(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】ガス分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/22 20060101AFI20221004BHJP
【FI】
G01N1/22 P
(21)【出願番号】P 2019129303
(22)【出願日】2019-07-11
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千田 温子
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-184944(JP,U)
【文献】特開平10-043501(JP,A)
【文献】実開昭47-027893(JP,U)
【文献】特公昭50-031036(JP,B2)
【文献】特開昭51-060560(JP,A)
【文献】国際公開第2018/042322(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 - 1/44
B01B 1/00 - 8/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象ガスをガス分析部に導入するガス流路と、
前記ガス流路に設けられた、前記分析対象ガスを冷却する冷却部と、
前記分析対象ガスの冷却により発生した液体が排出されるドレン流路と、
前記冷却部を通過したガスを液封止するように構成されたドレンポットとを備え、
前記ドレンポットは、
前記ドレン流路の先端が挿入される主室を有するハウジングと、
前記主室の壁面の一部を構成する壁部材とを有し、
前記壁部材の上端は、前記ドレン流路の先端よりも高い複数の位置に設定可能である、
ガス分析装置。
【請求項2】
前記ハウジングが、さらに、前記壁部材により前記主室と分画され、前記ドレン流路の先端よりも低い位置に排水口が設けられた副室を有する、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項3】
前記壁部材は、前記ドレンポットのハウジングに対して着脱可能に設けられている、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項4】
前記壁部材は、前記ドレンポットのハウジングに対して上下動可能に取り付けられている、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項5】
さらに、前記壁部材を前記ドレンポットのハウジングに対して上下動させるための駆動部を備えた、請求項1に記載のガス分析装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分析装置に関する。特に、ドレンポットを有するガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所やごみ焼却場といった排ガス施設では、燃焼により生じた高温のガスが排出される。この排ガスに含まれる特定の成分の量が法令で定められた基準値を超えていないことを確認するためにガス分析装置が用いられている。施設から排出されるガスを分析する際には、サンプリング地点からガス分析装置までガスを輸送しなければならないが、輸送中に分析対象ガス中の目的成分が凝集し、配管に付着する可能性がある。そこでこのような目的成分の凝集及び配管への付着を防ぐために、配管は分析対象ガスと同程度の温度に温調される。
【0003】
高温の分析対象ガスをそのまま分析装置に導入すると分析装置が損傷してしまう。また、分析装置の校正後に水蒸気を含んだ分析対象ガスを分析装置に導入すると、校正時と測定時で分析装置内の水蒸気の量が異なり測定結果の信頼性が低下する。そのため、ガス分析装置では、サンプリングした分析対象ガスを分析計に導入するガス流路の途中に冷却部を設け、該冷却部で高温のガスを冷却及び除湿してから測定する。また、冷却部内ではガス流路に排水管が接続されており、分析対象ガス中の水蒸気が凝集して生じた水は排水管を通じてドレンポットに排出される(例えば特許文献1)。
【0004】
ドレンポットは、側面に設けられた排水口の位置まで水が貯留された貯水容器であり、排水口は大気開放されている。ドレンポットの内部には、冷却部の排水管の先端が、前記排水口よりも低い位置まで挿入される。冷却部から排水管を通じてドレンポットに水が流入すると貯留水の量が増加し、排水口から外部に水が排出される。
【0005】
ドレンポットでは、排水管内のガスがドレンポットの内部に放出されないように、また、ドレンポットに貯留されている水が排水管を通ってガス流路に流入しないように、分析対象ガスの想定圧力と大気圧との圧力差に応じて、冷却部の排水管の先端と排水口の高さの差が決められる。通常、冷却部の排水管は固定されているため、排水口の位置が適宜に設定される。具体的には、分析対象ガスの想定圧力が高いほど高い位置に排水口が設けられ、分析対象ガスの想定圧力が低いほど低い位置に排水口が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
排ガス施設において設備を更新したり施設内における分析対象ガスのサンプリング位置を変更したりすると、分析対象ガスの圧力が変わることがある。分析対象ガスの圧力が想定圧力を超えると排水管の先端からドレンポット内にガスが放出され、排水口を通じて外部に放出される。ガス分析装置では、一酸化炭素や二酸化硫黄などの有害ガスを測定する場合があり、こうした有害ガスが装置外部に放出されることは避けなければならない。一方、分析対象ガスの圧力が想定圧力を下回ると、ドレンポットに貯留されている水が排水管を通ってガス流路に流れ込んでしまう。そのため、従来、分析対象ガスの想定圧力が変わるごとに、その想定圧力に応じたドレンポットに交換しなければならないという問題があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、分析対象ガスの想定圧力が変わってもドレンポットを交換する必要がないガス分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係るガス分析装置は、
分析対象ガスをガス分析部に導入するガス流路と、
前記ガス流路に設けられた、前記分析対象ガスを冷却する冷却部と、
前記分析対象ガスの冷却により発生した液体が排出されるドレン流路と、
前記冷却部を通過したガスを液封止するように構成されたドレンポットとを備え、
前記ドレンポットは、
前記ドレン流路の先端が挿入される主室を有するハウジングと、
前記主室の壁面の一部を構成する壁部材とを有し、
前記壁部材の上端は、前記ドレン流路の先端よりも高い複数の位置に設定可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るガス分析装置は、ドレンポットのハウジングの主室に壁部材の高さまで所定の液体(貯留液)を貯留して使用する。主室には冷却部で分析対象ガスから発生した液体(ドレン)を排出するドレン流路の先端が挿入されており、該ドレン流路からドレンが流れ込み、貯留液が壁部材の高さに達すると、該壁部材の上部を通じて貯留液が主室から排出される。本発明に係るガス分析装置では、ドレンポットのハウジングの主室の壁面の一部を構成する壁部材の上端が、ドレン流路の先端よりも高い複数の位置に設定可能であり、これによって主室に貯留される液体の液面の高さを変えることができる。このように、本発明に係るガス分析装置では、分析対象ガスの想定圧力と大気圧との圧力差の範囲に応じてドレン流路の先端と液面の高さの差を調整することができるため、分析対象ガスの想定圧力が変わってもドレンポットを交換する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るガス分析装置の一実施例の概略構成図。
【
図2】本実施例のガス分析装置において用いられるドレンポットの構成図。
【
図3】本実施例のガス分析装置において用いられるドレンポットの変形例の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るガス分析装置の一実施例について、以下、図面を参照して説明する。本実施例のガス分析装置1は、火力発電所や工場などの排ガス施設100のガス排出部に取り付けられたガス採取プローブ101で採取され、パイプライン102を通じて導入された排ガスに含まれる所定の物質(例えば窒素酸化物、硫黄酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素)の濃度を測定するために用いられる。パイプライン102は、排ガスと同程度の温度(例えば120℃)に温調されている。これにより、採取されたガス中の成分が凝集してパイプライン102の壁面に付着して損失するのを防止している。
【0013】
ガス分析装置1は、本体部10と、該本体部10内の各部の動作を制御する制御部30を備えている。本体部10は、ガス取込口11とガス分析部12を備えており、これらはガス流路13で接続されている。ガス分析部12には、例えば非分散型赤外(NDIR: Non-Dispersive Infrared)分光計が用いられる。また、ガス流路13にはポンプ15が接続されている。制御部30による制御の下でガス取込口11を開き、ポンプ15を動作させることにより、分析対象ガスがガス取込口11から取り込まれ、ガス分析部12に導入される。本実施例のガス分析装置1は、排ガス施設100に隣接して設置され、該排ガス施設100から放出される排ガス中の所定の成分の濃度をモニタリングする。
【0014】
ガス流路13には、冷却部14が設けられている。ガス取込口11から取り込まれた高温の分析対象ガスをそのままガス分析部12に導入すると、ガス分析部12が損傷してしまう可能性がある。また、分析装置の校正後に水蒸気を含んだ分析対象ガスを分析装置に導入すると、校正時と測定時で分析装置内の水蒸気の量が異なり測定結果の信頼性が低下する。そのため、ガス取込口11からガス分析部12に至るガス流路13の途中に冷却部14を設け、分析対象ガスを所定の温度(例えば1~2℃)まで冷却してからガス分析部12に導入するように構成されている。本実施例は1つの冷却部14を備えた構成としたが、複数の冷却部を配置して段階的に分析対象ガスを冷却するようにしてもよい。
【0015】
冷却部14内では、ガス流路13にドレン流路141が接続されている。ドレン流路141は鉛直下方に向かって伸びている。冷却部14における分析対象ガスの冷却によって生じた水等の液体(ドレン)は、ドレン流路141を通じて後述するドレンポット20に排出される。
【0016】
ドレンポット20は、内部に所定の液体が貯留され、ドレン流路141から流入するドレンを受容する容器である。ドレンポット20は、上部が開口した本体201と、該本体201の上部開口を覆う蓋部202を備えている。本体201の側面には排出口23が設けられている。また、蓋部202には孔が設けられおり、この孔にドレン流路141が挿入される。
【0017】
ドレンポット20の内部は、仕切り板24によって、ドレン流路141の先端が挿入される第1室21と、排出口23が設けられた第2室22に分画されている。ガス分析装置1の使用時には、ドレンポット20の第1室21に貯留液を仕切り板24の高さまで満たす。ドレン流路141を通じて冷却部14で発生したドレンが第1室21に流れ込むと、その流入量だけ第1室21内の貯留液が仕切り板24を越えて第2室22に流れ込む。第2室22に流れ込んだ貯留液が排出口23の高さに達すると、排出口23から貯留液が排出される。なお、本実施例における第1室21及び第2室22は、本発明における主室と副室に相当する。
【0018】
本実施例のガス分析装置1は、ドレンポット20の構成に特徴を有している。具体的には、本体201に着脱可能な仕切り板24が複数用意されているという点に特徴を有している。この点について、
図2を参照して説明する。この仕切り板24は、本発明における壁部材に相当する。
【0019】
図2(a)に、ドレンポット20に第1の仕切り板241を取り付けた状態を示す。また、
図2(b)に、ドレンポット20に第2の仕切り板242を取り付けた状態を示す。
図2(a)と
図2(b)の比較から分かるとおり、第1の仕切り板241の方が第2の仕切り板242よりも大きく、第1の仕切り板241を取り付けた状態では、第2の仕切り板242を取り付けた状態よりも高い位置で第1室21と第2室22が区画される。
【0020】
ドレンポット20はドレン流路141内のガスを水封するためのものである。従って、ドレン流路141内のガスがドレンポット20内に放出されたり、ドレンポット20内の貯留液がドレン流路141を通じてガス流路13に流れ込んだりするのを防ぐ必要がある。ドレンポット20内の貯留液の上部空間は大気圧である。ドレン流路141内のガスの圧力は分析対象ガスによって異なる。例えば、分析対象ガスの圧力が大気圧よりも高い(正圧である)場合には、
図2(a)に示すように、ドレン流路141内の貯留液が分析対象ガスにより押し込まれ、ドレン流路141内の貯留液の水面高さが、ドレン流路141外の貯留液の水面高さよりも低くなる。逆に、分析対象ガスの圧力が大気圧よりも低い(負圧である)場合には、
図2(b)に示すように、ドレン流路141内の貯留液の水面高さがドレン流路141外の貯留液の高さよりも高くなる。
【0021】
本実施例のガス分析装置1では、分析対象ガスの想定圧力と大気圧の差に応じて、ドレンポット20に取り付ける仕切り板24の種類を変更する。例えば、分析対象ガスの想定圧力が大気圧よりも高い場合には、
図2(a)に示すように、第1の仕切り板241を取り付け、貯留液の液面を高く設定する。一方、分析対象ガスの想定圧力が大気圧よりも低い場合には、
図2(b)に示すように、第2の仕切り板242を取り付け、貯留液の液面を低く設定する。本実施例では2種類の仕切り板241、242を用意しておき、分析対象ガスの想定圧力に応じて交換するが、3種類以上の仕切り板を交換するようにしてもよい。例えば、3種類の仕切り板を用いる場合には、-5kPa~+1kPa、-4kPa~+2kPa、及び±3kPaの圧力範囲(分析対象ガスの想定圧力と大気圧の差の範囲)にそれぞれ対応したものを用意しておくとよい。
【0022】
排ガス施設100において設備が更新されたり、排ガス施設100から排出される分析対象ガスをサンプリングするガス採取プローブ101の取り付け位置を変更したりすると、分析対象ガスの圧力が変わることがある。従来のドレンポットでは、その内部に貯留される貯留液の水面高さが、排水口の高さに固定されていた。そのため、排出口の位置(高さ)が異なる複数のドレンポットを用意しておき、分析対象ガスの想定圧力が変わる毎に、ガス分析装置に取り付けるドレンポットを、該想定圧力に対応したものに交換しなければならなかった。
【0023】
これに対し、本実施例のガス分析装置1では、上記の通り、分析対象ガスの想定圧力が変わった場合でも、ドレンポット20に取り付ける仕切り板24の種類を変更するのみでよく、ドレンポット20自体を交換する必要はない。従って、分析対象ガスの想定圧力が変わった場合に使用者が行う作業の負担が大きく軽減される。
【0024】
上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
上記実施例では、複数種類の仕切り板241、242を用意しておき、分析対象ガスの想定圧力に応じた種類の仕切り板241、242をドレンポット20に取り付ける構成としたが、1枚の可動仕切り板243をドレンポット20に取り付けた構成を採ることもできる。
図3にその場合の一構成例(変形例)を示す。
【0025】
図3(a)に示すように、変形例のドレンポット20は、本体201の底部に、可動仕切り板243を収容可能な空間である仕切り板収容部251を有する仕切り板収容部材25を備えている。変形例のドレンポット20で使用する可動仕切り板243は1枚のみであり、この可動仕切り板243を、制御部30による制御の下で駆動部26により上下動させる。これにより、第1室21と第2室22の区画高さ、即ち第1室21内の貯留液の水面の高さを変更することができる。駆動部26には、ステッピングモータ等、適宜のものを用いることができる。
【0026】
変形例のドレンポット20では、制御部30を通じた適宜の入力操作により第1室21内の貯留液の水面高さを入力する(あるいは予め用意された複数種類の水面高さの中から選択する)のみで、貯留液の高さを変更することができる。また、複数の仕切り板を用意する必要がなく、また仕切り板を交換するためにドレンポット20の蓋部202を取り外す等の作業も不要である。従って、分析対象ガスの想定圧力が変わった場合に使用者に行う作業の負担が大きく軽減される。この変形例のドレンポット20では可動仕切り板243を用いてこれを上下動させる構成としたが、その他、高さ方向に伸縮自在である部材を仕切り板24として用いる等、適宜の構成を採ることができる。
【0027】
上記実施例では仕切り板を用いたが、必ずしも板材である必要はなく、ドレンポット20を、ドレン流路141の先端が挿入される第1室21と、排出口23が設けられている第2室22に分画可能であり、ドレン流路141の先端及び排出口23よりも高い位置で高さを変更することが可能なものであれば、板材以外の部材を用いてもよい。また、上記実施例ではドレンポット20の側面に排出口23を設けたが、排出口23はドレンポットの底面に設けてもよい。さらに、上記実施例では、蓋部202を有するドレンポット20としたが、蓋部のないドレンポットを用いることもできる。ただし、ドレンポット20内の貯留液が蒸発して貯留液の量が減少したり、ドレンポット20の外部から塵などが入り込んだりすることを防止するために、蓋部202を有するドレンポット20を用いることが好ましい。
【0028】
また、上記実施例及び変形例では、ドランポット20の内部を第1室21と第2室22に区画する構成としたが、第1室21のみを有するドレンポットとしてもよい。つまり、上記実施例における仕切り板241、242や、変形例における可動仕切り板243をドレンポット20の壁面として使用することもできる。その場合には、仕切り板241、242や可動仕切り板243の上から貯留液が排出される。
【0029】
また、上記実施例及び変形例では、ドレンポットを固定し、仕切り板241、242を交換したりや可動仕切り板243を上下動させる構成としたが、他の構成を採ることもできる。例えば、1枚の仕切り板のみを用い、ドレンポット自体を上下に移動して仕切り板の上端(即ち貯留液の液面の高さ)とドレン流路1の41の下端の相対的な位置を変更するように構成することもできる。この場合にも、仕切り板の上端が、ドレン流路141の先端よりも高い複数の位置に設定される。
【0030】
以上、図面を参照して本発明における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本発明の種々の態様について説明する。なお、以降に付した符号は理解を容易にするためのものであって、本発明の構成を限定するものではない。
【0031】
本発明の第1態様のガス分析装置は、
分析対象ガスをガス分析部に導入するガス流路と、
前記ガス流路に設けられた、前記分析対象ガスを冷却する冷却部と、
前記分析対象ガスの冷却により発生した液体が排出されるドレン流路と、
前記冷却部を通過したガスを液封止するように構成されたドレンポットとを備え、
前記ドレンポットは、
前記ドレン流路の先端が挿入される主室を有するハウジングと、
前記主室の壁面の一部を構成する壁部材とを有し、
前記壁部材の上端は、前記ドレン流路の先端よりも高い複数の位置に設定可能である。
【0032】
上記第1態様のガス分析装置では、ドレンポットのハウジングの主室に壁部材の高さまで所定の液体(貯留液)を貯留して使用する。主室には冷却部で発生したドレンを排出するドレン流路の先端が挿入されており、該ドレン流路からドレンが流れ込み、貯留液が壁部材の高さに達すると、該壁部材の上部を通じて貯留液が主室から外部に排出される。このドレンポットでは、壁部材の上端を、ドレン流路の先端よりも高い、複数の位置に設定可能であるため、分析対象ガスの想定圧力と大気圧との圧力差の範囲に応じて冷却部の排水管の先端と液面の高さの差を調整することができるため、分析対象ガスの想定圧力が変わってもドレンポットを交換する必要がない。
【0033】
また、本発明の第2態様のガス分析装置は、上記第1の態様のガス分析装置において、
前記ハウジングが、さらに、前記壁部材により前記主室と分画され、前記ドレン流路の先端よりも低い位置に排水口が設けられた副室を有する。
【0034】
上記第2態様のガス分析装置では、主室から排出される貯留液を副室に貯留することができる。このガス分析装置では、例えば、壁部材の高さを、高い位置に変更した場合に、副室に貯留されている貯留液を主室に移して有効利用することができる。
【0035】
また、本発明の第3態様のガス分析装置は、上記第1態様又は第2態様のガス分析装置において、
前記壁部材は、前記ドレンポットのハウジングに対して着脱可能に設けられている。
【0036】
第3態様のガス分析装置では、ドレンポットに取り付ける仕切り板を交換することで、使用時に主室に貯留される液体の液面高さを容易に変更することができる。
【0037】
また、本発明の第4態様のガス分析装置では、上記第1態様から第3態様のいずれかのガス分析装置において、
前記壁部材は、前記ドレンポットのハウジングに対して上下動可能に取り付けられている。
【0038】
上記第4態様のガス分析装置では、1つの壁部材を上下動させることにより主室に貯留される貯留液の液面高さを変更することができる。
【0039】
本発明の第5態様のガス分析装置は、上記第1態様から第4態様のいずれかのガス分析装置において、さらに、
前記壁部材を前記ドレンポットのハウジングに対して上下動させるための駆動部を備える。
【0040】
第5態様に係るガス分析装置では、駆動部により分離部材を上下動させて、主室に貯留される液体の液面高さを容易に変更することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…ガス分析装置
10…本体部
11…ガス取込口
12…ガス分析部
13…ガス流路
14…冷却部
141…ドレン流路
15…ポンプ
20…ドレンポット
201…本体
202…蓋部
21…第1室
22…第2室
23…排出口
24…仕切り板
241…第1の仕切り板
242…第2の仕切り板
243…可動仕切り板
25…仕切り板収容部材
251…仕切り板収容部
26…駆動部
30…制御部
100…排ガス施設
101…ガス採取プローブ
102…パイプライン