(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】経カテーテル肺動脈球弁アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
A61F2/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021049667
(22)【出願日】2021-03-24
(62)【分割の表示】P 2018513726の分割
【原出願日】2016-05-21
【審査請求日】2021-04-02
(32)【優先日】2015-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517334285
【氏名又は名称】杭州啓明医療器械股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VENUS MEDTECH (HANGZHOU),INC.
【住所又は居所原語表記】Room 311,Floor 3,Building 2,No.88 Jiangling Road,Xixing Street,Binjiang District Hangzhou,Zhejiang 310052(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,ミン,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ロ,ファム
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-016589(JP,A)
【文献】特表2005-505343(JP,A)
【文献】特表2012-508033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0277427(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0031928(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0137682(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、略円筒状の小葉支持部と、前記固定部と前記小葉支持部との間に接続されたネック部とを備えるフレームであって、
前記固定部が、前記小葉支持部から延びた複数のワイヤによって画定されたボール状の形態を有し、各ワイヤが、前記固定部の直径が最も大きくなる頂点領域に半径方向外向きに延び、次にハブに半径方向内向きに延びるフレームと、
前記小葉支持部に縫着された複数の小葉を有する小葉アセンブリと、を備え、
前記小葉支持部は、その略円筒形状の互いに対向する底面に設けられている流入端と流出端を有し、血液が前記流入端に流れ込み、前記流出端から流れ出し、
前記流入端は、前記流出端に対して前記固定部の前記頂点領域から離れており、
前記固定部は肺動脈幹が肺動脈に分岐する領域に固定され、前記小葉支持部は肺動脈幹内の肺動脈弁の位置に置かれる、
ことを特徴とする肺動脈弁アセンブリ。
【請求項2】
前記小葉支持部は、ピーク及びバレイを規定する環状のジグザグ配列が配置された前記流入端を有することを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記小葉支持部は、前記流入端に設けられた複数のイアを備え、
前記イアは、前記肺動脈弁アセンブリを輸送するための送達システムに接続されることを特徴とする請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記固定部の全ての部分が、直径が前記ネック部及び前記小葉支持部の任意部分よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記固定部、前記ネック部及び前記小葉支持部は、共に、一体成形された部材として設けられることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記複数の小葉は、3つまたは4つの小葉であることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記固定部及び前記小葉支持部に接続された複数のスカートをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記ネック部は、円周方向に所定の間隔で配置された複数のエンドノードを備え、前記固定部は、ワイヤによって画定された複数の接続バーセルを備え、各前記接続バーセルは、第一接続バーと第二接続バーとを備え、前記第二接続バーの数は、第一接続バーの数より少なく、
各前記接続バーセルの前記第一接続バーは、前記ネック部に接続されている第一端部から、半径方向外向きに前記ネック部から離れて第二端部に延び、
各前記第一接続バーの第一端部は、対応する前記エンドノードに接続されており、二つの隣接する前記第一接続バーの第二端部は、互いに接続されており、
各前記第二接続バーの第一端部は、二つの隣接する前記第一接続バーの第二端部に接続されており、二つの隣接する前記第二接続バーの第二端部は、互いに接続されており、
二つの隣接する前記第二接続バーの第二端部は、前記ハブに接続されており、
前記第二接続バーは、前記第二接続バーの第一端部から
、半径方向内向きに前記第二接続バーの第二端部に延びることを特徴とする請求項1又は4に記載のアセンブリ。
【請求項9】
第一開口部は、前記接続バーセルの二つの隣接する前記第二接続バーと、前記二つの隣接する前記第二接続バーに接続されている二つの前記第一接続バーとの間に画定され、第二開口部は、二つの隣接する前記接続バーセルの間に画定され、前記第二開口部は、前記第一開口部より大きいことを特徴とする請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記フレームは、ワイヤによって画定される複数のセルを備え、前記小葉支持部の前記セルの密度は、前記固定部の前記セルの密度より大きいことを特徴とする請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記ハブに逢着されたボールスカートを備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記小葉支持部の高さが25~30mmであり、前記固定部の高さが7~12mmである、請求項1に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の肺動脈弁機能を回復させるための肺動脈弁の経カテーテル設置のための方法、システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)、総動脈幹(Truncus Arteriosus)及び大動脈の転位(Transposition of the Great Arteries)などの、右心室流出道(RVOT)に関する先天性心臓欠陥を患う患者は、一般的に、右心室(RV)と肺動脈(PA)との間にRVOT導管が外科的に設置されることによって治療される。しかしながら、耐久性の向上にもかかわらず、RVOT導管の寿命は比較的に制限され、先天性RVOT欠陥を患う患者の大部分は、それらの生涯にわたり、複数回の心臓手術を受ける。
【0003】
導管の一般的な故障モードは、狭窄や逆流を引き起こす、石灰化、内膜増殖及び移植部材退化がある。狭窄及び逆流の両方は、右心室の血行動態負担を増大させており、心臓機能を低減させる恐れがある。導管内のステントの経皮的設置は、狭窄を一時的に緩和することができ、手術の必要性を除去または延期する可能性がある。しかしながら、ステントの設置は、導管狭窄の治療に役立つに過ぎない。主に逆流または狭窄及び逆流の両方を患う患者は、ステントで充分に治療されることができない。
【0004】
肺動脈の脈管構造が正常である場合、肺逆流は、普通、長年良く許容されるが、長期追跡調査によって、左右の心室機能に有害な影響が及ぼされる。右心室の慢性容量過負荷は、心室拡張及び収縮拡張機能障害を引き起こし、これは長期的に運動耐久力の低減、不整脈及び急死のリスクの向上を引き起こす。適切な時期に肺動脈弁の能力を回復させると、右心室機能の改善、不整脈の発生及び労作耐久力がもたらされる。しかしながら、右心室拡張がある程度を超えて、報告によって150~170mL/m2程度の右心室拡張末期容量に進行する場合、肺動脈弁が設置されても、右心室サイズの正常化は不可能である恐れがある。この発見によると、右心室が改造能力を保持するとき、肺動脈弁の能力を回復させる利点が最大であることが可能であり、且つ、早期の肺動脈弁の置換が最適であることが可能である。
【0005】
最近まで、逆流導管を有する患者の肺動脈弁の能力を回復させる唯一の手段は、外科的な弁または導管の置換である。この治療は、普通、短期的に有効であり、死亡率が低いが、心臓切開手術は、心肺バイパス、感染、出血及び術後疼痛の急性リスクと、心筋及び脳に対する慢性影響を含むリスクを不可避的に引き起こす。さらに、新しい導管の寿命が将来の手術を回避することができない場合、青年及び成人は、手術をしぶしぶ再度受ける。このため、導管機能不全のための侵襲性が低い治療は、患者及びそれらの家族に歓迎されており、右心室の慢性容量負荷及び圧力負荷の負影響を軽減する、導管機能不全のための安全の早期診療を可能にする。
【0006】
従って、右心室流出道(RVOT)に関する先天性心臓欠陥のための有効な治療は依然として必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、患者のRVOTにおける自己拡張式ステント内の生体弁の経皮的経カテーテル設置を可能にする肺動脈弁アセンブリ及びこれに関連する送達システムを提供する。肺動脈弁アセンブリは、機能不全のRVOT導管及び肺動脈弁置換術の臨床適応を有する患者の肺動脈弁機能を回復させる。肺動脈弁置換術のための現在利用可能な選択肢とは異なり、本発明の肺動脈弁アセンブリは、経皮的経カテーテル送達システムの内部に設置されることを目的とするため、侵襲性の外科処置によっての埋め込みまたは展開を必要としない。
【0008】
本発明は、固定部と、略円筒状の小葉支持部と、固定部と弁支持部との間に接続されたネック部とを備えるフレームを備える心臓弁アセンブリを提供する。固定部は、小葉支持部から延びた複数のワイヤによって画定されたボール状の形態を有し、各ワイヤが、固定部の直径が最も大きくなる頂点領域に半径方向外向きに延び、次にハブに半径方向内向きに延びる。複数の小葉は、小葉支持部に縫着される。
【0009】
本発明は、心臓の肺動脈幹に心臓弁アセンブリを固定するための方法を提供する。心臓弁アセンブリが自然肺動脈幹の位置に送達され、固定部の頂点領域が自然肺動脈に保持されるように頂点領域が肺動脈内に展開され、次に肺動脈幹内に小葉支持部が展開される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、拡張された形態で示された肺動脈弁アセンブリの斜視側面図である。
【
図5】
図5は、
図1のアセンブリのフレームの斜視側面図である。
【
図10】
図10は、
図1のアセンブリを展開するために用いられる送達システムを示す。
【
図12】
図12は、どのように経心尖的な送達システムを用いることにより
図1のアセンブリが患者の心臓の肺動脈幹に展開されることができるかを示す。
【
図13】
図13は、どのように経心尖的な送達システムを用いることにより
図1のアセンブリが患者の心臓の肺動脈幹に展開されることができるかを示す。
【
図14】
図14は、どのように経心尖的な送達システムを用いることにより
図1のアセンブリが患者の心臓の肺動脈幹に展開されることができるかを示す。
【
図15】
図15は、どのように経心尖的な送達システムを用いることにより
図1のアセンブリが患者の心臓の肺動脈幹に展開されることができるかを示す。
【
図16】
図16は、どのように経心尖的な送達システムを用いることにより
図1のアセンブリが患者の心臓の肺動脈幹に展開されることができるかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下は、本発明を実施するための現時点で考えられる好適な形態について詳しく説明する。この説明は、限定的な意味で理解されるべきではないが、本発明の実施形態の一般原則を説明するために行われるにすぎない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されることが好ましい。
【0012】
本発明は、完全に組み立てられた形態で
図1~4に示された肺動脈弁アセンブリ100を提供する。アセンブリ100は、固定部109と、複数の小葉106を備える一体式小葉アセンブリを運搬するように構成される小葉支持部102とを有するフレーム101(
図5~
図8を参照)を有する。アセンブリ100は、自然肺動脈幹領域に効果的に固定されることができる。アセンブリ100の構造全体は、簡単であり、適切な僧帽弁機能を促進する効果がある。
【0013】
図5~
図8に示すように、フレーム101は、ネック部111を介して小葉支持部102に接続されるボール状の固定部109を有する。異なる部102、109及び111は、1本の連続ワイヤから製造されることができ、薄壁の生体適合性の金属元素(例えば、ステンレス鋼、Co―Cr系合金、ニチノール(登録商標)、Ta及びTiなど)から製造されることができる。一例としては、ワイヤは、当分野において周知されたニチノール(登録商標)ワイヤから製造されることができ、0.2インチ~0.4インチの直径を有する。これらの分109、102及び111は、フレーム101内の開放セル103を画定する。各セル103は、セル103を取り囲む複数のストラット128によって画定されることができる。さらに、セル103の形状及びサイズは、異なる部109、102及び111の間で変化することができる。例えば、小葉支持部102のセル103は、ダイヤモンド形であるように示される。
【0014】
小葉支持部102は、略円筒状であり、小葉106を保持し支持するように機能しており、環状かつジグザグに配列された複数の流入チップ107が配置された流入端を有する。ジグザグ配列は、ピーク(即ち、チップ107)及びバレイ(変曲点129)を規定する。また、イア115は、流入端に互いに対向して設けられ、各イア115は、2つの隣接するチップ107を接続する湾曲したワイヤ部分によって形成される。
図1に示すように、小葉106は、小葉支持部102内のセル103のストラット128に直接縫着されることができる。
【0015】
小葉支持部102の流出端は、小葉支持部102の流出端としても機能するネック部111を介して固定部109に接続される。固定部109は、アセンブリ100、特にフレーム101を心臓の肺動脈幹に固定するように機能する。固定部109は、小葉支持部102内のセル103から延びた複数のワイヤ113によって画定されたボール状の形態を有し、且つ、各ワイヤ113は、固定部109の直径が最も大きくなる頂点領域104に半径方向外向きに延び、次にハブ105に半径方向内向きに延びる。
図7によく示すように、隣接する対のワイヤ113は、接続点がハブ105に合流する前に、それらの上端で接続点に向かって集まる。この配置によって、固定部109は、交互する大きいセル103aと小さいセル103bを有する(
図6を参照)。
【0016】
固定部109の全ての部分は、直径が小葉支持部102またはネック部111の任意部分よりも大きい。
【0017】
以下は、フレーム101の若干の例示的かつ非限定的な寸法である。例えば、
図2及び
図6に示すように、小葉支持部102の高さH1は25~30mmであることができ、固定部109の高さH2は7~12mmであることができ、固定部109の頂点領域104での直径Dballは、40~50mmであることができ、小葉支持部102の直径DVALVEは、24~34mmであることができる。
【0018】
さらに、小葉支持部102の長さは、そこに支持された小葉106の数に応じて変化することができる。例えば、
図1~4に示される、小葉106が3つ設けられる実施形態において、小葉支持部102の長さは、略10~15mmであることができる。小葉108が4つ設けられる場合、小葉支持部102の長さは、例えば8~10mmであるように一層短いであることができる。これらの例示的な寸法は、普通の成人のために自然肺動脈路に用いられるために構成されるアセンブリ100のために用いられることができる。
【0019】
図1~
図4及び
図9A~
図9Bに示すように、小葉アセンブリは、管状スカート122と、頂部スカート120と、底部スカート121とを備え、複数の小葉が管状スカート122によって画定された通路内にスカート122に縫着されまたは取り付けられる。管状スカート122は、ストラット128に縫着されることができる。別個のボールスカート125は、ハブ105に縫着されることができる。小葉106及びスカート120、121、122、125は、同じ材料から製造されることができる。例えば、材料は、心膜などの処理された動物組織、または、生体適合性ポリマー材料(例えば、PTFE、ダクロン、ウシ、ブタなど)からのものであることができる。小葉106及びスカート120、121、122、125には、性能を向上させ、血栓形成を防止し、内皮化を促進するように薬物膜または生物薬剤膜が設けられることができ、また、石灰化を防止するように表面層/表面膜が設けられることもできる。
【0020】
本発明のアセンブリ100は、低プロファイルに圧縮され、送達システムに載置され、次に、非侵襲性の医療処置、例えば、経心尖的、経大腿的または経中隔的な処置によっての送達カテーテルの使用によって、目標位置に送達されることができる。アセンブリ100は、目標埋め込み部位に到達すると、送達システムから放されることができ、バルーンの膨張(バルーン拡張可能なフレーム101の場合)またはフレーム101に蓄えられた弾性エネルギー(フレーム101が自己拡張可能な材料から製造された装置の場合)によって、正常な(拡張の)プロファイルに拡張されることができる。
【0021】
図12~16は、どのように経心尖的な送達システムを用いることによりアセンブリ100が患者の心臓の肺動脈幹に展開されることができるかを示す。
図11は、心臓の様々な解剖学的部分を示す、これらの部分が、肺動脈幹10と、左肺動脈12と、肺動脈の接合部11と、肺動脈弁13と、頂壁肺動脈17と、右心房14と、右心室15と、三尖弁20と、左心室21と、左心房22とを含む。
図10に示すように、送達システムは、外部シャフト2035と、外部シャフト2035の内腔を貫いて延びる内部コア2025とを有する送達カテーテルを備える。一対のイアハブ2030は、内部コア2025から延び、各イアハブ2030が遠位チップ2105に接続される。各イアハブ2030は、フレーム101の1つのイア115に(例えば、縫着によって)接続される。カプセル2010は、外部シャフト2035の遠位端に接続され、且つ、外部シャフト2035の遠位端から延びており、アセンブリ100を取り囲み、封入するように構成される。シャフトは、ストラット128からアセンブリ100の内腔を介して遠位チップ2015に延びる。装置100は、クリンピングされ、内部コア2025に載置され、次に、カプセル2010によって覆われる。
【0022】
図12に示すように、アセンブリ100は、押し縮められる形態で示され、右大腿静脈を介して肺動脈幹10に沿って左肺動脈12の一部に入るように操縦される。
図13に示すように、カプセル2010は、アセンブリ100を部分的に露出するように内部コア2025(及び内部コア2025に運搬されたアセンブリ100)に対して部分的に引き出されることにより、自己拡張式フレーム101は、左肺動脈12内において肺動脈幹10に隣接する位置に固定部109を展開する。カプセル2010がさらに引き出される時、固定部109の残り部分は、肺動脈に分岐する肺動脈幹10の上部領域内に完全に展開され、且つ、頂点領域104が肺動脈12に着席する(
図14及び
図15を参照)。
図15に良く示すように、固定部109の全体は、完全に拡張されるとき、ボール状の形態を呈しており、且つ、直径最も大きい部分(即ち、頂点領域104)は、肺動脈幹10が肺動脈12に分岐する領域に固定部109を固定するように肺動脈12内に延びる。
図15は、肺動脈幹10内において肺動脈弁13の位置に小葉支持部102を放すようにカプセル2010がさらに引き出されることを示す。フレーム101は、拡張されるとき、内部コア2025から離れる。
図16は、アセンブリ100が肺動脈幹10内に完全に展開され、遠位チップ2015及びカプセル2010が送達システムの残り部分と共に引き出されることを示す。
【0023】
従って、アセンブリ100が展開されるとき、固定部109のボール状の形態によって、フック、バーブまたは他の類似の固定機構を使用することなく、小葉支持部102(及びそこに運搬された小葉アセンブリ)を肺動脈幹10内に保持することができる。管状スカート122、頂部スカート120、及び底部スカート121は、アセンブリ100を取り囲む領域からの漏れ(肺動脈から右心室への血液逆流)を防止するように「シール」を形成して一緒に機能する。さらに、小葉支持部102は、自然肺動脈弁小葉13を肺動脈幹10の壁に押しのける。
【0024】
本発明のアセンブリ00は、若干の利点がある。第一、小葉支持部102が肺動脈幹10に固定または保持される様態は、フック、バーブまたは他の侵襲性の固定機構を使用することなく、効果的な固定を奏する。この固定は、アセンブリ100の上下移動を低減するため、有効である。これは、小葉支持部102の一部が右心室内に延びることを防止するため、重要である。心室が心臓手術の期間において多くの動きを行うため、小葉支持部102の一部が心室内に延びると、心室は損傷される恐れがある。第二、RVOT様態が非常に様々であるため、異なる患者の肺動脈幹のサイズは非常に様々である。アセンブリ100の形態は、アセンブリ100が一層広い範囲の直径及び長さの肺動脈幹に適用されることを可能にし、このため、各モデルまたはサイズのアセンブリ100が一層広い範囲の患者に用いられることを可能にすることにより、サイジングの問題が低減される。
【0025】
本発明は肺動脈置換弁としての使用に関連して説明されるが、アセンブリ100は、
図17に示すように、僧帽弁として使用されることもできる。
【0026】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態を参照したが、本発明の要旨を逸脱することなく、多くの変更が可能であると理解されたい。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれる変更を含むことを意図する。