(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-03
(45)【発行日】2022-10-12
(54)【発明の名称】送信装置特定システムおよび送信装置特定方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/20 20150101AFI20221004BHJP
【FI】
H04B17/20
(21)【出願番号】P 2020525602
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2019023205
(87)【国際公開番号】W WO2019240152
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】P 2018112197
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】大辻 太一
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-184984(JP,A)
【文献】特開2016-040871(JP,A)
【文献】特開2014-082610(JP,A)
【文献】国際公開第2008/038388(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受信部と、
前
記受信部毎に、
その受信部の受信信号の特徴量を
抽出する特徴量
抽出部と、
複数の送信装置の送信電波の特徴量を送信装置毎に示す複数の送信電波特徴量のそれぞれを、前記受信部毎に、その受信部の受信機特性に基づいて補正する送信電波特徴量補正部と、
前記
受信信号の特徴量と、
補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定する特定部と、
を備える送信装置特定システム。
【請求項2】
前記特徴量は、前記受信部の受信信号のトランジェント、プリアンブル部分の電力スペクトル密度、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を示す、
請求項1に記載の送信装置特定システム。
【請求項3】
前記受信部の個数と同数の電波センサ装置と、特定処理装置とを備え、
前記特定部は、
前記受信部毎に電波送信元の送信装置を推定す
る個別推定部を備え、
前
記電波センサ装置の各々は、前
記受信部の一つと、
その受信部の受信信号の特徴量を抽出する前記特徴量抽出部
と、前記複数の送信電波特徴量のそれぞれを、その受信部の受信機特性に基づいて補正する前記送信電波特徴量補正部
と、その受信部の受信電波の送信元の送信装置を推定する前記個別推定
部と、を備えて、電波送信元の送信装置であると前記個別推定部が推定した送信装置の識別情報を前記特定処理装置へ送信し、
前記特定処理装置は、前記識別情報が識別する送信装置のうち何れの送信装置が電波送信元の送信装置であるかを判定する判定部を備える、
請求項
1または請求項2に記載の送信装置特定システム。
【請求項4】
複数の受信部で受信された受信信号から当該受信信号の特徴量を
受信部毎に抽出し、
あらかじめ登録されている
、複数の送信装置の送信電波の特徴量を
送信装置毎に示す複数の送信電波特徴量のそれぞれを、前記受信部毎
に、その受信部の受信機特性に基づいて補正し、
前記受信信号の特徴
量と、
補正後の前記送信電
波特徴
量とに基づいて、前記受信信号の送信元である送信装置を特定する送信装置特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置特定システムおよび送信装置特定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電波送信元の送信装置を特定する技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、電波発信源の個体識別の際に、マルチパスフェージングの影響の軽減を図る電波識別システムが記載されている。この電波識別システムは、パイロット信号などの既知信号の波形を示す辞書データを送信装置毎に予め記憶しておく。そして、この電波識別システムは、受信信号から抽出された既知信号の波形と辞書データにおける既知信号の波形とを用いて伝搬路の伝達係数を推定する。さらに、この電波識別システムは、推定した伝達係数に基づいて受信信号の等化を行い、等化された受信信号と辞書データとの相関性を評価して、受信信号を送信した送信装置を識別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電波送信元の送信装置を特定する精度に影響する要因として、マルチパスフェージングなど電波の伝搬路の要因だけでなく、電波を受信する装置の要因も影響し得る。電波送信元の送信装置を特定する精度を高めるために、電波を受信する装置が要因の影響を軽減させられることが好ましい。
【0005】
本発明の目的の一例は、上述の課題を解決することのできる送信装置特定システムおよび送信装置特定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、送信装置特定システムは、複数の受信部と、前記受信部毎に、その受信部の受信信号の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、複数の送信装置の送信電波の特徴量を送信装置毎に示す複数の送信電波特徴量のそれぞれを、前記受信部毎に、その受信部の受信機特性に基づいて補正する送信電波特徴量補正部と、前記受信信号の特徴量と、補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定する特定部と、を備える。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、送信装置特定方法は、複数の受信部で受信された受信信号から当該受信信号の特徴量を受信部毎に抽出し、あらかじめ登録されている、複数の送信装置の送信電波の特徴量を送信装置毎に示す複数の送信電波特徴量のそれぞれを、前記受信部毎に、その受信部の受信機特性に基づいて補正し、前記受信信号の特徴量と、補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、前記受信信号の送信元である送信装置を特定する。
【発明の効果】
【0011】
この発明の実施形態によれば、電波送信元の送信装置の特定に対する、電波を受信する装置の要因の影響を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る受信部の配置例を示す図である。
【
図3】第2実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図4】第2実施形態に係る送信装置特定システムの動作の例を示すシーケンス図である。
【
図5】第3実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図6】第3実施形態に係る送信装置特定システムの動作の例を示すシーケンス図である。
【
図7】第4実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図8】第4実施形態に係る送信装置特定システムの動作の例を示すシーケンス図である。
【
図9】第5実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図10】第5実施形態に係る送信装置特定システムの動作の第1例を示すシーケンス図である。
【
図11】第5実施形態に係る送信装置特定システムの動作の第2例を示すシーケンス図である。
【
図12】第6実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図13】第6実施形態に係る送信装置特定システムの動作の第1例を示すシーケンス図である。
【
図14】第6実施形態に係る送信装置特定システムの動作の第2例を示すシーケンス図である。
【
図15】第7実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図16】第8実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図17】第8実施形態に係る送信装置特定システムの動作の例を示すシーケンス図である。
【
図18】第9実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
【
図19】第9実施形態に係る送信装置特定システムの動作の第1例を示すシーケンス図である。
【
図20】第9実施形態に係る送信装置特定システムの動作の第2例を示すシーケンス図である。
【
図21】第10実施形態に係る電波センサ装置の構成の例を示す図である。
【
図22】第11実施形態に係る電波センサ装置の構成の例を示す図である。
【
図23】第12実施形態に係る特定処理装置の構成の例を示す図である。
【
図24】第13実施形態に係る特定処理装置の構成の例を示す図である。
【
図25】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図1に示す構成で、送信装置特定システム10は、受信部11と、特徴量出力部12と、特定部13とを備える。
【0015】
送信装置特定システム10は、送信装置(不図示)が送信する電波の個体差に基づいて送信装置を特定する。なお、「特定する」は、「識別する」、「判定する」などと言い換えられる。送信装置の仕様の違いによって、あるいは、同じ仕様であってもアナログ回路の特性のばらつき等によって、送信する電波に個体差が生じる。送信装置特定システム10は、送信装置毎に、その送信装置が送信する電波の特徴量を記憶しておく。そして、送信装置特定システム10は電波を受信すると、受信信号の特徴量を抽出する。送信装置特定システム10は、抽出した特徴量と記憶している特徴量との比較により、受信した電波の送信元の送信装置を特定する。
送信装置特定システム10は、受信した電波の特徴量を抽出可能であればよく、送信装置が送信装置特定システム10宛に電波を送信する必要はない。
【0016】
送信装置特定システム10は、都市部や各種施設(空港、モール等)における不審者の検知および追跡、あるいは、店舗や商業施設内における顧客の動線の把握など、いろいろな用途に適用できる。
また、送信装置特定システム10は、電波の特徴量を用いて送信装置の同一性を判定できるが、この特徴量からは、送信装置の所有者を直接的に割り出すことはできない。このように、送信装置特定システム10が用いる電波の特徴量には匿名性があり、送信装置特定システム10は、個人のプライバシーに配慮した処理を行うことができる。
【0017】
受信部11は、個体識別の対象となる送信装置から電波を受信する。送信装置特定システム10が備える受信部11の数は、1またはそれ以上であってもよい。
図2は、受信部11の配置例を示す図である。
図2の例では、個体識別の対象領域A1内に配置された5つの受信部11と、個体識別の対象となる送信装置900とが示されている。
【0018】
送信装置900は、スマートフォンまたは携帯電話機等の携帯端末装置であってもよい。また、送信装置900は、電波を発信するIoT(Internet of Things)端末、MTC(Machine Type Communication)端末などであってもよい。しかしながら、送信装置900(送信装置特定システム10による個体識別の対象)は、これらに限定されない。電波を発信するいろいろな装置を、送信装置特定システム10による個体識別の対象とすることができる。
送信装置900が送信する電波が、受信部11宛に送信される電波である必要はない。例えば、受信部11は、送信装置900が携帯通信基地局へ送信した電波、または、送信装置900が携帯通信基地局をサーチするために送信した電波を受信してもよい。
【0019】
対象領域A1が広い場合には受信部11の数を増してもよい。これにより、送信装置900が対象領域A1内のどこで電波を送信した場合も、いずれかの受信部11が電波を受信するように配置できる。
さらに、送信装置900が送信した電波を3つ以上の受信部11が受信すれば、送信装置特定システム10が、受信部11の各々における受信電波強度に基づいて、送信装置900の位置を推定することもできる。
【0020】
送信装置特定システム10が複数の受信部11を備える場合、受信部11毎に受信機特性の個体差が生じる。送信装置特定システム10が備える受信部11が全て同じ仕様であっても、アナログ回路の特性のばらつき等によって、受信部11毎に受信機特性の個体差が生じる。受信機特性の個体差が受信信号に現れることで受信信号の特徴量が変化する。どの受信部11が電波を受信するかによって受信信号の特徴量が異なり、これによって、送信装置特定システム10が送信装置900を特定する精度が低下する可能性がある。
【0021】
また、送信装置特定システム10が1つの受信部11を備える場合でも、送信装置900の比較対象となるデータの登録時に、送信装置特定システム10が備えるその1つの受信部11とは別の受信部11が用いられる場合は、受信部11の受信機特性の個体差が、送信装置900の特定の精度に影響し得る。データ登録時と送信装置900の特定の実行時とで、受信信号の特徴量に対する受信部11の受信機特性の影響が異なることで、送信装置特定システム10が送信装置900を特定する精度が低下する可能性がある。
【0022】
そこで、送信装置特定システム10は、受信部11の個体差による送信装置900の特定精度の低下を軽減させるために受信データの補正を行う。
ここでいう補正は、受信信号の特徴量と、登録されている送信電波の特徴量との比較に対する、受信部11の受信機特性の影響を軽減させる、データの加工(データ値の変更)の総称である。
【0023】
特徴量出力部12は受信部11毎に設けられ、受信部11の受信機特性に基づいて補正された、受信部11の受信信号の特徴量を、受信部11毎に出力する。
受信部11の受信機特性に基づいて補正された、受信部11の受信信号の特徴量を取得する方法として、2つの方法がある。1つ方法は、受信信号から特徴量を抽出し、抽出した特徴量を補正する方法である。もう1つの方法は、受信信号を補正し、補正後の受信信号から特徴量を抽出する方法である。
【0024】
このように、受信信号の特徴量が補正の対象となる場合と、受信信号が補正の対象となる場合とがある。いずれの対象に対して補正を行う場合も、特徴量出力部12が出力する受信信号の特徴量における、受信部11の受信機特性の影響が、軽減される。
一方、受信部11の受信機特性に基づいて補正された、受信部11の受信信号の特徴量を取得する代わりに、これとの比較対象である送信電波特徴量を補正するようにしてもよい。ここでいう送信電波特徴量は、送信装置毎に、その送信装置の送信電波の特徴量を示すデータである。この場合、送信装置特定システム(後述する送信装置特定システム20)は、受信部11の受信機特性を送信電波特徴量に反映させる補正を行う。この場合、受信信号の特徴量、および、送信電波特徴量のいずれにも受信部11の受信機特性が反映されていることで、送信装置特定システム20が、受信信号の特徴量と送信電波特徴量とを比較する際に、受信部11の受信機特性の影響が相殺される。
【0025】
送信装置特定システム10が電波発信元の送信装置900の特定に用いる特徴量は、送信装置900の個体差が現れるいろいろな特徴量とすることができる。例えば、送信装置特定システム10が、受信部11の受信信号のトランジェント(立ち上がりおよび立下り)、プリアンブル部分の電力スペクトル密度、エラーベクトル振幅、IQ位相(同相・直交位相)誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を示す特徴量を用いるようにしてもよい。特徴量の種類は、これらの例示に限定されない。
【0026】
受信機特性を補正するために必要な情報は、受信部11(例えば、受信部11を実装した電波センサ)の出荷時、あるいは、受信部11の敷設時に、特定の校正信号を受信部11に入力し、校正信号からの変形量(歪み量)あるいは、ずれを測定することで得られる。受信部11に入力する校正信号の生成源として、例えば、高精度な発振器を備える装置を用いるようにしてもよい。あるいは、この校正信号として、携帯電話の基地局の下り信号を用いてもよいし、テレビまたはラジオ等の放送波を用いてもよい。
【0027】
特定部13は、特徴量出力部12で受信部11の受信機特性に基づいて補正された、受信部11の受信信号の特徴量を取得し、その受信信号の特徴量と、送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置900を特定する。上記のように、ここでいう送信電波特徴量は、送信装置900毎に、その送信装置900の送信電波の特徴量を示すデータである。
【0028】
特定部13が電波発信元の送信装置900の特定に用いる方法として、特徴量の類似度を評価する方法、あるいは、特徴量を用いて送信装置特定システム10に機械学習させる方法などをとることができる。
例えば、特定部13が電波発信元の送信装置900の特定に、cos類似度計算による相関度計算、k近傍法、ランダムフォレスト、サポート・ベクタ・マシン、多層パーセプトロンのうちの1または複数を用いるようにしてもよい。特定方法は、これらの例示に限定されない。
【0029】
以上のように、特徴量出力部12は、受信部11の受信機特性に基づいて補正された、受信部11の受信信号の特徴量を受信部11毎に出力する。特定部13は、特徴量出力部12が出力する特徴量と、送信装置900毎に送信電波の特徴を示す送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置900を特定する。
【0030】
特定部13が、受信部11の受信機特性に基づいて補正された、受信部11の受信信号の特徴量を用いることで、電波発信元の送信装置900の特定に対する受信部11の受信機特性の影響を軽減させることができる。
送信装置特定システム10によれば、この点で、電波送信元の送信装置900の特定に対する、電波を受信する装置が要因の影響を軽減させることができる。
特に、送信電波特徴量を登録する際も、受信部11の受信機特性の影響を軽減させるように補正を行うことで、受信信号の特徴量、送信電波特徴量共に受信部11の受信機特性の影響を軽減させることができる。これにより、特定部13は、電波発信元の送信装置900をより高精度に特定できる。
【0031】
また、上記のように、特定部13が電波発信元の送信装置900の特定に用いる方法として、特徴量の類似度を評価する方法、あるいは、特徴量を用いて送信装置特定システム10に機械学習させる方法などをとることができる。特定部13が、cos類似度計算による相関度計算、k近傍法、ランダムフォレスト、サポート・ベクタ・マシン、多層パーセプトロンのうちの1または複数を用いて、電波送信元の送信装置を特定するようにしてもよい。
これにより、特定部13の実装形態および処理能力、送信装置900が送信する電波の特性、および、受信部11の受信機特性等の要因に応じて、特定部13が電波発信元の送信装置900の特定に用いる方法を選択することができる。この点で、特定部13が、電波送信元の送信装置900を高精度に特定できることが期待される。
【0032】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態を更に具体化した第1例を示す。
図3は、第2実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図3に示す構成では、送信装置特定システム10が、電波センサ装置101aと、特定処理装置102aとを備える。電波センサ装置101aには、受信部11と、特徴量出力部12aとが実装されている。特徴量出力部12aは、特徴量抽出部121と、特徴量補正部122とを備える。特定処理装置102aには、特定部13が実装されている。さらに、特定処理装置102aは、特徴量データベース14を備える。特定部13は、個別推定部131と、判定部132とを備える。
送信装置特定システム10が備える電波センサ装置101aの数は、1またはそれ以上であってもよい。1つの電波センサ装置101a毎に1つの受信部11が実装される。特徴量抽出部121、特徴量補正部122、および、個別推定部131が、受信部11毎に設けられる。
【0033】
特徴量抽出部121は、受信部11毎に設けられ、受信部11の受信信号の特徴量を抽出する。
送信装置特定システム10について上述したように、特徴量抽出部121が送信装置900の特定に用いる特徴量は、送信装置900の個体差が現れるいろいろな特徴量とすることができる。例えば、特徴量抽出部121が、受信部11の受信信号のトランジェント(立ち上がりおよび立下り)、プリアンブル部分の電力スペクトル密度、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を示す特徴量を用いるようにしてもよい。特徴量の種類は、これらの例示に限定されない。
【0034】
特徴量補正部122は、受信部11の受信信号の特徴量を受信部11の受信機特性に基づいて補正する。
特徴量補正部122が補正に用いる受信部11の受信機特性は、特徴量抽出部121が受信部11毎に抽出した特徴量に応じていろいろな特徴量とすることができる。例えば、特徴量補正部122が、受信部11の受信信号のトランジェント、プリアンブル部分の電力スペクトル密度、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を示す特徴量を用いるようにしてもよい。特徴量の種類は、これらの例示に限定されない。
【0035】
特徴量データベース14は、送信電波特徴量を記憶する。上述したように、送信電波特徴量は、送信装置900毎に、その送信装置900の送信電波の特徴量を示すデータである。また、送信電波特徴量は、あらかじめ取得されたものであり、受信信号の特徴量との比較対象となる。
但し、特徴量データベース14が、特定処理装置102aと別個の装置として構成されるなど、特定処理装置102aが、他の装置から送信電波特徴量を取得するようにしてもよい。さらには、特徴量データベース14が、送信装置特定システム10の外部の構成となっていてもよい。
【0036】
個別推定部131は、受信部11の受信信号毎に、電波送信元の送信装置900を推定する。具体的には、個別推定部131は、個別推定部131自らに対応する受信部11が送信装置900からの電波を受信した場合に、特徴量補正部122から補正済みの受信信号の特徴量を取得する。そして、個別推定部131は、特徴量データベース14に登録されている複数の送信装置900それぞれの送信電波特徴量を取得する。個別推定部131は、送信装置900毎に、受信信号の特徴量と送信電波特徴量とを比較し、比較結果を判定部132へ出力する。
【0037】
個別推定部131が、受信信号の特徴量と最も類似度が高いと判定した送信電波特徴量の識別情報を判定部132へ出力するようにしてもよい。送信電波特徴量の識別情報は、特徴量データベース14に登録されている送信電波特徴量を識別するための識別情報である。例えば、特徴量データベース14に登録されている送信電波特徴量に通番を付して識別情報として用いるようにしてもよい。
【0038】
あるいは、個別推定部131が、送信電波特徴量と、その送信電波特徴量について算出した受信信号の特徴量との類似度とを、判定部132へ出力するようにしてもよい。個別推定部131が、類似度が最も高い送信電波特徴量の識別情報を判定部132へ出力するようにしてもよい。なお、個別推定部131は、その識別情報と併せて類似度も出力するようにしてもよい。あるいは、個別推定部131が、類似度が高い順に所定の個数(例えば上位3つ)の送信電波特徴量の識別情報と共に、その類似度を判定部132へ出力するようにしてもよい。あるいは、個別推定部131が全ての送信装置900(特徴量データベース14が記憶している全ての送信電波特徴量)について、送信電波特徴量の識別情報および類似度を判定部132へ出力するようにしてもよい。
【0039】
ここでの類似度は、送信電波特徴量が示す送信装置900が、電波発信元の送信装置900である確度(割合)の例に該当する。
特徴量データベース14と個別推定部131との組み合わせに代えて、特定処理装置102aが、受信信号の特徴量の入力を受けて類似する送信電波特徴量の識別情報を出力する識別器を備えるようにしてもよい。
【0040】
判定部132は、電波送信元の送信装置900が、個別推定部131が受信信号毎に推定した送信装置900の何れであるかを判定する。
個別推定部131の各々が送信電波特徴量の識別情報を判定部132へ出力する場合、判定部132が、識別情報の多数決によって、電波送信元の送信装置900を判定するようにしてもよい。
【0041】
個別推定部131の各々が、送信電波特徴量の識別情報および類似度を判定部132へ送信する場合、判定部132が、識別情報を類似度で重み付けして多数決をとるようにしてもよい。例えば、判定部132が識別情報毎に類似度を合計し、合計値が最も大きい送信電波識別情報が識別する送信装置900を、電波発信元の送信装置900と判定するようにしてもよい。
【0042】
図3の構成では、電波センサ装置101aが、送信装置900からの電波を受信し、受信信号の特徴量を抽出して補正し、補正後の特徴量を特定処理装置102aへ送信する。特定処理装置102aは、電波センサ装置101aの各々からの受信信号の特徴量と送信電波特徴量とを比較して、電波送信元の送信装置900を判定(特定)する。
【0043】
図4は、第2実施形態に係る送信装置特定システム10の動作の例を示すシーケンス図である。
図4の処理で、特定処理装置102aが電波センサ装置101aの各々に受信開始を指示する(シーケンスS111)。電波センサ装置101aの各々は、この指示に基づいて電波の待ち受けを開始する。また、この指示で特定処理装置102aは、送信装置900の送信電波の周波数、および、電波センサ装置101aが電波を受信する時間等のパラメータを電波センサ装置101aに設定させる。
次に、送信装置900が電波を送信すると(シーケンスS121)、電波センサ装置101aの各々の受信部11が、送信装置900からの電波を受信する(シーケンスS131)。上述したように送信装置900が電波センサ装置101a宛てに電波を送信する必要は無い。また、設置された電波センサ装置101aの全てが、送信装置900からの電波を受信しなくてもよい。設置された電波センサ装置101aの一部が、電波を受信してもよい。電波を受信した電波センサ装置101aだけが、次の工程に進めばよい。
【0044】
送信装置900からの電波を受信した電波センサ装置101aの各々では、特徴量抽出部121が受信信号の特徴量を抽出する(シーケンスS132)。そして、特徴量補正部122は、特徴量抽出部121が抽出した特徴量を、受信部11の受信機特性に基づいて補正する(シーケンスS133)。電波センサ装置101aは、補正後の特徴量を特定処理装置102aへ送信する(シーケンスS134)。
【0045】
特定処理装置102aは、送信装置900からの電波を受信した電波センサ装置101aの各々が送信する補正後の特徴量を取得(受信)する(シーケンスS141)。特定処理装置102aの個別推定部131は、特定処理装置102aが受信した補正後の特徴量毎(従って、電波センサ装置101aが電波を受信した受信信号毎)に、電波送信元の送信装置900を推定する(シーケンスS142)。判定部132は、個別推定部131が電波センサ装置101a毎に(言い換えると、補正後の特徴量毎に)推定した電波送信元の送信装置900の情報を受けて、電波送信元の送信装置900が特徴量データベース14に登録されている複数の送信装置900のうち何れであるかを判定する(シーケンスS143)。
シーケンスS143の後、送信装置特定システム10は、
図4の処理を終了する。
【0046】
以上のように、特徴量抽出部121は、受信部11毎に設けられ、受信部11の受信信号の特徴量を抽出する。特徴量補正部122は、受信部11の受信信号の特徴量を受信部11の受信機特性に基づいて補正する。
このように、特徴量補正部122が受信部11の受信信号の特徴量を受信部11の受信機特性に基づいて補正することで、受信信号の特徴量に対する受信部11の受信機特性の影響を軽減させることができる。これにより、特定部13は、補正後の受信信号の特徴量を用いて、電波送信元の送信装置900をより高精度に特定できる。
また、特徴量補正部122が特徴量を補正する点で、受信部11の受信信号を補正する場合よりも、補正対象となるデータの、単位時間当たりのデータ量が少ない。この点で、特徴量補正部122の負荷が比較的小さくて済む。
【0047】
また、個々の電波センサ装置101aが、受信信号の特徴量に対する受信部11の受信機特性の影響を軽減させることで、例えば特定処理装置102aなどが、各電波センサ装置101aの受信部11の受信機特性を一元管理する必要がない。例えば、送信装置特定システム10の運用者は、各電波センサ装置101aの受信部11の受信機特性のデータベースの構築、および、データの更新を行う必要がない。この点で、電波センサ装置101aの数が多い場合でも、送信装置特定システム10の運用者の負担が比較的小さくて済む。
【0048】
また、送信装置特定システム10は、1またはそれ以上の電波センサ装置101aと、特定処理装置102aとを備える。電波センサ装置101aは、受信部11と、特徴量抽出部121と、特徴量補正部122とを備える。特定処理装置102aは、特定部13を備える。
かかる構成により、電波センサ装置101aから特定処理装置102aへ補正後の受信信号の特徴量を送信すればよく、受信信号そのものを送信する場合よりも、通信量が比較的少なくて済む。
【0049】
また、特徴量補正部122が補正に用いる受信部11の受信機特性は、特定のものに限定されない。特徴量補正部122が、受信部11の周波数特性、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を受信機特性として用いるようにしてもよい。
これにより、送信装置900が送信する電波の特性、および、受信部11の受信機特性等の要因に応じて、特徴量補正部122が補正に用いる受信部11の受信機特性を選択することができる。この点で、特徴量補正部122が行う補正が、電波発信元の送信装置900の特定に対する、受信部11の受信機特性の影響の軽減に有効であることが期待される。
【0050】
また、特徴量抽出部121が受信部11の受信信号から抽出する特徴量は、特定の種類のものに限定されない。特徴量抽出部121が、受信部11の受信信号のトランジェント、プリアンブル部分の電力スペクトル密度、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を示す特徴量を抽出するようにしてもよい。
【0051】
これにより、送信装置900が送信する電波の特性、および、受信部11の受信機特性等の要因に応じて、特徴量抽出部121が受信部11の受信信号から抽出する特徴量の種類を選択することができる。すなわち、送信装置900が送信する電波の特性、および、受信部11の受信機特性に応じて、特定部13が電波送信元の送信装置900の特定に用いる特徴量の種類を選択することができる。この点で、特定部13が、電波送信元の送信装置900を高精度に特定できることが期待される。
【0052】
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態を更に具体化した第2例を示す。
図5は、第3実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図5に示す構成では、送信装置特定システム10が、電波センサ装置101bと、特定処理装置102aとを備える。電波センサ装置101bには、受信部11と、特徴量出力部12bとが実装されている。特徴量出力部12bは、受信信号補正部123と、特徴量抽出部121とを備える。特定処理装置102aには、特定部13が実装されており、さらに、特定処理装置102aは、特徴量データベース14を備える。特定部13は、個別推定部131と、判定部132とを備える。
送信装置特定システム10が備える電波センサ装置101bの数は、1またはそれ以上であってもよい。1つの電波センサ装置101bに1つの受信部11が実装される。受信信号補正部123、特徴量抽出部121、および、個別推定部131が、受信部11毎に設けられる。
【0053】
図3に示す構成では、特徴量出力部12aが、特徴量抽出部121と、特徴量補正部122と備える。これに対し、
図5に示す構成では、特徴量出力部12bが、受信信号補正部123と、特徴量抽出部121とを備える点で、
図3の場合と異なる。それ以外の点では、
図5の電波センサ装置101bは、
図3の電波センサ装置101aと同様である。
図5の特定処理装置102aは、
図3の特定処理装置102aと同様である。
図3の場合と同様、特徴量データベース14と個別推定部131との組み合わせに代えて、特定処理装置102aが、受信信号の特徴量の入力を受けて類似する送信電波特徴量の識別情報を出力する識別器を備えるようにしてもよい。
【0054】
受信信号補正部123は、受信部11が送信装置900からの電波を受信した受信信号を補正する。受信部11の受信信号の波形は、送信装置900の送信電波の波形に、受信部11の受信機特性の影響が加えられた波形となっている。受信信号補正部123は、受信信号に対して受信部11の受信機特性を軽減させる補正を行う。
特徴量抽出部121は、受信信号補正部123から補正後の受信信号の入力を受け、この補正後の受信信号から特徴量を抽出する。
第2実施形態では、特徴量出力部12aが、受信信号から特徴量を抽出した後に補正を行うのに対し、第3実施形態では、特徴量出力部12bは、受信信号を補正した後に特徴量を抽出する。
【0055】
図6は、第3実施形態に係る送信装置特定システム10の動作の例を示すシーケンス図である。
図6のシーケンスS211~S231は、
図4のシーケンスS111~S131と同様である。
シーケンスS231の後、受信信号補正部123は、受信部11が送信装置900からの電波を受信した受信信号を補正する。(シーケンスS232)。そして、特徴量抽出部121は、受信信号補正部123が補正した受信信号から特徴量を抽出する(シーケンスS233)。
シーケンスS234~S243は、
図4のシーケンスS134~S143と同様である。
シーケンスS243の後、送信装置特定システム10は、
図6の処理を終了する。
【0056】
以上のように、受信信号補正部123は、受信部11の受信信号を受信部11の受信機特性に基づいて補正する。特徴量抽出部121は、受信信号補正部123毎に設けられ、補正後の受信信号の特徴量を抽出する。
このように、受信信号補正部123が受信部11の受信信号を受信部11の受信機特性に基づいて補正することで、受信信号に対する受信部11の受信機特性の影響を軽減させることができ、特徴量抽出部121が抽出する受信信号の特徴量に対する受信部11各々の受信機特性の影響を軽減させることができる。これにより、特定部13は、特徴量抽出部121が抽出する特徴量を用いて、電波送信元の送信装置900をより高精度に特定できる。
【0057】
なお、第3実施形態に係る送信装置特定システム10では、受信信号補正部123が、受信部11の受信信号を補正する点で、第2実施形態に係る送信装置特定システム10のように受信信号から抽出された特徴量を補正する場合よりも、補正対象となるデータの、単位時間当たりのデータ量が多い。この点で、受信信号補正部123は特徴量補正部122よりも処理負荷は大きいが、その分、補正により受信信号を細かく調整することができ、受信信号に対する受信部11の受信機特性の影響をより高精度に軽減できると期待される。これにより、特定部13が、電波送信元の送信装置900をより高精度に特定できると期待される。
【0058】
また、個々の電波センサ装置101bが、受信信号の特徴量に対する受信部11の受信機特性の影響を軽減させることで、例えば特定処理装置102aなどが、各電波センサ装置101bの受信部11の受信機特性を一元管理する必要がない。例えば、送信装置特定システム10の運用者は、各電波センサ装置101bの受信部11の受信機特性のデータベースの構築、および、データの更新を行う必要がない。この点で、電波センサ装置101bの数が多い場合でも、送信装置特定システム10の運用者の負担が比較的小さくて済む。
【0059】
また、電波センサ装置101bは、受信部11と、受信信号補正部123と、特徴量抽出部121とを備える。特定処理装置102aは、特定部13を備える。
かかる構成により、電波センサ装置101bから特定処理装置102aへ補正後の受信信号の特徴量を送信すればよく、通信量が比較的少なくて済む。
【0060】
また、受信信号補正部123が補正に用いる受信部11の受信機特性は、特定のものに限定されない。受信信号補正部123は、受信部11の周波数特性、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を受信機特性として用いるようにしてもよい。
これにより、送信装置900が送信する電波の特性、および、受信部11の受信機特性等の要因に応じて、受信信号補正部123が補正に用いる受信部11の受信機特性を選択することができる。この点で、受信信号補正部123が行う補正が、電波発信元の送信装置900の特定に対する、受信部11の受信機特性の影響の軽減に有効であることが期待される。
【0061】
<第4実施形態>
第4実施形態では、第1実施形態を更に具体化した第3例を示す。
図7は、第4実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図7に示す構成では、送信装置特定システム10が、電波センサ装置101cと、特定処理装置102cとを備える。
図7に示す構成は、特徴量補正部122が電波センサ装置101cではなく特定処理装置102cに含まれる点で、
図3の場合と異なる。それ以外の点では、電波センサ装置101cは、
図3の電波センサ装置101aと同様であり、特定処理装置102cは、
図3の特定処理装置102aと同様である。
【0062】
従って、
図7に示す構成では、特徴量出力部12cは、特徴量抽出部121と、特徴量補正部122とを備える。特定部13は、個別推定部131と、判定部132とを備える。電波センサ装置101cは、受信部11と、特徴量出力部12cの特徴量抽出部121とを備える。特定処理装置102cは、特徴量出力部12cの特徴量補正部122と、特定部13と、特徴量データベース14とを備える。
【0063】
送信装置特定システム10が備える電波センサ装置101cの数は、1またはそれ以上であってもよい。1つの電波センサ装置101cに1つの受信部11が実装される。特徴量抽出部121、特徴量補正部122、および、個別推定部131が、受信部11毎に設けられる。
図3の場合と同様、特徴量データベース14と個別推定部131との組み合わせに代えて、特定処理装置102cが、受信信号の特徴量の入力を受けて類似する送信電波特徴量の識別情報を出力する識別器を備えるようにしてもよい。
【0064】
図7の構成では、電波センサ装置101cが、送信装置900からの電波を受信し、受信信号の特徴量を抽出し、抽出した特徴量を特定処理装置102cへ送信する。特定処理装置102cは、電波センサ装置101cの各々からの受信信号の特徴量を補正し、補正後の特徴量と特徴量データベース14に記憶された送信電波特徴量とを比較して、電波送信元の送信装置900を判定する。
【0065】
図8は、第4実施形態に係る送信装置特定システム10の動作の例を示すシーケンス図である。
図8のシーケンスS311~S332は、
図4のシーケンスS111~S132と同様である。シーケンスS332の後、電波センサ装置101cは、特徴量抽出部121が抽出した受信信号の特徴量を特定処理装置102cへ送信する(シーケンスS333)。
【0066】
特定処理装置102cは、送信装置900からの電波を受信した電波センサ装置101cの各々が送信する特徴量を取得(受信)する(シーケンスS341)。特定処理装置102cの特徴量補正部122は、特定処理装置102cが受信した特徴量毎(従って、電波センサ装置101cが電波を受信した受信信号毎)に、特徴量を受信部11の受信機特性に基づいて補正する(シーケンスS342)。
シーケンスS343~S344は、
図4のシーケンスS142~S143と同様である。
シーケンスS344の後、送信装置特定システム10は、
図8の処理を終了する。
【0067】
以上のように、電波センサ装置101cは、受信部11と、特徴量抽出部121とを備える。特定処理装置102cは、特徴量補正部122と、特定部13と、を備える。
かかる構成により、電波センサ装置101cから特定処理装置102cへ受信信号の特徴量を送信すればよく、通信量が比較的少なくて済む。
また、第4実施形態に係る送信装置特定システム10では、特定処理装置102cが特徴量補正部122を備える点で、電波センサ装置101aおよび101bよりも電波センサ装置101cの構成を比較的簡単にすることができる。この点で、電波センサ装置101cの製造コストおよび運用コストが比較的安くて済む。例えば、広い空間をカバーするために電波センサ装置101cを多数配置する場合に、その効果は大きくなる。
【0068】
<第5実施形態>
第5実施形態では、第1実施形態を更に具体化した第4例を示す。
図9は、第5実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図9に示す構成では、送信装置特定システム10が、電波センサ装置101dと、判定処理装置103とを備える。
図9に示す構成は、個別推定部131が判定処理装置103ではなく電波センサ装置101dに含まれる点、および、電波センサ装置101dが特徴量データベース14を備える点で、
図3の場合と異なる。それ以外の点では、電波センサ装置101dは、
図3の電波センサ装置101aと同様であり、判定処理装置103は、
図3の特定処理装置102aと同様である。
【0069】
従って、
図9に示す構成では、特徴量出力部12dは、特徴量抽出部121と、特徴量補正部122とを備える。特定部13は、個別推定部131と、判定部132とを備える。電波センサ装置101dは、受信部11と、特徴量出力部12dと、特定部13の個別推定部131と、特徴量データベース14とを備える。判定処理装置103は、特定部13の判定部132と、特徴量データベース14とを備える。
【0070】
送信装置特定システム10が備える電波センサ装置101dの数は、1またはそれ以上であってもよい。1つの電波センサ装置101dに1つの受信部11が実装される。特徴量抽出部121、特徴量補正部122、および、個別推定部131が、受信部11毎に設けられる。
判定処理装置103が備える特徴量データベース14は、電波センサ装置101dの各々に配布するためのものである。特徴量データベース14を配布するサーバ装置が判定処理装置と別個の装置として設けられるなど、判定処理装置103が特徴量データベース14を備えない構成となっていてもよい。
図3の場合と同様、特徴量データベース14と個別推定部131との組み合わせに代えて、電波センサ装置101dが、受信信号の特徴量の入力を受けて類似する送信電波特徴量の識別情報を出力する識別器を備えるようにしてもよい。
【0071】
図10は、第5実施形態に係る送信装置特定システム10の動作の第1例を示すシーケンス図である。
図10のシーケンスS411~S433は、
図4のシーケンスS111~S133と同様である。シーケンスS433の後、個別推定部131は、補正後の特徴量に基づいて、電波発信元の送信装置900を推定する(シーケンスS434)。具体的には、上述したように個別推定部131は、送信装置900毎に受信信号の特徴量と送信電波特徴量とを比較し、受信信号の特徴量と最も類似度が高いと判定した送信電波特徴量が、電波発信元の送信装置900の電波特徴量であると特定する。
【0072】
電波センサ装置101dは、個別推定部131が推定した送信装置900の識別情報(送信電波特徴量の識別情報)を判定処理装置103へ送信する(シーケンスS435)。
判定処理装置103は、送信装置900からの電波を受信した電波センサ装置101dの各々が送信する識別情報を受信する(シーケンスS441)。判定処理装置103の判定部132は、判定処理装置103が受信した識別情報が識別する送信装置900のうち何れが、電波送信元の送信装置900であるかを判定する(シーケンスS442)。
シーケンスS442の後、送信装置特定システム10は、
図10の処理を終了する。
【0073】
図11は、第5実施形態に係る送信装置特定システム10の動作の第2例を示すシーケンス図である。
図11のシーケンスS511~S533は、
図10のシーケンスS411~S433と同様である。シーケンスS533の後、個別推定部131は、補正後の特徴量に基づいて、送信装置900毎(特徴量データベース14が記憶している送信電波特徴量毎)に、受信信号の特徴量と送信電波特徴量との類似度を算出する(シーケンスS534)。電波センサ装置101dは、送信装置900の識別情報(送信電波特徴量の識別情報)と、その送信装置900の送信電波特徴量と受信信号の特徴量との類似度とを対応付けたリストを判定処理装置103へ送信する(シーケンスS535)。
【0074】
判定処理装置103は、送信装置900からの電波を受信した電波センサ装置101dの各々が送信するリストを受信する(シーケンスS541)。判定処理装置103の判定部132は、判定処理装置103が受信したリストに基づいて、電波発信元の送信装置900が、何れの送信装置900であるかを判定する(シーケンスS542)。
シーケンスS542の後、送信装置特定システム10は、
図11の処理を終了する。
【0075】
以上のように、個別推定部131は、1またはそれ以上の受信部11の受信信号毎に、電波送信元の送信装置900を推定する。判定部132は、電波送信元の送信装置900が、個別推定部131が受信信号毎に推定した送信装置900の何れであるかを判定する。電波センサ装置101dは、受信部11と、特徴量抽出部121と、特徴量補正部122と、個別推定部131と、を備える。判定処理装置103は、判定部132を備える。
【0076】
これにより、電波センサ装置101dは、個別推定部131が電波送信元の送信装置900を推定した推定結果を判定処理装置103へ送信すればよく、通信量が少なくて済むことが期待される。
判定処理装置103から電波センサ装置101dへの特徴量データベースの送信(送信電波特徴量の送信)については、通信帯域に余裕があるときに送信するようにすることで、通信負荷が比較的小さくて済む。
【0077】
また、電波センサ装置101dは、電波送信元の送信装置900であると個別推定部131が推定した送信装置900の識別情報を判定処理装置103へ送信する。判定部132は、電波送信元の送信装置900が、識別情報が識別する送信装置900の何れであるかを判定する。
これにより、電波センサ装置101dは、送信装置900の識別情報(送信電波特徴量の識別情報)を判定処理装置103へ送信すればよく、通信量が少なくて済む。
【0078】
また、判定部132は、電波センサ装置101dが送信する識別情報の多数決によって、電波送信元の送信装置900が、識別情報が識別する送信装置の何れであるかを判定する。
これにより、判定部132は、識別情報の多数決をとるという比較的簡単な処理で電波送信元の送信装置900を判定することができ、この点で、判定部132の負荷が小さくて済む。
【0079】
また、個別推定部131は、1またはそれ以上の送信装置900毎に、その送信装置900が電波発信元の送信装置900である確度を算出する。電波センサ装置101dは、1またはそれ以上の送信装置900毎に、送信装置900の識別情報と、個別推定部131が算出した確度とを判定処理装置103へ送信する。判定部132は、判定処理装置103が送信する識別情報および確度に基づいて、電波送信元の送信装置900が、識別情報が識別する送信装置の何れであるかを判定する。
判定部132は、個別推定部131が算出した確度を用いて電波送信元の送信装置900を判定する点で、電波送信元の送信装置900を高精度に判定できる。
【0080】
<第6実施形態>
第6実施形態では、第1実施形態を更に具体化した第5例を示す。
図12は、第6実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図12に示す構成では、送信装置特定システム10が、電波センサ装置101eと、判定処理装置103とを備える。
【0081】
図9に示す構成では、特徴量出力部12dが、特徴量抽出部121と、特徴量補正部122と備える。これに対し、
図12に示す構成では、特徴量出力部12eが、受信信号補正部123と、特徴量抽出部121とを備える点で、
図9の場合と異なる。それ以外の点では、
図12の電波センサ装置101eは
図9の電波センサ装置101dと同様である。
図5の判定処理装置103は、
図9の判定処理装置103と同様である。
【0082】
従って、
図12に示す構成では、特徴量出力部12eは、受信信号補正部123と、特徴量抽出部121とを備える。特定部13は、個別推定部131と、判定部132とを備える。電波センサ装置101eは、受信部11と、特徴量出力部12eと、特定部13の個別推定部131と、特徴量データベース14とを備える。判定処理装置103は、特定部13の判定部132と、特徴量データベース14とを備える。
【0083】
送信装置特定システム10が備える電波センサ装置101eの数は、1またはそれ以上であってもよい。1つの電波センサ装置101eに1つの受信部11が実装される。受信信号補正部123、特徴量抽出部121、および、個別推定部131が、受信部11毎に設けられる。
判定処理装置103が備える特徴量データベース14は、電波センサ装置101eの各々に配布するためのものである。特徴量データベース14を配布するサーバ装置が判定処理装置と別個の装置として設けられるなど、判定処理装置103が特徴量データベース14を備えない構成となっていてもよい。
図3の場合と同様、特徴量データベース14と個別推定部131との組み合わせに代えて、電波センサ装置101eが、受信信号の特徴量の入力を受けて類似する送信電波特徴量の識別情報を出力する識別器を備えるようにしてもよい。
【0084】
図13は、第6実施形態に係る送信装置特定システム10の動作の第1例を示すシーケンス図である。
図13のシーケンスS611~S631は、
図10のシーケンスS411~S431と同様である。
シーケンスS631の後、受信信号補正部123は、受信部11が送信装置900からの電波を受信した受信信号を補正する。(シーケンスS632)。そして、特徴量抽出部121は、受信信号補正部123が補正した受信信号の特徴量を抽出する(シーケンスS633)。
シーケンスS634~S642は、
図10のシーケンスS434~S442と同様である。
シーケンスS642の後、送信装置特定システム10は、
図13の処理を終了する。
【0085】
図14は、第6実施形態に係る送信装置特定システム10の動作の第2例を示すシーケンス図である。
図14のシーケンスS711~S731は、
図11のシーケンスS511~S531と同様である。
シーケンスS731の後、受信信号補正部123は、受信部11が送信装置900からの電波を受信した受信信号を補正する。(シーケンスS732)。そして、特徴量抽出部121は、受信信号補正部123が補正した受信信号の特徴量を抽出する(シーケンスS733)。
シーケンスS734~S742は、
図11のシーケンスS534~S542と同様である。
シーケンスS742の後、送信装置特定システム10は、
図14の処理を終了する。
【0086】
以上のように、個別推定部131は、1またはそれ以上の受信部11の受信信号毎に、電波送信元の送信装置900を推定する。判定部132は、電波送信元の送信装置900が、個別推定部131が受信部11毎に推定した送信装置900の何れであるかを判定する。電波センサ装置101eは、受信部11と、受信信号補正部123と、特徴量抽出部121と、個別推定部131と、を備える。判定処理装置103は、判定部132を備える。
【0087】
これにより、電波センサ装置101eは、個別推定部131が電波送信元の送信装置900を推定した推定結果を判定処理装置103へ送信すればよく、通信量が少なくて済むことが期待される。
判定処理装置103から電波センサ装置101eへの特徴量データベースの送信(送信電波特徴量の送信)については、通信帯域に余裕があるときに送信するようにすることで、通信負荷が比較的小さくて済む。
【0088】
<第7実施形態>
第7実施形態では、第1実施形態の変形例を示す。
図15は、第7実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図15に示す構成で、送信装置特定システム20は、受信部11と、特徴量抽出部121と、送信電波特徴量補正部23と、特定部13とを備える。
送信装置特定システム20が備える受信部11の数は、1またはそれ以上であってもよい。特徴量抽出部121および送信電波特徴量補正部23が、受信部11毎に設けられる。
【0089】
受信部11および特徴量抽出部121は、
図5の場合と同様である。
送信電波特徴量補正部23は、送信電波特徴量を補正する。具体的には、送信電波特徴量補正部23は受信部11毎に設けられ、対応する受信部11の受信機特性を送信電波特徴量に反映させる補正を行う。上述したように、受信信号の特徴量、および、送信電波特徴量のいずれにも受信部11の受信機特性が反映されていることで、送信装置特定システム20が、受信信号の特徴量と送信電波特徴量とを比較する際に、受信部11の受信機特性の影響が相殺される。
【0090】
特定部13は、
図5の場合と同様である。具体的には、
図15の特定部13への入力は、
図5の場合と異なるが、特定部13が行う処理は、
図5の場合も
図15の場合も同様である。特に、
図5の場合も
図15の場合も、特定部13は、受信信号の特徴量と、送信電波特徴量との比較により、電波送信元の送信装置900を特定する。
【0091】
図1の送信装置特定システム10では、特徴量出力部12が、受信部11の受信機特性に基づいて補正された、受信部11の受信信号の特徴量を出力する。これに対し、
図15の送信装置特定システム20は、特徴量出力部12に代えて特徴量抽出部121を備え、受信部11の受信信号の特徴量を抽出する。送信装置特定システム20では、受信部11の受信信号の特徴量に関しては、受信部11の受信機特性の影響の軽減は行われていない。一方、送信装置特定システム20では、送信電波特徴量補正部23が、送信電波特徴量を補正することで、受信信号の特徴量と、送信電波特徴量との比較に対する、受信部11の受信機特性の影響を軽減させる。
それ以外の点では、送信装置特定システム20は、送信装置特定システム10と同様である。
【0092】
第7実施形態では、受信部11の受信機特性に基づいて送信電波特徴量を補正する。従って、送信電波特徴量を補正するために必要な情報の取得方法は、上述した受信機特性を補正するために必要な情報の取得方法と同様である。
すなわち、送信電波特徴量を補正するために必要な情報は、受信部11(例えば、受信部11を実装した電波センサ)の出荷時、あるいは、受信部11の敷設時に、特定の校正信号を受信部11に入力し、校正信号からの変形量(歪み量)あるいは、ずれを測定することで得られる。受信部11に入力する校正信号の生成源として、例えば、高精度な発振器を備える装置を用いるようにしてもよい。あるいは、この校正信号として、携帯電話の基地局の下り信号を用いてもよいし、テレビまたはラジオ等の放送波を用いてもよい。
【0093】
以上のように、特徴量抽出部121は、受信部11毎に、受信部11の受信信号の特徴量を抽出する。送信電波特徴量補正部23は、送信装置900毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、受信部11の受信機特性に基づいて補正する。特定部13は、受信信号の特徴量と、補正後の送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置900を特定する。
【0094】
特定部13が、受信部11の受信機特性に基づいて補正された送信電波特徴量を用いることで、電波発信元の送信装置900の特定に対する受信部11の受信機特性の影響を軽減させることができる。特に、受信信号の特徴量に対する受信部11の受信機特性の影響と、補正によって送信電波特徴量に付加された受信部11の受信機特性の影響とが相殺される。
送信装置特定システム20によれば、この点で、電波送信元の送信装置900の特定に対する、電波を受信する装置が要因の影響を軽減させることができる。
特に、送信電波特徴量を登録する際に、受信部11の受信機特性の影響を軽減させるように補正を行うことで、データ登録時の受信部11の受信機特性の影響、特定処理実行時の受信部11の受信機特性の影響の何れも軽減させることができる。この点で、特定部13は、電波発信元の送信装置900をより高精度に特定できる。
【0095】
<第8実施形態>
第8実施形態では、第7実施形態を更に具体化した第1例を示す。
図16は、第8実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図16に示す構成では、送信装置特定システム20が、電波センサ装置201aと、特定処理装置202aとを備える。電波センサ装置201aには、受信部11と、特徴量抽出部121とが実装されている。特定処理装置202aには、送信電波特徴量補正部23と、特定部13とが実装されており、さらに、特定処理装置202aは、特徴量データベース14を備える。特定部13は、個別推定部131と、判定部132とを備える。
送信装置特定システム20が備える電波センサ装置201aの数は、1またはそれ以上であってもよい。1つの電波センサ装置201aに1つの受信部11が実装される。特徴量抽出部121、送信電波特徴量補正部23、および、個別推定部131が、受信部11毎に設けられる。
【0096】
図3の構成と
図16の構成とを比較すると、
図3の電波センサ装置101aが特徴量補正部122を備えているのに対し、
図16の電波センサ装置201aは、特徴量補正部122を備えていない。一方、
図3の特定処理装置102aが送信電波特徴量補正部23を備えていないのに対し、
図15の特定処理装置202aは、送信電波特徴量補正部23を備えている。
それ以外の点では、
図16の電波センサ装置201aは、
図3の電波センサ装置101aと同様であり、
図16の特定処理装置202aは、
図3の特定処理装置102aと同様である。
【0097】
図17は、第8実施形態に係る送信装置特定システム20の動作の例を示すシーケンス図である。
図17のシーケンスS811~S832は、
図4のシーケンスS111~S132と同様である。シーケンスS832の後、電波センサ装置201aは、特徴量抽出部121が抽出した受信信号の特徴量を特定処理装置202aへ送信する(シーケンスS833)。
特定処理装置202aは、送信装置900からの電波を受信した電波センサ装置201aの各々が送信する特徴量を取得(受信)する(シーケンスS841)。特定処理装置202aの送信電波特徴量補正部23は、送信電波特徴量を補正する(シーケンスS842)。
シーケンスS843およびS844は、
図4のシーケンスS142およびS143と同様である。
シーケンスS844の後、送信装置特定システム20は、
図17の処理を終了する。
【0098】
以上のように、電波センサ装置201aは、受信部11と、特徴量抽出部121とを備える。特定処理装置202aは、送信電波特徴量補正部23と、特定部13とを備える。
かかる構成により、電波センサ装置201aから特定処理装置202aへ受信信号の特徴量を送信すればよく、通信量が比較的少なくて済む。
また、特定処理装置202aが送信電波特徴量補正部23を備える点で、電波センサ装置201aの構成を比較的簡単にすることができる。この点で、電波センサ装置201aの製造コストおよび運用コストが比較的安くて済み、例えば広い空間をカバーするために電波センサ装置201aを多数配置することが比較的容易になる。
【0099】
<第9実施形態>
第9実施形態では、第7実施形態を更に具体化した第2例を示す。
図18は、第9実施形態に係る送信装置特定システムの機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図18に示す構成では、送信装置特定システム20が、電波センサ装置201bと、判定処理装置103とを備える。
図18に示す構成は、送信電波特徴量補正部23および個別推定部131が判定処理装置103ではなく電波センサ装置201bに含まれる点、および、電波センサ装置201bが特徴量データベース14を備える点で、
図16の場合と異なる。それ以外の点では、電波センサ装置201bは、
図16の電波センサ装置201aと同様であり、判定処理装置103は、
図16の特定処理装置202aと同様である。また、
図18の判定処理装置103は、
図9の判定処理装置103と同様である。
【0100】
従って、
図18に示す構成では、特定部13は、個別推定部131と、判定部132とを備える。電波センサ装置201bは、受信部11と、特徴量抽出部121と、送信電波特徴量補正部23と、特定部13の個別推定部131と、特徴量データベース14とを備える。判定処理装置103は、特定部13の判定部132と、特徴量データベース14とを備える。
【0101】
送信装置特定システム20が備える電波センサ装置201bの数は、1またはそれ以上であってもよい。1つの電波センサ装置201bに1つの受信部11が実装される。特徴量抽出部121、送信電波特徴量補正部23、および、個別推定部131が、受信部11毎に設けられる。
判定処理装置103が備える特徴量データベース14は、電波センサ装置201bの各々に配布するためのものである。特徴量データベース14を配布するサーバ装置が判定処理装置と別個の装置として設けられるなど、判定処理装置103が特徴量データベース14を備えない構成となっていてもよい。
【0102】
図19は、第9実施形態に係る送信装置特定システム20の動作の第1例を示すシーケンス図である。
図19のシーケンスS911~S932は、
図17のシーケンスS811~S832と同様である。シーケンスS932の後、送信電波特徴量補正部23は、送信電波特徴量を補正する(シーケンスS933)。個別推定部131は、受信信号の特徴量と、補正後の送信電波特徴量とに基づいて、電波発信元の送信装置900を推定する(シーケンスS934)。具体的には、上述したように個別推定部131は、送信装置900毎に受信信号の特徴量と送信電波特徴量とを比較し、受信信号の特徴量と最も類似度が高いと判定した送信電波特徴量が、電波発信元の送信装置900の電波特徴量であると推定する。
【0103】
電波センサ装置201bは、個別推定部131が推定した送信装置900の識別情報(送信電波特徴量の識別情報)を判定処理装置103へ送信する(シーケンスS935)。
判定処理装置103は、送信装置900からの電波を受信した電波センサ装置201bの各々が送信する識別情報を受信する(シーケンスS941)。判定処理装置103の判定部132は、判定処理装置103が受信した識別情報識別する送信装置900のうち何れが、電波送信元の送信装置900であるかを判定する(シーケンスS942)。
シーケンスS942の後、送信装置特定システム20は、
図19の処理を終了する。
【0104】
図20は、第9実施形態に係る送信装置特定システム20の動作の第2例を示すシーケンス図である。
図20のシーケンスS1011~S1033は、
図19のシーケンスS911~S933と同様である。シーケンスS1033の後、個別推定部131は、受信信号の特徴量と、補正後の送信電波特徴量とに基づいて、送信装置900毎(特徴量データベース14が記憶している送信電波特徴量毎)に、受信信号の特徴量と送信電波特徴量との類似度を算出する(シーケンスS1034)。電波センサ装置201bは、送信装置900の識別情報(送信電波特徴量の識別情報)と、その送信装置900の送信電波特徴量と受信信号の特徴量との類似度とを対応付けたリストを判定処理装置103へ送信する(シーケンスS1035)。
【0105】
判定処理装置103は、送信装置900からの電波を受信した電波センサ装置201bの各々が送信するリストを受信する(シーケンスS1041)。判定処理装置103の判定部132は、判定処理装置103が受信したリストに基づいて、電波発信元の送信装置900が、何れの送信装置900であるかを判定する(シーケンスS1042)。
シーケンスS1042の後、送信装置特定システム20は、
図20の処理を終了する。
【0106】
以上のように、個別推定部131は、1またはそれ以上の受信信号毎に電波送信元の送信装置900を推定する。電波センサ装置201bは、受信部11と、特徴量抽出部121と、送信電波特徴量補正部23と、個別推定部131と、を備えて、電波送信元の送信装置900であると個別推定部131が特定した送信装置の識別情報を特定処理装置202bへ送信する。特定処理装置202bの判定部132は、電波センサ装置201bからの識別情報が識別する送信装置のうち何れの送信装置が電波送信元の送信装置であるかを判定する。
【0107】
これにより、電波センサ装置201bは、個別推定部131が電波送信元の送信装置900を推定した推定結果を判定処理装置103へ送信すればよく、通信量が少なくて済むことが期待される。
判定処理装置103から電波センサ装置201bへの特徴量データベースの送信(送信電波特徴量の送信)については、通信帯域に余裕があるときに送信するようにすることで、通信負荷が比較的小さくて済む。
【0108】
また、判定部132は、電波センサ装置201bが送信する識別情報の多数決によって、電波送信元の送信装置900が、識別情報が識別する送信装置900の何れであるかを判定する。
これにより、判定部132は、識別情報の多数決をとるという比較的簡単な処理で電波送信元の送信装置900を判定することができ、この点で、判定部132の負荷が小さくて済む。
【0109】
また、個別推定部131は、1またはそれ以上の送信装置900毎に、その送信装置900が電波発信元の送信装置である確度を算出する。電波センサ装置201bは、1またはそれ以上の送信装置900毎に、送信装置900の識別情報と個別推定部131が算出した確度とを特定処理装置202bへ送信する。判定部132は、電波センサ装置201bからの識別情報および確度に基づいて、電波送信元の送信装置900が、識別情報が識別する送信装置900の何れであるかを判定する。
判定部132は、個別推定部131が算出した確度を用いて電波送信元の送信装置900を判定する点で、電波送信元の送信装置900を高精度に判定できる。
【0110】
<第10実施形態>
第10実施形態では、電波センサ装置の構成の例について説明する。
図21は、第10実施形態に係る電波センサ装置の構成の例を示す図である。
図21に示す電波センサ装置30は、受信部11と、特徴量出力部12とを備える。
かかる構成にて、特徴量出力部12は、受信部11の受信機特性に基づいて補正された、受信部11の受信信号の特徴量を出力する。
電波センサ装置30が出力する特徴量を用いて電波送信元の送信装置900を特定することで、電波送信元の送信装置900の特定に対する受信部11の受信機特性の影響を軽減させることができ、この点で、電波送信元の送信装置900を高精度に特定できる。
【0111】
<第11実施形態>
第11実施形態では、電波センサ装置の構成の、もう1つの例について説明する。
図22は、第11実施形態に係る電波センサ装置の構成の例を示す図である。
図22に示す電波センサ装置31は、受信部11と、特徴量抽出部121と、送信電波特徴量補正部23と、個別推定部131とを備える。
【0112】
かかる構成にて、特徴量抽出部121は、受信部11の受信信号の特徴量を抽出する。送信電波特徴量補正部23は、送信装置900毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、受信部11の受信機特性に基づいて補正する。個別推定部131は、受信部11の受信信号の特徴量と、補正後の送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置900を推定する。
【0113】
個別推定部131が、送信電波特徴量補正部23が補正した送信電波特徴量を用いることで、受信部11の受信信号の特徴量に対する受信部11の受信機特性の影響と、送信電波特徴量に対する受信部11の受信信号の影響とが相殺される。これにより、個別推定部131が行う電波送信元の送信装置900の推定に対する受信部11の受信機特性の影響が軽減される。個別推定部131は、この点で、電波送信元の送信装置900を高精度に推定できる。
【0114】
<第12実施形態>
第12実施形態では、特定処理装置の構成の例について説明する。
図23は、第12実施形態に係る特定処理装置の構成の例を示す図である。
図23に示す特定処理装置40は、特徴量補正部122と、特定部13とを備える。
かかる構成にて、特徴量補正部122は、1またはそれ以上の受信部11毎に、その受信部11の受信信号の特徴量を、その受信部11の受信機特性に基づいて補正する。特定部13は、補正後の受信信号の特徴量と、送信装置毎に送信電波の特徴を示す送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置900を特定する。
特定部13が、特徴量補正部122が補正した受信信号の特徴量を用いることで、電波送信元の送信装置900の特定に対する受信部11の受信機特性の影響を軽減させることができる。この点で、特徴量補正部122は、電波送信元の送信装置900を高精度に特定できる。
【0115】
<第13実施形態>
第13実施形態では、特定処理装置の構成の、もう1つの例について説明する。
図24は、第13実施形態に係る特定処理装置の構成の例を示す図である。
図24に示す特定処理装置41は、送信電波特徴量補正部23と、特定部13とを備える。
かかる構成にて、送信電波特徴量補正部23は、送信装置900毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、送信電波を受信する受信部11の受信機特性に基づいて補正する。特定部13は、1またはそれ以上の受信部11毎の受信信号の特徴量と、補正後の送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置900を特定する。
特定部13が、送信電波特徴量補正部23が補正した送信電波特徴量を用いることで、受信信号の特徴量と送信電波特徴量とを比較する際に、受信部11の受信機特性の影響が相殺される。この点で、特徴量補正部122は、電波送信元の送信装置900を高精度に特定できる。
【0116】
図25は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成例を示す概略ブロック図である。
図25に示す構成で、コンピュータ500は、CPU510と、記憶装置520と、インタフェース530とを備える。
上述の電波センサ装置101a、101b、101c、101d、101e、201a、201b、30および31の何れか1つ以上がコンピュータに実装される場合、上述した各処理部(特徴量出力部12、特徴量抽出部121、特徴量補正部122、受信信号補正部123、個別推定部131および送信電波特徴量補正部23のうち全部または一部)の動作は、プログラムの形式で記憶装置520に記憶されている。CPU510は、記憶装置520からプログラムを読み出して実行することで、各処理部の処理を実行する。また、CPU510は、プログラムに従って、上述した各記憶部(特徴量データベース14)に対応する記憶領域を記憶装置520に確保する。受信部11の機能は、CPU50がプログラムに従ってインタフェース530としての通信機を制御することで実行される。
【0117】
上述の特定処理装置102a、102c、202a、40および41の何れか1つ以上がコンピュータに実装される場合、上述した各処理部(特定部13、個別推定部131、判定部132、特徴量補正部122および送信電波特徴量補正部23のうち全部または一部)の動作は、プログラムの形式で記憶装置520に記憶されている。CPU510は、記憶装置520からプログラムを読み出して実行することで、各処理部の処理を実行する。また、CPU510は、プログラムに従って、上述した各記憶部(特徴量データベース14)に対応する記憶領域を記憶装置520に確保する。
【0118】
上述の判定処理装置103がコンピュータに実装される場合、上述した各処理部(判定部132)の動作は、プログラムの形式で記憶装置520に記憶されている。CPU510は、記憶装置520からプログラムを読み出して実行することで、各処理部の処理を実行する。また、CPU510は、プログラムに従って、上述した各記憶部(特徴量データベース14)に対応する記憶領域を記憶装置520に確保する。
【0119】
なお、電波センサ装置101a、101b、101c、101d、101e、201a、201b、30および31と、特定処理装置102a、102c、202a、40および41と、判定処理装置103とが行う処理の全部または一部を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0120】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0121】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限定されない。
【0122】
(付記1)
1またはそれ以上の受信部と、
前記1またはそれ以上の受信部毎に、前記受信部の受信機特性に基づいて補正された前記受信部の受信信号の特徴量を出力する特徴量出力部と、
前記特徴量と、送信装置毎に送信電波の特徴を示す送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定する特定部と、
を備える送信装置特定システム。
【0123】
(付記2)
前記特徴量出力部は、それぞれ前記1またはそれ以上の受信部に対応する1またはそれ以上の特徴量出力部を備え、
前記1またはそれ以上の特徴量出力部各々は、
前記受信部の受信信号の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
前記特徴量を前記受信部の受信機特性に基づいて補正する特徴量補正部と、
を備える付記1に記載の送信装置特定システム。
【0124】
(付記3)
1またはそれ以上の電波センサ装置と、特定処理装置とを備え、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々は、前記1またはそれ以上の受信部の一つと、前記1またはそれ以上の特徴量出力部の一つと、を備え、
前記特定処理装置は、前記特定部を備える、
付記2に記載の送信装置特定システム。
【0125】
(付記4)
1またはそれ以上の電波センサ装置と、特定処理装置とを備え、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々は、前記1またはそれ以上の受信部の一つと、前記1またはそれ以上の特徴量出力部の一つの特徴量出力部の特徴量抽出部と、を備え、
前記特定処理装置は、前記1またはそれ以上の特徴量出力部各々の特徴量補正部と、前記特定部と、を備える、
付記2に記載の送信装置特定システム。
【0126】
(付記5)
1またはそれ以上の電波センサ装置と、判定処理装置とを備え、
前記特定部は、
それぞれ前記1またはそれ以上の受信部に対応し、前記対応する受信部の受信信号毎に、電波送信元の送信装置を推定する1またはそれ以上の個別推定部と、
電波送信元の送信装置が、前記個別推定部が前記受信信号毎に推定した送信装置の何れであるかを判定する判定部と、
を備え、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々は、前記1またはそれ以上の受信部の一つと、前記1またはそれ以上の特徴量出力部の一つと、前記1またはそれ以上の個別推定部の一つと、を備え、
前記判定処理装置は、前記判定部を備える、
付記2に記載の送信装置特定システム。
【0127】
(付記6)
前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々は、前記個別推定部が推定した送信装置の識別情報を前記判定処理装置へ送信し、
前記判定部は、電波送信元の送信装置が、前記識別情報が識別する送信装置の何れであるかを判定する、付記5に記載の送信装置特定システム。
【0128】
(付記7)
前記判定部は、前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々が送信する前記識別情報の多数決によって、電波送信元の送信装置が、前記識別情報が識別する送信装置の何れであるかを判定する、
付記6に記載の送信装置特定システム。
【0129】
(付記8)
前記1またはそれ以上の個別推定部各々は、1またはそれ以上の送信装置毎に、その送信装置が電波発信元の送信装置である確度を算出し、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々は、1またはそれ以上の送信装置毎に、送信装置の識別情報と前記確度とを前記判定処理装置へ送信し、
前記判定部は、前記識別情報および前記確度に基づいて、電波送信元の送信装置が、前記識別情報が識別する送信装置の何れであるかを判定する、
付記5に記載の送信装置特定システム。
【0130】
(付記9)
前記1またはそれ以上の特徴量出力部各々の特徴量補正部は、前記受信部の周波数特性、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を前記受信機特性として用いる、
付記2から8の何れか一つに記載の送信装置特定システム。
【0131】
(付記10)
前記特徴量出力部は、それぞれ1またはそれ以上の受信部に対応する1またはそれ以上の特徴量出力部を備え、
前記1またはそれ以上の特徴量出力部各々は、
前記受信部の受信信号を前記受信部の受信機特性に基づいて補正する受信信号補正部と、
補正後の受信信号の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
を備える付記1に記載の送信装置特定システム。
【0132】
(付記11)
1またはそれ以上の電波センサ装置と、特定処理装置とを備え、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々は、前記1またはそれ以上の受信部の一つと、前記1またはそれ以上の特徴量出力部の一つと、を備え、
前記特定処理装置は、前記特定部を備える、
付記10に記載の送信装置特定システム。
【0133】
(付記12)
1またはそれ以上の電波センサ装置と、判定処理装置とを備え、
前記特定部は、
それぞれ前記1またはそれ以上の受信部に対応し、前記対応する受信部の受信信号毎に、電波送信元の送信装置を推定する1またはそれ以上の個別推定部と、
電波送信元の送信装置が、前記1またはそれ以上の個別推定部各々が前記受信信号毎に推定した送信装置の何れであるかを判定する判定部と、
を備え、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置は、前記1またはそれ以上の受信部の一つと、前記1またはそれ以上の特徴量出力部の一つと、前記1またはそれ以上の個別推定部の一つと、を備え、
前記判定処理装置は、前記判定部を備える、
付記10に記載の送信装置特定システム。
【0134】
(付記13)
前記1またはそれ以上の特徴量出力部各々の受信信号補正部は、前記受信部の周波数特性、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を前記受信機特性として用いる、
付記10から12の何れか一つに記載の送信装置特定システム。
【0135】
(付記14)
前記1またはそれ以上の特徴量出力部各々の特徴量抽出部は、前記受信部の受信信号のトランジェント、プリアンブル部分の電力スペクトル密度、エラーベクトル振幅、IQ位相誤差、IQインバランス量、周波数オフセット、および、シンボルクロック誤差のうち1または複数を示す前記特徴量を抽出する、付記2から13の何れか一つに記載の送信装置特定システム。
【0136】
(付記15)
前記特定部は、cos類似度計算による相関度計算、k近傍法、ランダムフォレスト、サポート・ベクタ・マシン、多層パーセプトロンのうちの1または複数を用いて、電波送信元の送信装置を特定する、
付記1から14の何れか一つに記載の送信装置特定システム。
【0137】
(付記16)
1またはそれ以上の受信部と、
それぞれ前記1またはそれ以上の受信部に対応し、前記対応する受信部の受信信号の特徴量を抽出する1またはそれ以上の特徴量抽出部と、
それぞれ前記1またはそれ以上の受信部に対応し、送信装置毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、前記対応する受信部の受信機特性に基づいて補正する1またはそれ以上の送信電波特徴量補正部と、
前記特徴量と、補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定する特定部と、
を備える送信装置特定システム。
【0138】
(付記17)
1またはそれ以上の電波センサ装置と、特定処理装置とを備え、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々は、前記1またはそれ以上の受信部のうち一つと、前記1またはそれ以上の特徴量抽出部の一つと、を備え、
前記特定処理装置は、前記1またはそれ以上送信電波特徴量補正部と、前記特定部と、を備える、
付記16に記載の送信装置特定システム。
【0139】
(付記18)
1またはそれ以上の電波センサ装置と、特定処理装置とを備え、
前記特定部は、それぞれ前記1またはそれ以上の受信部に対応し、前記受信信号毎に電波送信元の送信装置を推定する1またはそれ以上の個別推定部を備え、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置の各々は、前記1またはそれ以上の受信部の一つと、前記1またはそれ以上の特徴量抽出部の一つと、前記1またはそれ以上の送信電波特徴量補正部の一つと、前記1またはそれ以上の個別推定部の一つと、を備えて、電波送信元の送信装置であると前記個別推定部が推定した送信装置の識別情報を前記特定処理装置へ送信し、
前記特定処理装置は、前記識別情報が識別する送信装置のうち何れの送信装置が電波送信元の送信装置であるかを判定する判定部を備える、
付記16に記載の送信装置特定システム。
【0140】
(付記19)
前記判定部は、前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々が送信する前記識別情報の多数決によって、電波送信元の送信装置が、前記識別情報が識別する送信装置の何れであるかを判定する、
付記18に記載の送信装置特定システム。
【0141】
(付記20)
前記1またはそれ以上の個別推定部各々は、1またはそれ以上の送信装置毎に、その送信装置が電波発信元の送信装置である確度を算出し、
前記1またはそれ以上の電波センサ装置各々は、1またはそれ以上の送信装置毎に、送信装置の識別情報と前記確度とを前記判定処理装置へ送信し、
前記判定部は、前記識別情報および前記確度に基づいて、電波送信元の送信装置が、前記識別情報が識別する送信装置の何れであるかを判定する、
付記18に記載の送信装置特定システム。
【0142】
(付記21)
受信部と、
前記受信部の受信機特性に基づいて補正された、前記受信部の受信信号の特徴量を出力する特徴量出力部と、
を備える電波センサ装置。
【0143】
(付記22)
前記特徴量出力部は、
前記受信部の受信信号の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
前記特徴量を、前記受信部の受信機特性に基づいて補正する特徴量補正部と、
を備える付記21に記載の電波センサ装置。
【0144】
(付記23)
前記特徴量出力部は、
前記受信部の受信信号を前記受信部の受信機特性に基づいて補正する受信信号補正部と、
補正後の受信信号から特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
を備える付記21に記載の電波センサ装置。
【0145】
(付記24)
受信部と、
前記受信部の受信信号の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
送信装置毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、前記受信部の受信機特性に基づいて補正する送信電波特徴量補正部と、
前記特徴量と、補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を推定する個別推定部と、
を備える電波センサ装置。
【0146】
(付記25)
1またはそれ以上の受信部毎に、その受信部の受信信号の特徴量を、その受信部の受信機特性に基づいて補正する特徴量補正部と、
補正後の前記受信信号の特徴量と、送信装置毎に送信電波の特徴を示す送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定する特定部と、
を備える特定処理装置。
【0147】
(付記26)
1またはそれ以上の受信部で電波を受信することと、
前記受信部の受信機特性に基づいて補正された、前記受信部の受信信号の特徴量を出力することと、
前記特徴量と、送信装置毎に送信電波の特徴を示す送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定することと、
を含む処理方法。
【0148】
(付記27)
受信部で電波を受信することと、
前記受信部の受信機特性に基づいて補正された、前記受信部の受信信号の特徴量を出力することと、
を含む処理方法。
【0149】
(付記28)
受信部で電波を受信することと、
前記受信部の受信信号の特徴量を抽出することと、
送信装置毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、前記受信部の受信機特性に基づいて補正することと、
前記特徴量と、補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定することと、
を含む処理方法。
【0150】
(付記29)
1またはそれ以上の受信部毎に、その受信部の受信信号の特徴量を、その受信部の受信機特性に基づいて補正することと、
補正後の前記受信信号の特徴量と、送信装置毎に送信電波の特徴を示す送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定することと、
を含む処理方法。
【0151】
(付記30)
送信装置毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、前記送信電波を受信する受信部の受信機特性に基づいて補正することと、
1またはそれ以上の受信部毎の受信信号の特徴量と、補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定することと、
を含む処理方法。
【0152】
(付記31)
コンピュータに、
受信部で電波を受信することと、
前記受信部の受信機特性に基づいて補正された、前記受信部の受信信号の特徴量を出力することと、
を実行させるためのプログラムを記憶した記録媒体。
【0153】
(付記32)
コンピュータに、
受信部で電波を受信することと、
前記受信部の受信信号の特徴量を抽出することと、
送信装置毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、前記受信部の受信機特性に基づいて補正することと、
前記特徴量と、補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定することと、
を実行させるためのプログラムを記憶した記録媒体。
【0154】
(付記33)
コンピュータに、
1またはそれ以上の受信部毎に、その受信部の受信信号の特徴量を、その受信部の受信機特性に基づいて補正することと、
補正後の前記受信信号の特徴量と、送信装置毎に送信電波の特徴を示す送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定することと、
を実行させるためのプログラムを記憶した記録媒体。
【0155】
(付記34)
コンピュータに、
送信装置毎に送信電波の特徴量を示す送信電波特徴量を、前記送信電波を受信する受信部の受信機特性に基づいて補正することと、
1またはそれ以上の受信部毎の受信信号の特徴量と、補正後の前記送信電波特徴量とに基づいて、電波送信元の送信装置を特定することと、
を実行させるためのプログラムを記憶した記録媒体。
【0156】
この出願は、2018年6月12日に出願された日本国特願2018-112197を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、送信装置特定システム、電波センサ装置、特定処理装置、処理方法および記録媒体に適用してもよい。
【符号の説明】
【0158】
10、20 送信装置特定システム
11 受信部
12 特徴量出力部
13 特定部
14 特徴量データベース
20 送信装置特定システム
23 送信電波特徴量補正部
101a、101b、101c、101d、101e、201a、201b、30、31 電波センサ装置
102a、102c、202a、40、41 特定処理装置
103 判定処理装置
121 特徴量抽出部
122 特徴量補正部
123 受信信号補正部
131 個別推定部
132 判定部