(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】順次加圧フォーメーションジグ及びそれを用いたフォーメーション方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20221004BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20221004BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M50/262 Z
(21)【出願番号】P 2021536019
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 KR2020014463
(87)【国際公開番号】W WO2021085931
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2021-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0136343
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ドン フン
(72)【発明者】
【氏名】ベ、ジョーン スン
(72)【発明者】
【氏名】リー、エウイ キュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ジ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スク ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ボム コーン
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-537222(JP,A)
【文献】特表2021-517344(JP,A)
【文献】特開2019-204669(JP,A)
【文献】特開2019-185906(JP,A)
【文献】特開2017-224457(JP,A)
【文献】中国実用新案第207338554(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/058
H01M50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の電池セルを収容するフレームと、水平方向に移動することによって前記電池セルを加圧する多数の加圧プレートとを含むフォーメーションジグにおいて、
第1スクリューが貫通する第1貫通ホールを備えて電池セルを加圧する加圧プレートと、
前記加圧プレートが電池セルの上段部位または下段部位を加圧するとき、電池セルを支え、前記第1スクリューが貫通する第2貫通ホール及び第2スクリューが貫通する第3貫通ホールを備えた加圧支持プレートと、
前記加圧プレートと前記加圧支持プレートを貫通し、回転により前記加圧プレートを間隔調節の方向に移動させる第1スクリューと、
前記加圧支持プレートを貫通し、回転により前記加圧支持プレートを間隔調節の方向に移動させる第2スクリューと、を含み、
前記第2貫通ホールの直径は、前記第1貫通ホールの直径より大きい、フォーメーションジグ。
【請求項2】
前記加圧プレート及び前記加圧支持プレートは、複数個が並んで設置された、請求項1に記載のフォーメーションジグ。
【請求項3】
前記加圧プレートは、
上端加圧領域と下端加圧領域に区分され、
前記上端加圧領域及び下端加圧領域は、それぞれ一対以上の前記第1貫通ホールを備えている、請求項1または2に記載のフォーメーションジグ。
【請求項4】
前記第2貫通ホールの直径は、前記第1貫通ホールの直径の1.2倍~2倍である、請求項1から3のいずれか一項に記載のフォーメーションジグ。
【請求項5】
前記加圧支持プレートの断面積は、前記加圧プレートの断面積より大きい、請求項1から4のいずれか一項に記載のフォーメーションジグ。
【請求項6】
前記加圧支持プレートは、複数の前記第2貫通ホールと、複数の前記第3貫通ホールを備え、
複数の前記第3貫通ホールがそれぞれ、複数の前記第2貫通ホールを連結したラインによって形成された仮想の閉鎖部の領域の外側に位置する、請求項5に記載のフォーメーションジグ。
【請求項7】
前記加圧プレート及び前記加圧支持プレートは、それぞれ、少なくとも一面に加圧パッドが取り付けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載のフォーメーションジグ。
【請求項8】
前記加圧プレートと前記加圧支持プレートは個別に移動する、請求項1から7のいずれか一項に記載のフォーメーションジグ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のフォーメーションジグを用いて、電池セルの上端面と下端面を順次に加圧するフォーメーション方法であって、
電池セルを、前記加圧プレートと前記加圧支持プレートとの間に収容し、間隔調節の方向である第1の方向に前記加圧プレート及び前記加圧支持プレートを移動させ、前記加圧プレート、前記電池セル及び前記加圧支持プレートを密着させる第1段階と、
前記第1段階の後、前記加圧プレートの上端加圧領域または下端加圧領域が、前記電池セルを前記間隔調節の反対方向である第2方向に加圧する第2段階と、
前記第2段階で加圧されない前記電池セルの部位を加圧する第3段階と、
を含むフォーメーション方法。
【請求項10】
前記第2段階は、
前記下端加圧領域の第1貫通ホールを貫通する第1スクリューを操作して、前記加圧プレートの下端加圧領域が前記第2方向に電池セルを加圧しながら、前記加圧プレートの下端加圧領域に対応する電池セルの下部面を加圧する、請求項9に記載のフォーメーション方法。
【請求項11】
前記第2段階は、
前記加圧プレートの下端加圧領域が電池セルの下端部位を加圧するとき、電池セルは、前記加圧支持プレートに支持される、請求項10に記載のフォーメーション方法。
【請求項12】
前記第2段階は、
前記加圧プレートの下端左側または下端右側の部位が前記電池セルを前記第2方向に加圧する2-A段階と、前記加圧プレートの下端右側または下端左側の部位が前記電池セルを前記第2方向に加圧する2-B段階と、を含み、
前記2-A段階及び前記2-B段階は順次に行われる、請求項9に記載のフォーメーション方法。
【請求項13】
電池セルを充/放電することと同時に、または充/放電の後に加圧する、請求項9から12のいずれか一項に記載のフォーメーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月30日付の韓国特許出願第10-2019-0136343号に基づく優先権の利益を主張し、その韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、リチウム二次電池のフォーメーションジグ及びそれを用いたフォーメーション方法に関するものであって、リチウム二次電池の電解液に方向性を付与するためにリチウム二次電池の平面上を順次に加圧し得るフォーメーションジグ、及びそれを用いたフォーメーション方法である。
【背景技術】
【0003】
バッテリーを構成する単位電池としてのパウチ型リチウム二次電池(以下、電池セル)は、柔軟性を有しているので、その形状が比較的に自由である。また、軽量で安全性にも優れているので、携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどのポータブル電子機器の電源としての需要が増している。
【0004】
上記電池セルは、複数個の正極電極(アルミ箔)と負極電極(銅箔)とを、分離膜を間に置いて積層する。それと併せて、正極電極には正極タブを溶接、負極電極には負極タブを溶接した後、アルミパウチで包んで密封された構造を有する。
【0005】
このような電池セルの製造工程は、電極、組立て、活性化などの3つの工程に大きく分けられ、電極工程は、正極と負極を作る材料を好適な割合で混ぜて(Mixing)、正極はアルミニウム、負極は銅箔(Copper foil)でコーティング(coating)し、ロールプレス(Roll Press)を通じて一定の厚さに圧着して平らにした後、電極のサイズに合わせてスリッティング(slitting)する工程である。
【0006】
また、組立工程は、電極から不要な部分を除去するノッチング(Notching)を経て正極材、分離膜、負極材を交互で層ごとに積んだ後にそれを電池容量に合わせて幾編畳むスタック折り畳み(stack&folding)過程または電極と分離膜とを重ねてぐるぐる巻く(winding)過程を行う。そして、アルミニウムフィルム包装材で包装した後に電解質を投入し、真空状態で密封する工程である。
【0007】
最後に、活性化(formation)工程は、組立てた電池セルの充/放電を繰り返しながら電池セルを活性化させ、活性化の際に電池セルに発生されたガスを排出させる脱気(degassing)過程を行う工程である。
【0008】
このような活性化工程のうちには、電極と電解液の化学反応または副反応などにより多量のガスが発生されるが、このようなガスを除去するために電池セルを加圧するフォーメーションジグが使用されている。
【0009】
図1は、従来のフォーメーションジグを図示している。これを参照すると、フォーメーションジグ(10)は、多数の加圧プレート(11)を含んでおり、上記加圧プレートは加圧スクリュー(13)によって連結されている。そして、加圧プレートと加圧プレートとの間に電池セル(1)を挿入した後、スクリューを操作して加圧プレートを一方向(矢印)に移動させ、電池セルを加圧することになる。ところが、上記加圧プレートは、平らな板状の形態であるため、加圧の際に区域の区分なく電池セルの平面上に圧力が伝達される。
【0010】
一方、電池セルの内部の気体を効果的に除去するためには、加圧の際に押し出される電解液に方向性を与えることが効果的である。それは、加圧の際に電解液が押し出されるとき、内部のガスも電解液とともに押し出される傾向があるからである。したがって、加圧の際、電解液に方向性を付与することができる加圧プレートに対する技術開発が必要である、というのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、板形状の加圧プレートを含むフォーメーションジグを用いて、電池セルを順次に加圧し、電池セルの内部の電解液に方向性を付与するフォーメーションジグを提供することを目的とする。
【0012】
また、電解液に方向性を付与するフォーメーションジグを用いて電池セルを加圧するフォーメーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明のフォーメーションジグは、多数の電池セルを収容するフレーム、及び水平方向に移動することによって上記電池セルを加圧する多数の加圧プレートを含むフォーメーションジグであって、第1スクリューが貫通する第1貫通ホールを備えて電池セルを加圧する加圧プレート、上記加圧プレートが電池セルの上端部位または下端部位を加圧するときに電池セルを支持し、上記第1スクリューが貫通する第2貫通ホールと第2スクリューが貫通する第3貫通ホールとを備えた加圧支持プレート、上記加圧プレートと上記加圧支持プレートを貫通し、回転により上記加圧プレートを間隔調節の方向に移動させる第1スクリュー、上記加圧支持プレートを貫通し、回転により上記加圧支持プレートを間隔調節の方向に移動させる第2スクリューを含み、上記第2貫通ホールの直径が上記第1貫通ホールの直径より大きいことを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施形態に係るフォーメーションジグは、上記加圧プレート及び上記加圧支持プレートの複数個が並んで設置されている。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記加圧プレートは、上端加圧領域と下端加圧領域に区分される。そして、上記上端加圧領域と上記下端加圧領域は、それぞれ一対以上の第1貫通ホールを備えている。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記第2貫通ホールの直径は、上記第1貫通ホールの直径の1.2倍~2倍である。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記加圧支持プレートの断面積は、上記加圧プレートの断面積より大きい。このとき、上記第3貫通ホールは、第2貫通ホールを連結したラインによって形成された仮想の閉鎖部の領域の外側に位置し得る。
【0018】
本発明の一実施形態において、上記加圧プレート及び上記加圧支持プレートは、それぞれ少なくとも一面に加圧パッドが取り付けられている。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記加圧プレートと上記加圧支持プレートは個別に移動する。
【0020】
本発明に係るフォーメーション方法は、上記フォーメーションジグを用いて、電池セルの上端面と下端面を順次に加圧するフォーメーション方法であって、
電池セルを上記加圧プレートと上記加圧支持プレートとの間に収容し、間隔調節の方向である第1方向に上記加圧プレート及び加圧支持プレートを移動させ、加圧プレート、電池セル及び加圧支持プレートを密着させる第1段階、上記第1段階の後、上記加圧プレートの上端加圧領域または下端加圧領域が電池セルを上記間隔調節の反対方向である第2方向に加圧する第2段階、及び上記第2段階において加圧されなかった電池セルの部位を加圧する第3段階を含む。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記第2段階は、上記下端加圧領域の第1貫通ホールを貫通する第1スクリューを操作して、上記加圧プレートの下端加圧領域が上記第2方向に電池セルを加圧ししつつ、それに対応する電池セルの下部面を加圧する。
【0022】
本発明の一実施形態において、上記第2段階は、上記加圧プレートの下端加圧領域が電池セルの下端部位を加圧するとき、電池セルは上記加圧支持プレートによって支持される。
【0023】
本発明の一実施形態において、上記第2段階は、上記加圧プレートの下端左側または下端右側の部位が電池セルを上記第2方向に加圧する2-A段階及び上記加圧プレートの下端右側または下端左側の部位が電池セルを上記第2方向に加圧する2-B段階を含み、上記2-A段階及び上記2-B段階は順次に行われる。
【0024】
本発明の一実施形態において、上記加圧は、電池セルを充/放電すると同時、または充/放電の後に行われる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のフォーメーションジグ及びフォーメーション方法は、電池セルを順次に加圧して電解液に方向性を付与することによって、電池セルの内部のガスを容易に排出し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来のフォーメーションジグを示す図面である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る、加圧プレート及び加圧支持プレートを示す図面である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るフォーメーションジグを示した図面である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るフォーメーションジグを示した図面である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るフォーメーションジグを示した図面である。
【
図6】本発明の実施形態に係るフォーメーション方法を示した図面である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係るフォーメーション方法を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の明細書全体で使用される「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであって、一つまたはそれ以上の異なる特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないこととして理解すべきである。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る加圧プレート及び加圧支持プレートを示す図面である。
【0029】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る加圧プレート(110)は、第1スクリュー(図示せず)が貫通する第1貫通ホール(112)を備えている。上記加圧プレート(110)は、加圧対象である電池セルに対応する面積及び形状を有しており、後述する第1スクリューと連結されているので、第1スクリューの回転を通じて水平方向に移動し、電池セルに密着して電池セルを加圧する。
【0030】
上記第1貫通ホールは、電池セルが相接する部位を基準として、その外周面に位置する。これは、第1貫通ホールを貫通する第1スクリューが電池セルと接触してはならないからである。
【0031】
一具体例において、上記加圧プレート(110)は、電池セルの上部側の平面を加圧することになる上部加圧領域(111)と電池セルの下部側の平面を加圧することになる下部加圧領域(113)に区分され得る。上記上部加圧領域(111)と上記下部加圧領域(113)は、それぞれ一対以上の第1貫通ホール(112)を備えている。上記第1貫通ホールの個数が1つである場合よりは、少なくとも一対以上の場合に、加圧プレートが均一に電池セルを加圧し得る。
【0032】
上記4つの第1貫通ホール(112)のそれぞれには、後述する第1スクリューが挿入されることになり、上記第1スクリューのそれぞれは、独立に回転し得るように構成されている。したがって、下部加圧領域(113)に挿入された第1スクリューの回転を通じては、下部加圧領域のみが移動するだけであり、このとき上部加圧領域(111)は移動しなくなる。
【0033】
本発明の一実施形態に係る加圧支持プレートは、上記加圧プレートが電池セルの下端部位または上端部位のうちに一つの部位を加圧するとき、電池セルを支持する機能をするために追加されたプレートである。本発明のフォーメーションジグは、加圧の際に電解液に方向性を与えるために、加圧プレートが電池セルの下端から上端の方向に、または加圧プレートが電池セルの上端から下端の方向に、または加圧プレートが電池セルの左側から右側の方向に電池セルを順次に加圧することになる。このとき、順次加圧を効率的に行うために、加圧プレートとは別途に電池セルを支持する加圧支持プレートが必要である。
【0034】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る加圧支持プレート(120)は、第1スクリューが貫通する複数の第2貫通ホール(122)と第2スクリューが貫通する複数の第3貫通ホール(121)を備えている。上記第2貫通ホール(122)及び第3貫通ホール(121)は、電池セルと相接する予定の部位の外周面に形成されることによって、上記スクリューが電池セルに接触することを防止することができる。
【0035】
一具体例において、一つの加圧支持プレートには、上記第2貫通ホール及び上記第3貫通ホールが、それぞれ二対ずつ形成され得る。これらのうち一対の第3貫通ホールは上端部位に形成され得、左側上端部の二つの角が交わる頂点部位および右側上端部の二つの角が交わる頂点部位に、それぞれ一個ずつ形成されている。下端部位にも同様に、左側下端部の二つの角が会う頂点部位と右側下端部の二つの角が会う頂点部位にそれぞれ一個ずつの第3貫通ホールが形成されている。
【0036】
一具体例において、上記加圧支持プレートの断面積は、上記加圧プレートの断面積より大きい。ここで、上記断面積とは、加圧時に電池セルと対面する部位の面積を意味する。加圧プレートが電池セルの上端部または下端部の領域から下端部または上端部の領域へと電池セルを順次に加圧するとき、加圧支持プレートが安定して電池セルを支持するためには、加圧支持プレートの面積が加圧プレートより大きいことが効果的である。
【0037】
上記加圧プレート及び上記加圧支持プレートは、それぞれ、少なくとも一面に加圧パッドが取り付けられていることが好ましい。上記加圧パッドは、上記加圧プレートが電池セルを加圧するとき、電池セルにより密着して電池セルを加圧し、加圧による衝撃を吸収することによって、電極組立体が損傷されることを防止する、という機能をする。したがって、上記加圧パッドは衝撃緩和のために弾性のある素材を用いることが好ましい。具体的に、ゴムやポリウレタン系の高分子樹脂を含むものが好ましい。
【0038】
上記加圧プレート(110)及び上記加圧支持プレート(120)は、揃って並んで配列される。このとき、第1スクリューが加圧プレート(110)及び加圧支持プレート(120)を一緒に貫通するために、第1貫通ホール(112)及び第2貫通ホール(122)は、一列に並んで位置して重畳されるように形成されている。
【0039】
本発明は、第1スクリューが貫通する第1貫通ホール及び第2貫通ホールの直径において、第2貫通ホールの直径が第1貫通ホールの直径より大きいことを特徴とする。これは、第1スクリューの回転の際、上記加圧プレート(110)のみが移動し、加圧支持プレートは第1スクリューの回転可否に影響されないようにするためである。
【0040】
図3には、本発明の一実施形態に係るフォーメーションジグが図示されている。
図3を参照すると、本発明のフォーメーションジグ(100)は、加圧プレート(110)、加圧支持プレート(120)、上記加圧プレート(110)と上記加圧支持プレート(120)を貫通して上記加圧プレートが間隔調節の方向に移動するようにガイドする第1スクリュー(130)、上記加圧支持プレートを貫通して上記加圧支持プレートが間隔調節の方向に移動するようにガイドする第2スクリュー(140)、を含んでいる。
【0041】
一具体例において、上記フォーメーションジグは、ジグフォーメーションの外形を定義するフレーム(図示せず)を含み得る。上記フレームは、複数の加圧プレート、加圧支持プレート及び電池セルを収容する。また、上記フレームは、上記加圧プレート、加圧支持プレート及び電池セルを支持する。上記フレームは、支持のために間隔調節方向の先端に内壁(150)を備えることができる。そして、上記加圧プレート及び上記加圧支持プレートの複数個が上記フレームの内部に並んで設置されている。
【0042】
図3を参照すると、第1スクリュー(130)が、加圧プレート(110)に形成された第1貫通ホール(112)と加圧支持プレート(120)に形成された第2貫通ホール(122)とを一緒に貫通している。そして、加圧支持プレート(120)に形成された第2貫通ホール(122)の直径が第1貫通ホール(112)の直径より大きい。そのため、加圧支持プレート(120)は、第1スクリュー(130)の回転による影響を受けない構造である。すなわち、第1スクリュー(130)の操作によって加圧プレート(110)が間隔調節の方向または加圧方向に移動する際に、加圧支持プレート(120)は、影響を受けないまま加圧プレート(110)とは別に、その動作が制御され得る構造である。
【0043】
上記第2貫通ホールの直径は、第1スクリューの操作によって影響されない程度であれば、その大きさが限定されるものではなく、具体的には第1貫通ホールの直径の1.2倍~2倍であり得る。
【0044】
図3を参照すると、4つの第2スクリュー(140)が、加圧支持プレート(120)に形成された4つの第3貫通ホール(121)を貫通し得る。ただし、上記図面には、便宜上、左側上端及び左側下端の貫通ホールにスクリューが貫通する態様を図示せずに省略した。加圧支持プレートは、上記第2スクリュー(140)の回転により間隔調節の方向に移動するように構成されている。
【0045】
上記第1スクリューは上記多数の加圧プレート及び多数の加圧支持プレートの配列方向に沿って、上記第1貫通ホール及び上記第2貫通ホールに挿入される。また、上記第2スクリューは上記多数の加圧プレート及び多数の加圧支持プレートの配列方向に沿って、上記第3貫通ホールに挿入される。上記第1スクリュー及び第2スクリューは、加圧プレート及び加圧支持プレートの配列方向に沿って延長される円筒状のボディを有しており、回転によって上記加圧プレート及び上記加圧支持プレートを水平に移動し得るように設計されている。
【0046】
上記第1スクリュー及び第2スクリューは、個別に操作できる。したがって、第1スクリューの操作によって水平方向に移動する加圧プレートと第2スクリューの操作によって水平方向に移動する加圧支持プレートは、個別に移動し得る。
【0047】
また、加圧プレートを貫通する複数の第1スクリューは、上端加圧領域部位および下端加圧領域部位に分散されて加圧プレートを貫通するが、上端加圧領域部位を貫通する第1スクリューと下端加圧領域部位を貫通する第1スクリューもそれぞれが個別に操作されることによって、下段加圧領域及び上端加圧領域の個別な加圧が可能になる。
【0048】
ひいては、上端加圧領域及び下端加圧領域のそれぞれに、少なくとも一対以上の第1スクリューが貫通するように設計すると、加圧プレートは下端左側加圧領域、下段右側加圧領域、上端左側加圧領域及び上端右側加圧領域に区分され得、これらの領域を貫通するスクリューを順次に操作することによって、電池セルの下端左側、下端右側、上端左側および上端右側を順次に加圧することもできる。
【0049】
以下、本発明のフォーメーションジグを用いて、電池セルを順次に加圧する方法について説明する。
【0050】
図4~
図6を参照すると、まず、多数の電池セル(1)を、それぞれ一つの加圧プレート(110)と1つの加圧支持プレート(120)との間に装着する。その後、第1スクリュー(130)と第2スクリュー(140)の回転により上記加圧プレート(110)と上記加圧支持プレート(120)をそれぞれの間隔調節の方向である第1方向に移動させて、
図5のように、電池セル(1)が加圧プレート(110)と加圧支持プレート(120)に密着されるようにする第1段階を行う。
【0051】
本発明の一実施形態において、上記第1段階を行った後には、加圧プレート(110)の上端加圧領域の部位を貫通する第1スクリューをじっと置いたまま、下段加圧領域部位を貫通する第1スクリューのみを回転させて、加圧プレートの下端加圧領域がそれに対応する電池セルの下端部位を加圧する第2段階を行うことができる。このとき、加圧プレートの下端加圧領域が電池セルを加圧する方向は、上記間隔調節の方向とは反対方向の第2方向である。即ち、加圧プレート、電池セル及び加圧支持プレートが密着された状態で、加圧プレートの下端加圧領域のみが上記第2方向に移動し、電池セルを加圧することになる。
【0052】
一方、電池セルは板形状の構造であるので、加圧プレートの下端加圧領域が電池セルに対して第2方向に力を加える場合、加圧されない電池セルの部位は、第2方向とは反対方向である第1方向に向かって傾くことになる。それにより、加圧プレートによる加圧力が電池セルの下端部位に効果的に伝達されない可能性がある。そこで、本発明のフォーメーションジグは、上記加圧プレートとペアをなす加圧支持プレートを含ませることによって、電池セルの下端部位を加圧する際に、電池セルの上端部位が上記加圧支持プレートによって支持されて電池セルが傾かず、電池セルの下端部位を効果的に加圧することができる。
【0053】
上記第2段階を通じて、電池セルの下端部位のみを加圧することになると、下端部位において電極組立体と電池ケースとの間の余剰空間が減少することになる結果、電極組立体と上記余剰空間にあった電解液は、比較的に余剰スペースの広い上端部位領域に押し出されることになる。そして、このとき、電解液が押し出されながら電極組立体と余剰スペースにあった内部のガスも電解液と共に押し出されるので、電池セルの内部のガスを効果的に除去することができる。
【0054】
上記実施形態は、加圧プレートが電池セルの下端部位から電池セルの上端部位を順次に加圧する実施形態を説明した。しかし、それとは別に加圧プレートが電池セルの上端部位から電池セルの下端部位に向かって順次に加圧することもできる。また、加圧プレートが電池セルの左側部位から電池セルの右側部位に向かって順次に加圧するか、或いは右側部位から左側部位へと順次に加圧することができるというのは勿論である。
【0055】
しかし、通常、電池セルをフォーメーションジグに装着することにおいて、電池セルのガスポケット部が上を向くようにして電池セルをフォーメーション装置に収容する場合が多い。そのため、電池セルの下端部位から電池セルの上端部位まで順次に加圧することが好ましい。
【0056】
本発明の他の実施形態においては、上記加圧プレートの下端左側部位または下端右側部位が電池セルを上記第2方向に加圧する2-Aの段階、及び上記加圧プレートの下端右側部位または下端左側部位が電池セルを上記第2方向に加圧する2-B段階を含み、上記2-Aの段階及び上記2-Bの段階は、順次に行われることであり得る。
【0057】
前述したように、本発明の加圧プレートは下端左側加圧領域、下段右側加圧領域、上端左側加圧領域及び上端右側加圧領域に区分され得、これらの領域を貫通するスクリューを順次に操作することによって、電池セルの下端左側、下端右側、上端左側および上端右側を順次に加圧することもできる。
図7を参照すると、加圧プレートの下端右側領域(1-a)と下端左側領域(1-b)を順次に加圧することによって、電解液が右側から左側方向に(矢印)方向性を有して移動できるようにし得る。そして、加圧プレートを下端から上端まで順次に加圧して、電解液が下端から上端の方向に方向性を有して移動するようにし得る。
【0058】
上記第2段階において、電池セルの下端部位のみを加圧する状態は、一定の時間が維持され得、上記時間は数秒~数十分であり得る。これは、加圧時の圧力と電池セルの大きさ、電池セルを構成する電極、電解液の種類などを考慮して当業者が好適な時間を選択し得る。
【0059】
上記第2段階の後には、第1段階で加圧しなかった上端部位を加圧する第3段階を行う。第3段階は、加圧プレートの上端加圧領域に形成された第1貫通ホールを貫通する第1スクリューを上記第2段階と同様に操作させ、加圧プレートの上端加圧領域が上記第2方向へと微細に移動するようにすることによって、電池セルの上端部位を加圧することである。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の熟練された当業者または当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、後述される特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させ得ることが理解できるだろう。
【0061】
したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定められるべきである。