(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-30
(45)【発行日】2022-10-11
(54)【発明の名称】ヘアケアユニット
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20221003BHJP
A45D 20/10 20060101ALI20221003BHJP
【FI】
A45D20/12 J
A45D20/10 101
(21)【出願番号】P 2022525027
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 EP2020084596
(87)【国際公開番号】W WO2021115947
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-04-27
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】レリヴェルド マーク ヨハネス
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-170147(JP,A)
【文献】特開2017-170145(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第1456782(GB,A)
【文献】英国特許出願公開第2551852(GB,A)
【文献】中国実用新案第204393640(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/00 - 20/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪をスタイリングするとき使用されるヘアケアユニットであって、
中空体と、
空気入口であって、前記空気入口を通して前記中空体に空気が入る、空気入口と、
前記中空体の外側における毛髪受け部とを有し、
前記毛髪受け部が、複数の空気出口であって、前記空気出口を通して前記中空体から空気が出る、複数の空気出口と、前記毛髪受け部と鈍角をなして前記空気出口の個別の対の間に設けられた複数のスラットとを含み、前記スラット及び前記空気出口は、直線に沿って配置され、前記複数のスラットが、前記中空体の外側に実質的に丸みを帯びた表面を持ち、使用時に前記毛髪受け部に沿って前記直線に沿って支配的に移動する気流が生成される、ヘアケアユニット。
【請求項2】
前記毛髪受け部が、平坦な面として構成される、請求項1に記載のヘアケアユニット。
【請求項3】
前記毛髪受け部が、ブリッスルを有する、請求項1又は2に記載のヘアケアユニット。
【請求項4】
前記毛髪受け部が、複数の平坦面を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のヘアケアユニット。
【請求項5】
前記毛髪受け部が、曲面を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載のヘアケアユニット。
【請求項6】
前記生成された気流が、前記直線に実質的に平行である、請求項1乃至5のいずれかに記載のヘアケアユニット。
【請求項7】
前記スラットの少なくともいくつかが、前記毛髪受け部に平行な軸の周りで回転可能であるか、又は前記スラットの少なくともいくつかは、個別のスラットに平行な軸の周りで回転可能である、請求項1乃至6のいずれかに記載のヘアケアユニット。
【請求項8】
ヘアケア装置であって、
請求項1乃至7のいずれかに記載のヘアケアユニットと、
前記空気入口から前記空気出口へ空気を送るよう構成されたファンとを有する、ヘアケア装置。
【請求項9】
ハンドルを更に有し、前記毛髪受け部が、前記ハンドルに対して実質的に平行である、請求項8に記載のヘアケア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケアの分野、特にヘアケア装置又はヘアケア装置用アタッチメントのようなヘアケアユニットの分野、及びより詳細にはヘアドライヤーの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
髪を乾かすのにドライヤーが一般に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在のドライヤーの欠点の1つは、スタイリング及び髪を乾かすのに通常両手が必要とされることである。別の欠点は、異なるヘアスタイルにするのに異なるアタッチメントが必要されることである。既存のアタッチメントの例は、ノズル、ブラシ、コーム、ディフューザーなどがある。
【0004】
US3,837,581号は、円形出力ポートで終端する円筒形バレルを持つヘアドライヤー用ノズルを記載している。ノズルは、バレルの出力ポート端に摩擦係合するための円筒部と、空気の平坦なメインストリームを提供するための長方形の開口を持つ流体加速部とを含む。加速部は、円筒部から延び、長方形の開口部の長辺を規定する一対の円弧状の表面を含む。円弧状の表面は、メインストリームと実質的に平行な補助的な空気流を提供するためのスロットを含む。一実施形態では、ルーバー板が、補助流を方向付けるためのスロットの上に延在する。
【0005】
US2017/273422号は、ヘアケア器具用のアタッチメントを開示し、これは、流体入口と、流体出口と、入口と出口との間に延びる流体流路と、流体流路内の流体を流体出口に向けて導くための少なくとも1つのベーンとを持つ本体を含む。ここで、本体が少なくとも2つの拡張プレートを含み、流体出口が少なくとも2つの拡張プレート間の重なりにより規定されるスロットを含み、上記少なくとも1つのベーンは、上記少なくとも2つの拡張プレートの間の重なり内に配置される。本体は細長く、流体入口を含む第一の端部を持ち、軸に沿って延びていてもよい。流体出口は、第一の端部と第二の端部との間で軸に沿って伸びてもよい。少なくとも1つのベーンは、流体流路を流れる流体を第1の方向から第2の方向へと向けることができる。
【0006】
本発明の目的は、代替的なヘアケアユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、使い勝手を向上させたヘアドライヤー、及び、アタッチメントを使用せずに複数のスタイルを作るために使用されるよう構成されたヘアドライヤーを提供する。
【0008】
本発明は、独立請求項により規定される。従属請求項は、有利な実施形態を規定する。
【0009】
請求項1に記載の特徴は、ヘアケア装置に対して実質的に平行な方向を持つ空気流をもたらす。この空気流は、いわゆるコアンダ効果により引き起こされる。コアンダ効果は、次のようなメカニズムで働く。髪受け面のような固体面が、送風の近くに、送風とほぼ平行に置かれると、固体面及び送風の間から空気が抜けて固体面と送風との間の気圧が低下する。この気圧の低下は、送風の反対側(開放側)の低圧領域ほど急速にバランスをとることができない。圧力差のある気流は、近傍の表面に向かって偏流し、表面に付着する。送風は、曲面に対して更に好適に付着する。なぜなら、面の向きにおける各増加的な変化が、上述の効果をもたらすからである。
【0010】
従って、請求項1に記載のスラットの丸みを帯びた表面は、送風が毛髪受け部に付着することをもたらす。従って、請求項1に記載のヘアケアユニットを使用するとき、ユーザは、自分の髪をスタイリングするために片手だけを必要とする。これに対し、先行技術のエアスタイラーは、髪を吹き飛ばすので、ユーザは、エアスタイラーを扱うために片手を必要とし、エアスタイラーのスタイリング部に髪を係合させるためにもう片方の手を必要とする。
【0011】
更なる実施形態によれば、ヘアケア装置が、中空体内の空気を加熱するための1つ又は複数の加熱要素を有する。髪を乾かすとき及びスタイリングするとき、加熱が有利な場合がある。
【0012】
この実施形態の利点は、空気が空気出口に付着するため、髪の毛も空気出口に付着することである。その結果、従来のヒーターが髪に風を当てるのに対し、ヒーターで温められた風が髪に沿うように当たる。髪に沿うように送風する結果、熱風が髪に長く沿うようになり、加熱効率が向上されることができる。
【0013】
毛髪受け部が平らであるか、又はスラットが1若しくは複数の直線で配置される限り、毛髪受け部は、様々な形状をとることができる。好ましくは、生成された気流は、1つ又は複数の直線に実質的に平行である。
【0014】
更なる実施形態によれば、毛髪受け部は、ブリッスルを有する。この実施形態は、有利である。なぜなら、コアンダ効果により、毛髪がブリッスル内に吹き付けられ、これは、スタイリングを容易にすることができる。なぜなら、スタイリングのために片手だけが必要とされるからである。
【0015】
本発明の更なる実施形態によれば、ヘアケア装置は、ハンドルを含み、上記毛髪受け部は、上記ハンドルに対して実質的に平行である。この実施形態は、有利である。なぜなら、これは、ヘアスタイリングの方法を、直感的なスタイリング方法であるブラシ又は櫛を用いたスタイリングに類似したものとするからである。
【0016】
本発明の更なる実施形態によれば、スラットの少なくともいくつかは、毛髪受け部に平行な軸の周りで回転可能であるか、又は個別のスラットに平行な軸の周りで回転可能である。これの利点は、スラットと毛髪受け部との角度を可変にできることである。スラットの角度を変えることで、吹き出す気流が変化されることができる。例えば直線の一部でスラットを閉じることにより、それは、より集中力が高められることもできる。それは、より広い幅にされることができ、気流の形状が変化されることができる。異なるヘアスタイルのための異なる形状の気流が、更なるアタッチメントを必要とすることなく使用されることができる。本発明の実施形態は、アタッチメントの数が少なくて済むという利点を有し得るにもかかわらず、本発明の一態様は、ヘアケア装置用のアタッチメントを提供する。アタッチメントを別にする利点は、ユーザが、毛髪受け部の形状をより簡単に変更できることである。
【0017】
本発明のこれら及び他の側面が、以下に説明する実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態によるヘアケア装置を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の更なる実施形態によるヘアケア装置を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による毛髪受け部を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態によるヘアケア装置10を概略的に示す。ヘアケア装置10は、中空体101と、空気入口102とを有し、空気入口を通して、中空体に空気が入る。ヘアケア装置は更に、複数の空気出口104を含む毛髪受け部103を有し、空気出口を通して、ヘアケア装置10から空気が出る。ヘアケア装置は更に、ファン105と、好ましくは加熱要素107とを有する。ファンは、空気入口102から空気出口104に空気を輸送するよう構成される。加熱要素107は、空気を加熱するよう構成される。毛髪受け部103は、複数のスラット106を有する。これらのスラット106は、毛髪受け部103と鈍角の下に配置される。
図1に示すように、スラット106は、矢印109の方向の1本の直線に沿って配置される。スラット106は、中空体の外側に、実質的に丸みを帯びた表面111を持ち、その結果、毛髪受け部の直線と平行な方向に毛髪受け部に沿って支配的に移動する気流が生成される。空気の流れの支配的な方向は、矢印109及び110で示されている。矢印110は、空気出口104から出る空気を示す。上記コアンダ効果により、毛髪受け部103の表面に、空気が支配的に付着する。矢印109は、ヘアケア装置の外側から来る空気を示す。この空気は、空気出口104からの空気と一緒に引きずられる。
【0020】
図2は、本発明の更なる実施形態によるヘアケア装置20を概略的に示す。
図2では、
図1と同じ番号が使用されるが、番号の1桁目が
図2では「2」で参照される。
図1同様、
図2は、中空体201と、空気入口202と、複数の空気出口204を含む毛髪受け部203と、ファン205と、直線に沿った複数のスラット206とを描く。スラット206は、中空体の外側に、実質的に丸みを帯びた表面211を持つ。ヘアケア装置20は、髪をブラッシングするために構成されたブリッスル208を更に有する。ヘアケア装置20は更に、ハンドル210を有する。ハンドル210は、毛髪受け部203と実質的に平行である。この配置の利点は、それが通常のブラシと非常に似ていることである。従って、このヘアケア装置は、通常のブラシと非常によく似た方法で使用されることができる。生成された空気流は、毛髪受け部203に対して実質的に平行であるので、ユーザは、片方の手で自分の髪をスタイリングすることができ、髪をブラシに密着させるために第2の手を必要としない。オプションで、スラット206の少なくともいくつかは、毛髪受け部203に平行な軸の周りで回転可能である。例えば、より集中した気流を生み出すため、スラット206の一部が閉じられることができる。代替的に、気流の全体形状を変更するために、スラット206が異なる角度の下で開かれてもよい。こうして、所望のヘアスタイルに気流が適合されることができる。
【0021】
図3は、本発明の実施形態による毛髪受け部30を概略的に示す。毛髪受け部は、例えば平坦312、凸状315、凹状316のような複数の形状をとることができ、又は複数の平坦面を有し、例えば三角形状317をもたらす。毛髪受け部の形状は様々であるが、スラットは常に直線320で配置される。これらの線は、空気の流れの支配的な方向を示す。
【0022】
本発明が図及び説明において詳細に図示及び説明されてきたが、斯かる図及び説明は説明的又は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。
【要約】
本発明の一態様は、髪をスタイリングするとき使用されるよう構成されたヘアケア装置10を提供する。ヘアケア装置は、中空体101と、空気入口102であって、これを通して中空体に空気が入る、空気入口と、中空体の外側における毛髪受け部103とを有し、上記毛髪受け部が、複数の空気出口104を含み、これを通して、上記ヘアケア装置から空気が出る。ヘアケア装置は更に、空気入口から空気出口に空気を輸送するよう構成されたファン105を有する。毛髪受け部は、毛髪受け部と鈍角をなしている個別の空気出口の対の間に設けられた複数のスラット106を有し、上記スラット及び上記空気出口が、直線109に沿って配置され、上記複数のスラットは、上記中空体の外側に実質的に丸みを帯びた表面111を持つ。その結果、使用時に、上記直線に沿って上記毛髪受け部に沿って支配的に移動する気流が生成される。