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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】チューブデキャッパ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20221003BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
G01N35/04 G
G01N35/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021068591
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(73)【特許権者】
【識別番号】520278310
【氏名又は名称】東洋セイキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100189083
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 圭介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知克
(72)【発明者】
【氏名】森田 巧
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/002269(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/002213(WO,A1)
【文献】特開2009-109403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0234977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/04
G01N 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ部で本体と開閉可能に結合されたキャップを有する試料用チューブのキャップを開放するチューブデキャッパであって、
試料用チューブ保持するチューブ保持機構と、前記チューブ保持機構に保持された試料用チューブのキャップを開放するデキャップ機構とを備え、
前記チューブ保持機構は、複数の試料用チューブを縦立状態で保持するラックと、前記ラックを水平方向に移動可能な水平移動手段とを有し、
前記デキャップ機構は、前記水平移動手段によるラックの移動経路の所定の位置に配置されたヒンジ部押えユニットとキャップ持ち上げユニットを有し、
前記ヒンジ部押えユニットは、前記チューブ保持機構に保持された試料用チューブのヒンジ部の外周側斜め上方部に当接可能なヒンジ部押え部材と、前記ヒンジ部押え部材を当接位置と離間位置との間で水平方向に移動させる押え部材移動アクチュエータとを有し、
前記キャップ持ち上げユニットは、前記ヒンジ部押えユニットとは独立して配置され、前記チューブ保持機構に保持された試料用チューブのヒンジ部とは反対側のキャップの端縁の下方に当接可能で斜め上方に移動可能なキャップ持上げ部材と、前記キャップ持上げ部材を斜め上下方向に移動させる持上げ部材移動アクチュエータとを有することを特徴とするチューブデキャッパ。
【請求項2】
前記チューブデキャッパは、キャップ開放ユニットをさらに有し、
前記キャップ開放ユニットは、前記キャップ持ち上げユニットと水平方向に異なる位置に配置され、ヒンジ部とは反対側のキャップの端縁側からヒンジ部の方向に移動して前記キャップ持ち上げユニットにより開放されたキャップをさらに大きく開放させるキャップ開放部材と、前記キャップ開放部材をヒンジ部とは反対側のキャップの端縁側からヒンジ部の方向に移動させる開放部材移動アクチュエータを有することを特徴とする請求項1または請求項1に記載のチューブデキャッパ。
【請求項3】
前記チューブデキャッパは、キャップ確認ユニットをさらに有し、
前記キャップ確認ユニットは、前記キャップ持ち上げユニットと水平方向に異なる位置に配置され、試料用チューブの上方からキャップの上面を撮像する撮像部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチューブデキャッパ。
【請求項4】
前記チューブデキャッパは、キャッピングユニットをさらに有し、
前記キャッピングユニットは、前記キャップ持ち上げユニットと水平方向に異なる位置に配置され、ヒンジ部からヒンジ部の反対側のキャップの端縁側の方向に移動してキャップを試料用チューブの上方に戻すキャップ戻し部材と、前記キャップ戻し部材を試料用チューブのヒンジ部からヒンジ部の反対側のキャップの端縁側の方向に移動させる戻し部材移動アクチュエータと、試料用チューブの上方から下方に移動してキャップを閉塞するキャップ押圧部材とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチューブデキャッパ。
【請求項5】
前記チューブ保持機構は、試料用チューブのヒンジ部の向きを固定する位置決めピンを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のチューブデキャッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学、生物工学、化学、薬学等において試料等を注入する用途に好適な、ヒンジ部で本体と開閉可能に結合されたキャップを有する試料用チューブのキャップを開放するチューブデキャッパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医学、生物工学、化学、薬学等において保管、反応、培養等に用いる試料等を比較的小容量の試料用チューブに注入し、撹拌、混合、遠心分離等の物理的処理、反応、抽出、培養等の化学・生物的処理、搬送、保管等を行うことが一般に知られている。
試料用チューブは、内容物にアクセスする必要がないときは、内部への異物混入を防止するためキャップ等で開口部を封止することが望ましく、キャップが本体とヒンジ部で開閉可能に結合された試料用チューブ(一般的に「マイクロチューブ」、「エッペンチューブ」、「エッペンドルフ(登録商標)」と呼ばれるもの)が公知である。
このような試料用チューブにおいて、確実にキャップの封止状態を保持するために、キャップの周縁部と本体の上端縁部に、互いに係合する部分を設けた構成のものが公知である(例えば特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-153446号公報
【文献】特表2019-513651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で公知の試料用チューブは、作業者が手でキャップを開放するものである。
一方、把持部品がキャップをつかみ、本体から取り外して開放するチューブデキャッパが公知である(特許文献2等参照。)。
しかしながら、特許文献2等で公知のチューブデキャッパは、キャップが本体と分離可能な構造の試料用チューブにしか適用できず、特許文献1等で公知のキャップが本体とヒンジ部で開閉可能に結合された試料用チューブに対しては、開放するための動作が異なるため、対応することはできなかった。
そのため、特許文献1等で公知のキャップが本体とヒンジ部で開閉可能に結合された試料用チューブは、キャップの開放、閉塞を繰り返し行う必要がある処理等を行う際に、開放作業を作業者が手で行う必要があり、全体の自動化に支障をきたすとともに、作業者のミス等に伴う試料用チューブの取り違い、内部への異物混入等の問題が発生する虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、単純な動作で、キャップが本体とヒンジ部で開閉可能に結合された試料用チューブのキャップを、人手を用いず、単純な動作で自動的に開放可能であり、キャップの開放、閉塞を繰り返し行う様々な処理の自動化を可能とするチューブデキャッパを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のチューブデキャッパは、ヒンジ部で本体と開閉可能に結合されたキャップを有する試料用チューブのキャップを開放するチューブデキャッパであって、試料用チューブ保持するチューブ保持機構と、前記チューブ保持機構に保持された試料用チューブのキャップを開放するデキャップ機構とを備え、 チューブ保持機構は、複数の試料用チューブを縦立状態で保持するラックと、前記ラックを水平方向に移動可能な水平移動手段とを有し、前記デキャップ機構は、前記水平移動手段によるラックの移動経路の所定の位置に配置されたヒンジ部押えユニットとキャップ持ち上げユニットを有し、前記ヒンジ部押えユニットは、前記チューブ保持機構に保持された試料用チューブのヒンジ部の外周側斜め上方部に当接可能なヒンジ部押え部材と、前記ヒンジ部押え部材を当接位置と離間位置との間で水平方向に移動させる押え部材移動アクチュエータとを有し、前記キャップ持ち上げユニットは、前記ヒンジ部押えユニットとは独立して配置され、前記チューブ保持機構に保持された試料用チューブのヒンジ部とは反対側のキャップの端縁の下方に当接可能で斜め上方に移動可能なキャップ持上げ部材と、前記キャップ持上げ部材を斜め上下方向に移動させる持上げ部材移動アクチュエータとを有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0007】
本請求項1に係る発明によれば、デキャップ機構は、ヒンジ部押えユニットとキャップ開放ユニットを有し、前記ヒンジ部押えユニットは、前記チューブ保持機構に保持された試料用チューブのヒンジ部の外周側斜め上方部に当接可能なヒンジ部押え部材を有し、前記キャップ持ち上げユニットは、前記チューブ保持機構に保持された試料用チューブのヒンジ部とは反対側のキャップの端縁の下方に当接可能で斜め上方に移動可能なキャップ持上げ部材を有することにより、ヒンジ部がヒンジ部押え部材で押さえられて支点となり、キャップ持上げ部材の単純な直線運動でキャップのヒンジを中心とする回転動作を実現できるため、人手を用いず、単純な動作で自動的に開放可能であり、キャップの開放、閉塞を繰り返し行う様々な処理の自動化が可能となる。
【0008】
また、前記チューブ保持機構は、複数の試料用チューブを縦立状態で保持するラックと、前記ラックを水平方向に移動可能な水平移動手段とを有することにより、試料用チューブをラックにセットするだけでデキャップ機構の動作位置に正確に移動することが可能となり、キャップの開放、閉塞を繰り返し行う様々な処理の自動化が可能となる。
本請求項に記載の構成によれば、前記キャップ開放ユニットは、前記キャップ持ち上げユニットと水平方向に異なる位置に配置され、ヒンジ部とは反対側のキャップの端縁側からヒンジ部の方向に移動して前記キャップ持ち上げユニットにより開放されたキャップをさらに大きく開放させるキャップ開放部材と、前記キャップ開放部材をヒンジ部とは反対側のキャップの端縁側からヒンジ部の方向に移動させる開放部材移動アクチュエータを有することにより、試料用チューブをラックにセットした状態でキャップを大きく開放して上方からピペッター等の挿入が可能となり、さらに様々な処理の自動化が可能となる。
【0009】
本請求項に記載の構成によれば、前記チューブデキャッパは、キャップ確認ユニットをさらに有し、前記キャップ確認ユニットは、前記キャップ持ち上げユニットと水平方向に異なる位置に配置され、試料用チューブの上方からキャップの上面を撮像する撮像部を有することにより、試料用チューブのキャップの上面に識別のためのコード等を付してラックにセットされた各試料用チューブの特定が可能となり、作業者のミス等に伴う試料用チューブの取り違いを防止することが可能となる。
本請求項に記載の構成によれば、前記チューブデキャッパは、キャッピングユニットをさらに有し、前記キャッピングユニットは、前記キャップ持ち上げユニットと水平方向に異なる位置に配置され、ヒンジ部からヒンジ部の反対側のキャップの端縁側の方向に移動してキャップを試料用チューブの上方に戻すキャップ戻し部材と、前記キャップ戻し部材161を試料用チューブTのヒンジ部からヒンジ部の反対側のキャップの端縁側の方向に移動させる戻し部材移動アクチュエータと、試料用チューブの上方から下方に移動してキャップを閉塞するキャップ押圧部材とを有することにより、人手を用いず、単純な動作で自動的に閉塞可能であり、キャップの開放、閉塞を繰り返し行う様々な処理の自動化が可能となる。
本請求項に記載の構成によれば、前記チューブ保持機構は、試料用チューブのヒンジ部の向きを固定する位置決めピンを有することにより、確実に試料用チューブのキャップの開放、閉塞を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態であるチューブデキャッパの斜視図。
図2】本発明の一実施形態であるチューブデキャッパの背面側からの斜視図。
図3】本発明の一実施形態であるチューブデキャッパの正面図。
図4】本発明の一実施形態であるチューブデキャッパの平面図。
図5図3のA-A視のデキャップ機構の側面図。
図6図3のB-B視のキャップ開放ユニットの側面図。
図7図3のC-C視のキャップ押圧部材の側面図。
図8図3のD-D視のキャッピングユニットの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係るチューブデキャッパについて、図面に基づいて説明する。
チューブデキャッパ100は、図1図4などに示すように、試料用チューブTを縦立状態で収容するラック111を水平方向に移動、位置決めして、所望の試料用チューブTのキャップの開放、閉塞を行うように構成されており、チューブ保持機構101、キャップ確認ユニット150、ヒンジ部押えユニット120とキャップ持ち上げユニットを有するデキャップ機構102、キャップ開放ユニット140およびキャッピングユニット160を有している。
【0012】
チューブ保持機構101は、複数の試料用チューブTを縦立状態で保持するラック111と、ラック111を水平方向に移動可能な水平移動手段113とを有している。
本実施形態では、水平移動手段113は、ラック111を保持するラック保持台115と、ラック保持台115の移動を案内するガイドレール114とを有している。
キャップ確認ユニット150、デキャップ機構102、キャップ開放ユニット140およびキャッピングユニット160は、ラック111の移動経路に沿って配置されている。
ラック111が保持可能な試料用チューブTの数(ラック111の移動方向の長さ)は、ラック111のラック保持台115への移動や、他の処理空間での取り扱いの便宜に応じて、適宜設計することができる。
【0013】
水平移動手段113の駆動手段や具体的な駆動のための部材の配置は、試料用チューブTをキャップ確認ユニット150、デキャップ機構102、キャップ開放ユニット140およびキャッピングユニット160の動作位置に移動、位置決め可能で、それらの動作の支障にならないものであれば、いかなるものであってもよい。
また、ラック111には、縦立状態で保持される試料用チューブTのヒンジ部の向きを固定する位置決めピン(図示せず)が設けられている。
位置決めピンの具体的な形状、配置等は、デキャップ機構102、キャップ開放ユニット140およびキャッピングユニット160の動作の支障にならないものであれば、いかなるものであっても良い。
【0014】
デキャップ機構102は、図1図5に示すように、ヒンジ部押えユニット120とキャップ開放ユニット130を有している。
ヒンジ部押えユニット120は、ラック111に保持された試料用チューブTのヒンジ部の外周側斜め上方部に当接可能なヒンジ部押え部材121と、ヒンジ部押え部材121を当接位置と離間位置との間で水平方向に移動させる押え部材移動アクチュエータ122とを有している。
キャップ持ち上げユニット130は、ラック111に保持された試料用チューブTのヒンジ部とは反対側のキャップの端縁の下方に当接可能で斜め上方に移動可能なキャップ持上げ部材131と、キャップ持上げ部材131を斜め上下方向に移動させる持上げ部材移動アクチュエータ132とを有している。
ヒンジ部押え部材121のヒンジ部との当接部は、押え部材移動アクチュエータ122に対して水平移動手段113の移動方向にオフセットして設けられており、所定の位置に位置決めされた1つの試料用チューブTに対して、ヒンジ部押え部材121とキャップ持上げ部材131とが両側方から動作可能に構成されている。
【0015】
キャップ開放ユニット140は、図1図4図6に示すように、キャップ持ち上げユニット130と水平方向(水平移動手段113の移動方向)に異なる位置に配置され、試料用チューブTのヒンジ部とは反対側のキャップの端縁側からヒンジ部の方向に移動してキャップ持ち上げユニット130により開放されたキャップをさらに大きく開放させるキャップ開放部材141と、キャップ開放部材141をヒンジ部とは反対側のキャップの端縁側からヒンジ部の方向に移動させる開放部材移動アクチュエータ142とを有している。
【0016】
キャップ確認ユニット150は、図1図4に示すように、キャップ持ち上げユニット130と水平方向(水平移動手段113の移動方向)に異なる位置に配置され、試料用チューブTの上方からキャップの上面を撮像するカメラ(撮像部)151を有している。
キャッピングユニット160は、図1図4図7図8に示すように、キャップ持ち上げユニット130と水平方向(水平移動手段113の移動方向)に異なる位置に配置され、試料用チューブTのヒンジ部からヒンジ部の反対側のキャップの端縁側の方向に移動してキャップを試料用チューブTの上方に戻すキャップ戻し部材161と、キャップ戻し部材161を試料用チューブTのヒンジ部からヒンジ部の反対側のキャップの端縁側の方向に移動させる戻し部材移動アクチュエータ162と、試料用チューブTの上方から下方に移動してキャップを閉塞するキャップ押圧部材163と、キャップ押圧部材163を試料用チューブTの上方から下方に移動させる押圧部材移動アクチュエータ164とを有している。
キャップ戻し部材161のキャップとの当接部は、戻し部材移動アクチュエータ162に対して水平移動手段113の移動方向にオフセットして設けられており、所定の位置に位置決めされた1つの試料用チューブTに対して、キャップ押圧部材163とキャップ戻し部材161とが同一位置で動作可能に構成されている。
【0017】
以上のように構成されたまた、チューブデキャッパ100の動作について説明する。
内容物が封入されキャップが封止された複数の試料用チューブTは、ラック111に1列の縦列状態に保持される。
複数の試料用チューブTを縦立状態で保持したラック111は、ガイドレール114によって案内されて移動可能な保持台115に保持される。
なお、複数の試料用チューブTは、ラック111が保持台115に保持された状態で搬入されても、適宜の処理空間でラック111に搬入後、ラック111ごと保持台115に搬入されてもよい。
チューブデキャッパ100で開封される所定の試料用チューブTは、ラック保持台115の移動によって、まず、キャップ確認ユニット150のカメラ(撮像部)151の直下に位置決めされる。
試料用チューブTのキャップの上面には、二次元コード等のユニークな表示が付与されており、開封すべき試料用チューブTを確認することができる。
また、試料用チューブTのヒンジ部が正確な向きに保持されているかも確認することが可能であり、向きが異なった場合は作業者の介入を促す等の処理も可能である。
【0018】
次に、所定の試料用チューブTは、ラック保持台115の移動によって、キャップ持ち上げユニット130の側方に移動して位置決めされる。
ヒンジ部押えユニット120のヒンジ部押え部材121は、常時は試料用チューブTから離れた位置に待機しており、キャップ持ち上げユニット130のキャップ持上げ部材131は、常時は最も下方に下がった位置に待機しており、試料用チューブTの移動の妨げにならないように構成されている。
所定の試料用チューブTが位置決めされると、ヒンジ部押えユニット120のヒンジ部押え部材121は、押え部材移動アクチュエータ122によって試料用チューブTに近づくように水平方向に移動し、押え部材移動アクチュエータ122に対して水平移動手段113の移動方向にオフセットして設けられたヒンジ部押え部材121のヒンジ部との当接部が、ヒンジ部の外周側斜め上方部に当接する。
【0019】
そして、キャップ持ち上げユニット130のキャップ持上げ部材131は、持上げ部材移動アクチュエータ132によって斜め上下方向に移動し、試料用チューブTのヒンジ部とは反対側のキャップの端縁の下方に当接して持ち上げ、キャップを開放する。
この時、ヒンジ部押え部材121のヒンジ部との当接部がヒンジ部の外周側斜め上方部に当接していることで、当接点が支点となってキャップ持上げ部材131の移動でキャップに回転方向の力を与えるとともに、試料用チューブT自体がラック111から上方に持ち上げられること防ぎ、確実にキャップを開放することができる。
なお、キャップ持上げ部材131の動作は斜め上方への直線運動であるため、ここでのキャップの開放は、図5に示すように90°以下の角度までの開放となる。
【0020】
次に、キャップが90°以下の角度まで開放された所定の試料用チューブTは、ラック保持台115の移動によって、キャップ開放ユニット140の側方に移動して位置決めされる。
所定の試料用チューブTが位置決めされると、キャップ開放ユニット140のキャップ開放部材141は、開放部材移動アクチュエータ142によって試料用チューブTの開口部近傍をヒンジ部とは反対側のキャップの端縁側からヒンジ部の方向に移動し、キャップ持ち上げユニット130により90°以下の角度まで開放されたキャップを180°近傍の角度までさらに大きく開放させる。
【0021】
次に、キャップが180°近傍の角度まで開放された所定の試料用チューブTは、ラック保持台115の移動によって、キャップ持ち上げユニット130の側方とキャッピングユニット160の中間の、上方に開放空間のある位置に移動して位置決めされる。
この位置で、別途の適宜の処理装置や作業者の介入によって、所定の試料用チューブTの内容物の吸入や、希釈剤、反応剤とうの内部への注入等、内容物へのアクセスを行うことができる。
内容物へのアクセスを完了すると、キャップが180°近傍の角度まで開放された所定の試料用チューブTは、ラック保持台115の移動によって、キャッピングユニット160のキャップ押圧部材163の下方に移動して位置決めされる。
【0022】
キャップが180°近傍の角度まで開放された所定の試料用チューブTが位置決めされると、キャッピングユニット160のキャップ戻し部材161は、戻し部材移動アクチュエータ162によって試料用チューブTの開口部近傍をヒンジ部側からヒンジ部とは反対側のキャップの端縁側の方向に移動し、戻し部材移動アクチュエータ162に対して水平移動手段113の移動方向にオフセットして設けられたキャップ戻し部材161のキャップとの当接部がキャップを90°以下の角度の開放まで戻す。
次に、キャッピングユニット160のキャップ押圧部材163は、押圧部材移動アクチュエータ164によって、試料用チューブTの上方から下方に移動してキャップを完全に閉塞する。
【0023】
以上の一連の処理を、ラック111に保持された複数の試料用チューブTに対して行った後、搬出工程として、保持台115が適宜の処理空間に移動し、複数の処理が完了した試料用チューブTをラック111ごと次の工程に搬出、あるいは、複数の試料用チューブTを個別に次の工程に搬出する。
なお、上記一連の処理は、1つの試料用チューブTに対して別々に行ってもよく、複数の試料用チューブTに対して異なる処理を同時並行で行ってもよい。
【0024】
また、試料用チューブTの内容物へのアクセスを別工程で行う場合は、キャップ開放ユニット140やキャッピングユニット160での処理を省略してもよく、チューブデキャッパ100をキャップ開放ユニット140やキャッピングユニット160を備えないものとしても良い。
さらに、試料用チューブTのキャップが開放した状態で一旦上記搬出処理を行い、別の空間で試料用チューブTの内容物にアクセスした後、再び搬入処理を行ってキャッピングユニット160の処理を行ってもよい。
【0025】
なお、チューブ保持機構101、キャップ確認ユニット150、ヒンジ部押えユニット120とキャップ持ち上げユニットを有するデキャップ機構102、キャップ開放ユニット140およびキャッピングユニット160の具体的な形状や配置は、図示するものに限定されるものではなく、同様の機能を有し、同様の動作が可能なものであれば、いかなる形状、配置であってもよい。
また、取り扱う試料用チューブTの具体的態様についても、図示するものに限定されるものではなく、医学、生物工学、化学、薬学等において試料等を封入する用途に好適なものであり、縦立状態で収容可能でヒンジ部で本体と開閉可能に結合されたキャップを有するものであれば、大きさ、断面その他の形状等はいかなるものであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
100 ・・・ チューブデキャッパ
101 ・・・ チューブ保持機構
102 ・・・ デキャップ機構
111 ・・・ ラック
112 ・・・ 位置決めピン
113 ・・・ 水平移動手段
114 ・・・ ガイドレール
115 ・・・ ラック保持台
120 ・・・ ヒンジ部押えユニット
121 ・・・ ヒンジ部押え部材
122 ・・・ 押え部材移動アクチュエータ
130 ・・・ キャップ持ち上げユニット
131 ・・・ キャップ持上げ部材
132 ・・・ 持上げ部材移動アクチュエータ
140 ・・・ キャップ開放ユニット
141 ・・・ キャップ開放部材
142 ・・・ 開放部材移動アクチュエータ
150 ・・・ キャップ確認ユニット
151 ・・・ カメラ(撮像部)
160 ・・・ キャッピングユニット
161 ・・・ キャップ戻し部材
162 ・・・ 戻し部材移動アクチュエータ
163 ・・・ キャップ押圧部材
164 ・・・ 押圧部材移動アクチュエータ
T ・・・ 試料用チューブ
【要約】
【課題】単純な動作で、キャップが本体とヒンジ部で開閉可能に結合された試料用チューブのキャップを、人手を用いず、単純な動作で自動的に開放可能であり、キャップの開放、閉塞を繰り返し行う様々な処理の自動化を可能とするチューブデキャッパを提供すること。
【解決手段】チューブ保持機構101に保持されたヒンジ部で本体と開閉可能に結合されたキャップを有する試料用チューブTのキャップを開放するチューブデキャッパ100において、チューブ保持機構101に保持された試料用チューブTのヒンジ部の外周側斜め上方部に当接可能なヒンジ部押え部材121を有するヒンジ部押えユニット120と、ヒンジ部とは反対側のキャップの端縁の下方に当接可能で斜め上方に移動可能なキャップ持上げ部材131を有するキャップ開放ユニット130を有すること。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8