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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20221004BHJP
   F21V 19/02 20060101ALI20221004BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221004BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V19/02 300
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018178427
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020053126
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】水谷 有輝
(72)【発明者】
【氏名】石坂 大介
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-078004(JP,A)
【文献】特開2014-130758(JP,A)
【文献】特開2014-157737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 19/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部に固定する固定部材と;
前記固定部材に対して回動軸を中心に回動可能に設けた回動部材と;
光軸方向に光を出射する光源を有する灯体と;
前記光軸が前記回動軸と平行になる第1の位置と前記光軸が前記回動軸に対して傾斜する第2の位置との間で前記灯体を前記回動部材に対して傾倒可能に支持した支持機構と;
前記回動部材の前記固定部材に対する回動を不可にする際は、前記回動部材の一部に当接させる第1の状態で前記固定部材に固定され、前記回動部材の前記固定部材に対する回動を可能にする際は、前記第1の状態と異なる第2の状態で前記固定部材に固定される回動制御部材と;を有し、
前記回動制御部材は、前記第1の状態のとき、前記灯体を前記第1の位置から前記第2の位置へ傾倒させた際に前記回動部材との間の隙間が開く側で前記固定部材に固定され、前記第2の状態のとき、前記灯体を傾倒させた際に前記回動部材との間の隙間が狭くなる側で前記固定部材に固定される、
照明装置。
【請求項2】
前記回動制御部材は、前記固定部材に固定する固定部、および前記回動部材の前記回動軸に沿って前記固定部材と反対側の端面を押える押え部を有し、前記回動部材が前記固定部材から離れる方向へ移動することを防止する移動防止部材である、
請求項1の照明装置。
【請求項3】
被取付部に固定する固定部材と;
前記固定部材に対して回動軸を中心に回動可能に設けた回動部材と;
光軸方向に光を出射する光源を有する灯体と;
前記光軸が前記回動軸と平行になる第1の位置と前記光軸が前記回動軸に対して傾斜する第2の位置との間で前記灯体を前記回動部材に対して傾倒可能に支持した支持機構と;
前記回動部材の前記固定部材に対する回動を不可にする際は、前記回動部材の一部に当接させる第1の状態で前記固定部材に固定され、前記回動部材の前記固定部材に対する回動を可能にする際は、前記第1の状態と異なる第2の状態で前記固定部材に固定される回動制御部材と;を有し、
前記灯体は、前記灯体を前記第1の位置から前記第2の位置へ傾倒させる方向と反対側の前記回動部材に対向した端部に遮光壁を有し、前記灯体を傾倒させる側の前記端部に前記回動部材を前記固定部材に対して回動させるために指を掛ける突起を有する、
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、建物の天井に取り付けるダウンライトなどの照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の天井に取り付ける照明装置として、天井に設けた取付孔に埋設するダウンライトが知られている。ダウンライトは、取付孔に固定する化粧枠、および光源を有して天井裏に配置される灯体を有する。
【0003】
ダウンライトの一例として、化粧枠(天井)に対して灯体を回動可能且つ傾倒可能に支持したユニバーサルダウンライトが知られている。ユニバーサルダウンライトは、照明光の出射方向を所望する方向に傾けることができ、壁などを照らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-78004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダウンライトは、通常、天井から床に向けて鉛直下方に照明光を照射する。これに対し、ユニバーサルダウンライトは、化粧枠に対する灯体の向きを変えて照明光の出射方向を傾けることができる。つまり、従来は、使用目的に応じて、灯体の向きを固定した固定式ダウンライトとユニバーサルダウンライトを使い分けている。
【0006】
このように、従来は、一般的な固定式ダウンライトとユニバーサルダウンライトを別々に用意する必要があり、装置の製造コストおよび管理コストが高くなっていた。
【0007】
よって、簡単且つ安価な構成により灯体の向きを固定および固定解除できる照明装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る照明装置は、被取付部に固定する固定部材と、固定部材に対して回動軸を中心に回動可能に設けた回動部材と、光軸方向に光を出射する光源を有する灯体と、光軸が回動軸と平行になる第1の位置と光軸が回動軸に対して傾斜する第2の位置との間で灯体を回動部材に対して傾倒可能に支持した支持機構と、回動部材の固定部材に対する回動を不可にする際は、回動部材の一部に当接させる第1の状態で固定部材に固定され、回動部材の固定部材に対する回動を可能にする際は、第1の状態と異なる第2の状態で固定部材に固定される回動制御部材と、を有する。回動制御部材は、第1の状態のとき、灯体を第1の位置から第2の位置へ傾倒させた際に回動部材との間の隙間が開く側で固定部材に固定され、第2の状態のとき、灯体を傾倒させた際に回動部材との間の隙間が狭くなる側で固定部材に固定される。
【発明の効果】
【0009】
実施形態によると、簡単且つ安価な構成により灯体の向きを固定および固定解除できる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1の照明装置の枠体を示す分解斜視図である。
図3図3は、図2の枠体の要部を示す斜視図である。
図4図4は、図1の照明装置の灯体を示す分解斜視図である。
図5図5は、図1の照明装置の灯体を枠体に対して傾倒させた状態を示す要部の概略図である。
図6図6は、図1の照明装置の灯体を枠体と同軸に配置した状態を示す要部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
照明装置100は、建物の天井に固定する化粧枠22と、化粧枠22に対して回動軸Pを中心に回動可能に設けた回動枠24と、光軸Oに沿った方向に光を出射する発光部32を有する灯体40と、光軸Oが回動軸Pと平行になる第1の位置と光軸Oが回動軸Pに対して傾斜する第2の位置(図1に示す位置)との間で灯体40を回動枠24に対して傾倒軸Qを中心に傾倒可能に支持した2枚の支持板60と、回動枠24の一部に当接して回動枠24の化粧枠22に対する回動を不可にする第1の状態、または回動枠24の化粧枠22に対する回動を可能にする第2の状態(図1の状態)で、化粧枠22に固定される板片80と、を有する。
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、実施形態に係る照明装置100は、枠体20と、灯体40と、2枚の支持板60、60(支持機構)と、L字状の板片80(回動制御部材、移動防止部材)と、を有する。また、照明装置100は、灯体40の後述する光源モジュール30(図3)と接続した図示しない電源装置を有する。本実施形態の照明装置100は、例えば、建物の天井(被取付部)に設けた図示しない取付孔に取り付け可能なユニバーサルダウンライトである。なお、本実施形態の照明装置100は、板片80を付け替えることにより、灯体40の光軸Oを回動軸Pと平行にした固定式のダウンライトとして使用することもできる。
【0013】
以下の説明では、光源モジュール30の発光部32(光源)から出射される光の発光面31と垂直な中心軸を光軸Oと称し、天井に固定した枠体20の中心を通る鉛直方向に延びた軸を回動軸Pと称する。本実施形態の照明装置100は、枠体20を天井に固設しているとともに、支持板60、60を介して灯体40を枠体20に対して傾倒軸Qを中心に傾倒可能に支持している。よって、枠体20の中心を通る回動軸Pに対し、灯体40の光軸Oを傾けることができる。図1は、灯体40を枠体20に対して傾倒させた第2の位置に配置した状態を示す。
【0014】
図2に示すように、枠体20は、天井の取付孔に固定する略円筒形の化粧枠22(固定部材)、および化粧枠22に対して回動軸Pを中心に回動可能に取り付けた略円筒形の回動枠24(回動部材)を有する。回動枠24は、化粧枠22の図示上端に重ねて配置される(図1)。化粧枠22および回動枠24は、回動軸Pに沿って同軸に取り付けられる。化粧枠22および回動枠24は、天井の取付孔よりわずかに小さい外径を有する。
【0015】
化粧枠22は、天井面(床側の面)に係合する円環状のフランジ部22aを軸方向の一端に有する。フランジ部22aの直径は、天井の取付孔の直径より大きい。また、化粧枠22は、化粧枠22を天井に固定するための3枚の固定バネ21を備えている。化粧枠22は、3枚の固定バネ21とフランジ部22aの間に天井の壁を挟むことで天井に固定される。よって、回動枠24および3枚の固定バネ21は、天井裏に配置される。
【0016】
3枚の固定バネ21は、化粧枠22の外周面にネジ23(図2に1本のみ図示)により締結固定されている。化粧枠22は、ネジ23を螺合する3つのネジ孔を有する。各ネジ孔は、化粧枠22の円筒部分の壁を貫通して設けられている。各固定バネ21は、化粧枠22の外周面に対して接線方向に延設された固定部21aと、固定部21aの先端側から化粧枠22の径方向に一体に放射状に延設されたバネ部21bと、を有する。3枚の固定バネ21は、固定部21aが同じ方向に向く姿勢で化粧枠22の周方向に等間隔で取り付けられている。
【0017】
固定バネ21は、固定部21aを化粧枠22の外周面に近付ける方向に変形可能であるとともに、バネ部21bを後述する灯体40に近づく方向に変形可能である。このため、3枚の固定バネ21を化粧枠22よりわずかに大径な取付孔に挿通可能となっている。これら3枚の固定バネ21を用いた化粧枠22の取り付け方法については周知技術であるためその説明を省略する。
【0018】
3枚の固定バネ21は、上述したように、ネジ23を用いて化粧枠22に締結固定される。一方、回動枠24は、化粧枠22の上端内側に挿入配置される円筒部25を有する。円筒部25の外径は化粧枠22の内径より小さい。円筒部25の外周面には、化粧枠22の内面に対向する円環状の溝25aが設けられている。この円環状の溝25aは、3枚の固定バネ21を化粧枠22に対して締結固定するためのネジ23の先端をスライド可能に受け入れることができる幅および深さを有する。ネジ23は、少なくとも化粧枠22の壁厚を超える長さを有する。
【0019】
つまり、化粧枠22の上端から回動枠24の円筒部25を挿通配置して、3枚の固定バネ21を化粧枠22の外周面に締結固定すると、各ネジ23の先端が化粧枠22の内面から突出し、回動枠24の円筒部25に設けた溝25a内に配置される。各ネジ23を挿通する化粧枠22のネジ孔および回動枠24の円筒部25に設けた溝25aの位置は、ネジ23の先端が溝25aに入る位置に設計されている。
【0020】
このため、円筒部25を化粧枠22の上端に挿入して、3枚の固定バネ21を化粧枠22に取り付けると、3本のネジ23の先端が円筒部25の溝25a内に挿入される。この状態で、3本のネジ23の先端が溝25aに沿って移動可能となり、回動枠24が化粧枠22に対して回動軸Pを中心に回動可能となる。上述したように、化粧枠22は天井に固定されるため、回動枠24は、天井に固定された化粧枠22に対して回動軸Pを中心に回動可能となる。
【0021】
回動枠24は、化粧枠22から離間した上端側に、2枚の支持板60をそれぞれ傾倒可能に取り付けるための2つの略四角柱状の突出部分28、28を有する。2つの突出部分28、28は、回動枠24の径方向に離間した位置で回動枠24と一体に設けられている。2つの突出部分28、28は、回動枠24の図示上端から回動軸Pと平行に上方に突出して設けられている。
【0022】
また、回動枠24の化粧枠22から離間した略円環状の端面24aには、回動枠24の化粧枠22に対する回動を不可にする状態(第1の状態)のとき、板片80に係合して板片80の移動を規制する係合突起27が突設されている。係合突起27は、図1に示すように、灯体40を枠体20に対して傾けた際に、灯体40と枠体20の間の隙間が開く側の端面24aに設けられている。係合突起27は、図1で左手前側の一方の突出部分28との間で板片80を挟む位置に設けられ、当該突出部分28と協働して板片80の周方向への移動を規制する。係合突起27の大きさや形状などは任意に設定することができる。なお、係合突起27は、回動枠24の端面24aに1つだけ設けられており、図1のように灯体40が枠体20に対して傾いたときに両者間の隙間が狭くなる反対側の端面24aには突起物は無い。
【0023】
板片80は、回動枠24の端面24aに係合部81を係合した状態で化粧枠22に固定される。板片80は、回動枠24が化粧枠22から離れる方向に抜ける不具合を防止するための移動防止部材として機能する。また、板片80は、回動枠24の化粧枠22に対する回動を可能にするとともに回動枠24の化粧枠22に対する回動を不可にする回動制御部材としても機能する。
【0024】
図3に示すように、板片80は、略矩形の金属板を略L字形に折り曲げた形状を有する。板片80は、係合部81(押え部)および固定部82を有する。係合部81は、回動枠24の化粧枠22から離間した端面24aに係合される。固定部82は、化粧枠22の外周面にネジ84により締結固定される。固定部82を化粧枠22に固定する場合、ネジ84を固定部82の挿通孔83に挿通し、化粧枠22の外周面に設けたネジ孔85に螺合する。
【0025】
係合部81の固定部82に対する角度は、直角よりわずかに小さい鋭角に設定されている。このため、固定部82を化粧枠22の外周面に締結固定した状態で、係合部81の先端が回動枠24の端面24aに押し付けられる。これにより、回動枠24を化粧枠22の方向に押圧する力が端面24aに作用し、端面24aと係合部81の間に摩擦力が作用する。
【0026】
回動枠24の化粧枠22に対する回動を可能にする図2に示す状態(第2の状態)で、板片80の固定部82を化粧枠22に固定すると、板片80の係合部81が回動枠24の端面24aに沿って周方向にスライド移動可能となる。このとき、係合部81の移動可能範囲は、回動枠24の2つの突出部分28、28の間の範囲内に規定され、180°よりわずかに小さい角度範囲となる。なお、この状態で板片80を化粧枠22に固定した場合、回動枠24が化粧枠22から離れる方向に移動する不具合を防止することができることは言うまでもない。
【0027】
一方、板片80の係合部81を回動枠24の一方の突出部分28と係合突起27の間に配置した図3に示す状態(第1の状態)で板片80の固定部82を化粧枠22の外周面に締結固定すると、回動枠24の化粧枠22に対する回動ができなくなる。つまり、化粧枠22および回動枠24を図3に示す回動位置に相対的に配置し、化粧枠22の外周面に設けたネジ孔85を上述した一方の突出部分28と係合突起27の間に対向させる。この状態で、板片80を化粧枠22に締結固定すると、板片80の係合部81が一方の突出部分28と係合突起27の間に係合し、回動枠24の化粧枠22に対する回動が不可となる。なお、この状態においても、板片80は、回動枠24が化粧枠22から離れる方向に移動する不具合を防止するよう機能する。
【0028】
化粧枠22と回動枠24の間には、図2に示すように、軸方向の一端側に収束した略円錐台形の筒状の反射板26が配置されている。化粧枠22は、反射板26の拡開した開口縁に設けたフランジ部26aを載置する円環状の段部22bをその内面に有する。つまり、化粧枠22の段部22b上に反射板26のフランジ部26aを載せて回動枠24を取り付けることにより、反射板26が化粧枠22と回動枠24の間に挟まれて取り付けられる。
【0029】
また、回動枠24の2つの突出部分28、28は、それぞれ、上端近くの互いに向かい合う内面側に凹所28aを有する。凹所28a内には、図示しないワッシャおよびロックナット29b(図1)が収容配置される。凹所28aは、ロックナット29bが回らないようロックナット29bの外形にあわせた内面形状を有する。また、凹所28aは、ロックナット29bや後述する回動ネジ29aの先端が凹所28aから内側に突出することのない深さを有する。言い換えると、回動ネジ29aの長さは、その先端が凹所28aから突出しない長さに設定されている。これにより、灯体40から出射される光がロックナット29bや回動ネジ29aに当たる不具合を抑制することができ、反射による迷光の発生を抑制することができる。
【0030】
また、突出部分28は、支持板60を取り付けるための回動ネジ29a(図1、3)を挿通する挿通孔28bを有する。2つの突出部分28に設けた挿通孔28bは、同軸に配置されている。挿通孔28bは、凹所28aに連通するよう突出部分28を貫通して設けられている。回動ネジ29aおよび挿通孔28bの中心が傾倒軸Qとなる。
【0031】
また、突出部分28は、その上端の外面側に、支持板60の図示下端部分を収容配置する凹所10を有する。回動ネジ29aを挿通する上述した挿通孔28bは、この凹所10に設けられている。凹所10には、後述する第1の回動規制面11および第2の回動規制面12が設けられている。
【0032】
回動枠24に2枚の支持板60を取り付ける場合、各突出部分28の外面側の凹所10内に各支持板60の下端部分を重ねて配置し、支持板60の挿通孔65(図4参照)および突出部分28の挿通孔28bを同軸に配置する。そして、挿通孔65および挿通孔28bに回動ネジ29aを挿通し、突出部分28の凹所28a内に配置した図示しないワッシャに回動ネジ29aを通してロックナット29bを螺合する。ロックナット29bは、回動ネジ29aの途中で固定され、支持板60が突出部分28に対して回動可能に取り付けられる。
【0033】
回動枠24の突出部分28の凹所10にある第1の回動規制面11および第2の回動規制面12、および支持板60の第1の当接面61および第2の当接面62は、支持板60の回動枠24に対する回動ネジ29aを中心とした回動位置を規制する。突出部分28の第1の回動規制面11および第2の回動規制面12、および支持板60の第1の当接面61および第2の当接面62については後に詳述する。
【0034】
図4に示すように、灯体40は、レンズ枠42、レンズ44、押えバネ45、放熱器46、および光源モジュール30を有する。上述した支持板60の図示上端は、ネジ66を用いてレンズ枠42に固定される。レンズ枠42の外周面には、支持板60を嵌め込む2つの凹所43が設けられている。2つの凹所43は、レンズ枠42の径方向に離間対向して設けられている。凹所43は、支持板60の外形と同じ形に形成されており、支持板60の表裏を間違えて取り付ける不具合を防止している。2つの凹所43の底面は互いに平行な面である。
【0035】
支持板60をレンズ枠42の凹所43に取り付ける場合、支持板60の表裏を凹所43の形状に合わせて支持板60を凹所43に嵌め、支持板60の挿通孔67にネジ66を挿通してレンズ枠42の凹所43のネジ孔51に螺合する。これにより、支持板60が正しい向きでレンズ枠42に締結固定される。
【0036】
以上のように、2枚の支持板60を介してレンズ枠42と回動枠24を接続すると、レンズ枠42(すなわち灯体40)は、天井に固定した枠体20に対し、回動軸Pを中心に水平方向に回動可能となるとともに、傾倒軸Qを中心に傾倒可能となる。
【0037】
レンズ枠42は、略円筒状の筒状部42a、筒状部42aの図示下端から図示下方に突出した湾曲した遮光壁42b、遮光壁42bの反対側に対向して設けた操作突起70、および筒状部42aの図示上端から図示上方に突出した2つの突出板部42cを一体に有する。2つの突出板部42cは、レンズ枠42の周方向に沿って上述した凹所43と同じ位置に配置されている。遮光壁42bおよび操作突起70は、レンズ枠42の周方向に沿って上述した凹所43と90°異なる位置にそれぞれ配置されている。
【0038】
遮光壁42bは、灯体40を枠体20に対して図1に示す状態に傾倒させたとき、灯体40と枠体20の間の隙間が開く側に設けられ、隙間から漏れる光を少なくするよう機能する。一方、遮光壁42bより周方向の幅が狭い操作突起70は、灯体40を枠体20に対して図1に示す方向に傾倒させた状態で、両者間の隙間が狭まる側に設けられている。
【0039】
遮光壁42bは、枠体20を天井に固定した状態で灯体40を図1に示す状態に傾ける際に、作業者が化粧枠22および反射板26の内側から手指を入れて押圧する操作部として機能する。一方、操作突起70は、図1のように傾いた灯体40を枠体20と同軸に配置する際に、作業者が押圧する操作部として機能する。また、操作突起70は、枠体20を天井に固定した状態で灯体40を枠体20に対して回動軸Pを中心に回動させる際に、作業者が手指を引っ掛けるための突起として機能する。このため、操作突起70は、指を引っ掛け易いように、周方向の幅が遮光壁42bより狭くされている。
【0040】
また、筒状部42aは、その内側にレンズ44を保持している。レンズ44は、その外周上に円環状のフランジ部44aを一体に有する。レンズ44を筒状部42aに取り付ける場合、筒状部42aの図示上端側からレンズ44を挿入する。そして、フランジ部44aを筒状部42aの内面に設けた図示しない円環状の段部上に載置する。さらに、フランジ部44aの図示上方(段部と反対側)から略円環状の押えバネ45を筒状部42a内に挿入して、押えバネ45を筒状部42aの図示しない所定の溝内に固定する。これにより、レンズ44のフランジ部44aを筒状部42aの内面に設けた段部と押えバネ45により挟んで、レンズ44をレンズ枠42内に固定する。
【0041】
この状態で、レンズ44の光軸は灯体40の光軸Oと重なる。レンズ44は、筒状部42aの軸方向の長さよりわずかに大きい光軸方向の厚みを有する。レンズ44は、光の入射側(図示上端側)に凹レンズ面を有する。レンズ44は、光の出射側(図示下端側)に凸レンズ面を有する。
【0042】
レンズ枠42の上述した突出板部42cは、筒状部42aの軸方向一端(図示上端)に放熱器46を連結固定するための固定ネジ52を挿通するための挿通孔53を有する。放熱器46は、レンズ枠42の一端を塞ぐ略円板状のベース板46aを有する。ベース板46aの外周縁には、上述したレンズ枠42の2つの突出板部42cを嵌合するための2つの切欠き46bが設けられている。2つの切欠き46bは、レンズ枠42の2つの突出板部42cに対向して、ベース板46aの径方向に離間した位置に設けられている。
【0043】
ベース板46aのレンズ枠42と反対側の図示上面には、複数枚(本実施形態では5枚)の放熱フィン46cが一体に立設されている。各放熱フィン46cは、光軸Oに沿って互いに略平行に延設されている。放熱フィン46cは、ベース板46aの上面から鉛直上方に延びている。
【0044】
5枚の放熱フィン46cのうち外側の2枚の放熱フィン46cは、上述した切欠き46bに対向してレンズ枠42の2つの突出板部42cが重なるボス部46dを備えている。各ボス部46dは、切欠き46bに連続して、対応する外側の2枚の放熱フィン46cの外側に一体に設けられている。各ボス部46dには、突出板部42cの挿通孔53に挿通する固定ネジ52を螺合するためのネジ穴46eが設けられている。
【0045】
放熱器46をレンズ枠42の図示上端に固定する場合、レンズ枠42の2つの突出板部42cを放熱器46のベース板46aの切欠き46bにそれぞれ嵌合し、各突出板部42cの内側にボス部46dを重ねる。このとき、放熱器46のベース板46aの下面がレンズ枠42の筒状部42aの上端に当接する。そして、2つの突出板部42cの外側から挿通孔53に固定ネジ52をそれぞれ挿通し、ボス部46dのネジ穴46eに螺合して締結する。これにより、放熱器46がレンズ枠42の一端に固定される。
【0046】
放熱器46のベース板46aの図示下面には、光源モジュール30が取り付けられている。光源モジュール30は、LED(light emitting diode)などの図示しない複数の半導体発光素子を含む発光部32(光源)を有し、発光部32を基板33の表面に設けた構造を有する。発光部32は、天井面と平行な発光面31を有し、この発光面31の中心を通る発光面31と垂直な軸が光軸Oとなる。発光部32の光軸Oは、レンズ44の光軸Oと一致する。発光部32は、光軸Oを中心とした光を出射する。
【0047】
また、放熱器46は、図示しない電源装置から引き出された図示しない給電ケーブルを接続するための図示しないコネクタを収容配置した収容部(図示せず)を有する。この収容部は、カバー47によって覆われている。カバー47は、給電ケーブルを挿通するための孔47aを有する。なお、放熱フィン46cの枚数は5枚に限定されず任意に変更可能である。
【0048】
以下、枠体20に対する灯体40の傾倒角度を制御するための構成およびその作用について、図5および図6を参照して説明する。なお、以下の説明では、枠体20と灯体40を回動可能に接続した一方の支持板60およびその周辺部材について代表して説明し、他方の構成部材に関する説明を省略する。
【0049】
上述したように、灯体40は、2枚の支持板60、60を介して枠体20に対して傾倒可能に設けられている。図5は、天井に固定した枠体20に対して灯体40を傾けた第2の位置に灯体40を配置した状態を示し、図6は、枠体20に対して灯体40を同軸にした第1の位置に灯体40を配置した状態を示す。
【0050】
図5に示すように灯体40を第2の位置に回動させると、灯体40の光軸Oが回動軸Pに対して傾斜され、発光部32から出射された光が鉛直下方に対して傾斜した方向に向かって照射される。一方、図6に示すように灯体40を第1の位置に回動させると、灯体40の光軸Oが回動軸Pと重なり、発光部32から出射された光が鉛直下方に向かって照射される。
【0051】
灯体40を支える枠体20の突出部分28は、第1の回動規制面11、第2の回動規制面12、および第3の回動規制面13を有する。第1および第2の回動規制面11、12は、突出部分28の外面側の凹所10の図示下端縁に沿って並んで設けられている。第2の回動規制面12は、枠体20の回動軸Pと直交する平らな面であり、第1の回動規制面11は、第2の回動規制面12に対して傾斜した面である。具体的には、第1の回動規制面11は、灯体40が傾倒する方向と反対側の第2の回動規制面12の端辺(図示右端辺)に連続して図示上方に傾斜した平らな面である。第3の回動規制面13は、第2の回動規制面12の図示左端辺に連続して回動軸Pと平行に図示下方に延びた平らな面である。
【0052】
一方、支持板60は、突出部分28の第1の回動規制面11に当接する第1の当接面61、第2の回動規制面12に当接する第2の当接面62、および第3の回動規制面13に当接する第3の当接面63aを有する。第3の当接面63aは、支持板60の一部を突出させた補強部分63に設けられている。第1乃至第3の当接面61、62、63aは、それぞれ、支持板60の端面であり、支持板60の表面と直交する面である。第1および第2の当接面61、62は、回動ネジ29aに対して灯体40と反対側の支持板60の端縁に設けられている。
【0053】
補強部分63は、支持板60を図5に示す姿勢に回動させた状態で、鉛直下方に向けて突出する略矩形の板片である。補強部分63の第3の当接面63aは、第2の当接面62と直交する面である。補強部分63の形状は図示のものに限定されず、任意に変更可能である。
【0054】
第1および第2の当接面61、62の間には、切欠き部64が設けられている。切欠き部64は、支持板60を回動させる際に突出部分28の第1の回動規制面11および/或いは第2の回動規制面12に支持板60が干渉しないように設けられている。仮に、切欠き部64を設けない場合、第1の当接面61と第2の当接面62が交差する架空の線は、支持板60の挿通孔65の中心を通る中心線からずれた位置に配置される。
【0055】
例えば、図5に示す第2の位置から図6に示す第1の位置に向けて灯体40を図示時計回り方向に回動させると、支持板60の第1の当接面61が回動枠24の突出部分28の第1の回動規制面11に当接し、灯体40のそれ以上の回動を規制する。支持板60の第1の当接面61の角度は、第1の当接面61を第1の回動規制面11に当接させた状態で、灯体40の光軸Oが枠体20の回動軸Pと平行になる角度に形成されている。
【0056】
一方、図6に示す第1の位置から図5に示す第2の位置に向けて灯体40を図示反時計回り方向に回動させると、支持板60の第2の当接面62が回動枠24の突出部分28の第2の回動規制面12に当接し、灯体40のそれ以上の回動を規制する。支持板60の第2の当接面62の角度は、第2の当接面62を第2の回動規制面12に当接させた状態で、灯体40の光軸Oが枠体20の回動軸Pに対して傾斜する角度に形成されている。
【0057】
言い換えると、支持板60の第1の当接面61と第2の当接面62がなす角度は、突出部分28の第1の回動規制面11と第2の回動規制面12がなす角度より、灯体40の傾倒角度分だけ小さくされている。さらに言い換えると、突出部分28の第1および第2の回動規制面11、12の角度を固定した場合、支持板60の第1の当接面61と第2の当接面62のなす角度を調整することにより、灯体40の枠体20に対する傾倒角度を任意に変更することができる。
【0058】
なお、灯体40を図5に示す第2の位置に配置すると、支持板60の図示下端近くから突出して設けた補強部分63の第3の当接面63aが突出部分28の第3の回動規制面13に当接する。灯体40を枠体20と同軸に配置した図6の状態で第1の当接面61と第1の回動規制面11との間に作用する加重に対し、灯体40を枠体20に対して傾けた図5の状態で第2の当接面62と第2の回動規制面12との間に作用する加重の方が大きくなる。このため、図5に示す第2の位置に灯体40を傾けたときに加重を受けるための補強部分63を設けた。
【0059】
また、灯体40を第2の回動位置に配置した状態で、より強い加重を支持するため、支持板60の第2の当接面62の面積を第1の当接面61の面積より大きくした。本実施形態では、支持板60を1枚の金属板により形成したため、第2の当接面62の傾倒軸Qと直交する方向の長さを第1の当接面61の傾倒軸Qと直交する方向の長さより長くした。
【0060】
以上のように、本実施形態によると、板片80を化粧枠22に取り付ける状態を変えることにより、照明装置100を固定式ダウンライトとして使用することができ、且つユニバーサルダウンライトとして使用することができる。この際、必要な構成は板片80だけであり、化粧枠22に設けるネジ孔85も1つのみである。なお、板片80は、回動枠24が化粧枠22から離間する方向に移動することを規制する移動防止部材を兼ねている。よって、本実施形態によると、簡単且つ安価な構成により灯体40の向きを固定および固定解除することができる。
【0061】
また、本実施形態によると、灯体40を枠体20に対して傾倒可能な状態(図1の状態)にしてユニバーサルダウンライトとして使用する場合に、灯体40の傾倒により枠体20との間の隙間が狭くなる側に板片80を設けるように、係合突起27を位置決め配置した。つまり、灯体40の傾倒により枠体20との間の隙間が開く側の回動枠24の端面24aに係合突起27を設けた。これにより、ユニバーサルダウンライトとして使用するときに、光軸Oが傾斜して照明光が傾く側に板片80が配置されることを防止することができ、板片80で光が反射されてグレアを生じる不具合を防止することができる。
【0062】
また、本実施形態によると、灯体40が図1の状態に傾倒したとき、照明光が枠体20との間の隙間から漏れにくくするため、灯体40と枠体20との間の隙間が開く側に遮光壁42bを設けた。一方、本実施形態では、遮光壁42bと反対側、すなわち灯体40が傾倒した状態で枠体20との間の隙間が狭くなる側に操作突起70を設けた。枠体20に対して灯体40を回動させるために作業者の指を引っ掛ける突起として、例えば回動ネジ29aの先端をレンズ枠42の突出部分28の内側に突出させる方法も考えられる。しかし、照明光の照射経路上に突起物を設けた場合、突起物に光が反射して迷光を生じてしまうことが考えられる。よって、本実施形態では、レンズ枠42を光軸O方向に延出した操作突起70を設けた。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
被取付部に固定する固定部材と;
前記固定部材に対して回動軸を中心に回動可能に設けた回動部材と;
光軸方向に光を出射する光源を有する灯体と;
前記光軸が前記回動軸と平行になる第1の位置と前記光軸が前記回動軸に対して傾斜する第2の位置との間で前記灯体を前記回動部材に対して傾倒可能に支持した支持機構と;
前記回動部材の一部に当接して前記回動部材の前記固定部材に対する回動を不可にする第1の状態、または前記回動部材の前記固定部材に対する回動を可能にする第2の状態で、前記固定部材に固定される回動制御部材と;
を有する照明装置。
[2]
前記回動制御部材は、前記固定部材に固定する固定部、および前記回動部材の前記回動軸に沿って前記固定部材と反対側の端面を押える押え部を有し、前記回動部材が前記固定部材から離れる方向へ移動することを防止する移動防止部材である、
[1]の照明装置。
[3]
前記回動制御部材は、前記第1の状態のとき、前記灯体を前記第1の位置から前記第2の位置へ傾倒させる方向と反対側で前記固定部材に固定され、前記第2の状態のとき、前記灯体を傾倒させる側で前記固定部材に固定される、
[1]または[2]の照明装置。
[4]
前記灯体は、前記灯体を前記第1の位置から前記第2の位置へ傾倒させる方向と反対側の前記回動部材に対向した端部に遮光壁を有し、前記灯体を傾倒させる側の前記端部に前記回動部材を前記固定部材に対して回動させるために指を掛ける突起を有する、
[1]の照明装置。
【符号の説明】
【0064】
10…凹所、11…第1の回動規制面、12…第2の回動規制面、20…枠体、21…固定バネ、22…化粧枠、24…回動枠、26…反射板、27…係合突起、28…突出部分、29a…回動ネジ、30…光源モジュール、31…発光面、32…発光部、40…灯体、60…支持板、61…第1の当接面、62…第2の当接面、70…操作突起、80…板片、81…係合部、82…固定部、100…照明装置、O…光軸、P…回動軸、Q…傾倒軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6