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特許7151732電子部品実装基板、電池パックおよび電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】電子部品実装基板、電池パックおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20221004BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20221004BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20221004BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20221004BHJP
【FI】
H05K1/18 J
H05K1/02 A
H01M50/204 301
H01M10/0562
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019570775
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2019004236
(87)【国際公開番号】W WO2019156117
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2018022323
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】森 靖
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-158852(JP,U)
【文献】特開2015-220102(JP,A)
【文献】特開2003-298220(JP,A)
【文献】特開2016-1717(JP,A)
【文献】特開2013-175590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 1/02
H01M 50/20
H01M 10/0562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板端子と、第2の基板端子と、前記第1の基板端子および前記第2の基板端子の間に設けられた絶縁物とを有する基板と、
前記第1の基板端子に接続された第1の端子と、前記第2の基板端子に接続された第2の端子とを有し、前記絶縁物上に設けられた電子部品と
を備え、
前記電子部品の表面における水滴の接触角は90°以下であり、
前記絶縁物は、前記基板の表面に対して凸状を有し、前記電子部品の周縁のうち前記第1の端子と前記第2の端子との間の周縁部分に対して突出しており、
前記絶縁物の突出の位置が前記周縁部分の中心位置からずれており、
前記周縁部分に対する前記絶縁物の突出の長さxと、前記周縁部分の第1の端部から前記絶縁物の突出の位置までの距離および前記周縁部分の第2の端部から前記絶縁物の突出の位置までの距離のうち、より長い距離yとが、x≧y/2の関係を満たしており、
前記基板は、前記第1の基板端子に前記第1の端子をはんだ付けする第1のはんだと、前記第2の基板端子に前記第2の端子をはんだ付けする第2のはんだとをさらに備え、
前記絶縁物の幅wは、以下の式(1)の関係を満たしている電子部品実装基板。
w≦2×(a/c)×((c/2)-b) ・・・(1)
(但し、a:前記第1の端子から前記第2の端子に向かう方向における前記電子部品の長さ、b:前記絶縁物の厚み、c:リフロー前の前記第1のはんだおよび前記第2のはんだの厚み)
【請求項2】
前記電子部品は、全固体電池である請求項1に記載の電子部品実装基板。
【請求項3】
前記基板は、複数の前記第1の基板端子と、複数の前記第2の基板端子とを有し、
前記周縁部分同士が対向するように前記絶縁物上に複数の前記電子部品が設けられ、
前記絶縁物は、隣接する前記電子部品の間において、前記第1の端子から前記第2の端子に向かう方向に延設された延設部を有している請求項1または2に記載の電子部品実装基板。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の電子部品実装基板を備える電池パック。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の電子部品実装基板を備える電子機器。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載の電子部品実装基板を備える電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装基板、電池パックおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を実装した電子部品実装基板が種々提案されている。例えば特許文献1では、基板上の電極パッドの間に絶縁層を設けた電子部品実装基板が提案されている。また、特許文献1には、電極と電極パッドとを接続する半田は、絶縁層に遮られるため、隣り合う電極や電極パッドの間に半田が流れるのを抑制し、電極や電極パッドの間の半田を介した電気的短絡をより確実に防止できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-173616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にて提案されている電子部品実装基板では、高温高湿雰囲気下または結露等により、電子部品の周縁部分に水滴が付着した場合には、水滴の大きさによっては電極間または電極パッド間等が水滴により接続され、電蝕が発生する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、電子部品の周縁部分に水滴が付着した場合にも、電蝕の発生を抑制することができる電子部品実装基板、それを備える電池パックおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電子部品実装基板は、
第1の基板端子と、第2の基板端子と、第1の基板端子および第2の基板端子の間に設けられた絶縁物とを有する基板と、
第1の基板端子に接続された第1の端子と、第2の基板端子に接続された第2の端子とを有し、絶縁物上に設けられた電子部品と
を備え、
絶縁物は、基板の表面に対して凸状を有し、電子部品の周縁のうち第1の端子と第2の端子との間の周縁部分に対して突出しており、
周縁部分に対する絶縁物の突出の長さx、および第1の端子から第2の端子に向かう方向における電子部品の長さaが、x≧a/4の関係を満たしており、
基板は、第1の基板端子に第1の端子をはんだ付けする第1のはんだと、第2の基板端子に第2の端子をはんだ付けする第2のはんだとをさらに備え、
絶縁物の幅wは、以下の式(1)の関係を満たしていてもよい
w≦2×(a/c)×((c/2)-b) ・・・(1)
(但し、a:第1の端子から第2の端子に向かう方向における電子部品の長さ、b:絶縁物の厚み、c:リフロー前の第1のはんだおよび第2のはんだの厚み)
上記構成によれば、絶縁物の突出の長さx、および電子部品の長さaが、x≧a/4の関係を満たしているので、高温高湿雰囲気下または結露等により電子部品の周縁部分に水滴が付着した場合にも、絶縁物の突出の長さxが水滴の高さ以上となる。これにより、第1の端子と第2の端子との間、または第1の基板端子と第2の基板端子との間が、水滴により接続されることを抑制できる。したがって、電蝕の発生を抑制することができる。
【0007】
上記電子部品実装基板において、電子部品は全固体電池であってもよい。
上記構成によれば、全固体電池の電蝕を抑制することができる。
【0008】
上記電子部品実装基板において、基板は、第1の基板端子に第1の端子をはんだ付けする第1のはんだと、第2の基板端子に第2の端子をはんだ付けする第2のはんだとをさらに備え、絶縁物23の幅wは、以下の式(1)の関係を満たしていることが好ましい
w≦2×(a/c)×((c/2)-b) ・・・(1)
(但し、a:第1の端子から第2の端子に向かう方向における電子部品の長さ、b:絶縁物23の厚み、c:リフロー前の第1のはんだおよび第2のはんだの厚み)
上記構成によれば、絶縁物により電子部品が基板の表面に対して傾いて載置されている場合でも、第1の端子と第1のはんだとの接触、および第2の端子と第2のはんだとの接触を確保することができる。したがって、はんだ不良の発生を抑制することができる。
【0009】
上記電子部品実装基板において、基板は、複数の第1の基板端子と、複数の第2の基板端子とを有し、周縁部分同士が対向するように絶縁物上に複数の電子部品が設けられ、絶縁物は、隣接する電子部品の間において、第1の端子から第2の端子に向かう方向に延設された延設部を有していることが好ましい。
上記構成によれば、高温高湿雰囲気下または結露等により電子部品の周縁部分に水滴が付着した場合にも、隣接する電子部品の間が水滴により接続されることを抑制できる。したがって、電蝕の発生を抑制することができる。
【0010】
上述の課題を解決するために、の発明は、
第1の基板端子と、第2の基板端子と、第1の基板端子および第2の基板端子の間に設けられた絶縁物とを有する基板と、
第1の基板端子に接続された第1の端子と、第2の基板端子に接続された第2の端子とを有し、絶縁物上に設けられた電子部品と
を備え、
電子部品の表面における水滴の接触角は通常90°以下であり、
絶縁物は、基板の表面に対して凸状を有し、電子部品の周縁のうち第1の端子と第2の端子との間の周縁部分に対して突出しており、
絶縁物の突出の位置が周縁部分の中心位置からずれており、
周縁部分に対する絶縁物の突出の長さxと、周縁部分の第1の端部から絶縁物の突出の位置までの距離および周縁部分の第2の端部から絶縁物の突出の位置までの距離のうち、より長い距離yとが、x≧y/2の関係を満たしており、
基板は、第1の基板端子に第1の端子をはんだ付けする第1のはんだと、第2の基板端子に第2の端子をはんだ付けする第2のはんだとをさらに備え、
絶縁物の幅wは、以下の式(1)の関係を満たしている電子部品実装基板である。
w≦2×(a/c)×((c/2)-b) ・・・(1)
(但し、a:第1の端子から第2の端子に向かう方向における電子部品の長さ、b:絶縁物の厚み、c:リフロー前の第1のはんだおよび第2のはんだの厚み)
上記構成によれば、絶縁物の突出の長さx、および電子部品の長さaが、x≧y/2の関係を満たしているので、高温高湿雰囲気下または結露等により電子部品の周縁部分に水滴が付着した場合にも、絶縁物の突出の長さxが水滴の高さ以上となる。これにより、第1の端子と第2の端子との間、または第1の基板端子と第2の基板端子との間が、水滴により接続されることを抑制できる。したがって、電蝕の発生を抑制することができる。
【0011】
の発明は、第発明に係る電子部品実装基板を備える電池パックである。
【0012】
の発明は、第発明に係る電子部品実装基板を備える電子機器である。
【0013】
の発明は、第発明に係る電子部品実装基板を備える電動車両である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子部品の周縁部分に水滴が付着した場合にも、電蝕発生を抑制することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれかの効果またはそれらと異質な効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電池パックの構成を示す分解斜視図である。
図2図2Aは、電子部品実装基板の構成を示す平面図である。図2Bは、図2AのIIB-IIB線に沿った断面図である。
図3図3Aは、電池の側面における水滴の接触角が90°である場合を示す拡大平面図である。図3Bは、電池の側面における水滴の接触角が180°である場合を示す拡大平面図である。
図4図4Aは、はんだ不良が発生していない状態の電子部品実装基板を示す側面図である。図4Bは、はんだ不良が発生した状態の電子部品実装基板を示す側面図である。図4Cは、はんだ不良が発生しない条件を説明するための電子部品実装基板の側面図である。
図5図5は、電池の構成を示す断面図である。
図6図6は、電子部品実装基板の回路構成を示す回路図である。
図7図7A図7Bはそれぞれ、電子部品実装基板の変形例を示す平面図である。
図8図8A図8Bはそれぞれ、電子部品実装基板の変形例を示す平面図である。
図9図9は、電子部品実装基板の変形例を示す拡大平面図である。
図10図10は、応用例としてのリストバンド型電子機器の外観を示す斜視図である。
図11図11は、応用例としてのリストバンド型電子機器の構成を示すブロック図である。
図12図12は、応用例としてのハイブリッド車両の構成を示す概略図である。
図13図13は、応用例としての蓄電システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について以下の順序で説明する。
1 一実施形態
1.1 電池パックの構成
1.2 電池パックの回路構成
1.3 効果
1.4 変形例
2 応用例
2.1 応用例としてのリストバンド型電子機器
2.2 応用例としてのハイブリッド車両
2.3 応用例としての蓄電システム
【0017】
<1 一実施形態>
[1.1 電池パックの構成]
本発明の一実施形態に係る電池パックは、図1に示すように、外装ケース10と、外装ケース10に収容された電子部品実装基板20と、電子部品実装基板20に接続されたケーブルコネクタ30とを備える。
【0018】
(外装ケース)
外装ケース10は、一方の主面が解放された薄い箱状を有するケース本体11と、解放された一方の主面を塞ぐように設けられた蓋部12とを備える。ケース本体11は、周壁部に孔部11Aを有し、この孔部11Aからケーブルコネクタ30が外部に導出されている。外装ケース10は、例えば、高分子樹脂または金属により構成されている。
【0019】
(ケーブルコネクタ)
ケーブルコネクタ30は、ケーブル31と、ケーブル31の一端に設けられたコネクタ32とを備える。ケーブル31の他端は電子部品実装基板20に接続されている。コネクタ32は、電子機器等に接続可能に構成されている。
【0020】
(電子部品実装基板)
電子部品実装基板20は、平板状のプリント回路基板(以下単に「基板」という。)21と、基板21の一方の面に設けられた矩形の薄板状の電池22とを備える。基板21は、図2A、2Bに示すように、基板本体211と、基板本体211の一方の面に設けられたパッド(第1、第2の基板端子)212A、212Bと、基板本体211の一方の面を覆うように設けられたレジスト層(保護層)213と、レジスト層213の表面のうち、パッド212A、212Bの間に設けられた絶縁物23とを有する。電池22は、パッド212A、212Bにそれぞれ接続された正極端子(第1の端子)22A、負極端子(第2の端子)22Bを有し、絶縁物23上に設けられている。
【0021】
基板本体211の一方の面には、パッド212A、212Bの他に、はんだ24A、24B、プラス端子25A、マイナス端子25B、保護IC(Integrated Circuit:集積回路)26、および充放電FET27が設けられている。
【0022】
絶縁物23は、基板21の一方の面に対して凸状を有する。電池22が実装された一方の面に垂直な方向から電子部品実装基板20を平面視すると、絶縁物23は直線状を有し、その両端は正極端子22Aと負極端子22Bとの間の両側面(周縁部分)S1、S2に対して垂直に突出している。絶縁物23の突出位置は、側面S1、S2の中心位置である。側面S1、S2の部分に対する絶縁物23の突出の長さx、および正極端子22Aから負極端子22Bに向かう方向における電池22の長さaが、x≧a/4の関係を満たしている。
【0023】
ここで、図3Aを参照して、絶縁物23の突出の長さxをx≧a/4とする理由について説明する。但し、電池22の側面S1、S2における水滴41の接触角は90°であると仮定する。高温高湿雰囲気下または結露等により電池22の側面S1、S2に水滴41が付着した場合、付着した水滴41の表面には表面張力が作用する。これにより、水滴41は表面積を小さくしようとし、半球状となる。絶縁物23により2分割された水滴41が側面S1、S2の半分の領域に付着していると仮定した場合には、その水滴41の半径はr=(a/2)/2=a/4となる。したがって、絶縁物23の突出の長さxおよび電池22の長さaが、x≧a/4の関係を満たしていれば、絶縁物23の突出の長さxが水滴41の高さh以上となり、正極端子22A、負極端子22Bの間が水滴41により接続されることを抑制できる。よって、電蝕の発生を抑制することができる。例えば、電池22のサイズが10mm×10mmである場合には、絶縁物23の突出の長さxが2.5mm以上であれば、電蝕の発生を抑制することができることになる。
【0024】
なお、電子部品実装基板に実装される一般的な電子部品(例えば電池)の表面において、水滴41の接触角は通常90°以下であると考えられる。したがって、上述のように絶縁物23の突出幅を規定すれば、一般的な電子部品の電蝕の発生を抑制することが可能である。但し、図3Bに示すように、電池22等の電子部品の表面において、水滴41の接触角が90°を超える場合でも、絶縁物23の突出の長さxおよび電池22の長さaが、x≧a/4の関係を満たしていれば、水滴41は絶縁物23を超えることは困難となる。したがって、電池22等の電子部品の電蝕の発生を抑制することが可能である。なお、図3Bでは、極端な例として、水滴41の接触角が180°となる、すなわち水滴41が球形となる場合が示されているが、90°を超える水滴41の接触角はこれに限定されるものではない。
【0025】
電蝕の発生をさらに抑制する観点からすると、絶縁物23の突出の長さxおよび電池22の長さaは、x≧a/3の関係を満たしていることが好ましく、x≧a/2の関係を満たしていることがより好ましい。絶縁物23の突出の長さxの上限値は特に限定されるものではないが、例えばx≦aである。
【0026】
絶縁物23は、例えば、熱硬化性樹脂およびエネルギー線硬化性樹脂のうちの少なくとも1種を含む。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステルおよびメラミン樹脂のうちの少なくとも1種を含む。エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線硬化樹脂であることが好ましい。紫外線硬化樹脂は、ラジカル重合系およびカチオン重合系のいずれのものであってもよい。なお、絶縁物23は、接着剤であってもよいし、シルクであってもよい。
【0027】
絶縁物23は、必要に応じて公知の添加剤を含んでいてもよい。例えば、絶縁物23は、硫酸バリウム粒子または酸化チタン粒子等の顔料を含んでいてもよい。また、絶縁物23は、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、難燃剤、表面調整剤(消泡剤、レベリング剤等)および可塑剤等のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0028】
絶縁物23の形成方法としては、例えばシルク印刷またはインクジェット印刷等を用いることができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0029】
絶縁物23の幅wは、以下の式(1)の関係を満たしていることが好ましい。
w≦2×(a/c)×((c/2)-b) ・・・(1)
(但し、図4Aに示すように、a:正極端子22Aから負極端子22Bに向かう方向における電池22の長さ、b:絶縁物23の厚み、c:リフロー前のはんだペースト24C、24Dの厚み)
絶縁物23の幅wが上記式(1)の関係を満たすことにより、基板21の一方の面に対して電池22が傾いて載置された場合にも、正極端子22Aとはんだペースト24Cとの接触、および負極端子22Bとはんだペースト24Dとの接触を確保することができる。したがって、はんだ不良の発生を抑制することができる。
【0030】
以下、上記式(1)の導出過程について説明する。ここでは、図4Aに示すように、基板21の一方の面に対して電池22が傾いて載置されている場合について考える。図4Aに示すように、絶縁物23の幅wが狭い場合には、電池22が絶縁物23により大きく傾くことがないため、電池22の負極端子22Bがはんだペースト24Dの上端に接触する。このように負極端子22Bとはんだペースト24Dとの接触が確保されている場合には、はんだ不良が発生することはない。一方、図4Bに示すように、絶縁物23の幅wが広い場合には、電池22が絶縁物23により大きく傾いてしまうため、電池22の負極端子22Bがはんだペースト24Dの上端に接触しなくなる。このように負極端子22Bとはんだペースト24Dとの接触が確保されていない場合には、はんだ不良が発生する。したがって、はんだ不良の発生を抑制するためには、絶縁物23の幅wを適切な範囲に設定することが好ましい。
【0031】
図4Cに示すように、電池22の底面と基板21の一方の面とのなす角をθとし、負極端子22Bとはんだペースト24Dとが接触を確保可能な最大のなす角θをθmaxとした場合、以下の式(2)の関係を満たせば、はんだ不良の発生を抑制することができる。
θ≦θmax ・・・(2)
【0032】
θ、θmaxが非常に小さい場合(例えば、はんだペースト24C、24Dの厚みcが0.1mm程度である場合)、式(2)は以下の式(3)のように書き換えることが可能である。なお、a=1mmである場合にはθは6°程度であり、a=10mmである場合にはθは1°程度である。
tanθ≦tanθmax ・・・(3)
式(3)をa、b、xを用いて変形すると、以下の式(4)のように表される。
b/((a/2)-x)≦c/a ・・・(4)
式(3)をxについて解くと、以下の式(5)のように表される。
x≦(a/c)×((c/2)-b) ・・・(5)
式(5)の両辺を2倍することで、上記の式(1)が導出される。
【0033】
基板本体211は、絶縁性を有するリジッド基板である。基板本体211の具体例としては、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、テフロン(登録商標)基板、アルミナ(セラミックス)基板、低温同時焼成セラミックス(LTCC)基板、コンポジット基板またはハロゲンフリー基板等が挙げられるが、これの基板に限定されるものではない。
【0034】
パッド212A、212Bは、銅箔を所定の形状にパターニングすることにより形成されている。はんだ24A、24Bはそれぞれ、正極端子22A、負極端子22Bをパッド212A、212Bにはんだ付けするためのものである。はんだ24A、24Bは、例えば、ソルダーペースト等の鉛フリーはんだである。プラス端子25A、マイナス端子25Bにはケーブル31が電気的に接続される。
【0035】
レジスト層213は、パッド212A、212B、プラス端子25A、マイナス端子25B、保護IC26、および充放電FET27に対応する部分に孔部を有しており、これらの各部がレジスト層213から露出するようになっている。レジスト層213は、ソルダーレジストを含み、銅箔等により構成されるパッド212A、212B等の保護をすると共に、ハンダ付け時にハンダの不要な付着を抑制する。
【0036】
(電池)
電池22は、電子部品の一例であり、具体的にはバルク型全固体電池である。全固体電池の具体例としては、全固体リチウム電池、全固体ナトリウム電池、全固体カリウム電池、全固体マグネシウム電池または全固体カルシウム電池等が挙げられ、中でも、全固体リチウム電池が好ましいが、これらの電池に限定されるものではない。ここでは、電池22が二次電池である場合について説明するが、電池22は一次電池であってもよい。
【0037】
電池22は、図5に示すように、矩形の薄板状の電池素子220と、電池素子220の対向する端面220SA、220SBにそれぞれ設けられた正極端子22A、負極端子22Bとを備える。電池22が、端面220SA、220SB以外の電池素子220の表面を覆う外装材(図示せず)をさらに備えていてもよい。
【0038】
電池素子220は、正極層221と、負極層222M、222Nと、固体電解質223とを備える。負極層222Mは、その一方の主面が正極層221の一方の主面に対向するように設けられ、負極層222Mと正極層221との間には固体電解質223が設けられている。負極層222Nは、その一方の主面が正極層221の他方の主面と対向するように設けられ、負極層222Nと正極層221との間には固体電解質223が設けられている。
【0039】
固体電解質223は、正極層221の周面の一部が電池素子220の端面220SAから露出するのに対して、それ以外の周面の部分が電池素子220の表面から露出しないように、正極層221の周面を覆っている。電池素子220の端面220SAから露出した正極層221の周面の一部が、正極端子22Aと接触している。
【0040】
固体電解質223は、負極層222M、222Nの周面の一部が電池素子220の端面220SBから露出するのに対して、それ以外の周面の部分が電池素子220の表面から露出しないように、負極層222M、222Nの周面を覆っている。電池素子220の端面220SBから露出した負極層222M、222Nの周面の一部が、負極端子22Bと接触している。固体電解質223が、負極層222M、222Nの他方の主面を覆っていてもよい。
【0041】
正極層221は、正極集電体221Aと、この正極集電体221Aの両主面に設けられた正極活物質層221Bとを備える。負極層222M、222Nは、負極集電体222Aと、この負極集電体222Aの一方の主面に設けられた負極活物質層222Bとを備える。負極層222M、222Nは、負極活物質層222Bが正極活物質層21Bと対向するように設けられている。
【0042】
[1.2 電池パックの回路構成]
以下、図6を参照して、電池パックの回路構成について説明する。電池22の正極端子22Aは、基板21のプラス端子25Aと配線により接続されている。また、電池22の負極端子22Bは、基板21のマイナス端子25Bと配線により接続されている。
【0043】
制御部26は、充放電FET27を制御することにより、電池22に対する充放電動作を制御する。また、制御部26は、充放電FET27を制御することにより、充放電時に充電電圧が過大となること、負荷短絡によって過電流が流れること、および過放電が生じることがないように充放電動作を制御する。
【0044】
充放電FET27は、充電制御FET(Field Effect Transistor)27Aと、放電制御FET27Bとを備える。充電制御FET27Aおよび放電制御FET27Bは、制御部26の制御に基づきオン/オフ制御される。
【0045】
充電制御FET27Aおよび放電制御FET27Bのドレインおよびソース間には、それぞれ寄生ダイオード27Cおよび寄生ダイオード27Dが接続されている。寄生ダイオード27Cは、充電電流に対して逆方向で、放電電流に対して順方向極性を有する。寄生ダイオード27Dは、充電電流に対して順方向で、放電電流に対して逆方向の極性を有する。
【0046】
充電制御FET27Aおよび放電制御FET27Bのゲートには、制御部26からの制御信号がそれぞれ供給される。充電制御FET27Aおよび放電制御FET27Bは、Pチャンネル型であり、ソース電位よりも所定値以上低いゲート電位によってオン状態となる。充放電時には、充電制御FET27Aおよび放電制御FET27Bがオン状態とされる。
【0047】
なお、充電制御FET27Aおよび放電制御FET27BとしてNチャンネル型のFETが用いられてもよい。Nチャンネル型のFETを用いる場合には、充電制御FET27Aおよび放電制御FET27Bがソース電位よりも所定値以上高いゲート電位によってオン状態となる。
【0048】
[1.3 効果]
上述の一実施形態に係る電子部品実装基板20は、パッド212A、212B、およびパッド212A、212Bの間に設けられた絶縁物23を有する基板21と、パッド212A、212Bにそれぞれ接続された正極端子22A、負極端子22Bを有し、絶縁物23上に設けられた電池22とを備える。絶縁物23は、基板21の一方の面に対して凸状を有し、正極端子22A、負極端子22Bの間の両側面S1、S2に対して突出している。また、両側面S1、S2からの絶縁物23の突出の長さx、および正極端子22Aから負極端子22Bに向かう方向における電池22の長さaが、x≧a/4の関係を満たしている。これにより、高温高湿雰囲気下または結露等により電池22の側面S1、S2に水滴41が付着した場合にも、絶縁物23の突出の長さxが水滴41の高さh以上となる。これにより、正極端子22A、負極端子22Bの間、またはパッド212A、212Bの間が、水滴41により接続されることを抑制できる。したがって、電蝕の発生を抑制することができる。
【0049】
また、絶縁物23は基板21の一方の面と電池22の裏面との間にも存在するため、電池22の裏面に水滴41が侵入した場合にも、正極端子22A、負極端子22Bの間、またはパッド212A、212Bの間が、水滴41により接続されることを抑制できる。したがって、電蝕の発生を抑制できる。
【0050】
[1.4 変形例]
上述の一実施形態では基板21が片面基板である場合について説明したが、基板の種類はこれに限定されるものではなく、両面基板、多層基板またはビルドアップ基板等であってもよい。基板21が両面基板である場合、両面に電池22を備えていてもよいし、一方の面に電池22を備えていてもよい。
上述の一実施形態では基板本体211がリジッド基板である場合について説明したが、基板本体211の種類はこれに限定されるものではなく、フレキシブル基板またはリジッドフレキシブル基板等であってもよい。
上述の一実施形態では基板21が平らである場合について説明したが、基板21の形状はこれに限定されるものではなく、基板21は湾曲していてもよいし、屈曲していてもよい。
【0051】
上述の一実施形態では外装材が外装ケース10である場合について説明したが、外装材はこれに限定されるものではなく、ラミネートフィルム等であってもよい。
【0052】
上述の一実施形態では電子部品実装基板20が1つの電池22を備える場合について説明したが、図8Bに示すように、複数の電池22を備えるようにしてもよい。複数の電池22は、互いの側面S1、S2が対向するように1つまたは2つ以上の列をなしていてもよい。この場合、電池22が実装された一方の面に垂直な方向から電子部品実装基板20を平面視すると、図8Bに示すように、1つの絶縁物23が、1つ列をなす複数の電池22を貫くように設けられていてもよい。但し、絶縁物23の構成はこれに限定されるものではなく、基板21が、複数の電池22それぞれ対応して設けられた複数の絶縁物23を有するようにしてもよい。
【0053】
上述の一実施形態では電池22が薄板状である場合について説明したが、電池22の形状はこれに限定されるものではなく、シート状またはブロック状等であってもよい。
上述の一実施形態では電池22の主面が矩形状である場合について説明したが、電池22の主面の形状はこれに限定されるものではなく、円形状、楕円形状、四角形以外の多角形状または不定形状等であってもよい。
上述の一実施形態では電子部品が電池22である場合について説明したが、電子部品の種類はこれに限定されるものではなく、基板21に接続される少なくとも2つの端子を有する電子部品を用いることができる。電池22以外の電子部品の具体例としては、コンデンサ、抵抗器、コイル、ダイオード、トランジスタまたはスイッチ等が挙げられるが、これらの電子部品に限定されるものではない。
【0054】
上述の一実施形態では絶縁物23の両端が電池22の両側面S1、S2に対して突出している場合について説明したが、絶縁物23の一端が電池22の側面S1、S2のうちのいずれか一方の側面に対して突出していてもよい。
【0055】
上述の一実施形態では絶縁物23が基板21の一方の面と電池22の裏面との間にも存在する場合について説明したが、絶縁物23が基板21の一方の面と電池22の裏面との間に存在しなくてもよい。但し、電池22の裏面に水滴41が侵入した場合にも、電蝕の発生を抑制するためには、上述の一実施形態におけるように、絶縁物23が基板21の一方の面と電池22の裏面との間にも存在することが好ましい。
【0056】
上述の一実施形態では絶縁物23が直線状を有している場合について説明したが、絶縁物23の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図7Aに示すように、側面S1、S2に対して突出した絶縁物23の先端が、T字状に分岐していてもよい。また、図7Bに示すように、側面S1に対して突出した絶縁物23の先端が直角に屈曲しL字状となり、側面S2に対して突出した絶縁物23の先端が直角に屈曲し逆L字状となっていてもよい。なお、絶縁物23の先端の屈曲の方向は、図7Bに示すように同一方向に限定されるものではなく、図8Aに示すように、反対方向であってもよい。また、絶縁物23が、先端に向かうにしたがって太くなるようにしてもよいし、細くなるようにしてもよい。また、絶縁物23が、正弦波状または鋸歯状等の蛇行形状を有していてもよい。なお、絶縁物23を上述のような形状にした場合には、絶縁物23の突出の長さxとは、側面S1、S2に対して垂直に延設された部分の長さを意味するものとする。
【0057】
また、図8Bに示すように、複数の電池22が側面S1、S2が対向するように列をなしている場合には、絶縁物23が、列方向に隣接する電池22の間に、正極端子22Aから負極端子22Bに向かう方向に延設された直線状の延設部23Aを有するようにしてもよい。この場合、列方向に隣接する2つの電池22の側面S1、S2の間で水滴が延設部23Aにより分割されるため、隣接する電池22の正極端子21A同士または負極端子21B同士が水滴で接続されることを抑制できる。したがって、隣接する2つの電池22の正極端子21A間または負極端子21B間に電位差がある場合に、隣接する2つの電池22間において電蝕が発生することを抑制できる。なお、隣接する2つの電池22の正極端子21A間または負極端子21B間に電位差は、隣接する2つの電池22の構成が異なる場合のみならず、隣接する2つの電池22の充放電の状態および劣化の状態等の要因でも生じる場合もある。また、列方向に隣接する2つの電池22において正極端子21Aと負極端子22Bとが対向していてもよい。上述の延設部23Aを設ける構成は、このように正極端子21Aと負極端子22Bとが対向する構成である場合に特に有効である。
【0058】
絶縁物23の突出の位置が側面S1、S2の中心位置である場合について説明したが、図9に示すように、絶縁物23の突出の位置が側面S1、S2の中心位置からずれていてもよい。この場合、側面S1、S2に対する絶縁物23の突出の長さxと、側面S1、S2の第1の端部から絶縁物23の突出の位置までの距離yおよび側面S1、S2の第2の端部から絶縁物23の突出の位置までの距離zのうち、より長い距離yとが、x≧y/2の関係を満たしている。これにより、高温高湿雰囲気下または結露等により電池22の側面S1、S2に水滴41が付着した場合にも、正極端子22A、負極端子22Bの間、またはパッド212A、212Bの間が、水滴41により接続されることを抑制できる。したがって、電蝕の発生を抑制することができる。
【0059】
<2 応用例>
[2.1 応用例としてのリストバンド型電子機器]
以下、本発明をリストバンド型電子機器に対して適用した応用例について説明する。
リストバンド型電子機器は、スマートバンドとも呼ばれ、腕に巻き付けておくのみで、歩数、移動距離、消費カロリー、睡眠量、心拍数等の人の活動に関するデータを取得することができるものである。さらに、取得されたデータをスマートフォンで管理することもできる。さらに、メールの送受信機能を備えることもでき、例えば、メールの着信をLED(Light Emitting Diode)ランプおよび/またはバイブレーションでユーザに知らせることができる。
【0060】
図10は、リストバンド型電子機器1601の外観を示す。電子機器1601は、人体に着脱自在とされる時計型のウェアラブル機器である。電子機器1601は、腕に装着されるバンド部1611と、数字、文字および図柄等を表示する表示装置1612と、操作ボタン1613とを備えている。バンド部1611には、複数の孔部1611aと、内周面(電子機器1601の装着時に腕に接触する側の面)側に設けられた突起1611bとが形成されている。
【0061】
電子機器1601は、使用状態においては、図10に示すようにバンド部1611が略円形となるように湾曲され、孔部1611aに突起1611bが挿入されて腕に装着される。突起1611bを挿入する孔部1611aの位置を調整することにより、腕の太さに対応して径の大きさを調整することができる。電子機器1601は、使用されない状態では、孔部1611aから突起1611bが取り外され、バンド部1611が略平坦な状態で保管される。バンド部1611内部には、バンド部1611のほぼ全体にわたってセンサー(図示せず)が設けられている。
【0062】
図11は、電子機器1601の構成を示す。電子機器1601は、上述した表示装置1612の他に、駆動制御部としてのコントローラIC1615と、センサー1620と、ホスト機器1616と、電源としての電池パック1617とを備える。センサー1620がコントローラIC1615を含んでいてもよい。
【0063】
センサー1620は、押圧と曲げとの両方を検出可能なものである。センサー1620は、押圧に応じた静電容量の変化を検出し、それに応じた出力信号をコントローラIC1615に出力する。また、センサー1620は、曲げに応じた抵抗値の変化(抵抗変化)を検出し、それに応じた出力信号をコントローラIC1615に出力する。コントローラIC1615は、センサー1620からの出力信号に基づき、センサー1620の押圧および曲げを検出し、それの検出結果に応じた情報をホスト機器1616に出力する。
【0064】
ホスト機器1616は、コントローラIC1615から供給される情報に基づき、各種の処理を実行する。例えば、表示装置1612に対する文字情報や画像情報等の表示、表示装置1612に表示されたカーソルの移動、画面のスクロール等の処理を実行する。
【0065】
表示装置1612は、例えばフレキシブルな表示装置であり、ホスト機器1616から供給される映像信号や制御信号等に基づき、画面を表示する。表示装置1612としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(ElectroLuminescence:EL)ディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0066】
電池パック1617は、上述の一実施形態またはその変形例に係る電池パックである。なお、電子機器1601が、電池パック1617に代えて、上述の一実施形態またはその変形例における電子部品実装基板20を備えるようにしてもよい。
【0067】
本発明は電池を備える種々の電子機器に適用可能であり、上述の応用例で説明したリストバンド型電子機器1601に限定されるものではない。上述の応用例以外の電子機器としては、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、携帯電話(例えばスマートフォン等)、携帯情報端末(Personal Digital Assistants:PDA)、表示装置(LCD、ELディスプレイ、電子ペーパ等)、撮像装置(例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等)、オーディオ機器(例えばポータブルオーディオプレイヤー)、ゲーム機器、ユニバーサルクレジットカード、センサーネットワーク端末、スマートウオッチ、メガネ型端末(ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等)、コードレスフォン子機、電子書籍、電子辞書、ラジオ、ヘッドホン、ナビゲーションシステム、メモリーカード、ペースメーカー、補聴器、電動工具、電気シェーバー、冷蔵庫、エアコン、テレビ、ステレオ、温水器、電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、乾燥器、照明機器、玩具、医療機器、ロボット、ロードコンディショナー、信号機等が挙げられるが、これに限定されるものでなない。
【0068】
[2.2 応用例としてのハイブリッド車両]
本発明を車両用の蓄電システムに適用した例について、図12を参照して説明する。図12に、本発明が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0069】
このハイブリッド車両7200には、エンジン7201、発電機7202、電力駆動力変換装置7203、駆動輪7204a、駆動輪7204b、車輪7205a、車輪7205b、蓄電装置7208、車両制御装置7209、各種センサー7210、充電口7211が搭載されている。蓄電装置7208は、上述の一実施形態およびその変形例のいずれかにおける電子部品実装基板20を備える。
【0070】
ハイブリッド車両7200は、電力駆動力変換装置7203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置7203の一例は、モーターである。蓄電装置7208の電力によって電力駆動力変換装置7203が作動し、この電力駆動力変換装置7203の回転力が駆動輪7204a、7204bに伝達される。なお、必要な個所に直流-交流(DC-AC)あるいは逆変換(AC-DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置7203が交流モーターでも直流モーターでも適用可能である。各種センサー7210は、車両制御装置7209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサー7210には、速度センサー、加速度センサー、エンジン回転数センサー等が含まれる。
【0071】
エンジン7201の回転力は発電機7202に伝えられ、その回転力によって発電機7202により生成された電力を蓄電装置7208に蓄積することが可能である。
【0072】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置7203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置7203により生成された回生電力が蓄電装置7208に蓄積される。
【0073】
蓄電装置7208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口7211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0074】
図示しないが、二次電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていてもよい。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置等がある。
【0075】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モーターで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモーターの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モーターのみで走行、エンジンとモーター走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本発明は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モーターのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本発明は有効に適用可能である。
【0076】
以上、本発明に係る技術が適用され得るハイブリッド車両7200の一例について説明した。本発明に係る技術は、以上説明した構成のうち、蓄電装置7208に好適に適用され得る。
【0077】
[2.3 応用例としての蓄電システム]
本発明を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図13を参照して説明する。例えば住宅9001用の蓄電システム9100においては、火力発電9002a、原子力発電9002b、水力発電9002c等の集中型電力系統9002から電力網9009、情報網9012、スマートメータ9007、パワーハブ9008等を介し、電力が蓄電装置9003に供給される。これと共に、家庭内発電装置9004等の独立電源から電力が蓄電装置9003に供給される。蓄電装置9003に供給された電力が蓄電される。蓄電装置9003を使用して、住宅9001で使用する電力が給電される。住宅9001に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0078】
住宅9001には、発電装置9004、電力消費装置9005、蓄電装置9003、各装置を制御する制御装置9010、スマートメータ9007、各種情報を取得するセンサー9011が設けられている。各装置は、電力網9009および情報網9012によって接続されている。発電装置9004として、太陽電池、燃料電池等が利用され、発電した電力が電力消費装置9005および/または蓄電装置9003に供給される。電力消費装置9005は、冷蔵庫9005a、空調装置9005b、テレビジョン受信機9005c、風呂9005d等である。さらに、電力消費装置9005には、電動車両9006が含まれる。電動車両9006は、電気自動車9006a、ハイブリッドカー9006b、電気バイク9006cである。
【0079】
蓄電装置9003は、上述の一実施形態およびその変形例のいずれかにおける電子部品実装基板20を備える。スマートメータ9007は、商用電力の使用量を測定し、測定された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網9009は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせてもよい。
【0080】
各種のセンサー9011は、例えば人感センサー、照度センサー、物体検知センサー、消費電力センサー、振動センサー、接触センサー、温度センサー、赤外線センサー等である。各種センサー9011により取得された情報は、制御装置9010に送信される。センサー9011からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置9005を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置9010は、住宅9001に関する情報をインターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0081】
パワーハブ9008によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置9010と接続される情報網9012の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth(登録商標)方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBee(登録商標)は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0082】
制御装置9010は、外部のサーバ9013と接続されている。このサーバ9013は、住宅9001、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていてもよい。サーバ9013が送受信する情報は、例えば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(例えばテレビジョン受信機)から送受信してもよいが、家庭外の装置(例えば、携帯電話機等)から送受信してもよい。これらの情報は、表示機能を持つ機器、例えば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されてもよい。
【0083】
各部を制御する制御装置9010は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成され、この例では、蓄電装置9003に格納されている。制御装置9010は、蓄電装置9003、家庭内発電装置9004、電力消費装置9005、各種センサー9011、サーバ9013と情報網9012により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていてもよい。
【0084】
以上のように、電力が火力発電9002a、原子力発電9002b、水力発電9002c等の集中型電力系統9002のみならず、家庭内発電装置9004(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置9003に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置9004の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置9003に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置9003に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置9003によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0085】
なお、この例では、制御装置9010が蓄電装置9003内に格納される例を説明したが、スマートメータ9007内に格納されてもよいし、単独で構成されていてもよい。さらに、蓄電システム9100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態およびその変形例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0087】
例えば、上述の実施形態およびその変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。
【0088】
また、上述の実施形態およびその変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0089】
10 外装ケース
11 ケース本体
11A 孔部
12 蓋部
20 電子部品実装基板
21 プリント回路基板
22 電池(電子部品)
22A 正極端子(第1の端子)
22B 負極端子(第2の端子)
23 絶縁物
23A 延設部
24A、24B はんだ
24C、24D リフロー前のはんだペースト
25A プラス端子
25B マイナス端子
26 制御部
27 充放電FET
27A 充電制御FET
27B 放電制御FET
27C、27D 寄生ダイオード
30 ケーブルコネクタ
31 ケーブル
32 コネクタ
41 水滴
211 基板本体
212A、212B パッド(第1、第2の基板端子)
213 レジスト層
221 正極層
221A 正極集電体
221B 正極活物質層
222M、222N 負極層
222A 負極集電体
222B 負極活物質層
223 固体電解質
1601 リストバンド型電子機器
7200 ハイブリッド車両
9100 蓄電システム
S1、S2 側面(周縁部分)
220SA、220SB 端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13