(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】制御弁アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20221004BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
F02M25/08 311G
F16K27/00 B
(21)【出願番号】P 2019019924
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2018085240
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592056908
【氏名又は名称】浜名湖電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】白井 浩介
(72)【発明者】
【氏名】河村 祐一郎
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227972(JP,A)
【文献】特開2015-218799(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0311602(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0326337(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャニスタ(16)から脱離された蒸発燃料がエンジン(22)に向けて流通する蒸発燃料通路に設置される制御弁アセンブリ(8;108;208;308;408;508;608;708;808;908;1008)であって、
ハウジング内通路を開閉するための弁体(43)を駆動する電磁コイル部(42)を内蔵したハウジング(40)と、
前記ハウジング内通路に向かう蒸発燃料が流通する流入通路が形成された流入部(63;163;406a;506a;606a)と前記ハウジング内通路から流出した蒸発燃料が流通する流出通路が形成された流出部(61,62;406e)とを有し、前記ハウジングに連結されている流入出用部材(6;106;206;306;406;506;606;706;806)と、
を備え、
前記流出部における前記流出通路と前記流入部における前記流入通路は、前記ハウジング内通路を介して連通するように区画形成されている制御弁アセンブリ。
【請求項2】
前記弁体が着座する弁座(41b)と、前記流入通路に連通する第1通路(41e)と、前記流出通路に連通する第2通路(410)とを有し、前記ハウジングと前記流入出用部材との間に介在して前記ハウジングと前記流入出用部材とに結合した中間部材(41)を備える請求項1に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項3】
前記流入出用部材の内部には、前記流入出用部材における前記流入通路と前記中間部材における前記第1通路との間に上流側チャンバ室(506a1)が設けられており、
前記上流側チャンバ室は、通路横断面積が前記流入通路と前記第1通路のそれぞれよりも大きく形成されている請求項2に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジングの内部には、前記上流側チャンバ室との間に前記第1通路が存在するようにハウジング側チャンバ室(45a)が設けられており、
前記ハウジング側チャンバ室は、通路横断面積が前記第1通路よりも大きく形成されている請求項3に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項5】
前記流入出用部材は、前記流入通路の出口部(60b)と前記流出通路の入口部(60c)とを仕切る仕切り部(60d)を備え、
前記ハウジングに対する前記流入出用部材の軸心周りの接続位置に応じて、前記流入通路の前記出口部と前記ハウジング内通路の一端側とを接続し前記流出通路の前記入口部と前記ハウジング内通路の他端側とを接続する第1接続状態と、前記流入通路の前記出口部と前記ハウジング内通路の前記他端側とを接続し前記流出通路の前記入口部と前記ハウジング内通路の前記一端側とを接続する第2接続状態と、の両方の接続状態を実施可能となるように、前記仕切り部は前記流入出用部材に設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項6】
前記流入出用部材には、前記仕切り部の両側に形成された第1室と第2室とが設けられ、
前記第1室には前記流入通路の前記出口部が開口し、前記第2室には前記流出通路の前記入口部が開口している請求項5に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項7】
前記流入出用部材とは別部品であって前記流出部に装着された管状部材(7)を備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項8】
前記流入出用部材には、前記流入出用部材に対して着脱可能な係合部(64)を有した別部品でありかつ配管を接続可能である、キャニスタ側連結部材(406d)とエンジン側連結部材(406h;406i;406j)とが連結されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項9】
前記エンジン側連結部材は、前記配管を接続可能な2個の管状部(406h2,406h3)を備え、
2個の前記管状部は、対向する位置に設けられている請求項8に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項10】
前記エンジン側連結部材は、前記配管を接続可能な2個の管状部(406h2,406h3)を備え、
2個の前記管状部は、通路軸が交差するように設けられている請求項8に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項11】
前記流出部に形成された前記流出通路に設置された逆止弁装置(3)をさらに備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項12】
前記流入出用部材は、前記流出部としての第1の流出部と第2の流出部とを有しており、
前記第1の流出部の内部に設置された逆止弁装置(3)と、
前記第2の流出部に装着された蓋部材(9)と、
をさらに備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項13】
前記流入出用部材は、前記流出部としての第1の流出部と第2の流出部とを有しており、
前記第1の流出部の内部に設置された第1の逆止弁装置(3)と、
前記第2の流出部の内部に設置された第2の逆止弁装置(5)と、
をさらに備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項14】
前記流入出用部材は、前記流出部としての第1の流出部と第2の流出部とを有しており、
前記第1の流出部と前記第2の流出部は対向する対向関係にあり、
前記流入部は前記第1の流出部と前記第2の流出部とが対向する対向方向に対して交差する方向に延びている請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項15】
前記流入出用部材は、前記流出部としての第1の流出部と第2の流出部とを有しており、
前記第1の流出部と前記第2の流出部は互いに交差する方向に延びる交差関係にあり、
前記流入部は前記第1の流出部と前記第2の流出部のいずれかに対して沿うように延びている請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【請求項16】
前記蒸発燃料通路の圧力を検出するための圧力検出用ポート(501)を備える請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の制御弁アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、エンジンに向けて蒸発燃料が流通する蒸発燃料通路に設けられた制御弁アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料タンクからキャニスタを経由してエンジン吸気管に向けて延びる蒸発燃料通路に流量制御用電磁弁を設置することが記載されている。流量制御用電磁弁は、弁体を駆動する電磁駆動部を内蔵する第1ハウジングを備えている。第1ハウジングには、ハウジング軸方向に直交する方向に延びる燃料流入パイプが一体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料流入パイプの向きや形状が異なるような流量制御用電磁弁を蒸発燃料通路に搭載したい場合には、その仕様に適合したハウジングを新規に準備しなければならない。
【0005】
また車両側の要求や仕様は様々であるため、パージ制御弁に連結すべき部品の種類、数量、接続ポートの形状や向き等が多岐にわたることになる。このため、パージ制御弁のハウジングを各仕様に適合したものに個別に設計しなければならないという問題がある。
【0006】
この明細書における開示の目的は、蒸発燃料通路において制御弁に連結する通路の向き等を選択可能とする制御弁アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
開示された制御弁アセンブリの一つは、キャニスタ(16)から脱離された蒸発燃料がエンジン(22)に向けて流通する蒸発燃料通路に設置される制御弁アセンブリ(8;108;208;308;408;508;608;708;808;908;1008)であって、
ハウジング内通路を開閉するための弁体(43)を駆動する電磁コイル部(42)を内蔵したハウジング(40)と、
ハウジング内通路に向かう蒸発燃料が流通する流入通路が形成された流入部(63;163;406a;506a;606a)とハウジング内通路から流出した蒸発燃料が流通する流出通路が形成された流出部(61,62;406e)とを有し、ハウジングに連結されている流入出用部材(6;106;206;306;406;506;606;706;806)と、を備え、
流出部における流出通路と流入部における流入通路は、ハウジング内通路を介して連通するように区画形成されている。
【0009】
この制御弁アセンブリは、弁体を駆動する電磁コイル部を内蔵したハウジングと、蒸発燃料の流入部と流出部とを有しハウジングとは別部品である流入出用部材とを連結する構成を備えている。この構成によれば、流入部や流出部の向き等を変更した流入出用部材を準備するだけで、車両側の仕様等に適合する制御弁アセンブリを提供できる。以上により、この開示によれば、蒸発燃料通路において制御弁に連結する通路の向き等を選択可能とする制御弁アセンブリが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態のパージ制御弁を搭載可能な蒸発燃料処理システムを示した概要図である。
【
図2】第1実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図3】第1実施形態の制御弁アセンブリを示した断面図である。
【
図6】第2実施形態の制御弁アセンブリを示した断面図である。
【
図7】第3実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図8】第4実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図9】第5実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図10】第5実施形態の制御弁アセンブリを示した断面図である。
【
図11】第6実施形態の制御弁アセンブリを示した分解図である。
【
図12】第6実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図13】第7実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図14】第8実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図15】第9実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図16】第9実施形態の制御弁アセンブリを示した断面図である。
【
図17】第10実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図18】第11実施形態のパージ制御弁を搭載可能な蒸発燃料処理システムを示した概要図である。
【
図19】第11実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【
図20】第12実施形態の制御弁アセンブリを示した断面図である。
【
図21】第13実施形態の制御弁アセンブリを示した断面図である。
【
図22】第14実施形態のパージ制御弁を搭載可能な蒸発燃料処理システムを示した概要図である。
【
図23】第14実施形態の制御弁アセンブリを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態について、
図1~
図5を参照しながら説明する。
図1に示す蒸発燃料処理システムは、キャニスタ16に吸着した燃料中のHCガス等をエンジン22の吸気通路に供給するものであり、燃料タンク14からの蒸発燃料が大気に放出されることを防止するシステムでもある。この蒸発燃料処理システムは、蒸発燃料通路を形成する各種の構成部品を連結した制御弁アセンブリ8を備えている。制御弁アセンブリ8は、少なくともパージ制御弁4を有している。各種の構成部品は、蒸発燃料通路に設置される、逆止弁等の機能部品、通路を形成する管、継手、蓋部材その他の通路壁部材を含んでいる。制御弁アセンブリ8は、パージ制御弁4を構成するハウジング40と、ハウジング40と結合する中間部材41と、中間部材41と結合する流入出用部材6と、を少なくとも備えて形成されている。ハウジング40と中間部材41と流入出用部材6のそれぞれは、樹脂により形成されている。
【0013】
エンジン22の吸気系1に導入された蒸発燃料は、インジェクタ等からエンジン22に供給される燃焼用燃料と混合されてエンジン22のシリンダ内で燃焼される。エンジン22の吸気系1は、エンジン22の吸気マニホールド20にスロットルバルブ21を介して吸気管10の一端側が接続され、さらに吸気管10の途中にフィルタ13、過給機12、インタークーラ11等が設けられて構成されている。蒸発燃料パージ系2は、燃料タンク14、キャニスタ16が、配管15、配管17、中継配管19、配管18を介して吸気マニホールド20に接続されて形成されている。
【0014】
フィルタ13は、吸気管10の最上流部に設けられ、吸気中の塵や埃等を捕捉する。過給機12は、吸気の充填効率を高めるための吸気用圧縮機によって構成され、フィルタ13よりも下流側である吸気マニホールド20側に設けられている。過給機12は、エンジン22の排気エネルギーによって作動されるタービンに連動するコンプレッサを備える。過給機12のコンプレッサは、フィルタ13を通過した吸気を加圧して吸気マニホールド20に供給する。
【0015】
インタークーラ11は冷却用の熱交換器である。インタークーラ11は過給機12よりも下流に設けられる。インタークーラ11では、過給機12によって加圧された吸気と外気との間で熱交換が行われて吸気が冷却される。スロットルバルブ21は、アクセルペダルと連動して吸気マニホールド20の入口部における開度を調節して、吸気マニホールド20内に流入される吸気量を調節する吸気量調節弁である。吸気は、フィルタ13、過給機12、インタークーラ11、スロットルバルブ21を順に通過して吸気マニホールド20内に流入し、インジェクタ等から噴射される燃焼用燃料と所定の空燃比となるように混合されてシリンダ内で燃焼される。
【0016】
燃料タンク14は、ガソリン等の燃料を貯留する容器である。燃料タンク14は、配管15によってキャニスタ16の流入部16aに接続されている。キャニスタ16は、内部に活性炭等の吸着材が封入された容器であり、燃料タンク14内で発生する蒸発燃料を、配管15を介して流入部16aから取り入れ、吸着材に一時的に吸着する。キャニスタ16には、外部の新鮮な空気を吸入するための吸入部16bが設けられている。キャニスタ16が吸入部16bを備えることにより、キャニスタ16内には大気圧が作用する。キャニスタ16は、吸入された新鮮な空気によって吸着材に吸着した蒸発燃料を容易に離脱することができる。
【0017】
吸入部16bには、例えばバルブモジュールが一体に設けられている。バルブモジュールは、外部の新鮮な空気を吸入するための吸入部を開閉するキャニスタクローズバルブと、大気に対してガスを放出したり、大気を吸入したりすることが可能な内部ポンプと、を内蔵している。キャニスタ16がキャニスタクローズバルブを備えることによれば、キャニスタ16内に大気圧を作用させることができる。キャニスタ16は、吸入された新鮮な空気によって吸着材に吸着した蒸発燃料を容易に脱離可能、すなわちパージすることができる。
【0018】
キャニスタ16には、吸着材から離脱された蒸発燃料が流出される流出部16cが設けられている。流出部16cには配管17の一端側が接続される。配管17の他端側は、パージ制御弁4の流入部に接続されている。ここで、配管17内の通路は、パージ制御弁4に対して燃料が流入する燃料流入通路とも称する。パージ制御弁4と第1の逆止弁装置3は、中継配管19によって接続される構成により連通している。第1の逆止弁装置3の流出側は、配管18の一端側に接続されている。ここで、配管18内の通路は、パージ制御弁4から流出した燃料が通る燃料流出通路とも称する。配管18の他端側は吸気マニホールド20の流入部に接続されている。
【0019】
パージ制御弁4は、蒸発燃料通路を開閉する開閉手段であり、キャニスタ16から流出する蒸発燃料をエンジン22へ供給することを許可および阻止できる。パージ制御弁4は、
図3に示すように、弁体43と、コイル部、スプリング44等を含む電磁コイル部42とを備えている。パージ制御弁4は、コイル部に通電されたときに発生する電磁力とスプリング44の付勢力とのバランスに応じて弁体43を駆動することによって、蒸発燃料通路を開閉する。
【0020】
パージ制御弁4は、ハウジング内通路を形成するハウジング40を備える。パージ制御弁4は、通常は蒸発燃料通路をなすハウジング内通路を閉じた状態を維持し、コイル部に通電が行われると、電磁力がスプリング44の弾性力に打ち勝って、弁体43が弁座41bから離間してハウジング内通路を開いた状態にする。制御装置は、通電のオン時間とオフ時間とによって形成される1周期の時間に対するオン時間の比率、すなわちデューティ比を制御してコイル部に通電を行う。パージ制御弁4は、デューティコントロールバルブともいう。この通電制御により、ハウジング内通路を流通する蒸発燃料の流量は調節される。
【0021】
第1の逆止弁装置3は、キャニスタ16から吸気管10に至る蒸発燃料通路であって、パージ制御弁4と吸気マニホールド20との間に設置された弁である。第1の逆止弁装置3は、蒸発燃料通路において、燃料流入通路(中継配管19内の通路)から燃料流出通路(配管18内の通路)への蒸発燃料の本来の流通を許容し、燃料流出通路から燃料流入通路への蒸発燃料の逆流を阻止する。第1の逆止弁装置3は、蒸発燃料の本来の流通に伴って流路を開き、蒸発燃料の逆流に伴って流路を閉じるように動作する弁体30を備える。
【0022】
分岐配管19aが内部に形成する分岐通路は、中継通路、すなわち、パージ制御弁4と第1の逆止弁装置3との間の通路部位から分岐する通路である。第1の逆止弁装置3は、分岐通路へ分岐する分岐点と燃料流出通路との間に設置された逆流防止用の弁である。分岐通路の下流端は、過給機12よりも上流側に位置する配管に接続されている。蒸発燃料処理システムは、分岐配管19aを備えることにより、パージ制御弁4を通過した蒸発燃料を過給機12よりも上流の通路に導入することができる。
【0023】
第2の逆止弁装置5は、分岐通路に設置された逆流防止用の弁である。第2の逆止弁装置5は、分岐通路において、中継通路から過給機12よりも上流の通路への蒸発燃料の本来の流通を許容するとともに、中継通路への蒸発燃料の逆流を阻止することができる。第2の逆止弁装置5は、分岐通路において流路を開き、蒸発燃料の逆流に伴って当該流路を閉じるように動作をする弁体50を備える。
【0024】
車両の走行時に過給機12が作動していない場合(通常パージ)には、制御装置によってパージ制御弁4が開くと、ピストンの吸入作用によって発生する吸気マニホールド20内の負圧とキャニスタ16にかかる大気圧との差が生じる。この圧力差によって、キャニスタ16内に吸着された蒸気燃料は、燃料流入通路、パージ制御弁4、中継通路、第1の逆止弁装置3、燃料流出通路を流れ、吸気マニホールド20内に吸引される。
【0025】
吸気マニホールド20内に吸引された蒸発燃料は、インジェクタ等からエンジン22に供給される本来の燃焼用燃料と混合されて、エンジン22のシリンダ内で燃焼される。また、エンジン22のシリンダ内においては、燃焼用燃料と吸気との混合割合である空燃比が予め定めた所定の空燃比となるように制御される。制御装置は、パージ制御弁4の開閉時間をデューティ制御することで、蒸発燃料をパージしても、所定の空燃比が維持されるように蒸発燃料のパージ量を調節する。
【0026】
車両の走行時に過給機12が作動している場合(過給時パージ)には、吸気マニホールド20内は加圧された吸気によって正圧となる。このため、パージ制御弁4を通過してエンジン22に蒸発燃料量を供給することができなくなる。さらに、この正圧時には、蒸発燃料が逆流して蒸発燃料が大気中に放出されることがある。この逆流を防止するために第1の逆止弁装置3が設けられている。
【0027】
さらに過給時パージの際にパージ制御弁4が開くと、キャニスタ16内に吸着された蒸気燃料は、燃料流入通路、パージ制御弁4を流れ、中継通路から第2の逆止弁装置5を通過して分岐通路を流下し、過給機12よりも上流の通路に供給される。このように過給機12よりも上流側に供給された蒸発燃料は、吸気管10を介して吸気マニホールド20内に至り、インジェクタ等からエンジン22に供給される本来の燃焼用燃料と混合されてエンジン22のシリンダ内で燃焼される。
【0028】
ハウジング40は、一端側に底部を有し、一端側とは反対側である他端側に開口部40cを備えるカップ状体である。開口部40cは、トラック形状である。ハウジング40は、ハウジング内通路を開閉するための弁体43と、弁体43を駆動するための電磁コイル部42とを収容している。ハウジング40は、ハウジング40の底部において、電磁コイル部42が設置されている一方側とは反対側にハウジング側チャンバ室45aを形成している。ハウジング40の内部には、ハウジング内通路において電磁コイル部42よりもハウジング側チャンバ室45a寄りにフィルタ46が設けられている。ハウジング側チャンバ室45aは、フィルタ46と開口部40cとの間に形成されているハウジング内通路の一部である。ハウジング側チャンバ室45aは、電磁コイル部42を収容する部分とは反対側におけるハウジング40の一部であるチャンバ形成部45の内部空間である。
【0029】
ハウジング40は、電磁コイル部42が設置されている一方側において外方に延びるコネクタ40bを備えている。コネクタ40bは、コイル部に通電するためのターミナル40b1を内蔵し、ターミナル40b1が内部から外部に突出する樹脂成形部である。ターミナル40b1はコイル部と電気的に接続されている通電用端子である。コネクタ40bには、電源部や電流制御装置からの電力を供給するための電源側コネクタが接続される。コネクタ40bと電源側コネクタとが接続されてターミナル40b1が電流制御装置等に電気的に接続されると、パージ制御弁4はコイル部に通電する電流を制御できる。
【0030】
ハウジング40は、開口部40cの全周において径外方向に放射状に突出するフランジ部40aを有している。フランジ部40aは、中間部材41における外周縁部に相当するフランジ部41cに接合される部分である。中間部材41は、ハウジング40と流入出用部材6との間に介在してハウジング40と流入出用部材6とに結合する部材である。フランジ部40aは、フランジ部41cに重ね合わされた状態で一体に接合されている。
【0031】
中間部材41は、フランジ部40aと同様のトラック形状である外周縁、フランジ部41cを有している。中間部材41は、フランジ部41cの厚さ方向における一方側の面から突出する、環状突出部41dと筒状部41aを備えている。
【0032】
環状突出部41dは、開口部40cを形成するハウジング40の内周壁面と嵌め合う部分である。
図3、
図4に示すように、環状突出部41dの内側には、中間部材41を厚さ方向に貫通する第1通路41eと第2通路410とが所定寸法、離間して設けられている。第1通路41eはハウジング側チャンバ室45aを介して第2通路410に連通する。筒状部41aは、先端側に、弁体43が接触する弁座41bを有する。筒状部41aは、ハウジング40の内側に突出する形状であり、弁体43が開弁状態であるときに蒸発燃料がハウジング側チャンバ室45a側から流入する第2通路410を内部に有する。
【0033】
流入出用部材6は、中間部材41を介してハウジング40に連結されている。流入出用部材6は、キャニスタ16側からの蒸発燃料が流入する流入部63と、パージ制御弁4からの蒸発燃料がエンジン22側に流出する流出部61および流出部62とを有している。流入部63の内部には、ハウジング40のハウジング内通路へ向けて蒸発燃料が流通する流入通路が形成されている。流入部63は、流入出用部材6において中間部材41とは反対側の面から突出する管状部分である。流出部61と流出部62は、パージ制御弁4よりも下流で2個に分岐する流出通路を形成している。
【0034】
流入出用部材6は、中間部材41に対向する側の面における外周縁から厚さ方向に突出する環状突出部を含むフランジ部60を備えている。フランジ部60は、中間部材41のフランジ部41cに接合される部分である。フランジ部60は、フランジ部41cに重ね合わされた状態で一体に接合されている。
【0035】
図5に示すように、流入出用部材6は、流入通路の出口部が開口する第1室60bと流出通路の入口部が開口する第2室60cとを仕切る仕切り部60dを備える。第1室60bは、仕切り部60dとフランジ部60の環状突出部とで囲まれた扁平状の空間である。第2室60cは、仕切り部60dに対して第1室60bとは反対側において、仕切り部60dとフランジ部60の環状突出部とで囲まれた扁平状の空間である。仕切り部60dは、フランジ部60とフランジ部41cとが接合された状態で、中間部材41の端面に接触して、第1室60bと第2室60cとを区画形成している。このように、流出部61および流出部62のそれぞれにおける流出通路と流入部63における流入通路は、ハウジング40内のハウジング内通路を介して連通するように区画形成されている。
【0036】
図3のように流出部61と流出部62が第2通路410の通路軸410cL1の近傍に位置するように、中間部材41に対して流入出用部材6を結合した場合、第1通路41eは第1室60bのみに接続し、第2通路410は第2室60cのみに接続している。この場合は、
図5において二点鎖線で示している。また、流入部63が通路軸410cL1の近傍に位置するように、中間部材41に対して流入出用部材6を
図3に示す向きとは180度回転させた位置に接続した場合、第1通路41eは第2室60cのみに接続し、第2通路410は第1室60bのみに接続している。この場合は、
図5において破線で示している。
図2~
図5において、二点鎖線で示された仮想線は、ハウジング40のフランジ部40aの端面上に設定された線である。このような構成によれば、流入出用部材6を
図3に示す接続位置に対して反転させた位置においてハウジング40に接続できるため、ハウジング内通路において蒸発燃料が流通方向を反転させるシステムにも搭載可能な装置を提供できる。また、製造時の寸法バラつきに対応可能な制御弁アセンブリ8を提供できる。
【0037】
仮想線41cL1は第1通路41eの通路軸と第2通路410の通路軸との両方と交わる線である。仮想線41cL2は仮想線41cL1はと通路軸410cLとの両方に直交する線である。通路軸410cLは、電磁コイル部42の中心軸でもある。流入部63は通路軸410cLに沿う向きに延びる流入通路を有している。弁体43の閉弁時には、第2室60cには空気が存在するため、第2室60cは空気層に相当し断熱性能を有する。
【0038】
フランジ部40a、フランジ部41c、フランジ部60といったフランジ部同士の接合は、レーザ照射によって樹脂を溶融させ両者を接着して実施することができる。フランジ部同士の一体接合は、接着剤を用いた接合手段によって形成してもよい。このようにフランジ部同士が一体接合されることにより、蒸発燃料通路を流通する流体が外部に漏れ出ないように、制御弁アセンブリ8を形成することができる。
【0039】
流入出用部材6は、流出部61および流出部62と第2室60cとを連絡する内部通路6a1を内部に有する流出側ハウジング6aを備える。流出側ハウジング6aには、内部通路6a1から分岐する流出部61と流出部62が一体に設けられている。流出部61と流出部62は対向する位置関係にある。流出部61、流出部62は、各種の構成部品を装着することができる同一形状部分をそれぞれ有している。この同一形状部分は、構成部品をその軸心周りに回転変位させた位置にも装着可能とする形状であることが好ましい。同一形状部分は、例えば、構成部品をその軸心周りに回転変位自在な円形状をなし、また所定の角度に角変位させた状態で装着可能な正多角形状をなしている。
【0040】
流出部61は、構成部品が装着可能なフランジ部610と筒状部とを有している。フランジ部610は、流出部61において先端側に位置し、内側に形成されている開口部と内部通路6a1とをつなぐ筒状部に一体に設けられている。つまり、筒状部は、流出部61の基部側において流出側ハウジング6aに一体に設けられて、流出側ハウジング6aとフランジ部610とを一体に連結する部分である。
【0041】
流出部62は、流入出用部材6において、流出部61に対して逆向きに延びる流出通路を形成し、通路軸が流出部61に対して沿う向きである。流出部62は、構成部品が装着可能なフランジ部620と筒状部とを有している。フランジ部620は、流出部62において先端側に位置し、内側に形成されている開口部と内部通路6a1とをつなぐ筒状部に一体に設けられている。つまり、筒状部は、流出部62の基部側において流出側ハウジング6aに一体に設けられて、流出側ハウジング6aとフランジ部620とを一体に連結する部分である。
【0042】
流入部63は、流入出用部材6において、通路軸が流出部61および流出部62に対して交差または直交する向きになるように設けられている。流出部61と流出部62は、異なる方向に向けて開口する開口部を有している。流出部61の開口部は、流出部62の開口部に対して逆方向に開口している。
【0043】
流出部61における筒状部の内部には、第1の逆止弁装置3をなす傘状の弁体30が設置されている。筒状部の内部には、流出部61における筒状部内を流体流れ方向に二分する通路横断壁部が設けられている。通路横断壁部には、中心を貫通する中心孔部と中心孔部の周囲において貫通する貫通穴である複数の周囲孔部とが設けられている。通路横断壁部は、中心孔部に挿通された状態の弁体30の軸部を支持している。複数の周囲孔部は、流出側ハウジング6a内の内部通路6a1と流出部61内の流出通路とを連通する通路である。
【0044】
流出部62における筒状部の内部には、第2の逆止弁装置5をなす傘状の弁体50が設置されている。筒状部の内部には、流出部62における筒状部内を流体流れ方向に二分する通路横断壁部が設けられている。この通路横断壁部には、流出部61と同様の中心孔部と複数の周囲孔部とが設けられている。通路横断壁部は、中心孔部に挿通された状態の弁体50の軸部を支持している。第1の逆止弁装置3と第2の逆止弁装置5とは、内部通路6a1を間において対向する位置関係にある。
【0045】
各逆止弁の弁体は、通路横断壁部に支持された軸部と、軸部における基部側に一体に設けられた傘部とを有している。傘部は、弾性変形可能な部分であり、各流出部61,62の流出通路において周囲孔部を覆い、通路横断壁部における周囲孔部よりも径外側に接触している。各逆止弁は、傘部に対して内部通路6a1側に向けて圧力が作用すると傘部が通路横断壁部に密着することにより、流出通路から内部通路6a1の蒸発燃料の逆流を阻止する。各逆止弁は、傘部に対して内部通路6a1側からの圧力が作用すると傘部が弾性変形して通路横断壁部から離れることにより、内部通路6a1から周囲孔部を経由して流出通路へ流下する蒸発燃料の流れを許容する。
【0046】
流入出用部材6は、逆止弁装置を備えているため、逆止弁装置を搭載できる制御弁アセンブリ8が得られる。また、制御弁アセンブリ8は逆止弁装置を収容するので、アセンブリ全体の体格を抑えることに寄与し、設置スペースの有効活用が図れる制御弁アセンブリ8を提供できる。
【0047】
流出部61、流出部62のそれぞれには、構成部品の一つである管状部材7が装着されている。管状部材7は、溶着または接着によって流出部61,62に固定されるフランジ部70と、フランジ部70から延びる管状部71とを備えている。管状部71は、流出部の内部空間と連通する通路を内部に有する。管状部71は、蒸発燃料処理システムにおいて蒸発燃料通路を形成する配管に接続される。このように、制御弁アセンブリ8は、電磁コイル部42を内蔵するハウジング40と、中間部材41と、流入出用部材6と、流入出用部材6に接続された2個の管状部材7と、流入出用部材6に収容された第1の逆止弁装置3および第2の逆止弁装置5とを備えている。
【0048】
流出部61に連結されている管状部材7は、配管18に接続されて配管18を介してスロットルバルブ21に連通している。流出部62に連結されている管状部材7は、分岐配管19aに接続されて分岐配管19aを介して過給機12よりも上流側の通路に連通している。
【0049】
次に、第1実施形態の制御弁アセンブリ8がもたらす作用効果について説明する。制御弁アセンブリ8は、キャニスタ16から脱離された蒸発燃料がエンジン22に向けて流通する蒸発燃料通路に設置される。制御弁アセンブリ8は、ハウジング内通路を開閉するための弁体43を駆動する電磁コイル部42を内蔵したハウジング40と、ハウジング40に連結されている流入出用部材6と、を備える。流入出用部材6は、ハウジング内通路に向かう蒸発燃料が流通する流入通路が形成された流入部63とハウジング内通路から流出した蒸発燃料が流通する流出通路が形成された流出部61,62とを有する。流出部61における流出通路と流入部63における流入通路は、ハウジング内通路を介して連通するように区画形成されている。
【0050】
この制御弁アセンブリ8は、弁体43を駆動する電磁コイル部42を内蔵したハウジング40と、蒸発燃料の流入部63と流出部61とを有しハウジング40とは別部品である流入出用部材6とを連結する構成を備えている。この構成によれば、流入部63や流出部61の向き等を変更した流入出用部材6を準備するだけで、車両側の仕様等に適合する制御弁アセンブリ8を新設できる。これにより、流入部63や流出部61の位置や向きにしたがって各種の構成部品を様々な位置や向きに設置することが可能である。この制御弁アセンブリ8によれば、蒸発燃料通路において制御弁に連結する通路の向き等を幅広く選択することができる。構成部品には、逆止弁装置、管状部材7、蓋部材9等が含まれる。
【0051】
このような制御弁アセンブリ8によれば、エンジン22などの振動部品が存在する場所において、振動の影響を可能な限り抑制できる箇所に各種の構成部品を設置することを実現できる。また制御弁アセンブリ8は、様々な車両の製品仕様に対応可能な蒸発燃料処理システムに適用可能であり、蒸発燃料処理システムにおける部品連結に関わる部品管理工数を抑えることに貢献できる。
【0052】
制御弁アセンブリ8に含まれる構成部品は、蒸発燃料処理システムに設けられる各種の部品である。制御弁アセンブリ8は、パージ制御弁4に複数の構成部品が連結された組立体であり、蒸発燃料通路の特定部位を構成している。複数の構成部品が、電磁コイル部42を内蔵するハウジング40を介して連結されることにより、連結する部品数、複数の通路のそれぞれが延びる向き、複数の通路に関する位置関係や方向関係を様々な形態に選択可能に構成できる。
【0053】
この制御弁アセンブリ8は、エンジンコンパートメントなどの狭い空間において各種の構成部品、配管等を効率的、合理的に設置することや所望の設置状態とすることに寄与する。
【0054】
中間部材41は、弁体43が着座する弁座41bと、流入通路に連通する第1通路41eと、流出通路に連通する第2通路410とを有し、ハウジング40と流入出用部材6との間に介在してハウジング40と流入出用部材6とに結合している。この構成によれば、電磁コイル部42を内蔵するハウジング40と弁座41bとを別部品の部材で構成することにより、ハウジング40を小型に形成でき、共通部品としての構成を簡単化できる。
【0055】
流入出用部材6には、仕切り部60dの両側に形成された第1室60bと第2室60cとが設けられている。第1室60bには流入通路の出口部が開口し、第2室60cには流出通路の入口部が開口している。これによれば、ハウジング内通路を介して連通する流入通路と流出通路を、ハウジング40において同じ側に設置できる蒸発燃料通路を実現できる。これにより、制御弁アセンブリ8から延びる配管等のとり回し作業性向上に貢献できる制御弁アセンブリ8を提供できる。
【0056】
制御弁アセンブリ8は、流入出用部材6とは別部品であって流出部61,62に装着された管状部材7を備える。この構成によれば、システムを構成する配管の形状やサイズに適した管状部材7を流入出用部材6に装着できるので、流入部や流出部の形状に制限されない配管を制御弁アセンブリ8に接続することが可能になる。
【0057】
流入出用部材6は、流出部としての第1の流出部61と第2の流出部62とを有している。制御弁アセンブリ8は、第1の流出部61の内部に設置された第1の逆止弁装置3と、第2の流出部62の内部に設置された第2の逆止弁装置5と、をさらに備えている。この構成によれば、第1実施形態の蒸発燃料処理システムに搭載可能な制御弁アセンブリ8を提供できる。制御弁アセンブリ8は、さらにパージ制御弁4側から吸気マニホールド20に向かう通路において逆止弁の上流側で蒸発燃料が2つに分岐する通路を提供できる。このように分岐する通路を形成する制御弁アセンブリ8によれば、周囲の部品を避けるように配管を設置することができ、周囲の部品からの振動伝達を抑制したり、設置スペースの有効活用を図ったりすることに寄与する。
【0058】
流出部61、流出部62、流入部63は、互いに異なる方向に向けて開口する開口部を有している。これによれば、パージ制御弁4に連結する構成部品を他の構成部品に対して異なる方向に延びるように設置できるので、設置スペースの有効活用が図れる制御弁アセンブリ8を提供できる。
【0059】
流入出用部材6において、第1の流出部61と第2の流出部62は対向する対向関係にある。流入部63は第1の流出部61と第2の流出部62とが対向する対向方向に対して交差する方向に延びている。これによれば、流出側ハウジング6a内の内部通路6a1を通過する蒸発燃料を逆向きの流れに分岐する通路を有するシステムに適用可能な制御弁アセンブリ8を提供できる。
【0060】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図6を参照して説明する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0061】
第2実施形態は、第1実施形態に対して流入出用部材106が相違する。したがって、第2実施形態では、制御弁アセンブリ108に関する構成が第1実施形態とは相違している。
【0062】
図6に示すように、制御弁アセンブリ108が備える流入出用部材106は、流入出用部材6のフランジ部60とは異なる構成であるフランジ部160を備えている。フランジ部160は、中間部材41に対向する側の面が全体的に平面を形成している。つまり、流入出用部材106には、第1室60bおよび第2室60cが形成されていない。流入出用部材106においても、流出部61および流出部62のそれぞれの流出通路と流入部63の流入通路は、ハウジング内通路を介して連通するように区画形成されている。
【0063】
流入出用部材106は、フランジ部160よりも内側において第1シール部106aと第2シール部106bとを有している。第1シール部106aは、中間部材41の第1通路41eの周囲において中間部材41と流入出用部材106との間を気密するOリング部材である。第2シール部106bは、中間部材41の第2通路410の周囲において中間部材41と流入出用部材106との間を気密するOリング部材である。フランジ部160は、中間部材41のフランジ部41cに接合される部分である。フランジ部160は、フランジ部41cに重ね合わされた状態で一体に接合されている。
【0064】
(第3実施形態)
第3実施形態について
図7を参照して説明する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0065】
第3実施形態は、第1実施形態に対して制御弁アセンブリ208が相違する。制御弁アセンブリ208は、
図7に示すように、流入出用部材206の流入部63に連結された管状部材630を備えている。管状部材630は、配管18に接続されて配管18を介してスロットルバルブ21に連通している。
【0066】
(第4実施形態)
第4実施形態について
図8を参照して説明する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0067】
第4実施形態は、第1実施形態に対して流入出用部材306が相違する。したがって、第4実施形態では、制御弁アセンブリ308に関する構成が第1実施形態とは相違している。
【0068】
図8に示すように、制御弁アセンブリ308が備える流入出用部材306は、流出部61および流出部62と第2室60cとを連絡する内部通路6a1を内部に有する流出側ハウジング206aを備える。流出側ハウジング206aには、内部通路6a1から分岐する流出部61と流出部62が一体に設けられている。流出部61と流出部62は互いに交差する方向に延びる流出通路を有している。流出部62は、通路軸が流入部63に対して沿う向きに設けられている。
【0069】
第4実施形態によれば、流入出用部材306は、流出部としての第1の流出部61と第2の流出部62とを有している。第1の流出部61と第2の流出部62は互いに交差する方向に延びる交差関係にある。流入部63は第1の流出部61と第2の流出部62のいずれかに対して沿うように延びている。これによれば、流出側ハウジング206a内の内部通路6a1を通過する蒸発燃料をストレートに流下させる流れと分岐させる流れとに分けるような通路をもつシステムに適用可能な制御弁アセンブリ308を提供できる。
【0070】
(第5実施形態)
第5実施形態について
図9および
図10を参照して説明する。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0071】
第5実施形態は、第1実施形態に対して、ハウジング40に対する流入出用部材6の軸心周りの周方向位置、またはハウジング40に対する流入出用部材6の軸心周りの接続位置が相違している。第5実施形態の制御弁アセンブリ408は、
図9、
図10に示すように、流入部63を第2通路410に対応させ、内部通路6a1を第1通路41eに対応させるように、ハウジング40に流入出用部材6を接続している。つまり、制御弁アセンブリ408は、制御弁アセンブリ8の流入出用部材6に対して、流入出用部材6を軸心周りに180度回転させた位置で中間部材41に接続した構成である。
【0072】
このような流入出用部材6とハウジング40との位置関係により、第1通路41eは内部通路6a1に連通し、第2通路410は流入部63の流入通路に連通するようになる。この制御弁アセンブリ408によれば、開弁状態において蒸発燃料は、流入部63から第1室60b、第2通路410、フィルタ46、ハウジング側チャンバ室45a、第1通路41e、第2室60c、流出部61,62を順に流通する。
【0073】
第5実施形態によれば、ハウジング40に対する流入出用部材6の軸心周りの接続位置に応じて、第1接続状態と第2接続状態との両方の接続状態を実施可能となるように、仕切り部60dは流入出用部材6に設けられている。第1接続状態は、流入通路の出口部とハウジング内通路の一端側とを接続し流出通路の入口部とハウジング内通路の他端側とを接続する状態である。第2接続状態は、流入通路の出口部とハウジング内通路の他端側とを接続し流出通路の入口部とハウジング内通路の一端側とを接続する状態である。これによれば、ハウジング40のハウジング内通路において蒸発燃料が流れる向きを反転させるシステムに搭載可能な制御弁アセンブリ408を提供できる。
【0074】
(第6実施形態)
第6実施形態について
図11および
図12を参照して説明する。第6実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0075】
第6実施形態は、第1実施形態に対して制御弁アセンブリ508の構成が相違する。
図11および
図12に示すように、制御弁アセンブリ508は、流入出用部材406に対して着脱可能なキャニスタ側連結部材406dとエンジン側連結部材406hとを備えている。
【0076】
キャニスタ側連結部材406dは、管状部である流入部63と、管状部と一体である筒状部406d1と、筒状部406d1に設けられた複数の係合部64とを備えている。係合部64は、例えば、先端側が自由端であり、筒状部406d1の全周にわたって複数設けられている。係合部64は、第1筒状部406aの先端側フランジ部406bに外嵌めされた状態で先端側フランジ部406bに係合する。係合部64は、その先端部が径外方向に広がるように変形した後、復元力により径内方向に戻ることにより、先端側フランジ部406bの外周を抱えるようにして支持する。この構成により、係合部64は第1筒状部406aに対して着脱可能である。第1筒状部406aは、ハウジング内通路に向かう蒸発燃料が流通する流入通路が形成された流入部を構成する。キャニスタ側連結部材406dと先端側フランジ部406bとの間には、Oリング部材406cが挟み込まれて気密されており流入通路は外部から遮断されている。
【0077】
エンジン側連結部材406hは、対向する位置関係にある管状部406h2および管状部406h3と、これらの管状部が一体に形成された筒状部406h1と、筒状部406h1に設けられた複数の係合部64とを備えている。係合部64は、例えば、先端側が自由端であり、筒状部406h1の全周にわたって複数設けられている。係合部64は、第2筒状部406eの先端側フランジ部406fに外嵌めされた状態で先端側フランジ部406fに係合する。係合部64は、その先端部が径外方向に広がるように変形した後、復元力により径内方向に戻ることにより、先端側フランジ部406fの外周を抱えるようにして支持する。この構成により、係合部64は第2筒状部406eに対して着脱可能である。エンジン側連結部材406hと先端側フランジ部406fとの間には、Oリング部材406gが挟み込まれて気密されており流出通路は外部から遮断されている。
【0078】
第6実施形態によれば、流入出用部材406には、流入出用部材406に対して着脱可能な係合部64を有した別部品でありかつ配管を接続可能である、キャニスタ側連結部材406dとエンジン側連結部材406hとが連結されている。この構成によれば、キャニスタ側連結部材406dとエンジン側連結部材406hは流入出用部材406に対して着脱可能であるため、キャニスタ側連結部材406dとエンジン側連結部材406hとを入れ換えて流入出用部材406に接続することができる。これにより、ハウジング40のハウジング内通路において蒸発燃料が流れる向きを反転させるシステムに搭載可能な制御弁アセンブリ508を提供できる。
【0079】
エンジン側連結部材406hは、配管を接続可能な2個の管状部406h2,406h3を備えている。2個の管状部406h2,406h3はエンジン側連結部材406hにおいて対向する位置に設けられている。この構成によれば、パージ制御弁4を流出した蒸発燃料を互いに反対方向に分岐させる流れに分けるような通路をもつシステムに適用可能な制御弁アセンブリ508を提供できる。
【0080】
(第7実施形態)
第7実施形態について
図13を参照して説明する。第7実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第6実施形態と同様であり、以下、第6実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図13に示すように、第7実施形態の制御弁アセンブリ608は、エンジン側連結部材406hと第1筒状部406aとが接続され、キャニスタ側連結部材406dと第2筒状部406eとが接続されている構成である。
【0081】
(第8実施形態)
第8実施形態について
図14を参照して説明する。第8実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第6実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0082】
第8実施形態は、第6実施形態に対してエンジン側連結部材406iが相違する。したがって、第8実施形態では、制御弁アセンブリ708に関する構成が第1実施形態とは相違している。
【0083】
図14に示すように、エンジン側連結部材406iは、管状部406h2と管状部406h3が互いに交差する方向に延びる流出通路を有している。管状部406h3は、通路軸が流入部63に対して沿う向きに設けられている。これによれば、第2筒状部406e内の流出通路を通過する蒸発燃料をストレートに流下させる流れと分岐させる流れとに分けるような通路をもつシステムに適用可能な制御弁アセンブリ708を提供できる。
【0084】
(第9実施形態)
第9実施形態について
図15および
図16を参照して説明する。第9実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0085】
第9実施形態は、第1実施形態に対して、流入出用部材506が相違している。
図15および
図16に示すように、流入出用部材506は、キャニスタ16側からの蒸発燃料が流入する流入部506bおよび筒状部506aと、パージ制御弁4からの蒸発燃料がエンジン22側に流出する流出部61および流出部62とを有している。筒状部506aと流入部506bの内部には、ハウジング40のハウジング内通路へ向けて蒸発燃料が流通する流入通路が形成されている。流入部506bは、流入出用部材506において中間部材41とは反対に側において筒状部506aから突出する管状部分である。筒状部506aは、ハウジング内通路に向かう蒸発燃料が流通する流入通路が形成された流入部を構成する。筒状部506aは、内部に上流側チャンバ室506a1を有している。流入部506b内の通路と第1通路41eとは、上流側チャンバ室506a1を介して連通している。筒状部506aとフランジ部60とは、別部品を一体に固定した構成でもよいし、金型を用いて一体に成形した一つの部品として構成してもよい。
【0086】
流入出用部材506の内部には、流入出用部材506における流入通路と中間部材41における第1通路41eとの間に上流側チャンバ室506a1が設けられている。上流側チャンバ室506a1は、通路横断面積が流入通路と第1通路41eのそれぞれよりも大きく形成されている。これによれば、制御弁アセンブリ808の閉弁時などにキャニスタ16側の通路において発生しやすい脈動を低減することができる。上流側チャンバ室506a1は通路横断面積が流入通路と第1通路41eのそれぞれよりも大きいため、流入通路と第1通路41eを脈動低減用の絞り部として用いることができる。
【0087】
さらに、ハウジング40の内部には、上流側チャンバ室506a1との間に第1通路41eが存在するようにハウジング側チャンバ室45aが設けられている。ハウジング側チャンバ室45aは、通路横断面積が第1通路41eよりも大きく形成されている。これによれば、ハウジング側チャンバ室45aと上流側チャンバ室506a1とによって脈動低減効果を奏するチャンバ容積を稼げ、流入通路、上流側チャンバ室506a1、第1通路41e、ハウジング側チャンバ室45aの並びによって脈動低減効果が得られる。
【0088】
(第10実施形態)
第10実施形態について
図17を参照して説明する。第10実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第9実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0089】
第10実施形態は、第9実施形態に対して、制御弁アセンブリ908が別部品である筒状部606aと管状部606c2とを装着固定した構成を有する点が相違する。流入出用部材606は、流入通路および上流側チャンバ室506a1を形成する部材として、別部品である筒状部606aと管状部材606cとを有している。筒状部606aはフランジ部60と一体に成形されている部分である。筒状部606aは、ハウジング内通路に向かう蒸発燃料が流通する流入通路が形成された流入部を構成する。管状部材606cは、溶着または接着によって筒状部606aのフランジ部606bに固定されるフランジ部606c1と、フランジ部606c1から延びる管状部606c2とを備えている。管状部606c2は、蒸発燃料処理システムにおいて蒸発燃料通路を形成する配管17に接続される。
【0090】
(第11実施形態)
第11実施形態について
図18、
図19を参照して説明する。第11実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0091】
第11実施形態は、第1実施形態に対して蒸発燃料処理システムおよび制御弁アセンブリ1008が相違する。
図18に示す蒸発燃料処理システムは、第1実施形態の蒸発燃料処理システムに対して、分岐通路と第2の逆止弁装置5を有していない点が相違する。したがって、第11実施形態では、制御弁アセンブリ1008に含まれる構成部品が第1実施形態とは相違することになる。第11実施形態の制御弁アセンブリ1008には、流出部62に蓋部材9が装着されることになる。蓋部材9は、流出部62の開口端を閉塞して、流出部62内の通路から外部に延びる通路を遮断する部材である。制御弁アセンブリ1008は、流出部に形成された流出通路に設置された第1の逆止弁装置3を備える。この構成によれば、第11実施形態の蒸発燃料処理システムに搭載可能な制御弁アセンブリ1008を提供できる。
【0092】
(第12実施形態)
第12実施形態について
図20を参照して説明する。第12実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第1実施形態と同様であり、以下、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0093】
第12実施形態は、第1実施形態に対して流入部163内の流入通路が相違する。
図20に示すように、流入部163は、下流端部において環状壁部631を備えている。環状壁部631は、流入部163に一体成形されている。流入部163は、環状壁部631の中央に形成された貫通穴である絞り通路631aを備えている。絞り通路631aは、流入通路と第1室60bとを連通させる通路である。絞り通路631aは、流入通路や第1室60bよりも通路横断面積が小さい通路であり、流体に対して流通抵抗となる。絞り通路631aの通路横断面積は、絞り通路631aの中心軸に対して直交する平面によって絞り通路631aを切断した場合の断面積である。このように絞り通路631aよりも上流側と下流側とには、絞り通路631aに対して流通抵抗が緩和される、流入通路と第1室60bが設けられている。
【0094】
第12実施形態の流入出用部材706は、流入通路と第1室60bのそれぞれよりも通路横断面積が小さく、流入通路と第1室60bとを連通させている絞り通路631aを備える。この構成によれば、閉弁状態において上流側に伝搬する脈動流に対して、絞り通路631aによって圧力損失を与えることができる。これにより、脈動流が上流に向けて強制的に拡散、収縮、拡散する流れになるため、脈動を効果的に減衰することに寄与する制御弁アセンブリ8を新設できる。この構成によれば、絞り通路631aを内蔵する流入部163を備える流入出用部材706を準備するだけで、脈動を効果的に減衰することに寄与する制御弁アセンブリ8を新設できる。また第12実施形態に係る絞り通路631aは、第2実施形態、第3実施形態、第4実施形態、第5実施形態、第11実施形態における流入部にも適用可能である。
【0095】
(第13実施形態)
第13実施形態について
図21を参照して説明する。第13実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、第9実施形態と同様であり、以下、第9実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0096】
第13実施形態は、第9実施形態に対して筒状部506aの内部通路が相違する。
図21に示すように、筒状部506aは、内部の上流側チャンバ室506a1を上流側と下流側と二分する環状壁部632を備えている。環状壁部632は、筒状部506aとは別個の部品であり、筒状部506aの内壁に接着、溶着等によって結合されている。筒状部506aは、環状壁部632の中央に形成された貫通穴である絞り通路632aを備えている。絞り通路632aは、上流側チャンバ室506a1よりも通路横断面積が小さい通路であり、流体に対して流通抵抗となる。絞り通路632aの通路横断面積は、絞り通路632aの中心軸に対して直交する平面によって絞り通路632aを切断した場合の断面積である。このように絞り通路632aよりも上流側と下流側とには、絞り通路632aに対して流通抵抗が緩和される、二分された上流側チャンバ室506a1が設けられている。
【0097】
第13実施形態の流入出用部材806は、上流側チャンバ室506a1よりも通路横断面積が小さく、上流側チャンバ室506a1の上流側と下流側とを連通させている絞り通路632aを備える。この構成によれば、閉弁状態において上流側に伝搬する脈動流に対して、絞り通路632aによって圧力損失を与えることができる。これにより、脈動流が上流に向けて強制的に拡散、収縮、拡散する流れになるため、脈動を効果的に減衰することに寄与する制御弁アセンブリ808を新設できる。この構成によれば、絞り通路632aを内蔵する筒状部506aを備える流入出用部材806を準備するだけで、脈動を効果的に減衰することに寄与する制御弁アセンブリ808を新設できる。また第13実施形態に係る絞り通路632aは、第6実施形態、第7実施形態、第8実施形態、第9実施形態、第10実施形態における筒状部にも適用可能である。
【0098】
(第14実施形態)
第14実施形態について
図22および
図23を参照して説明する。第14実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、前述の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0099】
第14実施形態は、前述の実施形態に対して制御弁アセンブリに、蒸発燃料通路の圧力を検出するための圧力検出用ポートを備える点が相違する。圧力検出用ポートの一例は管状部501である。
図22に示すように、管状部501は、制御弁アセンブリにおいて、第1部位P1、第2部位P2、第3部位P3、第4部位P4の少なくともに一つの部位に設けられている。第1部位P1は、制御弁アセンブリにおいてパージ制御弁4の弁体43よりも上流側の部位である。第2部位P2は、制御弁アセンブリにおいて弁体43よりも下流側でかつ逆止弁よりも上流側の部位である。第3部位P3は、制御弁アセンブリにおいて、第1の逆止弁装置3よりも下流側の部位である。第4部位P4は、制御弁アセンブリにおいて、第2の逆止弁装置5よりも下流側の部位である。
【0100】
制御弁アセンブリは、前述のP1~P4の少なくとも一つの部位に連結されて、流路内の圧力を検出可能な圧力検出器500を備えている。例えば、圧力検出器500は、管状部501に接続された配管やホース等の管を介して制御弁アセンブリに装着することができる。管状部501は、制御アセンブリから外部に突出した圧力検出用ポートとして機能する。
【0101】
図23を参照して、管状部501が第3部位P3に設けられた制御弁アセンブリの一例を説明する。
図23に示す制御弁アセンブリは、第8実施形態に対してエンジン側連結部材406jの構成が相違する。
図23に示すように、エンジン側連結部材406jは、管状部501を有する筒状部406h1を備えている。管状部501には、配管やホース等の管を接続することができる。
【0102】
圧力検出器500は、筒状部406h1内の通路と連通するように筒状部406h1に接続された管内の圧力を検出し、制御装置に出力する。圧力検出器500は圧力センサとも呼ばれる。また圧力検出器500は、筒状部406h1内の圧力を検出するように設けられている構成でもよい。管状部501は、筒状部406h1から外部に突出する圧力検出用ポートとして機能する。制御装置は、圧力検出器500によって検出された圧力検出値と予め記憶部に記憶された正常時の圧力値とを比較して、現在が故障状態であるか否かを判定する。これにより、正常時とは異なる圧力変動や圧力値が検出された場合に、故障状態の判定を可能にする制御弁アセンブリ708を提供できる。
【0103】
以下、各実施形態について管状部501を設ける部位を説明する。第1実施形態から第5実施形態の場合、管状部501は第1部位P1、第2部位P2、第3部位P3、第4部位P4に設けることが可能である。第1部位P1は流入出用部材6において第1室60bを区画する平板状部位に相当し、管状部501は流入部63と同じように外部に突出して設けることができる。第2部位P2は流出側ハウジング6aに相当し、管状部501は流出側ハウジング6aから外部に突出して設けることができる。第3部位P3は流出部61における第1の逆止弁装置3よりも下流側の部位に相当し、管状部501は流出部61から外部に突出して設けることができる。第4部位P4は流出部62における第2の逆止弁装置5よりも下流側の部位に相当し、管状部501は流出部62から外部に突出して設けることができる。
【0104】
第6実施形態から第8実施形態の場合、管状部501は第1部位P1、第2部位P2に設けることが可能である。第1部位P1は第1筒状部406aに相当し、管状部501は第1筒状部406aから外部に突出して設けることができる。第2部位P2は、第1実施形態と同様に流出側ハウジング6aに相当し、管状部501は流出側ハウジング6aから外部に突出して設けることができる。
【0105】
第9実施形態の場合、管状部501は第1部位P1、第2部位P2、第3部位P3、第4部位P4に設けることが可能である。第1部位P1は筒状部506aに相当し、管状部501は筒状部506aから外部に突出して設けることができる。第2部位P2、第3部位P3、第4部位P4は、前述の第1実施形態の場合の構成と同様である。
【0106】
第10実施形態の場合、管状部501は第1部位P1、第2部位P2、第3部位P3、第4部位P4に設けることが可能である。第1部位P1は筒状部606aに相当し、管状部501は筒状部606aから外部に突出して設けることができる。第2部位P2、第3部位P3、第4部位P4は、前述の第1実施形態の場合の構成と同様である。
【0107】
第11実施形態の場合、管状部501は第1部位P1、第2部位P2、第3部位P3に設けることが可能である。第1部位P1、第2部位P2、第3部位P3は、前述の第1実施形態の場合の構成と同様である。
【0108】
第14実施形態において開示する制御弁アセンブリは、蒸発燃料通路の圧力を検出するための圧力検出用ポートを備える。この構成によれば、圧力検出器を例えば制御弁アセンブリ708に接続することが可能になるので、制御弁アセンブリ以外の部材に設置する場合に比べて部品点数低減や組み付け工数低減を図ることができる。
【0109】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0110】
明細書に開示の目的を達成可能な制御弁アセンブリは、ハウジング40と中間部材41と流入出用部材とが一体に結合された構成の装置だけでなく、ハウジング40と流入出用部材とが直接、一体に結合された構成の装置も含んでいる。この構成の場合、ハウジング40が弁座41bを備える構成でもよいし、流入出用部材が弁座41bを備える構成でもよい。
【0111】
明細書に開示の目的を達成可能な制御弁アセンブリは、前述の実施形態において示した例に限定されるものではない。また、制御弁アセンブリに含まれる構成部品についても、前述の実施形態において示した例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0112】
6,106,206,306,406,506,606,706,806…流入出用部材
8,108,208,308,408,508,608,708,808,908,1008…制御弁アセンブリ
16…キャニスタ、 22…エンジン、 40…ハウジング、 41…中間部材
41e…第1通路(第1開口部)、 42…電磁コイル部、 43…弁体
45a…ハウジング側チャンバ室、 60b…第1室(流入通路の出口部)
60c…第2室(流出通路の入口部)、 60d…仕切り部
63,163…流入部、 61,62…流出部
406a…第1筒状部(流入部)、 406e…第2筒状部(流出部)
410…第2通路(第2開口部)、 506a1…上流側チャンバ室
506a,606a…筒状部(流入部)