(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】撮影支援装置、放射線撮影システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A61B6/00 330A
(21)【出願番号】P 2018063447
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野地 翔
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-110445(JP,A)
【文献】特開2006-340838(JP,A)
【文献】特開2005-312776(JP,A)
【文献】特開2011-172804(JP,A)
【文献】特開2012-196549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置による撮影を支援する撮影支援装置であって、
被検者の
体温、発汗量のうち一つ以上の生体情報を前記撮影装置による本撮影開始前から取得する生体情報取得部と、
前記生体情報取得部により取得された生体情報に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する評価部と、
を備える撮影支援装置。
【請求項2】
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置による撮影を支援する撮影支援装置であって、
本撮影開始前に本撮影よりも低線量で前記撮影装置に胸部の動態画像を取得させる制御部と、
前記対象部位が心臓である場合に、被検者の生体情報として、前記撮影装置により撮影された前記胸部の動態画像から心壁の動き又は血管径の変動の周期情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報取得部により取得された前記周期情報を解析する解析部と、
前記周期情報の解析結果に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する評価部と、
を備える撮影支援装置。
【請求項3】
前記解析部は、前記対象部位の動態の周期情報を解析して、周期毎に、周波数、周期、振幅、角速度、位相のずれ、波形形状の滑らかさを示す指標のうち一つ以上を取得する請求項2に記載の撮影支援装置。
【請求項4】
前記評価部は、機械学習を用いて前記生体情報に基づく前記対象部位の動態の周期の安定性の評価を行う請求項1~3のいずれか一項に記載の撮影支援装置。
【請求項5】
前記生体情報取得部により取得された生体情報のうち、予め定められた時点の生体情報を基準生体情報として設定する基準生体情報設定部を備え、
前記評価部は、前記生体情報取得部により取得された生体情報と前記基準生体情報との比較に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する請求項1に記載の撮影支援装置。
【請求項6】
前記生体情報取得部により取得された周期情報から基準周期を設定する基準周期設定部を備え、
前記評価部は、前記解析部から取得された周期情報の解析結果と前記基準周期の周期情報の解析結果との比較に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する請求項2又は3に記載の撮影支援装置。
【請求項7】
前記周期情報の解析結果の標準的な値の範囲を記憶する記憶部を備え、
前記基準周期設定部は、前記解析部において取得された周期情報の解析結果と前記記憶部に記憶されている前記周期情報の解析結果の標準的な値の範囲との比較に基づいて自動的に前記基準周期を設定する請求項6に記載の撮影支援装置。
【請求項8】
前記基準周期設定部は、前記生体情報取得部により取得された周期情報に含まれる周期の中からユーザー操作により指定された周期を基準周期として設定する請求項6に記載の撮影支援装置。
【請求項9】
前記評価部は、本撮影開始前に取得された周期情報の解析結果と前記基準周期の解析結果との比較により本撮影開始前の前記対象部位の動態の周期の安定性を評価し、本撮影中に取得された周期情報の解析結果と前記基準周期の解析結果との比較により本撮影中の前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する請求項6~8のいずれか一項に記載の撮影支援装置。
【請求項10】
前記評価部による前記対象部位の動態の周期の安定性の評価結果を表示する表示部を備える請求項1~9のいずれか一項に記載の撮影支援装置。
【請求項11】
前記表示部は、前記撮影装置による撮影時に撮影者が視認可能な位置に備えられている請求項10に記載の撮影支援装置。
【請求項12】
前記表示部は、前記撮影装置による撮影時に被検者が視認可能な位置に備えられている請求項10に記載の撮影支援装置。
【請求項13】
前記表示部は、前記安定性の評価の基準周期の波形を表示する請求項12に記載の撮影支援装置。
【請求項14】
前記表示部に表示された前記基準周期の波形に基づいて被検者の呼吸を誘導する誘導部を備える請求項13に記載の撮影支援装置。
【請求項15】
前記表示部は、前記対象部位の動態の周期情報の波形、前記対象部位の動態の周期情報の解析結果、及び/又は前記評価部による安定性の評価結果に基づく本撮影の開始又は継続の可否を示す情報を表示する請求項10又は11に記載の撮影支援装置。
【請求項16】
前記表示部は、本撮影中に前記生体情報取得部により取得された前記対象部位の動態の周期情報の波形と、前記基準周期に基づく波形を同時に表示する請求項13又は14に記載の撮影支援装置。
【請求項17】
前記評価部による評価結果に基づいて、本撮影開始の可否を通知する通知部を備える請求項1~16のいずれか一項に記載の撮影支援装置。
【請求項18】
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置と、
請求項1~17のいずれか一項に記載の撮影支援装置と、
を備える放射線撮影システム。
【請求項19】
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置による撮影を支援するコンピューターを、
被検者の
体温、発汗量のうち一つ以上の生体情報を前記撮影装置による本撮影開始前から取得する生体情報取得部、
前記生体情報取得部により取得された生体情報に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する評価部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項20】
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置による撮影を支援するコンピューターを、
本撮影開始前に本撮影よりも低線量で前記撮影装置に胸部の動態画像を取得させる制御部、
前記対象部位が心臓である場合に、被検者の生体情報として、前記撮影装置により撮影された前記胸部の動態画像から心壁の動き又は血管径の変動の周期情報を取得する生体情報取得部、
前記生体情報取得部により取得された前記周期情報を解析する解析部、
前記周期情報の解析結果に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する評価部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影支援装置、放射線撮影システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルム/スクリーンや輝尽性蛍光体プレートを用いた被写体の放射線による静止画撮影及び診断に対し、FPD(flat panel detector)等の半導体イメージセンサーを利用して被写体の動態画像を撮影し、診断に応用する試みがなされるようになってきている。具体的には、半導体イメージセンサーの画像データの読取・消去の応答性の速さを利用し、半導体イメージセンサーの読取・消去のタイミングと合わせて放射線源からパルス状の放射線を連続照射し、1秒間に複数回の撮影を行って、被写体の動態を撮影する。
【0003】
動態撮影を支援するための各種技術も提案されている。例えば、特許文献1には、胸部を動態撮影する際に、「息を吸って」及び「息を吐いて」等の呼吸誘導を出力し、患者が呼吸誘導に従った呼吸サイクルの呼吸を行っていることを確認できた場合に曝射を開始できるようにした放射線撮影システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、患者の呼吸を患者自身の安定した呼吸運動の周期とは異なる、予め定められた呼吸誘導に合わせ込んで動態撮影を行うため、患者の呼吸が普段どおりの安定した状態の動態画像を取得することができなかった。
【0006】
本発明の課題は、周期性を持つ対象部位の動態を撮影する際に動態の周期が安定した状態で動態撮影を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置による撮影を支援する撮影支援装置であって、
被検者の体温、発汗量のうち一つ以上の生体情報を前記撮影装置による本撮影開始前から取得する生体情報取得部と、
前記生体情報取得部により取得された生体情報に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する評価部と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置による撮影を支援する撮影支援装置であって、
本撮影開始前に本撮影よりも低線量で前記撮影装置に胸部の動態画像を取得させる制御部と、
前記対象部位が心臓である場合に、被検者の生体情報として、前記撮影装置により撮影された前記胸部の動態画像から心壁の動き又は血管径の変動の周期情報を取得する生体情報取得部と、
前記生体情報取得部により取得された前記周期情報を解析する解析部と、
前記周期情報の解析結果に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する評価部と、
を備える。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記解析部は、前記対象部位の動態の周期情報を解析して、周期毎に、周波数、周期、振幅、角速度、位相のずれ、波形形状の滑らかさを示す指標のうち一つ以上を取得する。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の発明において、
前記評価部は、機械学習を用いて前記生体情報に基づく前記対象部位の動態の周期の安定性の評価を行う。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記生体情報取得部により取得された生体情報のうち、予め定められた時点の生体情報を基準生体情報として設定する基準生体情報設定部を備え、
前記評価部は、前記生体情報取得部により取得された生体情報と前記基準生体情報との比較に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、
前記生体情報取得部により取得された周期情報から基準周期を設定する基準周期設定部を備え、
前記評価部は、前記解析部から取得された周期情報の解析結果と前記基準周期の周期情報の解析結果との比較に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記周期情報の解析結果の標準的な値の範囲を記憶する記憶部を備え、
前記基準周期設定部は、前記解析部において取得された周期情報の解析結果と前記記憶部に記憶されている前記周期情報の解析結果の標準的な値の範囲との比較に基づいて自動的に前記基準周期を設定する。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記基準周期設定部は、前記生体情報取得部により取得された周期情報に含まれる周期の中からユーザー操作により指定された周期を基準周期として設定する。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項6~8のいずれか一項に記載の発明において、
前記評価部は、本撮影開始前に取得された周期情報の解析結果と前記基準周期の解析結果との比較により本撮影開始前の前記対象部位の動態の周期の安定性を評価し、本撮影中に取得された周期情報の解析結果と前記基準周期の解析結果との比較により本撮影中の前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1~9のいずれか一項に記載の発明において、
前記評価部による前記対象部位の動態の周期の安定性の評価結果を表示する表示部を備える。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、
前記表示部は、前記撮影装置による撮影時に撮影者が視認可能な位置に備えられている。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、
前記表示部は、前記撮影装置による撮影時に被検者が視認可能な位置に備えられている。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、
前記表示部は、前記安定性の評価の基準周期の波形を表示する。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、
前記表示部に表示された前記基準周期の波形に基づいて被検者の呼吸を誘導する誘導部を備える。
【0023】
請求項15に記載の発明は、請求項10又は11に記載の発明において、
前記表示部は、前記対象部位の動態の周期情報の波形、前記対象部位の動態の周期情報の解析結果、及び/又は前記評価部による安定性の評価結果に基づく本撮影の開始又は継続の可否を示す情報を表示する。
【0024】
請求項16に記載の発明は、請求項13又は14に記載の発明において、
前記表示部は、本撮影中に前記生体情報取得部により取得された前記対象部位の動態の周期情報の波形と、前記基準周期に基づく波形を同時に表示する。
【0025】
請求項17に記載の発明は、請求項1~16のいずれか一項に記載の発明において、
前記評価部による評価結果に基づいて、本撮影開始の可否を通知する通知部を備える。
【0026】
請求項18に記載の発明の放射線撮影システムは、
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置と、
請求項1~17のいずれか一項に記載の撮影支援装置と、
を備える。
請求項19に記載の発明のプログラムは、
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置による撮影を支援するコンピューターを、
被検者の体温、発汗量のうち一つ以上の生体情報を前記撮影装置による本撮影開始前から取得する生体情報取得部、
前記生体情報取得部により取得された生体情報に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する評価部、
として機能させる。
請求項20に記載の発明のプログラムは、
周期性を持つ対象部位の動態を放射線撮影して動態画像を取得する撮影装置による撮影を支援するコンピューターを、
本撮影開始前に本撮影よりも低線量で前記撮影装置に胸部の動態画像を取得させる制御部、
前記対象部位が心臓である場合に、被検者の生体情報として、前記撮影装置により撮影された前記胸部の動態画像から心壁の動き又は血管径の変動の周期情報を取得する生体情報取得部、
前記生体情報取得部により取得された前記周期情報を解析する解析部、
前記周期情報の解析結果に基づいて、前記対象部位の動態の周期の安定性を評価する評価部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、周期性を持つ対象部位の動態を撮影する際に動態の周期が安定した状態で動態撮影を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態における放射線撮影システムの全体構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態において
図1の撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理Aを示すフローチャートである。
【
図3】周期情報の解析結果を説明するための図である。
【
図4】記憶部に記憶されている基準周期の条件(周波数、周期、振幅、角速度、位相のズレ、滑らかさを示す指標の標準的な数値範囲)のテーブルの一例を示す図である。
【
図5】ユーザーによる基準周期の指定を模式的に示す図である。
【
図6】(a)は、対象部位の周期が安定している場合の安定性評価画面の一例を示す図、(b)は、対象部位の周期が不安定な場合の安定性評価画面の一例を示す図である。
【
図7】現在取得されている周期情報の波形と同時に基準周期の波形を繰り返して安定性評価画面に表示した例を示す図である。
【
図8】動態画像と周期情報をそれぞれ別の表示部(ディスプレイ)に表示した例を示す図である。
【
図9】撮影時に被検者が視認しやすい位置に動態周期表示用ディスプレイを設けた例を示す図である。
【
図10】動態周期表示用ディスプレイに被検者への呼吸誘導を表示した例を示す図である。
【
図11】第2の実施形態において
図1の撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理Bを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0030】
<第1の実施形態>
〔放射線撮影システム100の構成〕
まず、本発明の第1の実施形態の構成を説明する。
図1に、本実施形態における放射線撮影システム100の全体構成を示す。
図1に示すように、放射線撮影システム100は、撮影装置1と、撮影用コンソール2とが通信ケーブル等により接続され、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3とがLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続されて構成されている。放射線撮影システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
【0031】
〔撮影装置1の構成〕
撮影装置1は、例えば、呼吸運動に伴う肺の膨張及び収縮の形態変化、心臓の拍動等の、周期性(サイクル)を持つ対象部位の動態を撮影する撮影手段である。動態撮影とは、被写体(被検者Mの対象部位)に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体の動態を示す複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。なお、以下の実施形態では、パルス照射により胸部正面の動態撮影を行う場合を例にとり説明する。
【0032】
放射線源11は、被検者Mの対象部位を挟んで放射線検出部13と対向する位置に配置され、放射線照射制御装置12の制御に従って、対象部位に対し放射線(X線)を照射する。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルター種等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射1回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、1回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
【0033】
放射線検出部13は、FPD(Flat Panel Detector)等の半導体イメージセンサーにより構成される。FPDは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源11から照射されて少なくとも被写体を透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリックス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。FPDにはX線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
放射線検出部13は、被検者Mの対象部位を挟んで放射線源11と対向するように設けられている。
【0034】
読取制御装置14は、撮影用コンソール2に接続されている。読取制御装置14は、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて放射線検出部13の各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、放射線検出部13に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データを取得する。この画像データがフレーム画像である。読取制御装置14は、取得したフレーム画像を撮影用コンソール2に出力する。画像読取条件は、例えば、フレームレート、フレーム間隔、画素サイズ、画像サイズ(マトリックスサイズ)等である。フレームレートは、1秒あたりに取得するフレーム画像数であり、パルスレートと一致している。フレーム間隔は、1回のフレーム画像の取得動作開始から次のフレーム画像の取得動作開始までの時間であり、パルス間隔と一致している。
【0035】
ここで、放射線照射制御装置12と読取制御装置14は互いに接続され、互いに同期信号をやりとりして放射線照射動作と画像の読み取りの動作を同調させるようになっている。
【0036】
〔撮影用コンソール2の構成〕
撮影用コンソール2は、撮影装置1による撮影を支援する撮影支援装置であり、放射線照射条件や画像読取条件を撮影装置1に出力して撮影装置1による放射線撮影及び放射線画像の読み取り動作を制御するとともに、撮影装置1により取得された動態画像を撮影技師等の撮影実施者(撮影者)によるポジショニングの確認や診断に適した画像であるか否かの確認用に表示する。また、撮影用コンソール2は、診断用の動態画像を取得するための撮影(本撮影という)の開始前から被検者Mの生体情報を取得して対象部位の動態の周期の安定性を評価し、評価結果を表示する。
【0037】
撮影用コンソール2は、
図1に示すように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
【0038】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部21のCPUは、操作部23の操作に応じて、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って後述する撮影制御処理Aを始めとする各種処理を実行し、撮影用コンソール2各部の動作や、撮影装置1の放射線照射動作及び読み取り動作を集中制御する。制御部21は、評価部、解析部、制御部、基準周期設定部として機能する。
【0039】
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部22は、制御部21で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、
図2に示す撮影制御処理Aを実行するためのプログラムを記憶している。また、記憶部22は、胸部を撮影する場合の放射線照射条件及び画像読取条件を記憶している。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部21は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0040】
操作部23は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部21に出力する。また、操作部23は、表示部24の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部21に出力する。
【0041】
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、操作部23からの入力指示やデータ等を表示する。表示部24は、表示部、通知部、誘導部として機能する。
【0042】
通信部25は、LANアダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0043】
生体情報取得部27は、被検者Mの生体情報を取得して制御部21に出力する。本実施形態で取得される生体情報は、被検者Mの対象部位の動態の変化を表す生体情報であり、例えば、対象部位の動態に伴って変化する生体情報である。例えば、対象部位が肺野である場合、肺野は呼吸運動に伴って動くため、生体情報取得部27として、例えば、呼吸センサー、スパイロメーター、呼吸モニターベルト等の呼吸計測器や、腹部の動きを撮影するカメラ、被検者Mの発生する音(例えば、呼吸音)を収集するマイク等の集音装置等の、呼吸運動を計測する機器を用いることができる。また、対象部位が心臓である場合は、生体情報取得部27としては、例えば、心電計等の、心拍運動を計測する心拍計測器等を用いることができる。また、呼吸運動又は心臓の拍動に付随して動く筋肉を測定する筋電測定器を用いることとしてもよい。なお、生体情報取得部27は、動態撮影時に対象部位に重ならないような位置に取り付けることが好ましい。例えば、心電計の場合は、腕などに取り付けることが好ましい。
【0044】
〔診断用コンソール3の構成〕
診断用コンソール3は、撮影用コンソール2から動態画像を取得し、取得した動態画像や動態画像の解析結果を表示して医師の診断を支援するための放射線画像解析装置である。
診断用コンソール3は、
図1に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0045】
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、診断用コンソール3の各部の動作を集中制御する。
【0046】
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で実行される処理プログラムを始めとする各種プログラムやプログラムによる処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0047】
また、記憶部32には、撮影された動態画像が患者情報(例えば、患者ID、患者の氏名、身長、体重、年齢、性別等)、検査情報(例えば、検査ID、検査日、被写体部位(ここでは、胸部)、撮影方向(正面、側面)等)に対応付けて記憶されている。
【0048】
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
【0049】
表示部34は、LCDやCRT等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種表示を行う。
【0050】
通信部35は、LANアダプターやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0051】
〔放射線撮影システム100の動作〕
次に、本実施形態における上記放射線撮影システム100の動作について説明する。
【0052】
図2に、撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理Aのフローチャートを示す。撮影制御処理は、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0053】
まず、撮影実施者により撮影用コンソール2の操作部23が操作され、被検者Mの患者情報、検査情報の入力が行われる(ステップS1)。なお、撮影実施者は、この入力後、被検者Mの対象部位のポジショニング、生体情報取得部27の被検者Mへの装着、呼吸状態の指示(例えば、安静呼吸の指示)等を行う。
【0054】
次いで、放射線照射条件が記憶部22から読み出されて放射線照射制御装置12に設定されるとともに、画像読取条件が記憶部22から読み出されて読取制御装置14に設定される(ステップS2)。
【0055】
次いで、生体情報取得部27により生体情報が取得される(ステップS3)。
取得された生体情報は、時間情報とともにRAMに記憶される。
【0056】
なお、生体情報取得部としては、生体情報取得部27として挙げたものに限られず、例えば、撮影装置1により胸部を動態撮影して得られた胸部の動態画像から、対象部位が肺野の場合には、肺野面積の変動、横隔膜の動き(横隔膜の基準点の動き)等を計測し、対象部位が心臓の場合には、心壁の動き(心壁の基準点の動き)、肺血管径の変動等を計測して、生体情報として取得することとしてもよい。横隔膜、肺野、心臓等の構造物は、動態画像上においてコントラストがはっきり写るため、本撮影前の生体情報取得時の動態撮影においては、本撮影時に比べて大幅に線量を下げても計測が可能である。そのため、被曝抑制の観点から、制御部21は、本撮影前の生体情報取得時の動態撮影においては本撮影時よりも低線量となるように放射線照射制御装置12を制御して動態撮影を行わせることが好ましい。動態撮影により生体情報を取得する場合、本撮影前から撮影装置1が稼働するため、本撮影前から撮影装置1の稼働に伴う大きな音(モーター音等)が発生する。そのため、本撮影開始時に被検者Mが撮影装置1から発生した音に驚き対象部位の動態の周期の安定性が損なわれる可能性を低減することができる。
【0057】
ここで、肺野面積は、例えば、動態画像の各フレーム画像において、肺野領域を抽出し、抽出した肺野領域内の画素数に画素サイズを乗算することにより求めることができる。肺野領域は、例えば、各画素の信号値のヒストグラムから判別分析によって閾値を求め、この閾値より高信号の領域を肺野領域候補として1次抽出する。次いで、1次抽出された肺野領域候補の境界付近でエッジ検出を行い、境界付近の小領域でエッジが最大となる点を境界に沿って抽出すれば肺野領域の境界を抽出することができる。
【0058】
横隔膜の基準点の位置は、例えば、各フレーム画像において、肺野領域の下側のエッジ部分を横隔膜境界部として抽出し、横隔膜境界部の或るx座標の位置に基準点を設定し、設定した基準点のy座標を取得することにより求めることができる。
【0059】
心壁の基準点の位置は、例えば、各フレーム画像において、心臓の輪郭を抽出し、抽出された心臓輪郭の高さを3等分し、下から1/3の高さの水平線と左心室の心臓輪郭との交点を基準点とし、基準点のx座標を取得することにより求めることができる。なお、心臓の輪郭の抽出は、例えば、特許第2796381号公報に記載の心臓輪郭決定方法等の公知の手法を用いて行うことができる。
【0060】
肺血管径は、各フレーム画像の肺野領域から血管領域を抽出し、抽出した血管領域の幅を求めることにより取得することができる。なお、血管の抽出処理としては、例えば、ヘッセ行列を用いて線状構造物を抽出する方法等を用いることができる(例えば、Qiang Li, “Selective enhancement filters for nodules, vessels, and airway salls in two- and three- dimensional CT scans”, MEDICAL PHYSICS. SEPTEMBER 2003参照)。なお、太さが0.3mm以下の細動脈は認識/追跡が困難であり、また、太い血管に比べて肺野の動きを反映していない。そこで、抽出された肺血管から細動脈を除いて、大動脈、動脈、大静脈、及び/又は静脈上に計測点を設けることが好ましい。
【0061】
次いで、取得された生体情報が表示部24に表示される(ステップS4)。例えば、取得した生体情報が時間軸上にプロットされて表示部24に表示される。
【0062】
次いで、一周期分の生体情報(周期情報)が取得されたか否かが判断される(ステップS5)。ここで、一周期分の生体情報は、対象部位の動態の一周期分の時間変化を表す周期情報である。例えば、生体情報取得部27等から順次取得される生体情報の時間変化(波形)に基づいて、例えば、所定の特徴点(例えば、対象部位が肺野である場合、吸気から呼気の変換点、呼気と吸気の中間点、呼気から吸気の変換点等)のタイミングを一周期の基点とし、次にこの特徴点が検出された場合に、一周期分の生体情報(すなわち、周期情報)が取得されたと判断される。
【0063】
一周期分の生体情報(周期情報)が取得されていないと判断した場合(ステップS5;NO)、処理はステップS3に戻る。
一周期分の生体情報(周期情報)が取得されたと判断した場合(ステップS5;YES)、周期情報が解析され、周波数、周期、振幅、角速度、位相のズレ、滑らかさを示す指標のいずれか一つ以上の解析結果が取得される(ステップS6)。
【0064】
ここで、
図3(a)に示すように、周波数は、1秒間に繰り返す変化(波)の回数である。周期は、ある時点の状態からその状態に戻るまでの時間である。振幅は、最大値と最小値の差である。角速度は、1秒間に進む角度である。位相のズレは、
図3(b)に示すように、各周期(サイクル)の波形の時間的なズレである。滑らかさを示す指標は、例えば、波形上の各点に対して曲率を算出し、各点の曲率が同じ又は一定の割合で変化しているか否かを示す値である。例えば、各点の曲率が同じ又は一定の割合で変化している場合は、滑らかであることを示す所定の指標(例えば、1)、それ以外の場合は、滑らかでないことを示す所定の指標(例えば、0)が出力される。なお、曲率=1/曲率半径であり、曲率半径とは、曲線に最も近似する円(
図3(c)の破線の○)の半径である。
【0065】
次いで、基準周期が設定済みであるか否かが判断される(ステップS7)。ここで、基準周期は、被検者Mから取得した周期情報のうち、周期情報の解析結果が予め定められた標準的な値の範囲内の周期情報である。基準周期が設定済みである場合、制御部21のRAMの所定の領域に基準周期の周期情報(基準波形)及び解析結果が設定されている。
【0066】
基準周期が取得されていないと判断した場合(ステップS7;NO)、周期情報の解析結果に基づいて、取得された周期情報が基準周期の条件を満たすか否かが判断される(ステップS8)。
例えば、基準周期の条件(対象部位の動態が安定している場合の周期情報の解析結果(周波数、周期、振幅、角速度、位相のズレ、滑らかさを示す指標)の標準的な数値範囲)が記憶部22に記憶されており(
図4参照)、取得された周期情報の解析結果と記憶部22に記憶されている数値範囲の比較に基づいて、取得した周期情報が基準周期の条件を満たすか否かが判断される。なお、基準周期の条件としては、周波数、周期、振幅、角速度、位相のズレ、滑らかさを示す指標のうちいずれか一以上であればよく、全てを用いなくてもよい。
【0067】
取得された周期情報が基準周期の条件を満たすと判断した場合(ステップS8;YES)、取得された周期情報が自動的に基準周期として設定される(ステップS9)。
取得された周期情報が基準周期の条件を満たしていないと判断した場合(ステップS8;NO)、ユーザーによる操作部23の操作により、基準周期が指定されたか否かが判断される(ステップS10)。
【0068】
ここで、
図5に示すように、対象部位の動態の周期の安定性が疾患等により常時乱れている場合、全ての周期情報が基準周期の条件を満たさない場合がある。そこで、本実施形態では、表示部24に表示された周期情報(波形)の中から、その被検者Mにしては安定していると思われる周期の波形をユーザーが操作部23により指定できるようになっている。
【0069】
ユーザーによる操作部23の操作により、基準周期が指定されたと判断された場合(ステップS10;YES)、指定された周期情報が基準周期として設定され(ステップS11)、処理はステップS3に戻る。
ユーザーによる操作部23の操作により、基準周期が指定されていないと判断された場合(ステップS10;NO)、処理はステップS3に戻る。
【0070】
一方、ステップS7において、基準周期が設定済みであると判断されると(ステップS7;YES)、取得された周期情報の解析結果が基準周期の解析結果と比較される(ステップS12)。
【0071】
比較の結果、取得された周期情報の解析結果と基準周期の解析結果の差が予め定められた閾値を超えていると判断された場合(ステップS13;NO)、対象部位の動態の周期が不安定であると評価され、対象部位の動態の周期が不安定である旨が表示部24に表示され(ステップS14)、処理はステップS3に戻る。なお、ステップS14においては、本撮影が不可であることを通知するメッセージを併せて表示することが好ましい。
【0072】
比較の結果、取得された周期の解析結果と基準周期の解析結果の差が予め定められた閾値以下であると判断された場合(ステップS13;YES)、対象部位の動態の周期が安定していると評価され、対象部位の動態の周期が安定している旨が表示部34に表示され(ステップS15)、処理はステップS16に移行する。なお、ステップS15においては、本撮影が可能であることを通知するメッセージ(本撮影開始を促すメッセージ)を併せて表示することが好ましい。
【0073】
このように、本実施形態では、被検者M自身の対象部位の動態の周期の中から安定した周期を基準周期として設定し、生体情報取得部27により順次取得される周期情報を基準周期と比較することにより対象部位の動態の周期の安定性を評価する。そして、対象部位の動態の周期が不安定である場合には、不安定である旨や本撮影が不可であることを通知するメッセージを表示し、安定している場合には、安定している旨や本撮影開始を促すメッセージを表示する。したがって、緊張などの要因により対象部位の動態の周期が被検者Mにとって安定した状態とは異なる不安定な状態で本撮影が開始されることを防止し、再撮影による被検者Mの無駄な被曝や作業効率の低下を抑制することができる。また、対象部位の動態の周期が被検者Mにとって安定している状態の動態画像を取得することが可能となる。
【0074】
ここで、ステップS11においてユーザー操作により基準周期が設定された場合、ステップS9において自動的に基準周期が設定された場合よりもステップS13で用いる閾値を広げて、対象部位の動態の周期が安定しているか否かの判断基準を緩めることで、被検者Mの個人に応じた安定性の評価が可能となる。
【0075】
なお、被検者Mの患者IDに対応付けて、過去に設定された基準周期の情報(周期情報(波形)や解析結果)を記憶部22に記憶しておき、記憶部22に記憶されている、過去に同一被検者の同一対象部位に対して設定された基準周期をそのまま基準周期として設定してもよい。
【0076】
ステップS16においては、操作部23により放射線照射指示が入力されたか否かが判断される(ステップS16)。
操作部23により放射線照射指示が入力されていないと判断された場合(ステップS16;NO)、処理はステップS3に戻り、ステップS3~S16が繰り返し実行される。
操作部23により放射線照射指示が入力されたと判断された場合(ステップS16;YES)、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影開始指示が出力され、動態撮影(本撮影)が開始される(ステップS17)。即ち、放射線照射制御装置12に設定されたパルス間隔で放射線源11により放射線が照射され、放射線検出部13によりフレーム画像が取得される。なお、本撮影により取得されたフレーム画像は順次撮影用コンソール2に入力され、撮影順を示す番号(フレーム番号)と対応付けて記憶部22に記憶されるとともに、表示部24に表示される。
【0077】
次いで、生体情報取得部27により生体情報が取得される(ステップS18)。取得された生体情報は、時間情報とともにRAMに記憶される。なお、生体情報の取得は、生体情報取得部27から取得するものに限られず、ステップS3で説明したように、例えば、撮影装置1により得られた動態画像から肺野面積の変動、横隔膜の動き、心壁の動き、肺血管径の変動等を計測し、生体情報として取得することとしてもよい。
【0078】
次いで、取得された生体情報が表示部24に表示される(ステップS19)。例えば、取得した生体情報が時間軸上にプロットされた波形が表示部24に表示される。このとき、本撮影開始のタイミングを波形上に表示する、或いは、本撮影開始前に取得された波形と本撮影中に取得された波形の色を変える、説明を表示する等により、本撮影前に取得された波形と本撮影中に取得された波形とを識別可能に表示することが好ましい。これにより、本撮影中の対象部位の動態の周期が安定しているか否かを撮影実施者が容易に認識することができる。
【0079】
次いで、一周期分の生体情報(周期情報)が取得されたか否かが判断される(ステップS20)。ステップS20の判断手法は、ステップS5で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0080】
一周期分の生体情報(周期情報)が取得されていないと判断した場合(ステップS20;NO)、処理はステップS18に戻る。
一周期分の生体情報(周期情報)が取得されたと判断した場合(ステップS20;YES)、周期情報が解析され、周波数、周期、振幅、角速度、位相のズレ、滑らかさを示す指標のいずれか一つ以上の解析結果が取得される(ステップS21)。ステップS21における解析は、ステップS6で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0081】
次いで、取得された周期情報の解析結果が基準周期の解析結果と比較される(ステップS22)。
【0082】
比較の結果、取得された周期の解析結果と基準周期の解析結果の差が予め定められた閾値以下であると判断された場合(ステップS23;YES)、対象部位の動態の周期が安定していると評価され、対象部位の動態の周期が安定している旨が表示部24に表示され(ステップS24)、処理はステップS26に移行する。なお、ステップS24においては、本撮影の継続が可能であることを通知するメッセージを併せて表示することとしてもよい。
【0083】
比較の結果、取得された周期の解析結果と基準周期の解析結果の差が予め定められた閾値を超えていると判断された場合(ステップS23;NO)、対象部位の動態の周期が不安定であると判断され、対象部位の動態の周期が不安定である旨が表示部34に表示され(ステップS25)、処理はステップS26に移行する。なお、ステップS25においては、本撮影の継続が不可であることを通知するメッセージ(撮影停止を促すメッセージ)を併せて表示することが好ましい。
【0084】
このように、本実施形態では、被検者M自身の対象部位の動態の周期の中から安定した周期を基準周期として設定し、本撮影中に順次生体情報取得部27により取得される周期情報を基準周期と比較することにより対象部位の動態の周期の安定性を評価する。そして、対象部位の動態の周期が不安定である場合には、不安定である旨や本撮影の継続が不可であることを通知するメッセージ(撮影停止を促すメッセージ)を表示し、安定している場合には、安定している旨を表示する。したがって、緊張などの要因により対象部位の動態の周期が被検者Mにとって安定した状態とは異なる不安定な状態となったときにそのまま本撮影が継続されることを防止し、被検者Mの無駄な被曝や作業効率の低下を抑制することができる。また、対象部位の動態の周期が被検者Mにとって安定している状態の動態画像を取得することが可能となる。
【0085】
ステップS26においては、動態撮影が終了したか否かが判断される(ステップS26)。例えば、予め定められたフレーム数の撮影が終了した場合や、操作部23により撮影停止が指示された場合、動態撮影が終了したと判断される。
動態撮影が終了していないと判断された場合(ステップS26;NO)、処理はステップS18に戻り、ステップS18~ステップS26の処理が繰り返し実行される。動態撮影が終了したと判断された場合(ステップS26;YES)、撮影制御処理Aは終了する。
【0086】
図6(a)は、ステップS24において表示部24に表示される安定性評価画面241の一例を示す図、
図6(b)は、ステップS25において表示部24に表示される安定性評価画面241の一例を示す図である。
図6(a)、(b)に示すように、安定性評価画面241には、撮影装置1において取得されたリアルタイムの動態画像241aと、現在までに取得された生体情報(波形)241bと、直近に取得された(リアルタイムの)周期情報の解析結果241cと、直近に取得された(リアルタイムの)安定性の評価結果241dと、が表示される。
【0087】
上述のように、周期情報241bには、基準周期をその他の周期の波形と異なる色で表示する、説明を表示する等により、基準周期の波形とその他の周期の波形が識別可能に表示される。また、周期情報241bには、本撮影開始のタイミングTを波形上に表示する、本撮影開始前に取得された波形と本撮影開始後(本撮影中)に取得された波形の色を変える、説明を表示する等により、本撮影開始前に取得された波形と本撮影中に取得された波形とが識別可能に表示される。周期情報の解析結果241cには、少なくとも基準周期の解析結果及び最新の周期情報の解析結果と、その差分値が表示され、新しい周期情報が取り込まれる毎に値が更新される。
【0088】
本撮影中に不安定な波形が発生した場合には、
図6(b)に示すように、安定性の評価結果241dにその旨が表示されるとともに、周期情報241bにおいて不安定な波形を安定した波形とは異なる色で表示する、説明を表示する等により、安定した波形と識別可能に表示される。このとき、同時に表示部24の画面を点滅する、警告音を発生させる等により不安定な波形となったことを撮影実施者に通知することが好ましい。また、周期情報の解析結果241cにおいて、不安定と判定された解析結果項目の文字の色や表の枠の線の色を変更して表示することが好ましい。
【0089】
このように、安定性評価画面241においては、被検者Mの本人の対象部位の動態から取得した安定時の基準周期の波形と、生体情報取得部27により取得された対象部位の動態の周期情報の波形が表示されるので、撮影実施者は、現在の対象部位の動態の周期の状態を基準周期との比較により直感的に把握することが可能となる。また、本撮影開始前の波形と本撮影中の波形とが識別可能に表示されるので、撮影実施者は、本撮影中の対象部位の動態の周期が安定しているか否かを容易に把握することが可能となる。また、基準周期の解析結果と最新の周期の解析結果及びその差分値が数値で表示されるので、基準周期との差異を数値で確認することができる。
また、不安定な波形が発生した場合には、その旨が表示される他、不安定な周期の波形が安定した周期の波形とは異なる色等で表示され、不安定と判定された解析結果項目の文字や色が変更されるので、基準周期と取得された周期がどのように異なっているのか、どの項目が不安定なのかを容易に把握することができる。
【0090】
なお、安定時の基準周期と現在取得されている周期との差異をわかりやすくするために、少なくとも動態撮影中は、
図7に示すように、現在取得されている周期の波形と同時に基準周期の波形を繰り返して安定性評価画面241に表示することとしてもよい。これにより、撮影実施者は、基準周期と現在取得されている周期との差異をより容易に把握することが可能となる。
【0091】
また、
図8に示すように、安定性評価画面241の動態画像241aと周期情報241bをそれぞれ別の表示部(ディスプレイ)に表示してもよい。これにより、例えば、表示部24の画面サイズが小さい場合であっても、対象部位の動態の周期の視認性の低下を防止することができる。
【0092】
また、
図9に示すように、例えば、撮影台や撮影台の後ろ等の、撮影時に被検者Mが視認しやすい位置に動態周期表示用ディスプレイ242を設けておき、制御部21は、取得した生体情報(対象部位の動態の周期情報)の波形を表示部24だけでなく、動態周期表示用ディスプレイ242にもリアルタイムで表示することとしてもよい。これにより、被検者Mも対象部位の動態が安定した状態となっているかを認識することができる。
【0093】
また、対象部位が主に肺である場合、制御部21は、被検者Mの呼吸安定時の周期である基準周期の波形を繰り返し動態周期表示用ディスプレイ242に表示して、被検者Mの安定した呼吸を誘導することとしてもよい。例えば、横隔膜の動きを生体情報として取得した場合、
図10に示すように、基準周期の波形を繰り返し表示した波形上に、呼吸周期の現在位置Pを表示するとともに、波形の上昇中には「呼気:ゆっくり息を吐いてください」、波形の下降中には「吸気:ゆっくり息を吸ってください」との呼吸誘導を動態周期表示用ディスプレイ242に表示する。または、撮影用コンソール2に音声出力部を備える構成とし、現在の波形位置に応じてオートボイスにより呼吸誘導を行うこととしてもよい。具体的には、波形の上昇中には「呼気:ゆっくり息を吐いてください」、波形の下降中には「吸気:ゆっくり息を吸ってください」との呼吸誘導をオートボイスにより出力する。基準周期は本撮影前に取得されているため、基準周期の波形の上昇/下降に合わせて所望の音声が自動で出力されるように予め設定しておき、波形位置Pに応じた呼吸誘導をオートボイスにより出力する。呼吸誘導の表示と音声とを組み合わせてもよい。さらに、呼気位相と吸気位相に合わせて画面の色及び/又は波形の色を変えたり、呼吸のアニメーション動画を表示したりしてもよい。
【0094】
このように、被検者M自身の生体情報から取得した基準周期により呼吸を誘導することで、被検者Mが緊張により不安定な呼吸周期を示している場合に、普段どおりの安定した呼吸周期に誘導することが可能となる。また、従来の呼吸誘導では、被検者自身の呼吸周期ではない情報を用いて誘導を行っていたため、被検者Mの安定した呼吸周期とは異なる周期に誘導してしまう問題があったが、被検者M自身の呼吸周期から取得した基準周期基づき呼吸誘導を行うことで、普段どおりの被検者Mの安定した呼吸周期に誘導することが可能となる。
【0095】
動態撮影が終了すると、動態撮影で取得された一連のフレーム画像のそれぞれに、動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、検査情報、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)等の情報が付帯され(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信される。
【0096】
診断用コンソール3においては、撮影用コンソール2から動態画像の一連のフレーム画像が受信されると、受信した動態画像が患者情報や検査情報と対応付けて記憶部32に記憶される。そして、操作部33により動態画像が選択され、表示が指示されると、制御部31により、選択された動態画像が記憶部32から読み出されて表示部34に表示される。また、操作部33により動態画像が選択され、解析が指示されると、制御部31により、選択された動態画像が記憶部32から読み出されて解析処理が施され、解析結果が表示部34に表示される。胸部動態画像の解析としては、例えば、特開2012-110451号公報に記載の換気解析や血流解析等を挙げることができる。
【0097】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態において、撮影用コンソール2の記憶部22には、
図11に示す撮影制御処理Bを実行するためのプログラムが記憶されている。
【0098】
また、第2の実施形態における生体情報取得部27は、被検者Mの体温、発汗量、体の揺れ量、呼吸数、心拍数等の一つ以上の生体情報を取得して制御部21に出力する。第2の実施形態における生体情報取得部27としては、例えば、体温計、発汗計、振動測定センサーや、呼吸センサー、スパイロメーター、呼吸モニターベルト等の呼吸計測器、腹部の動きを撮影するカメラ、呼吸音計測、心電図等を用いることができる。
【0099】
その他の第2の実施形態の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を省略し、以下、第2の実施形態の動作について説明する。
【0100】
図11に、第2の実施形態において撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理Bのフローチャートを示す。撮影制御処理Bは、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0101】
まず、撮影実施者により撮影用コンソール2の操作部23が操作され、被検者Mの患者情報、検査情報の入力が行われる(ステップS31)。なお、撮影実施者は、この入力後、被検者Mのポジショニングや呼吸状態の指示(例えば、安静呼吸の指示)等を行う。
【0102】
次いで、放射線照射条件が記憶部22から読み出されて放射線照射制御装置12に設定されるとともに、画像読取条件が記憶部22から読み出されて読取制御装置14に設定される(ステップS32)。
【0103】
次いで、生体情報取得部27により生体情報が取得される(ステップS33)。
例えば、被検者Mの体温、発汗量、体動、呼吸数、心拍数等の一つ以上の生体情報が取得される。
【0104】
次いで、取得した生体情報に基づいて、対象部位の動態の周期の安定性が評価される(ステップS34)。
ステップS34においては、AI(人工知能:Artificial Intelligence)を用いて被検者Mの体温、発汗量、体動、呼吸数、心拍数等の一つ以上の生体情報に基づき被検者Mの緊張度が判定される。そして、緊張度が高いと呼吸周期や心拍周期が安定しない(すなわち、肺や心臓の動態が安定しない)ことから、この緊張度が所定の閾値以下であれば対象部位が安定していると評価され、緊張度が所定の閾値を超えている場合は対象部位が不安定であると評価される。
AIとしては、例えば、機械学習の一分野であるディープラーニングを用いることができる。例えば、一の生体情報又は複数の生体情報の組み合わせとその生体情報を取得したときの被検者の緊張度の対応関係をディープラーニングに学習させておき、ステップS34においては、取得した生体情報をディープラーニングに入力して被検者Mの緊張度を取得することとしてもよい。
【0105】
次いで、対象部位の動態の周期の安定性の評価結果が安定であるか否かが判断される(ステップS35)。
安定性の評価結果が不安定であると判断された場合(ステップS35;NO)、対象部位の動態の周期が不安定である旨が表示部24に表示され(ステップS36)、処理はステップS33に戻る。なお、ステップS33においては、本撮影が不可であることを通知するメッセージを併せて表示することが好ましい。
このように、対象部位の動態の周期が不安定であると評価された場合に、その旨を表示するので、対象部位の動態の周期が不安定な状態で本撮影を行ってしまうことを防止することができ、再撮影による被検者Mの無駄な被曝や作業効率の低下を抑制することができる。
【0106】
安定性の評価結果が安定であると判断された場合(ステップS35;YES)、対象部位の動態の周期が安定している旨が表示部34に表示され(ステップS37)、処理はステップS38に移行する。なお、ステップS37においては、本撮影が可能であることを通知するメッセージ(本撮影開始を促すメッセージ)を併せて表示することが好ましい。
このように、対象部位の動態の周期が安定していると評価した場合に、その旨を表示して本撮影開始を促すので、対象部位の動態周期が安定している状態の動態画像を取得することが可能となる。
【0107】
ステップS38においては、操作部23により放射線照射指示が入力されたか否かが判断される(ステップS38)。
操作部23により放射線照射指示が入力されたと判断された場合(ステップS38;YES)、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影開始指示が出力され、動態撮影(本撮影)が開始される(ステップS39)。即ち、放射線照射制御装置12に設定されたパルス間隔で放射線源11により放射線が照射され、放射線検出部13によりフレーム画像が取得される。なお、本撮影により取得されたフレーム画像は順次撮影用コンソール2に入力され、撮影順を示す番号(フレーム番号)と対応付けて記憶部22に記憶されるとともに、表示部24に表示される。
【0108】
次いで、生体情報取得部27により生体情報が取得され(ステップS40)、取得された生体情報に基づいて、対象部位の動態の周期の安定性が評価される(ステップS41)。ステップS41における安定性評価手法は、ステップS34において説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0109】
次いで、安定性の評価結果が安定であるか否かが判断される(ステップ42)。
安定性の評価結果が安定であると判断された場合(ステップS42;YES)、対象部位の動態の周期が安定している旨が表示部24に表示され(ステップS43)、処理はステップS45に移行する。なお、ステップS43においては、本撮影の継続が可能であることを通知するメッセージを併せて表示することとしてもよい。
安定性の評価結果が不安定であると判断された場合(ステップS42;NO)、対象部位の動態の周期が不安定である旨が表示部34に表示され(ステップS44)、処理はステップS45に移行する。なお、ステップS44においては、本撮影の継続が不可であることを通知するメッセージ(撮影停止を促すメッセージ)を併せて表示することが好ましい。
【0110】
このように、本撮影中に対象部位の動態の周期が不安定となった場合に、その旨を表示するとともに、撮影停止を促すので、対象部位の動態の周期が不安定な状態での撮影の続行を防止し、被検者Mの無駄な被曝や作業効率の低下を抑制することができる。また、対象部位の動態の周期が安定している状態の動態画像を取得することが可能となる。
【0111】
ステップS45においては、動態撮影が終了したか否かが判断される(ステップS45)。例えば、予め定められたフレーム数の撮影が終了した場合や、操作部23により撮影停止が指示された場合、動態撮影が終了したと判断される。
動態撮影が終了していないと判断された場合(ステップS45;NO)、処理はステップS40に戻り、ステップS40~ステップS45の処理が繰り返し実行される。動態撮影が終了したと判断された場合(ステップS45;YES)、撮影制御処理Bは終了する。
【0112】
動態撮影が終了すると、動態撮影で取得された一連のフレーム画像のそれぞれに、動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、検査情報、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)等の情報が付帯され(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信される。
【0113】
診断用コンソール3における動作は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0114】
上記撮影制御処理Bにおいては、AIを用いて生体情報に基づき対象部位の動態の安定性を評価する例について説明したが、予め定められた時点の生体情報を基準生体情報として設定し、設定した基準生体情報と、生体情報取得部27により取得された生体情報とを比較し、比較結果に基づいて、対象部位の動態の安定性を評価してもよい。予め定められた時点とは、例えば、生体情報の取得を開始してから所定時間経過した時点としてもよいし、基準生体情報の条件(対象部位の動態が安定している場合の生体情報の標準的な数値範囲)のテーブルを記憶部22に記憶しておき、生体情報取得部27から取得された生体情報が基準生体情報の条件を満たした時点としてもよい。
【0115】
以上説明したように、撮影用コンソール2の制御部21によれば、生体情報取得部27により被検者の生体情報を撮影装置1による本撮影開始前から取得し、取得された生体情報に基づいて、周期性を持つ対象部位の動態の周期の安定性を評価する。
したがって、撮影実施者は、周期性を持つ対象部位の動態を撮影する際に、対象部位の動態の周期の安定性の評価結果を確認して、動態の周期が安定した状態で動態撮影を行うことが可能となる。
【0116】
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0117】
例えば、上記第1の実施形態では、対象部位の動態の周期情報の解析結果に基づいて、対象部位の動態の周期の安定性を評価することとして説明したが、対象部位が肺野である場合、肺野の面積や横隔膜の動きの周期情報の解析結果に基づいて、呼吸の種類(安静呼吸、深呼吸又は息止め)を判定し、判定結果を表示部24に表示することとしてもよい。例えば、制御部21は、横隔膜の動きの周期情報(波形)の振幅が0.2cm以上1.3cm未満である場合、安静呼吸であると判定し、1.3cm以上である場合、深呼吸であると判定し、0.2cm未満である場合、息止めであると判定する。これにより、撮影実施者は、被検者が所望の呼吸を行うことができているか否かを容易に認識することが可能となる。
【0118】
また、本撮影開始前と本撮影開始後とに取得される周期情報は、同一の周期情報であれば異なる生体情報取得部27で取得されたものであってもよい。例えば、本撮影開始前は呼吸センサーにより肺の動きの周期情報に相当する呼吸周期情報を取得し、本撮影開始後は動態画像から肺の動態の周期情報に相当する横隔膜の動きの周期情報を取得してもよい。
【0119】
また、取得した対象部位の動態の周期情報の解析結果に基づいて安定性の評価を行う場合、基準周期の周期情報の解析結果と取得した周期情報の解析結果の比較に基づいて行うこととして説明したが、AIを用いて、取得した対象部位の動態の周期情報に基づいて安定性の評価を行うこととしてもよい。
【0120】
また、上記実施形態においては、肺野や心臓の動態が対象部位である場合を例にとり説明したが、関節等の、他の部位としてもよい。
【0121】
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0122】
その他、放射線撮影システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0123】
100 放射線撮影システム
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
26 バス
27 生体情報取得部
3 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス