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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】画像処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/387 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
H04N1/387 200
H04N1/387 110
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018220823
(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公開番号】P2020088615
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高澤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 智之
(72)【発明者】
【氏名】▲ヌデ▼島 正起
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴之
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-066872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/38- 1/409
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像出力の対象となる出力画素と画像出力の対象とならない非出力画素を含むスキャン画像のうち少なくとも出力画素のデータが記憶されたメモリから、出力画素の画素データを取得するデータ取得部と、
前記スキャン画像に含まれる非出力画素に対して、前記スキャン画像の背景に対応した画素データを対応付ける処理を実行する処理部と、
前記データ取得部によって取得された出力画素の画素データと前記処理部による処理で得られた非出力画素の画素データで構成される画像データに対して画像処理を実行する画像処理部と、
を有する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記データ取得部によって取得された出力画素の画素データを含む画像データを対象とした処理により、前記スキャン画像の背景色を検知する背景色検知部をさらに有し、
前記処理部は、前記背景色検知部によって検知された背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付ける、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記データ取得部は、複数ラインで構成される前記スキャン画像の画像データを先頭ラインから順に取得し、
前記処理部は、前記データ取得部によって取得される前記スキャン画像の画像データが予め定められた指定ラインに達してから、前記背景色検知部によって検知された背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付ける、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理装置において、
スキャン処理を実行して前記スキャン画像の画像データを取得するスキャン処理部と、
前記スキャン処理部が取得した画像データのうち、画像出力の対象とならない非出力画素の画素データを前記メモリに記憶せずに、画像出力の対象となる出力画素の画素データを前記メモリに記憶する記憶処理部と、
をさらに有する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
画像出力の対象となる出力画素と画像出力の対象とならない非出力画素を含むスキャン画像のうち少なくとも出力画素のデータが記憶されたメモリから、出力画素の画素データを取得するデータ取得手段、
前記スキャン画像に含まれる非出力画素に対して、前記スキャン画像の背景に対応した画素データを対応付ける処理を実行する処理手段、
前記データ取得手段によって取得された出力画素の画素データと前記処理手段による処理で得られた非出力画素の画素データで構成される画像データに対して画像処理を実行する画像処理手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像処理に際し、画像データに余白データを付加するパディング処理を行い、パディング処理された画像データを、一時記憶メモリに対する格納または読み出しを行うときに、画像データにおける余白部分の余白量を減少させる処理を行う画像形成装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、画像処理を行う際のメモリアクセスを減らすようにする画像処理装置が記載されている。特許文献2の画像処理装置は、所定の画像サイズごとに分割されたタイル画像に対して画像処理を実行する画像処理手段と、メモリバスを介して接続されたメモリとを備え、画像処理を実行したタイル画像のそれぞれに対して、タイル画像内の画素が全て白であるか否かを示すフラグを設定し、そのフラグが設定されたタイル画像に対しては、画像処理を実行したタイル画像のメモリへの格納を行わないように制御している。
【0004】
特許文献3には、コントローラとエンジンの画像転送において、有効データがあるラインのみをメモリから読み出し、エンジンとの通信を行うブロックにおいて、白ラインを付加して1バンド単位で画像転送を行うことにより、メモリアクセス低減によって装置全体の処理速度を向上させるとともに消費電力を下げるインクジェット記録装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-92712号公報
【文献】特開2012-124667号公報
【文献】特開2006-103047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1から3に記載される技術が知られている一方で、例えば、原稿に示される画像を光学的に読み取るスキャン処理も従来から知られている。例えば、スキャン処理により得られたスキャン画像の画像データに対して、何らかの画像処理を施してから、スキャン画像を画像出力することが知られている。
【0007】
ところで、スキャン処理により得られるスキャン画像内には、画像出力の対象となる画素の他に、画像出力の対象とならない画素が含まれる場合がある。例えば、原稿よりも広めの領域を対象としたスキャン処理により得られるスキャン画像内には、画像出力の対象となる原稿に対応した領域の画素に加えて、画像出力の対象とならない(画像出力しなくてもよい)原稿からはみ出した領域の画素が含まれる。
【0008】
例えば、画像出力の対象となる出力画素と画像出力の対象とならない非出力画素を含むスキャン画像の画像データを記憶したメモリから、出力画素の画素データのみを読み取るようにすれば、非出力画素の画素データを読み取る場合に比べ、メモリから読み出すデータ量が少なくなる。しかし、非出力画素の画素データを単に取り除いてしまうだけでは、例えば、非出力画素を含んだスキャン画像全体に対する処理を前提とした画像処理がある場合に、その画像処理に支障をきたすことが考えられる。
【0009】
本発明の目的は、画像出力の対象とならない非出力画素の画素データをメモリから取得しなくても、非出力画素に対してスキャン画像の背景に対応した画素データを対応付けることにより、非出力画素を含むスキャン画像の画像データに対して画像処理を実行できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、画像出力の対象となる出力画素と画像出力の対象とならない非出力画素を含むスキャン画像のうち少なくとも出力画素のデータが記憶されたメモリから、出力画素の画素データを取得するデータ取得部と、前記スキャン画像に含まれる非出力画素に対して、前記スキャン画像の背景に対応した画素データを対応付ける処理を実行する処理部と、前記データ取得部によって取得された出力画素の画素データと前記処理部による処理で得られた非出力画素の画素データで構成される画像データに対して画像処理を実行する画像処理部と、を有することを特徴とする画像処理装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記データ取得部によって取得された出力画素の画素データを含む画像データを対象とした処理により、前記スキャン画像の背景色を検知する背景色検知部をさらに有し、前記処理部は、前記背景色検知部によって検知された背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付けることを特徴とする画像処理装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記データ取得部は、複数ラインで構成される前記スキャン画像の画像データを先頭ラインから順に取得し、前記処理部は、前記データ取得部によって取得される前記スキャン画像の画像データが予め定められた指定ラインに達してから、前記背景色検知部によって検知された背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付けることを特徴とする画像処理装置である。
【0013】
参考例の構成は、請求項2または3に記載の画像処理装置において、前記背景色検知部は、複数ラインで構成される前記スキャン画像の予め定められた指定ラインまでの出力画素の画素データを対象とした処理により、前記スキャン画像の背景色を検知することを特徴とする画像処理装置である。
【0014】
請求項に係る発明は、請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理装置において、スキャン処理を実行して前記スキャン画像の画像データを取得するスキャン処理部と、前記スキャン処理部が取得した画像データのうち、画像出力の対象とならない非出力画素の画素データを前記メモリに記憶せずに、画像出力の対象となる出力画素の画素データを前記メモリに記憶する記憶処理部と、をさらに有することを特徴とする画像処理装置である。
【0015】
請求項に係る発明は、コンピュータを、画像出力の対象となる出力画素と画像出力の対象とならない非出力画素を含むスキャン画像のうち少なくとも出力画素のデータが記憶されたメモリから、出力画素の画素データを取得するデータ取得手段、前記スキャン画像に含まれる非出力画素に対して、前記スキャン画像の背景に対応した画素データを対応付ける処理を実行する処理手段、前記データ取得手段によって取得された出力画素の画素データと前記処理手段による処理で得られた非出力画素の画素データで構成される画像データに対して画像処理を実行する画像処理手段として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明により、画像出力の対象とならない非出力画素の画素データをメモリから取得しなくても、非出力画素に対してスキャン画像の背景に対応した画素データを対応付けることにより、非出力画素を含むスキャン画像の画像データに対して画像処理を実行できるようになる。
【0017】
請求項2に係る発明により、出力画素の画素データを含む画像データから検知される背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付けることができる。
【0018】
請求項3に係る発明により、指定ラインに達する前に検知された背景色を利用する場合よりも、検知の精度が良好な背景色を非出力画素に対応付けることができる。
【0019】
参考例により、指定ラインまでの出力画素の画素データよりも少ない出力画素の画素データを対象とした処理に比べて、背景色の検知の精度が高められる。
【0020】
請求項に係る発明により、画像出力の対象とならない非出力画素の画素データをメモリに記憶することなく、非出力画素を含むスキャン画像の画像データに対して画像処理を実行できるようになる。
【0021】
請求項に係る発明により、画像出力の対象とならない非出力画素の画素データをメモリから取得しなくても、非出力画素に対してスキャン画像の背景に対応した画素データを対応付けることにより、非出力画素を含むスキャン画像の画像データに対して画像処理を実行できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】画像処理装置の具体例を示す図である。
図2】スキャン画像の具体例を示す図である。
図3図1の画像処理装置が実行する処理の具体例を示す図である。
図4】背景色の検知に係る具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の具体的な実施態様の一例を示す図である。図1には、画像処理装置の具体例が図示されている。図1に例示する画像処理装置は、第1プロセッサと第2プロセッサと後段プロセッサを備えている。図1に示す具体例において、第1プロセッサと第2プロセッサと後段プロセッサは、例えば同一の集積回路内に形成されてもよい。さらに、図1に例示する画像処理装置は、スキャン処理部40と記憶処理部50とメモリ60と印刷処理部70を備えている。
【0024】
図1に示す具体例では、スキャン処理部40により得られたスキャン画像の画像データがメモリ60に記憶され、メモリ60から得られる画像データに対して、第1プロセッサと第2プロセッサと後段プロセッサにより各種の画像処理が施され、画像処理後の画像データに対応した画像が印刷処理部70により印刷出力される。
【0025】
スキャン処理部40は、スキャン処理を実行することによりスキャン画像の画像データを取得する。スキャン処理部40は、例えば、用紙などの原稿に示される画像(文字や記号のみの画像を含む)を光学的に読み取り、その画像の画像データを取得する。
【0026】
図2は、スキャン画像の具体例を示す図である。図2には、スキャン処理部40(図1)のスキャン処理により得られるスキャン画像の具体例が図示されている。スキャン画像は多数の画素で構成される。スキャン処理により得られるスキャン画像内には、画像出力の対象となる出力画素の他に、画像出力の対象とならない非出力画素が含まれる場合がある。
【0027】
図2には、画像出力の対象となる出力画素と画像出力の対象とならない非出力画素を含むスキャン画像の具体例が図示されている。例えば、原稿よりも広めの領域を対象としたスキャン処理により得られるスキャン画像内には、画像出力の対象となる原稿に対応した領域の画素に加え、画像出力の対象とならない(画像出力しなくてもよい)原稿からはみ出した領域の画素が含まれる。
【0028】
図2に示す具体例では、例えば、出力画像幅(Ppix)が画像出力の対象となる原稿の幅に対応しており、スキャン画像幅(Spix)が原稿よりも広めの領域を対象としたスキャン処理により得られるスキャン画像全体の幅に対応している。
【0029】
例えば、原稿のサイズが国際規格(ISO)で定められたA3であれば、A3に対応した出力画像幅(Ppix)よりも広めのスキャン画像幅(Spix)のスキャン画像が得られるようにスキャン処理部40によるスキャン処理の範囲(幅)が制御される。また、原稿のサイズが国際規格(ISO)で定められたA4であれば、A4に対応した出力画像幅(Ppix)よりも広めのスキャン画像幅(Spix)のスキャン画像が得られるように、スキャン処理部40によるスキャン処理の範囲(幅)が制御される。
【0030】
原稿のサイズは、図1の画像処理装置を利用するユーザがタッチパネルなどの操作デバイスを利用して図1の画像処理装置に入力(設定)してもよいし、例えばスキャン処理部40が原稿のサイズを検知するようにしてもよい。
【0031】
図1の画像処理装置は、例えば図2に例示するように、画像出力の対象となる出力画素と画像出力の対象とならない非出力画素を含むスキャン画像を処理する。
【0032】
図1に戻り、スキャン処理部40により取得されたスキャン画像の画像データ(スキャン画像データ)はメモリ60に記憶される。メモリ60は、スキャン画像データなどを記憶する記憶デバイスである。メモリ60には、スキャン画像データの他にも、後に説明する第1画像データと第2画像データも記憶される。メモリ60として、例えば半導体メモリ等の記憶デバイスが利用されてもよい。
【0033】
メモリ60には、スキャン画像データとして、例えばスキャン画像幅(図2のSpix)の画像データが記憶される。また、メモリ60には、スキャン画像データとして、例えば出力画像幅(図2のPpix)の画像データが記憶されてもよい。
【0034】
例えば、記憶処理部50が、スキャン処理部40により取得された画像データのうち、画像出力の対象とならない非出力画素の画素データをメモリ60に記憶せずに、画像出力の対象となる出力画素の画素データをメモリ60に記憶するようにしてもよい。例えば、記憶処理部50が、スキャン処理部40により取得されたスキャン画像データに含まれる非出力画素の画素データを除去(カット)し、スキャン画像の画像データとして、出力画像幅(Ppix)の画像データをメモリ60に記憶するようにしてもよい。
【0035】
第1プロセッサは、データ取得部10とパディング処理部12と画像処理部14と背景色検知部16とフィルタ処理部17とデータ出力部18の機能を実現する。
【0036】
データ取得部10は、画像出力の対象となる出力画素と画像出力の対象とならない非出力画素を含むスキャン画像に関する出力画素の画素データをメモリ60から取得する。データ取得部10は、例えば、出力画像幅(Ppix)内にある出力画素の画素データをメモリ60から読み出して取得する。
【0037】
パディング処理部12は、スキャン画像に含まれる非出力画素に対して、スキャン画像の背景に対応した画素データを対応付ける処理を実行する。パディング処理部12は、例えば、スキャン画像幅(Spix)内にあり且つ出力画像幅(Ppix)よりも外側にある非出力画素に対して、スキャン画像の背景に対応した画素データを対応付けるパディング処理を実行する。
【0038】
例えば、データ取得部10によって取得された出力画素の画素データに、パディング処理部12による処理で得られた非出力画素の画素データが付加されることにより、スキャン画像幅(Spix)に対応した画像データが得られる。
【0039】
画像処理部14は、データ取得部10によって取得された出力画素の画素データとパディング処理部12による処理で得られた非出力画素の画素データで構成される画像データに対して画像処理を実行する。画像処理部14は、例えば、データ取得部10とパディング処理部12の処理により得られるスキャン画像幅(Spix)の画像データを処理対象とした画像処理を実行する。図1に例示する具体例では、画像処理部14により、画像処理Aと画像処理Bと画像処理Cが実行される。
【0040】
背景色検知部16は、データ取得部10によって取得された出力画素の画素データを含む画像データを対象とした処理により、スキャン画像の背景色を検知する。パディング処理部12によるパディング処理では、非出力画素に対して、例えば背景色検知部16によって検知された背景色に対応した画素データが対応付けられる。
【0041】
フィルタ処理部17は、画像処理部14による画像処理後の画像データに対してフィルタ処理を実行する。こうして、図1に示す具体例では、画像処理部14により画像処理Aと画像処理Bと画像処理Cが実行され、フィルタ処理部17によりフィルタ処理された画像データが、データ出力部18から出力されて第1画像データとしてメモリ60に記憶される。つまり、スキャン画像幅(Spix)に対応した第1画像データがメモリ60に記憶される。
【0042】
第2プロセッサは、データ取得部20と画像処理部24とデータ出力部28の機能を実現する。データ取得部20は、第1画像データの画素データをメモリ60から取得する。データ取得部20は、例えば、第1画像データを構成する複数の画素データの中から、出力画像幅(Ppix)内にある出力画素に対応した画素データをメモリ60から読み出して取得する。
【0043】
画像処理部24は、データ取得部20によって取得された出力画素に対応した画素データで構成される画像データに対して画像処理を実行する。画像処理部24は、例えば、データ取得部10により取得された出力画像幅(Ppix)の画像データを処理対象とした画像処理を実行する。図1に例示する具体例では、画像処理部24により、画像処理Dと画像処理Eと画像処理Fが実行される。
【0044】
こうして、図1に示す具体例では、画像処理部24により画像処理Dと画像処理Eと画像処理Fが施された画像データが、データ出力部28から出力されて第2画像データとしてメモリ60に記憶される。つまり、出力画像幅(Ppix)の第2画像データがメモリ60に記憶される。
【0045】
後段プロセッサは、後段画像処理部32と印刷画像処理部34の機能を実現する。後段画像処理部32は、第2画像データの画素データをメモリ60から取得し、第2画像データに対して、例えば印刷に必要な画像処理(画像処理AからFの後に実行される後段画像処理)を実行する。また、印刷画像処理部34は、後段画像処理部32による画像処理後の画像データから印刷用の画像データを形成する。
【0046】
こうして、図1に示す具体例では、印刷画像処理部34により形成される印刷用の画像データが後段プロセッサから出力される。つまり、出力画像幅(Ppix)に対応した印刷用の画像データが印刷処理部70に提供される。
【0047】
印刷処理部70は、後段プロセッサから得られる印刷用の画像データに対応した画像を用紙などの媒体上に印刷する。印刷用の画像データが出力画素で構成される出力画像幅(Ppix)の画像に対応しているため、例えば、非出力画素を含まない画像が用紙などの媒体上に印刷されて、印刷処理部70から出力される。
【0048】
図1に例示する画像処理装置は、例えば1台以上のコンピュータを利用して実現されてもよい。そのコンピュータは、CPU等の演算デバイス、メモリやハードディスク等の記憶デバイス、インターネット等の通信回線を利用する通信デバイス、光ディスクや半導体メモリやカードメモリ等の記憶媒体からデータを読み取りデータを書き込むデバイス、ディスプレイ等の表示デバイス、ユーザから操作を受け付ける操作デバイス等のハードウェア資源を備えている。
【0049】
そして、例えば、図1に例示する画像処理装置が備える符号を付した複数部分のうちの少なくとも一部の機能に対応したプログラム(ソフトウェア)がコンピュータに読み込まれ、そのコンピュータが備えるハードウェア資源と読み込まれたソフトウェアとの協働により、図1に例示する画像処理装置の少なくとも一部の機能がコンピュータにより実現されてもよい。そのプログラムは、例えば、インターネット等の通信回線を介してコンピュータ(図1の画像処理装置)に提供されてもよいし、光ディスクや半導体メモリやカードメモリ等の記憶媒体に記憶されてコンピュータ(図1の画像処理装置)に提供されてもよい。
【0050】
また、図1に例示する画像処理装置は、複数の画像出力機能(印刷機能とスキャナ機能とコピー機能とファクシミリ機能などのうちの少なくともいくつかの機能)を備えた複合型の装置であってもよい。例えば、図1の画像処理装置が複合型の装置であれば、企業や学校などに設置されてその企業や学校の顧客に利用されてもよいし、コンビニエンスストアなどの店舗に設置されて不特定多数の顧客に利用されてもよい。
【0051】
図1に例示する画像処理装置の全体構成は以上のとおりである。次に、図1の画像処理装置により実現される処理等の具体例について詳述する。なお、図1に示した構成(部分)については、以下の説明において図1の符号を利用する。
【0052】
図3は、図1の画像処理装置が実行する処理の具体例を示す図である。図3に例示する具体例では、まず、スキャン処理部40により得られたスキャン画像の画像データがメモリ60に記憶される(S301)。例えばスキャン画像幅(Spix)の画像データがスキャン画像データとしてメモリ60に記憶される。なお、記憶処理部50が非出力画素の画素データを除去(カット)することにより、スキャン画像の画像データとして、出力画像幅(Ppix)の画像データがメモリ60に記憶されてもよい。
【0053】
次に、スキャン画像を構成する各画素が、画像出力の対象となる出力画素か否かが確認される(S302)。例えば、第1プロセッサが実現する判定の機能により、各画素が画像出力の対象となる出力画素か否かが確認される。そして、各画素が出力画素であれば、データ取得部10がその出力画素の画素データをメモリ60から読み出して取得する(S303)。一方、各画素が出力画素でなければ、つまり、各画素が非出力画素であれば、パディング処理部12がその非出力画素に対して、スキャン画像の背景に対応した画素データを対応付けるパディング処理を実行する(S304)。
【0054】
続いて、画像処理部14により画像処理Aと画像処理Bと画像処理Cが実行される(S305)。画像処理部14は、例えば、データ取得部10とパディング処理部12の処理により得られるスキャン画像幅(Spix)の画像データを処理対象とした画像処理を実行する。
【0055】
そして、背景色検知部16により背景色が検知される(S306)。背景色検知部16は、例えば、データ取得部10によってメモリ60から取得された出力画素の画素データを対象とした処理によりスキャン画像の背景色を検知する。また、背景色検知部16は、例えば、メモリ60から取得された出力画素の画素データに加えて、パディング処理により画素データを対応付けられた非出力画素を対象とした処理により、スキャン画像の背景色を検知するようにしてもよい。
【0056】
なお、図3に例示するS302からS307までの処理は、例えば、複数ラインで構成されるスキャン画像のラインごとに繰り返し実行される。そして、例えば、現ラインを対象とした処理において背景色検知部16によって検知された背景色に対応した画素データが、現ラインの次のラインを対象としたパディング処理において、非出力画素に対応付けられる。
【0057】
背景色検知部16により背景色が検知されると、フィルタ処理部17によりフィルタ処理が実行される(S307)。フィルタ処理部17は、画像処理部14による画像処理後の画像データに対してフィルタ処理を実行する。そして、画像処理AからCが実行されてフィルタ処理された画像データが、第1画像データとしてメモリ60に記憶される。つまり、スキャン画像幅(Spix)に対応した第1画像データがメモリ60に記憶される。
【0058】
さらに、第1画像データを構成する各画素が、画像出力の対象となる出力画素か否かが確認される(S308)。例えば、第2プロセッサが実現する判定の機能により、各画素が画像出力の対象となる出力画素か否かが確認される。そして、各画素が出力画素であればデータ取得部20がその出力画素の画素データをメモリ60から読み出して取得する(S309)。一方、各画素が出力画素でなければ、つまり各画素が非出力画素であれば、画素データが無いとみなされて(S310)、S311以降の処理が実行される。
【0059】
S311では、画像処理部24により画像処理Dと画像処理Eと画像処理Fが実行される(S311)。画像処理部24は、例えば、データ取得部20がメモリ60から取得した出力画像幅(Ppix)の第1画像データを処理対象とした画像処理を実行する。
【0060】
そして、後段プロセッサによる処理を経て、印刷処理部70により印刷用の画像データに対応した画像が用紙などの媒体上に印刷されて出力される(S312)。
【0061】
図3に示す具体例では、S303の処理において、非出力画素の画素データをメモリから取得しなくてもよい。そのため、図3に示す具体例によれば、非出力画素の画素データをメモリから取得する場合に比べて、メモリ60から読み出すデータ量が削減される。例えば、メモリ60から読み出すデータ量の削減により、メモリ60からの画像データの読み出しの帯域が削減されると、スキャン処理を伴う画像出力機能(例えばコピー機能など)の性能の向上(出力速度の向上など)が期待される。
【0062】
また、S301の処理において、出力画像幅(Ppix)の画像データのみをメモリ60に記憶するようにすれば、スキャン画像幅(Spix)の画像データをメモリ60に記憶する場合に比べて、メモリ60に書き込むデータ量も削減される。
【0063】
さらに、図3に示す具体例では、S304の処理において、非出力画素に対してスキャン画像の背景に対応した画素データを対応付けている。そのため、例えば画像処理部14による画像処理AからCとフィルタ処理部17によるフィルタ処理の中に、周囲画素(非出力画素)が影響するデータ処理が含まれていても、そのデータ処理への悪影響が軽減される。例えば、出力画像幅(Ppix)の外側にある非出力画素の影響を受けるデータ処理が含まれていても、スキャン画像の背景が出力画像幅(Ppix)の外側まで広がっているとみなしたデータ処理が実現される。
【0064】
図4は、背景色の検知に係る具体例を説明するための図である。図4には、スキャン処理部40のスキャン処理により得られるスキャン画像の具体例として、白色の背景上に青色の三角形が描かれたスキャン画像が例示されている。図4に示す具体例のスキャン画像は、先頭ラインから最終ラインまでの複数ラインで構成される。
【0065】
背景色検知部16は、各ラインを構成する複数画素に基づいてラインごとに背景色を検知する。背景色検知部16は、例えば、各ラインの出力画像幅(Ppix)内にある出力画素の画素データを対象とした処理により、スキャン画像の背景色を検知する。なお、ラインごとに実行される背景色の検知には、例えば公知の処理が利用されてもよい。
【0066】
図4に示す具体例において、背景色検知部16は、例えば、先頭ラインから順に最終ラインまでラインごとに背景色を検知する。ところが、図4に例示するスキャン画像では、先頭ラインの出力画像幅(Ppix)内にある出力画素が全て青色であるため、先頭ラインの出力画素のみを利用してスキャン画像の背景色を検知しようとすると、本来の背景色である白色を検知することができず、例えば、背景色が青色であると検出されてしまう場合がある。
【0067】
図4に示す具体例では、先頭ラインからラインの位置が離れるに従って背景色である白色の割合が増えるものの、先頭ラインの近くでは青色が支配的であり、本来の背景色である白色を検知することが難しい。そこで、例えば、スキャン画像の画像データが予め定められた指定ラインに達してから、背景色検知部16によって検知された背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付けるようにしてもよい。
【0068】
図4には、指定ラインの位置が例示されている。例えば、図4に示す具体例において、先頭ラインの近くにある青色が支配的なラインでは、本来の背景色である白色を検知することが難しい。これに対し、図4に例示される指定ラインの位置では、先頭ラインの近くに比べて、出力画像幅(Ppix)内における白色の割合が多くなるため、本来の背景色である白色を検知しやすくなり、背景色が誤って検出される可能性が軽減される。
【0069】
そこで、パディング処理部12は、データ取得部10によって取得されるスキャン画像の画像データが予め定められた指定ラインに達してから、背景色検知部16によって検知された背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付けるようにしてもよい。
【0070】
なお、指令ラインの位置は、スキャン画像のサイズや画像内容などに応じて決定されてもよいし、画像処理装置(図1)のユーザや管理者によって調整(設定)されてもよい。
【0071】
また、スキャン画像の画像データが指定ラインに達するまでは、例えば、予め指定された背景色(例えば白色など)が利用されてもよい。例えば、パディング処理部12は、データ取得部10によって取得されるスキャン画像の画像データが指定ラインに達するまでは、予め指定された背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付けるパディング処理を実行し、指定ラインに達してから、背景色検知部16によって検知された背景色に対応した画素データを非出力画素に対応付けるようにしてもよい。
【0072】
また、スキャン画像の画像データが予め定められた指定ラインに達するまでは、データ取得部10がスキャン画像幅(Spix)内にある非出力画素を含む全画素の画素データをメモリ60から取得するようにしてもよい。そして、スキャン画像の画像データが予め定められた指定ラインに達するまでは、パディング処理部12によるパディング処理が省略されてもよい。
【0073】
また、背景色検知部16は、複数ラインで構成されるスキャン画像の予め定められた指定ラインまでの出力画素の画素データを対象とした処理により、スキャン画像の背景色を検知するようにしてもよい。背景色検知部16は、例えば、先頭ラインから指定ラインまでの複数ラインに含まれる出力画素の画素データから、スキャン画像の背景色を検知するようにしてもよい。これにより、例えば、指定ラインまでの出力画素の画素データよりも少ない出力画素の画素データを対象とした処理に比べ、統計的に見て、背景色の検知の精度が高められる。
【0074】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0075】
10 データ取得部、12 パディング処理部、14 画像処理部、16 背景色検知部、17 フィルタ処理部、18 データ出力部、20 データ取得部、24 画像処理部、28 データ出力部、32 後段画像処理部、34 印刷画像処理部、40 スキャン処理部、50 記憶処理部、60 メモリ、70 印刷処理部。
図1
図2
図3
図4