(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】電気化学的なエネルギ貯蔵セル
(51)【国際特許分類】
H01M 50/188 20210101AFI20221003BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20221003BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20221003BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221003BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20221003BHJP
H01M 10/654 20140101ALI20221003BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20221003BHJP
H01M 50/198 20210101ALI20221003BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20221003BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20221003BHJP
H01M 50/486 20210101ALI20221003BHJP
H01M 50/483 20210101ALI20221003BHJP
H01M 50/179 20210101ALI20221003BHJP
H01M 10/0587 20100101ALN20221003BHJP
【FI】
H01M50/188
H01M50/193
H01M50/342 101
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/654
H01M50/184 D
H01M50/198
H01M50/152
H01M50/169
H01M50/486
H01M50/483
H01M50/179
H01M10/0587
(21)【出願番号】P 2021530147
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2019082599
(87)【国際公開番号】W WO2020109312
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】102018130171.5
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501479868
【氏名又は名称】カール・フロイデンベルク・カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Carl Freudenberg KG
【住所又は居所原語表記】Hoehnerweg 2-4, D-69469 Weinheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クリッツァー
(72)【発明者】
【氏名】マリナ ヌスコ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ホーフマン
(72)【発明者】
【氏名】エルンスト オーゼン
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー シュロイフ
(72)【発明者】
【氏名】ウーゴ アンサルディ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス イェスト
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ヒレスハイム
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-146362(JP,A)
【文献】特開2004-031263(JP,A)
【文献】特開2006-324054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/188
H01M 50/193
H01M 50/342
H01M 10/613
H01M 10/643
H01M 10/654
H01M 50/184
H01M 50/198
H01M 50/152
H01M 50/169
H01M 10/0587
H01M 50/486
H01M 50/483
H01M 50/547
H01M 50/179
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的なエネルギ貯蔵セル(1)であって、
前記エネルギ貯蔵セル(1)は、ケーシング(3)に受け入れられたセル巻成体(2)を備え、前記ケーシング(3)は、少なくとも一端面(4)でカバー(5)によって閉じられており、前記カバー(5)は、前記カバー(5)を前記ケーシング(3)に固定するための固定部分(6)と、前記セル巻成体(2)の導体(8)に接触するための極部分(7)と、
前記固定部分(6)と前記極部分(7)とを接続する補償要素(9)と、を有するエネルギ貯蔵セル(1)において、
前記補償要素(9)は、弾性でありかつ電気絶縁性であるように形成されて
おり、
前記補償要素(9)に予定破断点(10)が導入されていることを特徴とする、
エネルギ貯蔵セル(1)。
【請求項2】
前記補償要素(9)は、エラストマー材料で作られていることを特徴とする、
請求項1記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項3】
前記補償要素(9)は、弾性
変形可能に成形されていることを特徴とする、
請求項1または2記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項4】
前記予定破断点(10)は、溝の形態であることを特徴とする、
請求項1から3までのいずれか1項記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項5】
前記カバー(5)は、材料
結合により前記ケーシング(3)に接続されていることを特徴とする、
請求項1から4までのいずれか1項記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項6】
前記カバー(5)は、電磁パルス成形によって前記ケーシング(3)に固定されていることを特徴とする、
請求項1から5までのいずれか1項記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項7】
前記セル巻成体(2)と前記カバー(5)との間に絶縁要素(11)が配置されていることを特徴とする、
請求項1から6までのいずれか1項記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項8】
前記絶縁要素(11)は、エラストマー材料で形成されていることを特徴とする、
請求項7記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項9】
前記絶縁要素(11)は、シリコーン材料で形成されていることを特徴とする、
請求項7または8記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項10】
前記絶縁要素(11)は、熱伝導性粒子(12)を含んでいることを特徴とする、
請求項7から9までのいずれか1項記載のエネルギ貯蔵セル。
【請求項11】
前記ケーシング(3)の底部(13)と前記セル巻成体(2)との間にさらなる絶縁要素(14)が配置されていることを特徴とする、
請求項7から10までのいずれか1項記載のエネルギ貯蔵セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的なエネルギ貯蔵セルであって、ケーシングに受け入れられたセル巻成体を備え、ケーシングは、少なくとも一端面でカバーによって閉じられおり、カバーは、このカバーをケーシングに固定するための固定部分と、セル巻成体の導体に接触するための極部分と、を有するエネルギ貯蔵セルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエネルギ貯蔵セルは、例えば、独国特許出願公開第102008025884号明細書から公知であり、応用科学において様々な方法で使用されている。このようなエネルギ貯蔵セルは、上から見たときに円形であることが多く、したがって、丸形セルとしても知られている。丸形セルは、例えば、バッテリ作動式の手持ち工具に電力を供給するために使用される。しかしながら、複数の丸形セルを単一のユニットに組み合わせることも知られており、これは、電気自動車にエネルギを供給するのに適している。
【0003】
現在知られている丸形セルでは、カバーの極部分は、外周側で環状プラスチック要素に受け入れられ、ケーシングは、環状要素の領域で、カバーの極部分および環状要素が少なくとも部分的にケーシングによって取り囲まれるように成形されている。環状要素は、ケーシングに対して極部分の電気絶縁を形成する。これは、極部分がセル巻成体の導体を受け取って電極を形成し、かつエネルギ貯蔵セルのケーシングが第2の導体を受け取ってもう一方の電極を形成する場合に特に重要である。この設計では、極部分とケーシングとの間の導電性接触の欠陥が、いかなる犠牲を払ってでも回避されなければならない。ケーシングの変形は、大抵は圧着によって起こる。誤動作によりケーシング内部に許容できない高圧が発生するのを防ぐため、カバーには、許容できない高圧が発生した場合に周囲の方向に圧力を均等化する機構が設けられている。さらに、規定の内部過圧を超えると、カバーは、セル巻成体と極部分との間の電気的接触が遮断される程度まで変形する。
【0004】
カバーを固定するための圧着プロセス中にケーシングを変形させる必要があるため、ケーシングの完全な構造上の高さをセル巻成体のために利用することはできず、カバーの収容のためかつ変形のために十分に高いデッドスペースが利用可能でなければならない。さらに、絶縁体を形成する環状要素が、成形プロセスによって損傷を受ける可能性があり、その結果、エネルギ貯蔵セルが故障する可能性があるという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コンパクトな設計を有し、かつケーシングに対する極部分の信頼性の高い電気絶縁がもたらされるエネルギ貯蔵セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を使用して解決される。従属請求項は、有利な実施形態に向けられている。
【0007】
この課題を解決するために、固定部分と極部分とは、補償要素を介して互いに接続されており、補償要素は、弾性でありかつ電気絶縁性であるように形成されている。これにより、固定部分、極部分および補償要素が、カバーの一体部品を形成する。丸形セルの場合、上から見るとカバーは円形である。極部分はカバーの中心に位置し、補償要素によって取り囲まれている。固定部分はカバーの外周に位置する。極部分と固定部分とは電気絶縁性の補償要素によって互いに接続されているため、極部分は同時にケーシングから電気的に絶縁されている。これにより、カバーとケーシングとの間の電気絶縁のための付加的な要素が不要になる。これは、従来では、絶縁要素としても機能する環状シール要素を使用して形成されていた。補償要素は、好ましくは、プラスチック、例えば、射出成形可能なプラスチック材料で作られている。固定部分および極部分は金属材料で作られていてよく、極部分は導電性材料からなる。
【0008】
補償要素は、エラストマー材料で作られていてよい。これにより、補償要素が可逆的に変形することが可能になり、これは、ケーシングの内部と周囲との間の圧力補償に関して特に有利である。
【0009】
代替的な実施形態によれば、補償要素はまた、いくらかの弾性を提供するように構成されていてよい。特に、補償要素は、この補償要素が弾性的に可動であるように成形されていてよい。この目的のために、例えば、極部分が軸線方向に動くことを可能にする円周方向のビードが補償要素に取り入れられてよい。補償要素が、少なくとも部分的にベローズの形態であることも考えられる。補償要素はまた、フィルムヒンジの形に形成された区分を有してよい。弾性的に形成されたエリアは、補償要素に同心円状に取り入れられてよい。
【0010】
弾性的に曲がりやすい成形により、熱可塑性材料から補償要素を形成することが可能である。熱可塑性エラストマーの使用に加えて、特にポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリプロピレン(PP)などの安価な熱可塑性材料を使用することができる。これらの熱可塑性材料は比較的低い弾性しか持たないが、補償要素の弾性的な成形は、補償要素に望まれる全体的な弾性および可逆的な可動性をもたらす。
【0011】
代替的に、補償要素は、弾性材料、例えばエラストマーで形成されるだけでなく、弾性的な形状を有してよい。
【0012】
補償要素に予定破断点が組み込まれていてよい。プロセスの誤りや材料の欠陥により、ケーシング内部の圧力が許容レベルを超えると、予定破断点が開き、それにより、制御された圧力補償が可能になる。有利な実施形態によれば、予定破断点は、補償要素が変形して、極部分がセル巻成体から離間するまで開かない。これにより、導体が極部分から外れ、外部から見たときにエネルギ貯蔵セルは非通電となる。予定破断点は、補償要素が不可逆的に開くように設計されることが好ましい。これにより、損傷したエネルギ貯蔵セルが動作し続けることを防ぐことができる。
【0013】
予定破断点は、溝の形態をとることができる。ケーシング内部の圧力が所定のレベルを超えると、補償要素が予定破断点に沿って破壊して開き、セル内の過剰圧力を目標通りに低下させることができる。溝は、V字形かつ環状であってよく、補償要素の、ケーシングとは反対の側から内向きに延びていてよい。
【0014】
カバーは、材料結合によりケーシングに接続されていてよい。これに関して、第1の実施形態によれば、環状縁部は、ケーシングの環状縁部上に載置することができる。第2の有利な実施形態によれば、固定部分は、開口の領域で円周方向にケーシングを取り囲む円筒部分を備える。材料料結合による接続は、接着接続または溶接接続であってよい。材料結合による接続の利点は、特に必要なスペースが少なくて済むことである。
【0015】
カバーは、電磁パルス成形によってケーシングに固定されていてよい。電磁パルス成形中、エネルギ貯蔵セルのカバーおよびケーシングはパルス状の磁場にさらされ、それにより、カバーとケーシングとが互いに接触する表面に沿って加熱され、また、局所的に変形させられる。加熱および局所的な変形により、カバーとケーシングとの間に材料結合および密な接続が生じる。ここでの利点は、わずかな変形しか起こらないため、圧着による成形とは対照的に、変形のために別個のスペースを提供する必要がないことである。カバーとケーシングとの接合は、当接する縁部に沿って行われてもよい。
【0016】
セル巻成体とカバーとの間に絶縁要素が配置されていてよい。絶縁要素は、セル巻成体の構成要素が極部分に接触することを防ぐ。
【0017】
絶縁要素は、エラストマー材料から形成されていてよい。これにより、絶縁要素は、極部分とセル巻成体との間のスペースをほぼ完全に満たすように設計することができる。これにより、セル巻成体と極部分との接触を効果的に防ぐことができる。
【0018】
絶縁要素は、シリコーン材料で形成されていてよい。シリコーン材料は、ケーシング内でセル巻成体の隣に存在しかつセル巻成体を取り囲む電解質と反応する。シリコーン材料と電解質との反応により、絶縁要素が膨張し、その体積が増加する。これにより、セル巻成体と極部分との間のスペースを絶縁要素で完全に満たすことができる。
【0019】
絶縁要素は熱伝導性粒子を含んでいてよい。これまで、問題は、セル巻成体の内部から熱を輸送することが難しいということであった。絶縁要素は熱伝導性粒子により全体として熱伝導性であるため、ケーシング内部またはセル巻成体内部で発生した熱を外部に放散することができる。これにより、エネルギ貯蔵セルの冷却が改善され、これに伴い、効率が向上する。
【0020】
ケーシングの底部とセル巻成体との間にさらなる絶縁要素が配置されている場合、エネルギ貯蔵セルの冷却をさらに改善することができる。この実施形態では、セル巻成体は、2つの熱伝導性絶縁要素の間に挟まれている。熱輸送は、セル巻成体と、2つの絶縁要素と、ケーシングのジャケットとの間またはカバーとケーシングの底部との間で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明によるエネルギ貯蔵セルのいくつかの実施形態を、図を参照して以下により詳細に説明する。
【
図1】エネルギ貯蔵セルの上部分を示す概略的な側面図である。
【
図2】エネルギ貯蔵セルのカバーを示す概略図である。
【
図4】予定破断点を有するカバーを示す概略図である。
【
図6】予定破断点が破壊されたカバーを示す概略図である。
【
図7】絶縁要素を有するエネルギ貯蔵セルを示す概略図である。
【
図8】底部およびカバーに絶縁要素を有するエネルギ貯蔵セルを示す概略図である。
【
図9】弾性的な形を有する補償要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これらの図面は、丸形セルの形態の電気化学的なエネルギ貯蔵セル1を示している。エネルギ貯蔵セル1は、ケーシング3に収容されたセル巻成体2を備える。エネルギ貯蔵セル1がリチウムイオン電池の形態である場合、セル巻成体2は、2つの導体および2つのセパレータを備え、両方の導体は、両方のセパレータによって互いに分離されている。両方の導体には活物質が塗布され、セパレータによって分離された2つの導体は丸形構造に巻かれている。ケーシング3は金属材料で作られていて、円筒形である。一端面にケーシング3は、同じ材料で形成されかつ円筒壁15と一体である底部13を有する。一端面4でケーシング3は、カバー5によって閉じられている。
【0023】
カバー5は、このカバー5をケーシング3に固定するための固定部分6を有する。さらに、カバー5は、セル巻成体2の導体8に接触するための極部分7を有する。セル巻成体2の第2の導体は、ケーシング3の底部13に割り当てられている。
【0024】
固定部分6と極部分7とは、補償要素9を介して互いに接続されている。補償要素9は、弾性でありかつ電気絶縁性である。この場合、補償要素9はエラストマー材料で作られている。
【0025】
上から見ると、カバー5は円形である。極部分7は、中心にあり、カバー5の中心に位置し、補償要素9によって取り囲まれている。補償要素9は、極部分7に確実にかつ材料的に接続されている。固定部分6は、ディスク形部分を有し、このディスク形部分の開口に補償要素9および極部分7が配置されている。補償要素9は、固定部分6の開口の縁部のエリアに材料結合により固定されている。固定部分6は、ケーシング3の端面側の縁部に載置する円筒部分をさらに備える。2つの接触する縁部のエリアにおいて、カバー5およびケーシング3は、電磁パルス成形によって材料結合により互いに接合されている。
【0026】
図1は、丸形セルの形態の電気化学的なエネルギ貯蔵セル1の上部分を示している。導体8は、セル巻成体2の中心でセル巻成体2の電極に接続されている。補償要素9は、ディスク形に成形されており、エラストマー材料で作られているため弾性である。これにより、極部分7は、ケーシング3の内圧に応じて軸線方向に動くことができる。補償要素9は、極部分7と固定部分6との間に電気絶縁を形成する。これに関して、ケーシング3は、固定部分6と協働して第2の極を形成することができる。
【0027】
【0028】
図3は、
図1に示されたカバーを導体8とともに詳細に示しており、この導体8は、極部分7に導電的に取り付けられている。
【0029】
図4は、
図1に示されたカバーの別の実施形態を示している。本実施形態では、補償要素9には、予定破断点10が設けられている。
図4は、予定破断点10の2つの異なる構成を示している。対称線の右側の実施形態では、予定破断点10は、補償要素9の外部側に導入されている。対称線の左側の実施形態では、予定破断点10は、補償要素9の、セル巻成体2に面する側に導入されている。両方の実施形態において、予定破断点10は、極部分7を同心円状に取り囲むV字形溝の形態である。
【0030】
図5は、
図4に示されたカバー5を示しており、ケーシング3内部の内圧の増加により、極部分7がセル巻成体2から軸線方向に離間している。この場合、導体8は2つの部分8’、8’’に引き裂かれ、それにより極部分7はセル巻成体2から電気的に絶縁される。これに関して、エネルギ貯蔵セル1は、この実施形態では非通電である。これにより、エネルギ貯蔵セル1内部の圧力上昇後に特に有害であるエネルギ貯蔵セル1のさらなる充電を防ぐことができる。
図5に示される実施形態では、補償要素9の変形のみが起こっている。予定破断点10は依然として無傷である。
【0031】
図6による実施形態では、ケーシング3内部の内圧は、
図5に示される実施形態と比較して、再び増加している。この場合、許容内圧が所定のレベルを超え、予定破断点10が開いている。これにより、ガスがケーシング3の内部から逃げることが可能になり、その結果、内部の圧力が目標通りにかつ制御下で低減される。これに関して、予定破断点10が開くことにより、エネルギ貯蔵セル1の目標通りの破壊が起こり、エネルギ貯蔵セル1の爆発的な破壊を防ぐことができる。
【0032】
図7は、
図1によるエネルギ貯蔵セル1を示しており、セル巻成体2とカバー5との間に絶縁要素11が配置されている。絶縁要素11は、エラストマー材料、この場合にはシリコーン材料で作られている。絶縁要素11は、熱伝導性粒子12を含んでいる。組立て後、絶縁要素11はセル巻成体2の電解質に接触して、絶縁要素11は膨張する。その結果、絶縁要素11は、セル巻成体2とカバー5との間のスペースを満たす。熱伝導性粒子は、非導電性鉱物粒子である。有利な熱伝導性粒子12は、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、酸化アルミニウム水酸化物(AlOOH)、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)または窒化ホウ素(BN)を含む。
【0033】
図8は、
図7に示されるエネルギ貯蔵セル1のさらなる発展形を示している。本実施形態では、ケーシング3の底部13とセル巻成体2との間にさらなる絶縁要素14が配置されている。さらなる絶縁要素14もまた熱伝導性粒子12を含んでいて、シリコーン材料で作られている。
【0034】
特に補償要素9の材料として、次の材料、すなわち、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、メチルゴム(IIR)、フルオロゴム(FPM)、ポリアクリレートゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ)またはフッ素化シリコーンゴム(F-VMQ)を考えることができる。
【0035】
しかしながら、原理的には、熱可塑性エラストマー(TPE)から、またはポリエチレン(PE)もしくはポリプロピレン(PP)などの熱可塑性材料から補償要素9を形成することも考えられる。この実施形態では、補償要素9が、好ましくは、ビードやフィルムヒンジなどのような弾性的に可動な区分を含む。
【0036】
図9に、弾性的に成形されたこのような補償要素9が示されている。この実施形態では、補償要素9の弾性および柔軟性は、円周方向に同心円状に配置されたビード16によって提供される。その結果、補償要素9は、極部分7が軸線方向に動くことができるようにベローズ形の膜の形態で成形されている。