(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】プロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20221004BHJP
H04N 17/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
H04N5/74 D
H04N17/00 G
(21)【出願番号】P 2018063453
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 明彦
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-166893(JP,A)
【文献】特開2017-138776(JP,A)
【文献】特開2015-159524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/74
H04N 9/31
H04N 17/00
G03B 21/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクターであって、
光源と、面状に配置された画素により画像を形成して前記光源が発する光を変調する変調部とを備え、投射面に画像を投射する投射部と、
前記投射面の少なくとも一部を含む範囲を撮像する撮像部と、
前記投射部によって、位置特定用のマークが配置されたキャリブレーション画像を投射させて、前記撮像部の撮像画像から前記マークを検出することによりキャリブレーションを実行するキャリブレーション処理部と、
前記投射面に対する前記プロジェクターの設置状態に関する情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記プロジェクターの設置状態に対応するキャリブレーション画像を生成する画像生成部と、を備え、
前記画像生成部は、前記投射面に投射された前記キャリブレーション画像を撮像した前記撮像画像において、前記マークが直交する辺を有する形状となるように、前記キャリブレーション画像を生成し、また、前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記撮像画像における前記マークの配置を決定し、前記撮像画像における前記マークの座標を前記変調部における座標に変換することにより、前記キャリブレーション画像を生成し、
前記キャリブレーション処理部は、前記画像生成部により生成された前記キャリブレーション画像を前記投射部により投射させて、キャリブレーションを実行する、プロジェクター。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記投射部が投射する投射画像の隅部に位置する前記マークが直交する辺を有する形状となるように、前記キャリブレーション画像を生成する、請求項
1記載のプロジェクター。
【請求項3】
前記画像生成部は、設定された数の前記マークを含む前記キャリブレーション画像を生成し、前記キャリブレーション画像に配置された複数の前記マークの間隔が基準値以下となる場合に、設定された数より少ない前記マークを含む前記キャリブレーション画像を生成する、請求項1
又は2に記載のプロジェクター。
【請求項4】
前記情報取得部が取得する情報は、前記投射面と前記撮像部との相対位置に関する情報を含む、請求項1から
3のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項5】
前記撮像部は、レンズを含む撮像光学系と、撮像素子とを有し、
前記情報取得部が取得する情報は、前記投射面と前記撮像光学系の光軸との相対位置に関する情報を含む、請求項
4記載のプロジェクター。
【請求項6】
前記情報取得部が取得する情報は、前記撮像光学系の光軸と前記撮像素子との相対位置に関する情報を含む、請求項
5記載のプロジェクター。
【請求項7】
前記情報取得部が取得する情報は、前記投射面と、前記投射部と、前記撮像部との相対位置に関する情報を含む、請求項1から
6のいずれか1項に記載のプロジェクター。
【請求項8】
前記投射部は、レンズを含む投射光学系を有し、
前記情報取得部が取得する情報は、前記投射面と、前記投射光学系の光軸と、前記撮像部との相対位置に関する情報を含む、請求項
7記載のプロジェクター。
【請求項9】
光源と、面状に配置された画素により画像を形成して前記光源が発する光を変調する変調部とを備え、投射面に画像を投射する投射部と、前記投射面の少なくとも一部を含む範囲を撮像する撮像部と、を備えるプロジェクターの制御方法であって、
前記投射面に対する前記プロジェクターの設置状態に関する情報を取得し、
取得した情報に基づいて、前記プロジェクターの設置状態に対応するキャリブレーション画像を生成し、
生成された前記キャリブレーション画像を、前記投射部によって投射し、
前記撮像部の撮像画像からマークを検出することによりキャリブレーションを実行
し、
前記キャリブレーション画像を生成することは、
前記投射面に投射された前記キャリブレーション画像を撮像した前記撮像画像において、前記マークが直交する辺を有する形状となるように、前記キャリブレーション画像を生成し、また、取得された情報に基づいて、前記撮像画像における前記マークの配置を決定し、前記撮像画像における前記マークの座標を前記変調部における座標に変換することにより、前記キャリブレーション画像を生成することを含む、
プロジェクターの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、位置特定用のマークを含むキャリブレーション画像を投射し、投射画像を撮影した撮影画像に基づいてキャリブレーションを実行するプロジェクターが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この種のプロジェクターでは、撮像画像におけるマークの形状の歪みなどが原因で、撮像画像からマークを検出する処理が失敗することがあった。このため、キャリブレーションが失敗した場合に、条件を変えてキャリブレーションをやり直す手法が提案された。例えば、特許文献2記載のプロジェクターは、マークの検出が失敗した場合、異なる種類のキャリブレーション画像を使ってキャリブレーションを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-159524号公報
【文献】特開2015-166893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キャリブレーションに要する時間を短縮したいというニーズがあり、キャリブレーションの効率を高めることが望まれていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、プロジェクターが投射画像を撮像してキャリブレーションを行う場合の成功率を高め、効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、プロジェクターであって、投射面に画像を投射する投射部と、前記投射面の少なくとも一部を含む範囲を撮像する撮像部と、前記投射部によって、位置特定用のマークが配置されたキャリブレーション画像を投射させて、前記撮像部の撮像画像から前記マークを検出することによりキャリブレーションを実行するキャリブレーション処理部と、前記投射面に対する前記プロジェクターの設置状態に関する情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記プロジェクターの設置状態に対応するキャリブレーション画像を生成する画像生成部と、を備え、前記キャリブレーション処理部は、前記画像生成部により生成された前記キャリブレーション画像を前記投射部により投射させて、キャリブレーションを実行する。
本発明によれば、プロジェクターの設置状態に対応するキャリブレーション画像を利用するため、キャリブレーションの実行時に、キャリブレーション画像のマークを検出しやすいという利点がある。このため、キャリブレーションの成功率を高めることができ、効率化を実現できる。
【0006】
また、本発明は、前記画像生成部は、前記投射面に投射された前記キャリブレーション画像を撮像した前記撮像画像において、前記マークが直交する辺を有する形状となるように、前記キャリブレーション画像を生成する構成であってもよい。
この構成によれば、撮像画像からキャリブレーション画像のマークを検出しやすいので、マークを検出する処理の成功率を、より一層向上させることができる。
【0007】
また、本発明は、前記画像生成部は、前記投射部が投射する投射画像の隅部に位置する前記マークが直交する辺を有する形状となるように、前記キャリブレーション画像を生成する構成であってもよい。
この構成によれば、撮像画像から投射画像の隅部に位置するマークを容易に検出できるので、キャリブレーションの精度の向上が期待できる。
【0008】
また、本発明は、前記画像生成部は、設定された数の前記マークを含む前記キャリブレーション画像を生成し、前記キャリブレーション画像に配置された複数の前記マークの間隔が基準値以下となる場合に、設定された数より少ない前記マークを含む前記キャリブレーション画像を生成する構成であってもよい。
この構成によれば、キャリブレーション画像に配置するマークの間隔を確保できるので、キャリブレーションの成功率をより一層高めることができる。
【0009】
また、本発明は、前記情報取得部が取得する情報は、前記投射面と前記撮像部との相対位置に関する情報を含む構成であってもよい。
この構成によれば、撮像画像におけるマークの位置や形状に大きな影響を与える投射面と撮像部との相対位置に対応して、キャリブレーション画像を生成できる。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0010】
また、本発明は、前記撮像部は、レンズを含む撮像光学系と、撮像素子とを有し、前記情報取得部が取得する情報は、前記投射面と前記撮像光学系の光軸との相対位置に関する情報を含む構成であってもよい。
この構成によれば、投射面と撮像光学系の光軸との相対位置に対応して、キャリブレーション画像を生成できる。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0011】
また、本発明は、前記情報取得部が取得する情報は、前記撮像光学系の光軸と前記撮像素子との相対位置に関する情報を含む構成であってもよい。
この構成によれば、撮像光学系の光軸と撮像素子との相対位置に対応して、キャリブレーション画像を生成できる。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0012】
また、本発明は、前記情報取得部が取得する情報は、前記投射面と、前記投射部と、前記撮像部との相対位置に関する情報を含む構成であってもよい。
この構成によれば、投射面、投射部及び撮像部の相対位置に対応して、キャリブレーション画像を生成できる。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0013】
また、本発明は、前記投射部は、レンズを含む投射光学系を有し、前記情報取得部が取得する情報は、前記投射面と、前記投射光学系の光軸と、前記撮像部との相対位置に関する情報を含む構成であってもよい。
この構成によれば、投射面、投射光学系の光軸及び撮像部の相対位置に対応して、キャリブレーション画像を生成できる。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0014】
また、本発明は、前記投射部は、光源と、面状に配置された画素により画像を形成して前記光源が発する光を変調する変調部とを備え、前記画像生成部は、前記情報取得部により取得された情報に基づいて、前記撮像画像における前記マークの配置を決定し、前記撮像画像における前記マークの座標を前記変調部における座標に変換することにより、前記キャリブレーション画像を生成する構成であってもよい。
この構成によれば、撮像画像におけるマークの形状が、容易に検出可能な形状となるようなキャリブレーション画像を生成できる。このため、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0015】
また、本発明は、投射面に画像を投射する投射部と、前記投射面の少なくとも一部を含む範囲を撮像する撮像部と、を備えるプロジェクターの制御方法であって、前記投射面に対する前記プロジェクターの設置状態に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記プロジェクターの設置状態に対応するキャリブレーション画像を生成し、生成された前記キャリブレーション画像を、前記投射部によって投射し、前記撮像部の撮像画像からマークを検出することによりキャリブレーションを実行する。
本発明によれば、プロジェクターの設置状態に対応するキャリブレーション画像を利用するため、キャリブレーションの実行時に、キャリブレーション画像のマークを検出しやすいという利点がある。このため、キャリブレーションの成功率を高めることができ、効率化を実現できる。
【0016】
本発明は、上述したプロジェクター、及び、プロジェクターの制御方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、上記の方法を実行するためにコンピューター(或いはプロセッサー)が実行するプログラムとして実現してもよい。また、上記プログラムを記録した記録媒体、プログラムを配信するサーバー装置、上記プログラムを伝送する伝送媒体、上記プログラムを搬送波内に具現化したデータ信号等の形態で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】投射システムを構成するプロジェクター及び指示体のブロック図。
【
図3】キャリブレーション画像と撮像画像との対応例を示す説明図。
【
図4】プロジェクターの動作を示すフローチャート。
【
図5】キャリブレーション画像生成処理のマークに関する処理を示す説明図。
【
図6】プロジェクターの動作を示すフローチャート。
【
図10】キャリブレーション画像生成処理の説明図。
【
図11】キャリブレーション画像生成処理の説明図。
【
図12】キャリブレーション画像の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1.投射システムの概要]
図1は、本発明の一実施形態における投射システム1の斜視図である。投射システム1は、プロジェクター100と、指示体70とを有する。
【0019】
プロジェクター100は、投射対象に画像光を投射して、投射対象の面に画像を形成する。
図1には、プロジェクター100が平面で構成されるスクリーンSC(投射面)に投射する構成例を示す。プロジェクター100が画像を投射する投射対象は平面に限定されず、スクリーンSCは、例えば幕であってもよいし壁面であってもよい。プロジェクター100がスクリーンSCに画像を投射する機能および動作は、表示装置による「表示」に相当する。
図1の構成例では、プロジェクター100はスクリーンSCの上方に設置され、プロジェクター100は下方に向けて画像光を投射し、スクリーンSCに投射画像DPを形成する。スクリーンSCにおいてプロジェクター100の画像光が投射される範囲を、画像投射領域DAとする。画像投射領域DAは、プロジェクター100が投射画像DPを投射できる最大の範囲である。
【0020】
指示体70は、プロジェクター100を操作するユーザーが手に持って使用するペン型のデバイスである。指示体70は、先端に配置されたチップボタン71と、使用者が保持する軸部72と、軸部72に設けられたサイドボタン73とを有する。チップボタン71は、スクリーンSCに押しつけられることでオンになるスイッチである。また、サイドボタン73は、ユーザーが指で押下操作するスイッチである。プロジェクター100は、後述する位置検出ユニット400(
図2)の機能により、スクリーンSCに対して指示体70による位置指示操作が行われた場合に、指示体70により指示された位置を検出する。
【0021】
[2.指示体の構成]
図2は、投射システム1を構成するプロジェクター100と指示体70のブロック図である。
指示体70は、チップボタン71、サイドボタン73、制御部75、赤外線発光部77、及び、赤外線受光部79を備える。制御部75は、指示体70の各部を制御するIC(Integrated Circuit)である。赤外線発光部77は、赤外光領域の光を発するLED(Light Emitting Diode)等の光源を備える。
【0022】
制御部75は、赤外線発光部77を動作させて、周期的に赤外線信号を送信する。赤外線発光部77が送信する赤外線信号は、例えば、指示体70を個体識別するための識別符号を含んでもよい。
【0023】
赤外線受光部79は、後述する位置検出ユニット400が送信する同期用の赤外線信号を受光し、制御部75に出力する。制御部75は、赤外線受光部79により受光する信号に同期して、赤外線発光部77により赤外線信号を送信する。
【0024】
制御部75は、チップボタン71及びサイドボタン73の操作を検出可能に構成される。制御部75は、チップボタン71またはサイドボタン73の操作を検出した場合、赤外線発光部77により送信する赤外線信号に、検出した操作を示す操作データを含ませる。
【0025】
[3.プロジェクターの構成]
プロジェクター100は、投射画像DPを投射する投射ユニット200と、位置検出ユニット400とを有する。本実施形態では、プロジェクター100の筐体に、投射ユニット200と位置検出ユニット400とを収容した構成とするが、位置検出ユニット400を、プロジェクター100の筐体とは別体として構成してもよい。また、投射ユニット200と位置検出ユニット400とは、後述するインターフェイス241、441を介して有線接続される構成として説明するが、無線通信により接続されてもよい。
【0026】
プロジェクター100は、映像ソースとして機能する各種機器に接続され、映像ソースから入力される映像データに基づく画像を投射する。映像ソースは、プロジェクター100に対して表示用のデータを送出する機器であり、DVD(Digital Versatile Disk)プレイヤー等の映像再生装置やパーソナルコンピューター等である。投射ユニット200は、映像ソースとして動作する各種機器に接続可能なインターフェイスを備えているが、ここでは図示を省略する。また、投射ユニット200は、後述する不揮発性メモリー220に記憶する映像データを、映像ソースとすることもできる。
【0027】
投射ユニット200は、プロセッサー210、不揮発性メモリー220、揮発性メモリー230、及び、画像投射部260を備える。また、インターフェイス(I/F)241、光源駆動部242、光変調装置駆動部243、赤外線(IR)受光部244、及び、操作検出部245を備える。
【0028】
プロセッサー210は、CPU(Central Processing Unit)やマイコン等で構成される演算処理装置であり、投射ユニット200の各部を制御し、画像データを含む各種のデータを処理する。プロセッサー210は、不揮発性メモリー220が記憶する制御プログラムを実行することにより、上記の機能を実行する構成であってもよい。この場合、プロセッサー210は、後述する各種の機能を、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現する。プロセッサー210は、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーで構成されてもよい。また、また、プロセッサー210は、後述する各種機能を実装したハードウェアで構成されてもよい。例えば、プロセッサー210を、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)との組合せにより構成してもよい。また、プロセッサー210の機能の全てを、ハードウェアに実装した構成としてもよい。また、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。また、プロセッサー210は、不揮発性メモリー220や揮発性メモリー230の一部または全部、及び、その他の回路と統合されたSoC(System on Chip)で構成されてもよい。プロセッサー210の機能については後述する。
【0029】
不揮発性メモリー220は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶装置であり、磁気的記憶装置、フラッシュROM等の半導体記憶素子、或いはその他の種類の不揮発性記憶装置により構成される。不揮発性メモリー220は、プロセッサー210が処理する設置情報221、パターン生成情報222、キャリブレーション画像データ223を記憶する。
【0030】
揮発性メモリー230は、プロセッサー210により処理されるデータや、プロセッサー210が実行するプログラム等を一時的に記憶する。例えば、揮発性メモリー230は、プロセッサー210が映像データのフレームを展開するフレームバッファーとして機能する。
【0031】
インターフェイス241は、プロセッサー210を位置検出ユニット400に接続するインターフェイスである。インターフェイス241は、位置検出ユニット400が備えるインターフェイス441に接続される。インターフェイス241、441は、USB(Universal Serial Bus)等の汎用インターフェイスを用いることができる。
【0032】
赤外線受光部244は、画像投射部260が画像光を投射する方向からの赤外線信号を受光する。赤外線受光部244は、受光した赤外線信号をデコードして、プロセッサー210に出力する。プロセッサー210は、赤外線受光部244が受光した赤外線信号に基づき、例えば、指示体70におけるチップボタン71やサイドボタン73の操作状態を検出する。
【0033】
操作検出部245は、プロジェクター100の操作パネル(図示略)の操作を検出し、操作を示す操作データをプロセッサー210に出力する。また、操作検出部245は、リモコン(図示略)が送信する赤外線信号を受光してデコードすることにより、リモコンの操作を示す操作データを生成し、プロセッサー210に出力する。
【0034】
画像投射部260(投射部)は、光源261、光変調装置262、及び、投射光学系264を備える。光源261は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ等のランプ、或いは、LED(Light Emitting Diode)やレーザー光源等の固体光源で構成される。光源261は、光源駆動部242から供給される電力により発光する。光源駆動部242は、光源261に駆動電流やパルスを供給する。光源駆動部242は、プロセッサー210の制御に従って、光源261の輝度を調整する機能を有してもよい。
【0035】
光変調装置262は、光源261が発する光を変調して画像光を生成し、画像光を投射光学系264に照射する。光変調装置262は、面状に配置された画素により画像を形成する光変調素子を備える。光変調素子は、透過型の液晶パネル、反射型の液晶パネル、DMD(デジタルミラーデバイス)等を用いることができ、本実施形態では透過型の液晶パネル263を採用した例を示す。液晶パネル263(変調部)は、光変調装置駆動部243により駆動されて画像を形成し、光源261が発した光は液晶パネル263を透過することで変調される。
【0036】
光変調装置駆動部243には、プロセッサー210で処理された画像を表示するための画像信号が入力される。光変調装置駆動部243は、入力される画像信号に基づき、光変調装置262を駆動し、フレーム(画面)単位で画像を描画させる。
【0037】
投射光学系264は、投射レンズ265を含む光学系であり、光変調装置262で変調された光をスクリーンSC上に結像させる。投射光学系264は、1枚の投射レンズ265で構成されてもよいし、複数の投射レンズ265を含むレンズ群を備えてもよく、プリズム等の各種の光学素子を備えてもよい。ここで、投射光学系264の光軸を、光軸AX1として示す。
【0038】
投射光学系264は、ズームレンズやフォーカスレンズ等を備えてもよく、これらのレンズを含むレンズ群を、プロセッサー210の制御に従って動作させるレンズ駆動部(図示略)を備えてもよい。
【0039】
プロセッサー210は、機能部として、投射制御部211、補正処理部212、情報取得部213、画像生成部214、及び、キャリブレーション処理部215を備える。これらの機能部は、プロセッサー210が不揮発性メモリー220からプログラムを読み出して実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0040】
投射制御部211は、光源駆動部242、光変調装置駆動部243、及び、画像投射部260の各部を制御して、映像ソースに基づく映像を、画像投射部260によりスクリーンSCに投射させる。また、投射制御部211は、プロジェクター100がキャリブレーションを実行する場合、不揮発性メモリー220が記憶するキャリブレーション画像データ223に基づき、キャリブレーション画像を、スクリーンSCに投射させる。
【0041】
補正処理部212は、画像投射部260により投射される投射画像DPの幾何補正を実行する。補正処理部212は、投射画像DPの台形歪みや樽形歪みを補正するため、液晶パネル263に形成される画像を、歪みを補償するように変形させる処理を実行する。
【0042】
情報取得部213は、プロジェクター100の設置状態に関する情報を取得し、不揮発性メモリー220に設置情報221として記憶させる。情報取得部213は、例えば、インターフェイス241を介して、位置検出ユニット400から情報を取得する。この場合、設置情報221は、位置検出ユニット400から取得される位置情報422等を含む。また、情報取得部213は、リモコン(図示略)や操作パネル(図示略)の操作に基づき、情報を取得してもよい。また、投射ユニット200が、図示しない通信装置を備える構成である場合、情報取得部213は、通信装置により外部の装置とデータ通信を実行して、情報を取得してもよい。情報取得部213が取得する情報の詳細は後述する。
【0043】
画像生成部214は、情報取得部213が取得した設置情報221に基づき、キャリブレーション画像を投射するためのキャリブレーション画像データ223を生成する。画像生成部214は、パターン生成情報222を利用して、所定色の背景に複数のマークを配置したキャリブレーション画像データ223を生成する。パターン生成情報222は、キャリブレーション画像データ223に含まれるマークの形状や配置のルールに関する情報を含む。
【0044】
キャリブレーション処理部215は、画像生成部214が生成したキャリブレーション画像データ223を利用して、キャリブレーションを実行する。
【0045】
位置検出ユニット400は、プロセッサー410、不揮発性メモリー420、揮発性メモリー430、及び、撮像部460を備える。また、インターフェイス(I/F)441、及び、赤外線(IR)発光部442を備える。
【0046】
プロセッサー410は、CPUやマイコン等で構成される演算処理装置であり、位置検出ユニット400の各部を制御し、画像データを含む各種のデータを処理する。プロセッサー410は、不揮発性メモリー420が記憶する制御プログラムを実行することにより、上記の機能を実行する構成であってもよい。この場合、プロセッサー410は、後述する各種の機能を、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現する。プロセッサー410は、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーで構成されてもよい。また、また、プロセッサー410は、後述する各種機能を実装したハードウェアで構成されてもよい。例えば、プロセッサー410を、プログラムを実行するCPUと、所定の演算処理を実行するDSPとで構成してもよい。また、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。また、プロセッサー410は、不揮発性メモリー420や揮発性メモリー430の一部または全部、及び、その他の回路と統合されたSoCで構成されてもよい。プロセッサー410の機能については後述する。
【0047】
不揮発性メモリー420は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶装置であり、磁気的記憶装置、フラッシュROM等の半導体記憶素子、或いはその他の種類の不揮発性記憶装置により構成される。不揮発性メモリー420は、プロセッサー410が処理するパラメーター421、及び、位置情報422を記憶する。
【0048】
揮発性メモリー430は、プロセッサー410により処理されるデータや、プロセッサー410が実行するプログラム等を一時的に記憶する。例えば、揮発性メモリー430は、撮像部460が撮像した撮像画像を撮像画像データとして一時的に格納するバッファーとして機能する。
【0049】
インターフェイス441は、インターフェイス241に接続され、プロセッサー410を投射ユニット200に接続する。
【0050】
撮像部460は、所定の撮像範囲(画角)を撮像して撮像画像データを出力するデジタルカメラである。撮像部460の撮像範囲は、スクリーンSCの少なくとも一部を含み、望ましくは画像投射領域DAを含む。位置検出ユニット400が投射ユニット200とは別体として構成される場合、位置検出ユニット400は、撮像部460の撮像範囲が画像投射領域DAを含むように設置される。
【0051】
撮像部460は、撮像光学系461、フィルター切換部463、及び撮像素子466を備える。撮像光学系461は、撮像レンズ462を含む光学系であり、画角内の光を集光して撮像素子466に向けて導く。撮像光学系461は、1枚の撮像レンズ462で構成されてもよいし、複数の撮像レンズ462を含むレンズ群を備えてもよく、プリズム等の各種の光学素子を備えてもよい。撮像レンズ462は、画像投射領域DAの全体を含む広い範囲を撮像できるように、広角レンズや魚眼レンズで構成されることが好ましい。ここで、撮像光学系461の光軸を、光軸AX2として示す。
【0052】
撮像光学系461は、ズームレンズやフォーカスレンズ等を備えてもよく、これらのレンズを含むレンズ群を、プロセッサー410の制御に従って動作させるレンズ駆動部(図示略)を備えてもよい。
【0053】
撮像素子466は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーやCMOS(Complementary MOS)イメージセンサーで構成される。撮像素子466は、撮像光学系461により集光された光を受光して、受光信号を出力する。また、撮像素子466は、受光信号をイメージデータに変換して、撮像画像データを生成する回路を備えてもよい。
【0054】
フィルター切換部463は、可視光透過フィルター464、及び、赤外光透過フィルター465を備える。可視光透過フィルター464は、可視光領域の光を透過するフィルターであり、可視光領域外の光の少なくとも一部を透過させないよう構成される。また、赤外光透過フィルター465は、赤外領域の光を透過するフィルターであり、赤外領域外の光の少なくとも一部を透過させないよう構成される。
【0055】
フィルター切換部463は、撮像光学系461と撮像素子466との間の光路上に配置される。フィルター切換部463は、プロセッサー410の制御に従って、可視光透過フィルター464、及び赤外光透過フィルター465を、それぞれ、光路に進入および退出させることが可能である。例えば、プロセッサー410が、撮像画像データに基づき指示体70の指示位置を検出する場合、指示体70が発する赤外光を撮像するため、赤外光透過フィルター465が使用される。また、プロセッサー410が、投射ユニット200の投射画像DPを撮像した撮像画像データを処理する場合、画像投射部260が投射する可視光の画像を撮像するため、可視光透過フィルター464が使用される。
【0056】
撮像部460は、フィルター切換部463の可視光透過フィルター464を透過した可視光を撮像素子466により受光して撮像する動作と、赤外光透過フィルター465を透過した赤外光を撮像素子466により受光して撮像する動作とを実行する。
【0057】
プロセッサー410は、機能部として、撮像処理部411、画像処理部412、クロス検出部413、及び、位置特定部414を備える。これらの機能部は、プロセッサー410が不揮発性メモリー420からプログラムを読み出して実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0058】
撮像処理部411は、撮像部460を制御して、画像投射領域DAを含む範囲を撮像させ、撮像画像データを取得する。撮像処理部411は、フィルター切換部463の可視光透過フィルター464、及び赤外光透過フィルター465の切り換え、撮像素子466による撮像のタイミング、シャッター速度や露出の調整等の処理を行ってもよい。
【0059】
画像処理部412は、撮像処理部411の制御により取得された撮像画像データに対し、明るさ調整、コントラスト調整、減色等の画像処理を実行する。
【0060】
クロス検出部413は、プロジェクター100がキャリブレーションを実行する場合に、補正処理部212により処理された撮像画像データから、キャリブレーション画像の縁やマークを検出する処理を行う。
位置特定部414は、補正処理部212により処理された撮像画像データから、指示体70が発する光の像を検出することにより、指示体70による指示位置を特定する。
【0061】
不揮発性メモリー420が記憶するパラメーター421は、画像処理部412が実行する画像処理、クロス検出部413が実行するマーク検出、及び、位置特定部414が実行する位置検出等の処理に用いられるパラメーターである。
【0062】
位置情報422は、位置検出ユニット400の仕様や設置位置に関する情報である。例えば、位置情報422は、撮像部460の撮像光学系461に関する情報を含む。具体的には、位置情報422は、撮像レンズ462の光軸AX2と撮像素子466の撮像面との交点(いわゆるレンズセンター)と、撮像素子466の撮像面基準位置467とのずれ量を示す情報を含む。撮像面基準位置467は、例えば撮像素子466の撮像面の中心であり、レンズセンターと撮像面基準位置467のずれ量は個体差がある。このため、位置情報422は、プロジェクター100の個体に関する情報を含み、例えばプロジェクター100の出荷時に不揮発性メモリー420に書き込まれてもよい。
【0063】
また、位置情報422は、撮像部460の仕様に関する情報として、撮像レンズ462の屈折率など撮像光学系461の光学特性に関する情報、撮像画像の画素数等など撮像画像データの仕様に関する情報等を含む。
【0064】
また、位置情報422は、撮像光学系461と、投射光学系264との相対的な位置関係を示す情報を含んでも良い。この情報は、例えば、撮像光学系461の光軸AX2と、投射光学系264の光軸AX1との角度を含んでもよい。また、光軸AX1がスクリーンSCに交差する点と、光軸AX2がスクリーンSCに交差する点との距離を含んでもよい。また、位置情報422は、撮像素子466と、撮像光学系461と、投射光学系264との相対的な位置関係を含んでもよい。位置情報422に含まれる相対的な位置を示す情報は、例えば、プロジェクター100の設置空間に仮想的に設定される3次元座標系を利用して、座標として表現されてもよい。
【0065】
[4.プロジェクターの動作]
[4-1.オートキャリブレーションの概要]
プロジェクター100は、投射ユニット200によりキャリブレーション画像をスクリーンSCに投射し、このキャリブレーション画像を位置検出ユニット400で撮像することにより、オートキャリブレーションを実行する。オートキャリブレーションは、位置特定部414によって位置を検出するためのキャリブレーションデータを生成する処理である。詳細には、撮像部460が撮像した撮像画像における位置と、投射ユニット200が投射する投射画像DPにおける位置とを対応付けるキャリブレーションデータを生成する処理である。
【0066】
図3は、キャリブレーション画像と撮像画像との対応例を示す説明図である。キャリブレーション画像301は、投射ユニット200が投射するキャリブレーション画像の一例である。また、撮像画像311は、投射ユニット200がキャリブレーション画像301を投射した状態で、撮像部460がスクリーンSCを撮像した撮像画像の例である。
【0067】
キャリブレーション画像301は、揮発性メモリー230のフレームバッファーに展開される画像である。キャリブレーション画像301は、位置検出用のマーク302を、所定の背景に配置した画像である。キャリブレーション画像301に配置されるマーク302の数は特に制限されず、キャリブレーション画像301では、縦5列、横5列のマーク302が配置される。背景の色とマーク302の色は、クロス検出部413がマーク302と背景との境界を検出する処理に有利なように、輝度や階調の差が所定以上となるように決定される。また、クロス検出部413の処理に先立ち、画像処理部412が撮像画像データを減色して、グレースケール或いは2値の画像とした場合に、背景とマーク302とが同一色とならないよう決定されることが好ましい。例えば、マーク302は、白色等の高輝度の色であり、背景は黒などの低輝度の色である。
【0068】
図3に示すキャリブレーション画像301は、液晶パネル263が有する矩形の表示領域に対応するように、矩形の画像となっている。キャリブレーション画像301では、少なくともいずれかのマーク302が、キャリブレーション画像301の端部に位置する。より好ましくは、いずれかのマーク302が、キャリブレーション画像301の隅部に位置する。さらに好ましくは、いずれかのマーク302の一部と、キャリブレーション画像301の隅とが重なっている。ここで、キャリブレーション画像301の隅部とは、矩形のキャリブレーション画像301が有する4つの角のいずれか1以上及びその近傍を指す。また、キャリブレーション画像301の隅とは、矩形のキャリブレーション画像301が有する角をいう。キャリブレーション画像301の端部のマーク302は、投射画像DPの端部を検出する処理に利用される。
【0069】
撮像画像311は、画像投射領域DAを含む画角を撮像した画像であり、撮像レンズ462が広角レンズであることに起因する歪みを生じている。さらに、光軸AX2がスクリーンSCに正対していない場合には、歪みを生じる。
図3の例では、マーク302を撮像したマーク312は、歪みのためにマーク302とは異なる形状となっている。特に、キャリブレーション画像301の隅部に位置するマーク302は、撮像画像311において大きく歪んだ形状となる。
【0070】
撮像画像311におけるマーク312の形状によって、プロセッサー410がマーク312を検出する処理が失敗することがある。例えば、マーク312の端部と背景との境界が不明瞭な場合や、マーク312の形状が、幾何学的な図形として認識しにくい形状である場合が挙げられる。このような場合、マーク302の数や位置が異なる別のキャリブレーション画像301を用いて、キャリブレーションを再試行することにより、対処可能であるが、キャリブレーションに要する時間が長くなる。
【0071】
本実施形態のプロジェクター100は、プロジェクター100の設置状態に対応するキャリブレーション画像を生成し、生成したキャリブレーション画像を利用してキャリブレーションを実行する。キャリブレーション画像がプロジェクター100の設置状態に対応しているため、撮像画像311からマーク312を検出する処理の成功率の向上が期待できる。
以下、この動作について説明する。
【0072】
[4-2.キャリブレーションの内容]
図4は、プロジェクター100の動作を示すフローチャートであり、キャリブレーションに関する動作を示す。
【0073】
プロセッサー210は、キャリブレーションの開始条件が成立したことに対応して、キャリブレーションを開始する(ステップS11)。キャリブレーションの開始条件は、プロジェクター100が設置後に最初に起動された場合、操作検出部245が検出した操作によりキャリブレーションが指示された場合、予め設定されたキャリブレーションの実行タイミングに達した場合等である。
【0074】
プロセッサー210は、情報取得部213及び画像生成部214の機能により、キャリブレーション画像を生成するキャリブレーション画像生成処理(ステップS12)を実行する。ステップS12の処理は、後述する。ステップS12ではキャリブレーション画像データが生成され、不揮発性メモリー220にキャリブレーション画像データ223として記憶される。
【0075】
プロセッサー210は、キャリブレーション処理部215及び投射制御部211の機能により、ステップS12で生成されたキャリブレーション画像データ223に基づく画像を、画像投射部260によって投射する(ステップS13)。
【0076】
続いて、プロセッサー410は、撮像処理部411の機能により撮像部460を制御して、キャリブレーション画像が投射された画像投射領域DAを撮像する(ステップS14)。ステップS14で、プロセッサー410は、撮像処理部411により撮像画像データを取得し、揮発性メモリー430に一時的に記憶させる。
【0077】
プロセッサー410は、クロス検出部413により、撮像画像から、キャリブレーション画像のマークに相当する画像を検出する(ステップS15)。ステップS15で、クロス検出部413の処理の前に、画像処理部412が撮像画像データの減色等を行ってもよい。
【0078】
続いて、プロセッサー210は、キャリブレーション処理部215によって、クロス検出部413がステップS15で検出したマークの画像の縁を特定することにより、撮像画像における投射画像DPの位置を特定する(ステップS16)。マークの画像の縁は、マークの外縁ともいうことができ、詳細には、マークが写った部分の画像を構成するドットと背景との境界を指す。
【0079】
キャリブレーション処理部215は、画像投射部260により投射したキャリブレーション画像におけるマークの座標を検出し、取得する(ステップS17)。キャリブレーション処理部215は、ステップS17で取得した座標と、クロス検出部413が検出した撮像画像におけるマークの座標とをもとに、撮像画像における座標と投射画像における座標とを対応付ける(ステップS18)。キャリブレーション処理部215は、ステップS18の対応付けを示すキャリブレーションデータ(図示略)を生成し、不揮発性メモリー220に記憶させて(ステップS19)、キャリブレーションを終了する。
【0080】
キャリブレーション処理部215が生成するキャリブレーションデータを用いると、撮像部460の撮像画像上の任意の座標から、位置検出ユニット400が投射する画像上の座標を求めることができる。従って、プロセッサー410が撮像画像における指示体70の指示位置を特定した場合に、プロセッサー210が揮発性メモリー230のバッファーに展開した画像における指示位置の座標を得ることができる。これにより、指示体70の指示位置に投射されていた画像を特定できるので、GUI(Graphical User Interface)に対する指示体70等による操作の検出等が実行可能になる。
【0081】
[4-3.キャリブレーション画像の生成]
図5は、キャリブレーション画像生成処理におけるマークに関する処理を示す説明図である。
図5の符号Aは、撮像部460の撮像画像における好ましい形状のマーク291を示す。マーク291は、複数の矩形292を組み合わせて構成される。マーク291の隅に位置する矩形292Aは、直交する辺292B、292Cを有する。例えば、マーク291が、キャリブレーション画像の左下の隅部に位置するマークである場合、矩形292Aは、キャリブレーション画像の左下の隅に位置する。つまり、辺292B、292Cの交点は、キャリブレーション画像の隅を示し、投射画像DPの左下の端部の位置を示す。従って、撮像画像における矩形292Aが直交する辺を有していることが、撮像画像から投射画像DPの境界を検出する処理において有利である。また、矩形292Aが、撮像画像において矩形であると、矩形292Aを検出する処理の成功率が高い。
このため、画像生成部214は、
図5に符号Aで示すマーク291が得られるようにキャリブレーション画像を生成する。
【0082】
画像生成部214は、マーク291を構成する複数の矩形292の形状及び位置を特定するため、
図5に符号Bで示すように、モデル図形295を処理する。モデル図形295は、矩形292の頂点に相当する複数の基準点296の集合であり、基準点296を直線で結ぶことで、マーク291を再現できる。
【0083】
画像生成部214は、撮像画像におけるモデル図形295の基準点296の座標を、光変調装置262における座標に変換し、さらに、投射制御部211が揮発性メモリー230のバッファーに展開する画像における座標に変換する。この変換後の座標を
図5に符号Cで示す。
【0084】
画像生成部214は、変換後の基準点296を直線で結ぶことにより、キャリブレーション画像に配置するマーク325を合成する。マーク325を、矩形の背景に重ねて配置することで、キャリブレーション画像が得られる。
【0085】
図6は、プロジェクター100の動作を示すフローチャートであり、
図4のステップS12に示したキャリブレーション画像生成処理を示す。
プロセッサー210は、情報取得部213により、プロジェクター100の設置状態に関する情報を取得する(ステップS21)。
【0086】
続いて、画像生成部214は、ステップS21で取得された情報に基づき、3次元シミュレーションを実行する(ステップS22)。ステップS22で、画像生成部214は、投射レンズ265と、撮像レンズ462と、スクリーンSCとの3次元空間における相対位置を、仮想のシミュレーション空間に再現する。
【0087】
図7は、キャリブレーション画像生成処理の説明図であり、ステップS22における3次元シミュレーションの様子を模式化して示す。
図7には、投射レンズ265の位置を示す点PPL、撮像レンズ462の位置を示す点PCL、及び、スクリーンの仮想位置を示す面SCIを3次元空間に配置した例を示す。
図7の3次元空間はX-Y-Z直交座標系が設定されているので、点PPL、点PCL、面SCIの位置は、X,Y,Z座標で特定できる。
【0088】
画像生成部214は、情報取得部213が取得した情報に基づき、点PPL、点PCL、面SCIの座標を算出する。さらに、画像生成部214は、投射レンズ265の光軸AX1と面SCIとの交点PPE、及び、撮像レンズ462の光軸AX2と面SCIとの交点PCEの座標を算出する。交点PCEは、カメラレンズセンター位置と呼ぶことができ、投射画像DPと撮像画像との形状および座標の対応を求めるために利用される。
【0089】
3次元空間における各点および面の相対位置は、投射制御部211が揮発性メモリー230に展開するキャリブレーション画像と、液晶パネル263に描画される画像と、スクリーンSCの投射画像DPと、撮像部460の撮像画像との相互の関係を決定する。従って、ステップS22でシミュレーションを実行することで、キャリブレーション画像、液晶パネル263に描画される画像、投射画像DP、及び、撮像画像の座標の対応関係を求めることができる。
【0090】
図7に示すシミュレーションを行うため、情報取得部213がステップS21で取得する情報は、プロジェクター100の設置状態に関する情報である。この情報は、投射ユニット200の構成または仕様に関する情報、位置検出ユニット400の構成または仕様に関する情報、及び、相互の位置に関する情報に大別できる。
【0091】
投射ユニット200の構成または仕様に関する情報は、投射光学系264のズーム倍率、液晶パネル263のアスペクト比、等である。
【0092】
位置検出ユニット400の構成または仕様に関する情報は、位置情報422に含まれる各種情報である。例えば、撮像レンズ462の屈折率など撮像光学系461の光学特性に関する情報、撮像画像の画素数、アスペクト比など撮像画像データの仕様に関する情報を含む。また、例えば、光軸AX2と撮像素子466との相対位置に関する情報を含む。具体的には、撮像レンズ462の光軸AX2と撮像素子466の撮像面との交点であるレンズセンターと、撮像素子466の撮像面基準位置467とのずれ量を示す情報を含んでもよい。
【0093】
相互の位置に関する情報は、例えば、撮像光学系461と、投射光学系264との相対的な位置関係を示す情報を含んでも良い。具体的には、光軸AX2と光軸AX1との角度を含んでもよい。光軸AX1がスクリーンSCに交差する点とカメラレンズセンター位置との距離を含んでもよい。また、撮像素子466と、撮像光学系461と、投射光学系264との相対的な位置関係を含んでもよい。また、スクリーンSCと撮像部460との相対位置に関する情報を含んでもよい。また、スクリーンSCと撮像レンズ462の光軸AX2との相対位置に関する情報を含んでもよい。また、スクリーンSCと、投射光学系264と、撮像部460との相対位置に関する情報を含む構成であってもよい。
【0094】
図6に戻り、情報取得部213は、補正処理部212が実行する幾何補正のパラメーターを取得する(ステップS23)。
【0095】
画像生成部214は、液晶パネル263の描画領域にキャリブレーション画像のマークを配置する(ステップS24)。続いて、画像生成部214は、ステップS23で取得された補正パラメーターに基づき、ステップS24で配置したマークの幾何補正後の位置を求める(ステップS25)。
【0096】
図8は、キャリブレーション画像生成処理の説明図であり、ステップS24、S25の処理を模式化して示す。
図8には、液晶パネル263の描画領域に対応するパネル空間SP1を示す。パネル空間SP1は液晶パネル263の描画領域を示す仮想空間であり、パネル空間SP1における位置は液晶パネル263に描画される画像上の位置と見なすことができる。
【0097】
画像生成部214は、パネル空間SP1におけるキャリブレーション画像に相当する画像331を配置する。画像331は矩形であり、複数のマークを含む。パネル空間SP1における画像331のサイズ及び位置は、液晶パネル263の表示解像度に基づき決定される。画像331は複数のマークを含み、各々のマークの位置を符号332で示す。以下の例では、画像331には縦5×横5に並ぶ25個のマークが配置される。位置332は、25個のマークを配置する場合の典型的な位置であり、画像331において均等な間隔を空けて配置される。画像生成部214は、ステップS24で、画像331をパネル空間SP1に配置し、位置332の座標を算出する。
【0098】
画像331は幾何補正がされる前の画像であり、幾何補正により変形する。画像331に対応する幾何補正後の画像を符号335で示す。画像335が含むマークの位置は、幾何補正によって位置332から位置336に移動する。画像生成部214は、ステップS25で、移動後の位置336の座標を算出する。
【0099】
画像生成部214は、幾何補正後のマークの位置に対応する、スクリーンSC上のマークの位置を求める(ステップS26)。
【0100】
図9は、キャリブレーション画像生成処理の説明図であり、ステップS26の処理を模式化して示す。
図9には、スクリーンSCの画像投射領域DAに対応するスクリーン空間SP2を示す。スクリーン空間SP2は画像投射領域DAを示す仮想空間であり、スクリーン空間SP2における位置はスクリーンSC上の位置と見なすことができる。
【0101】
スクリーン空間SP2において、幾何補正されていない画像331に対応する投射画像341は、台形歪みを有している。これに対し、幾何補正された画像335に対応する投射画像343は矩形となり、投射画像343に含まれるマークの位置345は、投射画像343に均等に配置されている。
画像生成部214は、ステップS26で、スクリーン空間SP2でのマークの位置345の座標を算出する。
【0102】
画像生成部214は、スクリーンSCと撮像画像との対応に基づいて、撮像画像におけるマークの位置を求める(ステップS27)。
さらに、画像生成部214は、ステップS27で求めたマークの位置に重ねて、マークを構成する矩形の基準点を配置し、各基準点の位置を求める(ステップS28)。
【0103】
図10は、キャリブレーション画像生成処理の説明図であり、ステップS27、S28の処理を模式化して示す。
図10には、撮像素子466の撮像面に対応する撮像空間SP3を示す。撮像空間SP3は撮像画像を示す仮想空間であり、撮像空間SP3における位置は撮像画像上の位置と見なすことができる。
【0104】
撮像空間SP3における画像351は、スクリーン空間SP2の投射画像343を、撮像部460により撮像した場合の撮像画像を示す。画像351の形状は、撮像部460とスクリーンSCとの位置関係、及び、撮像レンズ462の屈折により、変形している。
画像生成部214は、ステップS27で、撮像空間SP3におけるマークの位置353の座標を求める。さらに、ステップS28で、画像生成部214は、25個のマークの各々に対応する位置353に重なるように、基準点群354を配置する。基準点群354は、
図5を参照して説明したように、マークを構成する矩形の頂点である基準点の集合である。1つの基準点群354は1つのマークに対応する。画像生成部214は、撮像画像におけるマークが好ましい形状となるように、基準点群354を配置する。
図10の基準点群354は、基準点がX軸方向およびY軸方向に平行に並んでいる。このため、撮像画像において、マークは、X軸方向およびY軸方向に平行な辺を有する矩形を含む。
【0105】
図6に戻り、画像生成部214は、撮像画像におけるマークの基準点の位置を変換して、液晶パネル263における基準点の位置を求める。
【0106】
図11は、キャリブレーション画像生成処理の説明図であり、ステップS29の処理を模式化して示す。
図11には、パネル空間SP1を示す。
【0107】
画像生成部214は、
図7に示した3次元シミュレーションの結果から、撮像空間SP3における位置と、パネル空間SP1における位置との対応付けが可能である。このため、画像生成部214は、ステップS28で撮像空間SP3に配置した基準点群354を、パネル空間SP1に変換する。この結果、パネル空間SP1には基準点群362が配置される。撮像空間SP3の画像351は、パネル空間SP1において矩形の画像361となる。画像361に含まれる基準点群362の位置、及び、各基準点の配置は、パネル空間SP1と撮像空間SP3との対応に基づき移動する。
【0108】
画像生成部214は、ステップS29で配置した基準点を直線で結ぶことにより、キャリブレーション画像のマークを描画できる。
このようにして描画されるマークは、スクリーンSCに投射され、撮像部460により撮像された場合に、撮像画像において直交する辺を含む形状となる。つまり、撮像画像からの検出が容易なマークを得るためのキャリブレーション画像を生成することができる。
【0109】
図6に戻り、画像生成部214は、ステップS29で求めた基準点群の位置に基づき、マークの間隔が設定値以下か否かを判定する(ステップS30)。
画像生成部214は、マークの間隔が設定値より大きい場合(ステップS30;No)、ステップS29で求めた基準点に従ってキャリブレーション画像を生成する(ステップS31)。ステップS31で、画像生成部214は、生成したキャリブレーション画像のキャリブレーション画像データ223を不揮発性メモリー220に記憶させて、本処理を終了する。
【0110】
図12は、キャリブレーション画像の例を示す図である。
図12に示すキャリブレーション画像371は、縦4列×横4列の16個のマークを含む。ステップS30においてマークの間隔が設定値以下の場合、隣接するマークの基準点どうしが近いか、或いは、マークとマークとが重複する。これにより、撮像画像において複数のマークを区別できない可能性がある。このため、画像生成部214は、ステップS32で、キャリブレーション画像におけるマークの数を減少させる。例えば、ステップS24~S29で、縦5列×横5列の25個のマークを含むキャリブレーション画像を生成する処理を行っていた場合、
図12に示すように、マークの数がより少ないキャリブレーション画像を生成する処理に切り換える。
【0111】
なお、ステップS32では、マークのサイズを小さく設定する処理を行って、ステップS24に戻ってもよい。この場合、マークの数を減少させずに、マークとマークとの間隔を確保できる。
【0112】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクター100は、スクリーンSCに画像を投射する画像投射部260と、スクリーンSCの少なくとも一部を含む範囲を撮像する撮像部460とを備える。また、画像投射部260によって、位置特定用のマークが配置されたキャリブレーション画像を投射させて、撮像部460の撮像画像からマークを検出することによりキャリブレーションを実行するキャリブレーション処理部215を備える。また、スクリーンSCに対するプロジェクター100の設置状態に関する情報を取得する情報取得部213を備える。また、情報取得部213により取得された情報に基づいて、プロジェクター100の設置状態に対応するキャリブレーション画像を生成する画像生成部214を備える。キャリブレーション処理部215は、画像生成部214により生成されたキャリブレーション画像を画像投射部260により投射させて、キャリブレーションを実行する。
【0113】
本発明を適用したプロジェクター100によれば、プロジェクター100の設置状態に対応するキャリブレーション画像を利用するため、キャリブレーションの実行時に、キャリブレーション画像のマークを検出しやすいという利点がある。このため、キャリブレーションの成功率を高めることができ、効率化を実現できる。
【0114】
また、画像生成部214は、スクリーンSCに投射されたキャリブレーション画像を撮像した撮像画像において、マークが直交する辺を有する形状となるように、キャリブレーション画像を生成する。これにより、撮像画像からキャリブレーション画像のマークを検出しやすいので、マークを検出する処理の成功率を、より一層向上させることができる。
【0115】
また、画像生成部214は、画像投射部260が投射する投射画像の隅部に位置するマークが直交する辺を有する形状となるように、キャリブレーション画像を生成する。これにより、撮像画像から投射画像の隅部に位置するマークを容易に検出できるので、キャリブレーションの精度の向上が期待できる。
【0116】
また、画像生成部214は、設定された数のマークを含むキャリブレーション画像を生成し、キャリブレーション画像に配置された複数のマークの間隔が基準値以下となる場合に、設定された数より少ないマークを含むキャリブレーション画像を生成する。これにより、キャリブレーション画像に配置するマークの間隔を確保できるので、キャリブレーションの成功率をより一層高めることができる。
【0117】
また、情報取得部213が取得する情報は、スクリーンSCと撮像部460との相対位置に関する情報を含む。これにより、撮像画像におけるマークの位置や形状に大きな影響を与えるスクリーンSCと撮像部460との相対位置に対応して、キャリブレーション画像を生成できる。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0118】
また、撮像部460は、撮像レンズ462を含む撮像光学系461と、撮像素子とを有し、情報取得部213が取得する情報は、スクリーンSCと撮像光学系461の光軸AX2との相対位置に関する情報を含む。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0119】
また、情報取得部213が取得する情報は、撮像光学系461の光軸AX2と撮像素子との相対位置に関する情報を含む。これにより、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0120】
また、情報取得部213が取得する情報は、スクリーンSCと、画像投射部260と、撮像部460との相対位置に関する情報を含む。これにより、スクリーンSC、画像投射部260及び撮像部460の相対位置に対応して、キャリブレーション画像を生成できる。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0121】
また、画像投射部260は、投射レンズ265を含む投射光学系264を有し、情報取得部213が取得する情報は、スクリーンSCと、投射光学系264の光軸AX1と、撮像部460との相対位置に関する情報を含む。このため、撮像画像におけるマークの位置や形状を高精度に反映したキャリブレーション画像を生成できるので、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0122】
また、画像投射部260は、光源261と、面状に配置された画素により画像を形成して光源261が発する光を変調する液晶パネル263とを備える。画像生成部214は、情報取得部213により取得された情報に基づいて、撮像画像におけるマークの配置を決定し、撮像画像におけるマークの座標を液晶パネル263における座標に変換することにより、キャリブレーション画像を生成する。このため、撮像画像からマークを検出する処理の成功率を、より一層高めることができる。
【0123】
[5.他の実施形態]
上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態において、情報取得部213は、位置検出ユニット400からインターフェイス241、441を介して情報を取得し、或いは、操作検出部245により検出した操作に基づき情報を取得する構成とした。本発明はこれに限定されず、例えば、ネットワークを介して通信する通信部をプロジェクター100が備える構成とし、通信部によって外部のコンピューターやサーバー装置と通信して、情報を取得してもよい。また、画像生成部214は、情報取得部213により取得した情報が限られた情報である場合に、デフォルト値として不揮発性メモリー220が記憶する情報を用いて、キャリブレーション画像を生成してもよい。
また、上記実施形態で、画像生成部214は、3次元シミュレーション空間、パネル空間SP1、スクリーン空間SP2、及び、撮像空間SP3の間で位置を変換する処理を行うものとして説明した。画像生成部214が実行する具体的な処理は、例えば、いずれかの空間から他の空間への座標の射影変換であってもよいし、他の処理であってもよい。
【0124】
また、本発明のプロジェクターは、プロジェクター100のようにスクリーンSCの上方に設置される例に限定されず、例えば、スクリーンSCの正面、或いは、スクリーンSCの下方から投射する構成であってもよい。また、背面投射型のプロジェクターであってもよい。また、プロジェクター100は、短焦点型のプロジェクターであってもよい。
【0125】
また、
図2に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、投射システム1を構成する他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0126】
1…投射システム、70…指示体、71…チップボタン、72…軸部、73…サイドボタン、75…制御部、77…赤外線発光部、79…赤外線受光部、100…プロジェクター、130…制御部、200…投射ユニット、210…プロセッサー、211…投射制御部、212…補正処理部、213…情報取得部、214…画像生成部、215…キャリブレーション処理部、220…不揮発性メモリー、221…設置情報、222…パターン生成情報、223…キャリブレーション画像データ、230…揮発性メモリー、241…インターフェイス、242…光源駆動部、243…光変調装置駆動部、244…赤外線受光部、245…操作検出部、260…画像投射部(投射部)、261…光源、262…光変調装置、263…液晶パネル(変調部)、264…投射光学系、265…投射レンズ、291…マーク、292…矩形、292A…矩形、292B、292C…辺、400…位置検出ユニット、410…プロセッサー、411…撮像処理部、412…画像処理部、413…クロス検出部、414…位置特定部、420…不揮発性メモリー、421…パラメーター、422…位置情報、430…揮発性メモリー、441…インターフェイス、442…赤外線発光部、460…撮像部、461…撮像光学系、462…撮像レンズ、463…フィルター切換部、464…可視光透過フィルター、465…赤外光透過フィルター、466…撮像素子、467…撮像面基準位置、AX1、AX2…光軸、DA…画像投射領域、DP…投射画像、SC…スクリーン(投射面)。