(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/087 20060101AFI20221004BHJP
G03G 9/093 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G03G9/087 325
G03G9/087 331
G03G9/093
(21)【出願番号】P 2018172100
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 淳
(72)【発明者】
【氏名】角倉 康夫
(72)【発明者】
【氏名】冨田 太輔
(72)【発明者】
【氏名】平井 紗希子
(72)【発明者】
【氏名】三浦 諭
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-174262(JP,A)
【文献】特開2010-091787(JP,A)
【文献】特開2012-098716(JP,A)
【文献】特開2015-064449(JP,A)
【文献】特開2016-070956(JP,A)
【文献】特開2017-062344(JP,A)
【文献】特開2006-091168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08ー9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂を含むトナー粒子を有し、
前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂を含み、
前記スチレンアクリル樹脂が、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体と架橋性単量体とを少なくとも共重合してなる樹脂であり、
前記架橋性単量体が、炭素数6~20のアルキレン基を有する2官能(メタ)アクリレート化合物を含み、
60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以上0.16以下であり、
90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、
60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、1.0×10
8Pa以上1.0×10
10Pa以下である
静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記トナーの最大吸熱ピーク温度が、70℃以上100℃以下である請求項
1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記トナーの最大吸熱ピーク温度が、75℃以上95℃以下である請求項
2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記トナー中の結着樹脂におけるゲル分率が、0.5質量%以上8.0質量%以下である請求項
1乃至請求項
3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記トナー中のAlの含有量が、0.05質量%以上0.5質量%以下である請求項
1乃至請求項
4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記トナーのBET比表面積が、1.5m
2/g以上2.5m
2/g以下である請求項
1乃至請求項
5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
離形剤を更に含む請求項
1乃至請求項
6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
示差走査熱量分析における離型剤の吸熱ピーク値における1回目の昇温時における吸熱ピーク温度と2回目の昇温時における吸熱ピーク温度との差異が、5℃以下である請求項
7に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
結着樹脂を含むトナー粒子を有し、
前記結着樹脂が、2種以上の非結晶性ポリエステル樹脂を含み、
60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.07以上0.14以下であり、
90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、
60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、5.0×10
7Pa以上5.0×10
9Pa以下であ
り、
前記トナーにおけるトナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm
-1
の吸光度に対する波長1,500cm
-1
の吸光度の比が、0.6以下であり、波長720cm
-1
の吸光度に対する波長820cm
-1
の吸光度の比が、0.4以下である
静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
前記非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、50,000以上200,000以下である請求項
9に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
前記トナーのフローテスターでの1/2降下温度が、120℃以上200℃以下である請求項
9又は請求項10に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】
前記トナー中の結着樹脂におけるゲル分率が、1質量%以上10質量%以下である請求項
9乃至請求項
11のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項13】
前記トナーにおけるトナー粒子が、コア及び2層のシェルを有するコアシェル構造である請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項14】
請求項1乃至請求項
13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項15】
請求項1乃至請求項
13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項16】
請求項
14に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項17】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項
14に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項18】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項
14に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など、静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在さまざまな分野で利用されている。
従来、電子写真法においては、感光体や静電記録体上に種々の手段を用いて静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーと呼ばれる検電性粒子を付着させて静電潜像(トナー像)を現像し、被転写体表面に転写し、加熱等により定着する、という複数の工程を経て、可視化する方法が一般的に使用されている。
【0003】
特許文献1には、少なくともバインダー樹脂と着色剤とからなるトナーにおいて、該バインダー樹脂が高分子量成分と低分子量成分との混合物からなり、高分子量成分が高架式フローテスターを用いて得られる見かけの粘度の常用対数(logη′)を温度に対してプロットした際に、そのグラフの傾きの絶対値(kHP)が0.003≦(kHP)≦0.02log(poise)/℃であり、低分子量成分のグラフの傾きの絶対値(kLP)が0.07≦(kLP)≦0.1log(poise)/℃であり、かつ高分子量成分と低分子量成分の混合割合が5/95~50/50で、樹脂混合物のグラフの傾きの絶対値(kバインダー)が0.03≦(kバインダー)≦0.06log(poise)/℃であるバインダー樹脂を用いた事を特徴とする静電像現像用トナーが開示されている。
【0004】
特許文献2には、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子と、無機微粉体を有するトナーであって、前記ワックスは、i)0.2質量%減量温度が200℃以上、1.0質量%減量温度が250℃以上であり、ii)120℃における溶融粘度が3.0乃至15.0mPa・sである、ことを特徴とするトナーが記載されている。
【0005】
特許文献3には、少なくとも着色材とバインダー樹脂からなる静電荷像現像用トナーにおいて、トナーの動的粘度η(poise)と温度T(℃)との関係を式(1)のように記述したとき、温度50℃におけるE(T)の値が25kJ/mol以下であり、且つ、温度55℃以上75℃以下におけるE(T)の最大値が、250kJ/mol以上であることを特徴とする静電荷像現像用トナーが記載されている。
2.3025×log10η=A+E(T)/R(T+273.15)…(1)
(式中、Aは定数、Rはモル気体定数(8.3144J/mol・K)である。)
【0006】
特許文献4には、結着樹脂及び着色剤を含む電子写真用トナーであって、前記結着樹脂として、ガラス転移温度(Tg)から損失弾性率(G”)がG”=1×104Paになる温度の間に、該結着樹脂のtanδの極小が存在し、そのtanδの極小値が1.2未満であり、そのtanδの極小における温度での貯蔵弾性率(G’)がG’=5×105Pa以上であり、且つ、G”=1×104Paになる温度でのtanδの値が3.0以上である樹脂を用いることを特徴とする電子写真用トナーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平8-334926号公報
【文献】特開2012-98714号公報
【文献】特開平10-333352号公報
【文献】特開平11-194542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが0.07未満若しくは0.16超であるか、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08超であるか、又は、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が5.0×107Pa未満若しくは1.0×1010Pa超である場合に比べ、低温環境下(4℃)で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラが少ない静電荷像現像用トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1> 60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.07以上0.16以下であり、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、5.0×107Pa以上1.0×1010Pa以下である静電荷像現像用トナー。
【0010】
<2> 60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以上0.16以下であり、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、1.0×108Pa以上1.0×1010Pa以下である静電荷像現像用トナー。
<3> 前記トナーの最大吸熱ピーク温度が、70℃以上100℃以下である<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 前記トナーの最大吸熱ピーク温度が、75℃以上95℃以下である<3>に記載の静電荷像現像用トナー。
<5> 結着樹脂として、スチレンアクリル樹脂を含む<2>乃至<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<6> 前記トナー中の結着樹脂におけるゲル分率が、0.5質量%以上8.0質量%以下である<2>乃至<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<7> 前記トナー中のAlの含有量が、0.05質量%以上0.5質量%以下である<2>乃至<6>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<8> 前記トナーのBET比表面積が、1.5m2/g以上2.5m2/g以下である<2>乃至<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<9> 離形剤を更に含む<2>乃至<8>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<10> 示差走査熱量分析における離型剤の吸熱ピーク値における1回目の昇温時における吸熱ピーク温度と2回目の昇温時における吸熱ピーク温度との差異が、5℃以下である<9>に記載の静電荷像現像用トナー。
【0011】
<11> 60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.07以上0.14以下であり、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、5.0×107Pa以上5.0×109Pa以下である静電荷像現像用トナー。
<12> 結着樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂を含む<11>に記載の静電荷像現像用トナー。
<13> 前記トナーにおけるトナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長1,500cm-1の吸光度の比が、0.6以下であり、波長720cm-1の吸光度に対する波長820cm-1の吸光度の比が、0.4以下である<12>に記載の静電荷像現像用トナー。
<14> 前記非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、40,000以上200,000以下である<12>又は<13>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<15> 前記トナーのフローテスターでの1/2降下温度が、120℃以上200℃以下である<11>乃至<14>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<16> 前記トナー中の結着樹脂におけるゲル分率が、1質量%以上10質量%以下である<11>乃至<15>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【0012】
<17> <1>乃至<16>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<18> <1>乃至<16>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<19> <17>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<20> 像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、<17>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
<21> 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、<17>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0013】
前記<1>に係る発明によれば、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが0.07未満若しくは0.16超であるか、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08超であるか、又は、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が5.0×107Pa未満若しくは1.0×1010Pa超である場合に比べ、低温環境下(4℃、以下同様)で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラが少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
【0014】
前記<2>、<5>又は<9>に係る発明によれば、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが0.08未満若しくは0.16超であるか、又は、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が1.0×108Pa未満若しくは1.0×1010Pa超である場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<3>に係る発明によれば、トナーの最大吸熱ピーク温度が、70℃未満、又は、100℃を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<4>に係る発明によれば、トナーの最大吸熱ピーク温度が、75℃未満、又は、95℃を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<6>に係る発明によれば、トナー中の結着樹脂におけるゲル分率が、0.5質量%未満、又は、8.0質量%を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<7>に係る発明によれば、トナー中のAlの含有量が、0.05質量%未満、又は、0.5質量%を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<8>に係る発明によれば、トナーのBET比表面積が、1.5m2/g未満、又は、2.5m2/gを超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体と用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<10>に係る発明によれば、示差走査熱量分析における離型剤の吸熱ピーク値における1回目の昇温時における吸熱ピーク温度と2回目の昇温時における吸熱ピーク温度との差異が、5℃を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
【0015】
前記<11>又は<12>に係る発明によれば、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが0.07未満若しくは0.14超であるか、又は、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が5.0×107Pa未満若しくは5.0×109Pa超である場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<13>に係る発明によれば、トナーにおけるトナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長1,500cm-1の吸光度の比が、0.6を超えるか、又は、波長720cm-1の吸光度に対する波長820cm-1の吸光度の比が、0.4を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<14>に係る発明によれば、結着樹脂に含まれる非結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量が、50,000未満、又は、200,000を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<15>に係る発明によれば、トナーのフローテスターでの1/2降下温度が、120℃未満、又は、200℃を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
前記<16>に係る発明によれば、トナー中の結着樹脂におけるゲル分率が、1質量%未満、又は、10質量%を超える場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラがより少ない静電荷像現像用トナーが提供される。
【0016】
前記<17>乃至<21>に係る発明によれば、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが0.07未満若しくは0.16超であるか、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08超であるか、又は、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が5.0×107Pa未満若しくは1.0×1010Pa超である場合に比べ、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラが少ない静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置又は画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」ともいい、「静電荷像現像剤」を単に「現像剤」ともいう。
【0019】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0020】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.07以上0.16以下であり、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、5.0×107Pa以上1.0×1010Pa以下である。
【0021】
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、以下に示す2つの態様であることが好ましい。
1つは、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、光沢ムラ抑制の観点から、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以上0.16以下であり、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、1.0×108Pa以上1.0×1010Pa以下であることが好ましく、結着樹脂として、スチレンアクリル樹脂を含むことがより好ましい。
他の1つは、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、光沢ムラ抑制の観点から、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.07以上0.14以下であり、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、5.0×107Pa以上5.0×109Pa以下であることが好ましく、結着樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。
【0022】
冬場、低温状態(4℃)で保管した記録媒体を用い、温度が十分に温まった部屋で印刷しようとすると、冷却速度が遅く結露しやすく、記録媒体が吸水してしまう場合がある。定着時に設定定着温度になっていても冷えた記録媒体を用いて定着することになるため、定着時の温度低下が生じる。更に記録媒体が吸水しているため、水分により定着熱を奪われてしまい、更に定着時の温度低下が起きると推定している。
1枚目のベタ画像を印刷した際に記録媒体の先端と後端との温度差が大きい。その結果として、記録媒体の先端と後端とにおいて、トナーの粘性の差異が大きいため、光沢ムラが発生すると考えられる。
また、印刷枚数が増えると定着熱によって定着手段が暖まるが、印刷枚数が1枚乃至5枚の印刷初期においては、60℃乃至130℃の間で温度が安定化していないため、光沢ムラが特に生じると考えられる。
【0023】
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、上記の構成により、低温環境下(4℃)で保管された記録媒体を用いた場合であっても、光沢ムラが少ない画像が得られる。その理由は、定かではないが、以下に示すように推測される。
60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、5.0×107Pa以上1.0×1010Pa以下であり、かつ60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.07以上0.16以下であると、冬場においても最も冷却される定着温度60℃から1枚目印刷時の後端温度90℃までの粘性差異が小さいことで1枚目の光沢ムラが抑制され、また、90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり90℃乃至130℃(5枚目定着時相当)までの粘性差異を小さくすることで、5枚目までの光沢ムラが抑制されることにより、低温環境下で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラが少ない静電荷像現像用トナーが得られると推定している。
【0024】
以下、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーについて詳細に説明する。
【0025】
(トナーの損失弾性率G”及びその値を用いた特性値)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、
60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.07以上0.16以下であり、
90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きが、0.08以下であり、
60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)が、5.0×107Pa以上1.0×1010Pa以下である。
なお、本開示における「log」は、常用対数である。
また、本実施形態におけるトナーの損失弾性率の単位は、特に断りのない限り、Paであるものとする。
【0026】
本実施形態におけるトナーの損失弾性率は、回転平板型レオメータ(レオメトリックス社製:RDA2、RHIOSシステムver.4.3)を用いて直径8mmのパラレルプレートを用いて、周波数1Hz/sec、20%以下の歪みをかけ、約40℃乃至150℃の間を昇温速度1℃/min.、試料重量約0.3gで昇温測定を行い、測定された値である。
【0027】
本実施形態における特性値の1つである60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きの下限値は、0.07以上であり、光沢ムラ抑制の観点から、0.08以上であることが好ましく、0.09以上であることがより好ましく、0.10以上であることが特に好ましい。
また、60℃から90℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きの上限値は、0.16以下であり、光沢ムラ抑制の観点から、0.15以下であることが好ましく、0.14以下であることがより好ましく、0.13以下であることが特に好ましい。
【0028】
本実施形態における特性値の1つである90℃から130℃におけるlog(損失弾性率G”)の絶対値の最大傾きは、0.08以下であり、光沢ムラ抑制の観点から、0.07以下であることが好ましく、0.04以上0.07以下であることがより好ましく、0.045以上0.065以下であることが特に好ましい。
【0029】
本実施形態における特性値の1つである60℃での損失弾性率をG”(60)としたとき、G”(60)の下限値は、5.0×107Pa以上であり、光沢ムラ抑制の観点から、7.0×107Pa以上であることが好ましく、1.0×108Pa以上であることがより好ましく、3.0×108Pa以上であることが特に好ましい。
また、G”(60)の上限値は、1.0×1010Pa以下であり、光沢ムラ抑制の観点から、5.0×109Pa以下であることが好ましく、2.0×109Pa以下であることがより好ましく、1.0×109Pa以下であることが特に好ましい。
【0030】
(トナーの最大吸熱ピーク温度)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの最大吸熱ピーク温度は、光沢ムラ抑制、及び、定着性の観点から、70℃以上100℃以下であることが好ましく、75℃以上95℃以下であることがより好ましく、85℃以上95℃以下であることが特に好ましい。
なお、本実施形態におけるトナーの最大吸熱ピーク温度は、示差走査熱分析における-30℃から150℃までの範囲を少なくとも含む吸熱曲線において、最大吸熱ピークを与える温度である。
本実施形態におけるトナーの最大吸熱ピーク温度の測定方法を以下に示す。
パーキンエルマー社製の示差熱走査熱量計DSC-7を用い、装置の検出部の温度補正にインジウム及び亜鉛の融点を利用し、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプル用としてはアルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、室温から150℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、150℃から-30℃まで10℃/minの速度で降温し、更に-30℃から150℃まで10℃/minの速度で昇温し、2回目の昇温時における最も大きい吸熱ピークの温度を、最大吸熱ピーク温度とする。
【0031】
(トナー中の結着樹脂のゲル分率)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーが、結着樹脂として、スチレンアクリル樹脂を含む場合、トナー中の結着樹脂におけるゲル分率は、光沢ムラ抑制、及び、低温オフセット性の観点から、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上6.0質量%以下であることが特に好ましい。
結着樹脂中のゲル分は、樹脂が3次元架橋したことにより生成したものであり、ゲル分があると高温での樹脂の粘性低下を起こしにくくなる。従って、樹脂中のゲル分があることで、低温時と高温時の粘性変化が小さくなり、定着時のトナー粘性の変化も小さくなる。
【0032】
なお、本実施形態における結着樹脂におけるゲル分率は、以下のようにして求める。
測定対象となるトナーが外添剤を有する場合、まず液体中で超音波振動を与える方法等の公知の方法により、外添剤を除去してトナー粒子(母粒子)を得る。
次いで、トナー粒子を三角フラスコに入れ、45℃に加熱したテトラヒドロフラン(THF)を入れて密封し、24時間静置する。このとき45℃を維持できるような恒温槽を使用すると良い。その後、三角フラスコ内容物をすべて遠心分離用ガラス管に移し、回転数20,000rpm(revolutions per minute)、-10℃の条件で30分間遠心分離を行う。遠心分離後、内容物すべてを取り出し、45℃恒温槽で静置した後、THF溶解部分である上澄み液と沈殿物である45℃のTHF不溶成分を分離する。その後上澄み液を乾燥することで、THF溶解樹脂量を測定できる。
次に得られた45℃のTHF不溶成分を窒素気流下で20℃/分の昇温速度で600℃まで昇温することで、初期に離型剤が揮発し、次に樹脂成分由来の固形分(つまりゲル状の樹脂成分)が熱分解される。残りの成分は、主に顔料由来の成分と、その他微量の添加剤(無機成分由来の固形分など)である。この割合から、トナー中の顔料、離型剤及び外添剤を除く45℃のTHF不溶成分としての樹脂成分由来のゲル量を測定できる。
トナー中の樹脂成分のゲル分率は以下のようにして求める。
ゲル分率(質量%)=樹脂成分由来のゲル量÷(樹脂成分由来のゲル量+THF溶解樹脂量)×100
【0033】
特に本実施形態では、高温での樹脂の粘度変化を抑制していることから、45℃のTHFでも溶解しない樹脂不溶分が重要となる。そのため、本発明のような温度変化がある定着条件でも光沢ムラすなわちグロス差を小さくすることが可能となる。
45℃THFにおける樹脂不溶分は、トナー中のイオン架橋や硫黄による加硫、ゴム成分をトナー中に添加することもできる。
また、イオン架橋のための元素としては、いずれのアルカリ金属、アルカリ土類金属などの金属類や、遷移元素などの金属を使用できるが、本発明のような3次元架橋のゲル分をトナー中の結着樹脂に含ませるためには、アルミニウムなどの3価以上の金属が特に好ましい。
【0034】
(トナー中のAlの含有量)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおけるトナー中のAlの含有量は、光沢ムラ抑制、及び、低温オフセット性の観点から、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましく、0.07質量%以上0.3質量%以下であることが特に好ましい。
トナー中のアルミニウム元素の含有量は、蛍光X線NET強度により定められる。
アルミニウム元素の蛍光X線NET強度は、次の方法により測定された値である。
まず、トナー粒子0.130gを用いてディスクを成形する。得られたディスクに対して、蛍光X線解析装置((株)島津製作所製、XRF-1500)を用いて、X線出力40V-70mA、測定面積10mmφ、測定時間15分の条件で、定性定量全元素分析法にて測定し、得られたAlKαの強度(Alに由来するピークの強度)を、上記「アルミニウム元素の蛍光X線NET強度」として測定する。なお、このAlに由来するピークと他の元素に由来するピークとが重なる場合には、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光法や原子吸光法にて解析したうえで、Alに由来するピークの強度を算出する。
なお、トナーが外添剤により外添されたものである場合は、例えば、界面活性剤などの分散剤を添加したイオン交換水にトナーを分散し、超音波ホモジナイザー(US-300T:(株)日本精機製作所)などにより、超音波をかけて外添剤とトナー粒子とを分離する。その後、ろ過処理及び洗浄処理によりトナー粒子のみを取り出し、そのトナー粒子を測定試料とする。
【0035】
(トナーのBET比表面積)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーのBET比表面積は、光沢ムラ抑制の観点から、1.3m2/g以上2.8m2/g以下であることが好ましく、1.5m2/g以上2.5m2/g以下であることがより好ましく、1.7m2/g以上2.1m2/g以下であることが特に好ましい。
トナーのBET比表面積は、BET法により測定した値であり、測定装置としてBET比表面積計(SA3100、ベックマンコールター社製)を用いて窒素置換法にて測定した値である。具体的には、測定試料を1g精秤し、サンプルチューブに入れた後、脱ガス処理し、多点法の自動測定により得られた数値を、BET比表面積(m2/g)とする。
【0036】
(トナー粒子の赤外吸収スペクトル)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーが、結着樹脂として、後述する非結晶性ポリエステル樹脂を含む場合、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいて、光沢ムラ抑制の観点から、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長1,500cm-1の吸光度の比(波長1,500cm-1の吸光度/波長720cm-1の吸光度)が、0.6以下であり、かつ波長720cm-1の吸光度に対する波長820cm-1の吸光度の比(波長820cm-1の吸光度/波長720cm-1の吸光度)が、0.4以下であることが好ましく、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長1,500cm-1の吸光度の比が、0.4以下であり、かつ波長720cm-1の吸光度に対する波長820cm-1の吸光度の比が、0.2以下であることがより好ましく、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長1,500cm-1の吸光度の比が、0.2以上0.4以下であり、かつ波長720cm-1の吸光度に対する波長820cm-1の吸光度の比が、0.05以上0.2以下であることが特に好ましい。
【0037】
本実施形態における赤外吸収スペクトル分析による各波長の吸光度の測定は、次に示す方法により測定される。まず、測定対象となるトナー粒子(トナーから、必要に応じ、外添剤を除いたもの)を、KBr錠剤法により測定試料を作製する。そして、測定試料に対して、赤外分光光度計(日本分光(株)製:FT-IR-410)により、積算回数300回、分解能4cm-1の条件で、波数500cm-1以上4,000cm-1以下の範囲を測定する。そして、吸収光の無いオフセット部分等でベースライン補正を実施して、各波長の吸光度を求める。
【0038】
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいて、光沢ムラ抑制の観点から、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長1,500cm-1の吸光度の比が、0.6以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.2以上0.4以下であることが更に好ましく、0.3以上0.4以下であることが特に好ましい。
更に、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーにおいて、光沢ムラ抑制の観点から、トナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長820cm-1の吸光度の比が、0.4以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましく、0.05以上0.2以下であることが更に好ましく、0.08以上0.2以下であることが特に好ましい。
【0039】
(トナーのフローテスターでの1/2降下温度)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーが、結着樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂を含む場合、トナーのフローテスターでの1/2降下温度は、光沢ムラ抑制、及び、低温オフセット性の観点から、100℃以上220℃以下であることが好ましく、120℃以上200℃以下であることがより好ましく、140℃以上180℃以下であることが特に好ましい。
なお、本実施形態におけるトナーのフローテスターでの1/2降下温度の測定は、高化式フローテスターCFT-500C((株)島津製作所製)を用いて測定し、ダイスの細孔の径を0.5mm、ダイスの細孔の長さ1mm、加圧荷重を0.98MPa(10kg/cm2)、プレヒート時間を5分間、昇温速度を1℃/分、測定温度間隔を1℃、開始温度を65℃とした条件下で、1.1gの試料を溶融流出させた時の流出開始点から終了点の高さの1/2に相当する温度とした。
【0040】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子(「トナー母粒子」ともいう。)と、必要に応じて、外添剤と、を含んで構成される。
【0041】
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤とを含有し、結着樹脂、及び、離型剤を含有することが好ましい。
本実施形態において、トナー粒子としては、例えば、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等のトナー粒子の他、白色トナー粒子、透明トナー粒子、光輝性トナー粒子等であってもよく、特に制限はない。
【0042】
-結着樹脂-
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
中でも、結着樹脂は、画像欠陥抑制の観点から、スチレンアクリル樹脂、及び、非結晶性(非晶性)ポリエステル樹脂よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレンアクリル樹脂、又は、非結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましく、スチレンアクリル樹脂、又は、非結晶性ポリエステル樹脂を、トナーに含まれる結着樹脂の全質量に対し、50質量%以上含むことが更に好ましく、スチレンアクリル樹脂、又は、非結晶性ポリエステル樹脂を、トナーに含まれる結着樹脂の全質量に対し、80質量%以上含むことが特に好ましい。
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、トナーの強度及び保管安定性の観点から、結着樹脂として、スチレンアクリル樹脂を含むことが好ましい。
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、低温定着性の観点から、結着樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
更に、非結晶性ポリエステル樹脂としては、画像欠陥抑制、及び、定着性の観点から、芳香環を有しない非結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0044】
結着樹脂としては、スチレンアクリル樹脂が好適である。
スチレンアクリル樹脂は、スチレン系単量体(スチレン骨格を有する単量体)と(メタ)アクリル系単量体((メタ)アクリル基を有する単量体、好ましくは(メタ)アクリロキシ基を有する単量体)とを少なくとも共重合した共重合体である。スチレンアクリル樹脂は、例えば、スチレン類の単量体と前述の(メタ)アクリル酸エステル類の単量体との共重合体を含む。
なお、スチレンアクリル樹脂におけるアクリル樹脂部分は、アクリル系単量体及びメタクリル系単量体のいずれか、又は、その両方を重合してなる部分構造である。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含む表現である。
【0045】
スチレン系単量体としては、例えば、具体的には、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン等)、ハロゲン置換スチレン(例えば、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン等)、ビニルナフタレン等が挙げられる。スチレン系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中で、スチレン系単量体としては、反応し易さ、反応の制御の容易さ、更に入手性の点で、スチレンが好ましい。
【0046】
(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル等)、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル等)、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。(メタ)アクリル酸系単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、(メタ)アクリル系単量体のうち、これらの(メタ)アクリルエステルの中でも、定着性の点から、炭素数2以上14以下(好ましくは炭素数2以上10以下、より好ましくは3以上8以下)のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
中でも、(メタ)アクリル酸n-ブチルが好ましく、アクリル酸n-ブチルが特に好ましい。
【0047】
スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体との共重合比(質量基準、スチレン系単量体/(メタ)アクリル系単量体)は、特に制限はないが、85/15乃至70/30であることが好ましい。
【0048】
スチレンアクリル樹脂は、画像欠陥抑制の観点から、架橋構造を有していることが好ましい。架橋構造を有するスチレンアクリル樹脂は、例えば、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体と架橋性単量体とを少なくとも共重合したものが好ましく挙げられる。
【0049】
架橋性単量体としては、例えば、2官能以上の架橋剤が挙げられる。
2官能の架橋剤としては、例えば,ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、デカンジオールジアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等)、ポリエステル型ジ(メタ)アクリレート、メタクリル酸2-([1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、トリ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等)、テトラ(メタ)アクリレート化合物(例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート等)、2,2-ビス(4-メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等が挙げられる。
中でも、架橋性単量体としては、画像欠陥抑制、及び、定着性の観点から、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、2官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましく、炭素数6~20のアルキレン基を有する2官能(メタ)アクリレート化合物が更に好ましく、炭素数6~20の直鎖アルキレン基を有する2官能(メタ)アクリレート化合物が特に好ましい。
【0050】
全単量体に対する架橋性単量体の共重合比(質量基準、架橋性単量体/全単量体)は、特に制限はないが、2/1,000乃至20/1,000であることが好ましい。
【0051】
スチレンアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、定着性の観点から、40℃以上75℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0052】
スチレンアクリル樹脂の重量平均分子量は、保管安定性の観点から、5,000以上200,000以下が好ましく、10,000以上100,000以下がより好ましく、20,000以上80,000以下が特に好ましい。
【0053】
スチレンアクリル樹脂の作製方法は、特に制限はなく、種々の重合方法(例えば、溶液重合、沈殿重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等)が適用される。また、重合反応は、公知の操作(例えば、回分式、半連続式、連続式等)が適用される。
【0054】
スチレンアクリル樹脂以外の結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。
【0055】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、この無水物又はこの低級アルキルエステルを少なくとも用いることが好ましく、脂肪族ジカルボン酸、この無水物又はこの低級アルキルエステルと、芳香族ジカルボン酸、この無水物又はこの低級アルキルエステルとを用いることがより好ましい。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは脂肪族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0058】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、光沢ムラ抑制の観点から、5,000以上1,000,000以下が好ましく、7,000以上500,000以下がより好ましく、50,000以上200,000以下が特に好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2,000以上100,000以下が好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
【0059】
結着樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0060】
ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
【0061】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
また、トナー粒子を白色トナー粒子とする場合の結着樹脂の含有量は、白色トナー粒子全体に対して、30質量%以上85質量%以下が好ましく、40質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0062】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0063】
離型剤の融解温度(Tm)は、画像欠陥抑制の観点から、50℃以上110℃以下であることが好ましく、70℃以上100℃以下であることがより好ましく、75℃以上95℃以下であることが更に好ましく、85℃以上95℃以下であることが特に好ましい。
離型剤の融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0064】
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおいて、示唆走査熱量分析における離型剤の吸熱ピーク値における1回目の昇温時における吸熱ピーク温度と2回目の昇温時における吸熱ピーク温度との差異は、光沢ムラ抑制の観点から、7℃以下であることが好ましく、5℃以下であるより好ましく、3℃以下であることが特に好ましい。
本実施形態における示差走査熱量分析は、示差走査型熱量計((株)島津製作所製:DSC60A)を用いてASTMD3418-8に準拠して測定する。装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。室温(10℃以上30℃以下)から150℃まで昇温したものを1回目とし、0℃まで10℃/minで冷却後、再度150℃まで10℃/minで昇温したものを2回目とし、1回目及び2回目の測定結果における離型剤の吸熱ピーク温度の差異を算出する。
【0065】
離型剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0066】
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、塩基性炭酸鉛、硫化亜鉛-硫酸バリウム混合物、硫化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
【0067】
また、トナー粒子を白色トナー粒子とする場合には、着色剤として白色顔料を用いればよい。
白色顔料としては、酸化チタン及び酸化亜鉛が好ましく、酸化チタンがより好ましい。
【0068】
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。
【0070】
着色剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
また、トナー粒子を白色トナー粒子とする場合の白色顔料の含有量は、白色トナー粒子全体に対して、15質量%以上70質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0071】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0072】
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等を含む芯部と、結着樹脂を含む被覆層と、で構成されている。
【0073】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0074】
トナー粒子の体積平均粒径は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子について、各々の粒径を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定された粒径について、小径側から体積基準の累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vと定義する。
【0075】
本実施形態においてトナー粒子の平均円形度は、特に制限はないが、像保持体からのトナーのクリーニング性を良化する観点からは、0.91以上0.98以下が好ましく、0.94以上0.98以下がより好ましく、0.95以上0.97以下が更に好ましい。
【0076】
本実施形態においてトナー粒子の円形度とは、(粒子投影像と同じ面積をもつ円の周囲長)÷(粒子投影像の周囲長)であり、トナー粒子の平均円形度とは、円形度の分布において小さい側から累積50%となる円形度である。トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像解析装置でトナー粒子を少なくとも3,000個解析して求める。
【0077】
トナー粒子の平均円形度は、例えば、トナー粒子を凝集合一法で製造する場合、融合・合一工程における、分散液の撹拌速度、分散液の温度又は保持時間を調整することによって制御しうる。
【0078】
(外添剤)
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。前記無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
【0079】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0080】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0081】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上6質量%以下がより好ましい。
【0082】
[トナーの製造方法]
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0083】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0084】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0085】
以下、各工程の詳細について説明する。
以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0086】
-樹脂粒子分散液準備工程-
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
【0087】
樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0088】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0089】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0090】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、転相乳化法によって分散媒に樹脂粒子を分散させてもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水系媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの転相を行い、樹脂を水系媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0091】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下が更に好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0092】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0093】
樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0094】
-凝集粒子形成工程-
次に、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0095】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
【0096】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0097】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体;などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
【0098】
これらの中でも、本実施形態においては、光沢ムラ抑制の観点から、アルミニウム塩が好ましく、ポリ塩化アルミニウムが特に好ましい。
凝集剤の添加量、好ましくはアルミニウム塩の添加量は、光沢ムラ抑制の観点から、樹脂粒子100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、6質量部以上20質量部以下がより好ましく、8質量部以上18質量部以下が更に好ましく、10質量部以上16質量部以下が特に好ましい。
【0099】
前記のように、本実施形態においては、光沢ムラ抑制の観点から、アルミニウム塩を多く使用する態様が好ましく挙げられるが、アルミニウム塩が多く存在すると、トナーの粒径制御に影響が生じ、粗粉が多く生じる場合がある。
そこで、トナーの粒径制御の観点から、アルミニウム塩のモル数以上の界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤がアルミニウム塩のトラップ剤又は阻害剤として作用し、トナーの粒径制御が容易になると推定している。
【0100】
また、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーがコアシェルトナーである場合、光沢ムラ抑制の観点から、凝集粒子形成工程において、コアを形成する樹脂粒子分散液中の樹脂の量よりもシェルを形成する樹脂粒子分散液中の樹脂の量を多くすることが好ましい。シェルを厚くすることにより、トナーの弾性が向上し、温度に応じた粘性差異が小さくなり、得られる画像における光沢ムラが抑制されると推定している。
【0101】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より30℃から50℃高い温度以上)、かつ離型剤の融解温度以上に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
融合・合一工程では、樹脂粒子のガラス転移温度以上、離型剤の融解温度以上では、樹脂および離型剤が融和した状態にある。その後、冷却してトナーを得る。
トナー中の離型剤のアスペクト比を調整する方法としては、冷却時に離型剤の凝固点周辺温度で一定時間保持することで結晶成長させたり、融解温度の異なる離型剤を2種類以上使用することにより冷却中の結晶成長を促すことができ、調整できる。
【0102】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、前記凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、を更に混合し、凝集粒子の表面に更に樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0103】
融合・合一工程終了後、溶液中に形成されたトナー粒子に、公知の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を施して乾燥した状態のトナー粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点から、凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0104】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0105】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
【0106】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、この表面に樹脂を被覆したキャリアであってもよい。
【0107】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;などが挙げられる。
【0108】
被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等の添加剤を含ませてもよい。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0109】
芯材の表面を樹脂で被覆するには、被覆用の樹脂、及び各種添加剤(必要に応じて使用する)を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂の種類や、塗布適性等を勘案して選択すればよい。具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法;被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法;芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、その後に溶剤を除去するニーダーコーター法;等が挙げられる。
【0110】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0111】
<画像形成装置、画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0112】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0113】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;等の公知の画像形成装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0114】
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して着脱するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0115】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を説明するが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0116】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」ともいう)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
【0117】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20の内面に接する、駆動ロール22及び支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行するようになっている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。中間転写ベルト20の像保持面側には、駆動ロール22と対向して中間転写ベルトクリーニング装置30が備えられている。
【0118】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段の一例)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーの供給がなされる。
【0119】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成及び動作を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエローの画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。
【0120】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール(一次転写手段の一例)5Y、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
【0121】
一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0122】
以下、第1のユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0123】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として現像され可視化される。
【0124】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で撹拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0125】
感光体1Y上のイエローのトナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1のユニット10Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。感光体1Y上に残留したトナーは、感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0126】
第2ユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー画像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0127】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する支持ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0128】
トナー画像が転写された記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0129】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。定着後における画像表面の平滑性を更に向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0130】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0131】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、現像手段と、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0132】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0133】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0134】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0135】
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kが着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の色に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例】
【0136】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
また、トナーの損失弾性率G”、最大吸熱ピーク温度、ゲル分率、Al含有量、BET比表面積、示差走査熱量分析における離型剤の吸熱ピーク値における1回目の昇温時における吸熱ピーク温度と2回目の昇温時における吸熱ピーク温度との差異、各波長における吸光度、フローテスターでの1/2降下温度、及び、トルエン不溶分については、前述した方法により測定した。
【0137】
(実施例1)
<樹脂粒子分散液の作製>
スチレン:310部
n-ブチルアクリレート:100部
β-カルボキシエチルアクリレート:9部
1,10-デカンジオールジアクリレート:3.0部
ドデカンチオール:3部
フラスコに、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製ダウファックス)4部をイオン交換水550部に溶解した溶液を入れ、そこに上記の原料を混合した混合液を入れて乳化した。乳化液を10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸アンモニウム6部を溶解したイオン交換水50部を投入した。次いで、系内の窒素置換を充分に行い、オイルバスで系内が75℃になるまで加熱し、そのまま4時間乳化重合を継続した。これにより、重量平均分子量33,000、ガラス転移温度53℃、体積平均粒径250nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。前記樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20質量%に調整して、樹脂粒子分散液とした。
【0138】
<マゼンタ着色剤分散液の調製>
・PR122(大日精化工業社製クロモファインマゼンタ6887):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1部
・イオン交換水:200部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した。分散液中の固形分量が20質量%となるようイオン交換水を加え、体積平均粒径190nmの着色剤粒子が分散された着色剤分散液を得た。
【0139】
<離型剤分散液の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製 FNP0090):100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1部
・イオン交換水:350部
上記材料を混合して100℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、体積平均粒径200nmの離型剤粒子が分散された離型剤分散液(固形分量20質量%)を得た。
【0140】
<トナーの製法>
イオン交換水:185部
樹脂粒子分散液:105部
マゼンタ着色粒子分散液:35部
離型剤粒子分散液A:40部
アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製ダウファックス):2.8部
上記成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、30分間保持した。
ホモジナイザー(IKAジャパン(株)製:ウルトラタラックスT50)で分散しながら、ポリ塩化アルミニウム(PAC、王子製紙(株)製:30%粉末品)2.8部をイオン交換水28部(トナー中のアルミ量を増やす)に溶解させたPAC水溶液を添加した。その後、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとした。その後樹脂粒子分散液120部(シェル層を厚くする設計に変更する)を追添加し、凝集粒子の表面に樹脂粒子を付着(シェル構造)させた。
続いて、10質量%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト(株)製)を20部加えた後、1N(1mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、撹拌翼の直径/撹拌槽の直径の比(d/D)=0.70の4枚パドル翼を使用し、撹拌速度250rpmで撹拌を行い、昇温速度を0.05℃/分にして90℃まで昇温し、90℃で3時間保持した後、冷却し、ろ過して粗トナー粒子を得た。これを更にイオン交換水にて再分散し、ろ過することを繰り返して、ろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで洗浄を行った後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。
【0141】
得られたトナー粒子100質量部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)を1.5質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)を1.0質量部とを、サンプルミルを用いて10,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して実施例1のトナー(静電荷像現像用トナー)を調製した。得られたトナーの体積平均粒子径は6.1μmであった。
【0142】
<キャリアの作製>
スチレンメチルメタクリレート共重合体:5部
(質量比(スチレン/メチルメタクリレート):70/30)
トルエン:15部
カーボンブラック(キャボット社製、Regal330):1部
上記成分を混合し、10分間スターラーで撹拌させて被覆層形成用溶液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:40μm)100部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを作製した。
【0143】
<静電荷像現像剤の作製>
実施例1のトナー8部とキャリア92部とをVブレンダーにて混合し、実施例1の現像剤(静電荷像現像剤)を作製した。
【0144】
(比較例1)
<樹脂粒子分散液の作製>
スチレン:310部
n-ブチルアクリレート:100部
β-カルボキシエチルアクリレート:9部
1,10-デカンジオールジアクリレート:3.0部
ドデカンチオール:3部
フラスコに、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製ダウファックス)4部をイオン交換水550部に溶解した溶液を入れ、そこに上記の原料を混合した混合液を入れて乳化した。乳化液を10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸アンモニウム6部を溶解したイオン交換水50部を投入した。次いで、系内の窒素置換を充分に行い、オイルバスで系内が75℃になるまで加熱し、そのまま4時間乳化重合を継続した。これにより、重量平均分子量33,000、ガラス転移温度53℃、体積平均粒径250nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。前記樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20質量%に調整して、樹脂粒子分散液とした。
【0145】
<トナーの製法>
イオン交換水:185部
樹脂粒子分散液:130部
マゼンタ着色粒子分散液:35部
離型剤粒子分散液A:40部
アニオン性界面活性剤:2.8部
上記成分を、温度計、pH計、撹拌機を具備した反応容器に入れ、外部からマントルヒーターで温度制御しながら、温度30℃、撹拌回転数150rpmにて、30分間保持した。
ホモジナイザー(IKAジャパン(株)製:ウルトラタラックスT50)で分散しながら、PAC(王子製紙(株)製:30%粉末品)0.7部をイオン交換水7部に溶解させたPAC水溶液を添加した。その後、50℃まで昇温し、コールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmとした。その後樹脂粒子分散液93部を追添加し、凝集粒子の表面に樹脂粒子を付着(シェル構造)させた。
続いて、10質量%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト(株)製)を20部加えた後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、d/D=0.50の4枚パドル翼を使用し、撹拌速度200rpmで撹拌を行い、昇温速度を0.05℃/分にして90℃まで昇温し、90℃で3時間保持した後、冷却し、ろ過して粗トナー粒子を得た。これを更にイオン交換水にて再分散し、ろ過することを繰り返して、ろ液の電気伝導度が20μS/cm以下となるまで洗浄を行った後、40℃のオーブン中で5時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。
【0146】
得られたトナー粒子100質量部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)を1.5質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)を1.0質量部とを、サンプルミルを用いて10,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して比較例1のトナー(静電荷像現像用トナー)を調製した。得られたトナーの体積平均粒子径は6.1μmであった。
【0147】
<静電荷像現像剤の作製>
比較例1のトナー8部とキャリア92部とをVブレンダーにて混合し、比較例1の現像剤(静電荷像現像剤)を作製した。
【0148】
(実施例2~13、並びに、比較例2及び3)
表1に記載の組成及び作製方法に変更した以外は、実施例1のトナーの作製方法と同様の方法で、実施例2~13、並びに、比較例2及び3の静電荷像現像用トナーをそれぞれ作製した。また、実施例1と同様の方法で、実施例2~13、並びに、比較例2及び3の静電荷像現像剤をそれぞれ作製した。
【0149】
得られた各実施例1~13、及び、比較例1~3の静電荷像現像用トナー、及び、静電荷像現像剤を用い、以下の評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
【0150】
〔評価〕
<評価方法>
上述のようにして得られた現像剤について表1に記載の通り、画像形成装置「富士ゼロックス(株)製DocuCentre color 400」の現像器にそれぞれ充填した。この画像形成装置により、温度28℃、湿度85%RHの環境下で、黒色(K色)のベタ画像(先端及び後端余白10mm)を4℃で保管されたMCP256(王子製紙(株)製、商品名:ミラーコートプラチナ、坪量256g/m2)で5枚出力し、以下の評価を行った。
【0151】
-光沢ムラ評価項目1:1枚目先端及び後端部のグロス差-
1枚目のK色先端部3か所(右、中央、左)の平均値と後端部3か所(右、中央、左)の平均値とのグロス差を評価した。評価基準を以下に示す。
A:先端部と後端部とのグロス差が2°未満
B:先端部と後端部とのグロス差が2°~4°未満。ただし、実使用上問題のないレベル。
C:先端部と後端部とのグロス差が5°以上。
【0152】
-光沢ムラ評価項目2:1枚目後端部と5枚目後端部とのグロス差-
1枚目のK色後端部(右、中央、左)の平均値と5枚目のK色後端部(右、中央、左)の平均値とのグロス差を評価した。評価基準を以下に示す。
A:1枚目の後端部と5枚目の後端部とのグロス差が2°未満
B:1枚目の後端部と5枚目の後端部とのグロス差が2°~4°未満。ただし、実使用上問題のないレベル。
C:1枚目の後端部と5枚目の後端部とのグロス差が5°以上。
【0153】
-低温オフセットの評価-
上述の条件において定着ローラの表面温度が130℃になるように設定し、10枚出力し、10枚目の定着画像を評価した。評価基準を以下に示す。
A:全く問題なし
B:わずかに画像欠陥がみられるが、問題なし
C:軽微な画像欠陥が見られるが問題とはならないレベル
D:画像欠陥発生で問題のあるレベル
【0154】
【0155】
表1における「示差熱分析差異」とは、示差走査熱量分析における離型剤の吸熱ピーク値における1回目の昇温時における吸熱ピーク温度と2回目の昇温時における吸熱ピーク温度との差異である。
【0156】
前記表1に示す結果から、本実施例の静電荷像現像用トナーは、比較例の静電荷像現像用トナーに比べ、低温環境下(4℃)で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラが少ないことがわかる。
また、本実施例の静電荷像現像用トナーは、低温オフセット性にも優れる。
【0157】
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)の作製>
・テレフタル酸:70部
・フマル酸:35部
・エチレングリコール:45部
・1,5-ペンタンジオール:46部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた内容量フラスコに、上記の材料を仕込み窒素ガス気流下、1時間を要して温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド2部を投入した。生成する水を留去しながら0.5時間を要して240℃まで温度を上げ、前記温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量30,000、ガラス転移温度62℃のポリエステル樹脂を合成した。温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、ポリエステル樹脂100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を撹拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下し、乳化を行った。滴下終了後、乳化液を25℃に戻し、体積平均粒径200nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。前記樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20%に調整して、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1)とした。
【0158】
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(A2)の作製>
・テレフタル酸:63部
・フマル酸:30部
・トリメリット酸:7部
・エチレングリコール:45部
・1,5-ペンタンジオール:46部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに、上記の材料を仕込み窒素ガス気流下、1時間を要して温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら0.5時間を要して240℃まで温度を上げ、前記温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量160,000、ガラス転移温度62℃のポリエステル樹脂を合成した。温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、ポリエステル樹脂100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を撹拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下し、乳化を行った。滴下終了後、乳化液を25℃に戻し、体積平均粒径200nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。前記樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20%に調整して、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A2)とした。
【0159】
<離型剤粒子分散液Bの調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP-9):100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1部
・イオン交換水:350部
上記材料を混合して100℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、体積平均粒径200nmの離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液(固形分量20%)を得た。
【0160】
(黒色着色粒子分散液の調製)
・カーボンブラック(キャボット社製、Regal330):50部
・イオン系界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):5部
・イオン交換水:192.9部
上記成分を混合し、アルティマイザ((株)スギノマシン製)により240MPaで10分処理し、黒色着色粒子分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
【0161】
<トナーの製法>
・イオン交換水:200部
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A1):170部
・黒色着色粒子分散液:30部
・離型剤粒子分散液B:35部
・アニオン性界面活性剤(テイカ(株)製、TaycaPower):2.8部
上記材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1N(0.1mol/L)の硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、PAC(王子製紙(株)製:30%粉末品)2.0部をイオン交換水30部(トナー中のアルミ量を増やす)に溶解させたPAC水溶液を添加した。ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し体積平均粒径が4.8μmとなるまで保持した。その後、樹脂粒子分散液(A2)60部を追加し30分保持した。その後、5.2μmとしたところで、更に樹脂粒子分散液(A2)60部を追加し30分保持した。続いて、10質量%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト(株)製)を20部加えた後、1N(1mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、アニオン活性剤(TaycaPower):1.0部投入して撹拌を継続しながら85℃まで加熱し、5時間保持した。その後、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、濾過し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることにより、体積平均粒径6.0μmのトナー粒子を得た。
【0162】
得られたトナー粒子100質量部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)を1.5質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)を1.0質量部とを、サンプルミルを用いて10,000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して実施例14のトナー(静電荷像現像用トナー)を調製した。得られたトナーの体積平均粒子径は6.1μmであった。
【0163】
<キャリアの作製>
なお、キャリアは次のように作製されたものを用いた。
・フェライト粒子(体積平均粒子径:50μm):100部
・トルエン:14部
・スチレン-メチルメタクリレート共重合体(成分比:90/10、Mw=80,000):2部
・カーボンブラック(R330:キャボット社製):0.2部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて、分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、更に加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを得た。
【0164】
<静電荷像現像剤の作製>
得られたキャリアと得られたトナーとを、トナー:キャリア=5:95(質量比)の割合でVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、実施例14の現像剤(静電荷像現像剤)を得た。
【0165】
(比較例4)
<非晶性ポリエステル樹脂分散液(A3)の作製>
・テレフタル酸:30モル部
・フマル酸:70モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物:95モル部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ、及び精留塔を備えたフラスコに、上記の材料を仕込み、1時間を要して温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら0.5時間を要して230℃まで温度を上げ、前記温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量18,000、ガラス転移温度60℃のポリエステル樹脂を合成した。
温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、ポリエステル樹脂100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。
次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を撹拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下し、乳化を行った。滴下終了後、乳化液を25℃に戻し、体積平均粒径200nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。該樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20%に調整して、非晶性ポリエステル樹脂分散液(A3)とした。
【0166】
<トナーの製法>
・イオン交換水:200部
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(A3):170部
・黒色着色粒子分散液:30部
・離型剤粒子分散液B:35部
・アニオン性界面活性剤(TaycaPower):2.8部
上記材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1Nの硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、PAC(王子製紙(株)製:30%粉末品)0.3部をイオン交換水7部に溶解させたPAC水溶液を添加した。ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し体積平均粒径が5.0μmとなるまで保持した。その後、樹脂粒子分散液(A3)120部を追加し30分保持した。続いて、10質量%のNTA(ニトリロ三酢酸)金属塩水溶液(キレスト70:キレスト(株)製)を20部加えた後、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、撹拌を継続しながら85℃まで加熱し、5時間保持した。その後、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、濾過し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることにより、体積平均粒径5.9μmのトナー粒子を得た。
【0167】
<静電荷像現像剤の作製>
得られたトナー粒子を用い、実施例14と同様の方法により、比較例4の現像剤(静電荷像現像剤)を作製した。
【0168】
(実施例15~18、並びに、比較例5及び6)
表2に記載の組成及び作製方法に変更した以外は、実施例14のトナーの作製方法と同様の方法で、実施例15~18、並びに、比較例5及び6の静電荷像現像用トナーをそれぞれ作製した。また、実施例14と同様の方法で、実施例15~18、並びに、比較例5及び6の静電荷像現像剤をそれぞれ作製した。
【0169】
得られた各実施例14~18、及び、比較例4~6の静電荷像現像用トナー、及び、静電荷像現像剤を用い、以下の評価を行った。評価結果をまとめて表2に示す。
【0170】
〔評価〕
<評価方法>
上述のようにして得られた現像剤を富士ゼロックス(株)製複写機Versant 3100 Pressに現像剤及びトナーカートリッジを充填し、10℃15%RHで17h調湿した。K色のベタ画像(先端及び後端余白10mm)をA3Colotech300gsm(商品名、富士ゼロックス(株)製、坪量300g/m2)で10枚出力した。
【0171】
-光沢ムラ評価項目1:1枚目先端及び後端部のグロス差-
1枚目のK色先端部3か所(右、中央、左)の平均値と後端部3か所(右、中央、左)の平均値のグロス差を評価した。評価基準を以下に示す。
A(◎):先端部と後端部のグロス差が2°未満
B(○):先端部と後端部のグロス差が2°以上4°未満。
C(△):先端部と後端部のグロス差が4°以上6°未満。ただし、実使用上問題のないレベル。
D(×):先端部と後端部のグロス差が6°以上。実使用で問題あるレベル。
【0172】
-1枚目後端部と5枚目後端部のグロス差-
1枚目のK色後端部(右、中央、左)の平均値と5枚目のK色後端部(右、中央、左)の平均値のグロス差を評価した。評価基準を以下に示す。
A(◎):先端部と後端部のグロス差が2°未満
B(○):先端部と後端部のグロス差が2°以上4°未満。
C(△):先端部と後端部のグロス差が4°以上6°未満。ただし、実使用上問題のないレベル。
D(×):先端部と後端部のグロス差が6°以上。実使用で問題あるレベル。
【0173】
-低温オフセットの評価-
上述の条件において定着ローラの表面温度が130℃になるように設定し、10枚出力し、10枚目の定着画像を評価した。評価基準を以下に示す。
A(◎):全く問題なし
B(○):わずかに画像欠陥がみられるが、問題なし
C(△):軽微な画像欠陥が見られるが問題とはならないレベル
D(×):画像欠陥発生で問題のあるレベル
【0174】
【0175】
表2における「1,500cm-1/720cm-1」は、前記トナーにおけるトナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長1,500cm-1の吸光度の比の値であり、「820cm-1/720cm-1」は、前記トナーにおけるトナー粒子の赤外吸収スペクトル分析における波長720cm-1の吸光度に対する波長820cm-1の吸光度の比の値である。
【0176】
前記表2に示す結果から、本実施例の静電荷像現像用トナーは、比較例の静電荷像現像用トナーに比べ、低温環境下(4℃)で保管された記録媒体を用いた場合であっても、得られる画像の光沢ムラが少ないことがわかる。
また、本実施例の静電荷像現像用トナーは、低温オフセット性にも優れる。
【符号の説明】
【0177】
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写ベルトクリーニング装置(中間転写体クリーニング手段の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)
【0178】
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)