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特許7150975水系における微生物汚損制御のための一級アミンまたはポリアミンから誘導される多重荷電カチオン性化合物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】水系における微生物汚損制御のための一級アミンまたはポリアミンから誘導される多重荷電カチオン性化合物の使用
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/50 20060101AFI20221003BHJP
   C23F 11/14 20060101ALI20221003BHJP
   C02F 1/72 20060101ALI20221003BHJP
   C02F 1/76 20060101ALI20221003BHJP
   C02F 1/78 20060101ALI20221003BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20221003BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20221003BHJP
   A01N 37/20 20060101ALI20221003BHJP
   A01N 25/02 20060101ALI20221003BHJP
   C09K 8/06 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
C02F1/50 532E
C23F11/14 101
C02F1/50 510C
C02F1/50 520A
C02F1/50 531L
C02F1/50 531M
C02F1/50 531R
C02F1/50 531S
C02F1/50 532C
C02F1/50 532D
C02F1/50 532H
C02F1/50 532J
C02F1/50 540B
C02F1/50 520B
C02F1/50 520C
C02F1/50 520F
C02F1/50 520J
C02F1/50 520K
C02F1/50 520P
C02F1/50 520Z
C02F1/72 Z
C02F1/76 A
C02F1/76 Z
C02F1/78
A01P1/00
A01P3/00
A01N37/20
A01N25/02
C09K8/06
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021509828
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019048441
(87)【国際公開番号】W WO2020047015
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】62/724,391
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ ダワン
(72)【発明者】
【氏名】シオン クン
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
(72)【発明者】
【氏名】ツォン チェンカン
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06054054(US,A)
【文献】国際公開第2004/056843(WO,A1)
【文献】特表2017-525798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/50
C02F 1/72-1/78
A01P 1/00
A01P 3/00
A01N 37/20
A01N 25/02
C09K 8/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系における微生物汚損を制御する方法であって、
処理水系を生成するために水系に汚損制御組成物を提供することを含み、
前記汚損制御組成物が、化合物またはその塩、および1つ以上の汚損制御組成物剤を含み、
前記化合物またはその塩が、一級アミンまたはポリアミンと以下の式
【化1】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応から誘導されるか、あるいは、
ポリアミンと以下の式
【化2】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、および前記ポリアミンと以下の式
【化3】
によるエポキシドとの間の開環反応から誘導され、
式中、Xが、NHまたはOであり、
が、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、
Yが、-NR (+)であり、R、R、およびRが、独立して、C~C10アルキル基であり、
が、Hまたはアルキルであり、
が、アルキル、または-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、
前記化合物が、2つの
【化4】
基を有するジカチオン性化合物、1、2、3、もしくはそれ以上の
【化5】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または1、2、3、もしくはそれ以上の
【化6】
基および少なくとも1つの
【化7】
基を有する多重荷電カチオン性化合物である、方法。
【請求項2】
ポリアミンが、NH-[R10´-NH、(RNH)n-RNH、HN-(RNH)-RNH、またはHN-(RN(R´))-RNHであり、R10´が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R′が、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nが、2~1,000,000である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリアミンが、(i)未修飾ポリアミン、(ii)修飾ポリアミン、(iii)エトキシル化ポリアミン、プロピル化ポリアミン、ポリクワット(polyquat)を有するポリアミン、ポリグリセロールを有するポリアミン、もしくはそれらの組み合わせ、または(iv)直鎖、分岐、またはデンドリマーのポリエチレンイミンである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリアミンが、(i)一級および二級アミン基のみ、(ii)一級、二級、および三級アミン基のみ、または(iii)一級および三級アミン基のみを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリアミンが、(i)単一の化合物、または(ii)2つ以上の異なるポリアミンの混合物であり、前記異なるポリアミンが、異なる分子量、異なる構造、または両方を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリアミンが、0~,000,000Da、または0~,000Daの平均分子量(M)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エポキシドが、(i)アルキルグリシジルエーテルもしくは1,2-エポキシアルカン、(ii)ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、もしくはそれらの混合物、あるいは(iii)1,2-エポキシテルタデカン、1,2-エポキシドデカン、もしくは1,2-エポキシオクタン、またはそれらの混合物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、2つ以上の正電荷、または3つ以上の正電荷を有する多重荷電カチオン性化合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、混合物である、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、(i)単一の多重荷電カチオン性化合物、(ii)2つ以上の異なる化合物の混合物であって、前記2つ以上の異なる化合物が、分子量、構造、正味電荷、もしくはそれらの組み合わせにおいて他の化合物とは異なる、混合物、(iii)同じポリアミンから誘導される少なくとも2つの異なる多重荷電カチオン性化合物と、同じポリアミン、α,β-不飽和カルボニル化合物から誘導されるα,β-不飽和カルボニル化合物と、エポキシドとの混合物、(iv)異なるポリアミンから誘導される少なくとも2つの異なる多重荷電カチオン性化合物と、異なるポリアミンから誘導される同じα,β-不飽和カルボニル化合物と、同じα,β-不飽和カルボニル化合物と、エポキシドとの混合物、または(v)異なるポリアミンから誘導される少なくとも2つの異なる多重荷電カチオン性化合物と、異なるα,β-不飽和カルボニル化合物、または異なるポリアミンから誘導される少なくとも2つの異なる多重荷電カチオン性化合物と、α,β-不飽和カルボニル化合物と、同じエポキシドとの混合物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、00~,000,000Da、または00~,500Daの平均分子量(M)を有し、前記化合物が、(i)少なくとも10、15、20、もしくは30の正電荷、または(ii)少なくとも2、3、4、5、6、7、もしくは8の正電荷を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、3~100、または3~15の平均正味電荷を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、(i)直鎖ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、もしくは2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、または(ii)分岐鎖ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、もしくは2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)から誘導される混合物である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、(i)ポリアミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)ならびにC12~C14アルキルグリシジルエーテル、または(ii)ポリアミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)ならびに2-エチルヘキシルグリシジルエーテルから誘導される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記一級アミンが、R11NHであり、式中、R11が、RまたはR-Z-(CH-であり、mが、1~4の整数であり、Rが、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、水または前記汚損制御組成物に可溶性または分散性である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記汚損制御組成物が、担体であり、前記担体が、水、有機溶媒、またはそれらの混合物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記有機溶媒が、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記有機溶媒が、(i)アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、もしくはそれらの組み合わせ、(ii)メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、もしくはそれらの組み合わせ、または(iii)メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、それらの水との混合物、あるいはそれらの任意の組み合わせである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記汚損制御組成物が、1つ以上の腐食抑制剤をさらに含み、前記腐食抑制剤が、イミダゾリン化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記汚損制御組成物が、追加の汚損制御組成物剤をさらに含み、前記追加の汚損制御組成物剤が、単一の四級化合物であり、任意選択で殺生物剤をさらに含み、前記殺生物剤が、塩素、次亜塩素酸塩、ClO、臭素、オゾン、過酸化水素、過酢酸、ペルオキシカルボン酸、ペルオキシカルボン酸組成物、ペルオキシ硫酸塩、グルタルアルデヒド、ジブロモニトリロプロピオンアミド、イソチアゾロン、テルブチラジン、高分子ビグアニド、メチレンビスチオシアネート、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、およびそれらの任意の組み合わせである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記汚損制御組成物が、有機硫黄化合物をさらに含み、前記有機硫黄化合物が、メルカプトアルキルアルコール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、L-システイン、tert-ブチルメルカプタン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記汚損制御組成物が、酸をさらに含み、前記汚損制御組成物が、重量%~0重量%の前記酸を含み、前記酸が、塩酸、フッ化水素酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、またはそれらの混合物である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記汚損制御組成物が、酸化剤、無機過酸化物、過酸化ナトリウム、二酸化塩素;C~C10アルデヒド、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレインもしくはメタクロレイン、トリアジン、モノエタノールアミントリアジン、モノメチルアミントリアジン、またはそれらの混合物を含む硫化水素捕捉剤をさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記汚損制御組成物が、非イオン性、半非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、ジカチオン性、ジアニオン性界面活性剤、またはそれらの混合物を含む界面活性剤をさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記界面活性剤が、アルキルフェノール、脂肪酸、またはそれらの混合物である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記汚損制御組成物が、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、ガス水和物抑制剤、pH調整剤、エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、凝固剤/凝集剤、乳化剤(emulsifier)、水浄化剤、分散剤、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調整剤、発泡剤、消泡剤、乳化剤(emulsifying agent)、COおよび/またはOの捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、摩擦低減剤、塩、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記汚損制御組成物が、液体、ゲル、または液体/ゲルおよび固体を含む混合物である、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記汚損制御組成物またはその使用溶液が、1のpHを有する、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記汚損制御組成物が、.1重量%~重量%の前記化合物またはその混合物を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物またはその混合物が、前記処理水系中で.001ppm~000ppmの濃度を有する、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、追加の汚損制御組成剤(複数可)と共に、独立して、同時に、または連続して水系に提供され、前記水系が、淡水、リサイクル水、塩水、地表水、生成水、またはそれらの混合物を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記水系は、冷却水系、ボイラー水系、油井、ダウンホール形成、地熱井、鉱物洗浄、浮選およびベネファクション、製紙、ガススクラバ、エアウォッシャ、冶金工業の連続鋳造プロセス、空調および冷蔵、水の再生利用、浄水、膜濾過、食品加工、浄化器、都市下水処理、都市水処理、または飲料水系である、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
1つ以上の追加の汚損制御剤と、以下:
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
又はこれらの組み合わせ、
を含む、汚損制御組成物であって、
式中、Xが、NHまたはOであり、
が、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、
Yが、-NR (+)またはその塩であり、
、R、およびRが、独立して、C~C10アルキル基であり、
が、Hまたはアルキルであり、
が、アルキル、または-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、l、m、n、o、またはpは、1~100の整数である、汚損制御組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2018年8月29日に出願された米国仮出願第62/724,391号に基づく優先権を主張するものであり、その米国仮出願は全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、米国特許法第119条の下で、2018年8月30日に出願された「MULTIPLE CHARGED IONIC COMPOUNDS DERIVED FROM POLYAMINES AND COMPOSITIONS THEREOF AND METHODS OF PREPARATION THEREOF」と題する米国仮出願第62/724,357号に基づく優先権を主張する米国出願第_/_,_号、および米国特許法第119条の下で、2018年8月30日に出願された「MULTIPLE CHARGED IONIC COMPOUNDS DERIVED FROM POLYAMINES AND COMPOSITIONS THEREOF AND USE THEREOF AS REVERSE EMULSION BREAKERS IN OIL AND GAS OPERATIONS」と題する米国仮出願第62/724,398号に基づく優先権を主張する米国出願第_/_,_号に関する。明細書、特許請求の範囲、および要約、ならびにそれらのあらゆる図、表、または図面を含むがこれらに限定されない、これらの特許出願の全内容は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0003】
本開示は、概して、1つ以上の特定のジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物を使用する、水系における微生物汚損制御の分野に関する。具体的には、本開示は、水系における微生物汚損制御のために、一級アミンまたはポリアミンから誘導される1つ以上のジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物を含む汚損制御組成物の使用に関する。これらのジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物は、一級アミンもしくはポリアミンと、少なくとも1つのカチオン性基を含むα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応の生成物、またはポリアミンと、少なくとも1つのカチオン性基を含むα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、およびエポキシドとの開環反応の生成物である。本明細書に開示される方法、汚損制御組成物、およびジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物は、工業用水系で現在使用されている方法、組成物、または化合物よりも、水系における細菌およびバイオフィルムの成長を防ぐのにより効果的である。
【背景技術】
【0004】
工業用水系を含む水系は、多くの異なる目的を果たす。その設備および水を含むあらゆる水系は、微生物汚染および汚損を起こしやすい。現在利用可能な最良の水処理プログラムで処理された工業用水系においてさえ、あらゆる有機または無機材料の汚損または付着が起こり得る。水系は、定期的に清掃されない場合、ひどく汚損される。
【0005】
汚損は、微生物汚染とそれに続く微生物および/またはバイオフィルムの成長が原因で発生する。工業用水系における微生物汚染の原因は数多くあり、風媒性汚染、水補給、プロセス漏出、および不適切に清掃された設備が含まれ得るが、これらに限定されない。汚損を引き起こす微生物は、水系の任意のあらゆる湿潤性または半湿潤性表面上に微生物群集を確立することができる。蒸発冷却水システムは、特に汚損を生じやすい。
【0006】
えば、深刻なミネラルスケール(無機材料)が、あらゆる水との接触面上に堆積し、次にあらゆるスケールが、微生物および/またはバイオフィルムの成長に理想的な環境を提供する。汚損またはバイオフィルムの成長が水系で進行することが許される場合、水系は、操作効率の低下、設備の早期故障、および微生物の汚損および/またはバイオフィルムの成長に関連する健康関連のリスクの増加に苦しむ可能性がある。
【0007】
微生物群集が表面上に発達するにつれて、微生物によって分泌されたエキソポリマー物質が、バイオフィルムの形成を助ける。これらのバイオフィルムは、栄養素を集めるための手段を確立し、微生物の成長に対する保護を提供する複雑な生態系であるため、バイオフィルムはスケール形成、腐食、および他の汚損プロセスを加速させる可能性がある。バイオフィルムは、水系の効率低下に寄与するだけでなく、微生物増殖のための、および危険なレジオネラ属細菌を生成するための優れた環境も提供する。したがって、レジオネラ属菌および他の水媒性病原体に関連した健康関連のリスクを最小限に抑えるために、バイオフィルムおよび他の汚損プロセスを可能な限り低減することが重要である。
【0008】
バイオフィルムおよびバイオフィルムに関連する微生物を清掃または除去するために、様々な方法が開発されている。バイオフィルムの清掃および除去が必要であるが、より良いアプローチは、汚損またはバイオフィルムの形成もしくは成長を防止または低減することであるため、バイオフィルムを清掃または除去する必要性が低減される。バイオフィルムの清掃または除去には、通常、操作の中断および他の化学物質の導入が必要である。汚損および/またはバイオフィルムの形成もしくは成長を防止または低減する1つの方法は、水系を汚損制御剤または汚損制御組成物で処理することである。例えば、腐食抑制剤および/または汚損制御剤は、炭素鋼パイプラインおよびインフラストラクチャを腐食およびバイオフィルムの成長から保護するために、上流の石油およびガス産生流体に添加される場合が多い。
【0009】
四級アンモニウム化合物は、腐食抑制剤および汚損制御剤として長年使用されてきた。四級アンモニウム化合物は、それらが独特の特性を有するため、界面活性剤の重要なサブカテゴリーに属する。四級アンモニウム化合物と他の界面活性剤との間の主な違いは、それらの独特の構造である。四級アンモニウム化合物は、主に二つの部分、疎水性基、すなわち長アルキル基、および四級アンモニウム塩基からなる。アンモニウムの独特の正電荷は、界面活性剤と、表面またはバイオフィルムの異なる成分との間の重要な役割、すなわち静電相互作用を担う。しかしながら、そのような目的に使用される四級アンモニウム化合物は、ビス四級種またはベンジルクロリドで四級化された種である場合が多く、非常に有害であることが知られている。加えて、単一の四級化合物を含有する任意の水を環境に放出するために政府の規制が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、より優れた、かつより安全な腐食および汚損制御剤である、異なるまたは代替の四級アンモニウム化合物が引き続き必要である。
【0011】
したがって、改善された汚損制御特性を有する新規の汚損制御剤を開発することも、本開示の目的である。
【0012】
本開示のさらなる目的は、水系における汚損制御をより効率的かつ効果的にするための方法および汚損制御組成物を開発することである。
【0013】
本開示のこれらのおよび他の目的、利点、および特徴は、本明細書に記載の特許請求の範囲と共に、以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書に開示されているのは、水系における微生物汚損制御のための方法および組成物である。より具体的には、微生物汚損またはバイオフィルム制御のための開示された方法および組成物は、一級アミンおよびポリアミンから誘導される1つ以上の水溶性ジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物を使用する。
【0015】
本明細書に開示される例示的なジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物は、水系における微生物またはバイオフィルムの成長を防止するために、従来の単一の四級アンモニウム化合物よりも優れた性能を有する。本明細書に開示される例示的なジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物はまた、それらが水系または他の用途において腐食抑制剤として使用される場合、改善された性能を示す。したがって、開示される汚損制御組成物または方法は、微生物/バイオフィルムの成長を防止するだけではなく、他の目的にも役立ち、水系に対する化学物質の使用、コスト、および操作の複雑さの全体的な低減をもたらすという利点を有する。
【0016】
一態様では、本明細書に開示されるのは、水系における微生物汚損を制御する方法であり、この方法は、汚損制御組成物を水系に提供して処理水系を生成することを含み、汚損制御組成物は、一級アミンまたはポリアミンと以下の式
【化1】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応から誘導されるか、あるいは
ポリアミンと以下の式
【化2】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、および以下の式
【化3】
によるエポキシドからの開環反応から誘導される化合物もしくはその塩を含み、
式中、Xは、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、Rは、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yは、-NR (+)であり、R、R、およびRは、独立して、C~C10アルキル基であり、Rは、Hまたはアルキルであり、Rは、アルキル、または(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、化合物は、2つの
【化4】
基を有するジカチオン性化合物、1、2、3、もしくはそれ以上の
【化5】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または1、2、3、もしくはそれ以上の
【化6】
基および少なくとも1つの
【化7】
基を有する多重荷電カチオン性化合物である。
【0017】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、汚損制御組成物であり、この組成物は、1つ以上の追加の汚損制御剤、ならびに一級アミンまたはポリアミンと以下の式
【化8】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応から誘導されるか、あるいは
ポリアミンと以下の式
【化9】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、および以下の式
【化10】
によるエポキシドからの開環反応から誘導される化合物もしくはその塩とを含み、
式中、Xは、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、Rは、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yは、-NR (+)であり、R、R、およびRは、独立して、C~C10アルキル基であり、Rは、Hまたはアルキルであり、Rは、アルキルまたは(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、化合物は、2つの
【化11】
基を有するジカチオン性化合物、1、2、3、もしくはそれ以上の
【化12】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または1、2、3、もしくはそれ以上の
【化13】
基および少なくとも1つの
【化14】
基を有する多重荷電カチオン性化合物である。
【0018】
上記の概要は、例示的なものにすぎず、決して限定することを意図していない。上記の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、本技術のさらなる態様、実施形態、および特徴は、本技術の例示的な実施形態を示し、かつ記載する以下の図面および詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明も、決して限定するものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】直鎖ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。
図2】分岐鎖ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。
図3】最初に直鎖ポリエチレンイミンとエポキシドとの開環反応、次いでα,β-不飽和カルボニル化合物とのアザ-マイケル付加反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。
図4】最初に直鎖ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、次いでエポキシドとの開環反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。
図5】分岐鎖ポリアミンと、エポキシドと、α,β-不飽和カルボニル化合物との間の開環反応およびアザ-マイケル付加反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する代替の一般的な反応スキームを示す。
図6】一級アミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応によってジカチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。
図7】実施例1に記載されるように、3,3´-((3,3´-(ドデシルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(I)を産生する反応スキームを示す。
図8】実施例2に記載されるように、3,3´-((3,3´-(ヘキサデシルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(II)を産生する反応スキームを示す。
図9】実施例3に記載されるように、3,3´-((3,3´-(オクタデカ-9-エン-1-イルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(III)を産生する反応スキームを示す。
図10】実施例4に記載されるように、3,3´-((3,3´-(オクチルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(IV)を産生する反応スキームを示す。
【0020】
本開示の様々な実施形態が図面を参照して詳細に説明されることになり、同様の参照番号は、幾つかの図を通して、同様の構成要素を表わしている。様々な実施形態への言及は、本開示の範囲を限定しない。本明細書において提示される図は、本開示による様々な実施形態に対する限定ではなく、本開示の例示的な説明のために提示される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面、スキーム、および構造を参照することができる。図面では、文脈上別段の指示がない限り、通常、類似の記号は類似の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。
【0022】
様々な実施形態が以下に説明される。特定の実施形態は、網羅的な説明として、または本明細書で論じられるより広い態様への限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態に関連して説明される1つの態様は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、任意の他の実施形態(複数可)で実施することができる。
【0023】
本明細書に開示されるのは、水系における汚損制御のための方法および組成物である。より具体的には、1つ以上の特定のジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物が、本明細書に開示される汚損制御組成物または方法において使用される。これらの特定のジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物は、一級アミンもしくはポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応を介して、またはポリアミンと、α,β-不飽和カルボニル化合物と、エポキシドとの間のアザ-マイケル付加反応および開環反応の両方を介して、一級アミンまたはポリアミンから誘導される。
【0024】
本開示の実施形態は、任意の特定の組成物および方法に限定されず、これらは異なり得、当業者によって理解される。さらに、本明細書で使用される全ての専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、いかなる様式または範囲においても限定することを意図するものではないことを理解されたい。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a(一つの)」、「an(一つの)」、および「the(その)」は、その内容が別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、全ての単位、接頭辞、および記号は、そのSIによって認められた形態で示され得る。
【0025】
本明細書内に列挙された数値範囲は、定義された範囲内の数を含む。本開示全体を通して、本開示の様々な態様が、範囲形式で提示されている。範囲形式での説明は、単に便宜上および簡潔にするためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、全ての可能な部分範囲と共に、その範囲内の個々の数値(すなわち、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)を具体的に開示しているとみなすべきである。
【0026】
本開示をより容易に理解し得るように、ある特定の用語をまず定義する。別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示の実施形態が関係する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、必要以上の実験を伴うことなく本開示の実施形態の実践に使用されることができ、好ましい材料および方法が、本明細書に記載されている。本開示の実施形態についての記載および特許請求において、以下に記載の定義に従って、以下の専門用語が使用されるであろう。
【0027】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、現実世界において濃縮物または使用溶液の作製に使用される典型的な測定および液体取扱い手順、これらの手順における誤差、組成物の作製または方法の実行に使用される成分の製造、供給源、または純度の違いなどによって生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に対する新規の平衡条件によって異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、「置換された」とは、その中に含有される水素原子への1つ以上の結合が、非水素原子または非炭素原子への結合によって置き換えられている、以下に定義される有機基(すなわち、アルキル基)を指す。置換基としてはまた、ヘテロ原子への二重結合または三重結合を含む1つ以上の結合によって、1つ以上の炭素原子(複数可)または水素原子(複数可)が置き換えられている基が挙げられる。したがって、置換基は、別段特定されない限り、1つ以上の置換基で置換されている。置換基は、1、2、3、4、5、または6個の置換基で置換されていてもよい。
【0029】
置換環の基としては、水素原子への結合が炭素原子への結合で置き換えられている環および環系が挙げられる。したがって、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリール基もまた、置換または非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基で置換されてもよく、本明細書で定義されている。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アルキル」または「アルキル基」という用語は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、環状アルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(すなわち、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等)、分岐鎖アルキル基(すなわち、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチル等)、ならびにアルキル置換アルキル基(すなわち、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。
【0031】
別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用されるとき、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が挙げられ得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「複素環式基」という用語は、環中の1個以上の炭素原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似の閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよい。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられる。
【0033】
アルケニル基またはアルケンは、2~約30個の炭素原子を有し、さらに少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基である。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~約30個の炭素原子、または典型的には2~10個の炭素原子を有する。アルケニル基は、置換または非置換であり得る。アルケニル基の二重結合の場合、二重結合の配置は、トランスまたはシス配置であり得る。アルケニル基はアルキル基と同様に置換されていてもよい。
【0034】
アルケニル基は、2~約30個の炭素原子を有し、さらに少なくとも1つの三重結合を含む、直鎖、分岐鎖、または環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~約30個の炭素原子、または典型的には2~10個の炭素原子を有する。アルキニル基は、置換または非置換であり得る。アルキニル基は、アルキルまたはアルケニル基と同様に置換されていてもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」、「シクロアルキレン」、「アルキニリド」、および「アルケニレン」という用語は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれ-CHCHCH-によって例示されるような、アルキル、シクロアルキル、またはアルケニル基から誘導される二価ラジカルを指す。アルキレン、シクロアルキレン、アルキニレン、およびアルケニレン基については、連結基の配向は暗示されない。
【0036】
本明細書で使用される場合、「エステル」という用語は、-R30COOR31基を指す。R30は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R31は、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アミン」(または「アミノ」)という用語は、-R32NR3334基を指す。R32は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R33およびR34は、独立して、水素、または本明細書に定義されているように、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「アミン」という用語はまた、独立した化合物を指す。アミンが化合物であるとき、R32’NR33’34’基の式によって表すことができ、式中、R32’、33’およびR34は、独立して、水素、または本明細書に定義されているように、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。
【0039】
本明細書で使用される場合、「アルコール」という用語は、-R35OH基を指す。R35は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「カルボン酸」という用語は、-R36COOH基を指す。R36は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。
【0041】
本明細書で使用される場合、「エーテル」という用語は、-R37OR38基を指す。R37は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R38は、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。
【0042】
本明細書で使用される「溶媒」という用語は、任意の無機または有機溶媒を指す。溶媒は、反応溶媒または担体溶媒として、開示される方法または組成物に有用である。好適な溶媒としては、低級アルカノール、低級アルキルエーテル、グリコール、アリールグリコールエーテル、および低級アルキルグリコールエーテルなどの酸素化溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。他の溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリコールエーテル、混合エチレン-プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ならびにプロピレングリコールフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。水も溶媒である。本明細書で使用される溶媒は、単一の溶媒、または多くの異なる溶媒の混合物であり得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールt-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールtert-ブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル等、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】

一般に、酸は、本開示で使用される場合、有機酸および無機酸の両方を含む。有機酸としては、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、グルコン酸、イタコン酸、トリクロロ酢酸、尿素塩酸塩、および安息香酸が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびテレフタル酸などのジカルボン酸も挙げられる。これらの有機酸の組み合わせも使用され得る。無機酸としては、リン酸、硫酸、スルファミン酸、メチルスルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、および硝酸などの鉱酸が挙げられるが、これらに限定されない。無機酸は、単独で、他の無機酸(複数可)と組み合わせて、または1つ以上の有機酸と組み合わせて使用され得る。酸発生剤は、例えばフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、ケイフッ化ナトリウムなどの発生剤を含み、好適な酸を形成するために使用され得る。
【0045】
本明細書に開示されるこの方法または組成物において特に好適な酸の例にとしては、無機酸および有機酸が挙げられる。例示的な無機酸としては、リン酸、ホスホン酸、硫酸、スルファミン酸、メチルスルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、および硝酸が挙げられる。例示的な有機酸としては、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、クエン酸、乳酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、グルコン酸、イタコン酸、トリクロロ酢酸、尿素塩酸塩、および安息香酸が挙げられる。シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびテレフタル酸などの有機ジカルボン酸を使用することもできる。
【0046】
過カルボン酸およびペルオキシカルボン酸組成物
ペルオキシカルボン酸(すなわち、過酸)またはペルオキシカルボン酸組成物は、本明細書に開示される物品、製品、または組成物に含まれ得る。本明細書において使用される場合、「過酸」という用語は、「過カルボン酸」、「ペルオキシカルボン酸」、または「ペルオキシ酸」とも称され得る。スルホペルオキシカルボン酸、スルホン化過酸、およびスルホン化ペルオキシカルボン酸も、本明細書において使用される「ペルオキシカルボン酸」および「過酸」という用語内に含まれる。当業者が理解するように、過酸とは、カルボン酸中のヒドロキシル基の水素がヒドロキシ基で置き換えられた酸を指す。酸化過酸は、本明細書ではペルオキシカルボン酸と呼ばれる場合もある。
【0047】
過酸は、式R--(COOOH)の任意の化合物を含み、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキン、アシル、脂環式基、アリール、ヘテロアリール、または複素環式基であり、nは、1、2、または3であり、親酸の前にペルオキシを付けることによって名付けられている。好ましくは、Rは、水素、アルキル、またはアルケニルを含む。「アルキル」、「アルケニル」、「アルキン」、「アシル」、「脂環式基」、「アリール」、「ヘテロアリール」、および「複素環式基」という用語は、本明細書で定義されるとおりである。
【0048】
ペルオキシカルボン酸組成物は、本明細書で使用される場合、1つ以上の過酸、それらの対応する酸、および過酸化水素または他の酸化剤を含む任意の組成物を指す。ペルオキシカルボン酸組成物はまた、当業者が既知のように、安定剤、蛍光活性トレーサーもしくは化合物、または他の成分も含むことができる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「混合された」または「混合物」という用語は、「過カルボン酸組成物」、「過カルボン酸」、「ペルオキシカルボン酸組成物」、または「ペルオキシカルボン酸」に関して使用される場合、2つ以上の過カルボン酸またはペルオキシカルボン酸を含む組成物または混合物を指す。過酢酸および過オクタン酸などの過酸が使用されてもよい。これらの酸の任意の組み合わせも使用され得る。
【0050】
しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される物品、製品、または組成物は、ペルオキシカルボン酸またはペルオキシカルボン酸組成物を含まない。
【0051】
一級アミンおよびポリアミン
一級アミンは、R11NHという一般式を有し、式中、R11は、RまたはR-Z-(CH-であり、Rは、非置換または置換の直鎖または分岐鎖C~C30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、Zは、NHまたはOであり、mは、1~4の整数である。
【0052】
ポリアミンは、限定されるが、NH-[R10′-NH、(RNH)-RNH2、H2N-(RNH)n-RNH2、またはHN-(RN(R′))-RNHという一般式を有し得、式中、R10′は、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R′は、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nは、2~1,000,000であり得る。ポリアミン中のモノマー、例えば、RまたはR´基は、同じであっても異なっていてもよい。本開示において、ポリアミンは、nが1~9の場合の小分子ポリアミンと、nが10~1,000,000の場合の高分子ポリアミンの両方を指す。
【0053】
小分子ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、およびトリス(2-アミノエチル)アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
他の可能なポリアミンとしては、HuntsmanによるJEFFAMINE(登録商標)モノアミン、ジアミン、およびトリアミンが挙げられる。これらの非常に用途の広い製品には、通常、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、または両方のオキシドの混合物に基づくポリエーテル骨格の末端に結合した一級アミノ基が含まれている。JEFFAMINE(登録商標)アミンは、コアポリエーテル骨格構造に基づくモノアミン、ジアミン、およびトリアミンからなるポリエーテルアミンファミリーを含む。JEFFAMINE(登録商標)アミンはまた、高変換率、およびポリテトラメチレングリコール(PTMEG)系ポリエーテルアミンを含む。これらのJEFFAMINEアミンは、約130~約4,000の平均分子量(M)を有する。
【0055】
本開示で使用されるポリアミンは、ポリアミン誘導体または修飾ポリアミンであり得、ポリアミン中の全てではないが1つ以上のNHプロトンが、非置換または置換基によって置換されている。例えば、窒素原子に結合した1つ以上のアルキル基を含むアルキルポリアミンを使用して、本明細書に開示される多重荷電カチオン性ポリアミンを産生することができる。これらのPEI誘導体では、一次NHまたは二次NHプロトンのうちの一部のみが、他の非プロトン基によって置き換えられ、残りのNHまたはNHプロトンは、依然として、アザ-マイケル付加反応によって親水性(イオン性)基を含有する活性化オレフィンなどのマイケルアクセプターと反応し、開環反応によってエポキシドと反応することができる。
【0056】
高分子ポリアミンの1つのクラスは、ポリエチレンイミン(PEI)およびその誘導体を含む。ポリエチレンイミン(PEI)またはポリアジリジンは、CHCHNHの繰り返し単位を持つポリマーであり、NH(CHCHNH)-CHCHNHという一般式を有し、式中、nは、2~10であり得る。PEIの繰り返しモノマーの分子量(M)は、43.07であり、窒素と炭素との比率は1:2である。
【0057】
PEI誘導体には、エトキシル化/プロピル化PEI、ポリクワット(polyquat)PEI、ポリグリセロールクワットPEI、および他のPEI誘導体、塩、またはそれらの混合物が含まれる。修飾ポリエチレンイミンを含むポリエチレンイミンのモル質量は、約800g/mol~約2,000,000g/molで変動し得る。例えば、SOKALAN(登録商標) HP20は、アルコキシル化PEI製品である。これらのPEI誘導体では、一次NH2または二次NHプロトンのうちの一部のみが、官能基によって置き換えられ、残りのNHまたはNHプロトンは、依然として、マイケルアクセプター、例えば、活性化オレフィンまたは親水性(イオン性)基を含有するα,β-不飽和化合物と反応することができる。
【0058】
PEIおよびその誘導体は、直鎖、分岐、または樹枝状であり得る。直鎖ポリエチレンイミンは、一級、二級、および三級アミノ基を含む分岐PEIとは対照的に、全て二級アミンを含む。完全に分岐したデンドリマー形態も存在し、一級および三級アミノ基を含む。未修飾の直鎖、分岐、およびデンドリマーPEIの図面を以下に示す。
【化15】
【化16】
【化17】
【0059】
PEI誘導体は、通常、窒素原子のプロトン(複数可)を異なる基で置換することによって得られる。そのようなPEI誘導体の1つは、エトキシル化およびプロポキシル化PEIであり、ポリエチレンイミンは、エチレンオキシド(EO)および/またはプロピレンオキシド(PO)側鎖で誘導体化されている。PEIのエトキシル化は、PEIの溶解度を高めることができる。
【0060】
PEIは、工業規模で産生されている。商品名Lupasol(登録商標)(BASF)で販売されているものを含む、例えばLupasol(登録商標) FG、Lupasol(登録商標) G、Lupasol(登録商標) PR8515、Lupasol(登録商標) WF、Lupasol(登録商標) G20/35/100、Lupasol(登録商標) HF、Lupasol(登録商標) P、Lupasol(登録商標) PS、Lupasol(登録商標) PO100、Lupasol(登録商標) PN50/60、およびLupasol(登録商標) SKを含む、様々な市販のポリエチレンイミンが入手可能である。これらのPEIの平均分子量(M)は、約800、約1,300、約2,000、約5,000、約25,000、約1,300/2,000/5,000、約25,000、約750,000、約750,000、約1,000,000、および約2,000,000である。
【0061】
ポリマーの分子量に一般的に使用される2つの平均は、数平均分子量(M)および重量平均分子量(M)である。多分散度指数(D)は、ポリマーの分子量分布を表す。Mn=(Σn)/Σni、=(Σn )/Σn、およびD=M/M、式中、指数iは、試料中に存在する異なる分子量の数を表し、nは、Mのモル質量を有するモルの総数である。ポリマーの場合、通常、MとMは異なる。例えば、PEI化合物は、GPCによって約10,000のMおよびLSによって約25,000のMを有することができる。
【0062】
光散乱(LS)は、ポリマー試料のMを測定するために使用され得る。試料または製品の分子量を測定する別の簡単な方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)である。GPCは、ポリマー内の分子をサイズで分離し、材料の分子量分布を提供する分析技法である。GPCは、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られている。この技法は、MおよびMの両方についてのポリマーの分析に使用される場合が多い。
【0063】
これらの市販の例示的なポリエチレンイミンは水溶性であり、無水ポリエチレンイミンおよび/または水溶液もしくはメトキシプロパノール(Lupasol(登録商標) PO100に関して)で提供される修飾ポリエチレンイミンとして入手可能である。
【0064】
PEIおよびその誘導体は、通常、そのポリカチオン特性から誘導される多くの用途を見出す。アミン基が存在するため、PEIを酸でプロトン化して、周囲の媒体からPEI塩を形成し、pHに応じて部分的または完全にイオン化された生成物をもたらすことができる。例えば、PEIの約73%がpH2でプロトン化され、PEIの約50%がpH4でプロトン化され、PEIの約33%がpH5でプロトン化され、PEIの約25%がpH8でプロトン化され、PEIの約4%がpH10でプロトン化される。一般に、PEIは、水がある場合とない場合のプロトン化または非プロトン化形態として購入することができる。pH13の市販のPEIは、約16~17meq/g(1グラム当たりのミリ当量)の電荷(カチオン性)密度を有する。
【0065】
各プロトン化窒素中心の対イオンは、中和中に得られる酸のアニオンと平衡している。プロトン化PEI塩の例には、PEI-塩酸塩、PEI-硫酸塩、PEI-硝酸塩、PEI-酢酸塩、PEI脂肪酸塩等が含まれるが、これらに限定されない。実際、任意の酸を使用してPEIをプロトン化し、対応するPEI塩化合物を形成することができる。
【0066】
本開示において有用な好適なポリエチレンイミンは、一級、二級、および三級アミン置換基の混合物、または異なる平均分子量の混合物を含み得る。一級、二級、および三級アミン置換基の混合物は、例えば、鎖セグメントに沿って3~3.5の窒素原子ごとに分岐する約1:1:1~約1:2:1の比率を含む、任意の比率であり得る。あるいは、好適なポリエチレンイミン化合物は、主に一級、二級、または三級アミン置換基のうちの1つであり得る。
【0067】
本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を作製するために使用することができるポリアミンは、その平均分子量の広い範囲を有することができる。特徴的な平均分子量を持つ異なる多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、異なる出発小分子ポリアミン、ポリマーPEI、またはそれらの混合物を選択することによって産生することができる。ポリアミンまたはPEIのサイズと、α,β-不飽和化合物およびエポキシドによる修飾の程度とを制御することで、同様の平均分子量および多重カチオン性電荷または多重アニオン性電荷を持つ多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を産生することができる。この特性により、未修飾のポリアミンまたはPEIを使用する幅広い用途向けに、様々な多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を産生して使用することができる。
【0068】
具体的には、本明細書に開示される多重荷電カチオン性化合物を作製するために使用できるポリアミンは、約60~200、約100~400、約100~600、約600~5,000、約600~800、約800~2,000、約800~5,000、約100~2,000,000、約100~25,000、約600~25,000、約800~25,000、約600~750,000、約800~750,000、約25,000~750,000、約750,000~2,000,000、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約1,000、約1,500、約2,000、約3,000、約5,000、約8,000、約10,000、約15,000、約20,000、約50,000、約100,000、約250,000、約500,000、約1,000,000、約2,000,000、またはそれらの間の任意の値の平均分子量(M)を有する。
【0069】
アザ-マイケル付加反応および開環反応
本明細書で汚損制御剤として開示されるジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物は、一級アミンまたはポリアミンと、親水性カチオン性基を含むα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザマイケル付加反応から、またはポリアミンと親水性カチオン性基を含むα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、およびポリアミンとエポキシドとの間の開環反応から誘導される。
【0070】
脂肪族アミン基は、カルボニル、シアノ、またはニトロ基などの電子求引基の近くにある不飽和炭化水素部分(例えば、炭素-炭素二重結合)と接触すると、アザ-マイケル付加反応を起こし得る。具体的には、マイケル付加は、求核剤と活性化オレフィンおよびアルキン官能性との間の反応であり、求核剤は、カルボニル基などの電子求引基および共鳴安定化活性化基に隣接している炭素-炭素多重結合にわたって付加する。マイケル付加求核剤は、「マイケル供与体」として知られ、活性化求電子オレフィンは、「マイケル受容体」として知られ、2つの構成成分の反応生成物は、「マイケル付加体」として知られている。マイケル供与体の例としては、アミン、チオール、ホスフィン、カルバニオン、およびアルコキシドが挙げられるが、これらに限定されない。マイケル受容体の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸アルキル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、シアノアクリレートおよびビニルスルホン、ビニルケトン、ニトロエチレン、α,β-不飽和アルデヒド、ホスホン酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アゾ化合物、ベータ-ケトアセチレン、およびアセチレンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書で使用される場合、「活性化オレフィン」は、二重結合炭素のうちの少なくとも1つが共役電子求引基を有する置換アルケンを指す。活性化オレフィンの例としては、α、β-不飽和カルボニル化合物(CH=CHCO-NH-CH、アルキル-CH=CH-CO-アルキル、CH=CHC(O)-O-CH)、CH=CH-COOH、CH=CH(CH)-COOH、CH=CH-SOHなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
アザ-マイケル付加反応は、強酸または強塩基によって触媒され得る。場合によっては、一部のイオン液体は、反応媒体および触媒の両方として機能することができる。開示される化合物を合成するためのアザ-マイケル付加反応に好ましい触媒は、塩基である。例示的な塩基触媒は、水酸化物およびアミンであり得る。開示される化合物を合成するための反応が、通常は一級アミン基を含むポリアミンを使用するため、一級アミン基自体が、反応の触媒として機能することができる。かかる実施形態では、追加の触媒は必要ではないか、または追加の触媒は任意選択である。他の好ましい触媒としては、アミジンおよびグアニジン塩基が挙げられる。
【0073】
反応のために溶媒および/または希釈剤の使用は任意選択である。用いられる場合、例えば、水、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF))、芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、アルコール(例えば、n-ブタノール)、エステル(例えば、3-エトキシプロピオン酸エチル)などの様々な非酸性溶媒が好適である。合成プロセスが溶媒に比較的反応しにくいため、様々な溶媒が反応に使用され得る。溶媒(または希釈剤)が用いられる場合、充填レベルは、約10重量%~最大約80重量%以上の範囲であり得る。溶媒充填レベルは、最終反応混合物の約0重量%、約1重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約50重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約80重量%、約1重量%~約20重量%、約20重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、約60重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%、約5重量%、約15重量%、約25重量%、35重量%、約45重量%、約55重量%、約65重量%、約75重量%、またはそれらの間の任意の値であり得る。
【0074】
一般に、反応は、広範囲の温度にわたる温度で実行され得る。反応温度は、約0℃~約150℃、より好ましくは約50℃~約80℃の範囲であり得る。ポリアミンおよび活性化オレフィンを接触させるための温度は、約10℃~約140℃、約20℃~約130℃、約30℃~約120℃、約40℃~約110℃、約50℃~約100℃、約60℃~約90℃、約70℃~約80℃、約0℃~約20℃、約20℃~約40℃、約40℃~約60℃、約60℃~約80℃、約80℃~約100℃、約100℃~約120℃、約120℃~約150℃、約5℃、約25℃、約45℃、約65℃、約85℃、約105℃、約125℃、約145℃、またはその間の任意の値であり得る。反応温度は、反応の開始から反応の終了までとほぼ同じであり得、反応の進行中にある温度から別の温度に変更され得る。
【0075】
本明細書に開示される化合物の合成のための反応時間は、反応温度、触媒の有効性および量、希釈剤(溶媒)の有無等の要因に応じて大きく異なり得る。好ましい反応時間は、約0.5分~約48時間、約1時間~40時間、約2時間~38時間、約4時間~約36時間、6時間~約34時間、約8時間~約32時間、約10時間~約30時間、約12時間~約28時間、約14時間~26時間、約16時間~24時間、約18時間~20時間、約1時間~8時間、8時間~16時間、8時間~約24時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約14時間、約16時間、約18時間、約24時間、約30時間、約36時間、またはそれらの間の任意の値であり得る。
【0076】
本明細書に開示される化合物の合成のための反応は、1モルのポリアミンおよび少なくとも2モル以上の活性化オレフィンが、上記の温度で十分な時間一緒に混合されると完了することができる。
【0077】
この反応の進行は、典型的に、ESI-MSおよび/またはNMR分光法によってモノマーの消費に関して監視され得る。反応生成物は、HPLCまたは当業者に知られている他の方法によって精製または分離することができる。完了まで進行した反応の場合、形成された生成物は、溶媒の除去によって、または反応媒体の反対である非極性溶媒中での沈殿によって分離することができる。水中での反応の場合、形成された生成物は、水性反応混合物から沈殿する。より高い圧力は、反応をスピードアップすることができる。いくつかの実施形態では、反応が室温で実施される場合、反応は、いくつかの実施形態では、約16時間以内に98%を超える生成物収率を有することができる。
【0078】
ポリアミンとエポキシドとの間の開環反応は、ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザマイケル付加反応と同様の方法で実行され得る。
【0079】
この開環反応は、約-20℃~約200℃の温度で、触媒、塩基、または酸の存在下で行うことができる。いくつかの実施形態では、開環反応は、触媒、塩基、または酸を含まずに行われる。他のいくつかの実施形態では、開環反応は、約100℃~約150℃の温度で行われ、アザマイケル付加反応の場合は異なる温度で、異なる触媒、塩基、または酸の存在下で行われる。
【0080】
開示された化合物の合成のためのアザマイケル付加および開環反応の両方は、1モルのポリアミンおよび特定のモル(2モル以上)の活性化オレフィン、エポキシド、および両方が、上記の温度で十分な時間一緒に混合されると完了することができる。
【0081】
エポキシドのアザ-マイケル付加および開環反応を使用して、200℃を超える高温および通常の大気圧よりも高い高圧を使用することなく、高収率(98%より高い)で開示された化合物を合成できることが見出された。
【0082】
汚損制御組成物中の他の汚損制御組成物剤
本明細書に記載される一級アミンまたはポリアミンから誘導されるジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物に加えて、本開示における汚損制御組成物は、1つ以上の追加の汚損制御組成物剤を含む。
【0083】
開示される汚損制御組成物中の追加の汚損制御組成物剤としては、酸、担体、分散剤、殺生物剤、腐食抑制剤、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調整剤、発泡剤、消泡剤、破砕プロパント、HS、CO、および/もしくはOの捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、ならびに摩擦低減剤、塩、またはそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0084】
開示される汚損制御組成物中の追加の汚損制御組成物剤としてはまた、有機硫黄化合物、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、水浄化剤、エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、ガスハイドレート抑制剤、pH調整剤、界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0085】
さらに、追加の汚損制御組成物剤は、金属イオン封鎖剤、可溶化剤、潤滑剤、緩衝剤、洗浄剤、リンス助剤、保存剤、結合剤、増粘剤もしくは他の粘度調整剤、加工助剤、担体、水質調整剤、発泡剤、スレッショルド剤(threshold agent)もしくは系、審美的増強剤(すなわち、染料、着臭剤、香料)、または逆エマルジョン破壊剤を用いた配合に適した他の添加剤、あるいはこれらの混合物であり得る。
【0086】
本明細書に開示される汚損制御組成物中の追加の汚損制御組成物剤は、当業者が理解するように、製造される特定の汚損制御組成物およびその意図する用途に従って変化する。
【0087】
あるいは、汚損制御組成物は、追加の汚損制御組成物剤のうちの1つ以上を含有しないか、または含まない。
【0088】
微生物またはバイオフィルムの成長を防止するために1つ以上の追加の汚損制御剤を使用する場合、同じ汚損制御組成物でここに記載するように、一級アミンまたはポリアミンから誘導されるジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物と一緒に配合することができる。あるいは、一部または全ての追加の汚損制御剤が、1つ以上の数の異なる配合物に配合され、水系に供給され得る。言い換えれば、追加の汚損制御剤は、独立して、同時に、または連続して水系に提供することができる。
【0089】
殺生物剤および担体
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、殺生物剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、担体をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、殺生物剤および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法または汚損制御組成物は、本明細書に開示される1つ以上のジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物および担体からなり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、本明細書に開示される1つ以上のジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物、担体、および殺生物剤からなる。
【0090】
使用に適した殺生物剤は、酸化または非酸化性殺生物剤であり得る。酸化性殺生物剤としては、漂白剤、塩素、臭素、二酸化塩素、ならびに塩素および臭素を放出することができる材料が挙げられるが、これらに限定されない。非酸化性殺生物剤としては、グルタルアルデヒド、イソチアゾリン、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール、1-ブロモ-1-(ブロモメチル)-1,3-プロパンジカルボニトリル、テトラクロロイソフタロニトリル、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド、メチレンビスチオシアネート、2-デシルチオエタンアミン、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、ジチオカルバメート、シアノジチオイミドカルボネート、2-メチル-5-ニトロイミダゾール-1-エタノール、2-(2-ブロモ-2-ニトロエテニル)フラン、β-ブロモ-β-ニトロスチレン、β-ニトロスチレン、β-ニトロビニルフラン、2-ブロモ-2-ブロモメチルグルタロニトリル、ビス(トリクロロメチル)スルホン、S-(2-ヒドロキシプロピル)チオメタンスルホネート、テトラヒドロ-3,5-ジメチル-2H-1,3,5-ヒドラジン-2-チオン、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2-ブロモ-4′-ヒドロキシアセトフェノン、1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-ブテン、ビス(トリブチルスズ)オキシド、2-(tert-ブチルアミノ)-4-クロロ-6-(エチルアミノ)-s-トリアジン、ドデシルグアニジンアセテート、ドデシルグアニジンヒドロクロリド、ココアルキルジメチルアミンオキシド、n-ココアルキルトリメチレンジアミン、テトラ-アルキルホスホニウムクロリド、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、および2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
好適な非酸化性殺生物剤としてはまた、例えば、アルデヒド(すなわち、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、およびアクロレイン)、アミン型化合物(すなわち、四級アミン化合物およびココジアミン)、ハロゲン化化合物(すなわち、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-3-ジオール)(Bronopol)および2-2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、硫黄化合物(すなわち、イソチアゾロン、カルバメート、およびメトロニダゾール)、ならびに四級ホスホニウム塩(すなわち、テトラキス(ヒドロキシメチル)-ホスホニウムサルフェート(THPS))が挙げられる。
【0092】
好適な酸化性殺生物剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸リチウム、塩素化ヒダントイン、安定化次亜臭素酸ナトリウム、活性化臭化ナトリウム、臭素化ヒダントイン、二酸化塩素、オゾン、ペルオキシカルボン、ペルオキシカルボン組成物、および過酸化物が挙げられる。
【0093】
組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1~約10重量%、約0.5~約5重量%、または約0.5~約4重量%の殺生物剤を含むことができる。
【0094】
開示される汚損制御組成物中の担体は、水、有機溶媒、または水および有機溶媒の組み合わせであり得る。有機溶媒は、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの組み合わせであり得る。適切な有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
汚損制御組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約80重量%、約1重量%~約70重量%、約1重量%~約60重量%、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約10重量%、約5重量%~約10重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約50重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約30重量%、約10~約40重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%、約20重量%、約30重量%、約40%、約50重量、約60重量%、約70重量%、約90重量%、またはそれらの間の任意の値の1つ以上の担体を含むことができる。
【0096】
腐食抑制剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、腐食抑制剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、腐食抑制剤および担体をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、腐食抑制剤、殺生物剤、および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、本明細書に開示される1つ以上のジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物、1つ以上の追加の腐食抑制剤、および担体からなり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、本明細書に開示される1つ以上のジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物、担体、腐食抑制剤、および殺生物剤からなる。
【0097】
汚損制御組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~20重量%、0.1~10重量%、または0.1~5重量%の1つ以上の腐食抑制剤を含み得る。本明細書に開示される組成物は、組成物の総重量に基づいて、0~10重量パーセントの1つ以上の腐食抑制剤を含み得る。組成物は、組成物の総重量に基づいて、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、5.0重量%、5.5重量%、6.0重量%、6.5重量%、7.0重量%、7.5重量%、8.0重量%、8.5重量%、9.0重量%、9.5重量%、10.0重量%、10.5重量%、11.0重量%、11.5重量%、12.0重量%、12.5重量%、13.0重量%、13.5重量%、14.0重量%、14.5重量%、または15.0重量%の1つ以上の腐食抑制剤を含み得る。各水系は、腐食抑制剤を使用するためのそれ自体の要件を有することができ、組成物中の1つ以上の腐食抑制剤の重量パーセントは、それが使用される水系によって変更することができる。
【0098】
水系の金属の腐食を低減するには、腐食抑制剤が必要である。多金属保護のための腐食抑制剤は、典型的には、限定されないが、ベンゾトリアゾール、ハロゲン化トリアゾール、およびニトロ置換アゾールなどのトリアゾールである。
【0099】
1つ以上の腐食抑制剤は、イミダゾリン化合物、四級アンモニウム化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0100】
1つ以上の腐食抑制剤は、イミダゾリンであり得る。イミダゾリンは、例えば、エチレンジアミン(EDA)などのジアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)およびトール油脂肪酸(TOFA)などの長鎖脂肪酸から誘導されるイミダゾリンであり得る。イミダゾリンは、式(1A)のイミダゾリンまたはイミダゾリン誘導体であり得る。代表的なイミダゾリン誘導体としては、式(2A)のイミダゾリニウム化合物または式(3A)のビス四級化化合物が挙げられる。
【0101】
1つ以上の腐食抑制剤は、式(1A)のイミダゾリンを含み得、
【化18】
式中、R10aは、C~C20アルキル基またはC~C20アルコキシアルキル基であり、R11aは、水素、C~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル、またはC~Cアリールアルキルであり、R12aおよびR13aは、独立して、水素またはC~Cアルキル基である。好ましくは、イミダゾリンは、トール油脂肪酸(TOFA)に典型的なアルキル混合物であるR10aを含み、R11a、R12a、およびR13aは、各々水素である。
【0102】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(2A)のイミダゾリニウム化合物であり得、
【化19】
式中、R10aは、C~C20アルキル基またはC~C20アルコキシアルキル基であり、R11aおよびR14aは、独立して、水素、C~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル、またはC~Cアリールアルキルであり、R12aおよびR13aは、独立して、水素またはC~Cアルキル基であり、Xは、ハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、炭酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、または有機カルボン酸(酢酸塩など)のアニオンである。好ましくは、イミダゾリニウム化合物は、1-ベンジル-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-トール油-2-イミダゾリニウムクロリドを含む。
【0103】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(3A)を有するビス四級化化合物であり得、
【化20】
式中、R1aおよびR2aは、各々独立して、1~約29個の炭素原子を有する非置換の分岐、鎖、もしくは環アルキルもしくはアルケニル;1~約29個の炭素原子を有する部分的もしくは完全に酸化、硫化、および/もしくはホスホリル化した分岐、鎖、もしくは環アルキルもしくはアルケニル;またはそれらの組み合わせであり、R3aおよびR4aは、各々独立して、1~約29個の炭素原子を有する非置換の分岐、鎖、もしくは環アルキレンもしくはアルケニレン;1~約29個の炭素原子を有する部分的もしくは完全に酸化、硫化、および/もしくはホスホリル化した分岐、鎖、もしくは環アルキレンもしくはアルケニレン;またはそれらの組み合わせであり、LおよびLは、各々独立して、存在しないか、H、-COOH、-SOH、-PO、-COOR5a、-CONH、-CONHR5a、または--CON(R5aであり、R5aは、各々独立して、1~約10個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル、アリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロアリール基であり、nは、0または1であり、nが0である場合、Lは、存在しないか、またはHであり、xは、1~約10であり、yは、1~約5である。好ましくは、R1aおよびR2aは、各々独立して、C~C22アルキル、C~C20アルキル、C12~C18アルキル、C16~C18アルキル、もしくはそれらの組み合わせであり、R3aおよびR4aは、C~C10アルキレン、C~Cアルキレン、C~Cアルキレン、またはC~Cアルキレンであり、nは0もしくは1であり、xは2であり、yは1であり、RおよびRは-C-であり、Lは-COOH、-SOH、もしくは-POであり、Lは存在しないか、H、-COOH、-SOH、もしくは-POである。例えば、R1aおよびR2aは、トール油脂肪酸の混合物から誘導することができ、主としてC1733およびC1731の混合物であるか、またはC16~C18アルキルであり得;R3aおよびR4aは、C~Cアルキレン、例えば-C-であり得;nは、1であり、かつLは、-COOHであるか、またはnは、0であり、かつLは、存在しないかもしくはHであり;xは2であり;yは1であり;R3aおよびR4aは、-Cであり;Lは、-COOHである。
【0104】
式(3A)の各基について特定される炭素原子の数は、炭素原子の主鎖を指し、置換基によって寄与され得る炭素原子を含まないことを理解されたい。
【0105】
1つ以上の腐食抑制剤は、式(3A)を有するビス四級化イミダゾリン化合物であり得、式中、R1aおよびR2aは、各々独立して、C~C22アルキル、C~C20アルキル、C12~C18アルキルであるか、またはC16~C18アルキルもしくはそれらの組み合わせであり;R4aは、C~C10アルキレン、C~Cアルキレン、C~Cアルキレン、もしくはC~Cアルキレンであり;xは、2であり;yは、1であり;nは、0であり;Lは、-COOH、-SOH、または-POであり、Lは、存在しないか、またはHである。好ましくは、ビス-四級化化合物は、式(3A)を有し、式中、R1aおよびR2aは、各々独立して、C16~C18アルキルであり;R4aは、-C-であり;xは、2であり;yは、1であり;nは、0であり;Lは、-COOH、-SOH、または-POであり、Lは、存在しないか、またはHである。
【0106】
1つ以上の腐食抑制剤は、式(4A)の四級アンモニウム化合物を含み得、
【化21】
式中、R1a、R2a、およびR3aは、独立して、C~C20アルキルであり、R4aは、メチルまたはベンジルであり、Xは、ハロゲン化物またはメトサルフェートである。
【0107】
好適なアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、またはアリールアミン四級塩としては、式[N5a6a7a8a][X]のアルキルアリール、アリールアルキル、およびアリールアミン四級塩が挙げられ、式中、R5a、R6a、R7a、およびR8aは、1~18個の炭素原子を含有し、Xは、Cl、Br、またはIである。四級塩に関して、R5a、R6a、R7a、およびR8aは、各々独立して、アルキル(すなわち、C~C18アルキル)、ヒドロキシアルキル(すなわち、C~C18ヒドロキシアルキル)、およびアリールアルキル(すなわち、ベンジル)であり得る。アルキルまたはアルキルアリールハロゲン化物との単環式または多環式芳香族アミン塩は、式[N5a6a7a8a][X]の塩を含み、式中、R5a、R6a、R7a、およびR8aは、1~18個の炭素原子および少なくとも1つのアリール基を含有し、Xは、Cl、Br、またはIである。
【0108】
適切な四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、テトラオクチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、フェニルトリメチルアンモニウム塩、フェニルトリエチルアンモニウム塩、セチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ジメチルアルキルベンジル四級アンモニウム塩、モノメチルジアルキルベンジル四級アンモニウム塩、またはトリアルキルベンジル四級アンモニウム塩(上記のアルキル基は、約6~約24個の炭素原子、約10~約18個の炭素原子、または約12~約16個の炭素原子を有する)を挙げることができるが、これらに限定されない。四級アンモニウム塩は、ベンジルトリアルキル四級アンモニウム塩、ベンジルトリエタノールアミン四級アンモニウム塩、またはベンジルジメチルアミノエタノールアミン四級アンモニウム塩であり得る。
【0109】
1つ以上の腐食抑制剤は、式(5A)で表されるものなどのピリジニウム塩を含み得、
【化22】
式中、R9aは、アルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基であり、当該アルキル基は、1~約18個の炭素原子を有し、Xは、塩化物、臭化物、またはヨウ化物などのハロゲン化物である。これらの化合物の中には、アルキルピリジニウム塩およびアルキルピリジニウムベンジル四級物がある。例示的な化合物としては、メチルピリジニウムクロリド、エチルピリジニウムクロリド、プロピルピリジニウムクロリド、ブチルピリジニウムクロリド、オクチルピリジニウムクロリド、デシルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルピリジニウムクロリド、およびアルキルベンジルピリジニウムクロリドが挙げられ、好ましくは、アルキルは、C~Cヒドロカルビル基である。好ましくは、ピリジニウム化合物は、ベンジルピリジニウムクロリドを含む。
【0110】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、リン酸エステル、モノマーまたはオリゴマー脂肪酸、アルコキシル化アミン、またはそれらの混合物であり得る。
【0111】
1つ以上の腐食抑制剤は、リン酸エステルであり得る。適切なモノ-、ジ-、およびトリ-アルキル、ならびにモノ-、ジ-および、トリエタノールアミンのアルキルアリールリン酸エステル、およびリン酸エステルは、典型的には1~約18個の炭素原子を含有する。好ましいモノ-、ジ-、およびトリアルキルリン酸エステル、アルキルアリール、またはアリールアルキルリン酸エステルは、C~C18脂肪族アルコールを五酸化リンと反応させることによって調製されるものである。リン酸エステル中間体は、そのエステル基をリン酸トリエチルと交換して、より広い分布のアルキルリン酸エステルを生成する。
【0112】
あるいは、リン酸エステルは、アルキルジエステルを、低分子量アルキルアルコールまたはジオールの混合物と混和することによって作製され得る。低分子量アルキルアルコールまたはジオールは、好ましくはC~C10アルコールまたはジオールを含む。さらに、1つ以上の2-ヒドロキシエチル基を含有するポリオールのリン酸エステルおよびそれらの塩、ならびにポリリン酸または五酸化リンをジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなどのヒドロキシルアミンと反応させることによって得られるヒドロキシルアミンリン酸エステルが好ましい。
【0113】
1つ以上の腐食抑制剤は、モノマーまたはオリゴマー脂肪酸であり得る。好ましいモノマーまたはオリゴマー脂肪酸は、C14~C22飽和および不飽和脂肪酸、ならびにそのような脂肪酸のうちの1つ以上を重合することによって得られるダイマー、トリマー、およびオリゴマー生成物である。
【0114】
1つ以上の腐食抑制剤は、アルコキシル化アミンであり得る。アルコキシル化アミンは、エトキシル化アルキルアミンであり得る。アルコキシル化アミンは、エトキシル化獣脂アミンであり得る。
【0115】
分散剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物は、分散剤をさらに含むことができる。分散剤は、水系の水中に存在する粒子状物質を分散した状態に保持し、それが凝集しないようにする。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1~約10重量%、約0.5~約5重量%、または約0.5~約4重量%の分散剤を含むことができる。
【0116】
分散剤は、アクリル酸ポリマー、マレイン酸ポリマー、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマー、それらのアルキルエステル、またはそれらの組み合わせであり得る。これらのポリマーは、アクリル酸、アクリルアミド、およびスルホン化モノマーのターポリマーを含み得る。これらのポリマーはまた、アクリル酸および他の3つのモノマーからなる四級物ポリマーを含み得る。
【0117】
適切な分散剤としては、限定されないが、ヒドロキシエチルジホスホン酸などの2~50個の炭素を有する脂肪族ホスホン酸、およびアミノアルキルホスホン酸、すなわち、2~10個のN原子を有するポリアミノメチレンホスホネート(すなわち、各々が少なくとも1つのメチレンホスホン酸基を有する)が挙げられ、後者の例は、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、および各N原子間に2~4個のメチレン基を有し、各ホスホネートにおけるメチレン基の数の少なくとも2つが異なるトリアミン-およびテトラアミン-ポリメチレンホスホネートである。他の適切な分散剤としては、リグニン、またはリグノスルホネートなどのリグニンの誘導体、ならびにナフタレンスルホン酸および誘導体が挙げられる。
【0118】
汚損制御組成物は、有機硫黄化合物、例えばメルカプトアルキルアルコール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、L-システイン、tert-ブチルメルカプタン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせを含み得る。好ましくは、メルカプトアルキルアルコールは、2-メルカプトエタノールを含む。かかる化合物は、組成物中で相乗剤として使用される。有機硫黄化合物は、組成物の総重量に基づいて、組成物の0.5重量%~15重量%、好ましくは約1重量%~約10重量%、より好ましくは約1重量%~約5重量%を構成し得る。有機硫黄化合物は、組成物の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、または約15重量%を構成することができる。
【0119】
汚損制御組成物は、抗乳化剤をさらに含むことができる。好ましくは、抗乳化剤は、ポリアルキレングリコールなどのオキシアルキレートポリマーを含む。抗乳化剤は、組成物の総重量に基づいて、組成物の約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%を構成することができる。抗乳化剤は、組成物の約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、または約5重量%を構成することができる。
【0120】
汚損制御組成物は、アスファルテン抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1~約10重量%、約0.1~約5重量%、または約0.5~約4重量%のアスファルテン抑制剤を含むことができる。適切なアスファルテン抑制剤としては、脂肪族スルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アリールスルホネート、リグノスルホネート、アルキルフェノール/アルデヒド樹脂および類似のスルホン化樹脂、ポリオレフィンエステル、ポリオレフィンイミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンエステル、ポリオレフィンアミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンアミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンイミド、アルケニル/ビニルピロリドンコポリマー、ポリオレフィンと無水マレイン酸またはビニルイミダゾールとのグラフトポリマー、超分岐ポリエステルアミド、ポリアルコキシル化アスファルテン、両性脂肪酸、コハク酸アルキルの塩、モノオレイン酸ソルビタン、およびポリイソブチレン無水コハク酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
汚損制御組成物は、パラフィン抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のパラフィン抑制剤を含むことができる。適切なパラフィン抑制剤としては、パラフィン結晶改質剤、および分散剤/結晶改質剤の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。適切なパラフィン結晶改質剤としては、アルキルアクリレートコポリマー、アルキルアクリレートビニルピリジンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、分岐ポリエチレン、ナフタレン、アントラセン、マイクロクリスタリンワックス、および/またはアスファルテンが挙げられるが、これらに限定されない。適切なパラフィン分散剤としては、ドデシルベンゼンスルホネート、オキシアルキル化アルキルフェノール、およびオキシアルキル化アルキルフェノール樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
汚損制御組成物は、スケール抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約20重量%、約0.5重量%~約10重量%、または約1重量%~約10重量%のスケール抑制剤を含むことができる。好適なスケール抑制剤としては、リン酸塩、リン酸エステル、リン酸、ホスホン酸塩、ホスホン酸、ポリアクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホネート/アクリル酸コポリマー(AMPS/AA)の塩、リン酸化マレイン酸コポリマー(PHOS/MA)、モノー、ビスー、およびオリゴマーホスフィノコハク酸(PSO)誘導体、ポリカルボン酸、疎水性修飾ポリカルボン酸、ならびにポリマレイン酸/アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホネートターポリマー(PMA/AA/AMPS)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
汚損制御組成物は、乳化剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の乳化剤を含むことができる。適切な乳化剤としては、カルボン酸の塩、カルボン酸またはカルボン酸無水物とアミンとの間のアシル化反応の生成物、ならびに糖のアルキル、アシル、およびアミド誘導体(アルキル-糖乳化剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
汚損制御組成物は、水浄化剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の水浄化剤を含むことができる。好適な水浄化剤としては、ミョウバン、塩化アルミニウム、およびアルミニウムクロロハイドレートなどの無機金属塩、またはアクリル酸系ポリマー、アクリルアミド系ポリマー、重合アミン、アルカノールアミン、チオカルバメート、およびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)などのカチオン性ポリマーなどの有機ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
汚損制御組成物は、エマルジョン破壊剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のエマルジョン破壊剤を含むことができる。好適なエマルジョン破壊剤としては、ドデシルベンジルスルホン酸(DDBSA)、キシレンスルホン酸のナトリウム塩(NAXSA)、エポキシ化およびプロポキシル化化合物、ならびにフェノールおよびエポキシ樹脂などの樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
汚損制御組成物は、硫化水素捕捉剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、または約1重量%~約30重量%の硫化水素捕捉剤を含むことができる。適切な追加の硫化水素捕捉剤としては、酸化剤(すなわち、過酸化ナトリウムまたは二酸化塩素などの無機過酸化物)、アルデヒド(すなわち、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレイン、またはメタクロレインなどの炭素数1~10のもの)、トリアジン(すなわち、モノエタノールアミントリアジン、モノメチルアミントリアジン、および複数のアミンからのトリアジン、またはこれらの混合物)、二級または三級アミンとアルデヒドとの縮合生成物、ならびにアルキルアルコールとアルデヒドとの縮合生成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
汚損制御組成物は、ガスハイドレート抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約20重量%、または約1重量%~約10重量%のガスハイドレート抑制剤を含むことができる。適切なガスハイドレート抑制剤としては、熱力学的ハイドレート抑制剤(THI)、動的ハイドレート抑制剤(KHI)、および凝集抑制剤(AA)が挙げられるが、これらに限定されない。適切な熱力学的ハイドレート抑制剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、ギ酸塩ブライン(すなわち、ギ酸カリウム)、ポリオール(グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、グルコネート、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、モノブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、および糖アルコール(すなわち、ソルビトール、マンニトール)など)、メタノール、プロパノール、エタノール、グリコールエーテル(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなど)、ならびにアルコールのアルキルエステルまたは環状エステル(乳酸エチル、乳酸ブチル、安息香酸メチルエチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
汚損制御組成物は、動的ハイドレート抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約20重量%、または約1重量%~約10重量%の動的ハイドレート抑制剤を含むことができる。好適な動的ハイドレート抑制剤および凝集抑制剤としては、ポリマーおよびコポリマー、ポリサッカリド(ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、デンプン誘導体、およびキサンタンなど)、ラクタム(ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルラクタムなど)、ピロリドン(様々な分子量のポリビニルピロリドンなど)、脂肪酸塩、エトキシル化アルコール、プロポキシル化アルコール、ソルビタンエステル、エトキシル化ソルビタンエステル、脂肪酸のポリグリセリンエステル、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエステルスルホネート、アルキル芳香族スルホネート、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、炭化水素系分散剤(リグノスルホネート、イミノジスクシネート、ポリアスパルテートなど)、アミノ酸、ならびにタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
汚損制御組成物は、pH調整剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約20重量%、約0.5重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%のpH調整剤を含むことができる。適切なpH調整剤は、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属重炭酸塩、およびこれらの混合物または組み合わせを含むが、これらに限定されない。例示的なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、および水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0130】
汚損制御組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の界面活性剤を含むことができる。適切な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、ジカチオン性、ジアニオン性界面活性剤、またはそれらの混合物であり得る。アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルコールサルフェート、アルコールエーテルサルフェート、アルキルカルボキシレートおよびアルキルエーテルカルボキシレート、ならびにアルキルおよびエトキシル化アルキルリン酸エステル、ならびにモノおよびジアルキルスルホサクシネートおよびスルホサクシネートが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、エチレン、プロピレン、およびブチレンオキシドのブロックコポリマー、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、ポリアルコキシル化グリセリド、ソルビタンエステル、およびポリアルコキシル化ソルビタンエステル、ならびにアルコイルポリエチレングリコールエステルおよびジエステルが挙げられる。ベタインおよびスルタン(sultane)、両性界面活性剤、例えばアルキルアンホアセテートおよびアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネートおよびアンホジプロピオネート、ならびにアルキルイミノジプロピオネートなども含まれる。
【0131】
汚損制御組成物は、機能的および/または有益な特性を提供する追加の汚損制御剤をさらに含むことができる。例えば、追加の汚損制御組成物剤は、金属イオン封鎖剤、可溶化剤、潤滑剤、緩衝剤、洗浄剤、リンス助剤、保存剤、結合剤、増粘剤もしくは他の粘度調整剤、加工助剤、水質調整剤、発泡抑制剤もしくは発泡剤、スレッショルド剤(threshold agent)もしくは系、審美的増強剤(すなわち、染料、着臭剤、香料)、または汚損制御組成物を用いた配合に適した他の添加剤、およびそれらの混合物であり得る。追加の薬剤または添加剤は、製造されている特定の汚損制御組成物および当業者が理解するであろうその意図された用途に従って変化するであろう。
【0132】
あるいは、汚損制御組成物は、追加の汚損制御組成物剤のうちのいずれも含有しないか、または含まない。
【0133】
さらに、汚損制御組成物は、表1A~1Bに示されるように、以下の成分を含む組成物に配合することができる。これらの配合物は、列挙された成分の範囲を含み、任意選択で追加の薬剤を含み得る。以下の表1A~1Bの値は、重量パーセントである。
【表1】
【表2】
【0134】
水系
汚損制御組成物またはその使用溶液は、水系に適用されて、水系中または水系内の表面の微生物またはバイオフィルムの成長を防止する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法における水系は、工業用水系である。他の実施形態では、水系は、開放再循環系を含む冷却水系、閉鎖式および貫流式冷却水系、ボイラーおよびボイラー水系、石油坑系、ダウンホール形成、地熱井ならびに石油およびガス操業における他の水系、鉱物洗浄系、浮選およびベネファクション、製紙工場蒸解釜、ウォッシャ、漂白プラント、ストックチェスト、白水系、抄紙機表面、パルプ工業における黒液エバポレータ、ガススクラバおよびエアウォッシャ、冶金工業の連続鋳造プロセス、空調および冷蔵系、工業用および石油プロセス水、間接接触冷却および加熱水、水の再生利用系、浄水系、膜濾過水系、食品加工流れ(肉、野菜、テンサ、サトウキビ、穀物、家禽肉、果物、および大豆)、廃棄物処理系、浄化剤、液体-固体適用、都市下水処理、都市水系、飲料水系、帯水層、貯水タンク、スプリンクラー系、ならびに給湯器であり得るが、これらに限定されない。
【0135】
いくつかの実施形態では、水系は、開放再循環式を含む冷却水系、閉鎖式および貫流式冷却水系、抄紙機表面、食品加工流れ、廃棄物処理系、または飲料水系である。
【0136】
いくつかの実施形態では、水系は、湿潤性表面を含む任意の系である。そのような水系の例には、浴室の壁と床、食品と野菜の表面、および食品の処理液が含まれるが、これらに限定されない。そのような表面は、典型的には、水または水の水分と常に接触しており、バイオフィルムの成長にさらされる。
【0137】
開示される方法または組成物の使用
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法に関して、汚損制御組成物を水系に提供することは、汚損制御組成物、ジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物、またはその使用溶液が、水を含む流体中または水系の表面に添加されることを意味する。他の実施形態では、汚損制御組成物を水系に提供することは、汚損制御組成物、ジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を添加すること、またはその溶液を水系の水または表面に使用することを意味する。いくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物を水系に提供することは、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を水系の表面に接触する流体またはガスに添加することを意味する。汚損制御組成物、ジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物、または使用溶液は、より多くの化合物または組成物が必要とされる可能性がある場合、連続的または断続的に添加され得る。
【0138】
汚損制御組成物または1つ以上のジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物の使用溶液は、本明細書で使用される場合、希釈剤による組成物または化合物の希釈溶液を指す。希釈剤は、本明細書で使用される場合、本明細書で定義される水、水系の水、または担体もしくは溶媒のうちの1つを指す。汚損制御組成物または化合物は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11~1,000,000倍、またはそれらの間の任意の値に希釈されて、使用溶液を生成し、次いでその使用溶液を水系または表面上に提供することができる。本開示では、組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物が適用される場合、組成物/化合物またはその使用溶液のいずれかが適用される。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、処理水系における組成物または化合物の濃度が約0.001ppm~約5000ppmであるように、水系の水に添加され得る。他の実施形態では、水系の水中の汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物の量は、約0.001ppm~約4000ppm、約0.001ppm~約3000ppm、約0.001ppm~約2000ppm、約0.001ppm~約1000ppm、約0.001ppm~約100ppm、約0.01ppm~約100ppm、約0.1ppm~約100ppm、約1ppm~約100ppm、5ppm~約100ppm、約5ppm~約50ppm、約5ppm~約40ppm、約5ppm~約30ppm、約10ppm~約60ppm、約10ppm~約50ppm、約10ppm~約40ppm、約10ppm~約30ppm、約20ppm~約60ppm、約20ppm~約50ppm、約20ppm~約40ppm、または約20ppm~約30ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、約0.001ppm~約5000ppm、約0.001ppm~約4000ppm、約0.001ppm~約3000ppm、約0.001ppm~約2000ppm、約0.001ppm~約1000ppm、約1ppm~約1000ppm、約125ppm~約1000ppm、約250ppm~約1000ppm、または約500ppm~約1000ppmの範囲の量まで水に添加され得る。
【0140】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、ガス流または液体流を、本明細書に記載される有効量の化合物または組成物で処理することなどによって、石油およびガス用途での汚損制御に使用され得る。化合物および組成物は、表面での微生物またはバイオフィルムの成長を防止することが望ましいあらゆる産業において使用され得る。
【0141】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、縮合液/油系/ガス系、またはそれらの任意の組み合わせで使用され得る。例えば、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、熱交換器表面の汚損制御に使用することができる。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、産生されるガスもしくは液体に適用され得るか、または原油もしくは天然ガスの産生、輸送、貯蔵、および/もしくは分離において使用され得る。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、石炭燃焼発電所などの石炭燃焼プロセスで使用または産生されるガス流に適用され得る。
【0142】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、廃水プロセス、農場、食肉処理場、埋立地、自治体廃水プラント、コークス用石炭プロセス、またはバイオ燃料プロセスで産生または使用されるガスまたは液体に適用され得る。
【0143】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物が導入され得る流体は、水性媒体であり得る。水性媒体は、水、ガス、および任意選択で液体炭化水素を含み得る。
【0144】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物が導入され得る流体は、液体炭化水素であり得る。液体炭化水素は、原油、重油、加工残油、瀝青油、コーカー油、コーカー軽油、流動接触分解供給原料、軽油、ナフサ、流動触媒分解スラリー、ディーゼル燃料、燃料油、ジェット燃料、ガソリン、および灯油が挙げられるが、これらに限定されない任意の種類の液体炭化水素であり得る。流体またはガスは、精製された炭化水素生成物であり得る。
【0145】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物で処理される流体またはガスは、周囲温度または高温などの任意の選択された温度であり得る。流体(すなわち、液体炭化水素)またはガスは、約40℃~約250℃の温度であり得る。流体またはガスは、-50℃~300℃、0℃~200℃、10℃~100℃、または20℃~90℃の温度であり得る。流体またはガスは、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、または40℃の温度であり得る。流体またはガスは、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、または100℃の温度であり得る。
【0146】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、様々なレベルの含水率で流体(または水系)に添加され得る。例えば、含水率は、0%~100%体積/体積(v/v)、1%~80%v/v、または1%~60%v/vであり得る。流体は、様々なレベルの塩分を含有する水性媒体であり得る。流体は、0%~25%、約1%~24%、または約10%~25%重量/重量(w/w)の全溶解固形物(TDS)の塩分を有し得る。
【0147】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物が導入される流体またはガス、すなわち水系は、多くのタイプの装置に含まれ、かつ/またはそれらに曝露され得る。例えば、流体またはガスは、石油および/またはガスパイプラインなどの、ある点から別の点へ流体またはガスを輸送する装置に収容することができる。装置は、パイプライン、分離容器、脱水装置、またはガスラインなどの石油および/またはガス精製所の一部であり得る。流体は、坑口などの、石油の抽出および/または生成に使用される装置に収容されおよび/またはそれに曝露され得る。装置は、石炭火力発電所の一部であり得る。装置は、スクラバ(すなわち、湿式排煙脱硫装置、噴霧乾燥吸収装置、乾燥収着剤注入装置、噴霧塔、接触塔または気泡塔等)であり得る。装置は、貨物船、貯蔵船、貯蔵タンク、またはタンク、船、もしくは処理ユニットを接続するパイプラインであり得る。
【0148】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、流体またはガスを通した分散を確実にするための任意の適切な方法によって、水系の流体またはガスに導入され得る。例えば、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、炭化水素流体が表面に接触する前に、炭化水素流体に添加され得る。
【0149】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、汚損制御が望まれる地点から上流のフローラインの地点で添加され得る。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、化学注入ポンプ、パイプティー、注入フィッティング、アトマイザー、クイル等の機械装置を使用して注入され得る。
【0150】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、アンビリカルラインを使用して油および/またはガスパイプラインに送り込まれ得る。毛管注入システムを使用して、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を選択された流体に送達することができる。
【0151】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物が導入され得る流体は、水性媒体であり得る。水性媒体は、水、ガス、および任意選択で液体炭化水素を含み得る。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物が導入され得る流体は、液体炭化水素であり得る。
【0152】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、液体、ならびにいくつかの液体、液体およびガス、液体、固体、およびガスの混合物に導入され得る。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、水溶液もしくは非水溶液、混合物、またはスラリーとしてガス流に注入され得る。
【0153】
流体またはガスは、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を含む吸収塔を通過することができる。
【0154】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、流体またはガスに適用されて、任意の選択された濃度を提供することができる。実際には、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、典型的には、フローラインに添加されて、約0.01ppm~約5,000ppmの汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物の有効処理投入量を提供する。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を流体またはガスに適用して、100万当たり約1部(ppm)~約1,000,000ppm、100万当たり約1部(ppm)~約100,000ppm、または約10ppm~約75,000ppmの活性物質濃度を提供することができる。ポリマー塩/組成物を流体に適用して、約100ppm~約10,000ppm、約200ppm~約8,000ppm、または約500ppm~約6,000ppmの活性物質濃度を提供することができる。活性物質濃度は、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物の濃度を意味する。
【0155】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を流体またはガスに適用して、処理流体またはガス、すなわち処理水系中0.1ppm、0.5ppm、1ppm、2ppm、5ppm、10ppm、20ppm、100ppm、200ppm、500ppm、または1,000ppmの活性物質濃度を提供することができる。汚損制御組成物またはジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物を流体またはガスまたは水系に適用して、処理流体、ガス、または水系中0.125ppm、0.25ppm、0.625ppm、1ppm、1.25ppm、2.5ppm、5ppm、10ppm、または20ppmの活性物質濃度を提供することができる。各水系は、それ自体の投入量レベル要件を有することができ、微生物またはバイオフィルムの成長速度を十分に低下させるための汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物の有効投入量レベルは、それが使用される水系によって変化し得る。
【0156】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、連続的に、バッチで、またはそれらの組み合わせで適用され得る。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物の投与は、連続的であり得る。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物の投与は、断続的(すなわち、バッチ処理)であり得るか、または連続的/維持かつ/もしくは断続的であり得る。
【0157】
連続処理のための投与速度は、典型的には、約1~約500ppm、または約1~約200ppmの範囲である。バッチ処理のための投与速度は、典型的には、約10~約400,000ppm、または約10~約20,000ppmの範囲である。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、パイプラインへの錠剤として適用され、高投入量(すなわち、20,000ppm)の組成物を提供することができる。
【0158】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物が使用されるフローラインの流速は、毎秒0.1~100フィート、または毎秒0.1~50フィートであり得る。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物はまた、フローラインへの添加を促進するために水と配合され得る。
【0159】
水系の表面は、水系の水または水の蒸気に何らかの方法で接触することができる任意の表面であり得る。表面は、原油または天然ガスなどの流体の生成、輸送、貯蔵、および/または分離に使用される坑井または装置の一部であり得る。
【0160】
より具体的には、表面は、石炭燃焼プロセス、廃水プロセス、農場、食肉処理場、埋立地、自治体廃水プラント、コークス用石炭プロセス、またはバイオ燃料プロセスを使用する装置の一部であり得る。好ましくは、表面は、原油または天然ガスの生成に使用される装置の一部であり得る。
【0161】
装置は、パイプライン、貯蔵容器、坑内注入管、フローライン、または注入ラインを含むことができる。
【0162】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、外食産業または食品加工工業における容器、加工施設、または設備の微生物またはバイオフィルムの成長を防止するのに有用である。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、食品包装材料および設備上での使用にとって、特に低温または高温無菌包装にとって特に価値がある。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を用いることができる加工設備の例としては、ミルク管酪農、連続醸造システム、汲み上げ可能な食品システムおよび飲料ラインなどの食品加工ライン、食器洗浄器、低温食器洗浄器、食器類、ボトル洗浄機、ボトル冷却装置、加温器、第3のシンク洗浄器、タンク、バット、ライン、ポンプ、およびホースなどの加工装置(すなわち、牛乳、チーズ、アイスクリーム、および他の乳製品を加工するための乳製品加工装置)、ならびに輸送車両が挙げられる。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を使用して、清涼飲料材料の製造および貯蔵に使用されるタンク、ライン、ポンプ、および他の装置における腐食を抑制することができ、また飲料用の瓶詰めまたは容器に使用することもできる。
【0163】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物はまた、他の工業装置上またはその中、および例えばヒーター、冷却塔、ボイラー、レトルト水、リンス水、無菌包装洗浄水等の他の工業プロセス流中で使用することもできる。汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を使用して、プール、温泉、娯楽用水路およびウォータースライド、噴水等の娯楽用水中の表面を処理することができる。
【0164】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物を使用して、清掃および/またはハウスキーピング用途、食品加工装置、および/または植物用途、ならびに洗濯用途に見られる表面中のクリーナーと接触する金属表面を処理することができる。例えば、布地を洗浄するためのトンネル式洗浄機などの洗浄機は、本明細書に開示される方法に従って処理され得る。
【0165】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、当業者に一般に知られている任意の好適な方法で分注され得る。例えば、噴霧型ディスペンサーが使用され得る。噴霧型ディスペンサーは、組成物の一部分を溶解させるために組成物の露出面に水噴霧を衝突させ、次いで直ちに組成物を含む濃縮物溶液をディスペンサーから貯蔵リザーバへ、または使用点に直接向けることによって機能する。
【0166】
汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、水系の水、流体、またはガスに断続的または連続的に浸漬することによって分注され得る。次いで、汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、例えば、制御された速度または所定の速度で溶解することができる。この速度は、本明細書に開示されている方法に従って使用するのに有効である、溶解した化合物または組成物の濃度を維持するのに有効であり得る。
【0167】
本明細書に開示される汚損制御組成物は、約80~約99.9重量%の担体、殺生物剤、腐食抑制剤、追加の汚損制御剤、それらの組み合わせ;約0.1重量%~約20重量%の1つ以上のジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物;約1重量%~約60重量%の担体、殺生物剤、腐食抑制剤、追加の汚損制御剤、それらの組み合わせ、および約20重量%~約98.9重量%の水;約10重量%~約20重量%の1つ以上のジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物、約30重量%~約40重量%の担体、殺生物剤、腐食抑制剤、追加の汚損制御剤、それらの組み合わせ、および約40重量%~約60重量%の水;または約15重量%~約20重量%の1つ以上のジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物、約1重量%~約10重量%の担体、殺生物剤、腐食抑制剤、追加の汚損制御剤、それらの組み合わせ、および約70重量%~約84重量%の水を含み得る。
【0168】
一態様では、本明細書に開示されるのは、水系における微生物汚損を制御する方法であり、この方法は、汚損制御組成物を水系に提供して処理水系を生成することを含み、汚損制御組成物は、一級アミンまたはポリアミンと以下の式
【化23】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応から誘導されるか、あるいは
ポリアミンと以下の式
【化24】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、および以下の式
【化25】
によるエポキシドからの開環反応から誘導される化合物もしくはその塩を含み、
式中、Xは、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、Rは、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yは、-NR (+)であり、R、R、およびRは、独立して、C~C10アルキル基であり、Rは、Hまたはアルキルであり、Rは、アルキルまたは(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、化合物は、2つの
【化26】
基を有するジカチオン性化合物、1、2、3、もしくはそれ以上の
【化27】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または1、2、3、もしくはそれ以上の
【化28】
基および少なくとも1つの
【化29】
基を有する多重荷電カチオン性化合物である。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、水系における細菌の成長またはバイオフィルムの成長を軽減する。
【0169】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、汚損制御組成物であり、組成物は、1つ以上の追加の汚損制御剤と、一級アミンまたはポリアミンと以下の式
【化30】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応から誘導されるか、あるいは
ポリアミンと以下の式
【化31】
によるα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、および以下の式
【化32】
によるエポキシドからの開環反応から誘導される化合物もしくはその塩とを含み、
式中、Xは、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、Rは、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yは、-NR (+)であり、R、R、およびRは、独立して、C~C10アルキル基であり、Rは、Hまたはアルキルであり、Rは、アルキルまたは(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、化合物は、2つの
【化33】
基を有するジカチオン性化合物、1、2、3、もしくはそれ以上の
【化34】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または1、2、3、もしくはそれ以上の
【化35】
基および少なくとも1つの
【化36】
基を有する多重荷電カチオン性化合物である。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、水系における細菌の成長またはバイオフィルムの成長を軽減する。
【0170】
いくつかの実施形態では、化合物またはその塩は、一級アミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される。いくつかの他の実施形態では、化合物またはその塩は、ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される。化合物またはその塩は、ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザマイケル付加反応、およびポリアミンとエポキシドとの間の開環反応の両方から誘導される。
【0171】
本明細書に開示される化合物のいくつかの実施形態では、Xは、NHである。いくつかの他の実施形態では、Xは、Oである。
【0172】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、CHCH、CHCHCH、またはCH(CHである。
【0173】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR (+)である。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR (+)であり、R、R、およびRは、独立して、CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Yは、-NR (+)であり、RおよびRは、独立して、CHであり、Rは、C~C12芳香族アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR (+)であり、RおよびRは、独立して、CHであり、Rは、-CH-Cである。
【0174】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR (+)であり、Yの対イオンは、負に帯電したイオンまたは種である。いくつかの他の実施形態では、Yの対イオンは、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである。
【0175】
いくつかの実施形態では、Rは、CHである。いくつかの他の実施形態では、Rは、CHCHである。他の実施形態では、Rは、C(CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、非置換の直鎖および飽和C~C20アルキレン基である。いくつかの実施形態では、Rは、非置換の直鎖および不飽和C~C20アルキレン基である。
【0176】
いくつかの実施形態では、Rは、直鎖C~C18アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、Rは、分岐鎖C~C20アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。
【0177】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、一級アミンから誘導される化合物またはその塩を含む。いくつかの実施形態では、一級アミンは、R11NHであり、式中、R11は、RまたはR-Z-(CH-であり、Rは、非置換または置換の直鎖または分岐鎖C~C30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。
【0178】
言い換えれば、化合物またはその塩は、式I
【化37】
による構造を有する。
【0179】
いくつかの実施形態では、Rは、直鎖C~C30アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、Rは、分岐鎖C~C30アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、直鎖および飽和C~C30アルキル基である。いくつかの他の実施形態では、Rは、分岐鎖および飽和C~C30アルキル基である。
【0180】
いくつかの実施形態では、Rは、1つ以上の二重結合を有する直鎖C~C30アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、Rは、1つ以上の二重結合を有する分岐鎖C~C30アルケニル基である。
【0181】
いくつかの実施形態では、Rは、1つ以上の三重結合を有する直鎖C~C30アルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、Rは、1つ以上の三重結合を有する分岐鎖C~C30アルキニル基である。
【0182】
いくつかの実施形態では、R11は、直鎖および飽和C~C20アルキル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、少なくとも1つの二重結合を有するトランスC~C20アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、トランス配置の少なくとも1つの二重結合を有するC~C20アルケニル基である。いくつかの実施形態では、R11は、少なくとも1つの二重結合を有するシスC~C20アルケニル基である。いくつかの他の実施形態では、R11は、シス配置の少なくとも1つの二重結合を有するC~C20アルケニル基である。
【0183】
いくつかの実施形態では、R11は、R-NH-CHCHCH基であり、Rは、直鎖および飽和C~C20アルキル、トランスアルケニル、またはシスアルケニル基である。
【0184】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、ポリアミンから誘導される化合物またはその塩を含む。いくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物は、ポリアミンから誘導される化合物またはその塩を含み、化合物は、2、3、またはそれ以上の正電荷を有する。
【0185】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、NH-[R10´]n-NH、(RNH)-RNH、HN-(RNH)-RNH、またはHN-(RN(R´))-RNHであり、R10´は、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R′は、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nは、2~1,000,000であり得る。ポリアミン中のモノマー、例えば、RまたはR´基は、同じであっても異なっていてもよい。本開示において、ポリアミンは、nが1~9の場合の小分子ポリアミンと、nが10~1,000,000の場合の高分子ポリアミンの両方を指す。
【0186】
言い換えれば、多重荷電カチオン性化合物は、NA-[R10′]n-NA2、(RNA)-RNA、NA-(RNA)-RNA、またはNA-(RN(R′))-RNA等の式を有し得、式中、R10′は、直鎖または分岐鎖の非置換または置換C~C10アルキレン基であり、Rは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R′は、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNA、RNARNA、またはRN(RNAであり、nは、2~1,000,000であり得、Aは、Hおよび
【化38】
の組み合わせ、またはH、
【化39】
および
【化40】
の組み合わせであり、式中、Xは、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、Rは、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yは、-NR (+)であり、R、R、およびRは、独立して、C~C10アルキル基であり、Rは、Hまたはアルキルであり、Rは、アルキル、または-(CH-O-アルキルであり、式中、kは1~30の整数であり、化合物は、活性化オレフィンからの1、2、3、もしくはそれ以上の正電荷を有する多重荷電カチオン性化合物または活性化オレフィンからの1、2、3、もしくはそれ以上の正電荷およびエポキシドからの少なくとも1つの非イオン性基を有する多重荷電カチオン性化合物である。
【0187】
いくつかの実施形態では、Aは、正に帯電している。
【化41】
いくつかの実施形態では、Aは、正に帯電し
【化42】
非イオン性である
【化43】
【0188】
いくつかの実施形態では、一次NHプロトンのうちの少なくとも2つは、
【化44】
によって置き換えられ、一次NHまたは二次NHのうちの少なくとも1つは、
【化45】
によって置き換えられ、一次NHプロトンの残りは残留する。いくつかの実施形態では、一次NHの全ておよび二次NHプロトンのいくつかは、
【化46】
または
【化47】
【化48】
および
【化49】
によって置き換えられる。それにもかかわらず、汚損制御組成物に使用される化合物は、2つの
【化50】
基を有するジカチオン性化合物、2、3、またはそれ以上の
【化51】
基および少なくとも1つの
【化52】
基を有する多重荷電カチオン性化合物、または2、3、またはそれ以上の
【化53】
基および少なくとも1つの
【化54】
基を有する多重荷電カチオン性化合物である。
【0189】
直鎖ポリエチレンイミンを使用してジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物の構造およびそれをもたらす反応を示すための例示的な一般的なスキームを図1図6に示す。
【0190】
図1は、直鎖ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物とのアザ-マイケル付加反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。図2は、分岐ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物とのアザ-マイケル付加反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。
【0191】
図1および図2において、k、l、m、m、o、またはpは、1~100の整数であり、Xは、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル基であり、Rは、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yは、-NR6(+)、またはその塩であり、
、R、およびRは、独立してC~C10アルキル基またはベンジル基である。
【0192】
図1および図2の構造IおよびIIは、一般化された反応生成物の描写である。構造IおよびIIでは、ポリエチレンイミンの全ての二級および一級アミンが、α,β-不飽和カルボニル化合物と反応するため、二級アミンは残らない。開示された多重荷電カチオン性化合物において、いくつかの二級または一級アミン基は、α,β-不飽和カルボニル化合物と完全に反応せず、多重荷電カチオン性化合物またはそれらの塩において一級または二級アミンとして残る可能性がある。
【0193】
図3は、最初に直鎖ポリエチレンイミンとエポキシドとの間の開環反応によって、次いでα,β-不飽和カルボニル化合物とのアザ-マイケル付加反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。図4は、最初に直鎖ポリアミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応、次いでエポキシドとの開環反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生する一般的な反応スキームを示す。図5は、開環反応および分岐ポリアミン、エポキシドとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応によって多重荷電カチオン性化合物を産生するための代替の一般的な反応スキームを示す。
【0194】
図3図4、および図5において、k、l、m、m、o、またはpは、1~100の整数であり、Xは、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル基であり、Rは、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキレン基であり、Yは、-NR6(+)、またはその塩であり、R、R、およびRは、独立して、C~C10アルキル基またはベンジル基であり、Rは、Hまたはアルキルであり、Rは、アルキルまたは-(CH-O-アルキルである。
【0195】
図3図4、および図5の構造VおよびVIは、一般化された反応生成物の描写である。構造VおよびVIでは、ポリエチレンイミンの全ての二級および一級アミンが、α,β-不飽和カルボニル化合物と反応するため、二級アミンは残らない。開示された修飾ポリアミンにおいて、いくつかの二級または一級アミン基は、エポキシドまたはα,β-不飽和カルボニル化合物のいずれとも完全に反応せず、修飾ポリアミン化合物またはその塩において一級または二級アミンとして残る可能性がある。
【0196】
図6は、一級アミンとα,β-不飽和カルボニル化合物との間のアザ-マイケル付加反応によってジカチオン性化合物を産生するための一般的な反応スキームを示す。
【0197】
図6において、nは、1~20の整数であり、Xは、NHまたはOであり、Rは、H、CH、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C10アルキル基であり、R11は、RまたはR-Z-(CH-であり、mは、1~4の整数であり、Rは、非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C~C30アルキル、環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。
【0198】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、-[RNH]-という一般式を有する直鎖、分岐、またはデンドリマーポリアミンであり、式中、Rは、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、3、4、5、6、7~9、または10~1,000,000の整数である。
【0199】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、(RNH)-RNHという一般式を有する直鎖、分岐、またはデンドリマーポリアミンであり、式中、Rは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH((CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、各モノマーにおいて同じである。いくつかの他の実施形態では、Rは、あるモノマーと別のモノマーでは異なり得る。
【0200】
いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、HN-(RNH)-RNHという一般式を有する直鎖、分岐、またはデンドリマーポリアミンであり、式中、Rは、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、各モノマーにおいて同じである。いくつかの他の実施形態では、Rは、あるモノマーと別のモノマーでは異なり得る。
【0201】
さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、HN-(RN(R′))-RNHという一般式を有する直鎖、分岐、またはデンドリマーポリアミンであり、式中、Rは、-CH2-、-CH2CH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R′は、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキル基、RNH、RNHRNH、またはRN(RNHであり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、RまたはR´は、各モノマーにおいて同じである。いくつかの他の実施形態では、RまたはR′は、あるモノマーと別のモノマーでは異なり得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、NH-[R10′-NHという一般式を有するものであり、式中、R10′は、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、3、4、5、6、7~9、または10~1,000,000の整数である。
【0203】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、HuntsmanによるJEFFAMINE(登録商標)に基づく1つ以上のポリアミンである。
【0204】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、アルキレンアミンを含み、アルキレンアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ポリエチレンイミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、またはそれらの混合物を含む。
【0205】
いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、ポリエーテル骨格を有するか、またはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、もしくは両方のオキシドの混合物に基づくポリエーテル骨格を有するモノアミン、ジアミン、およびトリアミンの混合物である。
【0206】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、未修飾ポリアミンである。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、修飾ポリアミンである。
【0207】
さらにいくつかの実施形態では、ポリアミンは、エトキシル化ポリアミン、プロピル化ポリアミン、ポリクワットを有するポリアミン、ポリグリセロールを有するポリアミン、またはそれらの組み合わせである。
【0208】
さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、直鎖、分岐、またはデンドリマーのポリエチレンイミンである。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、一級および二級アミン基のみを含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンは、一級、二級、および三級アミン基のみを含む。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、一級および三級アミン基のみを含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、単一の化合物である。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、2つ以上の異なるポリアミンの混合物であり、異なるポリアミンは、異なる分子量、異なる構造、または両方を有する。
【0210】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約60~約2,000,000Daの平均分子量(M)を有する。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、約60~約5,000Daの平均分子量(M)を有する。さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、約60~約25,000Daの平均分子量(M)を有する。
【0211】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約60~200、約100~400、約100~600、約600~5,000、約600~800、約800~2,000、約800~5,000、約100~2,000,000、約100~25,000、約600~25,000、約800~25,000、約600~750,000、約800~750,000、約25,000~750,000、約750,000~2,000,000、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約1,000、約1,500、約2,000、約3,000、約5,000、約8,000、約10,000、約15,000、約20,000、約50,000、約100,000、約250,000、約500,000、約1,000,000、約2,000,000、またはそれらの間の任意の値の平均分子量(M)を有する。
【0212】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約130~約4000の平均分子量(M)を有するジアミンまたはトリアミンである。
【0213】
いくつかの実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導された混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導された混合物である。
【0214】
いくつかの他の実施形態では、多重荷電カチオン性化合物は、分岐ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導された混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導された混合物である。
【0215】
いくつかの実施形態では、α,β-不飽和カルボニル化合物は、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、または2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)である。
【0216】
いくつかの他の実施形態では、α,β-不飽和カルボニル化合物は、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、またはそれらの混合物である。
【0217】
いくつかの他の実施形態では、α,β-不飽和カルボニル化合物は、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、またはそれらの混合物である。
【0218】
いくつかの実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導された混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導された混合物である。
【0219】
いくつかの他の実施形態では、多重荷電カチオン性化合物は、分岐ポリエチレンイミンおよび3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導された混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導された混合物である。
【0220】
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、CHである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。
【0221】
いくつかの実施形態では、Rは、C~C30アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。さらにいくつかの他の実施形態では、Rは、C~C20アルキルである。
【0222】
いくつかの実施形態では、Rは、-(CH-O-アルキルであり、式中、kは、1~30の整数であり、アルキル基は、C~C30アルキル基である。
【0223】
いくつかの実施形態では、エポキシドは、アルキルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、1,2-エポキシアルカン、1,2-エポキシテルタデカン、1,2-エポキシドデカン、または1,2-エポキシオクタン、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、エポキシドは、アルキルグリシジルエーテルまたは1,2-エポキシアルカンである。さらにいくつかの他の実施形態では、エポキシドは、ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、エポキシドは、1,2-エポキシテルタデカン、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシデカン、もしくは1,2-エポキシオクタン、またはそれらの混合物である。
【0224】
いくつかの実施形態では、化合物は、水または汚損制御組成物に可溶性または分散性である。
【0225】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、担体を含み、担体は、水、有機溶媒、またはそれらの混合物である。
【0226】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、有機溶媒をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物は、有機溶媒および水をさらに含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの他の実施形態では、有機溶媒は、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである。さらにいくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである。
【0228】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、それらと水との混合物、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0229】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、1つ以上の腐食抑制剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、1つ以上の腐食抑制剤および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、腐食抑制剤は、イミダゾリン化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせである。
【0230】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、追加の汚損制御剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の汚損制御剤は、単一の四級化合物である。
【0231】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、殺生物剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、殺生物剤および担体をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物は、殺生物剤、腐食抑制剤、および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、酸化性殺生物剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、非酸化性殺生物剤をさらに含む。
【0232】
いくつかの他の実施形態では、殺生物剤は、塩素、次亜塩素酸塩、ClO、臭素、オゾン、過酸化水素、過酢酸、ペルオキシカルボン酸、ペルオキシカルボン酸組成物、ペルオキシ硫酸塩、グルタルアルデヒド、ジブロモニトリロプロピオンアミド、イソチアゾロン、テルブチラジン、高分子ビグアニド、メチレンビスチオシアネート、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、およびそれらの任意の組み合わせである。
【0233】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、有機硫黄化合物をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、有機硫黄化合物は、メルカプトアルキルアルコール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、L-システイン、tert-ブチルメルカプタン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである。
【0234】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、無機酸、鉱酸、有機酸、またはそれらの混合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、約1重量%~約20重量%の酸を含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、フッ化水素酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、またはそれらの混合物である。
【0236】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、硫化水素捕捉剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、硫化水素捕捉剤は、酸化剤、無機過酸化物、過酸化ナトリウム、二酸化塩素;C~C10アルデヒド、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレインもしくはメタクロレイン、トリアジン、モノエタノールアミントリアジン、モノメチルアミントリアジン、またはそれらの混合物である。
【0237】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、界面活性剤、殺生物剤、および担体をさらに含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、ジカチオン性、ジアニオン性界面活性剤、またはそれらの混合物である。
【0239】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アルキルフェノール、脂肪酸、またはそれらの混合物である。
【0240】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、ガスハイドレート抑制剤、pH調整剤、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0241】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、凝固剤/凝集剤、水浄化剤、分散剤、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調整剤、発泡剤、消泡剤、乳化剤、CO、および/もしくはOの捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、摩擦低減剤、塩、またはそれらの混合物をさらに含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物は、発泡性界面活性剤をさらに含む。さらにいくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物は、消泡性界面活性剤または薬剤をさらに含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、防腐剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物は、非酸化性殺生物剤、界面活性剤、殺生物剤、および防腐剤をさらに含む。さらにいくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物は、非酸化性殺生物剤、界面活性剤、殺生物剤、防腐剤、および水浄化剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、汚損制御組成物は、界面活性剤、殺生物剤、防腐剤、および水浄化剤をさらに含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、液体、ゲル、または液体/ゲルおよび固体を含む混合物である。
【0245】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物またはその使用溶液は、約2~約11のpHを有する。
【0246】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、約20重量%~約60重量%の化合物またはその混合物を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、化合物またはその混合物は、処理水系で約1ppm~約1000ppmの濃度を有する。
【0248】
いくつかの実施形態では、汚損制御組成物は、追加の機能性成分と独立して、同時に、または連続的に水系に提供される。
【0249】
いくつかの実施形態では、水系は、淡水、リサイクル水、塩水、地表水、随伴水、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、水系は、冷却水系、ボイラー水系、石油坑、ダウンホール形成、地熱井、鉱物洗浄、浮選およびベネファクション、製紙、ガススクラバ、エアウォッシャ、冶金工業の連続鋳造プロセス、空調および冷蔵、水の再生利用、浄水、膜濾過、食品加工、浄化器、都市下水処理、都市水処理、または飲料水系である。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される汚損制御組成物またはジカチオン性もしくは多重荷電カチオン性化合物は、水系にジカチオン性、多重荷電カチオン性化合物、もしくはその混合物、または汚損制御組成物と共に投入した後、水系が、ジカチオン性、多重荷電カチオン性化合物、またはその混合物を約1ppm~約1,000ppm、約1~約900ppm、約1ppm~約800ppm、約1ppm~約700ppm、約1ppm~約600ppm、約1ppm~約500ppm、約1ppm~約400ppm、約1ppm~約300ppm、約1ppm~約250ppm、約1ppm~約200ppm、約1ppm~約150ppm、約1ppm~約100ppm、約1ppm~約50ppm、約1ppm~約25ppm、約1ppm~約10ppm、約0.5ppm~約2ppm、約950ppm、約850ppm、約750ppm、約650ppm、約550ppm、約450ppm、約350、約250ppm、約150ppm、約50ppm、約25ppm、約10ppm、約5ppm、約2ppm、約1ppm、約0.5ppm、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値の濃度で有する場合、MBEC(Minimum Biofilm Eradication Concentration)アッセイ、米国材料試験協会(ASTM)MBEC-E2799-12(2011)アッセイ、または本開示の実施例のセクションに記載される同様のエッセイによって示されるように、水系における微生物またはバイオフィルムの成長を軽減することができる。
【0251】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」または「含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、または組成物の性能に影響しない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態において、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態において、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0252】
「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されると理解される。
【0253】
本開示の方法および組成物は、開示される組成物または方法の構成要素および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、方法および組成物が、追加の工程、構成要素、または成分が、特許請求の範囲に記載の方法および組成物の基本的かつ新規な特徴を著しく変更しない場合にのみ、その追加の工程、構成要素、または成分を含んでもよいことを意味する。
【実施例
【0254】
本開示の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本開示のある特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として与えられている。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本開示の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用法および条件にそれを適合するために本開示の実施形態の様々な変更および修正を行うことができる。したがって、本開示の実施形態の様々な修正は、本明細書に示され記載されているものに加えて、前述の記載から当業者には明らかとなるであろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0255】
実施例1
3,3’-((3,3’-(ドデシルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(I)の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、30グラム、0.10モル)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLの三つ口RBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.9グラム、10%、0.0005mol)および水(63g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にドデシルアミン(10グラム、98%、0.053mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。得られた(約31重量%)ジクワット(diquat)界面活性剤の水溶液をそのまま使用した。質量分析(+ESI-MS)により、ジクワット界面活性剤IIの合成が確認された:計算値[M-2Cl2+263.76、実測値263.7554;計算値[M-Cl562.48、実測値562.4806。反応を図7に示す。
【0256】
実施例2
3,3’-((3,3’-(ヘキサデシルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(II)の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、41グラム、0.149モル)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLの三つ口RBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.9グラム、10%、0.0005mol)および水(100 g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にヘキサデシルアミン(20グラム、90%、0.0745mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。得られた(約30重量%)ジクワット界面活性剤の水溶液をそのまま使用した。質量分析(+ESI/MS)により、ジクワット界面活性剤IIIの合成が確認された:計算値[M-2Cl2+291.79、実測値291.7870;計算値[M-Cl618.54、実測値618.5439。反応を図8に示す。
【0257】
実施例3
3,3’-((3,3’-(オクタデカ-9-エン-1-イルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリド(III)の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、30グラム、0.109モル)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLの三つ口RBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.25グラム、10%、0.0001 mol)および水(70 g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にオレイルアミン(15グラム、95%、0.053mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。得られた(約32重量%)ジクワット界面活性剤の水溶液をそのまま使用した。質量分析(+ESI/MS)により、ジクワット界面活性剤Vの合成が確認された:計算値[M-2Cl2+304.80、実測値304.7949;計算値[M-Cl644.56、実測値644.5596。反応を図9に示す。
【0258】
実施例4
3,3’-((3,3’-(オクチルアザンジイル)ビス(プロパノイル))ビス(アザンジイル))ビス(N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウム)クロリドの合成(IV)
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、40グラム、0.145モル)を、オーバーヘッドスターラー、温度プローブ、およびコンデンサーを備えた250mLの三つ口RBFに充填した。ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(0.9グラム、10%、0.0005mol)および水(100 g)をフラスコに添加した。次いで、よく撹拌された反応混合物にオクタデシルアミン(20グラム、98%、0.072mol)を少しずつ添加した。得られた懸濁液を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。得られた(約31重量%)ジクワット界面活性剤の水溶液をそのまま使用した。質量分析(+ESI/MS)により、ジクワット界面活性剤IVの合成が確認された:計算値[M-2Cl2+305.80、実測値305.8014;計算値[M-Cl646.58、実測値648.5791。反応を図10に示す。
【0259】
実施例5
エチレンアミンE-100/APTAC(1:2.5)付加物の合成
温度プローブ、コンデンサー、マグネチックスターラーを備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、ポリエチレンアミンE-100(50グラム)、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、121グラム)、および水(20グラム)をフラスコに添加した。得られた混合物を80℃で一晩撹拌した。反応が完了すると、混合物は、透明な黄色がかった溶液に変わった。
【0260】
実施例6
多重荷電カチオン性化合物/界面活性剤(7887-94A)の合成
温度プローブ、コンデンサー、およびマグネチックスターラーを備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、実施例5の化合物(エチレンアミンE-100/APTAC 1:2.5付加物、74%、50グラム)を添加した。次いで、C12~C14アルキルグリシジルエーテル(CAS番号:68609-97-2、41.5グラム)およびイソプロパノール(40グラム)をフラスコに添加した。得られた混合物を90℃で一晩または反応が完了するまで撹拌した。
【0261】
実施例7
TEPA/C12~C14アルキルグリシジルエーテル(1:3)付加物の合成
温度プローブ、コンデンサー、およびマグネチックスターラーを備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、ERISYS(商標)GE8(C12~C14アルキルグリシジルエーテル、CAS No:68609-97-2、132グラム)を添加した。次いで、トリエチレンペンタミン(TEPA、98%、30グラム)を、十分に撹拌された反応混合物に添加した。反応温度を130℃に上げ、3時間または反応が完了するまで撹拌した。
【0262】
実施例8
多重荷電カチオン性化合物/界面活性剤の合成
温度プローブ、コンデンサー、およびマグネチックスターラーを備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、実施例7の化合物(TEPA/C12~C14アルキルグリシジルエーテル、1:3付加物、35.6グラム)およびイソプロパノール(36グラム)を添加した。次いで、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、24グラム)をフラスコに添加した。得られた混合物を70℃で一晩またはAPTACの完全な消費が達成されるまで撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な暗琥珀色の溶液に変わった。
【0263】
実施例9
DETA/2EHGE(1:2)付加物の合成
温度プローブ、コンデンサー、およびマグネチックスターラーを備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(2-EHGE、55グラム)を添加した。次いで、ジエチレントリアミン(DETA、15グラム)を十分に撹拌した反応混合物に添加した。反応温度を130℃に上げ、3時間または反応が完了するまで撹拌した。
【0264】
実施例10
多重荷電カチオン性化合物/界面活性剤の合成
温度プローブ、コンデンサー、およびマグネチックスターラーを備えた250mLの三つ口丸底フラスコに、実施例9の化合物(DETA/2EHGE 1:2付加物、21.5グラム)を添加した。(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%)および水をフラスコに添加した。得られた懸濁液を70℃で一晩またはAPTACの完全な消費が達成されるまで撹拌した。反応が完了すると、懸濁液は、透明な黄色がかった溶液に変わった。
【0265】
実施例11
細菌およびバイオフィルムの成長を低減するためのいくつかの例示的なジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物の効果
いくつかの例示的なジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物を、実施例における細菌またはバイオフィルムの成長を低減するそれらの効力について試験した。この実施例で試験した化合物の構造を表2に示す。
【0266】
比較のために、単一の四級化合物を含む2つの異なる組成物も調製した。単一の四級物1試料は、約50重量%のビスオクチルジメチルアンモニウムクロリド(CAS#5538-94-3)および約5~10重量%のグリセリンを含み、単一の四級物2試料は、約50重量%のジデシル-ジメチルアンモニウムクロリド(CAS#7173-51-5)および約10~30重量%のエタノールを含む。約0.8ppm~約1000ppmの範囲の異なる濃度の例示的なジカチオン性または多重荷電カチオン性化合物および単一の四級化合物を試験した。
【0267】
この実施例で使用される微生物およびバイオフィルム抑制試験プロトコルは、MBEC(最小バイオフィルム根絶濃度)アッセイおよび米国材料試験協会(ASTM)MBEC-E2799-12(2011)アッセイに類似しており、どちらも一般的に使用されている。この試験プロトコルは、実験室およびフィールド適用で使用され得る。
【0268】
試験プロトコルは、12ウェルまたは96ウェルの組織培養プレート形式で実施され得る。12ウェルプレートフォーマットは、主に実験室ベースの詳細なスクリーニング/研究用である。96ウェルフォーマットは、主にフィールド適用のために開発されている。
【0269】
試験プロトコルは、異なる水系からの水または人工水を、栄養素が限られた既知の細菌集団(16%の培地、2%(w/w)カシトン、0.8%(w/w)酵母抽出物、4%(v/v)グリセロール、4ppm FeCl)および処理化学物質の溶液と混合することによって試験される水試料の調製から始まる。このステップでは、通常、処理化学物質(複数可)の濃度が異なる一連の処理水試料が生成される(約0.8ppm~1,000ppm)。
【0270】
次に、200μLの各処理水試料を、96ウェルプレートまたは12ウェルプレートに移した。通常、6つの複製が処理化学物質(複数可)の各濃度について試験され、処理化学物質および細菌を含まない対照もプレート(複数可)に配置された。処理された試料を適切に播種した後、プレート(複数可)は、40~48時間のインキュベーションの間、32~35℃で湿度制御環境で低速ロータリーシェーカー上に配置される。
【0271】
インキュベーション後、プレートの各ウェルでの細菌成長を視覚的に、またはマイクロプレート濁度リーダーによって650nmで記録して、処理化学物質の最小細菌成長抑制濃度を決定した。
【0272】
このステップの後、プレート(複数可)内の細菌培養物を注意深く注ぎ出し、250ulの染料(350ppmの2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-フェニルテトラゾリウムクロリド(INT)またはバイオフィルムマトリクス染色用の2,000ppmクリスタルバイオレント(CV)を、ウェル壁のバイオフィルムの活性染色のために各ウェルに添加した。10~15分後、染料を注ぎ、着色水がプレート(複数可)から流れなくなるまで、ウェルを脱イオン水で穏やかに洗浄する。プレート(複数可)を乾燥させた後、各ウェルの染色を視覚的に検査し、結果を記録した。
【0273】
あるいは、300uLのエタノールを使用してCV染料を抽出し、200uLのエタノールを新しいプレートに移して、590nmでのマイクロタイタープレートの記録を行う。これらの結果は、処理化学物質または組成物の最小バイオフィルム抑制濃度の決定につながった。
【0274】
この実施例において微生物および/またはバイオフィルムの成長抑制試験プロトコルに使用された細菌は、北米の30を超える冷却システムからの好気性集団の混合物で構成されていた。特定の種は、具体的に同定されなかった。それらの種は、R2A寒天上で成長させた。
【0275】
試験結果を表3および表4に示し、2つの単一の四級物組成物を使用した場合または化学物質を使用しなかった場合に得られた結果と比較する。表3および4において、「-」は、試験の終了時に検出可能な成長がないことを示し、「+」は、検出可能な成長を示し、「+/-」は、部分的な成長、「++」はさらなる成長を示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【0276】
本発明がこのように記載されていることから、本発明が多くの方法で変更され得ることは明らかであろう。このような変更は、本発明の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのこのような修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10