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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】整髪剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20221003BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20221003BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20221003BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/92
A61K8/31
A61K8/891
A61K8/362
A61Q5/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021508128
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2020002127
(87)【国際公開番号】W WO2020195065
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2019061952
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 淳史
(72)【発明者】
【氏名】中野 涼
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-256257(JP,A)
【文献】特開2018-058771(JP,A)
【文献】特開2014-162788(JP,A)
【文献】FT Shiseido, Japan,Super Hard Wax,Mintel GNPD [online],2007年01月,Internet <URL:https://WWW.portal.mintel.com>,ID#639775, [検索日:2022年9月2日], 製品詳細, 製品情報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、および下記成分(D)を含有し、
前記成分(A)の含有量が2.0~18.0質量%であり、
前記成分(C)の含有量が6.0~28.0質量%であり、
前記成分(D)の含有量が1.0~15.0質量%である整髪剤組成物。
成分(A):ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸およびその塩、並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸およびその塩からなる群より選択される1以上の化合物
成分(B):ノニオン性界面活性剤
成分(C):融点が25℃以上であるロウおよび/または融点が25℃以上である炭化水素油
成分(D):25℃における動粘度が60cSt以下のシリコーンオイル
【請求項2】
さらに成分(E):珪藻土を1.0~10.0質量%含む、請求項1記載の整髪剤組成物。
【請求項3】
さらに成分(F):α-ケトグルタル酸を0.01~0.80質量%含む、請求項1または2記載の整髪剤組成物。
【請求項4】
前記成分(B)の含有量が3.0~15.0質量%である、請求項1~のいずれか一項に記載の整髪剤組成物。
【請求項5】
前記整髪剤組成物の性状が、グリース状、ジェル状、クリーム状、ワックス状、または固形状である、請求項1~4のいずれか一項に記載の整髪剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を整える整髪剤に好適に用いられる整髪剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛髪を固めずに髪型を形成できる特徴を有する毛髪化粧料として、ヘアワックス(ヘアスタイリングワックス)等の乳化整髪剤が広く用いられている(例えば、特許文献1、2等)。高い整髪力を有するヘアワックスは、固形油分を高配合することを特徴とする。固形油分を高配合するヘアワックスは、掌での伸びおよび毛髪塗布時の伸びが悪いという問題、洗浄時の洗い落ちが悪いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-143847号公報
【文献】特開2018-123117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記問題を解消する方法として、固形油分の含有量を減少させる方法、洗い落ちに優れる界面活性剤の含有量を増量させる方法等が考えられる。しかしながら、いずれの方法においても整髪力が低下してしまい、ヘアワックスの整髪力と、掌での伸びおよび毛髪塗布時の伸び、並びに洗浄時の洗い落ちのよさを両立させることは困難であった。
【0005】
本発明は、高い整髪力を有し、かつ掌での伸びおよび毛髪塗布時の伸びに優れ、洗浄時の洗い落ちも良好な整髪剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、所定のリン酸系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、所定の固形油分、および所定のシリコーンオイルを含有する整髪剤組成物とすることで、高い整髪力を有し、かつ掌での伸びおよび毛髪塗布時の伸びに優れ、洗浄時の洗い落ちも良好な整髪剤組成物が得られることを見出した。さらに好ましい態様においては、べたつきのなさも良好であることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、
〔1〕下記成分(A)、下記成分(B)、下記成分(C)、および下記成分(D)を含有し、前記成分(C)の含有量が6.0~28.0質量%であり、前記成分(D)の含有量が1.0~15.0質量%である整髪剤組成物、
成分(A):ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸およびその塩、並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸およびその塩からなる群より選択される1以上の化合物
成分(B):ノニオン性界面活性剤
成分(C):融点が25℃以上であるロウおよび/または融点が25℃以上である炭化水素油
成分(D):25℃における動粘度が60cSt以下のシリコーンオイル
〔2〕さらに成分(E):珪藻土を1.0~10.0質量%含む、〔1〕記載の整髪剤組成物、
〔3〕さらに成分(F):α-ケトグルタル酸を0.01~0.80質量%含む、〔1〕または〔2〕記載の整髪剤組成物、
〔4〕前記成分(A)の含有量が2.0~18.0質量%である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の整髪剤組成物、
〔5〕前記成分(B)の含有量が3.0~15.0質量%である、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の整髪剤組成物、に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い整髪力を有し、かつ掌での伸びおよび毛髪塗布時の伸びに優れ、洗浄時の洗い落ちも良好な整髪剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<整髪剤組成物>
本実施形態に係る整髪剤組成物は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸およびその塩、並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸およびその塩からなる群より選択される1以上の化合物、ノニオン性界面活性剤、融点が25℃以上であるロウおよび/または融点が25℃以上である炭化水素油、25℃における動粘度が60cSt以下のシリコーンオイルを必須の成分として含有する。また、珪藻土およびα-ケトグルタル酸を含むことが好ましい。なお、本明細書においては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸およびその塩、並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸およびその塩からなる群より選択される1以上の化合物を「成分(A)」;ノニオン性界面活性剤を「成分(B)」;融点が25℃以上であるロウおよび/または融点が25℃以上である炭化水素油を「成分(C)」;25℃における動粘度が60cSt以下のシリコーンオイルを「成分(D)」;珪藻土を「成分(E)」;α-ケトグルタル酸を「成分(F)」と称する場合がある。
【0010】
本実施形態に係る整髪剤組成物に含有される上記各成分の含有量は、それぞれ、整髪剤組成物の合計の含有量が100質量%以下となるように、記載の範囲内から適宜選択することができる。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
【0011】
[成分(A):ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸およびその塩、並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸およびその塩からなる群より選択される1以上の化合物]
成分(A)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸およびその塩、並びにポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸およびその塩からなる群より選択される1以上の化合物(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸(塩)および/またはポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸(塩))である。すなわち、成分(A)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸、およびポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1つの化合物である。成分(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸は、ポリオキシアルキレン残基と1価の飽和脂肪族アルコール残基とから構成されるエーテル(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)のリン酸エステルである。ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸は、ポリオキシアルキレン残基と1価の不飽和脂肪族アルコール残基とから構成されるエーテル(ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル)のリン酸エステルである。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルケニルエーテルにおけるポリオキシアルキレン残基を構成するオキシアルキレンとしては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン等の炭素数2~4のオキシアルキレン等が挙げられる。ポリオキシアルキレンとしては、中でも、ポリオキシエチレンが好ましい。上記ポリオキシアルキレンは、一種のみのオキシアルキレンを含んでいてもよいし、二種以上のオキシアルキレンを含んでいてもよい。また、ポリオキシアルキレンにおけるオキシアルキレンの平均付加モル数は、例えば2~25、好ましくは2~20である。
【0013】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを構成する1価の飽和脂肪族アルコール残基は、1価の飽和脂肪族炭化水素基を含む。1価の飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ラウリル基、セチル基、ステアリル基等の炭素数10~36(好ましくは炭素数12~18)の飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。上記1価の飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。
【0014】
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルを構成する1価の不飽和脂肪族アルコール残基は、1価の不飽和脂肪族炭化水素基を含む。1価の不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、オレイル基等の炭素数10~36(好ましくは炭素数12~18)の不飽和脂肪族炭化水素基が挙げられる。上記1価の不飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。
【0015】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸およびポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸は、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体のいずれであってもよく、これらのうちの2以上の混合物であってもよい。
【0016】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩およびポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸塩を構成する塩としては、例えば、無機塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。無機塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機アミン塩としては、例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。塩基性アミノ酸塩としては、例えば、アルギニン塩、リジン塩等が挙げられる。なかでも、ナトリウム塩が好ましい。
【0017】
成分(A)としては、例えば、ラウレス-2リン酸、ラウレス-4リン酸、ジラウレス-10リン酸、トリラウレス-4リン酸等のポリオキシアルキレンラウリルエーテルリン酸;イソラウレス-4リン酸等のポリオキシアルキレンイソラウリルエーテルリン酸;セテス-10リン酸、セテス-20リン酸、トリセテス-5リン酸等のポリオキシアルキレンセチルエーテルリン酸;ステアレス-2リン酸、ステアレス-3リン酸等のポリオキシアルキレンステアリルエーテルリン酸;トリセテアレス-4リン酸等のポリオキシアルキレンセテアリルエーテルリン酸;オレス-3リン酸、オレス-4リン酸、オレス-5リン酸、オレス-7リン酸、オレス-8リン酸、オレス-10リン酸、オレス-20リン酸、ジオレス-8リン酸等のポリオキシアルキレンオレイルエーテルリン酸;(C12-15)パレス-3リン酸、(C12-15)パレス-6リン酸、(C12-15)パレス-9リン酸、ジ(C12-15)パレス-2リン酸、ジ(C12-15)パレス-4リン酸、ジ(C12-15)パレス-6リン酸、ジ(C12-15)パレス-6リン酸、ジ(C12-15)パレス-8リン酸、ジ(C12-15)パレス-10リン酸等のポリオキシアルキレンアルキル(C12-15)エーテルリン酸;およびこれらの塩等が挙げられる。なかでも、ポリオキシアルキレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシアルキレンオレイルエーテルリン酸、およびこれらの塩が好ましく;トリセテス-5リン酸、オレス-10リン酸、ジオレス-8リン酸、およびこれらの塩がより好ましい。
【0018】
整髪剤組成物100質量%中の成分(A)の含有量は、整髪力および洗い落ちのよさの観点から、2.0質量%以上が好ましく、4.0質量%以上がより好ましく、5.0質量以上%がさらに好ましい。また、硬くなりすぎて製剤化できなくなるのを抑制する観点、毛髪塗布時の伸びの観点からは、18.0質量%以下が好ましく、16.0質量%以下がより好ましく、12.0質量%以下がさらに好ましい。
【0019】
[成分(B):ノニオン性界面活性剤]
ノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油が好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。これらの成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
整髪剤組成物100質量%中の成分(B)の含有量は、整髪力および洗い落ちのよさ観点、また製剤を適当な硬さにする観点から、3.0質量%以上が好ましく、4.0質量%以上がより好ましく、5.0質量%以上がさらに好ましい。また、硬くなりすぎて製剤化できなくなるのを抑制する観点、毛髪塗布時の伸びの観点からは、15.0質量%以下が好ましく、12.0質量%以下がより好ましく、11.0質量%以下がさらに好ましい。
【0021】
[成分(C):ロウおよび/または炭化水素油]
融点が25℃以上であるロウとしては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、モクロウ、セラックロウ、鯨ロウ、およびラノリン等が挙げられる。融点が25℃以上である炭化水素油しては、例えば、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、およびワセリン等が挙げられる。これら成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本実施形態における融点は、JIS K 0064:1992に準拠して測定したものである。
【0022】
整髪剤組成物100質量%中の成分(C)の含有量は、整髪力および髪型を長時間保持する特性(スタイル持続力)の観点から、6.0質量%以上であり、8.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましい。また、硬くなりすぎて製剤化できなくなるのを抑制する観点からは、28.0質量%以下であり、25.0質量%以下が好ましく、20.0質量%以下がより好ましい。
【0023】
[成分(D):25℃における動粘度が60cSt以下のシリコーンオイル]
本実施形態に係る整髪剤組成物は、25℃における動粘度が60cSt以下のシリコーンオイルを含有する。シリコーンオイルとしては、特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられ、ジメチコノールおよびジメチルポリシロキサンが好ましい。成分(D)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
シリコーンオイルの25℃における動粘度は、整髪力、洗い落ちのよさ、べたつきのなさの観点から、60cSt(60mm2/s)以下であり、50cSt以下が好ましい。また、シリコーンオイルの25℃における動粘度の下限値は特に制限されないが、使用感の観点、成分の揮発を抑制する観点からは、3cSt以上が好ましい。なお、シリコーンオイルの動粘度は、JIS Z 8803:2011「液体の粘度測定方法」に準拠して測定した値である。
【0025】
成分(D)の市販品としては、信越化学工業(株)製のKF-96シリーズ等が挙げられる。
【0026】
整髪剤組成物100質量%中の成分(D)の含有量は、毛髪塗布時の伸びの観点から、1.0質量%以上であり、2.0質量%以上が好ましく、4.0質量%以上がより好ましい。また、整髪力および洗い落ちのよさ観点からは、15.0質量%以下であり、13.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以下がより好ましい。
【0027】
[成分(E):珪藻土]
本実施形態に係る整髪剤組成物は、珪藻土を含有することが好ましい。珪藻土は、珪藻類の遺骸が堆積して形成された軟質の岩石または土壌である。また珪藻の他に、放散虫、海綿のとげ、石灰粒等を含む。通常は、これを乾燥または焼成したものを使用する。珪藻土は、多孔質で高い空隙率を有し、雰囲気の湿度に応じ該細孔内に湿気(水分)を保持したり、細孔内部から湿気を放出して、吸放湿剤として働き、雰囲気の湿度変化を収束させることができるため、スタイル持続力をより向上させることができる。珪藻土の平均粒子径は、0.1~20μmが好ましく、1~10μmがより好ましい。
【0028】
成分(E)の市販品としては、Imerys Performance Additives社製のImerCare(登録商標)400D、セライト社製のセライト(登録商標)、イーグルピッチャーミネラルズ社製のセラトム(登録商標)等が挙げられる。
【0029】
整髪剤組成物100質量%中の成分(E)の含有量は、整髪力、スタイル持続力およびべたつきのなさの観点から、1.0質量%以上が好ましく、2.0質量%以上がより好ましく、3.0質量%以上がさらに好ましい。また、毛髪塗布時の伸びの観点、粉浮き防止の観点からは、10.0質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましく、6.0質量%以下がさらに好ましい。
【0030】
[成分(F):α-ケトグルタル酸]
本実施形態に係る整髪剤組成物は、より優れた整髪力およびスタイル持続力を得るため、α-ケトグルタル酸を含有することが好ましい。整髪剤組成物100質量%中の成分(F)の含有量は、0.01~0.80質量%が好ましく、0.02~0.60質量%がより好ましく、0.03~0.40質量%がさらに好ましい。
【0031】
[その他の成分]
本実施形態に係る整髪剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記成分(A)~(F)以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、特に限定されず、例えば、水、多価アルコール、高級アルコール、皮膜形成ポリマー、上記成分(C)および(D)以外の油剤、上記成分(A)以外のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、上記成分(E)以外の粉体、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、植物抽出エキス、染料、顔料、pH調整剤、香料、防腐剤、増粘剤等が挙げられる。なお、上記その他の成分からは、上記成分(A)~(F)に含まれるものは除かれるものとする。
【0032】
本実施形態において使用する水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水等が挙げられる。
【0033】
本実施形態に係る水の含有量は、特に制限されず、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)およびその他の成分を除いた残部を、その含有量とすることができる。整髪剤組成物100質量%中の水の含有量は、特に限定されないが、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~80.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%がさらに好ましく、40.0~60.0質量%が特に好ましい。
【0034】
本実施形態に係る整髪剤組成物には、塗布時の延伸性を更に向上させるために、多価アルコールを含有させることができる。多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、グリコール、グリセリン類、糖アルコール等が挙げられる。上記グリコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレンソルビット等が挙げられる。上記グリセリン類としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。上記糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ソルビトール、マルチトール、トレハロース等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
多価アルコールを含有する場合、整髪剤組成物100質量%中の多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、毛髪固定力を有するとともに、延伸性を向上させる観点から、0.5~15.0質量%が好ましく、1.0~10.0質量%がより好ましい。
【0036】
上記高級アルコールとしては、炭素数が12~22のアルコールが好ましく、12~18のアルコールがより好ましい。高級アルコールの具体例としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられ、ステアリルアルコールが好ましい。これらの高級アルコールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
高級アルコールを含有する場合、整髪剤組成物100質量%中の高級アルコールの含有量は、特に限定されないが、0.30~3.8質量%が好ましく、0.50~3.2質量%がより好ましく、0.70~2.5質量%がさらに好ましい。高級アルコールの含有量を上記の範囲とすることにより、使用感がより向上する。
【0038】
上記皮膜形成ポリマーは、例えば、溶媒に溶解して頭髪に塗布した後に、頭髪に皮膜を形成することができるポリマーである。皮膜形成ポリマーを配合すると、スタイル持続力がより向上するため好ましい。
【0039】
皮膜形成ポリマーとしては、例えば、アニオン性皮膜形成ポリマー、カチオン性皮膜形成ポリマー、両性皮膜形成ポリマー、ノニオン性皮膜形成ポリマー等が挙げられ、アニオン性皮膜形成ポリマーがより好ましい。皮膜形成ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
上記アニオン性皮膜形成ポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボルニルアクリレート共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体、(スチレン/アクリル酸アミド)共重合体、アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸アルキルエステル/ジアセトンアクリルアミド/メタクリル酸共重合体、ウレタン-アクリル系共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0041】
上記カチオン性皮膜形成ポリマーとしては、例えば、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/メタクリロイルアミノプロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2-エトキシエチル/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体、塩化О-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)共重合体等が挙げられる。
【0042】
上記両性皮膜形成ポリマーとしては、例えば、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体[(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマー]、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、ジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物、(イソブチレン/ジエチルアミノプロピルマレイミド/マレイン酸)共重合体等が挙げられる。
【0043】
上記ノニオン性皮膜形成ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体[(ビニルピロリドン/VA)コポリマー]、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸エチル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルカプロラクタム、ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体[(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)コポリマー]等が挙げられる。
【0044】
皮膜形成ポリマー(好ましくは、アニオン性皮膜形成ポリマー)を含有する場合、整髪剤組成物100質量%中の皮膜形成ポリマーの含有量は、特に限定されないが、スタイル持続力をより向上させる観点から、0.01~5.0質量%が好ましく、0.1~4.0質量%がより好ましい。
【0045】
本実施形態に係る整髪剤組成物には、上記成分(C)および(D)以外の油剤として、融点が25℃未満の油剤を含有させることができる。融点が25℃未満の油剤としては、例えば、植物性油脂、エステル油、炭化水素油、高級脂肪酸等が挙げられる。前記の油剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記植物性油脂としては、例えば、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドホーム油、ハッカ油、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、およびこれらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)等が挙げられる。
【0047】
上記エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル等が挙げられる。
【0048】
上記炭化水素油としては、例えば、α-オレフィンオリゴマー、ミネラルオイル、ワセリン、水添ポリイソブテン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等が挙げられる。
【0049】
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。
【0050】
融点が25℃未満の油剤を含有する場合、整髪剤組成物100質量%中の融点が25℃未満の油剤の含有量は、特に限定されないが、2.0~15.0質量%が好ましく、4.0~12.0質量%がより好ましい。
【0051】
上記成分(A)以外のアニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-アシル-N-メチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸およびその塩、N-アシルサルコシンおよびその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩等が挙げられる。
【0052】
上記カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩等のアミン塩;モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩;アルキルピリジニウム塩等の環式4級アンモニウム塩;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0053】
上記両性界面活性剤としては、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩等のグリシン型両性界面活性剤;アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0054】
上記成分(E)以外の粉体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機粉体や有機粉体が挙げられる。また、粉体は、天然物、造粒物、複合粉体等いずれの由来であってもよい。粉体の形状は、特に限定されず、例えば、球状、燐片状、板状、粉末状等が挙げられる。
【0055】
成分(E)以外の粉体の具体例としては、例えば、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン、セルロース、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、シルセスキオキサン等の有機粉体;シリカ、タルク、ヒドロキシアパタイト、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機粉体が挙げられる。上記の中でも無機粉体が好ましく、コストの観点からタルクおよびシリカがより好ましい。これらの粉体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
本実施形態に係る整髪剤組成物の性状としては、例えば、グリース状、ジェル状、クリーム状、ワックス状、固形状等が挙げられ、グリース状、クリーム状、ワックス状が好ましい。
【0057】
本実施形態に係る整髪剤組成物の25℃における垂直応力は、取扱い性をより一層高める観点から、10~120gfが好ましく、30~80gfがより好ましい。なお、上記垂直応力は、以下のようにして測定される。まず、直径30mm以上の容器(例えばビーカーおよび広口ジャー容器等)に、該容器の底から22mm以上の高さまで整髪剤組成物を充填し、整髪剤組成物が充填された上記容器を25℃で静置する。次に、この静置状態で10φ球型アダプターを、スピード60mm/分の条件で、整髪剤組成物の上方から整髪剤組成物の上面に対して垂直に整髪剤組成物の上面から20mmの深度まで進入させ、この際の応力が上記垂直応力として測定される。上記垂直応力が小さいほど整髪剤組成物が柔らかいことを意味し、上記垂直応力が大きいほど整髪剤組成物が硬いことを意味する。上記垂直応力は、上記深度における応力測定が可能な応力測定装置を用いて測定することができる。上記応力測定装置としては、(株)サン科学製「レオメーター シリーズ」等が挙げられる。
【0058】
本実施形態に係る整髪剤組成物の製造方法としては、特に限定されないが、公知の整髪剤組成物の製造方法を採用することができ、例えば、各成分をパドルミキサー等で撹拌して均一化する方法等が挙げられる。
【実施例
【0059】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り、有効成分の配合量であり、「質量%」で表す。
【0060】
以下、実施例および比較例において用いた各種材料をまとめて示す。
オレス-10リン酸:商品名「CRODAFOS O10A」(クローダジャパン(株)製)
ジオレス-8リン酸ナトリウム:商品名「NIKKOL DOP-8NV」(日光ケミカルズ(株)製)
トリセテス-5リン酸:商品名「NIKKOL TCP-5」(日光ケミカルズ(株)製)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム:商品名「エマール270J」(花王(株)製)
セテス-20:商品名「EMALEX120」(ポリオキシエチレンセチルエーテル、日本エマルジョン(株)製)
PEG-40水添ヒマシ油:「NIKKOL HCO-40」(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製)
PEG-6デシルテトラデセス-30:商品名「NIKKOL PEN-4630」(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、日光ケミカルズ(株)製)
カルナウバロウ:商品名「TOWAX-1F8」(融点:85℃、東亜化成(株)製)
ミツロウ:商品名「コウサンダッシュミツロウ」(融点:65℃、三木化学工業(株)製)
マイクロクリスタリンワックス:商品名「Hi-Mic-1090」(融点:88℃、日本精蝋(株)製)
パラフィンワックス:商品名「SP-0165」(融点:74℃、日本精蝋(株)製)
シリコーンオイル1:商品名「KF-96L-5cs」(ジメチルポリシロキサン、動粘度(25℃):5cSt、信越化学工業(株)製)
シリコーンオイル2:商品名「KF-96-20cs」(ジメチルポリシロキサン、動粘度(25℃):20cSt、信越化学工業(株)製)
シリコーンオイル3:商品名「KF-96-50cs」(ジメチルポリシロキサン、動粘度(25℃):50cSt、信越化学工業(株)製)
シリコーンオイル4:商品名「KF-96-100cs」(ジメチルポリシロキサン、動粘度(25℃):100cSt、信越化学工業(株)製)
珪藻土:商品名「ImerCare 400D」(Imerys Performance Additives社製)
ベントナイト:商品名「ベンゲル」(日本有機粘土(株)製)
ポリリン酸ナトリウム:商品名「トリポリリン酸ナトリウム」(米山化学工業(株)製)
アニオン性皮膜形成ポリマー1:商品名「DynamX」(ウレタン-アクリル系共重合体、Nouryon社製)
アニオン性皮膜形成ポリマー2:商品名「アニセット HPA40」(アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、大阪有機化学工業(株)製)
アニオン性皮膜形成ポリマー3:商品名「プラスサイズ L-6330」(アクリル樹脂アルカノールアミン、互応化学工業(株)製)
アニオン性皮膜形成ポリマー4:商品名「プラスサイズ L-9909U」(アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、互応化学工業(株)製)
ミネラルオイル:商品名「CARNATION」(Sonneborn Inc社製)
パルミチン酸エチルヘキシル:商品名「コーヨーPOC」(交洋ファインケミカル(株)製)
ヒマシ油:商品名「RICOS CO-EX」(伊藤製油(株)製)
【0061】
(実施例1~32および比較例1~7)
表1~表4に示した組成(配合量)に従い、各成分を混合し、整髪剤組成物を調製した。得られた各整髪剤組成物について、下記評価を行った。
【0062】
(1)整髪力
得られた各整髪剤組成物0.8gを手に取り、カットウィッグ((株)ユーカリジャパン製、商品名「A-386」)の左半頭の毛髪に塗布し、毛髪を根元から垂直に立ち上げるように整髪を施した。各整髪剤組成物により整髪を施した半頭の毛髪を目視により観察し、下記の基準で整髪力の評価を行った。
[評価基準]
4点(優れる):毛髪が強く立ち上がった状態に整髪できた
3点(良好):毛髪がやや立ち上がった状態に整髪できた
2点(不十分):毛髪を少し持ち上げる程度しか整髪できなかった
1点(不良):毛髪を持ち上げる程度の整髪もできなかった
【0063】
(2)スタイル持続力
上記(1)の評価を行った各カットウィッグを25℃、湿度60%RHの室内で3時間静置した後、左半頭に用いた各整髪剤組成物0.8gを用いてカットウィッグの右半頭の毛髪に整髪を施した。整髪後3時間静置した左半頭と3時間の静置後に整髪を施した右半頭とを目視により比較し、下記の基準でスタイル持続力の評価を行った。
[評価基準]
4点(優れる):左半頭と右半頭に差がなかった
3点(良好):左半頭と右半頭に差があるが、左半頭の毛髪の立ち上がり状態が右半頭より劣るが右半頭の7割以上であった
2点(不十分):左半頭の毛髪の立ち上がり状態が右半頭の5割以上、7割未満であった
1点(不良):左半頭の毛髪の立ち上がり状態が右半頭の5割未満であった
【0064】
(3)塗布時の伸びのよさ
上記(1)の評価において、各整髪剤組成物0.8gを用いてカットウィッグの左半頭の毛髪に整髪を施した際の各整髪剤組成物の伸びのよさを、下記の基準で評価した。
[評価基準]
4点(優れる):引っかかりがなく、均一に伸び広げることができた
3点(良好):引っかかりを少し感じるが、均一に伸び広げることができた
2点(不十分):引っかかりを感じ、均一に伸び広げることができなかった
1点(不良):ムラ付きして均一に伸び広がらない
【0065】
(4)べたつきのなさ
上記(1)の評価において、各整髪剤組成物0.8gを用いてカットウィッグの左半頭の毛髪に整髪を施した際の各整髪剤組成物のべたつきを、下記の基準で評価した。
[評価基準]
4点(優れる):べたつきがまったく感じられなかった
3点(良好):べたつきがほとんど感じられなかった
2点(不十分):べたつきをやや感じた
1点(不良):べたつきをはっきり感じた
【0066】
(5)洗い落ちのよさ
温度25℃、湿度60%RHの恒温恒湿の条件下で一晩放置した試験用毛束(長さ10cm、幅0.8cm、重量1g)に、得られた各整髪剤組成物を0.2gずつ塗布し、3時間室温下で乾燥させた。その後、ぬるま湯(約40℃)にて洗髪を行い、その後の毛束のべたつきを評価し、以下の基準で洗い落ちのよさを評価した。
[評価基準]
4点(優れる):洗髪後、べたつきがまったく感じられなかった
3点(良好):洗髪後、べたつきがほとんど感じられなかった
2点(不十分):洗髪後、べたつきをやや感じた
1点(不良):洗髪後、べたつきをはっきり感じた
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
表1~表4の結果より、本発明の整髪剤組成物は、高い整髪力を有し、かつ掌での伸びおよび毛髪塗布時の伸びに優れ、洗浄時の洗い落ちのよさにも優れることがわかる。なお、比較例1、2および3は、液状となり製剤化することができなかったため、上記の各評価は実施しなかった。
【0072】
処方例1
ジオレス-8リン酸ナトリウム 5.0質量%
セテス-20 8.0質量%
キャンデリラロウ 7.0質量%
マイクロクリスタリンワックス 3.0質量%
シリコーンオイル(20cSt) 7.0質量%
珪藻土 4.0質量%
α-ケトグルタル酸 0.03質量%
ミネラルオイル 5.0質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 5.0質量%
イソプレングリコール 7.0質量%
ステアリルアルコール 1.0質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0073】
処方例2
ジオレス-8リン酸ナトリウム 5.0質量%
ステアレス-20 5.0質量%
PEG-60 水添ヒマシ油 3.0質量%
カルナウバロウ 8.0質量%
ミツロウ 3.0質量%
シリコーンオイル(20cSt) 6.0質量%
珪藻土 4.0質量%
α-ケトグルタル酸 0.03質量%
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
1.0質量%
水添ポリイソブテン 6.0質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 4.0質量%
イソプレングリコール 7.0質量%
ステアリルアルコール 1.0質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【0074】
処方例3
ジオレス-8リン酸ナトリウム 6.0質量%
ステアレス-20 6.0質量%
PEG-60 水添ヒマシ油 3.0質量%
カルナウバロウ 4.0質量%
ミツロウ 3.0質量%
マイクロクリスタリンワックス 8.0質量%
パラフィンワックス 4.0質量%
シリコーンオイル(20cSt) 6.0質量%
珪藻土 4.0質量%
ベントナイト 3.5質量%
ポリリン酸ナトリウム 0.5質量%
(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP
1.0質量%
ミネラルオイル 5.0質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 4.0質量%
イソプレングリコール 7.0質量%
ステアリルアルコール 1.0質量%
精製水 残部
合計 100.0質量%
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の整髪剤組成物は、高い整髪力を有し、かつ掌での伸びおよび毛髪塗布時の伸びに優れ、洗浄時の洗い落ちも良好な整髪剤として有用である。