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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 61/00 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
A01D61/00 301M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018143954
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020018205
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】喜安 一春
(72)【発明者】
【氏名】大原 一志
(72)【発明者】
【氏名】南 智弘
(72)【発明者】
【氏名】中井 正司
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】古川 博司
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-210164(JP,A)
【文献】特開2013-183681(JP,A)
【文献】実公昭39-033666(JP,Y1)
【文献】実開昭60-041135(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0251606(US,A1)
【文献】特開平04-039806(JP,A)
【文献】特開2004-248589(JP,A)
【文献】特開平11-178428(JP,A)
【文献】特開2014-036617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00 - 61/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀稈を掻き込むオーガ装置(3C)と、このオーガ装置(3C)によって掻き込まれた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(3D)を備えた刈取前処理装置(3)を有するコンバインにおいて、
前記フィーダハウス(3D)の枠体(10)内の前部に配置され、枠体(10)に対して上下移動可能な第1回転体(12)と、前記枠体(10)内の後部に配置される第2回転体(14)と、前記第1回転体(12)と第2回転体(14)に巻回されて複数の穀稈搬送部材を有するチェン(15)と、前記第1回転体(12)を前記枠体(10)に対して下向きに付勢する付勢手段(33A,33B)と、前記枠体(10)に対して相対的に前記第1回転体(12)を強制的に上昇させる回転体昇降機構(70)を備えたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記第1回転体(12)の回転軸の両端にそれぞれ接続され、前記枠体(10)の外側に配置される左右のロッド(29A,29B)と、この左右のロッドを連結し、前記枠体(10)の上側に配置される連結部材(35)を備え、前記回転体昇降機構(70)を前記連結部材(35)の左右方向中間部に備えた請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記回転体昇降機構(70)を前記連結部材(35)に対して左右方向に位置変更可能に構成した請求項2に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫された穀稈を脱穀装置に搬送するフィーダハウスを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフィーダハウスでは、フィーダハウスの前側に配置された回転体を、搬送される穀稈量に応じて上下方向に揺動させる技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-210164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術では、フィーダハウスの内側における回転体の後方に回転体を上下方向に揺動させる左右方向に延在する支軸が設けられているので、この支軸に絡み付いた穀稈を取除くために刈取・脱穀作業を頻繁に中断する恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、フィーダハウスの内側で穀稈が絡み付くのを防止して刈取・脱穀作業を効率良く行うことができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0007】
請求項1に係る発明は、穀稈を掻き込むオーガ装置(3C)と、このオーガ装置(3C)によって掻き込まれた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(3D)を備えた刈取前処理装置(3)を有するコンバインにおいて、前記フィーダハウス(3D)の枠体(10)内の前部に配置され、枠体(10)に対して上下移動可能な第1回転体(12)と、前記枠体(10)内の後部に配置される第2回転体(14)と、前記第1回転体(12)と第2回転体(14)に巻回されて複数の穀稈搬送部材を有するチェン(15)と、前記第1回転体(12)を前記枠体(10)に対して下向きに付勢する付勢手段(33A,33B)と、前記枠体(10)に対して相対的に前記第1回転体(12)を強制的に上昇させる回転体昇降機構(70)を備えたことを特徴とするコンバインである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記第1回転体(12)の回転軸の両端にそれぞれ接続され、前記枠体(10)の外側に配置される左右のロッド(29A,29B)と、この左右のロッドを連結し、前記枠体(10)の上側に配置される連結部材(35)を備え、前記回転体昇降機構(70)を前記連結部材(35)の左右方向中間部に備えた請求項1に記載のコンバインである。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記第1回転体(12)の回転軸の両端にそれぞれ接続され、前記枠体(10)の外側に配置される左右のロッド(29A,29B)と、この左右のロッドを連結し、前記枠体(10)の上側に配置される連結部材(35)を備え、前記回転体昇降機構(70)を前記連結部材(35)の左右方向中間部に備えた請求項1に記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、第1回転体(12)を枠体(10)に対して下向きに付勢する付勢手段(33A,33B)と、前記枠体(10)に対して相対的に前記第1回転体(12)を強制的に上昇させる回転体昇降機構(70)を備えているので、フィーダハウス(3D)に供給される穀稈の量に応じて第1回転体(12)が上下に昇降し、円滑に穀稈を搬送できると共に、詰まりが発生した場合などに強制的に第1回転体(12)を上昇させてフィーダハウス(3D)内のメンテナンスを行うことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、第1回転体(12)の回転軸の両端にそれぞれ接続され、枠体(10)の外側に配置される左右のロッド(29A,29B)と、この左右のロッドを連結し、枠体(10)の上側に配置される連結部材(35)を備え、回転体昇降機構(70)を連結部材(35)の左右方向中間部に備えているので、連結部材(35)により左右のロッドの作動量の偏りを抑制できる。また、単一の回転体昇降機構(70)により第1回転体(12)の両軸端を持ち上げることができ、昇降機構をコンパクトかつ低コストで実現できる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、回転体昇降機構(70)を連結部材(35)に対して左右方向に位置変更可能に構成しているので、第1回転体(12)の片側に偏って詰まった場合などのメンテナンスを容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】コンバインを縦方向に断面した左側面図である。
図2】間隔調整装置の正面図である。
図3】間隔調整装置の平面図である。
図4】間隔調整装置の左側面図である。
図5】フィーダハウスの左壁を省略した間隔調整装置の左側面図である。
図6】掻込装置の掻込リールの正面図である。
図7】掻込装置の掻込リールに装着されるタインの(a)は左側面図、(b)は変形時の左側面図である。
図8】オーガ装置の回転体の(a)は正面図、(b)は左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0015】
操縦部5の下部には、エンジンEが設けられ、操縦部5の後側には、脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク6が設けられ、グレンタンク6の後側には、穀粒を外部に排出する排出筒7が設けられている。排出筒7は、グレンタンク6の下部に連通され上下方向に延在する縦排出筒と、縦排出筒の上部に連通され前後方向に延在する横排出筒から形成されている。
【0016】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら掻込んで後方に搬送する掻込装置3Aと、後方に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、後方に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0017】
<フィーダハウス>
フィーダハウス3Dは、縦方向の断面が略四角形に形成された筒状の枠体10の内側に枠体10の前部に設けられた左右方向に延在する支軸11に回転自在に支持された回転体(請求項における「第1回転体」)12と、枠体10の後部に設けられた左右方向に延在する回転軸13に固定された回転体(請求項における「第2回転体」)14と、回転体12に設けられた左右一対のスプロケットと回転体14に設けられた左右一対のスプロケットに巻付けられた左右一対のチェン15から構成されるコンベア18が形成されている。
【0018】
回転軸13には、エンジンEの出力回転が伝動され、左右一対のチェン15には、前後方向に所定の間隔を隔てて穀稈を後方に搬送するスラット16が架設されている。
【0019】
図2~5に示すように、支軸11の左部は、枠体10の左壁(請求項における「側壁」)10Aの右側に隣接して設けられた、すなわち、枠体10の内周部に設けられた前後方向に延在する平鋼からなる支持アーム20Aの前部に固定され、支軸11の右部は、枠体10の右壁(請求項における「側壁」)10Bの左側に隣接して設けられた、すなわち、枠体10の内周部に設けられた前後方向に延在する平鋼からなる支持アーム20Bの前部に固定されている。
【0020】
回転軸13の左部は、枠体10の左壁10Aに回転自在に支持され、回転軸13の右部は、枠体10の右壁10Bに回転自在に支持されている。
【0021】
支持アーム20Aは、枠体10の左壁10Aの左側に隣接して設けられた、すなわち、枠体10の外周部に設けられた前後方向に延在するアングル鋼からなる回動アーム21Aの後部に左右方向に延在する丸鋼からなる連結ピン22Aを介して連結されている。また、枠体10の左壁10Aには、連結ピン22Aが挿通する開口部が形成されている。なお、開口部の径は、連結ピン22Aの径よりも大径に形成されている。
【0022】
同様に、支持アーム20Bは、枠体10の右壁10Bの右側に隣接して設けられた、すなわち、枠体10の外周部に設けられた前後方向に延在するアングル鋼からなる回動アーム21Bの後部に左右方向に延在する丸鋼からなる連結ピン22Bを介して連結されている。また、枠体10の右壁10Bには、連結ピン22Bが挿通する開口部が形成されている。なお、開口部の径は、連結ピン22Bの径よりも大径に形成されている。
【0023】
これにより、回転体12の後方に配置される部材をなくすことができ、回転体12の後方の後方での穀稈の絡み付きを防止して、穀稈を脱穀装置4に効率良く搬送することができる。また、オーガ装置3Cから所定以上の穀稈が搬送された場合には、回転体12が上方に移動して回転体12の下方に滞留する穀稈を少なくすることができる。
【0024】
支持アーム20Aと回動アーム21Aは、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた3本の連結ピン22Aによって連結されている。また、最も前側に配置された連結ピン22Aは、左側から順に後述する回動アーム24A、回動アーム21A、及び支持アーム20Aを連結している。
【0025】
同様に、支持アーム20Bと回動アーム21Bは、前後方向に所定の間隔を隔てて設けられた3本の連結ピン22Bによって連結されている。また、最も前側に配置された連結ピン22Bは、右側から順に後述する回動アーム24B、回動アーム21B、及び支持アーム20Bを連結している。
【0026】
これにより、支持アーム20Aと回動アーム21A、並び支持アーム20Bと回動アーム21Bを強固に連結して、支持アーム20A,20Bと回動アーム21A,21Bの変形を防止することができる。
【0027】
回動アーム21Aの上面には、上下方向に延在するチャンネル鋼からなる回動アーム24Aが固定されている。また、回動アーム24Aの後部には、前後方向に延在する位置調整手段25Aの前部が連結されている。位置調整手段25Aの後部は、枠体10の左壁10Aに設けられた左右方向に延在して設けられた固定ピン26Aに回転自在に支持され、位置調整手段25Aの前側部には、ネジ部が形成され、ネジ部には2個のナット27Aが装着されている。
【0028】
同様に、回動アーム21Bの上面には、上下方向に延在するチャンネル鋼からなる回動アーム24Bが固定されている。また、回動アーム24Bの後部には、前後方向に延在する位置調整手段25Bの前部が連結されている。位置調整手段25Bの後部は、枠体10の右壁10Bに設けられた左右方向に延在して設けられた固定ピン26Bに回転自在に支持され、位置調整手段25Bの前側部には、ネジ部が形成され、ネジ部には2個のナット27Bが装着されている。
【0029】
これにより、位置調整手段25A,25Bを操作して回転体12の前後方向の傾きを抑制することができる。
【0030】
回動アーム24Aの上部には、左右方向に延在する支軸が設けられ、支軸には、上下方向に延在する丸鋼からなるロッド29Aの下部が回転自在に支持されている。また、ロッド29Aの上部は、枠体10の上壁10Cの左部に設けられたブラケット30Aに形成された開口部を挿通している。
【0031】
ロッド29Aには、円形に形成された板状のプレート32Aと、その上側に所定のバネ係数を有するスプリング(請求項における「付勢手段」)33Aが装着されている。また、ロッド29Aの下側部には、ネジ部が形成され、ネジ部には2個のナット34Aが装着されている。
【0032】
同様に、回動アーム24Bの上部には、左右方向に延在する支軸が設けられ、支軸には、上下方向に延在する丸鋼からなるロッド29Bの下部が回転自在に支持されている。また、ロッド29Bの上部は、枠体10の上壁10Cの右部に設けられたブラケット30Bに形成された開口部を挿通している。
【0033】
ロッド29Bには、円形に形成された板状のプレート32Bと、その上側に所定のバネ係数を有するスプリング(請求項における「付勢手段」)33Bが装着されている。また、ロッド29Bの下側部には、ネジ部が形成され、ネジ部には2個のナット34Bが装着されている。
【0034】
これにより、枠体10の左側に配置されたスプリング33Aと枠体10の右側に配置されたスプリング33Bの自然長から圧縮された長さをそれぞれ調整することができ、回転体12の上下方向の傾きを抑制することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、枠体10の左側に配置されたスプリング33Aよりも枠体10の右側に配置されたスプリング33Aのバネ係数を小さくしている。
【0036】
これにより、オーガ装置3Cから多くの穀稈が搬送されてくる回転体12を上方に容易に移動させて回転体12の下側に滞留する穀稈を少なくすることができる。
【0037】
回動アーム24Aにおけるブラケット30Aよりも上方に延出する部位と回動アーム24Bにおけるブラケット30Bよりも上方に延出する部位は、左右方向に延在するチャンネル鋼からなる連結部材35で連結されている。
【0038】
これにより、回転体12の上下方向の傾きをより抑制して、穀稈を脱穀装置4により効率良く搬送することができる。
【0039】
また、支軸11の左部が固定された支持アーム20Aの後部と支軸11の右部が固定された支持アーム20Bの後部を左右方向に延在するチャンネル鋼からなる連結部材(図示省略)で連結することもできる。
【0040】
これにより、回動アーム24Aと回動アーム24Bを連結部材35でのみ連結した場合と比較して回転体12の上下方向の傾きをより抑制でき、穀稈を脱穀装置4により効率良く搬送することができる。
【0041】
図1に示すように、枠体10の上壁10Cの前部に前下がりに形成された平鋼からなる案内板38が設けられている。これにより、チェン15に絡み付いて持ち回された穀稈を回転体12の下方に効率良く落下させることができる。
【0042】
回動アーム21Aの前部の固定ピン26Aを中心とする上方への移動変位量を測定するセンサ(図示省略)と、回動アーム21Bの前部の固定ピン26Bを中心とする上方への移動変位量を測定するセンサ(図示省略)が設け、これらのセンサによって測定された移動変位量が設定値を超えた場合には、操縦部5に設けられた警報機を鳴らして作業者に異常を知らせるのが好ましい。これにより、チェン15に過大な張力が加わるのを防止して、チェン15の破断を防止することができる。
【0043】
回転体12の円筒形状に形成された筒部の加わる外力を測定する歪ゲージ等のセンサ(図示省略)を設け、これらのセンサによって測定された外力が設定値を超えた場合には、操縦部5に設けられた警報機を鳴らして作業者に異常を知らせるのが好ましい。これにより、回転体12の筒部に過大な外力が加わるのを防止して、回転体12の筒部の変形を防止することができる。
【0044】
次に、回転体昇降機構70について説明する。回転体昇降機構70は、枠体10に対して相対的に回転体12を強制的に上昇させるものである。具体的には、回転体昇降機構70は、枠体10の上壁10Cの上側に設置され、連結部材35を介してロッド29A,29Bを引き上げることにより、スプリング33A,33Bに逆らって回転体12の回転軸の位置を上方へ移動させる。
【0045】
このように、連結部材35を押し上げて回転体12を上昇させることにより、左右のロッド29A,29Bを1つの回転体昇降機構70によって昇降することができる。
【0046】
また、回転体昇降機構70の設置位置は、左右に変更可能に構成されている。そのため、スプリング33A,33Bの付勢力が異なるときに、左右均等に回転体12を強制昇降したり、左右いずれか一方側を昇降させたりすることが可能になる。
【0047】
回転体昇降機構70は、オーガ装置3Cの回転速度センサが、所定のオーガ回転速度を下回っていることを検出したときに、回転体12を上昇させるように作動する。
【0048】
また、このように回転体昇降機構70によって回転体12が強制上昇している状態で、回転体12の回転速度センサが、所定の回転体回転速度を下回っていることを検出したときに、刈取前処理装置3の駆動が停止するように構成されている。
【0049】
これにより、フィーダハウス3Dの詰まりにより機体各部や穀粒が損傷することを防止できる。
【0050】
<掻込装置>
次に、掻込装置3Aの掻込リール50について説明する。図6に示すように、掻込リール50の左部には、回転軸51に基部が固定された支持アーム52Aが設けられ、掻込リール50の右部には、回転軸51に基部が固定された支持アーム52Bが設けられている。
【0051】
掻込リール50の各頂部には、左側の支持アーム52Aと右側の支持アーム52Bに架設されている左右方向に延在する丸鋼からなるタイン支持部53が設けられている。また、タイン支持部53には、左右方向に所定の間隔を隔てて樹脂製のタイン54が装着されている。
【0052】
正面視で、タイン支持部53におけるフィーダハウス3Dの前方を移動するタイン支持部53の左側部位に装着されたタイン54は、タイン54の上部よりもタイン54の下部が右側位置するように下方右側に向けて延在する姿勢で装着されている。これにより、掻込装置3Aからオーガ装置3Cに搬送された穀稈が、オーガ装置3Cの掻込みオーガ60に絡み付くのを抑制することができる。
【0053】
次に、タイン54について説明する。図7(a)に示すように、タイン54の上部には、タイン支持部53に装着するボルト等を挿通する開口部55と、タイン支持部53に係合する係合溝56が形成されている。また、係合溝56の下側には、後部が狭く、前部が広い切欠部57が形成されている。これにより、図7(b)に示すように、タイン54に圃場の穀稈から大きな外力が加わった場合には、タイン54が切欠部57の前側部を中心にして後方に折曲がり、また、タイン54が所定以上に後方に折曲がった場合には、切欠部57の後部が衝突して後方への折曲がりを規制してタイン54の破損を防止することができる。
【0054】
回転軸51には、エンジンEの出力回転の回転数が変速ギヤ(図示省略)で増減速されて伝動される。増減速の切換作業を容易に行うために、これらの変速ギヤのボス部の径は、同一径に形成されている。
【0055】
<オーガ装置>
次に、オーガ装置3Cの掻込みオーガ60について説明する。図8(a)に示すように、掻込みオーガ60は、オーガフレーム61の左壁と右壁に架設された左右方向に延在する回転軸62に固定されている。
【0056】
掻込みオーガ60の外周部の右側部には、掻込装置3Aから搬送されてきた穀稈をフィーダハウス3Dの連通口の前方に位置する掻込みオーガ60の外周部の左側部に移動させる搬送螺旋63が設けられ、掻込みオーガ60の外周部の左側部には、左側部に移動してきた穀稈をフィーダハウス3Dに搬送する左右方向に所定の間隔を隔てて出没自在な掻込みフィンガ64が設けられている。
【0057】
図8(b)に示すように、オーガフレーム61の底壁における掻込みフィンガ64が通過する部位の近傍には、穀稈を切断する切刃65が設けられている。なお、オーガフレーム61の底壁は、下方に凸部を有する緩やかな円弧状に形成されている。これにより、穀稈の長い茎を切断して、穀稈をフィーダハウス3Dに効率良く搬送することができる。
【0058】
エンジンEの出力回転は、図示を省略した刈取クラッチ、脱穀クラッチ、及び排出クラッチを介して刈取前処理装置3、脱穀装置4、及びグレンタンク6に伝動される。これらの刈取クラッチ等は、駆動プーリ、ベルト、及び受動プーリで構成され、駆動プーリは、外輪部と内輪部の間に、ブレーキ手段が設けられている。これにより、駆動プーリと受動プーリに巻回されたベルトに過度な張力が加わるのを防止してベルトの破断を防止することができる。
【符号の説明】
【0059】
3 刈取前処理装置
3C オーガ装置
3D フィーダハウス
4 脱穀装置
10 枠体
12 回転体(第1回転体)
14 回転体(第2回転体)
15 チェン
29A ロッド
29B ロッド
33A スプリング(付勢手段)
33B スプリング(付勢手段)
35 連結部材
70 回転体昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8