(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】付加的製造されたリアクティブビーム形成器
(51)【国際特許分類】
H01P 5/12 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
H01P5/12 B
(21)【出願番号】P 2020564563
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 US2019032627
(87)【国際公開番号】W WO2019222474
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-01-14
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シキナ,トーマス,ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヘイヴン,ジョン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,ピーター,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト,ジェームズ,イー.
(72)【発明者】
【氏名】レイスタッド,キャロライン,アール.
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0141742(US,A1)
【文献】特開2017-076881(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102509840(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/00- 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクティブビーム形成器であって、
基板内に配置され、かつ、受信した電磁信号を放射するように構成されている、
中央ラジエータと、
前記基板内
で前記中央ラジエータの周囲に配置された複数の受容体であり、前記複数の受容体のそれぞれは、
アリーナ内で前記中央ラジエータから外側へ放射された電磁信号の一部を受信するように構成されている、複数の受容体と、
複数の信号線であり、前記複数の信号線の各信号線は、前記複数の受容体のそれぞれの受容体に結合されており、前記それぞれの受容体から前記放射された電磁信号の一部を伝達し、かつ、前記放射された電磁信号の一部を出力へ提供する、複数の信号線と、
複数の導電性隔離壁であり、前記基板内に配置され、かつ、前記複数の受容体の各受容体を前記複数の受容体の隣接する受容体から分離するように構成されており、前記アリーナの外側境界を画定する、複数の導電性隔離壁と、
を含む、リアクティブビーム形成器。
【請求項2】
前記複数の受容体のそれぞれの受容体は、前記基板においてフライス加工された穴の中へデポジットされた導電性ワイヤから形成されている、
請求項1に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項3】
前記
中央ラジエータは、前記基板においてフライス加工された穴の中へデポジットされた導電性ワイヤから形成されている、
請求項2に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項4】
前記複数の信号線の各信号線は、少なくとも部分的に半田リフロープロセスによって形成された半田継手によって、前記複数の受容体のうち1つの受容体に結合されている、
請求項2に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項5】
前記複数の受容体は、前記
中央ラジエータの周囲に物理的に配置されており、前記複数の受容体のそれぞれの受容体は、前記
中央ラジエータから実質的に等距離にあり、かつ、相互に実質的に等間隔にある、
請求項1に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項6】
前記リアクティブビーム形成器は、さらに、
電気的および物理的に連続した伝導性壁であり、前記複数の受容体の境界線の周囲に前記基板内で配置され、かつ、前記伝導性壁内の領域に前記放射された電磁信号を含むように構成されている、伝導性壁、
を含み、
前記
中央ラジエータおよび前記複数の受容体は、前記領域内に配置されている、
請求項1に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項7】
前記複数の導電性隔離壁のそれぞれは、前記基板内のトレンチの中へデポジットされた伝導性インクから形成されている、
請求項
1に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項8】
前記リアクティブビーム形成器は、さらに、
前記複数の受容体の周囲に配置された電気的および物理的に連続した伝導性外壁、を含み、
前記伝導性外壁は、前記複数の導電性隔離壁の各隔離壁に電気的に結合されている、
請求項
1に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項9】
前記リアクティブビーム形成器は、さらに、
前記基板の少なくとも1つの表面に隣接する接地面、を含み、
前記伝導性外壁および前記導電性隔離壁は、前記接地面と導電性連通している、
請求項
8に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項10】
前記基板は、第1基板であり、かつ、複数の信号トレースが、第2基板の表面に隣接しており、
前記第2基板は、前記第1基板に接合されている、
請求項1に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項11】
前記第2基板は、前記第2基板と前記第1基板との間の1つ以上の中間層によって、前記第1基板に対して間接的に接合されている、
請求項
10に記載のリアクティブビーム形成器。
【請求項12】
前記リアクティブビーム形成器は、26.5GHzから110GHzまでを含むミリ波周波数において動作するように構成されている、
請求項1に記載のリアクティブビーム形成器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線周波数(RF)および電磁気回路は、従来のプリント回路基板(PCB)プロセスを用いて製造することができる。いくつかのRFおよび電磁気回路は、電力分配器(パワースプリッタ)および結合器を含み得る。例えば、ビーム形成(beam forming)のためのアンテナアレイのラジエータ素子といった、多くの素子へ信号を分配するため、かつ/あるいは、素子からの複数の信号を1つの信号に結合するためである。従来のPCB製造プロセスは、積層(lamination)、電気めっき、マスキング、エッチング、その他を含み、そして、複数の工程、高価かつ/あるいは危険な材料、複数回の反復、大きな労力、等を必要とし得るものであり、全てが、より高いコストと、より遅いターンアラウンドタイムにつながっている。加えて、従来のPCB製造プロセスは、信号トレース寸法といった、小さい形状を許容する能力に限界があり、それにより、そうしたデバイスによってサポートされ得る最高周波数信号の範囲を制限している。
【0002】
本出願は、2018年5月18日に出願された、タイトルがADDITIVE MANUFACTURECTURETIVE BEAMFORMERである、米国仮特許出願第62/673431号について、米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、参照により、その全体が全ての目的のためにここにおいて包含されている。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一態様は、リアクティブビーム形成器に向けられている。本リアクティブビーム形成器は、基板内に配置され、かつ、受信した電磁信号を放射するように構成されている、ラジエータと、前記基板内に配置された複数の受容体であり、前記複数の受容体のそれぞれは、前記放射された電磁信号の一部を受信するように構成されている、複数の受容体と、複数の信号線と、を含む。前記複数の信号線の各信号線は、前記複数の受容体のそれぞれの受容体に結合されており、前記それぞれの受容体から前記放射された電磁信号の一部を伝達し、かつ、前記放射された電磁信号の一部を出力へ提供する。
【0004】
リアクティブビーム形成器の実施形態は、さらに、前記複数の受容体のそれぞれの受容体は、前記基板においてフライス加工された穴の中へデポジットされた導電性ワイヤから形成すること、を含み得る。前記ラジエータは、前記基板においてフライス加工された穴の中へデポジットされた導電性ワイヤから形成され得る。前記複数の信号線の各信号線は、少なくとも部分的に半田リフロープロセスによって形成された半田継手によって、前記複数の受容体のうち1つの受容体に結合され得る。前記複数の受容体は、前記ラジエータの周囲に物理的に配置されてよく、前記複数の受容体のそれぞれの受容体は、前記ラジエータから実質的に等距離にあり、かつ、相互に実質的に等間隔にある。前記リアクティブビーム形成器は、さらに、電気的および物理的に連続した伝導性壁であり、前記複数の受容体の境界線の周囲に前記基板内で配置され、かつ、前記伝導性壁内の領域に前記放射された電磁信号を含むように構成されている、伝導性壁を含んでよく、前記ラジエータおよび前記複数の受容体は、前記領域内に配置されている。前記リアクティブビーム形成器は、さらに、複数の導電性隔離壁であり、前記基板内に配置され、かつ、前記複数の受容体の各受容体を前記複数の受容体の隣接する受容体から分離するように構成されている、導電性隔離壁を含んでよい。前記複数の導電性隔離壁のそれぞれは、前記基板内のトレンチの中へデポジットされた伝導性インクから形成され得る。前記リアクティブビーム形成器は、さらに、前記複数の受容体の周囲に配置された電気的および物理的に連続した伝導性外壁を含んでよく、前記伝導性外壁は、前記複数の導電性隔離壁の各隔離壁に電気的に結合されている。前記リアクティブビーム形成器は、さらに、前記基板の少なくとも1つの表面に隣接する接地面を含んでよく、前記伝導性外壁および前記導電性隔離壁は、前記接地面と導電性連通している。前記基板は、第1基板であり、かつ、複数の信号トレースが、第2基板の表面に隣接してよく、前記第2基板は、前記第1基板に接合されている。前記第2基板は、前記第2基板と前記第1基板との間の1つ以上の中間層によって、前記第1基板に対して間接的に接合され得る。前記リアクティブビーム形成器は、26.5GHzから110GHzまでを含むミリ波周波数において動作するように構成され得る。
【0005】
本開示の別の態様は、リアクティブビーム形成器を製造する方法に向けられている。一つの実施形態において、前記方法は、第1導電体を収容するための第1開口部を形成するために、第1基板をフライス加工するステップと、複数の第2導電体を収容するための複数の第2開口部を形成するために、前記第1基板をフライス加工するステップと、第3導電体を収容するための連続的トレンチを形成するために、前記第1基板をフライス加工するステップと、前記第1導電体として、前記第1開口部の中に第1ワイヤをデポジットするステップであり、前記第1ワイヤは、電磁ラジエータを形成している、ステップと、前記複数の第2導電体として、複数の第2開口部の中に複数の第2ワイヤをデポジットするステップであり、前記複数の第2ワイヤのうち各第2ワイヤは、電磁受容体を形成している、ステップと、前記連続的トレンチを伝導性インクで充填するステップであり、前記伝導性インクは、連続的な電磁境界を形成している、ステップと、を含む。
【0006】
前記方法の実施形態は、さらに、複数の信号トレースを形成するために、第2基板上に配置された伝導性材料(conductive material)をフライス加工するステップを含んでよく、前記複数の信号トレースの各信号トレースは、前記第2基板が前記第1基板に隣接して整列されたときに、前記第1導電体(electrical conductor)のうちそれぞれ1つ、または、前記複数の第2導電体のうちの1つと物理的及び電気的に整列するように構成されている端子端部を有している。前記方法は、さらに、前記第2基板を前記第1基板に対して、直接的または間接的に接合するステップを含んでよく、前記第2基板は、前記複数の端子の各端子端部が、前記第1導電体のうち1つ、または、前記複数の第2導電体のうち1つと、物理的および電気的に接触するように配置されている。前記方法は、さらに、前記複数の端子の各端子端部を、前記第1導電体のうちそれぞれ1つ、または、前記複数の第2導電体のうちそれぞれ1つと接合するために、半田をリフローするステップを含み得る。前記方法は、さらに、第3基板を前記第2基板に接合するステップを含んでよく、前記複数の信号トレース、および、前記第2基板と前記第3基板との間の端子端部を、実質的にカプセル化する。前記方法は、さらに、複数のアクセス穴を備えるために、前記第2基板および前記第3基板のうち少なくとも1つを通してドリル加工するステップを含んでよく、前記複数のアクセス穴のうち各アクセス穴は、前記複数の端子端部のうち1つに対するアクセスを提供している。
【0007】
本開示のさらに別の態様は、電磁気回路を形成する方法に向けられている。一つの実施形態において、前記方法は、1つ以上の回路特徴を形成するために、基板の表面上に配置された導電性材料(electrically conductive material)をフライス除去するステップと、前記基板内に1つ以上の穴をフライス加工するステップと、前記1つ以上の穴を導電体で充填するステップと、前記基板内に1つ以上のトレンチをフライス加工するステップと、前記1つ以上のトレンチを導電体で充填するステップと、前記回路特徴または導電体のうち1つ以上に対して半田を適用するステップと、前記基板の一部を、直接的または間接的に、別の基板に接合するステップと、前記半田をリフローするステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
少なくとも1つの実施形態に係る種々の態様が、添付の図面を参照して以下に説明される。図面は、縮尺通りに描かれるように意図されたものではない。図は、種々の態様および実施形態の説明、および、さらなる理解を提供するために含まれており、そして、この明細書に組み込まれ、かつ、一部を構成している。しかし、本開示の範囲を定義するものとして意図されたものではない。図面の中で、種々の図面に示されている同一又はほぼ同一の各コンポーネントは、同様な数字によって表すことができる。明瞭化のために、全てのコンポーネントが全ての図においてラベル付けされなくてもよい。
【
図1】
図1は、リアクティブビーム成形器の一例に係る概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のリアクティブビーム形成器の一部分の概略図である。
【
図3A】
図3Aは、
図1のリアクティブビーム成形器の製造段階の一例に係る概略の上面図である。
【
図3B】
図3Bは、
図1のリアクティブビーム成形器の製造段階の一例に係る概略のx軸エッジ図である。
【
図3C】
図3Cは、
図1のリアクティブビーム成形器の製造段階の一例に係る概略のy軸エッジ図である。
【
図4A】
図4Aは、
図1のリアクティブビーム成形器のさらなる製造段階の例に係る概略図である。
【
図4B】
図4Bは、
図1のリアクティブビーム成形器のさらなる製造段階の例に係る概略図である。
【
図4C】
図4Cは、
図1のリアクティブビーム成形器のさらなる製造段階の例に係る概略図である。
【
図5A】
図5Aは、
図1のリアクティブビーム成形器のさらなる製造段階の例に係る概略図である。
【
図5B】
図5Bは、
図1のリアクティブビーム成形器のさらなる製造段階の例に係る概略図である。
【
図6A】
図6Aは、
図1のリアクティブビーム成形器のさらなる製造段階の例に係る概略図である。
【
図6B】
図6Bは、
図1のリアクティブビーム成形器のさらなる製造段階の例に係る概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
種々の態様および実施形態は、従来のシステムおよび方法よりも小さなサイズ及びより高い周波数を可能にする、電磁気回路のためのコンパクトで、低プロファイルなリアクティブビーム形成システムおよび方法(信号分割/結合)、および、それらの改良された製造方法に向けられている。
【0010】
説明される態様および実施例は、ビーム形成用途に適した電磁気的分割器(divider)および方法を提供する。付加的(additive)および減算的(subtractive)製造技術を有利に適用して、単一の信号の多数の信号へと低プロファイル伝搬(low profile conveyance)を提供し、かつ/あるいは、多数の信号の単一の信号への結合を提供する。説明される態様および実施例は、複数の受容体(receptor)への中央フィード信号(central feed signal)のリアクティブ分配、もしくは、反対に、複数の受容体から中央フィードへの信号のリアクティブ結合を提供する電磁気回路構造、および、それを製造する方法を含む。ここにおける態様および実施例によって可能にされるように、リアクティブ分配、及び/又は、信号のリアクティブ結合は、例として、例えば、アンテナアレイの多数の素子へ/からの信号の分配、及び/又は、結合のために、ビーム形成器としての用途に適している。ここにおいて説明される製造プロセスは、そうした回路構造の製造に特に適している。適切な減算的(例えば、フライス加工(milling)、ドリル加工(drilling))および付加的(例えば、3次元印刷(3-D printing)、充填(filling))製造装置を使用して、8-75GHz又はそれ以上、潜在的には300GHz又はそれ以上の範囲における電磁信号をサポートすることができる小さな回路機能を有する回路構造である。ここにおいて説明されるシステムおよび方法に従った電磁気回路構造は、ミリ波通信、センシング、レンジング(ranging)、等を含む、28-70GHzシステムでの用途に特に適している。説明される態様および実施形態は、また、Sバンド(2-4GHz)、Xバンド(8-12GHz)、または他のもの、といった、より低周波数の用途にも適している。いくつかの実施形態において、リアクティブビーム形成器は、特に、ミリ波周波数に適しており、ここでは、制限された3次元のリアルエステートが重要な問題である。これらの周波数は、Kaバンド(26.5-40GHz)、Vバンド(40-75GHz)、およびWバンド(75-110GHz)のフェーズドアレイシステムを含むだろう。
【0011】
さらに他の態様、実施、および利点が、以下で詳細に説明される。ここにおいて開示される実施形態は、ここにおいて開示される原理のうち少なくとも1つと一貫性のある任意の方法で他の実施形態と組み合わせることができ、そして、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「代替的な実施形態」、「種々の実施形態」、「一つの実施形態」、等への言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、そして、説明される特定の特徴、構造、または特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すように意図されている。ここにおける、そうした用語の出現は、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではない。ここに説明される種々の態様および実施形態は、説明される方法または機能のいずれかを実施するための手段を含み得る。
【0012】
ここにおいて説明される方法および装置の実施形態は、以下の記載において明らかにされ、または、添付の図面において例示された構成およびコンポーネントの配置の詳細に対して適用することに限定されないことが正しく理解されるべきである。方法および装置は、他の実施形態において実施可能であり、そして、種々の方法で実践され、または、実行することができる。具体的な実施例は、ここにおいて、例示的な目的のためだけに提供されており、そして、限定することを意図したものではない。ここにおいて使用される表現および用語は、また、制限的に理解されるべきではない。ここにおいて使用される「含む(“including”、“comprising”、“having”、“containing”、“involving”)」および、それらの変形の使用は、その後に列挙されるアイテム、および、それらの均等物、並びに、追加的なアイテムを包含することを意味する。「または(“or”)」への言及は、「または」を使用して説明される任意の用語が、説明される用語のうち単一、複数、および、全ての説明される用語を示すことができるように、包括的であると解釈され得る。前後、左右、上下、上方と下方、端、側、垂直と水平、等への言及は、説明の便宜のために意図されたものであり、本システムおよび方法、または、それらのコンポーネントを、いずれか1つの位置的または空間的方向に限定するものではない。
【0013】
ここにおいて使用される用語「無線周波数(”radio frequency”)」は、明示的に記述されるか、かつ/あるいは、コンテキストによって明示的に示されない限り、特定の周波数、周波数の範囲、バンド、スペクトル、等に限定されることを意図するものではない。同様に、用語「無線周波数信号」および「電磁信号(“electromagnetic signal”)」は、互換的に使用され、そして、任意の所定の実施形態について、情報伝達信号の伝搬のための種々の適切な周波数の信号を参照することができる。そうした無線周波数信号は、一般的に、キロヘルツ(kHz)範囲の周波数による下端の境界があり、そして、数百ギガヘルツ(GHz)までの周波数による上端の境界があり得る、そして、マイクロ波またはミリ波の範囲の信号を明示的に含む。一般的に、ここにおいて説明されるものと一致するシステムおよび方法は、光学分野で従来取り扱われている周波数以下、例えば、赤外線信号よりも、例として、低い周波数の非電離放射線を取り扱うのに適している。
【0014】
無線周波数回路の種々の実施形態は、種々の周波数でオペレーションするように選択され、かつ/あるいは、ノミナルとして製造される(nominally manufactured)寸法を用いて設計され得る。適切な寸法の選択は、一般的な電磁原理から行うことができ、そして、ここにおいては詳細に示さない。上述のように、本開示の実施形態のリアクティブビーム形成器は、ミリ波周波数に特に適している。
【0015】
ここにおいて説明される方法および装置は、従来のプロセスで可能であるよりも小さな配置および寸法をサポートすることができる。そうした従来の回路基板は、約30GHz未満の周波数に制限され得る。ここにおいて説明される方法および装置は、より安全で、かつ、より複雑でない製造を使用して、かつ、より低いコストで、より高い周波数においてオペレーションされることを意図された無線周波数回路に適した、より小さい寸法の電磁気回路の製造を可能にし、もしくは、収容することができる。
【0016】
ここにおいて説明されるものに従った、電磁気回路および製造方法は、従来の回路および方法よりも、低プロファイルを用いて、低減されたコスト、サイクルタイム、および、設計リスクで、より高い周波数を取り扱うことができる電磁気回路およびコンポーネントを製造するための種々の付加的製造(additive manufacturing)技術を含んでいる。技術の実施例は、以下を含む。従来のPCBプロセスによって許容されるよりも著しく小さな寸法の信号トレースまたは開口部を形成するために、基板の表面から伝導性材料をフライス加工(milling)すること。トレンチを形成するために、1つ以上の基板をフライス加工すること。ファラデー壁(Faraday wall)(間隔が最小である一連の接地ビアとは対照的に、連続した電気バリア)を形成するように、印刷された伝導性インクをトレンチの中へデポジット(deposit)するために、3次元印刷技術を使用することであり、「垂直発射(“vertical launch”)」信号経路が、基板の一部を貫通して穴をフライス加工(ドリル加工)することにより形成され、かつ、その中にワイヤが配置され(かつ/あるいは、伝導性インクが印刷され)、基板(または、対向する基板)の表面上に配置された信号トレースに対して電気的接触を行い、垂直発射導電ワイヤ(いくつかの実施形態において、銅であり得る)の周囲にファラデー壁を形成することを含み得ること、および、抵抗性コンポーネントを形成するように、印刷された抵抗性インクをデポジットするために、3次元印刷技術を使用すること、である。上記の例示的な技術、及び/又は、他の技術(例えば、半田付け及び/又は半田リフロー)のいずれかは、種々の電磁コンポーネントを作成するために、組み合わされてよい。そうした技術の態様および実施例は、電磁信号を電磁気回路の層へ、または、その層から伝達するための無線周波数相互接続に関して、ここにおいて説明され、かつ、図示されている。しかし、説明される技術は、種々の電磁コンポーネント、コネクタ、回路、アセンブリ、および、システムを形成するために使用され得る。
【0017】
図1は、中央ラジエータ110および多数の受容体(receptor)120を含む電磁気回路構造100に係る一例を示している。受容体120それぞれは、個々の出力信号トレース130に結合されている。導電性壁140の配置は、受容体120の中で、その間に電気的バリアを形成し、隣接する受容体120間に隔離を提供し、かつ、ここにおいては「ファラデー壁」と呼ばれてよい。なぜなら、それらは、電磁エネルギを包含するための電磁境界条件を作り出し、かつ、強制し、そして、隣接するシグナルから種々のコンポーネント(例えば、受容体120)を隔離するからである。
図1の例では、64個の受容体120が存在するが、種々の実施形態は、変動する設計基準及び/又は用途に適応するために、任意の数の受容体120を有し得る。例えば、電磁気回路構造100は、ビーム成形(beamforming)といった、64個のアンテナ素子に対して(例えば、出力信号トレース130を介して)信号を提供するのに適している。
【0018】
中央ラジエータ110に対して供給される入力信号は、例えば、
図1の平面の「下」の供給ラインからのものであってよく、電磁エネルギが通過する領域である、アリーナ(arena)150の中に電磁場を生成する。電磁エネルギは、中央ラジエータ110から外向きに放射し、そして、受容体120それぞれは、電磁エネルギの実質的に等しい部分をキャプチャすることができる。各受容体120は、出力信号トレース130に対して結合されており、そして、従って、各出力信号トレースは、入力シグナルの等しい部分を提供し得る。種々の実施形態において、アリーナ150は、誘電体であってよく、そして、受容体120および壁140が形成される基板であってよい。他の実施形態において、アリーナ150は、空気の領域、他の材料、または、空隙(void)もしくは実質的な真空であってよい。
【0019】
電磁気回路構造100は、ある場合に、信号結合器として使用され得る。出力信号トレース130に(例えば、入力信号として)供給される種々の信号は、受容体120によって放射され、そして、中央ラジエータ110によってキャプチャされ得る。それは、中央ラジエータ110に結合された供給ラインに結合信号を供給することができる。
【0020】
図2は、電磁気回路構造100の一部に係る詳細図を示している。受容体120は、正方形の断面を有する細長い構造として示されているが、種々の実施形態において、受容体120は、円形または他の形状の断面を有し得る。いくつかの実施形態において、各受容体120は、基板においてフライス加工によって形成された空隙(例えば、ドリル加工された穴)の中へ、伝導性インクをデポジットすることによって形成され得る。他の実施形態において、各受容体120は、基板内の穴の中へデポジットされた銅線または他の伝導性材料のワイヤといった、電線であってよい。各受容体120は、出力信号トレース130に対して電気的に結合され得る。いくつかの実施形態において、各出力信号トレース130は、受容体120と接触する位置に端子パッドを有し得る。いくつかの実施形態において、受容体120は、出力信号トレース130の端子パッドと接触させるために、端部に半田バンプを含んでよく、かつ/あるいは、出力信号トレース130の端子パッドは、受容体120の端部と接触させるために、半田バンプを含んでよい。各出力信号トレース130は、基板の表面から導電体(electrical conductor)をフライス除去することによって形成することができる。例えば、信号トレースを形成するために、回路基板から銅電気プレートをフライス加工することによる。従って、各受容体120および各出力信号トレース130は、減算的および付加的製造技術(例えば、フライス加工、ドリル加工、充填(filling))を使用して形成され、そして、実質的に永久的な電気接続を確保するために半田付け及びリフローオペレーションを含み得る。従って、各受容体120および各出力信号トレース130は、デポジション、マスキング、エッチング、ベイジング(bathing)、等を行うことなく形成され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、壁140は、伝導性材料から形成されてよい。いくつかの例では、付加的製造技術(例えば、3次元印刷)によって配置され得る伝導性インク、といったものである。いくつかの実施形態において、壁140は、受容体120間に壁140aを含んでよく、そして、アリーナ150の外側境界に壁140bを含んでよい。いくつかの実施形態において、壁140aは、受容体120の間で電磁気的分離および隔離を提供し、そして、壁140bは、アリーナ150の外側の領域からのアリーナ150の電磁気的分離を提供し得る。壁140aおよび140b(総称して、壁140)は、アリーナ150の周囲に、および、隣接する受容体120の間に、実質的に、電気的に連続した構造を形成することができる。
【0022】
種々の実施形態において、電磁気回路構造100に関して説明されるコンポーネントは、種々の基板及び/又は伝導層(conductive layer)の上、中、または、間に形成されてよい。例えば、そして、
図2を引き続き参照すると、電磁気回路構造100は、第1基板210、第2基板220、および、第3基板230から、および、その中で形成されてよい。いくつかの実施形態において、第1基板210は、第1表面240および第2表面250を有し、それぞれは、導電体を用いて実質的に被覆されてよい。例として、例えば、ベア(bare)回路基板から始まる、電気めっきされた銅、といったものである。導電体(例えば、銅)は、出力信号トレース130それぞれを形成するために、第2表面250からフライス加工され得る。いくつかの実施形態において、第1表面240上の導電体(例えば、銅)は、無傷のままであってよく、そして、接地面を形成してよい。他の実施形態において、第1表面240は、異なる方法で処理され、そして、追加的な回路またはコンポーネントのために使用され得る。
【0023】
受容体120のうち少なくとも1つを製造する種々の例が、
図3-
図6に関して説明されている。リアクティブビーム形成器の種々の実施形態、例えば、電磁気回路構造100は、説明されるものに従った技術および方法を使用して製造され得る。複数の受容体120を製造するための同一または類似の技術および方法の複製が、任意の数の受容体120および一致する出力信号トレース130を有するビーム形成器を製造するために使用され得る。さらに、中央ラジエータ110の近傍に壁140が無いにもかかわらず、中央ラジエータ110を製造するために、同一または類似の技術および方法が使用され得る。従って、受容体120の製造の実施例が説明されているが、電磁気回路構造100または類似の構造の全体の製造について、同一または類似の技術および方法が適用可能である。
【0024】
図3A-
図3Cは、ここにおいて説明されるシステムおよび方法の態様および実施形態に従った、製造の一段階における電磁気回路構造100の一部分の構造300を示している。構造300は、基板210であり、その上に、例えば、いくつかの実施態様において接地面となり得るものを形成するために、電気めっきされた銅といった伝導性材料が配置された表面240を有している。基板210は、また、別の伝導性材料(例えば、銅)がその上に配置された対向する表面250を有する。伝導性材料の一部340は、表面250からフライス除去(milled away)され(例えば、減算されて)、導電性機能である、出力信号トレース130を形成する。除去された部分340は、示されるように、残存している伝導性材料が、端子パッド132と共に、信号トレース130を形成するようにする。この例における端子パッド132は、概ね丸い形状であるが、種々の実施形態において、端子パッド132は、図示されたもの以外の形状であってよく、そして、単に、他の特徴的な形状を持たないトレース130の端子端部であってよい。種々の実施形態においては、半田バンプ134が端子パッド132上に配置されてよく、以下でさらに詳細に説明するように、受容体120との電気的接続を作成する。いくつかの実施形態において、出力信号トレース130は、適切な機械加工装置を使用して、約5ミル(0.005インチ)のような幅、もしくは、約2または3ミルのような幅を有し得る。従って、信号トレース130は、35GHzといった、28GHzよりも高く、かつ、70GHz以上までの電磁信号に適している。種々の実施形態において、信号トレース幅は、より高い周波数をサポートするためにさらに小さくすることができ、そして、使用されるフライス加工(milling)装置の許容誤差に依存し得る。他の実施形態において、信号トレース幅は、より低い周波数、より低精度のフライス加工装置、より高電流及び/又は信号パワー、等をサポートするようにより大きくてよい。
【0025】
図面及び/又は添付において説明または示される寸法情報は、説明目的のためであり、かつ、所定の用途について望ましくまたは適切であり得るいくつかの寸法を表し、そして、ここにおいて説明される方法で達成可能ないくつかの寸法を例示することができる。種々の実施形態において、寸法は、製造に使用されるフライス加工装置および付加装置の能力に応じて、かつ、特定の回路の設計および用途に応じて、著しく小さく、または、大きくてよい。
【0026】
図4A-
図4Cは、種々の製造段階における電磁気回路構造100の進行の一例を示す、部分の構造400a、400b、400cを示している。例えば、第2基板220は、
図4Aに示されるように、
図3A-
図3Cの構造300に結合されてよく、端子パッド132および出力信号トレース130の少なくとも一部を実質的にカプセル化する。第2基板220は、さらなる表面260(例えば、
図3A-
図3Cの構造300の表面250に接合された表面に対向するもの)上に導電性材料を有してよい。導電性材料の一部410は、
図4Bに示されるように、表面260からフライス除去され得る。いくつかの実施形態において、表面260は、その上に導電性材料が配置されなくてよい。
図4Cに示されるように、穴420が基板220を通じてドリル加工されてよく、端子パッド132(および、任意的な半田バンプ134、
図3A-
図3Cを参照)へのアクセスを提供する。種々の実施形態は、説明されるものとは異なる順序においてフライス加工、ドリル加工、およびボンディングを含んでよく、そして、結果として構造400cまたは類似のものを生じる。例えば、基板220を基板210に接合する前に、穴420がドリル加工されてよい。従って、オペレーションの順序は、種々の実施形態において変動してよく、そして、任意の適切な順序が、ここにおける態様および実施形態に従った種々のシステムを製造するために、ここにおける態様および実施形態に従った方法として使用され得る。
【0027】
図5A1および
図5A2は、ここにおいて説明されるシステムおよび方法に係る態様および実施形態に従った、製造段階における電磁気回路構造100の一部分の構造500aを示している。構造500aは、基板230(
図3A-
図3C参照)を含み、基板230の中へ穴510がドリル加工され(drilled)、そして、基板230の中へチャネル520がフライス加工されている。穴510は、伝導性インクまたは電線といった、穴510の中へ挿入される、導電性材料を収容し、受容体120を形成する。同様に、チャネル520は、(例えば、付加的製造技術によって)チャネル520に挿入される、伝導性インクであり得る、導電性材料を収容し、壁140の少なくとも一部を形成する。いくつかの実施形態において、基板230は、表面270上に導電性材料(例えば、銅電気メッキ)を有してよく、そして、チャネル520は、導電性材料を貫通することなく、基板230を通して導電性材料に至るまでフライス加工されてよい。従って、チャネル520を伝導性インクで充填することは、表面270上の接地面に電気的に結合され得る連続的な電気構造(例えば、壁140)を形成し得る。
【0028】
種々の実施形態において、穴510は、表面270に到達しないようにドリル加工されてもよい。所定の実施形態において、穴510は、基板230を通る経路の約75%にドリル加工されてよい。いくつかの実施形態は、基板230を通る経路の約70-80%でドリル加工された穴510を含んでよいが、種々の実施形態において、穴510は、オペレーションパラメータの変化または異なる設計特性に対応するように、基板230を通る経路の、40%から70%まで、より小さくドリル加工され、もしくは、80%以上で、基板230を通りさらにドリル加工されてよい。種々の実施形態において、穴510の深さは、収容されるべき電磁エネルギのノミナルまたは意図される波長を含む、種々の設計基準に依存し得る。なぜなら、穴510の深さは、穴510によって収容される受容体120の高さと相互に依存し得るからである。
【0029】
波長は、基板230の材料、アリーナ150(
図1参照)、及び/又は、電磁気回路構造100の他のコンポーネントの材料におけるオペレーションの意図される周波数の波長であってよい。さらに、基板230は、アリーナ150の材料を形成してよい。基板230(または、任意の基板)の材料は、ガラス繊維、ガラス織物、セラミック、樹脂、エポキシ、ポリフェニレンオキシド、ポリイミド、シアネートエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または、他の多数のものを含む、種々の材料のいずれかを含んでよい。
【0030】
所定の実施形態において、チャネル520の隣接した部分間の幅、W、例えば、穴510のいずれかの側に離間して置かれたもの、は、ノミナル半波長であってよい。一例として、64素子ビーム形成器は、いくつかの実施形態において、例えば、それぞれ半波長離れた壁140a(受容体120の間)を収容するために、32波長を超える全周を有し得る。他の実施形態において、壁140a間の幅、W、は、半波長より大きく、または、小さくてよい。
【0031】
図5B1および
図5B2は、別の製造段階における電磁気回路構造100の一部分の構造500bを示している。部分の構造500bは、部分の構造500aと類似している。部分の構造500bは、受容体120を形成するために穴510に挿入された導電性材料を含んでいる。種々の実施形態において、受容体120を形成する導電性材料は、銅または他の導電性ワイヤといった、電線であってよく、種々の実施形態においては中実または中空であり、もしくは、付加的製造を通じて穴510に提供される伝導性インクであってよい。同様に、部分の構造500bは、チャネル520内に導電性材料を含み、壁140を形成する。種々の実施形態において、壁140を形成する導電性材料は、固体の導電体の形態であってよく、または、付加的製造を通じて提供される伝導性インクであってよい。いくつかの実施形態において、表面260は、接地面(例えば、接地境界)を形成するために、その上にめっきされた導電性材料を有してよく、そのうちのいくつかは、(受容体120について電気的なクリアランスを提供するように)穴510の周囲でフライス除去されてよい。そして、部分の構造500bは、壁140を表面260上の接地面に電気的に接続するために、1つ以上の半田の適用を含んでよい。
【0032】
所定の実施形態において、受容体120は、期待される信号強度を収容するために中実のワイヤから形成され、そして、意図されるオペレーション周波数を収容し、かつ、ノミナルのインピーダンスを有するための長さで構成されている。所定の実施形態において、壁140は、隣接する受容体120間の境界条件を強化するために付加的に適用された伝導性インクから形成されており、種々の受容体120を相互に隔離し、かつ、過剰な電磁エネルギをビーム形成器の内部(例えば、アリーナ150)へ隔離する。アリーナ150へ入力された電磁エネルギの大部分は(例えば、中央ラジエータ110を介して)、種々の受容体120によってキャプチャされ、そして、種々の出力信号トレース130上の出力信号として伝送される。
【0033】
図6Aは、電磁気回路構造100に係る完成した受容体120部分の一例である部分の構造600を形成するための、(
図4Cの)部分の構造400cと(
図5B1および
図5B2の)部分の構造500bとの結合を示している。種々の実施形態において、部分の構造500bは、壁140及び/又は受容体120の導電性材料に対して付加される1つ以上の半田バンプ610を含んでよい。部分の構造400cは、示されるように、部分の構造500bと一緒に置かれ、そして、接着剤によって一緒に接合されてよく、かつ/あるいは、半田リフロープロセスによって一緒に半田付けされてよい。
【0034】
図6Bは、電磁気回路構造100の完成した部分の一例を示している。受容体120は、壁140(例えば、隣接する側面の壁140a、および、半径方向外側または「後方(“behind”)」の壁140b)、および、基板230の対向する表面における接地面によって囲まれたファラデー空間に存在している。部分の構造600の、例えば、図面の平面における、面は、中央ラジエータ110に向かう方向においてアリーナ150へと面している。従って、(壁140および接地面によって形成された)ファラデー空間は、中央ラジエータ110に面している開口部を含む。受容体120は、接地境界(壁140および接地面)から電気的に絶縁されており、かつ、出力信号トレース130に電気的に接続されている。従って、多数のそうした受容体120のうち種々のものは、それぞれ、中央ラジエータ110から外側へ放射している電磁信号の実質的に等しい部分をキャプチャし、そして、出力信号トレース130に対してその部分を供給することができる。
【0035】
ここにおいて説明されるシステムおよび方法のさらなる利点が実現され得る。例えば、従来のPCBの製造は、ここにおいて説明されるシステムおよび方法と比較して、信号トレースの幅といった、回路の特徴サイズについて制限を課し得るので、このように、従来通りに作成された電磁気回路が好適であり得る最高周波数を制限している。さらに、基板の厚さは、トレースの幅に関して、(例えば、対向する表面上に配置された接地面までの距離による)特性インピーダンスに影響を与える。従って、従来のPCBプロセスによって必要とされるより幅広いトレースは、(特定の特性インピーダンスを維持するために)より厚い基板の選択を引き起こし、従って、製造可能な回路の薄さを制限している。例えば、従来のPCB製造における一般的な推奨は、約60ミル(0.060インチ)の全厚さを含んでいる。比較すると、付加的製造技術を使用する、説明される態様および実施形態に従った電磁気回路は、約10ミル以下の厚さまでの低プロファイルを有する回路基板を結果として生じ得る。信号線トレースは、約4.4ミル、または2.7ミル以下の幅を有しており、かつ、相互接続は回路基板の表面と実質的に同一平面にある。
【0036】
接地ビアは、慣習的に、素子の横方向の隔離および接地面間(例えば、基板の対向する表面)の電気的な接続性を提供し、例えば、近傍にあり得る他のトレースからトレース上の信号のいくらかの隔離を提供している。従来の接地ビアは、直径約8ミル以上のドリル加工された穴であり、そして、ボードの構造的な完全性を維持するために、少なくとも所定の距離だけ離れていること(例えば、それらがどの程度近くに置かれるかに対する制限)が必要とされる。従って、接地ビアは漏洩(leaky)構造であり、特により高い周波数で、電磁信号の損失を示してい。種々の用途が、より高い周波数の信号についてサポートを必要とするので、接地ビア間の最小距離は、電磁エネルギの比較的に小さな波長がそこを通じて逃げ得る大きな開口部のように動作する。
【0037】
比較すると、種々の減算的および付加的製造技術を使用する、ここにおいて説明される態様および実施形態に従った電磁気回路および方法により、電気的に連続した構造は、接地面へ接続することができる。従って、電場を閉じ込める「ファラデー壁(“Faraday walls”)」を形成するために、電気的に連続した構造が提供され、かつ、1つ以上の基板(例えば、基板の対向する表面間)を通して垂直に配置される。種々の実施形態において、そうしたファラデー壁は、2つ以上の接地面を電気的に結合することができる。さらに、種々の実施形態において、そうしたファラデー壁は、電磁場を、閉じ込め、かつ、隣接する回路コンポーネントから隔離することができる。いくつかの実施形態において、そうしたファラデー壁は、電磁信号が局所的に横電磁界(transverse electric-magnetic、TEM)場に制限するように境界条件を実施することができ、例えば、信号トレースラインを介する信号伝搬をTEMモードに制限している。
【0038】
種々の実施形態において、種々の減算的(フライス加工、ドリル加工)、付加的(印刷、充填)、および、付着(接合)ステップは、必要に応じて、半田付けおよびリフローオペレーションを用いて、種々の順序で、実行されてよく、1つ以上のビーム形成器、ラジエータ、受容体、ファラデー壁、信号トレース、端子パッド、または、ここにおいて説明される他の特徴を含み得る、1つ以上の任意の数の基板層を有する電磁気回路を形成する。
【0039】
種々の電磁気回路のいずれかを製造するための一般化された方法は、以下を含んでいる。回路特徴を形成するために基板上に配置された伝導性材料をフライス加工すること、抵抗性インクから形成された抵抗器といった、追加の回路特徴を印刷すること(または、例えば、3次元印刷、付加的製造技術を介してデポジットすること)、例えば、必要に応じて、任意の特徴の上に半田をデポジットすること、穴またはトレンチといった、開口部を形成するために基板材料(及び/又は、伝導性材料)を通じてフライス加工すること(または、ドリル加工すること)、および、例えば、ファラデー壁または垂直信号発射を形成するために(例えば、銅)、伝導性材料(伝導性インクまたはワイヤ導体といったもの)を空隙/トレンチの中へ(例えば、3次元、付加的製造技術を介して)デポジットすること、または、印刷すること、である。これらのステップのいずれも、所与の回路設計のために必要に応じて、異なる順序で、反復して、または、省略して行われてよい。そして、1つの基板または層を次のものに接着する接合ステップ、および、必要に応じて反復するステップで続けることを含み得るような層を形成することができる。従って、いくつかの実施形態において、複数の基板が、電磁気回路の製造に関与することができ、そして、本方法は、必要に応じて、さらなる基板を接合すること、さらなるフライス加工および充填オペレーション、並びに、さらなる半田付け及び/又はリフローオペレーションを含む。
【0040】
リアクティブビーム形成器の少なくとも1つの実施形態に係るいくつかの態様、および、同一または他の電磁気回路を製造する方法を説明してきたが、上記の説明は、10ミル(0.010インチ、254ミクロン)以下の厚さ、といった非常に低いプロファイルを有する種々の電磁気回路を製造するために使用されてよく、そして、使用される種々のフライス加工および付加的製造装置の公差および精度に応じて、4.4ミル(111.8ミクロン)、2.7ミル(68.6ミクロン)のように狭く、または、1.97ミル(50ミクロン)のように狭い信号トレースさえ含み得る。従って、ここにおいて説明されたものに従った電磁気回路は、Xバンド、および、より高い周波数に適しており、種々の実施形態は、28GHzを超え、かつ、最大70GHzまたはそれ以上の周波数までを収容することができる。いくつかの実施形態は、300GHzまでの周波数範囲について好適であり得る。
【0041】
加えて、ここにおいて説明されるものに従った電磁気回路は、十分に低いプロファイルを有し、それと一致して軽量であり、宇宙空間に置かれたときに展開することによって配備される折畳み構造を含む、宇宙空間用途について適したものである。
【0042】
さらに、ここにおいて説明される方法に従って製造される電磁気回路は、腐食性化学薬品、マスキング、エッチング、ベイジング、電気めっき、等の必要性なしに、より安価で、かつ、より高速なプロトタイピングに対応する。片面または両面(側面)に配置された、事前にめっきされた伝導性材料を有する単純な基板は、コアの出発材料を形成することができ、そして、電磁気回路の全ての要素は、フライス加工(減算的、ドリル加工)、充填(付加的、導電性及び/又は抵抗性インクを印刷すること)、および、1つ以上の基板を結合すること、によって形成され得る。単純な半田リフローオペレーションおよび単純な導体(例えば、銅線)の挿入は、ここにおいて説明される方法およびシステムによって適応される。
【0043】
さらに、ここにおいて説明される方法に従って製造される電磁気回路は、非平面における展開、または、非平面を要求(calling for)する設計を収容することができる。ここにおいて説明されるような、および、他の、薄く、低プロファイルの電磁気回路は、変動する用途に適応するため、表面に適合するため(車両など)、または、例えば、複雑なアレイ構造をサポートするための、種々の外形(contour)を有する電磁気回路を生成するように、ここにおいて説明されるようなフライス(mill)、充填(fill)、および結合技術を使用して製造され得る。
【0044】
種々の追加的な詳細および態様を含む添付は、ここで一緒に同時に提出されたものであり、かくして、ここにおいて組み込まれ、かつ、この明細書の一部を構成する。
【0045】
従って、少なくとも1つの実施形態に係るいくつかの態様を説明したが、種々の変更、修正、および改良が当業者には容易に生じることが正しく理解されるべきである。そうした変更、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図されており、そして、本開示の範囲内にあることが意図されている。従って、前述の説明および図面は、例示目的だけのものである。