(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】圧縮波マッサージデバイス
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20221003BHJP
A61H 7/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A61H23/02 342
A61H7/00 310D
A61H7/00 310F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021025572
(22)【出願日】2021-02-19
(62)【分割の表示】P 2017061403の分割
【原出願日】2017-03-27
【審査請求日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】10 2016 106 120.4
(32)【優先日】2016-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(32)【優先日】2016-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516240673
【氏名又は名称】アイス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】EIS GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Lenkwerk 3, 33609 Bielefeld,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・エム・ヴィット
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-188921(JP,A)
【文献】国際公開第2015/039787(WO,A1)
【文献】特開平06-209975(JP,A)
【文献】実公昭47-028781(JP,Y1)
【文献】特開昭59-082860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00-9/00
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力場発生デバイス(10)を有する身体部分用の圧縮波マッサージデバイスであって、
第1端部(12a)および第1端部(12a)の反対側に間隔を空けて配置された第2端部(12b)を有する1つのキャビティ(12)を備え、キャビティ(12)は、2つの端部(12a、12b)を互いに接続してキャビティ(12)を形成する側壁(12c)をさらに有し、第1端部(12a)には身体部分に配置するための開口部(8)が設けられており、さらに、開口部(8)に刺激圧力場が生成されるように最小容積と最大容積の間でキャビティ(12)の容積を変化させるように構成された駆動デバイス(20、22)を備えており、
キャビティ(12)は実質的に単一のチャンバ(14)によって形成されており、
側壁(12c)は不連続部がなく、チャンバ(14)のキャビティ(12)は
、可撓性の膜(18)により第2端部(12b)が閉じられており、膜(18)は、駆動デバイス(20、22)によって開口部(8)に向かう方向およびその反対方向に交互に移動され、
最小容積に対する容積変化の比率は1/10以上
、かつ、1以
下であり、
少なくとも駆動デバイス(20、22)、膜(18)及び環状部材(16)を内包し、且つ、突出部(4)が設けられたハウジング(2)をさらに備え、
チャンバ(14)は、可撓性の膜(18)と、
膜(18)が接続される環状部材(16)と、
環状部材(16)に接続されて開口部(8)を形成する可撓性のソケット(6)の3つの部分で構成され、
ソケット(6)の内壁は、側壁(12c)の第1部分(12c1)を構成し、環状部材(16)の内壁は、側壁(12c)の第2部分(12c2)を構成し、第1部分(12c1)と第2部分(12c2)は整列しており、ソケット(6)を、ハウジング(2)の突出部(4)に対して着脱自在に固定可能とすることで、チャンバ(14)の一部であるソケット(6)だけを交換可能に設けた、圧縮波マッサージデバイス。
【請求項2】
ソケット(6)は、ハウジング(2)の突出部(4)に接続される外側部分(6a)と、環状部材(16)に接続される内側部分(6b)とを有する、請求項1に記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項3】
可撓性の膜(18)は、シリコンで作られる、請求項1又は2に記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項4】
最小容積に対する容積変化の比率は1/8以上、および/又は、1/2以下である、請求項1から3のいずれか1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項5】
2つの端部(12a、12b)の間の長さ(L)に対して垂直に画定されたチャンバ(14)のキャビティ(12)の断面は、2つの端部(12a、12b)の間の全長(L)にわたって実質的に不変あるいは少なくともほぼ一定で
ある、請求項1に記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項6】
チャンバ(14)のキャビティ(12)は、長さ(L)に対して直交する方向に円形又は楕円形の断面を有する、請求項1
から5のいずれか1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項7】
ソケット(6)は可撓性の材
料で作られている、請求項
1から6のいずれか1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項8】
可撓性の材料はシリコンである、請求項7に記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項9】
圧力場は
、常圧に対して変調される相対的な真空状態および過圧状態のパターンを表すものである、請求項1から
8のうちの少なくとも1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項10】
常圧(P
0)に対する相対的な過剰圧力の値は、常圧(P
0)に対する相対的な真空の値よりも小さい、請求項
9に記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項11】
常圧(P
0)に対する相対的な過剰圧力の値は、常圧(P
0)に対する相対的な真空の値の10%以下である、請求項
10に記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項12】
圧力場は
、常圧(P
0)に対して変調される相対的な真空状態のパターンを表すものである、請求項1から
8の少なくとも1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項13】
圧力場は、実質的に正弦波の周期的な圧力の進行を表すものである、請求項
9から
12のうちの少なくとも1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項14】
駆動デバイス(20、22)を制御し、かつ、圧力場のそれぞれの変調を変えることができる少なくとも1つの制御手段(32、34)を備える制御デバイス(26、32、34)をさらに備える、請求項1から
13のうちの少なくとも1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項15】
圧縮波マッサージデバイスは手動デバイスであり、
電源スイッチ(32)によって操作される、請求項1から
14のうちの少なくとも1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項16】
キャビティ(12)は連続的なチューブ状である、請求項1から
15のうちの少なくとも1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項17】
側壁(12c)は、不連続部がないことで、均質的かつ妨害されない有効な空気流を発生させることが可能である、請求項1から
16のうちの少なくとも1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【請求項18】
可撓性の膜(18)は、キャビティ(12)の断面全体にわたって実質的に延びている、請求項1から
17のうちの少なくとも1つに記載の圧縮波マッサージデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の発明は、第1端部および第1端部の反対側に間隔を空けて配置された第2端部を有する少なくとも1つのキャビティを形成するとともに圧力場を生成するデバイスを備えた、身体部分(body parts)用の圧縮波マッサージデバイスであって、第1端部には身体部分に配置するための少なくとも1つの開口部が設けられており、さらに、少なくとも1つの開口部に刺激圧力場が生成されるように最小容積と最大容積の間で少なくとも1つのキャビティの容積を変化させるように構成された駆動デバイスを備える、圧縮波マッサージデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べた種類の既知のデバイスは、第1チャンバと第2チャンバによって形成されるキャビティを有する。第2チャンバは身体部分の上に配置するための開口を有する。2つのチャンバは、狭くなった接続チャネルを介して互いに接続されている。駆動デバイスは、第1チャンバの容積のみを変化させるように、すなわち、接続チャネルを介して第2チャンバ内に刺激圧力場が生成されるように構成されている。しかしながら、このような既知のデバイスの構成にはかなりの欠点がある。潤滑剤を使用する場合や水中で使用する場合、潤滑剤や水によって狭い接続チャネル内のスロットル効果が増加して駆動デバイスが閉塞されてしまうため、使用は不可能である。さらに既知のデバイスは、その非常に狭い断面に起因する接続チャネルが内部に位置する第1チャンバの洗浄を妨げるとともに、汚染物質や細菌がそこに蓄積して削除できない可能性があるため、必要とされる厳しい衛生要件を満たしていない。
【発明の概要】
【0003】
本開示の発明の目的は、簡単で効率的な設計、かつ、衛生面の厳しい要件を満たす冒頭に述べた種類の圧縮波マッサージデバイスを提供することである。
【0004】
この目的は、次の圧力場生成デバイスにより達成される。圧力場生成デバイスは、第1端部および第1端部の反対側に間隔を空けて配置される第2端部を有する少なくとも1つのキャビティを備える。第1端部には身体部分に配置するための少なくとも1つの開口部が設けられている。圧力場生成デバイスはさらに、少なくとも1つの開口部に刺激圧力場が生成されるように最小容積と最大容積の間で少なくとも1つのキャビティの容積を変化させるように構成された駆動デバイスを備える。ここで、最小容積に対する容積変化の比率は1/10以上、好ましくは1/8以上である。
【0005】
このように、本開示の発明は単一のチャンバを用いた解決方法であって、単一のチャンバのみによって形成されており、特にキャビティを容易に洗浄できるために、構造が簡単かつ衛生面にも優れており、潤滑剤や水中での取り扱いも容易であるという利点がある。
【0006】
さらに本開示の発明では、容積変化に対する最小容積の比率を10以下、特に8以下とすることで、吸引効果が低くなり過ぎないようにすることができる。 ここで、容積変化は、最大容積と最小容積の差を意味する。キャビティの容積は、開口部の近傍で仮想的に開口部を閉じる仮想的な平面で終端するチャンバの容積として定義される。
【0007】
本開示の発明の好ましい実施形態およびさらなる発展形態は、従属請求項に開示されている。
【0008】
本開示の発明によれば、好ましくは、容積変化に対する最小容積の比率を1以上、より好ましくは1/2以上とすることで、駆動デバイスの要求出力が過大とならず、かつ、開口部の真空度の低下およびそれによる痛みを伴わないようにすることができる。
【0009】
真空状態と圧力状態を交互に生成するために駆動デバイスによって往復運動される可撓性の膜を使用する場合、キャビティの最小容積は、キャビティの開口部が仮想的に平面によって閉じられるとともに、膜が開口部から最短の距離に位置する動作中の状態および/又は位置にあるときの容積として定義される。一方、キャビティの最大容積は、キャビティの開口が仮想的に平面によって閉じられるとともに、膜が開口部から最長の距離に位置する動作中の状態および/又は位置にあるときの容積として定義される。チャンバのキャビティの全長にわたって空気流が実質的に不変あるいは少なくともほぼ一定であるように、好ましくは、両端部間の長さ方向に垂直に規定されたチャンバのキャビティの断面は、両端部間の全長にわたって不変あるいは少なくともほぼ一定である。断面は好ましくは、断面形状および/又は断面積を規定するものである。
【0010】
チャンバのキャビティは、好ましくは、実質的に円形又は楕円形の断面を有する回転体である。
【0011】
さらに、均質的かつ妨害されない有効な空気流を発生させるために、好ましくは、キャビティを画定するとともに2つの端部を互いに接続するチャンバの側壁が不連続部分を含まないことが有利である。
【0012】
チャンバのキャビティが連続的なチューブであれば、より有利である。
【0013】
開口部の断面は、好ましくは、チャンバのキャビティの断面と実質的に同じである。
【0014】
長手方向で規定されるチャンバのキャビティの長さに対する、長手方向に対して垂直に規定されるチャンバのキャビティの幅の比率は、0.1から1.0にすることが特に有利であり、好ましくは0.2から0.6、さらに好ましくは0.38から0.4の範囲である。
【0015】
チャンバのキャビティは、好ましくは、その内側の第2端部が可撓性の膜によって閉じられており、この膜はキャビティの断面全体に実質的に延在し、かつ、駆動デバイスによって、開口部に向かう方向およびその反対方向に交互に移動される。このような構成では、本開示の発明により提供される単一のチャンバのキャビティ内において、特に簡単かつ効果的に刺激圧力場を発生させることができる。
【0016】
衛生面の理由から、特に開口部を有するチャンバの一部を交換可能なソケットとして設け、ソケットの内側の側壁が開口部につながるキャビティの側壁の一部を形成するように構成すればさらに有利である。ソケットは可撓性の材料、好ましくはシリコンで作れば有利である。
【0017】
上述した好ましい実施形態のさらなる発展形態では、ソケットの内側側壁は、キャビティの側壁の他の部分と整列するように配置され、その結果、ソケットとキャビティの内側部分の間には不連続部が形成されない。
【0018】
上述した好ましい実施形態の代替的なさらなる発展形態では、ソケットの内側側壁は、実質的に、第1端部を第2端部に接続するキャビティの実質的に連続的な側壁を形成する。これにより、キャビティの側壁はソケットの開口部を膜に接続して、ソケットが膜とともに一体的な部材を構成する。このような好ましいさらなる発展形態は、ソケットと膜の一体的な接続に基づくものであり、特に容易に製造可能な設計であり、また膜とソケットを含むコンポーネント全体が交換可能であるため衛生面に関しても有利であり、本開示の発明により実現される1チャンバ(one-chamber)の解決法でのみ可能なものである。
【0019】
圧力場は、好ましくは、基準圧力、好ましくは常圧に対して変調される相対的な真空状態と加圧状態のパターンを表すものである。常圧を基準とする過剰圧力の値は、常圧を基準とする相対的な真空の値よりも低いことが有利であり、好ましくはおそらく、相対的な真空の値の10%以下を測定する。通常の使用条件下では、刺激対象の身体部分に開口部を配置した圧縮波マッサージデバイスが過度な圧縮力を受けない場合は、潜在的に発生しうる相対的な過圧を大幅に低減することができるため、このような事実の考慮により、真空の範囲で変調される圧力場に主に焦点を当てる必要がある。この理由のために、代替的に、圧力場は、基準圧力、例えば常圧に対して変調される相対的な真空状態のみのパターンを含むことも可能である。別の好ましい発展形態では、圧力場は、実質的に正弦波の周期的な圧力の進行により発生され、このとき、駆動デバイスには例えば偏心機構の補助を受けながらキャビティの容積の規則的な変化を引き起こすことが要求される。
【0020】
好ましくは、駆動デバイスを制御し、かつ、圧力場のそれぞれの変調を調整することができる少なくとも1つの制御手段を有する制御デバイスが設けられる。
【0021】
デバイスは手動デバイスが有利であり、好ましくはバッテリによって駆動される手動デバイスである。
【0022】
以下では、添付の図面に基づいて本開示の発明の好ましい例示的な実施形態についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】好ましい実施形態における本開示の発明による圧縮波マッサージデバイスの斜視図
【
図4a】
図1の圧縮波マッサージデバイスのヘッド部における
図3の縦断面の拡大図
【
図4b】チャンバが膨張した状態を示す
図4aと同様の図
【
図5】
図1の圧縮波マッサージデバイスによって生成される好ましい圧縮波の進行を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面に示す圧縮波マッサージデバイス1の好ましい実施形態は、第1端部2aと、反対側の第2端部2bと、それらの間に位置する中央部2cとを有する横長(oblong)のハウジング2を備える。ハウジング2は好ましくは、プラスチック製である。
図1~
図3から分かるように、図示される例示的な実施形態では、2つの端部2a、2bは丸められるとともに、わずかに狭められた中央2cに向かってやや細くなっている。ハウジング2の第1端部2aには、突出部4が形成されている。突出部4は、ハウジング2の長手方向に対して垂直に突出しており、第1端部2aと共に圧縮波マッサージデバイス1のヘッドを構成する。一方で、ハウジング2の第2端部2bは好ましくは、圧縮波マッサージデバイス1を使用時に保持するためのハンドルとして機能する。これらについては以下でより詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、ハウジング2は、長手方向において2つの半シェル(half shell)から構成されている。一方の半シェルは、上述した突出部4を備えている。ハウジング2の2つの半シェルは、図面では詳細に示されていないが、好ましくは互いに接着されている。あるいは異なる方法により2つの半シェルを接続してもよく、例えば、ねじあるいは内部に設けたその他の固定手段を使用して接続することも可能である。
【0026】
特に
図1、
図3、
図4a、
図4bに示すように、ソケット6は、突出部4の上に配置されるとともに、
図2-
図4bに符号8で示される開口を形成する。ソケット6は好ましくは、シリコンなどの軟質および/又は可撓性のプラスチック材料で作られる。
【0027】
ハウジング2の第1端部2aと突出部4によって形成される圧縮波マッサージデバイス1のヘッドには、圧縮波発生デバイス10が配置されている。圧縮波発生デバイス10は、開口部8の補助により刺激圧力場(stimulating pressure field)を生じさせる。
図4aから特に詳細に分かるように、圧力場発生デバイス10はキャビティ12を備え、キャビティ12には、外側に配置された第1端部12aと、第1端部12aとは反対側に位置して第1端部12aから離れた位置に配置された内側の第2端部12bとが設けられている。第1端部12aは同時にソケット6の開口部8を形成する。キャビティ12は、単一の連続的なチャンバ14によって形成されており、2つの端部12a、12bを互いに接続する内壁又は側壁12cによって画定される。
図3、
図4a、
図4bから分かるように、ソケットは、突出部4に着脱自在に固定可能な外側部分6aと、内側部分6bとを備える。外側部分6aと内側部分6bは、開口部8の近傍において互いに接続されている。ソケット6の内側部分6bはシースのように形成されるとともに、第1端部12aにつながるようにキャビティ12の外側部分を形成する。このようにして、ソケット6のシース状の内側部分6bの内壁は、キャビティ12の内壁又は外壁12cの外側部分12c1を同時に形成し、開口部8につながるように形成される。さらに、図示される例示的な実施形態では、キャビティ12は内側の環状部材16によって画定されており、環状部材16の内壁は同時に、キャビティ12の側壁12cにおける他方側の内側部分12c2を形成する。このように、図示される例示的な実施形態では、連続的な単一のチャンバ14は、ソケット6における環状の内側部分6bと環状部材16とにより形成される。
【0028】
あるいは、例えば環状部材16を省略する代わりに、ソケット6のシース状の内側部分6bが膜18まで延在するとともに、膜18に接続されてジョイントの一体的なコンポーネントを構成してもよい。この場合、ソケット6のシース状の内側部分6bの内壁はキャビティ12の側壁12cの全体を形成する。
【0029】
図3、
図4からさらに分かるように、キャビティ12の第1部分12c1が第2部分12c2と整列するようにソケット6および環状部材16が配置されており、これにより、キャビティ12には不連続部分が形成されない。チャンバ14のキャビティ12は基本的には、断面が円形の回転体であり、図示される実施形態において、2つの端部12a、12bの間の長さLに対して垂直なキャビティ12の断面は、長さLの全体にわたってほぼ一定であり、開口部8に向かってわずかに拡大するのみである。これにより、開口部8の開口断面がキャビティ12の断面とほぼ等しくなる。あるいは、キャビティ12が楕円形の断面を有してもよい。これより、チャンバ14は、その全長にわたってほぼ同一の断面を有する連続的なチューブであり、図示される例示的な実施形態では、キャビティはハウジング2の長手方向に概ね垂直な長さLの方向に並べられている。
【0030】
図示される例示的な実施形態では、長手方向で規定されるキャビティ12の長さLに対する、長手方向に垂直な方向で規定されるキャビティ12の幅の比は、約0.39である。しかしながら、チャンバ14におけるキャビティ12の長さに対する直径又は幅の比は、0.1から1.0までのその他の値も可能である。
【0031】
図3、4a、4bからさらに分かるように、キャビティ12は、その内側の第2端部12bが膜18によって閉じられている。膜18はキャビティ12の断面全体にわたって延在するとともに、駆動エンジン22による機構20を介して駆動される、ここで、機構20は、駆動エンジン22の出力軸22aの回転運動を往復の縦運動に変換するように構成されており、これにより、膜18は伸張方向に垂直な方向、あるいは開口部8に向かう方向およびその反対方向への動作状態に設定される。出力軸22aは偏心軸22bに強固に取り付けられており、偏心軸22bは出力軸22aを中心に周回する。これより、チャンバ14のキャビティ12の容積は駆動エンジン22の出力軸22aの回転に応じて変更される。
【0032】
図4cに示すように、膜18は、チャンバ14の長さLに平行な方向に立つ壁部18aを有する。壁部18aの表面は、出力軸22aに対して垂直であり、かつ、偏心軸22bに対しても垂直である。壁部18aには、細長いガイドスリット18bがチャンバ14の長さLに垂直な方向に延びるように形成されている。偏心軸22bは、細長いガイドスリット18bの中を摺動可能に挿入されている。偏心軸22bが周回運動すると、壁部18aが往復の縦運動を行う。細長いガイドスリット18bの代わりに、細長いガイド溝を形成してもよい。
【0033】
図4bに示すように、偏心軸22bが開口部8から最も離れた位置に来ると、膜18は、キャビティ12の内容積が最大となる位置まで持ち上げられる。
図4aに示すように、偏心軸22bが開口部8に最も近い位置に来ると、膜18は、キャビティ12の内容積が最小となる位置まで押し下げられる。
【0034】
機構20は好ましくは、駆動エンジン22の出力軸22aの回転運動を膜18の往復変形用の往復縦運動に変換するために、偏心ロッド又はコンロッドの形態である。一般的に、キャビティ12の容積を変化させるような膜18の変形を生じさせるその他の駆動形態も可能である。膜18の往復運動によって、キャビティ12の容積が最小容積と最大容積の間で変化し、これにより、開口部8に刺激圧力場が生成される。これは例えば、電磁気、圧電、空気圧又は水圧の様式で生じるものであってもよい。しかしながら、最小容積に対する容積変化の比率は1/10以上、好ましくは1/8以上となるように、すなわち、容積変化に対する最小容積の比率が10以下、好ましくは8以下となるように配置が決定される。このように配置しないと、開口部8から離れる方向に膜18が移動する際の吸引効果が低くなり過ぎるからである。さらに、最小容積に対する容積変化の比率は1以下、好ましくは1/2以下となるように、すなわち、容積変化に対する最小容積の比率が1以上、好ましくは2以上となるように配置が決定される。このように配置しないと、駆動エンジン22の要求出力が過剰になる一方で、開口部8から離れる方向に膜18が移動する際の吸引力が過剰に高くなるからである。このように、可撓性の膜18を駆動エンジン22により駆動することで、チャンバ14のキャビティ12内に真空状態と過圧状態を交互に繰り返して生成する。
【0035】
キャビティ12の容積は、開口部8の近傍における仮想平面で終端するチャンバ14の容積によって定義される。ここでの仮想平面とは、膜18が通常および/又は中間の位置にあるときに開口部8を実質的に閉じる面である。キャビティ12の最小容積は、キャビティ12の開口部8が仮想的に平面で閉じられるとともに、膜18が開口部8から最短距離の位置にあって開口部8に向かう方向に最大限に変形された状態で定義される。キャビティ12の最大容積は、キャビティ12の開口部8が仮想的に平面で閉じられるとともに、膜18が開口部8から最長距離の位置にあって開口部8から離れる方向に最大限に変形された状態で定義される。
【0036】
図3、
図4a、
図4bからさらに分かるように、駆動エンジン22(例示的な実施形態では電気モータ)は、電気ケーブル24を介して電子制御回路基板26に接続されて制御される。
図3に示すように、バッテリ30が電気ケーブル28を介して制御回路基板26に接続されており、駆動エンジン22および制御回路基板26に必要な電力が供給される。バッテリ30は選択的に、再充電できないバッテリ又は再充電可能なアキュムレータであってもよい。例示的な実施形態では、駆動エンジン22は、ハウジング2における狭くなった中央部2cと第1端部2aの間の接続領域に配置されており、このため、ハウジング2の第1端部2aと突出部4により形成される圧縮波マッサージデバイス1のヘッドの近傍に配置される。一方で、バッテリ30はハウジング2の第2端部2bに配置されている。これより、圧縮波マッサージデバイス1をユーザが手で操作するときでも、ハウジング2内部がバランス良く配列されている。
【0037】
図1および
図3に示すように、電源スイッチ32が設けられている。電源スイッチ32は、圧縮波マッサージデバイス1の電源をオン/オフするようにハウジング2の外部から操作可能に構成されており、ハウジング2の狭幅中央部2cに配置されている。筐体の幅狭中央部2cには、圧縮波マッサージデバイス1の種々の動作条件を調整することができるように外部から操作可能な制御光36が配置されている。制御光36は好ましくは、外部から視認可能な光ダイオードであってもよい。電源スイッチ32およびセンサ34は、ハウジング2の壁部の下方に固定された制御回路基板26上に直接配置されている。制御光36は、図示しない電気ケーブルを介して制御回路基板26に接続される。
【0038】
図示の実施形態では、駆動エンジン22の制御に加えて、制御回路基板26はさらに、バッテリ30の充電管理を担う。この目的のために、制御回路基板26は、
図1-
図3に示すようにハウジング2の第2端部2bの面に配置されるとともに外部からアクセス可能な充電接点40に対して電気ケーブル38を介して接続されている。これらの接点40には、磁気プラグイン接点を有するプラグを介して外部充電デバイス(図示せず)を接続することができる。外部充電接続デバイスを接続することにより、接点40は磁気に基づく電気的接続を確立することができる。
【0039】
上述の圧縮波マッサージデバイス1は、携帯(hand-held)デバイスであり、使用時にはソケット6の開口部8が実質的に囲まれるように、ソケット6が図示されていない刺激対象の身体部分上に配置される。圧縮波マッサージデバイス1の動作中において、刺激対象の身体部分は、膜18の往復運動によって生じる可変の空気圧を交互に受ける。通常の使用状況において、刺激対象の身体部分上にソケット6を配置した後に過度の圧力が加わらなかった場合、開口部8に向かう方向への膜18の運動中に生じる相対的な圧力はおそらく大きく低減されるることとなり、
図5に示すような通常の空気圧(常圧)P
0を基準として変調された相対的な真空によるパターンが生じる。しかしながら、
図5の圧力の進行状態から分かるように、常圧P
0に対する最大値のときに相対的な過剰圧力が生じており、これは相対的な真空の最小値よりもかなり低い。通常の場合、常圧P
0に対する相対的な過剰圧力の値は、常圧P
0を基準とした相対的な真空の値の10%以下である。あるいは、(擬似的に底部から)常圧P
0に対して変調される相対的な真空状態のパターンのみを有する圧力場とすることも可能である。特に機構20が偏心体を含むとき、正弦波の周期的な圧力の進行が
図5に示される。
【0040】
既に説明したように、チャンバ14のキャビティ12の断面は全長Lにわたって基本的にほぼ一定であるために、動作中においてキャビティ12の全長Lにわたって流れる空気流も同様に一定になる。これにより、駆動エンジン22のエネルギ消費を比較的低く抑えながら、刺激対象の身体部分を効果的に刺激するのに特に有効な空気流を発生させることができる。
【0041】
開口部8が皮膚に適度に押し付けられるとともに、膜18の位置が押下げ位置(
図4a)と押上げ位置(
図4b)の間を反復するように変化すると、キャビティ12内では大気圧に対する相対的な負圧を繰り返して提供することができ、蜂刺され等による毒を皮膚から吸い出すことができる。
【0042】
制御回路基板26は好ましくは、様々な変調パターンを記憶したメモリである。センサ34を適切に動作させることにより、駆動エンジン22をそれに応じて制御するような所望の変調パターンを選択することができる。