(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】車両の前部構造
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20221004BHJP
B60R 13/08 20060101ALI20221004BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B60K11/04 L
B60R13/08
B60K11/06
(21)【出願番号】P 2018083349
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】笹田 卓司
(72)【発明者】
【氏名】志賀 俊夫
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特許第6265250(JP,B1)
【文献】特開2016-205192(JP,A)
【文献】実開昭58-025617(JP,U)
【文献】特開2016-130074(JP,A)
【文献】特開2015-145220(JP,A)
【文献】米国特許第04854278(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
B60R 13/08
B60K 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンネットの下方に、エンジンの上面及び周囲側面を覆うカバー部材を備える車両の前部構造であって、
上記カバー部材の上壁前部の車幅方向の一部分について、エンジンとの間の空間を他の部位より広く形成するとともに、上記カバー部材の後壁の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位について、エンジンとの間の空間を他の部位より広く形成し
、
上記カバー部材の内壁面に吸音材が設けられており、
上記上壁における、エキマニ及び排気浄化装置と車幅方向に一致する部位の吸音材を他の部位より薄くするとともに、該上壁の下方に、エンジン本体部を上方から覆う第2カバーを備え、
上記第2カバーの内壁面に吸音材が設けられた
車両の前部構造。
【請求項2】
高負荷運転直後のエンジン停止時に所定期間ファンを作動させる
請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
エンジン前方側に有する吸気系部品の前面側に、上下方向に連続する平坦な縦壁面を形成した
請求項
1に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
上記縦壁面の両サイドに、該縦壁面に対して前方へ突出するとともに上下方向に連続して延びる突起が設けられた
請求項
3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
上記カバー部材の後壁の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置しない部位について、エンジン後部と上記カバー部材後壁との間隔を車幅方向の他の部位より狭く形成した
請求項
1~4のいずれか1項に記載の車両の前部構造。
【請求項6】
上記カバー部材の後壁の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置しない部位について、内機部品を排気系主要部品の上部に位置する部位よりも集約して配設することで、この部位をエキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位に対して、エンジン後部と上記カバー部材後壁との間
の間隔を狭く形成した
請求項
1~5のいずれか1項に記載の車両の前部構造。
【請求項7】
上記カバー部材の後壁の車幅方向における、上記エンジン後部と上記カバー部材後壁との間の間隔が狭く形成した上記部位に、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位よりも耐熱温度の低い内機部品を集約して配設した
請求項
5又は
6に記載の車両の前部構造。
【請求項8】
エンジン後部に遮熱/遮音材が取付けられており、
上記遮熱/遮音材の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位を他の部位より薄く形成した
請求項
7に記載の車両の前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボンネットの下方に、エンジンの上面及び周囲側面を覆うカバー部材を備えた車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両を屋外に所定時間(例えば、8時間以上)停止させると、エンジン温度は外気温まで低下する。
そこで、エンジン温度が外気温まで低下しないように、エンジンの上面及び周囲側面を保温性を有して覆うカバー部材を設けた構成が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この構成により、エンジン温度の低下が抑制され、エンジン再始動時に可及的高い温度からの再始動が可能となり、暖機時の燃料噴射量を抑制しつつ、早期暖機を促すことで燃費向上が期待できる。
【0004】
ところで、このようにエンジンをカバー部材で覆った構成においては、例えば、登坂走行を長時間継続する等の高負荷運転によってエンジンが高温発熱した場合に、カバー部材の内部の雰囲気温度が極めて高くなり(例えば、120度以上)、該カバー部材の内部に備えた内機部品(例えば、各種センサ等の電子部品、ハーネス等の長尺物、カップラ、コネクタ、パッキン等のエンジン部品およびエンジン関連部品)の熱害の影響が懸念される。
【0005】
これに対して、上述した特許文献1には、エンジン上方およびエンジン側方を覆う専用のカバー部材を備えた車両のエンジンカプセル化構造物において、上述したような熱害に対する対策として、エンジンの前面から内部に取り込んだ空気(走行風)を、エンジン後方に備えた排気系主要部品(エキマニ及び排気浄化装置)に向けて案内することで、エンジンの中でも特に高温化する排気系主要部品を効率よく冷却するノズル状の排気系冷却空気誘導用ガイド(11)を備えた構成が見受けられる。
【0006】
しかしながら、上述した高負荷運転によってエンジンが高温発熱した場合においては、排気系冷却空気誘導用ガイド(11)を利用して、排気系主要部品に向けて冷却するまでエアを流している間に、該排気系部品から放出された熱が拡散しながら上昇すること(所謂熱気上がり)によって、カバー部材の内部に備えた内機部品の熱害の影響が懸念される。
【0007】
例えば、排気系冷却空気誘導用ガイド(11)のノズル径を大径化して排気系主要部品の冷却効果を高めた場合には、カバー部材の内部における該排気系冷却空気誘導用ガイド(11)のレイアウト性が低下するという新たな課題が生じる。
【0008】
特に、排気系主要部品は、エンジン停止後においても排気浄化装置に備えた触媒が活性化し易い温度帯域に保たれるため、エンジン停止後においても放熱し続ける。このため、走行風を利用して排気系主要部品を冷却することができないエンジン停止後においては、上述した排気系主要部品からの熱気上がりによる熱害の影響が顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明は、エンジンをカバー部材で覆うことにより、エンジンの再始動時の早期暖気による燃費向上を図りつつ、カバー部材内部の電子部品や配線等の内機部品の熱害を防ぐことができる車両の前部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、ボンネットの下方に、エンジンの上面及び周囲側面を覆うカバー部材を備える車両の前部構造であって、上記カバー部材の上壁前部の車幅方向の一部分について、エンジンとの間の空間を他の部位より広く形成するとともに、上記カバー部材の後壁の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位について、エンジンとの間の空間を他の部位より広く形成し、上記カバー部材の内壁面に吸音材が設けられており、上記上壁における、エキマニ及び排気浄化装置と車幅方向に一致する部位の吸音材を他の部位より薄くするとともに、該上壁の下方に、エンジン本体部を上方から覆う第2カバーを備え、上記第2カバーの内壁面に吸音材が設けられたものである。
【0012】
上記構成によれば、上記カバー部材の上壁前部の車幅方向の一部分について、エンジンとの間の空間を広く形成することで、カバー部材の内部に通風路(掃風路)を形成することができ、エキマニ及び排気浄化装置から放出される熱気を効率よく掃気することができる。
【0013】
従ってエンジンをカバー部材で覆うことにより、エンジンのリスタート時の早期暖気による燃費向上を図りつつ、カバー部材内部の電子部品や配線等の熱害を防ぐことができる。
【0014】
しかも、上記カバー部材の内壁面に吸音材が設けられており、上記上壁における、エキマニ及び排気浄化装置と車幅方向に一致する部位の吸音材を他の部位より薄くするとともに、該上壁の下方に、エンジン本体部(シリンダヘッド)を上方から覆う第2カバーを備え、上記第2カバーの内壁面に吸音材が設けられたものであるから、次の如き作用、効果を奏する。
【0015】
すなわち、エキマニ及び排気浄化装置と車幅方向に一致する部位の吸音材を他の部位より薄く形成することにより、該部位において、エンジンとの間を広く形成する、すなわち通風路を形成することができる。そして、エンジンの前方から該通風路に取り込んだ掃気風(走行風、ファン風)を、エキマニ及び排気浄化装置に向けてより効率よく流すことができ、カバー部材内部の雰囲気が高温化することを防ぐことができる。
【0016】
さらに、吸音材を薄く形成することによりカバー部材の内部に通風路を形成することで、カバー部材の外形ラインに影響を及ぼすことなく吸音材を薄く形成することにより懸念される上記上壁の遮音性能の低下を第2カバーによって防ぐことができる。
【0017】
なお、上記カバー部材の上壁における、エキマニ及び排気浄化装置と車幅方向に一致する部位とは、完全に一致する場合に限らず、車幅方向の少なくとも一部が一致することを含む。
【0018】
この発明の態様として、高負荷運転直後のエンジン停止時に所定期間ファンを作動させるものである。
【0019】
上記構成によれば、エンジン停止時にもファン風により確実に熱気を掃気できる。
【0020】
この発明の態様として、エンジン前方側に有する吸気系部品の前面側に、上下方向に連続する平坦な縦壁面を形成したものである。
【0021】
上記構成によれば、掃気エアを縦壁面に沿ってスムーズにカバー部材の内部に導ける。
【0022】
この発明の態様として、上記縦壁面の両サイドに、該縦壁面に対して前方へ突出するとともに上下方向に連続して延びる突起が設けられたものである。
【0023】
上記構成によれば、縦壁面に沿ってカバー部材の内部(エンジン上層部)に向けて流れる掃気エアを該縦壁面の両サイドに有する突起によってガイドすることができるため、該掃気エアをカバー部材の内部によりスムーズに導くことができる。
【0024】
この発明の態様として、上記カバー部材の後壁の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置しない部位について、エンジン後部と上記カバー部材後壁との間隔を車幅方向の他の部位より狭く形成したものである。
【0025】
上記構成によれば、エキマニ及び排気浄化装置からの熱気上がりを促進させることができ、内機部品の上記熱気上がりによる熱害の影響を回避し易くなるとともに、熱気上がりにより上昇する熱を掃気エアによって掃気し易くなる。
【0026】
この発明の態様として、上記カバー部材の後壁の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置しない部位について、内機部品を排気系主要部品の上部に位置する部位よりも集約して配設することで、この部位をエキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位に対して、エンジン後部と上記カバー部材後壁との間の間隔を狭く形成したものである。
【0027】
上記構成によれば、エキマニ及び排気浄化装置の上部に対して車幅方向にオフセットした部位に、排気関連部品等の内機部品を配設したレイアウトとすることで、この部位における、エンジン後部とカバー部材後壁との間の間隔(空間)を狭小化して、この空間へのエキマニ及び排気浄化装置から放出される熱の侵入、拡散を抑制することができる。これにより、エキマニ及び排気浄化装置からの熱気上がりにより内機部品に熱害が及ぶことを回避することができるとともに、エキマニ及び排気浄化装置の直上への熱気上がりを促進することができる。
【0028】
さらに、エキマニ及び排気浄化装置の直上に対して車幅方向にオフセットした部位に内機部品を集約して配設することで、エキマニ及び排気浄化装置から上昇する熱を掃気する掃気エアが流れる流路を確保することができる。
【0029】
この発明の態様として、上記カバー部材の後壁の車幅方向における、上記エンジン後部と上記カバー部材後壁との間の間隔が狭く形成した上記部位に、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位よりも耐熱温度の低い内機部品(例えば、電子部品、ハーネス等)を集約して配設したものである。
【0030】
上記構成によれば、掃気風(走行風、ファン風)による熱の掃気と、停車時の熱気上がり(エンジン上層部から前方への熱気戻り)に対する内機部品の保護とを両立できる。
【0031】
この発明の態様として、エンジン後部に遮熱/遮音材が取付けられており、上記遮熱/遮音材の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位を他の部位より薄く形成したものである。
【0032】
上記構成によれば、エンジン後部に取り付けられた遮熱/遮音材によって、エキマニ及び排気浄化装置からの熱気上がりに対してエンジンに備えたエンジン部品を保護することができるとともに、エンジンの後方から伝搬するエンジンの燃焼音を効果的に遮音することができる。
【0033】
さらに、上記遮熱/遮音材の車幅方向における、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位を他の部位より薄く形成することにより、該エキマニ及び排気浄化装置の熱気上がりを促進してエキマニ及び排気浄化装置の周辺が高温化することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、エンジンをカバー部材で覆うことにより、エンジンの再始動時の早期暖気による燃費向上を図りつつ、カバー部材内部の電子部品や配線等の内機部品に熱害が及ぶことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本実施形態の車両の前部構造の要部を示す車幅方向の中央縦断面図。
【
図6】
図1中の領域Xfの拡大図および
図2中の領域Yrの拡大図。
【
図8】本実施形態の車両の前部構造に備えた、カバー部材30を取り外した状態のパワーユニットを後方かつ上方から視た概略斜視図。
【
図9】本実施形態の車両の前部構造に備えた、カバー部材30を取り外した状態のパワーユニットの概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両右側を示し、矢印Lは車両左側を示し、矢印Uは車両上方を示すものとする。
【0037】
図1は、本実施形態の車両の前部構造を示し、まず、本実施形態の車両の前部構造Vの前提構造について主に
図1を用いて説明する。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の前部構造Vには、内部にエンジン1を設置したエンジンルームEを設けている。そして、このエンジンルームEは、車両前方側をフロントグリル2、フロントバンパー3、及びシュラウド4等によって仕切られている。またエンジンルームEは、車両後方側を上下方向に延びるダッシュパネル5及びカウルパネル6によって仕切られている。ダッシュパネル5の下部には、車体床面を構成し、後方に向けて略水平に延びるフロアパネル7を一体または一体的に連設形成している。
【0039】
上述のフロアパネル7の車幅方向中央部には、車室内に突出して車両前後方向に延びるトンネル部8(いわゆるフロアトンネル)を形成している。
【0040】
また、このエンジンルームEは、その上部を、開閉可能に覆うボンネット28によって、下部を水平方向に延びるアンダーカバー9によって、それぞれ仕切られている。
【0041】
また、このエンジンルームE内には、車幅方向に間隔を隔てた左右両サイドに、車両前後方向に延びる閉断面形状で構成された不図示の左右一対のフロントサイドフレームが設置されおり、エンジン1等は、これら左右一対のフロントサイドフレームの間において、これらによって支持されている。
【0042】
図1中の符号27は、エンジンルームEの前側において車幅方向に延びる閉断面形状で構成されたバンパーレインフォースメントであり、バンパーレインフォースメント27は、左右一対のフロントサイドフレームに、その前端部からさらに車両前方に延びる不図示のクラッシュカン等を介して連結されている。
【0043】
エンジンルームE内に設置されるエンジン1は、クランク軸(図示せず)を車幅方向に向けて配置される、所謂、横置きエンジンであり、一般的なI型4気筒のレシプロエンジンである。また
図2、
図8、
図9に示すように、エンジン1の一側方(当例では車両左側)には、直列位置に変速機Tが配置され、この変速機Tとエンジン1によって、パワーユニット10が構成されている。
なお、
図2、
図8、
図9中の符号12は、エンジン1に対して左側に配設された箱形形状のバッテリーであり、該バッテリー12の下側に変速機Tを備えている。
【0044】
図1に示すように、エンジン1の本体部11(シリンダ)は、シリンダブロック11aと、気筒相当数の吸気ポート、排気ポートを備えたシリンダヘッド11bと、このシリンダヘッド11bを上方から覆うシリンダヘッドカバー11cとを有し、シリンダブロック11aの下部にはオイルパン11dを取付けている。
【0045】
エンジン本体部11に対して車両前方側には、インテークマニホールド15やターボチャージャーシステム16等を備えた吸気系14を配置する一方、車両後方側には、エキゾーストマニホールド18(以下、「エキマニ18」と略記する)やNOxを低減する排気浄化装置19等を備えた排気系17を配置して、所謂、前方吸気後方排気レイアウトを採用している。
【0046】
この排気系17のうち、排気浄化装置19は、その内部の前側に触媒として当例では三元触媒19aを備えている。また、排気浄化装置19の下流側には、エンジン1の排ガスを車両後部の排気サイレンサー(図示せず)へ導く排気管26を連結している。
【0047】
これらエキマニ18、排気浄化装置19および排気管26は、車体の車幅方向の略中央部に位置し、このうち排気管26は、同じく車幅方向の中央に位置するトンネル部8の下方(内部空間)に配されている(
図2参照)。
【0048】
このように、エンジン1後方側に排気系17を配置していることから、本実施形態では、エンジン1後方のエンジンルームE内の温度が極めて高くなる。
【0049】
前述のシュラウド4は、フロントグリル2およびフロントバンパー3に対して後方側かつパワーユニット10の前方側に立位姿勢で配設されており、ラジエータ21aや空調用のコンデンサー21b等から成る放熱器21をその周囲で支持する長方形状の枠部4aを備えて樹脂材料によって形成される。
【0050】
また、シュラウド4の枠部4aの前方位置には、
図1に示すように、冷却ファン22を正面視で略中央に設けた矩形形状の強化プラスチック製のファンシュラウド23を装着している。このファンシュラウド23は、冷却ファン22の送風による、ラジエータ21aのコア部分を通過する空気量を増大させるために、ラジエータ21a前面の全域を覆うように設置している。
なお、冷却ファン22は、このように放熱器21の前方側(上流側)に設けることに限らず、後方(下流側)にも設けてもよい。
【0051】
この冷却ファン22は、エンジン1へ空気(ファン風)を送風する機能も兼ねており、例えば、低速走行など車両走行時に、フロントグリル2から車体前部に流入した走行風の風量を高めるためや、車両停車時において、エンジン1にファン風を送風するものである。
【0052】
特に、後述するカバー部材30の内部は、エンジン1をカバー部材30で覆っているが故に、排気系主要部品18,19(エキマニ18および排気浄化装置19)から放出された熱が籠り易い。このため、例えば、高負荷運転によってエンジン1が高温発熱した直後に停車するなどして走行風が車両前方からエンジン1側へ取り込めない場合には、高温化した排気系主要部品18,19(エキマニ18および排気浄化装置19)からの熱気上がりによってカバー部材30の内部の雰囲気温度が、該内部に備えた内機部品に熱害が及ぶ程度まで極めて高くなることが懸念される。そこで本実施形態においては、ECU(図示省略)の指令に基づいて高負荷運転直後のエンジン1停止時に冷却ファン22を所定時間作動させる構成としている。
【0053】
なお図示省略するが、ECUは例えば、停車前の走行中における燃料噴射量、アクセルペダルの踏込量、スロットル弁の開度、エンジン1の回転数、エンジン水温、および停車直後の排気系部品周辺の温度等のうち少なくとも1つの検出値に基づいて、停車直前の運転が高負荷運転であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて冷却ファン22のON/OFFや、作動時間を制御する。
【0054】
次にエンジン1の保温構造について詳述する。
図1に示すように、ボンネット28の下方には、エンジン1の上面及び周囲側面を覆うカバー部材30を備えている。
【0055】
図1~
図5に示すように、カバー部材30は、エンジン1の上面を開閉可能に覆う上蓋部31(
図1、
図3参照)と、エンジン1の左右各側方を覆う右側壁部32(
図2、
図4参照)、左側壁部33(同図参照)と、エンジン1の後方を覆う後壁部34(
図1~
図5参照)とで構成されている。
上述の上蓋部31、右左各側壁部32,33、後壁部34は、何れも外皮としての合成樹脂製のカバー31A,32A,33A,34Aと、当該カバー31A,32A,33A,34Aの内面に一体的に配設されたグラスウール材やウレタン材等からなる保温/吸音材31B,32B,33B,34Bとを備えている。
【0056】
具体的には、
図1、
図3、
図4に示すように、上蓋部31は樹脂製のカバー31Aと、該カバー31A内面に一体配設された保温/吸音材31Bとを備えている。
【0057】
同様に、
図4に示すように、右側壁部32は樹脂製のカバー32Aと、該カバー32A内面に一体配設された保温/吸音材32Bとを備えている。
同様に、
図4に示すように、左側壁部33は樹脂製のカバー33Aと、該カバー33A内面に一体配設された保温/吸音材33Bとを備えている。
同様に、
図3、
図5、
図7に示すように、後壁部34は樹脂製のカバー34Aと、該カバー34A内面に一体配設された保温/吸音材34Bとを備えている。
【0058】
上蓋部31、右左各側壁部32,33、後壁部34は、何れもエンジン1との間に隙間を隔てて配設されているが、エンジン1を外側から覆うことによる保温効果を高めるために、エンジン1との間隔が極力小さくなる僅かな隙間を隔てて配設されている。
【0059】
また、上蓋部31は、後壁部34の上端から車幅方向に間隔を隔てて後方へ延びる左右一対のヒンジ24(
図3参照)を介して開閉可能に枢着されている(
図3、
図4、
図7参照)。上蓋部31の外周縁と、右左各側壁部32,33および後壁部34等との間には、シール部材25を介在しており、このシール部材25を介して上蓋部31は、右左各側壁部32,33および後壁部34等に対して弾性支持される。
【0060】
図1、
図4、
図7に示すように、上蓋部31のカバー31Aは、天板部31aと、該天板部31aの前後左右から略水平に延びるフランジ部31bとで一体に形成されている。
【0061】
さらに天板部31aは、その平面視中央部が車両前後方向および車幅方向に略水平に延びるとともに、平面視中央部に対して外周部が平面視外側程下方へ傾斜してスカート状に延びており、夫々一体に形成されている(
図1、
図4参照)。
【0062】
そして、上蓋部31に備えた上述したシート状の保温/吸音材31Bは、天板部31aの下面の略全体にファスナーC等により取り付けられている(
図3参照)。
【0063】
上蓋部31の前部(天板部31aの前部)は、エンジン1の吸気系14の前端よりも前方へ延びており(
図1参照)、天板部31aの前端からさらに前方に延びる前側のフランジ部31bは、シュラウド4の上面に載置されている。
【0064】
これにより、上蓋部31は、エンジン1だけでなく、該エンジン1とシュラウド4との間の空間Zfについても上方から覆っている(同図参照)。
【0065】
図3、
図4に示すように、上蓋部31の天板部31aの下面(内面)に備えた保温/吸音材31Bは、排気系主要部品18,19と車幅方向に一致する部位が、車幅方向の他の部位よりも薄く形成している。
【0066】
この上蓋部31の車幅方向の一部を薄く形成した薄肉部41は、天板部31aの内面の略全体に備えた保温/吸音材31Bの前端から後端にかけて車両前後方向に連続して直線状に形成している(
図3参照)。
【0067】
このように、上蓋部31に備えた保温/吸音材31Bに薄肉部41を形成することで(
図3、
図4、
図7参照)、上蓋部31の車幅方向において、薄肉部41に対応する部位が、その周辺部分の下面に対して上方へ凹んだ凹部42が車両前後方向に沿って形成される。この凹部42は、
図3、
図4に示すように、該薄肉部41の下面41aと、該下面41aの車幅方向両端から下方へ延びる左右の側壁面41b,41cとで、少なくともに排気系主要部品18,19の幅と同等又は若干小さい幅を有して形成されている。
【0068】
さらに当例では、凹部42は、上蓋部31に備えた保温/吸音材31Bにおいて、上述した排気系主要部品18,19だけでなく、エンジン本体部11のシリンダヘッドカバー11cと車幅方向に一致する部位に形成されている(
図1、
図7参照)。
【0069】
このように上蓋部31の下面に、上側に凹んだ凹部42を形成することで、該上蓋部31は、その車幅方向の凹部42に対応する部位を、車幅方向の他の部位と比較して、エンジン1との間隔が車両前後方向に亘って広くなるように形成している(同図参照)。
【0070】
この上蓋部31の車幅方向における、エンジン1との上下方向の間隔が車両前後方向に沿って広くなる空間、すなわち、上蓋部31の車幅方向の凹部42に対応する部位における、エンジン1との間に有する空間を、上側通風路Zucとして形成している。
【0071】
この上側通風路Zucは、
図1に示すように、エンジン1の上層部Zuにおいて車両前後方向に沿って延び、前方がエンジン1よりも前方の空間Zf(エンジン1とシュラウド4との間の空間Zf)に連通するとともに、後方がエンジン本体部11よりも後方の空間(エンジン1と後壁部34との間の空間(すなわち後述する後側通風路Zbc))に連通する。
【0072】
さらに
図1、
図3、
図4、
図7、
図8に示すように、上蓋部31の下方には、エンジン本体部11のシリンダヘッドカバー11cを上方から覆う第2カバー50を備えている。
なお、
図9においてはカバー部材30の図示を省略している。
【0073】
図1、
図3、
図4に示すように、この第2カバー50は、上蓋部31の車幅方向における、凹部42(薄肉部41)に対応する部位に、該凹部42の幅と同等の幅を有して配設されている。第2カバー50は、
図7に示すように、その上方に備えた上蓋部31との間に上側通風路Zucが形成されるように上蓋部31とシリンダヘッドカバー11cとの間に配設されている。
【0074】
第2カバー50は、遮熱機能を有する表皮プレート51と、該表皮プレート51の下面(エンジン本体部11を臨む側の面)の略全体に固着された保温/吸音材52とで一体に形成されている。表皮プレート51としては、例えば、樹脂を用いることができ、保温/吸音材52としては、例えばグラスウールやロックウールなど人造鉱石物繊維を用いることができる。
【0075】
第2カバー50は、エンジン本体部11の上部の前側を車両前後方向に略水平に覆う前側カバー部50aと、該前側カバー部50aの後端から前上後下状に傾斜して延びる後側カバー部50bとで一体に形成されている。この第2カバー50は、シリンダヘッドカバー11cを上方から覆うようにその上面に取り付け支持されている。
【0076】
そして、シリンダヘッドカバー11cを透過して上方に伝わるエンジン1の燃焼音を第2カバー50によって吸音することで、上蓋部31に備えた保温/吸音材31Bに薄肉部41を形成することによる吸音機能の低下を補填している。さらに、排気系主要部品18,19からの熱気上がりにより、通風路Zuc,Zbc(上側通風路Zucおよび後述する後側通風路Zbc)に沿って逆流する熱によってエンジン本体部11に備えた図示省略するがインジェクタのカップラやシリンダヘッド11bのガスケット等のエンジン部品に熱害が及ばないように通風路Zuc,Zbcとエンジン1との間に介在する第2カバー50によって遮熱している。
【0077】
図2、
図3、
図7に示すように、後壁部34は、エンジン1の後方に配される後壁後面部34aと、エンジン1の左右各側の側方後部に配される左右各側の後壁側面部34b,34b(
図2、
図3参照)とで一体形成されている。さらに
図7に示すように、後壁後面部34aは、エンジン1の後方において前上後下状に延びる後壁後面上部34uと、該後壁後面上部34uの下端から略鉛直下方へ延びる後壁後面下部34dとで一体に形成されている。
【0078】
図2に示すように、左右各側の後壁側面部34b,34bは、エンジン1と後壁後面部34aとの間の空間Zb(以下、「カバー内側エンジン後方空間Zb」)を左右両サイドから塞ぐように配されている。
図5、
図7に示すように、後壁部34は、エンジン本体部11の各排気ポートに対応して車両後方へ延びる排気系主要部品18,19よりも上方にて、該エキマニ18の略全体と排気浄化装置19の少なくとも三元触媒19aとを上方から覆っている。これにより排気系主要部品18,19から放出され上昇する熱気が、後壁部34に対して外側へ漏れることなくカバー部材30の内部に、すなわちカバー内側エンジン後方空間Zbに取り込む構成としている。
【0079】
この実施例では、さらに
図1、
図7に示すように、第2カバー50とシリンダヘッドカバー11cとの間で、かつ、シリンダヘッドカバー11cの上面に配策される不図示の配線及び配管類を上方から覆うプロテクタ100が配設されている。プロテクタ100はスチール製であり、前突時にエンジン1が後退した際に配線、配管類がエンジン1と車体のカウルパネル6(
図1参照)との間に挟まれ損傷するのを防ぐためのものである。第2カバー50はプロテクタ100にファスナーF等により取り付けられている。
【0080】
図5、
図7~
図9に示すように、エンジン1の後側のエキマニ18よりも上方部位、具体的には、エンジン本体部11におけるシリンダヘッド11bからシリンダヘッドカバー11cにかけての後面11bbには、後側インシュレータ54を備えている。
なお、
図8、
図9は共にカバー部材30を取り外した状態のパワーユニット10を示している。
【0081】
後側インシュレータ54は、遮熱機能を有する表皮プレート55と、該表皮プレート55の前面(エンジン本体部11を臨む側の面)の略全体に固着された保温/吸音材56とで一体に形成されている。表皮プレート55としては、例えば、アルミプレートや鋼板を用いることができ、保温/吸音材56としては、例えばグラスウールやロックウールなど人造鉱石物繊維を用いることができる。
【0082】
また、後側インシュレータ54は、その車幅方向の中央部を左右両サイドに対して薄肉に形成している。これにより、後側インシュレータ54の後面は、その車幅方向の中央部に上下方向および車幅方向に連続して延びる縦壁面54aが形成されるとともに、縦壁面54aに対して左右両サイドには、後方へ向けて突出し、上下方向に連続して延びる突起54bが夫々形成されている。
【0083】
後側インシュレータ54の後面に上下方向に延びる縦壁面54aを形成することで、排気系主要部品18,19から放出される熱を該縦壁面54aに沿ってスムーズに上昇させることができる。さらに、左右一対の突起54bは、排気系主要部品18,19からの熱気上がりによる熱気が縦壁面54aに沿って上昇する際に、車幅方向外側へ拡散しないようにガイドするエアガイドとして機能させることができる。
【0084】
また、第2カバー50と後側インシュレータ54とは、第2カバー50の後ろ面下端と後側インシュレータ54の後面上端との間に段差が形成されないように上下方向に滑らかに連設されている。
【0085】
このように、後側インシュレータ54を、シリンダヘッド11bからシリンダヘッドカバー11cにかけての後面11bbに備えることにより、排気系主要部品18,19からの熱気上がりによって、例えば、シリンダヘッド11bに備えた上述したエンジン部品に熱害が及ぶことを防ぐことができるとともに、エンジン1内部から後方へ伝播するエンジン1の燃焼音を吸音することができる。
【0086】
ところで
図5に示すように、カバー内側エンジン後方空間Zbは、カバー部材30の内部におけるエンジン1の後方において、該エンジン1の車幅方向全体に亘って構成されており、このカバー内側エンジン後方空間Zbのうち、排気系主要部品18,19の直上相当部位(車幅方向において排気系主要部品18,19の上部に位置する部位)は、上下方向に延びる後側通風路Zbcとして形成している(
図5、
図7参照)。この後側通風路Zbcは、シリンダブロック11aの後面に備えた後側インシュレータ54と後壁後面部34aとの間の空間に相当する。
【0087】
さらに
図1、
図7に示すように、後側通風路Zbcは、カバー部材30の内部における、上蓋部31とエンジン1との間の隙間、すなわちエンジン上層部Zuにおいて、車両前後方向に延びる上述した上側通風路Zucと車幅方向に一致する位置に構成されており、該後側通風路Zbcの上部は、車両前後方向に延びる後側通風路Zbcの後部とカバー部材30の内部において連通する。
【0088】
なお、カバー部材30の後壁部34に備えた保温/吸音材34Bは、その内面(通風路Zuc,Zbcに臨む面)に、通風路Zuc,Zbcを流れる空気の流れが乱流とならないように通風路Zuc,Zbcへ向けて局所的に突き出す凸部等を極力無くして滑らかに形成している(
図7参照)。
【0089】
また
図2、
図3、
図5に示すように、後壁後面部34aは、その車幅方向における、略中間位置(排気系主要部品18,19に相当する部位)と、一端(当例では左端)側の右側後壁側面部34bとの間の部位を、車幅方向に沿って略水平(車幅方向に沿って平行)に延びるように形成している。
【0090】
すなわち
図5に示すように、カバー内側エンジン後方空間Zbのうち、後側通風路Zbcに対して車幅方向の一方側(左側)の空間Zblは、該後側通風路Zbcと略同じ広さ(車両前後方向の間隔)を有して形成している。
【0091】
そして本実施形態では、カバー内側エンジン後方空間Zbのうち、後側通風路Zbcに対して左側の空間Zblに、EGR系部品などの排気関連部品91を集約して配設している。
【0092】
このように後側通風路Zbcに対して左側の空間Zblにおける排気関連部品91の占有率を高めることで、該左側の空間Zblは、後側通風路Zbcと比して実質的に狭小な空間(実質的狭小空間Zbl)として構成している。
【0093】
ここで、実質的狭小空間Zblとは、カバー内側エンジン後方空間Zbの車幅方向における、後側通風路Zbc以外の所定領域の空間のうち、排気関連部品群91…によって占有されていない、空気が充満する中空状の空間が後側通風路Zbcと比して狭い空間を示す。
【0094】
すなわち、当例では、カバー内側エンジン後方空間Zbのうち後側通風路Zbcに対して左側の空間Zblは、後側通風路Zbcと事実上(見かけ上)略同じ広さ(エンジン1と後壁部34との間隔)を有しているが(
図5参照)、上述したように、左側の空間Zblを実質的狭小空間Zblとして構成することで、排気系主要部品18,19から放出され、後側通風路Zbcに沿って上昇する熱気が、左側に有する実質的狭小空間Zblに侵入し難くしている。
【0095】
一方、後壁後面部34aは、
図3、
図5に示すように、その車幅方向における、略中間位置(排気系主要部品18,19に相当する部位)に対して他方(当例では右側)に、車幅方向外側程徐々に前方に位置するように平面視で傾斜する傾斜面部34cが形成されており、これに伴って
図5に示すように、エンジン1に対する車両前後方向の間隔(スペース)が車幅方向外側程徐々に狭くなるように形成している。
【0096】
これにより、カバー内側エンジン後方空間Zbのうち、後側通風路Zbcに対して他方側(右側)の空間Zbrは、後側通風路Zbcと比して狭く形成している。
【0097】
このように後側通風路Zbcに対して右側の空間Zbrを、後側通風路Zbcよりも事実上狭小(物理的に狭小)となる事実上狭小空間Zbrとして構成することで、排気系主要部品18,19から放出され、後側通風路Zbcに沿って上昇する熱が、該後側通風路Zbcに対して右側に有する事実上狭小空間Zbrにまで行き渡り難くしている。
【0098】
さらに本実施形態では、カバー内側エンジン後方空間Zbにおいては、耐熱温度の低い内機部品92(カバー部材30の内部における耐熱温度の低い部品であって、センサ等の電子部品、ハーネス等のエンジン部品またはエンジン関連部品)(以下、「低耐熱部品92」と称する)を、排気系主要部品18,19の直上に相当する後側通風路Zbcに極力配設せずに、排気系主要部品18,19の直上に相当しない、後側通風路Zbcに対して左側にオフセットした実質的狭小空間Zblと、右側にオフセットした事実上狭小空間Zbrとに集約するように配設している。
【0099】
具体的には
図8、
図9に示すように、カバー内側エンジン後方空間Zbの左側の実質的狭小空間Zblには、排気関連部品91又は低耐熱部品92の一例として、EGR差圧センサのコネクタ92a(
図9参照)、パージホース92b、排気側VVTのコネクタおよびカップラ92c、フューエルホース92d(
図8参照)、RrO2センサのコネクタおよびカップラ92e(
図9参照)、排気側カムセンサおよびそのカップラ92f(
図9参照)、GFP差圧センサのホース92g、圧力センサ92s等を配設している。
【0100】
なお、低耐熱部品92を、カバー内側エンジン後方空間Zbにおける、後側通風路Zbcに対して左側の空間Zblに配設することで、排気系主要部品18,19の熱気上がりの影響をダイレクトに受けることを回避することに加えて、実質的狭小空間として該左側の空間Zblの部品占有率を高めることができ、結果的に後側通風路Zbcから左側の空間Zblへ熱が侵入し難くすることにも寄与できる。このため、実質的狭小空間Zblを構成すべく左側の空間Zblに集約させた排気関連部品91は、低耐熱部品92と異なる部品に限らず、同じ部品であってもよい。
【0101】
一方
図8、
図9に示すように、カバー内側エンジン後方空間Zbの右側の事実上狭小空間Zbrには、低耐熱部品92の一例として、クランクアングルセンサ92i(
図8参照)、水流ON-OFFバルブ92j(
図8参照)、ウォーターホース92k、FrO2コネクタ92o等を配設している。
【0102】
さらに
図9に示すように、エンジン上層部Zuにおいても、排気系主要部品18,19から熱気上がりして上側通風路Zucに沿ってエンジン1前方へ環流してくる熱による熱害の影響を考慮して、低耐熱部品92を上側通風路Zucに極力配設せずに、上側通風路Zucに対して左右にオフセットして配設している。
【0103】
具体的には
図9に示すように、エンジン上層部Zuの上側通風路Zucに対して左側にオフセットした領域には、インジェクタカムセンサカップラ92n、筒気圧センサコネクタ92l、フューエルホース92d(
図8、
図9参照)、インジェクションコネクタ92m等を備えている。
【0104】
一方
図9に示すように、エンジン上層部Zuの上側通風路Zucに対して右側にオフセットした領域には、インジェクタコネクタ92p、IGコイルコネクタおよびカップラ92q、温度センサコネクタおよびカップラ92r等を備えている。
【0105】
このように、カバー部材30の内部における、カバー内側エンジン後方空間Zbおよびエンジン上層部Zuにおいて、通風路Zuc,Zbcに対して両サイドに熱に対するセーフティーゾーンを形成し(
図9参照)、通風路Zuc,Zbcを避けて構成される該セーフティーゾーンに低耐熱部品92を配設することにより、排気系主要部品18,19からの熱気上がり(通風路Zuc,Zbに沿ってエンジン1に対して前方へ流れる熱の還流)を促進させ、排気系主要部品18,19から放出された熱の事実上狭小空間Zbrおよび実質的狭小空間Zblへの拡散、充満による低耐熱部品92に対する熱害の影響を防ぐことができる。
【0106】
さらに、低耐熱部品92が、エンジン1前方から通風路Zuc,Zbcに沿って排気系主要部品18,19に向けて流れる掃気エア(走行エア、ファンエア)の抵抗となることがなく、該掃気エアによって、排気系主要部品18,19から放出され、通風路Zuc,Zbcに沿って逆流(熱気上がり)してくる熱を効率よく掃気することができる。
【0107】
また
図1、
図2、
図6(a)(b)、
図9に示すように、エンジン1前方側に有するエンジン部品としての吸気系部品の前面側には、前側インシュレータ60を備えている。
【0108】
具体的に前側インシュレータ60は、
図1に示すように、吸気系14の一部を成すターボチャージャーシステム16に備えたスーパーチャージャー16a(当例では機械式)とインタークーラー16bとを繋ぐ吸気ダクト16cの前面に取り付けられている。
【0109】
前側インシュレータ60は、上下方向に延びる吸気ダクトの形状に対応して、エンジン1の前方側で該エンジン1の下部から上端に至るまで上下方向に延びるとともに、カバー部材30の内部空間の車幅方向における、通風路Zuc,Zbc(換言すると排気系主要部品18,19)と一致する位置に、少なくとも通風路Zuc,Zbcの幅を有して設けられている(
図9参照)。
【0110】
前側インシュレータ60は、例えば、グラスウール材やウレタン材等から成る保温/吸音材61によって、車両前後方向に所定の厚みを有する板状に形成されている。なお、エンジン1の前側に位置する前側インシュレータ60は、表皮プレートを備えずに構成することで、車両前突時の衝撃吸収性能を損なわないように構成している。
【0111】
そして
図6(a)(b)に示すように、前側インシュレータ60は、その車幅方向の中央を左右両サイドと比して薄肉に形成することによって、該前側インシュレータ60の前面に、車幅方向の中央部に上下方向および車幅方向に連続して延びる平坦な縦壁面60aが形成されるとともに、
図6(b)に示すように、縦壁面60aに対して左右各側に、前方へ向けて突出し、上下方向に連続して延びるエアガイドとしての突起60bが形成されている。
【0112】
さらに
図6(a)に示すように、前側インシュレータ60の縦壁面60aの上部は、上方程後方へ位置するように緩やかに(当例ではR形状に)傾斜する傾斜面60cが形成されており、該傾斜面60cは、その下部において上下方向に垂直に延びる縦壁面60aの主要部と上下方向に連続して形成されている。
【0113】
一方、前側インシュレータ60の上部と、該上部に対して上方で対向する上蓋部31との間に、上側通風路Zucの前端に位置するエア導入口Zuf(開口部)が形成される。
【0114】
このエア導入口Zufは、縦壁面60aの上部に、上述したように傾斜面60cを形成するに伴って、前方へ向けて徐々に間口(上下方向の空間)が広くなる口開き形状として、縦壁面60aに沿って上昇してくる熱気を上側通風路Zucに取り込み易く形成している(
図6(a)参照)。
【0115】
続いて、カバー部材30の内部における掃気エアの流れについて簡単に説明する。
車両走行又は冷却ファン22の送風によって、車両前方からフロントグリル2およびシュラウド4を通過した掃気エアは、カバー部材30内部における、エンジン1よりも前方の空間Zf(シュラウド4とエンジン1との間の空間Zf)に取り込まれ(
図1参照)、その一部は、前側インシュレータ60の前面に形成した縦壁面60aに沿って上方へと流れ、エア導入口Zufから傾斜面60cに沿って滑らかに上側通風路Zucに取り込まれる。
【0116】
エンジン上層部Zuにおいて上側通風路Zucに沿ってエンジン1後方へ流れた掃気エア(走行エア、ファンエア)は、後壁部34に衝突することで上側通風路Zucに連通する後側通風路Zbcに流れ込み、後側通風路Zbcに沿って下方の排気系主要部品18,19に向けて流れる。これにより、排気系主要部品18,19からの熱気上がりによる熱を掃気エアによって効率よく掃気することができる。
【0117】
ここで本実施形態においては、通風路Zuc,Zbc(上側通風路Zucおよび後側通風路Zbc)は、排気系主要部品18,19と車幅方向に一致する位置に設けるとともに、排気系主要部品18,19およびトンネル部8と同様に車体(パワーユニット10)の車幅方向の中央部に位置するように設けている。このため、排気系主要部品18,19の熱を吸熱した掃気エアは、後方のトンネル部8の内部へと最短距離で流れ込んで車外へ排出される。
【0118】
上述したように、本実施形態の前部構造Vは、ボンネット28の下方に、エンジン1の上面及び周囲側面を覆うカバー部材30を備える車両の前部構造であって、カバー部材30の上壁(上蓋部31)の車両前後方向の少なくとも前部の車幅方向の一部分(上側通風路Zuc)について、エンジン1との間の空間を他の部位より広く形成するとともに、カバー部材30の後壁(後壁部34)の車幅方向における、排気系主要部品18,19(エキマニ18及び排気浄化装置19)の上部に位置する部位(後側通風路Zbc)について、エンジン1との間の空間を他の部位(後側通風路Zbcに対して左右各側の空間Zbl,Zbr)より広く形成したものである(
図1、
図3、
図5、
図7、
図8、
図10の特に
図1、
図5参照)。
【0119】
このように、カバー部材30の上蓋部31について、車幅方向の一部分のエンジン1との間の空間を他の部位より広く形成することで、エンジン1に向けて車両前方側から流れる掃気風(掃気エア)を、カバー部材30の上蓋部31の前部における、エンジン1との間の空間を広く形成した部分(上側通風路Zucのエア導入口Zuf)からカバー部材30内部に積極的に取り込んで、カバー部材30の内部におけるエンジン上層部Zuにおいて、後方へ向けて流すことができる。
【0120】
一方、カバー部材30の後壁部34の車幅方向における、排気系主要部品18,19の上部に位置する部位について、エンジン1との間の空間(後側通風路Zbc)を他の部位より広く形成することで、排気系主要部品18,19に向けてその上方から掃気風を効率よく流すことができる。
【0121】
従って、エンジン1をカバー部材30で覆うことにより、カバー部材30内部の保温性を高め、エンジン1のリスタート時の早期暖気による燃費向上を図りつつ、車両の運転状態等によってカバー部材30の内部が高温化した場合においても、上述したように、排気系主要部品18,19に向けて掃気エアを流して該排気系主要部品18,19から放出される熱気を効率よく掃気することができるため、カバー部材30内部の電子部品や配線等の熱害を防ぐことができる。
【0122】
この発明の態様として、高負荷運転直後のエンジン1停止時に所定期間、冷却ファン22(
図1参照)を作動させるものである。
【0123】
上記構成によれば、エンジン1停止時にもファン風により確実に熱気を掃気できる。
【0124】
またこの発明の態様として、カバー部材30の少なくとも上蓋部31のカバー31Aの内壁面に、吸音材(保温/吸音材31B)が設けられており、上蓋部31における、排気系主要部品18,19と車幅方向に一致する部位の保温/吸音材31Bを他の部位より薄くした薄肉部41を形成するとともに(
図3、
図4参照)、該上蓋部31の下方に、車幅方向中央部分のシリンダヘッド11bを上方から覆う第2カバー50を備え、第2カバー50の内壁面に吸音材(保温/吸音材52)が設けられたものである(
図1、
図3、
図4、
図7、
図8参照)。
【0125】
上記構成によれば、エンジン上層部Zuに位置する、カバー部材30で覆われた上側通風路Zucを、上蓋部31における、排気系主要部品18,19と車幅方向に一致する部位に形成することができるため(
図9参照)、エンジン1の前方から上側通風路Zucに取り込んだ掃気風(走行風、ファン風)を、排気系主要部品18,19に向けてより効率よく流すことができ、排気系主要部品18,19からの放熱によりカバー部材30内部の雰囲気が過度に高温化することを防ぐことができる。
【0126】
さらに、上記構成によれば、カバー部材30の上蓋部31(特にカバー31A)の外形ラインに影響を及ぼすことなく、エンジン上層部Zuに上側通風路Zucを形成でき、上蓋部31のカバー31Aの保温/吸音材31Bに薄肉部41を形成したことにより懸念される遮音性能の低下も第2カバー50によって防ぐことができる。
【0127】
またこの発明の態様として、エンジン1前方側に有する吸気系部品(吸気ダクト16c)の前面側に、上下方向に連続する平坦な縦壁面60aを形成したものである(
図1、
図2、
図6(a)(b)、
図9参照)。
【0128】
上記構成によれば、エンジン1に向けてその前方から流れてくる掃気エアを縦壁面60aに沿って上昇させ、エンジン上層部Zuに位置する上側通風路Zucの前端に有するエア導入口Zufから掃気エアを該上側通風路Zucからスムーズに取り込むことができる。
【0129】
またこの発明の態様として、縦壁面60aの両サイドに、該縦壁面60aに対して前方へ突出するとともに上下方向に連続して延びる突起60bが設けられたものである(
図2、
図6(b)、
図9参照)。
【0130】
上記構成によれば、上側通風路Zucの前端に有するエア導入口Zufに向けて縦壁面60aに沿って上昇する掃気エアを車幅方向の両外側から突起60bによってガイドすることで、該掃気エアがその上昇途中に縦壁面60aに対して車幅方向外側へ横漏れすることがなく、該掃気エアをエア導入口Zufへとスムーズに導くことができる。
【0131】
またこの発明の態様として、カバー部材30の後壁部34の車幅方向における、排気系主要部品18,19の上部に位置しない部位(後側通風路Zbcに対して右側の事実上狭小空間Zbr)について、エンジン1後部と後壁部34との間隔を車幅方向の他の部位(後側通風路Zbc)より狭く形成したものである(
図5参照)。
【0132】
上記構成によれば、排気系主要部品18,19からの熱気上がりを促進させることができ、エンジン1後部周辺の内機部品(カバー部材30の内部に備えた電子部品や配線)の熱気上がりによる熱害の影響を回避し易くなるとともに、熱気上がりにより上昇する熱を掃気エアによって掃気し易くなる。
【0133】
またこの発明の態様として、カバー部材30の後壁部34の車幅方向における、排気系主要部品18,19の上部に位置しない部位(後側通風路Zbcに対して左側の実質的狭小空間Zbl)について、排気関連部品91等の内機部品を、排気系主要部品18,19の上部に位置する部位(後側通風路Zbc)よりも集約して配設することで、この左側の空間Zblを、排気系主要部品18,19の上部に位置する部位(後側通風路Zbc)に対して、エンジン1後部と後壁部34との間の実質的な間隔を狭く形成したものである
(図2参照)。
【0134】
上記構成によれば、実質的狭小空間Zblに排気関連部品91を集約して配設したレイアウトとすることで、この空間Zblにおける、エンジン1後部と後壁部34との間の実質的な間隔(空間)を狭小化して、排気系主要部品18,19の上部に位置する部位(後側通風路Zbc)における、排気系主要部品18,19からの熱気上がりを促進することができる(すなわち、熱気上がりにより上昇する熱が車幅方向に拡散することを防ぐことができる)。
【0135】
これにより、排気系主要部品18,19からの熱気上がりによる熱に排気関連部品91が直接的に晒されることを回避し、排気関連部品91を熱に対して保護することができる。
【0136】
さらに、排気系主要部品18,19の上部に位置しない実質的狭小空間Zblに、排気関連部品91を配設したレイアウトとすることで、後側通風路Zbcに沿った掃気エアの排気系主要部品18,19に向けての流れを確保することができ、排気系主要部品18,19からの熱気上がりによる熱を掃気エアによってトンネル部8の側へ効率的に掃気することができる。
【0137】
またこの発明の態様として、カバー部材30の後壁部34の車幅方向における、エンジン1後部との間の間隔が狭い部位(事実上狭小空間Zbrおよび実質的狭小空間Zbl)に、排気系主要部品18,19の上部に位置する部位(後側通風路Zbc)よりも低耐熱部品92を集約して配設したものである(
図5、
図8、
図9参照)。
【0138】
上記構成によれば、掃気風(走行風、ファン風)による熱気の掃気と、停車時の熱気戻りに対する低耐熱部品92の保護との両立を図ることができる。
【0139】
またこの発明の態様として、エンジン1後部(エンジン本体部11におけるシリンダヘッド11bからシリンダヘッドカバー11cにかけての後面11bb)に遮熱/遮音材(後側インシュレータ54)が取付けられており(
図1、
図5、
図7~
図9参照)、該後側インシュレータ54の車幅方向における、排気系主要部品18,19の上部に位置する部位を他の部位より薄く形成したものである(
図5、
図7、図8、
図9参照)。
【0140】
上記構成によれば、シリンダヘッド11bからシリンダヘッドカバー11cにかけての後面11bbに取り付けられた後側インシュレータ54によって、エンジン1に備えた比較的耐熱性の低いゴムや樹脂製のエンジン部品に排気系主要部品18,19からの熱気上がりによる熱害の影響が及ぶことを防ぐことができる。
【0141】
さらに、シリンダヘッド11bからシリンダヘッドカバー11cにかけての後面11bbに取り付けられた後側インシュレータ54によって、エンジン1の後方へ伝搬しようとするエンジン1の燃焼音を封じ込めることができる。
【0142】
加えて、後側インシュレータ54の車幅方向における、車幅方向の中央部(排気系主要部品18,19の上部に位置する部位)を両サイド(他の部位)より薄く形成することにより、排気系主要部品18,19から放出された熱は該薄く形成した部位の後面(縦壁面54a)に沿って、その両サイドの突起54b
(図5参照)によりガイドされながら上昇し易くなるため、該排気系主要部品18,19の後側通風路Zbcに沿った熱気上がりを促進することができる。
【0143】
これにより、排気系主要部品18,19の周辺に配設された低耐熱部品92に熱害が及ぶことを防ぐことができる。
【0144】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
例えば、上蓋部31の下面に形成した薄肉部41(凹部42)は、上述したように、排気系主要部品18,19の車幅方向と同等又はそれ以上の幅を有して形成することが好ましいが、本発明の薄肉部は、例えば、エキマニ18に備えた第1~第4ポートのうち、車幅方向の中央側に有する少なくとも第2、第3ポートに対応する幅に形成するなど、排気系主要部品18,19の幅方向の少なくとも一部が一致する幅を有して形成したものも含む。
【符号の説明】
【0145】
1…エンジン
11…エンジン本体部
11bb…シリンダヘッドからシリンダヘッドカバーにかけての後面(請求項9に記載のエンジン後部)
16c…吸気ダクト(吸気系部品)
18…エキゾーストマニホールド(エキマニ)
19…排気浄化装置
22…冷却ファン(ファン)
28…ボンネット
30…カバー部材
31…上蓋部(カバー部材の上壁、請求項3に記載のカバー部材)
31B…保温/吸音材((カバー部材の内壁面に設けられた)吸音材)
34…後壁部(カバー部材の後壁)
41…薄肉部(カバー部材の上壁前部の車幅方向の一部分)
50…第2カバー
52…保温/吸音材((第2カバーの内壁面に設けられた)吸音材)
54…後側インシュレータ(遮熱/遮音材)
60a…縦壁面(請求項3に記載の縦壁面)
60b…突起(請求項4に記載の突起)
91…排気関連部品(内機部品)
92…低耐熱部品(耐熱温度の低い内機部品)
Zuc…上側通風路((カバー部材の上壁の車幅方向の一部分についての)エンジンとの間の空間)、エキマニ及び排気浄化装置の上部に位置する部位
Zbr…右側の空間、事実上狭小空間(請求項5に記載の「排気系主要部品の上部に位置しない部位」)
Zbl…左側の空間、実質的狭小空間(請求項6に記載の「排気系主要部品の上部に位置しない部位」)
Zbc…後側通風路(請求項5に記載の「車幅方向の他の部位」、請求項6、7に記載の「排気系主要部品の上部に位置する部位」)