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特許7150942食物感受性試験に基づいて食物勧告を提供するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】食物感受性試験に基づいて食物勧告を提供するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20221003BHJP
【FI】
G16H10/60
【請求項の数】 28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021102597
(22)【出願日】2021-06-21
(62)【分割の表示】P 2018503473の分割
【原出願日】2016-07-22
(65)【公開番号】P2021168154
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】62/195,663
(32)【優先日】2015-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517167236
【氏名又は名称】バイオメリカ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOMERICA, INC.
【住所又は居所原語表記】17571 VON KARMAN AVENUE, IRVINE, CALIFORNIA 92614, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】イラニ-コーエン ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】ラダーマン エリザベス
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-170302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085345(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械に通信可能に結合され、食料品内の食品成分に対する有害反応から患者を守るためのシステムであって、
プログラム命令を記憶するメモリと、
プロセッサであって、
医療データから、前記患者が前記食品成分にさらされたときに有害反応を示す前記患者の確率を表す第1の信頼レベルデータを得ることと、
前記食品成分が前記食料品に存在する確率を表す第2の信頼レベルデータを得ることであって、前記食品成分が前記食料品に存在する確率は100%未満である、ことと、
前記第1及び第2の信頼レベルデータに基づいて、前記患者が前記食料品を消費するための安全レベルを生成することであって、前記プロセッサが前記第1及び第2の信頼レベルが高いと決定したときに該安全レベルは低いと決定され、前記食品成分にさらされるときに有害反応を示す前記患者の確率が高いときに前記第1の信頼レベルは高く、前記食品成分が前記食料品に存在する確率が高いときに前記第2の信頼レベルは高い、ことと、
前記機械に、前記生成した安全レベルと閾値レベルとの比較に従って前記食料品に関連する動作を自動的に行わせることと、
を前記プロセッサに行わせる前記プログラム命令を実行するように前記メモリと動作可能なように結合されたプロセッサと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記プログラムは、基準値を有する食物調製物を使用する疾病に対する前記患者の試験から第1の信頼レベルデータを得ることを前記プロセッサに更に実行させ、
前記基準値は、同じ疾病を有すると診断されていない又は疑われていない個人に対して<0.15の平均判別p値を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プログラムは、前記患者と同じ疾病であると診断された個人のグループデータから第1の信頼レベルデータを得ることを前記プロセッサに更に実行させ、
前記グループデータは、同じ疾病を有すると診断されていない又は疑われていない個人に対して<0.15の平均判別p値を有する食物調製物の基準値を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プログラムは、同じ疾病であると診断されたグループ体験データから第1の信頼レベルデータを得ることを前記プロセッサに更に実行させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プログラムは、前記患者の体験履歴から前記第1の信頼レベルを得ることを前記プロセッサに更に実行させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記グループデータは、前記食物調製物に関連付けられた複数の感受性評定を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記プログラムは、
前記グループデータのパターンを識別することと、
前記パターンを前記食品成分に対して有害反応を有する前記患者の確率と相関させることと、
前記グループデータのパターンに基づいて前記第1の信頼レベルを自動的に更新することと、
を前記プロセッサに更に実行させる、
請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記プログラムは、
食料品を表すセンサデータをセンサデバイスから取得することと、
前記センサデータに基づいて、前記食料品に存在する前記食品成分の確率を示す第2の信頼レベルデータを含む食品成分情報を得ることと、
を前記プロセッサに更に実行させる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プログラムは、前記食料品に対して有害反応を有する個人の体験履歴を含むグループデータから食品成分の前記第2の信頼レベルデータを得ることを前記プロセッサに更に実行させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プログラムは、
前記グループデータのパターンを識別することと、
前記パターンを前記食料品に存在する前記食品成分の確率と相関させることと、
前記グループデータのパターンに基づいて前記第2の信頼レベルを自動的に更新することと、
を前記プロセッサに更に実行させる、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記プログラムは、更に、前記プロセッサが前記第1の信頼レベル又は前記第2の信頼レベルのうちの少なくとも一方が低いと決定したときに前記プロセッサに前記安全レベルを高いと決定させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記機械は、自動販売機であり、前記プログラムは、更に、前記プロセッサが前記安全レベルを低いと決定したときに前記プロセッサに前記自動販売機が前記食料品を販売しないようにさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記機械は、セルフ精算キオスクであり、前記プログラムは、更に、前記プロセッサが前記安全レベルを低いと決定したときに前記プロセッサに前記セルフ精算キオスクが前記食料品を精算しないようにさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記機械は、セルフ注文機械であり、前記プログラムは、更に、前記プロセッサが前記安全レベルを低いと決定したときに前記プロセッサに前記セルフ注文機械が前記食料品の注文を処理しないようにさせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記機械は、スマートフォン又はスマートウォッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記プログラムは、更に、前記プロセッサが前記安全レベルを低いと決定したときに前記プロセッサに前記機械が前記食料品に対する有害反応のリスクに関連する通知及び/又は前記食料品を消費しない食物勧告を表示するようにさせる、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記機械は、タブレット又はコンピュータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記プログラムは、更に、前記プロセッサが前記安全レベルを低いと決定したときに前記プロセッサに前記機械が前記食料品に対する有害反応のリスクに関連する通知及び/又は前記食料品を消費しない食物勧告を表示するようにさせる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記動作は、アクセスを制限すること、有害反応のリスクに関連する通知を表示すること、又は消費しない食物勧告を表示することの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の信頼レベルデータを得ることは、化学感覚を前記食料品に適用することから化学感覚データを受け取ることと、前記化学感覚データに基づいて前記食品成分を識別することと、前記食品成分が前記食料品に存在する確率を割り当てることと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記食品成分は、前記食料品の食物包装上に明示的に記載されていない、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
機械に通信可能に結合され、食料品に対する有害反応から患者を守るためのシステムであって、
プログラム命令を記憶するメモリと、
プロセッサであって、
食料品データを受け取ることと、
前記食料品データを用いて前記食料品内の食料品成分を決定することと、
医療データ及び過去の患者の体験データの少なくとも1つから、前記患者が潜在的な有害反応成分にさらされたときに有害反応を示す前記患者の確率を表す第1の信頼レベルデータを得ることと、
前記潜在的な有害反応成分が前記食料品に存在する確率を表す第2の信頼レベルデータを得ることであって、第2の信頼レベルデータを得ることは前記食料品に対する有害反応を有する個人の体験履歴を含むグループデータに少なくとも部分的に基づく、ことと、
前記第1及び第2の信頼レベルデータに基づいて、前記患者が前記食料品を消費するための安全レベルを生成することであって、前記プロセッサが前記第1及び第2の信頼レベルが高いと決定したときに該安全レベルは低いと決定され、前記患者が前記食品成分にさらされるときに有害反応を示す確率が高いときに前記第1の信頼レベルは高く、前記潜在的な有害反応成分が前記食料品に存在する確率が高いときに前記第2の信頼レベルは高い、ことと、
前記機械に、前記生成した安全レベルと閾値レベルとの比較に従って前記食料品に関連する動作を行わせることと、
を前記プロセッサに行わせる前記プログラム命令を実行するように前記メモリと動作可能なように結合されたプロセッサと、
を含む、システム。
【請求項23】
前記食料品データは、前記食料品上のバーコードからのバーコードデータ又は前記食料品の画像の少なくとも1つである、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
成分の数は少なくとも9成分であると決定され、前記グループデータは、少なくとも3人の他の個人からのグループデータを含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記食料品は第1の食料品であり、前記動作は、前記第1の食料品の前記安全レベルが閾値未満であるとき、類似の食物カテゴリであるがより高い安全レベルを有する代替食料品の勧告を生成することを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
機械に通信可能に結合され、食料品内の食品成分に対する有害反応から患者を守るためのシステムであって、
プログラム命令を記憶するメモリと、
プロセッサであって、
医療データから、前記患者が前記食品成分にさらされたときに有害反応を示す前記患者の確率を表す第1の信頼レベルデータを得ることと、
前記食品成分が前記食料品に存在する確率を表す第2の信頼レベルデータを得ることであって、前記食物生産者は前記食品成分が前記食料品内にあることを示さない、ことと、
前記第1及び第2の信頼レベルデータに基づいて、前記患者が前記食料品を消費するための安全レベルを生成することであって、前記プロセッサが前記第1及び第2の信頼レベルが高いと決定したときに該安全レベルは低いと決定され、前記食品成分にさらされるときに有害反応を示す前記患者の確率が高いときに前記第1の信頼レベルは高く、前記食品成分が前記食料品に存在する確率が高いときに前記第2の信頼レベルは高い、ことと、
前記機械に、前記生成した安全レベルと閾値レベルとの比較に従って前記食料品に関連する動作を行わせることと、
を前記プロセッサに行わせる前記プログラム命令を実行するように前記メモリと動作可能なように結合されたプロセッサと、
を含む、システム。
【請求項27】
前記食料品を包装することは、前記食料品が前記食品成分を含むことを明示的に示さない、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記食料品を記載するメニューは、前記食料品が前記食品成分を含むことを明示的に示さない、請求項26に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、引用によって本明細書にその全体が組み込まれている2015年7月22日出願の米国仮特許出願第62/195,663号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、食物及び食事勧告を提供する方法及びシステムと、特定の1又は複数の食物に対する個人の感受性に基づいて食料品にアクセスする方法及びシステムとに関する。
【背景技術】
【0003】
以下の説明は、本発明の開示を理解するのに有用であると考えられる情報を含む。それは、本明細書に与える情報のいずれかが従来技術であるか又はここで主張する発明に関連すること、又は具体的に又は黙示的に参照するいずれかの文献が従来技術であることを認めるものではない。
【0004】
食物感受性(food sensitivity)は、1又は2以上の食物グループ又は材料に関連付けられた症状及び病気の多くの様々なタイプの発現をもたらす場合がある。これらの症状又は有害反応は、広範囲な理由から生じる場合があり、それらを複雑にして治療を困難にすることが多い。食物トリガと得られる症状/有害反応との間の因果関係は、よく知られておらず、医学界で集中して研究されてこなかった。更に、一部の食物タイプに関する食物感受性を決定するための有意義な診断方法は十分に確立されていない。利用可能である診断試験によれば、試験結果の品質は一般的に悪い。典型的に、これらの試験に関連付けられた問題、並びに試験結果を解釈する検査は、高い偽陽性率、高い患者内変動、及び検査間変動を含む。
【0005】
食料品に存在する様々な食材(食品成分)(food ingredient)を正確に識別することは、別の問題を呈している。食材間及び異なる食料品間の曖昧かつ一貫性のない命名慣例は、消費者に混乱を呈する可能性がある。例えば、特定の食料品が食物感受性に対するトリガである材料を含有することを患者がいかなる確度によっても知らない場合に、食物ラベルからの材料の検出は非現実的になる。同様に、包装上の食品説明が曖昧である場合(例えば、「カニ製品」対「ソフトシェルクラブ」、「カニ模造肉」、「ロブスター」など)、患者への偽陽性及び偽陰性警告が発生する場合がある。
【0006】
本明細書における全ての文献は、各個々の文献又は特許出願が具体的かつ個々に引用によって組み込まれることがあたかも示されるようなその同じ程度まで引用によって組み込まれる。組み込まれた参照文献における用語の定義又は使用が本明細書に与えられるその用語の定義に一致しないか又は反する場合に、本明細書に与えるその用語の定義が適用され、参照文献におけるその用語の定義は適用されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO 2016/077808
【文献】米国特許第9,212,996号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、患者の食物感受性試験及び利用可能な食品情報に基づいて食物勧告を提供するための改善されたシステム及び方法、又は改善された食物アクセスシステム及び方法に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書に説明する主題は、食材に対する有害反応から患者を守るためのシステム、方法、及びコンピュータ可読非一時的ストレージ媒体を提供する。
【0010】
開示する主題の一態様は、食材に対する有害反応から患者を守るためのシステムを含み、このシステムは、機械に通信的に結合される。システムは、患者の医療データを格納する医療データベースと、プロセッサと、プログラム命令を格納するメモリとを含む。プログラム命令は、プロセッサによって実行された時にプロセッサに患者の医療データから患者が食材に対して有害反応を有する確率を示す第1信頼レベルデータを導出させる。一部の実施形態では、患者の医療データは、患者の食物感受性データを含む。
【0011】
ある一定の実施形態では、プログラム命令はまた、プロセッサに食材情報を取得させる。一部の実施形態では、食材情報は、センサデバイスからの食料品を表すセンサデータから取得することができる。センサデータが得られた状態で、プログラム命令はまた、プロセッサにセンサデータに基づいて食料品に存在する食材の確率を示す第2信頼レベルデータを含む食材情報を導出させる。次に、プログラム命令は、プロセッサに第1及び第2信頼レベルデータに基づいて患者が食料品を消費するための安全レベルを発生させ、次に、発生された安全レベルに従って機械に食料品のアクセスを制限させる。
【0012】
一部の実施形態では、プログラムは、更に、プロセッサに基準値を有する食物調製物(food preparation)を使用する疾病に対する患者の試験から導出されたデータから第1信頼レベルデータを導出する段階を実行させる。ある一定の実施形態では、基準値は、疾病を有すると診断されていない又は疑われていない個人のグループに対して0.15に等しいか又はそれ未満の平均判別p値(average discriminatory p-value)を含む。
【0013】
他の実施形態では、プログラムは、更に、プロセッサに患者と同じ疾病と診断された個人の患者グループデータから第1信頼レベルデータを導出する段階を実行させる。ある一定の実施形態では、基準値は、疾病を有すると診断されていない又は疑われていない個人のグループに対して0.15に等しいか又はそれ未満の平均判別p値を含む。
【0014】
ある一定の実施形態では、患者グループデータ内の基準値は、病状層別化又は性別層別化されて正確かつカスタマイズされた情報を提供する。更に、患者グループデータは、同じ疾病と診断された個人の体験データを含むことができる。
【0015】
医療データに加えて、プログラムは、更に、プロセッサに食物調製物に関連付けられた患者の体験履歴及び/又は他人の体験履歴を含むグループデータ又は感受性評定(sensitivity rating)から第1及び/又は第2信頼レベルを導出させることができる。
【0016】
一実施形態では、グループデータは、更新かつ自己学習することができる。この実施形態では、プログラムは、更に、プロセッサにグループデータ(例えば、疾病と診断されていない患者グループのデータ及び/又は個人のグループのデータなど)のパターンを識別させ、パターンを患者が食材に対して有害反応を有する確率と又は食料品に存在する食材の確率とに相関させることができる。次に、第1信頼レベル及び/又は第2信頼レベルは、グループデータのパターンに基づいて自動的に更新することができる。
【0017】
センサデータは、食材に関する情報を提供することができるスペクトル分析データ、化学感覚データ、又はいずれか他の適切なタイプのデータとすることができる。それらのセンサデータに基づいて、プログラムは、1)食料品に存在する可能性が高い食材を識別し、かつ2)食材の確率を割り当てることにより、プロセッサに第2信頼レベルを導出させることができる。
【0018】
ある一定の実施形態では、プログラムは、プロセッサに第1及び第2信頼レベルに基づいて安全レベルを決定するための標準値を設定させることができる。一部の実施形態では、安全レベルは、プロセッサが第1及び第2信頼レベルの少なくとも一方が高いと決定した時に高いと決定される。他の実施形態では、安全レベルは、プロセッサが第1及び第2信頼レベルの両方が低いと決定した時に高いと決定される。
【0019】
一部の実施形態では、システムに結合された機械は、自動販売機とすることができ、プログラムは、プロセッサが安全レベルを低いと決定した時にプロセッサに自動販売機が食料品を販売しないようにさせることができる。他の実施形態では、機械は、セルフ精算キオスクとすることができ、プログラムは、更に、プロセッサが安全レベルを低いと決定した時にプロセッサにセルフ精算キオスクが食料品を精算できないようにさせる。更に他の実施形態では、機械は、セルフ注文機械であり、プログラムは、更に、プロセッサが安全レベルを低いと決定した時にプロセッサにセルフ注文機械が食料品の注文を処理できないようにさせる。
【0020】
開示する主題の別の態様は、食材に対する有害反応から患者を守るためのシステムを含み、システムは、機械に通信的に結合される。システムは、患者の医療データを格納する医療データベースと、プロセッサと、プログラム命令を格納するメモリとを含む。プログラム命令は、プロセッサによって実行された時に、プロセッサに患者の医療データから患者が食材に対して有害反応を有する確率を示す第1信頼レベルデータを導出させる。一部の実施形態では、患者の医療データは、患者の食物感受性データを含む。
【0021】
プログラム命令はまた、プロセッサに食材情報を取得させる。一部の実施形態では、食材情報は、センサデバイスからの食料品を表すセンサデータから取得することができる。センサデータが得られた状態で、プログラム命令はまた、プロセッサにセンサデータに基づいて食料品に存在する食材の確率を示す第2信頼レベルデータを含む食材情報を導出させる。次に、プログラム命令は、プロセッサに第1及び第2信頼レベルデータに基づいて患者が食料品を消費するための安全レベルを発生させ、次に、発生された安全レベルに従って機械に食物勧告を表示させる。
【0022】
一部の実施形態では、勧告は、第2信頼値が第1信頼値よりも高い場合に食料品に対する代替食料品を含むことができる。これらの実施形態では、プログラムは、更に、プロセッサに機械が代替食料品による宣伝資料を表示するようにさせることができる。
【0023】
開示する主題の別の態様は、食材に対する有害反応から患者を守る方法を含む。本方法は、患者の医療データから患者が食材に対して有害反応を有する確率を示す第1信頼レベルデータを導出する段階で始まる。次に、本方法は、食材情報を取得することによって継続する。一部の実施形態では、食材情報は、センサデバイスからの食料品を表すセンサデータから取得することができる。センサデータが得られた状態で、第2信頼レベルデータを含む食材情報は、センサデータから導出することができる。食材情報は、食料品に存在する食材の確率を示すものである。次に、第1及び第2信頼レベルデータに基づいて、患者が食料品を消費するための安全レベルを発生させることができる。安全レベルに基づいて、機械は、ユーザの食料品へのアクセスを制限することができる。
【0024】
開示する主題の更に別の態様は、食材に対する有害反応から患者を守る方法を含む。本方法は、患者の医療データから患者が食材に対して有害反応を有する確率を示す第1信頼レベルデータを導出する段階で始まる。次に、本方法は、食材情報を取得することによって継続する。一部の実施形態では、食材情報は、センサデバイスからの食料品を表すセンサデータから取得することができる。センサデータが得られた状態で、第2信頼レベルデータを含む食材情報は、センサデータから導出することができる。食材情報は、食料品に存在する食材の確率を示すものである。次に、第1及び第2信頼レベルデータに基づいて、患者が食料品を消費するための安全レベルを発生させることができる。安全レベルに基づいて、機械は、食物勧告を表示することができる。
【0025】
開示する主題の更に別の態様は、プログラミング命令を含むコンピュータ可読非一時的ストレージ媒体を含む。次に、プログラミング命令は、1又は2以上のプロセッサによって実行された時に1又は2以上のプロセッサに作動の段階を実行させる。プログラム命令は、プロセッサに患者の医療データから患者が食材に対して有害反応を有する確率を示す第1信頼レベルデータを導出させる。一部の実施形態では、患者の医療データは、患者の食物感受性データを含む。
【0026】
プログラム命令はまた、プロセッサに食材情報を取得させる。一部の実施形態では、食材情報は、センサデバイスからの食料品を表すセンサデータから取得することができる。
センサデータが得られた状態で、プログラム命令はまた、プロセッサにセンサデータに基づいて食料品に存在する食材の確率を示す第2信頼レベルデータを含む食材情報を導出させる。次に、プログラム命令は、プロセッサに第1及び第2信頼レベルデータに基づいて患者が食料品を消費するための安全レベルを発生させ、次に、発生された安全レベルに従って機械に食料品へのアクセスを制限させる。
【0027】
開示する主題の更に別の態様は、プログラミング命令を含むコンピュータ可読非一時的ストレージ媒体を含む。次に、プログラミング命令は、1又は2以上のプロセッサによって実行された時に1又は2以上のプロセッサに作動の段階を実行させる。プログラム命令は、プロセッサに患者の医療データから患者が食材に対して有害反応を有する確率を示す第1信頼レベルデータを導出させる。一部の実施形態では、患者の医療データは、患者の食物感受性データを含む。
【0028】
プログラム命令はまた、プロセッサに食材情報を取得させる。一部の実施形態では、食材情報は、センサデバイスからの食料品を表すセンサデータから取得することができる。センサデータが得られた状態で、プログラム命令はまた、プロセッサにセンサデータに基づいて食料品に存在する食材の確率を示す第2信頼レベルデータを含む食材情報を導出させる。次に、プログラム命令は、プロセッサに第1及び第2信頼レベルデータに基づいて患者が食料品を消費するための安全レベルを発生させ、次に、発生された安全レベルに従って機械に勧告を表示させる。
【0029】
開示する主題の様々な目的、特徴、態様、及び利点は、同じ数字が同じ構成要素を表す添付の図面の図と共に実施形態の以下の詳細説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】食物アクセス制御環境の一実施形態を示す図である。
図2】買い物環境内の食物アクセス制御環境の例示的実施形態を示す図である。
図3】食材に対する有害反応から患者を守る方法の一実施形態のための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
開示する主題は、患者の医療データ及び食料品のセンサデータから導出された食材情報に基づいて食材に対する有害反応から患者を守り、かつユーザが食料品にアクセスすることを機械に制限させるか又はユーザデバイスに食物勧告の通知を表示するためのシステム、方法、及びコンピュータ可読非一時的ストレージ媒体を提供する。
【0032】
以下の説明を通じて、サーバ、サービス、インタフェース、エンジン、モジュール、クライアント、ピア、ポータル、プラットフォーム、又はコンピュータデバイスから形成された他のシステムに関して多数言及する。そのような用語の使用は、コンピュータ可読有形非一時的媒体(ハードドライブ、固体ドライブ、RAM、フラッシュ、ROMなど)に格納されたソフトウエア命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサ(ASIC、FPGA、DSP、x86、ARM、ColdFire、GPU、マルチコアプロセッサなど)を有する1又は2以上のコンピュータデバイスを表すものと見なされることを認めなければならない。例えば、サーバは、ウェブサーバ、データベースサーバ、又は記述された役割、義務、又は機能をある方式で果たす他のタイプのコンピュータサーバとして作動する1又は2以上のコンピュータを含むことができる。開示するコンピュータベースのアルゴリズム、処理、方法、又は他のタイプの命令セットは、開示する段階をプロセッサに実行させる命令を格納する非一時的有形コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品として具現化することができることを更に認めなければならない。様々なサーバ、システム、データベース、又はインタフェースは、標準化プロトコル又はアルゴリズムを使用して、可能であればHTTP、HTTPS、AES、公開-秘密鍵交換、ウェブサービスAPI、公知の金融トランザクションプロトコル、又は他の電子情報交換方法に基づいて、データを交換することができる。データ交換は、パケット交換ネットワーク、回路交換ネットワーク、インターネット、LAN、WAN、VPN、又は他のタイプのネットワーク上で行われる。プロセッサの関連における「ように構成される」及び「ようにプログラムされる」という用語は、機能又は機能のセットを実行するためにソフトウエア命令のセットによってプログラムされることを指す。
【0033】
多くの市販の包装された食料品は、脂肪の有無、炭水化物含有量、カロリー、及び他の材料のような栄養情報をそれらの包装上に表示しているが、材料全ての完全な記載又は特定の材料の特定の詳細を見出すのが不可能であることが多い。重大な問題は、「副材料」の存在を含み、これは、食物包装上に列挙された分類学的カテゴリ内に入るが、これらの副材料の明示的な識別は、列挙された食料品に存在していないか又はそうでなければそこに隠れている。例えば、食物包装が主材料の1つとしてコーンシロップを含有するという情報を表示している場合でも、そのような情報は、コーンシロップが特定のタイプの小麦を含有するか否か又はコーンシロップが小麦を含有しないか否かという詳細を提供しない。同様に、一部のレシチン食物添加物は、卵を含むか又は卵から生成されるが、他のレシチン食物添加物はそうではない。この情報の欠如は、加熱処理済みのすぐ食べられる食料品、又はレストラン、フードスタンド、移動式屋台などで提供される調理済みの食事についてより顕著である。この結果、様々なタイプの食材に対する1又は2以上の食物過敏症の診断をされた個人は、特定の料理又は食料品が消費するのに適切であるか否かに関して十分な情報を得た上での適切な決定を行えないことが多い。
【0034】
すなわち、開示する食物勧告システム及び方法が多数の有用な技術的効果を提供することを認めなければならない。例えば、一部の実施形態の食物勧告システム及び方法は、全てのユーザからリアルタイム情報をプルする(すなわち、グループソーシングする)ことにより、様々なユーザの食物感受性及び様々な料理における食材を連続的に学習することによって食物感受性及び/又は食材情報の更新を可能にする。更に、患者試験結果の信頼レベルを材料識別の信頼レベルに適合させる又は相関させることにより、偽陽性及び偽陰性結果の数を劇的に低減することができる。これに加えて、本発明の開示は、コンピュータシステム又はデバイスの構造又は構成が人間の機能を超えて大量のデジタルデータに対して演算することを可能にする。コンピュータシステム又はデバイスは、ユーザがこれらのツールがなければ欠いたであろう有用性をコンピュータシステム又はデバイスのユーザに提供することができる方式でデジタルデータを管理することができる。
【0035】
開示する主題の一態様は、食物アクセスを制御する方法、デバイス、及びシステムに関する。図1は、食物アクセス制御環境100の一実施形態を示している。一部の実施形態では、食物アクセス制御環境100は、ユーザ101a(食物感受性に関連付けられた病態を診断された患者、食物感受性にかかわる病態を有すると疑われた患者など)に関連付けられた少なくとも1つのユーザデバイス102aを含む。一部の実施形態では、食物アクセス制御環境100はまた、個人101b、101c、101dのグループ(食物感受性に関連付けられた病態であると診断された個人、食物感受性にかかわる病態を有すると疑われる個人、食物感受性に関連付けられた病態のない個人など)を含む。一実施形態では、少なくとも1つのユーザデバイス102b、102c、102dは、各個人101b、101c、101dに関連付けられる。しかし、全ての個人がユーザデバイスに関連付けられる必要はないように考えられている。
【0036】
図1では、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dは、スマートフォンとして示されているが、ユーザデバイスは、一般的に、例えば、携帯電話、スマートウォッチ、タブレット、デジタルオーガナイザ、ゲームコンソール、コンピュータ、デジタルカメラ、機器、キオスク、又は生体測定デバイスのような別のタイプのデジタルデバイスとすることができ、データ及びプログラミング命令を格納するためのメモリ、及びプログラミング命令を実行するための少なくとも1つのプロセッサを有する。一部の実施形態では、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dは、可変様式のデータを取得する1又は2以上のセンサデバイスを含む。例えば、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dは、光センサ(カメラ、赤外線検出器、分光計など)、化学センサ(電子ノーズ、あるタイプのMEMS真空ポンプなど)、又は音、テクスチャ、又は他のデータ様式を検出するのに適する他のタイプのセンサを含むことができる。一部の実施形態では、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dは、1又は2以上の位置センサ(WiFi信号強度メータ、GPSセンサ、加速度計など)を含むことができ、デバイス106又は107の位置を検出するのに使用することができる。以下に説明するように、これらのセンサは、食料品の食材情報を取得する場合に有用である形態のデータ様式(位置データなど)を提供することができる。
【0037】
食物アクセス制御環境100は、デバイスインタフェース110を通じてユーザデバイス102a、102b、102c、102dに結合された食物アクセス制御システム105を含む。一部の実施形態では、食物アクセス制御システム105は、プログラミング命令を格納するメモリを有する1又は2以上のコンピュータデバイス上に実施され、プログラミング命令が1又は2以上のコンピュータデバイスのプロセッサによって実行された時にプロセッサに食物アクセス制御システム105の機能を実行させる。図示のように、デバイスインタフェース110に加えて、食物アクセス制御システム105は、中央マネージャモジュール115、データ処理モジュール120、食物感受性処理モジュール125、食材処理モジュール130、安全レベル処理モジュール130、出力インタフェース145、及びデータベースインタフェース140を含む。本明細書に使用するように、文脈が他を示さない限り、「に結合される」という用語は、直接結合(互いに接触するように結合された2つの要素)及び間接結合(少なくとも1つの追加要素が2つの要素間に位置付けられる)の両方を含むものとする。従って、「に結合される」及び「を用いて結合される」という用語は同義に使用される。
【0038】
図1で説明した食物アクセス制御システム105の構造は例示であり、食物アクセス制御システム105の構造は様々な異なる構成を有することができることを認めなければならない。図1に示すモジュールは、並べ替える又は組み合わせることさえも可能である。例えば、一部の実施形態では、データ処理モジュール120の機能と食物感受性処理モジュール125の機能とを組み合わせることができ、食物感受性処理モジュール125の機能を利用してデータ処理を支援する。従って、他を言及しない限り、「モジュール」へのいずれの参照も、単にこのモジュールによって実行される機能を示すものとして解釈しなければならず、参照される特定のモジュールが別のモジュールとは個別及び/又は物理的に別であるか、又は別のモジュールに結合されていないことを必ずしも要求するものではない。
【0039】
食物アクセス制御環境100はまた、食物感受性データベース150及び食材データベース155を含み、これらの各々がデータベースインタフェース140を通じて食物アクセス制御システム105に結合される。食物感受性データベース150は、患者(ユーザ101aなど)の食物感受性に関するいずれのデータも格納し、食材における実際の食物感受性及び/又は食材における疑われる食物感受性を含む。食物感受性データベース150は、1又は2以上の食材における実際の食物感受性及び/又は1又は2以上の食材における疑われる食物感受性を含む個人のグループ(個人101b、101c、及び101dなど)の1又は2以上の食物感受性に関するいずれのデータも格納する。例えば、ユーザのモバイルデバイスを使用して、ユーザは、食料品に関する情報(例えば、食料品の画像、食料品の説明、料理の名前、及びユーザがその料理を消費したレストランなど)、及び食料品に対するユーザの有害症状に関する情報(例えば、アレルギー反応のタイプ、発疹など)を送信することにより、食料品(例えば、ユーザがレストランで消費した料理、ユーザが消費した軽食など)に対するあらゆる感受性反応を報告することができる。食物感受性データは、ユーザ、及び食物アクセス制御システム105を使用する他の個人から収集することができる。個人の進行中の体験に基づいて個人の食物感受性データを収集する処理を以下に詳しく説明する。
【0040】
一部の実施形態では、食物感受性データベース150は、あらゆるヘルスケアプロバイダ(病院、医師のオフィス、歯科医のオフィス、薬局、検査、医師、看護師、薬剤師、保険プロバイダ、患者のヘルスケアのための連絡先のあらゆる地点など)から直接受信されるユーザ101a(患者など)及び/又は1又は2以上の個人101b、101c、101dの医療データを格納する。一般的に、医師のオフィス内で発生された患者の医療データは、データをデータベースに公開するという患者の承諾と共に医療データベース150に直接送信される。一部の実施形態では、医療データベースは、ネットワーク上でヘルスケアプロバイダ及び/又は患者のデバイスと通信可能なクラウドサーバに位置付けられる。一部の実施形態では、ヘルスケアプロバイダが自らのシステム(例えば、ヘルスケアプロバイダのコンピュータなど)に情報を入れた時に患者の医療データを自動的に送信することができる。他の実施形態では、ヘルスケアプロバイダは、医療データベースに患者の医療データを手動でアップロードすることができる。患者は、患者の医療データを手動でデータベース又は食物勧告システムアプリケーションにアップロードすることができるようにも考えられている。
【0041】
医療データは、患者の健康に関するあらゆるタイプの情報を含む。例えば、医療データは、あらゆる以前の個人医療履歴(例えば、いずれかの医療プロバイダから受信した診断のいずれも)、あらゆる家族疾病履歴(例えば、糖尿病、心臓病、神経の疾患、免疫不全疾患など)、及び身体試験データのあらゆるタイプ(例えば、患者の血圧データ、心拍データ、体脂肪データなど)を含む。従って、本明細書に使用する患者の医療データは、患者の健康に悪影響を与える食事品目(例えば、食料品、栄養品目など)に関連付けられた患者の身体的又は精神的反応におけるあらゆるデータとすることができる。
【0042】
ある一定の実施形態では、医療データは、患者の食物感受性試験データを含む。食物感受性試験データは、食物感受性を評価するあらゆる方法によって取得することができる。食物感受性を評価する例示的方法は、引用によってその全体が本明細書に組み込まれている国際特許出願公開番号WO 2016/077808に説明されている。別の実施形態では、医療データは、患者の健康状態における医師の見解又は勧告を含む(例えば、患者のハイリスクの心臓状態に高コレステロール含有食物を避けるように食事を制限する)。
【0043】
一部の実施形態では、食物感受性試験データは、試験キット(例えば、マルチウェル試験プレート)を使用して一部の食料品又は食材に関連付けられた疾病、病気、又はアレルギー(例えば、過敏性腸症候群)を有すると診断される又は有すると疑われる患者の感受性試験から導出することができる。食物感受性試験は、少なくとも1つの食物調製物(例えば、食料品又は食材など)を疾病、アレルギー、又は病気(別に明記しない限り、「疾病」という用語は、一般的に、あらゆる疾病状態、アレルギー、又は病気を含む)を有すると診断される又は有すると疑われる患者の体液(例えば、血液又は唾液など)と接触させることによって実行することができる。体液は、体液内の1又は2以上の抗体が食物調製物の少なくとも1つの成分に結び付くことを可能にする状態で食物調製物に接触する。次に、食物調製物の少なくとも1つの成分に結び付く抗体の量が測定され(例えば、免疫学的検定などを使用して)、信号を取得する。次に、この信号は、食物調製物の基準値と比較され、少なくとも1つの食物調製物に対する患者の感受性の報告を提供する。
【0044】
一部の実施形態では、食物調製物の基準値は、疾病を有すると診断されていない又は疑われていない患者グループに対して<0.15の平均判別p値を含む。一部の実施形態では、p値は、<0.10、<0.08、<0.07、<0.06、<0.05、又は更には<0.025である。一部の実施形態では、p値は、生p値、又はFDR(偽発見率)多重度調節p値によって決定された平均判別p値である。一部の実施形態では、抗体は、IgG、IgE、IgA、及び/又はIgMから選択される。一部の実施形態では、基準値が性別によって層別化され、p値が同じ疾病を有すると診断されていない又は疑われていない男性のみ/女性のみの患者のグループに基づいて別々に決定することを意味する。一部の実施形態では、食物調製物の性別で層別化された基準値は、患者グループの90パーセント値内に入る結果に基づいている。一部の実施形態では、食物調製物に対する性別層別化基準値は、患者グループの95パーセント値内に入る結果に基づいている。食物感受性データを取得するのに適する診断試験キットは、カリフォルニア州アービン所在のバイオメリカ・インコーポレーテッドによるInFoods(登録商標)という名前で市販されているものを含む。
【0045】
従って、一部の実施形態では、患者の食物感受性データは、基準値を有する食物調製物を使用する疾病に対する患者の試験から導出されたデータを含み、基準値は、疾病、アレルギー、又は疾患を有すると診断されていない又は疑われていない患者グループに対する≦0.15の平均判別p値を含む。一部の実施形態では、食物感受性データは、性別層別化p値から導出されたデータを含む。他の実施形態では、食物感受性データは、病状層別化p値から導出されたデータを含む。
【0046】
一部の実施形態では、医療データは、患者の健康状態への医師の意見又は勧告を含む(例えば、患者のハイリスクの心臓状態に高コレステロール含有食物を避けるように食事を制限する)。一部の実施形態では、ヘルスケアプロバイダから受信した医療データは、医療データベース150のサブディレクトリに格納される。例えば、あらゆる家族病歴データを家族病歴データベースに格納することができ、患者の血圧データを血圧データベースに格納することができ、食物感受性試験データを食物感受性試験データベースに格納することができる。
【0047】
患者の医療データに加えて、食物感受性データベース150は、1又は2以上の個人101b、101c、101dの医療データを格納することができる。1又は2以上の個人101b、101c、101dの医療データは、1又は2以上の個人101b、101c、101dの各々の食物感受性試験データ151aを含む。1又は2以上の個人101b、101c、101dの医療データ151aは、個人101b、101c、101dの過去及び現在の健康状態151b(例えば、疾病、遺伝的条件、家族歴、栄養情報など)に関するあらゆるデータを含むことができる。一般的に、各個人101b、101c、101dの過去及び現在の健康状態、並びに食物感受性試験データ151aに関するデータは、共有可能な情報であると見なされるように考えられている。従って、一部の実施形態では、食物感受性データベース150は、グループソーシングされたデータベースである。
【0048】
本明細書に使用するグループソーシングは、コンテンツに寄与する複数の個人の能力を指す。本発明の開示によって説明するグループデータベースのコンテンツに関して、データベースのコンテンツ又はデータベースの特定のサブディレクトリ(例えば、食材データベース、食物感受性データベースなど)に寄与することを許可された個人の数が制限される場合がある。しかし、他に言及されない限り、「グループデータベース」又は「医療データベース」への参照は、一般的に同じネットワーク上で発せられたデータを指すことを認めなければならない。例えば、グループデータベースは、食物感受性データベース150のサブディレクトリとすることができ、又は医療データベースは、食物感受性データベース150のサブディレクトリとすることができる。
【0049】
個人の医療データに加えて、食物感受性データベース150は、ユーザ101a及び/又は個人101b、101c、101dの1又は2以上のグループの体験データ151cを格納することができる。体験履歴は、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dを通じてユーザ101a及び/又は1又は2以上の個人101b、101c、101dによって直接又は間接的に提供することができる。例えば、ユーザ101a又は個人101b、101c、101dは、IBSと診断されているか又はIBSを有すると疑われていること、及びマニラクラムを消費した時に有害症状を体験したという情報を入力することができる。他の例に対して、ユーザ101a又は個人101b、101c、101dは、IBSとは診断されていないが、ブラックタイガーを消費した状態で必ずIBSに似た症状を体験したという情報を入力することができる。
【0050】
ユーザデバイス102a、102b、102c、102dを通じてユーザ101a及び/又は1又は2以上の個人101b、101c、101dによって提供される医療データ151a、151b又は体験データ151cは、中央マネージャモジュール115に通信的に結合されたデバイスインタフェース110を通じて受信することができる。中央マネージャモジュールは、データ処理モジュール120にも通信的に結合される。医療データ又は体験データは、データ処理モジュール120で処理され(例えば、分類、選別など)、データベースインタフェース140を通じて食物感受性データベース150に格納される。
【0051】
食物アクセス制御システム105の中央マネージャモジュール115は、食物感受性データベース150から患者及び/又は他の個人の医療データ151a、151b又は体験データ151cを受信する。食物感受性処理モジュール125は、患者の診断、医療プロバイダによって提供された医療勧告又はパラメータ、特定の食料品に関する患者の体験履歴、又は他のユーザの体験履歴の1又は2以上に基づいて、受信した医療データから第1信頼レベルを導出することができる。ある一定の実施形態では、第1信頼レベルデータは、患者及び/又は他の個人の医療データ151a、151b又は体験データ151cからの患者の食物感受性信頼レベルデータを含む。一実施形態では、患者の食物感受性信頼レベルデータは、1又は2以上の食料品又は材料に基づく1又は2以上の信頼レベル(又は値)を含む。食物感受性信頼レベルデータは、患者が消費した又は他に食料品又は食材に露出された(例えば、吸い込んだ、触れたなど)時に食物感受性に関連付けられた症状(例えば、切迫反応に関連付けられた症状など)又は有害反応(アレルギー反応など)を患者が示す「可能性」又は「確率」を表している。反対を言及しない限り、本明細書に使用する「食料品」という用語は、1又は2以上の食材(食品成分)を含有することができ、「食材(食品成分)」という用語は、一般的に、食料品(例えば、醤油味のインスタントラーメンなど)の単一栄養成分(例えば、大豆油など)を指す。
【0052】
一部の実施形態では、ユーザ101a及び/又は個人101b、101c、101dのグループは、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dを使用して食物アクセス制御システム105への特定の食料品との体験を連続的に更新することができる。例えば、ユーザ101aは、「私がレストランEで過去に食料品Dを試した時に頭痛がした」体験を提供することができる。患者はまた、特定の食料品又は材料に対する感受性信頼値に客観的に変換することができる主観的な症状の強さ(例えば、最も強い、強い、中程度、弱いなど)を追加することができる。この「体験履歴」は、食物アクセス制御システム105の一時的ストレージ(メモリなど)にローカルに格納することができ、及び/又は食物感受性データベース150又は食材データベース155のいずれかにアップロード(及び更新)することができる。
【0053】
ユーザ101aの特定の食料品の体験履歴に少なくとも部分的に基づいて、食物アクセス制御システム105は、食料品に対する患者の感受性信頼値を決定することができる。例えば、患者が食料品Dを消費した後に「非常に強い」症状を体験した場合に、食物アクセス制御システム105は、患者が食料品Dに強く反応したと決定して適切な確率値(例えば、>90%)を割り当てるようにプログラムされる。別の例に対して、患者が食料品Dを消費する度に中程度の症状を体験した場合に、食物アクセス制御システム105は、患者がメニューDに反応する場合がある(例えば、>50%の感受性信頼確率)と決定するようにプログラムされる。同じく、一部の実施形態の食物アクセス制御システム105は、これらの有害症状の発生の反復に基づいて異なる決定をするようにプログラムされる。例えば、患者が食料品Dを消費した後に2回に1回のみ有害症状を体験した場合に、食物アクセス制御システム105は、この食料品Dに対する患者の感受性信頼値を下げるようにプログラムされる。他方、患者が食料品Dを消費した後に毎回有害症状を体験した場合に、食物アクセス制御システム105は、この食料品Dに対する患者の感受性信頼値を上げるようにプログラムされる。
【0054】
これに加えて、食物アクセス制御システム105は、食料品Dの食物感受性信頼レベルデータと食材信頼レベルデータの間の関連性を決定することができる。例えば、患者の食物感受性信頼レベルデータ(例えば、以前に決定されて食物感受性データベース150に格納された)が、患者が2つのタイプの甲殻類だけに強く反応することを示し、患者が食料品Dを消費した後に非常に強い症状を体験した場合に、食物アクセス制御システム105は、食料品Dの2つのタイプの甲殻類の食材信頼レベルが70%から100%の間であるという食料品Dの食材信頼レベルデータを決定及び更新するようにプログラムされる。従って、一部の実施形態では、食物感受性データ及び/又は食物情報は、患者又は複数の患者の体験履歴データを含む。
【0055】
一部の実施形態では、食物アクセス制御システム105は、他人(例えば、食物感受性を有する他の患者など)から食物感受性データを受信し、他の個人の体験履歴に少なくとも部分的に基づいてユーザ101aの食物感受性信頼レベルデータを発生させるようにプログラムされる。これらの実施形態では、食物感受性データベース150及び食材データベース155は、様々な種類の食料品に対する食物感受性を有する複数の個人の食物感受性信頼レベルデータ及び食材信頼レベルデータを格納するように構成される。更に、データベース150及び155はまた、食料品における他の個人の体験履歴及びこの分析データ(例えば、体験履歴に基づいて更新された食材信頼レベルデータなど)を格納するように構成される。例えば、食料品Fにおける別の患者の体験履歴及び食料品Fが特定のタイプのチェダーチーズを含有する場合があるという分析に基づいて、かつ特定のタイプのチェダーチーズに対する当該患者の高食物感受性信頼レベルに基づいて、食物アクセス制御システム105は、食料品Fを消費しないようにする当該患者への勧告を発生させることができる。一部の実施形態では、食物アクセス制御システム105は、他人の感受性評定の数及び/又は頻度に基づいて食材信頼レベルを修正又は更新することができるようにも考えられている。例えば、多くの患者が、食料品Fが特定のタイプのチェダーチーズを含有する場合があるという体験履歴を提供した時に、食料品Fが特定のタイプのチェダーチーズを含有する場合があるという食材信頼レベルが上がることになる。
【0056】
一部の実施形態では、患者又は他の個人の体験履歴を使用して疾病、病気、又はアレルギーに固有の食物感受性信頼レベルデータを構築することができる。例えば、1つのカテゴリの疾病又は症候群(例えば、過敏性腸症候群-C(便秘を伴う))を有する症状を示す患者グループは、別のカテゴリ(例えば、過敏性腸症候群-D(下痢を伴う))の患者グループと比較した時に一部の食物に対する異なるレベルの感受性を有する場合があることを理解することができる。従って、一部の実施形態では、食物感受性信頼レベルデータは、疾病層別化することができ、固有の第1信頼レベルデータは、疾病、症候群、病気、又はアレルギーの各カテゴリに割り当てられる。
【0057】
一部の実施形態では、ユーザのデバイスのセンサを使用して、食物データに加えて周囲データ(例えば、位置データ、温度データ、時間データなど)を収集することができる。これらの実施形態では、食物アクセス制御システム105は、収集した周囲データを使用して患者の食物感受性値を導出するようにプログラムされる。例えば、レストランは、店の食材をローカルで発している場合があり、患者は、他のものよりもある領域からの食材に強く反応する場合がある。更に、患者は、ある食材に対して1日のある時間に強く反応する場合がある(例えば、朝のカフェインに強く反応する等)。従って、一部の実施形態の食物アクセス制御システム105は、周囲データ(例えば、位置データ、時間データなど)を使用して患者の食物感受性データを導出することを助けるようにプログラムされる。
【0058】
一部の実施形態では、食物感受性信頼レベルデータは、0から100%の範囲に示すことができる。従って、例えば、患者が豚肉に高いアレルギー反応を示し、豚肉を患者が消費した時に有害反応(又は切迫反応の少なくとも1つの症状)を間違いなく示す時に、豚肉に対する患者の食物感受性信頼レベルは100%になる。別の例に対して、患者が豚肉を消費した時に症状を示す明確な可能性が最も高い時に、豚肉に対する患者の食物感受性信頼レベルを90から99%の範囲とすることができる。更に別の例に対して、患者が豚肉を消費した時に症状を示す可能性が低い時に、豚肉に対する患者の食物感受性信頼レベルを50から90%の範囲とすることができる。患者が豚肉を消費した時に症状又は反応を有する単に可能性又は低い確率を有する時に、豚肉に対する患者の食物感受性信頼レベルを10から49%の範囲とすることができる。患者が豚肉を消費した時に症状を示す可能性を基本的に持たない時に、豚肉に対する患者の食物感受性信頼レベルを0%とすることができる。
【0059】
他の実施形態では、食物感受性信頼レベルの生値を提供する代わりに、材料に対する食物感受性信頼レベルデータは、反応の高-中-低可能性レベルとして表現することができるようにも考えられている。例えば、食物感受性信頼レベルが高閾値レベルよりも高い場合に(75%、80%、85%、90%など)、材料に対する食物感受性信頼レベルデータを「高」と表すことができる。この例に対して、食物感受性信頼レベルが、低閾値よりも高いが(50%、45%、40%、35%など)高閾値よりも低い場合に、材料に対する食物感受性信頼レベルデータを「中」と表すことができる。食物感受性信頼レベルが低閾値よりも低い場合に、材料に対する食物感受性信頼レベルデータは、「低」と表すことができる。高及び低閾値は、特定の食材又は個人の経歴情報(例えば、年齢、性別、人種、病歴など)に対する全身症状の重症度に応じて決定することができる。
【0060】
一部の他の実施形態では、食物感受性信頼レベルデータは、ユーザ101aに視覚的に表示される。例えば、食物感受性信頼レベルデータは、グラフィック連続プログレスバーとして表示することができる。このプログレスバーは、感受性のレベルに応じて異なる色のバーの表示を付けることができる(例えば、高レベルの感受性には赤、中レベルの感受性には黄、低レベルの感受性には緑など)。文脈が逆を明記しない限り、本明細書で設定した範囲は、終点を含むものと解釈しなければならず、終わりが設定されていない範囲は、商業的に実用的な値だけを含むものと解釈しなければならない。本明細書の値の範囲の詳述は、範囲に入る各個別の値を個々に示す簡単な方法として単に機能するものとする。本明細書に他に示されない限り、範囲の各個々の値は、本明細書で個々に詳述されるように本明細書に組み込まれる。同様に、文脈が逆に示さない限り、値の全てのリストは、中間値を含むものと見なさなければならない。
【0061】
食物アクセス制御システム105は、食材データベース155に結合される。食材データベース155は、多くの異なる食料品の食材に関するあらゆるタイプの情報を含む食材データを含む。例えば、食材データは、製造業者によって提供されるパック済みの工場製造食料品の材料及び栄養情報156aのような食料品を作り上げる材料に関して編成されてきた既存のデータを含むことができる。別の例に対して、食材データは、食料品の表示(例えば、デジタル表示)又は食料品に関連付けられたオブジェクト(バーコード、スマートコードなど)である製品識別子を含むことができる。一部の実施形態では、食材データベース155は、ユーザ101aから取得又は受信した食料品の材料情報(例えば、家庭で調理した食事、レストランの食物など)を含むことができる。食材データベース155は、ユーザ101a及び/又は個人101b、101c、101dのグループから取得又は受信した食料品の材料情報(例えば、家庭で調理した食事、レストランの食物など)を含むことができる。
【0062】
一部の実施形態では、食料品のデジタル表示は、食物アクセス制御システム105に予め事前ロードすることができ、デバイスインタフェース110のスクローリング機能を通じて患者、ユーザ、又は個人のあらゆるグループによる後の時間の選択のためのアクセスを提供する。そのようなデジタル表示は、本発明のシステムを維持するユーザ又はあらゆる個人によってあらゆる時間に食物アクセス制御システム105に入力することができる。例えば、ユーザ101aは、第三者から収集されたデジタル表示をデバイスインタフェース110を通じて食物アクセス制御システム105に独立してアップロードすることができる。別の例に対して、ユーザ101aは、食材情報をデバイスインタフェース101を通じて食物アクセス制御システム105に直接追加し、食材データベース155にこの情報を格納することができ、食物アクセス制御システム105は、必要に応じて食材情報を取得することができる。
【0063】
食物感受性データベース150及び食材データベース155の少なくとも1つのコピーは、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dの1つに格納することができるように考えられている。この実施形態では、食物アクセス制御システム105も、そのような1つのユーザデバイス内で実行されることが好ましい。ユーザデバイスに格納された食物感受性データベース150及び/又は食材データベース155のコピーは、食物感受性データベース150及び/又は食材データベース155の他のコピーに定期的に(例えば、毎時間、毎日など)同期されることが好ましい。食物感受性データベース150及び食材データベース155の少なくとも1つは、第三者のコンピュータに位置付けられ、ネットワーク上でユーザデバイスによってアクセス可能であるようにも考えられている。
【0064】
一部の実施形態では、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dの1又は2以上は、食料品103に関連付けられたオブジェクトのデジタル表示のようなセンサデータを受信又は取得することができる。このセンサデータは、製品識別子として使用することができるデータ様式の1又は2以上(画像データ、時間データ、テキストデータ、周囲データなど)を含むことができる。一実施形態では、オブジェクトは、食物メニュー(テキストフォーマット又はグラフィックとテキストフォーマットの組合せのいずれか)、食料品自体の写真(例えば、調理された料理、肉の塊、混合された野菜、ジュースのビン、グラスワインなど)、食料品に関連付けられた又は食料品を表すことができる食物包装又はあらゆるタイプの識別子の写真(バーコード、スマートコード、食物記号など)とすることができる。例えば、オブジェクトは、マーク、ロゴ、又は食物包装に見られる記号又はレストランで見られる記号を含む記号(例えば、レストランの登録商標、トレードドレス、メニュー、情報チャートなど)とすることができる。他の実施形態では、オブジェクトは、食料品に関連付けられた物理的又は化学的属性(例えば、スペクトルデータ、化学感覚データなど)を含むことができる。
【0065】
オブジェクトのデジタル表示(例えば、画像データ、スペクトルデータ、化学感覚データ)が取得又は受信された状態で、食物アクセス制御システム105の食材処理モジュール130は、デジタル表示に基づいて食物情報を抽出/導出することができる。食物情報は、食材情報、食物栄養情報、又は調理方法情報を含むことができる。例えば、フランチャイズレストランAからのチョップサラダの画像データから、食材処理モジュール130は、チョップサラダに含まれることのある食材の形状、色、及びテクスチャに基づいて様々な材料を検出することができる。別の例に対して、フランチャイズレストランAからのチョップサラダの同じ画像データから、食材処理モジュール130は、フランチャイズレストランからのチョップサラダの調理レシピ及び/又は栄養情報(例えば、カロリー、脂肪含有量など)を取得することができる。一部の実施形態では、食物情報は、食材データベース155にアップロード及び格納することができる。他の実施形態では、食物情報は、第三者のデータベースに格納することができる。
【0066】
食料品に関連付けられたオブジェクトの画像データは、当業者に公知の方法に従って食材処理モジュール130によって抽出することができる。一部の実施形態では、食材処理モジュール130は、あらゆるコード、テキスト、形状、又は関わっている記号に関連付けられた画像データを抽出するためにデジタル表示の光学文字認識(OCR)を実行するように適応される。一部の実施形態では、食材処理モジュール130は、エッジ検出、クロッピング、カラーバランス、コントラスト拡張、空間フィルタ、ノイズ低減フィルタ、画像解析アルゴリズム、フレームグラッビング、又はデスキューイングのような他の機能を含むことができ、この全てを使用して食料品に関する食物情報を提供することができる画像データを提供することができる。
【0067】
本出願人は、画像データのテンプレートベースの適合も又は画像データを本発明のシステムに保存された事前ロードテンプレートに適合させるための冗長分析の他の方法も利用する必要なく、オブジェクトから効率良くかつ正確に食物情報を決定することができることを一部の実施形態において意外にも見出した。一部の実施形態では、本発明のシステムによって使用することができるバーコード、スマートコード、又は他の記号の取り込み易さを利用して、ユーザは、食料品を正確に識別し、この食料品を本発明のシステムに格納された食料品/バーコードに関連付けられた食材に適合させることができる。
【0068】
一部の実施形態では、デジタル表示は、勧告エンジンが食物情報の適切なレベルを決定するのに十分完全ではないレベルの画像データを提供する場合がある。例えば、一部の実施形態では、画像データは、果物又は野菜の形状及び色に関する抽出されたデータを含むことができるが、食物アクセス制御システム105は、食材データベース155に格納された食材データを画像データに相関させることができない場合がある。従って、一部の実施形態では、食物アクセス制御システム105は、果物及び野菜の省略されたリストからデバイスインタフェース110を通じた適切な選択をすることにより、食料品の明確な識別を提供するようにユーザ101a又は個人101b、101c、101dのグループを促すことができる。選択された状態で、食材処理モジュール130は、食材データベース155に格納された食材データとの適切な相関関係を作ることができる。
【0069】
一部の実施形態では、食料品に関する食物情報の受信は、関連の食材データの提供を助けることができるあらゆる数の公知の又は新生の技術を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、食料品に関する食物情報の受信は、食料品のスペクトル分析又は化学感覚法を含むことができる。
【0070】
一部の実施形態では、食料品のスペクトル分析は、食料品を電磁放射に露出させる段階、及び食料品によって発せられた入射電磁放射を検出する段階を含むことができる。これは、レーザ又はスペクトル狭窄LEDのようなある形態の放射線に食料品を露出することによって食料品の食材成分を決定するように具体的に設計されたデバイスによって達成することができる。例示的スペクトルデバイスは、以下に限定されるものではないが、引用によって本明細書にその全体が組み込まれている米国特許第9,212,996号明細書に説明されたものを含む。一部の実施形態では、ターゲット食料品は、その組成に応じてある一定の波長の光を吸収し、吸収されなかった光をデバイスに戻す。一部の実施形態では、このデバイスは、入射電磁放射を周波数スペクトルに分離することができる回折格子及び/又はスペクトグラフを更に含むことになる。この処理は、レンズを使用することで支援することができ、入射放射の回折及び分離を助けることができる。周波数スペクトルは、次に、検出器内に発することができ、これは、次に、コントローラ集積回路の制御下で、ネットワークマイクロコントローラによりネットワーク又はバス接続を通じてパケットでデジタル化及び送信することができる電気又は電子信号を生成することができる。一部の実施形態では、デジタル化スペクトルは、データを分析して受信したデータに基づいてランキング処理を通じて食物情報を提供することができるネットワークサブシステムにおける処理を受ける。従って、一部の実施形態では、本方法は、食料品から発せられた電磁放射をデジタル食物成分データに変換する段階、及びデータ処理モジュールを使用してデジタル食物成分データに食材データを相関させる段階を含む。本明細書に説明する他の実施形態のように、必要とされる時にアクセスするためにネットワークに食材データを予め存在させて格納しておくことができる。この特定の実施形態では、食材データは、ターゲット食料品から得られた電磁データに一致させるか又は相関させることができる特定の食材の事前編成されたスペクトルデータを含むことができる。一部の実施形態では、スペクトルデバイスは、デバイスに収容されたソフトウエアエンジンを通じて及び/又は関連のソフトウエアエンジン及びデータベースへのアクセスを有するネットワークへの接続により、データを処理することができるモバイルデバイス又はタブレットに一体化することができる。
【0071】
一部の実施形態では、食料品の化学感覚法は、食料品を化学感覚デバイスに露出する段階、及び食料品によって発せられた入射化学信号を検出する段階を含む。一部の実施形態では、化学感覚法は、「電子鼻」又は「機械臭覚」又は「人工臭度測定」を含むことができ、ターゲット食料品の揮発性(例えば、気体の)化学痕跡が組成に関して検出及び分析される。一部の実施形態では、この方法は、食料品から検出された化学信号をデジタル食物成分データに変換する段階、及びデジタル食物成分データにデータ処理モジュールを使用して食材データを相関させる段階を含む。一部の実施形態では、必要とされる時にアクセスするためにネットワークに食材データを事前に存在させて格納しておくことができる。この特定の実施形態では、食材データは、特定の食材の事前編成された化学痕跡を含むことができ、これをターゲット食料品から得られた化学信号データに適合又は相関させることができる。一部の実施形態では、化学感覚デバイスは、モバイルデバイス又はタブレットに一体化することができ、デバイスに収容されたソフトウエアエンジンを通じて及び/又は関連のソフトウエアエンジン及びデータベースへのアクセスによってネットワークに接続することによってデータを処理することができる。
【0072】
上述のように、ユーザのデバイスのセンサを使用して、食物データに加えて周囲データ(例えば、位置データ、温度データ、時間データなど)を収集することができる。これらの実施形態では、食材処理モジュール130は、収集した周囲データを使用して食料品の食材値を導出するようにプログラムされる。例えば、レストランは、ローカルに食材をソーシングする場合があり、同じレストランチェーンからであるが、異なるレストラン位置からの同じ料理が僅かに異なる食材を含有する場合がある。更に、温度が一部の食料品に化学反応を引き起こさせ、食料品が新鮮である時に存在していたものとは異なる材料を生じる場合がある。従って、一部の実施形態の食材処理モジュール130は、食料品の食材値を導出することを助けるために周囲データ(位置データ、温度データ、時間データなど)を使用するようにプログラムされる。
【0073】
別の実施形態では、食材情報は、第2信頼レベルデータで表すことができる。ある一定の実施形態では、第2信頼レベルデータは、食材信頼レベルデータを含む。食材信頼レベルデータは、センサデータの食料品が特定の材料を含有する可能性又は確率を表している。従って、食材信頼レベルは、食材を識別して食料品に存在しそうな可能性又は確率を割り当てることによって導出される。
【0074】
一部の実施形態では、医師及び患者からの体験履歴を通じた入力によって少なくとも1つの材料信頼値を独立に計算又は編成することができる。例えば、銘柄Xのクッキーを食べて非常に軽い有害反応を示すグルテンへの既知の感受性しか持たない患者は、この体験を食材データベース155にアップロードすることができ、銘柄Xのクッキーがグルテンを含有する50%の確率を反映する食材データベース155の割り当てられた材料信頼値の基礎を提供することができる。同様に、銘柄Yの寿司の材料を調べている医師は、材料リストにおける「模造カニ肉」の存在に気付く場合があり、銘柄Yの寿司が本物のカニ肉を実際に含む10%又はそれ未満の確率を反映する食材データベース155の割り当てられた材料信頼値の基礎を提供することができる。
【0075】
更に別の実施形態では、一部の食料品における材料の信頼値に関する詳細な情報を食料品の製造業者又はプロバイダから取得することができ、食物勧告システムに利用することができ、正確な材料信頼値を備えた食物情報を直接受信することができる。例えば、一部の実施形態では、レストランは、食材データベース155の一部のメニューに関連付けられた食料品及び食材データを提供することができ、精度を維持するために定期的に更新することができる。従って、第2信頼レベルは、極めて正確なレベルで維持することができ、それによってエンジンは、いずれかの不完全又は不正確な画像データに基づく「根拠のある推測」に頼る必要はない。
【0076】
一部の実施形態では、ユーザ101a、個人101b、101c、101dのグループ、又はあらゆる他の第三者は、食料品及び/又は食材のアイデンティティをデバイスインタフェース110を使用することによって食物アクセス制御システム105に手動で入力することができる。この食材グループデータは、食材データベース155に格納された食料品及び/又は食料品の材料に関する信頼レベルデータに相関させることによって食材処理モジュール130によって利用することができる。別の実施形態では、上述のように、食料品及び/又は食料品の材料のアイデンティティを食材処理モジュール130によって決定することができ、食料品に関連付けられたオブジェクトのデジタル表示からいずれかの画像データを抽出し、同様に食料品の関連する食材に関する関連情報及び食料品に関連付けられたあらゆる信頼レベルデータにも相関させることができる。
【0077】
食材信頼レベルデータは、0から100%の範囲に示すことができ、これは、食料品が特定の食材を含有する「可能性」又は「確率」を表している。例えば、食料品が豚肉を含有することを食物包装が表示している時に、食材信頼レベルは100%とすることができる。チョップサラダが複数枚のハムを含有し、ハムが七面鳥ハム以外の豚肉ハムである可能性が60:40である時に、豚肉の食材信頼レベルは60%とすることができる。別の例に対して、レストランBのメニューが、メニューCがビーガンメニューであることを表す場合に、豚肉の食材信頼レベルは0%に近づくことができる。
【0078】
他の実施形態では、食物感受性信頼レベルの生値を提供する代わりに、材料に対する食物感受性信頼レベルデータを特定の材料を含有する高-中-低可能性レベルとして表せるようにも考えられている。例えば、食材信頼レベルが高閾値レベルよりも高い場合に(75%、80%、85%、90%など)、食料品の食材信頼レベルデータを高と表すことができる。この例に対して、食材信頼レベルが低閾値よりも高いが(50%、45%、40%、35%など)、高閾値よりも低い場合に、食料品の食物感受性信頼レベルデータを中と表すことができる。食材信頼レベルが低閾値よりも低い場合に、食料品の食材信頼レベルデータを低と表すことができる。高及び低閾値は、多くの変数(例えば、調理方法、食料品にあると予想される材料の量など)に応じて決定することができる。
【0079】
一部の他の実施形態では、食材信頼レベルデータは、ユーザ101a又は他のユーザに視覚的に表示される。例えば、食材信頼レベルデータは、グラフィック連続プログレスバーとして示すことができる。このプログレスバーは、感受性のレベルに応じてバーに異なる色を付けることができる(例えば、高レベルの可能性には赤、中レベルの可能性には黄など)。
【0080】
他に言及されない限り、本明細書に説明する方法の要素は、信頼できる食物勧告の発生を依然として可能にするいずれかの特定の順序で一般的に行うことができることを理解しなければならない。すなわち、例えば、一部の実施形態では、食料品に関する食物情報を受信する前に食物感受性データを受信する必要はない。実際に、一部の実施形態では、食料品に存在する一部の食材の信頼レベルを決定するために食料品に関する食物情報を最初に受信することが望ましい場合がある。この実施形態では、本発明のシステムは、患者に全体的に関連付けられたいずれかのかつ全ての食材感受性に関連するデータにアクセスする必要なく、患者のいずれの食物感受性データもそれがそれらの関連の食材に具体的に関連する時に受信することができると考えられる。
【0081】
一実施形態では、食物アクセス制御システム105は、食物感受性信頼レベルの決定に関して機械学習を実行することができる。ユーザ101a、又は個人101b、101c、101dのグループの食物感受性試験データ及び/又は体験データがある。この実施形態では、食物アクセス制御システム105は、ユーザ101及び/又は個人101b、101c、101dのグループ毎に食物感受性データ又は食材データのパターンを識別することができる。例えば、食物アクセス制御システム105が、疑われるIBS患者グループから増加した数の食物感受性データを受信した時に、このより多くの患者は、去年の冬シーズンに捕らえられたアラスカキングクラブに対する有害反応を示していた。次に、食物アクセス制御システム105は、疑われるIBS患者グループが今度は昨年の冬シーズンに捕らえられたアラスカキングクラブに対して増加した感受性を有するというパターンを識別することができる。
【0082】
パターンが識別された状態で、食物アクセス制御システム105は、このパターンに特定の食材に対する有害反応を患者が有する確率又は可能性を相関させることができる。例えば、疑われるIBS患者グループが今度は昨年の冬シーズンに捕らえられたアラスカキンググラブに対して増加した感受性を有するというパターンから、食物アクセス制御システム105は、類似の症状を有するIBS患者又は個人に対して、昨年に冬シーズンに捕らえられたアラスカキングクラブに対する有害反応を有する高い確率又は可能性を有するIBS患者を相関させることができる。食物アクセス制御システム105は、昨年の冬シーズンに捕らえられたアラスカキングクラブに対する食物感受性信頼レベルが上がるというユーザ(患者101a)の食物感受性信頼レベルを自動的に更新することができる。
【0083】
同様に、食物アクセス制御システム105は、食材信頼レベルの決定に関して機械学習を実行することができる。この実施形態では、食物アクセス制御システム105は、ブラックタイガーに対する高い感受性を有する人のグループから、この人々の多くがレストランAのフィッシュケーキスープに対して有害反応を有したという多くのデータを受信する。次に、食物アクセス制御システム105は、レストランAのフィッシュケーキスープに対する食材信頼レベルを自動的に更新する。
【0084】
食物感受性信頼レベルデータ及び食材信頼レベルデータが発生された状態で、安全レベル処理モジュール135は、食物感受性信頼レベルデータ及び食材信頼レベルデータを比較して食料品をユーザ101aが消費するための安全レベルを発生するように構成される。一部の実施形態では、安全レベルは、食物感受性信頼レベルと食材信頼レベルを同等に考えることによって計算される。しかし、安全レベルは、食物感受性信頼レベルに食材信頼レベルよりも重く重み付けすることによって計算されるか又はその逆も同様であるようにも考えられている。
【0085】
一部の実施形態では、安全レベルは、0から100%の範囲で表すことができる。例えば、ユーザ101aが食料品103を消費しても絶対安全である(例えば、患者が、食料品103の全ての食材に対して食物感受性を持たないか、又は食料品103が、患者が有害反応を有する場合があるいずれかの食材を含有する可能性がないなど)と決定された時に、安全レベルは100%とすることができる。対照的に、ユーザ101aが食料品103を消費するのは絶対危険である(例えば、患者が、食料品103の少なくとも1又は2以上の食材に対して深刻な食物感受性を有するか、又は食料品103が、患者が有害反応を有する場合があるいずれかの食材を含有する100%の可能性を有するなど)と決定された時に、安全レベルは0%とすることができる。
【0086】
別の例に対して、食物感受性信頼レベルデータが食材信頼レベルデータよりも低く、食物感受性信頼レベルデータが50%よりも高い場合に、40%未満の安全レベルを発生させることができる。別の例に対して、食物感受性信頼レベルデータが食材信頼レベルデータよりも高く、食物感受性信頼レベルデータが100%に近い場合に、90%を超える安全レベルも発生させることができる。しかし、食物感受性信頼レベルデータが食材信頼レベルデータよりも高く、食物感受性信頼レベルデータが50%に近い場合に、50%の安全レベルを発生させることができる。食物感受性信頼レベルデータ及び食材信頼レベルデータの両方が50%よりも低い場合に、25%よりも低い安全レベルを発生させることができる。
【0087】
他の実施形態では、安全レベルの生値を提供する代わりに、食料品103をユーザ101aが消費するための安全レベルデータは、高-中-低可能性レベルとして表せるように考えられている。例えば、安全レベルが高閾値レベルよりも高い場合に(75%、80%、85%、90%など)、食料品の安全レベルデータを高と表すことができる。この例に対して、安全レベルが低閾値よりも高いが(50%、45%、40%、35%など)、高閾値よりも低い場合に、食料品の安全レベルデータは、中と表すことができる。安全レベルが低閾値よりも低い場合に、食料品の安全レベルデータは、低と表すことができる。高及び低閾値は、食物感受性信頼レベル及び食材信頼レベルを決定すると考えられる多くの変数に応じて決定することができる。
【0088】
一部の他の実施形態では、安全レベルデータは、ユーザ101a又は他のユーザに視覚的に表示される。例えば、安全レベルデータは、グラフィック連続プログレスバーとして示すことができる。プログレスバーは、バーに異なる色表示を付けることができる(例えば、低安全レベルに赤、安全レベルに黄、高安全レベルに緑など)。
【0089】
安全レベルデータが安全レベル処理モジュール135によって発生された状態で、安全レベル処理モジュール135は、安全レベルに基づいて食料品の勧告を発生させることができる。安全レベル処理モジュール135内で発生された勧告は、出力インタフェース145を通じて表示デバイス165に表示することができる。ある一定の実施形態では、表示デバイス165は、ユーザデバイス102aである。安全レベル処理モジュール135は、各通知タイプ(例えば、「高警告」、「中警告」、又は「警告なし」)に対応するテキストデータ、音声データ、又はグラフィックデータを生成するか又は表示デバイス165に表示させるように構成される。一部の実施形態では、この通知は、テキストデータ、音声データ、又はグラフィックデータのうちの少なくとも1つと共に表示される。他の実施形態では、この通知は、2又は3以上のデータのタイプを組み合わせて表示することができる(例えば、警告音を備えたテキスト警告、グラフィック警告サインを備えたテキスト警告、警告音を備えたグラフィック警告サインなど)。他の実施形態では、安全レベル処理モジュール135は、複数の勧告のランキング(例えば、高警告が最初で、警告なしが最後になるなど)を生成するように構成され、かつランキングに基づいて通知を生成するようにも構成される。
【0090】
安全レベル処理モジュール135はまた、高又は中警告がオリジナル食料品ターゲットに表示された場合に、類似の食物カテゴリのものと考えられるが警告なし又は低警告を有する代替食料品の勧告を発生させることができる。一部の実施形態では、代替食料品は、オリジナル食料品の警告通知と共に、又は警告通知に関連付けられた個別のリンクとして表示することができる。一部の実施形態では、代替食料品は、高又は中ランキングの代替として最低ランキングを付けて表示することができる。
【0091】
ある一定の実施形態では、ユーザ101aは、表示デバイス165に関連付けられる。しかし、患者に直接に関連付けられない表示デバイス165(例えば、介護者のデバイス、調理師のデバイスなど)に勧告を表示することができるようにも考えられている。
【0092】
一部の実施形態では、食物勧告又は代替食物勧告は、宣伝資料に関連付けることができる。宣伝資料は、食物勧告に関連付けられた食物及び/又はサービスに関するスポンサー付き第三者広告を含むことができる。一部の実施形態では、宣伝資料は、銘柄広告、製品手数料、製品クーポン、又は製品値引き通知(例えば、スーパーマーケットのレジでの1.00ドルの値引き等)のうちの少なくとも1つを含む。
【0093】
一部の実施形態では、食物感受性信頼レベルは、患者の健康状態に対する食材のいずれかの有意水準を含むことができる。従って、一部の実施形態では、食物アクセス制御システム105は、医療プロバイダから診断結果又は勧告を受信してユーザ(例えば、患者101aなど)への食物勧告を発生させるように構成される。例えば、食物感受性データベース150の患者の医療データは、患者の心臓状態を改善又は維持するための高コレステロール含有食物を制限する医師の勧告を含むことができる。食物アクセス制御システム105は、食料品の食材信頼レベル(例えば、食料品におけるコレステロールタイプ又は量)を比較してユーザ101a又は他のユーザ(介護者など)に勧告を提供することができる。
【0094】
一部の実施形態では、食物アクセス制御システム105は、複数の個人(例えば、4人家族など)に関連付けられた医療データを取得して複数の勧告を提供するか又は全ての個人の食物感受性信頼レベルデータを満足させる最適な勧告を提供するように構成される。例えば、4人家族は、複数の健康状態又は食物感受性を有する場合がある。食物勧告エンジン110は、家族の全ての医療データを取得するように構成され、同時に複数の勧告(例えば、レストランFでメニューA、C、及びDを避ける)、又は家族全員に最適の勧告(例えば、全員が共有することができる最良のメニューは、レストランFのメニューGである)を提供することができる。
【0095】
食物アクセス制御システム105はまた、安全レベル処理モジュール135で発生された安全レベルデータに従って、食物アクセス制御システム105に通信的に結合された機械160の作動を調節することができる。一部の実施形態では、機械は、ユーザデバイス102a、102b、102c、102dのうちの少なくとも1つとすることができる。他の実施形態では、機械は、少なくとも1又は2以上のユーザデバイス102a、102b、102c、102dに通信的に結合することができるユーザデバイス102a、102b、102c、102d以外の異なるデバイスとすることができる。例えば、機械160は、異なる食料品を販売する自動販売機とすることができる。食物アクセス制御システム105は、自動販売機が自動販売機を使って食料品を購入しようにとする個人に低安全レベルを有する食料品を販売しないように構成することができる。別の例に対して、機械160は、食料品のセルフ注文キオスクとすることができる。食物アクセス制御システム105は、セルフ注文キオスクがメニューリストから食材(例えば、ハンバーガーのマスタードソース)を表示しないように又は注文された食料品が低安全レベルを有する食材を含有する場合に注文を受け入れないように構成することができる。セルフ注文キオスクの1つは、ユーザがオンライン注文システムのショッピングカートに低安全レベルの食料品を入れようとするか又は入れた時に警告サインを表示するか又はユーザの注文の受付を拒否するオンラインショッピング又はオンライン注文システム(ウェブページ、モバイルアプリケーションなど)を含む。このシナリオでは、コンピュータは、特定の色(例えば、赤の文字又は反転表示など)でショッピングカート内の食料品の注文にラベル付け又はマーク付けするか、又は警告サイン(「!」マーク又は「警告」又は「危険」など)を添付するか、又はショッピングカートに食料品が入ることを拒否することができる。
【0096】
更に別の例に対して、機械は、飲み物生成機械(例えば、カプセルコーヒー/紅茶マシンなど)であり、食物アクセス制御システム105は、飲み物生成マシンが、飲み物が低安全レベルの食材(例えば、カフェインなど)を含有する場合がある場合に飲み物を調合しないようにする及び/又は機械のLED画面に警告サインを提示するように構成することができる。更に別の例に対して、機械は、患者からの料理の注文を受け入れるロボット調理人である。食物制限、並びに食料品の安全レベルを必要とする健康状態に基づいて、食物アクセス制御システム105は、特定の料理の調理を拒否し、代替料理の音声又は文字の勧告をユーザ101aに提供し、又は患者が消費するのに高安全レベルを有する代替材料を使用してユーザ101aの満足の有無に関わらず注文された料理を調理するようにロボット調理人を構成することができる。
【0097】
機械160はまた、ブラウジング機能及び/又は場所検出機能を提供するあらゆるコンピュータとすることができるように考えられている。例えば、機械160は、コンピュータとすることができ、食物アクセス制御システム105は、ブラウザに追加フィルタリングを提供することにより(例えば、オンライン注文システムに特定の食料品を表示しない、特定の食料品を使用した一部のレシピを表示しない)、コンピュータが一部の特定の食料品へのユーザアクセスを制限するように構成することができる。
【0098】
別の例に対して、機械160は、食料品が冷蔵庫又は食料庫のユーザに対して低安全レベルを有する場合に食物アクセス制御システム105が冷蔵庫又は食料庫に補充しておくための食料品の注文を自動的に取り消すようにコンピュータを構成することができる冷蔵庫又は食料庫に結合されたコンピュータである。代わりに、食物アクセス制御システム105は、冷蔵庫又は食料庫のユーザが低安全レベルの食料品を注文することを試みた時に置換(又は勧告された代替物)食料品を自動的に注文するようにコンピュータを構成することができる。
【0099】
図2は、1つの例示的食物アクセス制御環境200を示している。この食物アクセス制御環境200では、食物アクセス制御システム105は、ユーザデバイス102a、102b、102cにそれぞれ結合されたユーザ101a及び他の個人101b、101cに通信的に結合される。ユーザ101aは、スーパーマーケットにいて昼食にボックスサラダ203aを買おうと考えている。ユーザ101aは、最近、軽度のIBSであると診断され、焼いたイタリアンズッキーニを食べた時に必ず有害反応(下痢など)を示している。軽度IBS診断というこのユーザの医療情報は、食物アクセス制御システム105で処理された後に食物感受性データベース150に格納されたユーザの医師のオフィスのユーザの医療データストレージから送信される。焼いたイタリアンズッキーニに関する患者の体験情報が患者によって入力され、このデータが食物アクセス制御システム105で処理された後に食物感受性データベース150に格納される。食物感受性データベース150は、患者101aに類似の症状を有する軽度IBSと診断された別の個人101bの食物感受性データも格納する。別の個人101bの食物感受性データは、個人101bがピーナッツオイルに対する有害反応を有することを示している。患者の医療データ及び体験データ、並びに他の個人(同じ病気及び類似の症状を有する)の医療データ及び体験データに基づいて、食物アクセス制御システム105は、イタリアンズッキーニの食物感受性信頼レベルが高い(例えば、90%よりも高いなど)、及びピーナッツオイルの食物感受性信頼レベルが恐らく高い(例えば、70%よりも高いなど)と決定する。
【0100】
ユーザ101aがバーコード204aを備えたボックスサラダ203aを買うことに関心を示す時に、患者は、ボックスサラダ203aの中身の写真を撮る及び/又は患者のユーザデバイス102aのカメラでサラダボックスの外側のバーコードを走査する。サラダの中身及び/又はバーコードの視覚表示が食物アクセス制御システム105に送信され、食物アクセス制御システム105で食材情報が視覚表示に基づいて抽出される。例えば、ボックスサラダの中身の写真から、食物アクセス制御システム105のデータ処理モジュール120は、ボックスサラダが、中身の形状及び色に基づいてレタス、ニンジン、チェダーチーズ、芽キャベツ、及びイタリアンズッキーニを含む場合があるという情報を抽出することができる。他の例に対して、走査されたバーコード204aから、食物アクセス制御システム105のデータ処理モジュール120は、レタス、ニンジン、チェダーチーズ、芽キャベツ、及びイタリアンズッキーニに加えて、ボックスサラダ203aが、砕いたクルミ及び刻んだレーズンを含むという情報を抽出することができる。この情報に基づいて、食物アクセス制御システム105は、レタス、ニンジン、チェダーチーズ、芽キャベツ、イタリアンズッキーニ、砕いたクルミ及び刻んだレーズンに対する食材信頼レベルが高い(例えば、90%を超えるなど)というボックスサラダ203aの食材信頼レベルを決定することができる。
【0101】
食材データベース155は、別の個人101cによって発生されて別の個人101cから送信されたバーコード204bを有する同じボックスサラダ203bの食材情報を含む場合がある。個人101cはIBSと診断されたことがなく、IBSのいずれの症状も有したことがない。しかし、個人101cは、ピーナッツオイルに対して有害反応を有したことがある。個人101cは、バーコード204bを有する同じボックスサラダ203bを購入してサラダに有害反応を有したことがある。個人101cは、ボックスサラダ203bがピーナッツオイルを含有する場合があると疑っているという食材情報を入力した。個人101cの体験データに基づいて、食物アクセス制御システム105は、ボックスサラダ203bがピーナッツオイルを含有する食材信頼レベルが中から高である(例えば、50-75%、60-80%など)というボックスサラダ203bの食材情報を更新することができる。
【0102】
食物感受性信頼データ及び食材信頼データに基づいて、食物アクセス制御システム105は、ユーザ101aがボックスサラダ203aを消費するための安全レベルを決定することができる。食物感受性信頼レベルがイタリアンズッキーニに対して高く、ピーナッツオイルに対して中-高であり(恐らく高い)、イタリアンズッキーニ及びピーナッツオイルに対する食材信頼レベルが高及び中-高であるので、ユーザ101aがボックスサラダ203aを消費するための安全レベルは恐らく低い。
【0103】
食物アクセス制御システム105は、ディスプレイ265を含むレジ係のカウンタ260に結合される。ユーザ101aがボックスサラダ203aを消費するための安全レベルが低いと食物アクセス制御システム105が決定した状態で、食物アクセス制御システム105は、患者が買おうとした時にレジ係のカウンタ260にボックスサラダ203aの精算を拒否させることができる。これに加えて、食物アクセス制御システム105は、レジ係のカウンタに関連付けられたディスプレイ265にレジ係への警告サイン(例えば、「処理禁止」など)又は患者への警告サイン(例えば、「消費すると危険」など)を表示させることができる。更に、食物アクセス制御システム105は、ディスプレイ265にユーザ101aが消費するのに安全な代替食料品のリストを表示させ、レジ係のカウンタ260に代替食料品のクーポンを含む宣伝資料を印刷させることができる。
【0104】
ある一定の実施形態では、仮想現実又は拡張現実タイプのプログラム及びデバイスは、本明細書に説明するシステム及び方法に一体化することができる。ある一定の実施形態では、食物アクセス制御システムは、本明細書に説明した方法の段階の1又は2以上の拡張現実プラットフォームをユーザ101aに提供することができる。例えば、センサデータを取得する段階及び/又は安全レベルを発生させる段階中にユーザ101aに拡張現実を提供することができる。リアルタイムビデオ、デジタル表示、及び/又は他のセンサデータの取り込みを拡張して、ユーザ101aに仮想オプション又は勧告を提供することができる。これらの実施形態では、仮想食物勧告又は代替物は、デバイス102a(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、仮想現実ヘッドセットなど)上でユーザ101aに提供することができ、これは、ユーザによって選択又はスクロールすることができる。
【0105】
開示する主題の別の態様は、食材に対する有害反応から患者を守る方法に関する。図3は、本方法の一実施形態の流れ図を示している。本方法は、ユーザ(例えば、患者)の医療データ及び/又は他の個人(例えば、同じ疾病又は類似の症状を有する個人など)の医療データを取得又は受信する段階305から始まる。一部の実施形態では、医療データは、医療プロバイダ又はヘルスケアプロバイダ(例えば、病院、医師のオフィス、歯科医のオフィス、薬局、検査室、医師、看護師、薬剤師、保険プロバイダ、患者のヘルスケアのための連絡先のあらゆる地点など)からデータを公開するという患者の同意の下で直接に送信される。一実施形態では、医療データは、1又は2以上の個人の食物感受性試験データ及び/又は体験データを含む。医療データが取得又は受信された状態で、医療データは、食物感受性データベースに格納される。次に、医療データに基づいて、本方法は、食材に対して有害反応を有するユーザの確率を示す食物感受性信頼レベル(第1信頼レベル)を導出する段階310によって継続される。
【0106】
本方法は、食料品に関連付けられたオブジェクト(例えば、バーコード、調理された料理の写真など)のセンサデータ(例えば、デジタル表示)を取得する段階315によって継続される。一実施形態では、画像データは、画像取得デバイス(例えば、モバイルデバイスのカメラ)によって得られる。しかし、食材情報を抽出するためのあらゆる適切なセンサデータを使用することができるように考えられている。同じく、あらゆる既存の前処理された画像データ(例えば、パーソナルコンピュータ上の画面取り込み画像データなど)を使用することができるように考えられている。
【0107】
センサデータが得られた状態で、本方法は、センサデータから食材信頼レベル(第2信頼レベル)を導出する段階320によって更に継続される。食材信頼レベルは、食材が食料品に存在する確率又は可能性を示している。次に、本方法は、食物感受性信頼レベル及び食材信頼レベルに基づいて患者が食料品を消費するための安全レベルを決定する段階325によって継続される。安全レベルが低い場合に(例えば、患者が食料品を消費するのは危険である)、本方法は、食料品へのユーザのアクセスを機械に制限させる段階330によって継続される。段階330はまた、食料品を消費しないか又は食料品を患者に提供しないという勧告をクライアント又は第三者に表示する段階を含むことができる。
【0108】
本明細書に開示する概念から逸脱することなく、上述したものに加えて更に多くの修正が可能であることは当業者には明らかなはずである。従って、開示する主題は、特許請求の範囲の精神における例外を制限するものではない。本明細書及び特許請求の範囲の両方を解釈する場合に、全ての用語は、文脈に一致する様々な可能な方式で解釈しなければならない。特に、「comprises」及び「comprising」という用語は、参照される要素、構成要素、又は段階が、明示的に参照されていない他の要素、構成要素、又は段階と共に存在し、又は利用することができる又は組み合わせることができることを示す非排他的な方式で要素、構成要素、又は段階を示すものとして解釈しなければならない。本明細書の特許請求の範囲が、A、B、C...及びNから構成されるグループから選択されたあるもののうちの少なくとも1つを指す場合に、この文章は、AプラスN、又はBプラスNなどではなく、グループからの唯1つの要素を要求するものとして解釈しなければならない。
図1
図2
図3