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特許7150982内視鏡システム、制御装置及び送気制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】内視鏡システム、制御装置及び送気制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/015 20060101AFI20221003BHJP
【FI】
A61B1/015 514
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021514691
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2019016359
(87)【国際公開番号】W WO2020213063
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平賀 都敏
(72)【発明者】
【氏名】沼田 剛毅
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-035060(JP,A)
【文献】特開2016-209345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
A61B 13/00-18/18
A61B 34/00-90/98
A61F 2/01
A61N 7/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ガスを送気する送気装置と、空気を供給するための空気供給装置とを有し、内視鏡に設けられた所定の操作部材が操作されたときに前記内視鏡の先端から前記炭酸ガス又は前記空気の気体を送出する内視鏡システムにおいて、
前記送気装置の内部に設けられ、前記炭酸ガスの状態を検出する気体状態検出部と、
前記炭酸ガスおよび前記空気が送気され、前記気体状態検出部の検出した前記炭酸ガスの状態が、内視鏡システムに設けられた操作部材の操作により前記炭酸ガスが送出された後に所定の閾値に達した後に、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う制御部と、
を含む、内視鏡システム。
【請求項2】
前記気体状態検出部は、前記送気装置の前記炭酸ガスの流量を調整する流量調整弁の後段に設けられた圧力計である、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記圧力計により検出された圧力が前記所定の閾値を超え、かつ前記送気装置の送気スイッチがオンであるときに、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記圧力計により検出された圧力が前記所定の閾値を超えた後に、前記所定の閾値以下になったときに、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記圧力計により検出された圧力が前記所定の閾値を超えた後に、前記所定の閾値以上の他の閾値以上になったときに、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う、請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記気体状態検出部は、前記送気装置の前記炭酸ガスの流量を調整する流量調整弁の後段に設けられた流量計である、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記流量計により検出された前記流量が前記所定の閾値を超え、かつ前記送気装置の送気スイッチがオンであるときに、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う、請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記気体状態検出部は、前記送気装置の前記炭酸ガスの流量を調整する流量調整弁の後段に設けられた炭酸ガス濃度計である、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記炭酸ガス濃度計により検出された炭酸ガス濃度が前記所定の閾値を超え、かつ前記送気装置の送気スイッチがオンであるときに、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う、請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記気体状態検出部は、前記送気装置の前記炭酸ガスの流量を調整する流量調整弁の後段に設けられた圧力計、流量計及び炭酸ガス濃度計の少なくとも2つであり、
前記炭酸ガスの状態は、前記圧力計、前記流量計及び前記炭酸ガス濃度計の少なくとも2つにより検出された前記流量調整弁の後段の管路内の圧力、流量及び炭酸ガス濃度の少なくとも2つである、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記炭酸ガスの状態についての前記所定の閾値を設定する閾値設定部を有する、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記気体状態検出部の検出した前記炭酸ガスの状態が、前記所定の閾値に達した後に、前記所定の閾値を超えた判定すると、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う、請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
送気装置による炭酸ガスの送気と、空気供給装置による空気の送気とを制御するプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記送気装置から送気された前記炭酸ガスの状態を検出し、
前記炭酸ガスおよび前記空気が送気され、検出された前記炭酸ガスの状態が、内視鏡システムに設けられた操作部材の操作により前記炭酸ガスが送出された後に所定の閾値に達した後に、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う、制御装置。
【請求項14】
体腔内に流体を送気する送気装置と空気を供給する空気供給装置を用いた送気制御方法であって、
前記送気装置から送気される炭酸ガスの状態を検出し、
前記炭酸ガスおよび前記空気が送気され、検出された前記炭酸ガスの状態が、内視鏡システムに設けられた操作部材の操作により前記炭酸ガスが送出された後に所定の閾値に達した後に、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う、
送気制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガスを送気する送気装置と、空気を供給するための空気供給装置とを有する内視鏡システム、制御装置及び送気制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡による検査あるいは処置を行うときに、内視鏡の視野確保及び処置具の操作領域確保のために、内視鏡に設けられた送気管路から体腔内に気体の供給が行われる。体腔内に送られる気体としては、空気あるいは炭酸ガスが用いられる。炭酸ガスは、空気に比べて、生体吸収性が良いことから、患者が膨満感を感じにくいというメリットがある。
【0003】
一般には、体腔内に空気を送る場合は、光源装置に設けられたエアポンプが用いられる。体腔内に炭酸ガスを送る場合は、炭酸ガスが充填されたガスボンベが取り付けられた送気装置が用いられる。
【0004】
また、内視鏡システムが、光源装置と送気装置の両方を備え、術者が空気と炭酸ガスのいずれかを選択して使用することができるシステムがある。このような内視鏡システムでは、空気と炭酸ガスの両方が同時に送気されると、体腔内への気体の供給量が多くなりすぎるため、術者が使用する気体を選択して、送気する気体を切り替えなければならない。
【0005】
使用する気体の切り替えは、空気用の送気開始あるいは停止ボタンと炭酸ガス用の送気開始あるいは停止ボタンを操作しなければならず、術者にとっては、それらの操作は、負担となる。
【0006】
日本国特許第5611637号公報には、術者のこのような切り替え操作の負担を軽減するために、制御部が、送気装置の操作ボタンが操作されたことを検知すると、先に作動している光源装置のエアポンプを非作動状態に切り替える医療用送気システムが開示されている。
【0007】
しかし、そのような医療用送気システムにおいて、炭酸ガスがガスボンベに十分に充填されていなかったり、ガスボンベの弁が閉じていたりする場合に、光源装置のエアポンプが非作動状態にされると、体腔内への気体の供給がされない虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、術者の負担を軽減しつつ、かつ体腔内への炭酸ガスの供給を確実に行うことができる内視鏡システム、制御装置及び送気制御方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の内視鏡システムは、炭酸ガスを送気する送気装置と、空気を供給するための空気供給装置とを有し、内視鏡に設けられた所定の操作部材が操作されたときに前記内視鏡の先端から前記炭酸ガス又は前記空気の気体を送出する内視鏡システムにおいて、前記送気装置の内部に設けられ、前記炭酸ガスの状態を検出する気体状態検出部と、前記炭酸ガスおよび前記空気が送気され、前記気体状態検出部の検出した前記炭酸ガスの状態が、内視鏡システムに設けられた操作部材の操作により前記炭酸ガスが送出された後に所定の閾値に達した後に、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う制御部と、を含む。
本発明の一態様の制御装置は、送気装置による炭酸ガスの送気と、空気供給装置による空気の送気とを制御するプロセッサを備え、前記プロセッサは、前記送気装置から送気された前記炭酸ガスの状態を検出し、前記炭酸ガスおよび前記空気が送気され、検出された前記炭酸ガスの状態が、内視鏡システムに設けられた操作部材の操作により前記炭酸ガスが送出された後に所定の閾値に達した後に、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う。
本発明の一態様の送気制御方法は、体腔内に流体を送気する送気装置と空気を供給する空気供給装置を用いた送気制御方法であって、前記送気装置から送気される炭酸ガスの状態を検出し、前記炭酸ガスおよび前記空気が送気され、検出された前記炭酸ガスの状態が、内視鏡システムに設けられた操作部材の操作により前記炭酸ガスが送出された後に所定の閾値に達した後に、前記空気供給装置による前記空気の送気を停止させる制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に関わる医療システムの構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に関わる、内視鏡システムを構成するシステムコントローラと、光源装置と、送気装置の間の信号線の接続関係を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に関わる送気装置の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に関わる、システムコントローラの制御部におけるエアポンプの停止制御の流れの例を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1の実施形態に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、圧力計による検出圧力の変化とを示すグラフである。
図6】本発明の第1の実施形態に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、送気スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、圧力計による検出圧力の変化とを示すグラフである。
図7】本発明の第1の実施形態の変形例1に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、送ガス・送水ボタンの状態と、圧力計による検出圧力の変化とを示すグラフである。
図8】本発明の第1の実施形態の変形例1に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、送気・送水ボタンの状態と、圧力計による検出圧力の変化とを示すグラフである。
図9】本発明の第1の実施形態の変形例2に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、送気スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、送ガス・送水ボタンの状態と、圧力計による検出圧力の変化とを示すグラフである。
図10】本発明の第1の実施形態の変形例2に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、送気スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、送気・送水ボタンの状態と、圧力計による検出圧力の変化とを示すグラフである。
図11】本発明の第2の実施形態に関わる送気装置の構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第2の実施形態に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、送ガス・送水ボタンの状態、流量計による検出流量の変化とを示すグラフである。
図13】本発明の第2の実施形態に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、送気・送水ボタンの状態、流量計による検出流量の変化とを示すグラフである。
図14】本発明の第3の実施形態に関わる送気装置の構成を示すブロック図である。
図15】本発明の第3の実施形態に関わる、送気装置の電源スイッチの状態と、流量調整弁の状態と、送気・送水ボタンの状態、炭酸ガス濃度計による炭酸ガス濃度の変化とを示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に関わる医療システムの構成図である。医療システム1は、内視鏡システム2を用いて、ベッド3上の、患者である被検体4の検査又は処置を行うためのシステムである。
【0012】
内視鏡システム2は、内視鏡11と、システムコントローラ12と、カメラコントロールユニット13と、光源装置14と、送気装置15と、モニタ16と、炭酸ガスボンベ17を含んで構成されている。
【0013】
システムコントローラ12、カメラコントロールユニット13、光源装置14、送気装置15、及びモニタ16は、載置台であるカート18に搭載されている。炭酸ガスボンベ17は、カート18から延出する延出部18a上に載置されている。炭酸ガスボンベ17は、接続チューブ17aにより送気装置15と接続されている。
【0014】
内視鏡11は、細長の挿入部21と、挿入部21の基端に接続された操作部22と、操作部22から延出するユニバーサルケーブル23と、ユニバーサルケーブル23の先端部に設けられたコネクタ24とを有する。コネクタ24は、カメラコントロールユニット13と接続されるケーブル24aと、送気装置15と接続される送気チューブ24bを有している。
【0015】
内視鏡11の挿入部21の先端部には、図示しない観察窓と照明窓が設けられている。観察窓の後ろ側には、CMOSイメージセンサなどの撮像素子が設けられている。観察窓を通して入射した被検体からの光は、撮像素子の撮像面上に結像する。撮像素子は、撮像面上に結像された被検体内の画像を光電変換して撮像信号を出力する。撮像信号は、挿入部21、操作部22、ユニバーサルケーブル23及びケーブル24a内に挿通された信号線により、カメラコントロールユニット13に供給される。カメラコントロールユニット13は、受信した撮像信号に基づいて内視鏡画像を生成し、モニタ16に出力する。
【0016】
挿入部21の先端の照明窓の後ろ側には、図示しない細長のライトガイドの先端面が配設されている。ライトガイドは、挿入部21、操作部22、及びユニバーサルケーブル23内に挿通されている。細長のライトガイドの基端面は、コネクタ24を介して光源装置14内の光源の近傍に配置される。よって、光源装置14の光源の光は、ライトガイドを通って、挿入部21の先端から出射され、被検体内を照明する。照明光の反射光は、撮像素子により受光される。術者は、モニタ16に表示された内視鏡画像を見て、所望の検査あるいは処置を行うことができる。
【0017】
システムコントローラ12は、内視鏡システム2の全体の動作及び、カメラコントロールユニット13等の接続された各種装置の制御を行う。システムコントローラ12は、図示しない信号ケーブルにより、カメラコントロールユニット13と接続されている。
【0018】
カメラコントロールユニット13は、図示しないケーブルにより、モニタ16に接続されている。カメラコントロールユニット13は、内視鏡画像の生成などを行い、内視鏡画像の画像信号をモニタ16に出力する。さらに、システムコントローラ12は、後述する複数の信号線により、光源装置14及び送気装置15と接続されている。
【0019】
また、光源装置14は、エアポンプ14aを含み、エアポンプ14aからの空気は、コネクタ24内に設けられた空気の流路24c(点線で示す)を通して、ユニバーサルケーブル23内の送気チャネル23aへ供給可能となっている。光源装置14は、空気を供給するための空気供給装置を構成する。
【0020】
送気装置15は、炭酸ガスボンベ17の炭酸ガスを送気チューブ24bに吐出する。送気装置15からの炭酸ガスは、送気チューブ24bを介して、コネクタ24に供給される。コネクタ24内には、送気チューブ24bと、ユニバーサルケーブル23内の送気チャネル23aとを連通する気体用経路が形成されている。
【0021】
ユニバーサルケーブル23内の送気チャネル23aは、操作部22を通って挿入部21内の送気路21aと連通している。挿入部21内には、図示しない送液路が設けられている。送気路21aの先端は、その送液路と接続され、挿入部21の先端において1つの送気送液管路が形成されている。その送気送液管路の先端は、挿入部21の先端のノズルに接続され、ノズルの開口21bから気体と液体が吐出可能となっている。
【0022】
操作部22には、送気・送水ボタン22cと吸引ボタン22dが設けられている。術者は、送気・送水ボタン22cに設けられた孔を塞ぐと、操作部22内の気体の送気経路が形成され、光源装置14からの空気あるいは送気装置15からの炭酸ガスを送気路21aに供給させることができる。例えば、操作部22に設けられたシリンダには、空気又は炭酸ガスの気体が流入する開口が形成されている。術者が送気・送水ボタン22cに設けられた孔を塞ぐと、空気あるいは炭酸ガスの気体が送気チャネル23aから送気路21aを通って挿入部21の先端のノズルの開口21bから吐出するような流路が、形成される。
【0023】
また、送気・送水ボタン22cの代わりに送ガス・送水ボタン22eが接続されることがある。この送ガス・送水ボタン22eは2段階で押下できる様になっている。送ガス・送水ボタン22eが押下されない状態では、ガスは送ガス・送水ボタン22eの入口で止まる。送ガス・送水ボタン22eが1段押下されると、送ガスが行われ、送ガス・送水ボタン22eが更に押下がなされ2段階目まで押下されると送水が行われる。
【0024】
なお、ここでは詳述しないが、送気・送水ボタン22cが押下されると、送液路からの水が挿入部21の先端のノズルの開口21bから吐出し、吸引ボタン22dが押下されると、挿入部21の先端のノズルの開口21bからの吸引が行われる。
【0025】
以上のように、内視鏡システム2は、炭酸ガスを送気する送気装置15と、空気を供給するための空気供給装置である光源装置14とを有し、内視鏡11に設けられた所定の操作部材である送気・送水ボタン22cが操作されたときに内視鏡11の先端から炭酸ガス又は空気の気体を出力する。よって、術者は、送気・送水ボタン22cを操作することにより、被検体の体腔内に気体を送り、内視鏡の視野確保などをすることができる。
【0026】
図2は、内視鏡システム1を構成するシステムコントローラ12と、光源装置14と、送気装置15の間の信号線の接続関係を示すブロック図である。システムコントローラ12と送気装置15は、通信線31により接続されている。システムコントローラ12と光源装置14は、通信線32により接続されている。光源装置14と送気装置15は、通信線33により接続されている。通信線31、32、33により、通信ネットワーク34が構成される。ここでは、通信ネットワーク34は、リング状に形成された通信線31、32、33により構成されているが、バス状などの他の形式のネットワークでもよい。システムコントローラ12と光源装置14と送気装置15は、通信ネットワーク34により互いに通信をすることができる。
【0027】
システムコントローラ12は、制御部12Aと、記憶装置12Bと、設定部12Cと、通信回路35を含んでいる。通信回路35には、通信線31、32が接続されている。システムコントローラ12は、上述したように、内視鏡システム1全体の制御を行うための各種回路、装置などを含むが、図2では省略されている。
【0028】
記憶装置12Bには、各種プログラムを記憶するプログラム記憶領域12pと、各種データを記憶するデータ記憶領域12dが含まれる。プログラム記憶領域12pには、後述する光源装置14のエアポンプ14aの停止制御を行う停止制御プログラム12xが含まれる。データ記憶領域12dには、後述する閾値THのデータが含まれる。閾値THは、設定部12Cにより設定変更が可能である。すなわち、設定部12Cは、気体の状態についての所定の閾値THを設定する閾値設定部を構成する。設定部12Cは、例えば、タッチパネル装置と表示装置を含む設定表示器である。
【0029】
制御部12Aは、通信回路35を介して、光源装置14及び送気装置15と通信をすることができる。よって、制御部12Aは、光源装置14及び送気装置15からの各種信号を受信すると共に、光源装置14及び送気装置15への制御信号を送信することができる。
【0030】
光源装置14は、制御部14Aと、通信回路36、エアポンプ14aを含む。光源装置14は、光源、フィルタなどの各種装置を含むが、図2では省略されている。光源装置14は、電源スイッチ14bがオンになると、エアポンプ14aをオンにして作動させる。その結果、送気チャネル23aには空気が送られる。この状態で、術者が送気・送水ボタン22cの孔を塞ぐと、挿入部21の先端のノズルの開口21bから空気が送出される。なお、光源装置14が電源スイッチ14bとは別にエアポンプ14aのオン・オフをさせるためのオン・オフスイッチを有している場合は、電源スイッチ14bがオンされた後に、そのオン・オフスイッチがオンにされると、エアポンプ14aはオンとなる。制御部14Aは、通信回路36を介して、システムコントローラ12及び送気装置15と通信をすることができる。
【0031】
送気装置15は、制御部15Aと、通信回路37を含んでいる。送気装置15は、後述するように減圧器、センサなどの各種装置を含むが、図2では示されていない。制御部15Aは、通信回路37を介して、システムコントローラ12及び光源装置14と通信をすることができる。
【0032】
制御部15Aは、炭酸ガスの供給を行う流量調整弁43への制御信号SSを出力すると共に、炭酸ガスの状態を検出するセンサの検出信号DSを、通信回路37を介して、システムコントローラ12へリアルタイムで送信する。
【0033】
システムコントローラ12の制御部12Aは、受信した検出信号DSに基づいて、エアポンプ14aの動作を制御するための制御信号を生成して、光源装置14へ送信することができる。
【0034】
各制御部12A、14A、15Aは、プロセッサを含む。プロセッサは、中央処理装置(CPU)、ROM、RAMなどを含み、ROM及び記憶装置12Bに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、各種機能を実現する。なお、プロセッサは、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの半導体装置、あるいは電子回路などの回路で構成されていてもよい。
【0035】
図3は、送気装置15の構成を示すブロック図である。送気装置15は、炭酸ガスボンベ17からの炭酸ガスが供給される管路GPを有している。管路GPは、接続チューブ17aと送気チューブ24bと連通しており、炭酸ガスボンベ17からの炭酸ガスを、送気口金15bに接続された送気チューブ24bへ供給する。管路GPには、接続チューブ17a側から順に、2つの減圧器41,42と、流量調整弁43が設けられている。2つの減圧器41、42により減圧された気体が流量調整弁43に供給される。
【0036】
炭酸ガスボンベ17と減圧器41の間の管路GPには、圧力計44が設けられている。圧力計44は、炭酸ガスボンベ17の炭酸ガスの圧力を検出し、検出した圧力の検出信号DS1を制御部15Aへ出力する。流量調整弁43と送気チューブ24bとの間に、圧力計45が設けられている。すなわち、気体状態検出部である圧力計45は、送気装置15の炭酸ガスの流量を調整する流量調整弁43の後段に設けられている。圧力計45は、流量調整弁43と送気チューブ24bとの間の管路GP1内の圧力を検出し、検出した圧力の検出信号DS2を制御部15Aへ出力する。圧力計45は、送気装置15の内部に設けられ、炭酸ガスの状態、ここでは圧力を検出する気体状態検出部を構成する。
【0037】
送気装置15は、電源スイッチ15aを有している。制御部15Aは、圧力計44,45と流量調整弁43に接続されている。制御部15Aは、電源スイッチ15aのオン、オフ状態を検出する。電源スイッチ15aがオンされると、制御部15Aは、圧力計45の検出信号DS2に基づいて、流量調整弁43を制御して、炭酸ガスボンベ17から送気チューブ24bへの炭酸ガスの供給を行う。よって、炭酸ガスが、送気装置15から送気チューブ24bに供給される。
【0038】
なお、図3において二点鎖線で示すように、送気装置15は、電源スイッチ15aの他に、送気スイッチ15cを有していてもよい。その場合、送気装置15は、電源スイッチ15aがオンされただけでは、炭酸ガスは送気装置15から送気チューブ24bに供給されず、送気スイッチ15cがさらにオンされると、制御部15Aにより流量調整弁43が開き、炭酸ガスは送気装置15から送気チューブ24bに供給される。
(作用)
次に、上述した内視鏡システムにおけるエアポンプの停止制御を説明する。エアポンプの停止制御は、上述したエアポンプ14aの停止制御を行う停止制御プログラム12xにより行われる。
【0039】
術者は、検査などをする前に、使用する各機器の電源スイッチをオンにする。術者は、空気を体腔内に送る場合は、送気装置15の電源スイッチ15aをオンにしない。術者は、空気を体腔内に送るのではなく、炭酸ガスを体腔内に送りたいとき、電源スイッチ15aをオンにする。
【0040】
図4は、制御部12Aにおけるエアポンプの停止制御の流れの例を示すフローチャートである。制御部12Aは、送気装置15の電源スイッチ15aがオンされると、停止制御プログラム12xを実行する。制御部12Aは、状態検出を行う(ステップ(以下、Sと略す)1)。状態検出とは、ここでは、管路GP1内の圧力Pを検出することである。S1は、送気装置15から圧力計45において検出された圧力値の圧力データを受信することである。
【0041】
制御部12Aは、S1の後、エアポンプ14aを停止するかの判定を行う(S2)。エアポンプ14aを停止するかの判定とは、ここでは、管路GP1内の圧力Pが所定の閾値TH1を超えたかを判定することである。術者は、予め、設定部12Cから閾値TH1を入力し、記憶装置12Bのデータ記憶領域に記憶させて設定しておく。
【0042】
電源スイッチ15aがオンされると、流量調整弁43が開くため、管路GPの流量調整弁43の下流側部分の管路GP1内の圧力Pが上昇する。
【0043】
図5は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、流量調整弁43の状態と、圧力計45による検出圧力の変化とを示すグラフである。図5の横軸は、時間経過を示す。電源スイッチ15aが時刻t1でオンされると、制御部15Aにより流量調整弁43は、オンとなって開く。流量調整弁43が開くと、管路GP1内の圧力は、上昇する。図5に示すように、圧力計45により検出される圧力Pは、時刻t1以降上昇する。
【0044】
送気装置15の制御部15Aは、検出信号DS2の検出値データをリアルタイムで通信回路37を介して、システムコントローラ12へ送信する。よって、システムコントローラ12の制御部12Aは、受信した検出値データを常時監視する。よって、S2では、制御部15Aは、受信した検出値データに基づいて管路GP1内の圧力Pが所定の閾値TH1を超えたかを判定する。
【0045】
制御部12Aは、圧力計45により検出された圧力Pが閾値TH1を超えたら、エアポンプ14aの停止を指示する(S3)。すなわち、制御部12Aは、エアポンプ14aの作動を停止する作動停止コマンドを光源装置14へ送信する。図5では、時刻t2のタイミングで、管路GP1内の圧力Pが所定の閾値TH1を超えている。制御部12Aは、圧力Pが所定の閾値TH1を超えているため、通信回路35から通信線32を介して光源装置14へエアポンプ14aの動作を停止する作動停止コマンドを送信する。
【0046】
光源装置14の制御部14Aは、作動停止コマンドを受信すると、エアポンプ14aの作動を停止させるオフ信号をエアポンプ14aに出力する。以上のように、制御部12Aは、圧力計45の検出した炭酸ガスの状態、ここでは圧力、が所定の閾値TH1を超えたと判定すると、空気供給装置を構成するエアポンプ14aによる空気の送気を停止させる制御を行う。
【0047】
なお、制御部12Aは、送気装置15が送気スイッチ15cを有する場合は、送気スイッチ15cがオンにされ、かつ圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1を超えたら、制御部12Aがエアポンプ14aの作動を停止する作動停止コマンドを光源装置14へ送信するようにしてもよい。光源装置14は、作動停止コマンドを受信すると、エアポンプ14aの作動を停止する。すなわち、制御部12Aは、炭酸ガスの状態である圧力が所定の閾値TH1を超え、かつ送気装置15の送気スイッチ15cがオンであるときに、エアポンプ14aによる空気の送気を停止させる制御を行う。
【0048】
さらになお、もしも、光源装置14がエアポンプ14aをオン・オフするためのオン・オフスイッチを有している場合、作動停止コマンドを受信したときに、エアポンプ14aが作動している場合は、制御部14Aは、エアポンプ14aの作動を停止する。作動停止コマンドを受信したときに、エアポンプ14aが作動してない場合は、制御部14Aは、何もしない。
【0049】
しかし、作動停止コマンドを受信したときに、エアポンプ14aが作動していない場合、制御部14Aは、その後オン・オフスイッチがオンにされても、エアポンプ14aを作動させない作動禁止状態とするようにしてもよい。すなわち、光源装置14は、オン・オフスイッチのオンを受け付けない状態となる。例えば、光源装置14は、内部に作動禁止状態を示すフラグ情報をセットする。光源装置14が作動禁止状態にある場合、患者の血中炭酸ガス濃度が上昇したときなどのために、術者がエアポンプ14aを作動禁止状態からエアポンプ14aを作動可能状態にすることができるように、術者にエアポンプ14aを作動させることを確認させる操作をさせるようにしてもよい。
【0050】
図6は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、送気スイッチ15cの状態と、流量調整弁43の状態と、圧力計45による検出圧力の変化とを示すグラフである。図6の横軸は、時間経過を示す。電源スイッチ15aが時刻t11でオンされた後に、送気スイッチ15cが時刻t12でオンされると、制御部15Aにより流量調整弁43はオンされ、開く。流量調整弁43が開くと、管路GP1内の圧力は、上昇する。図6に示すように、圧力計45により検出される圧力Pは、時刻t13以降上昇する。
【0051】
制御部12Aは、送気装置15の送気スイッチ15cがオンにされたことは、送気装置15と通信して送気スイッチ15cの状態情報を通信により取得することにより判定することができる。
【0052】
以上のように、制御部12Aは、圧力Pが所定の閾値TH1を超えた時刻t2(又はt13)のタイミングにおいて、制御部12Aは、エアポンプ14aの作動を停止させる処理を実行する。
【0053】
なお、ここでは、システムコントローラ12の制御部12Aが送気装置15からの圧力計45の検出信号を受信して、エアポンプ14aの作動を停止させる作動停止コマンドを光源装置14へ送信しているが、送気装置15の制御部15Aが、作動停止コマンドを光源装置14へ直接送信するようにしてもよい。
【0054】
さらになお、光源装置14の制御部14Aが、送気装置15からの圧力計45の検出値データを受信して、閾値TH1を超えたかを判定し、エアポンプ14aの作動を停止させるようにしてもよい。
【0055】
送気装置15における圧力計45が検出した圧力の検出値データの送信処理は、制御部15Aにおけるソフトウエア処理あるいはハードウエア回路による実行される。システムコントローラ12における圧力計45の圧力監視処理とエアポンプ14aの作動停止コマンド送信処理も、制御部15Aにおけるソフトウエア処理あるいはハードウエア回路による実行される。
【0056】
以上のように、術者が体腔内への送気に炭酸ガスを使用するために、電源スイッチ15aをオンにして、圧力計45の圧力Pが所定の閾値TH1を超えると、光源装置14のエアポンプ14aの作動が停止される。よって、体腔内への気体の供給量が多くなりすぎることはない。
【0057】
通常、管路GPの管路GP1内の圧力は、送気装置15からの炭酸ガスによって上昇するが、万一、炭酸ガスボンベ17内にガスが十分に残っていない場合や、炭酸ガスボンベ17のガス吐出口に設けられているバルブが閉じられている場合は、圧力計45の圧力は適切に上昇しない。
【0058】
すなわち、上述した実施形態によれば、送気装置15の電源スイッチ15aがオンされても、実際に炭酸ガスが十分に吐出していなければ、エアポンプ14aの作動は停止されない。
(変形例1)
上述した実施形態では、流量調整弁43が開いて管路GP1内の圧力Pが閾値TH1を超えると、制御部12Aは、作動停止コマンドを光源装置14に直ぐに送信しているが、圧力Pが閾値TH1を超えた後に、圧力Pが閾値TH1以下になったときに、又は圧力Pが閾値TH1を超えた後に、圧力Pが閾値TH1'以上になったときに、制御部12Aは、作動停止コマンドを光源装置14に出力して、エアポンプ14aによるエアの送気を停止させるようにしてもよい。
【0059】
図7は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、流量調整弁43の状態と、送ガス・送水ボタン22eの状態と、圧力計45による検出圧力の変化とを示すグラフである。図7の横軸は、時間経過を示す。流量調整弁43が開となると、管路GP1内の圧力は、上昇する。図7に示すように、圧力計45により検出された圧力Pは、時刻t21で閾値TH1を超える。その後、術者が送ガス・送水ボタン22eを操作、例えば送ガス・送水ボタン22eを1段目まで押下すると、挿入部21の先端のノズルの開口21bから炭酸ガスの気体が吐出される。その結果、管路GP1内の圧力Pが閾値TH1以下に低下する。図7では、時刻t22のタイミングで圧力Pが閾値TH1以下になっている。
【0060】
すなわち、本変形例1では、制御部12Aは、圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1を超え、かつその後に圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1以下になったら、エアポンプ14aの作動を停止させる作動停止コマンドを光源装置14へ送信する。本変形例1によっても、上述した実施形態と同様の効果が生じる。
【0061】
送気・送水ボタン22cが用いられた場合について説明する。図8は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、流量調整弁43の状態と、送気・送水ボタン22cの状態と、圧力計45による検出圧力の変化とを示すグラフである。図8の横軸は、時間経過を示す。流量調整弁43が開となると、管路GP1内の圧力は、上昇する。図8に示すように、圧力計45により検出された圧力Pは、時刻t21'で閾値TH1aを超える。その後、術者が送気・送水ボタン22cを操作、例えば送気・送水ボタン22cの穴を塞ぐと、挿入部21の先端のノズルの開口21bから炭酸ガスの気体が吐出される。その結果、管路GP1内の圧力Pが閾値TH1bまで上昇する。これは送気・送水ボタン22cの孔よりも送気・送水ボタンの後流にある内視鏡管路21aの方が、内径が細く流量抵抗が高いためである。図8では、時刻t22'のタイミングで圧力Pが閾値TH1b以上になっている。
【0062】
すなわち、図8に示す本変形例1では、制御部12Aは、圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1aを超え、かつその後に圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1b以上になったら、エアポンプ14aの作動を停止させる作動停止コマンドを光源装置14へ送信する。本変形例1によっても、上述した実施形態と同様の効果が生じる。
(変形例2)
上述した変形例1では、圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1を超え、かつその後に圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1以下になったら、又は圧力Pが閾値TH1aを超えた後に、圧力Pが閾値TH1b以上になったら、制御部12Aがエアポンプ14aの作動を停止させる作動停止コマンドを光源装置14へ送信しているが、制御部12Aは、上述した送気スイッチ15cがオンにされていることと、圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1を超え、かつその後に圧力計45の検出した圧力Pが閾値TH1以下になったら、又は閾値TH1b以上になったら、制御部12Aがエアポンプ14aの作動を停止させる作動停止コマンドを送信するようにしてもよい。
【0063】
図9は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、送気スイッチ15cの状態と、流量調整弁43の状態と、送ガス・送水ボタン22dの状態と、圧力計45による検出圧力の変化とを示すグラフである。図8の横軸は、時間経過を示す。電源スイッチ15aが時刻t31でオンされた後に、送気スイッチ15cが時刻t32でオンされると、制御部15Aにより流量調整弁43は、開となる。流量調整弁43が開となると、管路GP1内の圧力Pは、上昇する。図9に示すように、圧力計45により検出された圧力Pは、時刻t32以降上昇し、管路GP1内の圧力Pは、閾値TH1を超える。
【0064】
その後、送ガス・送水ボタン22dを1段目まで押下すると、挿入部21の先端のノズルの開口21bから気体が送出される。その結果、管路GP1内の圧力Pが閾値TH1以下に低下する。図9では、時刻t34のタイミングで圧力Pが閾値TH1以下になっている。本変形例2によっても、上述した実施形態と同様の効果が生じる。
【0065】
送気・送水ボタン22cが用いられた場合について説明する。図10は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、送気スイッチ15cの状態と、流量調整弁43の状態と、送気・送水ボタン22cの状態と、圧力計45による検出圧力の変化とを示すグラフである。図10の横軸は、時間経過を示す。電源スイッチ15aが時刻t31'でオンされた後に、送気スイッチ15cが時刻t32'でオンされると、制御部15Aにより流量調整弁43は、開となる。流量調整弁43が開となると、管路GP1内の圧力Pは、上昇する。図10に示すように、圧力計45により検出された圧力Pは、時刻t32'以降上昇し、管路GP1内の圧力Pは、閾値TH1aを超える。
【0066】
その後、送気・送水ボタン22cを1段目まで押下すると、挿入部21の先端のノズルの開口21bから気体が送出される。その結果、管路GP1内の圧力Pが閾値TH1b以上に上昇する。図10では、時刻t34'のタイミングで圧力Pが閾値TH1b以上になっている。本変形例2によっても、上述した実施形態と同様の効果が生じる。
【0067】
以上のように、上述した実施の形態及び各変形例によれば、術者の負担を軽減しつつ、かつ体腔内への炭酸ガスの供給を確実に行うことができる内視鏡システムを提供することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、流量調整弁43の下流の管路GP1内の圧力を検知して、光源装置14のエアポンプ14aの作動を停止しているが、本第2の実施形態では、管路GPを流れる気体の流量を検知して、光源装置14のエアポンプ14aの作動を停止する。
【0068】
本実施形態の医療システムの構成は、図1図2に示すような第1の実施形態の医療システム1の構成と略同じであるので、同じ構成要素については同じ符号を用いて説明し、詳細な説明は省略する。
【0069】
図11は、第2の実施形態に関わる送気装置15の構成を示すブロック図である。送気装置15の構成は、第1の実施形態の送気装置15とほぼ同じ構成を有しているので、同じ構成要素については同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。
【0070】
管路GP1には、流量計51が設けられている。流量計51は、管路GP1内を流れる気体の流量を検出し、検出した気体の状態としての流量の検出信号DS11を制御部15Aへ出力する。すなわち、流量計51は、送気装置15の内部に設けられ、炭酸ガスの状態、ここでは流量を検出する気体状態検出部を構成する。気体状態検出部である流量計51は、送気装置15の炭酸ガスの流量を調整する流量調整弁43の後段に設けられている。
【0071】
検出信号DS11は、制御部15Aから制御部12Aに送信される。制御部12Aは、リアルタイムで受信する流量データに基づいて、図4に示すエアポンプの停止制御を実行する。
【0072】
図12は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、流量調整弁43の状態と、送ガス・送水ボタン22dの状態、流量計51による検出流量の変化とを示すグラフである。図12の横軸は、時間経過を示す。電源スイッチ15aが時刻t41でオンされると、制御部15Aにより流量調整弁43は開く。
【0073】
流量調整弁43が開いた後に、送ガス・送水ボタン22dが時刻t42で操作されて送気が行われると、管路GP1内には炭酸ガスが流れる。図12に示すように、流量計51により検出される炭酸ガスの流量Qは、時刻t42以降上昇する。
【0074】
送気装置15の制御部15Aは、検出信号DS11の検出値データをリアルタイムで通信回路37を介して、システムコントローラ12へ送信する。よって、システムコントローラ12の制御部12Aは、受信した検出値データを常時監視する。
【0075】
よって、S2では、制御部12Aは、受信した検出値データに基づいて管路GP1内の炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2を超えたかを判定する。閾値TH2は、送ガス・送水ボタン22dが1段目まで押下されて、送気が開始されて、ある程度以上の炭酸ガスの流れが生じていることを判定できるレベルの流量値である。術者は、予め、設定部12Cから閾値TH2を入力し、記憶装置12Bのデータ記憶領域に記憶させて設定しておく。
【0076】
制御部12Aは、受信した検出値データに基づいて管路GP1内の炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2を超えたかを判定し、炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2を超えたことを検出すると、エアポンプ14aの作動を停止する作動停止コマンドを光源装置14へ送信する。図12では、時刻t43のタイミングで、管路GP内の炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2を超えている。光源装置14は、作動停止コマンドを受信すると、エアポンプ14aの作動を停止する。以上のように、制御部12Aは、流量計51の検出した炭酸ガスの状態、ここでは流量、が所定の閾値TH2を超えたと判定すると、エアポンプ14aによる空気の送気を停止させる制御を行う。
【0077】
送気・送水ボタン22cが用いられた場合について説明する。図13は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、流量調整弁43の状態と、送気・送水ボタン22cの状態、流量計51による検出流量の変化とを示すグラフである。図13の横軸は、時間経過を示す。電源スイッチ15aが時刻t41'でオンされると、制御部15Aにより流量調整弁43は開く。これにより送気・送水ボタンの孔から流量が漏れ出すため、時刻t41'で流量計は上昇し始め、ある程度の時間が経過すると一定値におちつく。
【0078】
流量調整弁43が開いた後に、送気・送水ボタン22cが時刻t42'で操作されて送気が行われると、管路GP1内をながれる炭酸ガスが流量は低下する。図13に示すように、流量計51により検出される炭酸ガスの流量Qは、時刻t42'以降で閾値TH2aよりも減少する。
【0079】
送気装置15の制御部15Aは、検出信号DS11の検出値データをリアルタイムで通信回路37を介して、システムコントローラ12へ送信する。よって、システムコントローラ12の制御部12Aは、受信した検出値データを常時監視する。
【0080】
よって、S2では、制御部12Aは、受信した検出値データに基づいて管路GP1内の炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2aを超え、その後、閾値TH2aよりも減少したかを判定する。閾値TH2aは、送気が開始されて、ある程度以上の炭酸ガスの流れが生じていることを判定できるレベルの流量値である。術者は、予め、設定部12Cから閾値TH2aを入力し、記憶装置12Bのデータ記憶領域に記憶させて設定しておく。
【0081】
制御部12Aは、受信した検出値データに基づいて管路GP1内の炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2aを超え、その後、閾値TH2aよりも減少したかを判定し、炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2aを超え、その後、閾値TH2aよりも減少したことを検出すると、エアポンプ14aの作動を停止する作動停止コマンドを光源装置14へ送信する。図13では、時刻t41'以降のタイミングで、管路GP内の炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2aを超え、時刻t42'以降のタイミングで、管路GP内の炭酸ガスの流量Qが所定の閾値TH2aよりも低下している。光源装置14は、作動停止コマンドを受信すると、エアポンプ14aの作動を停止する。以上のように、制御部12Aは、流量計51の検出した気体の状態、ここでは流量、が所定の閾値TH2aを超えた後に所定の閾値TH2aよりも低下したと判定すると、エアポンプ14aによる空気の送気を停止させる制御を行う。
【0082】
なお、もしも、光源装置14がエアポンプ14aをオン・オフするためのオン・オフスイッチを有している場合、作動停止コマンドを受信したときに、エアポンプ14aが作動している場合は、制御部14Aは、エアポンプ14aの作動を停止する。作動停止コマンドを受信したときに、エアポンプ14aが作動していない場合は、制御部14Aは、何もしない。
【0083】
さらになお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、作動停止コマンドを受信したときに、エアポンプ14aが作動していない場合、制御部14Aは、その後オン・オフスイッチがオンにされても、エアポンプ14aを作動させない作動禁止状態とするようにしてもよい。すなわち、光源装置14は、オン・オフスイッチのオンを受け付けない状態となる。そして、光源装置14が作動禁止状態にある場合、患者の血中炭酸ガス濃度が上昇したときなどのために、術者がエアポンプ14aを作動禁止状態からエアポンプ14aを作動可能状態にすることができるように、術者にエアポンプ14aを作動させることを確認させる操作をさせるようにしてもよい。
【0084】
以上のように、上述した実施の形態及び各変形例によれば、術者の負担を軽減しつつ、かつ体腔内への炭酸ガスの供給を確実に行うことができる内視鏡システムを提供することができる。
【0085】
なお、本実施形態でも、制御部12Aが送気装置15からの流量計51の検出信号を受信して、エアポンプ14aの作動を停止させる停止信号を光源装置14へ送信しているが、送気装置15の制御部15Aが、停止信号を光源装置14へ直接送信するようにしてもよい。
【0086】
さらになお、光源装置14の制御部14Aが、送気装置15からの流量計51の検出値データを受信して、閾値TH2を超えたかを判定し、エアポンプ14aの作動を停止させるようにしてもよい。
【0087】
また、本実施形態の場合、術者が送気装置15の電源スイッチ15a(又は送気ボタン)をオンにした後、送気・送水ボタン22cが操作されて、炭酸ガスが実際に流れて、炭酸ガスの流量Qが実際の所定の閾値TH2を超えたことが検知される。もしも、炭酸ガスボンベ17のバルブが閉じられていたり、炭酸ガスボンベ17の残量が少なかったりすると、炭酸ガスは管路GP1に流れない。その場合は、エアポンプ14aは停止されないので、術者は、視野確保が阻害されることはなく、検査等を続けることができる。
【0088】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態又は変形例1のように、制御部12Aは、上述した電源スイッチ15a又は送気スイッチ15cがオンにされ、かつ流量計51の検出した流量Qが閾値TH2を超えたら、制御部12Aがエアポンプ14aの作動を停止させる作動停止コマンドを送信するようにしてもよい。すなわち、制御部12Aは、炭酸ガスの状態、ここでは流量が所定の閾値TH2を超え、かつ送気装置15の送気スイッチ15cがオンであるときに、エアポンプ14aによるエアの送気を停止させる制御を行う。制御部12Aは、送気装置15の電源スイッチ15a又は送気スイッチ15cがオンになっていることは、送気装置15と通信して通信が可能であるか否かにより判定することができる。制御部12Aは、送気装置15の送気スイッチ15cがオンにされたことは、送気装置15と通信して送気スイッチ15cの状態情報を通信により取得することにより判定することができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態では、流量調整弁43の下流の管路GP1内の圧力を検知して、光源装置14のエアポンプ14aの作動を停止しているが、本第3の実施形態では、管路GP1を流れる炭酸ガス濃度を検知して、光源装置14のエアポンプ14aの作動を停止する。
【0089】
本実施形態の医療システムの構成は、図1図2に示すような第1の実施形態の医療システム1の構成と略同じであるので、同じ構成要素については同じ符号を用いて説明し、詳細な説明は省略する。
【0090】
図14は、第3の実施形態に関わる送気装置15の構成を示すブロック図である。送気装置15の構成は、第1の実施形態の送気装置15とほぼ同じ構成を有しているので、同じ構成要素については同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。
【0091】
管路GP1には、炭酸ガス濃度計61が設けられている。炭酸ガス濃度計61は、管路GP1内を流れる気体の炭酸ガス濃度を検出し、制御部15Aに検出した気体の状態としての炭酸ガス濃度の検出信号DS21を制御部15Aへ出力する。すなわち、炭酸ガス濃度計61は、送気装置15の内部に設けられ、炭酸ガスの気体の状態、ここでは炭酸ガス濃度を検出する気体状態検出部を構成する。気体状態検出部である炭酸ガス濃度計61は、送気装置15の炭酸ガスの流量を調整する流量調整弁43の後段に設けられている。
【0092】
検出信号DS21は、制御部15Aから制御部12Aに送信される。制御部12Aは、リアルタイムで受信する炭酸ガス濃度データに基づいて、図4に示すエアポンプの停止制御を実行する。
【0093】
図15は、送気装置15の電源スイッチ15aの状態と、流量調整弁43の状態と、送気・送水ボタン22c(又は送ガス・送水ボタン22d)の状態、炭酸ガス濃度計61による炭酸ガス濃度の変化とを示すグラフである。図15の横軸は、時間経過を示す。電源スイッチ15aが時刻t51でオンされると、制御部15Aにより流量調整弁43は開く。
【0094】
流量調整弁43が開いた後に、送気・送水ボタン22cの操作に関わりなく、管路GP1内には炭酸ガスが流れる。図15に示すように、炭酸ガス濃度計61により検出される炭酸ガス濃度Dは、時刻t51以降上昇する。これにより送気・送水ボタン22cの孔から流量が漏れ出すため、時刻t51で炭酸ガス濃度Dは上昇し始め、ある程度の時間が経過すると閾値であるTH3を超えた一定値におちつく。
【0095】
送気装置15の制御部15Aは、検出信号DS21の検出値データをリアルタイムで通信回路37を介して、システムコントローラ12へ送信する。よって、システムコントローラ12の制御部12Aは、受信した検出値データを常時監視する。
【0096】
よって、S2では、制御部12Aは、受信した検出値データ値に基づいて管路GP1内の炭酸ガス濃度Dが所定の閾値TH3を超えたかを判定する。術者は、予め、設定部12Cから閾値TH3を入力し、記憶装置12Bのデータ記憶領域に記憶させて設定しておく。
【0097】
制御部12Aは、受信した検出値データに基づいて管路GP1内の炭酸ガス濃度Dが所定の閾値TH3を超えたかを判定し、炭酸ガス濃度Dが所定の閾値TH3を超えたことを検出すると、エアポンプ14aの作動を停止する作動停止コマンドを光源装置14へ送信する。図15では、時刻t52 のタイミングで、管路GP1内の炭酸ガス濃度Dが所定の閾値TH3を超えている。図15では、送気・送水ボタン22c(又は送ガス・送水ボタン22d)は、時刻t53のタイミングで操作されている。光源装置14は、作動停止コマンドを受信すると、エアポンプ14aの作動を停止する。以上のように、制御部12Aは、炭酸ガス濃度計61の検出した炭酸ガスの状態、ここでは炭酸ガス濃度、が所定の閾値TH3を超えたと判定すると、エアポンプ14aによる空気の送気を停止させる制御を行う。
【0098】
なお、本実施形態でも、制御部12Aが送気装置15からの炭酸ガス濃度計61の検出信号を受信して、エアポンプ14aの作動を停止させる作動停止コマンドを光源装置14へ送信しているが、送気装置15の制御部15Aが、作動停止コマンドを光源装置14へ直接送信するようにしてもよい。
【0099】
さらになお、光源装置14の制御部14Aが、送気装置15からの炭酸ガス濃度計61の検出値データを受信して、閾値TH3を超えたかを判定し、エアポンプ14aの作動を停止させるようにしてもよい。
【0100】
また、本実施形態の場合、術者が送気装置15の電源スイッチ15a(又は送気ボタン)をオンにした後、送気・送水ボタン22c(又は送ガス・送水ボタン22d)が操作されて、炭酸ガスが実際に流れて、炭酸ガス濃度Dが実際の所定の閾値TH3を超えたことが検知される。もしも、炭酸ガスボンベ17のバルブが閉じられていたり、炭酸ガスボンベ17の残量が少なかったりすると、炭酸ガスは管路GP1に流れず、炭酸ガス濃度Dは上昇しない。その場合は、エアポンプ14aは停止されないので、術者は、視野確保が阻害されることはなく、検査等を続けることができる。
【0101】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態又は変形例1のように、制御部12Aは、上述した電源スイッチ15a又は送気スイッチ15cがオンにされ、かつ炭酸ガス濃度計61の検出した炭酸ガス濃度Dが閾値TH3を超えたら、制御部12Aがエアポンプ14aの作動を停止させる作動停止コマンドを送信するようにしてもよい。すなわち、制御部12Aは、炭酸ガスの状態、ここでは炭酸ガス濃度が所定の閾値TH3を超えたこと、かつ送気装置15の送気スイッチ15cがオンであるときに、エアポンプ14aによるエアの送気を停止させる制御を行う。制御部12Aは、送気装置15の電源スイッチ15a又は送気スイッチ15cがオンになっていることは、送気装置15と通信して通信が可能であるか否かにより判定することができる。制御部12Aは、送気装置15の送気スイッチ15cがオンにされたことは、送気装置15と通信して送気スイッチ15cの状態情報を通信により取得することにより判定することができる。
【0102】
以上のように、上述した各実施形態及び各変形例によれば、術者の負担を軽減しつつ、かつ体腔内への炭酸ガスの供給を確実に行うことができる内視鏡システムを提供することができる。
【0103】
なお、上述した各実施形態及び各変形例では、管路内の炭酸ガスの圧力、流量又は炭酸ガス濃度のいずれか1つを検出器により検出しているが、圧力と流量、圧力と炭酸ガス濃度、流量と炭酸ガス濃度、又は圧力、流量及び炭酸ガス濃度、ように少なくとも2つ以上の炭酸ガスの状態を検出し、少なくとも1つでも所定の閾値を超えると、光源装置14のエアポンプ14aを停止するようにしてもよい。
【0104】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
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