面174がテーパ状になっている場合、底面178もテーパ状になっている。頂面174及び底面178のテーパ角は、外雄ねじ17のテーパ角と同じである。断面図上で、各頂面174は同一直線上に存在する。この直線上に頂面174の包絡線171eは定義される。上記の通り、ピン外完全ねじ部171の外端171oは、ピン外完全ねじ部171の頂面174の包絡線171eとピン外不完全ねじ部172の頂面176の包絡線172e、つまりピン10の外周面177の延長線172eとの交点に位置する。
【0066】
一方、
図4に示されるように、頂面174がステップ状になっている場合、底面178もステップ状になっている。頂面174及び底面178は管軸CLと平行である。断面図上で、各頂面174は同一直線上に存在しない。そのため、この場合、包絡線171eは、
図5に示されるように、頂面174の延長線174eと挿入面179の延長線179eとの交点CPを通る直線と定義される。挿入面179は、外雄ねじ17の両フランク面のうちピン10の先端側のフランク面である。
図4に示されるように、この場合も同様に、ピン外完全ねじ部171の外端171oは、ピン外完全ねじ部171の頂面174の包絡線171eとピン外不完全ねじ部172の頂面176の包絡線172e、つまりピン10の外周面177の延長線172eとの交点に位置する。
【0067】
図1に示されるように、互いに締結されたピン10及びボックス20は、管軸CLを含む縦断面を有する。
図2に示されるように、縦断面上に導入された直交座標系は、管軸CLに設定されたx軸と、鋼管の半径に設定されたy軸と、ピン中間ショルダ面18及びボックス中間ショルダ面28を含む平面SPと管軸CLとの交点CPに設定された原点(0,0)とを有する。
【0068】
この2段ねじ継手1は、次の式(1)及び(2)を満たす。
x1+L1<X2 (1)
u1+L2<U2 (2)
【0069】
式(1)及び(2)中の変数は、次の通り定義される。
【数3】
【0070】
図2中の座標は次の通り定義される。
(x
1,y
1):ピン内完全ねじ部141の内端141iの座標
(x
2,y
2):ピン内完全ねじ部141の外端141oの座標
(u
1,v
1):ピン外完全ねじ部171の内端171iの座標
(u
2,v
2):ピン外完全ねじ部171の外端171oの座標
(X
1,Y
1):ボックス内完全ねじ部241の内端241iの座標
(X
2,Y
2):ボックス内完全ねじ部241の外端241oの座標
(U
1,V
1):ボックス外完全ねじ部271の内端271iの座標
(U
2,V
2):ボックス外完全ねじ部271の外端271oの座標
【0071】
上記式中、L1は、内ねじ14,24の締結に際して、締結開始時(ピン内完全ねじ部141の頂面144の包絡線141eがボックス内完全ねじ部241の頂面244の包絡線241e上に達した時;以下、「内ねじ締結開始時」という。)から締結完了時(ピン中間ショルダ面18がボックス中間ショルダ面28に達した時)までに、ピン10がボックス20に対して管軸CL方向に進行する距離である。
【0072】
L2は、外ねじ17,27の締結に際して、締結開始時(ピン外完全ねじ部171の頂面174の包絡線171eがボックス外完全ねじ部271の頂面274の包絡線271e上に達した時;以下、「外ねじ締結開始時」という。)から締結完了時(ピン中間ショルダ面18がボックス中間ショルダ面28に達した時)までに、ピン10がボックス20に対して管軸CL方向に進行する距離である。
【0073】
αpiは、包絡線141eのx軸に対する傾き(勾配)を示す。αpoは、包絡線171eのx軸に対する傾きを示す。βpiは、包絡線141eのy軸上の切片を示す。βpoは、包絡線171eのy軸上の切片を示す。βbiは、包絡線241eのy軸上の切片を示す。βboは、包絡線271eのy軸上の切片を示す。
【0074】
[鋼管用ねじ継手の作用・効果]
上記構成を有する2段ねじ継手1によれば、内ねじ14,24及び外ねじ17,27が同時に接触するため、内ねじ14,24及び外ねじ17,27に焼付きが発生しにくい。以下、その理由を詳細に説明する。
【0075】
ピン内完全ねじ部141の頂面144の包絡線141eは、次の式(5)で表される。
【数4】
【0076】
ピン外完全ねじ部171の頂面174の包絡線171eは、次の式(6)で表される。
【数5】
【0077】
ボックス内完全ねじ部241の頂面244の包絡線241eは、次の式(7)で表される。式(7)中、α
biは、包絡線241eのx軸に対する傾きを示す。
【数6】
【0078】
ボックス外完全ねじ部271の頂面274の包絡線271eは、次の式(8)で表される。式(8)中、α
boは、包絡線271eのx軸に対する傾きを示す。
【数7】
【0079】
図6を参照して、内ねじ14,24の締結に際して、内ねじ締結開始時から内ねじ締結完了時までに、ピン10はボックス20に対し、管軸CL方向に距離L1だけ進行する。距離L1は、次の式(9)又は(10)で表される。
【数8】
【0080】
同様に、外ねじ17,27の締結に際して、外ねじ締結開始時から外ねじ締結完了時までに、ピン10はボックス20に対し、管軸CL方向に距離L2だけ進行する。距離L2は、次の式(11)又は(12)で表される。
【数9】
【0081】
ここで、ピン10及びボックス20のテーパ角は実質的に同じであるから、αpi≒αbi、かつ、αpo≒αboが成立する。
【0082】
内ねじ14,24及び外ねじ17,27が同時に接触を開始するためには、内ねじ締結開始時にピン内完全ねじ部141の内端141iのx座標(x1)がボックス内完全ねじ部241の外端241oのx座標(X2)よりも小さく、かつ、外ねじ締結開始時にピン外完全ねじ部171の内端171iのx座標(u1)がボックス外完全ねじ部271の外端271oのx座標(U2)よりも小さければよいから、次の式(1)及び(2)を満たせばよい。
x1+L1<X2 (1)
u1+L2<U2 (2)
【0083】
上記2段ねじ継手1において、ピン中間シール面16は、外雌ねじ27の頂面274の包絡線271eよりも小さい径を有してもよい。この場合、外雌ねじ27とピン中間シール面18との接触を回避することができる。
【0084】
上記2段ねじ継手1は、さらに、次の式(3)及び(4)を満たしてもよい。この場合、内ねじ14,24及び外ねじ17,27が5mm以上接触することができる。
X2-(x1+L1)≧5mm (3)
U2-(u1+L2)≧5mm (4)
【0085】
上記実施の形態に係るねじ継手は、カップリング型だけでなく、インテグラル型にも適用できる。
【0086】
上記2段ねじ継手1において、ノーズ12、ピン内シール面13、ピン中間シール面16、ボックス内シール面23、及びボックス中間シール面26は、設けられていなくてもよい。
【0087】
その他、本開示は上記の実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【実施例】
【0088】
本実施の形態に係る鋼管用ねじ継手の効果を確認するため、実サンプルによる耐焼付き性能評価試験を実施した。
【0089】
<試験条件>
寸法が異なる複数の供試体につき、ISO13679規格で規定される繰り返し締結/解体試験を実施し、焼付きの有無を確認した。各供試体は、
図1に示される基本構造を有するカップリング型のねじ継手である。共通の試験条件を以下に示す。
【0090】
(1)鋼管の寸法
7-5/8[inch]×1.06[inch](外径193.7[mm]、肉厚27.0[mm])
10-1/8[inch]×0.8[inch](外径257.2[mm]、肉厚20.3[mm])
(2)鋼管のグレード
API規格のP110(公称降伏応力が110[ksi]の炭素鋼)
【0091】
<評価方法>
表2は、各供試体の試験条件及び評価をまとめたものである。
【表2】
【0092】
<試験結果>
供試体1では、締結開始時に、外ねじのみが接触し、内ねじが接触していないため、接触が不安定になる。そのため、締結が進むに従って外ねじに過大な負荷がかかり、1回目の締結/解体試験で外ねじに焼付きが発生した。
【0093】
供試体2~4では、内ねじ及び外ねじがほぼ同時に接触を開始するため、締結開始時から締結完了時まで、接触が安定する。そのため、内ねじ及び外ねじの両方に均一な荷重がかかり、焼付きが発生することなく、3回の締結/解体試験に成功した。
【符号の説明】
【0094】
10:ピン
12:ノーズ
13:ピン内シール面
14:内雄ねじ
16:ピン中間シール面
17:外雄ねじ
18:ピン中間ショルダ面
20:ボックス
22:凹部
23:ボックス内シール面
24:内雌ねじ
26:ボックス中間シール面
27:外雌ねじ
28:ボックス中間ショルダ面
141:ピン内完全ねじ部
171:ピン外完全ねじ部
241:ボックス内完全ねじ部
271:ボックス外完全ねじ部
141i,171i,241i,271i:内端
141o,171o,241o,271o:外端