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特許7151586車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造、並びに車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造、並びに車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20221004BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20221004BHJP
   G01J 1/04 20060101ALI20221004BHJP
   B60R 13/00 20060101ALI20221004BHJP
   H01H 35/00 20060101ALN20221004BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01J1/02 C
G01J1/04 E
G01J1/02 P
B60R13/00
H01H35/00 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019060970
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159933
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 明弘
(72)【発明者】
【氏名】奥村 晃司
【審査官】今浦 陽恵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/052057(WO,A1)
【文献】特開2014-119304(JP,A)
【文献】特開平10-170653(JP,A)
【文献】特開2004-306888(JP,A)
【文献】特開2002-131413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0200259(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0200121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
B60R 13/00
G01J 1/00 - 1/60
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外線を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された近赤外線を受信する近赤外線センサと、近赤外線の透過性を有し、かつ前記近赤外線センサを車外側から覆い隠すセンサカバーとを備え、前記近赤外線の送信方向における前記近赤外線センサの前方に開口部を有する両の外装部材に対し前記近赤外線センサ及び前記センサカバーを取り付ける取り付け構造であって、
前記近赤外線センサは、前記開口部よりも車内側に設定された搭載位置に配置され、
前記センサカバーの車内側の面に設けられた第1締結部が、前記外装部材における前記開口部の周囲に設けられた第1被締結部に対し、締結解除可能に締結され、
前記外装部材は、前記開口部の周縁部から車内側へ突出する筒状壁部を有し、
前記搭載位置では、前記近赤外線センサの一部が、前記筒状壁部の車内側の端部に形成された取り付け孔を介して前記筒状壁部内に配置されており、
前記近赤外線センサに設けられた第2締結部が、前記外装部材における前記筒状壁部又は同筒状壁部の外部に設けられた第2被締結部に対し、締結解除可能に締結されている車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造。
【請求項2】
前記センサカバーのうち近赤外線を透過する部分は前記開口部よりも車外側に配置され、
前記近赤外線センサは、車内側から前記取り付け孔を通って、前記搭載位置まで挿通されるのを許容し、かつ車外側から前記取り付け孔を通って、前記搭載位置まで挿通されるのを規制する規制部を、同近赤外線センサの外周に備えている請求項1に記載の車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造。
【請求項3】
前記第1被締結部及び前記第2被締結部は、前記開口部よりも車内側に設けられ、
前記第2被締結部は、前記第1被締結部に対し前記開口部の周方向にずれた箇所に設けられている請求項2に記載の車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造。
【請求項4】
前記近赤外線センサには、前記開口部よりも車内側であり、かつ前記筒状壁部の外部に配置されたブラケットが取り付けられており、
前記第2締結部は前記ブラケットに設けられ、
前記第2被締結部は、前記開口部よりも車内側であり、かつ前記筒状壁部の外部に設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造。
【請求項5】
前記近赤外線センサの前記規制部よりも車外側の部分は、前記取り付け孔を介して前記筒状壁部内に配置され、
前記第2締結部は前記規制部に設けられ、
前記第2被締結部は、前記筒状壁部における前記端部のうち前記取り付け孔の周囲に設けられている請求項2又は3に記載の車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造。
【請求項6】
前記第1被締結部は、前記外装部材のうち、前記第1締結部の車内側となる箇所に形成された第1締結孔を有しており、
前記第1締結孔を介して第1ねじが前記第1締結部に螺入されている請求項1~5のいずれか1項に記載の車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造。
【請求項7】
前記第2締結部は、前記ブラケットのうち、前記第2被締結部の車内側となる箇所に形成された第2締結孔を有しており、
前記第2締結孔を介して第2ねじが前記第2被締結部に螺入されている請求項4に記載の車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造。
【請求項8】
前記第2締結部は、前記規制部のうち、前記第2被締結部の車内側となる箇所に形成された第2締結孔を有しており、
前記第2締結孔を介して第2ねじが前記第2被締結部に螺入されている請求項5に記載の車両の外装部材への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造。
【請求項9】
近赤外線を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された近赤外線を受信する近赤外線センサと、前記近赤外線の送信方向における前記近赤外線センサの前方に開口部を有する外装部材と、近赤外線の透過性を有し、かつ前記近赤外線センサを車外側から覆い隠すセンサカバーとを備える車両に適用され、同車両に対し、前記近赤外線センサ及び前記センサカバーを取り付ける取り付け方法であって、
前記近赤外線センサは、前記開口部よりも車内側に設定された搭載位置に配置され、
前記センサカバーの車内側の面に設けられた第1締結部が、前記外装部材における前記開口部の周囲に設けられた第1被締結部に対し、締結解除可能に締結され、
前記外装部材は、前記開口部の周縁部から車内側へ突出する筒状壁部を有し、
前記搭載位置では、前記近赤外線センサの一部が、前記筒状壁部の車内側の端部に形成された取り付け孔を介して前記筒状壁部内に配置されており、
前記近赤外線センサに設けられた第2締結部が、前記外装部材における前記筒状壁部又は同筒状壁部の外部に設けられた第2被締結部に対し、締結解除可能に締結されている車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外装部材に対し、近赤外線センサ及びセンサカバーをそれぞれ取り付ける構造、並びに車両に対し、近赤外線センサ及びセンサカバーをそれぞれ取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外線センサと、近赤外線の送信方向における近赤外線センサの前方に開口部を有するフロントグリル等の外装部材と、近赤外線の透過性を有するセンサカバーとを備える車両が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
近赤外線センサは、近赤外線を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された近赤外線を受信する。送信及び受信された近赤外線は、上記物体の認識、車両と物体との距離の検出、車両と物体との相対速度の検出等に用いられる。
【0004】
上記近赤外線センサは、上記開口部よりも車内側に配置される。また、センサカバーのうち近赤外線を透過する部分は、上記開口部よりも車外側に配置されて、近赤外線センサを車外側から覆い隠す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/052057号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記近赤外線センサ及びセンサカバーが搭載された車両では、走行時の飛び石等が当たって、センサカバーに傷が付いたり同センサカバーが損傷したりした場合、近赤外線の透過性能が低下するおそれがある。また、近赤外線センサの長期間にわたる使用等によりセンサ性能が低下するおそれもある。
【0007】
こうした場合、近赤外線センサ及びセンサカバーのうち性能低下を起こしているものを、別のものに交換することが望ましいが、この点についての記載が、上記特許文献1では特になされていない。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、近赤外線センサ及びセンサカバーをそれぞれ交換することのできる、車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造は、近赤外線を車外へ向けて送信し、かつ車外の物体に当たって反射された近赤外線を受信する近赤外線センサと、前記近赤外線の送信方向における前記近赤外線センサの前方に開口部を有する外装部材と、近赤外線の透過性を有し、かつ前記近赤外線センサを車外側から覆い隠すセンサカバーとを備える車両に適用され、同車両に対し、前記近赤外線センサ及び前記センサカバーを取り付ける構造であって、前記近赤外線センサは、前記開口部よりも車内側に設定された搭載位置に配置され、前記センサカバーの車内側の面に設けられた第1締結部が、前記外装部材における前記開口部の周囲に設けられた第1被締結部に対し、締結解除可能に締結され、前記外装部材は、前記開口部の周縁部から車内側へ突出する筒状壁部を有し、前記搭載位置では、前記近赤外線センサの一部が、前記筒状壁部の車内側の端部に形成された取り付け孔を介して前記筒状壁部内に配置されており、前記近赤外線センサに設けられた第2締結部が、前記外装部材における前記筒状壁部又は同筒状壁部の外部に設けられた第2被締結部に対し、締結解除可能に締結されている。
【0010】
上記の構成によれば、第1締結部の第1被締結部に対する締結が解除されると、センサカバーを外装部材から取り外すことが可能となる。第1締結部が第1被締結部に締結されると、センサカバーが外装部材に取り付けられる。従って、センサカバーにおける近赤外線の透過性能が低下等した場合には、そのセンサカバーを外装部材から取り外し、近赤外線の透過性能が低下していない別のセンサカバーを外装部材に取り付けること(交換)が可能である。
【0011】
また、第2締結部の第2被締結部に対する締結が解除されると、近赤外線センサを筒状壁部から抜き出して外装部材から取り外すことが可能となる。近赤外線センサの一部が取り付け孔を介して筒状壁部内に配置され、この状態で第2締結部が第2被締結部に締結されると、近赤外線センサが外装部材に取り付けられる。従って、近赤外線センサにおけるセンサ性能が低下等した場合には、その近赤外線センサを外装部材から取り外し、センサ性能が低下していない別の近赤外線センサを外装部材に取り付けること(交換)が可能である。
【0012】
上記車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造において、前記センサカバーのうち近赤外線を透過する部分は前記開口部よりも車外側に配置され、前記近赤外線センサは、車内側から前記取り付け孔を通って、前記搭載位置まで挿通されるのを許容し、かつ車外側から前記取り付け孔を通って、前記搭載位置まで挿通されるのを規制する規制部を、同近赤外線センサの外周に備えていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、センサカバーの交換は、開口部よりも車外側で行われる。すなわち、第1締結部の第1被締結部に対する締結が解除されると、近赤外線の透過性能が低下等したセンサカバーを、外装部材から車外側へ取り外すことが可能となる。また、近赤外線の透過性能が低下等していない別のセンサカバーを車外側から外装部材に近づけて、第1締結部を第1被締結部に締結することにより、同センサカバーを外装部材に取り付けることが可能となる。
【0014】
これに対し、近赤外線センサの交換は、開口部よりも車内側で行われる。すなわち、第2締結部の第2被締結部に対する締結が解除されると、センサ性能が低下等した近赤外線センサを、取り付け孔を通じて筒状壁部から車内側へ抜き出すことで、同近赤外線センサを外装部材から取り外すことが可能となる。また、センサ性能が低下等していない別の近赤外線センサの一部を車内側から取り付け孔を通じて筒状壁部内に挿通し、第2締結部を第2被締結部に締結することにより、同近赤外線センサを外装部材に取り付けることが可能となる。
【0015】
従って、近赤外線センサは、センサカバーの交換の妨げとなりにくい。また、センサカバーは、近赤外線センサの交換の妨げとなりにくい。
上記車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造において、前記第1被締結部及び前記第2被締結部は、前記開口部よりも車内側に設けられ、前記第2被締結部は、前記第1被締結部に対し前記開口部の周方向にずれた箇所に設けられていることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、第1締結部の第1被締結部に対する締結解除及び締結も、第2締結部の第2被締結部に対する締結解除及び締結も、開口部よりも車内側で行われる。第1被締結部及び第2被締結部は、互いに開口部の周方向にずれた箇所に位置している。
【0017】
そのため、第1締結部の第1被締結部に対する締結解除及び締結は、第2締結部の第2被締結部に対する締結箇所から影響を受けにくい。同様に、第2締結部の第2被締結部に対する締結解除及び締結は、第1締結部の第1被締結部に対する締結箇所から影響を受けにくい。従って、センサカバーの交換作業、及び近赤外線センサの交換作業をより簡単に行うことが可能となる。
【0018】
上記車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造において、前記近赤外線センサには、前記開口部よりも車内側であり、かつ前記筒状壁部の外部に配置されたブラケットが取り付けられており、前記第2締結部は前記ブラケットに設けられ、前記第2被締結部は、前記開口部よりも車内側であり、かつ前記筒状壁部の外部に設けられていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、ブラケットにおける第2締結部の外装部材における第2被締結部に対する締結が解除されると、近赤外線センサを外装部材から取り外すことが可能となる。第2締結部が第2被締結部に締結されると、近赤外線センサが外装部材に対しブラケットを介して間接に取り付けられる。
【0020】
上記車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造において、前記近赤外線センサの前記規制部よりも車外側の部分は、前記取り付け孔を介して前記筒状壁部内に配置され、前記第2締結部は前記規制部に設けられ、前記第2被締結部は、前記筒状壁部における前記端部のうち前記取り付け孔の周囲に設けられていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、近赤外線センサの規制部における第2締結部の、筒状壁部の車内側の端部における第2被締結部に対する締結が解除されると、近赤外線センサを、取り付け孔を通じて筒状壁部から抜き出して、外装部材から取り外すことが可能となる。また、規制部の第2締結部が、筒状壁部の第2被締結部に対し締結されると、近赤外線センサが外装部材に対し直接取り付けられる。
【0022】
上記車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造において、前記第1被締結部は、前記外装部材のうち、前記第1締結部の車内側となる箇所に形成された第1締結孔を有しており、前記第1締結孔を介して第1ねじが前記第1締結部に螺入されていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、第1ねじが緩む側へ回転されて、第1締結部及び第1締結孔から取り出されると、同第1ねじによる第1締結部の第1被締結部に対する締結が解除され、センサカバーを外装部材から取り外すことが可能となる。
【0024】
また、第1締結孔に対し第1ねじが挿通されて、締め付ける側へ回転されると、同第1ねじが第1締結部に螺入される。第1締結部が第1被締結部に締結されて、センサカバーが外装部材に取り付けられる。
【0025】
上記車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造において、前記第2締結部は、前記ブラケットのうち、前記第2被締結部の車内側となる箇所に形成された第2締結孔を有しており、前記第2締結孔を介して第2ねじが前記第2被締結部に螺入されていることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、第2ねじが緩む側へ回転されて、第2被締結部及び第2締結孔から取り出されると、同第2ねじによる第2締結部の第2被締結部に対する締結が解除され、近赤外線センサを外装部材から取り外すことが可能となる。
【0027】
また、第2締結孔に対し第2ねじが挿通されて、締め付ける側へ回転されると、同第2ねじが第2被締結部に螺入される。第2締結部が第2被締結部に締結されて、近赤外線センサがブラケットを介して外装部材に間接に取り付けられる。
【0028】
上記車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造において、前記第2締結部は、前記規制部のうち、前記第2被締結部の車内側となる箇所に形成された第2締結孔を有しており、前記第2締結孔を介して第2ねじが前記第2被締結部に螺入されていることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、第2ねじが緩む側へ回転されて、同第2ねじが第2被締結部及び第2締結孔から取り出されると、第2ねじによる第2締結部の第2被締結部に対する締結が解除され、近赤外線センサを外装部材から取り外すことが可能となる。
【0030】
また、第2締結孔に対し第2ねじが挿通されて、締め付ける側へ回転されると、第2ねじが第2被締結部に螺入される。第2締結部が第2被締結部に締結されて、近赤外線センサが外装部材に直接取り付けられる。
【発明の効果】
【0031】
上記車両への近赤外線センサ及びセンサカバーの取り付け構造によれば、近赤外線センサ及びセンサカバーをそれぞれ交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態において、フロントグリルに対し、近赤外線センサ及びセンサカバーが取り付けられる前の状態を、斜め後側から見た斜視図。
図2】第1実施形態において、近赤外線センサ及びセンサカバーが取り付けられたフロントグリルの一部を示す正面図。
図3図2の3-3線断面図。
図4図3のA部を拡大して示す部分断面図。
図5図2のフロントグリルから近赤外線センサ及びセンサカバーが取り外された状態を示す正面図。
図6図2の6-6線断面図。
図7図2の7-7線断面図。
図8】近赤外線センサが第1実施形態とは異なる態様でフロントグリルに取り付けられる変形例を示す図であり、図3に対応する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、車両の前方監視用の近赤外線センサと、その近赤外線センサ用のセンサカバーとをそれぞれ車両に取り付ける構造に具体化した第1実施形態について、図1図7を参照して説明する。
【0034】
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方とし、後進方向を後方として説明する。また、上下方向は車両の上下方向を意味し、左右方向は車幅方向であって車両の前進時の左右方向と一致するものとする。
【0035】
最初に、車両において、近赤外線センサ及びセンサカバーが取り付けられる対象であるフロントグリルについて説明する。続けて、フロントグリルの後側に配置されて取り付けられる近赤外線センサと、同フロントグリルの前側に配置されて取り付けられるセンサカバーとについて、それぞれ説明する。
【0036】
ここで、車両の前後方向における「前」は、近赤外線センサ、センサカバー及びフロントグリルの三者の関係においては、「外」に該当する。また、上記前後方向における「後」は、上記三者の関係においては、「内」に該当する。
【0037】
<フロントグリル10>
図1及び図2に示すように、車両における車体の前端部には、外装部材としてフロントグリル10が取り付けられている。図1及び図2では、フロントグリル10については、一部が図示されている。フロントグリル10は、板状部11と、板状部11の前面に形成された複数の横格子部12とを備えている。板状部11は、起立した状態で配置されている。各横格子部12は、板状部11から前方へ突出した状態で左右方向へ延びている。複数の横格子部12は、上下方向に互いに離間している。各横格子部12は、表面にメッキが施されることにより、金属光沢を有している。
【0038】
また、図3及び図5に示すように、左右方向におけるフロントグリル10の中央部分には、横格子部12の前面よりも後側へ凹んだ段差部13が形成されている。段差部13の形成により、一部の横格子部12は、左右方向における中央部分で分断されている。左右方向における段差部13の両側の横格子部12は、段差部13を挟んで互いに同方向に離間している。
【0039】
左右方向及び上下方向における段差部13の中央部分には、開口部14が形成されている。フロントグリル10において開口部14が形成された箇所は、近赤外線の送信方向における近赤外線センサ30の前方である。開口部14は、上下方向よりも左右方向に細長い略長方形状をなしている。段差部13において、開口部14の周縁部からは、略四角筒状をなす有底の筒状壁部15が後方へ向けて突出している。筒状壁部15の突出側(後側)の端部16には、取り付け孔17が形成されている。
【0040】
図5及び図6に示すように、左右方向における段差部13の両側部には、前面において開口され、かつそれぞれ略上下方向に細長い凹部18が形成されている。各凹部18の内底部18aのうち、後述する第1ボス68の後側となる複数箇所には、第1被締結部が設けられている。各第1被締結部は、開口部14の周囲であって、同開口部14よりも後側に位置している。第1被締結部は、凹部18毎の内底部18aの上端部及び下端部に形成された一対の第1締結孔19と、同内底部18aにおける各第1締結孔19の周辺部分とによって構成されている。
【0041】
図1及び図6に示すように、板状部11において各凹部18の後側となる箇所であって、上下方向における両第1締結孔19の中間部分には、後方へ向けて突出する突部21が形成されている。各突部21は筒状壁部15の外部に位置している。各突部21の上部には、後方へ向けて突出する軸部22が形成されている。各突部21における軸部22の下方には、後方へ向けて突出する第2ボス23が、第2被締結部の一部として形成されている。
【0042】
図1及び図3に示すように、フロントグリル10における開口部14よりも後側であり、かつ筒状壁部15の外部には、後方へ向けて突出する第2ボス24が、第2被締結部の一部として形成されている。第1実施形態では、第2ボス24は、フロントグリル10における開口部14及び筒状壁部15よりも上側であって、左右方向に互いに離間した複数箇所(2箇所)に形成されている。上記第2ボス23,24は、上記第1締結孔19に対し、開口部14の周方向にずれた箇所に位置している。また、第2ボス23と第2ボス24とは、開口部14の周方向に互いにずれた箇所に位置している。
【0043】
<近赤外線センサ30>
近赤外線センサ30は、開口部14よりも後側に設定された搭載位置に配置されている。近赤外線センサ30の前端面30aは、上記開口部14から後方へ離れている。
【0044】
近赤外線センサ30は、車両の前方へ向けて近赤外線を送信し、かつ先行車両、歩行者等の車両前方の物体に当たって反射された近赤外線を受信する。近赤外線は、電磁波の一種であり、可視光の波長よりも長く、赤外線よりも短い波長を有する。近赤外線センサ30は、送信した近赤外線と受信した近赤外線とに基づき、車両前方の上記物体を認識するとともに、車両と上記物体との距離、相対速度等を検出する。
【0045】
近赤外線センサ30は、板状の規制部31を、自身の前端部の外周に有している。規制部31は、近赤外線センサ30が後側から取り付け孔17を通って上記搭載位置まで挿通されるのを許容し、かつその逆に、近赤外線センサ30が前側から取り付け孔17を通って搭載位置まで挿通されるのを規制する機能を有している。
【0046】
上記搭載位置では、近赤外線センサ30における規制部31よりも前側の部分が、取り付け孔17に対し、後側から挿通されて、筒状壁部15内に配置されている。規制部31が端部16に対し後側から接近又は接触している。近赤外線センサ30の前端面30aは、上記開口部14から後方へ離れている。近赤外線センサ30の規制部31よりも後側の部分は、筒状壁部15の外部であって端部16よりも後側に位置している。
【0047】
図7に示すように、近赤外線センサ30は、左右方向における両側面に、それぞれ取り付け突部32を有している。また、図1及び図3に示すように、近赤外線センサ30は、上面の後端部であって、左右方向に互いに離間した2箇所に取り付け突部33を有している。
【0048】
図1図3及び図7に示すように、近赤外線センサ30には、開口部14よりも後側であり、かつ筒状壁部15の外部に配置された複数のブラケットがそれぞれ取り付けられている。複数のブラケットは、一対の横ブラケット35と一対の縦ブラケット45とによって構成されている。各横ブラケット35及び各縦ブラケット45は、金属等の硬質の材料からなる1枚の板材を曲げ加工等することによって形成されている。
【0049】
各横ブラケット35は、近赤外線センサ30の左右の側方近傍に配置されている。各横ブラケット35は、腕部36及び取り付け部38を備えている。各腕部36は、近赤外線センサ30の左右の側面に沿って前後方向へ延びている。各取り付け部38は、各腕部36の前端部に接続されており、左右方向のうち近赤外線センサ30から遠ざかる側へ延びている。
【0050】
各腕部36には孔39が形成されている。孔39にねじ41が挿通され、上記取り付け突部32に対し螺入されている。この螺入に伴う締め付けによって、各横ブラケット35が腕部36において取り付け突部32に取り付けられている。
【0051】
各取り付け部38の上部には位置決め孔42が形成されている(図6参照)。各取り付け部38の位置決め孔42の下方であって、上記第2ボス23の後側となる箇所には、第2締結孔43が形成されている。第2締結孔43と、取り付け部38における第2締結孔43の周辺部分とによって、第2締結部の一部が構成されている。
【0052】
各縦ブラケット45は、腕部46及び取り付け部48を備えている。各腕部46は、近赤外線センサ30の上面に沿って前後方向へ延びている。各取り付け部48は、各腕部46の前端部に接続されており、上方へ延びている。
【0053】
各腕部46の後端部には孔47が形成されている。孔47にねじ40が挿通され、上記取り付け突部33に対し螺入されている。この螺入に伴う締め付けによって、各縦ブラケット45が腕部36において取り付け突部33に取り付けられている。
【0054】
各取り付け部48であって、上記第2ボス24の後側となる箇所には、第2締結孔49が形成されている。第2締結孔49と、取り付け部48における第2締結孔49の周辺部分とによって、第2締結部の一部が構成されている。
【0055】
そして、取り付け部38毎の位置決め孔42に対し、対応する軸部22が挿通されることにより、横ブラケット35がフロントグリル10に対し位置決めされている。さらに、取り付け部38毎の第2締結孔43に対し後側から第2ねじ44が挿通され、第2ボス23に螺入されている。また、取り付け部48毎の第2締結孔49に対し後側から第2ねじ51が挿通され、第2ボス24に螺入されている。上記第2ねじ44,51の螺入に伴う締め付けによって、近赤外線センサ30が一対の横ブラケット35及び一対の縦ブラケット45を介して、フロントグリル10に対し、締結解除可能に締結されている。
【0056】
<センサカバー55>
図2図4に示すように、開口部14よりも前側には、センサカバー55のうち、少なくとも近赤外線を透過する部分が配置されている。センサカバー55は、近赤外線センサ30の前端面30aから前方へ離間している。センサカバー55は、外基材56、加飾層65及び内基材61を備えている。なお、図3では加飾層65の図示が省略されている。図6図8についても同様である。
【0057】
外基材56及び内基材61はともに、近赤外線の透過性を有する透明な樹脂材料によって形成されている。ここでの透明には、無色透明のほかにも着色透明(有色透明)も含まれる。該当する樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等が挙げられる。外基材56及び内基材61は、同一の種類の樹脂材料によって形成されてもよいし、異なる種類の樹脂材料によって形成されてもよい。
【0058】
外基材56の前面57は、平坦な面によって構成されていて、センサカバー55の意匠面を構成している。これに対し、外基材56の後部の上下方向へ互いに離間した複数箇所には、それぞれ左右方向へ延びる凹部58が形成されている。
【0059】
内基材61は、外基材56の後側に配置されている。内基材61の後面62は、平坦な面によって構成されている。内基材61の前部の上下方向へ互いに離間した複数箇所には、それぞれ左右方向へ延びる突部64が形成されている。各突部64は、外基材56の対応する凹部58に入り込んでいる。
【0060】
上記凹部58及び突部64の組み合わせは、フロントグリル10における横格子部12のうち、段差部13の形成により分断された領域、すなわち、左右方向に延びる帯状の領域に設定されている。上記組み合わせは、上下方向における横格子部12と同じ位置又は略同じ位置であって、横格子部12と同じ又は略同じ上下幅を有している。
【0061】
加飾層65は、センサカバー55を装飾するための層であり、外基材56及び内基材61の間に形成されている。加飾層65は、光輝加飾層66及び有色加飾層67によって構成されている。
【0062】
有色加飾層67は、近赤外線の光線透過率が高く、かつ可視光の光線透過率が低い材料、例えば赤外線透過インキ(IRインキ)によって形成されており、黒色、青色、赤色等をなしている。有色加飾層67は、外基材56の後面のうち、凹部58とは異なる箇所に対し、例えば、スクリーン印刷等の印刷を行うことによって形成されている。
【0063】
光輝加飾層66は、外基材56における凹部58の内壁面と、有色加飾層67の後面全体とに対し、スパッタリング、蒸着、コーティング等を行うことによって形成されている。光輝加飾層66は、上記横格子部12の金属光沢と同じ又は近い金属光沢を有するとともに、可視光を反射し、かつ近赤外線を透過する。
【0064】
図6に示すように、内基材61は、その後面の四隅から後方へ向けて突出する第1ボス68を、第1締結部として有している。各第1ボス68は、上記凹部18内に入り込んでいる。そして、各第1締結孔19に対し後側から第1ねじ69が挿通され、第1ボス68に螺入されている。この螺入に伴う締め付けによって、センサカバー55がフロントグリル10に対し、締結解除可能に締結されている。
【0065】
次に、上記のように構成された第1実施形態の作用について説明する。また、上記作用に伴う効果についても併せて説明する。
近赤外線センサ30から近赤外線が送信されると、その近赤外線は、図4に示すセンサカバー55における内基材61、加飾層65及び外基材56を順に透過する。センサカバー55を透過した近赤外線は、先行車両、歩行者等を含む車両前方の物体に当たって反射された後、再びセンサカバー55における外基材56、加飾層65及び内基材61を順に透過する。センサカバー55を透過した近赤外線は、近赤外線センサ30によって受信される。近赤外線センサ30では、送信及び受信された上記近赤外線に基づき、物体の認識や、車両と同物体との距離、相対速度等の検出が行われる。
【0066】
センサカバー55は、送信及び反射された近赤外線が透過する際の妨げとなりにくい。近赤外線のうち、センサカバー55によって減衰される量を許容範囲にとどめることができる。そのため、近赤外線センサ30に、上記検出等の機能を適正に発揮させることができる。
【0067】
また、センサカバー55に対し前側から可視光が照射されると、その可視光は外基材56を透過し、加飾層65における有色加飾層67及び光輝加飾層66で反射される。
車両前方からセンサカバー55を見ると、外基材56を通して、その外基材56の後側(奥側)に加飾層65が位置するように見える。加飾層65のうち有色加飾層67については、その有色加飾層67の有する色が見える。また、加飾層65のうち光輝加飾層66については、金属のように光り輝いて見える。このように、加飾層65によってセンサカバー55が装飾され、同センサカバー55及びその周辺部分の見栄えが向上する。
【0068】
特に、加飾層65は、外基材56及び内基材61の間に形成されていて、凹凸状をなしている。そのため、車両の前方からセンサカバー55を見ると、光輝加飾層66が、有色加飾層67よりも前側(手前)に位置しているように見える。従って、センサカバー55及びその周辺部分の見栄えがさらに向上する。
【0069】
また、図2及び図4に示すように光輝加飾層66が、横格子部12のうち、段差部13により分断された領域に位置する。車両の前方からは、左右方向における段差部13の両側の横格子部12が、光輝加飾層66を挟んで一直線状に繋がっているように見える。そのため、センサカバー55とフロントグリル10との一体感がさらに高められ、意匠性がさらに良好なものとなる。
【0070】
なお、可視光の加飾層65での上記反射は、近赤外線センサ30よりも前側で行われる。加飾層65は、近赤外線センサ30を覆い隠す機能を発揮する。そのため、センサカバー55の前側からは、近赤外線センサ30が見えにくい。従って、近赤外線センサ30がセンサカバー55を介して透けて見える場合に比べて意匠性が向上する。
【0071】
ところで、飛び石等により傷が付いたり、損傷したりしてセンサカバー55における近赤外線の透過性能が低下等した場合には、図1及び図6に示す複数の第1ねじ69がそれぞれ緩む側へ回転されて、第1ボス68及び第1締結孔19から取り出される。すると、凹部18の内底部18aにおける第1締結孔19の周辺部分に対する第1ボス68の締結が解除される。センサカバー55がフロントグリル10から前側へ取り外される。
【0072】
続いて、近赤外線の透過性能が低下等していない別のセンサカバー55が前側からフロントグリル10に近づけられる。各第1ボス68が、対応する凹部18に挿入される。各第1ボス68が第1締結孔19に合致された状態で内底部18aに接近又は接触される。フロントグリル10の複数の第1締結孔19に対し、それぞれ後側から第1ねじ69が挿通されて、締め付ける側へ回転される。この回転により、第1ねじ69が第1ボス68に螺入され、第1ボス68が内底部18aにおける第1締結孔19の周辺部分に締結されて、センサカバー55がフロントグリル10に取り付けられる。このようにして、センサカバー55が交換される。
【0073】
また、図3及び図7に示すように、近赤外線センサ30のセンサ性能が低下等した場合には、各第2ねじ44が緩む側へ回転されて、第2ボス23及び第2締結孔43から取り出される。すると、取り付け部38における第2締結孔43の周辺部分の第2ボス23に対する締結が解除される。また、各第2ねじ51が緩む側へ回転されて、第2ボス24及び第2締結孔49から取り出される。すると、取り付け部48における第2締結孔49の周辺部分の第2ボス24に対する締結が解除される。両横ブラケット35及び両縦ブラケット45が取り付けられた状態の近赤外線センサ30は、筒状壁部15の取り付け孔17から後方へ抜き出されることで、フロントグリル10から取り外される。
【0074】
また、センサ性能が低下しておらず、かつ両横ブラケット35及び両縦ブラケット45が取り付けられた状態の別の近赤外線センサ30が、後側からフロントグリル10に近づけられて、自身の規制部31よりも前側部分が取り付け孔17内に挿通される。規制部31が端部16に接近又は接触すると、近赤外線センサ30は上記搭載位置に配置される。搭載位置では、各横ブラケット35の取り付け部38が突部21の第2ボス23に接近又は接触し、各縦ブラケット45の取り付け部48が第2ボス24に接近又は接触する。各横ブラケット35における第2締結孔43のそれぞれに対し後側から第2ねじ44が挿通され、締め付ける側へ回転される。この回転により、各第2ねじ44が第2ボス23に螺入され、取り付け部38における第2締結孔43の周辺部分が第2ボス23に締結される。また、各縦ブラケット45における第2締結孔49に対し後側から第2ねじ51が挿通され、締め付ける側へ回転される。すると、第2ねじ51が第2ボス24に螺入され、取り付け部48における第2締結孔49の周辺部分が第2ボス24に締結される。これらの締結により、近赤外線センサ30がフロントグリル10に対し、一対の横ブラケット35及び一対の縦ブラケット45を介して間接に取り付けられる。このようにして、近赤外線センサ30が交換される。
【0075】
第1実施形態では、センサカバー55の交換は、開口部14よりも前側で行われる。これに対し、近赤外線センサ30の交換は、開口部14よりも後側で行われる。そのため、近赤外線センサ30がセンサカバー55の交換の妨げとなりにくい。また、センサカバー55が近赤外線センサ30の交換の妨げとなりにくい。
【0076】
また、図6に示すように、凹部18の内底部18aにおける第1締結孔19の周辺部分に対する第1ボス68の締結解除及び締結が、開口部14よりも後側で行われる。図7に示すように、取り付け部38における第2締結孔43の周辺部分の第2ボス23に対する締結解除及び締結についても同様である。図3に示すように、取り付け部48における第2締結孔49の周辺部分の第2ボス24に対する締結解除及び締結についても同様である。上記の締結解除及び締結は、開口部14の周方向に互いにずれた箇所で行われる。
【0077】
そのため、内底部18aに対する第1ボス68の締結解除及び締結は、取り付け部38の第2ボス23に対する締結箇所(図7参照)や、取り付け部48の第2ボス24に対する締結箇所(図3参照)から影響を受けにくい。同様に、取り付け部38の第2ボス23に対する締結解除及び締結と、取り付け部48の第2ボス24に対する締結解除及び締結とは、内底部18aに対する第1ボス68の締結箇所(図6参照)から影響を受けにくい。さらに、取り付け部38の第2ボス23に対する締結解除及び締結は、取り付け部48の第2ボス24に対する締結箇所(図3参照)から影響を受けにくい。また、取り付け部48の第2ボス24に対する締結解除及び締結は、取り付け部38の第2ボス23に対する締結箇所(図7参照)から影響を受けにくい。
【0078】
従って、センサカバー55の交換作業、及び近赤外線センサ30の交換作業をより簡単に行うことが可能となる。
さらに、取り付け部38の第2ボス23に対する締結を解除し、取り付け部48の第2ボス24に対する締結を解除することで、両横ブラケット35及び両縦ブラケット45が取り付けられた状態の近赤外線センサ30をフロントグリル10から取り外すことができる。また、取り付け部38を第2ボス23に締結し、取り付け部48を第2ボス24に締結することで、近赤外線センサ30をフロントグリル10に対し、両横ブラケット35及び両縦ブラケット45を介して間接に取り付けることができる。
【0079】
第1実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・近赤外線センサ30が、仮にフロントグリル10とは異なる箇所、例えば車体に取り付けられると、同近赤外線センサ30を、フロントグリル10に取り付けられたセンサカバー55に対し、所定の位置関係となる箇所に精度よく配置させることが難しい。近赤外線センサ30とセンサカバー55とで、取り付けられる対象が異なるからである。
【0080】
また、近赤外線センサ30及びセンサカバー55に対し、車両側から振動がそれぞれ伝わった場合、振動の伝達経路が互いに異なるため、近赤外線センサ30の振動量とセンサカバー55の振動量とが異なるおそれがある。
【0081】
これらの位置ずれや、振動量の差は、センサカバー55の近赤外線の透過性能や、近赤外線センサ30のセンサ性能の低下を招くおそれがある。
この点、第1実施形態では、近赤外線センサ30もセンサカバー55と同様にフロントグリル10に取り付けられている。表現を変えると、フロントグリル10に対し、近赤外線センサ30及びセンサカバー55の両方が取り付けられている。そのため、近赤外線センサ30をセンサカバー55に対し、所定の位置関係となる箇所に精度よく配置させることができる。
【0082】
また、近赤外線センサ30及びセンサカバー55に対しては、いずれもフロントグリル10を介して振動が伝わる。近赤外線センサ30及びセンサカバー55は、互いに同程度に振動する。センサカバー55及び近赤外線センサ30の位置ずれについても振動量の差についても小さくし、センサカバー55の近赤外線の透過性能や、近赤外線センサ30のセンサ性能の低下を抑制することができる。
【0083】
・第1実施形態では、横ブラケット35及び縦ブラケット45が用いられて、近赤外線センサ30がフロントグリル10に間接に取り付けられている。そのため、横ブラケット35及び縦ブラケット45が用いられずに、近赤外線センサ30が直接にフロントグリル10に取り付けられる場合に比べ、取り付け位置の自由度を高めることができる。
【0084】
また、近赤外線センサ30をフロントグリル10に取り付けるために、同近赤外線センサ30に対し、第2締結部(第2締結孔43,49)を設けるための加工を行わなくてもすむ。
【0085】
特に、第1実施形態では、フロントグリル10における第2被締結部(第2ボス23,24)が、近赤外線センサ30から遠ざかった箇所に設定される。この場合であっても、横ブラケット35及び縦ブラケット45を用いることで、その第2被締結部に締結できる第2締結部(第2締結孔43,49)を設定することができる。近赤外線センサ30をフロントグリル10に対し、適切に取り付けることができる。
【0086】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図8を参照して説明する。
第2実施形態では、両横ブラケット35及び両縦ブラケット45が用いられずに、近赤外線センサ30がフロントグリル10に直接取り付けられている。
【0087】
より詳しくは、筒状壁部15の後側の端部16のうち取り付け孔17の周囲であって、周方向に離間した複数箇所には、第2被締結部として、前後方向へ延びる第2ボス72が設けられている。各第2ボス72は、開口部14よりも後方であって、第1締結孔19(図6参照)に対し開口部14の周方向にずれた箇所に位置している。
【0088】
また、近赤外線センサ30の規制部31のうち、上記第2ボス72の後側となる箇所には、第2締結孔71が形成されている。第2締結孔71と、規制部31における第2締結孔71の周辺部分とによって第2締結部が構成されている。
【0089】
そして、第2締結孔71に対し後側から挿通された第2ねじ73が、第2ボス72に螺入されることにより、規制部31における第2締結孔71の周辺部分が、対応する第2ボス72に対し、締結解除可能に締結されている。
【0090】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
従って、第2実施形態によれば、近赤外線センサ30のセンサ性能が低下等した場合には、第2ねじ73が緩む側へ回転されて、第2ボス72及び第2締結孔71から取り出される。すると、規制部31における第2締結孔71の周辺部分の第2ボス72に対する締結が解除される。近赤外線センサ30は、筒状壁部15の取り付け孔17から後方へ抜き出されることで、フロントグリル10から取り外される。
【0091】
続いて、センサ性能が低下していない別の近赤外線センサ30が後側からフロントグリル10に近づけられて、規制部31よりも前側部分が取り付け孔17内に挿通される。規制部31が第2ボス72に接近又は接触させられる。各第2締結孔71に対し後側から第2ねじ73が挿通され、締め付ける側へ回転される。この回転により、第2ねじ73が第2ボス72に螺入され、規制部31における第2締結孔71の周辺部分が第2ボス72に締結される。この締結により、近赤外線センサ30がフロントグリル10に対し直接取り付けられる。このようにして、近赤外線センサ30が交換される。
【0092】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
そのほかにも、第2実施形態では、両横ブラケット35及び両縦ブラケット45を用いていないため、より少ない部品で、近赤外線センサ30をフロントグリル10に取り付けることができる。
【0093】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・センサカバー55及び近赤外線センサ30のそれぞれのフロントグリル10に対する取り付けは、クリップ、ビス、爪係合等、ねじ締結とは異なる締結手段を用いた締結によってなされてもよい。
【0094】
・上記第1実施形態よりも少ない数又は多い数のブラケットが用いられ、同ブラケットを介して近赤外線センサ30がフロントグリル10に対し間接に取り付けられてもよい。
・上記取り付け構造は、車両前方とは異なる方向へ近赤外線を送信する近赤外線センサが搭載された車両にも適用可能である。該当する近赤外線センサとしては、例えば、前側方監視用、後方監視用、及び後側方監視用の近赤外線センサが挙げられる。
【0095】
前側方監視用の近赤外線センサは、例えば、フロントバンパにおけるバンパカバーを外装部材とし、左右方向における同バンパカバーの側部に形成された開口部よりも車内側に配置される。このタイプの近赤外線センサは、例えば、斜め前方から接近する見通しのよい交差点での出合い頭の衝突、センターラインをはみ出した対向車との衝突等を軽減するシステムに使用されて、車両の側方や斜め前側方の物体を検出する役割を担う。
【0096】
後方監視用の近赤外線センサは、例えば、リヤバンパにおけるバンパカバーを外装部材とし、左右方向における同バンパカバーの中央部分に形成された開口部よりも車内側に配置される。このタイプの近赤外線センサは、例えば、所定速度以上での走行時に、後方から接近する車両を検出する役割を担う。
【0097】
後側方監視用の近赤外線センサは、リヤバンパにおけるバンパカバーを外装部材とし、左右方向における同バンパカバーの側部に形成された開口部よりも車内側に配置される。このタイプの近赤外線センサは、例えば、運転者の死角になりやすい斜め後側方の車両や、後退時に斜め後側方から接近してくる車両を検出する役割を担う。
【0098】
・上記前側方監視用及び後側方監視用の近赤外線センサは、車両の左右方向における両側部に配置されてもよいし、一方の側部にのみ配置されてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10…フロントグリル(外装部材)、14…開口部、15…筒状壁部、16…端部、17…取り付け孔、19…第1締結孔(第1被締結部の一部を構成)、23,24,72…第2ボス(第2被締結部の一部を構成)、30…近赤外線センサ、31…規制部、35…横ブラケット(ブラケットの一部を構成)、43,49,71…第2締結孔(第2締結部の一部を構成)、44,51,73…第2ねじ、45…縦ブラケット(ブラケットの一部を構成)、55…センサカバー、68…第1ボス(第1締結部を構成)、69…第1ねじ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8