(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】付着物検出装置、および付着物検出方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20221004BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221004BHJP
G06T 7/136 20170101ALI20221004BHJP
【FI】
H04N5/232 290
G08G1/16 C
G06T7/136
(21)【出願番号】P 2018247679
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】池田 修久
(72)【発明者】
【氏名】朝山 信徳
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴
(72)【発明者】
【氏名】谷 泰司
(72)【発明者】
【氏名】山本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】沖 朋和
(72)【発明者】
【氏名】上林 輝彦
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071994(JP,A)
【文献】特開2018-191087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G08G 1/16
G06T 7/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置によって撮像された撮像画像に複数の分割領域を設定する領域設定部と、
対応する分割領域における過去の輝度の代表値と現在の輝度の代表値との第1差分、および対応する分割領域における過去の輝度のばらつき量と現在の輝度のばらつき量との第2差分を算出する算出部と、
前記第1差分、および前記第2差分に基づいて前記分割領域における付着物の付着状態を示すカウンタ値の変更値を設定する変更値設定部と、
前記変更値に基づいて前記カウンタ値を更新する更新部と、
前記カウンタ値に基づいて前記分割領域における付着物の付着状態を検出する検出部と
を備えることを特徴とする付着物検出装置。
【請求項2】
前記算出部は、
前記代表値として前記輝度の平均値を算出し、
前記ばらつき量として、前記輝度の標準偏差を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の付着物検出装置。
【請求項3】
前記変更値設定部は、
前記第1差分が第1所定差分よりも大きく、かつ前記第2差分が第2所定差分よりも大きい場合には、前記変更値を第1変更値とし、
前記第1差分が前記第1所定差分よりも大きく、かつ前記第2差分が前記第2所定差分以下である場合には、前記変更値を前記第1変更値よりも小さい第2変更値とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の付着物検出装置。
【請求項4】
前記検出部は、
前記カウンタ値が所定カウンタ値以上の場合に、前記分割領域を前記付着物が付着した付着領域として検出し、
前記変更値設定部は、
前記第1差分が第1所定差分以下であり、かつ前記第2差分が第2所定差分以下である場合には、前記変更値を第1加算値とし、
前記第1差分が前記第1所定差分よりも大きく、かつ前記第2差分が前記第2所定差分よりも大きい場合には、前記変更値を第1減算値とし、
前記第1差分が前記第1所定差分よりも大きく、かつ前記第2差分が前記第2所定差分以下である場合に前記変更値を前記第1減算値よりも小さい第2減算値とする
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の付着物検出装置。
【請求項5】
撮像装置によって撮像された撮像画像に複数の分割領域を設定する領域設定工程と、
対応する分割領域における過去の輝度の代表値と現在の輝度の代表値との第1差分、および対応する分割領域における過去の輝度のばらつき量と現在の輝度のばらつき量との第2差分を算出する算出工程と、
前記第1差分、および前記第2差分に基づいて前記分割領域における付着物の付着状態を示すカウンタ値の変更値を設定する変更値設定工程と、
前記変更値に基づいて前記カウンタ値を更新する更新工程と、
前記カウンタ値に基づいて前記分割領域における付着物の付着状態を検出する検出工程と
を含むことを特徴とする付着物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着物検出装置、および付着物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像画像の分割領域の輝度値の時系列変化に基づいてレンズに付着した付着物を検出する付着物検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、撮像装置でゲイン補正が行われた場合には、付着物が付着している場合であっても、分割領域の輝度値が変化する。そのため、従来技術では、付着物の有無を正確に判定することができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、付着物の有無を正確に判定する付着物検出装置、および付着物検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る付着物検出装置は、領域設定部と、算出部と、変更値設定部と、更新部と、検出部とを備える。領域設定部は、撮像装置によって撮像された撮像画像に複数の分割領域を設定する。算出部は、対応する分割領域における過去の輝度の代表値と現在の輝度の代表値との第1差分、および対応する分割領域における過去の輝度のばらつき量と現在の輝度のばらつき量との第2差分を算出する。変更値設定部は、第1差分、および第2差分に基づいて分割領域における付着物の付着状態を示すカウンタ値の変更値を設定する。更新部は、変更値に基づいてカウンタ値を更新する。検出部は、カウンタ値に基づいて分割領域における付着物の付着状態を検出する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、付着物の有無を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、付着物検出方法の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、付着物検出装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、カウンタ値の変更値を示す図である。
【
図4】
図4は、付着物検出処理を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、付着領域判定処理を説明するフローチャートである。
【
図6B】
図6Bは、
図6Aの撮像画像に対し、付着物が拭き取られた場合の撮像画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る付着物検出装置、および付着物検出方法について詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1を用いて実施形態に係る付着物検出方法の概要について説明する。
図1は、付着物検出方法の概要を示す図である。実施形態に係る付着物検出方法は、付着物検出装置1によって実行される。
【0011】
付着物検出装置1は、例えば、車両Cに搭載され、車両Cの周囲を撮像する車載カメラ10(撮像装置)への付着物、具体的には、車載カメラ10のレンズへの付着物の付着を検出する。
【0012】
車載カメラ10は、車両Cの周囲を撮像する。車載カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備える。車載カメラ10には、例えば、車両Cの前方を撮像するフロントカメラ10a、車両Cの後方を撮像するリアカメラ10b、車両Cの左側方を撮影するレフトカメラ10c、車両Cの右側方を撮像するライトカメラ10dが含まれる。
【0013】
車載カメラ10のレンズに、泥や、埃など遮光性を有する付着物Mが付着すると、車載カメラ10によって得られた撮像画像Iから車両Cの周囲の情報、例えば、駐車枠LCや、他車両や、人の情報を取得できず、駐車枠LCや、他車両や、人などを正確に検出することができなくなるおそれがある。
図1では、撮像画像Iとして、駐車枠LCが写り、レンズに付着物Mとして泥が付着した画像を示す。なお、付着物Mは、雨滴や、雪片などを含んでもよい。
【0014】
そのため、実施形態に係る付着物検出装置1は、車載カメラ10のレンズへの付着物の有無を正確に検出することを目的とする。
【0015】
付着物検出装置1は、車載カメラ10によって撮像された撮像画像Iを取得する(S10)。
【0016】
付着物検出装置1は、付着物Mの付着を検知する対象領域R0に複数の分割領域R1を設定する(S11)。対象領域R0は、撮像画像Iに対して予め設定された領域であり、レンズに付着物Mが付着した場合に、撮像画像Iを用いた処理、例えば、駐車枠LCの検出処理や、自動駐車処理などを正確に実行することができなくなる領域である。対象領域R0は、例えば矩形領域である。
【0017】
分割領域R1は、対象領域R0を縦方向、および横方向に分割することで形成される領域である。分割領域R1には、複数の画素が含まれる。例えば、分割領域R1は、40×40の画素を含む矩形領域である。
【0018】
なお、
図1の撮像画像Iには、一例として、対象領域R0を縦方向に5つ、および横方向に8つに分割した40個の分割領域R1を示すが、これに限られることはない。
【0019】
付着物検出装置1は、第1差分、および第2差分を算出する(S12)。
【0020】
第1差分は、現在の撮像画像I(以下、「現在フレームI1」と称する場合がある。)の分割領域R1における輝度の代表値と、現在フレームI1の1つ前の処理で取得された撮像画像I(以下、「過去フレームI0」と称する。)の分割領域R1における輝度の代表値との差分である。代表値とは、具体的には平均値である。なお、第1差分は、絶対値である。
【0021】
なお、第1差分、および第2差分を算出する際に用いられる、現在フレームI1における分割領域R1、および過去フレームI0における分割領域R1は、対象領域R0に対して同じ位置となる分割領域R1である。以下では、このような分割領域R1を「同一分割領域R1」と称する。
【0022】
第2差分は、同一分割領域R1における輝度のばらつき量の差分である。ばらつき量とは、具体的には標準偏差である。なお、第2差分は、絶対値である。
【0023】
付着物検出装置1、第1差分、および第2差分に基づいて分割領域R1における付着物の付着状態の継続性を示すカウンタ値の変更値を設定する(S13)。
【0024】
具体的には、付着物検出装置1は、第1差分が第1所定差分以下であり、かつ第2差分が第2所定差分以下である場合には、カウンタ値の変更値を第1加算値に設定する。
【0025】
第1所定差分は、付着物Mが付着している場合の輝度の代表値の上限差分であり、予め実験などにより設定された差分である。第1所定差分は、例えば、「5」である。
【0026】
第2所定差分は、付着物Mが付着している場合の輝度のばらつき量の上限差分であり、予め実験などにより設定された差分である。第2所定差分は、例えば、「1」である。
【0027】
第1加算値は、予め設定された値であり、例えば、「+1」である。
【0028】
また、付着物検出装置1は、第1差分が第1所定差分よりも大きく、かつ第2差分が第2所定差分よりも大きい場合には、カウンタ値の変更値を第1減算値(第1変更値)に設定する。第1減算値は、予め設定された値であり、例えば、「-5」である。
【0029】
また、付着物検出装置1は、第1差分が第1所定差分よりも大きく、かつ第2差分が第2所定差分以下である場合には、カウンタ値の変更値を第2減算値(第2変更値)に設定する。第2減算値は、予め設定された値であり、第1減算値よりも小さい値であり、例えば、「-1」である。なお、減算値が小さいとは、減算値の絶対値が小さいことを示す。
【0030】
付着物検出装置1は、変更値に基づいてカウンタ値を更新し(S14)、カウンタ値に基づいて分割領域R1における付着物Mの付着状態を検出する(S15)。
【0031】
具体的には、付着物検出装置1は、カウンタ値が所定カウンタ値以上の場合には、分割領域R1を付着物Mが付着した付着領域として検出する。また、付着物検出装置1は、カウンタ値が所定カウンタ値よりも小さい場合には、分割領域R1を付着物Mが付着していない未着領域として検出する。所定カウンタ値は、予め設定された値である。
【0032】
付着物検出装置1は、第1差分、および第2差分に基づいてカウンタ値の変更値を設定してカウンタ値を更新し、更新したカウンタ値に基づいて分割領域R1における付着物Mの付着状態を検出する。これにより、付着物検出装置1は、付着物Mが付着した分割領域R1を正確に判定し、付着領域を正確に検出することができる。すなわち、付着物検出装置1は、車載カメラ10のレンズへの付着物Mの付着を正確に検出することができる。
【0033】
次に、付着物検出装置1について
図2を参照し、説明する。
図2は、付着物検出装置1の構成を示すブロック図である。
【0034】
付着物検出装置1は、車載カメラ10と、車速センサ40と、各種機器50とに接続される。なお、
図3では、付着物検出装置1は、車載カメラ10と、各種機器50とは別体で構成される場合を示したが、これに限らず、車載カメラ10、および各種機器50の少なくとも一方と一体で構成されてもよい。
【0035】
各種機器50は、付着物検出装置1の検出結果を取得して、車両Cの各種制御を行う機器である。各種機器50は、例えば、車載カメラ10のレンズに付着物Mが付着していることや、ユーザによる付着物Mの拭き取り指示を通知する表示装置や、流体や気体等をレンズに向かって噴射して付着物Mを除去する除去装置、自動運転等を制御する車両制御装置を含む。
【0036】
付着物検出装置1は、制御部2と、記憶部3とを備える。制御部2は、取得部20と、領域設定部21と、選択部22と、算出部23と、変更値設定部24と、更新部25と、判定部26と、検出部27とを備える。
【0037】
付着物検出装置1は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、データフラッシュ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0038】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部2の取得部20、領域設定部21、選択部22、算出部23、変更値設定部24、更新部25、判定部26、および検出部27として機能する。
【0039】
また、制御部2の取得部20、領域設定部21、選択部22、算出部23、変更値設定部24、更新部25、判定部26、および検出部27の少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。また、取得部20、領域設定部21、選択部22、算出部23、変更値設定部24、更新部25、判定部26、および検出部27は、統合されてもよく、複数に分けられてもよい。
【0040】
取得部20は、車速センサ40からの信号に基づいて車速を取得する。また、取得部20は、車載カメラ10で撮像された画像を取得し、現在の撮像画像Iである現在フレームI1を生成する。具体的には、取得部20は、取得した画像における各画素を輝度に応じて白から黒までの各階調に変換するグレースケール化処理を行う。また、取得部20は、取得した画像に画素の間引き処理を行い、取得した画像よりもサイズが小さい画像を生成する。
【0041】
また、取得部20は、間引き処理を施した画像に基づいて、各画素における画素値の和および二乗和の積分画像である現在フレームI1を生成する。なお、画素値とは、画素の輝度やエッジに対応する情報である。このように、付着物検出装置1は、取得した画像に対して間引き処理を行い、積分画像を生成することで、後段における処理の計算を高速化できるため、付着物Mを検出するための処理時間を短くすることができる。
【0042】
なお、取得部20は、各画素について、平均化フィルタなどの平滑化フィルタを用いて平滑化処理を行ってもよい。また、取得部20は、間引き処理を行わず、取得した画像と同じサイズの現在フレームI1を生成(取得)してもよい。
【0043】
領域設定部21は、現在フレームI1に対して対象領域R0、および分割領域R1を設定する。領域設定部21は、各撮像画像Iに対して、対象領域R0、および分割領域R1を予め設定された位置に設定する。
【0044】
選択部22は、分割領域R1を選択する。具体的には、選択部22は、現在フレームI1の分割領域R1の中から、カウンタ値の更新を行っていない分割領域R1を選択する。
【0045】
算出部23は、現在フレームI1の対象領域R0に含まれる各画素の輝度を検出し、現在フレームI1の対象領域R0における輝度の代表値、および輝度のばらつき量を算出する。また、算出部23は、現在フレームI1の各分割領域R1における輝度の代表値、および輝度のばらつき量を算出する。代表値とは、対象とする領域における輝度の分布における代表的な輝度を示す値であり、具体的には平均値を用いる。平均値の他に、刈込平均、中央値、最頻値などを用いてもよい。ばらつき量とは、対象とする領域における輝度の分布の広がりを表す値であり、具体的には標準偏差を用いる。標準偏差の他に、分散、最大最小幅、四分位幅、任意のパーセンタイル幅を用いてもよい。以降は、代表値として平均値を、ばらつき量として標準偏差を用いる場合について例として説明する。
【0046】
また、算出部23は、同一分割領域R1における輝度の平均値の差分である第1差分を算出する。また、算出部23は、同一分割領域R1における輝度の標準偏差の差分である第2差分を算出する。
【0047】
また、算出部23は、対象領域R0に対する付着領域の割合である占有率を算出する。占有率は、付着物Mが付着した分割領域R1である付着領域の面積を合算した値を対象領域R0の面積で除算することで算出される。なお、占有率は、付着領域の数を対象領域R0に含まれる分割領域R1の数で除算することで算出されてもよい。占有率は、例えば、百分率で表される。
【0048】
なお、算出部23は、自車両Cが写る撮像画像I、例えば、レフトカメラ10cや、ライトカメラ10d(
図1参照)によって撮像された撮像画像Iでは、自車両Cが写る分割領域R1を除外して占有率を算出する。自車両Cが写る分割領域R1は、予め設定される。
【0049】
変更値設定部24は、第1差分、および第2差分に基づいて分割領域R1のカウンタ値の変更値を設定する。変更値設定部24は、
図3に示すように、第1差分、および第2差分に基づいてカウンタ値の変更値を設定する。
図3は、カウンタ値の変更値を示す図である。
【0050】
具体的には、変更値設定部24は、第1差分が第1所定差分以下であり、かつ第2差分が第2所定差分以下である場合には、変更値を第1加算値(例えば、「+1」)に設定する。変更値設定部24は、第1差分が第1所定差分よりも大きく、かつ第2差分が第2所定差分よりも大きい場合には、変更値を第1減算値(例えば、「-5」)に設定する。また、変更値設定部24は、第1差分が第1所定差分よりも大きく、かつ第2差分が第2所定差分以下である場合には、変更値を第1減算値よりも小さい第2減算値(例えば、「-1」)に設定する。
【0051】
更新部25は、分割領域R1におけるカウンタ値を更新する。更新部25は、変更値設定部24によって設定された変更値を現在のカウンタ値に加算、または減算することで、カウンタ値を更新する。なお、カウンタ値には、予め設定された上限カウンタ値、および下限カウンタ値が設けられる。
【0052】
判定部26は、車速が所定車速以下であるか否かを判定する。所定車速は、予め設定された車速であり、撮像画像Iのぶれが少なく、付着物Mを検出可能な撮像画像Iを得ることができる車速である。例えば、所定車速は、80km/hである。
【0053】
また、判定部26は、現在フレームI1が低照度画像であるか否かを判定する。具体的には、判定部26は、現在フレームI1の対象領域R0における輝度の平均値が所定低照度値以下であり、かつ現在フレームI1の対象領域R0における輝度の標準偏差が所定低照度偏差以下であるか否かを判定する。所定低照度値は、予め設定された値であり、例えば、「85」である。また、所定低照度偏差は、予め設定された値であり、例えば、「50」である。
【0054】
判定部26は、現在フレームI1の対象領域R0における輝度の平均値が所定低照度値以下であり、かつ現在フレームI1の対象領域R0における輝度の標準偏差が所定低照度偏差以下である場合には、現在フレームI1が低照度画像であると判定する。また、判定部26は、現在フレームI1の対象領域R0における輝度の平均値が所定低照度値よりも大きい場合には、現在フレームI1が低照度の画像ではない、すなわち非低照度画像であると判定する。また、判定部は、現在フレームI1の対象領域R0における輝度の標準偏差が所定低照度偏差よりも大きい場合には、現在フレームI1が非低照度画像であると判定する。
【0055】
また、判定部26は、車速が所定車速以下であり、かつ現在フレームI1が非低照度画像である場合には、(1)第1差分が第1所定差分以下であるか、および(2)第2差分が第2所定差分以下であるか否かを判定する。
【0056】
なお、判定部26は、車速が所定車速よりも大きい場合、または現在フレームI1が低照度画像である場合には、(1)、および(2)の判定を行わない。
【0057】
また、判定部26は、分割領域R1が付着領域であるか否かを判定する。具体的には、判定部26は、現在フレームI1の分割領域R1におけるカウンタ値が所定カウンタ値以上であるか否かを判定する。
【0058】
判定部26は、更新部25によって更新されたカウンタ値が所定カウンタ値以上である場合には、分割領域R1が付着領域であると判定する。また、判定部26は、現在フレームI1の分割領域R1におけるカウンタ値が所定カウンタ値よりも小さい場合には、分割領域R1が付着領域ではなく、未着領域であると判定する。
【0059】
なお、所定カウンタ値には、ヒステリシスが設けられてもよい。すなわち、分割領域R1の判定を未着領域から付着領域に変更する場合の所定カウンタ値と、分割領域R1の判定を付着領域から未着領域に変更する場合の所定カウンタ値とを異なる値(異なる閾値)にしてもよい。
【0060】
また、判定部26は、現在フレームI1の全ての分割領域R1に対してカウンタ値の更新を行ったか否かを判定する。
【0061】
また、判定部26は、車載カメラ10のレンズに付着物Mが付着しているか否かを判定する。具体的には、判定部26は、占有率が所定占有率以上であるか否かを判定する。所定占有率は、予め設定された値であり、例えば、40%である。判定部26は、占有率が所定占有率以上である場合には、車載カメラ10のレンズに付着物Mが付着していると判定する。また、判定部26は、占有率が所定占有率よりも小さい場合には、車載カメラ10のレンズに付着物Mが付着していないと判定する。
【0062】
検出部27は、付着物Mが付着していると判定された分割領域R1を付着領域として検出する。また、検出部27は、付着物Mが付着していないと判定された分割領域R1を未着領域として検出する。
【0063】
なお、検出部27は、車速が所定車速よりも大きい場合、または現在フレームI1が低照度画像である場合には、現在フレームI1に対し分割領域R1に対する付着領域の検出を行わない。
【0064】
また、検出部27は、車載カメラ10のレンズに付着物Mが付着していると判定された場合には、車載カメラ10に対する付着物Mの付着を検出する。具体的には、検出部27は、車載カメラ10のレンズに付着物Mが付着していると判定された場合には、付着物検出フラグを「ON」にする。また、検出部27は、車載カメラ10に付着物Mが付着していないと判定された場合には、付着物検出フラグを「OFF」にする。
【0065】
また、検出部27は、現在フレームI1が低照度画像である場合には、付着物検出フラグを「OFF」にする。
【0066】
記憶部3は、たとえば、RAMやデータフラッシュに対応する。RAMやデータフラッシュは、分割領域R1における輝度の平均値や、分割領域R1における輝度の標準偏差や、分割領域R1におけるカウンタ値や、第1所定差分などの閾値情報や、各種プログラムの情報などを記憶することができる。なお、付着物検出装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0067】
次に、実施形態に係る付着物検出処理について
図4を参照し説明する。
図4は、付着物検出処理を説明するフローチャートである。なお、付着物検出処理は、各車載カメラ10で行われる。
【0068】
付着物検出装置1は、車載カメラ10によって撮像した画像から現在フレームI1を生成し、対象領域R0、および分割領域R1を設定する(S100)。付着物検出装置1は、車速を取得する(S101)。
【0069】
付着物検出装置1は、現在フレームI1の対象領域R0における輝度の平均値と、現在フレームI1の対象領域R0における輝度の標準偏差と、現在フレームI1の各分割領域R1における輝度の平均値と、現在フレームI1の各分割領域R1における輝度の標準偏差とを算出する(S102)。
【0070】
付着物検出装置1は、車速が所定車速以下であるか否かを判定する(S103)。付着物検出装置1は、車速が所定車速以下である場合には(S103:Yes)、現在フレームI1が低照度画像であるか否かを判定する(S104)。付着物検出装置1は、車速が所定車速よりも大きい場合には(S103:No)、今回の処理を終了する。
【0071】
付着物検出装置1は、現在フレームI1が低照度画像ではない場合(S104:No)、すなわち現在フレームI1が非低照度画像である場合には、付着領域判定処理を行う(S105)。なお、付着領域判定処理については後述する。
【0072】
付着物検出装置1は、現在フレームI1における占有率を算出する(S106)。付着物検出装置1は、占有率が所定占有率以上であるか否かを判定する(S107)。
【0073】
付着物検出装置1は、占有率が所定占有率以上である場合には(S107:Yes)、付着物検出フラグを「ON」にする(S108)。また、付着物検出装置1は、占有率が所定面積よりも小さい場合には(S107:No)、付着検出フラグを「OFF」にする(S109)。
【0074】
付着物検出装置1は、現在フレームI1が低照度画像である場合には(S104:Yes)、付着物検出フラグを「OFF」にする(S110)。すなわち、付着物検出装置1は、現在フレームI1が低照度画像である場合には、付着領域判定処理を行わず、分割領域R1に対する付着領域の検出を行わない。
【0075】
次に、付着領域判定処理について
図5を参照し説明する。
図5は、付着領域判定処理を説明するフローチャートである。
【0076】
付着物検出装置1は、分割領域R1を選択する(S200)。具体的には、付着物検出装置1は、現在フレームI1の分割領域R1の中から、カウンタ値の更新を行っていない分割領域R1を選択する。
【0077】
付着物検出装置1は、選択した分割領域R1における第1差分、および第2差分を算出する(S201)。なお、付着物検出装置1は、各分割領域R1における第1差分、および第2差分を予め算出しておき、選択した分割領域R1に対応する第1差分、および第2差分を読み出してもよい。
【0078】
付着物検出装置1は、分割領域R1におけるカウンタ値の変更値を設定する(S202)。付着物検出装置1は、分割領域R1のカウンタ値を更新する(S203)。付着物検出装置1は、現在のカウンタ値に変更値を加算、または減算し、カウンタ値を更新する。
【0079】
付着物検出装置1は、カウンタ値が所定カウンタ値以上であるか否かを判定する(S204)。付着物検出装置1は、カウンタ値が所定カウンタ値以上である場合には(S204:Yes)、分割領域R1を付着領域として検出する(S205)。また、付着物検出装置1は、カウンタ値が所定カウンタ値よりも小さい場合には(S204:No)、分割領域R1を未着領域として検出する(S206)。
【0080】
付着物検出装置1は、全ての分割領域R1に対してカウンタ値の更新を行った場合には(S207:Yes)、付着領域判定処理を終了する。付着物検出装置1は、カウンタ値の更新を行っていない分割領域R1が有る場合には(S207:No)、新たに分割領域R1を選択し(S200)、上記処理を繰り返す。
【0081】
付着物検出装置1は、同一分割領域R1における輝度の平均値の第1差分、輝度の標準偏差の第2差分に基づいて分割領域R1におけるカウンタ値の変更値を設定する。そして、付着物検出装置1は、変更値に基づいてカウンタ値を更新し、カウンタ値に基づいて分割領域R1における付着物Mの付着状態を検出する。
【0082】
これにより、付着物検出装置1は、同一分割領域R1における輝度の平均値の第1差分、輝度の標準偏差の第2差分に基づいてカウンタ値に基づいて設定されるカウンタ値の変更値を用いてカウンタ値を更新することで、分割領域R1への付着物の付着状態を正確に検出することができる。すなわち、付着物検出装置1は、分割領域R1における付着物Mの付着を正確に検出することができる。また、付着物検出装置1は、車載カメラ10でゲイン補正が行われた場合であっても、分割領域R1における付着物Mの付着を正確に検出することができる。そのため、付着物検出装置1は、車載カメラ10のレンズへの付着物Mの付着を正確に検出することができる。
【0083】
例えば、
図6Aに示す撮像画像Iにおいて、車載カメラ10に付着した付着物Mが拭き取られた場合には、
図6Bに示すように、撮像画像Iには背景全体が写される。
図6Aは、付着物Mが付着した撮像画像Iの一例である。
図6Bは、
図6Aの撮像画像Iに対し、付着物Mが拭き取られた場合の撮像画像Iの一例である。
【0084】
背景が、例えば、アスファルトの路面(
図6A、および
図6Bにおけるハッチング領域)である場合には、付着物Mが付着した分割領域R1では、付着物Mが無くなる前後(例えば、付着物Mの拭き取り前後)において第1差分が第1所定差分よりも大きくなるが、第2差分が第2所定差分以下となることがある。
【0085】
また、車載カメラ10でゲイン補正が行われた場合には、付着物Mが付着した分割領域R1では、ゲイン補正の前後において第1差分が第1所定差分よりも大きくなるが、第2差分が第2所定差分以下となることがある。
【0086】
このように、同一分割領域R1において輝度の平均値の差分である第1差分が第1所定差分よりも大きくなり、かつ輝度の標準偏差の差分である第2差分が第所定差分以下である場合には、実際に付着物Mが無くなったか否かを判断することが困難な場合がある。
【0087】
これに対し、付着物検出装置1は、第1差分が第1所定差分よりも大きく、かつ第2差分が第2所定差分よりも大きい場合には、カウンタ値の変更値を第1減算値に設定する。また、付着物検出装置1は、第1差分が第1所定差分よりも大きく、かつ第2差分が第2所定差分以下である場合には、カウンタ値の変更値を、第1減算値よりも小さい第2減算値に設定する。
【0088】
これにより、付着物検出装置1は、同一分割領域R1において輝度の平均値の差分である第1差分が第1所定差分よりも大きくなり、かつ輝度の標準偏差の差分である第2差分が第所定差分以下である場合に、カウンタ値が大きく減少することを抑制することができる。従って、付着物検出装置1は、付着物Mが無くなったか否か不明な場合に、カウンタ値が大きく変更されることを抑制することができる。すなわち、付着物検出装置1は、付着物Mの除去、例えば、付着物Mの拭き取りに対する誤判定の発生を抑制することができる。
【0089】
変形例に係る付着物検出装置1は、分割領域R1における輝度の平均値に基づいてカウンタ値を設定してもよい。すなわち、変形例に係る付着物検出装置1は、第1差分、第2差分、および分割領域R1における輝度の平均値に基づいてカウンタ値を設定してもよい。
【0090】
変形例に係る付着物検出装置1では、車載カメラ10のゲイン補正の他にも、輝度や、色、明るさを補正する処理に対応して、第1所定差分や、変更値などが設定されてもよい。
【0091】
また、変形例に係る付着物検出装置1では、車載カメラ10毎に第1所定差分や、変更値などが設定されてもよい。
【0092】
なお、カウンタ値を更新する変更値は、車載カメラ10の性能に応じて設定されてもよい。
【0093】
また、変形例に係る付着物検出装置1は、例えば、第1差分が第1所定差分以下であり、かつ第2差分が第2所定差分以下である場合には、変更値を減算値とし、第1差分が第1所定差分よりも大きく、かつ第2差分が第2所定差分よりも大きい場合には、変更値を加算値としてもよい。変形例に係る付着物検出装置1は、カウンタ値が所定のカウンタ値以下の場合に、分割領域R1を付着領域として検出してもよい。
【0094】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 付着物検出装置
2 制御部
3 記憶部
10 車載カメラ(撮像装置)
20 取得部
21 領域設定部
23 算出部
24 変更値設定部
25 更新部
26 判定部
27 検出部