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特許7150897室内空気の品質制御のための二酸化炭素吸着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】室内空気の品質制御のための二酸化炭素吸着剤
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/22 20060101AFI20221003BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20221003BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20221003BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20221003BHJP
   B01J 20/32 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
B01J20/22 A
B01J20/28 A
B01J20/28 Z
B01J20/30
B01D53/04 110
B01J20/32 Z
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021000833
(22)【出願日】2021-01-06
(62)【分割の表示】P 2017549790の分割
【原出願日】2016-03-23
(65)【公開番号】P2021062374
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】62/136,918
(32)【優先日】2015-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/250,300
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】木村 理一郎
(72)【発明者】
【氏名】マーク ティー. ブエロウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン カウフマン
(72)【発明者】
【氏名】パスカリーン トラン
(72)【発明者】
【氏名】アロン ウォズィラス
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-500168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0213229(US,A1)
【文献】特表平07-509659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00-20/34
B01D 53/02-53/18
F24F 1/00- 1/68
F24F 7/00- 7/10
F24F 8/00- 8/99
B60H 1/00- 3/06
C01B 33/00-33/46
B64D 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエタノールアミン及び/又はペンタエチレンヘキサアミンを含むアミン化合物、
グリセロールを含むヒドロキシル含有添加物、および
前記アミン化合物で含浸された、粘土を含む多孔質担体粒子、
を含む吸着剤であって、前記アミン化合物は、前記吸着剤の全質量の20%~40%の範囲の量で存在する、吸着剤。
【請求項2】
前記吸着剤の失活率は25%より大きい、請求項1記載の吸着剤。
【請求項3】
摩耗試験を行った後の前記吸着剤の質量損失は3%未満であり、かつ前記吸着剤のCO2吸着容量は、前記吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、6g/Lより大きい、請求項1記載の吸着剤。
【請求項4】
前記アミン化合物は、さらに、トリエチレンペンタアミン、テトラエチレンペンタアミン、トリエチレンテトラアミン、ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、N,N′-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アルキルアミン、メチルアミン、線状ポリエチレンイミン、分枝状ポリエチレンイミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、またはポリエチレンポリアミンの1つ以上を含む、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項5】
前記アミン化合物は、ジエタノールアミンおよびペンタエチレンヘキサアミンを含む、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項6】
前記吸着剤のCO2吸着容量は、前記吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度に維持される場合、8g/Lより大きい、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項7】
前記多孔質担体粒子は、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリナイト、モンモリロナイト、ボールクレイ、フラー土、ヘクトライト、パリゴルスカイト、サポナイト、セピオライト、ハロイサイト、シリカ、硫酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、ヒュームドシリカ、活性炭、または金属有機構造体の1つ以上を含む、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項8】
前記多孔質担体粒子の表面積は、前記アミン化合物で含浸される前に、50m2/gより大きく、かつ、前記吸着剤の平均細孔容積は、0.2cc/gより大でかつ0.8cc/g未満である、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項9】
前記顆粒の平均サイズは、0.25mm~5mmの範囲にある、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項10】
前記吸着剤は、多孔質セラミックハニカム体、金属ハニカム体、またはポリマーフォーム上にコートされている、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項11】
吸着剤を製造する方法において、前記方法は、
粘土を含む多孔質担体粒子を、ヒドロキシル含有添加物と、ジエタノールアミン及び/又はペンタエチレンヘキサアミンを含むアミン化合物とで含浸することを含み、前記ヒドロキシル含有添加物は、グリセロールを含み、前記アミン化合物は、前記吸着剤の全質量の20%~40%の範囲の量で存在する、
吸着剤を製造する方法。
【請求項12】
さらに、
前記多孔質担体粒子を、含浸の前に焼成すること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、
前記アミン化合物を前記ヒドロキシル含有添加物と混合することを含み、ここで、前記多孔質担体粒子の含浸は、前記多孔質担体粒子を前記アミン化合物と前記ヒドロキシル含有添加物とで同時に含浸することを含む
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記吸着剤の失活率は25%より大きく、摩耗試験を行った後の前記吸着剤の質量損失は3%未満であり、かつ前記吸着剤のCO2吸着容量は、前記吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、6g/Lより大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記アミン化合物は、さらに、トリエチレンペンタアミン、テトラエチレンペンタアミン、トリエチレンテトラアミン、ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、N,N′-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アルキルアミン、メチルアミン、線状ポリエチレンイミン、分枝状ポリエチレンイミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、またはポリエチレンポリアミンの1つ以上を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記アミン化合物は、ジエタノールアミンおよびペンタエチレンヘキサアミンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記吸着剤のCO2吸着容量は、前記吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度に維持される場合、8g/Lより大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記多孔質担体粒子は、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリナイト、モンモリロナイト、ボールクレイ、フラー土、ヘクトライト、パリゴルスカイト、サポナイト、セピオライト、ハロイサイト、シリカ、硫酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、ヒュームドシリカ、活性炭、または金属有機構造体の1つ以上を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記多孔質担体粒子の表面積は、前記アミン化合物で含浸される前に、50m2/gより大きく、前記吸着剤の平均細孔容積は、0.2cc/gより大でかつ0.8cc/g未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
さらに、
前記吸着剤を、多孔質セラミックハニカム体、金属ハニカム体、またはポリマーフォームから選択される支持体上にウォッシュコートすること
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
CO2スクラビングシステム内へ受け取られた空気流と接触するように配列された1つ以上のフィルターカートリッジ、および
前記1つ以上のフィルターカートリッジ内に配置された、請求項1から10までのいずれか記載の吸着剤
を含むCO2スクラビングシステム。
【請求項22】
空気を処理する方法において、前記方法は、
第1のCO2濃度を有する空気の第1の体積を、請求項1から10までのいずれか記載の吸着剤を含む空気処理室内へ流入させること、および
空気の前記第1の体積を前記吸着剤と接触させることを含み、ここで、前記接触後で、空気の前記第1の体積の第2のCO2濃度は、前記第1のCO2濃度よりも低い、
空気を処理する方法。
【請求項23】
フィルタユニット、および
前記フィルタユニット内に配置された、請求項1から10までのいずれか記載の吸着剤
を含む自動車換気システム。
【請求項24】
フィルタユニット、および
前記フィルタユニット内に配置された、請求項1から10までのいずれか記載の吸着剤
を含む航空機環境制御システム。
【請求項25】
大気から二酸化炭素を除去するための空気制御システムにおいて、前記システムは、
フィルタユニット、および
前記フィルタユニット内に配置された、請求項1から10までのいずれか記載の吸着剤を含む空気制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
本出願は、2015年3月23日に出願された米国仮特許出願第62/136,918号および2015年11月3日に出願された米国仮特許出願第62/250,300号の優先権の利益を主張し、この開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
背景
【0002】
商業建築物では、二酸化炭素(CO2)濃度を安全な水準に低下させるために、室内空気を外気に置き換えることにより空気の品質をしばしば維持する。しかしながら、このような換気は、暖房、換気、および空調(HVAC)システムにおいて、主要なエネルギー消費源(50%まで)となる。
【0003】
HVACシステムのエネルギー効率を改善するために、CO2吸着剤材料が開発されている。特に、HVACシステムは、再循環された室内空気からCO2を吸着し、次いでCO2をパージプロセスにより外気に放出するために、CO2吸着剤が組み込まれたCO2スクラバーを利用する。このようなシステムは、従来のHVACシステムに関してエネルギー節約の点で改善されているが、吸着剤材料は作業容量および熱老化安定性についての長期目標を達成できていない。
本開示の概要
【0004】
次に、このような態様の基本的な理解を提供するために、本開示の多様な態様の簡素化された概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概観ではない。これは、この開示の手掛かりまたは重要な構成要素を特定することも、本開示の特別な実施態様の任意の範囲または特許請求の範囲の任意の範囲を線引きすることも意図していない。この唯一の目的は、後に提示されるより詳細な記載に対する前置きとして簡素化された形でこの開示のいくつかの概念を提示することである。
【0005】
本開示の一態様の場合に、吸着剤は、アミン化合物を含むガス吸着材料と、ヒドロキシル含有添加物とを含む。ヒドロキシル含有添加物は、グリセロール、グリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、ポリエーテル、ポリエステル、エチレングリコール、またはケイ素を基礎とする化合物の少なくとも1つを含む。吸着剤は、さらにガス吸着材料で含浸された多孔質担体を含む。
【0006】
一実施態様の場合に、ガス吸着材料およびヒドロキシル含有添加物は、互いに混合されて、多孔質担体上で被覆を形成する。一実施態様の場合に、ヒドロキシル含有添加物は、ケイ素を基礎とする化合物を含み、ここで、このケイ素を基礎とする化合物は、多孔質担体上でケイ素を基礎とする被覆を形成し、かつここで、ガス吸着材料は、このケイ素を基礎とする被覆上に被覆される。
【0007】
本開示の他の態様の場合に、吸着剤は、多孔質担体上に配置されたケイ素を基礎とする被覆を含む多孔質担体と、このケイ素を基礎とする被覆上に被覆されたガス吸着材料とを含み、このガス吸着材料は、アミン化合物を含む。
【0008】
一定の実施態様の場合に、ガス吸着材料は、ジエタノールアミンまたはペンタエチレンヘキサアミンを含み、かつヒドロキシル含有添加物は、グリセロールを含む。
【0009】
一定の実施態様の場合に、ケイ素を基礎とする被覆は、多孔質担体とケイ素を基礎とする被覆との全質量の0%より大~20%、多孔質担体とケイ素を基礎とする被覆との全質量の0%より大~5%、または多孔質担体とケイ素を基礎とする被覆との全質量の1%~3%の範囲の量で存在する。
【0010】
一定の実施態様の場合に、ケイ素を基礎とする被覆は、多孔質担体をオルトケイ酸テトラエチル、コロイド状シリカ、またはケイ酸ナトリウムの1つ以上で処理することにより形成された。
【0011】
一定の実施態様の場合に、アミン化合物は、吸着剤の全質量の20%~40%、または吸着剤の全質量の23%~35%の範囲の量で存在する。
【0012】
一定の実施態様の場合に、吸着剤の失活率は、25%より大きい、50%より大きい、75%より大きい、80%より大きい、85%より大きい、または90%より大きい。
【0013】
一定の実施態様の場合に、摩耗試験を行った後の吸着剤の質量損失は3%未満であり、かつ吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、6g/Lより大きい。
【0014】
一定の実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が100時間まで40℃~60℃の温度で維持される場合、初期CO2吸着容量の60%より高く残存する。
【0015】
一定の実施態様の場合に、アミン化合物は、それぞれ少なくとも1つのアミン部分、少なくとも2つのアミン部分、または少なくとも3つのアミン部分を含む分子種を含む。
【0016】
一定の実施態様の場合に、アミン化合物は、ジエタノールアミン、トリエチレンペンタアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、トリエチレンテトラアミン、ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、N,N′-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アルキルアミン、メチルアミン、線状ポリエチレンイミン、分枝状ポリエチレンイミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、またはポリエチレンポリアミンの1つ以上を含む。
【0017】
一定の実施態様の場合に、アミン化合物は、ジエタノールアミンおよびペンタエチレンヘキサアミンを含む。
【0018】
一定の実施態様の場合に、アミン化合物は、ジエタノールアミンを含む。
【0019】
一定の実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、8g/Lより大きい。一定の実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、10g/Lより大きい。一定の実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、15g/Lより大きい。一定の実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、20g/Lより大きい。
【0020】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体は粘土を含む。一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリナイト、モンモリロナイト、ボールクレイ、フラー土、ヘクトライト、パリゴルスカイト、サポナイト、セピオライト、ハロイサイト、シリカ、硫酸カルシウム、ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ、ヒュームドシリカ、活性炭、または金属有機構造体の1つ以上を含む。一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、アタパルジャイトを含む。一定の実施態様の場合に、多孔質担体は粘土を含み、この粘土はその上に被覆されたシリカを有する。
【0021】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積は、ガス吸着材料で含浸される前に、50m2/gより大きい。一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積は、ガス吸着材料で含浸される前に、100m2/gより大きい。一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積は、ガス吸着材料で含浸される前に、100m2/gより大でかつ120m2/g未満である。一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積は、ガス吸着材料で含浸される前に、200m2/gより大きい。一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積は、ガス吸着材料で含浸される前に、200m2/gより大でかつ500m2/g未満である。一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積は、ガス吸着材料で含浸される前に、200m2/gより大でかつ400m2/g未満である。一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積は、ガス吸着材料で含浸される前に、200m2/gより大でかつ300m2/g未満である。
【0022】
一定の実施態様の場合に、吸着剤の平均細孔容積は、0.2cc/gより大でかつ0.8cc/g未満である。一定の実施態様の場合に、吸着剤の平均細孔容積は、0.4cc/gより大でかつ0.5cc/g未満である。
【0023】
一定の実施態様の場合に、吸着剤は顆粒の形である。一定の実施態様の場合に、顆粒の平均サイズは、約0.25mm~約5mmの範囲にある。一定の実施態様の場合に、顆粒の平均サイズは、約0.25mm~約1.5mmの範囲にある。
【0024】
一定の実施態様の場合に、吸着剤は、多孔質セラミックハニカム体、金属ハニカム体、またはポリマーフォーム上にウォッシュコートされた吸着剤を有する、多孔質セラミックハニカム体、金属ハニカム体、またはポリマーフォームの形である。
【0025】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体は粉末の形である。一定の実施態様の場合に、吸着剤は、ガス吸着材料で含浸された後に、粉末から形成された顆粒の形である。
【0026】
本開示の他の態様の場合に、吸着剤(例えば上述の吸着剤の実施態様のいくつか)を製造する方法は、多孔質担体をガス吸着材料で含浸することを含む。ガス吸着材料はアミン化合物を含み、かつヒドロキシル含有添加物は、グリセロール、ソルビトール、スクロース、ポリエーテル、ポリエステル、エチレングリコール、またはケイ素を基礎とする化合物の1つ以上を含む。一実施態様の場合に、この方法は、さらに、含浸の前に多孔質担体を焼成することを含む。一実施態様の場合に、この方法は、さらに、ガス吸着材料を、ヒドロキシル含有添加物と混合することを含み、ここで、多孔質担体の含浸は、多孔質担体をガス吸着材料とヒドロキシル含有添加物とで同時に含浸することを含む。
【0027】
本開示の他の態様の場合に、吸着剤を製造する方法は、被覆された担体を形成するために多孔質担体上にケイ素を基礎とする被覆を形成すること、および被覆された担体をガス吸着材料で含浸することを含み、このガス吸着材料はアミンを含む。一実施態様の場合に、多孔質担体上にケイ素を基礎とする被覆を形成することは、多孔質担体を、オルトケイ酸テトラエチル、コロイド状シリカ、またはケイ酸ナトリウムの1つ以上で処理することを含む。一実施態様の場合に、この方法は、さらに、ケイ素を基礎とする被覆を形成する前にまたはケイ素を基礎とする被覆を形成した後に、被覆された担体を焼成することを含む。
【0028】
一定の実施態様の場合に、焼成は、400℃~600℃、540℃~580℃の温度で焼成することを含む。
【0029】
本開示の他の態様の場合に、CO2スクラビングシステムは、CO2スクラビングシステム内へ受け取られた空気流と接触するように配列された1つ以上のフィルターカートリッジを含み、かつ1つ以上のフィルターカートリッジ内に配置された上述の吸着剤の任意の実施態様を含む。
【0030】
本開示の他の多様の場合に、空気を処理する方法は、第1のCO2濃度を有する空気の第1の体積を、上述の吸着剤の任意の実施態様を含む空気処理室内へ流入させること、および空気の第1の体積を吸着剤と接触させることを含み、ここで、接触後の、空気の第1の体積の第2のCO2濃度は、第1のCO2濃度より低い。一実施態様の場合に、空気の第1の体積は、建築物の室内からの再循環された空気を含む。一実施態様の場合に、この方法は、さらに第3のCO2濃度を有する空気の第2の体積を、空気処理室内へ流入させること、および空気の第2の体積を吸着剤と接触させることを含み、ここで、この接触後の、空気の第2の体積の第4のCO2濃度は、第3のCO2濃度よりも高い。一実施態様の場合に、空気の第2の体積は、建築物の屋外からの空気を含む。
【0031】
本開示の他の態様の場合に、自動車換気システムは、フィルタユニット内に配置された上述の吸着剤の任意の実施態様を含むフィルタユニットを含む。
【0032】
本開示の他の態様の場合に、大気から二酸化炭素を除去するための空気制御システムは、フィルタユニット内に配置された上述の吸着剤の任意の実施態様を含むフィルタユニットを含む。
【0033】
ここに使用される場合、「失活率」は、熱重量分析を用いた熱老化に対する吸着剤の安定性の尺度として使用される。吸着剤のCO2吸着容量を評価する場合、失活率は、初期CO2吸着容量に対する、吸着剤を老化(条件:N2中で100℃で6時間、引き続く空気中で90℃で2時間)した後のCO2吸着容量の比率に相当する。より高い失活率は、吸着剤が老化に対してより高い安定性を有することを示す。CO2サイクルの吸着/脱着についての典型的条件は次のようである:吸着、30min、1000ppmのCO2(空気バランス:20%O2およびN2バランス)、30℃;脱着、30min、400ppmのCO2(N2バランス)、50℃。
【0034】
ここに使用される場合、「吸着剤材料」の用語は、その構造内にガス分子、イオン、または他の種を付着(例えば空気からのCO2の除去)させることができる材料をいう。特定の材料は、粘土、金属有機構造体、活性アルミナ、シリカゲル、活性炭、モレキュラーシーブカーボン、ゼオライト(例えばモレキュラーシーブゼオライト)、ポリマー、および樹脂が含まれるが、これらに限定されない。一定の吸着剤材料は、特別な種を優先的または選択的に付着させてよい。
【0035】
ここに使用される場合、「吸着容量」の用語は、特別な操作条件(例えば温度および圧力)下で、吸着剤材料が吸着することができる化学種の量についての作業容量をいう。吸着容量の単位は、g/Lの単位で表される場合、吸着剤1リットル当たり吸着されたガスのグラム数に相当する。
【0036】
また、ここに使用される場合、「活性化」の用語は、その貯蔵容量を増大させるような吸着材料(例えばCO2吸着剤粒子)の処理をいう。一般に、この処理は、結果として、その意図された目的で材料の容量を増大させるために、吸着部位からの汚染物質(例えば水、非水性溶媒、硫黄化合物および高級炭化水素)の除去を生じる。
【0037】
また、ここに使用される場合、「粒子」の用語は、ここに使用される場合、0.1μm~50mmの範囲の最大寸法をそれぞれ有する材料の個別な部分の集まりをいう。粒子のモルホロジーは、結晶質、半結晶質、または非晶質であってよい。「粒子」の用語は、半径で1nmまでの粉末を包含してもよい。ここに開示された範囲のサイズは、特に明記しない限り、中間/平均または中位サイズであることができる。粒子は球である必要はなく、立方体、円柱、ディスク、または当業者に評価されるような任意の他の適切な形状の形であってもよいことも留意される。「顆粒」は、粒子のタイプであってよい。
【0038】
また、ここに使用される場合、「モノリス」の用語は、吸着剤材料をいう場合、この材料の単一のブロックをいう。この単一のブロックは、例えば、レンガ、ディスクまたはロッドの形であることができ、かつガスの流れ/分配を増大させるための通路を含むことができる。一定の実施態様の場合に、所望の形状を形成するために、多数のモノリスを配列することができる。
【0039】
また、ここに使用される場合、「アミン化合物」の用語は、それぞれ少なくとも1つの第1級アミン、第2級アミン、または第3級アミンを有する1つ以上の分子種をいう。また、ここに使用される場合に、「ポリアミン」の用語は、それぞれ第1級アミン、第2級アミン、および第3級アミンから選択される少なくとも2つのアミンを有する1つ以上の分子種をいう。ポリアミンのタイプは、ジアミン、トリアミン、テトラアミンなどを含む。
【0040】
また、ここに使用される場合、「ケイ素を基礎とする被覆」の用語は、ケイ素、例えばシリカ、コロイド状シリカ、またはケイ酸ナトリウムを含む被覆層をいう。
【0041】
また、ここに使用される場合、「約」の用語は、測定された量との関連で使用される場合、測定の対象物および測定機器の精度に相応して、測定を行いかつある程度の注意を払う当業者により予想されるような、測定された量における標準的な変動をいう。
図面の簡単な説明
【0042】
本開示は、添付図面の図中に、限定としてではなく、例として図示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本開示の一実施態様による例示的な空気流システムを図示する。
【0044】
図2】本開示の別の実施態様による例示的な空気流システムを図示する。
【0045】
図3】本開示の一実施態様によるCO2吸着剤を製造する方法を図示する流れ図。
【0046】
図4】本開示の一実施態様によるCO2吸着剤を製造する別の方法を図示する流れ図。
【0047】
図5】CO2吸着容量および失活率に関するアミン化合物の量の効果を図示する。
【0048】
図6】多様な吸着剤についての失活率に対するCO2吸着容量を図示する。
【0049】
図7】多様な吸着剤についての失活率に対するCO2吸着容量を図示する。
【0050】
図8A】多様な吸着剤の耐摩耗性を図示する。
【0051】
図8B】摩耗試験で使用された多様な吸着剤のパラメータを示す表。
【0052】
図9】多様な吸着剤についてのCO2吸着に関する老化時間の効果を図示する。
【0053】
図10】数回の吸着/脱着サイクル後のCO2吸着パフォーマンスを図示する。
【0054】
詳細な説明
ここに記載された実施態様は、暖房、換気、および空調(HVAC)システム用の二酸化炭素(CO2)吸着剤に関し、特に、商業オフィス建築物におけるエネルギー消費を低減するために改善された吸着容量および耐久性を有する吸着剤に関する。HVACシステムのCO2スクラバーユニット内で固体CO2吸着剤を使用することは、室内CO2濃度レベルを、外気で希釈することにより低減するための換気の頻度を減らし、こうしてエネルギー消費を低減することを可能にする。
【0055】
本開示の一定の実施態様は、高いCO2吸着容量、反復使用に対する高い安定性(熱/老化安定性)、および高い耐摩耗性を有するCO2吸着剤に関する。CO2の吸着は、典型的な室内空気条件(例えば、25℃~30℃でCO2 1000ppm)で起こり、かつこの脱着は、テキサスのような暑い気候地域での典型的な外気条件(例えば、45℃~50℃でCO2 400ppm)で起こる。例示の吸着剤は、活性ガス吸着成分として作用するアミン化合物と、このアミン化合物のために高い表面積の担体として利用される多孔質担体とを含む。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤は、高い吸着効果を提供するポリアミン、ならびにアミン負荷のための高い細孔容積および表面積、および耐摩耗性のための高い嵩密度を有する多孔質材料を含む。このポリアミンは、この吸着剤を、高い温度で、例えば80℃までで再生させる。
【0056】
いくつかの実施態様の場合に、空気濾過システム中に組み込む際に、低い圧力低下および加熱の容易さのために、顆粒が使用される。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤は、押出物を形成するために押し出された高多孔質シリカ粉末および/または粘土粉末を用いる。シリカ粉末は、押出物に高い多孔性を提供する傾向があり、かつ粘土粉末は、押出物に高い耐摩耗性を提供する傾向がある。このような実施態様は、かなり以前の吸着剤よりも少なくとも2倍のCO2吸着容量を示す。
【0057】
本開示の一定の実施態様は、アタパルジャイトを基礎とする担体上にジエタノールアミン(DEA)を含む吸着剤に関する。一定の実施態様の場合に、アタパルジャイトを基礎とする担体は、シリカ、カルシウム、およびベントナイト不純物、ならびに揮発物不純物と共に、70質量%を越えるアタパルジャイトを含んでよい。一定の実施態様の場合に、ケイ素を基礎とする被覆で被覆されたアタパルジャイトを基礎とする担体に含浸されたDEAは、50℃での老化および多数回の吸着/再生サイクル試験に対して、ケイ素を基礎とする被覆なしで直接アタパルジャイトを基礎とする担体に含浸されたDEAよりも高い安定性を示すことが見出された。
【0058】
図1~2は、本開示の一実施態様による例示的な空気流システム100を図示する。システム100は、建築物102の一部として設置されたCO2スクラバーユニット104と、HVACシステム106とを含む。図1に示すように、CO2スクラバーユニット104およびHVACシステム106は、再循環空気流路108が確立されるように、相互におよび建築物102の室内空気空間と流動性に連結される。CO2が建築物102の室内空気空間内に蓄積されると、室内空気は、CO2吸着剤を用いて過剰のCO2を吸着するために、CO2スクラバーユニット104を通して再循環される。次いで、処理された空気は、HVACシステム106を通され、この空気は、さらに(例えば塵および他の粒子を除去するために)濾過され、かつ建築物102内に再循環して戻される前に加熱または冷却されてもよい。
【0059】
図2に示すように、CO2スクラバーユニット104は、CO2吸着剤から吸着されたCO2をパージするパージプロセスを用いてよい。一定の実施態様の場合に、低いCO2濃度を有する屋外空気(外気)を引き込むように、パージ空気流路110が確立されている。CO2スクラバーは、吸着されたCO2のパージ空気流路110および外部環境への脱着を促進するために、CO2吸着剤に(例えば加熱エレメントを用いて)熱を適用してもよい。いくつかの実施態様の場合に、CO2スクラバーは、熱い外気(例えば40℃~50℃の空気)を単独で、またはCO2吸着剤に熱を提供することと組合せて利用してよい。いくつかの実施態様の場合に、任意の所与の時間で、空気流路108および110の1つだけが確立される。いくつかの実施態様の場合に、パージプロセスは、再循環された空気がまだ流れている間に行われてよい。例えば、CO2スクラバーユニット104は、吸着剤と接触させずにHVACシステム106内へ流入するように、建築物102から受け取った再循環空気をそらしてよく、パージ空気流路110は、吸着剤の再生(例えばCO2脱着)のために使用される。いくつかの実施態様の場合に、CO2スクラバーユニット104は、多重の吸着剤を含んでよく、かつ多重の空気流路を画定してよい。例えば、CO2スクラバーユニット104は、第1の吸着剤により再循環された空気のCO2を処理してよく、同時にこの再循環空気から隔離された第2の吸着剤を再生してよい。第2の吸着剤が再生されると、この第2の吸着剤は、第1の吸着剤と一緒に再循環空気と接触するように配置されてよい。第1の吸着剤は、後に、パージプロセスにより再生するために、再循環空気から隔離されてよい。
【0060】
CO2吸着剤は、球状ペレット、立方体ペレット、ディスク、押出物、ビーズ、粉末、または任意の他の適切な形状のような顆粒の形であってよい。いくつかの実施態様の場合に、この顆粒の平均サイズは、約0.25mm~約5mmの範囲にある。いくつかの実施態様の場合に、この平均サイズは、0.25mm~1.5mmの範囲にある。いくつかの実施態様の場合に、この平均サイズは、0.25mm~2.4mmの範囲にある。いくつかの実施態様の場合に、他のサイズを使用してよい。いくつかの実施態様の場合に、顆粒をカートリッジ内に装填してもよく、引き続きこのカートリッジをCO2スクラバーユニット内に装填/積み重ねてよい。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤は、多孔質セラミックハニカム体、金属ハニカム体、またはポリマーフォーム上にウォッシュコートされた吸着剤(例えば、ポリアミンを含浸した粉末、例えばシリカ粉末のウォッシュコート)を有する多孔質セラミックハニカム体、金属ハニカム体、またはポリマーフォームの形であってよい。
【0061】
図3は、本開示の実施態様によるCO2吸着剤を製造するための方法300を図示する流れ図である。図3は、多孔質担体(例えば複数の多孔質粒子)を準備するブロック302で始まる。多孔質担体は、ガス吸着剤、例えばアミン化合物で含浸するための高い表面積の多孔質担体として利用されてよい。一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、粘土粒子(例えば、ベントナイト、アタパルジャイト、カオリナイト、モンモリロナイト、ボールクレイ、フラー土、ヘクトライト、パリゴルスカイト、サポナイト、セピオライト、ハロイサイト、他の粘土材料、またはこれらの組合せ)を含む。一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、シリカ、硫酸カルシウム、ゼオライト、合成ゼオライト、アルミナ、チタニア、ヒュームドシリカ、活性炭、金属有機構造体、他のタイプの多孔質材料、またはこれらの組合せを含む。
【0062】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、顆粒のような複数の多孔質粒子を含む。一定の実施態様の場合に、この粒子/顆粒の平均サイズは、約0.25mm~約5mmの範囲にある。一定の実施態様の場合に、平均サイズは、約0.25mm~約1.5mmの範囲にある。一定の実施態様の場合に、平均サイズは、約0.25mm~約2.4mmの範囲にある。
【0063】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、複数の多孔質粒子を粉末の形で含む。一定の実施態様の場合に、この粒子/粉末の平均サイズは、約0.1μm~約100μmの範囲にある。一定の実施態様の場合に、平均サイズは、約5.0μm~約50μmの範囲にある。
【0064】
多孔質担体の表面積は、DIN ISO 9277:2003-5(DIN 66131の改訂版である)によるBrunauer-Emmett-Teller(BET)法により決定してよい。この比表面積は、0.05~0.3p/p0の相対圧範囲における多点BET測定によって決定される。
【0065】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積(例えばBET表面積)は、ガス吸着材料で含浸される前に、27m2/gより大きい。一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、複数の多孔質粒子を粉末の形で含む。一定の実施態様の場合に、粒子/粉末の平均サイズは、約1.0μm~約100μmの範囲にある。一定の実施態様の場合に、平均サイズは、約5.0μm~約50μmの範囲にある。一定の実施態様の場合に、表面積は、75m2/gより大でかつ300m2/g未満である。一定の実施態様の場合に、表面積は、100m2/gより大でかつ120m2/g未満である。一定の実施態様の場合に、表面積は200m2/gより大きい。一定の実施態様の場合に、表面積は200m2/gより大でかつ500m2/g未満である。一定の実施態様の場合に、表面積は200m2/gより大でかつ400m2/g未満である。一定の実施態様の場合に、表面積は200m2/gより大でかつ300m2/g未満である。ケイ素を基礎とする被覆が多孔質担体に適用される一定の実施態様の場合に、多孔質担体の表面積は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、5%~40%、10%~40%、または20%~40%増大する。
【0066】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体の平均細孔容積(例えばBarrett-Joyner-Halenda細孔容積)は、0.2mL/gより大でかつ0.8mL/g未満である。一定の実施態様の場合に、平均細孔容積は、0.4mL/gより大でかつ0.5mL/g未満である。一定の実施態様の場合に、平均細孔容積は、0.1mL/gより大でかつ3.0mL/g未満である。一定の実施態様の場合に、平均細孔容積は、0.2mL/gより大でかつ2.0mL/g未満である。ケイ素を基礎とする被覆が多孔質担体に適用される一定の実施態様の場合に、多孔質担体の平均細孔容積は、最大で7%、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、5%~10%、5%~20%、または5%~25%減少する。
【0067】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体の平均細孔半径(例えばBET細孔半径)は、80オングストロームより大でかつ120オングストローム未満である。一定の実施態様の場合に、平均細孔半径は、90オングストロームより大でかつ110オングストローム未満である。一定の実施態様の場合に、平均細孔半径は、85オングストロームより大でかつ95オングストローム未満である。一定の実施態様の場合に、平均細孔半径は、10オングストロームより大でかつ300オングストローム未満である。一定の実施態様の場合に、平均細孔半径は、15オングストロームより大でかつ250オングストローム未満である。一定の実施態様の場合に、平均細孔半径は、20オングストロームより大でかつ200オングストローム未満である。ケイ素を基礎とする被覆が多孔質担体に適用される一定の実施態様の場合に、多孔質担体の平均細孔容積は、最大で10%、最大で15%、最大で20%、10%~30%、15%~25%、10%~20%、または20%~30%減少する。
【0068】
本開示の実施態様で利用される多孔質担体の容量を増大するために、多孔質担体を活性化することができる。活性化は、多孔質担体(例えば粒子)を、この多孔質担体を活性化するために十分な時間、周囲温度、真空、不活性ガス流、またはこれらの任意の組合せを含む多様な条件に曝すことを含んでよいが、これらに限定されない。いくつかの実施態様の場合に、多孔質担体は、焼成により活性化されてよい。一定の実施態様の場合に、活性化は、ケイ素を基礎とする被覆で多孔質担体を被覆する前、ケイ素を基礎とする被覆で多孔質担体を被覆した後、および/またはアミン化合物で含浸した後に行われてよい。
【0069】
一定の実施態様の場合に、活性化は、吸着部位から水分子を除去することを含む。他の実施態様の場合に、活性化は、吸着部位から、多孔質担体の製造から残る非水性溶媒分子を除去することを含む。さらに別の実施態様の場合に、活性化は、吸着部位から硫黄化合物または高級炭化水素を除去することを含む。活性化プロセスにおいて不活性ガスパージを利用する実施態様の場合に、引き続く溶媒回収工程も考えられる。一定の実施態様の場合に、これらの汚染物(例えば水、非水性溶媒、硫黄化合物、または高級炭化水素)は、分子レベルで多孔質担体から除去される。
【0070】
一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、ガス吸着材料で含浸する前に焼成される。焼成は、一定の実施態様の場合に400℃~600℃、別の実施態様の場合に540℃~580℃、または別の実施態様の場合に100℃~150℃の温度で行ってよい。
【0071】
いくつかの実施態様の場合に、ヒドロキシル含有添加物は、ケイ素を基礎とする化合物であってよい。このような実施態様の場合に、シリコンを基礎とする被覆は、多孔質担体上のケイ素を基礎とする被覆を形成してよい。いくつかの実施態様の場合に、被覆された担体は、ケイ素を基礎とする被覆を形成する前または後に焼成されてよい。被覆された担体の実施態様は、図4との関連でさらに説明される。
【0072】
ブロック304で、アミン溶液が準備される。アミン溶液は、アミン化合物(例えば1つ以上のタイプ)を含んでよい。アミン化合物は、1つ以上の第1級アミン、1つ以上の第2級アミン、および1つ以上の第3級アミンを有する有機分子種を含んでよい。例えば、第1のアミン種(例えばDEA)および第2のアミン種(例えばPEHA)を含む溶液は、第1のアミン種を第1の濃度で、かつ第2のアミン種を第2の濃度で含んでよい。一定の実施態様の場合に、アミン溶液は、アミン種の任意の別の型を含まずに、DEAを含む。
【0073】
アミン種の例を次に示す:
ジエタノールアミン(DEA)
M:105.14g/mol
沸点:269.9℃
【化1】
トリエチレンペンタアミン(TEPA)
【化2】
M:189.30g/mol
沸点:340℃
ペンタエチレンヘキサアミン(PEHA)
M:232.37g/mol
沸点:380℃
【化3】
【0074】
別のアミン種は、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、N,N′-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アルキルアミン、メチルアミン、ポリエチレンイミン(分枝状または線状)、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、およびポリエチレンポリアミンを含むが、これらに限定されない。
【0075】
一定の実施態様の場合に、アミン化合物の特別な組成は、Heavy Polyamine X(Dow)、 エチレンアミンE-100(Huntsman)、HEPAおよびHEPAS140(Delamine)、またはこれらの組合せを含んでよい。
【0076】
一定の実施態様の場合に、1つ以上のヒドロキシル含有添加物は、アミンガス吸着効果および老化耐久性を増大させる。一定の実施態様の場合に、1つ以上のヒドロキシル含有添加物は、1つ以上のアルコール(例えばグリセロール)を含んでよい。一定の実施態様の場合に、1つ以上のヒドロキシル含有添加物は、グリセロール、ソルビトール、またはスクロースの1つ以上を含んでよい。
【0077】
ブロック306で、多孔質担体は、吸着剤を形成するためにアミン溶液と混合される。多孔質担体は、アミン化合物で(例えばインシピエントウェットネス含浸により)含浸されることになってもよい。含浸は、周囲温度、変化する雰囲気条件(例えば空気下、窒素雰囲気下、真空下、または低圧窒素雰囲気下)、不活性ガス流、またはこれらの任意の組合せを含む多様な条件下で行ってよいが、これらに限定されない。
【0078】
ブロック308で、吸着剤は乾燥される。ブロック310で、吸着剤を大量の空気と接触させ、かつ大量の空気からガスを吸着するように適合させる。いくつかの実施態様の場合に、ガスはCO2である。いくつかの実施態様の場合に、CO2に加えてまたはCO2の代わりに、別のガス(例えば揮発性有機化合物)を吸着してよい。
【0079】
一定の実施態様の場合に、乾燥後に、多孔質担体上に含浸させたアミン化合物(例えばジエタノールアミン)の質量百分率は、吸着剤の全質量の20%~60%、吸着剤の全質量の20%~40%、吸着剤の全質量の30%~50%、吸着剤の全質量の27%~37%、吸着剤の全質量の38%~45%、または吸着剤の全質量の30%~32%の範囲にある。一定の実施態様の場合に、有機含有分(アミン化合物および他の添加物を含む)の質量百分率は、吸着剤の全質量の20質量%~60質量%、吸着剤の全質量の30質量%~50質量%、吸着剤の全質量の38質量%~45質量%、または吸着剤の全質量の23質量%~35質量%の範囲にある。多孔質担体(例えば被覆されたまたは被覆されていない担体)の質量百分率は、吸着剤の全質量の40質量%~80質量%、吸着剤の全質量の50質量%~70質量%、吸着剤の全質量の55質量%~62質量%、または吸着剤の全質量の65質量%~77質量%の範囲にある。
【0080】
いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持され(CO2の吸着)、次いで吸着剤が40℃より高くかつ55℃未満の温度に維持される(CO2の脱着)場合、8g/Lより大きい。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持され(CO2の吸着)、次いで吸着剤が40℃より高くかつ55℃未満の温度に維持される(CO2の脱着)場合、10g/Lより大きい。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持され(CO2の吸着)、次いで吸着剤が40℃より高くかつ55℃未満の温度に維持される(CO2の脱着)場合、15g/Lより大きい。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持され(CO2の吸着)、次いで吸着剤が40℃より高くかつ55℃未満の温度に維持される(CO2の脱着)場合、20g/Lより大きい。
【0081】
いくつかの実施態様の場合に、吸着剤の失活率は、25%より大きいか、または50%より大きい。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、25%より大きい吸着剤の失活率で、8g/Lより大きい。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、25%より大きい吸着剤の失活率で、14g/Lより大きい。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、50%より大きい吸着剤の失活率で、8g/Lより大きい。いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、50%より大きい吸着剤の失活率で、14g/Lより大きい。
【0082】
いくつかの実施態様の場合に、吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤の質量に対する吸着されたCO2の質量として計算した場合に、1.5質量%より大きく、1.6質量%より大きく、1.7質量%より大きく、1.8質量%より大きく、1.9質量%より大きく、2.0質量%より大きく、2.1質量%より大きく、2.2質量%より大きく、2.3質量%より大きく、2.4質量%より大きく、または2.5質量%より大きい。
【0083】
一実施態様の場合に、摩耗試験を行った後の吸着剤の質量損失は、3%未満であり、かつ吸着剤のCO2吸着容量は、吸着剤が20℃より高くかつ40℃未満の温度で維持される場合、10g/Lより大きい。一実施態様の場合に、摩耗試験を行った後の吸着剤の質量損失は、1.5%未満である。
【0084】
いくつかの実施態様の場合に、フレッシュな吸着剤の吸着容量からの、周囲空気下で50℃で100時間の老化による老化した吸着容量への吸着容量の低下は、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満である。
【0085】
図4は、本開示の一実施態様によるCO2吸着剤を製造する方法400を図示する流れ図である。図4は、多孔質担体(例えば複数の多孔質粒子)を準備するブロック402で始まる。この多孔質担体は、図3に関して説明したものと同様であってよい。
【0086】
ブロック404で、ケイ素を基礎とする被覆は、被覆された担体(例えばシリカ被覆担体)を形成するために、多孔質担体上に形成される。一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を含む水溶液で処理される。一定の実施態様の場合に、多孔質担体は、50℃~70℃(例えば60℃)の温度で1時間~3時間、TEOSと一緒に温置される。他の実施態様の場合に、多孔質担体は、コロイド状シリカまたはケイ酸ナトリウムのような他の材料で処理されてよい。ケイ素を基礎とする被覆は、周囲温度、真空、不活性ガス流、またはこれらの任意の組合せを含む多様な条件化で形成されてよいが、これらに限定されない。
【0087】
一定の実施態様の場合に、被覆された担体は、ガス吸着材料で含浸される前に(例えば、ケイ素を基礎とする被覆の形成の前および/または後に)焼成される。焼成は、一定の実施態様の場合に、400℃~600℃、他の実施態様の場合に540℃~580℃、他の実施態様の場合に100℃~150℃の温度で行ってよい。
【0088】
ブロック406で、アミン溶液が準備される。このアミン溶液は、図3に関して説明したものと同様であってよい。
【0089】
ブロック408で、被覆された担体は、吸着剤を形成するためにアミン溶液と混合される。ブロック410で、吸着剤は乾燥される。ブロック412で、吸着剤は、大量の空気と接触され、かつ大量の空気からガスを吸着するように適合される。ブロック408、410、および412は、図3のブロック306に関して説明したように、それぞれ、ブロック306、308、および310と同様に行ってよい。得られた吸着剤の特性は、図3の得られた吸着剤に関して説明したものと同じであるかまたは同様であってよい。
【0090】
方法300および400のブロックは無限定であり、かついくつかの実施態様の場合に、これらのブロックのいくつかまたは全てが行われてよいことに留意される。いくつかの実施態様の場合、これらのブロックの1つ以上は、実質的に同時に行われてよい。いくつかのブロックは、全く省かれるかまたは繰り返されてよい。例えば、ブロック310および412は、省かれてよいか、または残りのブロックとは別個に行われてよい。
【0091】
次の実施例は、開示された実施態様の理解を支援するために記載されており、かつもちろん、ここに記載されかつ請求された実施態様を特定の限定として解釈すべきでない。当業者の範囲内にある、現在公知のまたは後に開発される全ての等価物の置き換えを含むような実施態様のバリエーション、配合における変更および実験計画における小幅な変更は、ここに組み込まれた実施態様の範囲に含まれると見なされる。
一般的実施態様の例示的な実施例
【0092】
焼成された粘土顆粒を、このセクションの以下の実施例で多孔質担体として使用した。この粘土顆粒は、アタパルジャイトを少なくとも70質量%含み、かつシリカ、カルシウム、およびベントナイトを不純物として含んでいた。この粘土顆粒の平均サイズは、約0.25mm~約1.5mmの範囲であった。この顆粒のBET平均表面積は、90m2/g~120m2/gの範囲であった。この顆粒のBJH平均細孔容積は、0.42cc/g~0.5cc/gの範囲であった。BET平均細孔半径は、85オングストローム~100オングストロームの範囲であった。この焼成された粘土顆粒を、以後、「粘土担体」といい、かつ次の実施例で使用された粘土担体は、全てアタパルジャイトを基礎とする顆粒である。
実施例A1:DEA-含浸吸着剤
【0093】
吸着剤を、粘土担体へのジエタノールアミン(DEA)の湿式含浸により準備した。含浸の前に、この粘土担体を、560℃で2時間焼成した。DEAを、60℃で約2時間加熱することにより溶かした。DEA(20g)を蒸留水6.7gに添加して、DEA溶液を製造した。この粘土担体(41.4g)およびDEA溶液を、60℃で15分間加熱し、このDEA溶液を粘土担体に5分間激しく攪拌しながら注ぎ込み、DEA含浸吸着剤を得た。DEA含浸吸着剤を、60℃で2時間乾燥した。この吸着剤の初期CO2吸着容量およびDFは、それぞれ12.42g/Lおよび48%であった。いくつかの実施態様の場合に、多孔質担体は、含浸の前に酸で前処理された。
実施例A2:混合アミン含浸吸着剤
【0094】
吸着剤を、粘土担体上へのDEA、ペンタエチレンヘキサアミン(PEHA)、およびグリセロールの湿式含浸により準備した。含浸の前に、この粘土担体を、560℃で2時間焼成した。DEAを、60℃で約2時間加熱することにより溶かした。DEA(5.36g)、PEHA(5.8g)、およびグリセロール(1.53g)を、蒸留水8.11gに添加して、混合アミン溶液を製造した。焼成した粘土担体(41.4g)および混合アミン溶液を、60℃で15分間加熱し、この混合アミン溶液を粘土担体に5分間激しく攪拌しながら注ぎ込み、アミン含浸吸着剤を得た。DEA含浸吸着剤を、60℃で2時間乾燥した。この吸着剤の初期CO2吸着容量およびDFは、それぞれ13.27g/Lおよび26%であった。
実施例A3:吸着容量の測定
【0095】
CO2吸着容量を、吸着剤粒子を充填床反応器に設置することにより測定した。吸着は、水0体積%で1000ppmのCO2濃度を有する、0.1m/秒の空気流について、25℃で60分にわたり測定した(建築物室内の空気条件をシミュレートするため)。脱着は、水1%で400ppmのCO2濃度を有する、0.2m/sの空気流について、50℃で30分にわたり測定した(屋外の空気条件をシミュレートするため)。
【0096】
図5は、CO2吸着容量に関するDEA量(平均細孔容積に関して)の効果を図示し、これは、DEA量の増加と共にCO2吸着容量の減少を示す。図5に図式的に示されているように、この効果は、おそらく、細孔を詰まらせ、かつ吸着剤のガス到達可能な全体の表面積を低減させかねないDEAの過負荷によるものである。
実施例A4:熱老化分析
【0097】
吸着剤の熱老化に対する安定性を、各吸着剤の失活率を測定することにより評価した。失活率は、フレッシュな吸着剤の吸着容量に対する老化した吸着剤の吸着容量の比率である。吸着剤を、30分間空気中で30℃での1000ppmのCO2と30分間50℃でのN2との間で5回循環させる熱/酸化促進暴露プロセスに供し、引き続き吸着剤を100℃で6時間N2に曝し、引き続き90℃で2時間空気に曝す老化プロセスに供した。この老化プロセスの後に、単独の試験での老化の前後の吸着容量を比較するために、吸着剤をさらに5回循環させた。
【0098】
図5は、さらに、失活率に関するDEA量(平均細孔容積に関して)の効果を図示し、これは、DEA量の増加と共に失活率の増加を示す。DEAの増加した量が、おそらく、吸着剤の寿命の間のDEA損失から生じることができる老化効果を低減する。
【0099】
図6は、多様な吸着剤についての失活率に対するCO2吸着容量を図示し、これは、ヒドロキシル含有添加物(例えばグリセロール)の組み込みが老化安定性を改善できることを示す。図7は、多様な組成物(例えば多孔質担体、アミン化合物、グリセロールの存在または不存在)が組み込まれた多様な吸着剤についての失活率に対するCO2吸着容量を図示する。
実施例A5:摩耗試験
【0100】
摩耗試験は、吸着剤粒子を、5ペニーと共に15分間機械的に振動させ、次いで250マイクロメートルフィルターで篩い分けする5ペニー摩耗試験を用いて行われた。質量損失を、試験前の初期質量と、最終的に篩い分けされた質量との間の差として計算した。
【0101】
図8Aは、多様なCO2吸着剤の耐摩耗性を図示するプロットであり、かつ図8Bは、吸着剤組成物の詳細を示す表である。摩耗試験後の質量損失は、比較的高い細孔容積のシリカ粉末から製造された顆粒が、比較的低い細孔容積のシリカ粉末から製造された顆粒よりも低かった(例えば3%未満)。一般に、図8Aおよび8Bで使用したシリカ粉末は、100~200m2/gのBET表面積および0.2~1.2cc/gのBJH細孔容積を有していた。粘土粉末から製造された顆粒は、シリカ粉末単独から製造された顆粒よりも高い耐摩耗性を有する傾向があった。
被覆された担体の例示的な実施例
【0102】
上述の実施例に記載された同様の粘土担体を、次の実施例で使用した。
実施例B1:TEOS処理
【0103】
粘土担体をTEOS含有水溶液(2~20質量%)と混合し、60℃で2時間温置することにより加水分解反応を開始させ、シリカ被覆担体を得た。
【0104】
他のバッチでは、TEOSを、混合物(粘土担体に相当する混合物98~80質量%)の2~20質量%の量で、粘土担体に添加し、引き続きスパチュラで室温で5分間攪拌し、2時間で60℃に加熱した。
実施例B2:コロイド状シリカを用いた処理
【0105】
コロイド状シリカ(5質量%)を水に添加して、液体の全体量が、粘土担体の全液体保持容量(またはインシピエントウェットネス点)と同じであるコロイド状シリカ溶液を準備した。このコロイド状シリカ溶液を粘土担体に添加し、この混合物をスパチュラで室温で2~3分間攪拌した。次いで、この混合物を、それぞれ1時間で100℃に、または3時間で120℃に加熱した。
実施例B3:ケイ酸ナトリウムを用いた処理
【0106】
ケイ酸ナトリウム(2.6~5.0質量%)を水に添加して、液体の全体量が、粘土担体の全液体保持容量(またはインシピエントウェットネス点)と同じであるケイ酸ナトリウム溶液を準備した。このケイ酸ナトリウム溶液を粘土担体に添加し、この混合物をスパチュラで室温で2~3分間攪拌した。次いで、この混合物を、それぞれ1時間で100℃に、または3時間で120℃に加熱した。いくつかのバッチでは、異なるケイ酸ナトリウム組成物を使用した(例えば、Na2O:SiO2=1.3を示す、固体含有率48.9%を有するSigma-Aldrichから得られたケイ酸ナトリウム;Na2O:SiO2=1:2を示す、固体含有率44.1%を有するPQ CorporationからのDTMケイ酸ナトリウム溶液)。
実施例B4:ケイ酸ナトリウムを用いた処理
【0107】
塩酸(1M)を、溶液のpHが12.9から約9.0に低下するまで、ケイ酸ナトリウム溶液(Na2O:SiO2=1:2を示す、44.1%の固体含有率を有するPQ CorporationからのDTMケイ酸ナトリウム溶液)に添加した。得られた溶液(2.6質量%)を、液体の全体量が粘土担体の全液体保持容量(またはインシピエントウェットネス点)と同じである水に添加した。このケイ酸ナトリウム溶液を粘土担体に添加し、この混合物をスパチュラで室温で2~3分間攪拌した。次いで、この混合物を3時間で100℃に加熱した。
実施例B5:吸着剤の準備
【0108】
上述の実施例の被覆された担体を使用して、異なる吸着剤バッチを作製した。各バッチを準備するために、DEA溶液を被覆された担体と一緒に混合して、被覆された担体上にDEAを(例えば吸着剤の24質量%~28質量%の量で)含浸した。DEA含浸を、スパチュラを用いて室温で5分間攪拌することにより行った。含浸の前に、シリカ被覆担体とDEA溶液の両方を、15~30分間60℃で予熱して、粘土担体の細孔構造内へのDEAの良好な分散を保証した。含浸の後に、この混合物をN2雰囲気下で2~3時間60℃で乾燥した。
実施例B6:老化分析
【0109】
フレッシュなCO2吸着容量を、実施例B1(TEOS2質量%、DEA28質量%)、実施例B2(ナトリウムイオンにより安定化されたコロイド状シリカ5質量%、DEA28質量%)、実施例B3(ケイ酸ナトリウム2.6質量%、DEA24質量%)、および実施例B4(塩酸で処理されたケイ酸ナトリウム)の吸着剤について、それぞれ10.42g-CO2/L-吸着剤、10.67g-CO2/L-吸着剤、10.75g-CO2/L-吸着剤、および10.05g-CO2/L-吸着剤として測定した。
【0110】
吸着剤を炉内に空気中で50℃で100時間(他に明記されていない限り)放置することにより吸着剤の老化を行い、その後で、CO2吸着容量を測定した。老化の後に、実施例B1(100時間ではなく120時間老化した)、実施例B2、および実施例B3の吸着剤は、それぞれ33%、28%、および11%低下したCO2吸着容量を示した。参照試料として、粘土担体(シリカ被覆なし)上に被覆したDEA32質量%は、老化の後に43%低下したCO2吸着容量を示した。空気中で50℃で240時間老化した後に、実施例B1の吸着剤は、54%低下したCO2吸着容量を示した。
【0111】
図9は、参照試料と比較して、実施例B1、実施例B2、および実施例B3の吸着剤についてのCO2吸着に関する老化時間の効果を示すプロットである。
【0112】
図10は、実施例B1の吸着剤についての数回のサイクルにわたるCO2吸着サイクルを示すプロットである。この吸着剤は、27サイクル(つまり、連続運転の40.5時間)にわたり安定した性能を示した。
実施例B7:耐摩耗性
【0113】
吸着剤試料を5ペニーと一緒に篩(60メッシュ、250μm)内に載置し、15分間機械的に振動させることにより摩耗試験を行った。摩耗質量損失を、吸着剤の全体の初期質量に対する、篩を通して失われた材料の量として計算した。実施例B1、実施例B2、実施例B3、および実施例B4からの吸着剤に関する耐摩耗性試験を行った後の摩耗質量損失は、それぞれ2.7質量%、3.8質量%、0.4質量%、および0.9質量%であった。参照試料として、粘土担体(シリカ被覆なし)上に被覆されたDEA32質量%の、耐摩耗性試験後の摩耗質量損失は、3.7質量%であった。
【0114】
上述の記載において、本開示の実施態様の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細、例えば特定の材料、寸法、プロセスパラメータなどが記載されている。これらの特別な特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施態様において任意の適切な方法で組み合わされてよい。「実施例」または「例証的」の単語は、ここでは、実施例、事例、または例示としての機能を果たすことを意味するために使用される。「実施例」または「例証的」としてここに記載された任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計に関して好ましいかまたは有利であると解釈されるべきではない。むしろ、「実施例」または「例証的」の単語の使用は、概念を具体的な形で提示することを意図する。この出願中で使用される場合、「または」の用語は、排他的「または」ではなく、包括的「または」を意味することを意図する。すなわち、他に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」とは、自然な包括的な順列のいずれかを意味することを意図する。すなわち、XはAを含む;XはBを含む;またはXはAとBとの両方を含む場合、「XはAまたはBを含む」は、上述の事例のいずれかのもとで満たされる。さらに、「a」または「an」の冠詞は、この出願および添付の特許請求の範囲で使用される場合、他に明記されていない限り、または単数形を指すことが文脈から明らかでない限り、一般に「1つ以上」を意味することと解釈されるべきである。本明細書を通して、「実施態様」、「一定の実施態様」、または「一実施態様」の言及は、この実施態様との関連で記載された特別な特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施態様中に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して多様な箇所での「実施態様」、「一定の実施態様」、または「一実施態様」の句の出現は、必ずしも全てが同じ実施態様を言及する必要はなく、このような言及は「少なくとも1つ」を意味する。
【0115】
上述の記載は例示的であり、限定的でないこと意図することが理解される。多くの他の実施態様は、上述の記載を読みかつ理解することで、当業者には明らかである。したがって、この開示の範囲は、添付の特許請求の範囲と関連して、この特許請求の範囲が権利付与される等価物の全ての範囲と共に決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10