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特許7150937低カーボンMgO-Cれんが及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】低カーボンMgO-Cれんが及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/043 20060101AFI20221003BHJP
   B22D 41/02 20060101ALI20221003BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
C04B35/043
B22D41/02 A
F27D1/00 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021089823
(22)【出願日】2021-05-28
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000138772
【氏名又は名称】株式会社ヨータイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】特許業務法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】熊安 隆
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016515(JP,A)
【文献】特開平06-287057(JP,A)
【文献】特開2016-108187(JP,A)
【文献】特開平09-241067(JP,A)
【文献】特開平09-194253(JP,A)
【文献】特開2000-319063(JP,A)
【文献】特開2018-070406(JP,A)
【文献】特開2020-100511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/043
B22D 41/02
F27D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで、合量が0重量%超7重量%以下のピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛を含む低カーボンMgO-Cれんがであって、
更に、前記マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0.5~6.0重量%の炭化珪素粒子を含み、
前記炭化珪素粒子がα-SiCであり、
前記炭化珪素粒子の粒子径が1mm以下であり、
前記炭化珪素粒子の50%以上の粒子が0.7以上の丸さ係数を有し、
前記ピッチ粉のキノリン不溶分量(QI値)とトルエン不溶分量(TI値)が、式(1)の関係を満たすこと、
を特徴とする低カーボンMgO-Cれんが。
15%≦TI値-QI値≦40% (1)
【請求項2】
前記炭化珪素粒子のアスペクト比が1~1.2であること、
を特徴とする請求項1に記載の低カーボンMgO-Cれんが。
【請求項3】
前記炭化珪素粒子の粒子径が20~90μmであること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の低カーボンMgO-Cれんが。
【請求項4】
更に、前記マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0重量%超5重量%以下の金属Al粉及び/又は外掛けで0重量%超5重量%以下の金属Si粉を含むこと、
を特徴とする請求項1~のうちのいずれかに記載の低カーボンMgO-Cれんが。
【請求項5】
前記マグネシア原料は、前記マグネシア原料100重量%に対して、粒径1.0mm以上のマグネシアを20~65重量%含有し、粒径5.0mm以上のマグネシアを5重量%以上含有すること、
を特徴とする請求項1~のうちの何れかに記載の低カーボンMgO-Cれんが。
【請求項6】
マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで、合量が0重量%超7重量%以下のピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛と、0.5~6.0重量%の炭化珪素粒子と、を含む配合物を混練して混練配合物を得る第一工程と、
前記混練配合物を成形して成形配合物を得る第二工程と、
前記成形配合物を乾燥させる第三工程と、を有し、
前記炭化珪素粒子をα-SiCとし、
前記炭化珪素粒子の粒子径が1mm以下であり、
前記炭化珪素粒子の50%以上の粒子が0.7以上の丸さ係数を有し、
前記ピッチ粉のキノリン不溶分量(QI値)とトルエン不溶分量(TI値)が、式(1)の関係を満たすこと、
を特徴とする低カーボンMgO-Cれんがの製造方法。
15%≦TI値-QI値≦40% (1)
【請求項7】
前記炭化珪素粒子のアスペクト比を1~1.2とすること、
を特徴とする請求項に記載の低カーボンMgO-Cれんがの製造方法。
【請求項8】
前記炭化珪素粒子の粒子径を20~90μmとすること、
を特徴とする請求項又はに記載の低カーボンMgO-Cれんがの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属容器等に用いることができる低カーボンMgO-Cれんがに関し、特に、VOD鍋スラグライン及び特殊鋼取鍋スラグライン等の鉄鋼用精錬炉に好適に使用できる低カーボンMgO-Cれんがに関する。
【背景技術】
【0002】
MgO-Cれんがはマグネシアを主成分とすることにより耐食性が良く、カーボンを含有することで耐スポーリング性も良好であることから、転炉を初めとして窯炉全般に広く使用されている。
【0003】
一般的なMgO-Cれんがは、鱗状黒鉛等のカーボン質原料を比較的大量に約10~20%含有するものであって、鱗状黒鉛等の作用で、耐熱スポーリング性及び耐構造スポーリング性の向上が図られている。れんがの耐スポーリング性は、耐熱スポーリング性、耐構造スポーリング性及び耐機械的スポーリング性の三つに分類されるが、耐熱スポーリングは熱応力に起因するスポーリングであり、構造スポーリングとは、れんが内部にスラグが侵入して変質層を形成し、背後の原質層との間に、組織差による(熱膨張差、密度差などによる)亀裂が発生し、激しい場合は剥離に至る現象を意味する。
【0004】
ここで、鉄鋼用精錬炉等で使用されるMgO-Cれんがには非常に高い信頼性が要求されることから、更なる耐スポーリング性の向上を目的として、種々の検討が盛んに行われている。例えば、特許文献1(特開平06-321626号公報)においては、マグネシア粒子100重量部に対して、ピッチが1~5重量部であるピッチ被覆マグネシア粒子を10~50重量%、残部がマグネシア粒子とカーボンを主材とした配合物を成形することを特徴とするMgO-C質不焼成れんがの製造方法、が提案されている。
【0005】
上記特許文献1に記載のMgO-C質不焼成れんがの製造方法においては、特定の割合でピッチをマグネシア粒子の周囲にのみ存在させることで、当該ピッチ部分の一部が使用時の加熱により空隙になり、この空隙が亀裂の伝播を阻止し、耐熱スポーリング性の向上に役立つ、とされている。
【0006】
また、本発明者らも、特許文献2(特開2016-108187号公報)において、マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0~7重量%のピッチ粉及び/または0~7重量%の鱗状黒鉛を添加してなる配合物を用いて得られる低カーボンMgO-Cれんがにおいて、前記マグネシア原料は、マグネシア原料100重量%に対して粒径1.0mm以上のマグネシアを20~65重量%含有し、なおかつ粒径5.0mm以上の含有量が5重量%以上であり、更に前記マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0.1~10重量%の炭化珪素を添加してなる配合物を用いて得られた低カーボンMgO-Cれんが、を提案している。
【0007】
上記特許文献2に記載の低カーボンMgO-Cれんがは適量の炭化珪素を含んでおり、当該炭化珪素は融点が高く、スラグに濡れにくいため、低カーボンMgO-Cれんがの耐食性向上に寄与する。また、炭化珪素は低い熱膨張性と高い熱伝導性を有するため、低カーボンMgO-Cれんがの耐熱スポーリング性の向上にも寄与する。加えて、炭化珪素は酸化によって二酸化珪素を生成し、当該二酸化珪素はガラス成分となって低カーボンMgO-Cれんがの保護層として機能する。ガラスは緻密であり通気性が低いため、酸化防止の保護層として働くと共に、スラグの浸透を防止し、変質層の拡大に起因する耐構造スポーリングを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平06-321626号公報
【文献】特開2016-108187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載のMgO-C質不焼成れんがの製造方法で得られるMgO-C質不焼成れんがは、良好な耐熱スポーリング性を有しているものの、耐構造スポーリング性が十分に改善されていない。低カーボンMgO-Cれんがは、スラグに濡れにくい性質を付与するカーボンの含量が少ないため、短期間の使用でカーボンが不足し、スラグが浸透しやすい状態となり構造スポーリングが進行する。
【0010】
また、上記特許文献2に記載の低カーボンMgO-Cれんがは、炭化珪素等によって耐熱スポーリング性及び耐構造スポーリング性が向上しているものの、鉄鋼用精錬炉等で使用される際には、更なる特性の改善が望まれるところである。具体的には、耐熱性スポーリング性と耐構造スポーリング性をより高いレベルで両立すると共に、優れた耐食性と耐摩耗性を付与する必要がある。
【0011】
以上のような従来技術における問題点に鑑み、本発明の目的は、耐熱性スポーリング性と耐構造スポーリング性に優れ、高い耐食性と耐摩耗性を有する低カーボンMgO-Cれんが及びその簡便かつ効率的な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、低カーボンMgO-Cれんがの組成及び組織等について鋭意研究を重ねた結果、適量の炭化珪素を添加し、当該炭化珪素の粒子径及び丸さ係数を厳密に制御することや、適当な結晶構造を有する炭化珪素を選択すること等が極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
即ち、本発明は、
マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで、合量が0重量%超7重量%以下のピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛を含む低カーボンMgO-Cれんがであって、
更に、前記マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0.5~6.0重量%の炭化珪素粒子を含み、
前記炭化珪素粒子がα-SiCであり、
前記炭化珪素粒子の粒子径が1mm以下であり、
前記炭化珪素粒子の50%以上の粒子が0.7以上の丸さ係数を有すること、
を特徴とする低カーボンMgO-Cれんが、を提供する。
【0014】
本発明の低カーボンMgO-Cれんがにおいては、マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0.5~6.0重量%の炭化珪素粒子を含み、当該炭化珪素粒子がα-SiCであり、当該炭化珪素粒子の粒子径が1mm以下であることに加えて、半数以上の粒子が0.7以上の丸さ係数を有していることが最大の特徴となっている。丸さ係数が0.7以上となる炭化珪素粒子の数は、60%以上であることが好ましい。
【0015】
ここで、「丸さ係数」とは、光学顕微鏡や走査電子顕微鏡等を用いた観察画像において、炭化珪素粒子の外接円からの変形度合を示す値であり、当該値が1であれば炭化珪素粒子は完全な円形(三次元的には球形)となる。即ち、丸さ係数は1を最大値とし、値が小さくなるほど炭化珪素粒子が尖形となる。丸さ係数の算出方法は、鋳鉄の黒鉛球状化率について規定されたJIS G 5505に記載の方法を用いればよい。
【0016】
炭化珪素粒子の粒子径を1mm以下とすることで、炭化珪素粒子の比表面積を十分に大きくすることができ、酸化による二酸化珪素の生成が促進され、極めて効果的に耐構造スポーリング性を向上させることができる。ここで、炭化珪素粒子の粒子径は20~90μmとすることが好ましい。粒子径を90μm以下とすることで、上記の効果をより顕著に得ることができる。一方で、粒子径を20μm以上とすることで、二酸化珪素が過剰に生成することに起因する過焼結を防止し、耐熱スポーリング性の低下を抑制することができる。
【0017】
また、丸さ係数を0.7以上とすることで、炭化珪素粒子の充填むらを抑制することができ、低カーボンMgO-Cれんがの耐摩耗性を向上させることができる。当該効果は、炭化珪素粒子の50%以上の粒子の丸さ係数が0.7以上となっていることで十分に得ることができるが、60%以上の粒子の丸さ係数が0.7以上となっていることで、より顕著になる。加えて、炭化珪素粒子のアスペクト比は1~1.2とすることが好ましい。アスペクト比を1~1.2とすることにより、炭化珪素粒子の充填むらを抑制し、低カーボンMgO-Cれんがの耐摩耗性が向上する効果をより確実に得ることができる。
【0018】
また、炭化珪素粒子として、α-SiCが使用されている。α-SiC(六方晶)はβ-SiC(立方晶)よりも酸化されやすく、保護層として働く酸化皮膜が容易かつ均質に形成されるため、スラグの浸透を効果的に抑制し、変質層の拡大を防止して、耐構造スポーリング性の向上に極めて有利に作用する。加えて、α-SiCはβ-SiCよりも安価であり、構造部材として大量に使用される低カーボンMgO-Cれんがの原料として好適に用いることができる。
【0019】
また、炭化珪素粒子の含有量は、マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0.5~6.0重量%となっている。炭化珪素粒子の含有量を0.5重量%以上とすることで、炭化珪素粒子を分散させることによる効果(耐熱性スポーリング性、耐構造スポーリング性、耐食性及び耐摩耗性の向上)を発現させることができる。一方で、炭化珪素粒子の含有量を6.0重量%以下とすることで、炭化珪素粒子の凝集を抑制することができる。加えて、カーボンピックアップの原因となる、炭化珪素の酸化分解によって生成する炭素の量を十分に少ない値とすることができる。より好ましい炭化珪素粒子の含有量は1.0~5.0重量%であり、最も好ましい含有量は2.0~4.0重量%である。
【0020】
また、本発明の低カーボンMgO-Cれんがにおいては、マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで、合量が0重量%超7重量%以下のピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛を含んでいる。ピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛の合量を0重量%超7重量%以下とすることで、カーボンピックアップの発生を抑制することができる。
【0021】
ここで、前記ピッチ粉のキノリン不溶分量(QI値)とトルエン不溶分量(TI値)が、式(1)の関係を満たすこと、が好ましい。
15%≦TI値-QI値≦40% (1)
【0022】
TI値-QI値を15%以上とすることで、十分な粘結性が得られ、低カーボンMgO-Cれんがに適当な強度等の機械的性質を付与することができる。また、TI値-QI値を40%以下とすることで、粘結性が強過ぎることに起因する耐スポーリング性の低下を抑制することができる。
【0023】
また、本発明の低カーボンMgO-Cれんがにおいては、更に、前記マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0重量%超5重量%以下の金属Al粉及び/又は外掛けで0重量%超5重量%以下の金属Si粉を含むこと、が好ましい。
【0024】
マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0重量%超5重量%以下の金属Al粉を含有させることで、低温度域からの耐酸化性を向上することができる。また、マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0重量%超5重量%以下の金属Si粉を含有させることで高温度域の耐酸化性を向上することができる。
【0025】
更に、本発明の低カーボンMgO-Cれんがにおいては、前記マグネシア原料は、前記マグネシア原料100重量%に対して、粒径1.0mm以上のマグネシアを20~65重量%含有し、粒径5.0mm以上のマグネシアを5重量%以上含有すること、が好ましい。
【0026】
粒径1.0mm以上のマグネシアを20~65重量%含有し、粒径5.0mm以上のマグネシアを5重量%以上含有するマグネシア原料を使用することで、低カーボンMgO-Cれんがの耐食性と耐熱スポーリング性を損なうことなく、耐構造スポーリング性を高めることができる。
【0027】
また、本発明は、
マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで、合量が0重量%超7重量%以下のピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛と、0.5~6.0重量%の炭化珪素粒子と、を含む配合物を混練して混練配合物を得る第一工程と、
前記混練配合物を成形して成形配合物を得る第二工程と、
前記成形配合物を乾燥させる第三工程と、を有し、
前記炭化珪素粒子をα-SiCとし、
前記炭化珪素粒子の粒子径が1mm以下であり、
前記炭化珪素粒子の50%以上の粒子が0.7以上の丸さ係数を有すること、
を特徴とする低カーボンMgO-Cれんがの製造方法、も提供する。
【0028】
本発明の低カーボンMgO-Cれんがの製造方法においては、炭化珪素粒子の粒子径が1mm以下であることに加えて、半数以上の粒子が0.7以上の丸さ係数を有していることが最大の特徴となっている。丸さ係数が0.7以上となる炭化珪素粒子の数は、60%以上であることが好ましい。これらの特徴を有する炭化珪素粒子を用いることで、低カーボンMgO-Cれんがに簡便かつ効率的に均一分散させることができる。ここで、炭化珪素粒子の粒子径は20~90μmとすることが好ましい。炭化珪素粒子を90μm以下とすることで、単位体積当たりの存在確率を高くすることができ、20μm以上とすることで、粒子同士の凝集等を抑制することができる。加えて、炭化珪素粒子のアスペクト比は1~1.2とすることが好ましい。アスペクト比を1~1.2とすることで、粒子形状に起因する偏在を効果的に抑制することができる。
【0029】
また、本発明の低カーボンMgO-Cれんがの製造方法においては、前記炭化珪素粒子にα-SiCを使用する。炭化珪素粒子としてα-SiCを用いることで、粒子径が1mm以下で丸さ係数が0.7以上の原料粒子を安価かつ容易に入手することができる。加えて、得られる低カーボンMgO-Cれんがにおいて、炭化珪素粒子分散の効果を十分に発現させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、耐熱性スポーリング性と耐構造スポーリング性に優れ、高い耐食性と耐摩耗性を有する低カーボンMgO-Cれんが及びその簡便かつ効率的な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】丸さ係数の定義を説明するための模式図である。
図2】実施例1として得られた低カーボンMgO-Cれんがの組成像及びMg、Si及びCの元素分布である。
図3】比較例1として得られた低カーボンMgO-Cれんがの組成像及びMg、Si及びCの元素分布である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の低カーボンMgO-Cれんが及びその製造方法についての代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0033】
1.低カーボンMgO-Cれんが
本発明の低カーボンMgO-Cれんがは、ピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛を含む低カーボンMgO-Cれんがに適当な炭化珪素粒子を添加したものであり、主成分はマグネシア(MgO)粒子である。以下、主成分と各添加成分について詳細に説明する。
【0034】
(1)成分
(1-1)主成分(マグネシア)
マグネシア原料は、マグネシア原料100重量%に対して、粒径1.0mm以上のマグネシアを20~65重量%含有し、粒径5.0mm以上のマグネシアを5重量%以上含有することが好ましい。
【0035】
粒径1.0mm以上のマグネシアを20~65重量%含有し、粒径5.0mm以上のマグネシアを5重量%以上含有するマグネシア原料を使用することで、低カーボンMgO-Cれんがの耐食性と耐熱スポーリング性を損なうことなく、耐構造スポーリング性を高めることができる。
【0036】
マグネシア原料の種類は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されないが、例えば、電融マグネシア、海水マグネシア及び天然マグネシア等を使用することができる。また、マグネシア原料の純度に関して、不純物による耐食性の低下や過焼結の影響を避けるために、95重量%以上の高純度のものを使用することが好ましい。
【0037】
(1-2)必須の添加成分
ピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛:合量が0重量%超7重量%以下
ピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛は、低カーボンMgO-Cれんがの炭素原料として使用され、炭素の有する高熱伝導率や溶融スラグに濡れにくい等の性質を活用するために、低カーボンMgO-Cれんがに添加されている。
【0038】
一方で、炭素含有耐火物では、耐火物中に含有するカーボンの溶鋼中への溶解(カーボンピックアップ)が問題となることから、当該カーボンピックアップを抑制するために、ピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛の合量が7重量%以下となっている。
【0039】
ここで、ピッチ粉のキノリン不溶分量(QI値)とトルエン不溶分量(TI値)は、式(1)の関係を満たすこと、が好ましい。
15%≦TI値-QI値≦40% (1)
【0040】
TI値-QI値を15%以上とすることで、十分な粘結性が得られ、低カーボンMgO-Cれんがに適当な強度等の機械的性質を付与することができる。また、TI値-QI値を40%以下とすることで、粘結性が強過ぎることに起因する耐スポーリング性の低下を抑制することができる。
【0041】
炭化珪素粒子:0.5~6.0重量%
炭化珪素粒子は、低カーボンMgO-Cれんがの耐熱性スポーリング性、耐構造スポーリング性、耐食性及び耐摩耗性の向上を目的として添加されている。
【0042】
炭化珪素粒子の含有量を、マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0.5重量%以上とすることで、炭化珪素粒子を分散させることによる効果(耐熱性スポーリング性、耐構造スポーリング性、耐食性及び耐摩耗性の向上)を発現させることができる。一方で、炭化珪素粒子の含有量を6.0重量%以下とすることで、炭化珪素粒子の凝集を抑制することができる。加えて、カーボンピックアップの原因となる、炭化珪素の酸化分解によって生成する炭素の量を十分に少ない値とすることができる。より好ましい炭化珪素粒子の含有量は1.0~5.0重量%であり、最も好ましい含有量は2.0~4.0重量%である。
【0043】
炭化珪素粒子の粒子径を1mm以下とすることで、炭化珪素粒子の比表面積を十分に大きくすることができ、酸化による二酸化珪素の生成が促進され、極めて効果的に耐構造スポーリング性を向上させることができる。ここで、炭化珪素粒子の粒子径は20~90μmとすることが好ましい。粒子径を90μm以下とすることで、上記の効果をより顕著に得ることができる。一方で、粒子径を20μm以上とすることで、二酸化珪素が過剰に生成することに起因する過焼結を防止し、耐熱スポーリング性の低下を抑制することができる。
【0044】
また、丸さ係数を0.7以上とすることで、球状に近い炭化珪素粒子を用いることができ、充填むらが低減され、低カーボンMgO-Cれんがの耐摩耗性が向上する。添加する炭化珪素粒子の50%以上が0.7以上の丸さ係数を有していればよいが、60%以上が0.7以上の丸さ係数を有することが好ましい。炭化珪素粒子のアスペクト比は1~1.2とすることが好ましい。
【0045】
図1に、丸さ係数の定義図を示す。対象とする炭化珪素粒子の長軸を直径とする外接円を考える。ここで、炭化珪素粒子の長軸Lとその炭化珪素粒子の面積Sとの比である無次元量kをk=S/Lとする。炭化珪素粒子の形状が真円の場合には、その半径をrとすると、無次元量kは最大値kとなる(k=S/L=πr/4r=π/4)。このkとkの比が丸さ係数Rであり、R=k/k=S/Dとなる。ここで、Dは直径Lの円の面積(炭化珪素粒子外接円面積)である。なお、丸さ係数Rは、適当な画像処理ソフトウェアを用いて光学顕微鏡や走査電子顕微鏡で得られた観察画像を解析することが容易に得ることができる。ここで、添加する全ての炭化珪素粒子について観察及び解析することは現実的ではないため、無作為に採取した50~100個程度の炭化珪素粒子に関する解析結果を用いればよい。
【0046】
また、炭化珪素粒子はα-SiCである。α-SiC(六方晶)はβ-SiC(立方晶)よりも酸化されやすく、保護層として働く酸化皮膜が容易かつ均質に形成されるため、スラグの浸透を効果的に抑制し、変質層の拡大を防止して、耐構造スポーリング性の向上に極めて有利に作用する。加えて、α-SiCはβ-SiCよりも安価であり、構造部材として大量に使用される低カーボンMgO-Cれんがの原料として好適に用いることができる。
【0047】
炭化珪素粒子の原料は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の方法で製造されたものを使用することができるが、炭化珪素の含有量が90重量%以上であることが好ましい。不純物を低減することで、耐熱スポーリング性の低下を抑制することができる。
【0048】
マグネシア粒子や炭化珪素粒子の粒子径を確認する方法は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、従来公知の種々の方法を用いればよい。例えば、マグネシア粒子や炭化珪素粒子の粒子径の上限値は、適当なメッシュの金網を用いて決定することができる。例えば、200メッシュの金網を通過した粒子を用いる場合、粒子径の上限は75μmとなる。その他、光学顕微鏡や走査電子顕微鏡等で十分な数の粒子を観察し、粒子径を測定すればよい。また、炭化珪素粒子のアスペクト比についても、光学顕微鏡や走査電子顕微鏡等で十分な数の粒子を観察して求めればよい。
【0049】
(1-3)任意の添加成分
金属Al粉:0重量%超5重量%以下
金属Al粉を添加することで、低温度域からの耐酸化性を向上することができる。また、金属Al粉の添加量を5重量%以下とすることで、耐食性の低下を防止することができる。より好ましい添加量は0.5~4.5重量%であり、最も好ましい添加量は1~4重量%である。
【0050】
金属Si粉:0重量%超5重量%以下
金属Si粉を添加することで、高温度域での耐酸化性を向上することができる。また、金属Si粉の添加量を5重量%以下とすることで、耐食性の低下を防止することができる。より好ましい添加量は0.5~2重量%である。
【0051】
その他、フェノール樹脂等のバインダーを使用することができる。バインダーの種類や量は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、れんが用として公知の種々のバインダーを使用することができ、室温で液体であればレゾール型やノボラック型を使用することができる。バインダーの添加量は1~3重量%とすることが好ましい。バインダーの添加量を1重量%以上とすることで、良好な成形性が得られ、低カーボンMgO-Cれんがの強度を担保することができる。また、バインダーの添加量を3重量%以下とすることで、気孔率の増大を抑制し、耐食性の低下を防止することができる。
【0052】
(2)組織
本発明の低カーボンMgO-Cれんがの組織は、炭化珪素粒子が均一に分散していることを最大の特徴としている。
【0053】
本発明の低カーボンMgO-Cれんがにおいては、粒子径及び丸さ係数が、それぞれ1mm以下及び0.7以上である炭化珪素粒子を用いることにより、炭化珪素粒子の分散が不均一になると共にその他の添加原料の充填率も低下する「疎となる領域」の形成が効果的に抑制されている。より具体的には、添加する炭化珪素粒子と同等程度の大きさの「疎となる領域」の形成を抑制することができる。
【0054】
2.低カーボンMgO-Cれんがの製造方法
本発明の低カーボンMgO-Cれんがの製造方法は、適量の炭化珪素粒子を添加すると共に、炭化珪素粒子の結晶構造を選択し、粒子径及びアスペクト比を最適化することを最大の特徴としている。その結果、耐熱性スポーリング性と耐構造スポーリング性に優れ、高い耐食性と耐摩耗性を有する低カーボンMgO-Cれんがを得るための炭化珪素粒子の均一分散を実現することができる。
【0055】
本発明の低カーボンMgO-Cれんがの製造方法は、マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで、合量が0重量%超7重量%以下のピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛と、0.5~6.0重量%の炭化珪素粒子と、を含む配合物を混練して混練配合物を得る第一工程と、混練配合物を成形して成形配合物を得る第二工程と、成形配合物を乾燥させる第三工程と、を有し、炭化珪素粒子の粒子径を1mm以下とし、半数以上の炭化珪素粒子の丸さ係数を0.7以上とするものである。
【0056】
粒子径及び丸さ係数がそれぞれ1mm以下及び0.7以上である炭化珪素粒子を用いることで、当該炭化珪素粒子を低カーボンMgO-Cれんがに簡便かつ効率的に均一分散させることができる。ここで、炭化珪素粒子の粒子径は20~90μmとすることが好ましい。粒子径を90μm以下とすることで、単位体積当たりの存在確率を高くすることができ、粒子径を20μm以上とすることで、粒子同士の凝集等を抑制することができる。加えて、アスペクト比を1~1.2とすることが好ましい。炭化珪素粒子のアスペクト比を1~1.2とすることで、粒子形状に起因する偏在を抑制することができる。
【0057】
また、炭化珪素粒子にはα-SiCを用いる。炭化珪素粒子としてα-SiCを用いることで、粒子径が1mm以下で丸さ係数が0.7以上の原料粒子を安価かつ容易に入手することができる。加えて、得られる低カーボンMgO-Cれんがにおいて、炭化珪素粒子分散の効果を十分に発現させることができる。
【0058】
第一工程における混練方法、第二工程における成形方法及び第三工程における乾燥方法は、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されず、れんがの製造方法として知られている従来公知の種々の方法を用いることができる。ここで、第三工程においては、第二工程で得られた成形配合物を100~500℃に加熱して不焼成れんがとすることが好ましい。より好ましい加熱温度は150~250℃である。
【0059】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それら設計変更は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0060】
≪実施例≫
表1に実施例1~実施例7として示す割合で原料を調整し、高速ミキサーで混練し、230×230×85mmの形状において、真空プレスにより成形した。乾燥にはバッチ式ドライヤーを用い、最高温度200±10℃で8時間保持して本発明の実施例である低カーボンMgO-Cれんがを得た。各原料の粒子径及び丸さ係数は表1に示すとおりである。約100個の炭化珪素粒子を無作為に採取して、各粒子の丸さ係数を測定し、0.7以上の丸さ係数を有する炭化珪素粒子の割合が50%以上の場合は〇、50%未満の場合は×とした。各原料の粒子径及び丸さ係数は、走査電子顕微鏡で得られた観察画像の画像解析により評価した。ここで、ピッチ粉のキノリン不溶分量(QI値)とトルエン不溶分量(TI値)を確認したところ、「TI値-QI値」は25%であり、15%≦TI値-QI値≦40%の関係を満たしていた。
【0061】
【表1】
【0062】
[評価]
得られた各低カーボンMgO-Cれんがについて、耐熱スポーリング性、耐食性、耐構造スポーリング性及び耐摩耗性を評価した。また、得られた低カーボンMgO-Cれんがの組織を、EDXを備えた走査電子顕微鏡にて観察した。
【0063】
(1)耐熱スポーリング性
耐熱スポーリング性の評価は高周波誘導炉を用いた溶銑浸漬法によって行った。試験方法は次のとおりである。試料形状は、40mm×40mm×230mmとした。実炉での条件に近づけるため、試料をあらかじめコークスブリーズ中で1400℃×3h熱処理した。高周波誘導炉で1500℃に保持した溶銑中に、40mm×40mm×230mmの試片を長手方向に100mmまで浸漬し90秒間保持した後に大気中で90秒間放冷する操作を5回繰り返した。試験後の試片を目視観察し、優劣を下記のように表現した。得られた結果を表1に示す。
◎:小さな亀裂がある。
○:大きな亀裂がある。
△:4~5回で剥離した。
×:1~3回で剥離した。
【0064】
(2)耐食性
耐食性の評価は高周波誘導炉内張り法によって行った。試験方法は次のとおりである。誘導炉で鋼片を溶解し、1750℃に保持して、VOD鍋スラグ(スラグの塩基度はCaO/SiO=3)を投入する。30分ごとにスラグを交換しながら6時間保持する。試験後に損耗量を測定した。損耗量は実施例1の侵食量を100とする指数で表示した。得られた結果を表1に示す。数値が小さいほど耐食性に優れることを示している。
【0065】
(3)耐構造スポーリング性
耐構造スポーリング性の評価は回転式侵食試験炉で、プロパン-酸素バーナーによって行った。試験方法は、厚さ70mmの試料を8個1組で内張りした回転式侵食試験炉を1時間あたり200℃で昇温し1750℃に達した時、スラグを投入した。スラグとして、VOD鍋スラグ(スラグの塩基度はCaO/SiO=3)を使用した。1750℃で30分間保持してスラグを浸透させた後、自然冷却させた。30分後に1550℃まで急昇温させて30分間保持した。1550℃での加熱30分と冷却30分の操作を5回繰り返した。試験炉の回転速度は4rpmとした。試験温度を1750℃から1550℃に下げたのは、溶損の影響を排除し、構造スポーリングに注目するためである。試験後に試料を切断し、スラグの侵入厚さと、変質層と原層の境界部分に発生する亀裂の大きさを測定し優劣を比較した。スラグ侵入厚さが薄く、亀裂の幅の小さいものが耐構造スポーリング性良好と判定した。得られた結果を表1に示す。
【0066】
(4)耐摩耗性
耐摩耗性の評価は、ショットブラスト法で行った。試験方法は次のとおりである。試料形状は115×115×60mmとした。実炉での条件に近づけるため、試料をあらかじめコークスブリーズ中で1400℃×3hで熱処理した。摩耗材は、粒径0.6~0.4mmのSiC粒子を使用した。ブラストノズルから摩耗材を空気圧力0.45MPaで試料に1kg吹き付けた。この時ノズル先端から試料までの距離は200mmとした。試験後の摩耗容積を算出し、耐食性の場合と同様に指数化した。
【0067】
(5)組織観察
得られた低カーボンMgO-Cれんがを任意の断面で切断し、当該断面を走査電子顕微鏡で観察した。加えて、EDXを用いてMg、Si及びCの元素分布を観察した。
【0068】
≪比較例≫
表1に比較例1~実施例6として示す割合で原料を調整したこと以外は実施例と同様にして、低カーボンMgO-Cれんがを得た。また、実施例と同様にして、各低カーボンMgO-Cれんがの耐熱スポーリング性、耐食性、耐構造スポーリング性及び耐摩耗性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0069】
本発明の実施例については、全ての低カーボンMgO-Cれんがで耐熱スポーリング性及び耐構造スポーリング性の評価が〇となっている。また、良好な耐食性を維持しつつ、耐摩耗性に関する摩耗容積指数も小さな値となっている。ここで、炭化珪素粒子の含有量が0.5重量%と少ない実施例3については摩耗容積指数がやや高い値を示しているが、優れた耐熱スポーリング性と耐構造スポーリング性を有しており、総合評価は〇となっている。また、実施例3以外の実施例の総合評価は◎である。
【0070】
実施例1と比較例1の対比により、1mm以下の粒子径を有するα-SiC粒子を添加した場合における、当該粒子の丸さ係数の影響を確認することができる。耐構造スポーリング性の評価において、0.7以上の丸さ係数を有する炭化珪素粒子の割合が50%以上である実施例1の場合は評価が〇となっているが、当該割合が50%未満である比較例1の場合は評価が×となっている。
【0071】
実施例2と比較例2の対比により、75μm以下の粒子径を有するα-SiC粒子を添加した場合における、当該粒子の丸さ係数の影響を確認することができる。0.7以上の丸さ係数を有する炭化珪素粒子の割合が50%未満である比較例2の場合は耐摩耗性が十分ではなく、総合評価が×となっている。
【0072】
また、比較例3及び比較例4はα-SiC粒子の添加量が多すぎる場合であり、α-SiC粒子の大きさ及び丸さ係数を厳密に調整しても、共に良好な耐熱スポーリング性が得られていない。
【0073】
また、比較例5及び比較例6は炭化珪素粒子にβ-SiC粒子を用いた場合であり、炭化珪素粒子の添加量、大きさ及び丸さ係数を厳密に調整しても、共に良好な耐構造スポーリング性が得られていない。
【0074】
実施例1及び比較例1として得られた低カーボンMgO-Cれんがの組成像及び当該組成像に対応するMg、Si及びCの元素分布を図2及び図3にそれぞれ示す。実施例1の低カーボンMgO-Cれんがにおいては、炭化珪素粒子が均一に分散していることが確認できる。一方で、比較例1として得られた低カーボンMgO-Cれんがにおいては、添加した炭化珪素粒子と同程度の大きさを有する「疎な領域」が形成されている(組成像において点線で囲った領域)。なお、炭化珪素粒子はSiの分布で確認することができる。
【0075】
以上の結果より、耐熱性スポーリング性と耐構造スポーリング性に優れ、高い耐食性と耐摩耗性を有する低カーボンMgO-Cれんがを得るためには、適量のα-SiC粒子を添加し、当該α-SiC粒子の大きさ及び丸さ係数を適当な数値範囲とすることが極めて重要であることが分かる。
【要約】
【課題】耐熱性スポーリング性と耐構造スポーリング性に優れ、高い耐食性と耐摩耗性を有する低カーボンMgO-Cれんが及びその簡便かつ効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで、合量が0重量%超7重量%以下のピッチ粉及び/又は鱗状黒鉛を含む低カーボンMgO-Cれんがであって、更に、マグネシア原料100重量%に対して、外掛けで0.5~6.0重量%の炭化珪素粒子を含み、炭化珪素粒子がα-SiCであり、炭化珪素粒子の粒子径が1mm以下であり、炭化珪素粒子の50%以上の粒子が0.7以上の丸さ係数を有すること、を特徴とする低カーボンMgO-Cれんが。
【選択図】なし
図1
図2
図3