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特許7150938車両周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報をマージするための車両、方法、コンピュータプログラムおよび装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】車両周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報をマージするための車両、方法、コンピュータプログラムおよび装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/09 F
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021094260
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2021193562
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】10 2020 207 065.2
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ライマン
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス プラー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー トラウアー
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-128637(JP,A)
【文献】特開2009-199138(JP,A)
【文献】特開2020-154913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
種々のデータソースからの車両(200)周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報(31、32、33、312、314、322、323、334、335)をマージする方法(100)であって、当該方法(100)は、
前記車両(200)に配置された少なくとも1つのセンサから、周囲に関する第1の周囲情報(310)を捕捉するステップ(110)と、
前記車両(200)とは離れている送信機から、周囲に関する少なくとも1つの第2の周囲情報(320、330)を受信するステップ(120)と、
前記第1の周囲情報(310)から、少なくとも1つの第1の物体情報(31、312、314)を、該第1の物体情報(31、312、314)を参照する第1のメタ情報(31p、312p、314p)と共に求め、前記第2の周囲情報から、少なくとも1つの第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)を、該第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)を参照する第2のメタ情報(32p、33p、322p、323p、334p、335p)と共に求めるステップと、
記第1の物体情報(31、312、314)と前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)との間の偏差が許容範囲内にある場合に、前記第1のメタ情報(31p、312p、314p)と前記第2のメタ情報(32p、33p、322p、323p、334p、335p)とを互いにマッピングするステップ(140)と
を含む、方法(100)。
【請求項2】
前記第1のメタ情報(31p、312p、314p)と前記第2のメタ情報(32p、33p、322p、323p、334p、335p)とのマッピングに基づき、前記第1の物体情報(31、312、314)と前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)とをマージして第3の物体情報(38、382、384)を形成するステップを含み、
前記第3の物体情報(38、382、384)は、前記第1の物体情報(31、312、314)、前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)、または前記第1の物体情報と前記第2の物体情報との組み合わせを含む、
請求項1記載の方法(100)。
【請求項3】
前記第1のメタ情報(31p、312p、314p)は、前記第1の物体情報(31、312、314)に属する物体の物体識別子と、前記第1の物体情報(31、312、314)を指す参照子とを含み、前記第2のメタ情報(32p、33p、322p、323p、334p、335p)は、前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)に属する物体の物体識別子と、前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)を指す参照子とを含む、請求項1または2記載の方法(100)。
【請求項4】
前記第1の物体情報(31、312、314)および前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)はそれぞれ、1つまたは複数の前記物体のうち少なくとも1つの物体のポジション、速度、加速度、回転量および/または大きさを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項5】
前記第1の物体情報と前記第2の物体情報とを互いにマッピングするステップ(140)は、
前記第1の物体情報(31、312、314)と前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)とを、1つの共通の時点(302t)に写像するステップと、
前記写像するステップによって得られた、前記共通の時点(302t)への前記第1の物体情報(31、312、314)の写像(312a)と前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)の写像(322a)との間の偏差が前記許容範囲内にある場合に、前記第1の物体情報(31、312、314)と前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)とを互いにマッピングするステップと
を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項6】
前記第1の物体情報(31、312、314)および前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)を前記共通の時点(302t)に写像するステップは、前記第1の物体情報(31、312、314)に割り当てられた第1のタイムスタンプ(312t)の、かつ/または前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)に割り当てられた第2のタイムスタンプ(322t)の、前記第1の物体情報(31、312、314)および/または前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)に基づき、外挿法または内挿法を用いて、前記共通の時点(302t)における前記第1の物体情報(31、312、314)および前記第2の物体情報(32、33、322、323、334、335)を予測するステップを含む、請求項5記載の方法(100)。
【請求項7】
前記センサは少なくとも、レーダセンサ、ライダセンサ、超音波センサまたはカメラを含む、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項8】
プログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、前記プログラムコードは、該プログラムコードがコンピュータ、プロセッサ、コントロールモジュールまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行されると、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法(100)のうち1つの方法を実施する、コンピュータプログラム。
【請求項9】
種々のデータソースからの車両(200)周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報(31、32、33、312、314、322、323、334、335)をマージする装置(210)であって、当該装置(210)は、
前記車両(200)に配置されたセンサおよび前記車両とは離れている送信機と通信する1つまたは複数のインタフェース(214)と、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法(100)のうち1つの方法を実施するコントロールモジュール(212)と
を含む、装置(210)。
【請求項10】
種々のデータソースからの車両(200)周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報(31、32、33、312、314、322、323、334、335)をマージする請求項9記載の装置(210)を備えた車両(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々のデータソースからの車両周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報をマージするための車両、方法、コンピュータプログラムおよび装置に関する。特に本発明は、センサからおよび車両とは離れている送信機から供給される車両周囲に関する周囲情報からの物体情報をマージするための車両、方法、コンピュータプログラムおよび装置に関する。
【0002】
車両間で通信される、または車両とインフラストラクチャ物体に定置状態で組み込まれている送信機との間で通信されるデータ/情報は、車両が自身の周囲をできるかぎり総合的に知覚するのを支援することができる。かかる情報を、車車間データ(英語:vehicle-to-vehicle,V2V,data)、もしくは路車間データ(英語:vehicle-to-infrastructure,V2I,data)、または総称して車車間・路車間データ(英語:vehicle-to-everything,V2X,data)と称することができる。
【0003】
この場合、定置状態で組み込まれている送信機に対する車両のインタフェースを、さらなるセンサ機構と見なすことができ、これは車両にV2Iデータの形態で車両周囲に関する付加的な情報を提供する。車両と定置された送信機との間で通信されるV2VデータおよびV2Iデータは、車両に取り付けられた1つまたは複数のセンサからのセンタデータとV2Iデータとに基づき周囲を描写するために、それらのセンサデータと高速かつ効率的に結合することが重要である。
【0004】
結合されたデータを、いわゆる「協調周囲モデル」において描写することができる。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0166071号明細書には、同一の物体に割り当てることができる第1のセンサと第2のセンサのセンサデータを、個々のセンサデータのアンビギュイティの比較に基づきマッピングするコンセプトが記載されている。センサデータのアンビギュイティは外部の影響に起因して変動する可能性があり、それにより誤ったマッピングになってしまう可能性がある。
【0006】
韓国特許出願公開第20190090604号明細書には、レーダセンサのセンサデータと、車両間で通信されたV2Vデータとを、それらのセンサデータとV2Vデータとにより捕捉されている物体の個数に基づきマージするコンセプトが記載されている。ただし、マージされたデータは不所望な冗長性を有する可能性がある。
【0007】
欧州特許出願公開第3462754号明細書には、車両のV2X通信装置によりV2Xメッセージを伝送する方法が記載されている。この方法は、外部のV2X通信装置から、この外部のV2X通信装置に関する基本情報を供給するV2Xメッセージを受信するステップと、V2X通信装置により検出された少なくとも1つの物体の集約知覚を生じさせるためにCPメッセージ(Collective Perception)を生成するステップと、このCPメッセージを送信するステップとを含む。この場合、V2Xメッセージは、外部のV2X通信装置を同定するID情報と、外部のV2X通信装置のポジションを示すポジション情報とを含む。これに加えCPメッセージを生成するステップは、V2Xメッセージに基づき、外部のV2X通信装置が関係する物体が検出された物体と同じ物体であるか否か、を判定するステップを含む。ただしこのコンセプトは、種々のセンサのデータのマージは考慮されていない。
【0008】
協調周囲モデルを作成するためのこれまでに知られている他のアプローチがベースとしているのは、V2Xインタフェースを介して到来するデータを受信後ただちにセンサ機構からのデータとマージすることである。つまりこの場合、センサ機構により捕捉された物体のデータと、V2Xインタフェースを介して受信されたデータとの直接的なマッピングが行われる。かかるアプローチの場合には、これらのデータ間のマッピングを確立すべきときまたは解消すべきときに、そのフレキシビリティに関して制約がある。
【0009】
よって、種々のデータソースからの情報をマージするための改善されたコンセプトに対するニーズが生じている。
【0010】
このニーズは、本願の独立請求項および従属請求項により記載されたコンセプトによって満たすことができる。
【0011】
本発明の実施例が基礎とする着想とは、種々のデータソースからの、ある車両の周囲における同じ物体に関係する情報(物体情報)を、相互にマッピングすることなく情報データベースに格納し、これらの情報にそれぞれ属するメタ情報のマッピングに基づき、相互に結合することである。メタ情報を、情報データベースとは別個のデータベースに格納しておくことができる。
【0012】
かかる物体の例を、たとえば歩行者、自転車通行者または他の車両といったあらゆる交通関与体とすることができ、たとえば車両周囲におけるインフラストラクチャ物体または植え込みなど定置された物体とすることもできる。したがって上述の情報はたとえばポジション、加速度または大きさに関係し、これらはたとえばセンサ、および車両とは離れている送信機などのようなデータソースから供給される。
【0013】
マッピングは特に、車両周囲における同じ物体に関係している互いに冗長的な情報のマッピングに関係している。これらの情報のマッピングにより、互いにマッピングされた情報を結合することができ、またはフィルタリングし、それによって種々のデータソースの情報間の冗長性を削減することができる。結合されたまたはフィルタリングされた物体情報を、次いでいわゆる「協調」周囲モデルを描写するために使用することができる。
【0014】
メタ情報のマッピングを、新たに受信された物体情報に基づき絶えず更新することができる。情報データベースに記憶されている物体情報のマッピング/結合を解消し、新たに作成し直すことができる。このようにして協調周囲モデルを絶えず更新することができる。
【0015】
実施例によれば、種々のデータソースからの車両周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報をマージする方法が提供される。この方法は、車両に配置された少なくとも1つのセンサから周囲に関する第1の周囲情報を捕捉するステップと、この車両とは離れている送信機から周囲に関する少なくとも1つの第2の周囲情報を受信するステップとを含む。これに加えこの方法は、第1の周囲情報から少なくとも1つの第1の物体情報を、この第1の物体情報を参照する第1のメタ情報と共に求め、さらに第2の周囲情報から少なくとも1つの第2の物体情報を、この第2の物体情報を参照する第2のメタ情報と共に求めるステップを含む。さらにこの方法は、許容範囲を第1の物体情報と第2の物体情報との間の偏差と比較することに基づき、第1のメタ情報と第2のメタ情報とを互いにマッピングするステップを含む。
【0016】
第1の周囲情報および第2の周囲情報はたとえば、周囲に存在する物体のうち複数の物体に関する多数の情報を含む。本開示の文脈において物体を、たとえば歩行者または車両といった交通関与体とすることができ、また、車両周囲に存在するインフラストラクチャの物体とすることもできる。車両を特に、自動化されて制御される車両とすることができる。
【0017】
したがって第1の周囲情報および第2の周囲情報はたとえば、周囲に存在する他の車両のポジション、速度、大きさ、回転量(たとえば角速度および/または角加速度)および加速度を含む。
【0018】
少なくとも1つのセンサはたとえばライダセンサ、レーダセンサ、超音波センサまたはカメラである。第1の周囲情報に含まれている周囲に存在する物体/車両のポジション、速度、加速度および/または大きさは、たとえば1つまたは複数のいわゆる「点群」から生じ、これらはたとえば周囲を監視する際にライダセンサによって形成され、周囲を3次元で描写する。択一的にまたは付加的に第1の周囲情報を、カメラの1つまたは複数の記録から生じさせることができる。
【0019】
車両とは離れている送信機はたとえば、他の車両にまたは定置状態で組み込まれている送信機に相応する。第2の周囲情報を捕捉するために、送信機をセンサ機構または1つまたは複数の他の送信機と連結することができる。
【0020】
他の車両に組み込まれた送信機は、たとえば他の車両のセンサ機構と連結されている。
【0021】
送信機は、第2の周囲情報を1つまたは複数のメッセージとして車両に伝達することができる。かかるメッセージを、後で詳しく説明するように、いわゆる集約知覚(英語:collective perception,CP)メッセージおよび/または協調認識(英語:cooperative awareness,CA)メッセージとすることができる。第2の周囲情報は第1の周囲情報と同様に、周囲に存在する他の車両のポジション、速度、大きさおよび加速度を含むことができる。
【0022】
第1の物体情報および第2の物体情報が、第1の周囲情報もしくは第2の周囲情報に含まれているようにすることができ、たとえば物体のうち1つまたは複数の物体のポジション、速度、加速度および/または大きさを表すことができる。したがって第1の物体情報および第2の物体情報を求めるステップは、第1の周囲情報もしくは第2の周囲情報から第1の物体情報および第2の物体情報を選択するステップを含むことができる。
【0023】
これに加え第1の物体情報および第2の物体情報と結合された第1のメタ情報および第2のメタ情報も、同様に第1の周囲情報もしくは第2の周囲情報に含まれているようにすることができる。したがって第1のメタ情報および第2のメタ情報を求めるステップは、第1の周囲情報もしくは第2の周囲情報から第1の物体情報および第2の物体情報を選択するステップを含むことができる。
【0024】
メタ情報は参照子、指示子または「ポインタ」を含むことができ、これらは第1の物体情報もしくは第2の物体情報を参照する。指示子はたとえば、第1の物体情報もしくは第2の物体情報に関連づけられた車両識別記号(物体識別子)、タイムスタンプおよび/または帰属の物体情報を参照する参照記号を含む。
【0025】
許容範囲を第1の物体情報と第2の物体情報との間の偏差と比較することに基づき、第1のメタ情報と第2のメタ情報とをマッピングすることによって、たとえば同じ物体の冗長的な物体情報のメタ情報がまとめられる。第1のメタ情報と第2のメタ情報とが互いにマッピングされるのはたとえば、第1のメタ情報と結合された物体情報と第2のメタ情報と結合された物体情報との間の偏差が許容範囲以下である場合である。
【0026】
これとは逆に、これらの偏差が許容範囲よりも大きければ、第1のメタ情報と第2のメタ情報とのマッピングを拒否することができる。許容範囲よりも小さい偏差を有する物体情報が同じ物体に関係している、ということが妥当であるように、許容範囲を選定することができる。許容範囲はたとえば1メートルまたは0.5メートルである。
【0027】
ここで留意されたいのは、これまで2つの物体情報のメタ情報のマッピングだけを引き合いに出したけれども、これまで説明してきた方法によって、同じ物体に関係するもっと多くの物体情報をマッピングすることができる、ということである。
【0028】
冗長的な物体情報つまり同じ物体の物体情報をマージし、協調周囲モデルの作成または更新に必要とされる計算負荷を高めてしまう冗長性が少なくとも削減され、理想的には取り除かれるようにするために、互いにマッピングされたメタ情報を使用することができる。これによりたとえば、車両の自動化された制御のために全体として必要とされる計算負荷が低減される。
【0029】
物体情報およびメタ情報を、互いに別個のデータベースに格納することができる。メタ情報のマッピングを、データベース内のメタ情報の相応の分類または結合によって規定することができる一方、データベース内の物体情報を任意に分類しておくことができ、または互いに「分離された状態」にしておくことができる。
【0030】
したがって物体情報のマッピングを、いわばメタ情報のマッピングによるだけで規定することができ、物体情報のデータベース内でそれらを相応に分類または配列することによらずに規定することができる。
【0031】
このことに基づき、物体情報のマッピングを更新するために、物体情報を必ずしもそのデータベース内で新たにソートし直すまたは結合し直す必要がない。これによって、そのために必要とされる計算負荷を節約することができる。
【0032】
しかもそれゆえ、互いにマッピングされたメタ情報を介した物体情報のマッピングは、たとえば物体情報をデータベース内で相応に結合するなどにより物体情報を直接マッピングするよりも、効率的であるとすることができる。
【0033】
多くの実施例によれば、この方法は、第1のメタ情報と第2のメタ情報とのマッピングに基づき、第1の物体情報と第2の物体情報とをマージして第3の物体情報を形成するステップを含み、この場合、第3の物体情報は、第1の物体情報、第2の物体情報、または第1の物体情報と第2の物体情報との組み合わせを含む。
【0034】
第3の物体情報はたとえば、第1の物体情報、第2の物体情報、またはたとえば第1の物体情報と第2の物体情報との平均値に相応する。
【0035】
複数の物体情報を互いにマッピングする際、第3の物体情報はたとえばマージされた物体情報のリストを含む。
【0036】
したがって第3の物体情報は少なくとも、第1の物体情報および第2の物体情報の集合よりも僅かな冗長性しか含まず、このため第3の物体情報を引き続き処理する際に、第1の物体情報および第2の物体情報の集合より僅かな計算コストしか必要としない。
【0037】
多くの実施例によれば、この方法は車両において実施され、第2の周囲情報は交通関与体間で通信されるメッセージを介して受信される。
【0038】
この方法はたとえば、車両に組み込まれたコントロールモジュールによって実施される。メッセージはたとえばCAメッセージである。
【0039】
この方法を車両において実施することによって、この方法を車両の外部で、たとえば車両とは離れたプロセッサによって実施した場合よりも、センサデータの待ち時間を短くすることができる。
【0040】
多くの実施例によれば、第1のメタ情報と第2のメタ情報とを互いにマッピングするステップは、第1の物体情報と第2の物体情報とを1つの共通の時点に写像するステップと、許容範囲を、共通の時点における第1の物体情報の写像と第2の物体情報の写像との間の偏差と比較することに基づき、第1のメタ情報と第2のメタ情報とを互いにマッピングするステップとを含む。
【0041】
第1の物体情報と第2の物体情報とを共通の時点に写像するために、第1の物体情報もしくは第2の物体情報に基づき内挿または外挿を実施することができる。
【0042】
第1の物体情報および第2の物体情報の個々の写像の信頼性を高めるために特に、第1の物体情報および第2の物体情報と同じ物体に割り当てられている以前に求められた1つまたは複数の物体情報を、内挿または外挿の際に考慮することができる。補間にあたりたとえば、周囲に存在し第1の物体情報が関係する車両の、時間的に先行して測定されたポジションが、共通の時点に第1の物体情報を写像するために内挿または外挿に取り入れられる。同様のことを、共通の時点に第2の物体情報を写像する際に行うことができる。
【0043】
内挿または外挿の際に特に、第1の物体情報および第2の物体情報の測定時点、いわゆる「タイムスタンプ」、を併せて取り入れることができる。一般に共通の時点を、第1の物体情報および第2の物体情報のうち一方の物体情報に割り当てられたタイムスタンプ、またはこのタイムスタンプの前または後の時点に相応するものとすることができる。したがって第1の物体情報をたとえば第2の物体情報のタイムスタンプに写像することができ、またはその逆も可能である。
【0044】
第1の物体情報と第2の物体情報とを共通の時点に写像するということを、第1の物体情報と第2の物体情報との同期合わせと捉えることもできる。第1の物体情報および第2の物体情報のタイムスタンプよりも後の時点に写像することを、「予測」と称することができる。
【0045】
特に、第1の物体情報および第2の物体情報がそれぞれ異なる測定時点に関係していると、もしくはそれぞれ異なるタイムスタンプに割り当てられていると、第1の物体情報と第2の物体情報との有効なマッピングのためにそれらを十分に比較することができない可能性がある。前述の同期合わせによって、第1の物体情報と第2の物体情報との有効なマッピングのために、比較可能な値すなわち第1の物体情報および第2の物体情報の写像を作り出すことができる。
【0046】
多くの実施例によれば、第1の物体情報と第2の物体情報とを共通の時点に写像するステップは、第1の物体情報に割り当てられた第1のタイムスタンプの、かつ/または第2の物体情報に割り当てられた第2のタイムスタンプの、第1の物体情報および/または第2の物体情報に基づき、カルマンフィルタリングを行うステップを含む。
【0047】
第1の物体情報および/または第2の物体情報および/またはそれらのタイムスタンプに基づくカルマンフィルタリングとは、本開示の文脈では、第1の物体情報および/または第2の物体情報ならびにそれらのタイムスタンプにカルマンフィルタを適用する、ということを表す。特にカルマンフィルタリングの場合には、やはり以前に求められた物体情報を併せて取り入れることができる。
【0048】
相応のタイムスタンプはたとえば、物体情報の帰属のメタ情報に含まれている。
【0049】
自明のとおり、明細書または特許請求の範囲に開示されている複数のステップ、プロセス、オペレーションまたは機能の開示は、明示的にまたは暗黙的にたとえば技術的理由などから特段の記載がないかぎりは、特定の順序で存在するものとして解釈されるべきではない。したがってそれらは、複数のステップまたは機能の開示によって、たとえそれらのステップまたは機能が技術的理由で交換可能ではないにしても、特定の順序に限定されるものではない。さらにいくつかの実施例の場合、個々のステップ、機能、プロセスまたはオペレーションは、複数のサブステップ、サブ機能、サブプロセス、またはサブオペレーションを含むことができ、かつ/またはそれらに分けることができる。明示的に排除されていないかぎり、かかるサブステップを含めることができ、これをこの個別ステップの開示の一部とすることができる。
【0050】
さらに実施例を、プログラムコードを含むコンピュータプログラムとすることができ、またはコンピュータプログラムに関するものとすることができ、このコンピュータプログラムは、これがコンピュータまたはプロセッサにおいて実行されると、上述の方法のうちの1つまたは複数を実施する。上述の様々な方法のステップ、オペレーションまたはプロセスを、プログラミングされたコンピュータまたはプロセッサによって実行することができる。実施例はプログラム記憶装置、たとえばディジタルデータ記憶媒体、もカバーすることができ、それらの記憶媒体は機械可読、プロセッサ可読またはコンピュータ可読であり、機械により実行可能な、プロセッサにより実行可能な、またはコンピュータにより実行可能な、複数の命令から成るプログラムをコーディングしている。これらの命令は、上述の方法のうちのいくつかまたはすべてのステップを実行し、またはそれらの実行を生じさせる。プログラム記憶装置はたとえば、ディジタル記憶装置、たとえば磁気ディスクおよび磁気テープといった磁気記憶媒体、ハードディスクドライブ、または光学的に読み取り可能なディジタルデータ記憶媒体を含むことができ、またはそのようなものとすることができる。さらに別の実施例は、上述の方法のステップを実行するようにプログラミングされたコンピュータ、プロセッサまたは制御ユニットをカバーすることもでき、あるいは上述の方法のステップを実施するようにプログラミングされた(フィールド)プログラマブルロジックアレイ((F)PLA=(Field)Programmable Logic Array)または(フィールド)プログラマブルゲートアレイ((F)PGA=(Field)Programmable Gate Array)をカバーすることもできる。
【0051】
本発明の実施例は、種々のデータソースからの車両周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報をマージする装置に関する。この装置は、車両に配置されたセンサおよび車両とは離れた送信機と通信する1つまたは複数のインタフェースと、上述の方法のうち1つの方法を実施するコントロールモジュールとを含む。
【0052】
この装置の1つまたは複数のインタフェースを、実施例によればコントロールモジュールの接点として構成することができる。実施例によれば、インタフェースを別個のハードウェアとして構成することもできる。インタフェースは、第1の物体情報および/または第2の物体情報を少なくとも一時的に記憶するメモリを含むことができる。1つまたは複数のインタフェースを、電気的な信号を受信するように形成することができ、たとえばバスインタフェースとして形成することができ、または光学インタフェースとして形成することができる。しかも実施例によれば、インタフェースを無線伝送のために形成することができ、インタフェースは無線フロントエンドおよび帰属のアンテナを含むことができる。さらに少なくとも1つのインタフェースは、たとえばCANバス(CAN:=Controller Area Network)のために、個々の伝送媒体との同期合わせのための同期メカニズムを含むことができる。実施例によれば、1つまたは複数のインタフェースを、車両および/または他の車両または実体においてたとえばネットワークを介して通信するように形成することができる。
【0053】
実施例によればコントロールモジュールを、本明細書で説明する方法を実施するように形成されたハードウェアとすることができる。コントロールモジュールを、ディジタル信号プロセッサコア(DSP)または他のプロセッサのような任意のプロセッサコアとすることができる。その際に実施例は、特定のタイプのプロセッサコアに限定されるものではない。コントロールモジュールを実装するために、任意のプロセッサコアを考えることができ、あるいは複数のプロセッサコアまたはマイクロコントローラも考えることができる。他の装置と共に組み込まれた形態での実装も考えられ、たとえば、付加的にさらに1つまたは複数の他の機能を含む車両用の制御ユニット内に組み込まれた形態での実装も考えられる。実施例によればコントロールモジュールを、プロセッサコア、コンピュータプロセッサコア(CPU=Central Processing Unit)、グラフィックスプロセッサコア(GPU=Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC=Application-Specific Integrated Circuit)、集積回路(IC=Integrated Circuit)、ワンチップシステムコア(SOC=システムオンチップ)、プログラマブルロジックエレメント、またはマイクロプロセッサを備えたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA=Field Programmable Gate Array)により、1つまたは複数の上述の構成要素のコアとして実現することができる。よって、コントロールモジュールを、許容範囲と複数の物体情報間の偏差との比較に基づき、種々のデータソースの物体情報を互いにマッピングすることができる、あらゆるコンポーネントに相応するものとすることができる。
【0054】
以下では、図面に描かれた実施例に基づきさらなる有利な実施例についていっそう詳しく説明する。ただし実施例が全般的にこれらの実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】種々のデータソースからの車両周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報をマージする方法について概略的に示す工程図である。
図2】この方法を実施する装置について概略的に示すブロック図である。
図3】この方法の1つの実施例について概略的に示すブロック図である。
図4a】この方法のさらに別の実施例における種々のデータソースからの周囲情報および物体情報の記憶について概略的に示すブロック図である。
図4b】複数の物体情報をマッピングするプロセスについて概略的に示す図である。
図4c】マッピングされた複数の物体情報をマージするプロセスについて概略的に示す図である。
【0056】
次に種々の実施例について、いくつかの実施例が描かれている添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。この場合、任意選択的な特徴または構成要素は破線で表されている。
【0057】
実施例を様々な手法で変形および変更することができるけれども、図面には例示としていくつかの実施例が描かれており、それらについてここで詳しく説明する。ただしここで明らかにしておきたいのは、実施例がそれぞれ開示された形態に限定されることは意図されておらず、そうではなく実施例はむしろすべての機能的および/または構造的な変形、等価物および代替案をカバーするものであり、それらは本発明の範囲内にある、ということである。
【0058】
ここで留意されたいのは、他の要素と「接続されている」または「連結されている」と称される要素を、他の要素とじかに接続するまたは連結することができ、あるいはそれらの間に位置する要素が設けられていてもよい、ということである。これに対しある要素が他の要素と「じかに接続されている」または「じかに連結されている」と称されるならば、それらの間に位置する要素は設けられていない。複数の要素同士の関係を説明するために用いられる他の用語も、同じように解釈されるものとする(たとえば「の間に」と「の間にじかに」、「に接して」と「じかに接して」など)。
【0059】
本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施例を説明するために用いられるにすぎず、実施例を限定しようというものではない。本明細書で用いられるように、単数形の冠詞および定冠詞は、文脈が明らかに異なることを示していないかぎりは、複数形も含むものとする。さらに明らかにしておきたいのは、本明細書で用いられているような、たとえば「含有する」、「含有している」、「有する」、「含む」、「含んでいる」および/または「有している」といった表現は、挙げられた特徴、整数、ステップ、動作工程、要素および/またはコンポーネントの存在を示すものであるが、1つもしくは複数の特徴、整数、ステップ、動作工程、要素、コンポーネントおよび/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない、ということである。
【0060】
ブロック図はたとえば、本開示の原理を実装する大雑把な回路図を表すことができる。同様にフローチャート、工程図、状態遷移図、擬似コード等は、たとえば実質的にコンピュータ可読媒体を表現することができ、したがってコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、かかるコンピュータまたはプロセッサにより実施される種々のプロセス、オペレーションまたはステップを表すことができる。明細書または特許請求の範囲に開示されている方法を、この方法の個々のステップの各々を実施する手段を有する構成要素によって実装することができる。
【0061】
図1には、種々のデータソースからの車両周囲における1つまたは複数の物体に関する物体情報をマージする方法100について概略的に表す工程図が示されている。
【0062】
方法100は、車両に配置された少なくとも1つのセンサから周囲に関する第1の周囲情報を捕捉するステップ110と、この車両とは離れている送信機から周囲に関する少なくとも1つの第2の周囲情報を受信するステップ120とを含む。これに加え方法100は、第1の周囲情報から少なくとも1つの第1の物体情報を、この第1の物体情報を参照する第1のメタ情報と共に求め、さらに第2の周囲情報から少なくとも1つの第2の物体情報を、この第2の物体情報を参照する第2のメタ情報と共に求めるステップ130を含む。さらにこれらに加え方法100には、許容範囲を第1の物体情報と第2の物体情報との間の偏差と比較することに基づき、第1のメタ情報と第2のメタ情報とを互いにマッピングするステップが設けられている。
【0063】
したがって公知の方法とは異なり、種々のデータソースからの複数の物体情報のマッピングが、たとえば周囲情報の受信直後に行われるのではなく、メタ情報のマッピングを経て行われる。
【0064】
メタ情報のマッピングに基づき、相前後して測定された第1の物体情報と第2の物体情報とのマッピングを(絶えず)更新するために、方法100を繰り返し実施することができる。
【0065】
方法100を、たとえば車両200内に組み込まれた図2に示されているような装置210によって実施することができる。装置210は、1つまたは複数のインタフェース214および1つのコントロールモジュール212を含む。1つまたは複数のインタフェース214はたとえば、第1の周囲情報を捕捉するステップ110のために、センサ(図示せず)に対する少なくとも1つのインタフェースを含む。さらに1つまたは複数のインタフェース214は、第2の周囲情報を受信するステップ120のために、送信機(図示せず)に対する少なくとも1つのインタフェースを含む。
【0066】
コントロールモジュール212は、第1の周囲情報もしくは第2の周囲情報から第1の物体情報および第2の物体情報を求めるステップ130のために、たとえばプロセッサまたはコンピュータを含む。しかもコントロールモジュール212は、第1の物体情報と第2の物体情報とをマッピングするステップ140のために形成されている。
【0067】
したがって種々のデータソースは、車両200のセンサと、車両200とは離れている少なくとも1つの送信機とを含み、この送信機はたとえば他の交通関与体との通信のために用いられる。かくしてこれまで述べてきたようにして、他の交通関与体と「協調して」、いわゆる「協調周囲モデル」を作成することができる。
【0068】
図3には、方法100の1つの実施例が概略的に示されている。第1の周囲情報および第2の周囲情報は協調周囲モデルのための入力データを成しており、これらの周囲情報を、周囲に存在する複数の物体に対する物体情報を含む物体リストと見なすことができる。これらは本明細書で例示的に説明する実施例では、3つの異なるデータソースから到来する。
【0069】
図示されている実施例の場合、第1の周囲情報は、車両に組み込まれたセンサのセンサデータから生成される「ローカル車両周囲モデル」310を含み、第2の周囲情報は、集約知覚メッセージ330(英語:collective perception message,CPM)と、協調認識メッセージ320(英語:cooperative awareness message,CAM)とを含む。
【0070】
CAM320は、たとえば周囲に存在する別の車両から送信されたメッセージであり、このメッセージは、この別の車両により検出された危険状況(たとえば間近に迫った渋滞または故障中のさらに別の車両)に関する情報を含む。CPM330はたとえば、定置状態で組み込まれている送信機から、または他の車両から送信されたメッセージであり、このメッセージは、送信機または別の車両と接続されたセンサ機構のセンサデータに基づく情報を含む。
【0071】
入力データは、受信時に協調周囲モデルのメモリ(図示せず)に(変更されず、分類されず、結合されずに)格納される。ローカル車両周囲モデル310から受信されたデータは、先行して受信されたこのソースのデータを上書きする。すでに捕捉された物体に対する以前に受信されたメッセージ(CAMおよびCPM)からの物体情報は、CAM320およびCPM330の物体情報によって更新される。以前に捕捉されていなかった物体に対するCAM320およびCPM330の物体情報は、新たなメモリに格納される。
【0072】
ローカル車両周囲モデル310は第1の物体情報31を含む。CAM320およびCPM330は、第2の物体情報32および33のうちそれぞれ1つの物体情報を含む。第1の物体情報および第2の物体情報31、32および33はたとえば、周囲に存在する物体の検出された車両ポジションをそれぞれ表す。車両ポジション31、32および33を、基本的に同一の物体または異なる物体(車両、障害物または人)に関係するものとすることができる。
【0073】
車両ポジション31には第1のメタ情報31pをマッピングすることができ、車両ポジション32および33には第2のメタ情報32pもしくは33pをマッピングすることができ、これらを車両ポジション31、32および33とは別個に、いわゆる「マッピングデータベース」(“Mapping Database”)に記憶することができる。すでに捕捉された物体に対しマッピングデータベース内に格納されているメタ情報を更新することができ、新たに捕捉された物体に対するメタ情報をマッピングデータベースに追加することができる。
【0074】
メタ情報31p、32pおよび33pを、参照子、指示子または「ポインタ」と捉えることができ、これは車両ポジション31、32および33を参照し、たとえば車両ポジション31、32および33に関連づけられた車両識別記号、タイムスタンプおよび/または参照記号を含む。タイムスタンプは、車両ポジション31、32および33を測定した時点を表すことができる。車両識別記号はたとえば、周囲に存在し車両ポジション31、32および33が割り当てられている車両について一義的な符号である。「いっそう古い」メタ情報をたとえば、同じ識別記号の「いっそう最近の/いっそう新しい」メタ情報によって更新することができる。
【0075】
センサと送信機とが車両識別記号を互いに無関係に規定することから、車両ポジション31、32および33が同一の車両に関係していても、車両ポジション31、32および33に割り当てられている車両識別記号がそれぞれ異なる可能性がある。参照記号はたとえば、対応する車両ポジション31、32または33を参照する。
【0076】
これに続くステップ34は、車両ポジション31、32および33とそれぞれ帰属のタイムスタンプとに基づき内挿または外挿することによって、車両ポジション31、32および33を1つの共通の時点に写像するステップを含む。
【0077】
さらなるステップ35において、比較アルゴリズム(「マッチング」)を用いて、それぞれ異なるデータソースのいずれの物体を同じ実際の物体にマッピングすることができるのか、がチェックされる。ステップ35において、比較に基づき、共通の時点に写像された車両ポジション31、32および33の偏差が生じる可能性がある。偏差が許容範囲内であれば、共通の時点に写像された車両ポジションのメタ情報(共通の時点への車両ポジションの写像)を互いにマッピングすることができる。このケースでは許容範囲をたとえば、各車両ポジションの写像間の距離に対し予め定められた値の範囲と見なすことができる。本実施例の場合にはたとえば、メタ情報31pと33pとが互いにマッピングされる。本実施例ではメタ情報32pの場合のように、偏差が許容範囲外であれば、考察された車両ポジションの写像と結び付けられたメタ情報間のマッピングが除外される。
【0078】
メタ情報31pと33pとのマッピングに基づき、帰属の車両ポジション31と33とを互いにマッピングすることができ、これに続くステップ36において第3の物体情報38としてマージすることができる。第3の物体情報38を、たとえば車両ポジション31および33から平均化された車両ポジション31および33のような組み合わせに、または車両ポジション31および33のうち一方の車両ポジション自体に、相応するものとすることができる。
【0079】
本明細書で説明される手法で、同じ/同一の車両の物体情報(ここでは車両ポジションなど)を互いにマッピングしてマージするために、0.5メートル未満の距離を有する車両ポジションの写像が互いにマッピングされるように、許容範囲を選定することができる。このようにすることで、この許容範囲内の偏差を有する車両ポジションが同じ車両に割り当てられている、とするのが妥当となる。適用事例に応じて、この距離をもっと大きくまたはもっと小さく選定することができる。
【0080】
本実施例の場合、車両ポジション31と33とは同じ車両に関係しており、したがって「冗長的」と見なすことができる。
【0081】
たとえば平均化された車両ポジション38は、このケースでは車両ポジション32と共に共通のリスト39内に出力される。一般に、マージされた物体情報(たとえば第3の物体情報38など)と、他の物体情報にマッピングされなかったさらに別の物体情報とから、リスト39を形成することができる。本明細書で説明する方法を繰り返し実施する場合には特に、以前に形成されたリストをマージされた物体情報を用いて更新することによって、リスト39を形成することができる。
【0082】
(冗長的な)車両ポジション31と33とをマージすることによって、共通のリスト39は、ローカル車両周囲モデル310、CAM320および/またはCPM330の間に存在するよりも僅かな冗長性しか有していない。
【0083】
次いでリスト39を、協調周囲モデルを作成または更新する目的で、ひいては車両の自動化された制御に、利用することができる。協調周囲モデルの更新または作成のためにリスト39をデータ処理する際にそのために必要とされる計算コストを、ローカル車両周囲モデル310とCAM320とCPM330とを別個にデータ処理する場合よりも、冗長性が削減されたことから小さくすることができる。
【0084】
車両ポジション31、32および33を予め保持しておくことにより、更新された協調周囲モデルを作成するために場合によっては後でメタ情報を新たにマッピングすることが望まれる場合に、それらに再度アクセスすることができる。
【0085】
当業者には自明のとおり、上述の方法100を当業者に知られている相応の整合を行うことで、他の種類の第1の物体情報および第2の物体情報に適用することができる。他の種類の物体情報の例として、周囲に存在する車両/人/障害物の大きさ、形状、速度、加速度、またはその他の運動パラメータを挙げることができる。
【0086】
図4a~図4cには、方法100のさらに別の実施例が示されている。
【0087】
図4aの場合、センサデータから導出されるローカル車両周囲モデル310は、第1の物体情報を含む。図示されている実施例によればこれらは、周囲に存在する第1の車両および第2の車両の測定された車両ポジション312および314である。
【0088】
CAM320およびCPM330は第2の物体情報を含む。図示されている実施例によれば、CAM320は第1の車両のさらに別の測定された車両ポジション322を含み、CPM330は第2の車両のさらに別の測定された車両ポジション334を含む。
【0089】
図4aから見て取れるように、測定された車両ポジション312、314、322および334は、物体データベース340の別個のリスト341、342もしくは343に記憶される。ローカル車両周囲モデル310の物体情報(すなわち特に車両ポジション312および314)はたとえば、リスト341内に記憶されているいっそう古い物体情報を置き換える。CAM320およびCPM330の物体情報、つまり特に車両ポジション322および334は、以前のCAMまたはCPMのいっそう古い物体情報323および335をすでに含む個々のリスト342および343に追加される。
【0090】
データ管理(“Housekeeping”)のための物体データベースの機能350は、リスト342および343内に格納されている以前に受信されたCAMもしくはCPMの物体情報/車両ポジションをより分けて抜き出すことができる。この目的で、車両ポジションに所定の有効期間を割り当てることができる。車両ポジションが更新されることなくリスト342および343に格納されていた時間が有効期間を超えたならば、いっそう新しい物体情報のためにメモリスペースを開放する目的で、機能350は対応する物体情報をより分けて抜き出すことができる。特にこのことによってたとえば、できるかぎり誤検出を阻止する目的で、センサによってもはや知覚されない物体の物体情報が破棄される。
【0091】
車両ポジション312、314、322、323、334および335にそれぞれマッピングされたメタ情報312p、314p、322p、323p、334pおよび335pは、マッピングデータベース360内において対応するメタ情報リスト341p、342pおよび343pに記憶される。既述の実施例についてすでに説明したように、メタ情報312p、314p、322p、323p、334pおよび335pは、それぞれ識別記号(“ID”)、タイムスタンプ(“タイムスタンプ”)および参照記号(“Ref”)を含む。タイムスタンプは、車両ポジション312、314、322、323、334および335が測定された時点、および/またはメタ情報312p、314p、322p、323p、334pおよび335pがマッピングデータベース360に格納された時点を表す。CPM330に属するメタ情報のリスト343pは、同じ物体に関係するメタ情報334pの複数のエントリを含み、それというのもCPM330はたとえば、複数の車両の車両周囲モデルまたは周囲測定に基づくからである。
【0092】
識別記号は、メタ情報と物体または車両との結合を表す。したがって同一の物体/車両に属する同じデータソースのメタ情報は、たとえば同じ識別記号を有する。識別記号を考慮することで、方法100が繰り返し実施される場合には特に、マッピングデータベース360に先行して記憶されていた同じデータソース(たとえばCAMまたはCPM)のメタ情報を、同一の物体/車両の更新されたメタ情報によって置き換えることができる。他のメタ情報により更新または追認されることなくその有効期間よりも長くマッピングデータベース360内に記憶されているメタ情報を、メモリスペースを開放する目的で、より分けて抜き出すことができる。
【0093】
メタ情報341pと342pとの対比362の例に示されているように、メタ情報312p、314p、322pおよび323pは当初は互いにマッピングされておらず、相互に結合されておらず、または相応に分類されていない。
【0094】
一般に車両ポジション312、314、322、323、334および335は、それぞれ異なる時点に測定/算出されたものである可能性がある。したがってこれらに属するメタ情報に含まれるタイムスタンプは、それぞれ異なる可能性がある。
【0095】
図4bに描かれているように、複数の車両ポジションを1つの共通の時点に写像することができる。図4bにはこのことが、例示的に車両ポジション312および322について描かれている。
【0096】
図4bの1番目のダイアグラム371には、車両ポジション312に属するタイムスタンプ312tと、車両ポジション322に属するタイムスタンプ322tとが、時間軸371上に書き込まれている。このダイアグラムから見て取れるように、車両ポジション312の測定時間と車両ポジション322の測定時間とは異なる。
【0097】
車両ポジション312および322が同じ車両に関連づけられているか否かを判定できるようにする目的で、車両ポジション312および322を、ダイアグラム371に概略的に描かれているように、タイムスタンプ312tおよび322tよりも時間的に後の1つの共通の(将来の)時点に写像することができる。よって、かかる写像を「予想」または「予測」と捉えることができる。
【0098】
このようにして形成された写像312aおよび322aは、個々の車両ポジション312および322のメタデータをマッピングする次のプロセスを示すために、2番目のダイアグラム372において位置座標372xおよび372yに描かれている。
【0099】
写像312aおよび322aを、車両ポジション312および322ならびにそれらに属するタイムスタンプ312tおよび322tに基づき、外挿によって形成することができる。外挿のためにカルマンフィルタを使用することができ、このフィルタは、入力量として車両ポジション312および322、タイムスタンプ312tおよび322t、ならびにたとえば車両ポジションに割り当てられた速度、加速度および/または以前に測定された車両ポジションに基づき、写像312aおよび322aを形成することができる。
【0100】
上述の外挿を、相応の比較アルゴリズムを実施しながら、いわゆる予測モジュールにおいて実行することができる。
【0101】
当業者であれば明らかであるように、車両ポジション312および322を共通の時点302tに写像するために、カルマンフィルタのほかにもさらに別の外挿方法または内挿方法が考慮の対象となる。
【0102】
ダイアグラム372に概略的に描かれているように、車両ポジション312と322とを同じ車両に割り当てることができ、したがってこれらが冗長的であるのか否かを判定する目的で、車両ポジション312および322の写像312aおよび322aの偏差を利用することができる。写像312aおよび322aの偏差が許容範囲内にあるか否かをチェックする目的で、車両ポジションの写像312aおよび322aが、車両ポジションのそれぞれ他方の写像312aおよび322aを中心とした半径312rもしくは322rを有する許容範囲内にそれぞれ位置しているか否か、を求めることができる。
【0103】
図示されている実施例の場合、写像312aおよび322aはたとえば許容範囲内に位置している。この理由から、写像312aおよび322aは周囲における同じ(第1の)車両に関係している、とするのが妥当となる。かくして図4cに示されているように、メタ情報312pと322pとを、つまりは互いにマッピングされたメタ情報312pおよび322pと結合された、ローカル車両周囲モデル310およびCAM320の、もしくは物体データベース340のリスト341および342の車両ポジション312および322を、互いにマッピングすることができる。
【0104】
同様に、残りの車両ポジションにおいて冗長性に対するチェックを進めることができる。これによってたとえば、メタ情報314pと334pとを、ならびにこれらに属する車両ポジション314と334とを、同一の(第2の)車両に、したがって互いに、マッピングすることができる。
【0105】
方法100を繰り返し実施する場合には、カルマンフィルタによって増分的な、つまりは段階的に継続する車両ポジションの追跡を、種々のデータソース(ローカル車両周囲モデル310、CAM320およびCPM330)および相互間のそれらの偏差から、実現することができる。このようにすれば、その際に決定されたマッピングを連続的にチェックし、必要に応じて更新することができる。他の外挿方法とは異なり、カルマンフィルタによって有利な平滑化を達成することができる。たとえばカルマンフィルタによって、相前後して求められた車両ポジションの写像の推移の平滑化を達成することができ、ひいては追跡の信頼度を高めることができる。
【0106】
メタ情報312pと322pとのマッピングおよびメタ情報314pと334pとのマッピングが、図4cの対比362に示されている。
【0107】
図4cにさらに示されているように、互いにマッピングされた車両ポジション312と322および314と334とに基づき、第3の物体情報382もしくは384を形成することができ、この物体情報は、車両ポジション312と322もしくは314と334とが組み合わせられた値、または車両ポジション312および322もしくは314および334のうちの個々の車両ポジションに対応する。このために対応する車両ポジション312、322、314および/または334が、いわばリスト341、342および/または343から「抽出され」、場合によっては組み合わせられ、または出力リスト380に挿入される。第3の物体情報382および384は、測定された他の車両ポジションにマッピングできなかった車両ポジション323および335と共に、出力リスト380に供給されて記憶される。
【0108】
多くのケースにおいて、方法100のこれまでの実行により以前に求められたメタ情報のマッピングを、更新された/最後に求められた車両ポジション312、322、314および334のマッピングを考慮することで、再び解消または追認することができる。帰属のメタ情報のマッピングに基づく車両ポジション312、322、314および334のマッピングの更新(解消または追認)は、「直接的な」結合またはマッピングよりも効率的なものであるとすることができる。
【0109】
したがって方法100が繰り返し実施される場合には特に、車両ポジションの更新されたマッピングに基づき以前に求められた出力リストを更新することによって、出力リスト380を求めることができる。
【0110】
たとえば車両ポジション312と322または314と334との間におけるような冗長性は、それらのマッピングによって出力リスト380にはもはや含まれておらず、あるいは少なくとも、ローカル車両周囲モデル310、CAM320およびCPMから成る車両ポジションの集合よりも削減されており、したがって出力リスト380を処理する際に計算負荷が不所望に高まる原因にはもはやならない。このことは、自動化されて制御される車両200の車両特性およびリアクション時間に好影響を及ぼすことができる。
【符号の説明】
【0111】
31 物体情報/車両ポジション
31p メタ情報
32 物体情報/車両ポジション
32p メタ情報
33 物体情報/車両ポジション
33p メタ情報
34 ステップ
35 ステップ
36 ステップ
38 第3の物体情報
39 リスト
100 物体情報をマージする方法
110 第1の周囲情報を捕捉するステップ
120 少なくとも1つの第2の周囲情報を受信するステップ
130 第1の物体情報および第2の物体情報を求めるステップ
140 第1の物体情報と第2の物体情報とを互いにマッピングするステップ
200 車両
210 物体情報をマージする装置
212 コントロールモジュール
214 1つまたは複数のインタフェース
302t 共通の時点
310 ローカル車両周囲モデル
312 第1の物体情報/車両ポジション
312a 車両ポジションの写像
312p メタ情報
312r 半径
312t タイムスタンプ
314 第1の物体情報/車両ポジション
314p メタ情報
320 協調認識メッセージ/CAM
322 第2の物体情報/車両ポジション
322a 車両ポジションの写像
322p メタ情報
322r 半径
322t タイムスタンプ
323 第2の物体情報/車両ポジション
323p メタ情報
330 集約知覚メッセージ/CPM
334 第2の物体情報/車両ポジション
334p メタ情報
335 第2の物体情報/車両ポジション
340 物体データベース
341 リスト
341p メタ情報リスト
342 リスト
342p メタ情報リスト
343 リスト
343p メタ情報リスト
360 マッピングデータベース
362 対比
371 ダイアグラム
371t 時間軸
372 ダイアグラム
372x 位置座標
372y 位置座標
380 出力リスト
382 第3の物体情報
384 第3の物体情報
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c