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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】電動車両の前部ユニット搭載構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20221004BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018054931
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019166916
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】森本 健太
(72)【発明者】
【氏名】平松 俊治
(72)【発明者】
【氏名】廣田 和起
(72)【発明者】
【氏名】橋野 浩
(72)【発明者】
【氏名】土肥 由敬
(72)【発明者】
【氏名】岩田 一男
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】重岡 忠之
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-240477(JP,A)
【文献】特開2011-020553(JP,A)
【文献】特開2013-237413(JP,A)
【文献】特開2018-008551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0257219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部に形成されたモータルームに、車幅方向に延びるクロスメンバと、前記クロスメンバの上に取り付けられた電気ユニットと、前記クロスメンバの下側に取り付けられて前記電気ユニットから給電される走行用のモータとを備えた、電動車両の車体前部のユニット搭載構造であって、
前記電気ユニットは、前記モータルームの後方に設けられたバッテリから前記モータを駆動するための電力を供給するためのハーネスが接続されるハーネス接続器を含んでおり、
前記ハーネス接続器は、前記ハーネスが接続されるハーネス接続部と、前記ハーネス接続部よりも後方に突出する突出部とを有しており、
前記突出部は、前記ハーネス接続部の下側にわたって車幅方向に延びており、
前記電気ユニットに取り付けられたガード体を更に備え、
前記ガード体は、前記ハーネス接続部に対して後方から対向しているハーネスプロテクタ部を有しており、
前記ハーネスは、前記突出部と前記ガード体との前後方向間に配索されている、電動車両の前部ユニット搭載構造。
【請求項2】
車両前部に形成されたモータルームに、車幅方向に延びるクロスメンバと、前記クロスメンバの上に取り付けられた電気ユニットと、前記クロスメンバの下側に取り付けられて前記電気ユニットから給電される走行用のモータとを備えた、電動車両の車体前部のユニット搭載構造であって、
前記電気ユニットは、前記モータルームの後方に設けられたバッテリから前記モータを駆動するための電力を供給するためのハーネスが接続されるハーネス接続器を含んでおり、
前記ハーネス接続器は、前記ハーネスが接続されるハーネス接続部と、前記ハーネス接続部よりも後方に突出する突出部とを有しており、
前記突出部は、前記ハーネス接続部の下側にわたって車幅方向に延びており、
前記電気ユニットに取り付けられたガード体を更に備え、
前記ガード体は、前記ハーネス接続部に対して後方から対向しているハーネスプロテクタ部を有しており、
前記突出部は更に後方に突出するボス部を備え、
前記ガード体は、前記電気ユニットの上面から後方に延びた後端部から、前記ハーネスプロテクタ部が下方に延びており、前記ハーネスプロテクタ部の下端部において前記ボス部により支持されている、電動車両の前部ユニット搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の前部ユニット搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体前部に形成されたモータルームに、走行用の電気モータ(以下、単にモータと称する)を備えた電動車両として、例えば電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車が知られている。例えば特許文献1には、車両前部に設けられたモータルームに、駆動用のモータとモータ駆動用の電気ユニットと含む前部ユニットが搭載された電動車両が開示されている。一般に、電動車両の電気ユニットには、高電圧バッテリからの直流電圧を交流に変換するインバータ、高電圧バッテリ用の充電器、DC-DCコンバータ、高電圧ハーネスが接続されるジャンクションボックス等の複数の機器が含まれる。
【0003】
電気ユニットは、床下に設けられた直流電源としてのバッテリにバッテリハーネスを介して接続され、駆動源としてのモータにモータハーネスを介して接続されている。バッテリハーネスは、床下のバッテリからフロアトンネル部を通って前方に延び、モータルーム内に配索される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-30424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータルームにおいて、モータの上方に電気ユニットを積層して、フロアトンネル部からモータルーム内に配索されたバッテリハーネスを、ダッシュパネルと電気ユニットとの前後方向間を上方に延びるように配索すると共に電気ユニットの後面に接続する場合がある。また、電気ユニットとモータとを接続するモータハーネスを電気ユニットの後面側に配索する場合がある。この場合、例えば前突時に、電気ユニットが後方へ移動すると、高電圧ハーネスが電気ユニットと共に後方へ移動して、この後方に位置する車体部品に接触し又は電気ユニットと車体部品との間に挟まれて損傷する虞がある。
【0006】
特に、高電圧ハーネスのうち、電気ユニットに接続された基端部は、電気ユニットの後面から後方に延びているため、車体部品に前後方向に接触すると撓まずに屈曲変形してしまい損傷する虞がある。
【0007】
本発明は、車両前部に設けられたモータルームにおいて、モータの上方に積層された電気ユニットの後面にハーネスが接続された電動車両において、前突時における、後方に位置する車体部品との接触によるハーネスの損傷を、抑制できる前部ユニット構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本願発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0009】
本願の請求項1に記載の発明は、車両前部に形成されたモータルームに、車幅方向に延びるクロスメンバと、前記クロスメンバの上に取り付けられた電気ユニットと、前記クロスメンバの下側に取り付けられて前記電気ユニットから給電される走行用のモータとを備えた、電動車両の車体前部のユニット搭載構造であって、前記電気ユニットは、前記モータルームの後方に設けられたバッテリから前記モータを駆動するための電力を供給するためのハーネスが接続されるハーネス接続器を含んでおり、前記ハーネス接続器は、前記ハーネスが接続されるハーネス接続部と、前記ハーネス接続部よりも後方に突出する突出部とを有しており、前記突出部は、前記ハーネス接続部の下側にわたって車幅方向に延びており、前記電気ユニットに取り付けられたガード体を更に備え、前記ガード体は、前記ハーネス接続部に対して後方から対向しているハーネスプロテクタ部を有しており、前記ハーネスは、前記突出部と前記ガード体との前後方向間に配索されていることを特徴とする。
【0010】
本発明において、バッテリからモータを駆動するための電力を供給するためのハーネスには、バッテリと電気ユニットを接続するバッテリハーネス及び電気ユニットとモータとを接続するモータハーネスの少なくとも1つが含まれる。
【0014】
また、請求項に記載の発明は、車両前部に形成されたモータルームに、車幅方向に延びるクロスメンバと、前記クロスメンバの上に取り付けられた電気ユニットと、前記クロスメンバの下側に取り付けられて前記電気ユニットから給電される走行用のモータとを備えた、電動車両の車体前部のユニット搭載構造であって、前記電気ユニットは、前記モータルームの後方に設けられたバッテリから前記モータを駆動するための電力を供給するためのハーネスが接続されるハーネス接続器を含んでおり、前記ハーネス接続器は、前記ハーネスが接続されるハーネス接続部と、前記ハーネス接続部よりも後方に突出する突出部とを有しており、前記突出部は、前記ハーネス接続部の下側にわたって車幅方向に延びており、前記電気ユニットに取り付けられたガード体を更に備え、前記ガード体は、前記ハーネス接続部に対して後方から対向しているハーネスプロテクタ部を有しており、前記突出部は更に後方に突出するボス部を備え、前記ガード体は、前記電気ユニットの上面から後方に延びた後端部から、前記ハーネスプロテクタ部が下方に延びており、前記ハーネスプロテクタ部の下端部において前記ボス部により支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
【0016】
まず、請求項1に記載の発明によれば、例えば前突時に電気ユニットが後方に移動して、ハーネス接続器がこの後方に位置する車体部品(例えばカウルトップパネル)に接触したとしても、ハーネス接続部よりも突出部が車体部品に先に接触しやすい。ここで、ハーネス接続器に接続されたハーネスの接続部分は、ハーネス接続部から後方に延びているために前後方向の衝突荷重を受けた場合に軸線方向に荷重を受けるため、撓んで衝撃を吸収し難く損傷しやすい。特に、高電圧(例えば300V)が印加される高電圧ハーネスは、線径が太いためより撓みにくいため、軸線方向に荷重受けると損傷しやすい。しかしながら、本発明によれば、前突時において、ハーネスよりも先に突出部が車体部品に接触するので、ハーネスへの衝撃が緩和される。
【0017】
また、前突時に突出部をハーネスよりも先に車体部品により確実に接触させやすい。
【0018】
また、前突時に突出部に加えてハーネスプロテクタ部を、ハーネスの接続部分よりも先に車体部品に接触させることができる。これにより、ハーネスの接続部分の車体部品への接触がより一層抑制される。
【0019】
また、前突時において、ハーネスが、突出部と車体部品との間に挟まれることが抑制される。
【0020】
また、請求項に記載の発明によれば、ガード体の支持剛性を向上させることができるので、ガード体によるハーネスの保護性能を更に高めることができる。

【0021】
すなわち、本発明に係る電動車両の前部ユニット搭載構造によれば、車両前部に設けられたモータルームにおいて、モータの上方に積層された電気ユニットの後面にハーネスが接続された電動車両において、前突時における、後方に位置する車体部品との接触によるハーネスの損傷を、抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る電動車両の前部ユニット搭載構造を示す斜視図。
図2図1の上面図。
図3図1の後方斜視図。
図4図1の左側面図。
図5図1の右側面図。
図6図2のVI-VI線における断面図。
図7図2のVII-VII線における断面図。
図8】ジャンクションボックスの内部を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各距離の比率等は現実のものとは相違している。
【0024】
本発明の一実施形態に係る電動車両は、車室フロア床下に配置された高電圧バッテリから、車両前部に形成されたモータルーム内の電気ユニットを介して給電される走行用の電気モータ(以下、モータと称する)を駆動源として走行可能に構成された電気自動車である。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る電動車両の前部ユニット搭載構造を示す斜視図である。図2はモータルーム1の上面図であり、図3は前部ユニット搭載構造の後方斜視図であり図4,5はそれぞれ前部ユニット搭載構造の右側面図及び左側面図である。なお各図において、ボンネット、フェンダー、バンパー等の外装部品が省略されている。
【0026】
(全体構成)
図1に示されるように、モータルーム1は、上下方向に延びるダッシュパネル2によりこの前側に区画された空間として設定されている。ダッシュパネル2の上端部には、車幅方向に延びるカウルトップパネル3が設けられており、カウルトップパネル3によりモータルーム1の後端上部が構成されている。また、図2及び図4に示されるように、ダッシュパネル2の下端部には、車幅方向の中央において、後方に延びており車室フロアよりも上方に凸状に形成されたトンネル部13が接続されている。
【0027】
また、図4及び図5に示されるように、モータルーム1は、前方に向かって下方に傾斜して延びるボンネット12の下方の空間として形成されている。
【0028】
図1に示されるように、モータルーム1の車幅方向の両側部には、左右一対のサイドフレーム4がダッシュパネル2から前方に延びている。サイドフレーム4は、矩形状の閉断面に形成されている。左右一対のサイドフレーム4の前端部はそれぞれ、前後方向に延びるクラッシュカン5を介して、車幅方向に延びるバンパレイン6の両側部に連結されている。
【0029】
左右一対のサイドフレーム4の上面部にはそれぞれ、マウントブラケット7がボルト締結されている。マウントブラケット7は、サイドフレーム4の上面部から車幅方向の内側に延びている。左右一対のマウントブラケット7の下面には、車幅方向に延びるクロスメンバ8の両側部が取り付けられている。したがって、左右一対のサイドフレーム4の間に、マウントブラケット7を介してクロスメンバ8が車幅方向に架け渡されている。
【0030】
クロスメンバ8の上側には電気ユニット30が取り付けられており、クロスメンバ8の下側には電気ユニット30から給電されるモータユニット20が取り付けられている。本明細書では、モータルーム1に配設された、電気ユニット30、モータユニット20、及びこれらに関連する構成部品(冷却装置、ハーネス等)を含めて前部ユニットと称する。
【0031】
モータユニット20は、左右一対の懸下ブラケット9、10(図3を併せて参照)を介して、クロスメンバ8に吊り下げられている。モータユニット20は、車両右側に位置する車両駆動用の3相交流モータ21(以下、モータ21と称する)と、この車両左側に連結されたギヤボックス22とを有している。モータ21は出力軸(不図示)を車幅方向に向けて配置されている。
【0032】
図3に示されるように、ギヤボックス22は、モータ21の出力軸に動力伝達可能に連結されており、モータ21から入力された駆動力を所定の減速比で減速する減速機構と、左右の駆動輪へのトルク配分を行う差動機構とを有し、後方の出力部23から駆動力を出力する。ギヤボックス22の出力部23には、左右一対のドライブシャフト(不図示)が組み付けられており、ドライブシャフトを介して左右一対の前輪(不図示)が回転駆動される。
【0033】
電気ユニット30は、複数の高電圧電装部品、具体的にはインバータ40、ジャンクションボックス50(ハーネス接続器)、車載充電器31、及びDC-Cコンバータ35を含んでいる。インバータ40は、クロスメンバ8の車両左側に位置しており、この上部にジャンクションボックス50が積層されている。また、車載充電器31は、クロスメンバ8の車両右側に位置しており、この上部にDC-DCコンバータ35が積層されている。
【0034】
したがって、電気ユニット30は、複数の電装部品が車幅方向に2列に分けてそれぞれ2段に積層された構造とすることにより前後及び上下方向にコンパクトに構成されている。
【0035】
ここで、本明細書では、高電圧電装部品とは、一般的な車載電装部品の定格電圧(乗用車だ12V、トラック、バス等の商用車では24V)を超える電圧(例えば、100V以上)により印加される電装部品を意味する。
【0036】
なお、下段に積層されたインバータ40及び車載充電器31は上下方向寸法が概ね同じであるが、上段に積層されたDC-DCコンバータ35はジャンクションボックス50よりも上下方向寸法が小さい。すなわち、車両左側に積層されたインバータ40及びジャンクションボックス50からなる左側電気ユニット30Lは、車両右側に積層された車載充電器31及びDC-DCコンバータ35からなる右側電気ユニット30Rよりも上下方向に高い。
【0037】
インバータ40は、車室フロア床下に配設されたメインバッテリ11(図2)からの高電圧(例えば、300V)の直流電力を3相交流電力に変換してモータ21に供給するための高電圧電装部品であって、インバータ回路を有している。
【0038】
ジャンクションボックス50は、ハーネス同士を接続、分岐、中継する際に用いる端子や端子を保護するための所謂接続箱であって、リレー回路を有している。図2及び図3に示されるように、本実施形態では、ジャンクションボックス50は、2本のバッテリハーネス70を介してメインバッテリ11に接続されている。また、ジャンクションボックス50は、3相交流電力に対応した3本のモータハーネス75を介してモータ21に接続されている。後述するように、インバータ40及びジャンクションボックス50はこれらの内部にわたって上下に挿通されたバスバー80(図6図8)を介して接続されている。
【0039】
図5に示されるように、ジャンクションボックス50の後部には、側面視逆L字状のガード体65が締結ボルトにより固定されている。ガード体65は、ジャンクションボックス50の上面から後方に延びるガード体水平面部66と、この後端部から下方に延びるガード体後面部67(ハーネスプロテクタ部)と、これらの両側部から下方又は前方に延びるガード体側部フランジ68とを有している。
【0040】
ガード体後面部67は、バッテリハーネス70及びモータハーネス75それぞれの上部とカウルトップパネル3との間に位置しており、これらのハーネス70,75のジャンクションボックス50への接続部分に対して後側から対向している。
【0041】
図3に示されるように、車載充電器31は、充電回路を有しており、充電ケーブルを介して接続された外部電源(例えば、100V又は200V)からの電力をメインバッテリ11に充電するもので、車載充電器31とメインバッテリ11とは電力ケーブル(不図示)によって接続されている。DC-DCコンバータ35は、高電圧を車載機器駆動用の低電圧(例えば、12V)に変換する変換器である。
【0042】
ここで、高電圧電装部品を含むモータユニット20及び電気ユニット30の走行時及び充電時における過熱を防止するため、モータルーム1には冷却装置がさらに配設されている。具体的には、モータユニット20のモータ21と、電気ユニット30のインバータ40、車載充電器31、及びDC-DCコンバータ35が、走行時及び充電時に冷却装置により冷却されるようになっている。一方、ジャンクションボックス50は、冷却されない非冷却電装部品として構成されている。
【0043】
(冷却装置)
図3に示されるように、冷却装置は、モータルーム1の前側に配設された放熱用のラジエータ91と、クロスメンバ8の後方に配設された冷却水循環用の電動ウォータポンプ92と、冷却水から気体を分離するデガスタンク93と、これらの冷却装置とモータユニット20及び電気ユニット30とを接続し、冷却水が循環する冷却経路とを有している。
【0044】
冷却経路は、モータ冷却配管101と、ラジエータ入口配管102(図2参照)と、充電器冷却配管103と、インバータ冷却配管104と、DC-DCコンバータ冷却配管105と、デガスタンク入口配管106と、ウォータポンプ入口配管107とを有している。各冷却配管及び入口配管101~107は、ゴムホースと金属製又は樹脂製のパイプを適宜組み合わせて構成されている。また、冷却経路は、モータ21、車載充電器31、インバータ40、及びDC-DCコンバータ35それぞれの内部に形成されたウォータジャケット(不図示)を有している。
【0045】
上述したように、モータ21、車載充電器31、インバータ40、DC-DCコンバータ35の内部には冷却水が流れるウォータジャケットを有している。すなわち、冷却経路は、電動ウォータポンプ92、モータ21、ラジエータ91、車載充電器31、インバータ40、DC-DCコンバータ35、デガスタンク93は、これらに形成されたウォータジャケットと共に冷却配管及び入口配管101~107により、この順で直列接続する経路として構成されている。
【0046】
(ジャンクションボックス)
図6は、図2のVI-VI線における縦断面図であり、ジャンクションボックス50に接続されたバッテリハーネス70の基端部の軸芯を通る断面図である。図7は、図2のVII-VII線における縦断面図であり、ジャンクションボックス50に接続されたモータハーネス75の基端部の軸芯を通る断面図である。
【0047】
図6及び図7に示されるように、ジャンクションボックス50は、上側に位置するボックス上部51と、下側に位置するボックス下部61とを、ボルト締結したものである。ボックス上部51の筐体52は、例えばアルミダイカストにより下方が開口した箱型に形成されている。同様に、ボックス下部61の筐体62は、例えばアルミダイカストにより上方が開口した箱型に形成されている。
【0048】
ボックス上部筐体52は、上面部に上下方向に開口した上部開口53を備えている。上部開口53は、ボルト締結される蓋部材55により着脱自在に覆われている。また、ボックス上部筐体52は、後面部52aに前後方向に貫通した後部開口54を備えている。後部開口54には、バッテリハーネス70とモータハーネス75が後方から前方へ差し込まれて組み付けられるハーネス接続部57が構成されている。さらに、ボックス上部筐体52の後面部52aには、下端部から後方に延びる後部フランジ56が形成されている。
【0049】
ボックス下部筐体62は、後面部62aがボックス上部筐体52の後面部52aよりも後方に位置しており、ボックス下部筐体62の上端開口部のうちボックス上部筐体52の後面部52aより後側の部分は後部フランジ56により覆われている。換言すれば、ジャンクションボックス50は、ボックス下部筐体62の後側部分及びボックス上部筐体52の後部フランジ56により、ボックス上部筐体52に設けられたハーネス接続部57よりも後方に突出した突出部69が構成されている。
【0050】
ボックス下部筐体62の下面部のうち突出部69に対応する部分には、上下方向に貫通するバスバー挿通孔63が形成されている。図8は、ジャンクションボックス50の周辺を示す上面図であり、蓋部材55とガード体65とが取り外されている。図8に示されるように、バスバー挿通孔63は、車両右側に位置する右側バスバー挿通孔63Rと、車両左側に位置する左側バスバー挿通孔63Lとが形成されている。
【0051】
右側バスバー挿通孔63R及び左側バスバー挿通孔63Lは、車幅方向に長い孔として形成されている。右側バスバー挿通孔63Rは、3本のモータハーネス75に接続された3本のバスバー80が上下に挿通するように対応して設けられている。左側バスバー挿通孔63Lは、2本のバッテリハーネス70に接続されたバスバー80が上下に挿通するように対応して設けられている。
【0052】
ボックス下部筐体62の後面部62aには、車両左端部に後方に突出するボス部64が形成されている。ボス部64には、後端部から更に後方に延びるピン64aが設けられている。
【0053】
図6に示されるように、ガード体65は、ガード体水平面部66の前端部がボックス上部筐体52の上面部後端にボルト固定されている。また、図3に示されるように、ガード体65はガード体後面部67の左側下部に穿設された位置決め孔67aに、ボックス下部筐体62のピン64aを係合させた状態で、左側のガード体側部フランジ68がボックス下部筐体62のボス部64にボルト固定されている。
【0054】
すなわち、ガード体65は、ガード体後面部67とボックス下部筐体62の後面部62aとの間の空間がボス部64により確保されており、該空間内に、バッテリハーネス70及びモータハーネス75が配索されている。
【0055】
また、図8に示されるように、ジャンクションボックス50の後部には、ハーネスガイド78がボルト固定されている。ハーネスガイド78は、ジャンクションボックス50にボルト固定されたガイドブラケット78aと、ガイドブラケット78aに例えば溶接により固着されており後方に向かって下方に傾斜した方向に湾曲して延びるガイド本体78bとを有している。
【0056】
ガイドブラケット78aは、ボックス下部筐体62の上端後部の角部を車両幅方向の略全域にわたって後上方から覆うように車両幅方向に延びている。図3を併せて参照して、ガイド本体78bは、下端部に設けられたハーネスクランプ78cを介して3本のモータハーネス75を把持してこれらの配索経路を規制するように構成されている。
【0057】
(インバータ)
図6及び図7に示されるように、インバータ40の筐体41は箱型に形成されている。インバータ筐体41は、例えばアルミダイカストにより形成されており、後面部41aに後部開口42を備えると共に、後部開口42に連通する空間部43を形成するための隔壁44が一体的に形成されている。後部開口42は、ボルト締結される蓋部材46により着脱自在に覆われている。
【0058】
図8を併せて参照して、インバータ筐体41の上面部後部には空間部43に上下に連通するバスバー挿通孔45が形成されている。バスバー挿通孔45は、車両右側に位置する右側バスバー挿通孔45Rと、車両左側に位置する左側バスバー挿通孔45Lとを含んでいる。
【0059】
右側バスバー挿通孔45R及び左側バスバー挿通孔45Lは、車幅方向に長い孔として形成されている。右側バスバー挿通孔45Rは、3本のモータハーネス75に接続される3本のバスバー80が上下に挿通するように、ボックス下部筐体62の右側バスバー挿通孔63Rと同じ位置に対応して設けられている。左側バスバー挿通孔63Lは、2本のバッテリハーネス70に接続されるバスバー80が上下に挿通するように、ボックス下部筐体62の左側バスバー挿通孔63Lと同じ位置に対応して設けられている。
【0060】
空間部43には、図6に示されるインバータ入力部47と、図7に示されるインバータ出力部48とが設けられている。インバータ入力部47には、メインバッテリ11からの直流電力が給電される。インバータ出力部48には、給電された直流電力がインバータ回路により3相交流電力に変換されて出力される。
【0061】
また、インバータ筐体41の後面部41aは、ボックス上部筐体52の後面部52aより後方に位置しており、ボックス下部筐体62の後面部62aより前方位置している。
【0062】
(バスバー)
図6及び図7に示されるように、インバータ40とジャンクションボックス50とをこれら内側の上下間にわたって挿通された導電体としてのバスバー80が配設されている。バスバー80は、例えば、銅インゴット製の板状部材である。
【0063】
バスバー80は、図6に示されるバッテリハーネス70とインバータ入力部47とを連結する入力用バスバー(入力用導電体)81と、図7に示されるモータハーネス75とインバータ出力部48とを連結する出力用バスバー(出力用導電体)82とを有している。図8に示されるように、入力用バスバー81は、バッテリハーネス70の本数に対応して2本設けられており、出力用バスバー82は3相交流に対応して3本設けられている。
【0064】
各バスバー81,82は、後方に向かって段階的に低下する階段状に形成されている。図6を参照して、入力用バスバー81を例に取り説明すると、入力用バスバー81は、水平に延びる上端水平部81aと、この後端部から屈曲して下方へ延びる中間垂直部81bと、この下端部から屈曲して後方へ延びる中間水平部81cと、この後端部から下方へ延びる下端垂直部81dとを有している。
【0065】
上端水平部81a及び中間水平部81cは、厚み方向を上下方向に向けた姿勢で前後方向に延びている。中間垂直部81b及び下端垂直部81dは、厚み方向を前後方向に向けた姿勢で上下方向に延びている。
【0066】
上端水平部81aは、ボックス上部筐体52の前後方向の略中央部であって、ハーネス接続部57の上下方向の略中央部に位置している。中間垂直部81bは、ボックス上部筐体52からボックス下部筐体62にまたがって延びている。中間水平部81cは、ボックス上部筐体52の後面部52aよりも後方に延びており、後部フランジ56と前後方向に重複している。
【0067】
下端垂直部81dは、ボックス下部筐体62とインバータ40の空間部43との間において、上下の各バスバー挿通孔45,63を上下に貫通するように上下方向に延びており、下端部においてインバータ入力部47に締結ボルトにより連結されている。下端垂直部81dの外周は、絶縁部材83により被覆されている。図7に示されるように、出力用バスバー82も同様に、下端垂直部82dの下端部においてインバータ出力部48に締結ボルトにより連結されている。
【0068】
なお、図8に示されるように、入力用バスバー81は、車両右側に位置するものが中間垂直部81bにおいて車両左側にオフセットしている。また、出力用バスバー82は、車両左側に位置するものが中間垂直部82bにおいて車両左側にオフセットしており、車両右側に位置するものが中間垂直部82bにおいて車両右側にオフセットしている。
【0069】
(バッテリハーネス)
図2及び図3に示されるように、バッテリハーネス70は、車室フロア床下に配置されたメインバッテリ11に接続された一端部から、トンネル部13を通って前方に延びておりモータルーム1内に配索されて、ジャンクションボックス50に接続されている。
【0070】
図4及び図5に示されるように、バッテリハーネス70は、ジャンクションボックス50のハーネス接続部57から後方に延びると共に下方に湾曲して延びるバッテリハーネス上部71と、側面視でバッテリハーネス上部71に連なって前方に凸となるように湾曲したバッテリハーネス中間部72と、バッテリハーネス中間部72に連なって後方に延びるバッテリハーネス下部73とを有しており、図4に示す左側面視でS字状に配索されている。
【0071】
図6に示されるように、バッテリハーネス上部71は、下方に屈曲したパイプ部材71aと、この内側を挿通されており導線がゴム被覆してなるハーネス本体71bとを有する。バッテリハーネス上部71は、ジャンクションボックス50のハーネス接続部57に対して直交するように前方に延びており、シール部材58を介してジャンクションボックス50の内側に導入されたハーネス本体71bの先端には接続端子74が設けられている。接続端子74は、締結ボルトにより、入力用バスバー81の上端水平部81aに連結されている。
【0072】
パイプ部材71aは、バッテリハーネス上部71の配索を規制して下方に湾曲させることができるような剛性を有する部材(例えば金属製、樹脂製)により構成されている。パイプ部材71aは、例えば、ハーネス接続部57において縮径されて、ハーネス本体71bの外周に対してカシメにより固定されている。
【0073】
また、パイプ部材71aは、ガード体後面部67の前方に設けられている。このため、ガード体65により後方から保護されていない部分は、例えば前突時等に後方に位置する車体部品に接触した際に、前後方向に撓んで逃げやすく車体部品から入力される荷重が低減されるようになっている。
【0074】
バッテリハーネス上部71は、パイプ部材71aにより下方へ湾曲するように配索されているので、基端部側をハーネス接続部57に対して直交するよう構成しつつも、この後方側部分を、パイプ部材71aを備えていない場合に自然に(つまり懸垂曲線に従って)下方へ湾曲させる場合の曲げ半径に比して小さい曲げ半径で下方に湾曲させやすく、バッテリハーネス上部71の後方への突出量が低減されている。さらに、バッテリハーネス上部71の後方への突出量が低減されるので、これに連なるバッテリハーネス中間部72を前方に凸となるように湾曲させやすい。
【0075】
図4に示されるように、バッテリハーネス中間部72は、トンネル部13の入口開口部14の上側部分に対応して位置している。図3を併せて参照して、バッテリハーネス中間部72は、ハーネスホルダ72aを介してクロスメンバ8の後面に支持されている。バッテリハーネス中間部72の前方に凸となる頂点は、上下方向においてクロスメンバ8とモータ21との間に位置している。これにより、バッテリハーネス70のうちダッシュパネル2に対向する部分を、モータ21及びクロスメンバ8に近接させて、ダッシュパネル2から前方に離間させて配索しやすい。
【0076】
ハーネスホルダ72aは、前方に凸となる湾曲状に形成されており、バッテリハーネス中間部72の配索を規制して前方に凸となるように湾曲させることができるような剛性を有する部材(例えば金属製、樹脂製)により構成されている。また、ハーネスホルダ72aは、バッテリハーネス中間部72を把持可能とするように、前後方向に開閉可能な半割状に構成されている。
【0077】
ハーネスホルダ72aは前側に上下一対のグロメット部72bを有している。また、クロスメンバ8の後面には、ハーネスホルダブラケット15が締結ボルトにより固定されている。ハーネスホルダ72aは、グロメット部72bをハーネスホルダブラケット15に形成した係合孔に差し込んで係合させることにより、ハーネスホルダブラケット15に取り付けられている。
【0078】
図4に示されるように、バッテリハーネス下部73は、上下方向において、トンネル部13に収まる範囲に位置している。バッテリハーネス下部73は、後部がハーネスクランプ73aを介してサブフレーム16に支持されている。サブフレーム16は、モータユニットの後方を車幅方向に延びており、左右一対のサイドフレーム4に支持されている。サブフレーム16は、ロッド17を介してモータユニット20に連結されている。
【0079】
また、サブフレーム16は、不図示のサスペンション機構及び操舵機構を支持しており、サスペンションクロスメンバとしても構成されている。サブフレーム16には、上方に突出したハーネスブラケット16aが設けられており、ハーネスブラケット16aにハーネスクランプ73aが例えばグロメットを用いて取り付けられている。また、バッテリハーネス70は、高電圧ハーネスであることを示すように、外周がオレンジ色のハーネスカバー70aにより覆われている。
【0080】
(モータハーネス)
図3及び図8に示されるように、モータハーネス75は、ジャンクションボックス50のハーネス接続部57から後方に延びると共に下方に湾曲して延びるモータハーネス上部76と、下部において前方に湾曲して延びるモータハーネス下部77とを有している。
【0081】
図7に示されるように、モータハーネス上部76は、ジャンクションボックス50のハーネス接続部57に対して直交するように前方に延びており、シール部材59を介してジャンクションボックス50の内側に導入されたハーネス本体の先端には接続端子74が設けられている。接続端子74は、締結ボルトにより、出力用バスバー82の上端水平部82aに連結されている。また、上述したように、モータハーネス上部76は、ハーネスガイド78により把持されており配索経路が規制されている。
【0082】
モータハーネス下部77は、図示は省略するが、モータ21に対して後部から差し込まれて接続されるようになっている。
【0083】
なお、ハーネス接続部57は、ジャンクションボックス50において、ボックス下部筐体62の後面部62a及びインバータ筐体41の後面部41aよりも前方に位置するボックス上部筐体52の後面部52aに設けられている。これにより、バッテリハーネス上部71及びモータハーネス上部76を、より一層、前側に配索しやすいので、これらの後方への突出量が低減されている。
【0084】
この結果、バッテリハーネス70及びモータハーネス75を、この後方に位置する車体部品、具体的にはダッシュパネル2及びカウルトップパネル3との間の前後方向距離を確保して配索しやすい。
【0085】
また、ジャンクションボックス50のうち、ハーネス接続部57よりも後方に突出したボックス下部筐体62の後端上部の角部は、ガイドブラケット78aによって後上方から覆われている。これにより、バッテリハーネス70及びモータハーネス75が、例えば前突時に後方に位置する車体部品と接触して前方に撓んだとしても、ボックス下部筐体62の後端上部の角部に接触することが抑制される。これにより、バッテリハーネス70及びモータハーネス75の損傷が抑制される。
【0086】
上記実施形態に係る電動車両の前部ユニット搭載構造によれば、以下の効果を奏する。
【0087】
(1)ジャンクションボックス50は、ハーネス接続部57よりも後方に突出する突出部69を有しているので、例えば前突時に電気ユニット30が後方に移動して、ジャンクションボックス50がこの後方に位置する車体部品(例えばカウルトップパネル3)に接触したとしても、ハーネス接続部57よりも突出部69が車体部品に先に接触しやすい。ここで、ジャンクションボックスに接続されたバッテリハーネス70及びモータハーネス75の接続部分は、ハーネス接続部57から後方に延びているために前後方向の前突荷重を受けた場合に軸線方向に荷重を受けるため、撓んで衝撃を吸収し難く損傷しやすい。特に、高電圧(例えば300V)が印加される高電圧ハーネスは、線径が太いためより撓みにくいため、軸線方向に荷重受けると損傷しやすい。しかしながら、本実施形態では、前突時において、上記ハーネスの接続部分よりも先に突出部69が車体部品に接触するので、ハーネスの接続部分への衝撃が緩和される。
【0088】
(2)ジャンクションボックス50において、突出部69は、ハーネス接続部57の下側にわたって車は方向に延びているので、前突時に突出部69をバッテリハーネス70及びモータハーネス75の接続部分よりも先に車体部品により確実に接触させやすい。
【0089】
(3)前突時に突出部69に加えてガード体後面部67を、バッテリハーネス70及びモータハーネス75の接続部分よりも先に車体部品に接触させることができる。これにより、上記ハーネス70,75の接続部分の車体部品への接触がより一層抑制される。
【0090】
(4)バッテリハーネス70及びモータハーネス75は、突出部69とガード体65との前後方向間に配索されているので、前突時において、上記ハーネス70,75が、突出部69と車体部品との間に挟まれることが抑制される。
【0091】
(5)ガード体65は、ガード体後面部67において、ボス部64に支持されているので、ガード体65の支持剛性を向上させることができ、これによりガード体65によるバッテリハーネス70及びモータハーネス75の保護性能を更に高めることができる。
【0092】
(6)ジャンクションボックス50とインバータ40とがこれら内側の上下間にわたって挿通されたバスバー80を介して接続されているので、これらを接続する接続ハーネスがモータルーム1内に露出しない。これにより、上記接続ハーネスを、別途保護構造を設けることを要することなく、ジャンクションボックス50及びインバータ40の筐体により保護できる。さらに、ジャンクションボックス50がより上方に配置されるので、バッテリハーネス70及びモータハーネス75が上下に長く構成される。この結果、これらのハーネス70,75を緩やかに湾曲させて配索させやすい。また、被水にも有利である。
【0093】
(7)ジャンクションボックス50の蓋部材55を取り外すことにより、バスバー80の上端水平部81a及び82aに容易にアクセスしやすく、バッテリハーネス70及びモータハーネス75それぞれの接続端子74をバスバー80の上端水平部81a及び82aに連結しやすい。同様に、インバータ40の蓋部材46を取り外すことにより、バスバー80の下端垂直部81d及び82dに容易にアクセスしやすく、これらを、インバータ入力部47及びインバータ出力部48に連結しやすい。
【0094】
(8)バッテリハーネス70は、トンネル部13の入口開口部14の上側部分において前方に凸となるように湾曲しているので、バッテリハーネス上部71及びバッテリハーネス中間部72においてダッシュパネル2との前後方向間の距離を確保しやすい。また、バッテリハーネス下部73は、トンネル部13に対向することになる。これにより、例えば前突時に電気ユニット30及びモータユニット20が後退したとしても、バッテリハーネス70は、バッテリハーネス上部71及びバッテリハーネス中間部72においてはダッシュパネル2に接触し難く、バッテリハーネス下部73においてはトンネル部13の内側を後方に移動し易いので、バッテリハーネス70の損傷が抑制される。
【0095】
(9)バッテリハーネス中間部72は、クロスメンバ8の後面に支持されているので、バッテリハーネス70とダッシュパネル2との前後方向間の距離をより確実に確保できる。
【0096】
(10)バッテリハーネス中間部72は、前方に凸となるように湾曲した円筒状のハーネスホルダ72a内に挿通されており、ハーネスホルダ72aがクロスメンバ8の後面に取り付けられている。これにより、バッテリハーネス70の配索を規制して、バッテリハーネス中間部72において前方に凸となるように容易に湾曲させることができる。
【0097】
(11)バッテリハーネス上部71は、後方に延びると共に下方に湾曲したパイプ部材内に挿通されているので、バッテリハーネス70の配索を規制して、バッテリハーネス上部71において下方に容易に湾曲させることができる。これにより、電気ユニット30から後方へのバッテリハーネス上部71の突出量が低減されるので、バッテリハーネス上部71とこの後方に位置する車体部品(例えば、ダッシュパネル2、カウルトップパネル3)との隙間を確保しやすい。よって、前突時において、バッテリハーネス上部71が車体部品に接触し難く、バッテリハーネス70の損傷が抑制される。
【0098】
(12)バッテリハーネス下部73がサブフレーム16に支持されているので、前突時にバッテリハーネス下部73が大きく撓んで車体部品に接触することが抑制される。
【0099】
上記実施形態は、電気自動車を例にとって説明したがこれに限らず、電気モータを駆動源とする電動車両であればよく、例えばハイブリッド車、燃料電池車にも好適に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明に係る電動車両の前部ユニット搭載構造によれば、車両前部に設けられたモータルームにおいて、モータの上方に積層された電気ユニットの後面にハーネスが接続された電動車両において、前突時における、後方に位置する車体部品との接触によるハーネスの損傷を、抑制できるので、電動車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0101】
1 モータルーム
2 ダッシュパネル
3 カウルトップパネル
8 クロスメンバ
11 メインバッテリ
12 ボンネット
13 トンネル部
20 モータユニット
21 モータ
30 電気ユニット
31 車載充電器
35 DC-DCコンバータ
40 インバータ
50 ジャンクションボックス
51 ボックス上部
57 ハーネス接続部
61 ボックス下部
65 ガード体
67 ガード体後面部
69 突出部
70 バッテリハーネス
80 モータハーネス
91 ラジエータ
92 電動ウォータポンプ
93 デガスタンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8