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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】調光ユニット
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1345 20060101AFI20221004BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20221004BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G02F1/1345
G02F1/13 505
H05K1/14 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018073243
(22)【出願日】2018-04-05
(65)【公開番号】P2019184737
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 和樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政之
(72)【発明者】
【氏名】橋田 裕功
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-194599(JP,A)
【文献】特開2017-181558(JP,A)
【文献】特開2013-186396(JP,A)
【文献】特開平07-199209(JP,A)
【文献】特開2017-181560(JP,A)
【文献】中国実用新案第206671713(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0040828(KR,A)
【文献】国際公開第2016/086017(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1345
G02F 1/13
G02F 1/1334
G02F 1/15-1/19
H05K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶組成物を含む調光層、第1透明電極層、および、第2透明電極層を備える調光シートと、
前記第1透明電極層と電源とを接続するための接続部と、
を備える調光ユニットであって、
前記調光シートは、調光領域と配線領域とを含み、
前記調光領域にて、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とは前記調光層を挟み、
前記配線領域にて、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とは前記接続部の端部を挟み、
前記調光シートの表面と対向する方向から見て、前記配線領域は、前記調光シートが有する辺に沿って配置され、かつ、前記配線領域は、前記調光シートの前記辺が位置する部分を除いて前記調光領域に囲まれ、
前記接続部は、前記配線領域にて前記第1透明電極層に接合された第1接着層と、前記配線領域にて前記第2透明電極層に接合された第2接着層と、前記第1接着層と前記第2接着層とに挟まれてこれらの接着層と接合した配線部材と、を備え、
前記第1接着層は導電性を有し、
前記配線部材は、前記第1接着層に接する配線層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置して前記配線層を支持する絶縁性樹脂層とを備える
調光ユニット。
【請求項2】
前記接続部は、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間で、前記配線部材と前記第1接着層と前記第2接着層との積層体と前記調光領域に位置する前記調光層との間の隙間を埋める封止部を備える
請求項に記載の調光ユニット。
【請求項3】
液晶組成物を含む調光層、第1透明電極層、および、第2透明電極層を備える調光シートと、
前記第1透明電極層と電源とを接続するための接続部と、
を備える調光ユニットであって、
前記調光シートは、調光領域と配線領域とを含み、
前記調光領域にて、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とは前記調光層を挟み、
前記配線領域にて、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とは前記接続部の端部を挟み、
前記接続部は、前記配線領域にて前記第1透明電極層に接合された第1接着層と、前記配線領域にて前記第2透明電極層に接合された第2接着層と、前記第1接着層と前記第2接着層とに挟まれてこれらの接着層と接合した配線部材と、を備え、
前記第1接着層は導電性を有し、
前記配線部材は、前記第1接着層に接する配線層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置して前記配線層を支持する絶縁性樹脂層とを備え
前記接続部はさらに、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間で、前記配線部材と前記第1接着層と前記第2接着層との積層体と前記調光領域に位置する前記調光層との間の隙間を埋める封止部を備え、
前記調光シートの表面と対向する方向から見て、前記封止部は、前記配線部材の延びる方向における前記配線部材の先端と前記調光層との間、および、前記配線部材の延びる方向と直交する方向における前記配線部材の端部と前記調光層との間で、前記隙間を埋めている
調光ユニット。
【請求項4】
前記配線層は第1配線層であり、
前記第2接着層は導電性を有し、
前記配線部材は、前記絶縁性樹脂層に対して前記第1配線層とは反対側に、前記第2接着層に接する第2配線層を備える
請求項1~3のいずれか一項に記載の調光ユニット。
【請求項5】
前記第2接着層は、絶縁性の接着層である
請求項1~3のいずれか一項に記載の調光ユニット。
【請求項6】
前記接続部は第1接続部であり、前記調光ユニットは、前記第2透明電極層と電源とを接続するための第2接続部を備え、
前記配線領域は第1配線領域であり、前記調光シートは第2配線領域を含み、前記第2配線領域にて、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とは前記第2接続部の端部を挟み、
前記第2接続部は、前記第2配線領域にて前記第1透明電極層に接合された絶縁性接着層と、前記第2配線領域にて前記第2透明電極層に接合された導電性接着層と、前記絶縁性接着層と前記導電性接着層とに挟まれてこれらの接着層と接合した第2配線部材と、を備え、
前記第2配線部材は、前記導電性接着層に接する配線層と、当該配線層を支持する絶縁性樹脂層とを備える
請求項に記載の調光ユニット。
【請求項7】
前記第1接着層に接する前記配線層は、当該第1接着層と接する部分にて平膜状を有する
請求項1~6のいずれか一項に記載の調光ユニット。
【請求項8】
前記第1接着層に接する前記配線層は、当該第1接着層と接する部分に、導体のパターンを有する
請求項1~6のいずれか一項に記載の調光ユニット。
【請求項9】
前記第1接着層と前記第2接着層とに接合した前記配線部材は、フレキシブルプリント基板であり、
前記第1接着層は、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、等方性導電フィルム、および、等方性導電ペーストのいずれかから構成されている
請求項1~8のいずれか一項に記載の調光ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光シートと、調光シートを電源に接続するための接続部とを備える調光ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極層とを備える。一対の透明電極層に駆動電圧が印加されると、調光層が含む液晶分子の配向状態が変わることにより、調光シートの光透過率が変わる(例えば、特許文献1参照)。こうした調光シートと、透明電極層を電源に接続するための接続部とから、調光ユニットが構成される。
【0003】
調光ユニットの構造の一例について、図面を参照して説明する。図11が示すように、調光ユニット100は、窓ガラス等の透明板200に取り付けられる。調光シート110は、一対の電極シート130A,130Bを備え、電極シート130Aには接続部160Aが接続され、電極シート130Bには接続部160Bが接続されている。詳細には、図12が示すように、一方の電極シート130Aは、透明電極層140Aと透明支持層150Aとの積層体である。透明電極層140Aは、調光層120の一方の面に接し、透明支持層150Aは、接着層210を介して透明板200に貼り付けられている。接続部160Aは、透明電極層140Aのなかで調光層120および他方の電極シート130Bから露出する領域に接続されている。図13が示すように、他方の電極シート130Bは、透明電極層140Bと透明支持層150Bとの積層体であり、透明電極層140Bは、調光層120の他方の面に接している。接続部160Bは、透明電極層140Bのなかで調光層120および一方の電極シート130Aから露出する領域に接続されており、透明板200と対向する。
【0004】
接続部160A,160Bは、透明電極層140A,140Bに接合された導電性接着層161と、導電性接着層161に接合された導電テープ162とを備える。導電性接着層161は、例えば銀ペースト等の導電ペーストから構成される。導電テープ162は、例えば銅テープである。接続部160A,160Bは、さらに、導電テープ162の表面上に位置するはんだ163と、はんだ163によって導電テープ162に接続されたリード線164とを備える。リード線164は、電源から供給される電圧を駆動電圧に変換する駆動回路に接続され、接続部160A,160Bを通じて、透明電極層140A,140Bに駆動電圧が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-162823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、調光ユニット100の運搬時や調光ユニット100を透明板200に取り付ける作業時等には、リード線164が調光シート110に対して揺動することや、はんだ163と透明板200との衝突に起因した衝撃が接続部160Bに加わることが起こる。接続部160A,160Bにおいて、導電テープ162とリード線164との接続部分は、はんだ163による点状の接合構造を有するため、上述した揺れや衝撃に対して、接合の耐久性が高いとは言い難い。
本発明は、透明電極層に接続される接続部における接合の信頼性を向上可能な調光ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する調光ユニットは、液晶組成物を含む調光層、第1透明電極層、および、第2透明電極層を備える調光シートと、前記第1透明電極層と電源とを接続するための接続部と、を備える。前記調光シートは、調光領域と配線領域とを含み、前記調光領域にて、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とは前記調光層を挟み、前記配線領域にて、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とは前記接続部の端部を挟む。前記接続部は、前記配線領域にて前記第1透明電極層に接合された第1接着層と、前記配線領域にて前記第2透明電極層に接合された第2接着層と、前記第1接着層と前記第2接着層とに挟まれてこれらの接着層と接合した配線部材と、を備える。前記第1接着層は導電性を有し、前記配線部材は、前記第1接着層に接する配線層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置して前記配線層を支持する絶縁性樹脂層とを備える。
【0008】
上記構成によれば、各接着層と配線部材との接合部分は面状の広がりを有する。そのため、接続部が、はんだとリード線とを用いた点状の接合構造を含む形態と比較して、接続部における接合の信頼性が高められる。さらに、配線部材の両面が、接着層を介して調光シートに固定されているため、調光シートに対する配線部材の固定が強固になる。
【0009】
上記調光ユニットにおいて、前記配線層は第1配線層であり、前記第2接着層は導電性を有し、前記配線部材は、前記絶縁性樹脂層に対して前記第1配線層とは反対側に、前記第2接着層に接する第2配線層を備えてもよい。
【0010】
上記構成によれば、配線部材は、一方の面で第1透明電極層に電気的に接続され、他方の面で第2透明電極層に電気的に接続される。このように、調光シートの表面と対向する方向から見て、1つの配線領域にて、第1透明電極層と第2透明電極層とに対して接続部が電気的に接続するため、透明電極層ごとに、電源との接続のための接続部と配線領域とが設けられる形態と比較して、調光シートにおける配線領域の割合の低減、および、接続部の占める領域の削減が可能である。
【0011】
上記調光ユニットにおいて、前記第2接着層は、絶縁性の接着層であってもよい。
上記構成によれば、配線部材は、第1透明電極層のみに電気的に接続される一方で、第1透明電極層と第2導電性接着層との両方に固定される。したがって、配線部材が、電気的に接続される透明電極層のみに片面で固定される形態と比較して、調光シートに対する配線部材の固定が強固になる。
【0012】
上記調光ユニットにおいて、前記接続部は第1接続部であり、前記調光ユニットは、前記第2透明電極層と電源とを接続するための第2接続部を備える。前記配線領域は第1配線領域であり、前記調光シートは第2配線領域を含み、前記第2配線領域にて、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層とは前記第2接続部の端部を挟む。前記第2接続部は、前記第2配線領域にて前記第1透明電極層に接合された絶縁性接着層と、前記第2配線領域にて前記第2透明電極層に接合された導電性接着層と、前記絶縁性接着層と前記導電性接着層とに挟まれてこれらの接着層と接合した第2配線部材と、を備え、前記第2配線部材は、前記導電性接着層に接する配線層と、当該配線層を支持する絶縁性樹脂層とを備えてもよい。
【0013】
上記構成によれば、第2配線部材は、第2透明電極層のみに電気的に接続される一方で、第1透明電極層と第2導電性接着層との両方に固定される。したがって、透明電極層と電源とを接続するため接続部が、透明電極層ごとに設けられる形態でありながら、各接続部において、調光シートに対する配線部材の固定が強固になる。
【0014】
上記調光ユニットにおいて、前記接続部は、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間で、前記配線部材と前記第1接着層と前記第2接着層との積層体と前記調光領域に位置する前記調光層との間の隙間を埋める封止部を備えてもよい。
【0015】
上記構成によれば、各接着層と配線部材との接合部分や、各接着層と各透明電極層との接合部分を汚れ等から保護し、各部材の接合性能の低下を抑えることができる。また、第1透明電極層と第2透明電極層との接触が抑えられるため、短絡を抑えることができる。
上記調光ユニットにおいて、前記第1接着層に接する前記配線層は、当該第1接着層と接する部分にて平膜状を有してもよい。
【0016】
上記構成によれば、配線層が、第1接着層と接する部分にパターンを有する構成と比較して、パターンの形成に要する負荷の軽減が可能である。また、配線層の抵抗値を低く抑えることができる。
上記調光ユニットにおいて、前記第1接着層に接する前記配線層は、当該第1接着層と接する部分に、導体のパターンを有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、第1接着層は、配線部材に対し、金属の間で部分的に樹脂と接するように接合する。これにより、第1接着層が一様な金属面と接合する場合と比較して、第1接着層と配線部材との接合の強度が高められるため、接続部における接合の信頼性がより高められる。
【0018】
上記調光ユニットにおいて、前記第1接着層と前記第2接着層とに接合した前記配線部材は、フレキシブルプリント基板であり、前記第1接着層は、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、等方性導電フィルム、および、等方性導電ペーストのいずれかから構成されていてもよい。
【0019】
上記構成によれば、接続部に用いることに適した配線部材が実現される。また、低温環境や高温環境や高湿環境においても、接続部における接合の信頼性が十分に得られる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、調光ユニットの接続部における接合の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】調光ユニットの第1実施形態について、調光ユニットの平面構造を示す図。
図2図1のII-II線に沿った断面構造を示す図。
図3】第1実施形態の調光ユニットにおいて、配線層の平面構造の一例を示す図。
図4】第1実施形態の調光ユニットにおいて、配線層が有する導体パターンの一例を示す図。
図5】一実施形態の調光ユニットにおいて、配線層が有する導体パターンの一例を示す図。
図6】一実施形態の調光ユニットにおいて、配線層が有する導体パターンの一例を示す図。
図7】調光ユニットの第2実施形態について、調光ユニットの平面構造を示す図。
図8図8のXIII-XIII線に沿った断面構造を示す図。
図9図8のIX-IX線に沿った断面構造を示す図。
図10図8のX-X線に沿った断面構造を示す図。
図11】従来の調光ユニットについて、調光ユニットの平面構造を示す図。
図12図11のXII-XII線における断面構造を示す図。
図13図11のXIII-XIII線における断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1図6を参照して、調光ユニットの第1実施形態を説明する。
【0023】
[調光ユニットの構成]
図1が示すように、調光ユニット10は、調光シート20と接続部30とを備える。調光ユニット10は、透明板50に取り付けられて利用される。透明板50は、ガラスや樹脂等からなる透明な板状の部材である。透明板50は、例えば、窓ガラスやパーテーションやガラス壁等の建材であってもよいし、自動車の窓ガラス等の車両用部材であってもよい。
【0024】
調光シート20の表面と対向する方向から見て、調光シート20は、略矩形形状を有し、調光領域Siと配線領域SDとを含む。配線領域SDには接続部30が接続している。配線領域SDは、調光シート20の一辺に沿って、調光シート20の端部に位置する。配線領域SDが配置される上記一辺はいずれの辺であってもよく、透明板50や駆動回路の配置等に応じて設定されればよい。また、配線領域SDは、上記一辺の中央部を含む位置に配置されてもよいし、上記一辺の端部を含む位置に配置されてもよい。
【0025】
調光シート20の表面と対向する方向から見て、配線領域SD以外の部分が調光領域Siである。例えば、図1が示すように配線領域SDが上記一辺の中央部を含む位置に配置される場合、配線領域SDは、上記一辺が位置する部分を除いて調光領域Siに囲まれる。
接続部30は、配線領域SDから調光シート20の外側に延び、駆動回路に接続されている。
【0026】
図2は、図1におけるII-II線に沿った断面図である。
図2が示すように、調光シート20は、調光層21と、第1電極シート22Aと、第2電極シート22Bとを備えている。第1電極シート22Aは、第1透明電極層23Aと、第1透明電極層23Aを支持する第1透明支持層24Aとから構成される。第1透明支持層24Aにおける第1透明電極層23Aに接する面とは反対側の面が、接着層51を介して透明板50に貼り付けられている。第2電極シート22Bは、第2透明電極層23Bと、第2透明電極層23Bを支持する第2透明支持層24Bとから構成される。
【0027】
調光領域Siにおいては、第1電極シート22Aと第2電極シート22Bとの間に、調光層21が挟まれている。詳細には、向かい合う第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に調光層21が位置する。このように、調光領域Siは、調光層21が位置する領域である。
【0028】
調光層21は、液晶組成物を含む。調光層21は、例えば、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、カプセル型ネマティック液晶(NCAP:Nematic Curvilinear Aligned Phase)等から構成される。例えば、高分子ネットワーク型液晶は、3次元の網目状を有した高分子ネットワークを備え、高分子ネットワークが有する空隙に液晶分子を保持する。調光層21が含む液晶分子は、例えば、誘電率異方性が正であって、液晶分子の長軸方向の誘電率が液晶分子の短軸方向の誘電率よりも大きい。液晶分子は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系の液晶分子である。
【0029】
第1透明電極層23Aおよび第2透明電極層23Bの各々は、導電性を有する透明な層である。透明電極層23A,23Bを構成する材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ(CNT)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含むポリマー等が挙げられる。
【0030】
第1透明支持層24Aおよび第2透明支持層24Bの各々は、透明な基材である。透明支持層24A,24Bとしては、例えば、ガラス基板やシリコン基板、あるいは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリサルホン、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース等からなる高分子フィルムが用いられる。
【0031】
接着層51は透明であり、対象の接合に際して固化を要する接着剤から構成されてもよいし、対象の接合に際して固化を要しない粘着剤から構成されてもよい。例えば、接着層51は、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の接着剤から構成される。
【0032】
透明電極層23A,23Bに駆動電圧が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則である。そのため、調光層21に入射した光は散乱し、調光領域Siは白濁して見える。すなわち、調光層21に駆動電圧が印加されていないとき、調光領域Siは不透明である。一方、接続部30を通じて第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に駆動電圧が印加されると、液晶分子が配向され、液晶分子の長軸方向が透明電極層23A,23B間の電界方向に沿った向きとなる。その結果、調光層21を光が透過しやすくなり、調光領域Siは透明となる。
【0033】
配線領域SDには、第1電極シート22Aおよび第2電極シート22Bが存在する一方で、調光層21は存在しない。詳細には、第1電極シート22Aは、調光領域Siから配線領域SDへ、連続して延びている。また、第2電極シート22Bも、調光領域Siから配線領域SDへ、連続して延びている。言い換えれば、第1電極シート22Aおよび第2電極シート22Bの各々は、調光領域Siに対応する領域と、この領域に隣接し、配線領域SDに対応する領域とを備える。
【0034】
一方、調光層21は、調光領域Siと配線領域SDとのうちで調光領域Siのみに位置する。換言すれば、配線領域SDは、調光シート20のなかで、調光層21が取り除かれた領域である。配線領域SDにおいて、調光層21が存在しないことにより生じる空間に接続部30の端部が入り込んでいる。すなわち、配線領域SDでは、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に接続部30の端部が挟まれている。
【0035】
接続部30は、第1接着層の一例である第1導電性接着層31A、第2接着層の一例である第2導電性接着層31B、配線部材32、および、封止部36を備えている。
第1導電性接着層31Aは、第1透明電極層23Aの表面に接合している。第2導電性接着層31Bは、第2透明電極層23Bの表面に接合している。
【0036】
配線部材32は、第1導電性接着層31Aと第2導電性接着層31Bとに挟まれて、これらの導電性接着層31A,31Bに接合している。すなわち、配線部材32の厚さ方向における一方側の表面は、第1導電性接着層31Aを介して第1透明電極層23Aに固定され、配線部材32の厚さ方向における他方側の表面は、第2導電性接着層31Bを介して第2透明電極層23Bに固定されている。
【0037】
調光シート20の表面と対向する方向から見て、配線部材32と第1導電性接着層31Aとの接合部分と、配線部材32と第2導電性接着層31Bとの接合部分とは重なっている。配線部材32は、配線部材32の端部にて導電性接着層31A,31Bと接合し、この接合部分から調光シート20の外側へ延びている。
【0038】
導電性接着層31A,31Bとしては、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電フィルム(ICF:Isotropic Conductive Film)、等方性導電ペースト(ICP:Isotropic Conductive Paste)が用いられる。上記のうち、異方性の材料を用いると、配線部材32の含む配線がパターン状に形成されている場合に、パターンに沿った導電路を導電性接着層31A,31B内に形成することができるため、設計に沿った電気的特性が得られやすい。また、等方性の材料を用いると、第1導電性接着層31A全体や第2導電性接着層31B全体での抵抗値を低く抑えることができるため、特に、接続部30を通じて調光シート20に大きな電流を流す必要がある場合には、等方性の材料を用いることが適している。こうした利点に加えて、製造工程における取り扱いの容易性等の観点から、導電性接着層31A,31Bとしては、異方性導電フィルムを用いることが好ましい。
【0039】
配線部材32は、ポリイミド等の絶縁性樹脂から構成された柔軟性を有する基材である絶縁性樹脂層33と、銅等の金属薄膜から構成された第1配線層34Aおよび第2配線層34Bと、絶縁性樹脂から構成された第1保護層35Aおよび第2保護層35Bとを備えている。具体的には、配線部材32としては、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)が用いられる。
【0040】
配線層34A,34Bは、絶縁性樹脂層33に支持されている。詳細には、絶縁性樹脂層33が有する2つの面のうちの一方に、図示しない接着層を介して第1配線層34Aが貼り付けられており、絶縁性樹脂層33が有する2つの面のうちの他方に、図示しない接着層を介して第2配線層34Bが貼り付けられている。
【0041】
第1保護層35Aは、第1配線層34Aに対して絶縁性樹脂層33とは反対側で、第1配線層34Aの一部を覆っている。第2保護層35Bは、第2配線層34Bに対して絶縁性樹脂層33とは反対側で、第2配線層34Bの一部を覆っている。配線部材32の端部においては、第1配線層34Aは、第1保護層35Aから露出され、第2配線層34Bは、第2保護層35Bから露出されている。
【0042】
配線部材32は、第1配線層34Aが第1導電性接着層31Aに向けられ、第2配線層34Bが第2導電性接着層31Bに向けられるように配置される。そして、第1配線層34Aの表面のうち、第1保護層35Aから露出している部分が、第1導電性接着層31Aに接合され、第2配線層34Bの表面のうち、第2保護層35Bから露出している部分が、第2導電性接着層31Bに接合されている。なお、第1保護層35Aが第1配線層34Aを覆っている部分の一部も、第1導電性接着層31Aに接合されてもよいし、第2保護層35Bが第2配線層34Bを覆っている部分の一部も、第2導電性接着層31Bに接合されてもよい。
【0043】
封止部36は、絶縁性の樹脂から構成されている。封止部36は、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間で、接続部30の周囲を覆っている。具体的には、封止部36は、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間で、接続部30と調光領域Siにおける調光層21との間の隙間を埋めている部分を有している。また、封止部36は、配線部材32のなかで、導電性接着層31A,31Bとの接合部分から調光シート20の外側へ延びる部分と第1透明電極層23Aおよび第2透明電極層23Bの各々との間の隙間を埋めている部分を有している。
【0044】
封止部36によって、導電性接着層31A,31Bと配線部材32との接合部分や、導電性接着層31A,31Bと透明電極層23A,23Bとの接合部分を汚れ等から保護し、各部材の接合性能の低下を抑えることができる。また、封止部36が設けられていることにより、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの接触や、第1導電性接着層31Aと第2導電性接着層31Bとの接触が抑えられるため、短絡を抑えることができる。
【0045】
本実施形態においては、調光シート20の端部で、第1透明電極層23A、および、第1透明支持層24Aの各々の端面の位置は、調光シート20の厚さ方向に沿って並ぶように揃っている。同様に、調光シート20の端部で、第2透明電極層23B、および、第2透明支持層24Bの各々の端面の位置は、調光シート20の厚さ方向に沿って並ぶように揃っている。こうした構成においては、図2が示すように、封止部36が、第1透明電極層23Aと配線部材32との間から調光シート20の外側にはみ出す位置まで設けられていること、および、第2透明電極層23Bと配線部材32との間から調光シート20の外側にはみ出す位置まで設けられていることが好ましい。これにより、接続部30と透明電極層23A,23Bとの接合部分が的確に保護され、また、短絡の発生も的確に抑えられる。
【0046】
なお、配線部材32の延びる方向において、配線部材32のなかで第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとに挟まれている部分の長さ、言い換えれば、調光シート20の層間に挿入されている部分の長さは、数mm以上であればよい。こうした長さであれば、接続部30と透明電極層23A,23Bとの接合の強度が良好に得られる。また、上記部分の長さが10cm以下の程度であれば、調光領域Siを大きく確保できる。
【0047】
[配線部材の平面構造]
図3図6を参照して、配線部材32の平面構造について、配線層34A,34Bの構成を中心に説明する。以下では、第1配線層34Aを例に説明し、図3図6においては、第1配線層34Aの位置する領域にドットを付して示す。
【0048】
図3が示すように、第1配線層34Aは、第1保護層35Aから露出している部分、すなわち、第1導電性接着層31Aと接合する端部において、平膜状を有する。言い換えれば、第1配線層34Aは、第1導電性接着層31Aと接合する端部において、開口部を有さずに一様に広がっている。また、第1配線層34Aは、第1保護層35Aに覆われている部分においても、平膜状を有する。
【0049】
あるいは、上記構成に代えて、第1配線層34Aは、第1導電性接着層31Aと接合する部分において、パターン状に形成されていてもよい。言い換えれば、第1配線層34Aは、第1導電性接着層31Aと接合している端部に、導体のパターンを有していてもよい。こうした導体パターンは、例えば、金属薄膜のエッチングによって形成される。
【0050】
図4が示すように、導体パターンは、ストライプ状に導体が位置するパターンであってもよい。この導体パターンにおいて、導体が位置する部分である導体部40は、配線部材32の延びる方向に沿って延びる帯状を有し、複数の導体部40が配線部材32の幅方向に沿って、一定の間隔で並ぶ。互いに隣り合う導体部40の間の部分が開口部41であり、開口部41も、配線部材32の延びる方向に沿って延びる帯状を有する。
【0051】
図5が示すように、導体パターンは、メッシュ状に導体が位置するパターンであってもよい。この導体パターンにおいては、導体部40は、配線部材32の延びる方向に沿って延びる複数の帯状の部分と、配線部材32の幅方向に沿って延びる複数の帯状の部分とを含み、これらの帯状の部分が交差するメッシュ形状を有している。導体部40に囲まれている部分が開口部41であり、開口部41は点状に位置する。
【0052】
図6が示すように、メッシュ状のパターンは、配線部材32の延びる方向に対して傾斜していてもよい。すなわち、この導体パターンにおいては、導体部40は、配線部材32の延びる方向に対して傾斜した方向に延びる複数の帯状の部分と、この帯状の部分に直交する方向に延びる帯状の部分とが交差するメッシュ形状を有している。
【0053】
なお、導体パターンは、上記例に限らず、導体間に開口が区画されたパターンであればよい。開口部41は、少なくとも1つの方向に沿って導体部40に挟まれていればよく、開口部41の外周の全域が導体部40に囲まれていてもよいし、開口部41は、1つの方向において導体部40に挟まれる一方で他の方向においては導体部40に挟まれていなくてもよい。
【0054】
開口部41においては、第1配線層34Aの下層の接着層あるいは絶縁性樹脂層33が第1配線層34Aから露出し、これらの露出部分が第1導電性接着層31Aと接合する。すなわち、第1導電性接着層31Aは、導体部40の部分で金属と接し、開口部41の部分で樹脂と接する。このように、配線部材32と第1導電性接着層31Aとの接合部分において、第1導電性接着層31Aが部分的に樹脂と接することにより、第1導電性接着層31Aが金属のみと接する形態、すなわち、図3に示したように開口部41が存在せず導体部40が一様に広がる形態と比較して、配線部材32と第1導電性接着層31Aとの接合の強度が高められる。
【0055】
開口部41の割合は特に限定されないが、開口部41は均等に配置されていることが好ましい。換言すれば、導体パターンが位置する領域の平面視において、単位領域ごとの導体部40と開口部41との面積の比は、一定であることが好ましい。こうした構成であれば、配線部材32と第1導電性接着層31Aとの接合部分内において、接合の強度に偏りが生じることが抑えられる。
【0056】
また、配線部材32と第1導電性接着層31Aとが加熱圧着により接合される場合には、開口部41が均等に配置されていることにより、加熱圧着時に第1導電性接着層31Aに加わる力の大きさに、接合部分内において偏りが生じることが抑えられる。これにより、接合の強度に偏りが生じること、および、第1導電性接着層31A内の導電路の形成に偏りが生じることが抑えられる。特に、第1導電性接着層31Aが異方性の導電接着材料から構成される場合には、導体パターンに沿った導電路が第1導電性接着層31A内に好適に形成される。
【0057】
一般的に、配線部材32と第1導電性接着層31Aとの接合に際しては、配線部材32の延びる方向に沿って加圧位置が進むように、配線部材32と第1導電性接着層31Aとの接している部分が順に加圧されていく。こうした製造方法においては、配線部材32の幅方向に導体部40が等間隔に配置され、かつ、配線部材32の延びる方向において、導体部40と開口部41との面積の比が一定であると、接合の強度に偏りが生じること、および、第1導電性接着層31A内の導電路の形成に偏りが生じることを的確に抑えることができる。
【0058】
また、配線部材32において、第1配線層34Aのなかで第1保護層35Aに覆われている部分は平膜状であること、すなわち、パターンが形成されていないことが好ましい。言い換えれば、第1配線層34Aは、上記導体パターンを構成するパターン部42と、開口部41を有さずに広がる非パターン部43とを有することが好ましい。パターン部42と非パターン部43とは繋がっており、連続する1つの層を構成する。すなわち、パターン部42と非パターン部43とは導通している。非パターン部43は、第1配線層34Aにおいてパターン部42が位置する端部から延びる部分、すなわち、配線部材32における第1導電性接着層31Aと接合していない部分に位置する。
【0059】
第1配線層34Aにおける第1導電性接着層31Aに接合している端部とは反対側の端部が駆動回路に接続されることにより、第1透明電極層23Aと電源とが電気的に接続される。駆動回路は、電源から受ける電圧を駆動電圧に変換して第1配線層34Aを通じて第1透明電極層23Aに印加する。第1配線層34Aは、全体として1本の配線として機能すれば十分であるため、第1導電性接着層31Aに接合していない部分にパターンが形成されていない構成であれば、パターンの形成に要する負荷の軽減や、第1配線層34Aにおける抵抗値の増大の抑制が可能である。
【0060】
なお、非パターン部43の一部は、配線部材32における第1導電性接着層31Aと接合している部分に位置してもよいし、パターン部42の一部は、配線部材32における第1導電性接着層31Aと接合していない部分に位置してもよい。
【0061】
上記においては、第1配線層34Aを例として説明したが、上記各構成は、第2配線層34Bにも適用可能であり、同様の効果が得られる。第1配線層34Aが有する導体パターンと、第2配線層34Bが有する導体パターンとは、同一のパターンであってもよいし、互いに異なるパターンであってもよい。第1配線層34Aと第2配線層34Bとは互いに絶縁され、第1配線層34Aと第2配線層34Bとは駆動回路の互いに異なる端子に接続される。そして、駆動回路は、第2配線層34Bを通じて駆動電圧を第2透明電極層23Bに印加する。
【0062】
[調光ユニットの製造方法]
調光ユニット10は、例えば、以下の製造方法によって製造される。
まず、調光層21および電極シート22A,22Bを有する多層シートが形成される。そして、多層シートから、透明板50の形状に応じた形状に、調光層21および電極シート22A,22Bを有する多層体が切り出される、あるいは、打ち抜かれる。そして、上記多層体が、接着層51を介して透明板50に貼り付けられた後、あるいは、貼り付けられる前に、配線領域SDが形成されて、接続部30が接続される。
【0063】
配線領域SDは、上記多層体の一部から調光層21が除去されることによって形成される。例えば、上記多層体の端部において第1電極シート22Aと第2電極シート22Bとの間が拡げられ、調光層21が部分的に除去される。これによって、調光シート20が形成される。その後、調光層21が取り除かれた部分に、接続部30が配置されることにより、調光ユニット10が形成される。透明板50上における調光シート20の外周には、必要に応じて封止部が形成されればよい。
【0064】
こうした製造方法によれば、調光領域Siのうち、調光シート20の外縁部分を構成する端部にて、調光層21および電極シート22A,22Bの端面は、調光シート20の厚さ方向に揃う。
【0065】
上記製造方法によれば、2つの電極シート22A,22Bの間に封止構造を形成した後に電極シート22A,22Bの間に液晶を注入して調光層21を形成することを調光シート20ごとに行う製造方法と比較して、調光シート20の製造の効率が高められる。また、多層シートからの切り出しや打ち抜きによって調光シート20の外形が形成されるため、透明板50の形状に応じた形状に調光シート20を形成することが容易である。
【0066】
さらに、調光層21の一部を除去することによって配線領域SDが形成されるため、予め、配線領域SDの部分を除いた形状に調光層21が形成される製造方法と比較して、調光層21の形成に要する負担の軽減が可能である。また、配線領域SDの大きさや配置の調整も容易である。
【0067】
[作用]
調光ユニット10の作用を説明する。調光ユニット10において、接続部30は、第1導電性接着層31Aの表面に配線部材32の第1配線層34Aが接合し、第2導電性接着層31Bの表面に配線部材32の第2配線層34Bが接合した構造を有する。こうした構成においては、導電性接着層31A,31Bと配線部材32との接合部分は広がりを有し、接続部30を構成する各部材同士の接合には、はんだとリード線とを用いた接合構造のような点状の接合構造は含まれない。したがって、接続部30における接合の信頼性が高められる。その結果、透明板50に対する調光ユニット10の施工の際や、窓等に調光ユニット10が用いられる場合のように透明板50とともに調光ユニット10が動かされる際に、接続部30に外力が作用したとしても、接続部30に接合不良が生じることを抑えることができる。
【0068】
さらに、配線部材32の一方の面が第1導電性接着層31Aを介して第1透明電極層23Aに固定され、配線部材32の他方の面が第2導電性接着層31Bを介して第2透明電極層23Bに固定されている。すなわち、配線部材32の両面が、調光シート20に固定されている。したがって、例えば、第1導電性接着層31Aに接続する配線部材と第2導電性接着層31Bに接続する配線部材とが別々の位置に設けられて各配線部材の片面のみが調光シート20に固定される形態と比較して、調光シート20に対する配線部材32の固定が強固になる。
【0069】
はんだとリード線とを備える従来の接続部は、接続部全体が厚くならざるを得ないため、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に、これらの透明電極層23A,23Bの各々と接続する接続部を挟むことは極めて困難である。これに対し、本実施形態の接続部30であれば、接続部30の総厚を薄くすることができるため、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に、接続部30が挟まれた構造の実現が可能である。こうした構造であれば、透明電極層23A,23Bと接続部30との接合部分が調光シート20から露出していないため、この接合部分が透明板50等の他の部材と接触して接続部30に衝撃が加わることが抑えられる。その結果、透明電極層23A,23Bと接続部30との接合部分や導電性接着層31A,31Bと配線部材32との接合部分に外力が作用して接合が弱まることを抑えることができる。
【0070】
本実施形態においては、調光シート20の表面と対向する方向から見て、1箇所の配線領域SDにて、第1透明電極層23Aおよび第2透明電極層23Bの各々と接続部30とが電気的に接続している。本実施形態の構造であれば、第1透明電極層23Aに接続部が接続するための配線領域と、第2導電性接着層31Bに接続部が接続するための配線領域とが別々に設けられる形態と比較して、調光シート20における配線領域の割合を小さくすることが可能であるため、調光領域Siを大きく確保することができる。
【0071】
さらに、第1導電性接着層31Aと第2導電性接着層31Bとに別々の接続部が接続される形態と比較して、調光シート20の外側で配線部材が占める領域の大きさの削減が可能であり、また、接続部を調光シート20に組み付ける際に要する作業や時間の削減も可能である。
【0072】
また、従来の調光ユニットの構造において、銀ペースト上に銅テープが接合された構造が採用される場合、低温環境や高温環境や高湿環境では、銅テープの接着強度が低下することに起因して接合不良が生じやすい。これに対し、本実施形態のように、導電性接着層31A,31Bとして、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、等方性導電フィルム、および、等方性導電ペーストのいずれかが用いられ、導電性接着層31A,31Bに配線層34A,34Bが接合する形態であれば、低温環境や高温環境や高湿環境においても、接続部30における接合の信頼性が十分に得られる。
【0073】
以上説明したように、第1実施形態の調光ユニット10によれば、以下の効果が得られる。
(1)接続部30が、2つの接着層31A,31Bと配線部材32とから構成されており、接着層31A、31Bと配線部材32との接合部分は面状の広がりを有する。そのため、接続部30が、はんだとリード線とを用いた点状の接合構造を含む形態と比較して、接続部30における接合の信頼性が高められる。さらに、配線部材32の両面が、接着層31A、31Bを介して調光シート20に固定されているため、調光シート20に対する配線部材32の固定が強固になる。
【0074】
(2)第1配線層34Aが、第1透明電極層23Aに接合する第1導電性接着層31Aと接合し、第2配線層34Bが、第2透明電極層23Bに接合する第2導電性接着層31Bと接合する。すなわち、配線部材32は、一方の面で第1透明電極層23Aに電気的に接続され、他方の面で第2透明電極層23Bに電気的に接続される。このように、調光シート20の表面と対向する方向から見て、1つの配線領域SDにて、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとに対して接続部が電気的に接続するため、配線領域SDの割合の低減、および、接続部30の占める領域の削減が可能である。
【0075】
(3)配線層34A,34Bが、導電性接着層31A,31Bと接合している部分にて、平膜状を有する形態であれば、配線層34A,34Bがパターンを有している形態と比較して、パターンの形成に要する負荷の軽減が可能である。また、配線層34A,34Bの抵抗値を低く抑えることができる。
【0076】
(4)配線層34A,34Bが、導電性接着層31A,31Bと接合している部分に、導体のパターンを有する形態であれば、導電性接着層31A,31Bは、配線部材32に対し、金属の間で部分的に樹脂と接するように接合する。これにより、導電性接着層31A,31Bが一様な金属面と接合する場合と比較して、導電性接着層31A,31Bと配線部材32との接合の強度が高められるため、接続部30における接合の信頼性がより高められる。
【0077】
(5)封止部36が、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間で、接続部30と調光領域Siに位置する調光層21との間の隙間を埋めている。こうした構成によれば、導電性接着層31A,31Bと配線部材32との接合部分や、導電性接着層31A,31Bと透明電極層23A,23Bとの接合部分を汚れ等から保護し、各部材の接合性能の低下を抑えることができる。また、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの接触や、第1導電性接着層31Aと第2導電性接着層31Bとの接触が抑えられるため、短絡を抑えることができる。
【0078】
(6)配線部材32がフレキシブルプリント基板であり、導電性接着層31A,31Bが、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、等方性導電フィルム、および、等方性導電ペーストのいずれかである。上記構成であれば、接続部30に用いることに適した配線部材32が実現される。また、低温環境や高温環境や高湿環境においても、接続部30における接合の信頼性が十分に得られる。
【0079】
(第2実施形態)
図7図10を参照して、調光ユニットの第2実施形態を説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0080】
[調光ユニットの構成]
図7が示すように、第2実施形態の調光ユニット11は、調光シート20と、2つの接続部である第1接続部60Aおよび第2接続部60Bとを備えている。
調光シート20の表面と対向する方向から見て、調光シート20は、調光領域Siと、第1配線領域SAおよび第2配線領域SBとを含む。第1配線領域SAには第1接続部60Aが接続し、第2配線領域SBには第2接続部60Bが接続している。2つの配線領域SA,SBは、調光シート20の端部に位置し、調光シート20の一辺に沿って並ぶ。配線領域SA,SBが配置される上記一辺はいずれの辺であってもよく、透明板50や駆動回路の配置等に応じて設定されればよい。
【0081】
第1配線領域SAおよび第2配線領域SBは、例えば、調光シート20の角部を含む位置に設けられる。すなわち、調光シート20の上記一辺における一方の端部を含む角部から当該辺に沿って第1配線領域SAが延び、上記一辺における他方の端部を含む角部から当該辺に沿って第2配線領域SBが延びる。
【0082】
第1配線領域SAと第2配線領域SBとの間には、調光領域Siの一部である端子間領域Seが位置している。換言すれば、調光シート20の表面と対向する方向から見て、調光シート20の上記一辺に沿って、第1配線領域SAと端子間領域Seと第2配線領域SBとがこの順に並び、第1接続部60Aと第2接続部60Bとの間に端子間領域Seが位置している。
【0083】
第1接続部60Aは、第1配線領域SAから調光シート20の外側に延び、第2接続部60Bは、第2配線領域SBから調光シート20の外側に延びている。調光シート20の外側にて、第1接続部60Aと第2接続部60Bとは分離しており、別々に駆動回路に接続されている。
【0084】
図8は、図7におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
図8が示すように、第1配線領域SAには、第1実施形態の配線領域SDと同様、第1電極シート22Aおよび第2電極シート22Bが存在する一方で、調光層21は存在しない。そして、第1配線領域SAでは、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に第1接続部60Aの端部が挟まれている。
【0085】
第1接続部60Aは、第1接着層の一例である導電性接着層61Aと、第2接着層の一例である絶縁性接着層67Aと、第1配線部材62Aと、第1封止部66Aとを備えている。
【0086】
導電性接着層61Aは、第1実施形態の導電性接着層31A,31Bと同様、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、等方性導電フィルム、および、等方性導電ペーストのいずれかから構成される。絶縁性接着層67Aは、対象の接合に際して固化を要する接着剤から構成されてもよいし、対象の接合に際して固化を要しない粘着剤から構成されてもよい。絶縁性接着層67Aは、例えば、シリコン系またはエポキシ系の材料から構成される。
【0087】
第1配線部材62Aとしては、第1実施形態の配線部材32と同様、フレキシブルプリント基板が用いられ、第1配線部材62Aは、絶縁性樹脂層63A、絶縁性樹脂層63Aの一方の面に貼り付けられた金属薄膜からなる配線層64A、および、配線層64Aの一部を覆う保護層65Aを備えている。第1配線部材62Aの端部においては、配線層64Aは、保護層65Aから露出されている。絶縁性樹脂層63Aの他方の面には、配線層および保護層は配置されていない。
【0088】
導電性接着層61Aは、第1透明電極層23Aの表面に接合し、絶縁性接着層67Aは、第2透明電極層23Bの表面に接合している。第1配線部材62Aは、配線層64Aが導電性接着層61Aに向けられるように配置され、導電性接着層61Aと絶縁性接着層67Aとに挟まれている。そして、配線層64Aの表面のうち、保護層65Aから露出している部分が、導電性接着層61Aに接合されている。また、絶縁性樹脂層63Aにおける配線層64Aの位置する面とは反対側の面が、絶縁性接着層67Aに接合されている。なお、保護層65Aが配線層64Aを覆っている部分の一部も、導電性接着層61Aに接合されてもよい。
【0089】
すなわち、第1配線部材62Aの厚さ方向における一方側の表面は、導電性接着層61Aを介して第1透明電極層23Aに固定されており、配線層64Aは、第1透明電極層23Aと導通している。一方、第1配線部材62Aの厚さ方向における他方側の表面は、絶縁性接着層67Aを介して第2透明電極層23Bに固定されており、配線層64Aは、第2透明電極層23Bとは絶縁されている。
【0090】
配線層64Aは、導電性接着層61Aと接合する端部において、第1実施形態の配線層34A,34Bと同様に、平膜状であってもよいし、開口部を区画する導体のパターンを有していてもよい。
【0091】
第1封止部66Aは、絶縁性の樹脂から構成されている。第1封止部66Aは、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間で、第1接続部60Aと調光領域Siにおける調光層21との間の隙間を埋めている部分を有している。また、第1封止部66Aは、第1配線部材62Aのなかで、導電性接着層61Aおよび絶縁性接着層67Aの各々との接合部分から調光シート20の外側へ延びる部分と、第1透明電極層23Aおよび第2透明電極層23Bの各々との間の隙間を埋めている部分を有している。
【0092】
第1封止部66Aによって、第1実施形態と同様に、導電性接着層61Aおよび絶縁性接着層67Aの各々と第1配線部材62Aとの接合部分や、これらの接着層61A,67Aと透明電極層23A,23Bとの接合部分を保護することができる。また、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとが接触して短絡を起こすことも抑えられる。第2実施形態においても、第1封止部66Aが、第1透明電極層23Aと第1配線部材62Aとの間から調光シート20の外側にはみ出す部分と、第2透明電極層23Bと第2配線部材62Bとの間から調光シート20の外側にはみ出す部分とを有することが好ましい。
【0093】
図9は、図7におけるIX-IX線に沿った断面図である。
図9が示すように、第2配線領域SBにも、第1配線領域SAと同様、第1電極シート22Aおよび第2電極シート22Bが存在する一方で、調光層21は存在しない。そして、第2配線領域SBでは、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に、第2接続部60Bの端部が挟まれている。
【0094】
第2接続部60Bは、導電性接着層61Bと、絶縁性接着層67Bと、第2配線部材62Bと、第2封止部66Bとを備えている。
導電性接着層61Bは、導電性接着層61Aと同様、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、等方性導電フィルム、および、等方性導電ペーストのいずれかから構成される。絶縁性接着層67Bは、絶縁性接着層67Aと同様、例えば、シリコン系またはエポキシ系の材料から構成される。
【0095】
第2配線部材62Bとしては、第1配線部材62Aと同様、フレキシブルプリント基板が用いられる。第2配線部材62Bは、絶縁性樹脂層63B、絶縁性樹脂層63Bが有する一方の面に貼り付けられた配線層64B、および、配線層64Bの一部を覆う保護層65Bを備えている。第2配線部材62Bの端部においては、配線層64Bは、保護層65Bから露出されている。絶縁性樹脂層63Bの他方の面には、配線層および保護層は配置されていない。
【0096】
導電性接着層61Bは、第2透明電極層23Bの表面に接合され、絶縁性接着層67Bは、第1透明電極層23Aの表面に接合されている。第2配線部材62Bは、配線層64Bが導電性接着層61Bに向けられるように配置され、導電性接着層61Bと絶縁性接着層67Bとに挟まれている。そして、配線層64Bの表面のうち、保護層65Bから露出している部分が、導電性接着層61Bに接合されている。また、絶縁性樹脂層63Bにおける配線層64Bの位置する面とは反対側の面が、絶縁性接着層67Bに接合されている。なお、保護層65Bが配線層64Bを覆っている部分の一部も、導電性接着層61Bに接合されてもよい。
【0097】
すなわち、第2配線部材62Bの厚さ方向における一方側の表面は、導電性接着層61Aを介して第2透明電極層23Bに固定されており、配線層64Bは、第2透明電極層23Bと導通している。一方、第2配線部材62Bの厚さ方向における他方側の表面は、絶縁性接着層67Bを介して第1透明電極層23Aに固定されており、配線層64Bは、第1透明電極層23Aとは絶縁されている。
【0098】
配線層64Bは、導電性接着層61Bと接合する端部において、第1実施形態の配線層34A,34Bと同様に、平膜状であってもよいし、開口部を区画する導体のパターンを有していてもよい。
【0099】
第2封止部66Bは、絶縁性の樹脂から構成されている。第2封止部66Bは、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間で、第2接続部60Bと調光領域Siにおける調光層21との間の隙間を埋めている部分を有している。また、第2封止部66Bは、第2配線部材62Bのなかで、導電性接着層61Bおよび絶縁性接着層67Bの各々との接合部分から調光シート20の外側へ延びる部分と、第1透明電極層23Aおよび第2透明電極層23Bの各々との間の隙間を埋めている部分を有している。
【0100】
第2封止部66Bによって、導電性接着層61Bおよび絶縁性接着層67Bの各々と第2配線部材62Bとの接合部分や、第2接続部60Bと透明電極層23A,23Bとの接合部分を保護することができる。また、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとが接触して短絡を起こすことも抑えられる。第2封止部66Bも、第1透明電極層23Aと第2配線部材62Bとの間から調光シート20の外側にはみ出す部分と、第2透明電極層23Bと第2配線部材62Bとの間から調光シート20の外側にはみ出す部分とを有することが好ましい。
【0101】
図10は、図7におけるX-X線に沿った断面図である。
図10が示すように、第1配線領域SAと第2配線領域SBとの間に位置する端子間領域Seにおいては、第1電極シート22Aと第2電極シート22Bとの間に調光層21が挟まれている。この端子間領域Seにおける調光シート20の層構成は、調光領域Siにおける他の部分と一致する。第1電極シート22Aを構成する第1透明電極層23Aおよび第1透明支持層24Aは、端子間領域Seから第1配線領域SAおよび第2配線領域SBの各々へ、連続して延びている。第2電極シート22Bを構成する第2透明電極層23Bおよび第2透明支持層24Bもまた、端子間領域Seから第1配線領域SAおよび第2配線領域SBの各々へ、連続して延びている。
【0102】
第1接続部60Aは、第1接続部60Aに対して第1透明電極層23Aの位置する側で、導電性接着層61Aにより調光シート20に接続され、第2透明電極層23Bの位置する側で、絶縁性接着層67Aにより調光シート20に接続されている。第2接続部60Bは、第2接続部60Bに対して第1透明電極層23Aの位置する側で、絶縁性接着層67Bにより調光シート20に接続され、第2透明電極層23Bの位置する側で、導電性接着層61Bにより調光シート20に接続されている。
【0103】
すなわち、第1接続部60Aの第1配線部材62Aと調光シート20とは、第1配線部材62Aに対して第1透明電極層23Aの位置する側で、駆動電圧に対して電気的に接続されている。そして、第2接続部60Bの第2配線部材62Bと調光シート20とは、第2配線部材62Bに対して第2透明電極層23Bの位置する側で、駆動電圧に対して電気的に接続されている。
【0104】
第1配線部材62Aの配線層64Aにおける導電性接着層61Aに接合している端部とは反対側の端部が、駆動回路に接続されることにより、第1透明電極層23Aと駆動回路とが電気的に接続される。また、第2配線部材62Bの配線層64Bにおける導電性接着層61Bに接合している端部とは反対側の端部が、駆動回路に接続されることにより、第2透明電極層23Bと駆動回路とが電気的に接続される。
【0105】
第2実施形態の調光ユニット11は、第1実施形態の調光ユニット10に準じた方法で製造される。すなわち、調光層21および電極シート22A,22Bを有する多層シートが形成され、多層シートから、透明板50の形状に応じた形状に、調光層21および電極シート22A,22Bを有する多層体が切り出される、あるいは、打ち抜かれる。そして、上記多層体の一部から調光層21が除去されることによって、第1配線領域SAと第2配線領域SBとが形成され、第1配線領域SAに第1接続部60Aが接続され、第2配線領域SBに第2接続部60Bが接続される。
【0106】
[作用]
調光ユニット11の作用を説明する。調光ユニット11において、接続部60A,60Bは、導電性接着層61A,61Bの表面に配線部材62A,62Bの一方の面が接合し、絶縁性接着層67A,67Bの表面に配線部材62A,62Bの他方の面が接合した構造を有する。したがって、第2実施形態においても、導電性接着層61A,61Bおよび絶縁性接着層67A,67Bの各々と配線部材62A,62Bとの接合部分は広がりを有し、接続部60A,60Bを構成する各部材同士の接合には、はんだとリード線とを用いた接合構造のような点状の接合構造は含まれない。したがって、第1実施形態と同様、接続部60A,60Bにおける接合の信頼性が高められる。
【0107】
さらに、第2実施形態では、配線部材62A,62Bは、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとのうちの一方のみに電気的に接続される一方で、第1透明電極層23Aと第2導電性接着層31Bとの両方に固定される。すなわち、配線部材62A,62Bの両面が、調光シート20に固定される。したがって、配線部材62A,62Bが、電気的に接続される透明電極層23A,23Bのみに片面で固定される形態と比較して、調光シート20に対する配線部材32の固定が強固になる。
【0108】
また、第1透明電極層23Aに接続部を接続するための第1配線領域SAと、第2透明電極層23Bに接続部を接続するための第1配線領域SAとが別々に設けられる。したがって、はんだとリード線とを備える従来の接続部が用いられていた場合と同様の位置に配線領域を設定することが可能であるため、配線領域の配置についての設計に要する負担が小さい。
【0109】
以上説明したように、第2実施形態の調光ユニット11によれば、第1実施形態の(1),(3)~(6)の効果に加えて、以下の効果が得られる。
(7)配線部材62A,62Bは、一方の面で、導電性接着層61A,61Bを介して透明電極層23A,23Bの一方に固定され、他方の面で、絶縁性接着層67A,67Bを介して透明電極層23A,23Bの他方に固定される。すなわち、配線部材62A,62Bは、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとのうちの一方のみに電気的に接続される一方で、第1透明電極層23Aと第2導電性接着層31Bとの両方に固定される。したがって、透明電極層23A,23Bと電源とを接続するため接続部が、透明電極層ごとに設けられる形態でありながら、調光シート20に対する配線部材32の固定が強固になる。
【0110】
<変形例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。なお、以下の各変形例は、組み合わせて実施することもできる。
[第2実施形態の変形例]
・調光シート20の表面と対向する方向から見て、第1配線領域SAと第2配線領域SBとは、調光シート20が有する互いに異なる辺に沿った位置に配置されていてもよい。すなわち、第1接続部60Aと第2接続部60Bとは、調光シート20の一辺に沿って並んでいなくてもよい。こうした構成によれば、第1接続部60Aと第2接続部60Bとの配置の自由度が高まり、調光シート20の大きさや設置場所等に応じて、第1接続部60Aと第2接続部60Bとの位置を調整することも可能となる。また、第1配線領域SAおよび第2配線領域SBは、調光シート20の角部を含まない位置に設けられてもよい。第2実施形態に記載した製造方法によって調光ユニット11が形成される場合、調光シート20における配線領域SA,SB以外の領域は、すべて調光領域Siとなる。
【0111】
なお、第2実施形態のように、第1配線領域SAと第2配線領域SBとが調光シート20が有する1つの辺に沿って並び、第1配線領域SAと第2配線領域SBとの間に端子間領域Seが位置する構成であれば、接続部60A,60Bが、調光シート20の一辺に沿ってまとめて配置される。その結果、調光領域Siのなかで配線領域SA,SBを含まない矩形領域を大きく確保できるため、調光シート20を通して大きな視野の確保が可能である。さらに、接続部60A,60Bから駆動回路までの経路の拡大や接続部60A,60Bの配置に要する領域の拡大を抑えることができる。
【0112】
・第1配線部材62Aにおいて、絶縁性樹脂層63Aの配線層64Aが位置する面とは反対側の面にも、金属薄膜層が設けられていてもよく、さらに、保護層が設けられていてもよい。第1配線部材62Aにおける配線層64Aとは反対側の最外面は、絶縁性接着層67Aに接合し、上記金属薄膜層は、第2透明電極層23Bとは絶縁される。同様に、第2配線部材62Bにおいて、絶縁性樹脂層63Bの配線層64Bが位置する面とは反対側の面にも、金属薄膜層が設けられていてもよく、さらに、保護層が設けられていてもよい。第2配線部材62Bにおける配線層64Bとは反対側の最外面は、絶縁性接着層67Bに接合し、上記金属薄膜層は、第1透明電極層23Aとは絶縁される。
【0113】
配線部材62A,62Bが表裏に金属薄膜層を有する場合、調光シート20の外側において、第1配線部材62Aと第2配線部材62Bとは繋がっていてもよい。詳細には、第1配線部材62Aの絶縁性樹脂層63Aと第2配線部材62Bの絶縁性樹脂層63Bとは、調光シート20の付近で二股に分かれた1つの基材を構成する。この基材の一方の面に位置する金属薄膜層が配線層64Aであって、第1配線領域SAにて第1透明電極層23Aに電気的に接続され、上記基材の他方の面に位置する金属薄膜層が配線層64Bであって、第2配線領域SBにて第2透明電極層23Bに電気的に接続される。こうした構成によれば、調光シート20の外側において接続部60A,60Bが占める領域の削減が可能である。
【0114】
なお、第2実施形態のように、調光シート20の外側において、第1接続部60Aと第2接続部60Bとが分離している形態であれば、第1接続部60Aと第2接続部60Bとを別々の部材として配線領域SA,SBに各別に取り付けることができる。したがって、第1接続部60Aと第2接続部60Bとが繋がっている形態と比較して、調光ユニット11の組み立てが容易である。
【0115】
・配線部材62A,62Bとして、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)を用いてもよい。フレキシブルフラットケーブルは、並列に配置された帯状の導体が、2つの絶縁性樹脂フィルムで挟まれた構造を有する。フレキシブルフラットケーブルの端部の一方の面において、帯状の導体が絶縁性樹脂フィルムから露出され、この露出部分が導電性接着層61A,61Bに接合される。フレキシブルフラットケーブルにおける他方の面の端部が、絶縁性接着層67A,67Bに接合される。帯状の導体が配線層に相当し、帯状の導体が並ぶパターンが導体のパターンに相当し、絶縁性樹脂フィルムが絶縁性樹脂層に相当する。
【0116】
配線部材62A,62Bとしてフレキシブルプリント基板が用いられる場合、導体パターンは金属薄膜のエッチングによって形成されるため、パターン形状についての自由度が高く、また、微細なパターンを形成することもできる。これに対し、配線部材62A,62Bとしてフレキシブルフラットケーブルが用いられる場合、配線部材62A,62Bを安価に得ることが可能である。また、フレキシブルフラットケーブルにおいては、導体パターンのパターン形状の自由度は制限されるものの、帯状の導体の幅や配列間隔の調整によって、導体部と開口部との比率の調整が可能であり、これによって接合強度の向上を図ることも可能である。
【0117】
[第1実施形態および第2実施形態の変形例]
・第1実施形態において、調光シート20が複数の配線領域SDを有し、各配線領域SDに接続部30が接続されていてもよい。すなわち、調光ユニット10は、複数の接続部30を有していてもよい。こうした構成においては、複数の接続部30の第1配線層34Aが互いに同電位に制御され、複数の接続部30の第2配線層34Bが互いに同電位に制御されればよく、複数の接続部30は、各別に駆動回路に接続されてもよい。あるいは、複数の接続部30は、調光シート20の外側において、互いに繋がっていてもよい。言い換えれば、複数の接続部30の第1配線層34Aと第2配線層34Bとの各々は、駆動回路からの信号の入力側で1つの端子に繋がり、かつ、出力側で複数の端子に繋がる構造の配線を構成してもよい。
【0118】
同様に、第2実施形態において、調光シート20が複数の第1配線領域SAを有するとともに、調光ユニット11が複数の第1接続部60Aを有し、各第1配線領域SAに第1接続部60Aが接続されていてもよい。複数の第1接続部60Aは、各別に駆動回路に接続されてもよいし、調光シート20の外側において、互いに繋がっていてもよい。また、調光シート20が複数の第2配線領域SBを有するとともに、調光ユニット11が複数の第2接続部60Bを有し、各第2配線領域SBに第2接続部60Bが接続されていてもよい。複数の第2接続部60Bは、各別に駆動回路に接続されてもよいし、調光シート20の外側において、互いに繋がっていてもよい。
【0119】
上記各構成によれば、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの各々を所定の電位に制御するために駆動回路にかかる負荷の軽減が可能である。特に、上記各構成は、調光領域Siの面積が大きい場合に有効である。
【0120】
・第1実施形態において、配線部材32は、少なくとも配線層34A,34Bと絶縁性樹脂層33とを備えていればよい。また、第2実施形態において、配線部材62A,62Bは、少なくとも配線層64A,64Bと絶縁性樹脂層63A,63Bとを備えていればよい。配線層34A,34B,64A,64Bは金属製の層であればよく、メッキ層等を含む複数の層から構成されてもよいし、絶縁性樹脂層33,63A,63Bは樹脂製の層であればよく、複数の層から構成されてもよい。また、導電性接着層31A,31B,61A,61Bは、導電性と接着性とを有する層であればよく、複数の層から構成されてもよいし、絶縁性接着層67A,67Bは、絶縁性と接着性とを有する層であればよく、複数の層から構成されていてもよい。
【0121】
・第1実施形態において、接続部30は、封止部36を備えていなくてもよい。また、第2実施形態において、接続部60A,60Bは、封止部66A,66Bを備えていなくてもよい。
【0122】
・調光シート20は、調光層21および電極シート22A,22Bに加えて、他の層を備えていてもよい。他の層は、例えば、紫外線バリア機能を有する層等のように、調光層21や透明電極層23A,23Bを保護するための層や、調光シート20における光の透過性の制御に寄与する層や、調光シート20の強度や耐熱性等の特性を高める層等が挙げられる。
【0123】
また、調光シート20は、調光層21と電極シート22A,22Bとの間で調光層21を挟む一対の配向層を備えていてもよい。配向層は、調光層21が含む液晶分子の配向を制御する層であり、駆動電圧が印加されていないとき、液晶分子を所定の方向に配向させる。配向層を備える構成では、透明電極層23A,23Bに駆動電圧が印加されていないとき、調光領域Siが透明となり、透明電極層23A,23Bに駆動電圧が印加されているとき、調光領域Siが不透明となる。
【0124】
調光シート20が、調光層21および電極シート22A,22B以外の層をさらに備える場合、配線領域SA,SB,SDでは、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に挟まれる層が取り除かれて、第1透明電極層23Aと第2透明電極層23Bとの間に接続部30,60A,60Bが挟まれていればよい。また、調光シート20の外形は矩形とは異なる形状であってもよい。
【0125】
・調光層21は、所定の色を有する色素であって、調光層21に印加された電圧の大きさに応じた液晶分子の運動を妨げない色素を含んでもよい。こうした構成によれば、所定の色を有する調光シート20が実現される。
【0126】
・第1電極シート22Aと第2電極シート22Bとは、いずれが透明板50に貼り付けられていてもよい。また、調光シート20が、2つの透明板50に挟まれていてもよい。
【符号の説明】
【0127】
SA,SB,SD…配線領域、Si…調光領域、Se…端子間領域、10,11,100…調光ユニット、20,110…調光シート、21,120…調光層、22A,22B,130A,130B…電極シート、23A,23B,140A,140B…透明電極層、24A,24B,150A,150B…透明支持層、30,60A,60B,160A,160B…接続部、31A,31B,61A,61B,161…導電性接着層、32,62A,62B…配線部材、33,63A,63B…絶縁性樹脂層、34,64A,64B…配線層、35,65A,65B…保護層、36,66A,66B…封止部、50…透明板、51…接着層、67A,67B…絶縁性接着層、40…導体部、41…開口部、42…パターン部、43…非パターン部、162…導電テープ、163…はんだ、164…リード線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13