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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】炭酸ガス供給装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 17/04 20060101AFI20221004BHJP
   A01G 9/18 20060101ALI20221004BHJP
   F23L 17/02 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
F23L17/04 605Z
A01G9/18
F23L17/04 606B
F23L17/02 602H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019009252
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2020118352
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山路 啓貴
(72)【発明者】
【氏名】木戸脇 彰
(72)【発明者】
【氏名】廣安 勝
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和則
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-064028(JP,A)
【文献】実開昭49-114749(JP,U)
【文献】実開平6-013438(JP,U)
【文献】実開昭62-025763(JP,U)
【文献】特開2018-109483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 17/04
A01G 9/18
F23L 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の複数の面のうちの1つの面に設けられた給気口および排気口と、
前記筐体に内蔵されて、前記給気口を介して導入された空気を用いて燃料を燃焼する燃焼機構と、
前記筐体の内部において、前記燃焼機構と前記排気口との間に形成される前記燃焼機構からの排気の通路と、
前記筐体の前記1つの面に対して取り付けられるダクトフードとを備え、
前記ダクトフードは、
炭酸ガスの供給先に至るダクトとの接続口と、
前記ダクトフードの内部空間を前記給気口および前記排気口のそれぞれに連通させるための給気側開口および排気側開口とを含み、
前記接続口の中心は、前記排気側開口の中心に対して偏心されている、炭酸ガス供給装置。
【請求項2】
前記接続口は、前記給気側開口と重ならない、請求項1に記載の炭酸ガス供給装置。
【請求項3】
前記ダクトフードは、
前記給気側開口と前記接続口との間に設けられ、前記給気側開口を覆う、カバー部材をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の炭酸ガス供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭酸ガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼装置において、排気ガスの給気口への流入を防ぐための構成が種々提案されている。たとえば、実開昭51-17241号公報(特許文献1)は、給気口が排気口よりも一定距離外界側に位置している燃焼装置を開示する。実開昭61-141544号公報(特許文献2)および実公昭58-18033号公報(特許文献3)は、排気口と給気口とを分離する板体を備える燃焼装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭51-17241号公報
【文献】実開昭61-141544号公報
【文献】実公昭58-18033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記のような燃焼装置は、当該燃焼装置から排出される炭酸ガス(二酸化炭素)の供給装置として利用されている。炭酸ガス供給装置は、炭酸ガスの供給のために他の要素と接続される場合がある。炭酸ガス供給装置が他の要素と接続された場合であっても、当該炭酸ガス供給装置における燃焼の安定性を担保し、これにより、炭酸ガス供給装置が安定的に炭酸ガスを供給するための技術が求められている。
【0005】
本開示は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、炭酸ガス供給装置が安定的に炭酸ガスを供給するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面によれば、筐体と、筐体の複数の面のうちの1つの面に設けられた給気口および排気口と、筐体に内蔵されて、給気口を介して導入された空気を用いて燃料を燃焼する燃焼機構と、筐体の内部において、燃焼機構と排気口との間に形成される燃焼機構からの排気の通路と、筐体の1つの面に対して取り付けられるダクトフードとを備える炭酸ガス供給装置が提供される。ダクトフードは、炭酸ガスの供給先に至るダクトとの接続口と、ダクトフードの内部空間を給気口および排気口のそれぞれに連通させるための給気側開口および排気側開口とを含む。接続口の中心は、排気側開口の中心に対して偏心されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給気口および排気口を共通の内部空間と連通させ、さらに、排気口から接続口に空気が直線的に流れることを回避することにより、給気圧および排気圧の不均衡化が抑制され、これにより、燃焼機構での燃焼の不安定化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置が適用された炭酸ガス供給システムの構成例を示す概略図である。
図2】本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置の内部構成を説明する概略図である。
図3】ダクトフード200の構成例を示す外観図である。
図4】ダクトフード200の上面図である。
図5】排気側開口272から接続口210への炭酸ガスの流れの方向を説明するための図である。
図6】接続口210と給気側開口271の位置関係を説明するための図である。
図7図6の例におけるダクトフード200の上面図である。
図8】ダクトフード200の変形例の構成を示す外観図である。
図9】カバー部材300の構成例を示す外観図である。
図10図9のA方向から見た外観図である。
図11】カバー部材300の平面図である。
図12】炭酸ガス供給装置10がカバー部材300を含む場合の、接続口211と給気側開口271の位置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0010】
[1.炭酸ガス供給システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置が適用された炭酸ガス供給システムの構成例を示す概略図である。
【0011】
図1を参照して、炭酸ガス供給装置10は、燃焼機構等を内蔵する筐体100と、ダクトフード200とを備える。ダクトフード200には、ダクト250との接続口210が設けられる。炭酸ガス供給装置10は、配管181および182を介して、ラジエータ180と接続される。
【0012】
[2.炭酸ガス供給装置の構成]
図2は、本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置の内部構成を説明する概略図である。
【0013】
図2を参照して、炭酸ガス供給装置10は、筐体100に内蔵された、給気ファン130、燃焼機構140、および熱交換器155を備える。炭酸ガス供給装置10は、筐体100の複数の面のうちの1つの面に設けられた、給気筒110および排気筒120をさらに備える。本実施の形態では、給気筒110による開口によって給気口111が形成され、排気筒120による開口によって排気口121が形成される。
【0014】
給気ファン130は、給気口111の近傍に配置される。給気ファン130は、図示しないファンモータを内蔵しており、ファンモータによって回転駆動されることによって、給気口111から外気を吸入する。給気ファン130によって吸入された空気は、燃焼機構140に供給される。
【0015】
燃焼機構140は、代表的には、給気ファン130によって吸入された空気を用いて、燃料(例えば、石油、ガス)を燃焼するバーナによって構成することができる。なお、燃焼機構は、燃料の燃焼によって炭酸ガス(二酸化炭素)を含む排気を発生するものであれば、任意の機器を適用することが可能である。
【0016】
燃焼機構140からの高温の排気は、熱交換器155を通過して、排気口121と接続された排気通路170へ出力される。熱交換器155では、排気と液媒体153との間での熱交換によって、液媒体153の温度を上昇させる一方で、排気の温度を低下させることができる。
【0017】
液媒体153は、循環ポンプ160の作動に応じて、配管181および182と、ラジエータ180(図1)とを含む循環経路内を通流する。これにより、熱交換器155によって温度が上昇した液媒体153は、配管181によってラジエータ180へ送出される。液媒体153は、ラジエータ180を通過することにより温度が低下する。ラジエータ180による温度低下後の液媒体153は、配管182によって熱交換器155へ戻される。このように、液媒体153の放熱体となるラジエータ180を配置することで、熱交換器155による排気温度の低下処理を継続的に実行することが可能となる。なお、ラジエータ180とは異なる放熱体を配置することも可能であり、例えば、ビニールハウス内等に配設された配管を、上記配管181,182および循環ポンプ160と接続することによって、放熱体として用いることも可能である。
【0018】
熱交換器155を通過した排気は、排気通路170を経由して排気口121へ送られる。熱交換器155の通過後であっても、排気の温度は外気の温度よりも高いため、排気をスムーズに出力するためには、排気口121は、筐体100の天面101に設けることが好ましい。給気口111についても、排気口121と同じ面、すなわち天面101に設けられる。排気口121および給気口111を天面101に設けることにより、炭酸ガス供給装置10の設置面積を小さくすることができるため、狭小スペースに炭酸ガス供給装置10を設置する場合に有利である。
【0019】
ダクトフード200は、筐体100の給気口111および排気口121が設けられた面(図2では天面101)に取り付けられる。ダクトフード200の形状は、後ほど図3を用いて説明するが、ダクトフード200は、複数の面(上面205,側面206,および,底面207)を有する。ダクトフード200の上面205には、ダクト250との接続口210が設けられる。
【0020】
再び図1を参照して、接続口210には、ダクト250の一端が接続される。これにより、炭酸ガス供給装置10の排気口121は、ダクトフード200の内部空間を介してダクト250と連通する。
【0021】
ダクト250には、ビニールハウス等の供給先に対して炭酸ガスを送出するための送風ファン255が配置されることが好ましい。ダクト250は、送風ファン255の下流側で複数の出力管260に分岐される。複数の出力管260は、炭酸ガスの供給先であるビニールハウス等に配設される。すなわち、ダクト250からは、当該供給先に至る炭酸ガスの供給経路が形成されている。
【0022】
複数の出力管260を設けることにより、単一の炭酸ガス供給装置10によって複数の供給先に炭酸ガスを供給することができる。さらに、送風ファン255の作動により、各出力管260からは風圧を付与して炭酸ガスを供給することができる。なお、本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置10は、炭酸ガスの供給先が単一であっても同様に適用可能であることについて確認的に記載する。
【0023】
[3.ダクトフードの構成]
(全体構成)
図3は、ダクトフード200の構成例を示す外観図である。
【0024】
図3を参照して、ダクトフード200は、例えば直方体形状を有しており、上面205、側面206および底面207を有する。ダクト250との接続口210は、上面205に設けられる。なお、接続口210についても、排気口121から出力される排気の温度を考慮すると、ダクトフード200の上面205に配置されることが好ましい。
【0025】
直方体形状では、側面206は4個設けられる。側面206の各々には通風口209が形成される。底面207は、ダクトフード200の取り付け時において、筐体100の、給気口111および排気口121が形成された天面101に相対する。なお、各通風口209には、異物侵入防止のための網(図示せず)が取り付けられてもよい。網は、例えば金属製(代表的には、ステンレス製)のメッシュ板を用いて形成することができる。網は通風口209の全面に取り付けることができる。
【0026】
ダクトフード200を筐体100の天面101に取り付けることにより、ダクトフード200には、上面205および側面206によってダクトフード200の外部と区画される内部空間が形成される。
【0027】
ダクトフード200の底面207には、給気口111および排気口121のそれぞれを、ダクトフード200の上記内部空間と連通させるための給気側開口271および排気側開口272が設けられる。これにより、ダクトフード200を筐体100の天面101に取り付けることで、給気口111および排気口121の両方が、共通の内部空間と連通する。これにより、給気口111および排気口121に作用する外部圧力が共通化される。
【0028】
なお、ダクトフード200の底面全体が開口とされてもよい。すなわち、ダクトフード200は底面207を備えていなくてもよい。この場合、図3における形態と同様に、ダクトフード200が筐体100の天面101に取り付けられた状態で、ダクトフード200の内部空間において給気口111および排気口121のそれぞれによって占められる位置が、ダクトフード200における給気側開口271および排気側開口272のそれぞれのの位置に相当する。
【0029】
給気口111および排気口121の間で外部圧力が不均衡になると、給気圧力および排気圧力の不均衡化により、筐体100の内部、特に、燃焼機構140での圧力が適正値よりも上昇または低下することで燃焼状態が不安定になることが懸念される。特に、送風ファン255が設けられたダクト250を排気筒120(排気口121)のみと接続するような構成とすると、外部圧力の不均衡が顕著になることが懸念される。
【0030】
これに対して、本実施の形態に係る炭酸ガス供給装置10によれば、給気口111および排気口121の両方を、ダクトフード200の内部空間に共通に連通させることにより、燃焼機構140での燃焼の不安定化を抑制する給排気構成を実現することができる。
【0031】
また、ダクトフード200の内部空間において、通風口209から導入された外気と、排気口121から出力された排気との混合気を、接続口210からダクト250へ供給することができる。この結果、ダクト250を経由して各出力管260から供給される炭酸ガスの過高温を防止できる。
【0032】
その一方で、給気口111および排気口121が筐体100の同じ面(図1では天面101)に配置されているため、排気口121から出力された排気が給気口111に吸い込まれることが懸念される。給気口111に吸い込まれた排気が給気ファン130を経由して燃焼機構140に送られることで、燃焼機構140における燃焼状態が悪化することが懸念される。
【0033】
また、給気口111が筐体100の天面101に配置されているため、雨水等の水分がダクトフード200または天面101にかかると、給気口111から水分が浸入することで給気ファン130等、筐体100に内蔵された部品が故障することが懸念される。なお、排気口121も給気口111と同様に筐体100の天面101に配置されているが、排気口121には水分によって故障するような部品が配置されていない。また、仮に水分が浸入しても、高温の排気によって水分が蒸発し得る。よって、排気口121への水分の浸入の影響は少ないといえる。
【0034】
(接続口と排気側開口の配置)
図4は、ダクトフード200の上面図である。図4を参照して、ダクトフード200における、接続口210と排気側開口272の位置関係について説明する。
【0035】
図4において、点C1,径D1は、それぞれ、水平面における排気側開口272の中心点,半径を表す。点C2,径D2は、それぞれ、水平面における接続口210の中心点,半径を表す。図4に示されるように、水平面(図4のXY平面)において、点C2は点C1とは異なる位置にある。すなわち、接続口210の中心点は、排気側開口272の中心点に対して偏心されている。なお、図4に示された例では、接続口210、給気側開口271、および、排気側開口272のそれぞれの断面形状は、円形であるが、これに限定されない。楕円または多角形などのいかなる形状であってもよい。
【0036】
図5は、排気側開口272から接続口210への炭酸ガスの流れの方向を説明するための図である。図5において、矢印AR1は、炭酸ガスの流れの一例を表す。接続口210の中心点は、排気側開口272の中心点に対して偏心されている。これにより、矢印AR1の少なくとも一部は、鉛直方向に対して傾きを有する。すなわち、排気側開口272から接続口210への炭酸ガスの流れの方向が、鉛直方向に沿うものではなく、鉛直方向に対して傾きを有することになる。
【0037】
排気側開口272から接続口210への炭酸ガスの流れの方向が鉛直方向に対して傾きを有する場合、当該流れの鉛直方向に沿う場合と比較して、排気側開口272から排出された炭酸ガスが、接続口210に導入される前に、ダクトフード200内で空気と混合されやすくなる。これにより、ダクト250に高温の炭酸ガスが供給されることによって送風ファン255が故障する事態が回避され得る。
【0038】
図6は、接続口210と給気側開口271の位置関係を説明するための図である。図7は、図6の例におけるダクトフード200の上面図である。図6および図7には、接続口210より大きい径を有する開口の一例として仮想的に記載された接続口211が示される。接続口210の左端と接続口211の左端とは同じ位置にある。右端210R,211Rは、接続口210,211のそれぞれの右端を表す。
【0039】
図6において線E1は、給気側開口271の左端の位置を模式的に示す。水平面において、右端210Rは、給気側開口271の左端よりも左側に位置する。すなわち、接続口210は、水平面(図4および図6のXY平面)において、給気側開口271と重なりを持たない。これにより、接続口210と給気側開口271とは、鉛直方向の軸(図4および図6のZ軸)を共有しない。これにより、排気側開口272から接続口210へと炭酸ガスが導入される際に、排気側開口272から排出される炭酸ガスが給気側開口271へと導かれることが回避される。
【0040】
一方、右端211Rは、給気側開口271の左端よりも右側に位置する。すなわち、接続口211は、水平面において給気側開口271と重なりを持つ。矢印AR2は、排気側開口272から接続口211へ炭酸ガスが導入される際に想定される流れを表す。図6には、比較として、図5に示された矢印AR1(排気側開口272から接続口210へ炭酸ガスが導入される際に想定される流れ)が示される。
【0041】
矢印AR1と比較して、矢印AR2は、より給気側開口271に近い場所を通る。これにより、排気側開口272(排気筒120)から排出される炭酸ガスが、給気側開口271(給気筒110)を介して燃焼機構140へと吸い込まれる可能性が高くなる。図6では、このような炭酸ガスの流れ(ショートサイクル)が矢印AR3によって示される。
【0042】
また、「接続口210」が「接続口211」に置き換えられると、給気側開口271(給気筒110)から燃焼機構140へ導入されるべき空気が、接続口211からダクト250へ導入される可能性も高くなる。
【0043】
以上より、図6および図7に示された例において「接続口210」が「接続口211」に置き換えられると、燃焼機構140へ十分な空気が導入されず、これにより、燃焼機構140の燃焼性が低下するおそれがある。したがって、一実施の形態では、接続口210は、水平面において給気側開口271と重なりを持たないように構成されてもよい。
【0044】
[4.カバー部材]
図8は、ダクトフード200の変形例の構成を示す外観図である。
【0045】
図8の例では、炭酸ガス供給装置10は、給気口111を覆うカバー部材300をさらに含む。カバー部材300は、給気口111および排気口121とともに、ダクトフード200の内部空間に配置される。カバー部材300は、排気口121から出力される排気の侵入および、ダクトフード200外部からの水分の浸入を抑制しつつ、給気口111から外気の吸入が可能に構成される。以下、図9および図10を用いて、カバー部材300の構成について詳細に説明する。
【0046】
図9は、カバー部材300の構成例を示す外観図である。なお、図9の外観図では、ダクトフード200の図示が省略されている。図10は、図9のA方向から見た外観図である。図11は、カバー部材300の平面図である。
【0047】
図9および図10を参照して、カバー部材300は、給気筒110の周囲に設けられる。カバー部材300は、上面301および側面302,303を有する。カバー部材300は、例えばステンレス鋼などで形成される。
【0048】
上面301は、給気筒110の上方に設けられる。図10に示すように、上面301は、給気筒110の端部から上方に離間して配置される。図11に示すように、上面301は、筐体100の天面101から見た平面視において、給気口111と重なるように配置される。給気口111の全面を覆うように上面301を配置することで、給気口111への水分の浸入を効果的に防ぐことができる。
【0049】
図9の例では、カバー部材300の上面301は筐体100の天面101およびダクトフード200の底面207と略平行となるように配置されている。ただし、上面301は、平面視において給気口111と重なっていれば、必ずしも天面101および底面207と平行に配置されていなくてもよい。
【0050】
側面302は、給気筒110および排気筒120の間に、天面101から起立するように配置される。図9の例では、側面302は矩形状を有しており、給気筒110および排気筒120の延びる方向(図9では上下方向)と同じ方向(すなわち、上下方向)に延びるように配置される。
【0051】
側面303は、ダクトフード200の側面206に取り付けされる。例えば、側面303をねじ等の締結部材によって側面206に取り付けることにより、ダクトフード200の底面207にカバー部材300が固定される。
【0052】
側面302を給気筒110および排気筒120の間に配置することにより、排気筒120から出力された排気が給気筒110に至る経路を遮断することができる。図10に示すように、カバー部材300は、給気筒110を挟んで側面302と反対側には側面を有しておらず、開口された状態となっている。このような構成とすることにより、外気は、カバー部材300の開口部分および、上面301と給気筒110の端部との間の隙間を通じて、給気筒110に導かれることになる。すなわち、排気筒120とは反対側から給気筒110に向けて外気が導かれる。これにより、給気口111への排気の侵入を抑制することができる。
【0053】
なお、給気筒110の端部と上面301との間隔(図中の長さLに相当)を狭くすると、給気口111に水分が浸入しにくくなる一方で、給気抵抗が高くなるため、給気が不足して燃焼状態の悪化を招いてしまう。そのため、給気筒110の端部と上面301との間隔は、実験またはシミュレーションによって、水分の浸入を抑制しつつ、給気抵抗の増大を抑制し得る適当な長さに設定することが好ましい。
【0054】
図10に示すように、側面302には、側面302を貫通するように通風口305が形成される。これにより、カバー部材300の開口部分からカバー部材300の内部に導かれた外気は、給気筒110に吸入されるとともに、通風口305を通じてカバー部材300の外部(すなわち、排気筒120側)に流れる経路が形成される。このように側面302に通風口305を設けることによって、ダクトフード200の通風口209から給気筒110に向けて導入された外気がカバー部材300の内側で滞留することを防ぐことができる。その結果、カバー部材300を設けたことによって給気口111および排気口121の間の外部圧力の均衡が崩れることを防止できる。
【0055】
また、カバー部材300の内部に導かれた外気に排気が含まれている状況であっても、外気とともに排気は通風口305からカバー部材300の外側(排気筒120側)に出力され得る。したがって、カバー部材300の内部に排気が留まることがないため、給気口111に排気が吸入されることを抑制できる。
【0056】
なお、通風口305は、排気筒120から見て給気筒110よりも離れた位置に形成することが好ましい。具体的には、側面302上において、排気筒120と通風口305との間の距離ができるだけ長くなる位置に通風口305を形成することが好ましい。このようにすると、排気筒120から出力された排気が、通風口305を通じて直接的にカバー部材300の内部に導かれることを抑制することができる。
【0057】
さらに、通風口305は、排気筒120側から側面302を見た場合に、給気筒110と重ならないように配置することが好ましい。本構成例では、図11に示すように、排気筒120側から側面302を見た場合、通風口305の開口端と、給気筒110の側面とが重なる位置に、通風口305が配置されていない。通風口305の開口面積が大きくなるに従って、排気筒120から出力された排気が通風口305を通じてカバー部材300の内部に流れ込み、給気筒110に吸入されやすくなる。給気筒110と通風口305とが重ならないように通風口305を配置することで、排気筒120から出力された排気が通風口305を通じてそのまま給気筒110に廻り込むことを抑制できる。
【0058】
また、通風口305の給気筒110の延びる方向における長さ(すなわち、通風口305の高さ)は、給気筒110の延びる方向における長さ(すなわち、給気筒110の高さ)以下であることが好ましい。通風口305の高さが給気筒110の高さよりも高くなると、排気筒120から出力された排気が通風口305を通じてそのまま給気筒110に廻り込みやすくなるためである。
【0059】
図10を参照して、給気筒110の端面には、蓋部材112が取り付けられている。蓋部材112は、給気口111の開口径を調整するために設けられる。具体的には、図11を参照して、蓋部材112は、中心が開口した円盤形状を有する。給気筒110の開口径をφB1とし、蓋部材112の開口径をφB2とすると、φB1>φB2の関係が成り立つ。また、排気筒120の端面の開口径をφAとすると、φA>φB2の関係が成り立つ。すなわち、蓋部材112を設けることで、給気筒110の端面の開口径を排気筒120の端面の開口径よりも小さくすることができる。
【0060】
このように蓋部材112を用いて給気筒110の開口径および排気筒120の開口径の少なくとも一方を調整することにより、筐体100内部の通気抵抗を調整することができる。なお、蓋部材112は給気筒110の端面に設けることが好ましい。蓋部材112を排気筒120の端面に設けることによっても通気抵抗を調整することができるが、排気筒120に蓋部材112を設けると、燃焼機構140の着火動作時のような内部圧力の変動が大きいときに、蓋部材112が排気抵抗となり、異音が発生する場合があるためである。
【0061】
排気筒120および給気筒110の形状は一例であり、円筒状以外の形状、例えば直方体状、または楕円筒状の形状とすることも可能である。カバー部材300についても、その形状は一例である。これらの場合にも、給気筒110の上方に給気口111を覆うように設けられた面(第1の面)と、給気筒110および排気筒120の間に起立する面(第2の面)とを有するようにカバー部材300を設けることにより、同様の効果を享受することができる。
【0062】
筐体100に対する排気筒120および給気筒110の取り付け面についても、天面101以外の側面とすることも可能である。この場合、筐体100に対するダクトフード200の取り付け面も、当該側面とすることが可能である。ダクト250に送風ファン255が配置されることで、筐体100の側面に排気筒120、給気筒110およびダクトフード200を取り付けても、接続口210から炭酸ガスが含まれた空気を吸引してビニールハウス等へ供給することができる。
【0063】
図12は、炭酸ガス供給装置10がカバー部材300を含む場合の、接続口211と給気側開口271の位置関係を説明するための図である。
【0064】
図12に示されるように、カバー部材300によって、ショートサイクル(図6の矢印AR3)、および、給気側開口271から燃焼機構140へ導入されるべき空気のダクト250への導入が抑制され得る。すなわち、接続口211が水平面において給気側開口271と重なりを持っても、それによって想定される燃焼機構140の燃焼性の低下は、カバー部材300によって抑制され得る。
【0065】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0066】
10 炭酸ガス供給装置、100 筐体、101 天面、110 給気筒、111 給気口、112 蓋部材、120 排気筒、121 排気口、130 給気ファン、140 燃焼機構、153 液媒体、155 熱交換器、160 循環ポンプ、170 排気通路、180 ラジエータ、181,182 配管、200 ダクトフード、205,301 上面、206,302,303 側面、207 底面、209,305 通風口、210,211 接続口、250 ダクト、255 送風ファン、260 出力管、271 給気側開口、272 排気側開口、300 カバー部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12