(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】装置及び機器
(51)【国際特許分類】
H02K 49/10 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
H02K49/10 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021101740
(22)【出願日】2021-06-18
(62)【分割の表示】P 2019201682の分割
【原出願日】2015-08-18
【審査請求日】2021-07-08
(32)【優先日】2014-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】515073551
【氏名又は名称】エディ・カーレント・リミテッド・パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ディール, アンドリュー カール
(72)【発明者】
【氏名】アーリントン, クリストファー ジェームズ
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-17041(JP,A)
【文献】特表2012-520655(JP,A)
【文献】特開昭49-97163(JP,A)
【文献】実開平7-38766(JP,U)
【文献】特公昭47-12243(JP,B1)
【文献】特開昭56-107092(JP,A)
【文献】特表2013-515574(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/147125(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/159373(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/114907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 49/10
B65H 75/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材であって、システムを形成するように第2の部材と運動学的関係にあり、前記システムは、限定された運動範囲内で運動し、前記システムは、前記システムに外部付勢力が付与されたときに相互作用して、前記部材をそれらの運動力学的及び動的特性に起因して応答させ、それにより前記第1の部材と前記第2の部材との間の相対運動を作り出す、第1の部材と、
所定のシステム運動に応答して前記第1の部材に対して動く、前記第1の部材に結合されたつめであって、前記つめが動くと、前記つめ又はその部分は、前記第2の部材と相互作用する、つめと、
を備え、
前記つめ及び前記第2の部材は、1つ以上の磁石又は1つ以上の伝導性部材を備えることにより、前記つめと前記第2の部材との間に相対運動が生じると、前記つめと前記第2の部材との間で
第1の渦電流制動作用に関連する第1の渦電流制動力が誘導され、前記第1の部材と前記第2の部材との間の相対運動の速度を遅くするようにし、
前記つめによって前記システム又はその1つ若しくは複数の部材に付与される前記
第1の渦電流制動作用の速度及び/又は強さは、前記つめの前記第1の部材に対する運動速度によって制御され、この前記運動速度自体は、前記つめ又はその部分と、前記第1の部材又はその部分との間で誘導される第2の渦電流制動作用によって支配され、前記
第2の渦電流制動作用に関連する第2の渦電流力が前記つめの前記第1の部材に対する運動に抵抗する、
装置。
【請求項2】
前記第1の部材が、回転する回転子であり、前記つめが、前記回転子上に位置しており、前記回転子から前記第2の部材へ外向きに枢動する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の部材が、外側の部材であり、前記つめが、前記外側の部材上に位置しており、前記外側の部材から第2の部材へ内向きに枢動する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の部材が、線形並進運動を経由して運動するキャリッジであり、前記つめが、前記キャリッジ上に位置しており、前記キャリッジから前記第2の部材への並進運動又は枢動を行う、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
第2の部材は、前記つめと相互作用して、前記つめの一部が前
記第1の部材に重なる領域の外部に移動するときに前記第1の渦電流制動力を生じる、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記つめは、1つ又は複数の磁性部分を備えており、前記第2の渦電流制動作用を生じるために、前記つめの前記1つ又は複数の磁性部分は、前記第1の部材上の1つ又は複数の伝導性部分と相互作用する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記つめは、1つ又は複数の伝導性部分を備えており、前記第2の渦電流制動作用を生じるために、前記つめの前記1つ又は複数の伝導性部分は、前記第1の部材上の1つ又は複数の磁性部分と相互作用する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記つめは、1つ又は複数の磁性部分を備えており、前記第1の渦電流制動作用を生じるために、前記つめの前記1つ又は複数の磁性部分は、前記第2の部材上の1つ又は複数の伝導性部分と相互作用する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記つめは、1つ又は複数の伝導性部分を備えており、前記第1の渦電流制動作用を生じるために、前記つめの前記1つ又は複数の伝導性部分は、前記第2の部材上の1つ又は複数の磁性部分と相互作用する、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の渦電
流力の程度、および前記つめが前記第1の部材に対して運動する前記
運動速度は、
(a)前記つめ又は第1の部材上又は内の磁性
部分の表面積、
(b)前記つめ又は第1の部材上又は内の伝導性
部分の表面積、
(c)前記つめ及び第1の部材上の前記磁性部分と前記伝導性部分との近接度、
(d)前記つめ又は第1の部材上又は内の前記磁性部分の幾何学的形状及び/又は磁気特性、
(e)前記つめ又は第1の部材上又は内の前記伝導性部分の幾何学的形状及び/又は電気特性、
(f)及びそれらの組合せ
のうちの少なくとも1つを変更することによって調整される、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の装置を少なくとも1つ組み込んだ機器であって、当該機器が、
(1)ロープ繰出し装置であり、前
記第1の部材に直接的又は間接的にロープのスプールが結合されており、且つ、前記システムに付与される前記外部付勢力は、前記スプールから延びる且つ該スプール上に引き込まれるロープによって生じる、ロープ繰出し装置、
(2)乗客座席拘束装置、
(3)変速機駆動装置、
(4)リニアガイド式命綱、
のいずれかである、機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、引用により本明細書に組み入れるニュージーランド特許出願番号第627633号に基づく優先権を有する。
本明細書では、運動学的関係にある部材を備えた装置が説明され、この運動学的関係は、少なくとも1つの磁束相互作用によって少なくとも部分的に支配され、これは、事実上、運動に対する調整可能な抵抗をもたらし、部材間の相対運動の速度を変更する。
【背景技術】
【0002】
渦電流形成は、部材の運動速度を調節するために種々の方式で用いることができる。種々の機器が存在し、例えば懸垂降下においてクライマーの降下を制御し、又は例えば個人用保護具シナリオにおいて負傷の原因となる落下を防止する。渦電流発生を使用する他の用途は、列車、ケーブルカー、ジップライン装置及びローラコースタのロープの繰出しの制御である。
【0003】
1つの技術装置は、US2012/0055740として公開されている。この装置は、回転子(rotor, ロータ)に対して運動するアームを有する回転子組立体を利用する。アーム自体が伝導性若しくは磁性である場合もあり、又はアームに取り付けられた伝導性若しくは磁性部材を有する場合もある。回転子に回転力が印加されたとき、アームが遠心力によって中心軸から外方に移動して磁(又は伝導)界に入る。アームが界を通って移動するにつれて渦電流が発生し、その強度は回転速度に依存する。回転速度が低下すると、アームは、ばねにより及び/又はアームに作用する遠心力の低減により、回転軸に向かって引き戻される。この装置は広範に用いられており、部品の相対速度を変更する優れた手段を提供する。
【0004】
上記機器の1つの態様は、アームが移動して磁界に入ることによって生じる制動効果の始動速度の制御を、バイアス強度、アーム重量(従って慣性)、並びにアームの質量中心からのオフセット度及び/又は回転軸からのピボット軸のオフセット度のいずれかによる影響を受けるピボット軸の配置を含む、幾つかの変数を調節することによってのみ調整することができることである。
【0005】
装置の最終用途によっては、ひとたび運動が始まったアームの運動を付加的な入力によって調整こともまた有用な場合があり、又は少なくとも公衆に選択肢を与える。
【0006】
本装置の更なる態様及び利点は、例示のみの目的で与えられる以下の説明から明らかとなるであろう。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、運動学的関係にある部材を備えた装置が説明され、この運動学的関係は、少なくとも1つの磁束相互作用によって少なくとも部分的に支配され、これは、事実上、運動に対する調整可能な抵抗をもたらし、部材間の相対運動の速度を変更する。
【0008】
第1の態様において、
少なくとも1つの第1の部材であって、システムを形成するように少なくとも1つの更なる部材と運動学的関係にあり、システムは、限定された運動範囲内で運動し、システムは、該システムに外部付勢力が付与されたときに相互作用して、部材をその運動力学的及び動的特性に起因して応答させ、それにより部材間の相対運動を作り出す、少なくとも1つの第1の部材と、
所定のシステム運動に応答して動く少なくとも1つの第1の部材に結合された少なくとも1つのトリガ部材であって、少なくとも1つのトリガ部材が動くと、該少なくとも1つのトリガ部材又はその部分は、システム又はその1つ若しくは複数の部材に対して制動作用を付与する、少なくとも1つのトリガ部材と、
を備え、
少なくとも1つのトリガ部材によってシステム又はその1つ若しくは複数の部材に付与される制動作用の速度及び/又は強さは、少なくとも1つのトリガ部材の運動速度によって制御され、この運動速度自体は、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分と前記少なくとも1つの第1の部材又はその部分との間の磁束相互作用によって支配され、磁束相互作用は、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分と前記少なくとも1つの第1の部材又はその部分との間に磁気誘導渦電流力の形成を引き起こす、
装置が提供される。
【0009】
第2の態様において、実質的に上で説明したような少なくとも1つの装置を組み込んだロープ繰出し装置(line dispensing device)が提供される。
【0010】
第3の態様において、実質的に上で説明したような少なくとも1つの装置を組み込んだ乗客座席拘束装置が提供される。
【0011】
第4の態様において、実質的に上で説明したような回転駆動装置に係合する少なくとも1つの装置を組み込んだ変速機駆動装置が提供される。
【0012】
第5の態様において、実質的に上で説明したような少なくとも1つの装置を組み込んだリニアガイド式命綱(linear guided lifeline)が提供される。
【0013】
更に以下の説明で概説するように、その他の多くの装置の用途もまた可能であり得る。
【0014】
上記装置の1つの利点は、運動学的関係によって規定された運動の速度を制御する能力を含むことである。加えて、装置の更なる利点は、ひとたび運動が始まってからの運動力学的関係にも影響を及ぼすこととである。運動に対する抵抗の大きさは、部材が動くにつれて一貫した方式で、又は段階的若しくはその他の変動する方式で、変化させることができる。このようにして調整することは、不要の作動を回避する、又は例えばブレーキ係合の作動速度を遅くするという効果を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
装置の更なる態様は、例示のみの目的で与えられ且つ添付図面を参照する以下の説明から明らかになるであろう。
【
図1】トリガ部材と第1の部材とが磁気的関係にある装置の1つの実施形態の側面図を示す。
【
図2】
図1に記載の実施形態におけるトリガ部材及び第1の部材の分解斜視図を示す。
【
図3】ロッド形のトリガ部材を組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図4】摺動する第1の部材及び枢動するトリガ部材のつめを組み込んだ代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図5】ロッド形の第1の部材を組み込んだ、
図4に対する代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図6】第2の部材及びラッチ部材を有する代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図7】ラッチ部材を用いた代替的な実施形態の分解斜視図を示す。
【
図8】第2の部材と、トリガ部材に枢動式に取り付けられた静止した第1の部材とを有する、更なる代替的な実施形態の側面図を示す。
【
図9】第2の部材と、線形に並進するトリガ部材に取り付けられた静止した第1の部材とを有する、更なる代替的な実施形態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述のように、本明細書では、運動学的関係にある部材を備えた装置が説明され、この運動学的関係は、少なくとも1つの磁束相互作用によって少なくとも部分的に支配され、これは、事実上、運動に対する調整可能な抵抗をもたらし、部材間の相対運動の速度を変更する。
【0017】
本明細書の目的に関して、用語「約」又は「ほぼ」及びそれらの文法的変形は、基準の分量、レベル、度、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量又は長さに対して高々30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%だけ変動する分量、レベル、度、値、数、頻度、百分率、寸法、サイズ、量、重量又は長さを意味する。
【0018】
用語「実質的に」又はその文法的変形は、少なくとも約50%、例えば75%、85%、95%又は98%を指す。
【0019】
用語「含む、備える」及びその文法的変形は、包括的な意味を有するものとし、すなわち、それが直接言及する列挙された構成要素のみならず、他の特定されていない構成要素又は要素もまた含むことを意味するものとして解釈される。
【0020】
用語「付勢力(energizingforce)」及びその文法的変形は、物体に運動速度を与えるように作用する力を指す。
【0021】
用語「動的」及びその文法的変形は、装置又は装置部分の運動の文脈において、機械的手段によって誘導される力を指す。
【0022】
第1の態様において、
少なくとも1つの第1の部材であって、システムを形成するように少なくとも1つの更なる部材と運動学的関係にあり、システムは、限定された運動範囲内で運動し、システムは、該システムに外部付勢力が付与されたときに相互作用して、部材をその運動力学的及び動的特性に起因して応答させ、それにより部材間の相対運動を作り出す、少なくとも1つの第1の部材と、
所定のシステム運動に応答して動く少なくとも1つの第1の部材に結合された少なくとも1つのトリガ部材であって、少なくとも1つのトリガ部材が動くと、該少なくとも1つのトリガ部材又はその部分は、システム又はその1つ若しくは複数の部材に対して制動作用を付与する、少なくとも1つのトリガ部材と、
を備え、
少なくとも1つのトリガ部材によってシステム又はその1つ若しくは複数の部材に付与される制動作用の速度及び/又は強さは、少なくとも1つのトリガ部材の運動速度によって制御され、この運動速度自体は、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分と前記少なくとも1つの第1の部材又はその部分との間の磁束相互作用によって支配され、前記磁束相互作用は、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分と前記少なくとも1つの第1の部材又はその部分との間に磁気誘導渦電流力の形成を引き起こす、
装置が提供される。
【0023】
1つの実施形態において、少なくとも1つのトリガ部材は、少なくとも1つの第1の部材上の1つ又は複数の導体部分と相互作用する1つ又は複数の磁性部分を備えることができる。代替的に、少なくとも1つのトリガ部材は、少なくとも1つの第1の部材上の1つ又は複数の磁性部分と相互作用する1つ又は複数の導体部分を備えることができる。
【0024】
システム運動と少なくとも1つのトリガの運動との間の運動学的関係は、非線形応答とすることができる。第1の部材に対する少なくとも1つのトリガ部材の運動速度は、相対運動が生じると遅くなるものとすることができる。代替的に、第1の部材に対する少なくとも1つのトリガ部材の運動速度は、相対運動が生じると速くなるものとすることができる。更に、第1の部材に対する少なくとも1つのトリガ部材の運動速度は、より遅い相対運動とより速い相対運動との間で少なくとも1回循環するものとすることができる。1つの実施形態において、部材の運動速度の比較的急速な変化は、少なくとも1つのトリガ部材と少なくとも1つの第1の部材とが十分に遠ざかるまで動いて、部材間の磁束相互作用の低下が起こったときに生じることができる。例えば、磁束が消滅すると、トリガ部材及び第1の部材は、渦電流誘導抵抗を伴わずに自由に動くことができる。抵抗から無抵抗への移行は急激なものとすることができ、上記のように運動速度の急速な変化をもたらす。
【0025】
装置の動作は、第1の部材に対するトリガ部材の可変且つ所定の運動速度によって更に特徴付けることができ、該速度は、部材間の磁束を調整することによって決定される。例として、部材間の比較速度は、部材同士が遠ざかって渦電流誘導力が完全に消散する前に、高速から、低速まで、中速まで変化することができる。
【0026】
システムと少なくとも1つのトリガ部材との間の相対運動は、所定のシステム運動が生じるまで遅延させることができる。
【0027】
少なくとも1つのトリガ部材又はその部分によって付与されるシステム制動作用は、ラッチ、摩擦力、磁気力相互作用、及びそれらの組合せによって生じるものとすることができる。
【0028】
少なくとも1つのトリガ部材が少なくとも1つの第1の部材に対して運動する速度は、少なくとも1つのトリガ部材と少なくとも1つの第1の部材との間に結果として生じる渦電流力を変化させることによって調整することができる。
【0029】
磁気誘導渦電流力は、
(a)少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の磁性要素表面積、
(b)少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の伝導性領域、
(c)少なくとも1つのトリガ部材及び少なくとも1つの第1の部材上の少なくとも1つの磁性要素と少なくとも1つの伝導性領域との近接度、
(d)少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の少なくとも1つの磁性要素の幾何学的形状及び/又は磁気特性、
(e)少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の少なくとも1つの伝導性要素の幾何学的形状及び/又は電気特性、
(f)及びそれらの組合せ、
のうちの少なくとも1つを変更することによって調整することができる。
【0030】
例えば、トリガ部材は、磁性要素を含むことができ、磁気強度は移動方向に沿って変化する。トリガ部材が第1の部材に対して動くにつれて磁束が変化し、従って、渦電流誘導力は、規定された部材の運動経路に沿って変化する。
【0031】
上記のことから認識されるように、部材は、運動中の1つ又は複数の部材の作動及び/又は運動速度に影響を及ぼす要因である、種々の形状又は重量を取ることができる。磁気相互作用は、例えばトリガ及び/又は第1の部材の長さにわたって連続的なもの又は離間したもの又は寸法が変化するものとすることができ、それにより磁束発生が調節される。トリガ又は他の部材の相互作用部分は、部材全体又はその一部分のみとすることができる。部材の一部分のみが相互作用する場合、部材の外部、内部又は部分上のいずれかにある相互作用部分の位置は、変更することができる。
【0032】
少なくとも1つのトリガ部材及び少なくとも1つの第1の部材は、部材間に相対運動が生じた途端に即時に磁気誘導渦電流力の誘導が生じるように配置することができる。実際上、このことは、静止位置にあるとき、少なくとも1つのトリガ部材と少なくとも1つの第1の部材とが少なくとも部分的に一緒に磁気的関係にあることを意味する。しかしながら上記のように、渦電流誘導力は調整することができ、例えば、部材がある程度運動した後にのみ磁束相互作用が始まるようにすることができ、上記の例は限定とみなすべきではない。
【0033】
上述のトリガ部材の運動は、直接的なもの、すなわちトリガ部材が付勢力に直接的に起因して運動するものとすることができる。トリガ部材は、その代わりに、少なくとも部分的に付勢力に間接的に起因して又は代理で運動することができ、該付勢力は、少なくとも1つの付加的な機械的部分又は動力学的手段に、トリガ部材の移動又はトリガ部材との相互作用を生じさせ、それにより引き続きトリガ部材の運動を生じさせる。間接的手段は、継手又は歯車といった別の部分を介した動的な力伝達、又は別の部分に対する直接的な力によってトリガ部材にかかる遠心力とすることができる。間接的な又は代理の力伝達は、付勢力を増幅することができるという利点を有することができる。
【0034】
渦電流誘導力の作用点の静的若しくは動的な位置及び/又は強度の調節はまた、
(a)トリガ部材又は第1の部材が動くにつれてトリガ部材上の磁性要素又は伝導性領域の位置を調節すること、及び/又は
(b)トリガ部材又は第1の部材が動くにつれて第1の部材上の磁性要素又は伝導性領域の位置を調節すること
によって完成させることができる。
【0035】
例として、トリガ部材は、スロットを備えることができ、磁性要素又は伝導性領域を備えたトリガ部材の一部は、付勢力が印加されてトリガ部材が全体として動くにつれて該スロット内を移動する。運動を調節するこの付加的手段は、動力的手段を、従って部品が相互作用する手段を更に変更するのに有用であり得る。例えば、回転運動の実施形態において、トリガ部材が全体としてのシステム運動に対して渦電流抗力を誘導する場合、位置調節は、渦電流抗力及び位置の両方に影響を与えることができ、これが次にトリガ部材上の抵抗トルクを変化させることができる。線形運動の実施形態において、位置調節は、発生する渦電流力に影響を与えることになるであろう。
【0036】
トリガ部材と1つ又は複数の付加的な部材との間の相対運動は、摩擦のない運動とすることができる。上記の誘導力のような磁気力及びそれに続くトリガ部材に作用するいずれの力も、摩擦接触を回避することができる。これは、部品に対する機械的摩耗を最小限にするのに有用であり得る。
【0037】
1つの実施形態において、部品間の運動は、主として動的力によって支配されるものとすることができる。装置は、液体流体を伴わないものとすることができ、部品間の全ての運動が動的力に起因する。代替的に、装置は、存在するある程度の液体流体を有することができるが、装置部材に対する主な付勢力は動的力とすることができる。磁気学を利用して運動学的関係を変更する液体ベースのシステムも存在するが、これらの装置は、しばしば双安定、すなわち部品が2つの位置でのみ安定である点で、本明細書において説明する装置とは異なる。加えて、運動は、動的力とは対照的に、主として又は完全に液体流体から蓄積される力又は圧力に依拠する。液体ベースの装置はまた、液体の封止に関連した固有の難点を有し、信頼性のある運用を保証するにはより定期的な保守が必要である。
【0038】
上記のことから認識することができるように、少なくとも1つのトリガ部材及び少なくとも1つの第1の部材は、磁気誘導渦電流力を導く磁束相互作用を有する。磁束相互作用は、少なくとも1つの第1の部材の上又は内のいずれかにある電気伝導性領域と相互作用する少なくとも1つのトリガ部材の上又は内に位置する少なくとも1つの磁性要素の使用によりもたらすことができる。代替的に、少なくとも1つの磁束相互作用は、少なくとも1つのトリガ部材の上又は内のいずれかにある伝導性領域と相互作用する少なくとも1つの第1の部材の上又は内に位置する少なくとも1つの磁性要素の使用によりもたらされることができる。認識されるように、上記の関係を達成する多様な構成を企図することができ、これは厳密な設計に関して装置を非常に自由度の高いものにすることを支援する。1つの実施形態において、トリガ部材全体を磁性又は伝導性にすることができ、同様に、第1の部材全体を磁性又は伝導性にすることができる。代替的に、いずれかの部材の部分又は領域を磁性又は伝導性にすることができる。部材の設計は、磁性要素及び/又は伝導性要素を取り外す及び交換する能力を統合することもできる。加えて、磁石の関係を説明する上記の文脈における用語「伝導性」は、磁石が相互作用する材料を指し、すなわち電気伝導性であることを認識されたい。更に、材料は強磁性とすることができ、又は材料は常磁性とすることができる。用語「伝導性」は、磁気特性の観点に限定されるものとみなすべきではない。
【0039】
1つの代替的な実施形態において、装置は、少なくとも1つの第1の部材から独立した少なくとも1つの第2の部材を含むことができ、第2の部材は、少なくとも1つのトリガ部材が少なくとも1つの第1の部材と重なる領域の外部の少なくとも一部の周りで、少なくとも1つのトリガ部材と磁気的に相互作用する。この第2の部材は、一連の磁石又は伝導性部材とすることができ、トリガ部材が動いて第2の部材に対して相補的な領域に入ったとき、トリガ部材と第2の部材との間に渦電流誘導力が生じる。1つの例において、第2の部材は、静止したものとすることができる。代替的に、第2の部材は、少なくとも1つのトリガ部材に対して異なる相対速度で、トリガ部材と同じ方向(但し異なる速度で)又は反対方向に運動することができる。
【0040】
上記実施形態に対する1つの変形形態において、少なくとも1つの第1の部材は固定されたものとすることができ、付勢力が印加されると少なくとも1つのトリガ部材が動き、少なくとも1つのトリガ部材の運動は、少なくとも1つの第2の部材との少なくとも部分的な磁気相互作用によって付勢され、このとき少なくとも1つのトリガ部材の運動は、少なくとも1つのトリガ部材と少なくとも1つの第1の部材との間の磁束相互作用を誘導する。この変形形態における運動学的関係は、少なくとも1つの第1の部材に対して枢動する少なくとも1つのトリガ部材によって規定することができる。代替的に、この変形における運動学的関係は、少なくとも1つの第1の部材に対して独立した並進経路を経由して運動する少なくとも1つのトリガ部材によって規定することができる。
【0041】
更なる代替形態において、少なくとも1つのトリガ部材は、少なくとも1つのトリガ部材と少なくとも1つの第1の部材とが相対運動すると、1つ又は複数の更なるラッチ部材と係合することができる。トリガ部材とラッチ部材との係合の結果として、第1の部材とラッチ部材との間に更なる相対運動が生じないようにすることができる。このラッチ部材は、運動学的関係の運動を制限するのに有用であり得る。係合は、更なる運動のために装置をリセットするように解除可能なものとすることができる。
【0042】
少なくとも1つのトリガ部材及び少なくとも1つの第1の部材又はそれらの部分は、互いにほぼ隣接することができる。
【0043】
磁束相互作用は、少なくとも1つのトリガ部材と少なくとも1つの第1の部材との間の相対運動の方向に対して少なくとも部分的に直交するものとすることができる。1つの実施形態において、部材は、互いに隣接する同じ平面内にあり、付勢力が印加されると、部材は互いを通り越して移動するが、依然として互いに対して同じ平面内にある。1つ又は複数の磁界が、部材の運動に対して直角に延びることができる。認識され得るように、完全に直交する配置が最適であり得るが、他の平面角度でも同じ又は同様の結果を達成することができる。
【0044】
トリガ部材は、所定のシステム運動が生じたときに軸の周りで回転するアーム形部材とすることができる。運動学的関係は、回転軸の周りで少なくとも1つの第1の部材に枢動式に取り付けられた少なくとも1つのトリガ部材で少なくとも部分的に規定することができる。回転軸は、第1の部材の運動が回転軸の周りで少なくとも1つのトリガ部材の回転運動を生じさせるように位置決めすることができる。回転軸の周りでの少なくとも1つのトリガ部材の運動は、少なくとも1つの第1の部材によって画定された領域の外側で少なくとも1つのトリガ部材の少なくとも一部を回転させることができる。この運動学的関係は、必要な部品の数を最小限にして、しかも有用な運動経路を与えることができる。枢動取付けは、1つ又は複数の機械式締結具、軸受又は他の既知の構成要素の使用によるものとすることができる。1つ又は複数の部材の運動は、運動を制限する止め部又は他の手段の使用によって、所定範囲内に制限することができる。
【0045】
1つの特定の実施形態において、付勢力が印加されたときの少なくとも1つの第1の部材の運動は、回転運動とすることができる。この実施形態において、
・少なくとも1つのトリガ部材は、1つ又は複数のつめ形又はアーム形部材とすることができ、これは付勢力が印加されると回転する回転子である第1の部材に機械的に連結される。
・少なくとも1つのトリガ部材は、十分に大きい付勢力が印加されると少なくとも1つのトリガ部材の一部が回転子によって画定された領域の外部に移動することができるように位置決めすることができる。
・少なくとも1つのトリガ部材は、回転子軸からオフセットしたピボット軸の周りで回転子に枢動式に取り付けることができる。
【0046】
上記実施形態は、特にスペースの関係で線形軌道が許されない場合に装置の全体サイズを最小化するのに有用であり得る。上記装置及び機構は、US2012/0055740に記載されたものと同様の装置に組み込むことができる。
【0047】
少なくとも1つのトリガ部材は、代替的に、所定のシステム運動が生じたときに線形方向に運動するロッド形部材とすることができる。上記のように、運動学的関係は、少なくとも1つの第1の部材に対して独立した並進経路を経由して運動する少なくとも1つのトリガ部材によって、少なくとも部分的に規定することができる。少なくとも1つの第1の部材の運動は、この実施形態では、回転子が用いられる場合のように回転軸の周りでの回転運動とすることができる。代替的に、付勢力が印加されたときの少なくとも1つの第1の部材の運動は、第2の部材としてキャリッジを用いる例の場合のように線形運動とすることができる。
【0048】
更なる代替的な実施形態において、付勢力が印加されたときの少なくとも1つの第1の部材の運動は、線形運動とすることができる。この実施形態において、
・少なくとも1つのトリガ部材は、1つ又は複数のつめ形又はアーム形部材とすることができ、これは付勢力が印加されると並進するキャリッジである第1の部材に機械的に連結される。
・少なくとも1つのトリガ部材は、キャリッジの運動線からオフセットしたピボット軸の周りでキャリッジに枢動式に取り付けることができる。
【0049】
この性質の線形の実施形態は、長い案内ロープを用いる例えば列車のキャリッジ又はゴンドラなどの用途のように、1つ又は複数の第1の部材が軌道に沿って動く場合に有用なであり得、上述の装置は、キャリッジ又はゴンドラの運動速度の制動を支援するように作用する。
【0050】
第2の態様において、実質的に上で説明したような少なくとも1つの装置を組み込んだロープ繰出し装置が提供される。自動ビレー装置などのロープ繰出し装置は、レクリエーション用途及び工業的用途の両方で落下を防止するために広範に用いられる。場合によっては、磁気引力関係は、自動ビレー装置の特性を調整するのに有用であり得る。少なくとも1つの更なる部材は、ロープ繰出し装置の場合には、少なくとも1つの第1の部材に直接的又は間接的に結合されたロープのスプールとすることができる。システムに付与される外部付勢力は、この実施形態においては、スプールから延びる又は該スプールに引き込まれるロープによって生じるものとすることができる。
【0051】
第3の態様において、引き延ばされ且つ引き込まれる帯ひもを組み込んだ乗客座席拘束装置が提供され、帯ひもは、実質的に上で説明したような少なくとも1つの装置に動作可能に結合される。乗客座席拘束装置の一例は、自動車などの車両に用いられるシートベルトであり得る。シートベルトは極めて重要な安全機能であり、上述の装置は、特に上記の多様な方式で応答を調整する能力を前提として、既存の設計に対する有用な代替手段を提供することができる。
【0052】
第4の実施形態において、実質的に上で説明したような回転駆動装置に係合する少なくとも1つの装置を組み込んだ変速機駆動装置が提供される。
【0053】
第5の実施形態において、実質的に上で説明したような少なくとも1つの装置を組み込んだリニアガイド式命綱(linear guided lifeline)が提供される。
【0054】
説明した装置はその他の多様な用途で用いることができるので、上記の例は限定的なものとみなすべきではなく、非限定的な例は、
・回転式タービンの回転子
・運動器具、例えばローイングマシン、エピサイクリックトレーナー
・ローラコースタ及び他の遊具乗り物
・エレベータ及びエスカレータシステム
・避難用降下装置及び火災避難装置
・コンベヤシステム
・工場生産設備内の回転駆動装置
・コンベヤベルトなどの材料搬送装置又はシュート内の制動装置
・回転式サインの変化速度を制御する動的ディスプレイ看板
・路側安全システム、例えば渦電流ブレーキをシステムに接続して、ブレーキによるエネルギー散逸によって衝突の減衰を提供することができる。
・車両内のシートベルト
・トロリー及びキャリッジ用の制動機構
の制御を含む。
【0055】
上記のように、上記装置の1つの利点は、運動学的関係によって規定された運動の速度を制御する能力を含む。加えて、装置の更なる利点は、ひとたび運動が始まってからも運動力学的関係に影響を及ぼすこととである。運動に対する抵抗の大きさは、部材が動くにつれて一貫した方式で、又は段階的若しくはその他の変動する方式で変化させることができる。このようにして調整することは、例えばブレーキ係合の、不要の作動を回避する又は作動速度を遅くする効果を有することができる。
【0056】
上述の実施形態は、大まかに言って、本出願の明細書において個別に又は集合的に言及された又は示された部分、要素及び特徴、並びに2以上の該部分、要素又は特徴のいずれか又は全ての組合せに存するものと言うこともでき、また、実施形態が関連する技術分野において既知の均等範囲を有する特定の整数が本明細書において言及される場合、かかる既知の均等範囲は、あたかも個別に述べられているかの如くに本明細書に組み入れられるものとみなされる。
【0057】
本発明が関連する技術分野において既知の均等範囲を有する特定の整数が本明細書において言及される場合、かかる既知の均等範囲は、あたかも個別に述べられているかの如くに本明細書に組み入れられるものとみなされる。
【実施例】
【0058】
上述の装置をここで、特定の例を参照して説明する。
【0059】
例における説明を容易にするために、単一のトリガ部材及び単一の第1の部材のみを示すが、複数のトリガ部材及び第1の部材を用いることができることを認識されたい。
【0060】
説明する場合、トリガ部材がその中を移動する第2の部材の磁界、及びラッチ部材は、冗長になるので連続領域として概略的に示される。第2の部材(少しでも存在する場合)は、例えば一連の離散的な磁石とすることができ、又は単に1つの磁石であってもよい。同様に、ラッチ部材(存在する場合)は、種々の形状又は表面輪郭を呈することができる。
【0061】
例1
図1及び
図2に示すように、トリガ1と第1の部材2との間の運動学的関係を説明する。作図を簡単にするために、付加的な部材及び部材の詳細は省いた。
【0062】
この例において、トリガ部材1は、回転子として描かれた第1の部材2に枢動式に連結されたつめ又はアームであり、回転子領域の一部は分かりやすくするために省かれている。枢動連結は、ピボット回転軸3を設け、その周りでトリガ部材1が第1の部材2に対して回転することができ、逆も又同様である。この例において、付勢力が印加されたとき、第1の部材2は、回転軸4の周りで方向Xに回転する。回転子を方向Xに回転させる付勢力が印加されると、トリガ部材1は、遠心力及び慣性力の組合せによって付勢されてピボット軸3の周りで枢動し、その結果、トリガ部材1の一部が移動する。トリガ部材1の実線像は、静止位置又はトリガ位置にあるつめを示し、点線は、運動後の第2の位置5にあるつめを示し、トリガ部材1がピボット軸3の周りで方向Yに回転することを示す。
【0063】
図示されるように、トリガ部材1及び第1の部材2は、互いにほぼ隣接し、且つ互いに制限された運動学的関係にある。
【0064】
トリガ部材1及び第1の部材2は、磁気的関係にある。
図1及び
図2に示すように、トリガ部材1は、磁性要素6を含む。磁性要素6は、トリガ部材1の一部分とすることができる。磁性要素6は、トリガ部材1の中に差し込まれた又はトリガ部材1の内部に隠された(図示せず)分離したアイテム(
図2の6a)とすることができる。第1の部材2上の磁性要素6に対して相補的な地点上に、伝導性領域がある(
図2中、アイテム7で示される)。認識されるように、上述の磁性要素6及び伝導性領域7を入れ替えて、トリガ部材1が伝導性領域を含み且つ第1の部材2が磁性要素を含むようにすることができる。
【0065】
磁性要素は、トリガ部材1全体とすることができ、又は
図1及び
図2に示すものとは異なる形状を有することができる。同様に、第1の部材2の中の伝導性領域7は、第1の部材2全体又は第1の部材2の一部とすることができる。
【0066】
作動時、速度が変化する運動が生じると、その結果、少なくとも1つの磁気誘導磁束がトリガ部材1と第1の部材2との間に生じ、それにより部材1、2又はその部分間に磁気誘導渦電流力が形成される。
【0067】
磁気誘導渦電流力は、部材1、2と少なくとも1つの第1の部材2との間の相対運動に抵抗するように作用することができる。磁束は、幾つかの配置特性を変更することによって調整することができ、これは、磁性要素6及び/又は伝導性領域7のサイズ及び位置を変更すること、トリガ部材と第1の部材との近接度を変更してそれにより磁性要素6と伝導性領域7との近接度を変更すること、及び、最後に、磁性要素6/伝導性領域7の幾何学的形状及び/又は磁気/伝導特性を変更することを含む。
【0068】
図に示すように、磁気誘導磁束の方向は、トリガ部材1と第1の部材2との間の運動方向に対して実質的に直交する方向であり、部材1、2は、静止時及び運動中の両方においいて互いに隣接する同じ平面内に位置する。
【0069】
上述の実施形態は、US2012/0055740に記載されたものと同様の装置に組み込むことができる。
【0070】
例2
図3を参照すると、第1の部材2の回転運動に応答したトリガ部材1の運動は、線形とすることができる。
図3に示すように、トリガ部材1は、ロッドにすることができ、ロッドは、第1の部材2の中の穴又は凹み(図示せず)に差し込まれる。ロッド1は、磁性要素6(又は逆に伝導性領域)を含むことができ、磁性要素又は伝導性領域の選択は、第1の部材2上の相補的部分が何であるかによる。第1の部材2の回転が生じると、ロッドが動いて、
図3において方向Zに沿った矢印で示されるように線形並進運動で穴又は凹みから出てくる。
【0071】
例3
図4及び
図5は、付勢力が印加されたときに矢印AAで示されるような線形方向に第1の部材2の運動が生じる、代替的な実施形態を示す。
【0072】
トリガ部材1は、1つ又は複数のつめ形又はアーム形部材(分かりやすくするために1つのつめを示す)とすることができ、これは、この例では表面又は軌道8に沿って付勢力が印加されたときに方向AAに線形的に並進するキャリッジである第1の部材2に機械的に連結されている。
【0073】
図4において、少なくとも1つのトリガ部材1は、キャリッジ2に取り付けられたピボット軸3の周りでキャリッジの運動方向AAからオフセットして枢動する。トリガ部材1は、磁性要素(又は伝導性領域)6を含み、第1の部材2は、相補的な磁性要素又は領域(図示せず)を含み、その結果、トリガ部材1及び第1の部材2は磁気関係にある。
【0074】
図5は、線形運動する第1部材2の同じ原理を示すが、しかしこの場合には、トリガ部材1もまた、例2で説明したものと同様に線形方式で動くロッドである。
【0075】
この性質の線形の実施形態は、長い案内ロープを用いる例えば列車のキャリッジ又はゴンドラなどの用途のように、1つ又は複数の第1の部材2が軌道8に沿って動く場合に有用であり得、上述の装置は、キャリッジ又はゴンドラの運動速度の制動を支援するように作用する。
【0076】
例4
図6は、トリガ部材1と第1の部材2との間の上述の磁気関係を用いた装置の更なる実施形態を示す。
【0077】
装置は、少なくとも1つの第1の部材2とは独立の少なくとも1つの第2の部材10(説明を容易にするために網掛け領域として描く)を含み、第2の部材10は、トリガ部材1が動いて第1の部材2から遠ざかったときにトリガ部材1と磁気的に相互作用する。この第2の部材10は、一連の磁石又は伝導性領域とすることができ、トリガ部材1が動いて第2の部材10に対して相補的な空間に入ったとき、トリガ部材1と第2の部材10との間に渦電流誘導力が生じる。
【0078】
第2の部材10は、静止したものとすることができる。代替的に、第2の部材10は、トリガ部材1に対して異なる相対速度で、トリガ部材1と同じ方向(但し異なる速度で)又は反対方向に運動することができる。第2の部材10は、例えば、第1の部材2の周縁の外側でこれを囲む一連の磁石(図示せず)とすることができる。
【0079】
例5
図6及び
図7に示すように、トリガ部材1は、トリガ部材1及び第1の部材2が運動すると、更なるラッチ部材20と係合することができる。トリガ部材1とラッチ部材20との係合の結果として、第1の部材2とラッチ部材20との間に更なる相対運動が生じないようにすることができる。このラッチ部材20は、運動学的関係の運動を制限するのに有用であり得る。係合は、更なる運動のために装置をリセットするように解除可能なものとすることができる。
【0080】
例6
図8及び
図9は、第2の部材10を用いた異なる手法を示す。
【0081】
図に示すように、第2の部材10は、第1の部材2とは独立である。第2の部材10は、トリガ部材1と第1の部材2とが重なった領域を越えて部分的に延びたトリガ部材1の部分の周りでトリガ部材1と磁気的に相互作用する。第2の部材10は、トリガ部材1に対して相補的な一連の磁石又は伝導性部材とすることができ、第2の部材10がトリガ部材1に対して運動したときに磁束相互作用を生じさせるようになっている。
【0082】
第2の部材10に対して相補的な領域内にトリガ部材1があると、第2の部材10に対する付勢力がトリガ部材1と第2の部材10との間に磁気誘導渦電流力を生じさせ、これが第1の部材2に対するトリガ部材1の運動を助長する。
【0083】
第1の部材2は、静止したものとすることができ、トリガ部材1は、付勢力が印加されると運動し、次いでトリガ部材1の運動が、トリガ部材1と第1の部材2との間の磁束相互作用を誘導する。
【0084】
図8に示すように、運動学的関係は、第1の部材2に対して枢動するトリガ部材1によって規定される。代替的に、
図9に示すように、運動学的関係は、第1の部材2に対して独立した線形並進運動路を経由して運動するトリガ部材1によって規定することができる。
【0085】
装置の態様を例示のみの目的で説明してきたが、本明細書における請求項の範囲から逸脱することなく修正及び付加を行うことができることを認識されたい。
[発明の項目]
[項目1]
少なくとも1つの第1の部材であって、システムを形成するように少なくとも1つの更なる部材と運動学的関係にあり、前記システムは、限定された運動範囲内で運動し、前記システムは、前記システムに外部付勢力が付与されたときに相互作用して、前記部材をそれらの運動力学的及び動的特性に起因して応答させ、それにより前記部材間の相対運動を作り出す、少なくとも1つの第1の部材と、
所定のシステム運動に応答して動く前記少なくとも1つの第1の部材に結合された少なくとも1つのトリガ部材であって、前記少なくとも1つのトリガ部材が動くと、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分は、前記システム又はその1つ若しくは複数の部材に対して制動作用を付与する、少なくとも1つのトリガ部材と、
を備え、
前記少なくとも1つのトリガ部材によって前記システム又はその1つ若しくは複数の部材に付与される前記制動作用の速度及び/又は強さは、前記少なくとも1つのトリガ部材の運動速度によって制御され、この前記運動速度自体は、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分と前記少なくとも1つの第1の部材又はその部分との間の磁束相互作用によって支配され、前記磁束相互作用は、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分と前記少なくとも1つの第1の部材又はその部分との間に磁気誘導渦電流力の形成を引き起こす、
装置。
[項目2]
前記少なくとも1つのトリガ部材は、前記少なくとも1つの第1の部材上の1つ又は複数の導体部分と相互作用する1つ又は複数の磁性部分を備える、項目1に記載の装置。
[項目3]
前記少なくとも1つのトリガ部材は、前記少なくとも1つの第1の部材上の1つ又は複数の磁性部分と相互作用する1つ又は複数の導体部分を備える、項目1に記載の装置。
[項目4]
前記システム運動と前記少なくとも1つのトリガの運動との間の運動学的関係は、非線形応答である、項目1~3のいずれか一項に記載の装置。
[項目5]
前記第1の部材に対する前記少なくとも1つのトリガ部材の前記運動速度は、相対運動が生じると遅くなる、項目1~4のいずれか一項に記載の装置。
[項目6]
前記第1の部材に対する前記少なくとも1つのトリガ部材の前記運動速度は、相対運動が生じると速くなる、項目1~4のいずれか一項に記載の装置。
[項目7]
前記第1の部材に対する前記少なくとも1つのトリガ部材の前記運動速度は、より遅い相対運動とより速い相対運動との間で少なくとも1回循環する、項目1~4のいずれか一項に記載の装置。
[項目8]
前記システムと前記少なくとも1つのトリガ部材との間の相対運動は、前記所定のシステム運動が生じるまで遅延される、項目1~7のいずれか一項に記載の装置。
[項目9]
前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分によって付与される前記システム制動作用は、ラッチ、摩擦力、磁気力相互作用、及びそれらの組合せによって生じる、項目1~8のいずれか一項に記載の装置。
[項目10]
前記少なくとも1つのトリガ部材が前記少なくとも1つの第1の部材に対して運動する前記速度は、前記少なくとも1つのトリガ部材と前記少なくとも1つの第1の部材との間に結果として生じる渦電流力を変化させることによって調整される、項目1~9のいずれか一項に記載の装置。
[項目11]
前記磁気誘導渦電流力は、
(a)前記少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の磁性要素表面積、
(b)前記少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の伝導性領域、
(c)前記少なくとも1つのトリガ部材及び少なくとも1つの第1の部材上の少なくとも1つの磁性要素と少なくとも1つの伝導性領域との近接度、
(d)前記少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の前記少なくとも1つの磁性要素の幾何学的形状及び/又は磁気特性、
(e)前記少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の前記少なくとも1つの伝導性要素の幾何学的形状及び/又は電気特性、
(f)及びそれらの組合せ
のうちの少なくとも1つを変更することによって調整される、項目10に記載の装置。
[項目12]
前記トリガ部材は、前記付勢力に直接的に起因して運動する、項目1~11のいずれか一項に記載の装置。
[項目13]
前記トリガ部材は、少なくとも部分的に前記付勢力に間接的に起因して運動し、前記付勢力は、少なくとも1つの付加的な機械的部分又は動力学的手段に、前記トリガ部材の移動又は前記トリガ部材との相互作用を生じさせ、それにより引き続き前記トリガ部材の運動を生じさせる、項目1~11のいずれか一項に記載の装置。
[項目14]
前記渦電流誘導力の作用点の静的若しくは動的な位置及び/又は強度の調節はまた、
(a)前記トリガ部材又は第1の部材が動くにつれて前記トリガ部材上の磁性要素又は伝導性領域の位置を調節すること、及び/又は
(b)前記トリガ部材又は第1の部材が動くにつれて前記第1の部材上の磁性要素又は伝導性領域の位置を調節すること
によって完成される、項目1~13のいずれか一項に記載の装置。
[項目15]
前記トリガ部材と1つ又は複数の付加的な部材との間の相対運動は、摩擦のない運動である、項目1~14のいずれか一項に記載の装置。
[項目16]
前記部分間の運動は、主として動的力によって支配される、項目1~15のいずれか一項に記載の装置。
[項目17]
前記少なくとも1つのトリガ部材と前記少なくとも1つの第1の部材又はそれらの部分は、互いにほぼ隣接する、項目1~16のいずれか一項に記載の装置。
[項目18]
前記磁束相互作用は、前記少なくとも1つのトリガ部材と前記少なくとも1つの第1の部材との間の相対運動の方向に対して少なくとも部分的に直交する、項目17に記載の装置。
[項目19]
前記トリガ部材は、前記所定のシステム運動が生じたときに軸の周りで回転するアーム形部材である、項目1~18のいずれか一項に記載の装置。
[項目20]
前記少なくとも1つのトリガ部材は、前記所定のシステム運動が生じたときに線形方向に運動するロッド形部材である、項目1~18のいずれか一項に記載の装置。
[項目21]
項目1~20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置を組み込んだロープ繰出し装置。
[項目22]
前記少なくとも1つの更なる部材は、前記少なくとも1つの第1の部材に直接的又は間接的に結合されたロープのスプールである、項目21に記載のロープ繰出し装置。
[項目23]
前記システムに付与される前記外部付勢力は、前記スプールから延びる且つ該スプール上に引き込まれるロープによって生じる、項目22に記載のロープ繰出し装置。
[項目24]
項目1~20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置を組み込んだ乗客座席拘束装置。
[項目25]
項目1~20のいずれか一項に記載の、回転駆動装置に係合する少なくとも1つの装置を組み込んだ変速機駆動装置。
[項目26]
項目1~20のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置を組み込んだリニアガイド式命綱。
[発明の条項]
[条項1]
少なくとも1つの第1の部材であって、システムを形成するようにラッチ部材と運動学的関係にあり、前記システムは、限定された運動範囲内で運動し、前記システムは、前記システムに外部付勢力が付与されたときに相互作用して、前記部材をそれらの運動力学的及び動的特性に起因して応答させ、それにより前記部材間の相対運動を作り出す、少なくとも1つの第1の部材と、
所定のシステム運動に応答して前記第1の部材に対して動く、前記少なくとも1つの第1の部材に結合された少なくとも1つのトリガ部材であって、前記少なくとも1つのトリガ部材が動くと、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分は、前記システム又はその1つ若しくは複数の部材に対して制動作用を付与し、該トリガ部材と前記ラッチ部材との間の相互作用により、前記第1の部材と前記ラッチ部材との間の相対運動を制限する、少なくとも1つのトリガ部材と、
を備え、
前記少なくとも1つのトリガ部材によって前記システム又はその1つ若しくは複数の部材に付与される前記制動作用の速度及び/又は強さは、前記少なくとも1つのトリガ部材の前記第1の部材に対する運動速度によって制御され、この前記運動速度自体は、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分と前記少なくとも1つの第1の部材又はその部分との間の磁束相互作用によって支配され、前記磁束相互作用は、前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分と前記少なくとも1つの第1の部材又はその部分との間に磁気誘導渦電流力の形成を引き起こし、前記磁気誘導渦電流力が前記トリガ部材の前記第1の部材に対する運動に抵抗する、
装置。
[条項2]
前記少なくとも1つのトリガ部材は、前記少なくとも1つの第1の部材上の1つ又は複数の導体部分と相互作用する1つ又は複数の磁性部分を備える、又は、前記少なくとも1つのトリガ部材は、前記少なくとも1つの第1の部材上の1つ又は複数の磁性部分と相互作用する1つ又は複数の導体部分を備える、条項1に記載の装置。
[条項3]
前記システム運動と前記少なくとも1つのトリガの運動との間の運動学的関係は、非線形応答である、条項1又は2に記載の装置。
[条項4]
前記第1の部材に対する前記少なくとも1つのトリガ部材の前記運動速度は、相対運動が生じると遅くなる、又は、前記第1の部材に対する前記少なくとも1つのトリガ部材の前記運動速度は、相対運動が生じると速くなる、条項1~3のいずれか一項に記載の装置。
[条項5]
前記システムと前記少なくとも1つのトリガ部材との間の相対運動は、前記所定のシステム運動が生じるまで遅延される、条項1~4のいずれか一項に記載の装置。
[条項6]
前記少なくとも1つのトリガ部材又はその部分によって付与される前記システムの制動作用は、ラッチ、摩擦力、磁気力相互作用、及びそれらの組合せによって生じる、条項1~5のいずれか一項に記載の装置。
[条項7]
前記少なくとも1つのトリガ部材が前記少なくとも1つの第1の部材に対して運動する前記速度は、前記少なくとも1つのトリガ部材と前記少なくとも1つの第1の部材との間に結果として生じる渦電流力を変化させることによって調整される、条項1~6のいずれか一項に記載の装置。
[条項8]
前記磁気誘導渦電流力は、
(a)前記少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の磁性要素表面積、
(b)前記少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の伝導性領域、
(c)前記少なくとも1つのトリガ部材及び少なくとも1つの第1の部材上の少なくとも1つの磁性要素と少なくとも1つの伝導性領域との近接度、
(d)前記少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の前記少なくとも1つの磁性要素の幾何学的形状及び/又は磁気特性、
(e)前記少なくとも1つのトリガ部材又は少なくとも1つの第1の部材上又は内の前記少なくとも1つの伝導性要素の幾何学的形状及び/又は電気特性、
(f)及びそれらの組合せ
のうちの少なくとも1つを変更することによって調整される、条項7に記載の装置。
[条項9]
前記トリガ部材は、前記付勢力に直接的に起因して運動する、条項1~8のいずれか一項に記載の装置。
[条項10]
前記トリガ部材は、少なくとも部分的に前記付勢力に間接的に起因して運動し、前記付勢力は、少なくとも1つの付加的な機械的部分又は動力学的手段に、前記トリガ部材の移動又は前記トリガ部材との相互作用を生じさせ、それにより引き続き前記トリガ部材の運動を生じさせる、条項1~8のいずれか一項に記載の装置。
[条項11]
前記磁気誘導渦電流力の作用点の静的若しくは動的な位置及び/又は強度の調節はまた、
(a)前記トリガ部材又は第1の部材が動くにつれて前記トリガ部材上の磁性要素又は伝導性領域の位置を調節すること、及び/又は
(b)前記トリガ部材又は第1の部材が動くにつれて前記第1の部材上の磁性要素又は伝導性領域の位置を調節すること
によって完成される、条項1~10のいずれか一項に記載の装置。
[条項12]
前記少なくとも1つのトリガ部材と前記少なくとも1つの第1の部材又はそれらの部分は、互いにほぼ隣接する、条項1~11のいずれか一項に記載の装置。
[条項13]
前記トリガ部材は、前記所定のシステム運動が生じたときに軸の周りで回転するアーム形部材である、条項1~12のいずれか一項に記載の装置。
[条項14]
前記少なくとも1つのトリガ部材は、前記所定のシステム運動が生じたときに線形方向に運動するロッド形部材である、条項1~12のいずれか一項に記載の装置。
[条項15]
少なくとも1つの第2の部材が設けられており、前記第2の部材は、前記少なくとも1つの第1の部材と独立であり、第2の部材は、少なくとも1つのトリガ部材が前記少なくとも1つの第1の部材と重なる領域の外部の少なくとも一部の周りで、前記少なくとも1つのトリガ部材と磁気的に相互作用する、条項1~14のいずれか一項に記載の装置。
[条項16]
条項1~15のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置を組み込んだ機器であって、当該機器が、
(1)ロープ繰出し装置であり、前記少なくとも1つの第1の部材に直接的又は間接的にロープのスプールが結合されており、且つ、前記システムに付与される前記外部付勢力は、前記スプールから延びる且つ該スプール上に引き込まれるロープによって生じる、ロープ繰出し装置、
(2)乗客座席拘束装置、
(3)変速機駆動装置、
(4)リニアガイド式命綱、
のいずれかである、機器。