(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】平面のヒーターを備えるエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20221003BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20221003BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2020568795
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2019065486
(87)【国際公開番号】W WO2019238819
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-10
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ファン ランケル ピーテル
(72)【発明者】
【氏名】ファンクレイネスト ルイ-フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】デスナーク シモン
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-532828(JP,A)
【文献】国際公開第2017/202965(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0268911(US,A1)
【文献】特表2019-517779(JP,A)
【文献】特表2017-520263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置であって、前記装置が、
エアロゾル発生基体を包含する平面のエアロゾル発生物品を受容するように構成された加熱チャンバーと、
発熱体と、を備え、
前記発熱体が本質的に平面形状を有し、かつ平面のエアロゾル発生物品を加熱するように構成されていて、前記発熱体の少なくとも一つの加熱表面が、前記加熱チャンバーへの前記平面のエアロゾル発生物品の挿入後に、前記加熱表面と平面のエアロゾル発生物品の間の横方向の気流を可能にするように構成された表面構造を備える、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記発熱体が、平面のエアロゾル発生物品の単一の平面側面または両方の平面側面を加熱するように構成されている、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記発熱体が、前記加熱チャンバーへの平面のエアロゾル発生物品の挿入後に、前記平面のエアロゾル発生物品から間隙を介するように、またはそれに接触するように、またはそれを締めるように、構成されている、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記発熱体が、平面のエアロゾル発生物品の異なるセクションを加熱するための複数の別個に制御可能なセクションを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記発熱体が、平面のエアロゾル発生物品の少なくとも一つのセクションを予熱するための少なくとも一つの別個に制御可能なセクションを備え、前記発熱体が、エアロゾルを発生するために平面のエアロゾル発生物品の少なくとも一つの予熱されたセクションを加熱するための少なくとも一つの別個に制御可能なセクションを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記発熱体が、前記加熱チャンバーへの平面のエアロゾル発生物品の挿入を可能にするスリットまたはヒンジまたは可撓性のセクションを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記加熱チャンバーが、前記発熱体の少なくとも二つの平面の加熱表面の間に形成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記発熱体の少なくとも一つのセクションが、平面のエアロゾル発生物品より大きいまたは小さい加熱表面を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記発熱体が、前記発熱体の動作中、平面のエアロゾル発生物品に向かって、またはそれから離れて、またはそれに対して移動可能なように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記発熱体の少なくとも第一の加熱セクションが、前記発熱体の少なくとも第二の加熱セクションに対して移動可能なように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記発熱体が、前記加熱チャンバーへの平面のエアロゾル発生物品の挿入後に、平面のエアロゾル発生物品の両方の平面側面に隣接して配設されるように構成されていて、前記発熱体が、前記平面のエアロゾル発生物品のそれぞれの側面上の別個に制御可能な加熱セクションを備えることが好ましい、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記表面構造が、空気吸込み口に面する前記発熱体の第一の側面から、マウスピースに面する前記発熱体の第二の側面に向かって延びる少なくとも一つの横方向チャネルとして提供されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記加熱チャンバーが前記発熱体の少なくとも二つの平面の加熱表面の間に形成され、前記少なくとも二つの平面の加熱表面が相互に鏡映する、またはオフセットして鏡映する、または相補的構造を有する表面構造を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置および平面のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置を製造する方法であって、前記方法が、
i)エアロゾル発生基体を包含する平面のエアロゾル発生物品を受容するように構成された加熱チャンバーを提供する工程と、
ii)発熱体を提供する工程と、を含み、前記発熱体が本質的に平面形状を有し、かつ平面のエアロゾル発生物品を加熱するように構成されていて、前記発熱体の少なくとも一つの加熱表面が、前記加熱チャンバーへの前記平面のエアロゾル発生物品の挿入後に、前記加熱表面と平面のエアロゾル発生物の間の横方向の気流を可能にするように構成された表面構造を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置に関する。たばこなどのエアロゾル発生基体を加熱するが燃焼しないエアロゾル発生装置が知られている。これらの装置は、ユーザーによる吸入のためのエアロゾルを生成するために十分に高い温度までエアロゾル発生基体を加熱する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生装置は典型的に加熱チャンバーを備え、発熱体が加熱チャンバー内に配設されている。エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品は、加熱チャンバーに挿入され、発熱体によって加熱されうる。発熱体は典型的に加熱用ブレードとして構成され、物品が加熱チャンバーに挿入された時、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体の中に入り込む。加熱用ブレードは、発熱体とエアロゾル発生基体の間の接触面を制限する。
【0003】
この接触面の不足のため、発熱体から遠く離れたエアロゾル発生基体を加熱するために、この基体も望ましいエアロゾルを生成するように、発熱体はより高い温度まで上昇する必要がある。
【0004】
さらに、発熱体に近い基材が望ましいエアロゾルを放出すると、乾燥した基体が発熱体から遠く離れた基体に熱を伝達するのがより悪化する。それ故に、発熱体はより離れた基体を望ましい温度に加熱するためにより高い温度まで上昇する必要もある。これは過熱をもたらし、それによって望まれない風味を放出しうる。
【0005】
結果として、エアロゾル発生物品に包含されるエアロゾル発生基体の加熱が最適化されたエアロゾル発生装置に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
これを解決し、さらなる目的のために、本発明は、吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置を提案する。装置は、エアロゾル発生基体を包含する平面のエアロゾル発生物品を受容するように構成された加熱チャンバーおよび発熱体と、を備える。発熱体は本質的に平面形状を有し、平面のエアロゾル発生物品を加熱するように構成されている。発熱体の少なくとも一つの加熱表面は、加熱チャンバーへの平面のエアロゾル発生物品の挿入後に、加熱表面と平面のエアロゾル発生物品の間の横方向の気流を可能にするように構成された表面構造を備える。
【0007】
従来のエアロゾル発生物品は、従来の紙巻たばこに似た円筒形状を有する。本発明によるエアロゾル発生装置と共に使用されるエアロゾル発生物品は平面である。平面形状とは、物品が相互に対向して配設された二つの平面側面を有する一方で、側面は平面側面の表面積と比較して小さな表面積を有することを意味する。平面側面の間の距離として測定される物品の厚さは、物品の長さと比較して小さい。物品の長さおよび幅は、物品の厚さよりも少なくとも3倍大きく、5倍大きいことが好ましく、7倍大きいことがより好ましい。エアロゾル発生装置の発熱体は、エアロゾル発生物品に対応する平面形状を有する。発熱体の平面形状は、発熱体がエアロゾル発生物品の一平面側面または両方の平面側面を加熱するように構成されていることを意味する。それ故に、発熱体の対応する加熱表面は、以下により詳細に説明されるような表面構造を含む平面である。物品から離れた方向に向いている発熱体の部分、つまり加熱表面の反対側の発熱体の部分は、平面ではない場合がある。この部分は、接点などの要素を含みうる。
【0008】
平面の発熱体によって、エアロゾル発生物品に包含されるエアロゾル発生基体の均一な加熱が達成されうる。結果として、均一なエアロゾル発生が達成されうる。また、エアロゾル発生基体からエアロゾルを放出するために必要な温度より高い温度に発熱体を加熱する必要がない。従って、ヒーターを動作させるために提供される電池などの電源には、同じ量のエアロゾルを発生させるために、より小さいおよび/またはより低い容量が提供されうる。
【0009】
表面構造は、物品が加熱チャンバーに挿入された時に、物品に面している発熱体の表面中のチャネルとして構成されうる。これらのチャネルは、発熱体が物品と直接接触する場合、特に有益でありうる。この場合、空気はまだ物品の隣りにある、発熱体と物品の間のチャネルを通して流れうる。チャネルは、空気が周囲環境から、物品と発熱体に向かってかつそれらの間に、さらにユーザーの口に向かって引き出されうるように、発熱体の表面上に配設されうる。表面構造は、発熱体の加熱表面と挿入された物品の間の横方向の気流が可能になるように配設される。言い換えれば、気流は発熱体の平面とエアロゾル発生物品の間を流れる。それ故に、発熱体の動作によって発生するエアロゾル発生基体の揮発性成分は、気流によって最適に同伴されうる。横方向の気流の方向は、発熱体の加熱表面の平面およびエアロゾル発生物品の側面の平面において、装置の長軸方向軸と平行であることが好ましい。
【0010】
代替的に表面構造は、湾曲したチャネルまたはジグザグ形状を有するチャネルとして構成されてもよい。チャネルは、複数の分岐を含んでもよく、単一のチャネルが複数の分岐に分かれてもよく、または複数の分岐が合流して単一のチャネルを形成してもよい。チャネルは、発熱体と物品の間を空気が通過するのにかかる時間を増加させる形状を有しうる。エアロゾルの発生はこのように最適化されうる。表面構造は、発熱体の突出部または溝またはへこみとして構成されうる。表面構造は、粗い表面テクスチャとして構成されうる。ロゴ、テキスト、またはアートワークなどの光学的に魅力的な形状を、発熱体と物品の間の気流を可能にする表面構造として発熱体の表面に提示してもよい。表面構造は、硬い縁によって、または滑らかな移行によって画定されうる。滑らかな移行は、表面構造上の汚れまたはエアロゾルの堆積を防止するという利点を有しうる。また、表面構造が滑らかな移行によって画定される場合、表面構造はブラシなどのツールによってユーザーが掃除するのが容易でありうる。
【0011】
発熱体は、平面のエアロゾル発生物品の単一の平面側面または両方の平面側面を加熱するように構成されうる。
【0012】
平面のエアロゾル発生物品の単一の側面を加熱することは、発熱体をエアロゾル発生物品の単一の側面にのみ提供する必要があるという利点を有しうる。両側面で物品を加熱することは、より均一なエアロゾル発生が達成されうるという利点を有する。
【0013】
発熱体は、平面のエアロゾル発生物品を加熱チャンバーに挿入した後に、平面のエアロゾル発生物品から間隙を介するように、またはそれに接触するように、またはそれを締めるように、構成されてもよい。
【0014】
加熱チャンバーは、発熱体の二つの平面の加熱表面間の空間によって画定されうる。加熱表面は、相互に反対側に配設され、相互に面することが好ましい。
【0015】
エアロゾル発生物品から間隙を介した発熱体を提供することは、物品を加熱チャンバーに簡単に挿入できるという利点を有する。この実施形態は、発熱体が物品の両側面に隣接して構成され、物品の両側面を加熱する場合に特に有用である。発熱体と物品の間の直接接触は、発熱体から、エアロゾル発生物品中に包含されるエアロゾル発生基体に向かう熱伝達を最適化しうる。発熱体の間に物品を締め付けることは、発熱体の内側の加熱チャンバーにおける物品の保持を促進する。
【0016】
発熱体は、平面のエアロゾル発生物品の異なるセクションを加熱するための、複数の別個に制御可能なセクションを備えうる。
【0017】
この実施形態は、物品の単一の平面側面または物品の両方の平面側面を加熱する発熱体を利用しうる。いずれの場合でも、物品に包含されるエアロゾル発生基体の異なるセクションは、その後、発熱体の別個に制御可能なセクションによって加熱される。基体の異なるセクションは、ユーザーがエアロゾル発生装置で吸煙するたびに、または基体の一セクションの枯渇後に加熱されうる。
【0018】
発熱体は、平面のエアロゾル発生物品の少なくとも一つのセクションを予熱するための少なくとも別個に制御可能なセクションを備えてもよく、発熱体は、エアロゾルを発生するための平面のエアロゾル発生物品の少なくとも一つの予熱されたセクションを加熱するための少なくとも一つの別個に制御可能なセクションを備えてもよい。
【0019】
この実施形態では、発熱体のセクションが基体を予熱するために提供され、一方で発熱体のさらなるセクションが最終的にエアロゾルを放出するために提供される。よって、エアロゾルを放出するためのエアロゾル発生装置の応答時間を減少することができる。物品に包含される基体を予熱するための発熱体の第一のセクションが提供されて、物品の第一の平面側面を覆うことが好ましい。エアロゾルを放出するための第二のセクションは、第一の側面の反対側の物品の第二の平面側面上に提供される。エアロゾルの放出が望ましい時、第二のセクションが加熱され、一方で予熱用の第一のセクションはエアロゾルの放出とは独立して加熱される。物品に包含される基体のセクションは、エアロゾルが放出される程度まで加熱されうる一方、基体のその他のセクションは発熱体の第一のセクションによって予熱のみされるように、エアロゾルを放出するための第二のセクションは、複数の独立して制御可能なセクションを備えうる。予熱および最終加熱のための発熱体のセクションの対は、挿入された物品の両側面上に相互に反対側に提供され配設されうる。
【0020】
発熱体は、平面のエアロゾル発生物品を加熱チャンバーに挿入することを可能にするためのスリットまたはヒンジまたは可撓性セクションを備えうる。
【0021】
発熱体は、二つの別個の加熱セクションを備えてもよく、第一の加熱セクションは物品の第一の平面側面に隣接して配設されている一方、第二の加熱セクションは物品の第二の平面側面に隣接して配設されている。発熱体の二つの加熱セクションは、物品を挿入するためのスリットを形成しうる。別の方法として、加熱セクションが、物品の挿入のために開かれ、物品の挿入後に閉じることができるように、発熱体の加熱セクションはヒンジによって相互に接続されてもよい。さらなる別の方法として、発熱体のセクション、好ましくは発熱体の二つの加熱セクションを接続するセクションは、発熱体の加熱セクションが、物品の挿入を可能にするために外向きに曲げられうるように可撓性に構成されている。物品の挿入後、発熱体の加熱セクションは、物品が発熱体の加熱セクションの間に配設されるように再び閉じられる。発熱体の可撓性のセクションは、加熱セクションの間への物品の挿入後に、発熱体の加熱セクションが自動的にその初期位置に戻るように構成されていることが好ましい。
【0022】
発熱体の少なくとも一つのセクションは、平面のエアロゾル発生物品よりも大きいまたは小さい加熱表面を有してもよい。
【0023】
物品よりも大きな発熱体を構成することで、空気が物品に達する前に空気の予熱を可能にする。また、異なる寸法を有する物品を、単一の発熱体とともに使用してもよい。物品よりも小さい発熱体を構成することで、異なる加熱動作中に物品の異なるセクションを加熱することを可能にする。物品の一セクションのみが第一の加熱動作中に加熱されてもよく、一方で物品の異なるセクションはさらなる加熱動作で加熱されてもよい。また、物品の部分は、物品を保持するためのタップとして構成されるなど、異なる機能を有しうる。物品のこの部分は、発熱体によって覆われない場合がある。
【0024】
発熱体は、発熱体の動作中に、平面のエアロゾル発生物品に向かって、またはそれから離れて、またはそれに対して移動可能であってもよい。
【0025】
発熱体は、物品が加熱チャンバーに挿入された後に、物品に向かって移動するように構成されうる。移動は、ユーザーが発熱体を手動で動かすか、または装置によって自動的に動かすことによって促進されうる。物品から離れる発熱体の移動は、物品の加熱チャンバーへの挿入を促進しうる。物品に対する発熱体の移動は、物品の異なるセクションの加熱を可能にする。発熱体は、加熱動作中に物品に対して移動されるように構成されうる。発熱体は、ユーザーの吸煙と吸煙の間に物品に対して移動されるように構成されうる。移動は、ヒーターが起動されることによって、ユーザーがボタンを押すことによって、またはスマートフォンまたはスマートウォッチなどの外部装置と通信する装置の通信インターフェースによって誘発されうる。
【0026】
発熱体の少なくとも第一の加熱セクションは、発熱体の少なくとも第二の加熱セクションに対して移動可能に構成されうる。
【0027】
発熱体の第一の固定加熱セクションが物品に包含される基体を予熱するために提供され、一方で第二の加熱セクションは、エアロゾルを放出するために物品に包含される基体の異なるセクションを加熱するための物品の異なるセクション間で移動可能に構成されうる場合に、この実施形態は特に好ましい。別の方法として、固定加熱セクションならびに移動可能な加熱セクションの両方は、物品に包含される基体を加熱するために共に動作し、移動可能な加熱セクションは、基体の加熱されたセクションの枯渇後に、新鮮な基体のセクションに移動される。発熱体の固定部分は、平面の物品の一つの平面側面に隣接して配設され、一方で発熱体の移動可能なセクションはもう一方の平面側面に隣接して配設されることが好ましい。
【0028】
表面構造は、空気吸込み口に面する発熱体の第一の側面から、マウスピースに面する発熱体の第二の側面に向かって延びる少なくとも一つの横方向チャネルとして提供されうる。
【0029】
空気吸込み口は、発熱体の上流に提供されてもよい。空気吸込み口は、装置の遠位端に提供されてもよい。マウスピースは、発熱体の下流に提供されてもよい。マウスピースは、装置の近位端に提供されてもよい。平面の発熱体の平面は、装置の長軸方向軸と平行に配設されることが好ましい。発熱体の隣の加熱チャンバーに挿入されたエアロゾル発生物品の平面は、装置の長軸方向軸と平行に配設されることが好ましい。物品の平面側面または発熱体の平面の加熱表面と直角を成す方向は、装置の長軸方向軸と直角を成す。
【0030】
加熱チャンバーは、発熱体の少なくとも二つの平面の加熱表面の間に形成されてもよく、少なくとも二つの平面の加熱表面は相互に鏡映する、またはオフセットして鏡映する、または相補的構造を有する、表面構造を有しうる。
【0031】
発熱体の第二の加熱表面上の表面構造を鏡映する発熱体の第一の加熱表面上の表面構造は、二つの加熱表面の間に物品をしっかりと保持するために有益でありうる。加熱表面の表面構造が相互に対してオフセットされている場合、これはエアロゾル発生物品のすべてまたは本質的にすべての部分の周りの気流を促進し、それによって発生したエアロゾルを最適に同伴しうる。同様の効果は、相補的構造を有する二つの加熱表面によって達成されうる。
【0032】
発熱体の加熱表面は、気流を可能にする上述の表面構造を除いて、平面形状を有することが好ましい。これはまた、広範な形状を有する発熱体として示されうる。発熱体はまた、エアロゾル発生装置の特定の要件に応じて、湾曲、円錐形、ピラミッド形状、ドームまたは3D形状を有してもよい。エアロゾル発生物品は、対応する形状を有しうる。
【0033】
発熱体は、メッシュ発熱体として提供されることが好ましい。ただし、発熱体は発熱体を通した気流を可能にしないことが好ましい。発熱体はまた、抵抗発熱体として、導電性発熱体として、赤外LEDによって、レーザー発熱体として、プラズマ発熱体として、燃焼発熱体として、または発熱化学反応によって提供されうる。発熱体は金属、金属合金、セラミック、ポリマー、複合材料、その他の材料、または材料の組み合わせから作られることが好ましい。
【0034】
本発明はまた、上述のエアロゾル発生装置および平面のエアロゾル発生物品に関する。
【0035】
本発明はまた、吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生装置を製造する方法に関し、方法は、
i)エアロゾル発生基体を包含する平面のエアロゾル発生物品を受容するように構成された加熱チャンバーを提供する工程と、
ii)発熱体を提供する工程とを含み、発熱体は本質的に平面形状を有し、平面のエアロゾル発生物品を加熱するように構成されている。
【0036】
以下に本発明の実施例を、添付図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図6】発熱体の加熱表面における表面構造の実施形態。
【
図7】第一の加熱表面および第二の加熱表面における表面構造の構成。
【0038】
図1は、本発明によるエアロゾル発生装置を示す。
図1は、装置の加熱チャンバー10を示す。加熱チャンバー10内に、発熱体12が配設されている。発熱体12は、気流を可能にするために発熱体12の加熱表面内にチャネルを構成する表面構造14を備える。
【0039】
図1に示す実施形態はさらに装置のリッド16を示し、これは開閉されて加熱チャンバー10へのアクセスを可能にする。リッド16は、装置の発熱体12のさらなる加熱表面を備えうる。エアロゾル発生物品は、発熱体12とリッド16の間に挿入されうる。物品の挿入後、リッド16は閉じられ、エアロゾル発生物品をリッド16と発熱体12の間に挟み込みうる。リッド16が発熱体12のさらなる加熱表面を備える時、エアロゾル発生物品は次に、発熱体12の二つの加熱表面の間に挟まれる。
【0040】
発熱体12の加熱表面の少なくとも一つに提供される表面構造14は、空気吸込み口18から装置のマウスピース20に向かう気流を可能にする。エアロゾル発生物品がリッドと発熱体12の下部の間に挟まれている間、表面構造14によって提供されるチャネルは、発熱体12とエアロゾル発生物品の間の気流を可能にする。気流は、エアロゾル発生物品中のエアロゾル発生基体を加熱する発熱体12によって発生されるエアロゾルを最適に同伴しうる。
【0041】
図2は、エアロゾル発生装置の断面図である。
図2で分かる通り、発熱体12は第一の発熱体22および第二の発熱体24を含むことが好ましい。発熱体22、24は加熱表面を有する。第一の発熱体22はエアロゾル発生物品26の上方に位置付けられてもよく、第二の発熱体24は、エアロゾル発生物品26が装置の加熱チャンバー10に挿入された後に、エアロゾル発生物品26の下に配設されてもよい。エアロゾル発生物品26は、二つの発熱体22、24の間に挟まれている。
【0042】
エアロゾル発生装置は、コントローラ28と、電池の形態の電源30とを備えうる。コントローラ28は、電源30から発熱体12に向かう電力供給を制御するように構成されてもよい。コントローラ28は、電源30から第一の発熱体22に向かう電力供給を制御するための第一のコントローラと、電源30から第二の発熱体24に向かう電力供給を制御するための第二のコントローラとを備えうる。よって、コントローラ28は、二つの発熱体22、24の動作を別々に制御するように構成されうる。
図2に図示した矢印は、空気吸込み口18からマウスピース20に向かう気流を示す。三つ以上の発熱体が提供されている場合、コントローラは、これらの発熱体の動作を別々に制御するように構成されうる。
【0043】
図3は、発熱体の実施形態を示す。
図3Aに示す第一の実施形態では、第一の発熱体22は、第二の発熱体24とは別個に配置され、一方でエアロゾル発生物品26は、第一の発熱体22の加熱表面ならびに第二の発熱体24の加熱表面と直接接触して位置付けられている。
【0044】
図3Bにおいて、発熱体12は単一の発熱体として提供されている。この実施形態では、発熱体12のセクションの間にエアロゾル発生物品26が挿入されることを可能にするために、発熱体12が外向きに曲げられうるように、発熱体12の上部分を下部分と接続している発熱体12のセクションは可撓性および弾性であるように構成されうる。
【0045】
図3Cにおいて、第一の発熱体22は、エアロゾル発生物品26から離れて位置付けられていて、それによって、発熱体22、24の間の空間へのエアロゾル発生物品26の挿入を単純化する。すべての実施形態において、発熱体22、24の間の空間は、加熱チャンバー10を画定することが好ましい。
【0046】
図3Bでは、第一の発熱体22は、発熱体12の複数の独立して制御可能なセクションとして構成されている。この実施形態では、エアロゾル発生物品26の下に配設された第二の発熱体24は、エアロゾル発生物品26に包含されるエアロゾル発生基体を予熱するように構成されていることが好ましい。エアロゾル発生物品26の上方に配設された第一の発熱体22は、個別に加熱可能な複数のセクションとして構成されている。この実施形態では、エアロゾル発生基体およびエアロゾル発生物品26の異なる部分を加熱することができる。例えば、ユーザーの各吸煙中に、吸入可能なベイパーを発生させるために基体の異なる部分が加熱される。すべての実施形態において、発熱体22、24の一つは、予熱のために構成されてもよく、一方でもう一方の発熱体22、24は、吸入可能なベイパーを発生させるための最終的な加熱のために構成されてもよい。また、すべての実施形態において、発熱体22、24のそれぞれは、複数の独立して動作可能かつ制御可能な加熱セクションを備えうる。
【0047】
図4は、二つの発熱体22、24の間の加熱チャンバー10へのエアロゾル発生物品26の挿入を示す。
図4Aでは、エアロゾル発生物品26は、発熱体22、24の間に直接挿入されている。
図4Bでは、発熱体22、24は、エアロゾル発生物品26の挿入の間にさらに間隙を介して位置付けられている。エアロゾル発生物品26の挿入後、発熱体22、24は、エアロゾル発生のためにエアロゾル発生物品26を接触させるように、互いに接近するように移動される。
図4Cは、エアロゾル発生物品26の挿入を促進するために、発熱体22、24が均一でない方法で相互から離れて移動する実施形態を示す。
図4Dは、発熱体12が曲げられてエアロゾル発生物品26の挿入を可能にするように、発熱体のセクションが可撓性かつ弾性であるように構成された実施形態を示す。
【0048】
図5は、発熱体12の異なる形状を示す。発熱体は長方形の形状を有する、好ましい形状が
図5Aに示されている。しかし、
図5Bに示す丸形形状は、
図5Cに示す湾曲した縁を有する形状、
図5Dに示す不均一な形状、
図5Aに示す湾曲形状、
図5Fに示す円錐形状、
図5Gに示すピラミッド形状、および
図5Hに示す半球形状も可能な実施形態である。
【0049】
図6は、発熱体12の加熱表面における表面構造14の異なる実施形態を示す。表面構造14は、
図6Aに示す直線チャネルの形状、
図6Bに示す湾曲チャネルの形状、
図6Cに示すジグザグチャネルの形態、6Dに示す複数の分岐に分かれる、および/もしくは複数の分岐が一緒に合流したチャネルの形状、
図6Eに示すように気流経路を延長するためなどの形状、
図6Fに示す突出部またはへこみの形状、
図6Gに示すアートワークの形状、
図6Hに示す粗面の形状、または
図6Iに示すくっきりしたもしくは滑らかな移行の形状でありうる。表面構造14は、発熱体12が平面形状を有することを妨げず、また発熱体12が広範な形状を有し、平面のエアロゾル発生物品26の加熱のために構成されている限り、発熱体12は平面と見なされる。
【0050】
図7は、それぞれがエアロゾル発生物品26に面する、第一の発熱体22および第二の発熱体24の加熱表面上に提供された表面構造14の実施形態を示す。
図7Aは、相補的な形状を有する、第一の発熱体22および第二の発熱体24の加熱表面の表面構造14を示す。これは、発熱体12による加熱の間にエアロゾル発生物品で発生したエアロゾルの最適な同伴を促進しうる。
図7Bは、それぞれの表面構造14によって形成されたチャネルが小さいために、エアロゾル発生物品26が第一の発熱体22と第二の発熱体24の間にしっかりと保持されている実施形態を示す。エアロゾル発生物品と接触する表面の表面積は、この実施形態では、チャネルの表面よりも大きい。
図7Cは、より多くの空気がエアロゾル発生物品26と発熱体22、24の間を流れることができるように、第一の発熱体22および第二の発熱体24の表面構造に形成されたチャネルがより大きい実施形態を示す。エアロゾル発生物品26と接触する表面の表面積は、この実施形態では、チャネルの表面よりも小さい。