(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20221004BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20221004BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20221004BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20221004BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221004BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J5/30 Z
B41J29/42 F
G06F3/12 319
G06F3/12 348
H04N1/00 C
H04N1/387
(21)【出願番号】P 2018248501
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】宮井 俊也
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-203410(JP,A)
【文献】特開2011-088315(JP,A)
【文献】特開2012-083925(JP,A)
【文献】特開平11-110155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0269135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/00
B41J 5/30
B41J 29/42
H04N 1/387
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データが示す画像を記録紙に形成する画像形成部と、
前記印刷データに含まれるテキストを抽出して、該抽出したテキストの言語の種類を判定し、該判定した言語の種類毎に、該判定した種類の言語からなるテキストを記録するか否かを判定し、記録すると判定した場合に、該種類の言語からなるテキストを前記記録紙に形成させ、記録しないと判定した場合に、該種類の言語からなるテキストを前記記録紙に形成させない制御部と、を備え
、
前記制御部は、複数種類の言語に対応する予め定められたそれぞれの言語コードを記憶しており、前記各言語コードを前記抽出したテキストから逐次検出し、先に検出した言語コードから次に検出した他の言語コードの手前までのテキストの範囲における言語の種類が前記先に検出した言語コードに対応する言語の種類であると判定する画像形成装置。
【請求項2】
記憶部と、
グラフィックユーザーインターフェイスを表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、複数種類の言語で示されるそれぞれの前記グラフィックユーザーインターフェイスを前記表示部に表示させ、前記グラフィックユーザーインターフェイスとして表示される前記各種類の言語の表示頻度をそれぞれ算出して前記記憶部に記憶させ、前記判定した言語の種類に対応する表示頻度に基づいて、前記判定した種類の言語からなるテキストを記録するか否かを判定する請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、ユーザーの識別情報の承認により当該ユーザーが本画像形成装置にログインしている状態で、前記グラフィックユーザーインターフェイスとして表示される前記各種類の言語の表示頻度を算出した場合、当該各種類の言語の表示頻度を前記ユーザーの識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶させ、前記ユーザーの識別情報を承認してログインを認めているときに、前記印刷データが示す画像を前記画像形成部に画像形成させる場合、当該ユーザーの識別情報に対応付けられた前記各種類の言語の表示頻度に基づいて、当該判定した種類の言語からなるテキストを記録するか否かを判定する請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記憶部を備え、
前記制御部は、前記記録紙に対する前記各種類の言語の画像形成頻度を算出して前記記憶部に記憶させておき、前記判定した種類の言語についての画像形成頻度に基づいて、前記判定した種類の言語からなるテキストを記録するか否かを判定する請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、ユーザーの識別情報の承認により当該ユーザーが本画像形成装置にログインしている状態で、前記記録紙に対する前記各種類の言語の画像形成頻度を算出した場合、前記記録紙に対する前記各種類の言語の画像形成頻度を前記ユーザーの識別情報に対応付けて前記記憶部に記憶させ、前記ユーザーの識別情報を承認してログインを認めているときに、前記印刷データが示す画像を前記画像形成部に画像形成させる場合、当該ユーザーの識別情報に対応付けられた前記各種類の言語の画像形成頻度に基づいて、当該判定した種類の言語からなるテキストを記録するか否かを判定する請求項
4に記載の画像形成装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録紙に形成する画像形成装置に関し、特に、画像に含まれる複数種類のテキストから、特定言語のテキストを選択して記録紙に形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、印刷データ(PDFデータ、画像データなど)を生成、入力、又は受信し、印刷データによって示されるテキスト、写真、図形などを記録紙に形成して出力するものがある。一方、特許文献1に記載のプリンターでは、ページ記述言語の中の印刷すべき文字コードをチェックしてエラーを検出するようにしている。これにより、イメージを印字すべき命令が、文字を印字する命令に置き換わって送られて来て、イメージデータが文字コードとして解釈されたときに、エラーを検出して、意味をなさない大量の文字列が印字されてしまうという事態を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来は、印刷データによって複数種類の言語のテキストが示されている場合に、各種類の言語のテキストの全てを記録紙に形成していた。このため、ユーザーにとっては、理解できなかったりあるいは不要であったりするテキストが記録紙に形成されるという事態が生じた。また、記録紙やトナーを無駄に消費してしまうという懸念がある。上記特許文献1では、ページ記述言語の中の印刷すべき文字コードをチェックしてエラーを検出しているが、必要な種類の言語のテキストを記録紙に記録して残し、他の不要な種類の言語のテキストを消去するような技術は記載されていない。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、印刷データによって複数種類の言語のテキストが示されている場合に、必要な種類の言語のテキストを選択して記録紙に画像形成し、他の不要な種類の言語のテキストを画像形成しないことを可能にして、ユーザーにとっての可読性を高めた印刷物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、印刷データが示す画像を記録紙に形成する画像形成部と、前記印刷データに含まれるテキストを抽出して、該抽出したテキストの言語の種類を判定し、該判定した言語の種類毎に、該判定した種類の言語からなるテキストを記録するか否かを判定し、記録すると判定した場合に、該種類の言語からなるテキストを前記記録紙に形成させ、記録しないと判定した場合に、該種類の言語からなるテキストを前記記録紙に形成させない制御部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷データによって複数種類の言語のテキストが示されている場合に、必要な種類の言語のテキストを選択して記録紙に画像形成し、他の不要な種類の言語のテキストを画像形成しないことを可能にして、ユーザーにとっての可読性を高めた印刷物を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本実施形態の画像形成装置の主要内部構成を示すブロック図である。
【
図3】画像形成装置の稼働中にGUIに表示される各種類の言語の表示頻度等を示す図表である。
【
図4】画像形成装置の表示部に表示された初期画面を示す図である。
【
図5】画像形成装置の表示部に表示された選択画面を示す図である。
【
図6】記録紙への記録対象とする言語を選択する言語選択処理を示すフローチャートである。
【
図7】(A)は印刷データによって示される英語、日本語、フランス語、スペイン語からなるそれぞれのテキスト及び画像を示す図であり、(B)は英語のテキスト及び日本語のテキストが残されて記録紙に形成されると共に、画像が記録紙に形成された記録紙を示す図である。
【
図8】言語選択処理の他の実施形態を示すフローチャートである。
【
図9】記録紙に対する各種言語の画像形成頻度などを示す図表である。
【
図10】記録紙への記録の対象とするテキスト範囲の判定処理の他の実施形態を示すフローチャートである。
【
図11】各種言語についての表示頻度、優先度、及び印刷必要性を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置を示す断面図である。この
図1に示す画像形成装置10は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能のような複数の機能を兼ね備えたMFP(複合機)である。この画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12とを備えている。
【0011】
画像読取部11は、原稿の画像を光学的に読み取る撮像素子を有しており、この撮像素子のアナログ出力がデジタル信号に変換されて、原稿の画像を示す画像データが生成される。
【0012】
画像形成部12は、上記画像データによって示される画像を記録紙に形成するものであり、マゼンタ用の画像形成ユニット3M、シアン用の画像形成ユニット3C、イエロー用の画像形成ユニット3Y、及びブラック用の画像形成ユニット3Bkを備えている。各画像形成ユニット3M、3C、3Y、及び3Bkのいずれにおいても、感光体ドラム4の表面を均一帯電させ、感光体ドラム4の表面を露光して、感光体ドラム4の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム4の表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラム4の表面のトナー像を中間転写ベルト5に1次転写する。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト5上に形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト5と2次転写ローラー6の間のニップ域Nにおいて給紙部14から搬送路8を通じて搬送されてきた記録紙Pに2次転写される。
【0013】
この後、定着装置15で記録紙Pが加熱及び加圧されて、記録紙P上のトナー像が熱圧着により定着され、更に記録紙Pが排出ローラー16を通じて排出トレイ17に排出される。
【0014】
次に、画像形成装置10の制御に係る構成について説明する。
図2は、画像形成装置10の主要内部構成を示す機能ブロック図である。この
図2に示すように画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12と、表示部21と、操作部22と、タッチパネル23と、ネットワーク通信部24と、ファクシミリ通信部25と、画像メモリー26と、記憶部28と、制御ユニット29とを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0015】
表示部21は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどから構成される。操作部22は、テンキー、決定キー、スタートキーなどのハードキーを備えている。
【0016】
表示部21の画面には、タッチパネル23が配置されている。タッチパネル23は、所謂抵抗膜方式や静電容量方式などのタッチパネルであって、タッチパネル23に対するユーザーの指などの接触(タッチ)をその接触位置とともに検知して、その接触位置の座標を示す検知信号を制御ユニット29の後述する制御部31などに出力する。
【0017】
ネットワーク通信部24は、ネットワークNTを通じて、パーソナルコンピューター(PC)やサーバーなどに接続され、PCやサーバーなどとの間でデータ通信を行う。
【0018】
ファクシミリ通信部25は、画像データを、ネットワークを通じて他の画像形成装置やファクシミリ装置(図示せず)などとの間で送受信する。
【0019】
画像メモリー26は、画像データなどを一時的に記憶する。
【0020】
記憶部28は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置であって、各種のアプリケーションプログラムや種々のデータを記憶している。
【0021】
制御ユニット29は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット29は、上記のROM又は記憶部28に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部31として機能する。尚、制御ユニット29の制御部31は、前述の制御プログラムに基づく動作によらず、ハード回路により構成されてもよい。
【0022】
制御部31は、画像形成装置10を統括的に制御する。制御ユニット29は、表示部21、操作部22、タッチパネル23、ネットワーク通信部24、ファクシミリ通信部25、画像メモリー26、記憶部28、画像読取部11、及び画像形成部12などと接続されている。制御部31は、これらの構成要素の動作制御や、該各構成要素との間での信号またはデータの送受信を行う。
【0023】
制御部31は、画像形成装置10による画像形成に必要な各種の処理などを実行する処理部としての役割を果たす。また、制御部31は、表示部21の表示動作を制御する機能を有する。制御部31は、ネットワーク通信部24及びファクシミリ通信部25の通信動作を制御する機能を有する。
【0024】
なお、操作部22及びタッチパネル23は、特許請求の範囲における「操作部」に相当する。
【0025】
このような構成の画像形成装置10において、制御部31は、画像読取部11により原稿の画像が読取られると、この原稿の画像を示す画像データを画像メモリー26に一旦記憶させて、画像データによって示される画像を画像形成部12で記録紙に形成させる。また、制御部31は、画像データがファクシミリ通信部25で受信されると、この画像データを画像メモリー26に一旦記憶させて、画像データによって示される画像を画像形成部12で記録紙に形成させる。あるいは、制御部31は、外部の端末装置から送信されて来た画像データやPDFデータがネットワーク通信部24で受信されると、画像データやPDFデータを画像メモリー26に一旦記憶させて、画像データやPDFデータによって示される画像を画像形成部12で記録紙に形成させる。以降、画像データ、PDFデータなどの画像を示すデータを、印刷データと称する。
【0026】
ユーザーによる操作部22又はタッチパネル23の操作で入力される指示に基づいて、制御部31は、テキストの言語の種類に応じて該テキストの画像を記録紙に形成する又は形成しないを切り換える言語選択処理を行う言語選択モードを画像形成装置10の動作モードとして設定する。
【0027】
制御部31は、この言語選択機能を設定している状態では、テキストを画像メモリー26内の印刷データから抽出して、この抽出したテキストに複数種類の言語が含まれているか否かを判定し、複数種類の言語が含まれていると判定した場合に、複数種類の言語毎に、言語のテキスト(テキスト範囲)を記録するか否かを判定し、言語のテキストを記録すると判定した場合に、該言語からなるテキストを画像形成部12で記録紙に形成させる。また、制御部31は、言語のテキストを記録しないと判定した場合は、該種類の言語からなるテキストの画像を記録紙に形成させない。例えば、制御部31は、テキストに含まれる言語として、英語、日本語、フランス語、スペイン語が判定された場合は、英語のテキスト及び日本語のテキストの画像を画像形成部12により記録紙に形成させ、フランス語のテキスト及びスペイン語のテキストの画像は記録紙に形成させないようにする。
【0028】
詳しくは、記憶部28には、画像メモリー26に記憶されている印刷対象となる画像を解析して当該画像に含まれる文字を認識する周知のOCR機能を実行するOCRプログラムが記憶されている。制御部31は、当該OCRプログラムに従って動作することで、画像メモリー26に記憶されている印刷対象となる画像に含まれる文字をテキストとして抽出する。また、制御部31は、印刷対象とする印刷データがページ記述言語であり、文字コード(キャラクターコード)が含まれている場合は、文字コードによって示される文字をテキストとして抽出する。
【0029】
更に、制御部31は、上記抽出したテキストに含まれている言語の種類を判定する(詳細は後述)。
【0030】
また、記憶部28には、表示部21に表示するグラフィックユーザーインターフェイス(GUI)を示す画像が、各種類の言語別に記憶されている。制御部31は、ユーザーによる操作部22又はタッチパネル23の操作で入力される任意の種類の言語の指定を受け付ける。制御部31は、指定を受け付けた任意の種類の言語のテキストに対応するGUIの画像を記憶部28から読み出して表示部21に表示させる。
【0031】
制御部31は、各種類の言語別に、画像形成装置10の稼働中にGUIが表示される累積時間を、例えば制御ユニット29に内蔵されるタイマーにより計測する。そして、制御部31は、当該言語別の累積時間の比率を表示頻度(%)として記憶部28に記憶させる。例えば、制御部31は、
図3に示すように英語、日本語、フランス語、スペイン語別に、各言語の表示頻度(%)を算出して記憶部28に記憶させる。制御部31は、テキストを印刷データから抽出して、この抽出したテキストに複数種類の言語が含まれていると判定した場合には、この複数種類の言語のうち、表示頻度が予め定められた一定値以上の種類の言語を、記録対象とする言語と判定して、判定した言語のテキストを画像形成部12で記録紙に形成させる。
【0032】
これにより、例えば英語、日本語、フランス語、スペイン語からなるそれぞれのテキストが印刷データに含まれているような場合には、英語のテキスト及び日本語のテキストを記録紙に画像形成し、フランス語のテキスト及びスペイン語のテキストを記録紙に画像形成しない、というように、特定の言語を画像形成し、他の言語を画像形成しない制御が可能になる。
【0033】
なお、制御部31は、記録対象とする言語の判定に、表示頻度が上記一定値以上の言語という条件を用いているが、これに代えて、表示頻度が「0」以外の言語という条件を用いてもよい。
【0034】
次に、上記言語選択機能を設定又は非設定にするための手順を説明する。例えば、制御部31は、
図4に示すような初期画面G1を表示させているものとする。この初期画面G1には、それぞれの機能に対応付けられた複数の機能キー51a~51h等が表示されている。ユーザーが言語選択機能に対応する機能キー51hをタッチ操作すると、制御部31は、タッチパネル23を通じて、機能キー51hに対するタッチ操作を受付け、制御部31により
図5に示すような言語選択機能の選択画面G2を表示部21に表示させる。
【0035】
この言語選択機能の選択画面G2には、言語選択機能の設定を指示するための設定キーK1、及び言語選択機能の非設定を指示するための非設定キーK2が表示されている。ユーザーが設定キーK1をタッチ操作すると、制御部31は、タッチパネル23を通じて、言語選択機能を設定する指示を受け付け、言語選択機能を設定する。ユーザーが非設定キーK2をタッチ操作すると、制御部31は、タッチパネル23を通じて、言語選択機能を非設定とする指示を受け付け、言語選択機能を非設定とする。また、制御部31は、このように言語選択機能を設定又は非設定とした後、
図4に示すような初期画面G1を表示部21に再度表示させる。
【0036】
次に、印刷データから抽出したテキストの言語の種類毎に、テキストを記録するか否かを判定して、記録すると判定した種類の言語のテキストを記録紙に形成させる言語選択処理を、
図6に示すフローチャートなどを参照して説明する。なお、制御部31は、上記言語選択モードを設定していることを前提とする。
【0037】
まず、画像読取部11により読み取られた原稿の画像を示す画像データ、ファクシミリ通信部25で受信された画像データ、又は、ネットワーク通信部24で外部のコンピューターから受信されたページ記述言語からなるデータが、印刷データとして、画像メモリー26に記憶されているものとする。このとき、制御部31は、言語選択モードが設定されているので、テキストを画像メモリー26内の印刷データから抽出する(S101)。例えば、制御部31は、(i)上述したOCR機能を用いて、印刷データが示す画像に含まれる文字を認識し、又は、(ii)印刷データに含まれる文字コードを判定して、テキストを当該印刷データから抽出する。
【0038】
そして、制御部31は、上記抽出したテキストの言語の種類を判定し(S102)、該抽出したテキストに複数種類の言語が含まれるか否かを判定する(S103)。例えば、制御部31は、一種類の言語のみが含まれていることを判定すると(S103「単一」)、印刷データによって示されるテキストを編集することなく、印刷データによって示されるテキストや画像を画像形成部12により記録紙に形成させる(S104)。この場合は、一種類の言語のみからなるテキストと写真や図形などが記録紙に画像形成される。
【0039】
また、制御部31は、テキストに複数種類の言語が含まれていると判定すると(S103「複数」)、各種類の言語毎にテキスト範囲を抽出し、更に、
図3に例を示す各種類の言語の表示頻度(%)を参照して、各言語の表示頻度が上記一定値以上であるか否かを判定する(S105)。そして、制御部31は、表示頻度が上記一定値以上である言語のテキスト範囲を、記録紙への記録(画像形成)の対象とするテキスト範囲と判定し、また、表示頻度が一定値未満である言語のテキスト範囲を、記録紙への記録対象としないテキスト範囲と判定する(S105)。
【0040】
そして、制御部31は、記録紙への記録対象にすると判定したテキスト範囲を残すと共に、記録紙への記録対象としないと判定したテキスト範囲を消去するという編集を、印刷データに施して、この編集により印刷データに残ったテキスト範囲及び画像(写真や図形など)を画像形成部12により記録紙に画像形成させる(S106)。なお、上記編集の対象とされるのはテキスト範囲のみであり、制御部31は、画像(写真や図形など)は上記編集の対象とはしない。
【0041】
例えば、元の印刷データが、
図7(A)に示すように英語、日本語、フランス語、スペイン語からなるそれぞれのテキスト及び画像を示すものであり、英語及び日本語の表示頻度が上記一定値以上であり、フランス語及びスペイン語の表示頻度が上記一定値未満であるものとする。この場合、上記実施形態によれば、
図7(B)に示すように英語のテキスト及び日本語のテキストが残されて記録紙に形成されると共に画像が記録紙に形成され、フランス語のテキスト及びスペイン語のテキストが消去される。
図7(B)には、制御部31が、上記編集時に、消去するフランス語のテキスト及びスペイン語のテキストの領域を詰め、これに続く画像を配置する処理を行う場合の例を示している。
【0042】
このように、本実施形態では、複数種類の言語を判定した場合に、その判定した言語の種類毎に、言語のテキスト範囲を記録するか否かを判定し、記録すると判定した言語のテキスト範囲を画像形成部12で記録紙に画像形成させているので、ユーザーにとって必要と想定される種類の言語のテキスト範囲を記録紙に画像形成して残し、ユーザーにとって不要と想定される他の種類の言語のテキスト範囲を消去することができる。
【0043】
次に、
図6に示す言語選択処理の他の実施形態を、
図8に示すフローチャートを参照して説明する。
【0044】
制御部31は、
図6に示すS101の処理で抽出したテキストの文字を順次認識して、予め設定された各言語コードのいずれかに一致する文字列をテキストの所定位置から逐次検出する(S201)。各言語コードとしては、英語を示す「EN」、日本語を示す「JP」、フランス語を示す「FR」、スペイン語を示す「ES」などがある。所定位置とは、テキストに対して予め設定された言語コードの表示位置である。
【0045】
例えば、制御部31は、いずれかの言語コードに一致する文字列をテキストから検出することができたならば(S202「Yes」)、テキストの並び順に、引き続いて他の言語コードに一致する文字列をテキストから検出する。そして、制御部31は、先に検出した言語コードから次に検出した他の言語コードの手前までのテキスト範囲を検出し、このテキスト範囲における言語の種類が上記先に検出した言語コードに対応する言語の種類であると判定する(S203)。例えば、制御部31は、言語コード「EN」をテキストから検出し、この後に言語コード「JP」をテキストから検出した場合は、言語コード「EN」から言語コード「JP」の手前までをテキスト範囲として検出し、このテキスト範囲における言語の種類が言語コード「EN」に対応する英語であると判定する。
【0046】
制御部31は、このようなS203の処理を、印刷データから抽出した全てのテキストの最初から終わりまで繰り返す。従って、制御部31は、いずれかの言語コードに一致する文字列をテキストから検出し、先に検出した言語コードから次に検出した他の言語コードの手前までをテキスト範囲として検出し、更に、この検出したテキスト範囲における言語の種類を当該先に検出した言語コードに対応する言語の種類であると判定する、という一連の処理を繰り返す。このようにして、制御部31は、各種類の言語別に、テキスト範囲を検出する(S204)。
【0047】
そして、制御部31は、
図3に例を示す各種類の言語の表示頻度(%)を参照して、各言語の表示頻度が上記一定値以上であるか否かを判定する。そして、制御部31は、表示頻度が上記一定値以上である言語のテキスト範囲を、記録紙への記録の対象とするテキスト範囲と判定し、また、表示頻度が一定値未満である言語のテキスト範囲を、記録紙への記録対象としないテキスト範囲と判定する(S205)。
【0048】
続いて、制御部31は、記録紙に記録すると判定したテキスト範囲を残すと共に、記録紙に記録しないと判定したテキスト範囲を消去するという編集を、印刷データに施して、この編集により印刷データに残ったテキスト範囲及び画像(写真や図形など)を画像形成部12により記録紙に画像形成させる(S206)。
【0049】
また、制御部31は、いずれかの言語コードに一致する文字列をテキストから検出することができなければ(S202「No」)、
図6に示した言語選択処理のS102以降の処理を行う。
【0050】
当該別の実施形態によれば、
図6に示した言語選択処理よりも簡単な処理で、ユーザーにとって必要又は不要と想定されるテキスト範囲を判別することが可能になる。
<変形例1>
変形例1では、制御部31は、
図3に示すように、各種類の言語の表示頻度(%)に応じて該各種類の言語に優先度を設定して記憶部28に記憶させている。そして、
図6に示した言語選択処理のS105における、記録紙への記録の対象とするテキスト範囲の判定を、以下のようにして行う。
【0051】
制御部31は、印刷データの画像形成時に、テキストを印刷データから抽出して、この抽出したテキストに複数種類の言語が含まれていると判定した場合に、各種類の言語の優先度を参照して、優先度の高い順に予め定められた数の種類の言語のテキスト範囲を、記録紙への記録の対象とするテキスト範囲と判定し、当該テキスト範囲を画像形成部12で記録紙に画像形成させる。
【0052】
このとき、制御部31は、優先度が高くなる程、テキスト範囲の印刷濃度が高くなるように画像形成部12を制御してもよい。
<変形例2>
変形例2では、ユーザーは、画像形成装置10を使用するとき、操作部22又はタッチパネル23を操作して自己の識別情報を入力し、制御部31が、そのユーザーの識別情報を正規の識別情報として承認し、画像形成装置10の使用を許可する(当該ユーザーのログインを認める)。制御部31は、当該ユーザーによる画像形成装置10の使用中、表示部21に表示させているGUIの言語別に、表示した累積時間を算出し、前記種類の言語の累積時間の合計時間に対する、各種類の言語の累積時間の比率を各種類の言語の表示頻度とする。制御部31は、各種類の言語の表示頻度を、当該ユーザーの識別情報に対応付けて記憶部28に記憶させる。すなわち、制御部31は、ユーザーの識別情報毎に各種類の言語の表示頻度を算出して記憶部28に記憶させる。
【0053】
そして、
図6に示した言語選択処理のS105における、記録紙への記録の対象とするテキスト範囲の判定を、以下のようにして行う。
【0054】
制御部31は、操作部22又はタッチパネル23の操作により入力された上記ユーザーの識別情報を承認して、画像形成装置10の使用(ログイン)を許可した状態で、印刷データの画像形成が行われるとき、印刷データからテキストを抽出して、この抽出したテキストに複数種類の言語が含まれているかを判定する。制御部31が、当該抽出したテキストに複数種類の言語が含まれていると判定した場合に、当該ユーザーの識別情報に対応付けられた各種類の言語の表示頻度を記憶部28から読み出して参照し、表示頻度が予め定められた一定値以上の種類の言語を記録対象とすると判定する。制御部31は、このように記録対象として判定された種類の言語からなるテキスト範囲を画像形成部12で記録紙に画像形成させる。また、制御部31は、表示頻度が上記一定値未満の種類の言語を記録対象としないと判定して、この種類の言語からなるテキスト範囲は画像形成部12には記録紙に画像形成させない。あるいは、制御部31は、該ユーザーの識別情報に対応付けられた各種類の言語の優先度を参照して、優先度の高い順に予め定められた数の種類の言語のテキスト範囲を記録対象とするテキスト範囲と判定し、当該テキスト範囲を画像形成部12で記録紙に形成させ、それ以外の言語のテキスト範囲は画像形成部12には記録紙に画像形成させないようにしてもよい。これにより、使用していることが多い言語であるか否かをユーザー毎に判断して、画像形成装置10を操作中のユーザーによる使用が多い言語のテキスト範囲のみを記録紙に画像形成させることが可能となる。
<変形例3>
変形例3では、制御部31は、各種類の言語別に、記録紙に対する言語の画像形成頻度を算出して記憶部28に記憶させておく。そして、
図6に示した言語選択処理のS105における、記録紙への記録の対象とするテキスト範囲の判定を、以下のようにして行う。
【0055】
制御部31は、
図6に示すS102で判定した言語の種類毎に、各種類の言語の上記画像形成頻度に基づいて、該判定した種類の言語のテキスト範囲を、記録対象とするテキスト範囲とするか否かを判定する。
【0056】
例えば、制御部31は、各種類の言語毎に、テキスト範囲が画像形成された記録紙の枚数を算出し、全ての言語の当該記録紙の枚数の合計枚数に対する、各種類の言語の当該記録紙の枚数のそれぞれ比率を、各言語の画像形成頻度(%)として算出する。制御部31は、
図9に例を示すように、各言語別の画像形成頻度(%)を記憶部28に記憶させておく。
【0057】
そして、制御部31は、印刷データの画像形成時に、テキストを印刷データから抽出して(
図6のS101)、この抽出したテキストに複数種類の言語が含まれていると判定した場合に(
図6のS102,S103)、画像形成頻度が予め定められた一定値以上の種類の言語のテキスト範囲を、記録紙への記録の対象とするテキスト範囲と判定して(
図6のS105)、当該テキスト範囲を画像形成部12で記録紙に画像形成させる(
図6のS106)。あるいは、制御部31は、各種類の言語の画像形成頻度(%)が高いほど、画像形成頻度(%)に応じた該各種類の言語の優先度が高くなるように設定しておき、優先度の高い順に予め定められた数の種類の言語のテキスト範囲を、画像形成部12で記録紙に画像形成させるようにしてもよい。
【0058】
この変形例3でも、変形例2と同様に、各種類の言語の画像形成頻度を、ユーザーの識別情報毎に記憶部28に記憶させておき、画像形成装置10にログインしたユーザーの識別情報毎の各種類の言語の画像形成頻度に基づいて、識別情報別に、各種類の言語のテキスト範囲を記録対象とするか否かを判定するようにしてもよい。
<変形例4>
変形例4では、(1)制御部31は、ユーザーの識別情報を承認しなかったときに、各種類の言語の表示頻度(画像形成頻度でもよい。以下、同様)を画像形成装置10全体(全ユーザーの通算)のものとして記憶部28に記憶させ、また、(2)制御部31は、ユーザーの識別情報を承認したときには、変形例2と同様にして、各種類の言語の表示頻度(画像形成頻度でもよい。以下、同様)をユーザーの識別情報に対応付けて記憶部28に記憶させておく。
【0059】
そして、
図6に示した言語選択処理のS105における、記録紙への記録の対象とするテキスト範囲の判定を、以下のようにして行う。
【0060】
図10は、変形例4における記録紙への記録の対象とするテキスト範囲の判定の処理を示すフローチャートである。まず、制御部31は、複数部数の印刷が指示されているか否かを判定する(S301)。制御部31は、複数部数の印刷が指示されていなければ(S301「No」)、すなわち、一部のみの印刷指示であれば、画像形成装置10の使用を認めるかにあたりユーザーの識別情報を承認しているか否かを判定する(S302)。制御部31は、ユーザーの識別情報を承認していれば(S302「Yes」)、変形例2の場合と同様にして、判定した言語の種類毎に、ユーザーの識別情報に対応付けられた該各種類の言語の表示頻度に基づいて、テキスト範囲を記録紙への記録対象とするか否かを判定する(S303)。
【0061】
また、制御部31は、複数部数の印刷が指示されているか(S301「Yes」)、又は複数部数の印刷が指示されず(S301「No」)かつユーザーの識別情報を承認していなければ(S302「No」)、判定した言語の種類毎に、画像形成装置10全体の該各種類の言語の表示頻度に基づき、この場合は
図6に示したS105と同様にして、テキスト範囲を記録紙への記録対象とするか否かを判定する(S304)。
【0062】
複数部数を印刷する場合は、同一の印刷物を複数人に配布することが予想される。このような場合、印刷物の配布を受ける人にとって理解しやすい言語は、画像形成装置10にログインして当該印刷物を印刷したユーザーが理解しやすい言語と同一とは限らない。このため、画像形成装置10を使用する全ユーザーについての上記表示頻度に基づいて、各言語のテキスト範囲を記録対象と否かを判定する方が、印刷物の配布を受ける人にとって理解しやすい言語のテキスト範囲が画像形成されると期待できる。一方、ユーザーが画像形成装置10にログインして一部のみを印刷する場合は、この印刷物を見るのは当該ユーザーである可能性が高いため、当該ユーザーの識別情報に対応付けられている上記表示頻度に基づいて、各言語のテキスト範囲を記録対象と否かを判定することが、印刷物を見る人にとって理解しやすい言語のテキスト範囲が画像形成されると期待できる。
【0063】
このように画像形成装置10全体の各種類の言語の表示頻度と、ユーザーの識別情報に対応付けられた各種類の言語の表示頻度とを使い分けることにより、印刷物を見る人にとって理解しやすい言語のテキスト範囲が画像形成されるように的確に言語の種類を選択して、この選択した種類の言語のテキスト範囲を記録紙に画像形成させることができる。
<変形例5>
変形例5では、ユーザーが、操作部22又はタッチパネル23を操作して、各種類の言語のうちの任意の種類の言語を必ず記録すべき言語として選択して指示する。制御部31は、例えば
図11に示すように各種類の言語の表示頻度、優先度、及び当該指示された任意の種類の言語を必ず記録対象とすることを記憶部28に記憶させておく。
【0064】
そして、
図6に示した言語選択処理において、S105において上述した通りに、記録紙への記録の対象とするテキスト範囲の判定を行うが、更に、上記任意の種類の言語のテキスト範囲については、必ず記録紙への記録の対象とするテキスト範囲として判定する。これにより、ユーザー所望の言語のテキスト範囲が必ず画像形成される。
【0065】
尚、本発明は、上記実施形態の画像形成装置に限定されるものではなく、本発明をコピー機、プリンター、ファクシミリ装置等にも適用することができる。
【0066】
また、
図1乃至
図11を用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0067】
10 画像形成装置
11 画像読取部
12 画像形成部
21 表示部
22 操作部
23 タッチパネル
24 ネットワーク通信部
25 ファクシミリ通信部
26 画像メモリー
28 記憶部
29 制御ユニット
31 制御部