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特許7151649自己修復性コーティング剤、硬化物及びフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】自己修復性コーティング剤、硬化物及びフィルム
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20221004BHJP
   C09D 183/06 20060101ALI20221004BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20221004BHJP
   C09D 169/00 20060101ALI20221004BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20221004BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20221004BHJP
【FI】
C09D133/00
C09D183/06
C09D175/04
C09D169/00
C08G18/40 063
C08G18/72 010
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019128855
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2020015907
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2018132743
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 祐希
(72)【発明者】
【氏名】久米 啓太
(72)【発明者】
【氏名】山崎 彰寛
(72)【発明者】
【氏名】東本 徹
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-108347(JP,A)
【文献】特開2012-107101(JP,A)
【文献】特開2011-207953(JP,A)
【文献】特開平06-172486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、ポリイソシアネート及びポリカーボネートポリオールを含み、
ポリイソシアネートとしてポリイソシアネートのアダクト体及びポリイソシアネートのビウレット体を含む、自己修復性コーティング剤。
【請求項2】
前記水酸基含有(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度が、40~100℃である請求項に記載の自己修復性コーティング剤。
【請求項3】
前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が800~1000である請求項1又は2に記載の自己修復性コーティング剤。
【請求項4】
前記水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、ポリイソシアネート及びポリカーボネートポリオールの合計含有量を100質量%としたとき、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の含有量が30~70質量%、水酸基含有シリコーンの含有量が1~10質量%、ポリイソシアネートの含有量が10~50質量%、ポリカーボネートポリオールの含有量が15~40質量%である請求項1~のいずれかに記載の自己修復性コーティング剤。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の自己修復性コーティング剤の硬化物。
【請求項6】
請求項に記載の硬化物を含む、フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自己修復性コーティング剤、硬化物及びフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、自動車用部品などの各種工業製品には、ABS、ポリカーボネートなどのプラスチック基材が用いられている。このようなプラスチック基材を保護するためにコーティング剤により表面処理が行われる。これらコーティング剤の中でも自己修復性コーティング剤は、生じた傷が経時的に消失することから、各種基材を保護する上で好ましいコーティング剤である。
【0003】
これらコーティング剤に関連する従来技術として、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂(a)とフッ素系化合物(b)と光重合開始剤(d)とを含むコーティング剤を開示する特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6241571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、自己修復性、耐汚染性に優れていることについて記載されているが、加工性についてさらなる改良が可能である。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、加工性に優れた硬化物やフィルムを製造するための自己修復性コーティング剤を提供すること、透明性に優れ塗布外観の良好な硬化物やフィルムを製造するための自己修復性コーティング剤を提供すること、防汚性を有する硬化物やフィルムを製造するための自己修復性コーティング剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の成分を含む自己修復性コーティング剤により、上記課題が解決されることを見出した。
【0008】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、ポリイソシアネート及びポリカーボネートポリオールを含む、自己修復性コーティング剤。
(項目2)
前記ポリイソシアネートが、ポリイソシアネートのアダクト体、ポリイソシアネートのアロファネート体、ポリイソシアネートのビウレット体及びポリイソシアネートのイソシアヌレート体から選択される2種以上を含む、上記項目に記載の自己修復性コーティング剤。
(項目3)
前記水酸基含有(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度が、40~100℃である上記項目1又は2に記載の自己修復性コーティング剤。
(項目4)
前記ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が800~1000である上記項目1~3のいずれかに記載の自己修復性コーティング剤。
(項目5)
前記水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、ポリイソシアネート及びポリカーボネートポリオールの合計含有量を100質量%としたとき、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の含有量が30~70質量%、水酸基含有シリコーンの含有量が1~10質量%、ポリイソシアネートの含有量が10~50質量%、ポリカーボネートポリオールの含有量が15~40質量%である上記項目1~4のいずれかに記載の自己修復性コーティング剤。
(項目6)
上記項目1~5のいずれかに記載の自己修復性コーティング剤の硬化物。
(項目7)
上記項目6に記載の硬化物を含む、フィルム。
【0009】
本開示において、上述した1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自己修復性コーティング剤を用いることにより、加工性に優れ、伸びが良好な硬化物やフィルム、透明性に優れ、塗布外観が良好な硬化物やフィルム、防汚性が良好な硬化物やフィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、数値αの上限がA1、A2、A3等が例示され、数値αの下限がB1、B2、B3等が例示される場合、数値αの範囲は、A1以下、A2以下、A3以下、B1以上、B2以上、B3以上、A1~B1、A1~B2、A1~B3、A2~B1、A2~B2、A2~B3、A3~B1、A3~B2、A3~B3等が例示される。
【0012】
[自己修復性コーティング剤]
本開示は、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、ポリイソシアネート及びポリカーボネートポリオールを含む、自己修復性コーティング剤を提供する。
【0013】
<水酸基含有(メタ)アクリル樹脂>
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂は、水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む共重合体等が例示される。水酸基含有(メタ)アクリル樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
本開示において「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。また「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及びメタクリロイルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0015】
(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート)
水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、下記一般式で表わされる。
【0016】
【化1】
(式中、
a1は水素原子、又はメチル基であり、
a2はアルキル基である。)
【0017】
水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0018】
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が例示される。
【0019】
直鎖アルキル基は、-C2n+1(nは1以上の整数)の一般式で表される。直鎖アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカメチル基等が例示される。
【0020】
分岐アルキル基は、直鎖アルキル基の少なくとも1つの水素がアルキル基によって置換された基である。分岐アルキル基は、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等が例示される。
【0021】
シクロアルキル基は、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が例示される。
【0022】
単環シクロアルキル基は、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基等が例示される。
【0023】
架橋環シクロアルキル基は、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が例示される。
【0024】
縮合環シクロアルキル基は、ビシクロデシル基等が例示される。
【0025】
水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートは、水酸基非含有直鎖アルキル(メタ)アクリレート、水酸基非含有分岐アルキル(メタ)アクリレート、水酸基非含有シクロアルキル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0026】
水酸基非含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル等が例示される。
【0027】
水酸基非含有分岐アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が例示される。
【0028】
水酸基非含有シクロアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が例示される。
【0029】
1つの実施形態において、自己修復性コーティング剤のレベリング性、密着性に寄与することから、アルキル基の炭素数が1~20程度のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。また、アルキル基の炭素数が異なる水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートを併用することによって、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度等の物性が調節可能となる。
【0030】
1つの実施形態において、水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートの中でも、特に自己修復性コーティング剤の耐摩耗性、レベリング性、密着性に寄与することから、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルが好ましい。
【0031】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100モル%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限は、98、95、90、85、80、75、70、65モル%等が例示され、下限は、95、90、85、80、75、70、65、62モル%等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100モル%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の範囲は62~98モル%程度が好ましい。
【0032】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100質量%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限は、98、95、90、85、80、75、70質量%等が例示され、下限は、95、90、85、80、75、70、65質量%等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100質量%に占める水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の範囲は65~98質量%程度が好ましい。
【0033】
(水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート)
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、下記一般式で表わされる。
【0034】
【化2】
(式中、
a3は水素原子、又はメチル基であり、
a4はアルキレン基である。)
【0035】
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、2種以上を併用してもよい。
【0036】
アルキレン基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基等が例示される。
【0037】
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレート、分岐型水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0038】
水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が例示される。
【0039】
分岐型水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル等が例示される。
【0040】
水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシルメチル等が例示される。
【0041】
水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートは、自己修復性コーティング剤の硬化性、ポットライフ等の観点から、アルキル基の炭素数が1~4程度のものが好ましい。
【0042】
1つの実施形態において、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートの中でも、自己修復性コーティング剤の硬化性、ポットライフ等の観点から、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが好ましい。
【0043】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100モル%に占める水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限は、38、35、30、25、20、15、10、5、2.5モル%等が例示され、下限は、35、30、25、20、15、10、5、2.5、1.5モル%等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100モル%に占める水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の範囲は1.5~38モル%程度が好ましい。
【0044】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100質量%に占める水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の上限は、35、30、25、20、15、10、5、2.5質量%等が例示され、下限は、30、25、20、15、10、5、2.5、2質量%等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100質量%に占める水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量の範囲は2~35質量%程度が好ましい。
【0045】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位との物質量比(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmol/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmol)の上限は、57、50、40、30、20、10、5、2等が例示され、下限は、55、50、40、30、20、10、5、2、1.6等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位との物質量比(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmol/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmol)は、1.6~57程度が好ましく、5~15がより好ましい。
【0046】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位との質量比(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmass/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmass)の上限は、49、40、30、20、10、5、2等が例示され、下限は、45、40、30、20、10、5、2、1.8等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位と水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位との質量比(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmass/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmass)は、1.8~49程度が好ましく、5~15がより好ましい。
【0047】
(水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート以外のモノマー:その他のモノマーともいう)
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂を製造する際には、水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートのいずれにも該当しないモノマーを用いてもよい。その他のモノマーは、2種以上を併用してもよい。
【0048】
その他のモノマーは、(メタ)アクリル酸、α,β-不飽和カルボン酸、スチレン類、α-オレフィン、不飽和アルコール及びそれらの塩、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの塩、連鎖移動性モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド類、ビニルアミン、ビス(メタ)アクリルアミド、ジ(メタ)アクリルエステル、ジビニルエステル、上記以外の二官能性モノマー、三官能性モノマー、四官能性モノマー等が例示される。
【0049】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100モル%に占めるその他のモノマー由来の構成単位の含有量の上限は、13、10、9、5、4、1モル%等が例示され、下限は、12、10、9、5、4、1、0モル%等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100モル%に占めるその他のモノマー由来の構成単位の含有量の範囲は0~13モル%程度が好ましい。
【0050】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100質量%に占めるその他のモノマー由来の構成単位の含有量の上限は、10、9、5、4、1質量%等が例示され、下限は、9、5、4、1、0質量%等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の全構成単位100質量%に占めるその他のモノマー由来の構成単位の含有量の範囲は0~10質量%程度が好ましい。
【0051】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とその他のモノマー由来の構成単位との物質量比(その他のモノマーmol/水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmol)の上限は、0.22、0.20、0.15、0.10、0.05等が例示され、下限は、0.20、0.15、0.10、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とその他のモノマー由来の構成単位との物質量比(その他のモノマーmol/水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmol)は、0~0.22程度が好ましい。
【0052】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とその他のモノマー由来の構成単位との質量比(その他のモノマーmass/水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmass)の上限は、0.19、0.15、0.10、0.05等が例示され、下限は、0.15、0.10、0.05、0等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とその他のモノマー由来の構成単位との質量比(その他のモノマーmass/水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレートmass)は、0~0.19程度が好ましい。
【0053】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とその他のモノマー由来の構成単位との物質量比(その他のモノマーmol/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmol)の上限は、8.0、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0、0.5等が例示され、下限は、7.5、7.0、6.0、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0、0.5、0等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とその他のモノマー由来の構成単位との物質量比(その他のモノマーmol/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmol)は、0~8.0程度が好ましい。
【0054】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とその他のモノマー由来の構成単位との質量比(その他のモノマーmass/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmass)の上限は、5.0、4.0、3.0、2.0、1.0、0.5等が例示され、下限は、4.5、4.0、3.0、2.0、1.0、0.5、0等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂中の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位とその他のモノマー由来の構成単位との質量比(その他のモノマーmass/水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートmass)は、0~5.0程度が好ましい。
【0055】
1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂として、自己修復性及び防汚性の観点から、水酸基を含むモノマー及び水酸基を含まないモノマーを含有する樹脂が好ましく、水酸基を含むモノマーを含有する樹脂がより好ましい。また、1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチルから選択される1種以上及び(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルを含有する樹脂であることが好ましい。
【0056】
<水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の物性等>
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度の上限は、100、90、80、70、60℃等が例示され、下限は、90、80、70、60、50、40℃等が例示される。1つの実施形態において、フィルムや硬化物が加工性に優れるという観点から、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度は40~100℃が好ましい。また、1つの実施形態において、フィルムや硬化物が自己修復性及び加工性の両方に特に優れるという観点から、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度は40~90℃が好ましく、40~80℃がより好ましく、40~70℃がさらにより好ましく、50~70℃が特に好ましく、50~60℃がさらに特に好ましい。
【0057】
ガラス転移温度はFoxの式より算出される。
Foxの式:1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+・・・+(Wn/Tgn)
Tg:コポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーAの質量%
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーBの質量%
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーNの質量%
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
【0058】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の水酸基当量の上限は、2.7、2.5、2.0、1.8、1.5、1.0、0.5、0.25meq/g等が例示され、下限は、2.5、2.0、1.8、1.5、1.0、0.5、0.25、0.17meq/g等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の水酸基当量は0.17~2.7meq/g程度が好ましく、0.5~1.8meq/g程度がより好ましい。
【0059】
本開示において、水酸基当量は固形1g中に存在する水酸基の物質量である。
【0060】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の水酸基価(固形分換算)の上限は、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15mgKOH/g等が例示され、下限は、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10mgKOH/g等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の水酸基価(固形分換算)は10~150mgKOH/g程度が好ましく、40~100mgKOH/gがより好ましく、40~90mgKOH/gがさらにより好ましく、40~80mgKOH/gが特に好ましく、40~70mgKOH/gがさらに特に好ましく、40~60mgKOH/gが最も好ましい。
【0061】
水酸基価はJIS K1557-1に準拠し、アセチル化法により測定される。
【0062】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限は、100000、90000、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、5000、4000等が例示され、下限は、90000、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、5000、4000、3000等が例示される。1つの実施形態において、自己修復性コーティング剤の耐ブロッキング性、初期密着性、及び耐湿熱密着性の観点より、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000~100000程度が好ましく、10000~80000程度がより好ましい。
【0063】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の数平均分子量(Mn)の上限は、100000、90000、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、5000、4000等が例示され、下限は、90000、80000、70000、60000、50000、40000、30000、20000、10000、5000、4000、3000等が例示される。1つの実施形態において、自己修復性コーティング剤の耐ブロッキング性、初期密着性、及び耐湿熱密着性の観点より、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の数平均分子量(Mn)は、3000~100000程度が好ましく、10000~80000程度がより好ましい。
【0064】
本開示において、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により適切な溶媒下で測定したポリスチレン換算値として測定される。
【0065】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)の上限は、10、7.5、5、2.5、2等が例示され、下限は、9.5、7.5、5、2.5、2、1.5等が例示される。1つの実施形態において、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、1.5~10程度が好ましい。
【0066】
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂は、各種公知の方法で製造され得る。水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の製造方法は、水酸基非含有アルキル(メタ)アクリレート及び水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート、並びに必要に応じてその他のモノマーを、無溶媒下又は有機溶媒中で、通常は重合開始剤の存在下、80~180℃程度において、1~10時間程度共重合反応させる方法等が例示される。水酸基含有(メタ)アクリル樹脂を製造する際に用いられる有機溶媒及び重合開始剤は、各種公知のもの、及び/又は後述のもの等が例示される。
【0067】
1つの実施形態において、自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の含有量は、20~70質量%が好ましい。
【0068】
<水酸基含有シリコーン>
水酸基含有シリコーンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。本開示において水酸基含有シリコーンとは、分子内に水酸基を有し、シロキサン結合の主鎖を有するポリマーを指す。水酸基含有シリコーンは、アクリルポリマー変性水酸基含有シリコーン、ポリエステル変性水酸基含有シリコーン、ポリエーテル変性水酸基含有シリコーン、カルビノール変性水酸基含有シリコーン等の有機変性水酸基含有シリコーンが例示される。なお、水酸基は、反応性良好の観点から、変性部位に含まれていることが好ましい。各種シリコーンの中でも水酸基含有シリコーンを使用することにより、本発明の自己修復性コーティング剤を硬化して得られる硬化物やフィルムは、透明性に優れたものとなる。
【0069】
アクリルポリマー変性水酸基含有シリコーンの市販品は、ZX-028-G((株)T&K TOKA製)、BYK-SILCLEAN3700(ビックケミー・ジャパン(株)製)、サイマックUS-270(東亞合成(株)製)等が例示される。
【0070】
ポリエーテル変性水酸基含有シリコーン又はポリエステル変性水酸基含有シリコーンの市販品は、BYK-370、BYK-375、BYK-377、BYK-SILCLEAN3720(ビックケミー・ジャパン(株)製)、X-22-4952、KF-6123(信越化学工業(株)製)等が例示される。
【0071】
カルビノール変性水酸基含有シリコーンの市販品は、X-22-4039、X-22-4015、X-22-4952、X-22-4272、X-22-170BX、X-22-170DX、KF-6000、KF-6001、KF-6002、KF-6003、KF-6123、X-22-176F(信越化学工業(株)製)、サイラプレーンFM-4411、サイラプレーンFM-4421、サイラプレーンFM-4425、サイラプレーンFM-0411、サイラプレーンFM-0421、サイラプレーンFM-DA11、サイラプレーンFM-DA21、サイラプレーンFM-DA26(JNC(株)製)等が例示される。
【0072】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有シリコーンの含有量は、1~10質量%が好ましい。
【0073】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂と水酸基含有シリコーンとの質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂mass/水酸基含有シリコーンmass)は、10~30が好ましく、15~25がより好ましい。
【0074】
<ポリイソシアネート>
本開示において、「ポリイソシアネート」は、2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物である。ポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が例示される。ポリイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
脂肪族ポリイソシアネートは、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が例示される。
【0076】
直鎖脂肪族基は、直鎖アルキレン基等が例示される。直鎖アルキレン基は-(CH-(nは1以上の整数)の一般式で表現でき、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デカメチレン基等が例示される。
【0077】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0078】
分岐脂肪族基は、分岐アルキレン基等が例示される。分岐アルキレン基は、直鎖アルキレン基の少なくとも1つの水素がアルキル基によって置換された基であり、具体的な例は、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基(トリメチルヘキサメチレン基)等が例示される。
【0079】
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
【0080】
脂環族基は、単環脂環族基、架橋環脂環族基、縮合環脂環族基等が例示される。またシクロアルキレン基は、1つ以上の水素が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0081】
本開示において、単環は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。また、縮合環は、2つ以上の単環が2個の原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。架橋環は、2つ以上の単環が3個以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0082】
単環脂環族基は、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレン基等が例示される。
【0083】
架橋環脂環族基は、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が例示される。
【0084】
縮合環脂環族基は、ビシクロデシレン基等が例示される。
【0085】
脂環族ポリイソシアネートは、単環脂環族ポリイソシアネート、架橋環脂環族ポリイソシアネート、縮合環脂環族ポリイソシアネート等が例示される。
【0086】
単環脂環族ポリイソシアネートは、水添キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示される。
【0087】
架橋環脂環族ポリイソシアネートは、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が例示される。
【0088】
縮合環脂環族ポリイソシアネートは、ビシクロデシレンジイソシアネート等が例示される。
【0089】
脂肪族基の炭素数は、特に限定されないが、その上限は、30、29、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2等が例示され、下限は、29、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1等が例示される。1つの実施形態において、脂肪族基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~16がさらに好ましく、1~12が特に好ましい。
【0090】
芳香族基は、フェニレン基、ナフチレン基等が例示される。
【0091】
芳香族ポリイソシアネートは、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等が例示される。
【0092】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートの中でも、耐候性及び自己修復性の観点から、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、直鎖脂肪族ポリイソシアネートがより好ましい。
【0093】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのNCO含有率(NCO%)は、5~30質量%が好ましい。
【0094】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートの含有量は、5~50質量%が好ましい。
【0095】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量とポリイソシアネートとの質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量mass/ポリイソシアネートmass)は、1/0.2~1/20が好ましい。
【0096】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂とポリイソシアネートとの質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂mass/ポリイソシアネートmass)は、1/0.25~1/2.4が好ましい。
【0097】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有シリコーンとポリイソシアネートとの質量比(水酸基含有シリコーンmass/ポリイソシアネートmass)は、0.01/1~0.2/1が好ましい。
【0098】
1つの実施形態において、特に防汚性及び加工性の両方に優れるため、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートが、ポリイソシアネートのアダクト体、ポリイソシアネートのアロファネート体、ポリイソシアネートのビウレット体及びポリイソシアネートのイソシアヌレート体から選択される2種以上を含むことが好ましく、ポリイソシアネートのアダクト体及びポリイソシアネートのイソシアヌレート体、ポリイソシアネートのアロファネート体及びポリイソシアネートのビウレット体、又はポリイソシアネートのアダクト体及びポリイソシアネートのビウレット体を含むことがより好ましい。これらの組合せの中でも、防汚性及び加工性の両方が特に優れることから、ポリイソシアネートのアダクト体及びポリイソシアネートのビウレット体を含むことが最も好ましい。
【0099】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中にポリイソシアネートを2種含む場合、2種ポリイソシアネートの合計含有量100質量%のうち、各々のポリイソシアネートの含有量は20~80質量%が好ましく、30~80質量%がより好ましく、30~70質量%がさらにより好ましく、35~70質量%が特に好ましく、35~65質量%がさらに特に好ましく、40~60質量%が最も好ましい。2種のポリイソシアネートが上記範囲内である場合、範囲外である場合と比較してさらに自己修復性や加工性が良好となる。
【0100】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中にポリイソシアネートを2種含む場合、2種ポリイソシアネートの質量比(一方のポリイソシアネートmass/他方のポリイソシアネートmass)は0.1~5が好ましく、0.5~3がより好ましく、0.7~2がさらにより好ましい。2種のポリイソシアネートが上記範囲内である場合、範囲外である場合と比較してさらに自己修復性や加工性が良好となる。
【0101】
<ポリイソシアネートのアダクト体>
ポリイソシアネートのアダクト体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネートのアダクト体を製造する際、ポリイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネートは上述のもの等が例示される。
【0102】
ポリイソシアネートのアダクト体は、
下記一般式:
【化3】
(式中、
adA~RadEは、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、
adD~RadEは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。
adは0以上の整数である。nadは0~3が好ましい。)
で示されるトリメチロールプロパンとポリイソシアネートのアダクト体、
下記一般式
【化4】
(式中、
adα~Radεは、それぞれ独立にアルキレン基又はアリーレン基であり、
adδ~Radεは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。
ad1は0以上の整数である。nad1は0~3が好ましい。)
で示されるグリセリンとポリイソシアネートのアダクト体等が例示される。
【0103】
なお、上記一般式のRadA~RadE及び上記一般式のRadα~Radεの基はそれぞれに、エステル基、エーテル基又はカルボニル基等の各種官能基を1以上有していてもよい。
【0104】
ポリイソシアネートのアダクト体の市販品は、デュラネートP301-75E(旭化成(株)製)、デュラネートE402-80B(旭化成(株)製)、デュラネートE405-70B(旭化成(株)製)、コロネートHL(東ソー(株)製)、バーノックD-750(DIC(株)製)等が例示される。
【0105】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのアダクト体の重量平均分子量(Mw)は、1000~4000が好ましい。
【0106】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのアダクト体の数平均分子量(Mn)は、1000~3000が好ましい。
【0107】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのアダクト体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.2~1.5が好ましい。
【0108】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのアダクト体のNCO含有率(NCO%)は、5~30質量%が好ましい。
【0109】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアダクト体の含有量は、1~99質量%が好ましい。
【0110】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量とポリイソシアネートのアダクト体との質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量mass/ポリイソシアネートのアダクト体mass)は、1/0.2~1/20が好ましい。
【0111】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂とポリイソシアネートのアダクト体との質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂mass/ポリイソシアネートのアダクト体mass)は、1/0.2~1/2が好ましい。
【0112】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有シリコーンとポリイソシアネートのアダクト体との質量比(水酸基含有シリコーンmass/ポリイソシアネートのアダクト体mass)は、0.05~30が好ましく、0.05~0.25がより好ましい。
【0113】
<ポリイソシアネートのアロファネート体>
ポリイソシアネートのアロファネート体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネートのアロファネート体を製造する際、ポリイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネートは上述のもの等が例示される。
【0114】
ポリイソシアネートのアロファネート体は、
下記一般式:
【化5】
[式中、nALは、0以上の整数であり、RALAは、アルキル基又はアリール基であり、RALB~RALGはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、RALα~RALγはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化6】
(nAL1は、0以上の整数であり、RAL1~RAL6はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、RAL’~R AL''' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRALα~RALγ自身の基である。RAL1~RAL4、RAL’~RAL''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RALB~RALE、RALα~RALβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0115】
ポリイソシアネートのアロファネート体の市販品は、タケネートD-178N(三井化学(株)製)、コロネート2770(東ソー(株)製)、コロネート2793(東ソー(株)製)、デュラネートA201H(旭化成(株)製)等が例示される。
【0116】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのアロファネート体の重量平均分子量(Mw)は、800~3500が好ましい。
【0117】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのアロファネート体の数平均分子量(Mn)は、700~3000が好ましい。
【0118】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのアロファネート体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~1.5が好ましい。
【0119】
ポリイソシアネートのアロファネート体のNCO含有率(NCO%)の上限の例は30、25、20、15質量%等が挙げられ、下限の例は、25、20、15、10、5質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、ポリイソシアネートのNCO含有率(NCO%)は、5~30質量%が好ましい。
【0120】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアロファネート体の含有量は、1~99質量%が好ましい。
【0121】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量とポリイソシアネートのアロファネート体との質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量mass/ポリイソシアネートのアロファネート体mass)は、2/5~15/1が好ましい。
【0122】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、とポリイソシアネートのアロファネート体との質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂mass/ポリイソシアネートのアロファネート体mass)は、5/1~15/1が好ましい。
【0123】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有シリコーンとポリイソシアネートのアロファネート体との質量比(水酸基含有シリコーンmass/ポリイソシアネートのアロファネート体mass)は、0.1/1~1/1が好ましい。
【0124】
<ポリイソシアネートのビウレット体>
ポリイソシアネートのビウレット体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネートのビウレット体を製造する際、ポリイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネートは上述のもの等が例示される。
【0125】
ポリイソシアネートのビウレット体は、
下記一般式:
【化7】
[式中、nは、0以上の整数であり、RbA~RbEはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、Rbα~Rbβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化8】
(nb1は、0以上の整数であり、Rb1~Rb5はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R’~R'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRbα~Rbβ自身の基である。Rb4~Rb5、R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RbD~RbE、Rbβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0126】
ポリイソシアネートのビウレット体は、デュラネート24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネート21S-75E(以上旭化成(株)製)、デスモジュールN3200A(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)(以上住友バイエルウレタン(株)製)等が例示される。
【0127】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのビウレット体の重量平均分子量(Mw)は、500~1500が好ましい。
【0128】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのビウレット体の数平均分子量(Mn)は、500~1500が好ましい。
【0129】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのビウレット体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~1.5が好ましい。
【0130】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのビウレット体のNCO含有率(NCO%)は、5~30質量%が好ましい。
【0131】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのビウレット体の含有量は、1~99質量%が好ましい。
【0132】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量とポリイソシアネートのビウレット体との質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量mass/ポリイソシアネートのビウレット体mass)は、1/0.1~1/10が好ましい。
【0133】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、とポリイソシアネートのビウレット体との質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂mass/ポリイソシアネートのビウレット体mass)は、1/0.1~1/2が好ましい。
【0134】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有シリコーンとポリイソシアネートのビウレット体との質量比(水酸基含有シリコーンmass/ポリイソシアネートのビウレット体mass)は、0.1/1~0.3/1が好ましい。
【0135】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアロファネート体とポリイソシアネートのビウレット体との質量比(ポリイソシアネートのアロファネート体mass/ポリイソシアネートのビウレット体mass)は、1/6~1/1が好ましい。
【0136】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアロファネート体、及びポリイソシアネートのビウレット体の合計含有量は、8~25質量%が好ましい。
【0137】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアダクト体とポリイソシアネートのビウレット体との質量比(ポリイソシアネートのアダクト体mass/ポリイソシアネートのビウレット体mass)は、1/6~1/0.5が好ましい。
【0138】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアダクト体、及びポリイソシアネートのビウレット体の合計含有量は、10~60質量%が好ましく、10~35質量%がより好ましい。
【0139】
<ポリイソシアネートのイソシアヌレート体>
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネートのイソシアヌレート体を製造する際、ポリイソシアネートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリイソシアネートは上述のもの等が例示される。
【0140】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、
下記一般式:
【化9】
[式中、nは、0以上の整数であり、RiA~RiEはそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、Riα~Riβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化10】
(ni1は、0以上の整数であり、Ri1~Ri5はそれぞれ独立に、アルキレン基又はアリーレン基であり、R’~R'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRiα~Riβ自身の基である。Ri4~Ri5、R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RiD~RiE、Riβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が例示される。
【0141】
ポリイソシアネートのイソシアヌレート体は、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートMHG-80B(以上旭化成(株)製)、コロネートHXR(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上東ソー(株)製)、タケネートD-127N(水添キシレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上三井化学(株)製)、VESTANAT T1890/100(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体(以上エボニック・ジャパン(株)製)等が例示される。
【0142】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのイソシアヌレート体の重量平均分子量(Mw)は、500~1500が好ましい。
【0143】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのイソシアヌレート体の数平均分子量(Mn)は、500~1500が好ましい。
【0144】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのイソシアヌレート体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~1.5が好ましい。
【0145】
1つの実施形態において、ポリイソシアネートのイソシアヌレート体のNCO含有率(NCO%)は、5~30質量%が好ましい。
【0146】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのイソシアヌレート体の含有量は、1~99質量%が好ましい。
【0147】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量とポリイソシアネートのイソシアヌレート体との質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、及び水酸基含有シリコーンからなる群から選択される1つ以上の合計含有量mass/ポリイソシアネートのイソシアヌレート体mass)は、1/0.1~1/5が好ましい。
【0148】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂とポリイソシアネートのイソシアヌレート体との質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂mass/ポリイソシアネートのイソシアヌレート体mass)は、1/0.1~1/2が好ましい。
【0149】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有シリコーンとポリイソシアネートのイソシアヌレート体との質量比(水酸基含有シリコーンmass/ポリイソシアネートのイソシアヌレート体mass)は、0.1/1~0.6/1が好ましい。
【0150】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアダクト体とポリイソシアネートのイソシアヌレート体との質量比(ポリイソシアネートのアダクト体mass/ポリイソシアネートのイソシアヌレート体mass)は、1/6~1/0.5が好ましい。
【0151】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアダクト体、及びポリイソシアネートのイソシアヌレート体の合計含有量は、8~25質量%が好ましい。
【0152】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートのアダクト体、ポリイソシアネートのアロファネート体、ポリイソシアネートのビウレット体、及びポリイソシアネートのイソシアヌレート体から選択される2種以上の合計含有量は、10~60質量%が好ましい。
【0153】
<ポリカーボネートポリオール>
本開示において、「ポリカーボネートポリオール」は、2個以上のカーボネート基(-O-(C=O)-O-)を有し、2個以上の水酸基を有する化合物である。ポリカーボネートポリオールは、ポリカーボネートジオール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール等が例示される。ポリカーボネートポリオールは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、本発明の自己修復性コーティング剤においてポリカーボネートポリオールを用いた場合、ポリエーテルポリオールを用いた場合と比較して、相溶性が良い。本発明の自己修復性コーティング剤を用いたフィルムの硬さ、防汚性が優れる理由としては、正確な機序は不明であるが、この相溶性の良さが関係しているものと思われる。
【0154】
ポリカーボネートポリオールは、ホスゲン法、エステル交換反応等の従来公知の方法により合成される。例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール等のポリオールと、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレンカーボネート、ホスゲン等の炭酸誘導体とを従来公知の方法で反応させることによりポリカーボネートポリオールが得られる。
【0155】
ポリカーボネートジオールの市販品は、BENEBiOL(三菱ケミカル(株)製)、ニッポラン981(東ソー(株)製)、デュラノールG3450J(旭化成(株)製)、デュラノールG3452(旭化成(株)製)、デュラノールT5652(旭化成(株)製)、クラレポリオールC-590((株)クラレ製)、クラレポリオールC-1090((株)クラレ製)等が例示される。
【0156】
ポリカーボネートポリオールは、脂肪族ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリカーボネートポリオール等が例示される。
【0157】
脂肪族ポリカーボネートポリオールは、直鎖脂肪族ポリカーボネートポリオール、分枝脂肪族ポリカーボネートポリオール、脂環族ポリカーボネートポリオール等が例示される。
【0158】
1つの実施形態において、ポリカーボネートポリオールの中でも、耐候性及び自己修復性の観点から、脂肪族ポリカーボネートポリオールが好ましく、直鎖脂肪族ポリカーボネートポリオールがより好ましい。
【0159】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリカーボネートポリオールの含有量は、10~40質量%が好ましい。
【0160】
1つの実施形態において、ポリカーボネートポリオールの水酸基価は100~250mgKOH/gが好ましく、100~170mgKOH/gがより好ましい。ポリカーボネートポリオールの水酸基価が上記範囲内にあることで、加工性がより良好となる。
【0161】
1つの実施形態において、ポリカーボネートポリオールの重量平均分子量(Mw)は、500~1000が好ましく、800~1000がより好ましい。ポリカーボネートポリオールの重量平均分子量が上記範囲内にあることで、加工性がより良好となる。
【0162】
1つの実施形態において、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量(Mn)は、500~1000が好ましく、800~1000がより好ましい。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が上記範囲内にあることで、加工性がより良好となる。
【0163】
1つの実施形態において、ポリカーボネートポリオールの分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~1.5が好ましい。
【0164】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、及びポリイソシアネートからなる群から選択される1つ以上の合計含有量とポリカーボネートポリオールとの質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、及びポリイソシアネートからなる群から選択される1つ以上の合計含有量mass/ポリカーボネートポリオールmass)は、0.01~70が好ましく0.05~4がより好ましい。
【0165】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂とポリカーボネートポリオールとの質量比(水酸基含有(メタ)アクリル樹脂mass/ポリカーボネートポリオールmass)は、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂とポリカーボネートポリオールとの相溶性が良くなり、塗膜の透明度が優れることから、3/1~1/4が好ましく3/1~1/1がさらに好ましい。
【0166】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有シリコーンとポリカーボネートポリオールとの質量比(水酸基含有シリコーンmass/ポリカーボネートポリオールmass)は、0.05~10が好ましい。
【0167】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中のポリイソシアネートとポリカーボネートポリオールとの質量比(ポリイソシアネートmass/ポリカーボネートポリオールmass)は0.2~2.0が好ましい。
【0168】
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤中の水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、ポリイソシアネート及びポリカーボネートポリオールの合計含有量を100質量%とした場合、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の含有量は30~70質量%が好ましく、40~70質量%がより好ましく、40~60質量%がさらにより好ましく、40~55質量%が特に好ましく、水酸基含有シリコーンの含有量は1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましく、2~5質量%がさらにより好ましく、2~3質量%が特に好ましく、ポリイソシアネートの含有量は10~50質量%が好ましく、10~45質量%がより好ましく、10~40質量%がさらにより好ましく、15~35質量%が特に好ましく、ポリカーボネートポリオールの含有量は15~40質量%が好ましく、15~35質量%がより好ましく、20~35質量%がさらにより好ましく、20~30質量%が特に好ましい。
【0169】
<硬化触媒>
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤は、硬化触媒を含み得る。硬化触媒は単独又は2種以上で含まれ得る。
【0170】
硬化触媒は、有機金属触媒、有機アミン触媒等が例示される。
【0171】
有機金属触媒は、有機典型金属触媒、有機遷移金属触媒等が例示される。
【0172】
有機典型金属触媒は、有機錫触媒、有機ビスマス触媒等が例示される。
【0173】
有機錫触媒は、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等が例示される。
【0174】
有機ビスマス触媒は、オクチル酸ビスマス等が例示される。
【0175】
有機遷移金属触媒は、有機チタン触媒、有機ジルコニウム触媒、有機鉄触媒等が例示される。
【0176】
有機チタン触媒は、チタンエチルアセトアセテート等が例示される。
【0177】
有機ジルコニウム触媒は、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が例示される。
【0178】
有機鉄触媒は、鉄アセチルアセトネート等が例示される。
【0179】
有機アミン触媒は、ジアザビシクロオクタン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン及びトリエチレンジアミン等が例示される。
【0180】
上記自己修復性コーティング剤に硬化触媒が含まれる場合、上記自己修復性コーティング剤中の硬化触媒の含有量の上限は、1、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.09、0.05、0.02質量%等が例示され、下限は、0.9、0.75、0.5、0.25、0.1、0.09、0.05、0.02、0.01質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤に硬化触媒が含まれる場合、上記自己修復性コーティング剤中の硬化触媒の含有量は、0.01~1質量%程度が好ましい。
【0181】
1つの実施形態において、硬化触媒の中でも、硬化性及びポットライフ、作業性、塗膜外観の観点から、有機錫触媒が好ましく、ジオクチル錫ジラウレートがより好ましい。
【0182】
<有機溶媒>
1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤は、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は単独又は2種以上で含まれ得る。有機溶媒は、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエン及びキシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート及びセロソルブアセテート等のエステル溶媒;ソルベッソ#100及びソルベッソ#150(いずれも商品名。エクソン社製。)等の石油系溶媒;クロロホルム等のハロアルカン溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド溶媒等が例示される。これらの中でも本発明の自己修復性コーティング剤のポットライフの観点よりケトン系の有機溶媒が含まれることが好ましく、ケトン系の有機溶媒の中でもアセチルアセトンが含まれることが好ましい。
【0183】
上記自己修復性コーティング剤に有機溶媒が含まれる場合、上記自己修復性コーティング剤中の有機溶剤の含有量の上限は、90、80、70、60、55質量%等が例示され、下限は、85、80、70、60、55、50、45、40、35、30、25、20質量%等が例示される。1つの実施形態において、上記自己修復性コーティング剤に有機溶媒が含まれる場合、上記自己修復性コーティング剤中の有機溶剤の含有量は、20~90質量%程度が好ましい。なお上記自己修復性コーティング剤に含まれる有機溶媒には、上記水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、上記水酸基含有シリコーン、上記ポリイソシアネート、上記硬化触媒に含まれる有機溶媒が含まれていてもよい。
【0184】
<添加剤>
上記自己修復性コーティング剤は、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、ポリイソシアネート、並びにポリカーボネートポリオール、硬化触媒、有機溶媒以外の剤を添加剤として含み得る。添加剤は、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、消泡剤、表面調整剤、顔料、帯電防止剤、金属酸化物微粒子分散体、有機微粒子分散体等が例示される。1つの実施形態において、添加剤の含有量の例としては、上記自己修復性コーティング剤の0.1~10質量%程度、10質量部未満程度、5質量部未満程度、1質量部未満程度、0.1質量部未満程度、0.01質量部未満程度、0質量部程度等が例示される。
【0185】
上記自己修復性コーティング剤は、水酸基含有(メタ)アクリル樹脂、水酸基含有シリコーン、ポリイソシアネート、並びにポリカーボネートポリオール、硬化触媒、有機溶媒及び/又は添加剤等を各種公知の手段で混合する工程を含む方法等により得られる。
【0186】
[硬化物]
本開示は、上記自己修復性コーティング剤の硬化物を提供する。上記硬化物を製造する際の条件は後述のもの等が例示される。
【0187】
[フィルム]
本開示は、上記硬化物を含むフィルムを提供する。
【0188】
基材は各種公知のものが採用される。基材はポリカーボネートフィルム、(メタ)アクリルフィルム(ポリメチル(メタ)アクリレートフィルム等)、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、エポキシ樹脂フィルム、メラミン樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ABSフィルム、ASフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、環状オレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム等が例示される。基材の厚みも特に限定されないが、50~200μm程度が好ましい。また、コーティング層の厚みは特に限定されないが、5~30μm程度が好ましい。
【0189】
上記フィルムは各種公知の方法で製造される。1つの実施形態において、フィルムの製造方法は、自己修復性コーティング剤を基材の少なくとも片面に塗工する工程(塗工工程)、熱硬化して自己修復性コーティング剤硬化物層を形成する工程(熱硬化工程)を含む。
【0190】
本発明のフィルムは、加飾フィルムの各種層のうち、トップコート層として用いてもよい。
【0191】
加飾フィルムの種類としては、
(1)トップコート層、アンカー層、加飾層、易接着層、プラスチックフィルム、機能層、接着層の順、
(2)トップコート層、易接着層、プラスチックフィルム、易接着層、加飾層、機能層、接着層の順、
(3)トップコート層、アンカー層、加飾層、機能層、接着層の順、
(4)トップコート層、アンカー層、加飾層、接着層の順、
(5)トップコート層、加飾層、接着層の順、
で構成されるもの等が例として挙げられる。なお、加飾層は、メタリック層、蒸着層、着色層、印刷層、多色印刷層、ホログラム層等から選択される1以上を有していてもよい。
【0192】
加飾フィルムは、グラビアコート法、ロールコート法、スプレーコート法、コンマコート法、リップコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の従来公知の方法で基材フィルム上に、各種層を塗工し積層することで得ることができる。これら各種方法の中でも、生産性の観点からグラビア印刷法が好ましい。なお、基材フィルム上には、必要であれば、離型層を有していてもよい。
【0193】
加飾フィルムのトップコート層は、本発明の自己修復性コーティング剤を熱処理により硬化させて得ることができる。この熱処理は、80℃~160℃の温度で30秒から30分間加熱することが好ましい。このようにして得られたトップコート層の厚さは、耐傷性に優れることから、5~30μm程度が好ましい。
【0194】
このようにして得られた加飾フィルムは、例えば、携帯電話やテレビ等の各種電化製品、自動車やバイク等の各種乗物等の被加飾物表面に形成可能である。
【0195】
加飾フィルムを被加飾物へ付着させる方法としては、被加飾物を成型するための金型内で加飾フィルムを付着させる一次加飾(以下、「インモールド加飾」ともいう。)であってもよく、金型から被加飾物を取り出した後に加飾フィルムを付着させる二次加飾(以下、「アウトモールド加飾」「ポストモールド加飾」「オーバーレイ成形」ともいう。)であってもよい。加飾は、基材フィルムごと被加飾物へ付着させる貼合という方法で行われてもよく、加飾フィルムを被加飾物に付着させた後に基材フィルム及び離型層を剥がす転写という方法で行われてもよい。転写の具体例としては、インモールド転写、オーバーレイ転写、熱転写、水転写、感圧転写等が挙げられる。貼合の具体例としては、インモールド貼合、TOM工法等が挙げられる。
【0196】
(塗工工程)
塗工方法は、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が例示される。
【0197】
塗工量は特に限定されない。塗工量は、乾燥後の質量が通常0.1~30g/m程度が好ましく、1~20g/m程度がより好ましい。
【0198】
(熱硬化工程)
乾燥方法は、循風乾燥機等による乾燥が例示される。乾燥条件は80℃~160℃の温度で30秒から30分間加熱すること等が例示される。その他の硬化方法として、光硬化が知られているが、加工性の観点から、熱硬化がより好ましい。
【0199】
フィルムを製造する際、必要に応じて乾燥の後にエージング処理が行われる。一例として、40℃で72時間のエージング処理等が例示される。
【実施例
【0200】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の好ましい実施形態における説明及び以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供するものではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。また、各実施例及び比較例において、特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0201】
<(メタ)アクリル樹脂の調製>
[樹脂A]
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(以下、MMAともいう)58部、アクリル酸n-ブチル(以下、BAともいう)32部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(以下、HEAともいう)10部並びに酢酸エチル412.5部を仕込み、反応系を77℃に設定した。次いで、2,2´-アゾビスイソブチロニトリル2.3部を仕込み、80℃付近で5時間保温した。次いで、2,2´-アゾビスイソブチロニトリル3.0部を仕込み、反応系を同温度付近において更に4時間保温した。その後反応系を室温まで冷却することにより、表1に記載の物性を有する樹脂Aの溶液(不揮発分35%)を得た。
【0202】
[樹脂B、樹脂C]
原料を表1に記載のものに変更した以外は樹脂Aの調整と同様に行った。得られた樹脂B及び樹脂Cの物性を表1に示す。また、樹脂A、樹脂B、樹脂Cの酸価はいずれも0mgKOH/gであった。
【0203】
【表1】
各原料は質量部単位である
MMA:メタクリル酸メチル
BMA:メタクリル酸ブチル
BA:アクリル酸n-ブチル
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
【0204】
<自己修復性コーティング剤の調製>
実施例1
樹脂Aを100.0部、ポリカーボネートジオール(旭化成(株)製、商品名:デュラノールG3450J)(固形分濃度100%)を50.0部、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体(旭化成(株)製、商品名:デュラネートE402-80B)(固形分濃度80%)を27.5部、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(旭化成(株)製、商品名:デュラネート24A100)(固形分濃度100%)を19.4部、アクリルポリマー変性水酸基含有シリコーン(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:BYK-SILCLEAN3700)(固形分濃度25%)を5.1部、ジオクチル錫ジラウレート(固形分濃度100%)(以下、DOTDLともいう)を0.13部、メチルエチルケトン(以下、MEKともいう)を121.5部、及びアセチルアセトン(以下、AcAcともいう)を12.6部使用した。上記成分をよく混合することによって、固形分濃度38%の自己修復性コーティング剤を調製した。
【0205】
実施例2~9及び比較例1~4
実施例2~9及び比較例1~4の自己修復性コーティング剤は、成分組成を下記表2のように変更した以外は、実施例1と同様にして製造した。なお、実施例1~9及び比較例1~4の自己修復性コーティング剤の固形分濃度は38%とした。
【0206】
【表2】
デュラネートE402-80B:旭化成(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体(固形分濃度80%)
デュラネート24A100:旭化成(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(固形分濃度100%)
デュラネートTPA100:旭化成(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(固形分濃度100%)
コロネート2793:東ソー(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体(固形分濃度100%)
デュラノールG3450J:旭化成(株)製、ポリカーボネートジオール(固形分濃度100%、数平均分子量800、水酸基価140mgKOH/g)
クラレポリオールC-590:(株)クラレ製、ポリカーボネートジオール(固形分濃度100%、数平均分子量500、水酸基価224mgKOH/g)
クラレポリオールC-1090:(株)クラレ製、ポリカーボネートジオール(固形分濃度100%、数平均分子量1000、水酸基価112mgKOH/g)
【0207】
<フィルムの作製>
評価例1
実施例1の自己修復性コーティング剤を、市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製、商品名:コスモシャインA4100、100μm厚)に、乾燥後の塗膜厚が10μmになるように塗工し、120℃で60秒間乾燥させることによって、熱硬化させた。
【0208】
評価例2~9及び比較評価例1~4
実施例2~9及び比較例1~3の自己修復性コーティング剤を、評価例1と同様にしてフィルムを作製した。なお、比較例4の自己修復性コーティング剤は、硬化できずフィルムにならなかった。
【0209】
<フィルムの修復性>
25℃において、各フィルム表面を真鍮ブラシ(アズワン(株)製)で10往復し、傷をつけた後、フィルムの傷が消えるまでの時間を計測することにより評価した。評価基準は以下の通りである。
○:10秒以内に回復。
△:11秒~1分以内に回復。
×:1分以上修復にかかる。
【0210】
<フィルムの防汚性>
フィルム表面に油性インク(アスクル(株)製、商品名:PERMANENT MAKER)で印を書き、直後に当該印を乾燥した不織布(旭化成(株)製、商品名:ベンコットM-3II)で拭き取ることにより評価した。評価基準は以下の通りである。
○:不織布にて5回擦り拭き取ることが可能
△:不織布にて5回以上擦り油性インク跡が薄くなる
&#9747;:ふき取れない。
【0211】
<フィルムの破断伸度>
JIS K 7127:1999(プラスチック&#8722;引張特性の試験方法&#8722;第3部:フィルム及びシートの試験条件)の試験条件に従い、フィルム単独の破断伸度の測定を実施した。フィルム単独の作製方法としては、評価例1で作製したポリエチレンテレフタレートフィルム上にあるフィルムを手で剥離することで得た。試験開始前のフィルムの形状を、幅5mm、厚さ10μm、長さ25mmとし、試験速度を200mm/minとした。
破断伸度(%)= 100×(L-25)/25
L:硬化物破断時の硬化物長さ
【0212】
<フィルムの外観>
下記の基準で、フィルムを目視にて確認した。
○:透明性に優れ、異物無し
×:異物や濁りが存在する。
【0213】
【表3】