(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】検査薬容器
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20221004BHJP
B65D 51/24 20060101ALI20221004BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20221004BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
G01N1/10 N
B65D51/24
B65D47/06
G01N33/48 A
(21)【出願番号】P 2019001175
(22)【出願日】2019-01-08
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】500272347
【氏名又は名称】DICプラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(72)【発明者】
【氏名】須崎 正士
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 和則
【審査官】奥野 尭也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-186227(JP,A)
【文献】国際公開第2009/130948(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/078043(WO,A1)
【文献】実開昭50-017864(JP,U)
【文献】国際公開第2015/052901(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3128324(JP,U)
【文献】国際公開第2016/031899(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/093536(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
C12M 1/00- 1/42
B01L 3/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査薬を保持する検査薬保持部(1)と、キャップ(5)が装着されるキャップ装着部(2)を有する容器本体(3)と、
キャップ本体部(52)とノズル(53)を有するキャップ(5)からなる検査薬容器であって、
検査薬保持部(1)の端部(11)とキャップ装着部(2)は、端部(11)の上面が段部(12)となるように連結され、
キャップ本体部(52)の内側には、フィルタ(6)を収納する筒状のフィルタ収納部(51)があり、
フィルタ収納部(51)の筒状の外側側面は、キャップ(5)が容器本体(3)に装着されたとき、キャップ装着部(2)の内側側面と密着し、
フィルタ(6)は、キャップ(5)が容器本体(3)に装着されたとき、段部(12)により支持される検査薬容器。
【請求項2】
検査薬を保持する検査薬保持部(1)と、キャップ(5)が装着されるキャップ装着部(2)を有する容器本体(3)と、
キャップ本体部(52)とノズル(53)を有するキャップ(5)からなる検査薬容器であって、
検査薬保持部(1)の端部(11)とキャップ装着部(2)は、端部(11)の上面が段部(12)となるように連結され、
キャップ本体部(52)の内側には、フィルタ(6)を収納する筒状のフィルタ収納部(51)があり、
フィルタ収納部(51)の筒状の外側側面は、キャップ(5)が容器本体(3)に装着されたとき、キャップ装着部(2)の内側側面と密着し、
段部(12)は、突起(13)を有し、フィルタ(6)は、キャップ(5)が容器本体(3)に装着されたとき、突起(13)により支持される検査薬容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、患者が感染症にかかっているかどうかを検出するための検査薬容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウイルスまたは細菌のような病原体の感染などを、短時間で検出することのできる簡易の検査試験が開発されている。
このような検査試験を行うためには、例えば、患者から採取した分泌物などの一部を、検体検出試薬のいった検査薬容器中で調製し、異物を除去するためにフィルタを有した蓋を容器に装着することが行われる。このような試験容器の例が、特開2012-150058(特許文献1)や特開2008-122372(特許文献2)に開示されている。
【0003】
特許文献2では、フィルタとして焼結フィルタのような強剛性フィルタが用いられているため、作業時などにフィルタが蓋から脱落するということは、ほとんどないが、そうでない場合、特許文献1の
図2に開示されているように、検査薬容器に装着される蓋は、フィルタが、蓋から脱落しないようにフィルタ押さえが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-150058号公報
【文献】特開2008-122372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の検査薬容器は、検査薬容器の抽出液の滴下を繰り返しているうちに、フィルタ押さえが、脱落する懸念があった。本発明は、文献2のようなフィルタが特殊なフィルタでなくともフィルタ押さえを不要にすることにより、フィルタ押さえの脱落の懸念をなくし、部材数も減らすものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、
(1)検査薬を保持する検査薬保持部1と、キャップ5が装着されるキャップ装着部2を有する容器本体3と、キャップ本体部52とノズル53を有するキャップ5からなる検査薬容器であって、検査薬保持部1の端部11とキャップ装着部2は、端部11の上面が段部12となるように連結され、キャップ本体部52の内側には、フィルタ6を収納する筒状のフィルタ収納部51があり、フィルタ収納部51の筒状の外側側面は、キャップ5が容器本体3に装着されたとき、キャップ装着部2の内側側面と密着し、フィルタ6は、キャップ5が容器本体3に装着されたとき、段部12により支持される検査薬容器、
(2)検査薬を保持する検査薬保持部1と、キャップ5が装着されるキャップ装着部2を有する容器本体3と、キャップ本体部52とノズル53を有するキャップ5からなる検査薬容器であって、検査薬保持部1の端部11とキャップ装着部2は、端部11の上面が段部12となるように連結され、キャップ本体部52の内側には、フィルタ6を収納する筒状のフィルタ収納部51があり、フィルタ収納部51の筒状の外側側面は、キャップ5が容器本体3に装着されたとき、キャップ装着部2の内側側面と密着し、段部12は、突起13を有し、フィルタ6は、キャップ5が容器本体3に装着されたとき、突起13により支持される検査薬容器、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルタ押さえを不要にすることにより、フィルタ押さえの脱落の懸念をなくし、部材数も減らす検査薬容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の検査薬容器とキャップの長手方向のキャップ装着前の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態の検査薬容器とキャップの長手方向のキャップ装着後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明について説明する。
図1は、一実施形態の容器本体3とキャップ5のキャップ装着前の長手方向の断面図である。
図2は、一実施形態の容器本体3とキャップ5のキャップ装着後の長手方向の断面図である。
容器本体3は、検査薬保持部1とキャップ装着部2を有し、合成樹脂にからなり一体成型されている。
検査薬保持部1は、有底筒状で、検査薬4を中に有している。開放端である端部11の外側の側面は、筒状のキャップ装着部2の内側の側面の一部と連結している。検査薬保持部1の端部11の上面は、外側が、端部11に連結していないキャップ装着部2の残部が壁21となり、段部12を形成している。段部12の幅は、後述するキャップ5の筒状のフィルタ収納部51の下面とフィルタ6の周縁を支持できればよく、通常、1.0ミリメートルから6.0ミリメートルである。こうすることにより、キャップ5が、容器本体5に装着されたとき、フィルタ6は、段部12又は後述する段部12にある突起13に支持され、検査薬保持部1への落下を防ぐことができる。
段部12の壁21の高さは、検査薬を封止する観点からフィルタ収納部51の筒状の長さと同程度になるように設計されるのが好ましい。その高さは、通常、2ミリメートルから10ミリメートルである。
キャップ装着部2の外側の側面には、キャップ5を装着するためのねじ山がある。
【0010】
段部12の壁21となる容器本体3のキャップ装着部2の内側側面は、キャップ5が、容器本体3に装着されたとき、フィルタ収納部51の筒状の外側側面に、密着するように設計される
また、段部12で囲まれる検査薬の通用口は、フィルタ収納部51の筒状の内側のフィルタの検査薬の濾過口より適度に小さくなるように設計され、容器本体3の検査薬保持部1が円筒状の場合、段部12で囲まれる部分の内径は、通常、5ミリメートルから15ミリメートル、フィルタ収納部51の円筒状の内径は、通常、7ミリメートルから18ミリメートルである。そうすることにより、フィルタ収納部51にあるフィルタ6は容器本体3の検査薬保持部1への脱落を防ぐことができる。
【0011】
本実施態様では、段部12には、突起13があるが、なくてもいい。しかし、キャップ5のフィルタ収納部51の筒状の長さは、フィルタ性能の向上のためには、フィルタ6より厚いほうが好ましいため、この場合、キャップ5の容器本体3への装着時、突起13がないと、フィルタ6がフィルタ収納部51内でずれる可能性があり、フィルタ6を確実にフィルタ収納部51に固定し、ずれを防止するには突起13は、あったほうが好ましい。突起13の長手方向の長さは、フィルタ収納部51がフィルタ6をフィルタ収納部51のキャンプ本体52の連結末端までフィルタを収納後、余った筒状の長さと同じ程度に設計されるのが好ましい。こうすることにより、突起13は、フィルタ6のずれ、フィルタ収納部からの脱落を防ぐことができる。通常その長さは1ミリメートルから5ミリメートルである。また、突起13の厚みは、突起13の厚さとフィルタ収納部の筒の厚さの和が段部12の幅の長さになるようにするのが好ましく、通常0.5ミリメートルから3ミリメートルである。
【0012】
突起13は、段部12の全周にわたって存在してもいいが、例えば、矩形状の突起13の2つが対面するように等間隔をおいて4つ存在すれば、フィルタを十分保持することが可能である。突起の形状、個数は、フィルタが保持できればよく、特に限定はしない。
キャップ5のフィルタ収納部51の筒状の長さが、フィルタより厚く、突起13が存在する場合、突起13とキャップ装着部2の間の溝14が、フィルタ6を保持している筒状のフィルタ保持部51のフィルタ収納後、余った筒状の端部を受ける。
【0013】
容器本体は、検査前は、開放端はシール部材によりシールされており、検査時にシール部材がはがされ、検体抽出後、キャップ5が装着される。
キャップ5は、容器本体3のキャップ装着部2に装着されるキャップ本体部52とノズル53を有する。キャップ本体部52とノズル53は、合成樹脂からなり一体成型されている。ノズル53の一端は、滴下口である第1の開口54であり、他端は、キャップ本体部52と連結し、フィルタ6で濾過された検査薬が通過する第2の開口55を形成している。キャップ本体52の内側の側面には、容器本体3のキャップ装着部2に螺合するようにねじが切ってある。キャップ本体部52の内側には、フィルタ6を収納する筒状のフィルタ収納部51がある。
【0014】
フィルタ収納部51は、キャップ本体52の内側の下向き面に連結し、第2の開口55を囲んでいる。フィルタ収納部51の筒状の長さは、フィルタより厚いほうが好ましく、フィルタを収納した後、端部が、検査薬容器3の溝14におさまるように設計されるのが好ましい。フィルタ保持部51の筒状の長さは2ミリメートルから10ミリメートル、フィルタ収納後の残り端部の長さは0.5ミリメートルから3ミリメートルが望ましい。
【0015】
各部材の材質としては、容器本体3は、例えば、ポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマー、及びシリコーンのような、綿棒を中に入れ外からしごくことができる程度の柔らかさを持つ樹脂でできている。
キャップ5は、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート、及びポリエチレンテレフタレートのような、容器本体3よりも幾分硬い樹脂でできている。
フィルタ6は、例えば、繊維やスポンジ状の樹脂やガラス等でできている。
【符号の説明】
【0016】
1 検査薬保持部
11 端部
12 段部
13 突起
14 溝
2 キャップ装着部
21 壁
3 容器本体
4 検査薬
5 キャップ
51 フィルタ収納部
52 キャップ本体部
53 ノズル
54 第1の開口
55 第2の開口
6 フィルタ