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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20221004BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20221004BHJP
   F21V 9/20 20180101ALI20221004BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20221004BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20221004BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21V9/30
F21V9/20
F21V7/28 240
F21Y115:30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019006041
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020115416
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雄一
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-204530(JP,A)
【文献】特開2014-187138(JP,A)
【文献】特開2009-194126(JP,A)
【文献】特開2000-098191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 9/30
F21V 9/20
F21V 7/28
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長変換素子を含み、前記波長変換素子によって波長が変換されてなる光を第一光出射領域及び前記第一光出射領域とは異なる第二光出射領域から出射する外部共振器型半導体レーザ光源と、
それぞれの光出射面から同一の照射面に対して光を出射する、円形状の入射面を含む第一光導波路及び第二光導波路と、
前記第一光出射領域から出射された複数の第一光線束を、前記第一光導波路の入射面に集光させる第一集光光学系と、
前記第二光出射領域から出射された複数の第二光線束を、前記第二光導波路の入射面に集光させる第二集光光学系とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記第一集光光学系の入射面に入射される前記複数の第一光線束のうちの、前記第一集光光学系の光軸に最も近い位置に入射される第一特定光線束の主光線と前記第一集光光学系の光軸との間隔d1aは、前記第一特定光線束の主光線と前記第一特定光線束に隣接する前記第一光線束の主光線との間隔d1bよりも短く、
前記第二集光光学系の入射面に入射される前記複数の第二光線束のうちの、前記第二集光光学系の光軸に最も近い位置に入射される第二特定光線束の主光線と前記第二集光光学系の光軸との間隔d2aは、前記第二特定光線束の主光線と前記第二特定光線束に隣接する前記第二光線束の主光線との間隔d2bよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記間隔d1aと前記間隔d2aとの差は、前記間隔d1b又は前記間隔d2bの1/4以上1/2以下であることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第一集光光学系は、前記複数の第一光線束のうちの一部が入射されて、前記第一光導波路の入射面上の第一集光領域に集光する第一レンズ部分と、前記複数の第一光線束のうちの別の一部が入射されて、前記第一光導波路の入射面上の前記第一集光領域とは異なる第二集光領域に集光する第二レンズ部分を有し、
前記第一集光光学系の入射面上において、前記第一レンズ部分の光軸と前記第二レンズ部分の光軸との間に、前記複数の第一光線束の中央に位置する光線束の主光線が位置していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第二集光光学系は、前記複数の第二光線束のうちの一部が入射されて、前記第二光導波路の入射面上の第三集光領域に集光する第三レンズ部分と、前記複数の第二光線束のうちの別の一部が入射されて、前記第二光導波路の入射面上の前記第三集光領域とは異なる第四集光領域に集光する第四レンズ部分を有し、
前記第二集光光学系の入射面上において、前記第三レンズ部分の光軸と前記第四レンズ部分の光軸との間に、前記複数の第二光線束の中央に位置する光線束の主光線が位置していることを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第一集光光学系と前記第二集光光学系は、結合して一体として構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記外部共振器型半導体レーザ光源は、
基本光を発する半導体素子と、
前記半導体素子から見て、前記波長変換素子よりも遠い位置に配置され、前記半導体素子との間で前記基本光の外部共振器を構成すると共に、前記波長変換素子によって前記基本光の波長が変換されてなる変換光を透過させて前記第一光出射領域に導く、波長選択素子と、
前記波長変換素子から前記半導体素子の方向に向けて出射された前記変換光を反射して、前記第二光出射領域に導く、反射部材とを備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置に関し、特に外部共振器型半導体レーザ光源から出射された光を用いた光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置の一つとして外部共振器型半導体レーザ光源が知られており、外部共振器型半導体レーザ光源は、光の取り出し効率を高めるために、複数の領域から光を出射するものが知られている。本出願人は、半導体素子から出射された複数の基本光を、波長変換素子によって波長変換し、2つの異なる光出射領域から同じ波長帯の光を出射するレーザ光源を開発している(下記、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-187138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数の光出射領域を有するレーザ光源から出射される光を集光するには、集光レンズを用いて集光する方法が考えられる。しかし、本発明者は、上記特許文献1に記載されているレーザ光源のように、複数の出射領域から出射される同じ波長帯の光を、集光レンズによって集光する光源装置を検討したところ、以下のような課題が存在することを突き止めた。以下、図面を参照しながら説明する。
【0005】
まず、複数の光出射領域を有するレーザ光源として、上記特許文献1に記載されている、2つの光出射領域(10a,10b)を有するレーザ光源10の構成の一例を説明する。図1Aは、上記特許文献1に記載されている外部共振型半導体レーザ光源の構成を示す模式的な側面図である。
【0006】
図1Bは、図1Aに示す半導体素子101を光の出射方向(図1AにおけるZ方向)から見たときの拡大図である。図1Bに示すように、半導体素子101上にアレイ状に形成された発光部102から出射された光は、VBG(Volume Bragg Gratings)103によって、特定の波長帯の光が反射される。VBG103によって反射された光は、半導体素子101との間で反射を繰り返して発振する。半導体素子101とVBG103との間で繰り返し反射された光は、波長変換素子104によって徐々に所定の波長帯の光へと変換されていく。
【0007】
波長変換素子104によって、所定の波長帯の光に変換された光は、VBG103を通過してそのまま第一光出射領域10aから出射される。所定の波長帯の光に変換された残りの光は、半導体素子と波長変換素子104との間に配置された、所定の波長帯の光を反射する反射部材(105,106)によって、第二光出射領域10bへと導光されて出射される。
【0008】
レーザ光源10の第一光出射領域10aと第二光出射領域10bとの離間距離は、波長変換素子104によって変換された光を、第二光出射領域10bへと導光するための2つの反射部材(105,106)の配置間隔によって決められる。2つの反射部材(105,106)の間隔は、2つの反射部材が接触しないように配置される必要がある。また、2つの反射部材(105,106)の間隔を近づけることができたとしても、波長変換素子104へと再び入射しないようにする必要がある。波長変換素子104によって変換された光が、波長変換素子104に再び入射してしまうと、波長変換素子104によって一部の光が吸収されてしまい、そのまま出射される光よりも光強度が低下してしまう。従って、第一光出射領域10aと第二光出射領域10bは、一定距離以上離間させる必要がある。
【0009】
上記の事情により、外部発振器型のレーザ光源10は、一定距離以上離間した2つの光出射領域(10a,10b)を有している。また、発光部102は、半導体素子101上にアレイ状に形成されていることによって、2つの光出射領域(10a,10b)からも、それぞれ複数のビーム(光線束)が出射される。
【0010】
図2Aは、レーザ光源10、集光レンズ110及びファイバ111を含んで構成された、光源装置100を模式的に示すYZ平面視の図面である。図2Aは、レーザ光源10の2つの異なる光出射領域(10a,10b)から出射される光(レーザ光)の進行経路の側面視を模式的に図示している。図2Aに示すように、レーザ光源10から出射された各レーザ光は、集光レンズ110に入射する。集光レンズ110から出射された各レーザ光は、ファイバ111の入射面111aに向かって集光する。
【0011】
図2Aにおいては、ファイバ111の入射面111aに対して直交する軸を光軸112とする。また、光軸112方向をZ方向とし、Z方向に直交する平面をXY平面とし、入射面111aに対する光の入射角をθ1とする。さらに、各光出射領域(10a,10b)において、発光部102がアレイ状に配置されていることに伴ってレーザ光が整列している方向をX方向とし、各光出射領域(10a,10b)が対向している方向をY方向とする。また、本明細書では、各光出射領域(10a,10b)の中心から光軸112と平行に出射される光線を「主光線」と称し、各光出射領域(10a,10b)から出射される束状に形成された光線群を「光線束」と称する。
【0012】
次に、光源装置100をY方向に向かって見た場合を説明する。図2Bは、図2Aに示す光源装置100を、Y方向から見たときの模式的な図面である。
【0013】
レーザ光源10から出射された複数の光線束は、第一光出射領域10a及び第二光出射領域10bから、一列に整列した状態で出射し、集光レンズ110に入射する。集光レンズ110から出射された複数の光線束は、ファイバ111の入射面111aに向かって集光する。なお、第一光出射領域10aから出射される複数の光線束は、第二光出射領域10bから出射される複数の光線束と同様に列をなして出射されているため、上面視(図2B)においては、第二光出射領域10bから出射される複数の光線束によって隠されている。
【0014】
さらに、集光レンズ110の入射面110aをXY平面で見た場合を説明する。図2Cは、図2Aの集光レンズ110の入射面110aを、レーザ光源10側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。図2Cに示すように、集光レンズ110の入射面110aにおいて、第一光出射領域10aから出射した光線束L10aと、第二光出射領域10bから出射した光線束L10bが、光軸112を中心としてY方向に対称な位置に入射している。図2Cでは、光軸112を中心として、光軸112からの距離が同一である光線束の主光線を結んだ同心円が図示されている。
【0015】
このように集光レンズ110の入射面110aに各光線束(L10a,L10b)が入射すると、図2Cに示すように、光軸112付近には光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域が生じてしまう。
【0016】
集光レンズ110の入射面110aにおいて、光軸112の周辺に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域が生じている光が、集光レンズ110によってファイバ111の入射面111aに向かって集光されると、ファイバ111に入射する光は、ファイバ111の入射面111aにおける入射角θ1が小さい領域に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域が生じた光となってしまう。図2A図2Cの示す構成による角度分布の詳細は、図3の説明において後述される。
【0017】
図3は、ファイバ111の入射面111aにおける光の角度分布を模式的に示すグラフである。図3において、横軸は入射面103における光の入射角θ1に対応し、縦軸は入射角θ1毎の光強度に対応する。図3が示すように、ファイバ111の入射面111aの入射角θ1が小さい領域において、一部に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域が生じてしまう。
【0018】
ファイバ111の入射面111aにおける光の角度分布は、出射面111bにおいても保持される。つまり、ファイバ111の出射面111bにおいても、光が存在する角度範囲において、一部に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域が存在し、照度ムラの原因となってしまう。従って、複数の出射領域を有するレーザ光源を用いると、図2A図2Cに示すような構成の光源装置では、角度分布が均一な光が得られず、照度ムラが発生してしまうことがわかった。
【0019】
ここで、上記課題に鑑み、集光レンズ110の入射面110aにおける光線束の入射位置をずらす方法が考えられる。しかし、上述のように、レーザ光源10の光出射領域(10a,10b)の離間距離を小さくすることには限界がある。従って、いずれか一方の光出射領域(10a,10b)から出射される光線束が、光軸112に近くなるように調整すると、他方の光出射領域(10a,10b)から出射される光線束が、さらに光軸112から離れてしまうこととなる。
【0020】
従って、集光レンズ110の入射面110aにおける光線束の入射位置を調整したとしても、レーザ光源10のそれぞれの光出射領域(10a,10b)の間に一定の離間距離が必要であることから、光が存在する角度範囲において、一部に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域は生じてしまうため、光源装置100から出射される光の照度ムラは解消されない。
【0021】
本発明は、上記の課題に鑑み、複数の出射領域から光を出射する外部共振器型半導体レーザ光源を用いて、角度分布の均一性が向上された光を出射する光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明に係る光源装置は、
波長変換素子を含み、前記波長変換素子によって波長が変換されてなる光を第一光出射領域及び前記第一光出射領域とは異なる第二光出射領域から出射する外部共振器型半導体レーザ光源と、
それぞれの光出射面から同一の照射面に対して光を出射する、円形状の入射面を含む第一光導波路及び第二光導波路と、
前記第一光出射領域から出射された複数の第一光線束を、前記第一光導波路の入射面に集光させる第一集光光学系と、
前記第二光出射領域から出射された複数の第二光線束を、前記第二光導波路の入射面に集光させる第二集光光学系とを備えることを特徴とする。
【0023】
レーザ光源の第一光出射領域から出射された複数の第一光線束は、第一集光光学系の入射面に入射し、レーザ光源の第二光出射領域から出射された複数の第二光線束は、第二集光光学系の入射面に入射する。このような構成とすることで、複数の第一光線束は、第一集光光学系の入射面の任意の位置に入射させることができ、複数の第二光線束は、第二集光光学系の入射面の任意の位置に入射させることができる。
【0024】
光導波路は、入射面から入射された光を、光軸に対する入射角の角度を保持したまま、光軸を中心とした周方向の分布を均一化させて、出射面から入射角と同じ角度の出射で出射する。詳細は、図5Bの説明において後述する。
【0025】
集光光学系の任意の位置に光線束を入射させることで、光導波の入射面に対する入射角の分布を調整することができる。従って、光導波路から出射される光の角度分布を調整することで角度分布の均一性が向上され、照度ムラが抑えられた光を得ることができる。
【0026】
上記光源装置において、
前記第一集光光学系の入射面に入射される前記複数の第一光線束のうちの、前記第一集光光学系の光軸に最も近い位置に入射される第一特定光線束の主光線と前記第一集光光学系の光軸との間隔d1aは、前記第一特定光線束の主光線と前記第一特定光線束に隣接する前記第一光線束の主光線との間隔d1bよりも短く、
前記第二集光光学系の入射面に入射される前記複数の第二光線束のうちの、前記第二集光光学系の光軸に最も近い位置に入射される第二特定光線束の主光線と前記第二集光光学系の光軸との間隔d2aは、前記第二特定光線束の主光線と前記第二特定光線束に隣接する前記第二光線束の主光線との間隔d2bよりも短くても構わない。
【0027】
集光光学系の入射面において、光軸に近い領域に光線束が入射することで、光導波路の入射面における入射角の小さい領域の光を得ることができる。上述の構成とすることで、第一集光光学系の入射面における複数の第一光線束と、第二集光光学系の入射面における複数の第二光線束のいずれも、集光光学系の光軸に近い領域に光線束を入射させることができる。
【0028】
集光光学系の入射面に入射される複数の光線束のうちの、集光光学系の光軸に最も近い位置に入射される特定光線束の主光線と集光光学系の光軸との間隔(d1a,d2a)が、特定光線束の主光線と特定光線束に隣接する光線束の主光線との間隔(d1b,d2b)よりも短くすることで、光導波路の入射面において入射角の小さい光を入射させることができる。光導波路の入射面の入射角が小さい領域の光を得ることができ、より角度分布の均一性が向上され、照度ムラが抑えられた光を得ることができる。
【0029】
上記光源装置において、
前記間隔d1aと前記間隔d2aとの差は、前記間隔d1b又は前記間隔d2bの1/4以上1/2以下であっても構わない。
【0030】
間隔d1aと間隔d2aに間隔d1b又は間隔d2bの1/4以上1/2以下の差をつけることで、第一光導波路から出射される光の角度分布と、第二光導波路から出射される光の角度分布それぞれの光が存在する角度範囲において、一部に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域を相互に補完することができ、より角度分布の均一性が向上され、照度ムラが抑えられた光を得ることができる。
【0031】
上記光源装置において、
前記第一集光光学系は、前記複数の第一光線束のうちの一部が入射されて、前記第一光導波路の入射面上の第一集光領域に集光する第一レンズ部分と、前記複数の第一光線束のうちの別の一部が入射されて、前記第一光導波路の入射面上の前記第一集光領域とは異なる第二集光領域に集光する第二レンズ部分を有し、
前記第一集光光学系の入射面上において、前記第一レンズ部分の光軸と前記第二レンズ部分の光軸との間に、前記複数の第一光線束の中央に位置する光線束の主光線が位置していても構わない。
【0032】
さらに、上記光源装置において、
前記第二集光光学系は、前記複数の第二光線束のうちの一部が入射されて、前記第二光導波路の入射面上の第三集光領域に集光する第三レンズ部分と、前記複数の第二光線束のうちの別の一部が入射されて、前記第二光導波路の入射面上の前記第三集光領域とは異なる第四集光領域に集光する第四レンズ部分を有し、
前記第二集光光学系の入射面上において、前記第三レンズ部分の光軸と前記第四レンズ部分の光軸との間に、前記複数の第二光線束の中央に位置する光線束の主光線が位置していても構わない。
【0033】
半導体レーザ光源は、光を出射する半導体素子(半導体レーザ素子)を有する。この半導体素子は、発光のために電流が流されると内部抵抗によって発熱する。つまり、複数の光線束を出射するように複数の半導体素子が配置されている場合、中央部に配置された半導体素子は、周囲の半導体素子の熱の影響も受けるため、端部に配置された半導体素子に比べて高温になる。
【0034】
半導体素子は、温度が上昇するにつれて、発光に必要な電流量(閾値電流)が大きくなるため、複数の半導体素子を一定の電流値で駆動していると、高温になってしまう中央部の半導体素子が不点灯又は光強度の低下が生じることがある。詳細は、図10の説明において後述する。
【0035】
従って、半導体素子に電流を流して点灯させ、しばらくして半導体素子が高温になると、中央部の半導体素子が不点灯となり、半導体レーザ光源の第一光出射領域及び第二光出射領域から出射される複数の光線束のうち、中央部に位置する光線束が出射されなくなってしまう場合がある。
【0036】
上述の構成とすることで、一部の光線束が発熱によって消灯してしまったとしても、他の光線束によって、光が存在する角度範囲において、一部に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域を相互に補完することができる。従って、レーザ光源の温度が上昇し、各光出射領域から出射される複数の光線束のうち、中央部に位置する光線束の光強度が低下してしまった場合に、光源装置から出射される光の角度分布の均一性が大幅に低下してしまうことを回避できる。
【0037】
上記光源装置において、
前記第一集光光学系と前記第二集光光学系は、結合して一体として構成されていても構わない。
【0038】
上記光源装置において、
前記外部共振器型半導体レーザ光源は、
基本光を発する半導体素子と、
前記半導体素子から見て、前記波長変換素子よりも遠い位置に配置され、前記半導体素子との間で前記基本光の外部共振器を構成すると共に、前記波長変換素子によって前記基本光の波長が変換されてなる変換光を透過させて前記第一光出射領域に導く、波長選択素子と、
前記波長変換素子から前記半導体素子の方向に向けて出射された前記変換光を反射して、前記第二光出射領域に導く、反射部材を備えるものであっても構わない。
【0039】
上記外部共振器型半導体レーザ光源において、
前記半導体素子は、アレイ状に配置された複数の発光部を有し、
前記複数の発光部のそれぞれが前記基本光を出射するものであっても構わない。
【0040】
半導体素子に複数の発光部がアレイ状に形成されていることで、外部共振器型半導体レーザ光源の第一光出射領域及び第二光出射領域から出射される光線束は、集光光学系の入射面において所定の間隔で整列して入射する。従って、入射位置によって角度分布を調整することが容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、複数の光出射領域から光を出射する外部共振器型半導体レーザ光源を用いて、角度分布の均一性が向上された光を出射する光源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1A】外部共振器型半導体レーザ光源の一実施形態を模式的に示す側面図である。
図1B図1Aの半導体素子を光の出射方向から見たときの模式的な図面である。
図2A】レーザ光源と集光レンズ及びファイバで構成された、光源装置を模式的に示すYZ平面視の図面である。
図2B図2Aの光源装置を、Y方向から見たときの模式的な図面である。
図2C図2Aの集光レンズの入射面を、レーザ光源側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。
図3】ファイバの入射面における光の角度分布を模式的に示すグラフである。
図4A】光源装置の一実施形態の構成例を模式的に示すYZ平面視の図面である。
図4B図4Aの光源装置を、Y方向から見たときの模式的な図面である。
図4C図4Aの集光光学系の入射面を、レーザ光源側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。
図5A】YZ平面視において、第一光導波路内を進行する光を模式的に示した図面である。
図5B】XY平面視において、第一光導波路内を進行する光を模式的に示した図面である。
図5C】第一光導波路から出射される光を模式的に示した図面である。
図6図4Aの光源装置が照射する光の角度分布を模式的に示すグラフである。
図7A】光源装置の別実施形態の構成例を模式的に示すXZ平面視の図面である。
図7B図7Aの集光光学系の入射面を、レーザ光源側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。
図8図7Aの光源装置が出射する光の角度分布を模式的に示すグラフである。
図9A】光源装置の別実施形態の構成例を模式的に示すXZ平面視の図面である。
図9B図9Aの集光光学系の入射面を、レーザ光源側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。
図10】外部共振器型半導体レーザ光源の光出力の温度特性を示す図面である。
図11】光源装置の別実施形態における集光光学系の入射面を、レーザ光源側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。
図12】光源装置の別実施形態の構成例を模式的に示すYZ平面視の図面である。
図13A】外部共振器型半導体レーザ光源の別実施形態を模式的に示す側面図である。
図13B図13Aの半導体素子を光の出射方向から見たときの模式的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の光源装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
【0044】
[第一実施形態]
図4Aは、光源装置1の一実施形態の構成例を模式的に示す図面である。図4Aに示すように、光源装置1は、第一光出射領域10aと第二光出射領域10bを有するレーザ光源10と、第一集光光学系11と、第二集光光学系12と、第一光導波路13と、第二光導波路14とを備える。
【0045】
第一集光光学系11は、第一光出射領域10aから出射された複数の光線束(以下、「第一光線束」と呼ぶ。)を、第一光導波路13の入射面13aに集光させる光学系である。第二集光光学系12は、第二光出射領域10bから出射された複数の光線束(以下、「第二光線束」と呼ぶ。)を、第二光導波路14の入射面14aに集光させる光学系である。
【0046】
第一光導波路13は、円形状の入射面13aを有し、第一集光光学系11から前記入射面13aに入射された光を光出射面13bに導光した後、照射面15に対して出射する導光部材である。第二光導波路14は、円形状の入射面14aを有し、第二集光光学系12から入射された光を光出射面14bに導光した後、照射面15に対して出射する導光部材である。すなわち、各光導波路(13,14)は、それぞれの光出射面(13b,14b)から同一の照射面15に対して光を出射する構成である。
【0047】
以下の説明においては、第一光導波路13及び第二光導波路14の入射面(13a,14a)に対して直交するそれぞれの軸を光軸(11c,12c)とする。また、光軸(11c,12c)方向をZ方向とし、Z方向に直交する平面をXY平面とし、入射面13aに対する光の入射角をθ1とする。さらに、各出射領域(10a,10b)において、光線束が整列している方向をX方向とし、各出射領域(10a,10b)が対向している方向をY方向とする。
【0048】
図4Bは、図4Aに示す光源装置1をY方向からみたときの模式的な図面である。図4Bに示すように、レーザ光源10から出射された複数の第二光線束は、第二光出射領域10bから、一列に整列した状態で出射し、第二集光光学系12に入射する。第二集光光学系12から出射された複数の光線束は、第二光導波路14の入射面14aに向かって集光する。
【0049】
なお、図2Bと同様に、第一光出射領域10aから出射される複数の第一光線束は、第二光出射領域10bから出射される複数の第二光線束と同様の列を成して出射されているため、上面視においては、第二光出射領域10bから出射される複数の第二光線束によって隠されている。また、第一集光光学系11及び第一光導波路13は、それぞれ第二集光光学系12と第二光導波路14によって隠されている。
【0050】
第一実施形態において、レーザ光源10は、外部共振器型半導体レーザ光源である。一例として、図1Aを参照して上述した、従来のレーザ光源10と共通の構造を採用することができる。すなわち、図1Aに示すように、レーザ光源10は、基本光を発する半導体素子101と、半導体素子101から見て、波長変換素子104よりも遠い位置に配置され、半導体素子101との間で基本光の外部共振器を構成すると共に、波長変換素子104によって前記基本光の波長が変換されてなる変換光を透過させて第一光出射領域10aに導く波長選択素子116と、波長変換素子104から半導体素子101の方向に向けて出射された変換光を反射して、第二光出射領域10bに導く、反射部材(105,106)とを備える。
【0051】
第一集光光学系11及び第二集光光学系12は、レーザ光源10から出射された光線束が、平坦面に入射し、凸面から出射されるように配置されているが、レーザ光源10から出射された光線束が、凸面に入射し、平坦面から出射されるように配置されていても構わない。
【0052】
図4Cは、図4Aの集光光学系(11,12)の入射面(11a,12a)を、レーザ光源10側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。図4Cに示すように、第一実施形態においては、第一集光光学系11に入射される第一光線束L10aの入射面11a上における中心に対する相対的な入射位置と、第二集光光学系12に入射される第二光線束L10bの入射面12a上における中心に対する相対的な入射位置は同じである。
【0053】
なお、図4Cの例では、それぞれの集光光学系(11,12)の入射面(11a,12a)に入射している各光線束の主光線は、直線上に並ぶように配置されており、各光線束の主光線を結んだ直線の中点が、それぞれの集光光学系(11,12)の光軸(11c,12c)上に位置するように配置されている。
【0054】
また、図4Cでは、光軸(11,12)を中心として、光軸(11,12)からの距離が同一である光線束の主光線を結んだ同心円が図示されている。以下、集光光学系の入射面を図示している図面においても同様に図示される。
【0055】
ここで、第一集光光学系11の入射面11aに入射される複数の第一光線束のうちの、第一集光光学系11の光軸11cに最も近い位置に入射される光線束を「第一特定光線束」と呼ぶことにする。図4Cでは、入射面11aに入射される複数の第一光線束L10aの一例として、4つの光線束(71,72,73,74)が含まれる場合が図示されている。この例では、光線束72又は光線束73が上記第一特定光線束に該当する。ここでは、光線束72を第一特定光線束として取り扱う。
【0056】
そして、第一特定光線束72の主光線と第一集光光学系11の光軸11cとの間隔d1aとする。また、第一特定光線束72の主光線と第一特定光線束に隣接する第一光線束(ここでは、光線束71と光線束73が該当する。)の主光線との間隔を間隔d1bとする。
【0057】
第二集光光学系12についても同様に、第二集光光学系12の入射面12aに入射される複数の第二光線束のうちの、第二集光光学系12の光軸12cに最も近い位置に入射される光線束を「第二特定光線束」と呼ぶことにする。図4Cでは、入射面12aに入射される複数の第二光線束L10bの一例として、4つの光線束(81,82,83,84)が含まれる場合が図示されている。この例では、光線束82又は光線束83が上記第一特定光線束に該当する。ここでは、光線束82を第一特定光線束として取り扱う。
【0058】
そして、第二特定光線束82の主光線と第二集光光学系12の光軸12cとの間隔d2aとする。また、第二特定光線束82の主光線と第二特定光線束に隣接する第二光線束(ここでは、光線束81と光線束83が該当する。)の主光線との間隔を間隔d2bとする。
【0059】
それぞれの集光光学系(11,12)の入射面(11a,12a)において、各光線束(L10a,L10b)が図4Cに示すように配置されることで、間隔d1aが間隔d1bより短くなり、間隔d2aが間隔d2bより短くなる。間隔d1aが間隔d1bより短くなり、間隔d2aが間隔d2bより短くなっていることで、第一光出射領域10a及び第二光出射領域10bから出射され、光導波路(13,14)の入射面(13a,14a)に入射される光は、小さい入射角θ1において光が分布している。
【0060】
ここで、第一光導波路13に入射した光線束が、どのように変換されて出射されるかを説明する。図5Aは、YZ平面視において、第一光導波路13内を進行する光を模式的に示した図面である。図5Aに示すように、第一光導波路13は、入射された光を側面で繰り返し反射させながら、光線を出射面13bへと導く。
【0061】
図5Aでは、模式的に一本の光線のみを表しているが、第一光導波路13には複数の光線束が入射され、光線が、第一光導波路13内に集約されて出射面13bから出射される。
【0062】
次に、光導波路(13,14)内を進行する光を、XY平面で見た場合を説明する。図5Bは、XY平面視において、第一光導波路13内を進行する光を模式的に示した図面である。図5Bに示すように、第一光導波路13に入射した光線束22は、円形である第一光導波路13の内壁面上で反射する。ここで、一定の幅を有する光線束22は、第一光導波路13の円形の内壁面上で反射すると、対向する壁面に向かって、幅が広がりながら進行する。
【0063】
図5Cは、第一光導波路13から出射される光を模式的に示した図面である。上述のように、入射面13aから第一光導波路13内に入射した光線束22は、第一光導波路13の内壁面上で反射を繰り返しながら進行し、やがて第一光導波路13の内壁面の周方向全体にわたって反射しながら進行する光線束22となる。
【0064】
出射面13bに到達した光線束は、光軸13cを中心とした出射角θ2の円環状の光線束22として出射される。第一実施形態においては、第一光導波路13は入射面13aと出射面13bとの間が屈曲しているが、光の入射角θ1は出射面13bまで維持されるため、図5Cに示した構成と同様に、出射面13bから出射角θ2で出射される。
【0065】
第一光導波路13から出射する光が、照度ムラを生じないためには、上述のように、第一集光光学系11の入射面11aにおいて、第一集光光学系11の光軸11cを中心とする同心円上に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域が存在しないように光源や光学系の配置をする必要がある。なお、第二光導波路14に入射した光線束も、第一光導波路13に入射した光線束22と同じように変換されるため、説明は省略する。
【0066】
第一光導波路13から出射される光と、第二光導波路14から出射される光は、上述のように、同一の照射面15に向かって光を出射している。ここで、第一光導波路13及び第二光導波路14の出射面(13b,14b)から出射されて照射面15に照射される光の角度分布は、光導波路(13,14)の入射面(13a,14a)における入射角θ1についての角度分布が保持されているため、第一光導波路13及び第二光導波路14に入射する光の入射角θ1に対する角度分布の足し合わせたものである。
【0067】
図6は、図4Aの光源装置1が出射する光の角度分布を模式的に示すグラフである。図6に示すように、光源装置1は、第一実施形態のような構成とすることで、光導波路(13,14)の入射面(13a,14a)において、小さな入射角θ1においても光が分布し、角度分布の均一性が向上される。すなわち、照度ムラが抑制された光を出射することができる。
【0068】
[第二実施形態]
本発明の光源装置の第二実施形態の構成につき、第一実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0069】
図7Aは、光源装置1の別実施形態の構成例を模式的に示すXZ平面視の図面である。また、図7Bは、図7Aの集光光学系(11,12)の入射面(11a,12a)を、レーザ光源10側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。図7A及び図7Bに示すように、第二実施形態において、第一集光光学系11は、間隔d1aが間隔d1bの1/2となるように配置され、第二集光光学系12は、間隔d2aが0、すなわち、第二特定光線束82の主光線が第二集光光学系12の光軸12cに一致するように配置されている。なお、図7Bでは、間隔d2aは0であるため図示されていない。
【0070】
上述のとおり、光源装置1の出射する光の角度分布は、第一光導波路13から出射される光の角度分布と第二光導波路14から出射される光の角度分布の足し合わせであり、第一光導波路13及び第二光導波路14に入射する光の入射角θ1についての角度分布である。
【0071】
図8は、図7Aの光源装置1が出射する光の角度分布を模式的に示すグラフである。図8に示すように、光源装置1が出射する光の角度分布は、一部に光が存在しない、又は主光線近傍と比較して、極めて光強度の低い領域を相互に補完することになり、角度分布の均一性が向上され、照度ムラが抑制された光を出射することができる。
【0072】
第二実施形態においては、第一集光光学系11は、間隔d1aが間隔d1bの1/2となるように配置され、第二集光光学系12は、間隔d2aが0となるように配置されているが、他にも、第一集光光学系11は、間隔d1aが間隔d1bの1/4となるように配置され、第二集光光学系12は、間隔d2aが0となるように配置されていても構わない。また、必ずしも、間隔(d1a,d2a)の一方が0でなくても構わなく、間隔d1aと間隔d2aとの差が、間隔d1b又は間隔d2bの1/4以上1/2以下であればよい。
【0073】
[第三実施形態]
本発明の光源装置の第三実施形態の構成につき、第一実施形態及び第二実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0074】
図9Aは、光源装置1の別実施形態の構成例を模式的に示すXZ平面視の図面である。また、図9Bは、図9Aの集光光学系12の入射面12aを、レーザ光源10側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。図9A及び図9Bに示すように、第三実施形態において、第一集光光学系11は、第一光導波路13の入射面13a上の第一集光領域16aに集光する第一レンズ部11L、第一集光領域16aとは異なる第二集光領域16bに集光する第二レンズ部11Rを有している。第二集光光学系12は、第二光導波路14の入射面14a上の第一集光領域16aに集光する第三レンズ部12L、第一集光領域16aと異なる第二集光領域16bに集光する第四レンズ部12Rを有している。
【0075】
例えば、第二光導波路14は、第一集光領域16aを一つの入射面とし、第二集光領域16bを別の入射面とした、ファイババンドルとすることができる。第一光導波路13についても同様である。
【0076】
第三実施形態において、第一集光光学系11と第二集光光学系12は同じ構成であり、第一光出射領域10aから出射された複数の第一光線束と、第二光出射領域10bから出射された複数の第二光線束は、それぞれの入射面(11a,12a)に同じように入射する。以下、図9A及び図9Bに基づいて第二光出射領域10bから出射された第二光線束L10bの変換についてのみ説明する。
【0077】
第三実施形態では、図9Bに示すように、入射面12aに入射される複数の第二光線束L10bの一例として、8つの光線束(91,92,93,94,95,96,97,98)が含まれる場合が図示されている。第二光出射領域10bから出射された8つの第二光線束L10bのうち、一部の光線束(91,92,93,94)が、第二集光光学系12の第三レンズ部分12Lに入射し、残りの一部の光線束(95,96,97,98)が、第二集光光学系12の第四レンズ部分12Rに入射される。
【0078】
第三レンズ部分12Lに入射した第二光線束(91,92,93,94)は、第一集光領域16aに集光されて、第二光導波路14に入射する。第四レンズ部分12Rに入射した第二光線束(95,96,97,98)は、第二集光領域16bに集光されて、第二光導波路14に入射する。また、第二集光光学系12の入射面上において、第三レンズ部分12Lの光軸12dと、第四レンズ部分12Rの光軸12eとの間に、8つ第二光線束L10bの中央部に位置する光線束(94,95)が位置している。
【0079】
まず、外部共振器型半導体レーザ光源の光出力に関する温度特性を説明する。図10は、外部共振器型半導体レーザ光源の光出力の温度特性を示す図面である。外部共振器型のレーザ光源10は、図10に示すように、温度が上昇すると光出力が低下する。そのため、一定の駆動電流で点灯させていると、次第に発熱によって温度が上昇し、光出力が低下する。これは、基本光を発する半導体素子101の光出力の温度特性に依存している。
【0080】
第三実施形態におけるレーザ光源10は、図1Bを参照して上述したように、基本光を発する複数の発光部102が一列のアレイ状に並べられている。一列のアレイ状に並べられた発光部102は、発光するための駆動電流が流されると、内部抵抗によって発熱する。アレイ状に配置された発光部102のうち、中央部側に位置する発光部102は、放熱されにくく、周囲の発光部102の熱の影響を受けるため、端部側に位置する発光部102よりも高温となる。
【0081】
従って、発光部102の中央部側に位置する発光部102は、端部側に位置する発光部102よりも光出力が低下しやすく、レーザ光源10内での発振動作が停止しやすい。すなわち、各光出射領域(10a,10b)から出射される各光線束(L10a,L10b)は、中央部側の光線束が出力されなくなってしまう場合がある。
【0082】
図4C図7Bに示すような、第一実施形態や第二実施形態では、中央部側の光線束(72,73,82,83)の光出力が低下、又はこれらが消灯してしまうと、光導波路(13,14)から出力される光は、中央部の光強度が極端に低い、又は中央部の光が欠落した光となってしまう。
【0083】
そこで、図9A及び図9Bに示すような構成とすることで、第三レンズ部分12Lの光軸12dの最も近くに入射されているのは光線束92と光線束93、第四レンズ部分12Rの光軸12eの最も近くに入射されているのは光線束96と光線束97となり、いずれも第二光線束L10bの中央部に位置する光線束(94,95)ではなくなる。
【0084】
同様の理由により、第一集光光学系11を構成する第一レンズ部分11L及び第二レンズ部分11Rについても、それぞれの光軸に最も近い位置に入射される光線束が、第一光線束L10aの中央部に位置する光線束ではなくなる。
【0085】
従って、仮に、発光部102の点灯状態が長時間にわたって継続して使用し、複数の発光部102からのうち、中央部に配置されている発光部102が、温度の上昇によって光出力が低下、又は消灯し、光線束(94,95)が出力されなくなってしまったとしても、光導波路(13,14)から出力される光は、中央部の光強度が極端に低い、又は中央部の光が欠落した光とならない。すなわち、レーザ光源10の温度が上昇し、光線束(94,95)の光強度が低下してしまった場合に、光源装置1から出射される光の角度分布の均一性が大幅に低下してしまうことを回避できる。
【0086】
第三実施形態では、第一集光光学系11と第二集光光学系12は同じ構成であり、第一光出射領域10aから出射された複数の第一光線束と、第二光出射領域10bから出射された複数の第二光線束は、それぞれの入射面(11a,12a)に同じように入射するものとしたが、集光光学系(11,12)の入射面(11a,12a)における入射位置を異ならせるように構成しても構わない。
【0087】
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
【0088】
〈1〉 図11は、光源装置1の別実施形態における集光光学系(11,12)の入射面を、レーザ光源側からZ方向に向かって見たときの模式的な図面である。図11に示すように、第一集光光学系11と第二集光光学系12は、結合して一体として構成されていても構わない。
【0089】
〈2〉 図12は、光源装置1の別実施形態の構成例を模式的に示すYZ平面視の図面である。図12に示すように、第一光出射領域10a又は第二光出射領域10bから出射される光線束は、反射部材(20,21)を用いて任意の位置に導光され、集光光学系(11,12)の入射面(11a,12a)に入射される構成としても構わない。
【0090】
〈3〉 図13Aは、外部共振器型半導体レーザ光源の別実施形態を模式的に示す側面図である。図13Bは、図13Aの半導体素子101を光の出射方向から見たときの模式的な図面である。図13及び図13Bが示すように、半導体素子101に構成された発光部102は、X方向に配置されていても構わない。さらに、X方向とY方向のいずれにおいても複数列を構成するように配置されていても構わない。
【0091】
図1A及び図1Bで示す半導体素子101上に形成された発光部102は、X方向に向かって整列して配置されている。従って、それぞれの光出射領域(10a,10b)から出射されるX方向において整列している複数の光線束は、Y方向において対向するように出射される。
【0092】
図13A及び図13Bで示す半導体素子101上に形成された発光部102は、Y方向に向かって整列して配置されている。従って、光出射領域(10a,10b)から出射される全ての光線束がY方向において整列して出射される。
【0093】
〈4〉 図1A及び図13Aを参照して説明したレーザ光源10は、波長選択素子として、特定の波長帯の光を選択的に反射するVBG103を含む場合を例に挙げて説明した。しかし、特定の波長帯の光を選択する素子(例えば、エタロンフィルタやTFF(Thin Film Filter)等)と、ダイクロイックミラーの組み合わせ等であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 : 光源装置
10 : レーザ光源
11 : 第一集光光学系
11a : 入射面
11c : 光軸
11L : 第一レンズ部
11R : 第二レンズ部
12 : 第二集光光学系
12a : 入射面
12c,12d,12e : 光軸
12L : 第三レンズ部
12R : 第四レンズ部
13 : 第一光導波路
13a : 入射面
13b : 出射面
13c : 光軸
14 : 第二光導波路
14a : 入射面
14b : 出射面
15 : 照射面
16a : 第一集光領域
16b : 第二集光領域
20,21 : 反射部材
22 : 光線束
71,72,73,74 :光線束
81,82,83,84 :光線束
91,92,93,94,95,96,97,98 :光線束
100 : 光源装置
101 : 半導体素子
102 : 発光部
103 : VBG
104 : 波長変換素子
105,106 : 反射部材
110 : 集光レンズ
110a : 入射面
111 : ファイバ
111a : 入射面
112 : 光軸
d1a,d1b,d2a,d2b : 距離
L10a,L10b : 光線束
θ1 : 入射角
θ2 : 出射角
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B