(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/30 20060101AFI20221004BHJP
B65D 43/08 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B65D77/30 A
B65D43/08
(21)【出願番号】P 2019196649
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390000387
【氏名又は名称】福助工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】美濃 巨史
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-202937(JP,A)
【文献】特表2008-531413(JP,A)
【文献】実開昭62-076147(JP,U)
【文献】特開平09-226769(JP,A)
【文献】特開2013-189211(JP,A)
【文献】特開2012-086878(JP,A)
【文献】実開平02-087777(JP,U)
【文献】特開2019-127326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/30
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、該容器本体に外嵌合される蓋体とから構成される包装用容器であって、前記容器本体は、前記容器本体の側壁の上端から外側に折り返して下方に延びる折返し部と、前記折返し部の下端から半径方向外方に突出形成された本体段差部とを備え、前記折返し部に、前記蓋体に設けられた係合部に係合する係合受部が形成され、前記本体段差部の各コーナー部のうち少なくとも1箇所に他の部分よりも下向きに傾斜した傾斜段差部が形成され、前記傾斜段差部を含む前記本体段差部の外縁から半径方向外方かつ下方に傾斜する本体縁部が形成され、前記傾斜段差部の外縁に形成された前記本体縁部の下端が前記傾斜段差部以外の部分に形成された前記本体縁部の下端よりも下方に位置
し、前記蓋体が、前記容器本体に外嵌合した状態で、前記折返し部に当接するスカート部を備え、前記スカート部に前記係合部が形成された構成、または、前記スカート部の下端から半径方向外方に蓋体段差部が突出形成され、前記蓋体段差部の外縁に前記本体縁部に嵌合可能な嵌合部が形成され、前記容器本体に外嵌合した状態で、前記嵌合部の下端が前記傾斜段差部の外縁に形成された前記本体縁部の下端よりも下方に位置する構成のいずれの構成でも、前記容器本体に嵌合可能とされた包装用容器。
【請求項2】
少なくとも前記折返し部の各コーナー部の両側に前記係合受部が形成された請求項
1に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製シート状体を成形してなる、容器本体及び前記容器本体に外嵌合可能な蓋体を備えた包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装用容器として、合成樹脂製シート状体を成形してなる、容器本体及び容器本体に外嵌合可能な蓋体を備えた包装用容器が多用されている。具体的には、特許文献1に示すように、容器本体10の上方フランジ11に蓋体20の係合部25を嵌合させるというものである(以下、「通常の外嵌合方式の包装用容器」と称する。)。
【0003】
ただ、上記通常の外嵌合方式の包装用容器においては、容器本体10に蓋体20を嵌合させると、容器本体10の上方フランジ11よりも蓋体20の係合部25の下端部が下方に位置することになる。包装用容器を持つ場合に、容器本体10の上方フランジ11に手をかけることが多い。このとき、下方から蓋体20の係合部25を押し上げてしまい、不用意に蓋体20が外れるという問題があった。
【0004】
上記課題を解決する手段として、特許文献2には、容器本体は、本体周壁部から外側に延びる本体フランジ部と、前記本体フランジ部よりも周縁側に設けられた本体逆テーパー部とを備え、蓋体は、天面部から下方に延びる蓋体周壁部と、前記蓋体周壁部から外側に延びる蓋体フランジ部と、前記蓋体フランジ部よりも周縁側に設けられて前記本体逆テーパー部に係合する蓋体逆テーパー部とを備えた、いわゆる強嵌合方式の包装用容器が開示されている。強嵌合方式の包装用容器においては、蓋体を嵌合させた状態で、蓋体スカート部が本体スカート部よりも上方に位置するため、不用意に蓋体が外れることがないという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-79211号公報
【文献】特開2019-127274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記強嵌合方式の包装用容器及び通常の外嵌合方式の包装用容器は、それぞれ需要が存在する。その一方で、各方式によって包装用容器(容器本体及び蓋体)の構造が異なることから、各方式に適合した包装用容器を別々に用意する必要があった。
【0007】
そこで、本発明においては、1種類の容器本体で蓋体を替えることにより、通常の外嵌合方式及び強嵌合方式のいずれの嵌合方式でも対応可能な包装用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様としての包装用容器は、容器本体と、該容器本体に外嵌合される蓋体とから構成される包装用容器であって、前記容器本体は、前記容器本体の側壁の上端から外側に折り返して下方に延びる折返し部と、前記折返し部の下端から半径方向外方に突出形成された本体段差部とを備え、前記折返し部に、前記蓋体に設けられた係合部に係合する係合受部が形成され、前記本体段差部の外縁から半径方向外方かつ下方に傾斜する本体縁部が形成されてなる。
【0009】
前記蓋体が、前記容器本体に外嵌合した状態で、前記折返し部に当接するスカート部を備え、前記スカート部に前記係合部が形成された構成、または、前記スカート部の下端から半径方向外方に蓋体段差部が突出形成され、前記蓋体段差部の外縁に前記本体縁部に嵌合可能な嵌合部が形成された構成のいずれの構成でも、前記容器本体に嵌合可能としてもよい。
【0010】
前記折返し部及び前記本体縁部を含む前記容器本体の外形が、平面視で略矩形形状に形成され、少なくとも前記折返し部の各コーナー部の両側に前記係合受部が形成され、前記本体段差部の各コーナー部のうち少なくとも1箇所が他の部分よりも下向きに傾斜して形成された構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
上記態様によれば、折返し部に係合受部を形成したため、強嵌合方式の蓋体を嵌合可能であるとともに、本体縁部を設けたため、通常の外嵌合方式の蓋体も嵌合可能となり、蓋体を変更するだけで通常の外嵌合方式と強嵌合方式のいずれの方式の包装用容器として用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の包装用容器を構成する容器本体を示す斜視図
【
図3】本実施形態の包装用容器を構成する強嵌合方式の蓋体を示す斜視図
【
図4】
図3の蓋体を
図1の容器本体に嵌合した状態を示す斜視図
【
図5】本実施形態の包装用容器を構成する通常の嵌合方式の蓋体を示す斜視図
【
図6】
図5の蓋体を
図1の容器本体に嵌合した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を基に説明する。
図1は本実施形態における包装用容器を構成する容器本体を示す斜視図であり、
図2はその平面図である。
【0014】
図示のごとく、容器本体1は、上部に開口を有するトレイ状に形成される。容器本体1は、側壁2の上端から外側に折り返されて下方に延びる折返し部3と、折返し部3の下端から半径方向外方に突出形成された本体段差部4とを備える。折返し部3には、蓋体11に設けられた係合部12に係合する係合受部5が形成され、本体段差部4の外縁から半径方向外方かつ下方に傾斜する本体縁部6が形成される。
【0015】
容器本体1は、外形が平面視略矩形形状に形成されており、折返し部3及び本体縁部6も同様に輪郭形状が略矩形形状とされる。係合受部5は、折返し部3の表面において、半径方向内方に凹んだ凹部として形成される。係合受部5は、折返し部3の四隅の各コーナー部の両側で各コーナー部3aの近傍にそれぞれ形成される。さらに、係合受部5は、枠状に形成された折返し部3の各辺の中央部にも形成される。
【0016】
図3は、強嵌合方式用の蓋体11を示す斜視図である。蓋体11は、容器本体1に外嵌合した状態で、折返し部3に当接するスカート部13を備えており、スカート部13の下端部は本体段差部4に接するように半径方向外方に若干突出するように形成される。スカート部13に係合部12が形成される。蓋体11は、外形が平面視略矩形形状に形成されており、スカート部13も同様に輪郭形状が略矩形形状とされる。
【0017】
係合部12は、容器本体1に形成される係合受部5に対応する位置に形成される。すなわち、係合部12は、スカート部13の内面において、半径方向内方に突出した凸部として形成される。係合部12は、スカート部13の四隅の各コーナー部13aの両側で各コーナー部の近傍にそれぞれ形成される。さらに、係合部12は、枠状に形成されたスカート部13の各辺の中央部にも形成される。
【0018】
図4は、蓋体11を容器本体1に嵌合させた状態を示す斜視図である。図示のごとく、蓋体11の係合部12が容器本体1の係合受部5に係合して蓋体11が容器本体1に係止される。このとき、蓋体11のスカート部13の下端部は本体段差部4の上面に接した状態で保持されるため、包装用容器を手で持った場合でも、不用意に蓋体11が容器本体1から外れるおそれがない。
【0019】
図5は、通常の外嵌合方式用の蓋体15を示す斜視図である。なお、便宜上、
図3及び
図4にて用いた蓋体11の各部名称及び符号のうち、蓋体15と共通するものについては同じ名称及び符号を使用する。蓋体15は、容器本体1に嵌合した状態で、折返し部3に当接するスカート部13を備えている点は、蓋体11と同様である。なお、
図3及び
図5では、蓋体11及び蓋体15は便宜上不透明なものとして描いているが、本実施形態においては、
図4及び
図5に示すように、透明である。
【0020】
一方、蓋体15では、スカート部13に係合部12が形成されておらず、また、蓋体15は、スカート部13の下端から半径方向外方に蓋体段差部16が突出形成され、蓋体段差部16の外縁に本体縁部6に嵌合可能な嵌合部17が形成されている点が蓋体11と異なる。
【0021】
図6に示すように、蓋体15を容器本体1に嵌合させた状態で、蓋体段差部16は本体段差部4に当接し、嵌合部17は本体縁部6に当接する。そして、本体縁部6よりも嵌合部17の下端部が下方に位置する。嵌合部17の下端部の内面には半径方向内方に突出した複数の凸部18が形成される。凸部18は、嵌合部17の四隅の各コーナー部17aの両側で各コーナー部の近傍にそれぞれ形成される。さらに、凸部18は、枠状に形成された嵌合部17の各辺の中央部にも形成される。
【0022】
蓋体15を容器本体1に嵌合させるときは、嵌合部17の凸部18が本体縁部6の上に乗った状態で蓋体15を容器本体1側へ押し下げる。本体縁部6が下方に傾斜して形成されているため、凸部18の周囲の蓋体15及び凸部18が当接する本体縁部6部分が弾性変形して、凸部18は本体縁部6を容易に乗り越えることができる。凸部18が本体縁部6を乗り越えた後は、凸部18が本体縁部6の下端に引っかかり、蓋体15が容器本体1から容易に外れない構成とされる。
【0023】
本実施形態では、蓋体11及び蓋体15のいずれの蓋体を嵌合した場合でも、容器本体1から蓋体11、15を容易に取り外しできるように、本体段差部4のコーナー部のうち少なくとも1箇所が他の本体段差部4の部分よりも下向きに傾斜した傾斜段差部4aとされる。
【0024】
図7は、
図1のA-A部分拡大図である。図示のごとく、本体段差部4において、そのコーナー部に傾斜段差部4aが形成される。本実施形態では、4つのコーナー部のうち1箇所に傾斜段差部4aが形成されているが、これに限らず、他のコーナー部にも傾斜段差部4aを形成してもよい。
【0025】
傾斜段差部4aは、容器本体1を平面視したときは、他のコーナー部と同じ外形形状になるように形成されており、容器本体1を正面視(側面視)したときに、他の段差部4の部分よりも下方に傾斜するように形成される。傾斜段差部4aの傾斜度は、
図6に示すように、傾斜段差部4a(及び本体縁部6)の先端が嵌合部17の凸部18より下方に出ないような角度とされる。これにより、蓋体11、15のいずれの方式の蓋体であっても、容器本体1に嵌合させることができる。
【0026】
蓋体11、15を容器本体1から取り外す方法について説明する。蓋体11を容器本体1から取り外す際は、
図4の矢印の方向から指の腹を傾斜段差部4aに乗せ、傾斜段差部4aを押し下げつつ指の背(爪部分)を蓋体11と容器本体1の間に差し入れてテコの原理で蓋体11を押し上げる。このとき、傾斜段差部4aが下方に傾斜していることで、指の爪部分を蓋体11と容器本体1の間に容易に差し入れることができる。傾斜段差部4aの近傍に係合部12及び係合受部5が形成されているため、蓋体11を押し上げる力を直接に係合部12及び係合受部5に伝えることができる。
【0027】
したがって、蓋体11を押し上げる力で傾斜段差部4a近傍の係合受部5に係合している係合部12を係合受部5から容易に外すことができる。このコーナー部近傍の係合部5の係合を解除することでこの部分の蓋体11が容器本体1から浮いた状態となる。これにより、残りの係合部5の係合を容易に解除可能となり、蓋体11全体を外すことが可能となる。
【0028】
蓋体15を容器本体1から取り外す際は、傾斜段差部の基部の部分に
図6の矢印の方向から指を蓋体15と容器本体1の間に差し入れる。そして、指を傾斜段差部4aに向けてスライド移動させると、傾斜段差部4aが引っ掛かりとなり、そこを支点にして指の背部分で蓋体15の嵌合部17の下端を押し上げることができる。それにより、コーナー部分の蓋体15が嵌合部17から外れて浮いた状態となるため、あとは容易に蓋体15全体を外すことが可能となる。
【0029】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。本実施形態では、容器本体及び蓋体とも平面視で矩形形状の場合について説明したが、これに限らず、たとえば、容器本体及び蓋体が平面視で多角形、台形、扇形状等とすることもできる。また、蓋体11又は蓋体15において、傾斜段差部4aと接するコーナー部に半径方向外方に突出する摘み片を形成してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 容器本体
2 側壁
3 折返し部
4 本体段差部
4a 傾斜段差部
5 係合受部
6 本体縁部
11 (強嵌合方式用の)蓋体
12 係合部
13 スカート部
13a スカート部のコーナー部
15 (通常の外嵌合方式用の)蓋体
16 蓋体段差部
17 嵌合部