(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20221004BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20221004BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20221004BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20221004BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20221004BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20221004BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L71/02
C08L69/00
C08L33/04
C09B67/20 F
C09B67/20 L
C08K5/10
C08L77/00
(21)【出願番号】P 2018022042
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2017025717
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】草間 大輔
(72)【発明者】
【氏名】相澤 悟
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 誠
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-074762(JP,A)
【文献】特開2015-054926(JP,A)
【文献】特開2019-206459(JP,A)
【文献】国際公開第2005/071015(WO,A1)
【文献】特開2004-083895(JP,A)
【文献】特開昭62-131054(JP,A)
【文献】特開平08-193136(JP,A)
【文献】可塑剤・ポリ塩化ビニル用安定剤 アデカサイザー アデカスタブ 製品一覧,日本,株式会社ADEKA,第4頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃における粘度が4,500mPa・s以下の液体樹脂(X1)またはアセチルクエン酸トリブチルと、重量平均分子量500~20,000のアクリル系樹脂(X2)と、ヒンダートアミン構造を有する分散剤と、着色剤とを含
み、
前記液体樹脂(X1)が、脂肪酸ポリエステル樹脂、ポリアルキレングリコール樹脂、およびポリエーテルエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかである、
液状着色樹脂組成物。
【請求項2】
前記液体樹脂(X1)が、脂肪酸ポリエステル樹脂である、請求項
1記載の液状着色樹脂組成物。
【請求項3】
前記着色剤が、染料、無機顔料および有機顔料からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、前記液体樹脂(X1)100質量部に対して、前記着色剤を0.1~50質量部含む請求項1
または2記載の液状着色樹脂組成物。
【請求項4】
前記液体樹脂(X1)100質量部に対して、前記分散剤を0.01~20質量部含む請求項1~
3いずれか1項記載の液状着色樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1~
4いずれか1項記載の液状着色樹脂組成物および希釈樹脂(X3)を含む着色樹脂組成物であって、前記希釈樹脂(X3)が、25℃における粘度が
4,500mPa・s以下の液体樹脂(X1)および重量平均分子量500~20,000のアクリル系樹脂(X2)を除く樹脂である着色樹脂組成物。
【請求項6】
前記希釈樹脂(X3)が、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂(但し、アクリル系樹脂(X2)である場合を除く)、ポリエステル系樹脂(但し、液体樹脂(X1)である場合を除く)、およびポリアミド系樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とする請求項
5記載の着色樹脂組成物。
【請求項7】
請求項
5または6記載の着色樹脂組成物より成形された成形体。
【請求項8】
請求項1~
4いずれか1項記載の液状着色樹脂組成物および希釈樹脂(X3)を含む着色樹脂組成物を、射出成形または押出し成形する、成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色樹脂組成物およびそれより成形された成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック成形品は、成形加工が容易なことから、電気・電子機器部品、自動車部品、医療用部品、食品容器などの幅広い分野で使用されている。特に食品容器分野などでは成形品の装飾性を高めるために成形品の着色が盛んに行われており、射出成形や押出成形などの成形工程において様々な着色剤組成物が添加されている。
【0003】
上記着色剤組成物の例として粉末状着色剤組成物である通称ドライカラーや粒状着色剤組成物である通称マスターバッチが挙げられる。
【0004】
ドライカラーは染料や顔料などの着色剤と分散剤を混合した着色剤組成物であるため、飛散による製造ラインの汚染が問題となることがある。また、ドライカラーは成形品主剤樹脂と溶融混練しても着色剤の凝集物を十分にほぐすことが出来ず成形品に外観不良部が発生する場合がある。
【0005】
マスターバッチは樹脂に着色剤を溶融混練し造粒した着色剤組成物であり広く使用されている。しかし、成形品中の着色剤濃度が低い透過色などの着色にマスターバッチを用いた場合、マスターバッチ添加量が低くなるため成形品に色むらなどの外観不良部が発生し均一に着色することが難しいという課題がある。
【0006】
成形品を均一に着色するためにマスターバッチと成形品主剤樹脂を溶融混練する時間を長くする、溶融混練を強くする等の成形条件を改良する方法やマスターバッチ中の着色剤濃度を下げ成形時に使用するマスターバッチの添加量を上げる方法が知られている。しかし、前者の方法では成形サイクルに時間が掛かるため生産性が低下する、強い混練により樹脂の一部が分解し、物性が低下するなどの課題が発生する場合がある。また、後者の方法ではマスターバッチの添加量が多くなることに起因する成形品の物性低下が懸念される。特にポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート樹脂はその高い機械物性により可塑化が難しく、均一な透過色の着色が難しいとされており、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂も加工温度が高い故に溶融時に希釈樹脂の粘度が下がるため、顔料を高濃度に含むマスターバッチのほぐれ不良による均一な着色が困難であった。
【0007】
上記課題を解決するために、ポリカーボネート樹脂に芳香族多価カルボン酸のアルキルエステルを添加する方法(特許文献1)やポリアルキレングリコール誘導体を添加する方法(特許文献2、3)が知られている。特許文献1に記載の方法では、着色されたポリカーボネート樹脂の物性に関する記載がなく、着色された成形体の物性低下が懸念される。また、特許文献2の方法では、分子量の低い/または分岐量が少ないポリカーボネート樹脂には発色効果が認められるものの、分子量の高い/または分岐量の多いポリカーボネート樹脂には効果が不十分であった。また、特許文献3の方法では、色素がフタロシアニン系化合物とアントラキノン系化合物に限定されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開公報WO2014/027593号公報
【文献】特開平5-117516号公報
【文献】特開2012-025961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、色むらや着色剤凝集物等の外観不良が発生せず、均一に成形体を着色し、衝撃強度や軟化点等の機械物性に影響を与えない液状着色樹脂組成物を提供することである。特に、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂の着色に好適に使用できる液状着色樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の実施態様は、25℃における粘度が10,000mPa・s以下の液体樹脂(X1)、ヒンダートアミン構造を有する分散剤、及び着色剤を含む液状着色樹脂組成物である。
【0011】
また、本発明の実施態様は、前記液体樹脂(X1)が、ポリアルキレングリコール樹脂、脂肪酸ポリエステル樹脂、ポリエーテルエステル樹脂、およびアセチルクエン酸トリブチルからなる群より選ばれる少なくともいずれかである上記液状着色樹脂組成物である。
【0012】
また、本発明の実施態様は、前記液体樹脂(X1)が、脂肪酸ポリエステル樹脂である、上記液状着色樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、樹脂の物性に影響を与えることなく、着色剤の分散性に優れ、成形体を均一に着色することが出来る液状着色樹脂組成物を提供することが可能となった。特に、ポリカーボネート樹脂の着色に好適に使用できる液状着色樹脂組成物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の液状着色樹脂組成物は、着色しようとする樹脂に対して、容易かつ均一に配合でき、着色された樹脂成形体の物性低下を引き起こし難いことが特徴である。ここで、「液状」とは、25℃において液状であることを指す。
【0015】
《液状着色樹脂組成物》
本発明の液状着色樹脂組成物は、25℃における粘度が10,000mPa・s以下の液体樹脂(X1)、ヒンダートアミン構造を有する分散剤、及び着色剤を含む。
【0016】
<液体樹脂(X1)>
本発明に用いられる液体樹脂(X1)について説明する。液体樹脂(X1)は着色剤を分散する分散媒の役割であり、25℃における粘度が10,000mPa・s以下であることを特徴とし、10~7,000mPa・sがより好ましく、20~5,000mPa・sが更に好ましい。本明細書における粘度はJIS K7117-1:1999に従ってB型粘度計を用いて25℃で測定した値である。
【0017】
液体樹脂(X1)としては、具体的には脂肪酸ポリエステル樹脂、ポリアルキレングリコール樹脂、ポリエーテルエステル樹脂、またはアセチルクエン酸トリブチル等があげられる。
【0018】
[脂肪酸ポリエステル樹脂]
脂肪族多価カルボン酸と多価アルコールとの反応によって得られるポリエステル樹脂である。
【0019】
脂肪酸ポリエステル樹脂を構成する脂肪族多価カルボン酸は、カルボキシル基を2つ以上有する脂肪族カルボン酸であれば、特に制限されるものではなく、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、トリカルバリル酸、1,3,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,5-ヘキサントリカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。これらの脂肪族カルボン酸は、1種単独で用いても良く、2種以上を用いても良い。
【0020】
脂肪酸ポリエステル樹脂を構成する多価アルコールは、水酸基を2つ以上有するアルコールであれば、特に制限されるものではなく、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-オクタデカンジオール等の脂肪族グリコール及びジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を用いても良い。
【0021】
脂肪酸ポリエステル樹脂の凝固点は、-5℃以下が好ましく、-50℃~-10℃がより好ましい。
【0022】
脂肪酸ポリエステル樹脂の具体例として、アデカサイザーPN‐170(ADEKA社製、25℃での粘度800mPa・s、凝固点-15℃、アジピン酸ポリエステル樹脂)、アデカサイザーP-200(ADEKA社製、25℃での粘度2,600mPa・s、凝固点-20℃、アジピン酸ポリエステル樹脂)、アデカサイザーPN-250(ADEKA社製、25℃での粘度4,500mPa・s、凝固点-20℃、アジピン酸ポリエステル樹脂)等が挙げられる。
【0023】
[ポリアルキレングリコール樹脂]
ポリアルキレングリコール樹脂は一般的には炭素数が1~6の繰り返し単位を有するアルキレングリコールから構成されることが多いが、25℃における粘度が10,000mPa・s以下である限り、様々なポリアルキレングリコールを使用することができる。相溶性、吸水性の観点から、炭素数が2~4の繰り返し単位を有するポリアルキレングリコール樹脂が好ましい。
【0024】
ポリアルキレングリコール樹脂の具体例としては、例えば、いずれも繰り返し単位中の炭素数が2であるポリエチレングリコールや、いずれも繰り返し単位中の炭素数が3であるポリトリメチレングリコールおよびポリプロピレングリコールや、いずれも繰り返し単位中の炭素数が4であるポリテトラメチレングリコールおよびポリブチレングリコール等が挙げられる。
【0025】
[ポリエーテルエステル樹脂]
ポリエーテルエステル樹脂は、上記脂肪族多価カルボン酸と上記アルキレングリコールをエステル化させたものである。
【0026】
ポリエーテルエステル樹脂の具体例として、アデカサイザーRS‐107(ADEKA社製、25℃での粘度20mPa・s、凝固点-47℃、アジピン酸エーテルエステル系樹脂)、アデカサイザーRS-700(ADEKA社製、25℃での粘度30mPa・s、凝固点-53℃、ポリエーテルエステル系樹脂)等が挙げられる。
【0027】
液体樹脂(X1)の凝固点は、-5℃以下が好ましく、-50℃~-10℃がより好ましい。
【0028】
<ヒンダートアミン構造を有する分散剤>
本発明において用いられるヒンダードアミン構造を有する分散剤は、ピペリジン環上の2位および6位に各々2個づつ(計4個)の炭化水素基を有する化合物である分散剤が好ましく、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン誘導体であることがより好ましく、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン誘導体であることが更に好ましく、1-アルキル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン誘導体または1-ヒドロ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン誘導体であることが特に好ましい。具体例としては、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}〕、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4-ビ
ス〔N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4ピペリジル)アミノ〕-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等が挙げられる。
【0029】
本発明において用いられるヒンダードアミン構造を有する分散剤の数平均分子量は、400以上が好ましく、400~5,000がより好ましい。
【0030】
本発明におけるヒンダートアミン構造を有する分散剤の融点は、50℃~200℃が好ましく、70℃~150℃がより好ましい。
【0031】
ヒンダートアミン構造を有する分散剤の具体例としては、キマソーブ944FDL(BASF社製、数平均分子量2,000~3,100、融点100~135℃)、キマソーブ2020FDL(BASF社製、数平均分子量2,600~3,400、融点130~136℃)、チヌビン770DF(BASF社製、分子量481、融点81~85℃)等が挙げられる。
【0032】
ヒンダートアミン構造を有する分散剤の含有量は、上記脂肪酸ポリエステル樹脂100質量部に対して0.01~20質量部が好ましく、0.05~15質量部がより好ましい。
【0033】
<着色剤>
本発明に用いられる着色剤は、一般的に染料や顔料として用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、染料としては、例えば、メチン系染料、ペリノン系染料、アントラキノン系染料等が挙げられる。また、顔料としては、例えば、酸化チタン、クロムチタンエイロー、弁柄、群青、カーボンブラック等の無機顔料やアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料が挙げられる。
【0034】
上記メチン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー93、179等が挙げられる。上記ペリノン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド135、179、上記アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド52、151、ソルベントバイオレット13、36、ソルベントブルー97等が挙げられる。尚、「C.I.」はカラーインデックスを意味する。
【0035】
上記メチン系染料の具体例としては、例えば、マクロレックスイエロー3G-FG(ランクセス社製、ソルベントイエロー93)、マクロレックスイエロー6G(ランクセス社製、ソルベントイエロー179)等が挙げられる。上記ペリノン系染料の具体例としては、例えば、マクロレックスレッドEG GRAN(ランクセス社製、ソルベントレッド135)、マクロレックスレッドE2G GRAN(ランクセス社製、ソルベントレッド179)等が挙げられる。上記アントラキノン系染料の具体例としては、例えば、スミプラストレッドHL5B(住化ケムテックス社製、ソルベントレッド52)、スミプラストレッドHL2B(住化ケムテックス社製、ソルベントレッド151)、マクロレックスバイオレットB-FG(ランクセス社製、ソルベントバイオレット13)、マクロレックスバイオレット3R-FG(ランクセス社製、ソルベントバイオレット36)、マクロレックスブルーRR GRAN(ランクセス社製、ソルベントブルー97)等が挙げられる。
【0036】
上記無機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン24、ピグメントレッド101、ピグメントブルー29、ピグメントブラック7等が挙げられる。上記アゾ系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー180、181、ピグメントオレンジ64、ピグメントレッド144、166、214、221等が挙げられる。上記キナクリドン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、ピグメントレッド122等が挙げられる。上記ペリレン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド149、178等が挙げられる。上記ジケトピロロピロール系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド254等が挙げられる。上記フタロシアニン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15:1、15:3、ピグメントグリーン7、36等が挙げられる。
【0037】
上記無機顔料の具体例としては、例えば、タイペークPF-740(石原産業社製、ピグメントホワイト6)、トマテック42-118A(東罐マテリアル・テクノロジー社製、ピグメントブラウン24)、トダカラー120ED(戸田工業社製、ピグメントレッド101)、群青No1500(第一化成工業社製、ピグメントブルー29)等が挙げられる。上記アゾ系顔料の具体例としては、例えば、PVファーストイエローHG(クラリアント社製、ピグメントイエロー180)、PVファーストイエローH3R(クラリアント社製、ピグメントイエロー181)、クロモフタールオレンジK2960(BASF社製、ピグメントオレンジ64)、クロモフタールレッドK3890FP(BASF社製、ピグメントレッド144)、クロモフタールスカーレットK3540(BASF社製、ピグメントレッド166)、クロモフタールレッドK3900(BASF社製、ピグメントレッド214)、クロモフタールレッドK4035(BASF社製、ピグメントレッド221)等が挙げられる。上記キナクリドン系顔料の具体例としては、例えば、PVファーストレッドE4G(クラリアント社製、ピグメントバイオレット19)、PVファーストピンクE-01(クラリアント社製、ピグメントレッド122)等が挙げられる。上記ペリレン系顔料の具体例としては、例えば、パリオゲンレッドK3580(BASF社製、ピグメントレッド149)、パリオゲンレッドK3911(BASF社製、ピグメントレッド178)等が挙げられる。上記ジケトピロロピロール系顔料の具体例としては、例えば、イルガジンレッドK3840(BASF社製、ピグメントレッド254)等が挙げられる。上記フタロシアニン系顔料の具体例としては、例えば、リオノールブルーCB7801(トーヨーカラー社製、ピグメントブルー15:1)、リオノールブルーFG7351(トーヨーカラー社製、ピグメントブルー15:3)、リオノールグリーンY-102(トーヨーカラー社製、ピグメントグリーン7)、リオノールグリーン6Y-501(トーヨーカラー社製、ピグメントグリーン36)等が挙げられる。これらの色素は1種単独で用いても良く、2種以上を用いても良い。
【0038】
本発明における着色剤の含有量は、上記脂肪酸ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、1~30質量部がより好ましい。
【0039】
<アクリル系樹脂(X2)>
次に、重量平均分子量500~20,000のアクリル系樹脂(X2)(以下、「アクリル系樹脂」と略記することがある)について説明する。アクリル系樹脂(X2)は、(メタ)アクリルモノマー単位を含む重合体であり、(メタ)アクリル樹脂、スチレン‐アクリル樹脂等が挙げられる。アクリル系樹脂は、(メタ)アクリルモノマー単位からなる少なくとも1個の重合体ブロックを有するものが好ましい。
【0040】
上記重合体を構成する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコール基を有するモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸あるいはそのエステルがあげられる。
【0041】
上記スチレン‐アクリル樹脂は、スチレンモノマーと上記(メタ)アクリルモノマーとの共重合体である。スチレンモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等があげられる。スチレン‐アクリル樹脂は、スチレン重合体ブロックと(メタ)アクリル重合体ブロックを有する重合体であることが好ましい。
【0042】
本発明におけるアクリル系樹脂(X2)は、官能基を有していても良く、官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0043】
アクリル系樹脂(X2)の重量平均分子量は、500~20,000が好ましく、1,000~15,000がより好ましい。尚、本発明における重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)により測定された値(標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフランを用いて得られた測定値)である。
【0044】
アクリル樹脂(X2)のガラス転移点は、観測されるものについては0℃以下が好ましく、-80℃~-10℃がより好ましい。尚、本明細書におけるガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、中点法により測定した値である。
【0045】
本発明におけるアクリル系樹脂(X2)の添加量は、上記脂肪酸ポリエステル樹脂100質量部に対して0.01~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましい。
【0046】
アクリル系樹脂(X2)の具体例としては、アルフォンUP-1021(東亜合成社製、重量平均分子量1,600、ガラス転移点-71℃、アクリル樹脂)、アルフォンUP-1010(東亜合成社製、重量平均分子量4,500、ガラス転移点-31℃、アクリル樹脂)、アルフォンUP-1500(東亜合成社製、重量平均分子量12,000、スチレン‐アクリル樹脂)等が挙げられる。
【0047】
本発明の着色樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ金属やアルカリ土類金属または亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系または金属酸化物等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤などを含有させることができる。
【0048】
《着色樹脂組成物》
本発明の着色樹脂組成物は、本発明の液状着色樹脂組成物および希釈樹脂(X3)を含む着色樹脂組成物である。
【0049】
<希釈樹脂(X3)>
希釈樹脂(X3)は、25℃における粘度が10,000mPa・s以下の液体樹脂(X1)および重量平均分子量500~20,000のアクリル系樹脂(X2)を除く樹脂((以下、単に「樹脂(X3)」と略記することがある)であって、本発明の液状着色樹脂組成物によって着色される樹脂であり、好ましくは熱可塑性樹脂である。好ましい熱可塑性樹脂として、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(但し、液体樹脂(X1)である場合を除く)、アクリル系樹脂(但し、アクリル系樹脂(X2)である場合を除く)、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン・コポリマー(COC)、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
本発明の液状着色樹脂組成物によって着色され得る樹脂は、特に制限はないが、一般に均一な着色が難しいとされるポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂(アクリル系樹脂(X2)である場合を除く)、ポリエステル系樹脂(但し、液体樹脂(X1)である場合を除く)、ポリアミド系樹脂の着色に好適に使用することができる。
【0050】
液体樹脂(X1)と、希釈樹脂(X3)の好ましい組合せとしては、液体樹脂(X1)が、脂肪族ポリエステル樹脂である場合、希釈樹脂(X3)が、ポリカーボネート樹脂である場合が好ましい。
また、液体樹脂(X1)が、ポリアルキレングリコール樹脂である場合、希釈樹脂(X3)は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、またはポリアミド樹脂であることが好ましく、特に好ましくは、アクリル樹脂である。
液体樹脂(X1)が、ポリアルキレングリコールエステル樹脂である場合、希釈樹脂(X3)は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、またはポリアミド樹脂であることが好ましく、特に好ましくは、ポリエステル樹脂である。
液体樹脂(X1)が、アセチルクエン酸トリブチルである場合、希釈樹脂(X3)は、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、またはポリアミド樹脂であることが好ましく、特に好ましくは、ポリアミド樹脂である。
これらは、アクリル樹脂の中でも、ポリメチルメタクリレート樹脂が好ましい。
【0051】
[ポリカーボネート樹脂]
ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物と、ホスゲン或いは炭酸ジエステル等のカーボネート前駆体とを反応させることにより容易に製造される。反応は公知の反応、例えば、ホスゲンを用いる場合は界面法により、また炭酸ジエステルを用いる場合は溶融状で反応させるエステル交換法により得ることができる。
【0052】
上記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類4,4´-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4´-ジヒドロキシ-3,3´-ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4´-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´-ジヒドロキシ-3,3´-ジメチルジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4´-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4´-ジヒドロキシ-3,3´-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4´-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´-ジヒドロキシ-3,3´-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。これらは単独または2種以上混合して使用される。これらの他にピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4´-ジヒドロキシジフェニル類を混合して使用してもよい。更に、フロログルシン等の多官能性化合物を併用した分岐を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することも出来る。
【0053】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、例えば、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類等が挙げられる。
【0054】
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、15,000~30,000が好ましく、16,000~27,000がより好ましい。なお、本明細書における粘度平均分子量は
、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算される値である。
【0055】
ポリカーボネート樹脂の具体例としては、ユーピロンH-4000(三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量16,000)ユーピロンS-3000(三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量23,000)、ユーピロンE-2000(三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量27,000)等が挙げられる。
【0056】
ポリカーボネート樹脂の含有量は、着樹脂組成物100質量部に対して10,000~100,000質量部が好ましく、20,000~50,000質量部がより好ましい。
【0057】
[ポリエステル樹脂]
ポリエステル樹脂は、カルボン酸成分(カルボキシル基を有する化合物)と水酸基成分(水酸基を有する化合物)とを重合することによって得ることができる。
【0058】
ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分としては、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトレヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラクロル無水フタル酸、1、4-シクロヘキサンジカルボン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、ε-カプロラクトン等が挙げられる。
【0059】
ポリエステル樹脂を構成する水酸基成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、1、6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、3-メチルペンタンジオール、1、4-シクロヘキサンジメタノール等のジオールの他、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の水酸基を3つ以上有する多官能アルコールが挙げられる。
【0060】
[アクリル樹脂]
アクリル樹脂は、以下に例示する(メタ)アクリル系モノマーを重合することによって得ることができる。モノマーとしては、例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、水酸基を有する(メタ)アクリル系モノマー、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系モノマー、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等のビニルエステル、無水マレイン酸、ビニルエーテル、スチレン等が挙げられる。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリルおよび/またはメタクリル」を、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を、それぞれ意味する。具体的には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂が好ましい。
【0061】
[ポリアミド樹脂]
ポリアミド樹脂は、例えば、上述したカルボン酸成分と、アミノ基を2個以上有する化合物を反応させることによって得ることができる。例えば、カルボン酸成分と、アミノ基を2個以上有する化合物(Am)とを脱水縮合反応させて得ることができる。
【0062】
アミノ基を2個以上有する化合物(Am)としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン等の脂環式ポリアミンを含む脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、キシリレンジアミン等の芳香族ポリアミン;1,3-ジアミノ-2-プロパノール、1,4-ジアミノ-2-ブタノール、1-アミノ-3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン-1-オール、4-(2-アミノエチル)-4,7,10-トリアザデカン-2-オール、3-(2-ヒドロキシプロピル)-o-キシレン-α,α’-ジアミン等のジアミノアルコールが挙げられる。
【0063】
樹脂(X3)の含有量は、着色樹脂組成物100質量部に対して10,000~100,000質量部が好ましく、20,000~50,000質量部がより好ましい。
【0064】
《成形体》
成形体は、本発明の着色組成物より形成してなる。
着色樹脂組成物を成形加工して成形体を得る際の成形方法は、特に限定されるものではない。射出成形や押出し成形等、成形方法にかかわらず、ポリカーボネート樹脂等を均一に着色することができる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例中、部および%は、特に断りがない場合は、それぞれ、質量部および質量%を表す。
【0066】
まず、着色樹脂組成物に使用した材料を以下に列挙する。
<液体樹脂(X1)>
アデカサイザーPN-170(ADEKA社製、粘度800mPa・s、脂肪酸ポリエステル樹脂、アジピン酸ポリエステル樹脂、凝固点-15℃、以下「PN-170」と称することがある)
アデカサイザーP-200(ADEKA社製、粘度2600mPa・s、脂肪酸ポリエステル樹脂、アジピン酸ポリエステル樹脂、凝固点-20℃、以下「P-200」と称することがある)
アデカサイザーPN-250(ADEKA社製、粘度4500mPa・s、脂肪酸ポリエステル樹脂、アジピン酸ポリエステル樹脂、凝固点-20℃、以下「PN-250」と称することがある)
ユニオールD-1200(日油社製、粘度200mPa・s、ポリアルキレングリコール樹脂、ポリプロピレングリコール樹脂、凝固点-30℃、以下「D-1200」と称することがある)
アデカサイザーRS-107(ADEKA社製、粘度20mPa・s、エーテルエステル樹脂、アジピン酸エーテルエステル樹脂、凝固点-20℃、以下「RS-107」と称することがある)
アデカサイザーPN-6810(ADEKA社製、粘度43mPa・s、アセチルクエン酸トリブチル、凝固点-80℃、以下「PN-6810」と称することがある)
【0067】
<ヒンダートアミン構造を有する分散剤>
キマソーブ944FDL(BASF社製、数平均分子量2,000~3,100、融点100~135℃、以下「944FDL」と称することがある)
キマソーブ2020FDL(BASF社製、数平均分子量2,600~3,400、融点130~136℃、以下「2020FDL」と称することがある)
チヌビン770DF(BASF社製、分子量481、融点81~85℃、以下「770DF」と称することがある)
【0068】
<着色剤>
スミプラストレッドHL2B(ソルベントレッド151、アントラキノン系 染料、以下「HL2B」と称することがある)
タイペークPF-740(石原産業社製、ピグメントホワイト6、酸化チタン、無機顔料、以下「PF-740」と称することがある)
リオノールブルーCB7801(トーヨーカラー社製、ピグメントブルー15:1、フタロシアニン系顔料、有機顔料、以下「CB7801」と称することがある)
【0069】
<アクリル系樹脂(X2)>
アルフォンUP-1021(東亜合成社製、粘度400mPa・s、重量平均分子量1,600、ガラス転移点-71℃、アクリル樹脂、以下「UP-1021」と称することがある)
アルフォンUP-1010(東亜合成社製、粘度4,500mPa・s、重量平均分子量1,700、ガラス転移点-31℃、アクリル樹脂、以下「UP-1010」と称することがある)
アルフォンUP-1500(東亜合成社製、粘度80,000mPa・s、重量平均分子量12,000、スチレン‐アクリル樹脂、以下「UP-1500」と称することがある)
【0070】
<樹脂(X3)>
ユーピロンH-4000(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量16,000、以下「H-4000」と称することがある)
ユーピロンS-3000(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量23,000、以下「S-3000」と称することがある)
ユーピロンE-2000(ポリカーボネート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチック社製、粘度平均分子量27,000、以下「E-2000」と称することがある)
ポリエステルMA-2101M(ポリエステル樹脂、ユニチカ製、粘度平均分子量20,000、以下「MA-2101M」と称することがある)
アクリペットVH(ポリメチルメタクリレート系樹脂、三菱ケミカル社製、粘度平均分子量50,000、以下「VH」と称することがある)
アミランCM3001-N (ポリアミド樹脂、東レ製、粘度平均分子量50,000、以下「CM3001-N」と称することがある
【0071】
(着色樹脂組成物の製造と評価)
(実施例1)
(着色樹脂組成物)
脂肪酸ポリエステル樹脂としてPN-170を100部、着色剤としてCB7801を60部およびヒンダートアミン構造を有する分散剤として944FDLを40部、ハイシェアミキサー(シルバーソン社製)にて混合し、着色樹脂組成物を得た。
【0072】
(実施例2~14)
表1に示す材料と質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法で、着色樹脂組成物をそれぞれ得た。尚、表1中に数値が記載されていない項目は、含有していないことを表す。実施例1~14で得られた着色樹脂組成物は、いずれも25℃で液状であった。
【0073】
(実施例15)
実施例5で得られた液状着色樹脂組成物と、ポリカーボネート樹脂としてH-4000とを単軸押出機(サーモプラスティックス工業社製)にて280℃で溶融混合して、着色樹脂組成物を得た。配合量は、実施例5で得られた液状着色樹脂組成物に含まれる脂肪酸ポリエステル樹脂100部に対して、ポリカーボネート樹脂37,000部とした。
【0074】
(実施例16~20)
表1に示す材料と質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例15と同様の方法で、着色樹脂組成物をそれぞれ得た。尚、表1中に数値が記載されていない項目は、含有していないことを表す。
【0075】
(比較例1)
脂肪酸ポリエステル樹脂としてPN-170 100部、着色剤としてCB7801 55部をシルバーソンミキサー(シルバーソン社製)にて混合して着色樹脂組成物を得ることを試みたところ、高粘度のため混合することが出来ず、着色樹脂組成物を得ることが出来なかった。
【0076】
(比較例2)
表1に示す材料と質量部にそれぞれ変更した以外は、比較例1と同様の方法で、着色樹脂組成物の作製を試みたが、高粘度のため混合することが出来ず、着色樹脂組成物を得ることが出来なかった。
【0077】
(比較例3)
着色剤としてCB7801を100部およびポリカーボネート樹脂としてH-4000を9,900部を二軸押出機(日本製鋼所社製)にて280℃で溶融混練して、固形状のマスターバッチを得た。
【0078】
(成形体の作製)
実施例1にて得られた液状着色樹脂組成物3部に対して、希釈樹脂(X3)であるポリカーボネート樹脂H-4000を997部混合し、射出成形機(東芝機械社製)にて280℃で成形し、縦80mm×横10mm×高さ4mmの多目的試験片を得た(成形体の一種)。H-4000の替わりにS-3000またはE-2000を使用して同様にそれぞれ多目的試験片を得た。
【0079】
(実施例2~14、比較例3)
表1に示す材料と質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様の方法で、多目的試験片をそれぞれ得た。尚、表1中の空欄は配合していないことを表す。
【0080】
(実施例15~20)
実施例15で得られた着色樹脂組成物をそれぞれ射出成形機(東芝機械社製)にて280℃で成形し縦80mm×横10mm×高さ4mmの多目的試験片をそれぞれ得た。
【0081】
(実施例21)
液体樹脂(X1)としてD-1200を100部、着色剤としてCB7801を60部およびヒンダートアミン構造を有する分散剤として944FDLを40部、ハイシェアミキサー(シルバーソン社製)にて混合し、着色樹脂組成物を得た。
【0082】
(実施例22~34)
表2に示す材料と質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例21と同様の方法で、着色樹脂組成物をそれぞれ得た。尚、表2中に数値が記載されていない項目は、含有していないことを表す。実施例21~34で得られた着色樹脂組成物は、いずれも25℃で液状であった。
【0083】
(実施例35)
実施例25で得られた着色樹脂組成物に含まれる液体樹脂(X1)と、樹脂(X3)としてMA-2101とを単軸押出機(サーモプラスティックス工業社製)にて280℃で溶融混合して、着色樹脂組成物を得た。配合量は、実施例25で得られた着色樹脂組成物に含まれる液体樹脂(X1)100部に対して、ポリエステル樹脂37,000部とした。
【0084】
(実施例36~40)
表2に示す材料と質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例35と同様の方法で、着色樹脂組成物をそれぞれ得た。尚、表1中に数値が記載されていない項目は、含有していないことを表す。
【0085】
(比較例4)
液体樹脂としてD-1200 100部、着色剤としてCB7801 55部をシルバーソンミキサー(シルバーソン社製)にて混合して着色樹脂組成物を得ることを試みたところ、高粘度のため混合することが出来ず、着色樹脂組成物を得ることが出来なかった。
【0086】
(比較例5~6)
表2に示す材料と質量部にそれぞれ変更した以外は、比較例2と同様の方法で、着色樹脂組成物の作製を試みたが、高粘度のため混合することが出来ず、着色樹脂組成物を得ることが出来なかった。
【0087】
(成形体の作製)
実施例21にて得られた着色樹脂組成物3部に対して、樹脂(X3)としてポリエステル樹脂MA-2101を997部混合し、射出成形機(東芝機械社製)にて280℃で成形し、縦80mm×横10mm×高さ4mmの多目的試験片を得た(成形体の一種)。MA-2101の替わりにVHまたはCM-3001Nを使用して同様にそれぞれ多目的試験片を得た。
【0088】
(実施例22~34)
表2に示す材料と質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例21と同様の方法で、多目的試験片をそれぞれ得た。尚、表2中の空欄は配合していないことを表す。
【0089】
(実施例35~140)
実施例35~140で得られた着色樹脂組成物をそれぞれ射出成形機(東芝機械社製)にて280℃で成形し縦80mm×横10mm×高さ4mmの多目的試験片をそれぞれ得た。
【0090】
(分散性評価)
分散性は、得られた多目的試験片で観察された着色剤凝集物の数によって評価した。成形プレートを光学顕微鏡「デジタル顕微鏡VHX‐100」(キーエンス社製)を用いて倍率100倍の視野で観察し、視野の中に観測された大きさ50μm以上の着色剤凝集物の数が10個以下の場合は特に良好であり、「A」、11個以上30個以下であれば良好であり「B」、31個以上であれば不良であり「C」とした。
【0091】
(分配性評価)
分配性は得られた多目的試験片に観察される色むらの有無によって評価した。目視観察において多目的試験片に色むらがなく均一に着色されていた場合は良好であり「A」、着色むらが確認できた場合は不良であり「C」とした。
【0092】
(物性評価)
得られた多目的試験片を用いてJIS K7171:2016に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度、JIS K7191-1,-2:2015に従い、測定荷重1.80MPaにおける荷重たわみ温度、JIS K7206:2016に従い、測定荷重50Nにおけるビカット軟化点を測定した。得られた各々の測定値から、下記式(1)に従い各々の測定値に対する物性保持率を算出した。物性保持率が高いものほど良好であるが、物性保持率90%以上であれば良好、物性保持率89%以下であれば不良と判断した。
式(1) 物性保持率(%)=[着色された多目的試験片の物性測定値/未着色の多目的
試験片の物性測定値]×100
【0093】
本発明の着色樹脂組成物により、分散性、分配性、物性保持率が良好な着色成形体を得ることが出来た。ヒンダートアミン構造を有する分散剤を含まない場合、着色樹脂組成物を得ることが出来なかった(比較例1、2、4、5、6)。着色樹脂組成物にアクリル系樹脂を配合することで着色樹脂組成物の分散性が向上した(実施例10~14、16、18、20、30~34、36、38、40)。マスターバッチ(比較例3)でポリカーボネート樹脂を着色した場合、多目的試験片に色むらが確認出来たが、本発明の着色樹脂組成物で着色した多目的試験片には色むらが確認されず、分配性が優れていた。
【0094】
【0095】